IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

7003910活性エネルギー線硬化性接着剤組成物、偏光板用接着剤組成物、偏光板用接着剤、およびそれを用いた偏光板
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化性接着剤組成物、偏光板用接着剤組成物、偏光板用接着剤、およびそれを用いた偏光板
(51)【国際特許分類】
   C09J 163/00 20060101AFI20220203BHJP
   C09J 171/00 20060101ALI20220203BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20220203BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
C09J163/00
C09J171/00
C09J11/06
G02B5/30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018506458
(86)(22)【出願日】2018-02-06
(86)【国際出願番号】 JP2018003907
(87)【国際公開番号】W WO2018147247
(87)【国際公開日】2018-08-16
【審査請求日】2020-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2017024118
(32)【優先日】2017-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079382
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123928
【弁理士】
【氏名又は名称】井▲崎▼ 愛佳
(74)【代理人】
【識別番号】100136308
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100207295
【弁理士】
【氏名又は名称】寺尾 茂泰
(72)【発明者】
【氏名】木田 友樹
(72)【発明者】
【氏名】新 嘉津夫
(72)【発明者】
【氏名】辻本 篤志
【審査官】高崎 久子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-086369(JP,A)
【文献】特開平08-231938(JP,A)
【文献】特開2010-209126(JP,A)
【文献】特開2017-179162(JP,A)
【文献】特開2017-193597(JP,A)
【文献】特開2013-092546(JP,A)
【文献】特開2012-007080(JP,A)
【文献】特開2013-205720(JP,A)
【文献】国際公開第2014/171141(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
G02B5/30
C08G59/00-59/72
C08K3/00-13/08
C08L1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オキセタン化合物(A)、エポキシ化合物(B)、エチレン性不飽和化合物(C)及び光重合開始剤(D)を含有する活性エネルギー線硬化性接着剤組成物であって、
上記オキセタン化合物(A)として、分子内に2個以上のオキセタニル基を含有するオキセタン化合物または、分子内に1個のオキセタニル基と1個の(メタ)アクリロイル基または1個のエポキシ基を含有するオキセタン化合物を含有し、
上記エポキシ化合物(B)が、脂肪族系エポキシ化合物(B1)を含有し、上記脂肪族系エポキシ系化合物(B1)が、分子内にエポキシ基を2個以上有する2官能以上の脂肪族系エポキシ化合物であり、
上記エチレン性不飽和化合物(C)として、2官能以上の(メタ)アクリル系化合物を含有し、
上記光重合開始剤(D)として、光カチオン重合開始剤(D1)及び光ラジカル重合開始剤(D2)を含有し、上記光カチオン重合開始剤(D1)と光ラジカル重合開始剤(D2)との含有割合(D1/D2)(重量比)が、20/80~99/1であり、
上記エポキシ化合物(B)の含有割合が、上記オキセタン化合物(A)、エポキシ化合物(B)及びエチレン性不飽和化合物(C)の合計量に対して40~80重量%であり、
上記光カチオン重合開始剤(D1)の含有量が、オキセタン化合物(A)、エポキシ化合物(B)の合計100重量部に対し、0.5~20重量部であり、
上記光ラジカル重合開始剤(D2)の含有量が、エチレン性不飽和化合物(C)100重量部に対し、0.1重量部以上である活性エネルギー線硬化性接着剤組成物からなることを特徴とする偏光板用接着剤組成物。
【請求項2】
上記エポキシ化合物(B)が、更に芳香族系エポキシ化合物(B2)を含有することを特徴とする請求項1記載の偏光板用接着剤組成物。
【請求項3】
上記脂肪族系エポキシ化合物(B1)の芳香族系エポキシ化合物(B2)に対する含有割合(B1/B2)が重量比で10/90~90/10であることを特徴とする請求項2記載の偏光板用接着剤組成物。
【請求項4】
上記オキセタン化合物(A)及びエポキシ化合物(B)の合計量(AB)の上記エチレン性不飽和化合物(C)に対する含有割合(AB/C)が重量比で40/60~95/5であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の偏光板用接着剤組成物。
【請求項5】
上記オキセタン化合物(A)のエポキシ化合物(B)に対する含有割合(A/B)が重量比で10/90~60/40であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の偏光板用接着剤組成物。
【請求項6】
更に、シランカップリング剤(E)を含有することを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の偏光板用接着剤組成物。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載の偏光板用接着剤組成物の硬化物であることを特徴とする偏光板用接着剤。
【請求項8】
請求項記載の偏光板用接着剤と偏光子と保護フィルムとを有する偏光板であって、上記偏光子と保護フィルムとが、上記偏光板用接着剤により貼り合わされていることを特徴とする偏光板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物、偏光板用接着剤組成物、偏光板用接着剤、およびそれを用いた偏光板に関するものであり、更に詳しくは、液晶表示装置等に用いられる偏光板を構成する偏光子と保護フィルムの貼り合せに好適な活性エネルギー線硬化性接着剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記液晶表示装置は、液晶テレビ、コンピューターディスプレイ、携帯電話やデジタルカメラ等の画像表示装置として幅広く用いられている。かかる液晶表示装置は、液晶が封入されたガラス基板の両側に偏光板が積層された構成となっており、必要に応じて位相差板等の各種光学機能フィルムがこれに積層されている。
【0003】
従来より、偏光板は、ポリビニルアルコール系フィルム(以下、ポリビニルアルコールを「PVA」と略記する。)よりなる偏光子の少なくとも一方の面、好ましくは両方の面に保護フィルムを貼り合わせた構成となっている。ここで、偏光子としては、高ケン化度のPVA系樹脂を用いて製膜してなるPVA系フィルム中にヨウ素等の二色性材料が分散、吸着され、好ましくは更にホウ酸等の架橋剤によって架橋された、一軸延伸PVA系フィルムが広く用いられている。このような偏光子は、一軸延伸PVA系フィルムであるがゆえに、高湿度下において収縮しやすく、耐湿性や強度を補うことを目的に、偏光子に保護フィルムが貼り合わされている。
【0004】
かかる保護フィルムとしては、セルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、およびポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂が透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性等に優れる点で用いられているが、特にはトリアセチルセルロース(TAC)樹脂からなる保護フィルムが広く用いられてきた。
【0005】
そして、これらの保護フィルムは、接着剤によって偏光子と貼り合わされるが、かかる接着剤としては、親水性表面をもつ偏光子に対する接着性の点から、PVA系樹脂水溶液、特に偏光子と同様の高ケン化度PVA系樹脂を主体とするPVA系樹脂水溶液が好ましく用いられている。
【0006】
ところで、近年では、偏光板の薄膜化が求められており、これまで保護フィルムとして最も一般的に使用されてきたTACフィルムに替えて、アクリル系フィルムや環状オレフィン系樹脂(COP)フィルムが使用されるようになってきた。しかし、これらTACフィルムに替わる保護フィルムは、従来のPVA系接着剤では偏光子と強固に貼り合せることが困難であったり、得られる偏光板の外観不良が発生したりする問題があった。これはアクリル系フィルムやCOPフィルムがTACフィルムに比べて疎水性であり、透湿度が低いために水を充分に乾燥できないことによるものである。そのため、PVA系接着剤に替わるものとして、アクリル系フィルムやCOPフィルム等の保護フィルムの貼り合せにも好適な種々の接着剤の開発が行なわれている。
【0007】
例えば、特許文献1では、接着性や耐水性に優れた偏光板用の接着剤として、芳香族グリシジルエーテルと、特定量の2個以上のオキセタニル基を有する分子量100~800のオキセタン化合物と、特定量の脂環式エポキシ基を有するシランカップリング剤と、カチオン重合開始剤を含有するカチオン重合性接着剤が提案されている。
【0008】
また、特許文献2では、熱や光等の影響によらず、優れた常態接着強度を長期間維持可能な接着剤として、2個以上のオキセタニル基を有する特定のオキセタン化合物と、芳香族グリシジルエーテルと、カチオン重合開始剤を含有するカチオン重合性接着剤が提案されている。
【0009】
更に、特許文献3では、接着剤としての硬化性と耐久性を目的として、特定のポリ(メタ)アクリレート、特定のポリグリシジルエーテル、オキセタン化合物及び光カチオン重合開始剤等を含有する光硬化性接着剤組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】国際公開第2012/144261号
【文献】特開2010-229392号公報
【文献】特開2015-40283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1及び2では、脂環式エポキシ基や芳香族エポキシ基等、環構造を有するエポキシ基を多く用いており、接着剤自体が硬くなりすぎる傾向がみられ、接着対象である保護フィルムの種類等によっては、充分な接着力や耐久性が得られない場合があり、さらなる向上が求められていた。
また、上記特許文献3では、近年の使用環境の多様化や高耐久性が求められるような場合には、充分な接着力や耐久性が問題となるものであり、まだまだ改善の余地があるものであった。
【0012】
そこで、本発明ではこのような背景下において、接着力に優れる接着剤であり、とりわけ種々の偏光板用保護フィルムと偏光子との貼り合わせに好適であり、また、硬化性、耐水性、耐熱衝撃性等の耐久性にも優れた接着剤を得ることができる活性エネルギー線硬化性接着剤組成物、およびそれを用いた偏光板用接着剤組成物、偏光板用接着剤、ならびに偏光板を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、本発明者等は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、カチオン重合とラジカル重合を併用させる活性エネルギー線硬化型の接着剤組成物において、オキセタン化合物(A)、エポキシ化合物(B)、エチレン性不飽和化合物(C)及び光重合開始剤(D)を含有させ、エポキシ化合物(B)として、脂肪族系エポキシ化合物(B1)を含有させ、エポキシ化合物(B)をこれまでよりも多く含有させることにより、耐熱衝撃性等の耐久性と硬化性及び接着性のバランスに優れた接着剤層を形成することができる接着剤が得られることを見出した。
【0014】
即ち、本発明は、オキセタン化合物(A)、エポキシ化合物(B)、エチレン性不飽和化合物(C)及び光重合開始剤(D)を含有する活性エネルギー線硬化性接着剤組成物であって、上記エポキシ化合物(B)が、脂肪族系エポキシ化合物(B1)を含有し、上記エポキシ化合物(B)の含有割合が、上記オキセタン化合物(A)、エポキシ化合物(B)、エチレン性不飽和化合物(C)の合計量に対して40~80重量%である活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を第1の要旨とするものである。
【0015】
更に、本発明は、上記第1の要旨の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物からなる偏光板用接着剤組成物を第2の要旨とする。また、上記第2の要旨の偏光板用接着剤組成物の硬化物である偏光板用接着剤を第3の要旨とする。そして、偏光子と保護フィルムとが上記第3の要旨の偏光板用接着剤により貼り合わされている偏光板を第4の要旨とする。
【0016】
本発明は、光カチオン重合と光ラジカル重合を併用する場合において、エポキシ化合物(B)を多く含有させるものである。通常、硬化速度を速め生産性を向上させる目的で光ラジカル重合を併用するような場合に、エポキシ化合物を多く含有させると充分な硬化速度が得られず、エポキシ化合物の硬化が不充分になるといったことから耐久性の問題が生じるものと考えられるため、エポキシ化合物の含有割合を多くすることはしないのであるが、本発明においては、かかる問題も生じることなく、硬化性、接着性、耐久性に優れた接着剤を得ることができる接着剤組成物を見出したのである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物は、オキセタン化合物(A)、エポキシ化合物(B)、エチレン性不飽和化合物(C)及び光重合開始剤(D)を含有し、上記エポキシ化合物(B)が、脂肪族系エポキシ化合物(B1)を含有し、上記エポキシ化合物(B)の含有割合が、上記オキセタン化合物(A)、エポキシ化合物(B)及びエチレン性不飽和化合物(C)の合計量に対して40~80重量%である。そのため、接着力に優れた効果を奏するものであり、とりわけ種々の偏光板用保護フィルムと偏光子とを充分に接着することができ、更に、耐熱衝撃性等の耐久性にも優れた偏光板を得ることができる。
【0018】
また、本発明のなかでも、特に、上記エポキシ化合物(B)が、更に芳香族系エポキシ化合物(B2)を含有すると、より接着性と、耐熱衝撃性等の耐久性とのバランスに優れたものとなる。
【0019】
更に、本発明のなかでも、特に、上記脂肪族系エポキシ化合物(B1)の芳香族系エポキシ化合物(B2)に対する含有割合(B1/B2)が重量比で10/90~90/10であると、より接着性と、耐熱衝撃性等の耐久性とのバランスに優れたものとなる。
【0020】
そして、本発明のなかでも、特に、上記オキセタン化合物(A)及びエポキシ化合物(B)の合計量(AB)の上記エチレン性不飽和化合物(C)に対する含有割合(AB/C)が重量比で40/60~95/5であると、より接着性と、耐熱衝撃性等の耐久性とのバランスに優れたものとなる。
【0021】
また、本発明のなかでも、特に、上記オキセタン化合物(A)のエポキシ化合物(B)に対する含有割合(A/B)が重量比で10/90~60/40であると、より接着性、耐熱衝撃性等の耐久性に優れたものとなる。
【0022】
そして、本発明のなかでも、特に、上記光重合開始剤(D)が、光カチオン重合開始剤(D1)及び光ラジカル重合開始剤(D2)を含有すると、接着剤組成物の硬化性に優れたものとなる。
【0023】
更に、本発明のなかでも、特に、上記光カチオン重合開始剤(D1)と光ラジカル重合開始剤(D2)との含有割合(D1/D2)が重量比で20/80~99/1であると、より接着剤組成物の硬化性に優れたものとなる。
【0024】
また、本発明の接着剤組成物が、更に、シランカップリング剤(E)を含有すると、より接着性に優れたものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
【0026】
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物(以下、「接着剤組成物」と略す場合がある。)は、オキセタン化合物(A)、エポキシ化合物(B)、エチレン性不飽和化合物(C)及び光重合開始剤(D)を含有してなるものである。以下、順に接着剤組成物の各成分を説明する。
【0027】
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
【0028】
<オキセタン化合物(A)>
本発明で用いられるオキセタン化合物(A)は、分子内にオキセタニル基を1個以上有する化合物であればよい。
上記オキセタン化合物(A)としては、例えば、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(シクロヘキシルオキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(オキシラニルメトキシ)オキセタン、(メタ)アクリル酸(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル等の分子内にオキセタニル基を1個有するオキセタン化合物、3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、4,4’-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル等の分子内にオキセタニル基を2個以上有するオキセタン化合物等があげられる。これらオキセタン化合物(A)は単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
【0029】
なかでも、容易に入手可能であり、希釈性(低粘度)、相溶性に優れる等の点から、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(オキシラニルメトキシ)オキセタン、(メタ)アクリル酸(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル、3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン等が好ましく用いられる。
【0030】
また、塗工性や接着性の点から、分子量500以下が好ましく、特には100~500が好ましい。そして、室温(25℃)で液状のものが好ましく、更に硬化性、耐久性にも優れる点から、分子内に2個以上のオキセタニル基を含有するオキセタン化合物や分子内に1個のオキセタニル基と1個の(メタ)アクリロイル基または1個のエポキシ基を含有するオキセタン化合物が好ましく、特には、3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン、3-エチル-3-(オキシラニルメトキシ)オキセタン、(メタ)アクリル酸(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルが好ましく用いられる。
【0031】
なお、オキセタン化合物が分子内にエポキシ基または(メタ)アクリロイル基を含有する場合は、オキセタン化合物(A)に含まれるものとし、後述のエポキシ化合物(B)またはエチレン性不飽和化合物(C)には含まない。
【0032】
上記オキセタン化合物(A)として、具体的には、市販品の、「アロンオキセタンOXT-101」、「アロンオキセタンOXT-121」、「アロンオキセタンOXT-211」、「アロンオキセタンOXT-212」、「アロンオキセタンOXT-213」、「アロンオキセタンOXT-221」(いずれも東亞合成社製)等を用いることができる。特には「アロンオキセタンOXT-101」、「アロンオキセタンOXT-221」が好ましい。
【0033】
<エポキシ化合物(B)>
本発明は、カチオン重合成分としてエポキシ化合物(B)を用いるものである。また、上記エポキシ化合物(B)は、接着性の点から脂肪族系エポキシ化合物(B1)を含有するものであり、接着性、耐久性のバランスの点から、更に芳香族系エポキシ化合物(B2)を併用することが好ましい。
【0034】
上記脂肪族系エポキシ化合物(B1)としては、例えば、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシドール、炭素数11~15のアルコールグリシジルエーテル、ラウリルアルコールグリシジルエーテル等の分子内にエポキシ基を1個有する脂肪族系エポキシ化合物、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル等の分子内にエポキシ基を2個以上有する2官能以上の脂肪族系エポキシ化合物等があげられる。これら脂肪族系エポキシ化合物(B1)は単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
【0035】
なかでも硬化性、接着性、耐久性の点から、分子内にエポキシ基を2個以上有する2官能以上の脂肪族系エポキシ化合物が好ましく、更には1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルを用いることが好ましい。
【0036】
上記芳香族系エポキシ化合物(B2)としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、p-sec-ブチルフェニルグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル等の分子内にエポキシ基を1個有する芳香族系エポキシ化合物や、フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等の分子内にエポキシ基を2個以上有する芳香族系エポキシ化合物等があげられる。これら芳香族系エポキシ化合物(B2)は単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
【0037】
なかでも、接着性、耐久性の点から分子内にエポキシ基を2個以上有する芳香族系エポキシ化合物が好ましく、特には硬化性にも優れる点からビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
【0038】
上記エポキシ化合物(B)において、脂肪族系エポキシ化合物(B1)と芳香族系エポキシ化合物(B2)を併用する場合には、脂肪族系エポキシ化合物(B1)の芳香族系エポキシ化合物(B2)に対する含有割合(B1/B2)は重量比で、10/90~90/10であることが好ましく、特には15/85~85/15、更には20/80~80/20、殊には33/67~75/25、更には50/50~75/25、特には60/40~70/30である。
【0039】
上記含有割合が小さすぎる(芳香族系エポキシ化合物(B2)が多すぎる)と、接着力が低下したり、粘度の上昇により塗工性が低下したり、接着剤組成物の相溶性が低下する傾向があり、含有割合が大きすぎる(脂肪族系エポキシ化合物(B1)が多すぎる)と、耐久性が低下する傾向がある。
【0040】
更に、本発明に用いるエポキシ化合物(B)には、上記脂肪族系エポキシ化合物(B1)および芳香族系エポキシ化合物(B2)以外に、他のエポキシ化合物(B3)を含有することができる。
【0041】
上記他のエポキシ化合物(B3)としては、例えば、トリアジン骨格含有エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、脂環骨格含有エポキシ化合物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
【0042】
上記トリアジン骨格含有エポキシ化合物は、分子内にエポキシ基を1個以上とトリアジン骨格を含有するものであり、例えば、トリス(2,3-エポキシプロピル)-イソシアヌレート、トリス(3,4-エポキシブチル)-イソシアヌレート、トリス(4,5-エポキシペンチル)-イソシアヌレート、トリス-(5,6-エポキシヘキシル)-イソシアヌレート、トリス(6,7-エポキシヘプチル)-イソシアヌレート、トリス(7,8-エポキシオクチル)-イソシアヌレート等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
さらなる耐久性(耐熱衝撃性)の向上の点からは、トリアジン骨格含有エポキシ化合物を用いることも好ましい。
【0043】
上記トリアジン骨格含有エポキシ化合物は、接着性、耐久性の点から、エポキシ当量が120g/eq以上であることが好ましく、特に好ましくは130~300g/eq、更に好ましくは140~250g/eqである。
【0044】
上記トリアジン骨格含有エポキシ化合物として、具体的には、市販品の、日産化学工業社製のTEPICシリーズ(「TEPIC-G」、「TEPIC-S」、「TEPIC-SS」、「TEPIC-HP」、「TEPIC-L」、「TEPIC-PAS」、「TEPIC-VL」、「TEPIC-UC」、「TEPIC-FL」等)等を用いることができる。なかでも、相溶性の点から、液状エポキシ化合物である「TEPIC-PAS」、「TEPIC-VL」、「TEPIC-UC」、「TEPIC-FL」が好ましい。
【0045】
上記脂環式エポキシ化合物としては、例えば、ジシクロペンタジエンオキサイド、リモネンジオキサイド、4-ビニルシクロヘキセンジオキサイド、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ε-カプロラクトン変性3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記脂環式エポキシ化合物として、具体的には、市販品の、いずれもダイセル社製「セロキサイド2021P」、「セロキサイド2000」等を用いることができる。
【0046】
上記脂環骨格含有エポキシ化合物としては、例えば、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテルのような芳香環が水素化されているエポキシ化合物、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記脂環骨格含有エポキシ化合物として、具体的には、市販品の、ナガセケムテックス社製「デナコールEX-216L」等を用いることができる。
【0047】
上記脂環式エポキシ化合物および脂環骨格含有エポキシ化合物の少なくとも一方の含有量は、オキセタン化合物(A)およびエポキシ化合物(B)合計量に対して30重量%以下であることが好ましく、より好ましくは20重量%以下、特に好ましくは15重量%以下である。上記脂環式エポキシ化合物および脂環骨格含有エポキシ化合物の少なくとも一方の含有量が多すぎると接着力が低下する傾向がある。
【0048】
上記他のエポキシ化合物(B3)の含有量は、エポキシ化合物(B)全体に対して30重量%以下であることが好ましく、より好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。他のエポキシ化合物(B3)の含有量が多すぎると接着力が低下する傾向がある。
【0049】
<エチレン性不飽和化合物(C)>
上記エチレン性不飽和化合物(C)は、ラジカル重合成分となるものであり、分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する不飽和化合物である。エチレン性不飽和化合物(C)を含有させることにより硬化速度を調整することができ、硬化性が向上する。
【0050】
上記エチレン性不飽和化合物(C)としては、例えば、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系化合物をあげることができる。
【0051】
上記(メタ)アクリル系化合物としては、例えば、分子内に一個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系化合物(以下、「単官能(メタ)アクリル系化合物」と記載することがある。)、分子内に二個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系化合物(以下、「多官能(メタ)アクリル系化合物」と記載することがある。)があげられる。
これらの(メタ)アクリル系化合物は、単独でもしくは2種類以上併せて用いることができる。
【0052】
上記単官能(メタ)アクリル系化合物としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート系化合物、極性基含有(メタ)アクリル系化合物、脂環式(メタ)アクリレート系化合物、芳香族(メタ)アクリレート系化合物、分子内に(メタ)アクリロイル基と(メタ)アクリロイル基以外の反応性官能基を有する(メタ)アクリル系化合物等があげられる。
【0053】
アルキル(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、炭素数1~20、特には1~15、更には4~10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等があげられる。
【0054】
極性基含有(メタ)アクリル系化合物としては、例えば、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系化合物、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物、窒素原子含有(メタ)アクリル系化合物、アルコキシ基含有(メタ)アクリレート系化合物等があげられる。
【0055】
上記カルボキシル基含有(メタ)アクリル系化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、アクリルアミドN-グリコール酸、ケイ皮酸、(メタ)アクリル酸のミカエル付加物(例えば、アクリル酸ダイマー、メタクリル酸ダイマー、アクリル酸トリマー、メタクリル酸トリマー、アクリル酸テトラマー、メタクリル酸テトラマー等)、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステル(例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル等)等があげられる。
【0056】
上記水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ-ト、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート系化合物、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性(メタ)アクリレート系化合物、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、およびヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート等の二価アルコールのモノ(メタ)アクリレート系化合物、ジエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールのモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールのモノ(メタ)アクリレート、およびポリプロピレングリコールのモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリレート系化合物、その他、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸等、の1級水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物;2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物;2,2-ジメチル2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基(メタ)アクリレート系化合物等があげられる。
かかる水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物のなかでも、基材あるいは偏光子と水素結合を生じやすい点や反応性に優れる点で1級水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物が好ましく、特にはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート系化合物、ポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリレート系化合物が好ましい。
【0057】
上記窒素原子含有(メタ)アクリル系化合物としては、例えば、アミド基含有(メタ)アクリル系化合物、アミノ基含有(メタ)アクリル系化合物やその他の窒素原子含有(メタ)アクリル系化合物があげられる。
アミド基含有(メタ)アクリル系化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド等のN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド;N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド;N-(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド等の水酸基含有アクリルアミド;N-(3-N,N-ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド等があげられる。
アミノ基含有(メタ)アクリル系化合物としては、例えば、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート等、アミノアルキル(メタ)アクリレート等の1級アミノ基含有(メタ)アクリレート、tert-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の2級アミノ基含有(メタ)アクリレート、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等の3級アミノ基含有(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン等の複素環式アミンモノマーがあげられる。
【0058】
上記アルコキシ基含有(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート系化合物、2-ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-モノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエーテル鎖含有(メタ)アクリレート系化合物等があげられる。
【0059】
脂環式(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメチロールモノ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2-アダマンチル(メタ)アクリレート等があげられる。
【0060】
芳香族(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等のフェノキシアルキル(メタ)アクリレート;フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のフェノキシジアルキレングリコール(メタ)アクリレート;フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート;フェノキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-(メタ)アクリレート;p-クミルフェノールアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノールアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、フェノールアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレートおよびノニルフェノールアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート等があげられる。
【0061】
分子内に(メタ)アクリロイル基と(メタ)アクリロイル基以外の反応性官能基を有する(メタ)アクリル系化合物としては、例えば、グリシジルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート系化合物、2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート等のビニル基含有(メタ)アクリレート系化合物、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基含有(メタ)アクリレート系化合物等があげられる。
なお、エチレン性不飽和化合物がエポキシ基含有(メタ)アクリレート系化合物である場合は、エチレン性不飽和化合物(C)に含めるものとし、エポキシ化合物(B)には含めない。
【0062】
その他、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の環状エーテル構造を有する(メタ)アクリレート系化合物もあげられる。
【0063】
また、多官能(メタ)アクリル系化合物としては、2官能(メタ)アクリル系化合物、3官能以上の(メタ)アクリル系化合物があげられる。
【0064】
2官能(メタ)アクリル系化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の長鎖または分岐鎖構造を有するジ(メタ)アクリレート;シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の脂環構造を有するジ(メタ)アクリレート;エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート等のアルキレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート等の芳香環を有するジ(メタ)アクリレート;イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等の環構造を有するジ(メタ)アクリレート等があげられる。
【0065】
3官能以上の(メタ)アクリル系化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリグリセリンポリ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性グリセリントリ(メタ)アクリレート等のアルキル変性された構造を有する3官能以上の(メタ)アクリレート等の長鎖または分岐鎖構造を有する3官能以上の(メタ)アクリレート;イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート等の環構造を有するトリ(メタ)アクリレート等があげられる。
【0066】
また、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートおよびエポキシ(メタ)アクリレート等のオリゴマーも、(メタ)アクリル系化合物として使用できる。
【0067】
上記エチレン性不飽和化合物(C)としては、接着剤組成物の硬化性を向上させ、耐久性を高める観点から、2官能以上の(メタ)アクリル系化合物を用いることが好ましい。特には、脂環式環、芳香環を有する2官能以上の(メタ)アクリル系化合物や、ポリアルキレンオキシド骨格を持たない直鎖または分岐鎖構造を有する(メタ)アクリル系化合物が好ましく、更には、ポリアルキレンオキシド骨格を持たない分岐鎖構造を有する(メタ)アクリル系化合物が好ましい。
【0068】
<光重合開始剤(D)>
本発明の接着剤組成物は、活性エネルギー線を照射させることにより、上記のオキセタン化合物(A)、エポキシ化合物(B)、エチレン性不飽和化合物(C)が反応して、接着性を発揮するものであり、かかる反応に際して光重合開始剤(D)を含有させる。
かかる光重合開始剤(D)として、光カチオン重合開始剤(D1)を含有させることが好ましく、特には光カチオン重合開始剤(D1)及び光ラジカル重合開始剤(D2)を含有させることが充分な硬化性を得る点で好ましい。
【0069】
上記光カチオン重合開始剤(D1)を使用することにより、接着剤組成物の常温(25℃±10℃)での硬化が可能となり、保護フィルムと偏光子を良好に接着することができる。
上記光カチオン重合開始剤(D1)は、活性エネルギー線の照射によりカチオン種やルイス酸を生じる化合物であり、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩、鉄-アレン錯体等があげられる。
【0070】
上記芳香族ジアゾニウム塩としては、例えば、ベンゼンジアゾニウム・ヘキサフルオロアンチモネート、ベンゼンジアゾニウム・ヘキサフルオロホスフェート、ベンゼンジアゾニウム・ヘキサフルオロボレート等があげられる。
【0071】
上記芳香族ヨードニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4-ノニルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート等があげられる。
【0072】
上記芳香族スルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウム・ヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウム・ヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル〔4-(フェニルチオ)フェニル〕スルホニウム・ヘキサフルオロホスフェート、4,4’-ビス〔ジフェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド・ビスヘキサフルオロホスフェート、4,4’-ビス〔ジ(β-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド・ビスヘキサフルオロアンチモネート、4,4’-ビス〔ジ(β-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド・ビスヘキサフルオロホスフェート、7-〔ジ(p-トルイル)スルホニオ〕-2-イソプロピルチオキサントン・ヘキサフルオロアンチモネート、7-〔ジ(p-トルイル)スルホニオ〕-2-イソプロピルチオキサントン・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-フェニルカルボニル-4’-ジフェニルスルホニオ-ジフェニルスルフィド・ヘキサフルオロホスフェート、4-(p-tert-ブチルフェニルカルボニル)-4’-ジフェニルスルホニオ-ジフェニルスルフィド・ヘキサフルオロアンチモネート、4-(p-tert-ブチルフェニルカルボニル)-4’-ジ(p-トルイル)スルホニオ-ジフェニルスルフィド・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等があげられる。
【0073】
上記鉄-アレン錯体としては、例えば、キシレン-シクロペンタジエニル鉄(II)-ヘキサフルオロアンチモネート、クメン-シクロペンタジエニル鉄(II)-ヘキサフルオロホスフェート、キシレン-シクロペンタジエニル鉄(II)-トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタナイド等があげられる。
【0074】
かかる光カチオン重合開始剤(D1)のなかでも、長波長の光源に対して高感度で反応するという点から、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩を用いることが好ましい。
上記光カチオン重合開始剤(D1)は単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
【0075】
また、上記光ラジカル重合開始剤(D2)は、活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生させ、エチレン性不飽和化合物(C)を反応させるものである。上記光ラジカル重合開始剤(D2)としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-N,N-ジメチル-N-[2-(1-オキソ-2-プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4-ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、2-(3-ジメチルアミノ-2-ヒドロキシ)-3,4-ジメチル-9H-チオキサントン-9-オンメソクロリド等のチオキサントン類;2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル類等があげられる。
【0076】
上記の光ラジカル重合開始剤(D2)のなかでも、アシルフォスフィンオキサイド類を用いることが好ましく、特には、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイドが好ましく、更には、2,4,6-トリメチルベンゾイル-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイドを用いることが好ましい。
【0077】
また、これらの助剤として、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、2-ジメチルアミノエチル安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸(n-ブトキシ)エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、2,4-ジエチルチオキサンソン、2,4-ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。
【0078】
本発明において、上記光重合開始剤(D)の含有量は、充分な硬化性を得る点で、上記のオキセタン化合物(A)、エポキシ化合物(B)、エチレン性不飽和化合物(C)の合計量100重量部に対して、0.5~20重量部であることが好ましく、特には0.5~15重量部、更には1.0~10重量部であることが好ましい。
かかる含有量が少なすぎると硬化性が低下し、機械強度や接着強度が低下する傾向があり、多すぎると光重合開始剤(D)自身の組成物への溶解性が低下する傾向がある。
【0079】
また、上記光カチオン重合開始剤(D1)と光ラジカル重合開始剤(D2)とを併用する場合、光カチオン重合開始剤(D1)と光ラジカル重合開始剤(D2)との含有割合(D1/D2)(重量比)は、充分な硬化性を得る点で、20/80~99/1、特には40/60~95/5、更には50/50~90/10であることが好ましい。かかる含有割合が小さすぎるとカチオン硬化成分の硬化が充分に進行しない傾向があり、多すぎると逆にラジカル硬化成分の硬化が進行しない傾向がある。
【0080】
更に、上記光カチオン重合開始剤(D1)の含有量は、オキセタン化合物(A)およびエポキシ化合物(B)の合計量100重量部に対して0.5~20重量部であることが好ましく、特には1~15重量部、更には1.5~10重量部が好ましい。光カチオン重合開始剤(D1)の含有量が多すぎると溶解性が低下したり、耐久性が低下する傾向があり、少なすぎると硬化性が低下し、機械強度や接着強度が低下する傾向がある。
【0081】
上記光ラジカル重合開始剤(D2)の含有量は、エチレン性不飽和化合物(C)100重量部に対して15重量部以下であることが好ましく、特には10重量部以下、更には5重量部以下が好ましい。光ラジカル重合開始剤(D2)の含有量が多すぎると、光ラジカル重合開始剤(D2)の溶解性が低下したり、接着剤層の耐久性が低下する傾向がある。なお、下限は通常0.1重量部であり、少なすぎると硬化性が低下したり、接着剤層の接着強度や機械強度が低下する傾向がある。
【0082】
また、特には、硬化効率(少ない活性エネルギー線の照射量で効率良く硬化できる)の点で、上記光カチオン重合開始剤(D1)と光ラジカル重合開始剤(D2)の好ましい組み合わせは、光カチオン重合開始剤(D1)として芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩を用い、光ラジカル重合開始剤(D2)としてアシルフォスフィンオキサイド類を用いる組み合わせである。
【0083】
本発明の接着剤組成物は、上記のオキセタン化合物(A)、エポキシ化合物(B)、エチレン性不飽和化合物(C)及び光重合開始剤(D)を含有するものであって、更に本発明の最大の特徴は、エポキシ化合物(B)の含有割合が、オキセタン化合物(A)、エポキシ化合物(B)及びエチレン性不飽和化合物(C)の合計量に対して40~80重量%であり、好ましくは42~70重量%、より好ましくは45~65重量%である。かかるエポキシ化合物(B)の含有割合が少なすぎると接着強度が低下することとなり、多すぎると硬化速度が低下したり、機械強度が低下したり、耐久性が低下したりする。
【0084】
更に、オキセタン化合物(A)及びエポキシ化合物(B)の合計量(AB)のエチレン性不飽和化合物(C)に対する含有割合(AB/C)は、重量比で40/60~95/5であることが接着力と耐久性のバランスの点で好ましく、特には50/50~90/10、更には60/40~85/15であることが好ましい。かかる含有割合が小さすぎる((AB)が少なすぎる)と硬化収縮が大きくなり、接着力が低下する傾向があり、大きすぎる((AB)が多すぎると)と硬化速度が低下する傾向がある。
【0085】
また、オキセタン化合物(A)のエポキシ化合物(B)に対する含有割合(A/B)は、重量比で10/90~60/40であることが接着力と耐久性の点で好ましく、特には12/88~50/50、更には15/85~40/60であることが好ましい。かかる含有割合が小さすぎる((A)が少なすぎると)とエポキシ化合物(B)の硬化が充分に進まず、耐久性が低下する傾向があり、大きすぎる((A)が多すぎる)接着力が低下する傾向がある。
【0086】
<シランカップリング剤(E)>
本発明の接着剤組成物においては、接着性の向上の点から更にシランカップリング剤(E)を含有することが好ましい。
【0087】
上記シランカップリング剤(E)は、通常、構造中に反応性官能基とケイ素原子結合アルコキシ基をそれぞれ1つ以上含有する有機ケイ素化合物であり、接着剤層と保護フィルムとの接着性を向上させることができる。
【0088】
上記シランカップリング剤(E)としては、例えば、エポキシ基含有シランカップリング剤、メルカプト基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤、アミノ基含有シランカップリング剤、イソシアネート基含有シランカップリング剤、ビニル基含有シランカップリング剤、水酸基含有シランカップリング剤、カルボキシル基含有シランカップリング剤、アミド基含有シランカップリング剤等をあげることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
【0089】
上記エポキシ基含有シランカップリング剤としては、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のグリシジルオキシ基(脂肪族エポキシ基)含有シランカップリング剤、2-(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等の脂環式エポキシ基含有シランカップリング剤等のモノマー型のエポキシ基含有シランカップリング剤や、上記シラン化合物の一部が加水分解縮重合したり、上記シラン化合物とメチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル基含有シラン化合物が共縮合したオリゴマー型シランカップリング剤等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
なお、シランカップリング剤がエポキシ基を含有する場合は、シランカップリング剤(E)に含めるものとし、エポキシ化合物(B)には含めない。
【0090】
上記メルカプト基含有シランカップリング剤としては、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のモノマー型のメルカプト基含有シランカップリング剤や、上記シラン化合物の一部が加水分解縮重合したり、上記シラン化合物とメチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル基含有シラン化合物が共縮合したオリゴマー型シランカップリング剤等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
【0091】
上記(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤としては、例えば、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
なお、シランカップリング剤が(メタ)アクリロイル基を含有する場合は、シランカップリング剤(E)に含めるものとし、エチレン性不飽和化合物(C)には含めない。
【0092】
上記アミノ基含有シランカップリング剤としては、例えば、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
【0093】
上記イソシアネート基含有シランカップリング剤としては、例えば、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
【0094】
上記ビニル基含有シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
なお、シランカップリング剤がビニル基を含有する場合は、シランカップリング剤(E)に含めるものとし、エチレン性不飽和化合物(C)には含めない。
【0095】
上記シランカップリング剤(E)のなかでも、カチオン重合成分(オキセタン化合物(A)およびエポキシ化合物(B))やラジカル重合成分(C)との反応性に優れる点で、エポキシ基含有シランカップリング剤、ビニル基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤を用いることが好ましく、特に好ましくはエポキシ基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤である。また、シランカップリング剤(E)としては、モノマー型のシランカップリング剤でも、一部が加水分解し重縮合したオリゴマー型シランカップリング剤でもよいが、相溶性や、接着性の点から、モノマー型のシランカップリング剤を用いることが好ましい。
【0096】
上記シランカップリング剤(E)の含有量は、オキセタン化合物(A)、エポキシ化合物(B)及びエチレン性不飽和化合物(C)の合計量100重量部に対して2~50重量部であることが好ましく、特に好ましくは3~40重量部、更に好ましくは5~30重量部である。シランカップリング剤(E)の含有量が多すぎると液安定性が低下したり、硬化後の耐久性(耐熱衝撃性)が低下する傾向があり、少なすぎると、より一層の接着性向上効果が充分に得られない傾向がある。
【0097】
本発明の接着剤組成物には、上記各成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲において、光増感剤、ポリオール類、帯電防止剤、その他の接着剤、アクリル系樹脂、ウレタン樹脂、ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂等の粘着付与剤、可塑剤、着色剤、充填剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、機能性色素等の他の添加剤や、紫外線あるいは放射線照射により呈色あるいは変色を起こすような化合物を配合することができる。これら添加剤の配合量は、添加剤毎に適宜設定されるが、例えば、接着剤組成物全体の30重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは20重量%以下である。
また、上記添加剤の他にも、接着剤組成物の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されたものであってもよい。
【0098】
上記光増感剤は、これを使用することにより、反応性が向上し、硬化物の機械強度や接着強度を向上させることができる。光増感剤としては、例えば、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン等のアントラセン誘導体;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α,α-ジメトキシ-α-フェニルアセトフェノン等のベンゾイン誘導体;ベンゾフェノン、2,4-ジクロロベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;2-クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン等のアントラキノン誘導体等のカルボニル化合物;2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オン等のチオキサントン誘導体等の有機硫黄化合物;過硫化物、レドックス系化合物、アゾおよびジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。なかでも、アントラセン誘導体、チオキサントン誘導体を用いることが好ましい。
【0099】
上記光増感剤は、光重合開始剤(D)100重量部とした場合に、0.01~20重量部の範囲で含有することが好ましい。光増感剤の含有量が多すぎると、組成物や、得られる接着剤層が着色する傾向があり、少なすぎると、反応性が低下し、増感効果が得られない傾向がある。
【0100】
<接着剤組成物>
本発明の接着剤組成物は、上記各成分を用いて所定割合にて配合し、混合することにより得られる。
【0101】
このようにして、本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物が得られる。
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物は、活性エネルギー線照射にて硬化することにより、接着剤となるものであり、とりわけ、偏光子と保護フィルムを接着するための偏光板用接着剤として好適に用いることができるものである。
【0102】
<偏光板>
本発明の偏光板は、偏光板用接着剤を介して偏光子と保護フィルムが貼り合わされたものである。詳しくは、偏光子の少なくとも一方の面、好ましくは両面に、本発明の偏光板用接着剤を用いて保護フィルムが貼り合わされたものであり、通常は、液状の偏光板用接着剤組成物を偏光子面あるいは保護フィルム面、あるいはその両方の面に均一に塗布した後、両者を貼り合わせ、圧着し、活性エネルギー線照射を行うことで偏光板が得られる。
【0103】
上記偏光子としては、通常、平均重合度が1,500~10,000、ケン化度が85~100モル%、好ましくは95~100モル%のPVA系樹脂からなるフィルムを原反フィルムとして、ヨウ素-ヨウ化カリウムの水溶液あるいは二色性染料により染色された一軸延伸フィルム(通常、2~10倍、好ましくは3~7倍程度の延伸倍率)が用いられる。
【0104】
上記PVA系樹脂は、通常、酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルをケン化して製造されるが、少量の不飽和カルボン酸(塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等、酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有していてもよい。また、上記PVA系樹脂には、PVAを酸の存在下でアルデヒド類と反応させた、例えば、ポリブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂等のいわゆるポリビニルアセタール樹脂およびPVA誘導体も含まれる。
【0105】
上記偏光板の保護フィルムとしては、従来のTAC系フィルムに加えアクリル系フィルム、ポリエチレン系フィルム、ポリプロピレン系フィルム、シクロオレフィン系フィルム等も用いることができ、本発明の接着剤組成物は、TAC系フィルム、アクリル系フィルム、シクロオレフィン系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)系フィルム等から選ばれるいずれの保護フィルムに対しても好適に用いられる。
【0106】
本発明の接着剤組成物を偏光子上あるいは保護フィルム上に塗工するにあたっては、例えば、リバースコーター、グラビアコーター(ダイレクト,リバースやオフセット)、バーリバースコーター、ロールコーター、ダイコーター、バーコーター、ロッドコーター等を用いたり、ディッピング方式による塗工を行うことができる。
【0107】
上記貼り合わせ,圧着の際には、例えばロールラミネーター等を用いることができ、その圧力は通常0.1~10MPaの範囲から選択される。
【0108】
上記活性エネルギー線には、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線が好ましい。
【0109】
上記紫外線照射を行う際の光源としては、高圧水銀灯、無電極ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライト、LEDランプ等が用いられる。
上記紫外線照射は、通常2~3000mJ/cm2、好ましくは10~2000mJ/cm2、更に好ましくは20~1000mJ/cm2の条件で行われる。
【0110】
特に上記高圧水銀灯の場合は、例えば、通常5~3000mJ/cm2、好ましくは50~2000mJ/cm2の条件で行われる。
また、上記無電極ランプの場合は、例えば、通常2~2000mJ/cm2、好ましくは10~1000mJ/cm2の条件で行われる。
【0111】
そして、照射時間は、光源の種類、光源と塗布面との距離、塗工厚、その他の条件によっても異なるが、通常は、数秒~数十秒間、場合によっては数分の1秒間でもよい。
【0112】
一方、上記電子線照射の場合には、例えば、50~1000keVの範囲のエネルギーを持つ電子線を用い、2~50Mradの照射量とするのがよい。
【0113】
上記活性エネルギー線(紫外線、電子線等)の照射方向は、任意の適切な方向から照射することができるが、偏光子の劣化を防ぐ点で、透明保護フィルム側から照射することが好ましい。
【0114】
上記により得られる本発明の偏光板における接着剤層の厚みは、通常0.1~10μm、好ましくは0.2~5μm、特に好ましくは0.3~3μm、更に好ましくは0.5~2μmである。上記厚みが薄すぎると接着力自体の凝集力が得られず、接着強度が得られない傾向があり、厚すぎると打ち抜き加工時の割れ等により偏光板の加工性が低下する傾向がある。
【0115】
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物は、種々の接着剤用途に用いることができ、なかでも特に、種々の偏光板用保護フィルムと偏光子との貼り合せに好適であり、非常に優れた接着性を示すものである。
【実施例
【0116】
以下、実施例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」とあるのは、重量基準を意味する。
【0117】
実施例および比較例に先立って、下記に示す接着剤組成物の各成分を用意した。
【0118】
〔オキセタン化合物(A)〕
(A-1)3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン(分子内にオキセタニル基を2個有するオキセタン化合物:東亞合成社製「アロンオキセタンOXT-221」)
【0119】
〔エポキシ化合物(B)〕
〔脂肪族系エポキシ化合物(B1)〕
(B1-1)ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製「EX-211」)
【0120】
〔芳香族系エポキシ化合物(B2)〕
(B2-1)ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学社製「jER806」)
【0121】
〔エチレン性不飽和化合物(C)〕
(C-1)ネオペンチルグリコールジアクリレート(共栄社化学社製「ライトアクリレートNP-A」)
【0122】
〔光カチオン重合開始剤(D1)〕
(D1-1)ジフェニル〔4-(フェニルチオ)フェニル〕スルホニウム・ヘキサフルオロホスフェート(芳香族スルホニウム塩:サンアプロ社製「CPI-100P」)
【0123】
〔光ラジカル重合開始剤(D2)〕
(D2-1)2,4,6-トリメチルベンゾイル-フェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製「IrgacureTPO」)
【0124】
〔シランカップリング剤(E)〕
(E-1)エポキシ基含有シランカップリング剤(信越化学社製「KBM-403(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)」)
(E-2)アクリル基含有シランカップリング剤(信越化学社製「KBM-5103(3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)」)
【0125】
〔実施例1~10、比較例1~7〕
<活性エネルギー線硬化性接着剤組成物の調製>
上記各配合成分を、後記の表1に示す割合で配合し、混合することにより活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を調製した。
得られた活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を偏光板用接着剤組成物として用いて、以下の通り評価を行った。
【0126】
<偏光子の作製>
まず、厚み60μmのPVAフィルムを、水温30℃の水槽に浸漬しつつ、1.5倍に延伸した。つぎに、ヨウ素0.2g/L、ヨウ化カリウム15g/Lよりなる染色槽(30℃)にて240秒間浸漬しつつ1.3倍に延伸した。更に、ホウ酸50g/L、ヨウ化カリウム30g/Lの組成のホウ酸処理槽(50℃)に浸漬すると共に、同時に3.08倍に一軸延伸しつつ5分間にわたってホウ酸処理を行った。その後、90℃で乾燥して総延伸倍率6倍の偏光子を製造した。
【0127】
<偏光板試験片の作製>
大きさ200mm×150mm、厚み60μmのTACフィルム(富士フィルム社製、商品名「フジタック」)および、大きさ200mm×150mm、厚み50μmの環状オレフィン系樹脂(COP)フィルム(日本ゼオン社製、商品名「ZEONOR」)の各フィルムに、それぞれ上記で得られた接着剤組成物をバーコーターで膜厚3μmとなるように塗工し、接着剤組成物付きフィルムを得た。そして、大きさ180mm×120mmの上記偏光子の両面に、各接着剤組成物層付きフィルムをそれぞれ重ね合わせ、ロール機を用いてニップ圧2MPaで貼り合わせ、積層フィルムを得た(積層フィルムの層構成:TACフィルム/偏光子/COPフィルム)。
【0128】
ついで、積層フィルムのCOPフィルム側から、無電極ランプの取り付けられた紫外線照射装置にてピーク照度:400mW/cm2、積算露光量:150mJ/cm2(波長365nm)で紫外線照射を行ない、接着剤組成物を硬化させて偏光板試験片を作製した。
上記で得られた偏光板試験片を用いて、下記の通り性能評価を行った。
【0129】
<性能評価>
〔硬化性〕
偏光子とTACフィルムの界面をカッターナイフで剥離し、その剥離部分のタック性を指で確認(指触)した。
(評価基準)
○…タック性が残っていなかった。
△…タック性は残っていないが、わずかに指の跡がついた。
×…タック性が残っていた。
【0130】
〔接着力〕
偏光板試験片を120mm×25mmにカットし、90°方向の応力をかけた際のTACフィルムと偏光子、および、COPフィルムと偏光子の接着具合を、下記基準に従い評価した。
(評価基準)
◎…特に強固に接着していた。
○…強固に接着していた。
△…弱く接着していた。
×…接着していなかった。
【0131】
〔耐久性(耐熱衝撃性)〕
試験片を100mm×100mmにカットし、-40℃に30分間放置し、ついで85℃に30分間放置するサイクルを100回繰り返す熱衝撃試験を実施した。その試験後、下記基準に従い評価した。
(評価方法)
○…外観不良が全く確認されなかった。
△…わずかに外観不良(表示には影響のない程度に偏光子層に短いクラックが発生)が確認された。
×…外観不良(偏光子層に貫通クラックが発生)が確認された。
【0132】
【表1】
【0133】
上記結果から、オキセタン化合物(A)、および、脂肪族系エポキシ化合物(B1)好ましくは更に芳香族系エポキシ化合物(B2)を含有し、エチレン性不飽和化合物(C)も含有する実施例1~10の接着剤組成物は、良好な硬化性を有し、偏光子と保護フィルムの接着性に優れるうえに、耐久性においても優れていることがわかる。このことから、各種性能にバランスに優れた偏光板用接着剤組成物として実用に適するものであることがわかる。
【0134】
これに対して、脂肪族系エポキシ化合物(B1)を含有しない比較例1は、接着性に劣るものであり、オキセタン化合物(A)を含有しない比較例2は、硬化性および接着性の両方に劣るものであり、エチレン性不飽和化合物(C)を含有しない比較例3は、硬化性に劣るものであり、いずれも実用に供するものではなかった。更に、オキセタン化合物(A)、エポキシ化合物(B)、エチレン性不飽和化合物(C)を含有するものの、エポキシ化合物(B)の含有割合が低すぎる比較例4、比較例5及び比較例6では、充分な接着性を得ることができなかった。また、エポキシ化合物(B)の含有割合が高すぎる比較例7では、硬化性及び耐久性に劣るものであった。これらのことから、比較例の接着剤組成物は、各種性能を全て満足することができず、偏光板用接着剤組成物として実用に供すること等ができないものであるといえる。
以上より、本発明の接着剤組成物が特に偏光板用接着剤用途において非常に優れていることが分かる。
【0135】
上記実施例においては、本発明における具体的な形態について示したが、上記実施例は単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。当業者に明らかな様々な変形は、本発明の範囲内であることが企図されている。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明の接着剤組成物、更に上記接着性組成物からなる偏光板用接着剤組成物は、偏光子と保護フィルムとの接着性に優れるものであり、種々の偏光板用保護フィルムと偏光子との貼り合わせに好適である。更に、接着性に加えて、硬化性、偏光板の耐水性、耐久性、特に耐熱衝撃性のいずれにもバランスよく優れるものである。また、本発明の接着剤組成物は、上記偏光板用接着剤用途の他にも、例えば、各種光学フィルムまたはシートの貼り合わせや、電子部品、精密機器、包装材料、表示材料等の貼り合わせに用いることもできる。