(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
A01D 17/00 20060101AFI20220114BHJP
A01D 27/00 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
A01D17/00
A01D27/00
(21)【出願番号】P 2019120176
(22)【出願日】2019-06-27
【審査請求日】2021-03-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【氏名又は名称】亀井 岳行
(72)【発明者】
【氏名】村並 昌実
(72)【発明者】
【氏名】高木 真吾
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 英明
(72)【発明者】
【氏名】二宮 浩二
【審査官】佐藤 智子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-217299(JP,A)
【文献】実開昭51-097138(JP,U)
【文献】実開昭59-040230(JP,U)
【文献】米国特許第04049058(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 17/00
A01D 13/00-33/14
B65G 15/00-15/28
B65G 15/60-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物を圃場から収穫する収穫装置(3)と、
前記収穫装置(3)で収穫された作物を容器(48)に収容する収容装置(4)と、
前記収穫装置(3)で収穫された作物を清掃処理するよう搬送する第1ベルト搬送装置(5)と、
前記第1ベルト搬送装置(5)から作物が受け渡されるよう当該第1ベルト搬送装置(5)と一部並行した状態で配置され、その受け渡された作物を選別作業エリア(9)を通過させてから前記収容装置(4)に送り出すまで搬送する第2ベルト搬送装置(6)と、
を備え、
前記第2ベルト搬送装置(6)は、作物が載って搬送されるときの搬送面(66)が、前記第1ベルト搬送装置(5)からの作物の受け渡し場所(Tp)を含む
一部の区間(Rp)で窪んだ状態になって移動する
1つの窪み搬送面(67)になるよう配置された1つの搬送ベルト(62)にて構成されて
おり、
前記窪み搬送面(67)は、前記作物の受け渡し場所(Tp)で下方に傾斜して移動する下降斜面部(67a)と前記作物の受け渡し場所(Tp)を通過した後に上方に傾斜して移動する上昇斜面部(67b)とを有する搬送面になっていることを特徴とする収穫機(1)。
【請求項2】
前記第2ベルト搬送装置(6)の搬送ベルト(62)は、前記窪み搬送面(67)における前記上昇斜面部(67b)の搬送面が、当該窪み搬送面(67)における前記下降斜面部(67a)の下方に傾斜し始める地点(ds)の高さよりも高い地点(up)に至るまで延長されるよう配置されていることを特徴とする請求項1に記載の収穫機。
【請求項3】
前記第2ベルト搬送装置(6)の搬送ベルト(62)は、前記第1ベルト搬送装置(5)と並行する領域における搬送面(66h1)が、当該第1ベルト搬送装置(5)の搬送面よりも下方になるよう配置されていることを特徴とする請求項
1又は2に記載の収穫機。
【請求項4】
前記第2ベルト搬送装置(6)は、前記搬送ベルト(62)をその搬送終端側の位置で回転可能に支持して駆動する駆動支持回転体(76B)と、当該搬送ベルト(62)の搬送終端手前側の下方の部位に配置したモータ(82)とを有し、前記モータ(82)の動力を前記駆動支持回転体(76B)にチェーン又はベルト式の駆動伝達手段(83)を介して伝達させるよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の収穫機。
【請求項5】
前記第2ベルト搬送装置(6)は、前記搬送ベルト(62)をその搬送始端側の位置で回転可能に支持する始端支持回転体(71A)と、前記始端支持回転体(71A)を変位可能に配置して変位させることで前記当該搬送ベルト(62)に付与する張力を調節する張力調節機構(68)とを有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、作物を収穫する収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、野菜等の作物を圃場から収穫する収穫機としては、例えば、以下の特許文献1,2に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1,2には、そのいずれにも、人参等の根菜作物を圃場から引き抜くとともにその茎葉部の切断を行う収穫部と、その収穫した根菜作物を収容する収容部と、茎葉部の切断がされた根菜作物の残葉処理を行うよう搬送する残葉処理ベルトコンベアと、その残葉処理された根菜作物を補助作業者が選別作業を行う選別作業エリアを通過させてから収容部まで搬送するベルト搬送装置とを備えた根菜類収穫機が記載されている。
【0004】
また特許文献1には、ベルト搬送装置が、間隔をあけて平行に配置される一対の伝動チェーンとその間に回転自在に取り付けられる複数の搬送バーとからなる1つの搬送ベルトを、その搬送面が搬送始端から搬送終端まで原則としてほぼ水平方向に直線状に延びた基本の状態になるよう配置されることが記載されている。
【0005】
また特許文献2には、ベルト搬送装置が、残葉処理ベルトコンベアよりも下方の位置で並行した状態に配置される回収ベルトコンベアと、回収ベルトコンベアの搬送終端部よりも下方の位置を搬送始端にして上方に傾斜して延びてから原則としてほぼ水平に直線状に延びた状態になるよう配置される選別搬送ベルトコンベアとで構成されていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-217299号公報
【文献】特開2015-122961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1,2に記載のいずれの根菜類収穫機においても、残葉処理ベルトコンベアからベルト搬送装置に移動して受け渡される根菜作物が、例えばベルト搬送装置の送り方向やその交差する方向にオーバーランするように過剰な勢いで移動しやすくなるという不具合や、そのオーバーランをするような移動や残葉処理ベルトコンベアからの搬送量むらのままでの移動によりベルト搬送装置で搬送されるときの量がばらつきやすくなるという不具合がある。
この場合、根菜作物がベルト搬送装置に過剰な勢いで移動して一部分に偏って存在しやすいことが、そのベルト搬送装置で搬送されるときの量のばらつきを誘発する要因になっていることもある。また、ベルト搬送装置で搬送されるときの根菜作物の量のばらつきが多い場合には、その搬送の途中で行われる選別作業が難しくなって選別むらを誘発するおそれがある。
【0008】
特に、特許文献1に記載の根菜類収穫機にあっては、上記2つの不具合が発生しやすい傾向にある。
一方、特許文献2に記載の根菜類収穫機にあっては、上記後者の不具合が少し抑制される傾向にあるが、ベルト搬送装置が回収ベルトコンベアおよび選別搬送ベルトコンベアという2つのコンベアで構成されることになるので、2つのコンベアの搬送ベルトを回転駆動させる構成が必要になり、部品点数や機体重量が増加してしまうという不具合がある。また、この根菜類収穫機にあっては、回収ベルトコンベアと選別搬送ベルトコンベアとの接続部が急な落差をもって非連続の状態で接続される構造になるため、根菜作物が回収ベルトコンベアから選別搬送ベルトコンベアに移動して受け渡されるときに衝撃を受けやすくなり、ダメージを受けるおそれもある。
【0009】
そこで、この発明は、圃場から収穫した作物を、残葉除去等の清掃処理をするよう搬送する第1ベルト搬送装置から、選別作業エリアを通過させて収容装置まで搬送する第2ベルト搬送装置に受け渡したときに、オーバーランするような勢いで移動することや必要以上の衝撃を受けることが抑制され、しかも第2ベルト搬送装置で搬送されるときの量がばらつくことを抑制することができる収穫機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の上記課題は、以下の手段により解決される。
請求項1に係る発明は、作物を圃場から収穫する収穫装置(3)と、
前記収穫装置(3)で収穫された作物を容器(48)に収容する収容装置(4)と、
前記収穫装置(3)で収穫された作物を清掃処理するよう搬送する第1ベルト搬送装置(5)と、
前記第1ベルト搬送装置(5)から作物が受け渡されるよう当該第1ベルト搬送装置(5)と一部並行した状態で配置され、その受け渡された作物を選別作業エリア(9)を通過させてから前記収容装置(4)に送り出すまで搬送する第2ベルト搬送装置(6)と、
を備え、
前記第2ベルト搬送装置(6)は、作物が載って搬送されるときの搬送面(66)が、前記第1ベルト搬送装置(5)からの作物の受け渡し場所(Tp)を含む一部の区間(Rp)で窪んだ状態になって移動する1つの窪み搬送面(67)になるよう配置された1つの搬送ベルト(62)にて構成されており、
前記窪み搬送面(67)は、前記作物の受け渡し場所(Tp)で下方に傾斜して移動する下降斜面部(67a)と前記作物の受け渡し場所(Tp)を通過した後に上方に傾斜して移動する上昇斜面部(67b)とを有する搬送面になっていることを特徴とする収穫機(1)である。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記第2ベルト搬送装置(6)の搬送ベルト(62)は、前記窪み搬送面(67)における前記上昇斜面部(67b)の搬送面が、当該窪み搬送面(67)における前記下降斜面部(67a)の下方に傾斜し始める地点(ds)の高さよりも高い地点(up)に至るまで延長されるよう配置されていることを特徴とする収穫機である。
【0013】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記第2ベルト搬送装置(6)の搬送ベルト(62)は、前記第1ベルト搬送装置(5)と並行する領域における搬送面(66h1)が、当該第1ベルト搬送装置(5)の搬送面よりも下方になるよう配置されていることを特徴とする収穫機である。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記第2ベルト搬送装置(6)は、前記搬送ベルト(62)をその搬送終端側の位置で回転可能に支持して駆動する駆動支持回転体(76B)と、当該搬送ベルト(62)の搬送終端手前側の下方の部位に配置したモータ(82)とを有し、前記モータ(82)の動力を前記駆動支持回転体(76B)にチェーン又はベルト式の駆動伝達手段(83)を介して伝達させるよう構成されていることを特徴とする収穫機である。
【0015】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記第2ベルト搬送装置(6)は、前記搬送ベルト(62)をその搬送始端側の位置で回転可能に支持する始端支持回転体(71A)と、前記始端支持回転体(71A)を変位可能に配置して変位させることで前記当該搬送ベルト(62)に付与する張力を調節する張力調節機構(68)とを有していることを特徴とする収穫機である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、第2ベルト搬送装置が、搬送面が第1ベルト搬送装置
からの作物の受け渡し場所を含む一部の領域で1つの窪み搬送面になるよう配置された1つの搬送ベルトにて構成されているので、圃場から収穫された作物を第1ベルト搬送装置から第2ベルト搬送装置に受け渡したときに、オーバーランするような勢いで移動することや必要以上の衝撃を受けることが抑制され、しかも第2ベルト搬送装置で搬送されるときの量がばらつくことを抑制することができる。
また、請求項1に記載の発明によれば、第2ベルト搬送装置の搬送ベルトにおける窪み搬送面が下降傾斜部と上昇傾斜部とを有する搬送面であるため、上記効果が容易に得られつつ作物の搬送を良好に行うことができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、第2ベルト搬送装置の搬送ベルトの窪み搬送面における上昇傾斜部の傾斜面が下降傾斜部の傾斜が開始する地点の高さよりも上方の地点に至るまで延長された状態になっているので、第2ベルト搬送装置で搬送されるときの量がばらつくことをより確実に抑制することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、第2ベルト搬送装置の搬送ベルトの第1ベルト搬送装置と並行する領域における搬送面が第1ベルト搬送装置の搬送面よりも下方に配置されているので、作物が第2ベルト搬送装置の搬送ベルトに受け渡されたときに散在するようになり、第2ベルト搬送装置で搬送されるときの量がばらつくことが抑制されやすくなる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、第2ベルト搬送装置を構成する1つの搬送ベルトの駆動支持回転体にモータの動力が直結で伝達されることなくチェーン又はベルト式の駆動伝達手段という別の伝達経路を介して伝達されるので、1つの搬送ベルトに負荷や衝撃等が加わったときでも、その負荷や衝撃等がモータに直接及んでしまうことを回避することができる。また、モータは、搬送ベルトの搬送終端手前側の下方の部位に配置されているので、選別作業エリアにおける選別作業の妨げになるおそれがない。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、第2ベルト搬送装置の搬送ベルトに付与する張力の調節を周辺の装置や部品等の存在が障害になりにくく容易に行えるように対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態に係る収穫機を示す左側面図である。
【
図5】収穫機の一部(第1ベルト搬送装置と第2ベルト搬送装置)の構成を示す概要平面図である。
【
図6】第2ベルト搬送装置等の構成を示す概略背面図である。
【
図7】第2ベルト搬送装置等の構成を示す概略平面図である。
【
図8】(A)は第2ベルト搬送装置の一部(可動コンベア部の搬送終端側)の構成を示す概略左側面図、(B)は第1ベルト搬送装置と第2ベルト搬送装置の搬送面どうしの高さ関係を示す概要図である。
【
図9】第2ベルト搬送装置の第2搬送ベルトに関する構成を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1~
図4には、この発明の実施形態に係る収穫機としての野菜収穫機1が示されている。
以下の説明では、収穫機1の前進方向を前方、その後進方向を後方とする。また同様に、収穫機1の前進方向に向いたときの左右の方向をそれぞれ左側、右側とし、収穫機1の上下の方向をそれぞれ上方、下方とする。
【0025】
野菜収穫機1は、
図1~
図4に示されるように、左右一対のクローラ21A,21B等からなる走行装置にて支持される機体2に、野菜である作物100を畑等の圃場200から収穫する収穫装置3、収穫装置3で収穫された作物100を容器の一例である収容袋48に収容する収容装置4、収穫装置3で収穫された作物100を清掃処理するよう搬送する第1ベルト搬送装置5、第1ベルト搬送装置5から受け渡された作物100を選別作業エリア9を通過させてから収容装置4まで搬送する第2ベルト搬送装置6、走行および機器操作のための操縦部12等を備えている。
この実施形態における作物100は、根菜系の野菜である人参を対象とする。
【0026】
まず、上記機体2は、複数の支持フレーム、支持プレート等の部材で構成されている。走行装置であるクローラ21A,21Bは、機体2に搭載される図示しないエンジンから出力される回転動力が伝達されて回転する車軸および駆動輪によりベルトクローラを駆動するようになっている。
また、上記操縦部12は、操縦席ボックス13に、操縦席14、走行操作用や機器操作用の操縦レバー15、計器パネル16等を配置して構成されている。操縦部12では、操縦席14に座る操縦(作業)者により、計器パネル16の確認、操縦レバー15の操作等からなる操縦作業が行われる。
【0027】
次に、上記収穫装置3は、作物100である人参の茎葉部を挟持して圃場から引き抜いた後に後方上部にむけて搬送する引抜き搬送装置31、作物100の茎葉部を圃場200から引き起こす引き起こし装置33、作物100の茎葉部を切断する茎葉処理装置34等を備えている。この収穫装置3は、機体2の左側に配置されている。また収穫装置3は、引抜き搬送装置31と引き起こし装置33が機体2に対して上下に移動して圃場200に対する位置の調節ができるよう取り付けられている。
【0028】
図1~
図3における符号17は圃場200に接地する接地輪、符号18は振動を付与して土壌を柔らかくするサブソイラを示している。接地輪17は、機体2に対して上下方向に移動可能な状態で取り付けられている。サブソイラ18は、圃場200のうち収穫する作物100の両側付近における地中に差し込まれて振動を付与する。またサブソイラ18は、接地輪17と連結されているとともに、接地輪17と連動して上下方向に移動可能な状態で取り付けられている。
【0029】
引抜き搬送装置31は、圃場200に接近した位置から機体2の後方上部に至る位置までに適宜配置される従動プーリ、駆動プーリ等の支持部品に懸架されて回転する左右一対の挟持用ベルト32A,32B等を備えている。
【0030】
茎葉処理装置34は、挟持用ベルト32A,32Bで搬送される作物100の茎葉部を挟持してほぼ水平方向の後方側に搬送する左右一対の搬送ベルト35A,35Bと、搬送ベルト35A,35Bのほぼ中間の位置において作物100の茎葉部と根菜部との間を切断する左右一対の回転切断刃36と、その切断された後の作物100の根菜部における切り残された葉茎部(残葉)や付着する残土等の不要物を除去して清掃する清掃装置と、回転切断刃36で切り落とされた作物100の葉茎部を受けて圃場200に滑り落とすよう傾斜している排出台38等を備えている。
ここで清掃装置は、上記第1ベルト搬送装置5に相当する。
【0031】
上記第1ベルト搬送装置5は、
図1~
図5に示されるように、回転切断刃36で切断
された後に落下する作物100の根菜部を受け止めて機体2の右方向に搬送するベルトコンベア51と、ベルトコンベア51で搬送される作物100の根菜部における残葉、残土等を除去して清掃処理するとともに斜め前方や側方にある第2ベルト搬送装置6に送り出す清掃処理ローラ52とで構成されている。
【0032】
ベルトコンベア51は、第2ベルト搬送装置6よりも機体2の後方側の位置で機体2の左右方向に長く延びるよう機体2の前後方向に間隔をあけて配置された支持フレーム53,53と、支持フレーム53,53の長手方向の両端部における間にそれぞれ回転可能に設けられる駆動ローラ54および従動ローラ55と、その駆動ローラ54と従動ローラ55に掛け回されて回転する第1搬送ベルト56とで構成されている。
またベルトコンベア51は、第1搬送ベルト56の搬送始端側が、回転切断刃36のほぼ直下の位置に存在するよう配置されている。
さらにベルトコンベア51は、支持フレーム53のうち機体2の後方に配置される支持フレーム53の上部が、第1搬送ベルト56の搬送面57よりも上方に突出した形状で形成されて、作物100の第1搬送ベルト56からのはみ出しや脱落を防止する側壁として使用される(
図8(B))。
【0033】
ベルトコンベア51では、第1搬送ベルト56が、例えば上記図示しないエンジンからの回転動力の伝達で回転する駆動ローラ54により、作物100を搬送方向E1になるよう回転させられる。このときの搬送方向E1は、第1搬送ベルト56の搬送面が機体2の左側から右側にむけて移動するときの方向になる。第1搬送ベルト56としては、例えばゴム等の材料にて所要の幅、厚さおよび周長で製作された無端状のベルトが適用される。
【0034】
清掃処理ローラ52は、ベルトコンベア51の搬送終端側の上面部において作物100の根菜部が通過しない程度の隙間をあけた状態でかつベルトコンベア51の搬送方向に対して斜めに交差した状態で回転するよう配置されている。この清掃処理ローラ52は、ベルトコンベア51の搬送方向E1に対して、そのローラ前端52fが機体2の右側に、そのローラ後端52rが機体2の左側にそれぞれ位置するようローラ全体が傾斜した状態で配置されている。
【0035】
この第1ベルト搬送装置5では、
図5に示されるように、ベルトコンベア51の第1搬送ベルト56により搬送方向E1に搬送される作物100が、清掃処理ローラ52との接触による残土落としや清掃処理ローラ52と第1搬送ベルト56の隙間に残葉が挟まれて取り除かれる残葉取り等の清掃処理を受けるとともに、清掃処理ローラ52により機体2の右前方に案内されながら搬送され、最終的に、第2ベルト搬送装置6に移動させられて受け渡される。
【0036】
次に、上記第2ベルト搬送装置6は、茎葉処理装置34における第1ベルト搬送装置5から受け渡される作物100(の根菜部)を、機体2の左側から右側に搬送し始め、補助作業者が選別の作業をする選別作業エリア9を通過させた後に収容装置4へ送り出すまで搬送するベルトコンベア61で構成されている。
【0037】
このベルトコンベア61は、そのコンベア全体が1つの第2搬送ベルト62を用いて構成されている。
また、このベルトコンベア61は、第1ベルト搬送装置5からの作物100の受け渡しを行う観点から、その一部(第2搬送ベルト62の搬送始端側の領域)が、第1ベルト搬送装置5のベルトコンベア51と並行した状態で配置されている。ベルトコンベア61の全体は、機体2の操縦部12よりも後方になる位置でかつ第1ベルト搬送装置5よりも前方になる位置において、機体2の左右方向に長く延びて存在する状態で配置されている。
さらに、このベルトコンベア61は、固定コンベア部61Aと可動コンベア部61Bとで構成されている。
【0038】
第2搬送ベルト62は、
図5、
図8(A)等に示されるように、ベルトコンベア61の搬送方向E2になるよう回転する無端状の伝動チェーン621,621と、複数の搬送バー622,…と、複数の受け止め板623とで構成されている。このときの搬送方向E2は、第2搬送ベルト62の搬送面が機体2の左側から右側にむけて移動するときの方向になる。
伝動チェーン621,621は、後述する支持回転体から回転動力を受けて回転するものであり、ベルトコンベア61の搬送方向E2における左右両端(この実施形態では機体2の前後)にそれぞれ配置される。搬送バー622,…は、実際に作物100を載せて搬送する部分であり、伝動チェーン621,621の間において回転方向に対して等間隔で配置される。受け止め板623は、搬送中の作物100を受け止める板状の部材であり、複数の搬送バー622,…の所要数ごとの等間隔になる位置に所要の高さまで上方に突出した状態で配置される。
この第2搬送ベルト62は、後述するようにモータ(82)の回転動力を伝動チェーン621とは別の駆動経路(駆動伝達装置83)から伝達されることにより回転するよう構成されている。
【0039】
固定コンベア部61Aは、ベルトコンベア61のうち機体2の左端側で搬送始端になる位置から搬送途中(可動コンベア部61Bとの接続部)の位置までの領域に固定された状態で配置される部分である。
【0040】
この固定コンベア部61Aは、第1ベルト搬送装置5のベルトコンベア51と並行した状態から機体2の右側に突出するよう延長された状態で配置される固定支持フレーム63を備えている。固定支持フレーム63は、機体2の前後方向にほぼ一定の間隔をあけて向き合った状態で配置される対の側面フレームと、対の側面フレームどうしを連結する底面フレームを含む連結フレーム等で構成されている。
また固定コンベア部61Aは、固定支持フレーム63に対して、第2搬送ベルト62(の伝動チェーン621,621)の搬送始端側で固定コンベア部61A内を通過する部分を回転可能に支持する複数の支持回転体71A~71D,72A~72Cや、支持回転体71,72どうしの間で第2搬送ベルト62(の伝動チェーン621,621)の回転時の移動を支えて案内する搬送ガイド73等が配置されている。支持回転体71A~71Dは、伝動チェーン621,621を噛み合いながら回転可能に支持するスプロケット等である。支持回転体72A~72Cは、伝動チェーン621,621を回転可能に支持するプーリ等である。
さらに固定コンベア部61Aは、固定支持フレーム63の上部が、第2搬送ベルト62の搬送面57より上方に突出した形状で形成されて作物100の第2搬送ベルト62からのはみ出しや脱落を防止する側壁として使用される(
図8(B))。
【0041】
ベルトコンベア61の固定コンベア部61Aにおける第2搬送ベルト62は、
図8(B)に示されるように、第1ベルト搬送装置5のベルトコンベア51と並行する領域における搬送面66(固定水平搬送面66h1:
図9)が、ベルトコンベア51の第1搬送ベルト56における搬送面57よりも下方になるよう配置されている。これにより、ベルトコンベア51で搬送される作物100が、ベルトコンベア61の固定コンベア部61Aにおける第2搬送ベルト62に落下するように移動して確実に受け渡されやすくなる。
また
図6における符号25は、図示しないエンジンからの回転動力を出力する出力軸である。この出力軸25から得られる回転動力は、例えば、第1ベルト搬送装置5のベルトコンベア51、第2ベルト搬送装置6のベルトコンベア61等の駆動部に図示しない駆動伝達装置を介してそれぞれ伝達されて使用される。
【0042】
一方、可動コンベア部61Bは、ベルトコンベア61のうち固定コンベア部61Aの搬送終端になる位置から収容装置4に達する位置までの領域に存在する部分であって、固定コンベア部61A寄りの端部を支点にして揺動可能な状態で配置される部分である。
【0043】
可動コンベア部61Bは、固定コンベア部61Aにおける固定支持フレーム63の搬送終端側部分と回動支軸65を介して揺動可能に連結された状態から収容装置4の一部に入り込んだ状態で配置される可動支持フレーム64を備えている。この可動支持フレーム64も、上記固定支持フレーム63の場合とほぼ同様に、機体2の前後方向にほぼ一定の間隔をあけて向き合った状態で配置される対の側面フレームと、対の側面フレームどうしを連結する底面フレームを含む連結フレーム等で構成されている。
また可動コンベア部61Bは、可動支持フレーム64に対して、第2搬送ベルト62の搬送終端側で可動コンベア部61B内を通過する部分を回転可能に支持する複数の支持回転体76A,76Bや、支持回転体76A,76Bどうしの間で第2搬送ベルト62の回転時の移動を支えて案内する搬送ガイド77等が配置されている。支持回転体76A,76Bは、伝動チェーン621,621と噛み合って回転可能に支持するスプロケット等である。
さらに可動コンベア部61Bは、可動支持フレーム64の上部が、第2搬送ベルト62の搬送面57より上方に突出した形状で形成されて作物100の第2搬送ベルト62からのはみ出しや脱落を防止する側壁として使用される(
図8(A))。
【0044】
また可動コンベア部61Bは、可動支持フレーム64に対して、可動支持フレーム64を回動支軸65を支点にして上下方向に揺動させるよう伸縮する昇降用シリンダ81(の一端部)や、回転動力を発生するモータ82や、モータ82の回転動力を第2搬送ベルト62に伝達する駆動伝達装置83等も配置されている。
【0045】
昇降用シリンダ81は、
図4、
図6等に示されるように、例えばその昇降用シリンダ81の上端部で伸縮時に出没するピストンロッド81aの上端部が可動支持フレーム64の回動支軸65寄りの底面部(底面フレーム)に対して回動可能に取り付けられている一方で、そのシリンダ81の下端部が後述する作業フロア(91)の上端部よりも機体2の左側になる部位に対して回動可能に取り付けられている。これにより、昇降用シリンダ81は、最も収縮した状態にあるときに、全体として機体2の右側に少し倒れ込むよう傾いた状態で配置されている。
また昇降用シリンダ81としては、例えば電動シリンダが適用される。昇降用シリンダ81は、例えば作業フロア(91)に設置するペダル89を操作することにより作動する。ペダル89は、上昇操作用のペダルと下降操作用のペダルで構成されている。可動コンベア部61Bは、ペダル89を操作して昇降用シリンダ81を作動させることにより、回動支軸65を支点に揺動する。
【0046】
駆動伝達装置83は、
図6等に示されるように、モータ82の出力軸に取り付けられた出力ギヤ84と、第2搬送ベルト62(の伝動チェーン621)を駆動する駆動支持回転体76Bの軸に取り付けられた駆動用ギヤ85と、出力ギヤ84と駆動用ギヤ85に掛け回されて回転する伝動チェーン86と、それらを覆って保護する外装カバー87とで構成されている。
モータ82は、可動支持フレーム64の搬送終端よりも少し手前側の底面部に取付け用ブラケットなどを介して取り付けられている。このときのモータ82は、第2ベルト搬送装置6の全体でみた場合、第2搬送ベルト62の搬送終端の手前側における下方になる位置に配置されている。またモータ82又はそのモータ82を固定した取付け用ブラケットは、上記駆動用ギヤ85に対して接近および離間する方向に長い長穴を介して可動支持フレーム64に対する取付け位置を調整可能に取り付けられている。
【0047】
さらに可動コンベア部61Bは、選別作業エリア9を通過して存在するよう配置されている。また可動コンベア部61Bは、選別作業エリア9の一部を構成している。
【0048】
選別作業エリア9は、機体2の床フレーム23において操縦部12の操縦席ボックス13よりも後方側の領域に設けられた作業フロア91と、作業フロア91のうち可動コンベア部61Bよりも後方側の位置に設けられた選別作業席92を備えている。
図4では、選別作業席92の図示を省略している。
この選別作業エリア9では、作業フロア91に搭乗して選別作業席92に着座した選別作業者が、可動コンベア部61Bにおける第2搬送ベルト62で搬送されるときの作物100のうちから損傷、変形等の要因で不良品として認められるものを選別して手で掴んで取り除く等の作業が行われる。
図6、
図7等における符号95は、選別作業者が掴んで使用する取っ手である。この取っ手95は、可動支持フレーム64における後方側の側面フレームに設けられている。
【0049】
次に、上記収容装置4は、
図1、
図3、
図4等に示されるように、第2ベルト搬送装置6から搬送されて送り出される作物100を収容するための収容袋48を載置する載置台41と、載置台41に載置された収容袋48の開口部48aを収容作業時に吊り下げて保持するハンガーアーム45等で構成されている。
【0050】
載置台41は、第2ベルト搬送装置6における可動コンベア部61Bの搬送終端の下方側の位置で選別作業エリア9の作業フロア91から機体2の右側に突出して存在する状態で配置されている。
また載置台41は、平面形状が矩形状からなる板材で構成されており、機体2の右端から突出するよう設けられた支持軸42に対して回動自在に取り付けられている。さらに載置台41は、電動油圧シリンダ等で構成される姿勢切替え機構43により支持軸42を中心に水平の基準姿勢から前傾姿勢又は後傾姿勢に切り替えることができるようになっている。
これにより、収容装置4では、収穫後の作物100を収容して重くなった収容袋48を前傾姿勢又は後傾姿勢にした載置台41から滑らせるようにして圃場200等の上に容易に降ろすことができる。
【0051】
ハンガーアーム45は、第2ベルト搬送装置6における可動支持フレーム64の搬送終端側になる端部側面から上方に立ち上がるような状態で設けられている。
このハンガーアーム45は、
図4等に示されるように、可動支持フレーム64の端部側面に固定して取り付けられる固定フレーム46aと、固定フレーム46aの立ち上がった上端部で支軸46cを支点に吊り合うとともに揺動し得るよう取り付けられた可動フレーム46bと、可動フレーム46bの両端部にそれぞれ取り付けられ、収容袋48の開口部48aに形成された引っ掛け孔等に引っ掻けて収容袋48を吊り下げるフック47とで構成されている。
【0052】
このハンガーアーム45は、載置台41に載せた収容袋48について、その開口部48aをフック47に引っ掛けて可動コンベア部61Bの搬送終端に対して開口した状態に保持することができる。また、このハンガーアーム45に吊り下げられて保持された収容袋48は、可動フレーム46bが固定フレーム46aに対して支軸46cを支点に動くので、その開口部48aの姿勢を任意に調節することができる。これにより、野菜収穫機1では、第2ベルト搬送装置6の可動コンベア部61Bから送り出される作物100が収容袋48内へ収容される作業が容易かつ的確に行われる。
【0053】
そして、この野菜収穫機1においては、
図4~
図7に示されるように、第2ベルト搬送装置6を構成する1つの第2搬送ベルト62について、その第2搬送ベルト62の作物
100が載って搬送されるときの搬送面66が、第1ベルト搬送装置5からの作物100の受け渡し場所Tpを含む
一部の区間Rpで窪んだ状態になって移動する
1つの窪み搬送面67になるよう配置している。
【0054】
ここで、作物100の受け渡し場所Tpは、作物100が第1ベルト搬送装置5のベルトコンベア51から第2ベルト搬送装置6のベルトコンベア61(の固定コンベア部61A)に移動して受け渡されることになる場所である。この実施形態では、受け渡し場所Tpについて、
図7等に示されるように、ベルトコンベア51の搬送方向E1のうち少なくとも清掃処理ローラ52のローラ後端52rからローラ前端52fに至るまでの範囲に設定している。
【0055】
また受け渡し場所Tpを含む
一部の区間Rpは、第2ベルト搬送装置6のベルトコンベア61(の固定コンベア部61A)のうち受け渡し場所Tpと対応する区間をベルトコンベア61の搬送方向E2における内側に含む区間である。この実施形態では、
一部の区間Rpについて、
図7等に示されるように、受け渡し場所Tpがベルトコンベア61の搬送方向E2の上流側に相対的に偏った位置に存在する区間として設定している。
【0056】
第2ベルト搬送装置6における第2搬送ベルト62は、その全体を概略的に説明すると、
図4、
図6、
図9等に示されるように、その搬送面66が、固定コンベア部61Aにおいて搬送始端側からほぼ水平の状態で固定して延びる固定水平搬送面66h1として始まった後に窪み搬送面67を経て上方に傾斜し続けるように延びて可動コンベア部61Bに達し、しかる後、可動コンベア部61Bにおいてその搬送始端側から搬送終端側に至るまでほぼ水平の状態で延びるとともに可動する可動水平搬送面66h2として終わるような状態で配置されている。
このとき可動水平搬送面66h2は、固定水平搬送面66h1よりも高い位置になるよう設定されている。
図9における符号teは、搬送終端の地点を示している。
【0057】
実際、第2搬送ベルト62は、このような搬送面66になるよう配置するために、
図6、
図9等に示されるように、その伝動チェーン621が、固定コンベア部61Aにおける搬送始端側にある支持回転体72Aのスプロケットに下方から支えられるよう掛け回される一方で、可動コンベア部61Bにおける搬送始端側にある支持回転体76Aのスプロケットとその搬送終端側にある支持回転体76Bのスプロケットとの間で下方から支えられるよう掛け回されている。
【0058】
このとき可動コンベア部61Bでは、支持回転体76Aと支持回転体76Bがほぼ同じ支持高さになる位置に設けられている。これにより、第2搬送ベルト62は、可動コンベア部61Bにおける支持回転体76Bと支持回転体76Aの間で、その搬送面66が終端側水平搬送面66h2になっている。
【0059】
また第2搬送ベルト62は、
図6、
図9等に示されるように、その伝動チェーン621が、固定コンベア部61Aにおいて窪み搬送面67が形成される受け渡し場所Tpを含む
一部の区間Rpの始点dsに配置される支持回転体72Aのプーリにより下方から支持される一方で、その
一部の区間Rpの終点deを通過して可動コンベア部61Bにおける搬送始端の手前に配置される支持回転体72Cのプーリにより上方から押え付けられて支持されている。最後に、第2搬送ベルト62は、その伝動チェーン621が、窪み搬送面67の底部に相当する地点dbに配置される支持回転体72Bのプーリにより上方から押え付けられて支持される。
【0060】
このとき固定コンベア部61Aでは、支持回転体72Aが搬送始端にある支持回転体71Aとほぼ同じ支持高さになる位置に設けられている。これにより、第2搬送ベルト62は、固定コンベア部61Aにおける支持回転体71Aと支持回転体72Aの間で、その搬送面66が固定水平搬送面66h1になっている。
また固定コンベア部61Aでは、支持回転体72Bが支持回転体72Aよりも低い支持高さ(押さえ高さ)になる位置に設けられており、支持回転体72Cが支持回転体72Aよりも高い支持高さ(押さえ高さ)になる位置に設けられている。これにより、第2搬送ベルト62は、固定コンベア部61Aにおける支持回転体72Aと支持回転体72Cの間で、その搬送面66が支持回転体72Bで下方に押し下げられて窪んだ状態の窪み搬送面76になっている。
【0061】
さらに第2搬送ベルト62は、固定コンベア部61Aにおいて支持回転体72A,72B,72Cの間で下方側に窪んだ状態になるよう支持されていることに対応して、その下方側でほぼ同じように下方に窪んだ状態になるよう支持回転体71B,71C,71Dで支持されている。支持回転体71Bは、支持回転体72Aのほぼ真下の位置に配置されて、第2搬送ベルト62を下方から支持している。支持回転体71Cは、支持回転体72Bのほぼ真下の位置に配置されて、第2搬送ベルト62を上方から押付けた状態で支持している。支持回転体71Dは、支持回転体72Cの右斜め下方の位置であって可動コンベア部61Bの支持回転体76Aの最下部とほぼ同じ支持高さで接近した位置に配置されて、第2搬送ベルト62を下方から支持している。
【0062】
第2ベルト搬送装置6では、
図6、
図7等に示されるように、固定コンベア部61Aの支持フレーム63において搬送始端側に配置する始端支持回転体71Aを機体2の左右水平方向に対して変位可能な状態で配置し、その始端支持回転体71Aを変位させることで第2搬送ベルト62(の伝動チェーン621)に付与する張力を調節する張力調節機構68が設けられている。
【0063】
張力調節機構68は、一端が始端支持回転体71Aの軸受に固定された支持アームを備えている。支持アームは、支持フレーム63の取付け部に変位可能に取り付けられる。また、支持アームは、その他端にネジ山が形成されており、その他端のネジ部に支持フレーム63の取付け部との間にコイルバネを介在させた状態でボルトが取り付けられている。
張力調節機構68は、ボルトの締め位置を変更することにより、支持アームを介して始端支持回転体71Aの軸受の位置を変位させることで伝動チェーン621に付与する張力を調節することができる仕組みになっている。
また張力調節機構68は、
図2や
図3に示されるように、第2ベルト搬送装置6の固定コンベア部61Aにおける機体2の左端に露出させた状態で配置されている。
【0064】
また、第2搬送ベルト62については、
図6、
図9等に示されるように、その窪み搬送面67が、少なくとも作物100の受け渡し場所Tpで下方に傾斜して移動する下降斜面部67aと作物の受け渡し場所Tpを通過した後に上方に傾斜して移動する上昇斜面部67bとを有する搬送面になるよう配置されている。
この窪み搬送面67は、例えば、作物100がベルトコンベア51における受け渡し場所Tpから第2搬送ベルト62に受け渡される際にオーバーランするような勢いで移動することや第2ベルト搬送装置6で搬送されるときの量がばらつくことを抑制するという観点からすると、その下降斜面部67aの下方に傾斜し始める地点(窪み搬送面の始点)dsと最も窪んだ底部(最下部)dbとの高低差が、例えば収穫する作物の太さ以上であること等を考慮して4~8cmの寸法以上の値になるよう設定することが好ましい。
【0065】
さらに、第2搬送ベルト62については、
図6、
図9等に示されるように、その窪み搬送面67における上昇斜面部67bの搬送面が、窪み搬送面67における下降斜面部67aの下方に傾斜し始める地点(窪み搬送面の始点)dsの搬送面高さよりも高い上方の地点ueに至るまで延長された状態になるよう配置されている。
図9における符号deは、窪み搬送面67における上昇斜面部67bの下降斜面部67aにおける始点dsの搬送面高さと同じ高さとなる地点(窪み搬送面の終点)である。
つまり、この実施形態における窪み搬送面67は、上昇斜面部67bの搬送面が窪み搬送面の終点deを通過した後に可動コンベア部61Bの搬送始端でもある搬送面高さの地点ueに至るまでの区間で連続して上方に傾斜する上昇搬送面66uとつながっている。
【0066】
次に、この野菜収穫機1の動作等について説明する。
【0067】
野菜収穫機1においては、操縦部12に乗り込む操縦者により収穫作業のための走行や各部の操作が行われ、また選別作業エリア9に搭乗する補助の選別作業者により作物100の選別作業が行われる。
【0068】
はじめに、野菜収穫機1は、収穫対象の作物(人参)100が植えられている圃場200において作物100のある畝に沿うよう前進走行させられるとともに収穫装置3が始動させられる。これにより、作物100の収穫作業が開始される。
【0069】
この際、収穫装置3では、引抜き搬送装置31の引き起こし装置33が圃場200の作物100の茎葉部を倒伏した状態から上方に引き起こし、また引抜き搬送装置31の回転する挟持用ベルト32A,32Bが作物100の茎葉部を挟持して機体2の後方上部にむけて搬送する。これにより、作物100は、圃場200から引き抜かれてから機体2の後方上部に搬送される。
【0070】
続いて、収穫装置3では、茎葉処理装置34の回転する搬送ベルト35A,35Bが作物100(の茎葉部)を挟持用ベルト32A,32Bから引き継ぐように挟持して機体2の水平後方側にむけて搬送し、茎葉処理装置34の回転切断刃36が作物100の茎葉部と根菜部の間を切断する。これにより、作物100は、その根菜部が茎葉部から切り離される。
【0071】
この際、作物100の茎葉部は、搬送ベルト35A,35Bでその終端部まで搬送された後に自然落下させられて排出台38上に落され、排出台38を介して圃場200に滑り落とされる。
一方、作物100の根菜部は、切断後に自然落下により、茎葉処理装置34における清掃装置でもある第1ベルト搬送装置5のベルトコンベア51上に落される。
【0072】
続いて、第1ベルト搬送装置5では、
図5に示されるように、ベルトコンベア51における搬送方向E1に回転する第1搬送ベルト56が、その第1搬送ベルト56の搬送面57上に落下して乗る作物100の茎葉部を機体2の右側にある清掃処理ローラ52に接触させるよう搬送する。これにより、作物100の根菜部は、ベルトコンベア51と清掃処理ローラ52との協働により、上記した残土落としや残葉取り等の清掃処理が行われる。
【0073】
また、第1ベルト搬送装置5では、ベルトコンベア51と清掃処理ローラ52が協働して、清掃処理される作物100の根菜部を機体2の右前方に次第に案内するよう搬送する。これにより、作物100の根菜部は、
図5に示されるように、最終的にベルトコンベア51における受け渡し場所Tpから第2ベルト搬送装置6のベルトコンベア61(固定コンベア部61A)における第2搬送ベルト62上に移動させられて受け渡される。
【0074】
続いて、第2ベルト搬送装置6では、固定コンベア部61Aおよび可動コンベア部61Bにおいてモータ82の回動動力を駆動伝達装置83から受けて搬送方向E2に回転する1つの第2搬送ベルト62が、第1ベルト搬送装置5から受け渡された作物100を固定コンベア部61Aから選別作業エリア9の一部を構成する可動コンベア部61Bにむけて移動させるように搬送する。
【0075】
この際、第2搬送ベルト62は、
図6や
図9に示されるように、その搬送面66が、固定コンベア部61Aにおいて搬送始端側の固定水平搬送面66h1から窪み搬送面67になった後に上昇搬送面66uになり、引き続き可動コンベア部61Bにおいて搬送終端側の可動水平搬送面66h2になるよう状態を逐次変化させながら移動する。
【0076】
一方、作物100の根菜部は、第2搬送ベルト62の搬送バー622で構成される搬送面66に、前後の受け止め板623で囲まれる区域内に1本又は複数本存在するよう分配された状態で載って搬送される。また、作物100の根菜部は、窪み搬送面67の上昇斜面部67b、上昇搬送面66u等の上昇する搬送過程において搬送方向E2の後方(上流側)に移動しそうになっても、受け止め板623により受け止められた状態になるので確実に斜め上方にむけて搬送される。
【0077】
また、第2ベルト搬送装置6では、可動コンベア部61Bにおいて可動水平搬送面66h2を形成して移動する第2搬送ベルト62が、作物100の根菜部を選別作業エリア9を通過させるよう搬送する。
選別作業エリア9では、上記したように作業フロア91上の選別作業席92に着座した選別作業者が、可動コンベア部61Bにおいて第2搬送ベルト62の可動水平搬送面66h2により搬送されるときの複数の作物100のうちから不良品として認められるものを選別して手で掴んで取り除く等の作業が行われる。
【0078】
さらに、第2ベルト搬送装置6では、可動コンベア部61Bにおいて搬送方向E2に回転する第2搬送ベルト62が、選別作業エリア9を通過して残った作物100を搬送終端まで搬送した後、その搬送終端において収容装置4に送り出す。
【0079】
続いて、収容装置4では、収穫作業を開始する前に予め収容袋48が、その開口部48aをハンガーアーム45のフック47に引っ掛けて可動コンベア部61Bの搬送終端に向き合って開口した状態にして載置台41に載せられてセットされるという収容作業の準備がなされる。
これにより、第2ベルト搬送装置6の可動コンベア部61Bにおける第2搬送ベルト62の搬送終端から送り出される作物100が、収容装置4にセットされた収容袋48内にその開口部48aを通して順次収容される。
【0080】
収容装置4においては、収容作業が進行して収容袋48に収容された作物100が一定の量を越えたときは、補助作業者がペダル89を足で踏んで操作して昇降用シリンダ81を伸ばすよう作動させることにより、可動コンベア部61Bを回転支軸65を中心に揺動させて可動コンベア部61Bの搬送終端側を所要の高さまで上昇させた状態にする。
この際、昇降用シリンダ81は、
図4や
図6に示されるように、機体2の後方から見て、作業フロア91の固定コンベア部61A寄りの位置で右に傾いた状態に配置されているので、回動支軸65を支点に可動コンベア部61Bを上昇させる方向に揺動させる際の負荷が昇降用シリンダ81を作業フロア91において鉛直方向に立てた状態や左に傾いた状態で配置している場合に比べると、分別作業する作業者の足元の邪魔になりにくく、その分別作業の妨げにならない。
また収容装置4においては、収容袋48が作物100で満杯になるときは、野菜収穫機1を停止させて、その満杯になった収容袋48を載置台41から降ろした後、その収容装置4に空の収容袋48を改めてセットして収穫作業を再開する。
【0081】
以上により、野菜収穫機1では、圃場200から作物100を収穫して茎葉処理や清掃処理をした後に選別した後に収容装置4における収容袋48内に収容することができる。
【0082】
また、この野菜収穫機1においては、作物100が第1ベルト搬送装置5のベルトコンベア51における受け渡し場所Tpから第2ベルト搬送装置6のベルトコンベア61に移動して受け渡されるとき、その作物100が次のように移動する。
すなわち、このときの作物100は、
図2、
図4、
図8(B)等に示されるように、ベルトコンベア51における第1搬送ベルト56の搬送面57よりも一段低い位置関係にあるベルトコンベア61の固定コンベア部61Aにおける第2搬送ベルト62の搬送面66に少し落下させられるように移動する。またこのときの作物100は、
図3~
図7等に示されるように、その第2搬送ベルト62のうち窪み搬送面67に送り出されるように移動する。
【0083】
これにより、作物100は、受け渡し場所Tpから一段低い位置関係にある第2搬送ベルト62の搬送面66における窪み搬送面67に落下するように受け渡されたうえで、その窪み搬送面67において一旦下降するように搬送された後に途切れることなく上昇するように切り替えられて搬送され、その窪み搬送面67の窪んだ部分で一時的に滞留して減速するとともに散在した状態になって搬送されるようになる。このため、作物100は、受け渡されたときの勢いが一時的に低減され、また窪み搬送面67で落差部分による衝撃を受けて通過することなく一時的に分散させられように動かされやすくなる。
【0084】
したがって、野菜収穫機1では、収穫した作物100を第1ベルト搬送装置5から第2ベルト搬送装置6に受け渡すときに、その作物100がオーバーランするような勢いで移動することや必要以上の衝撃を受けることが抑制され、しかも、その作物100が第2ベルト搬送装置6で搬送されるときの量がばらつくことも抑制される。
特に作物100が第2ベルト搬送装置6で搬送されるときの量がばらつくことが抑制されることより、第2ベルト搬送装置6の搬送の途中で行われる選別作業がしやすくなって選別むらの発生を抑制することもできる。
【0085】
また、野菜収穫機1では、
図6や
図9に示されるように、第2搬送ベルト62の窪み搬送面67が下降斜面部67aと上昇斜面部67bとを有する単純な形状の搬送面になっているので、作物100が窪み搬送面67を通過する際に複雑に動くことが抑制されるようになり、このため作物100の窪み搬送面67に受け渡されたときの上記抑制効果が容易に得られつつ作物100の搬送を良好に行うことができる。
【0086】
さらに、野菜収穫機1では、第2搬送ベルト62の窪み搬送面67における上昇斜面部67bの傾斜面が上昇搬送面66uとつながっていて下降斜面部67aの傾斜が開始される地点(始点)dsの高さよりも上方の地点ueに至るまで延長された状態になっているので、例えば第2搬送ベルト67の搬送面66の一部に過剰に溜まった作物100の余剰分が、窪み搬送面67の上昇斜面部67bにおける傾斜面を含む上昇搬送面66uの間で受け止め板623を乗り越えて搬送後方側にずれるように動く機会が増える。このため、第2搬送ベルト62で搬送されるときの作物100の量がばらつくことをより確実に抑制することができる。
【0087】
この他にも、野菜収穫機1においては、第2搬送ベルト62の駆動支持回転体76Bにモータ82の回転動力が直結で伝達されることなくチェーン式の駆動伝達装置83を介して伝達されるので、稼働時に第2搬送ベルト62に負荷や衝撃等が加わったときでも、その負荷や衝撃等が駆動伝達装置83における伝動チェーン86に吸収されてモータ82に直接及んでしまうことが回避される。また、モータ82は、可動コンベア部61Bの支持フレーム63の搬送終端手前側の下方の部位になる底面部に配置されているので、選別作業エリア9における選別作業の妨げになるおそれがない。
【0088】
また、野菜収穫機1においては、第2ベルト搬送装置5の第2搬送ベルト62(の伝動チェーン621)に付与する張力を搬送始端側にある支持回転体71Aの軸受の位置を変位させることで調節する張力調節機構68を、
図2や
図3に示されるように固定コンベア部61Aにおける機体2の左端に露出させた状態で配置されている。これにより、第2搬送ベルト62に付与する張力の調節は、引抜き搬送装置31、第1ベルト搬送装置5等の周辺の装置や部品等の存在が障害になりにくく容易に行うことができる。
【0089】
[変形例]
なお、第2ベルト搬送装置6の第2搬送ベルト62における窪み搬送面67については、実施形態で例示した構成例に限定されず、例えば下降斜面部67aと上昇斜面部67bとの間に水平底面部を有する形態からなる搬送面にて構成したものであってもよい。
また、第1ベルト搬送装置5の駆動ローラ54ひいては第1搬送ベルト56については、駆動ローラ54がエンジン以外のモータ等の駆動装置による回転動力を受けて回転するよう構成してもよい。
また、第2ベルト搬送装置6を構成する1つの第2搬送ベルト62としては、上記実施形態で例示した形態に限らず、他の形態の搬送ベルトを適用しても構わない。
さらに、駆動伝達装置83は、伝動チェーンに代えて、伝動ベルトを用いて構成される形式の装置であってよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
この発明は、作物100としての人参を収穫するとともに選別する収穫機に限られず、例えば、それ以外の作物(大根などの根菜)を収穫するとともに選別する収穫機にも適用することができる。
【符号の説明】
【0091】
1 野菜収穫機
3 収穫装置
4 収容装置
5 第1ベルト搬送装置
6 第2ベルト搬送装置
9 選別作業エリア
48 収容袋(容器の一例)
57 第1ベルト搬送装置の搬送面
62 第2搬送ベルト(1つの搬送ベルトの一例)
66 搬送面
67 窪み搬送面
67a 下降斜面部
67b 上昇斜面部
68 張力調節機構
71A 始端支持回転体
76B 駆動支持回転体
82 モータ
100 作物
200 圃場
E 搬送方向
Tp 作物の受け渡し場所
Rp 受け渡し場所を含む区間