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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】データ転送システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 61/00 20220101AFI20220114BHJP
   H04L 69/00 20220101ALI20220114BHJP
【FI】
H04L61/00
H04L69/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019549709
(86)(22)【出願日】2017-10-24
(86)【国際出願番号】 JP2017038310
(87)【国際公開番号】W WO2019082263
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】平野 誠
(72)【発明者】
【氏名】坂地 亮
(72)【発明者】
【氏名】鄭 凱云
(72)【発明者】
【氏名】丸井 信一
【審査官】大石 博見
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0254193(US,A1)
【文献】特開2008-028817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
H04L 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)通信プロトコル及びUSB通信プロトコルの一方である第一通信プロトコルで通信可能に第一機器と接続され、かつ、インターネットプロトコルである第二通信プロトコルに基づくネットワークに接続された第一変換器と、
前記第一通信プロトコルで通信可能に第二機器と接続され、かつ、前記ネットワークに接続された第二変換器と、
前記ネットワークに接続されたコントローラと、を備え、
前記第一変換器は、
前記第一機器から、前記第一通信プロトコルに基づく第一信号を入力する第一インタフェース部と、
前記ネットワークを介して、前記コントローラから前記第二変換器の前記ネットワーク上のアドレス情報を受信する第二インタフェース部と、
前記第一信号に前記アドレス情報を付加することにより、前記第一通信プロトコルに基づく前記第一信号を前記第二通信プロトコルに基づく第二信号に変換する第一変換部と、を備え、
前記第二インタフェース部は、前記ネットワークを介して前記第二変換器へ前記第二信号を送信し、
前記第二変換器は、
前記ネットワークを介して、前記第一変換器から前記第二信号を受信する第四インタフェース部と、
前記第二信号から前記アドレス情報を除去することにより、前記第二信号を前記第一信号に逆変換する第二変換部と、
前記第二変換部によって逆変換された前記第一信号を、前記第一通信プロトコルに基づいて前記第二機器に出力する第三インタフェース部と、を備え、
前記第二変換器の前記アドレス情報は、第二アドレス情報であり、
前記第一変換器の前記第一インタフェース部は、前記第一機器から第一機器情報を入力し、
前記第二変換器の前記第三インタフェース部は、前記第二機器から第二機器情報を入力し、
前記コントローラは、
前記ネットワークを介して、前記第一変換器から前記第一機器情報及び前記第一変換器の前記ネットワーク上の第一アドレス情報を受信し、かつ、前記第二変換器から前記第二機器情報及び前記第二アドレス情報を受信する第五インタフェース部と、
前記第一機器情報及び前記第二機器情報を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記第一機器情報及び前記第二機器情報に基づいて、前記第一機器及び前記第二機器のペアリングのための入力を受ける入力部と、を備え、
前記入力部が前記ペアリングのための入力を受けた場合に、前記第五インタフェース部は、前記ネットワークを介して、前記第一機器と前記第二機器との間で前記第一通信プロトコルに基づく接続を確立するため第一メッセージ及び前記第二アドレス情報を前記第一変換器に送信し、前記第一メッセージ及び前記第一アドレス情報を前記第二変換器に送信する、
ータ転送システム。
【請求項2】
前記第一変換器の前記第二インタフェース部は、前記第二変換器に前記第二信号の送信を開始するときに、前記コントローラに第二メッセージを送信し、
前記コントローラの前記表示部は、前記第五インタフェース部が前記第二メッセージを受信した場合に、前記第一機器情報の表示態様を変更する、
請求項に記載のデータ転送システム。
【請求項3】
前記コントローラの前記入力部は、前記第五インタフェース部が前記第二メッセージを受信した場合に、前記第一機器に対するペアリングのための入力を禁止する、
請求項に記載のデータ転送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)及び/又はUSB(Universal Serial Bus)により接続される機器間のデータ変換及びデータ転送に関する。
【背景技術】
【0002】
映像音響機器とその関連機器及び周辺機器とは、HDMI/USBケーブルで接続されることが多い。したがって、複数の部屋に離れて配置された機器同士を接続するためには、部屋をまたいでHDMI/USBケーブルを敷設する必要がある。
【0003】
住宅内のHDMI/USBケーブルの敷設は、外観及び費用の観点から問題となる場合がある。例えば、居間に設置されたBD(Blu-ray(登録商標) Disc)プレーヤと、寝室に設置されたテレビとを接続するために、居間及び寝室の壁面に沿ってHDMIケーブルを敷設すれば部屋の外観を損ない、壁の中にケーブルを敷設すれば多くの費用がかかる。また、寝室に設置されたテレビで視聴した番組を別の部屋に設置されたHDD(ハードディスクドライブ)に記録するために、USBケーブルを敷設するのも同様である。
【0004】
そこで、HDMI機器間又はUSB機器間の接続において、LAN(Local Area Network)で中継する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。これにより、HDMI/USB接続の一部分をLANに置き換えることができる。つまり、HDMI/USBケーブルの一部をLANケーブルに置き換えることができ、HDMI/USBケーブルの長さを削減することができる。LANケーブルは、HDMI/USBケーブルよりも取り回しが容易であるので、特許文献1では、機器接続のための配線の煩雑さを軽減することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2014-504063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術では、機器同士は一対一で固定的に接続されるため、機器の接続関係を変更することが難しい。例えば、居間に設置されたBDプレーヤと寝室に設置されたテレビとがLANを介してHDMI接続されている場合に、その接続を解除し、当該BDプレーヤを他の寝室に設置されたテレビに接続することは難しい。
【0007】
そこで、本発明は、離れて配置された複数の機器間の配線の煩雑さを軽減しつつ、複数の機器間のHDMI又はUSBによる接続関係を容易に変更することができる変換器又はデータ転送システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るデータ転送システムは、HDMI通信プロトコル及びUSB通信プロトコルの一方である第一通信プロトコルで通信可能に第一機器と接続され、かつ、インターネットプロトコルである第二通信プロトコルに基づくネットワークに接続された第一変換器と、前記第一通信プロトコルで通信可能に第二機器と接続され、かつ、前記ネットワークに接続された第二変換器と、前記ネットワークに接続されたコントローラと、を備え、前記第一変換器は、前記第一機器から、前記第一通信プロトコルに基づく第一信号を入力する第一インタフェース部と、前記ネットワークを介して、前記コントローラから前記第二変換器の前記ネットワーク上のアドレス情報を受信する第二インタフェース部と、前記第一信号に前記アドレス情報を付加することにより、前記第一通信プロトコルに基づく前記第一信号を前記第二通信プロトコルに基づく第二信号に変換する第一変換部と、を備え、前記第二インタフェース部は、前記ネットワークを介して前記第二変換器へ前記第二信号を送信し、前記第二変換器は、前記ネットワークを介して、前記第一変換器から前記第二信号を受信する第四インタフェース部と、前記第二信号から前記アドレス情報を除去することにより、前記第二信号を前記第一信号に逆変換する第二変換部と、前記第二変換部によって逆変換された前記第一信号を、前記第一通信プロトコルに基づいて前記第二機器に出力する第三インタフェース部と、を備え、前記第二変換器の前記アドレス情報は、第二アドレス情報であり、前記第一変換器の前記第一インタフェース部は、前記第一機器から第一機器情報を入力し、前記第二変換器の前記第三インタフェース部は、前記第二機器から第二機器情報を入力し、前記コントローラは、前記ネットワークを介して、前記第一変換器から前記第一機器情報及び前記第一変換器の前記ネットワーク上の第一アドレス情報を受信し、かつ、前記第二変換器から前記第二機器情報及び前記第二アドレス情報を受信する第五インタフェース部と、前記第一機器情報及び前記第二機器情報を表示する表示部と、前記表示部に表示された前記第一機器情報及び前記第二機器情報に基づいて、前記第一機器及び前記第二機器のペアリングのための入力を受ける入力部と、を備え、前記入力部が前記ペアリングのための入力を受けた場合に、前記第五インタフェース部は、前記ネットワークを介して、前記第一機器と前記第二機器との間で前記第一通信プロトコルに基づく接続を確立するため第一メッセージ及び前記第二アドレス情報を前記第一変換器に送信し、前記第一メッセージ及び前記第一アドレス情報を前記第二変換器に送信する。
【0009】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様に係る変換器は、離れて配置された複数の機器間の配線の煩雑さを軽減しつつ、複数の機器間のHDMI又はUSBによる接続関係を容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施の形態1に係るデータ転送システムのネットワーク構成図である。
図2図2は、実施の形態1に係るデータ転送システムの機能構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態1に係るコントローラの記憶部に格納された機器接続テーブルの一例を示す図である。
図4A図4Aは、実施の形態1に係るデータ転送システムのシーケンス図である。
図4B図4Bは、実施の形態1に係るデータ転送システムのシーケンス図である。
図5図5は、実施の形態1に係るデータ転送システムのシーケンス図である。
図6図6は、実施の形態1におけるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を示す図である。
図7図7は、実施の形態2に係る変換器の斜視図である。
図8図8は、実施の形態2に係るデータ転送システムの機能構成を示すブロック図である。
図9図9は、実施の形態2の変形例に係る変換器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0013】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0014】
(実施の形態1)
[データ転送システムのネットワーク構成]
まず、実施の形態1に係るデータ転送システムのネットワーク構成について説明する。図1は、実施の形態1に係るデータ転送システム1000のネットワーク構成図であり、後述するように、接続されるHDMI機器がHDMIソース機器であるかHDMIシンク機器であるかが認識された後の状態を示している。
【0015】
データ転送システム1000は、HDMIソース機器100a、100b、100cと、HDMIソース変換器200a、200b、200cと、コントローラ300と、HDMIシンク変換器400x、400y、400zと、HDMIシンク機器500x、500y、500zと、を備える。
【0016】
HDMIソース機器100a、100b、100cは、HDMI標準規格においてソースと定義される送信器である。例えば、HDMIソース機器100a、100b、100cの各々は、BDプレーヤ、DVDプレーヤ、HDD(Hard Disk Drive)レコーダ等であり、映像音響信号を送信する。なお、以降において、HDMIソース機器100a、100b、100cを特に区別する必要がない場合は、HDMIソース機器100と記載する。
【0017】
HDMIソース変換器200a、200b、200cは、HDMI変換器であり、HDMIソース機器100a、100b、100cが接続されたときに、HDMIソース変換器として機能する。HDMIソース変換器200a、200b、200cは、インターネットプロトコル(IP)に基づくネットワーク3000に接続されている。ネットワーク3000は、例えば、LAN、イントラネット、インターネット等である。さらに、HDMIソース変換器200a、200b、200cは、HDMI通信プロトコルで通信可能に、HDMIソース機器100a、100b、100cと個別に接続されている。具体的には、HDMIソース変換器200a、200b、200cは、それぞれHDMIケーブル2000a、2000b、2000cを介して、HDMIソース機器100a、100b、100cと個別に接続されている。HDMIケーブル2000a、2000b、2000cは、HDMI標準規格に準拠するケーブルである。なお、以降において、HDMIソース変換器200a、200b、200cを特に区別する必要がない場合は、HDMIソース変換器200と記載する。なお、HDMIソース機器とHDMIソース変換器との接続は必ずしも有線接続である必要はなく、無線接続であってもよい。
【0018】
コントローラ300は、ネットワーク3000に接続されており、HDMIソース機器100a、100b、100cと、HDMIシンク機器500x、500y、500zとの接続を制御する。コントローラ300は、例えばホームサーバ、タブレットコンピュータ、スマートフォン等である。
【0019】
HDMIシンク変換器400x、400y、400zは、HDMI変換器であり、HDMIシンク機器500x、500y、500zが接続されたときに、HDMIシンク変換器として機能する。HDMIシンク変換器400x、400y、400zは、ネットワーク3000に接続されている。さらに、HDMIシンク変換器400x、400y、400zは、HDMI通信プロトコルで通信可能に、HDMIシンク機器500x、500y、500zと個別に接続されている。具体的には、HDMIシンク変換器400x、400y、400zは、それぞれHDMIケーブル4000x、4000y、4000zを介して、HDMIシンク機器500x、500y、500zと個別に接続されている。HDMIケーブル4000x、4000y、4000zは、HDMI標準規格に準拠するケーブルである。なお、以降において、HDMIシンク変換器400x、400y、400zを特に区別する必要がない場合は、HDMIシンク変換器400と記載する。
【0020】
HDMIシンク機器500x、500y、500zは、HDMI標準規格においてシンクと定義される受信器である。例えば、HDMIシンク機器500x、500y、500zの各々は、テレビ、プロジェクタ等であり、映像音響信号を受信する。なお、以降において、HDMIシンク機器500x、500y、500zを特に区別する必要がない場合は、HDMIシンク機器500と記載する。なお、HDMIシンク機器とHDMIシンク変換器との接続は必ずしも有線接続である必要はなく無線接続であってもよい。
【0021】
ここでは、3つの部屋に分散して、HDMIソース機器及びHDMIシンク機器が配置されている。詳細には、HDMIソース機器100a、HDMIソース変換器200a、コントローラ300、HDMIシンク変換器400x、及びHDMIシンク機器500xは、第一部屋に配置されている。HDMIソース機器100b、HDMIソース変換器200b、HDMIシンク変換器400y、及びHDMIシンク機器500yは、第二部屋に配置されている。HDMIソース機器100c、HDMIソース変換器200c、HDMIシンク変換器400z、及びHDMIシンク機器500zは、第三部屋に配置されている。
【0022】
ここで、HDMIソース変換器200及びHDMIシンク変換器400は、単にネットワーク3000に接続されているのみではHDMI変換器であり、HDMIケーブルを介して物理的に接続される機器に応じてHDMIソース変換器あるいはHDMIシンク変換器として機能する。例えば、電源がONされたHDMIソース機器100又はHDMIシンク機器500が、HDMI変換器にケーブル接続された際に、HDMI変換器は、HDMIソース変換器200又はHDMIシンク変換器500として機能する。このとき、HDMI変換器は、HDMIケーブルにおける電源ラインの状態に基づいて、HDMIソース機器100及びHDMIシンク機器500のどちらが接続されたかを自動的に判別する。例えば、電源ラインを介してHDMI機器からHDMI変換器に5V電源が供給されている場合に、そのHDMI変換器は、接続されたHDMI機器をHDMIソース機器100と判別する。その結果、HDMI変換器は、HDMIソース変換器200として機能する。また、電源ラインを介してHDMI機器からHDMI変換器に5V電源が引き込まれている場合に、そのHDMI変換器は、接続されたHDMI機器をHDMIシンク機器500と判別する。その結果、HDMI変換器は、HDMIシンク変換器400として機能する。
【0023】
[データ転送システムの機能構成]
次に、本実施の形態に係るデータ転送システム1000の機能構成について説明する。図2は、実施の形態1に係るデータ転送システム1000の機能構成を示すブロック図である。
【0024】
図2に示すように、データ転送システム1000は、HDMIソース機器100と、HDMIソース変換器200と、コントローラ300と、HDMIシンク変換器400と、HDMIシンク機器500と、を備える。以下に、データ転送システム1000を構成する各装置の機能構成について詳細に説明する。
【0025】
[HDMIソース機器の機能構成]
HDMIソース機器100は、第一機器の一例である。HDMIソース機器100は、HDMI通信プロトコルに基づく第一信号をHDMIソース変換器200に出力する。
【0026】
第一信号は、映像信号、音響信号、制御信号又はそれらの任意の組合せである。より具体的には、第一信号は、例えばTMDS(Transition Minimized Differential Signaling)により伝送され、HDCP(High-bandwidth Digital Content Protection)により暗号化されるデジタル映像信号である。また、第一信号は、機器間認証で用いられるDDC(Display Data Channel)信号であってもよい。また、第一信号は、制御信号として用いられるCEC(Consumer Electronics Control)信号であってもよい。
【0027】
[HDMIソース変換器の機能構成]
HDMIソース変換器200は、第一変換器の一例である。HDMIソース変換器200は、HDMIインタフェース部210と、変換部220と、IPインタフェース部230と、を備える。
【0028】
HDMIインタフェース部210は、第一インタフェース部の一例であり、HDMI通信プロトコルに基づく第一信号をHDMIソース機器100から入力する。
【0029】
変換部220は、第一変換部の一例であり、HDMIインタフェース部210に入力された第一信号に、コントローラ300から受信したネットワーク3000上のアドレス情報を付加することにより、HDMI通信プロトコルに基づく第一信号をインターネットプロトコルに基づく第二信号に変換する。アドレス情報は、例えばIPアドレス、MAC(Media Access Control)アドレス等を示す情報である。具体的には、変換部220は、コントローラ300から受信したアドレス情報を宛先のアドレス情報として第一信号に付加する。したがって、第二信号は、コントローラ300から受信したアドレスをインターネットプロトコルに基づく宛先のアドレスとして持っている。なお、変換部220は、コントローラ300から受信したアドレス情報と異なる情報を第一信号に付加してもよいし、第一信号に含まれる情報を削除してもよい。例えば、変換部220は、コントローラ300から受信したアドレス情報に加えて、HDMIソース変換器200のアドレス情報を送信元のアドレス情報として第一信号に付加してもよい。
【0030】
IPインタフェース部230は、第二インタフェース部の一例であり、ネットワーク3000を介して、コントローラ300から、HDMIシンク変換器400のネットワーク3000上のアドレス情報を受信する。さらに、IPインタフェース部230は、ネットワーク3000を介して、変換部220によって変換された第二信号をHDMIシンク変換器400に送信する。
【0031】
[コントローラの機能構成]
コントローラ300は、IPインタフェース部310と、制御部320と、記憶部330と、表示部340と、入力部350と、を備える。
【0032】
IPインタフェース部310は、第五インタフェース部の一例である。IPインタフェース部310は、ネットワーク3000を介して、HDMIソース変換器200から、HDMIソース機器100の機器情報及びHDMIソース変換器200のアドレス情報を受信する。また、IPインタフェース部310は、ネットワーク3000を介して、HDMIシンク変換器400から、HDMIシンク機器500の機器情報及びHDMIシンク変換器400のアドレス情報を受信する。機器情報は、例えば、機器の識別情報及び機器の種別を含む。機器の種別は、例えばソース又はシンクを示す。
【0033】
さらに、IPインタフェース部310は、HDMIソース変換器200のアドレス情報をHDMIシンク変換器400に送信し、HDMIシンク変換器400のアドレス情報をHDMIソース変換器200に送信する。
【0034】
制御部320は、HDMIソース機器100の機器情報及びHDMIシンク機器500の機器情報を記憶部330に格納する。例えば、制御部320は、HDMIソース機器100及びHDMIシンク機器500の機器情報を機器接続テーブルに記録する。
【0035】
記憶部330は、HDMI機器の接続を管理するための機器接続テーブルを記憶している。図3は、実施の形態1における機器接続テーブル330aの一例を示す図である。機器接続テーブル330aは、機器ID331、種別332、IPアドレス333、機器名称334、部屋名称335、接続機器ID336及び使用状態337を含む。
【0036】
機器ID331は、HDMI機器の識別情報である。図3では、A~C及びX~Zで識別される6つのHDMI機器が登録されている。なお、これらのA~C及びX~Zの6つのHDMI機器は、図1のHDMIソース機器100a、100b、100c及びHDMIシンク機器500x、500y、500zに一対一で対応する。
【0037】
種別332は、HDMI機器がソースであるかシンクであるかを示す情報である。図3では、例えば機器ID「A」を有するHDMI機器の種別が「ソース」であることが示されている。
【0038】
IPアドレス333は、HDMI機器に接続された変換器のネットワーク3000上のアドレス情報である。図3では、例えば機器ID「A」を有するHDMI機器に接続された変換器のIPアドレスが「192.168.0.11」であることが示されている。
【0039】
機器名称334は、HDMI機器の名称情報である。図3では、例えば機器ID「A」を有するHDMI機器の名称が「BDプレーヤ1」であることが示されている。
【0040】
部屋名称335は、HDMI機器が設置されている部屋の名称情報である。図3では、例えば機器ID「A」を有するHDMI機器が「第一部屋」に設置されていることが示されている。この部屋名称335は、HDMI機器から取得することが難しいので、例えば、ユーザ入力によって取得される。
【0041】
接続機器ID336は、接続先の機器の識別情報である。図3では、例えば機器ID「A」を有するHDMI機器に、機器ID「Y」を有するHDMI機器が接続されていることが示されている。
【0042】
使用状態337は、HDMI機器が使用されているか否かを示す情報である。例えば、HDMI接続された機器間で映像信号が通信されていれば、使用状態337には「1」が記録され、そうでなければ「0」が記録される。図3では、例えば機器ID「A」及び「Y」を有するHDMI機器間で映像信号が通信されていることが示されている。
【0043】
表示部340は、例えば液晶ディスプレイであり、機器情報を表示する。本実施の形態では、制御部320は、記憶部330に記憶されている機器接続テーブル330aを参照して、表示部340に機器リストを表示する。
【0044】
入力部350は、例えばタッチパネルであり、表示部340に表示された機器情報に基づいて、HDMI機器のペアリングのための入力を受ける。なお、表示部340及び入力部350は、タッチスクリーンによって実現されてもよい。この場合、入力部350は、表示部340に表示されたGUIに対するタッチ入力によりペアリングのための入力を受けてもよい。
【0045】
[HDMIシンク変換器の機能構成]
HDMIシンク変換器400は、第二変換器の一例である。HDMIシンク変換器400は、HDMIインタフェース部410と、変換部420と、IPインタフェース部430と、を備える。
【0046】
HDMIインタフェース部410は、第三インタフェース部の一例であり、HDMI通信プロトコルに基づく第一信号をHDMIシンク機器500に出力する。
【0047】
変換部420は、第二変換部の一例であり、IPインタフェース部430で受信された第二信号からアドレス情報を除去することにより、インターネットプロトコルに基づく第二信号をHDMI通信プロトコルに基づく第一信号に逆変換する。
【0048】
IPインタフェース部430は、第四インタフェース部の一例であり、ネットワーク3000を介して、HDMIソース変換器200から第二信号を受信する。
【0049】
[HDMIシンク機器の機能構成]
HDMIシンク機器500は、第二機器の一例であり、HDMI通信プロトコルに基づく第一信号を入力し、第一信号に基づいて処理を行う。例えば、第一信号が映像音響信号である場合、HDMIシンク機器500は、第一信号に基づいて、映像を表示し音を出力する。また例えば、第一信号が制御信号である場合、HDMIシンク機器500は、制御信号に基づいて当該機器の動作を制御する。
【0050】
[データ転送システムの動作]
以上のように構成されたデータ転送システム1000の動作について、図4A図6を参照して具体的に説明する。
【0051】
図4A図4B及び図5は、実施の形態1に係るデータ転送システム1000のシーケンス図である。図6は、実施の形態1におけるGUIの一例を示す図である。
【0052】
図4Aに示すように、まず、HDMI変換器に、電源ONされたHDMIソース機器100がHDMIケーブルを介して接続される(S12)。このとき、HDMI変換器は、電源ラインの状態に基づいて、接続された機器の種別を判別する(S14)。ここでは、当該HDMI変換器は、接続された機器をHDMIソース機器100と判別する。その結果、HDMI変換器は、HDMIソース変換器200として機能する(S16)。
【0053】
同様に、HDMI変換器に電源ONされたHDMIシンク機器500がHDMIケーブルを介して接続される(S22)。このとき、HDMI変換器は、電源ラインの状態に基づいて、接続された機器の種別を判別する(S24)。ここでは、当該HDMI変換器は、接続された機器をHDMIシンク機器500と判別する。その結果、HDMI変換器は、HDMIシンク変換器400として機能する(S26)。
【0054】
以降の図面及び説明では、HDMIソース機器100に接続されたHDMI変換器をHDMIソース変換器200と記載し、HDMIシンク機器500に接続されたHDMI変換器をHDMIシンク変換器400と記載する。
【0055】
その後、図4Bに示すように、HDMIソース機器100の電源が再びONされると(S102)、HDMIソース変換器200のHDMIインタフェース部210は、HDMIソース機器100から第一機器情報を取得する。HDMIソース変換器200のIPインタフェース部230は、取得した第一機器情報をコントローラ300に送信する(S106)。同様に、HDMIシンク機器500の電源が再びONされると(S104)、HDMIシンク変換器400は、HDMIシンク機器500から第二機器情報を取得し、取得した第二機器情報をコントローラ300に送信する(S108)。
【0056】
コントローラ300の制御部320は、第一機器情報及び送信元のIPアドレスと、第二機器情報及び送信元のIPアドレスとを機器接続テーブル330aに登録する(S110)。ここで、部屋名称の情報が第一機器情報及び第二機器情報に含まれていない場合は、ユーザに部屋名称の入力を求めてもよい。
【0057】
続いて、制御部320は、機器接続テーブル330aに基づいて機器リストを表示部340に表示する(S112)。例えば、図6の(a)に示すように、制御部320は、ソース機器とシンク機器とを区別して、機器名称及び部屋名称を含む機器リストを表示部340に表示する。
【0058】
入力部350は、HDMIソース機器100とHDMIシンク機器500とのペアリングのための入力を受ける(S114)。例えば、図6の(b)に示すように、入力部350は、ペアリングの対象となるHDMIソース機器を起点としたHDMIシンク機器の方向へのフリック入力を、ペアリングのための入力として受ける。なお、フリック入力は、ペアリングのための入力の一例であり、HDMI機器のペアを特定できればどのような入力であってもよい。
【0059】
制御部320は、機器接続テーブル330aの接続機器ID336を更新するとともに、表示部340に表示された機器リストを更新する(S116)。例えば、機器IDが「A」及び「Y」の機器のペアリングのための入力を入力部350が受けた場合、制御部320は、図3に示すように、機器ID「A」の接続機器ID336に「Y」を記録し、機器ID「Y」の接続機器ID336に「A」を記録する。さらに、制御部320は、例えば図6の(c)に示すように、表示部340に表示された機器リストの「A」及び「Y」に対応する機器情報の間に接続線を表示する。
【0060】
制御部320は、IPインタフェース部310を介して、ペアリング入力によって選択されたHDMIソース機器100及びHDMIシンク機器500に対応するIPアドレスを有するHDMIソース変換器200及びHDMIシンク変換器400に接続指示メッセージを送信する(S118)。接続指示メッセージは、第一メッセージの一例である。このとき、制御部320は、HDMIソース変換器200にはHDMIシンク変換器400のIPアドレスを送信し、HDMIシンク変換器400にはHDMIソース変換器200のIPアドレスを送信する。
【0061】
この接続指示メッセージに応じて、HDMIソース機器100とHDMIシンク機器500とのHDMI接続のための処理が行われる。HDMI接続のための処理は、HDMI標準規格に基づく処理である。このとき、HDMIソース機器100とHDMIシンク機器500との間で通信されるHDMI信号は、HDMIソース変換器200及びHDMIシンク変換器400によってIP信号に変換され、ネットワーク3000を介して通信される。
【0062】
次に、図5に示すように、HDMIソース機器100及びHDMIシンク機器500の間のHDMI接続が確立されると、HDMIソース機器100は、HDMI通信プロトコルに基づく第一信号の出力を開始する(S124)。例えば、HDMIソース機器100は、HDMIケーブルを介して映像信号をHDMIソース変換器200に出力する。
【0063】
HDMIソース変換器200の変換部220は、HDMIインタフェース部210を介して受信した第一信号にHDMIシンク変換器400のアドレス情報を付加する。これにより、変換部220は、HDMI通信プロトコルに基づく第一信号をインターネットプロトコルに基づく第二信号に変換する(S126)。具体的には、変換部220は、HDMIシンク変換器400のIPアドレスを宛先IPアドレスとして第一信号に付加する。
【0064】
HDMIソース変換器200のIPインタフェース部230は、通信開始メッセージをコントローラ300に送信し、第二信号をHDMIシンク変換器400に送信する。この通信開始メッセージは、第二メッセージの一例である。
【0065】
HDMIシンク変換器400の変換部420は、IPインタフェース部430を介して受信した第二信号からアドレス情報を除去することにより、第二信号を第一信号に逆変換する(S128)。逆変換された第一信号は、HDMIインタフェース部410を介してHDMIシンク機器500に出力される。
【0066】
HDMIシンク機器500は、第一信号に基づいて映像を表示する(S130)。
【0067】
また、コントローラ300の制御部320は、通信開始メッセージに基づいて、機器接続テーブル330aの使用状態337を更新し、表示部340に表示された機器リストを更新する(S132)。例えば、機器IDが「A」のHDMIソース機器100に対応するHDMIソース変換器200から通信開始メッセージを受信した場合、制御部320は、図3に示すように、機器ID「A」及び「Y」の使用状態337に「1」を記録する。さらに、制御部320は、図6の(d)に示すように、表示部340に表示された機器リストの「A」及び「Y」に対応する機器情報の表示態様を変更して、例えば機器情報をグレーアウトする。さらに、入力部350は、機器リストの「A」及び「Y」に対応する機器情報に対するペアリングのための入力を禁止する。つまり、「A」及び「Y」の機器間のHDMI接続の解除が禁止される。
【0068】
HDMIソース機器100は、第一信号の出力を終了する(S134)。このとき、HDMIソース変換器200のIPインタフェース部230は、通信終了メッセージをコントローラ300に送信する。
【0069】
コントローラ300の制御部320は、通信終了メッセージに基づいて、機器接続テーブル330aの使用状態337を更新し、表示部340に表示された機器リストを更新する(S136)。例えば、機器IDが「A」のHDMIソース機器100に対応するHDMIソース変換器200から通信終了メッセージを受信した場合、制御部320は、機器ID「A」及び「Y」の使用状態337に「0」を記録する。さらに、制御部320は、図6の(c)に示すように、表示部340に表示された機器リストの「A」及び「Y」に対応する機器情報のグレーアウトを解除する。これにより、機器リストの「A」及び「Y」に対応する機器情報に対するペアリングのための入力が許可される。つまり、「A」及び「Y」の機器間のHDMI接続の解除が許可される。
【0070】
なお、ステップS106又はS108において送信された機器情報が既に機器接続テーブル330aに登録されている場合には、制御部320は、当該機器情報に含まれる機器IDの接続機器IDを参照して接続指示メッセージを送信してもよい。
【0071】
[効果等]
以上のように、本実施の形態に係るデータ転送システム1000は、HDMIソース機器100と、HDMI通信プロトコルで通信可能にHDMIソース機器100と接続され、かつ、インターネットプロトコルに基づくネットワーク3000に接続されたHDMIソース変換器200と、HDMIシンク機器500と、HDMI通信プロトコルで通信可能にHDMIシンク機器500と接続され、かつ、ネットワーク3000に接続されたHDMIシンク変換器400と、ネットワーク3000に接続されたコントローラ300と、を備える。HDMIソース変換器200は、HDMIソース機器100から、HDMI通信プロトコルに基づく第一信号を入力するHDMIインタフェース部210と、ネットワーク3000を介して、コントローラ300からHDMIシンク変換器400のネットワーク3000上のアドレス情報を受信するIPインタフェース部230と、第一信号にアドレス情報を付加することにより、HDMI通信プロトコルに基づく第一信号をインターネットプロトコルに基づく第二信号に変換する変換部220と、を備える。IPインタフェース部230は、ネットワーク3000を介してHDMIシンク変換器400へ第二信号を送信する。また、HDMIシンク変換器400は、ネットワーク3000を介して、HDMIソース変換器200から第二信号を受信するIPインタフェース部430と、第二信号からアドレス情報を除去することにより、第二信号を第一信号に逆変換する変換部420と、変換部420によって逆変換された第一信号を、HDMI通信プロトコルに基づいてHDMIシンク機器500に出力するHDMIインタフェース部410と、を備える。
【0072】
これによれば、HDMIソース機器100及びHDMIシンク機器500の間の通信にインターネットプロトコルに基づくネットワーク3000を利用することができ、HDMIケーブルによる配線の煩雑さを軽減することができる。さらに、HDMIソース変換器200は、コントローラ300から受信したアドレス情報を第一信号に付加することにより第一信号を第二信号に変換することができる。したがって、コントローラ300からHDMIソース変換器200に送信されるアドレス情報を変更することで、HDMIソース変換器200から送信される第二信号の宛先アドレスを変更することができる。なお、HDMIソース変換器200及びHDMIシンク変換器400には、HDMIソース機器100及びHDMIシンク機器500に接続される。したがって、第二信号の宛先アドレスを変更することで、HDMIソース機器100から送信される第一信号が到達するHDMIシンク機器500を変更することができる。つまり、コントローラ300からHDMIソース変換器200に送信されるアドレス情報を変更することで、HDMIソース機器100とHDMIシンク機器500との間の接続関係を容易に変更することができる。
【0073】
また、本実施の形態に係るデータ転送システム1000において、HDMIソース変換器200のHDMIインタフェース部210は、HDMIソース機器100から第一機器情報を入力し、HDMIシンク変換器400のHDMIインタフェース部410は、HDMIシンク機器500から第二機器情報を入力する。コントローラ300は、ネットワーク3000を介して、HDMIソース変換器200から第一機器情報及びHDMIソース変換器200のネットワーク3000上の第一アドレス情報を受信し、かつ、HDMIシンク変換器400から第二機器情報及びHDMIシンク変換器400のネットワーク3000上の第二アドレス情報を受信するIPインタフェース部310と、第一機器情報及び第二機器情報を表示する表示部340と、表示部340に表示された第一機器情報及び第二機器情報に基づいて、HDMIソース機器100及びHDMIシンク機器500のペアリングのための入力を受ける入力部350と、を備える。入力部350がペアリングのための入力を受けた場合に、IPインタフェース部310は、ネットワーク3000を介して、HDMIソース機器100とHDMIシンク機器500との間でHDMI通信プロトコルに基づく接続を確立するため接続指示メッセージ及び第二アドレス情報をHDMIソース変換器200に送信し、接続指示メッセージ及び第一アドレス情報をHDMIシンク変換器400に送信する。
【0074】
これによれば、コントローラ300は、表示された第一機器情報及び第二機器情報に基づいて、HDMIソース機器100及びHDMIシンク機器500のペアリングのための入力を受けることができる。そして、このペアリングための入力に基づいて、第一アドレス情報及び第二アドレス情報をHDMIシンク変換器400及びHDMIソース変換器200に送信することができ、HDMIソース機器100及びHDMIシンク機器500の間のHDMI接続を確立することができる。つまり、コントローラ300は、ペアリングのための入力に基づいて、HDMIソース機器とHDMIシンク機器との接続を容易に変更することができる。
【0075】
また、本実施の形態に係るデータ転送システム1000において、HDMIソース変換器200のIPインタフェース部230は、HDMIシンク変換器400に第二信号の送信を開始するときに、コントローラ300に通信開始メッセージを送信し、コントローラ300の表示部340は、IPインタフェース部310が通信開始メッセージを受信した場合に、第一機器情報の表示態様を変更する。
【0076】
これによれば、コントローラ300は、通信開始メッセージに応じて第一機器情報の表示態様を変更することができる。したがって、ユーザは、HDMIソース機器100の使用状態を視認することができ、ペアリングのための入力を適切に行うことができる。
【0077】
また、本実施の形態に係るデータ転送システム1000において、コントローラ300の入力部350は、IPインタフェース部310が通信開始メッセージを受信した場合に、HDMIソース機器100に対するペアリングのための入力を禁止する。
【0078】
これによれば、HDMI通信プロトコル及びインターネットプロトコルに基づいて信号が通信されているHDMIソース機器100及びHDMIシンク機器500の間の接続がペアリングのための入力によって突然解除されることを防ぐことができる。
【0079】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態では、ネットワーク通信に電力線通信(PLC)を用いる点が、上記実施の形態1と異なる。本実施の形態2に係るHDMIソース変換器及びデータ転送システムについて、上記実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0080】
[変換器のハードウェア構成]
図7は、実施の形態2に係るHDMIソース変換器200A及びHDMIシンク変換器400Aの斜視図である。図7において、外部から見えない構造は破線で表されている。
【0081】
HDMIソース変換器200A及びHDMIシンク変換器400Aは、電子基板40を収容する筐体10と、電力ソケット20と、HDMIソケット30と、を備える。
【0082】
筐体10は、例えば樹脂製であり、略直方体形状の箱体である。なお、筐体10の形状は、どのような形状でもよく、これに限定されない。
【0083】
電力ソケット20は、第一ソケットの一例である。電力ソケット20は、交流電力を供給するためのソケットであり、筐体10の第一面に配置されている。電力ソケット20には、例えばHDMIソース機器100の電力プラグが挿入される。
【0084】
HDMIソケット30は、第二ソケットの一例であり、筐体10の第二面に配置されている。本実施の形態では、第二面は、第一面と異なる面であり、第一面に隣接する面である。HDMIソケット30には、HDMIケーブルのHDMI接続プラグが挿入される。
【0085】
電子基板40は、電子回路が実装された基板であり、変換部220、420等として機能する。
【0086】
[データ転送システムの機能構成]
次に、本実施の形態に係るデータ転送システムの機能構成について図8を参照して説明する。図8は、実施の形態2に係るデータ転送システム1000Aの機能構成を示すブロック図である。図8において太線は電力線を表す。
【0087】
データ転送システム1000Aは、HDMIソース機器100と、HDMIソース変換器200Aと、コントローラ300と、HDMIシンク変換器400と、HDMIシンク機器500と、PLCモデム600と、を備える。以下に、データ転送システム1000Aの各構成要素について実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0088】
[HDMIソース変換器の機能構成]
HDMIソース変換器200Aは、HDMIインタフェース部210Aと、変換部220と、IPインタフェース部230と、電力線通信部240Aと、電力供給部250Aと、を備える。
【0089】
HDMIインタフェース部210Aは、HDMIソケット30を介してHDMIソース機器100から第一信号を入力する。
【0090】
IPインタフェース部230Aは、電力線通信部240Aを備える。電力線通信部240Aは、電力線を通信回線として用いるために、第二信号に基づいて所定の搬送信号を変調して変調信号を電力線に出力する。これにより、第二信号は、ネットワーク3000を介してHDMIシンク変換器400Aに送信される。なお、変調方式は、特に限定されず、従来技術が用いられればよい。
【0091】
電力供給部250Aは、HDMIソース機器100に電力を供給する。本実施の形態では、電力供給部250Aは、電力ソケット20を介してHDMIソース機器100に電力を供給する。
【0092】
[HDMIシンク変換器の機能構成]
HDMIシンク変換器400Aは、HDMIインタフェース部410Aと、変換部420と、IPインタフェース部430と、電力線通信部440Aと、電力供給部450Aと、を備える。
【0093】
HDMIインタフェース部410Aは、HDMIソケット30を介してHDMIシンク機器500に第一信号を出力する。
【0094】
IPインタフェース部430Aは、電力線通信部440Aを備える。電力線通信部440Aは、電力線から得られる変調信号を復調することにより、第二信号を取得する。第二信号は、変換部420に入力され、第一信号に逆変換される。
【0095】
電力供給部450Aは、HDMIシンク機器500に電力を供給する。本実施の形態では、電力供給部450Aは、電力ソケット20を介してHDMIシンク機器500に電力を供給する。
【0096】
[PLCモデムの機能構成]
PLCモデム600は、コントローラ300のIPインタフェース部310から送信された信号に基づいて所定の搬送信号を変調して変調信号を電力線に出力する。また、PLCモデム600は、電力線から入力された変調信号を復調してIPインタフェース部310に出力する。これにより、コントローラ300は、PLCモデム600を介して、電力線を通信回線として用いることができる。
【0097】
なお、PLCモデム600はコントローラ300に含まれてもよい。また、図8では、電源を供給するラインと、PLCで使用するラインとが同一であったが、これらは別々であってもよい。この場合、PCLに用いられるラインで供給される電力は、交流電力に限られず、直流電力であってもよい。
【0098】
[効果等]
以上のように、本実施の形態に係るHDMIソース変換器200A及びHDMIシンク変換器400Aは、第二信号に基づいて所定の搬送信号を変調して変調信号を電力線に出力する電力線通信部240Aを備える。
【0099】
これにより、HDMIソース機器100及びHDMIシンク機器500等に電力を供給するために必要な電力線を通信回線として利用することができる。したがって、ネットワーク3000のためのケーブル(例えばLANケーブル)を省略することができ、配線の煩雑さをさらに軽減することができる。
【0100】
また、本実施の形態に係るHDMIソース変換器200A及びHDMIシンク変換器400Aは、電力線通信部240A及び変換部220を収容する筐体10と、筐体10の第一面に配置された電力供給のための電力ソケット20と、筐体10の第二面に配置されたHDMIソケット30と、を備え、HDMIインタフェース部210Aは、HDMIソケット30を介して第一信号を入力する。
【0101】
これにより、電力ソケット20及びHDMIソケット30を同一の筐体10に設けることができ、HDMIソース変換器200A又はHDMIシンク変換器400Aを例えば電源タップ(power strip)として実現することができる。その結果、さらに配線の煩雑さを軽減することができる。
【0102】
(実施の形態2の変形例)
上記実施の形態2では、電力ソケットとHDMIソケットとが異なる面に配置されていたが、同一の面に配置されてもよい。本変形例では、このようなHDMIソース変換器200A及びHDMIシンク変換器400Aのハードウェア構成について図9を参照しながら説明する。
【0103】
図9は、実施の形態2の変形例に係る変換器の斜視図である。図9に示すように、HDMIソース変換器200A及びHDMIシンク変換器400Aは、筐体10Aと、電力ソケット20と、HDMIソケット30Aと、電子基板40とを備える。
【0104】
筐体10Aの壁面に露出する前面には、電力ソケット20に加えてHDMIソケット30Aが配置されている。筐体10Aは、壁に埋め込まれる。
【0105】
以上のように、本変形例に係るHDMIソース変換器200A及びHDMIシンク変換器400Aにおいて、電力ソケット20が配置された第一面とHDMIソケット30Aが配置された第二面とは、同一の面である。
【0106】
これにより、電力ソケット20及びHDMIソケット30Aを筐体10の同一の面に設けることができ、HDMIソース変換器200A及びHDMIシンク変換器400Aを壁埋め込み型の電源コンセント(wall-embedded power outlet)として実現することができる。
【0107】
(他の実施の形態)
以上、本発明の1つまたは複数の態様に係るデータ転送システム及び変換器について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の1つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0108】
例えば、上記各実施の形態では、機器と変換器とはHDMIによって接続されていたが、USBによって接続されてもよい。この場合、HDMIソース機器及びHDMIシンク機器は、それぞれUSBホスト機器またはUSBデバイス機器に置き換えられる。HDMI変換器も同様にUSBに対応するUSB変換器に置き換えられる。ただし、USBで接続される場合、接続された機器がホスト機器であるか、デバイス機器であるかの判別方法は、HDMI接続の場合と違うところがある。
【0109】
以下、USB接続における接続機器の判別方法についての説明を補足する。USBコネクタとしては、Type―A、Type-B(ミニ、マイクロ等を含む)、Type-Cなどが現状存在している。
【0110】
Type-AのUSBコネクタに接続される機器はデバイス機器に限定され、Type-BのUSBコネクタに接続される機器はホスト機器に限定される。したがって、Type-AのUSBコネクタに接続された機器は固定的にデバイス機器と判別され、Type-BのUSBコネクタに接続された機器は固定的にホスト機器と判別される。一方、Type-CのUSBコネクタは、ホスト機器及びデバイス機器の両方が接続されうる。そこで、USBコネクタ中のCC信号に基づいて、Type-CのUSBコネクタに接続された機器がホスト機器及びデバイス機器のどちらであるかが判別される。
【0111】
USB変換器は、それらの判別結果を示す情報をコントローラ300に伝える。その結果、コントローラ300は、HDMIにおけるソース機器及びシンク機器と同様に、ホスト機器及びデバイス機器が区別してリストアップされた機器リストを表示することができる。さらに、コントローラ300は、HDMIの場合と同様に、ホスト機器とデバイス機器とをペアリングするための入力をユーザから受けることができる。
【0112】
このように、HDMIの代わりにUSBが用いられる場合であっても、USBホスト機器及びUSBデバイス機器の間の通信にインターネットプロトコルに基づくネットワーク3000を利用することができ、USBケーブルによる配線の煩雑さを軽減することができる。また、HDMIの場合と同様に、USBホスト機器及びUSBデバイス機器の間の接続関係を容易に変更することもできる。なお、この場合、上記実施の形態2及びその変形例では、HDMIソケットの代わりにUSBコネクタが筐体の表面に配置されればよい。なお、上に述べたように、Type-CのUSBコネクタが配置された場合は、ホスト機器及びデバイス機器の両方を接続できるが、Type-A又はType-BのUSBコネクタが配置された場合は、接続される機器の種類が限定される。
【0113】
なお、HDMI機器の代わりにUSB機器が変換器に接続されるのではなく、HDMI機器及びUSB機器の両方が変換器に接続されてもよい。この場合、変換器は、HDMI機器及びUSB機器の各々のためのインタフェース部を備えればよい。また、HDMIソケット及びUSBコネクタの両方が筐体の表面に配置されればよい。
【0114】
なお、上記各実施の形態では、コントローラが機器接続テーブルを用いて機器間の接続を管理していたが、接続管理方法はこれに限られない。例えば、変換器が個別に接続を管理してもよい。例えば、変換器が接続機器ID及びアドレス情報を保持し、コントローラからの要求に応じてコントローラに接続機器ID及びアドレス情報を提供してもよい。この場合でも、上記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0115】
なお、上記各実施の形態では、第一信号が映像信号又は映像音響信号である場合を中心に説明したが、第一信号はこれに限られない。第一信号は、例えば制御信号であってもよい。この場合、第一信号は、HDMIソース機器からHDMIシンク機器へだけでなく、HDMIシンク機器からHDMIソース機器へ送信されてもよい。つまり、HDMIソース変換器及びHDMIシンク変換器の変換部は、ともに、第一信号から第二信号への変換及び第二信号から第一信号への逆変換を行ってもよい。この場合、HDMIソース変換器とHDMIシンク変換器とは区別されなくてもよい。
【0116】
なお、上記各実施の形態では、データ転送システムは、1つのコントローラを備えていたが、複数のコントローラを備えてもよい。この場合、複数のコントローラのうちの1つが主コントローラとして機能し、残りのコントローラが副コントローラとして機能してもよい。例えば、主コントローラは、上記各実施の形態におけるコントローラと同等の機能を有し、さらに、機器接続テーブルを副コントローラに配信してもよい。
【0117】
なお、上記各実施の形態では、データ転送システムは、HDMIソース機器及びHDMIシンク機器を含んでいたが、これに限られない。データ転送システムは、HDMIソース機器及びHDMIシンク機器を含まなくてもよい。この場合、データ転送システムは、コントローラと、HDMIソース変換器と、HDMIシンク変換器と、を備える。
【0118】
また、上記各実施の形態におけるHDMIソース変換器及びHDMIシンク変換器が備える構成要素の一部または全部は、専用の電子回路で実現されてもよいし、汎用プロセッサ及びメモリで実現されてもよい。専用の電子回路は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)であってもよい。例えば、HDMIソース変換器200は、変換部220を有するシステムLSIから構成されてもよい。
【0119】
また、本発明の一態様は、このようなデータ転送システム及び変換器だけではなく、データ転送システム及び変換器に含まれる特徴的な構成部をステップとするデータ転送方法及び変換方法であってもよい。また、本発明の一態様は、データ転送方法又は変換方法に含まれる特徴的な各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであってもよい。また、本発明の一態様は、そのようなコンピュータプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体であってもよい。
【0120】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0121】
HDMI通信プロトコル又はUSB通信プロトコルに基づく信号をインターネットプロトコルに基づくネットワークを介して転送することができるデータ転送システム及び変換器として利用することができる。
【符号の説明】
【0122】
10、10A 筐体
20 電力ソケット
30、30A HDMIソケット
40 電子基板
100、100a、100b、100c HDMIソース機器
200、200A、200a、200b、200c HDMIソース変換器
210、210A、410、410A HDMIインタフェース部
220、420 変換部
230、230A、310、430、430A IPインタフェース部
240A、440A 電力線通信部
250A、450A 電力供給部
300 コントローラ
320 制御部
330 記憶部
330a 機器接続テーブル
340 表示部
350 入力部
400、400A、400x、400y、400z HDMIシンク変換器
500、500x、500y、500z HDMIシンク機器
600 PLCモデム
1000、1000A データ転送システム
2000a、2000b、2000c、4000x、4000y、4000z HDMIケーブル
3000 ネットワーク
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9