(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】クランプ及びクランプ付ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/30 20060101AFI20220114BHJP
H02G 3/32 20060101ALI20220114BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20220114BHJP
F16B 2/08 20060101ALI20220114BHJP
F16F 15/04 20060101ALI20220114BHJP
F16F 15/073 20060101ALI20220114BHJP
F16F 1/20 20060101ALI20220114BHJP
H01B 7/40 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
H02G3/30
H02G3/32
H01B7/00 301
F16B2/08 U
F16F15/04 A
F16F15/073
F16F1/20
H01B7/40 307Z
(21)【出願番号】P 2018240849
(22)【出願日】2018-12-25
【審査請求日】2021-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】北原 裕太
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-303621(JP,A)
【文献】特開2005-172229(JP,A)
【文献】特開2009-68515(JP,A)
【文献】特開2003-120862(JP,A)
【文献】特開2010-173400(JP,A)
【文献】特開2015-82870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/30
H02G 3/32
H01B 7/00
F16B 2/08
F16F 15/04
F16F 15/073
F16F 1/20
H01B 7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤハーネスを保持する保持部と、
前記保持部の外周面の一部に設けられ、被固定部に固定される固定部と、を有し、
前記固定部は、
土台部と、
前記土台部から前記保持部と離間する方向に延びる支軸と、
前記支軸の先端に設けられ、前記被固定部に係止可能に形成された係止部と、
前記土台部と前記係止部との間において、前記支軸の周囲に設けられ、前記支軸の延出方向に伸縮可能に形成されたばね部と、
前記ばね部のうち前記支軸の延出方向に隣り合って互いに対向する一対の対向面の間に設けられた振動抑制部材と、
を有するクランプ。
【請求項2】
前記ばね部は、前記支軸の延出方向に隣り合う一対の板材と、前記一対の板材の端部同士を繋ぐ弾性変形部とを有する板ばねを含み、
前記振動抑制部材は、前記一対の板材の間に設けられている請求項1に記載のクランプ。
【請求項3】
前記ばね部は、前記板ばねが前記支軸の延出方向に複数段連なって構成されており、前記支軸の延出方向にS字が連続した波形状の断面を有している請求項2に記載のクランプ。
【請求項4】
前記各板材の一端部には、前記一端部から前記ばね部の平面中心部に向かって延び、前記支軸が挿通可能な切欠部が形成されており、
前記切欠部は、前記支軸の延出方向と交差する方向に延びるように形成されるとともに、前記板材を厚さ方向に貫通するように形成されている請求項2又は請求項3に記載のクランプ。
【請求項5】
前記弾性変形部には、前記支軸が挿通可能な貫通部が前記切欠部に連通するように形成されている請求項4に記載のクランプ。
【請求項6】
前記振動抑制部材は、シート状に形成されている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のクランプ。
【請求項7】
前記土台部には、前記ばね部の一部を収容する収容部が形成されている請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のクランプ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のクランプと、
前記保持部に保持される前記ワイヤハーネスと、を有するクランプ付ワイヤハーネス。
【請求項9】
前記ワイヤハーネスは、
電線と、
前記電線が内部に収容され、外周が前記保持部によって包囲された外装部材と、
前記保持部によって包囲された部分の前記外装部材の内部空間に設けられたスペーサと、を有し、
前記スペーサは、前記電線の外周面と前記外装部材の内周面との間の空間を埋めるように形成されている請求項8に記載のクランプ付ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランプ及びクランプ付ワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤハーネスを車体等の被固定部に固定するためのクランプが種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。この種のクランプは、ワイヤハーネスを保持する保持部と、車体に固定される固定部とを有している。固定部は、基端が保持部に接続された支軸と、支軸の先端に形成され、車体に係止される係止部と、支軸を挟んで両側に設けられた一対のコイルばねとを有している。支軸の周囲に配置した一対のコイルばねによって、車体からクランプを通じてワイヤハーネスに伝わる衝撃を吸収している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記クランプでは、車体の振動等に伴ってコイルばねが単振動を繰り返すことになり、振動自体を減衰させにくいため、この点においてなお改善の余地があった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、振動を減衰させることのできるクランプ及びクランプ付ワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するクランプによれば、ワイヤハーネスを保持する保持部と、前記保持部の外周面の一部に設けられ、被固定部に固定される固定部と、を有し、前記固定部は、土台部と、前記土台部から前記保持部と離間する方向に延びる支軸と、前記支軸の先端に設けられ、前記被固定部に係止可能に形成された係止部と、前記土台部と前記係止部との間において、前記支軸の周囲に設けられ、前記支軸の延出方向に伸縮可能に形成されたばね部と、前記ばね部のうち前記支軸の延出方向に隣り合って互いに対向する一対の対向面の間に設けられた振動抑制部材と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明のクランプ及びクランプ付ワイヤハーネスによれば、振動を減衰させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態のクランプ付ワイヤハーネスを示す概略構成図。
【
図2】(a),(b)は、一実施形態のクランプ付ワイヤハーネスを示す概略断面図(
図1における2-2断面図)。
【
図3】一実施形態のクランプの固定部を示す概略分解斜視図。
【
図4】変更例のクランプ付ワイヤハーネスを示す概略断面図。
【
図5】変更例のクランプ付ワイヤハーネスを示す概略断面図。
【
図6】変更例のクランプ付ワイヤハーネスを示す概略断面図。
【
図7】変更例のクランプ付ワイヤハーネスを示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態について添付図面を参照して説明する。なお、添付図面は、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際とは異なる場合がある。
【0009】
図1に示すクランプ付ワイヤハーネス1は、ワイヤハーネス10と、1つ又は複数(ここでは、3つ)のクランプ40とを有している。
ワイヤハーネス10は、2個又は3個以上の電気機器(機器)を電気的に接続する。ワイヤハーネス10は、例えば、ハイブリッド車や電気自動車等の車両の前部に設置されたインバータ11と、そのインバータ11よりも車両の後方に設置された高圧バッテリ12とを電気的に接続する。ワイヤハーネス10は、例えば、車両の床下等を通るように配索される。インバータ11は、車両走行の動力源となる車輪駆動用のモータ(図示略)と接続される。インバータ11は、高圧バッテリ12の直流電力から交流電力を生成し、その交流電力をモータに供給する。高圧バッテリ12は、例えば、数百ボルトの電圧を供給可能なバッテリである。
【0010】
ワイヤハーネス10は、1本又は複数本(ここでは、2本)の電線20と、電線20の両端部に取り付けられた一対のコネクタC1と、複数の電線20を一括して包囲する外装部材30とを有している。各電線20の一端部はコネクタC1を介してインバータ11と接続され、各電線20の他端部はコネクタC1を介して高圧バッテリ12と接続されている。各電線20は、例えば、車両の前後方向に延びるように長尺状に形成されている。各電線20は、例えば、二次元状又は三次元状に曲げられるように形成されている。例えば、各電線20は、ワイヤハーネス10の配索経路に応じた所定形状に曲げられて形成されている。各電線20は、例えば、高電圧・大電流に対応可能な高圧電線である。各電線20は、例えば、自身に電磁シールド構造を有しないノンシールド電線であってもよいし、自身に電磁シールド構造を有するシールド電線であってもよい。外装部材30は、例えば、飛翔物や水滴から電線20を保護する。複数の電線20を収容した外装部材30は、クランプ40により車両の車体等に固定される。
【0011】
図2(a)に示すように、各電線20は、導体よりなる芯線21と、芯線21の外周を被覆する絶縁被覆22とを有する被覆電線である。芯線21としては、例えば、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚り線、内部が中実構造をなす柱状の1本の金属棒からなる柱状導体(単芯線やバスバ等)や内部が中空構造をなす筒状導体(パイプ導体)などを用いることができる。また、芯線21としては、撚り線、柱状導体や筒状導体を組み合わせて用いてもよい。芯線21の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。芯線21は、例えば、押出成形によって形成されている。
【0012】
芯線21の長さ方向と直交する平面によって芯線21を切断した断面形状(つまり、横断面形状)は、任意の形状にすることができる。芯線21の横断面形状は、例えば、円形状、半円状、多角形状、正方形状や扁平形状に形成されている。本実施形態の芯線21の横断面形状は、円形状に形成されている。
【0013】
絶縁被覆22は、例えば、芯線21の外周面を全周に亘って密着状態で被覆している。絶縁被覆22は、例えば、合成樹脂などの絶縁材料によって構成されている。絶縁被覆22は、例えば、芯線21に対する押出成形(押出被覆)によって形成することができる。
【0014】
外装部材30は、全体として長尺の筒状をなしている。外装部材30の内部空間30Xには、複数の電線20が挿通されている。複数の電線20は、例えば、内部空間30Xにおいて、車両上下方向に並んで配置されている。外装部材30は、複数の電線20の外周を全周に亘って包囲するように形成されている。外装部材30としては、例えば、金属製又は樹脂製のパイプや、樹脂製のプロテクタ、樹脂等からなり可撓性を有するコルゲートチューブやゴム製の防水カバー又はこれらを組み合わせて用いることができる。金属製のパイプの材料としては、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。樹脂製のプロテクタやコルゲートチューブの材料としては、例えば、導電性を有する樹脂材料や導電性を有さない樹脂材料を用いることができる。樹脂材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂などの合成樹脂を用いることができる。本実施形態の外装部材30は、環状凹部と環状凸部とが長さ方向に沿って交互に連設された蛇腹構造を有するコルゲートチューブである。
【0015】
外装部材30の横断面形状は、任意の形状にすることができる。外装部材30の横断面形状は、例えば、円形状、半円状、多角形状、正方形状や扁平形状に形成されている。本実施形態の外装部材30の横断面形状は、円形状に形成されている。すなわち、本実施形態の外装部材30は、円筒状に形成されている。
【0016】
図1に示すように、複数のクランプ40は、ワイヤハーネス10の長さ方向において所定の間隔を空けて設けられている。各クランプ40は、外装部材30の外周面に取り付けられている。
【0017】
図2(a)に示すように、各クランプ40は、ワイヤハーネス10を保持する保持部50と、被固定部である車体のパネル200に固定される固定部60とを有している。
保持部50は、全体として、外装部材30に外嵌可能な大きさの筒状(ここでは、円筒状)をなしている。保持部50は、互いに係止可能とされたロック部51と被ロック部52との係止を解除することにより、保持部50を開いた状態にすることができる。保持部50を開くことにより、保持部50の内側にワイヤハーネス10を嵌合することができる。また、クランプ40では、保持部50を閉じることにより、保持部50の内側にワイヤハーネス10を保持することができる。クランプ40では、ロック部51と被ロック部52とが係止することにより、保持部50が閉じた状態でロックされる。このように保持部50がロックされた状態では、保持部50が外装部材30の外周を全周に亘って包囲し、その部分に対して保持部50が所定の締め付け力を作用させることができるようになっている。このため、保持部50がロックされると、保持部50によってワイヤハーネス10(具体的には、外装部材30)が保持される。なお、保持部50がロックされた状態では、例えば、保持部50の内周面の少なくとも一部が、外装部材30の外周面に接触している。
【0018】
保持部50の材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂などの合成樹脂を用いることができる。保持部50の材料としては、例えば、鉄系やアルミニウム系の金属材料を用いることができる。
【0019】
固定部60は、保持部50の外周面の一部に形成されている。固定部60は、例えば、保持部50の外周面のうちロック部51及び被ロック部52と離間した位置に設けられている。
図2(a)に示した固定部60は、保持部50の外周面のうち車両上下方向(つまり、図中上下方向)の下部に位置する外周面に設けられている。
【0020】
固定部60は、土台部70と、支軸80と、ばね部90と、振動抑制部材100とを有している。土台部70は、例えば、保持部50と一体に形成されている。支軸80は、例えば、土台部70と一体に形成されている。本実施形態のクランプ40では、保持部50と土台部70と支軸80とが一体に形成された単一部品になっている。例えば、保持部50と土台部70と支軸80は一体成形された樹脂成形品である。ばね部90及び振動抑制部材100は、例えば、土台部70及び支軸80と別体に形成されている。ばね部90は、例えば、振動抑制部材100と別体に形成されている。
【0021】
土台部70は、保持部50と接続される第1面70A(ここでは、上面)と、第1面70Aと反対側の第2面70B(ここでは、下面)とを有する平板状に形成されている。土台部70の平面形状は、例えば、矩形状に形成されている。保持部50は、例えば、土台部70の第1面70Aの略中央部に搭載されている。ここで、本明細書において、「平面視」とは、対象物を土台部70の第1面70Aの法線方向(
図2の上下方向)から視ることを言い、「平面形状」とは、対象物を土台部70の第1面70Aの法線方向から視た形状のことを言う。
【0022】
土台部70の第2面70Bの一端部には、ばね部90の一部が収容される収容部71が形成されている。収容部71は、例えば、U字状の断面を有している。本実施形態では、ワイヤハーネス10の長さ方向と直交する平面によって収容部71を切断した収容部71の断面形状がU字状に形成されている。収容部71は、例えば、土台部70の第2面70Bの一端部から支軸80の延出方向に延びる延出部72と、延出部72の先端部から土台部70の内側に折り返されるように延びる折返部73とを有している。収容部71は、例えば、土台部70の第2面70Bと延出部72と折返部73とによって囲まれた空間によって構成されている。収容部71は、例えば、土台部70の外形を構成する一つの辺の全長に亘って延びるように形成されている。
【0023】
土台部70の第2面70Bの中央部には、支軸80が形成されている。支軸80は、その基端部が土台部70の第2面70Bに接続されている。支軸80は、土台部70の第2面70Bから保持部50と離間する方向に延びるように柱状に形成されている。支軸80は、例えば、保持部50の径方向に沿って延びるように形成されている。本実施形態の支軸80は、円柱状に形成されている。
【0024】
支軸80の先端部には、係止部81が形成されている。係止部81は、車体のパネル200に形成された取付孔200Xに挿入及び係止可能に形成されている。係止部81は、取付孔200Xに挿入可能に、且つ取付孔200Xに挿入後に取付孔200Xの周縁のパネル200に係止可能なように弾性変形可能に形成されている。係止部81は、支軸80と連続して一体に形成されている。
【0025】
係止部81は、支軸80の先端部から支軸80の基端部に向かって折り返すように突出された一対の羽根部82と、各羽根部82の突出先端に形成された段差状の係止段部83とを有している。係止部81は、例えば、U字状に形成されている。一対の羽根部82は、支軸80を両側から挟むように形成されている。各羽根部82は、例えば、支軸80と離間するように形成されている。各係止段部83は、例えば、各羽根部82の突出先端面に形成されている。例えば、各係止段部83は、各羽根部82の突出先端面のうち支軸80から遠く離れた外周側の部分を切り欠くように形成されている。係止部81では、支軸80の延出方向と直交する方向に最も広がった部分の幅が取付孔200Xの開口幅よりも広く形成されている。また、係止部81では、一対の係止段部83の間の幅が取付孔200Xの開口幅と略同じ幅に設定されている。
【0026】
係止部81は、一対の羽根部82の間の間隔が狭まるように弾性変形可能である。すなわち、係止部81は、各羽根部82が支軸80に近づくように弾性変形可能である。例えば、係止部81を取付孔200Xに挿入すると、一対の羽根部82の間の間隔が一時的に狭まるように弾性変形する。そして、係止部81が取付孔200Xを通り抜けると、一対の羽根部82が元の形状に戻るように弾性復帰する、つまり一対の羽根部82の間の間隔が広がるように弾性復帰する。このとき、係止部81の係止段部83が取付孔200Xの周縁に係止される。これにより、クランプ40が車体のパネル200に固定され、クランプ40に保持されたワイヤハーネス10が車体に固定される。
【0027】
土台部70、支軸80及び係止部81の材料としては、例えば保持部50と同様に、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂などの合成樹脂を用いることができる。土台部70、支軸80及び係止部81の材料としては、例えば、鉄系やアルミニウム系の金属材料を用いることもできる。
【0028】
ばね部90は、土台部70と係止部81との間に設けられている。ばね部90は、支軸80の延出方向に伸縮可能に形成されている。ばね部90は、例えば、U字状の断面を有している。例えば、ばね部90は、支軸80の延出方向にS字が連続する波形状の断面を有している。ばね部90の材料としては、例えば、銅系や鉄系などの金属材料を用いることができる。
【0029】
図3に示すように、ばね部90は、例えば、側面視においてU字状に形成されている。例えば、ばね部90は、側面視において支軸80の延出方向にS字が連続する波形状に形成されている。本実施形態のばね部90は、弾性板材をジグザグに屈曲させてS字が連続する波形状に形成されている。
【0030】
ばね部90は、支軸80の延出方向に沿って並ぶ複数(ここでは、5つ)の板材91と、支軸80の延出方向に隣り合う板材91を繋ぐ複数の弾性変形部92,93とを有している。弾性変形部92と弾性変形部93とは、側面視において互い違いに配置されている。ばね部90は、例えば、複数の板材91と複数の弾性変形部92,93とが連続して一体に形成された単一部品である。
【0031】
各板材91は、支軸80の延出方向に隣り合う他の板材91と対向する対向面94を有している。各板材91は、例えば、平板状に形成されている。各板材91は、例えば、平面視矩形状に形成されている。
【0032】
各板材91の端部91A(一端部)には、例えば、切欠部91Xが形成されている。例えば、各切欠部91Xは、平面視矩形状の各板材91の外形をなす四辺のうちの一辺を構成する端部91Aに形成されている。切欠部91Xは、例えば、端部91Aからばね部90の平面中心部に向かって延びるように形成されている。切欠部91Xは、例えば、端部91Aから板材91の平面中心部まで直線状又は帯状に延びるように形成されている。各切欠部91Xは、板材91を厚さ方向に貫通するように形成されている。各切欠部91Xの幅は、支軸80が挿通可能な幅に設定されている。各切欠部91Xの端部は、支軸80の外周面に対応する形状に形成されている。本実施形態の各切欠部91Xの端部は、円柱状の支軸80の外周面に対応して半円柱状に形成されている。複数の板材91のそれぞれに形成された切欠部91Xは、支軸80の延出方向において互いに重なる位置に形成されている。
【0033】
各弾性変形部92は、支軸80の延出方向に隣り合う板材91の端部91B同士を繋ぐように形成されている。ここで、端部91Bは、平面視矩形状の各板材91の外形をなす四辺のうちの一辺、具体的には端部91Aが構成する辺の対向辺を構成する端部である。各弾性変形部92は、例えば、U字状に形成されている。
図3に示したばね部90では、図中最も上側に位置する板材91の端部91Bと上から2段目の板材91の端部91Bとが弾性変形部92によって接続され、上から3段目の板材91の端部91Bと上から4段目の板材91の端部91Bとが弾性変形部92によって接続されている。
【0034】
各弾性変形部93は、支軸80の延出方向に隣り合う板材91の端部91A同士を繋ぐように形成されている。各弾性変形部93は、例えば、U字状に形成されている。
図3に示したばね部90では、上から2段目の板材91の端部91Aと上から3段目の板材91の端部91Aとが弾性変形部93によって接続され、上から4段目の板材91の端部91Aと最も下側に位置する板材91の端部91Aとが弾性変形部93によって接続されている。各弾性変形部93には、貫通部93Xが形成されている。貫通部93Xは、板材91の切欠部91Xに連通するように形成されている。貫通部93Xは、支軸80が挿通可能な大きさに設定されている。
【0035】
ばね部90では、支軸80の延出方向に隣り合う一対の板材91と、それら一対の板材91を繋ぐ弾性変形部92,93とによって1段の板ばね95が構成されている。1段の板ばね95は、U字状に形成されている。本実施形態のばね部90は、4段の板ばね95が連なって構成されている。このとき、支軸80の延出方向に隣り合う2段の板ばね95は、それら2段の板ばね95の中央部に位置する1枚の板材91を共有している。
【0036】
以上説明したばね部90は、例えば、板材91の端部91A、つまり切欠部91X及び貫通部93Xが形成されている側の端部91Aを支軸80に向けた状態で、土台部70と係止部81との間に挿入される。具体的には、ばね部90は、板材91の端部91Aを支軸80に向けた状態で、支軸80の延出方向と直交する方向に移動され、土台部70と係止部81との間に挿入される。このとき、支軸80が貫通部93X及び切欠部91Xに挿通される。また、ばね部90の図中最も上側に位置する板材91の端部91Aが土台部70の収容部71に収容される。例えば、支軸80の外周面が切欠部91Xの端部に当接する際に、図中最も上側に位置する板材91の端部91Aが収容部71の延出部72の内周面に当接する。これにより、ばね部90の一端部が収容部71に係止され、ばね部90が位置決めされる。
【0037】
振動抑制部材100は、ばね部90のうち支軸80の延出方向に隣り合って互いに対向する一対の対向面94の間に設けられている。本実施形態の振動抑制部材100は、ばね部90のうち支軸80の延出方向に隣り合う一対の板材91の間に介在するように設けられている。すなわち、振動抑制部材100は、板ばね95を構成する一対の板材91の間に介在するように設けられている。本実施形態の固定部60では、4段の板ばね95の全てに対して振動抑制部材100がそれぞれ設けられている。すなわち、本実施形態の固定部60は、4つの振動抑制部材100を有している。
【0038】
各振動抑制部材100は、例えば、シート状に形成されている。各振動抑制部材100は、例えば、平面視矩形状に形成されている。各振動抑制部材100は、所定の厚さを有している。各振動抑制部材100の端部100Aには、例えば、切欠部100Xが形成されている。例えば、各切欠部100Xは、平面視矩形状の各振動抑制部材100の外形をなす四辺のうちの支軸80に向く辺を構成する端部100Aに形成されている。切欠部100Xは、例えば、端部100Aから振動抑制部材100の中心部まで直線状又は帯状に延びるように形成されている。各切欠部100Xは、振動抑制部材100を厚さ方向に貫通するように形成されている。各切欠部100Xの幅は、支軸80が挿通可能な幅に設定されている。各切欠部100Xの端部は、支軸80の外周面に対応する形状に形成されている。本実施形態の各切欠部100Xの端部は、円柱状の支軸80の外周面に対応して半円柱状に形成されている。複数の振動抑制部材100のそれぞれに形成された切欠部100Xは、支軸80の延出方向において互いに重なる位置に形成されている。
【0039】
各振動抑制部材100は、例えば、土台部70と係止部81との間に配置された状態のばね部90に対して、切欠部100Xが形成されている側の端部100Aを支軸80に向けた状態で一対の板材91の間に挿入される。このとき、各振動抑制部材100の切欠部100Xに支軸80が挿通される。
【0040】
各振動抑制部材100の材料としては、例えば、土台部70及び支軸80よりも高い衝撃吸収性を有する材料を用いることができる。各振動抑制部材100の材料としては、例えば、ばね部90よりも高い衝撃吸収性を有する材料を用いることができる。各振動抑制部材100の材料としては、例えば、土台部70を構成する材料及びばね部90を構成する材料よりも高粘弾性かつ軟質な粘弾性体を用いることができる。各振動抑制部材100の材料としては、例えば、ゴム材料や発泡材料を用いることができる。ゴム材料としては、例えば、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴムなどを用いることができる。各振動抑制部材100の材料としては、例えば、ばね部90におけるばね性と振動抑制部材100による振動減衰性との双方を考慮して選択される。各振動抑制部材100の材料としては、例えば、固形状やゲル状(半固形状)の材料を用いることができる。
【0041】
図2(a)に示すように、各振動抑制部材100は、例えば、外力が加えられていない自然状態のばね部90において支軸80の延出方向に隣り合って互いに対向する一対の対向面94のうち少なくとも一方の対向面94に接触している。本実施形態の各振動抑制部材100は、自然状態のばね部90における一対の対向面94の双方に接触している。また、各振動抑制部材100は、例えば、一対の対向面94のうち一方の対向面94に接着されている。
【0042】
図2(b)に示すように、各振動抑制部材100は、例えば、圧縮状態のばね部90における一対の対向面94の双方に接触している。例えば、
図2(a)に示した自然状態のばね部90が車体の振動等に伴って、
図2(b)に示すように支軸80の延出方向に圧縮されると、弾性変形部92,93が弾性変形して、一対の対向面94の間の間隔が狭くなる。このようなばね部90の弾性変形に伴って、振動抑制部材100も弾性変形する。このときの振動抑制部材100の変形量及び変形速度によって振動エネルギーを吸収することができ、クランプ40からワイヤハーネス10に伝達される振動を減衰させることができる。なお、弾性変形した振動抑制部材100は、例えば、ばね部90が自然状態の場合の振動抑制部材100(
図2(a)参照)よりも薄くなっており、且つ平面方向に広がるように形成されている。この場合の振動抑制部材100は、例えば、一対の対向面94の間の空間を充填するように形成されている。
【0043】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
(1)先端に係止部81が形成された支軸80の周囲に、支軸80の延出方向に伸縮可能なばね部90を設けた。この構成によれば、例えば、車両走行時等に車体のパネル200に振動が発生した場合に、ばね部90が弾性変形することによって、クランプ40からワイヤハーネス10に伝わる衝撃を吸収できる。さらに、ばね部90のうち支軸80の延出方向に隣り合って互いに対向する一対の対向面94の間に振動抑制部材100を設けた。この構成によれば、車体のパネル200に振動が発生した場合に、振動抑制部材100の変形量及び変形速度によって振動エネルギーを吸収することができる。これにより、ばね部90の単振動を減衰させることができ、クランプ40からワイヤハーネス10に伝わる振動を減衰させることができる。この結果、振動に伴う電線20の断線やクランプ40の破損といった問題の発生を抑制することができる。
【0044】
(2)支軸80の延出方向に隣り合う一対の板材91と、一対の板材91の端部同士を繋ぐ弾性変形部92,93とを有する板ばね95によってばね部90を構成し、一対の板材91の間に振動抑制部材100を設けた。この構成によれば、一対の板材91において対向面94の面積を広く確保することができ、板材91と振動抑制部材100との接触面積を広く確保することができる。これにより、振動抑制部材100による振動減衰機能を安定して得ることができる。
【0045】
また、板ばね95が一対の板材91と弾性変形部92(又は弾性変形部93)とによってU字状に形成されるため、一対の板材91の間に振動抑制部材100を容易に挿入することができる。
【0046】
(3)ばね部90を、板ばね95が支軸80の延出方向に複数段連なった構造に形成した。この構成によれば、板ばね95の段数を調整することにより、ばね部90のばね定数を容易に調整することができる。
【0047】
(4)ところで、従来技術のようにばね部90をコイルばねで構成した場合には、ばね部90の平面中心部の近傍に支軸80を配置するためには、コイルばねの中心に支軸80を挿通する必要がある。この場合には、支軸80の先端に形成された係止部81が挿通可能な大きさにコイルばねを形成する必要があり、ばね部90が大型化してしまう。また、支軸80を挟んで一対のコイルばねを設ける場合には、部品点数が増大するため、コイルばねの組み付け作業性が低下する。
【0048】
これに対し、本実施形態のばね部90では、各板材91の端部91Aに、その端部91Aからばね部90の平面中心部に向かって延び、支軸80が挿通可能な切欠部91Xを形成した。さらに、切欠部91Xを、支軸80の延出方向と交差する方向に延びるように形成し、板材91を厚さ方向に貫通するように形成した。この構成によれば、支軸80に対してその支軸80の延出方向とは交差する方向から板材91をスライドさせ、板材91の端部91Aから切欠部91X内に支軸80を挿通させることにより、支軸80に対してばね部90を取り付けることができる。これにより、係止部81と干渉せずに、支軸80に対してばね部90を取り付けることができる。このとき、切欠部91Xがばね部90の平面中心部に向かって延びるように形成されている。このため、切欠部91Xの端部まで支軸80を挿入することにより、ばね部90の平面中心部の近傍に支軸80を配置することができる。これにより、ばね部90を大型化することなく、ばね部90の平面中心部の近傍に支軸80を配置することができる。また、ばね部90の平面中心部の近傍に支軸80が配置されたことにより、ばね部90による衝撃吸収機能を安定して得ることができ、振動抑制部材100による振動減衰機能を安定して得ることができる。さらに、ばね部90を単一部品によって構成することができるため、ばね部90の組み付け作業性を向上させることができる。
【0049】
(5)弾性変形部93には、支軸80が挿通可能な貫通部93Xが切欠部91Xに連通するように形成されている。この構成によれば、貫通部93Xの形成された弾性変形部93を支軸80に対向させた状態であっても、支軸80に対してその支軸80の延出方向とは交差する方向から板材91をスライドさせることにより、支軸80に対してばね部90を取り付けることができる。
【0050】
(6)振動抑制部材100をシート状に形成した。この構成によれば、一対の対向面94の間に振動抑制部材100を容易に挿入することができる。
(7)土台部70に、ばね部90の一部を収容する収容部71が形成されている。この構成によれば、収容部71にばね部90の一部を収容することで、ばね部90を位置決めすることができる。これにより、クランプ40に振動等が付与された場合であっても、ばね部90が位置ずれすることを抑制できる。
【0051】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0052】
・
図4に示すように、外装部材30の内部空間30Xにスペーサ120を設けるようにしてもよい。スペーサ120は、例えば、外装部材30の長さ方向においてクランプ40の保持部50によって包囲された部分に設けられている。スペーサ120は、電線20の外周面と外装部材30の内周面との間の空間を埋めるように形成されている。スペーサ120は、例えば、各電線20の外周面を全周に亘って密着状態で被覆している。スペーサ120は、例えば、外装部材30の内周面を全周に亘って密着状態で被覆している。このスペーサ120は、各電線20を保持する電線保持部として機能する。
【0053】
スペーサ120の材料としては、例えば、振動抑制部材100と同様の材料を用いることができる。例えば、スペーサ120の材料としては、ゴム材料や発泡材料を用いることができる。ゴム材料としては、例えば、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴムなどを用いることができる。
【0054】
以上説明したスペーサ120を設けたことによって、外装部材30内での電線20のばたつきを抑制することができる。これにより、例えばパネル200側からクランプ40を通じてワイヤハーネス10に振動が伝達された場合であっても、その振動に伴って電線20が振動することを抑制できる。このため、振動に伴って電線20が断線することを好適に抑制できる。
【0055】
・
図4に示した変更例において、スペーサ120を、外装部材30の長さ方向の略全長に亘って設けるようにしてもよい。
・
図4に示した変更例において、スペーサ120の外周面と外装部材30の内周面との間に隙間が存在していてもよい。
【0056】
・
図4に示した変更例において、スペーサ120の内周面と電線20の外周面との間に隙間が存在していてもよい。
・
図5に示すように、車体のパネル200に、ばね部90の一部を収容する収容部201を形成するようにしてもよい。収容部201は、取付孔200X近傍のパネル200の取付面200Aに形成されている。収容部201は、例えば、U字状の断面を有している。収容部201は、例えば、取付孔200Xの開口端から所定距離だけ離間した位置における取付面200Aから支軸80の延出方向に延びる延出部202と、延出部202の先端から取付孔200X側に向かって略水平に延びる突出部203とを有している。収容部201は、パネル200の取付面200Aと延出部202と突出部203とによって囲まれた空間によって構成されている。
【0057】
収容部201は、例えば、支軸80の延出方向において土台部70の収容部71と重ならない位置に設けられている。収容部201は、例えば、取付孔200Xを挟んで収容部71とは反対側に設けられている。この場合には、ばね部90の一端部が収容部71に収容され、ばね部90の他端部が収容部201に収容される。これにより、ばね部90を両側から保持することができるため、ばね部90の位置ずれを好適に抑制することができる。
【0058】
・上記実施形態では、ばね部90を構成する複数段の板ばね95の各々に対して個別の振動抑制部材100を設けるようにした。これに限らず、複数の板ばね95に対して設けられる振動抑制部材を一体に形成するようにしてもよい。
【0059】
例えば
図6に示すように、2つの板ばね95に対して1つの振動抑制部材110を設けるようにしてもよい。この場合の振動抑制部材110は、例えば、一対の板材91の間に設けられる複数の介在部111と、複数の介在部111を接続する接続部112とを有している。具体的には、1つの振動抑制部材110は、上から1段目の板材91と2段目の板材91の間に設けられた介在部111と、上から3段目の板材91と4段目の板材91との間に設けられた介在部111と、それら2つの介在部111を接続する接続部112とを有している。この振動抑制部材110は、U字状の断面を有している。このように、
図6に示した例では、上から1段目の板ばね95と3段目の板ばね95とに対して1つの振動抑制部材110が設けられている。また、
図6に示した例では、上から2段目の板ばね95と4段目の板ばね95に対しても同様に1つの振動抑制部材110が設けられている。この構成によれば、複数の板ばね95に対して設けられる振動抑制部材110の部品点数を減らすことができるため、振動抑制部材110の組み付け作業時間を短縮することができる。
【0060】
・
図6に示した変更例では、2つの板ばね95に対して1つの振動抑制部材110を設けるようにしたが、3つ以上の板ばね95に対して1つの振動抑制部材を設けるようにしてもよい。
【0061】
・上記実施形態では、自然状態のばね部90における一対の対向面94の双方に接触するように振動抑制部材100を設けるようにしたが、これに限定されない。
例えば
図7に示すように、振動抑制部材100を、自然状態のばね部90における一対の対向面94のうちの一方の対向面94のみに接触するように設けるようにしてもよい。この場合の振動抑制部材100は、自然状態のばね部90における一対の対向面94の間の間隔よりも薄く形成されている。
【0062】
・上記実施形態では、ばね部90を構成する全ての板ばね95に対して振動抑制部材100を設けるようにした。これに限らず、例えば、ばね部90を構成する複数段の板ばね95のうち一部の板ばね95のみに対して振動抑制部材100を設けるようにしてもよい。
【0063】
なお、振動抑制部材100の個数や厚さは、例えば、ばね部90におけるばね性と振動抑制部材100による振動減衰性との双方を考慮して適宜設定される。
・上記実施形態では、弾性変形部93の形成された端部91Aを支軸80に向けた状態で、ばね部90をスライドさせて支軸80の周囲にばね部90を配置するようにしたが、ばね部90の挿入方向はこれに限定されない。例えば、板材91の端部のうち弾性変形部92,93の形成されていない端部を支軸80に向けた状態で、ばね部90をスライドさせて支軸80の周囲にばね部90を配置するようにしてもよい。この場合には、支軸80に向く板材91の端部に切欠部が形成される。また、この場合には、弾性変形部93の貫通部93Xの形成を省略することができる。
【0064】
・上記実施形態における振動抑制部材100の挿入方向は特に限定されない。例えば、板材91の端部のうち弾性変形部92,93の形成されていない端部側から振動抑制部材100を挿入するようにしてもよい。
【0065】
・上記実施形態では、各振動抑制部材100に切欠部100Xを形成するようにしたが、切欠部100Xの形成を省略してもよい。この場合には、例えば、各振動抑制部材100を、一対の対向面94の間において支軸80に干渉しない大きさに形成すればよい。また、一対の対向面94の間において、複数の振動抑制部材100を設けるようにしてもよい。
【0066】
・上記実施形態では、シート状の振動抑制部材100を一対の対向面94の間に挿入することで、一対の対向面94の間に振動抑制部材100を配置するようにした。これに限らず、例えば、スプレー装置を用いて液状の粘弾性体を一対の対向面94に対して塗布することによって、一対の対向面94の間に振動抑制部材100を配置するようにしてもよい。また、塗布の方法は、スプレー塗布以外にも刷毛塗りや浸漬などの公知の方法を用いることもできる。また、モールド成形等により、一対の対向面94の間に振動抑制部材100を形成するようにしてもよい。
【0067】
・上記実施形態では、ばね部90を、板ばね95が支軸80の延出方向に複数段連なった構造に形成したが、板ばね95の段数は特に限定されない。例えば、ばね部90における板ばね95の段数を1~3段としてもよいし、5段以上としてもよい。
【0068】
・上記実施形態では、ばね部90として板ばね95を有する構造を採用したが、これに限定されない。例えば、ばね部90をコイルばねによって構成するようにしてもよい。この場合であっても、螺旋状に巻回された巻き線のうち支軸80の延出方向に隣り合って互いに対向する一対の対向面の間に振動抑制部材100が設けられる。これにより、上記実施形態の(1)と同様の効果を得ることができる。
【0069】
・上記実施形態における係止部81の形状は特に限定されない。係止部81は、パネル200の取付孔200Xに挿入及び係止可能に形成されていれば、その形状は特に限定されない。
【0070】
・上記実施形態における保持部50の形状は特に限定されない。保持部50は、ワイヤハーネス10を保持可能な形状であれば、その形状は特に限定されない。
・上記実施形態では、保持部50と土台部70とを一体に形成したが、例えば、保持部50と土台部70とを別体に形成するようにしてもよい。
【0071】
・上記実施形態のワイヤハーネス10に取り付けられる複数のクランプ40は、全て同じ構造を有する必要はない。例えば、3つのクランプ40のうち1つのみが振動抑制部材100を有する構造を採用し、残りの2つが振動抑制部材100を有さない構造を採用してもよい。
【0072】
・上記実施形態では特に言及していないが、外装部材30の内部に電磁シールド部材を設ける構成を採用してもよい。電磁シールド部材は、例えば、複数の電線20を一括して包囲するように設けられる。電磁シールド部材は、例えば、外装部材30の内周面と電線20の外周面との間に設けられる。電磁シールド部材としては、例えば、可撓性を有する編組線や金属箔を用いることができる。また、編組線としては、複数の金属素線が編成された編組線や、金属素線と樹脂素線とを組み合わせて編成された編組線を用いることができる。樹脂素線としては、例えば、パラ系アラミド繊維等の絶縁性及び耐剪断性に優れた強化繊維を用いることができる。
【0073】
・上記実施形態では、外装部材30を略真円筒状に形成したが、これに限定されず、外装部材30を楕円筒状や角筒状に形成してもよい。
・上記実施形態では、外装部材30の内部に挿通される電線20が2本であったが、特に限定されるものではなく、車両の仕様に応じて電線20の本数は変更することができる。例えば、外装部材30の内部に挿通される電線は、1本であってもよいし、3本以上であってもよい。例えば、外装部材30に挿通される電線として、低圧バッテリと各種低電圧機器(例えば、ランプ、カーオーディオ等)とを接続する低圧電線を追加した構成としてもよい。また、低圧電線のみであってもよい。
【0074】
・上記実施形態における外装部材30を省略してもよい。
・車両におけるインバータ11と高圧バッテリ12の配置関係は、上記実施形態に限定されるものではなく、車両構成に応じて適宜変更してもよい。
【0075】
・上記実施形態では、ワイヤハーネス10によって接続される電気機器としてインバータ11及び高圧バッテリ12を採用したが、これに限定されない。例えば、インバータ11と車輪駆動用のモータとを接続する電線に採用してもよい。すなわち、車両に搭載される電気機器間を電気的に接続するものであれば適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
1…クランプ付ワイヤハーネス、10…ワイヤハーネス、20…電線、30…外装部材、30X…内部空間、40…クランプ、50…保持部、60…固定部、70…土台部、71…収容部、80…支軸、81…係止部、90…ばね部、91…板材、91X…切欠部、92,93…弾性変形部、93X…貫通部、94…対向面、95…板ばね、100,110…振動抑制部材、120…スペーサ、200…パネル(被固定部)。