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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】電気接続部材
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/505 20210101AFI20220114BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20220114BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20220114BHJP
   H01M 10/6553 20140101ALI20220114BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20220114BHJP
   H01M 10/653 20140101ALI20220114BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20220114BHJP
   H01M 10/6551 20140101ALI20220114BHJP
   H01R 4/58 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
H01M50/505
H01M10/625
H01M10/647
H01M10/6553
H01M10/613
H01M10/653
H01M10/651
H01M10/6551
H01R4/58 C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2017182219
(22)【出願日】2017-09-22
(65)【公開番号】P2019057459
(43)【公開日】2019-04-11
【審査請求日】2019-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳田 泰次
(72)【発明者】
【氏名】中山 治
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-346930(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0264317(US,A1)
【文献】特開2012-216328(JP,A)
【文献】特開2017-059391(JP,A)
【文献】特開2013-037988(JP,A)
【文献】特開2016-119184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 10/60-10/667
H01R 4/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子間を電気的に接続する電気接続部材であって、
複数の端子接続部と、前記端子接続部間に位置する活電部と、を含むバスバーと、
前記バスバーの前記活電部が載置されるバスバー載置面を有し、前記活電部を絶縁保護するプロテクタ部と、
前記プロテクタ部と結合され、前記活電部の表面をカバーするカバーと、を備え、
前記カバーは、前記活電部の前記表面に当接する当接部を有し、
前記当接部は、前記プロテクタ部に前記カバーが結合した状態において、前記活電部の前記表面に直接、または間接的に、押圧しつつ接触する押圧接触面を含み、
前記プロテクタ部は、前記バスバー載置面の幅方向両側縁から立ち上がる一対の側壁を有し、前記側壁は、前記バスバーの幅方向の移動を制限する突起を有しており、
前記カバーは、幅方向の少なくとも一端部に前記プロテクタ部に結合するための結合部を有し、
前記プロテクタ部は、幅方向の少なくとも一端部に前記結合部を受ける結合受け部を有し、
前記カバーは、前記当接部と前記結合部との間に、可撓部を有し、
前記可撓部は、前記結合部が前記結合受け部に結合した状態において、前記押圧接触面と前記結合受け部との間の沿面距離を増加させる湾曲部を含む、電気接続部材。
【請求項2】
請求項に記載の電気接続部材において、
前記プロテクタ部と前記活電部との間に、熱伝導シートが設けられている、電気接続部材。
【請求項3】
端子間を電気的に接続する電気接続部材であって、
複数の端子接続部と、前記端子接続部間に位置する活電部と、を含むバスバーと、
前記バスバーの前記活電部が載置されるバスバー載置面を有し、前記活電部を絶縁保護するプロテクタ部と、
前記プロテクタ部と結合され、前記活電部の表面をカバーするカバーと、を備え、
前記カバーは、前記活電部の前記表面に当接する当接部を有し、
前記当接部は、前記プロテクタ部に前記カバーが結合した状態において、前記活電部の前記表面に直接、または間接的に、押圧しつつ接触する押圧接触面を含み、
前記プロテクタ部は、前記バスバー載置面の幅方向両側縁から立ち上がる一対の側壁を有し、前記側壁は、前記バスバーの幅方向の移動を制限する突起を有しており、
前記プロテクタ部と前記活電部との間に、熱伝導シートが設けられている、電気接続部材。
【請求項4】
端子間を電気的に接続する電気接続部材であって、
複数の端子接続部と、前記端子接続部間に位置する活電部と、を含むバスバーと、
前記バスバーの前記活電部が載置されるバスバー載置面を有し、前記活電部を絶縁保護するプロテクタ部と、
前記プロテクタ部と結合され、前記活電部の表面をカバーするカバーと、を備え、
前記カバーは、前記活電部の前記表面に当接する当接部を有し、
前記当接部は、前記プロテクタ部に前記カバーが結合した状態において、前記活電部の前記表面に直接、または間接的に、押圧しつつ接触する押圧接触面を含み、
前記押圧接触面と前記活電部の前記表面との間には熱伝導シートが設けられ、
前記押圧接触面は、前記熱伝導シートを介して前記活電部の前記表面に間接的に押圧しつつ接触する、電気接続部材。
【請求項5】
請求項に記載の電気接続部材において、
前記バスバーの厚みに前記熱伝導シートの厚みを加えた加算値は、前記バスバーを除いて前記カバーを前記プロテクタ部に結合させた状態における、前記カバーの前記押圧接触面と前記プロテクタ部の前記バスバー載置面との離間距離より大きい、電気接続部材。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電気接続部材において、
前記カバーは、幅方向の少なくとも一端部に前記プロテクタ部に結合するための結合部を有し、
前記プロテクタ部は、幅方向の少なくとも一端部に前記結合部を受ける結合受け部を有し、
前記カバーは、前記当接部と前記結合部との間に、可撓部を有し、
前記可撓部は、前記結合部が前記結合受け部に結合した状態において、前記押圧接触面と前記結合受け部との間の沿面距離を増加させる湾曲部を含む、電気接続部材。
【請求項7】
請求項から請求項のいずれか一項に記載の電気接続部材において、
前記プロテクタ部と前記活電部との間に、熱伝導シートが設けられている、電気接続部材。
【請求項8】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の電気接続部材において、
前記押圧接触面は、前記活電部の表面に直接、押圧しつつ接触する、電気接続部材。
【請求項9】
請求項に記載の電気接続部材において、
前記バスバーの厚みは、前記バスバーを除いて前記カバーを前記プロテクタ部に結合させた状態における、前記カバーの前記押圧接触面と前記プロテクタ部の前記バスバー載置面との離間距離より大きい、電気接続部材。
【請求項10】
請求項4または請求項5に記載の電気接続部材において、
前記カバーは、幅方向の少なくとも一端部に前記プロテクタ部に結合するための結合部を有し、
前記プロテクタ部は、幅方向の少なくとも一端部に前記結合部を受ける結合受け部を有し、
前記カバーは、前記当接部と前記結合部との間に、可撓部を有する、電気接続部材。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の電気接続部材において、
前記プロテクタ部および前記カバーの少なくとも一方は、放熱フィンを有する、電気接続部材。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の電気接続部材において、
前記カバーと前記プロテクタ部とは、ヒンジ部によって一体化されている、電気接続部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、電気接続部材に関し、詳しくは、バスバーとバスバーを絶縁して覆うカバーとを備える電気接続部材における放熱技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記電気接続部材として、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1には、バスバーを覆う絶縁性カバーとして、バスバーの中間部の周囲を覆う中間絶縁部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-62103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1においては、その図4(A)および図4(B)に示されるように、バスバーと中間絶縁部材との間にクリアランスが認められる。そのため、このようなクリアランスが存在すると、電気接続部材に、電気自動車の電源の接続に使用される場合のように、大電流が通電される場合、クリアランスがバスバーの発熱時に断熱層となってバスバーの放熱性を低減させる虞があった。
【0005】
そこで、本明細書に開示される技術は、バスバーで発生する熱の放熱性を向上できる電気接続部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示される電気接続部材は、端子間を電気的に接続する電気接続部材であって、複数の端子接続部と、前記端子接続部間に位置する活電部と、を含むバスバーと、前記バスバーの前記活電部が載置されるバスバー載置面を有し、前記活電部を絶縁保護するプロテクタ部と、前記プロテクタ部と結合され、前記活電部の表面をカバーするカバーと、を備え、前記カバーは、前記活電部の前記表面に当接する当接部を有し、前記当接部は、前記プロテクタ部に前記カバーが結合した状態において、前記活電部の前記表面に直接、または間接的に、押圧しつつ接触する押圧接触面を含む。
本構成によれば、カバーの当接部は、プロテクタ部にカバーが結合した状態において、バスバーの活電部の表面に直接、または間接的に、押圧しつつ接触する押圧接触面を含む。そのため、バスバーとカバーとが密接することとなり、バスバーで発生した熱を確実にカバーに伝達することができる。それによって、バスバーで発生する熱の放熱性を向上できる。
【0007】
上記電気接続部材において、前記押圧接触面は、前記活電部の表面に直接、押圧しつつ接触するようにしてもよい。
本構成によれば、押圧接触面が直接、活電部の表面に接する構成であるため、簡易な構成で、バスバーで発生する熱の放熱を確実に確保できる電気接続部材を構築できる。
【0008】
また、上記電気接続部材において、前記バスバーの厚みは、前記バスバーを除いて前記カバーを前記プロテクタ部に結合させた状態における、前記カバーの前記押圧接触面と前記プロテクタ部の前記バスバー載置面との離間距離より大きいようにしてもよい。
本構成によれば、カバーをプロテクタ部に結合させる際に、距離的条件から、押圧接触面からバスバーの活電部の表面に押圧力を必然的に印加させることができる。そのため、押圧接触面が活電部の表面に直接、押圧しつつ接触する構成を、簡易な構成で構築できる。
【0009】
また、上記電気接続部材において、前記押圧接触面と前記活電部の前記表面との間には熱伝導シートが設けられ、前記押圧接触面は、前記熱伝導シートを介して前記活電部の前記表面に間接的に押圧しつつ接触するようにしてもよい。
本構成によれば、熱伝導シートによってバスバーからカバーへの熱伝導の効率を高めることができる。
【0010】
また、上記電気接続部材において、前記バスバーの厚みに前記熱伝導シートの厚みを加えた加算値は、前記バスバーを除いて前記カバーを前記プロテクタ部に結合させた状態における、前記カバーの前記接触面と前記プロテクタ部の前記バスバー載置面との離間距離より大きいようにしてもよい。
本構成によれば、カバーをプロテクタ部に結合させる際に、距離的条件から、押圧接触面からバスバーの活電部の表面に押圧力を必然的に印加させることができる。そのため、熱伝導シートを備える構成において、押圧接触面が活電部の表面に間接的に、押圧しつつ接触する構成を、簡易な構成で構築できる。
【0011】
また、上記電気接続部材において、前記カバーは、幅方向の少なくとも一端部に前記プロテクタ部に結合するための結合部を有し、前記プロテクタ部は、幅方向の少なくとも一端部に前記結合部を受ける結合受け部を有し、前記カバーは、前記当接部と前記結合部との間に、可撓部を有するようにしてもよい。
本構成によれば、カバーの結合部をプロテクタ部の結合受け部に結合させる際に、可撓部によって、結合受け部に対する結合部の相対的な位置関係を変動させることができる。それによって結合作業を効率化することができる。
【0012】
また、上記電気接続部材において、前記可撓部は、前記結合部が前記結合受け部に結合した状態において、前記押圧接触面と前記結合受け部との間の沿面距離を増加させる湾曲部を含むようにしてもよい。
本構成によれば、湾曲部によって沿面距離を増加させることによって、バスバーから結合受け部までの電気抵抗を増加させることができる。それによって、電気接続部材が結露した場合等の電気接続部材の安全性を高めることができる。
【0013】
また、上記電気接続部材において、前記プロテクタ部および前記カバーの少なくとも一方は、放熱フィンを有するようにしてもよい。
本構成によれば、放熱フィンによって、カバーからの放熱性を高めることができる。
【0014】
また、上記電気接続部材において、前記プロテクタ部と前記活電部との間に、熱伝導シートが設けられているようにしてもよい。
本構成によれば、熱伝導シートによってバスバーからプロテクタ部への熱伝導の効率を高めることができる。
【0015】
また、上記電気接続部材において、前記カバーと前記プロテクタ部とは、ヒンジ部によって一体化されているようにしてもよい。
本構成によれば、カバーとプロテクタ部が一体化されているため、電気接続部材の製造作業を簡略化できる。
【発明の効果】
【0016】
本明細書に開示される電気接続部材によれば、バスバーで発生する熱の放熱性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態1に係る電気接続部材を示す斜視図
図2】電気接続部材を示す平面図
図3図2における矢線Aで示す方向から見た電気接続部材の断面図
図4図3においてバスバーを除いた状態に相当する断面図
図5】カバーを除いた状態の電気接続部材を示す平面図
図6】バスバーを示す斜視図
図7】プロテクタ部を示す斜視図
図8】カバーを示す斜視図
図9】電気接続部材の使用例を示す斜視図
図10】実施形態2に係る電気接続部材を示す斜視図
図11】実施形態2に係る電気接続部材を示す平面図
図12図11における矢線Bで示す方向から見た電気接続部材の断面図
図13】実施形態3に係る電気接続部材を示す斜視図
図14】実施形態3に係る電気接続部材を示す断面図
図15】実施形態3に係るプロテクタ部およびカバーを示す斜視図
図16】別の実施形態係る電気接続部材を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
実施形態1を図1から図9を参照しつつ説明する。実施形態1に係る電気接続部材10は、複数の端子(図示せず)の間を電気的に接続するために用いられる。例えば、後述するように、電気接続部材10は、電気自動車や、ハイブリッド車等の車両(図示せず)に搭載されて、この車両の駆動源として用いられる電池パックに対して使用される。
【0019】
1.電気接続部材の構成
図1に示すように、電気接続部材10は、バスバー20、プロテクタ部30、およびカバー40を備える。
【0020】
バスバー20は、図6に示されるように、端子接続部21、および端子接続部間に位置する活電部22を含む。端子接続部21にはバスバー20を端子に結合させるための貫通孔(21A、21B)が形成されている。また、バスバー20には、バスバー20をプロテクタ部30の係止突起35に係止させるための切り欠き部25が2か所に形成されている。
【0021】
なお、バスバー20の平面形状は、図6に示されるような細長い矩形状の形状に限られない。例えば、L字状に折れ曲った平面形状であってもよいし、あるいは端子接続部21のみが折れ曲った平面形状であってもよい。さらには、一端あるいは両端の端子接続部21は、二股に分岐する平面形状を有してもよい。すなわち、バスバー20は、3端子以上の端子を接続するものであってもよい。また、上記平面形状に限られず、要は、バスバー20の形状は、複数の端子間を接続できる形状を有しておればよい。
【0022】
ここで、バスバー20の厚みT1(図3参照)は、バスバー20を除いてカバー40をプロテクタ部30に結合させた状態における、後述する、カバーの押圧接触面41Aとプロテクタ部30のバスバー載置面31との離間距離K1(図4参照)より大きい。なお、これに限られず、バスバー20の厚みT1は、離間距離K1より大きくなくてもよい。
【0023】
プロテクタ部30は、合成樹脂製であり、図7に示されるように、バスバーの活電部22が載置されるバスバー載置面31を有し、活電部22を絶縁保護する。また、プロテクタ部30は、幅方向(図2の矢印Y方向)の両端部の2か所に、後述するカバー40のロック部42を受けるロック受け部(「結合受け部」の一例)32を有する。なお、これに限られず、プロテクタ部30は、幅方向の少なくとも一端部に、カバー40のロック部42を受けるロック受け部32を有すればよい。また、プロテクタ部30には、バスバー20の移動を制限するための係止突起35および突起36が形成されている。係止突起35はバスバー20の長手方向(図2の矢印X方向)の移動を制限し、突起36はバスバー20の幅方向(図2の矢印Y方向)の移動を制限する。
【0024】
カバー40は、合成樹脂製であり、プロテクタ部30と結合され、活電部の表面22Aを覆う。カバー40は、図8に示されるように、バスバーの活電部22の表面22Aに当接する当接部41を有する。当接部41は、図3に示されるように、プロテクタ部30にカバー40が結合した状態において、活電部22の表面22Aに直接、押圧しつつ接触する押圧接触面41Aを含む。
【0025】
また、カバー40は、幅方向(図2の矢印Y方向)の両端部のそれぞれ2か所にプロテクタ部30に結合するためのロック部(「結合部」の一例)42を有する。なお、これに限られず、カバー40は、幅方向の少なくとも一端部にプロテクタ部30に結合するためのロック部42を有すればよい。また、カバー40は、図3に示されるように、当接部41とロック部42との間に、可撓部43を有する。
【0026】
可撓部43は、図3に示されるように、ロック部42がプロテクタ部30のロック受け部32に結合した状態において、押圧接触面41Aとロック受け部32との間の沿面距離K2(図3において太線で示される)を増加させる湾曲部44を含む。なお、これに限られず、可撓部43は湾曲部44を含まなくてもよい。さらには、可撓部43は設けられなくてもよい。
【0027】
なお、プロテクタ部30およびカバー40を構成する合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、PBT、PET等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,6等のポリアミドなど、絶縁性を有する任意の合成樹脂を用いることができる。
【0028】
上記のように構成される電気接続部材10は、例えば、図9に示されるように、電気自動車や、ハイブリッド車等の車両(図示せず)に搭載されて、この車両の駆動源として用いられる電池パック1に対して使用される。ここでは、電池パック1は2個の電池モジュール(1A、1B)によって構成され、各電池モジュールは、正電極端子3Aおよび負電極端子3Bを有する複数(図9では12個)の電池セル2から構成される。
【0029】
具体的には、図9には、電気接続部材10が、異なる2個の電池モジュール(1A、1B)を直列接続するために使用される例が示される。詳細には、図9には、電気接続部材10が、電池モジュール1Aの端部に位置する電池セル2の正電極端子3Aと、電池モジュール1Bの端部に位置する電池セル2の負電極端子3Bとを接続するために使用される例が示される。
【0030】
なお、電気接続部材10の使用例はこれに限られず、電気接続部材10は、例えば、電池モジュール1Aの外部出力負極端子3B(OUT)と外部機器の端子との接続や、電池モジュール1Bの外部出力正極端子3A(OUT)と外部機器の端子との接続に用いられてもよい。あるいは、電気接続部材10は、電池パック1に係る端子の接続以外に使用されてもよい。
また、電気接続部材10は、車両内において任意の姿勢で配置することができる。
【0031】
2.実施形態1の効果
カバー40の当接部41は、プロテクタ部30にカバー40が結合した状態において、バスバー20の活電部の表面22Aに直接、押圧しつつ接触する押圧接触面41Aを含む。そのため、バスバー20とカバー40とが密接することとなり、バスバー20で発生した熱を確実にカバー40に伝達することができる。それによって、バスバー20で発生する熱の放熱性を向上できる。
【0032】
また、カバー40をプロテクタ部30に結合させる際に、バスバー20の厚みT1が離間距離K1より大きいという寸法的条件から、押圧接触面41Aからバスバーの活電部22の表面22Aに押圧力を必然的に印加させることができる。そのため、押圧接触面41Aが活電部の表面22Aに直接、押圧しつつ接触する構成を、簡易な構成で構築できる。
【0033】
また、カバー40のロック部42をプロテクタ部30のロック受け部32に結合させる際に、可撓部43によって、ロック受け部32に対するロック部42の相対的な位置関係を変動させることができる。すなわち、可撓部43が変形することによって、ロック部42をロック受け部32にロックさせ易くなる。それによって結合作業を効率化することができる。
【0034】
また、湾曲部44によって沿面距離K2を増加させることによって、バスバー20からプロテクタ部30のロック受け部32までの電気抵抗を増加させることができる。それによって、電気接続部材10が結露した場合等の電気接続部材10の安全性を高めることができる。
【0035】
<実施形態2>
次に、実施形態2を図10から図12を参照しつつ説明する。なお、実施形態1との相違点についてのみ説明する。
【0036】
実施形態2では、図10から図12に示されるように、カバー40が放熱フィン45を有することのみが実施形態1と異なる。このように、カバー40に放熱フィン45を設けることによって、カバー40からの放熱性を高めることができる。なお、放熱フィン45は、プロテクタ部30に設けられてもよい。すなわち、放熱フィン45は、プロテクタ部30およびカバー40の少なくとも一方に設けられればよい。
【0037】
<実施形態3>
次に、実施形態3を図13から図15を参照しつつ説明する。なお、実施形態1との相違点についてのみ説明する。
【0038】
実施形態3では、図13から図15に示されるように、カバー40とプロテクタ部30とは、ヒンジ部50によって一体化されていることのみが実施形態1と異なる。このように、カバー40とプロテクタ部30とを一体化することによって、電気接続部材の製造作業を簡略化できる。
【0039】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0040】
(1)上記各実施形態において、押圧接触面41Aと活電部22の表面22Aとの間に熱伝導シート60を設け、押圧接触面41Aが、熱伝導シート60を介して活電部の表面22Aに間接的に押圧しつつ接触するようにしてもよい。
このような熱伝導シート60を実施形態1に設けた例を図16に示す。この場合、熱伝導シート60によってバスバー20からカバー40への熱伝導の効率を高めることができる。
【0041】
また、熱伝導シート60を設ける場合において、バスバーの厚みT1に熱伝導シートの厚みを加えた加算値T2(図16参照)は、バスバーを除いてカバーをプロテクタ部に結合させた状態における、カバーの押圧接触面41Aとプロテクタ部のバスバー載置面31との離間距離K1(図4参照)より大きくなるように構成してもよい。
この場合、カバーをプロテクタ部に結合させる際に、寸方的条件から、押圧接触面41Aからバスバーの活電部の表面22Aに押圧力を必然的に印加させることができる。そのため、熱伝導シート60を備える構成において、押圧接触面41Aが活電部の表面22Aに間接的に、押圧しつつ接触する構成を、簡易な構成で構築できる。
【0042】
なお、熱伝導シート60は、プロテクタ部30とバスバーの活電部22との間にも設けられてもよい。
【0043】
(2)上記各実施形態において、プロテクタ部およびカバーは、熱伝導性の良い合成樹脂材料によって形成されているようにしてもよい。
この場合、バスバーからプロテクタ部およびカバーへの熱伝導性を高めることができる。それによって、バスバーからの放熱を促進することができる。
【0044】
(3)上記各実施形態において、プロテクタ部およびカバーは、熱放射性の良い材料、例えば、黒色の材料によって形成されているようにしてもよい。
この場合、プロテクタ部およびカバーから外部への熱放射性を高めることができる。それによって、バスバーからの放熱を促進することができる。
【符号の説明】
【0045】
10、10A、10B、10C…電気接続部材
20…バスバー
21…端子接続部
22…活電部
22A…活電部の表面
30…プロテクタ部
31…バスバー載置面
32…ロック受け部(結合受け部)
40…カバー
41…当接部
41A…押圧接触面
42…ロック部(結合部)
43…可撓部
44…湾曲部(可撓部)
45…放熱フィン
50…ヒンジ部
60…熱伝導シート
K1…活電部の表面と押圧接触面との離間距離
K2…沿面距離
T1…バスバーの厚さ
T2…バスバーと熱伝導シートの厚さの加算値
図1
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