(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】タムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットを含む、溶出率が制御された経口投与用薬剤学的製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/18 20060101AFI20220203BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20220203BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20220203BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20220203BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20220203BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20220203BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20220203BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220203BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220203BHJP
A61K 31/56 20060101ALI20220203BHJP
A61K 31/4985 20060101ALI20220203BHJP
A61K 31/4725 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A61K31/18
A61K9/16
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/04
A61K47/02
A61P13/08
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/56
A61K31/4985
A61K31/4725
(21)【出願番号】P 2019506094
(86)(22)【出願日】2017-08-11
(86)【国際出願番号】 KR2017008800
(87)【国際公開番号】W WO2018030862
(87)【国際公開日】2018-02-15
【審査請求日】2020-04-08
(31)【優先権主張番号】10-2016-0103269
(32)【優先日】2016-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516132149
【氏名又は名称】ハンミ ファーマシューティカルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ジェ ホ
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ベンジャミン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ジン チョル
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ヨン イル
(72)【発明者】
【氏名】パク、 ジェ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ウ、 ジョン ス
【審査官】榎本 佳予子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2007-0094110(KR,A)
【文献】特表2012-511039(JP,A)
【文献】特表2007-507491(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0113940(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0093931(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 47/00-47/69
A61K 9/00- 9/72
A61P 1/00-43/00
A61K 45/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)タムスロシン塩酸塩、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、(iii)耐酸性アクリル重合体、及び(iv)2種類以上の不溶性希釈剤を含むタムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットを含
み、前記徐放性ペレットは、乾燥ペレットを基準に、(i)タムスロシン塩酸塩0.15~0.40重量%、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)1.0~5.0重量%、(iii)耐酸性アクリル重合体3.0~15.0重量%、及び(iv)2種類以上の不溶性希釈剤70.0~93.0重量%を含むことを特徴とする経口投与用薬剤学的製剤。
【請求項2】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、
10,000~100,000cPsの粘度を有することを特徴とする請求項1
に記載の経口投与用薬剤学的製剤。
【請求項3】
前記耐酸性アクリル重合体は、Eudragit
(登録商標)L30D-55、Eudragit
(登録商標)L100D-5
5、Eudragit
(登録商標)L12,5、及びそれらの任意の組み合わせによって構成された群のうちから選択されることを特徴とする請求項1
に記載の経口投与用薬剤学的製剤。
【請求項4】
前記不溶性希釈剤は、微細結晶性セルロース、タルク、二酸化チタン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群のうちから選択されることを特徴とする請求項1
に記載の経口投与用薬剤学的製剤。
【請求項5】
前記徐放性ペレットは、追加して腸溶性被覆剤によってコーティングされたことを特徴とする請求項1
に記載の経口投与用薬剤学的製剤。
【請求項6】
乾燥ペレットを基準に、(i)タムスロシン塩酸塩
0.15~0.40重量%、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)
1.0~5.0重量%、(iii)耐酸性アクリル重合体
3.0~15.0重量%、(iv)2種類以上の不溶性希釈剤
70.0~93.0重量%を含みながら、(v)腸溶性被覆剤の含量が1.5~15重量%であることを特徴とする請求項
5に記載の経口投与用薬剤学的製剤。
【請求項7】
前記徐放性ペレットは、球形化径を基準に、0.8~1.4μmインペレットが65%以上、0.4~0.8μmインペレットが15%以上、及び0.4μm以下のペレットが5%未満であることを特徴とする請求項1
に記載の経口投与用薬剤学的製剤。
【請求項8】
前記タムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットは、米国薬典(USP)による溶出試験第2法であるパドル法により、50rpm、pH6.8溶液900mL及び37℃条件で試験するとき、1時間当り溶出率が25~55%であることを特徴とする請求項1
に記載の経口投与用薬剤学的製剤。
【請求項9】
前記徐放性ペレットを含むカプセル剤であることを特徴とする請求項1
に記載の経口投与用薬剤学的製剤。
【請求項10】
単位剤形当たり、0.2mgまたは0.4mgのタムスロシン塩酸塩を含むことを特徴とする請求項1
に記載の経口投与用薬剤学的製剤。
【請求項11】
陽性前立腺肥大症治療または予防に使用するためのものであることを特徴とする請求項1
に記載の経口投与用薬剤学的製剤。
【請求項12】
(a)(i)タムスロシン塩酸塩、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、(iii)耐酸性アクリル重合体、及び(iv)2種類以上の不溶性希釈剤を含む混合物を混合して押し出し、顆粒形態に成形する段階と、
(b)前記押し出された顆粒を、球形化機を利用し、回転速度600~800rpmで10~45分間球形化し、ペレットで製造する段階と、を含む請求項1
に記載の経口投与用薬剤学的製剤の製造方法。
【請求項13】
(A)(i)タムスロシン塩酸塩、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、(iii)耐酸性アクリル重合体、及び(iv)2種類以上の不溶性希釈剤を含むタムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットと、
(B)前記タムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットと物理的に分離された状態の1以上の他の薬理学的活性成分、及び薬学的に許容可能な担体を含む薬学組成物を含
み、前記徐放性ペレットは、乾燥ペレットを基準に、(i)タムスロシン塩酸塩0.15~0.40重量%、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)1.0~5.0重量%、(iii)耐酸性アクリル重合体3.0~15.0重量%、及び(iv)2種類以上の不溶性希釈剤70.0~93.0重量%を含むことを特徴とするタムスロシン塩酸塩含有複合硬質カプセル剤。
【請求項14】
前記1以上の薬理学的活性成分は、デュタステリド、タダラフィル、フィナステリド、ソリフェナシン、及びその薬学的に許容可能な塩、または及びそれらの任意の組み合わせによって構成された群のうちから選択されることを特徴とする請求項
13に記載のタムスロシン塩酸塩含有複合硬質カプセル剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットを含む経口投与用薬剤学的製剤に係り、さらに具体的には、前記徐放性ペレットは、タムスロシン塩酸塩が胃から腸に至る間、薬物放出が精巧になされるタムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットを含む経口投与用薬剤学的製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
タムスロシン(Tamsulosin)は、下記化学式1の構造を有し、その一般名が、(R)-5-[2-[[2-(2-エトキシフェノキシ)エチル]-アミノ]プロピル]-2-メトキシ-ベンゼンスルホンアミドである化合物である。
【0003】
【0004】
タムスロシン、またはその薬学的に許容可能な塩は、心不全症及び陽性前立腺肥大症(BPH:benign prostatic hyperplasia)の治療に有用なα-交感神経遮断活性を有すると知られている。そのうちでも、特に、タムスロシン塩酸塩(Tamsulosin hydrochloride)は、α-アドレノセプタ(adrenoceptor)を選択的に抑制し、泌尿生殖器に選択的に作用することにより、膀胱を取り囲んでいる平滑筋と前立腺とを弛緩させ、尿の排泄速度を改善させるので、陽性前立腺肥大症の症状を改善させる薬理効果にすぐれながらも、副作用が少ないと知られている。
【0005】
該タムスロシン塩酸塩の生体利用率は、90%以上と吸収が良好になされる方であり、半減期は、正常人の場合、9~13時間であり、陽性前立腺肥大症患者の場合、14~15時間ほどと長い方である。従って、タムスロシン塩酸塩を約6時間ほど徐放化させ、徐々に放出させる場合、24時間、薬物の濃度が十分に維持される。
【0006】
該タムスロシン塩酸塩は、白色の結晶性粉末であり、約230℃で分解がなされ、水に少し溶ける物理化学的性質を有する。水に溶かし難い物質ではないので、徐放化において、放出調節を十分に考慮しなければならない。
【0007】
特許文献1は、タムスロシン徐放性製剤の開発のために、腸溶性放出調節剤を含む顆粒を製造し、その顆粒をカプセルに充填させるタムスロシン製剤の製造方法を開示している。ところで、そのように、腸溶性放出調節剤のみを使用する場合、腸液においては、活性成分の放出量が正しく制御されず、胃腸管内のpH変化により、一定活性成分放出様相を示し難い。
【0008】
特許文献2は、タムスロシン塩酸塩、ポリ酢酸ビニル及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、並びに顆粒形成物質を含むタムスロシン塩酸塩徐放性顆粒を含むカプセル剤を開示している。前記製剤は、ポリ酢酸ビニル及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用しており、pH変化、または飲食物の存在いかんに係わりなく、服用後、経時的に活性成分が放出される。しかし、該活性成分が、時間に依存して放出されるので、人によっては、薬物がいずれも放出される前に、薬物が体外に排出されたり、所望する時点及び位置において、放出量を精巧に調節することができないという短所がある。
【0009】
また、前記特許文献2のタムスロシン塩酸塩製剤及び市販製剤は、いずれも製造時、バッチ間において、ペレットサイズ偏差が大きく、それにより、溶出率が一定ではないという問題がある。
【0010】
同時に、フローマックス(登録商標)(Flomax:Boehringer Ingelheim製)を始めとした現在市販中であるタムスロシン塩酸塩製剤は、タムスロシン塩酸塩0.4mgが複数個のペレットに含有された経口投与用カプセルであり、いずれも0.4mg当たりペレット重量が約330mgであり、複合剤として使用するとき、該複合剤の大きさが大きくなり、前立腺肥大症患者の主要年齢帯である老年層であるということを勘案するとき、カプセル剤の服用が容易ではなく、服薬順応度が低くなる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】韓国特許公告1993-0007245
【文献】韓国特許公開2005-0082038
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の一様相は、特定範囲の大きさを有するペレットを、再現性あるように生産可能にし、活性成分の溶出偏差が少なく、放出速度が調節されたタムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットを含む経口投与用薬剤学的製剤を提供することである。
【0013】
本発明の他の一様相は、前記タムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットを含む経口投与用薬剤学的製剤の製造方法を提供することである。
【0014】
本発明のさらに他の一様相は、タムスロシンを含む徐放性ペレットと物理的に分離された1以上の他の薬効群(therapeutic class)との薬剤学的組成物を共に含むタムスロシン含有複合硬質カプセル剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一様相は、(i)タムスロシン塩酸塩、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、(iii)耐酸性アクリル重合体、及び(iv)2種類以上の不溶性希釈剤を含むタムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットを含む経口投与用薬剤学的製剤を提供する。
【0016】
また、本発明の他の一様相は、
(a)(i)タムスロシン塩酸塩、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、(iii)耐酸性アクリル重合体、及び(iv)2種類以上の不溶性希釈剤を含む混合物を混合して押し出し、顆粒形態に成形する段階と、
(b)前記押し出された顆粒を、球形化機を利用し、回転速度約600~800rpmで約10~45分間球形化し、ペレットを製造する段階と、を含む前記本発明の一様相による経口投与用薬剤学的製剤の製造方法を提供する。
【0017】
本発明のさらに他の一様相は、
(A)(i)タムスロシン塩酸塩、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、(iii)耐酸性アクリル重合体、及び(iv)2種類以上の不溶性希釈剤を含むタムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットと、
(B)前記タムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットと物理的に分離された状態の1以上の他の薬理学的活性成分、及び薬学的に許容可能な担体を含む薬学組成物を含む前記本発明の一様相によるタムスロシン塩酸塩含有複合硬質カプセル剤を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一様相による経口投与用薬剤学的製剤は、従来のタムスロシン塩酸塩製剤に比べ、生産時、バッチ間において、ペレットサイズの差が小さく、生産再現性に非常にすぐれ、ペレット間のサイズ偏差が小さいことにより、一定溶出率及び低溶出偏差を示す。そのような放出挙動は、患者の体内においても、同一に作用すると予想され、それを介して、患者の治療に、さらに優秀な効果を示すと予想される。
【0019】
また、本発明は、pH依存的腸溶性基剤と、pH非依存的腸溶性基剤とを共に使用することにより、体内溶出速度をさらに精巧に調節することができ、タムスロシン塩酸塩を含むペレットの質量を、既存市販品対比で、1/2レベルに大きく低減させることができるので、同一容量のタムスロシン塩酸塩を基準にするとき、従来に比べ、さらに少量のペレットが使用される。そのように、本発明によるタムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットは、さらに少ないペレット量で、同一容量のタムスロシン塩酸塩を含むことが可能であるので、タムスロシン塩酸塩、及び1以上の他の薬剤学的活性成分を含む複合製剤の製造に使用される場合、最終的な単位剤形当たり同一量の活性成分を含みながらも、従来の製剤に比べ、はるかに小サイズの剤形を提供することができるので、患者の服薬順応度を高めることができるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施例によるタムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットを示した写真である。
【
図2A】本発明の実施例1~5、実施例13で製造した乾燥ペレットの溶出率を測定した結果を図示したグラフであるである。
【
図2B】本発明の比較例1、比較例3~5で製造した乾燥ペレットの溶出率を測定した結果を図示したグラフである。
【
図2C】本発明の比較例7,8及び比較例10で製造した乾燥ペレットの溶出率を測定した結果を図示したグラフである。
【
図3】本発明の実施例1~10によって生産されたペレットの粒子度を測定した結果を図示したグラフである。
【
図4A】本発明の実施例及び比較例で製造したタムスロシン塩酸塩カプセル剤の生産バッチ別再現性を確認するために、互いに異なる3個のバッチに対してpH6.8のリン酸塩緩衝液において、1時間溶出試験時に測定された溶出率を示したグラフである。
【
図4B】本発明の実施例及び比較例で製造したタムスロシン塩酸塩カプセル剤の生産バッチ別再現性を確認するために、互いに異なる3個のバッチに対してpH6.8のリン酸塩緩衝液において、1時間溶出試験時に測定された溶出率を示したグラフである。
【
図4C】本発明の実施例及び比較例で製造したタムスロシン塩酸塩カプセル剤の生産バッチ別再現性を確認するために、互いに異なる3個のバッチに対してpH6.8のリン酸塩緩衝液において、1時間溶出試験時に測定された溶出率を示したグラフである。
【
図5A】本発明の一具体例によるタムスロシン含有徐放性ペレット、及び他の薬理学的活性成分が共に含まれた硬質カプセル複合剤の模式図である。
【
図5B】本発明の一具体例によるタムスロシン含有徐放性ペレット、及び他の薬理学的活性成分が共に含まれた硬質カプセル複合剤の模式図である。
【
図5C】本発明の一具体例によるタムスロシン含有徐放性ペレット、及び他の薬理学的活性成分が共に含まれた硬質カプセル複合剤の模式図である。
【
図5D】本発明の一具体例によるタムスロシン含有徐放性ペレット、及び他の薬理学的活性成分が共に含まれた硬質カプセル複合剤の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明で使用される全ての技術用語は、異なって定義されない以上、本発明の関連分野で一般の当業者が一般的に理解するような意味で使用される。また、本明細書には、望ましい方法や試料が記載されるが、それと類似していたり、同等であったりするものなども、本発明の範疇に含まれる。また、本明細書に記載された数値は、明示されていなくとも、「約」の意味を含むものであると見なされる。本明細書に参考文献として記載される全ての刊行物内容は、全体が本明細書に参照として統合される。
【0022】
本発明者らは、製造時、バッチ間において、ペレットサイズ偏差が小さく、それにより、溶出率が一定に維持されるタムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットを含む経口投与用薬剤学的製剤を鋭意研究した結果、徐放性ペレットの製造時、活性成分に対して、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び耐酸性アクリル重合体を、所定重量比で組み合わせる場合、最終的に製造される徐放性ペレットが互いに類似した大きさを有し、ペレット間サイズ偏差が小さく、バッチ間におけるタムスロシン塩酸塩の溶出率が一定に維持されるだけではなく、最終的に製造されるタムスロシン塩酸塩を含む徐放性ペレットの体積を減らすことができ、小サイズの単位剤形に製造することができることを確認し、本発明を完成した。
【0023】
本発明は、一様相において、(i)タムスロシン塩酸塩、(ii)pH非依存的高分子基剤であるヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、(iii)pH依存的高分子基剤である耐酸性アクリル重合体、及び(iv)2種類以上の不溶性希釈剤を含むタムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットを含む経口投与用薬剤学的製剤を提供する。
【0024】
前記経口投与用薬剤学的製剤に含有される徐放性ペレットは、乾燥ペレットを基準に、薬理活性成分であるタムスロシン塩酸塩を、約0.07~0.50重量%、具体的には、約0.15~0.40重量%、さらに具体的には、約0.20~0.35重量%を含んでもよい。
【0025】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、ヒプロメロース)は、pH非依存的高分子であり、pHとは係わりなく、徐放性顆粒製剤から、タムスロシン塩酸塩の溶出率を調節する役割を行う。すなわち、該ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、他の成分と共に、水溶液中に溶解される場合、形成された気孔を介して、活性成分の初期放出量を調節することにより、活性成分を持続的に徐々に放出させる。前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースの粘度は、10,000cPs以上でもあり、具体的な一実施例としては、10,000~100,000cPsでもあり、さらに具体的には、粘度が15,000~100,000cPsでもある。そのような粘度範囲のヒドロキシプロピルメチルセルロースは、例えば、メトローズ(METOLOSE)60SH,65SH,90SH(日本・信越化学工業(株))などがある。ヒドロキシプロピルメチルセルロースの粘度が前記範囲より低い場合には、徐放性顆粒の製造時、その使用量を増やしても、徐放性顆粒の活性成分放出を徐放化させ難くなってしまう。前記徐放性ペレットは、高粘度ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、10,000~100,000cps)を、乾燥ペレットを基準に、約1.0~7.0重量%、具体的には、約1.0~5.0重量%、さらに具体的には、約1.5~4.0重量%を含んでもよい。該ヒドロキシプロピルメチルセルロースを前記範囲より過量使用する場合、徐放性が過度になり、薬物放出が過度に遅延され、生産時顆粒が互いに絡み合い、生産性が落ちるという問題が発生してしまう。また、前記範囲に及ばない場合、生産時、ペレットサイズ偏差がはなはだしく、微粉比率が高くなる現象を示し、その結果、薬物放出が急速になされ、所望レベルの徐放性を得ることができないという心配がある。
【0026】
前記耐酸性アクリル重合体は、pH依存的であり、強酸性条件(約pH4.5以下)下では、溶解されず、pH5.5以上では、溶解される腸溶性高分子であり、代表的なものとしては、メタクリル酸及びメタクリル酸メチルの共重合体(methacrylic acid及びmethylmethacrylate copolymers)からなる、例えば、Eudragit L30 D-55、Eudragit L100、Eudragit L100 D-55、Eudragit L12,5、Eudragit S100、Eudragit S12,5、Eudragit FS30D、及びそれらの任意の組み合わせによって構成された群のうちからも選択される。一具体例として、前記耐酸性アクリル重合体は、Eudragit L30 D-55、Eudragit L100、D-55、Eudragit L12,5、及びそれらの組み合わせによって構成された群のうちからも選択される。Eudragit L30 D-55の場合、低いpH(例:pH5.5以下)条件においては、ほとんど溶解されず、pH5.5以上の条件になれば、溶解され始め、そのような特徴により、腸溶性基剤として汎用されている賦形剤である。Eudragit L30 D-55も、乳化剤として、ラウリル硫酸ナトリウムとポリソルベート80とを含むアクリレート重合体の30%(m/V)水性分散剤として利用可能である。
【0027】
本発明の前記徐放性ペレットは、前記耐酸性アクリル重合体を、乾燥ペレットを基準に、約3.0~20.0重量%、具体的には、約3.0~15.0重量%、さらに具体的には、約4.0~10.0重量%を含んでもよい。該耐酸性アクリル重合体の量が約3重量%より少なければ、活性成分の放出が、経時的にのみ徐々に放出され、所望位置において、薬物放出制御が困難であり、約20重量%より多ければ、特定pH条件において、一度に多量の活性成分が放出される恐れがある。
【0028】
前記2種類以上の不溶性希釈剤は、前記顆粒が体内でも溶けず、形態を維持させる物質を意味し、前記不溶性希釈剤としては、顆粒製造に一般的に使用される任意の希釈剤が使用される。前記不溶性希釈剤としては、微細結晶性セルロース、タルク、TiO2、またはそれらの組み合わせのうちからも選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0029】
前記不溶性希釈剤は、乾燥ペレットを基準に、約70.0~95.9重量%、具体的には、約75.0~95.9重量%、さらに具体的には、約80.0~94.3重量%、他の具体的な範囲においては、約70.0~93.0重量%、さらに具体的には、約75.0~93.0重量%の量でも使用される。前記不溶性希釈剤の量が約70.0%に及ばない場合、体内で溶解され、ペレット形態を維持することができず、それにより、徐放性を示すことができず、約95.9%より多い場合、薬物放出量が、所望範囲以下(約80%以下)に示され、それにより、目標とする血中濃度を維持することができなくなる恐れがある。
【0030】
本発明による経口投与用薬剤学的製剤に含有される徐放性ペレットは、前記不溶性希釈剤を、粒子サイズが異なる2種類以上含まなければならず、互いに異なる大きさの不溶性希釈剤を使用することにより、ペレットの密度調節が可能であり、それを介して、徐放性ペレットの溶出制御をさらに容易にすることができる。
【0031】
一具体例において、本発明による経口投与用薬剤学的製剤は、乾燥ペレットを基準に、(i)タムスロシン塩酸塩約0.07~0.50重量%、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)約1.0~7.0重量%、(iii)耐酸性アクリル重合体約3.0~20.0重量%、及び(iv)2種類以上の不溶性希釈剤約70.0~95.9重量%を含むタムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットを含む。
【0032】
一具体例において、本発明による経口投与用薬剤学的製剤は、乾燥ペレットを基準に、(i)タムスロシン塩酸塩約0.07~0.50重量%、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)約1.0~5.0重量%、(iii)耐酸性アクリル重合体約3.0~15.0重量%、及び(iv)2種類以上の不溶性希釈剤約75.0~95.9重量%を含むタムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットを含む。
【0033】
一具体例において、本発明による経口投与用薬剤学的製剤は、乾燥ペレットを基準に、(i)タムスロシン塩酸塩約0.07~0.50重量%、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)約1.5~4.5重量%、(iii)耐酸性アクリル重合体約4.0~10.0重量%、及び(iv)2種類以上の不溶性希釈剤約80.0~94.3重量%を含むタムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットを含む。
【0034】
一具体例において、本発明による経口投与用薬剤学的製剤は、乾燥ペレットを基準に、(i)タムスロシン塩酸塩約0.07~0.50重量%、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)約1.0~7.0重量%、(iii)耐酸性アクリル重合体約3.0~20.0重量%、及び(iv)2種類以上の不溶性希釈剤約70.0~93.0重量%を含むタムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットを含む。
【0035】
本願に使用された用語「乾燥ペレット」は、腸溶性コーティングを行う以前の球形化工程及び乾燥工程を終えた徐放性ペレットを意味する。
【0036】
前記本発明による経口投与用薬剤学的製剤は、前記徐放性ペレットを、損傷なしに含む任意の固形製剤であり、例えば、顆粒剤、錠剤、カプセル剤などがあるが、それらに限定されるものではない。一具体例において、前記薬剤学的製剤は、前記徐放性ペレットを含むカプセル剤である。
【0037】
前記経口投与用薬剤学的製剤が含む徐放性ペレットは、乾燥ペレットを基準に、タムスロシン塩酸塩を0.07~0.50重量%含むので、従来公知されたタムスロシン塩酸塩カプセル剤に比べ、活性成分に対する徐放性顆粒の重量が顕著に低い。従来のフローマックス(Flomax)を始めとする現在市販中のタムスロシン塩酸塩カプセル剤は、いずれも活性成分0.4mg当たり顆粒の重量が約330mgであり、活性成分対比で、最終カプセル剤のサイズが大きいために、カプセル剤服用が容易ではないという心配がある。また、複合剤として活用される場合、カプセルサイズが1号より大きくなり、現在海外で市販中であるタムスロシン・デュタステリド複合剤の場合(商品名:combodart、GSK)00号カプセルに充填された製品である。
【0038】
特に、タムスロシン塩酸塩の適応症である前立腺肥大症は、50代後の男性に頻繁に発生し、70歳以上の男性において、90%が前立腺肥大を有している状況を考慮するとき、タムスロシン塩酸塩カプセル剤の大きさは、患者の服薬順応度において、非常に重要な要素である。
【0039】
前記本発明による薬剤学的製剤は、単位剤形当たりタムスロシン塩酸塩を、約0.2~0.4mg含んでもよい。一具体例において、前記薬剤学的製剤は、徐放性顆粒を含むカプセル剤であり、前記カプセル剤は、タムスロシン塩酸塩を、約0.2~0.4mg含む。
【0040】
本発明の一具体例によるカプセル剤において、使用可能な硬質カプセルサイズは、医薬品に使用される一般的なカプセルサイズであるならば、可能である。該カプセルサイズは、カプセルの号数により、多様な内部体積を有するが、00号カプセルは、約0.95mL、0号カプセルは、約0.68mL、1号カプセルは、約0.47mL、2号カプセルは、約0.37mL、3号カプセルは、約0.27mL、4号カプセルは、約0.20mLと知られている(韓国・Suheungカプセルホームページ参照)。該カプセルサイズは、本発明の製剤を服用する患者の服薬便宜性を考慮すれば、小さなものがさらに望ましいが、カプセル中に充填される内容物の質量限界(mass limit)のために、所望する全サイズのカプセルに、所望単位投与量の薬物を充填することができものではない。
【0041】
一具体例において、前記薬剤学的製剤がカプセル剤である場合、前記カプセル剤は、3号のカプセルに、タムスロシン塩酸塩を、約0.4mg含む徐放性顆粒を含んでもよい。それに反し、従来市販されていたり公知されていたりする技術によるタムスロシン塩酸塩カプセル剤の場合、活性成分0.4mg含有単位剤形が、1号以上サイズのカプセルに充填された形態である。
【0042】
一具体例において、前記薬剤学的製剤がカプセル剤である場合、前記カプセル剤は、4号のカプセルに、タムスロシン塩酸塩を、約0.2mg含む徐放性顆粒を含み、他の活性成分との複合カプセル剤として製剤化するために、3号以上のカプセルを使用することができる。
【0043】
一具体例において、前記薬剤学的製剤が複合カプセル剤である場合、前記カプセル剤は、1号のカプセルに、タムスロシン塩酸塩を、約0.4mg含む徐放性顆粒を、他の活性成分との複合カプセル剤として製剤することができる。
【0044】
一具体例において、前記徐放性ペレットは、乾燥ペレットを基準に、(i)タムスロシン塩酸塩約0.07~0.50重量%、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)約1.0~7.0重量%、(iii)耐酸性アクリル重合体約3.0~20.0重量%、及び(iv)2種類以上の不溶性希釈剤約70.0~95.9重量%を含むことにより、製造されるペレットサイズ及び溶出率の偏差を顕著に低くすることができる。
【0045】
一具体例において、本発明による経口投与用薬剤学的製剤は、球形化径を基準に、0.8~1.4μmのペレット約65%以上、0.4~0.8μmのペレット約15%以上、及び0.4μm以下のペレット約5%未満からなり、該ペレットは、担体マトリックスに均一に分布されたタムスロシン塩酸塩を含む。
【0046】
前記徐放性ペレットは、追加して徐放性被覆剤によってもコーティングされる。前記徐放性被覆剤は、一般的な腸溶性被覆物質または高分子被覆物質でもある。前記腸溶性被覆物質は、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリ酢酸ビニルフタレート、セルロースアセテートフタレート、シェラック(shellac)、メタクリル酸・メチルメタクリレート共重合体、メタクリル酸・エチルアクリレート共重合体、及びそれらの任意の組み合わせのうちからも選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0047】
前記高分子被覆物質は、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリ酢酸ビニル、及びそれらの任意の組み合わせのうちからも選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0048】
前記被覆物質は、耐酸性確保のために、乾燥ペレットを基準に、約1.5~15重量%で含まれ、所望レベルに溶出率を調節するために、例えば、約1.5,2,2.5,3,3.5,4.0,4.5,5.0,5.5,6.0,6.5,7.0,7.5,8.0,8.5,9.0,9.5,10,10.5,11,11.5,12,12.5,13,13.5,14,14.5または15重量%、または前記数値範囲前後を含む重量%範囲で含まれ、例えば、約1.5~15重量%、約3~15重量%、約4~13重量%、約5~10重量%、または約1.5~3重量%の量で含まれてもよい。前記範囲で被覆物質を使用する場合、所望レベルの溶出範囲を示すことができる。
【0049】
また、前記被覆物質を、1.5~15重量%で含め、前述の放出を調節する場合、USP monographー「Tamsulosin capsule」に適する溶出を有するタムスロシンカプセルを具現することができる。
【0050】
一具体例においては、本発明による経口投与用薬剤学的製剤は、乾燥ペレットを基準に、(i)タムスロシン塩酸塩約0.07~0.50重量%、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)約1.0~7.0重量%、(iii)耐酸性アクリル重合体約3.0~20.0重量%、(iv)2種類以上の不溶性希釈剤約70.0~93.0重量%を含みながら、(v)腸溶性被覆剤の含量が1.5~15重量%でもある。
【0051】
他の具体例では、乾燥ペレットを基準に、(i)タムスロシン塩酸塩約0.07~0.50重量%、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)約1.0~7.0重量%、(iii)耐酸性アクリル重合体約3.0~20.0重量%、(iv)2種類以上の不溶性希釈剤約70.0~95.9重量%を含みながら、(v)腸溶性被覆剤の含量が3~15重量%でもある。
【0052】
一具体例において、本発明による経口投与用薬剤学的製剤は、米国薬典(USP)による溶出試験第2法であるパドル法(paddle method)により、37℃、pH6.8溶液(パンクレアチンがないUSP人工腸液)900mL及び50rpm条件での溶出時、1時間に、約30~50%、具体的には、約32~48%、さらに具体的には、約35~45%の一定溶出率を示すことができる。
【0053】
一具体例において、本発明による薬剤学的製剤は、前記徐放性顆粒を含むことにより、0次放出に近い徐放性を示し、前記薬剤学的製剤は、米国薬典(USP)による溶出試験第2法であるパドル法により、37±0.5℃、0.1N HCl、750mLの水性溶液において、2時間50rpmでの溶出試験後、連続して37±0.5℃、リン酸塩を使用した緩衝液250mLを追加し、pH6.8に合わせた水性緩衝液において、50rpmでの溶出試験時、0.1N HCl水性溶液において、2時間、タムスロシン塩酸塩の溶出率が1カプセル該当量に対して、10%未満、さらに望ましくは、5%未満の溶出率を有することができ、または13~34%、さらに望ましくは、20~27%の溶出率を有することができる。また、pH6.8の水性緩衝液において、8時間目に、タムスロシン塩酸塩の溶出率が、1カプセル該当量に対して、80%以上を示すことができる。前記本発明による薬剤学的製剤は、タムスロシン塩酸塩の適応症として公知された任意の疾患の治療に使用されるだけではなく、将来に、適応症として発見される任意の疾患治療にも使用されるであろう。本明細書において「治療」は、疾病の治療(treatment)、改善(improvement)、緩和(amelioration)または管理(management)をいずれも含む概念として使用される。一具体例において、前記薬剤学的製剤は、陽性前立腺肥大症、前立腺肥大症に伴う排尿障害、急性尿閉(acute urinary retension)の治療にも使用される。
【0054】
本発明は、他の一様相において、
(a)(i)タムスロシン塩酸塩、(ii)pH非依存的高分子であるヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、(iii)pH依存的高分子である耐酸性アクリル重合体、及び(iv)2種類以上の不溶性希釈剤を含む混合物を混合して押し出し、顆粒形態に成形する段階と、
(b)前記押し出された顆粒を、球形化機を利用し、回転速度約600~800rpmで約10~45分間球形化し、ペレットを製造する段階と、を含む前記本発明の一様相による経口投与用薬剤学的製剤の製造方法を提供する。
【0055】
一具体例において、前記本発明の製造方法は、
(a)乾燥ペレットを基準に、(i)タムスロシン塩酸塩約0.07~0.50重量%、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)約1.0~7.0重量%、(iii)耐酸性アクリル重合体約3.0~20.0重量%、及び(iv)2種類以上の不溶性希釈剤約70.0~95.9重量%を含む混合物を混合して押し出し、顆粒形態に成形する段階と、
(b)前記押し出された顆粒を、球形化機を利用し、回転速度約600~800rpmで約10~45分間球形化し、ペレットを製造する段階と、を含んでもよい。
【0056】
前記薬剤学的製剤の製造方法の詳細は、前記本発明の一様相による薬剤学的製剤に係わる説明がそのまま適用される。
【0057】
前記顆粒形態に成形する段階は、当該技術分野に公知された顆粒製造方法によって遂行することができる。一具体例において、前記顆粒の成形は、構成成分の湿式粉砕及び圧縮成形を介しても行われる。前記圧縮成形は、例えば、押出成形機に湿式粉砕物を入れてもなされる。
【0058】
前記球形化する段階は、前記成形された顆粒を、球形化機を利用し、回転速度約600~800rpmで、約10~45分間球形化することによってもなされる。前述の回転速度及び時間範囲に及ばない場合、球形化度が低くなる恐れがあり、前記範囲より速い回転速度に上げることは、機器条件上困難であり、前記範囲より長時間遂行する場合、生産性が落ち、微粉がかえって増加する恐れがある。
【0059】
前記薬剤学制製剤の製造方法は、前記球形化された徐放性顆粒をカプセルに充填し、カプセル剤を製造する段階を追加して含んでもよい。必要によっては、前記徐放性顆粒に、薬剤学的に許容可能な添加剤を付加的な構成成分として追加した後、硬質カプセルに充填することにより、カプセル剤を製造することができる。前記薬剤学的に許容可能な添加剤としては、可塑剤、滑沢剤、その他補助剤などを挙げることができる。
【0060】
本発明は、さらに他の一様相において、
(A)(i)タムスロシン塩酸塩、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、(iii)耐酸性アクリル重合体、及び(iv)2種類以上の不溶性希釈剤を含むタムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットと、
(B)前記タムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットと物理的に分離された状態の1以上の他の薬理学的活性成分、及び薬学的に許容可能な担体を含む薬学組成物と、を含むタムスロシン塩酸塩含有複合硬質カプセル剤を提供する。
【0061】
前記タムスロシン塩酸塩含有複合硬質カプセル剤に含有されるタムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットに係わる具体的な内容は、前述の本発明の一様相によるタムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットを含む経口投与用薬剤学的製剤に係わる説明がそのまま適用される。
【0062】
一具体例において、前記本発明のタムスロシン塩酸塩含有複合硬質カプセル剤は、
(A)乾燥ペレットを基準に、(i)タムスロシン塩酸塩約0.07~0.50重量%、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)約1.0~7.0重量%、(iii)耐酸性アクリル重合体約3.0~25.0重量%、及び(iv)2種類以上の不溶性希釈剤約70.0~95.9重量%を含むタムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットと、
(B)前記タムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットと物理的に分離された状態の1以上の他の薬理学的活性成分、及び薬学的に許容可能な担体を含む薬学組成物を含むタムスロシン塩酸塩含有複合硬質カプセル剤である。
【0063】
前述の本発明によるタムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットを含む経口投与用薬剤学的製剤は、同一単位投与量のタムスロシン塩酸塩を含む場合、単位剤形の大きさが、従来製剤に比べ、顕著に小さく製造される。特に、そのような効果は、複合剤に適用されるとき、著しい効果を示すことができる。
【0064】
前記タムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットと、「物理的に分離された状態で、1以上の他の薬理学的活性成分、及び薬学的に許容可能な担体を含む薬学組成物を含む」ということは、それぞれの活性成分の混合がなされないように、別個の分離した剤形で硬質カプセルに充填されるということを意味する。そのような分離を介して、活性成分間の相互作用を防ぎ、組成物の安定性を向上させるだけではなく、品質管理のための試験分析にもさらに容易になる。
【0065】
前記タムスロシン塩酸塩含有複合硬質カプセル剤において、タムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットと物理的に分離された状態で含まれる1以上の他の薬理学的活性成分は、タムスロシン塩酸塩と併用可能であると公知された任意の薬物でもある。例えば、勃起不全や陽性前立腺肥大症などの予防または治療のために、タムスロシン塩酸塩と併用可能であると知られたデュタステリド(dutasteride)、タダラフィル(tadalafil)、フィナステリド(finasteride)またはソリフェナシン(solifenacin)などを、前記タムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットと物理的に分離された状態にし、タムスロシン塩酸塩含有複合硬質カプセル剤を製造することができるが、それらに限定されるものではない。
【0066】
一具体例において、本発明によるタムスロシン塩酸塩含有複合硬質カプセル剤に含まれる前記1以上の他の薬理学的活性成分は、デュタステリド、タダラフィル、フィナステリド、ソリフェナシン、またはそれらの薬学的に許容可能な塩、またはそれらの任意の混合物でもある。具体的には、例えば、タムスロシン含有徐放性ペレットと、デュタステリドの軟質カプセルとが含有された複合硬質カプセル剤、またはタムスロシン含有徐放性ペレットと、タダラフィル含有錠剤またはペレットとのポリキャップ(polycap)、タムスロシン含有徐放性ペレットと、フィナステリドとの含有錠剤、またはタムスロシン含有徐放性ペレットと、ソリフェナシン含有錠剤またはペレットとのポリキャップ形態の剤形などを製造することができる。
【0067】
前記1以上の他の薬理学的活性成分、及び薬学的に許容可能な担体を含む薬学組成物は、ペレット、軟質カプセル、錠剤などの形態に剤形化され、タムスロシン塩酸塩含有複合硬質カプセル剤に含まれてもよい。
【0068】
前述の本発明の一具体例によるカプセル剤は、0号,1号,2号及び3号カプセルを使用することができ(elongated capsule含む)、具体的には、1号,2号及び3号カプセル、さらに具体的には、1号または2号カプセルを使用することができる。
【0069】
本発明の一具体例において、タムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットは、市販中であるハンミ・Duted軟質カプセル0.5mgと共に、1号硬質カプセルに充填し、デュタステリド0.5mg/タムスロシン0.4mgポリキャップ複合剤にも製造される。
【0070】
また、本発明の一具体例において、タムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットは、タダラフィルペレット剤形または錠剤と共に、1号硬質カプセルに充填し、タダラフィル5mg/タムスロシン0.4mgポリキャップ複合剤にも製造される。
【0071】
また、本発明の一具体例において、タムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットは、ソリフェナシン錠剤と共に1号硬質カプセルに充填し、ソリフェナシン5mg/タムスロシン0.2mgポリキャップ複合剤にも製造される。
【実施例】
【0072】
以下、本発明について、下記実施例により、さらに詳細に説明する。ただし、下記実施例は、本発明を例示するためのものであるのみ、それにより、本発明の範囲が限定されるものではない。
【0073】
実施例1~12、及び比較例1~10:タムスロシン塩酸塩含有徐放性乾燥ペレットの製造
タムスロシン塩酸塩;100,000cpsの粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(METOLOSE 90SH);Eudragit L30 D-55、Eudragit L100 D-55またはEudragit L12,5;微細結晶性セルロース(MCC);及びタルクを、それぞれ下記表1~表4に記載された量(単位:mg)で高速混合機に入れ、混合して湿式粉砕した。大きさが0.8mmであるシーブ網を差し入れた押出成形機(extruder)に粉砕物を入れ、スクリュー(screw)速度35rpmで取り出した後、球形化機(spheronizer)を利用し、回転速度750rpmで25分間コアペレットを製造した。
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
前述のところにおいて、比較例1及び2は、それぞれ3個のバッチ(すなわち、比較例1-1,1-2及び1-3、並びに比較例2-1,2-2及び2-3)で乾燥ペレットを製造した。
【0078】
【0079】
実施例3-1~3-4:実施例3の乾燥ペレットに対する比率別腸溶コーティング
前記実施例3で製造したタムスロシン塩酸塩徐放性乾燥ペレットに対して、メタクリル酸・エチルアクリレート共重合体26.7重量部(固形粉含量8.0重量部)、タルク1.2重量部及びトリアセチン(Triacetin、可塑剤)0.8重量部及び蒸溜水24.0重量部で構成された被覆液を利用し、日本ダルトン(DALTON)社のNQ-160流動ベッド(bed)層において、下層噴霧(bottom spray)を行った。このとき、入口温度は、35~45℃、出口温度は、25~35℃、被覆液噴霧速度は、7~13rpm、噴霧空気圧(spraying air)は、500~1,000m3/hである条件下で被覆を施し、徐放性被覆剤に被覆されたタムスロシン塩酸塩徐放性ペレットを得た。
腸溶コーティング組成:Eudragit L30 D-55
使用設備:流動層コーティング機
【0080】
【0081】
実施例13:実施例3の乾燥ペレット含有カプセル製造
実施例3について、タムスロシン塩酸塩として0.2mg該当量を含む徐放性ペレット約63.2mgを3号カプセルに充填した。
【0082】
実施例14:実施例3-1の乾燥ペレット含有カプセル製造
実施例3-1について、タムスロシン塩酸塩として0.2mg該当量を含む徐放性ペレット約69.5mgを3号カプセルに充填した。
【0083】
試験例1:溶出評価(pH6.8)
前記実施例1~5、実施例13、及び比較例1,比較例3~10の乾燥ペレットに対して、下記条件によって溶出評価を実施した。
【0084】
米国薬典(USP)溶出試験(dissolution test)第2法であるパドル法により、pH6.8溶液(パンクレアチンがないUSP人工腸液)900mL及び50rpm条件で溶出を進め、15分,30分及び60分時点でサンプリングし、0.45μmフィルタリング後、以下のHPLC分析条件によって分析した。
【0085】
-カラム:内径約4.6mm及び長さ5cmであるステンレス管に、粒径5μmの液体クロマトグラフ用オクタデシルシリル化されたシリカゲルが充填されたカラム(Kromasil Eternity-5-C18、AkzoNobel社)
-検出機:紫外部吸光光度計(測定波長225nm)
-流速:1.3mL/分
-注入量:100μl
-カラム温度:30℃
【0086】
-移動相:過塩素酸8.7mL及び水酸化ナトリウム3.0gを、水1,900mLに溶かした後、水酸化ナトリウムでpH2.0で調節し、水を加え、2,000mLにした。その液1,520mLにアセトニトリル480mLを加えて移動相にした。
【0087】
実施例1~5、実施例13、並びに比較例1、及び比較例3~10の乾燥ペレットの溶出率測定結果を、下記の表6及び表7に整理し、
図2A~
図2Cに図示した。
【0088】
【0089】
【0090】
図2A~
図2Cに示されているように、実施例1~5の乾燥ペレットは、溶出パターンが互いに類似している様相を示し、0.2mg該当量を充填した実施例13の場合にも、実施例3と類似した溶出結果を示した。しかし、添加される賦形剤の含量範囲が、本発明の範囲を外れる比較例1、及び比較例3~10は、溶出率が互いに異なり、目標とするレベルの溶出率を得難く、結果として、体内放出挙動調節が困難に見られる。
【0091】
試験例2:ペレット粒度評価
前記実施例1~12、及び比較例1~10で製造したタムスロシン塩酸塩徐放性ペレットを、35号シーブ(market grade、sieve size:0.44mm)、20号シーブ(market grade、sieve size:0.85mm)及び14号シーブ(market grade、sieve size:1.4mm)を利用してシービングし、14号シーブ残留分、20号シーブ残留分、35号シーブ残留分及び35号シーブ通過分を分離した後、ペレット粒度別に、1.4mm以上、0.85~1.4mm、0.44~0.85mm及び0.44mm以下の粒度を有する粒子の比率(単位:重量%)を測定した。その結果を下記の表8~10に示した。
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
また、前記結果のうち一部を
図3に示した。
図3に示されているように、実施例1~10の場合、徐放性ペレットの粒度範囲が一定であるのに反し、比較例の場合、1.4mm以上または0.44mm以下のペレットが多く、バッチ間溶出偏差及びバッチ内溶出偏差が大きいと予想される。
【0096】
試験例3:溶出評価(pH6.8)-バッチ間再現性確認
前記試験例1で説明した溶出試験方法により、比較例1,2及び実施例3-1で製造したペレットをそれぞれ3バッチにし、その溶出率を評価し、その結果を、下記の表11及び12に整理し、
図4A~
図4Cに図示した。
【0097】
【0098】
【0099】
表11及び表12と、
図4A~
図4Cに示されているように、市販品である比較例1及び2の場合、バッチ間溶出率に差を示すのに反し、本発明による実施例3-1の場合、バッチ間再現性にすぐれるということを確認することができた。それは、常時同一放出を示す製品を生産することができるということを意味し、それを介して、患者の治療効果を高めることができると予想される。
【0100】
試験例4:溶出評価(0.1N HCl 750mL→250mL追加、pH6.8、1,000mL)
実施例3-1~実施例3-4、及び実施例14で製造した腸溶コーティングされた徐放性ペレットに対して、下記の方法で溶出率を評価した。
【0101】
<タムスロシン溶出条件>
【0102】
米国薬典(USP)溶出試験第2法であるパドル法により、シンカに入れ、50rpmで、酸性溶液750mLを使用し、最初の120分溶出後、バッファ試験液250mLを追加し、480分まで溶出試験を行った。試験初期、及び試験開始後120分,180分,240分,360分及び480分で、溶出試験液10mLをサンプルとして採取した。採取したサンプルは、下記HPLC分析条件で分析し、タムスロシン塩酸塩の溶出率(単位:%)を計算した。
【0103】
-溶出液:酸性溶液-0.1N塩酸溶液、バッファ試験液-0.2M第3リン酸ナトリウム(12水和物)、pH6.8
【0104】
【0105】
実施例3-1~3-4は、同一処方に対し、腸溶コーティングレベルを徐放化ペレット対比で、それぞれ10重量%、4重量%、7重量%及び13重量%でコーティングしたものであり、実施例3-1~3-4の徐放化ペレットの場合、2時間目に、5%以下の溶出率を示し、3時間目及び8時間目でも、所望レベルの溶出率を示した。それを介して、4~13重量%でコーティングしたとき、腸溶コーティングレベル別に溶出率差がないということを確認した。
【0106】
また、0.2mg該当量を充填した実施例14も、実施例3-1と類似した溶出パターンを示した。それを介して、容量別差がないと確認された。
【0107】
実施例15~17:ポリキャップ複合剤生産
実施例3-1で製造したタムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットと、市販中のハンミ・Duted軟質カプセル0.5mgとを1号硬質カプセルに充填し、デュタステリド0.5mg/タムスロシン0.4mgポリキャップ複合剤を製造した(実施例15)。
【0108】
また、実施例3-1で製造したタムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットと共に、タダラフィルペレット剤形または錠剤を、1号硬質カプセルに充填し、タダラフィル5mg/タムスロシン0.4mgポリキャップ複合剤を製造した(実施例16-1及び16-2)。
【0109】
また、実施例3-1で製造したタムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットと共に、ソリフェナシン錠剤を1号硬質カプセルに充填し、ソリフェナシン5mg/タムスロシン0.2mgポリキャップ複合剤を製造した(実施例17)。また、この錠剤2錠を充填し、ソリフェナシン10mg/タムスロシン0.2mgポリキャップ複合剤を製造することができる。該ソリフェナシン錠剤の場合、国内市販中であるBesigum錠の処方及び工程で製造し、カプセル充填のために、錠剤径を6.0mmに変更して生産した。
【0110】
【0111】
前述のところで製造した複合剤の形態を
図5に提示した。前記複合剤は、タムスロシン塩酸塩0.4mgと共に、デュタステリド0.5mgまたはタダラフィル5mgを、タムスロシン塩酸塩0.2mgと共にソリフェナシン5mgまたは10mgを含むが、その全体重量は300mgに過ぎず、最終的に製造された複合剤の大きさが小さくて服用しやすいという利点がある。
【0112】
以上、本発明について、その望ましい実施例を中心に説明した。本発明が属する技術分野で当業者であるならば、本発明が、本発明の本質的な特性から外れない範囲で変形された形態に具現されるということを理解することができるであろう。従って、前述の開示された実施例は、限定的な観点ではなく、説明的な観点から考慮されなければならない。本発明の範囲は、前述の説明ではなく、特許請求の範囲に示されており、それと同等な範囲内にある全ての差異は、本発明に含まれたものであると解釈されなければならないであろう。
なお、本発明は以下の態様を含む。
<1>(i)タムスロシン塩酸塩、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、(iii)耐酸性アクリル重合体、及び(iv)2種類以上の不溶性希釈剤を含むタムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットを含む経口投与用薬剤学的製剤。
<2>前記徐放性ペレットは、乾燥ペレットを基準に、(i)タムスロシン塩酸塩約0.07~0.50重量%、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)約1.0~7.0重量%、(iii)耐酸性アクリル重合体約3.0~20.0重量%、及び(iv)2種類以上の不溶性希釈剤約70.0~95.9重量%を含むことを特徴とする前記<1>に記載の経口投与用薬剤学的製剤。
<3>前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、約10,000~100,000cPsの粘度を有することを特徴とする前記<1>または<2>に記載の経口用薬剤学的製剤。
<4>前記耐酸性アクリル重合体は、Eudragit L30 D-55、Eudragit L100D-5、Eudragit L12,5、及びそれらの任意の組み合わせによって構成された群のうちから選択されることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の経口投与用薬剤学的製剤。
<5>前記不溶性希釈剤は、微細結晶性セルロース、タルク、二酸化チタン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群のうちから選択されることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の経口投与用薬剤学的製剤。
<6>前記徐放性ペレットは、追加して腸溶性被覆剤によってコーティングされたことを特徴とする前記<1>または<2>に記載の経口投与用薬剤学的製剤。
<7>乾燥ペレットを基準に、(i)タムスロシン塩酸塩約0.07~0.50重量%、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)約1.0~7.0重量%、(iii)耐酸性アクリル重合体約3.0~20.0重量%、(iv)2種類以上の不溶性希釈剤約70.0~93.0重量%を含みながら、(v)腸溶性被覆剤の含量が1.5~15重量%であることを特徴とする前記<6>に記載の経口投与用薬剤学的製剤。
<8>前記徐放性ペレットは、球形化径を基準に、0.8~1.4μmインペレットが65%以上、0.4~0.8μmインペレットが15%以上、及び0.4μm以下のペレットが5%未満であることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の経口投与用薬剤学的製剤。
<9>前記タムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットは、米国薬典(USP)による溶出試験第2法であるパドル法により、50rpm、pH6.8溶液900mL及び37℃条件で試験するとき、1時間当り溶出率が25~55%であることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の経口投与用薬剤学的製剤。
<10>前記徐放性ペレットを含むカプセル剤であることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の経口投与用薬剤学的製剤。
<11>単位剤形当たり、0.2mgまたは0.4mgのタムスロシン塩酸塩を含むことを特徴とする前記<1>または<2>に記載の経口投与用薬剤学的製剤。
<12>陽性前立腺肥大症治療または予防に使用するためのものであることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の経口投与用薬剤学的製剤。
<13>(a)(i)タムスロシン塩酸塩、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、(iii)耐酸性アクリル重合体、及び(iv)2種類以上の不溶性希釈剤を含む混合物を混合して押し出し、顆粒形態に成形する段階と、
(b)前記押し出された顆粒を、球形化機を利用し、回転速度600~800rpmで10~45分間球形化し、ペレットで製造する段階と、を含む前記<1>または<2>による経口投与用薬剤学的製剤の製造方法。
<14>(A)(i)タムスロシン塩酸塩、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、(iii)耐酸性アクリル重合体、及び(iv)2種類以上の不溶性希釈剤を含むタムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットと、
(B)前記タムスロシン塩酸塩含有徐放性ペレットと物理的に分離された状態の1以上の他の薬理学的活性成分、及び薬学的に許容可能な担体を含む薬学組成物を含むタムスロシン塩酸塩含有複合硬質カプセル剤。
<15>前記1以上の薬理学的活性成分は、デュタステリド、タダラフィル、フィナステリド、ソリフェナシン、及びその薬学的に許容可能な塩、または及びそれらの任意の組み合わせによって構成された群のうちから選択されることを特徴とする前記<14>に記載のタムスロシン塩酸塩含有複合硬質カプセル剤。