IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オートネットワーク技術研究所の特許一覧 ▶ 住友電装株式会社の特許一覧 ▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-コネクタ 図1
  • 特許-コネクタ 図2
  • 特許-コネクタ 図3
  • 特許-コネクタ 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20220114BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20220114BHJP
   H01R 13/46 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
H01R13/42 J
H01R12/71
H01R13/46 301M
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020509757
(86)(22)【出願日】2019-03-05
(86)【国際出願番号】 JP2019008488
(87)【国際公開番号】W WO2019188027
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-06-01
(31)【優先権主張番号】P 2018058387
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パーティウッティパット ピパッタナ
(72)【発明者】
【氏名】大森 康雄
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-142108(JP,A)
【文献】特開平06-150999(JP,A)
【文献】特開平09-219270(JP,A)
【文献】国際公開第2018/039351(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/42
H01R 12/71
H01R 13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングの圧入孔に後方から圧入されて、並列するように配された複数の端子金具とを備えるコネクタであって、
前記端子金具は、前後方向に伸張する軸部と、前記軸部から幅方向に張り出して形成される張り出し部とを具備し、
前記張り出し部の形成位置は、隣り合う2つの前記端子金具同士で形成位置が前後方向にずれるように配されており、
前記端子金具は、前後方向において前側に前記張り出し部が形成された第一端子金具と、前後方向において後側に前記張り出し部が形成された第二端子金具とが隣り合って配されており、
前記ハウジングには、前記圧入孔の後端に連なって前記ハウジングの後面に開口する収容凹部が形成され、
前記第一端子金具の前記張り出し部は、前記収容凹部に収容され、
前記第二端子金具の前記軸部には、幅方向に張り出した形態をなし、前記収容凹部に収容される突当部が形成され、
前記突当部は、前記収容凹部の奥側から開口側に向けて幅方向内方に傾斜しているコネクタ。
【請求項2】
記第二端子金具の前記張り出し部は、前方に向けて幅方向内方に傾斜している請求項1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板に搭載されるコネクタが知られている。このコネクタの一例として、特許文献1には、ハウジングと、ハウジングの圧入孔に圧入されることで並列するように配される複数の端子金具とを備えた基板用コネクタが開示されている。この基板用コネクタの各端子金具には、圧入方向における一部のみを端子金具の並列方向の両側に張り出した張出部が形成されている。各端子金具は、張出部の後面(押圧面)を冶具で押されることによって圧入孔に圧入される。そして、張出部の前面が圧入孔の後側に形成された収容凹部の奥端面に突き当たることによって位置決めされる。
【0003】
また、圧入の際、張出部を押す冶具が収容凹部に入り込むと、収容凹部の内面に接触して冶具が損傷するおそれがある。ゆえに、押圧面は、端子金具の圧入方向への位置決めがされた状態で、収容凹部の開口端縁と前後方向に揃うか、収容凹部の後方に配されるように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-280968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、こうしたコネクタにおいて、小型化を目的として端子金具の並列ピッチを小さくすることが求められている。しかし、収容凹部の開口部では、押圧面が露出し、端子金具間の空間距離は押圧面間で最小となる。そのため、隣り合う端子金具同士を接近させると、押圧面同士の間でアーク放電が生じて端子金具同士が短絡するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、端子金具の並列ピッチを小さくすることができる技術の提供を解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコネクタは、
ハウジングと、
前記ハウジングの圧入孔に後方から圧入されて、並列するように配された複数の端子金具とを備えるコネクタであって、
前記端子金具は、前後方向に伸張する軸部と、前記軸部から幅方向に張り出して形成される張り出し部とを具備し、
前記張り出し部の形成位置は、隣り合う2つの前記端子金具同士で形成位置が前後方向にずれるように配されている
ところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のコネクタによれば、隣り合う2つの端子金具の各張り出し部が前後にずれた状態で配されているので、隣り合う張り出し部の位置が前後方向に揃っている従来の構成と比較して、端子金具のピッチをより小さくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1のコネクタを上後方から見た斜視図である。
図2】コネクタを基板に取り付けた状態の側断面図である。
図3】コネクタの平断面図である。
図4図3の範囲Xの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)本発明のコネクタにおいて、前記端子金具は、前後方向において前側に前記張り出し部が形成された第一端子金具と、前後方向において後側に前記張り出し部が形成された第二端子金具とが隣り合って配されるようにしてもよい。前記第二端子金具の前記張り出し部は、前方に向けて幅方向内方に傾斜するようにしてもよい。
こうすることで、後側の張り出し部の側縁部が圧入方向と平行である場合と比較すると、後側の張り出し部の前後方向の長さを確保して強度を高めつつ、隣り合う張り出し部間の空間距離を小さく抑えることが可能となる。
【0011】
(2)本発明のコネクタにおいて、前記端子金具は、前後方向において前側に前記張り出し部が形成された第一端子金具と、前後方向において後側に前記張り出し部が形成された第二端子金具とが隣り合って配されるようにしてもよい。前記第二端子金具の前記張り出し部は、前方に向けて幅方向内方に傾斜するようにしてもよい。前記ハウジングには、前記圧入孔の後端に連なって前記ハウジングの後面に開口する収容凹部が形成されていてもよい。前記第一端子金具の前記張り出し部は、前記収容凹部に収容されていてもよい。前記第二端子金具の前記軸部には、幅方向に張り出した形態をなし、前記収容凹部に収容される突当部が形成されていてもよい。前記突当部は、前記収容凹部の奥側から開口側に向けて幅方向内方に傾斜していてもよい。
隣り合う収容凹部には、張り出し部と突当部が収容されるが、突当部に関しては、収容凹部の奥側から開口側に向けて幅方向内方に傾斜した形状とした。これにより、突当部の前後寸法を確保して強度を高めつつ、収容凹部内の張り出し部と突当部との空間距離を確保することができる。
【0012】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を図1図4を参照して説明する。なお、前後方向については、相手側コネクタ(図示省略)に対するコネクタ1の嵌合方向(図2における左方、図3,4における下方)を前方、その反対方向を後方と定義する。上下方向については、図2における上下方向をそのまま上下方向と定義し、左右方向については、図3,4における左右方向をそのまま左右方向と定義する。
【0013】
<コネクタ1>
本実施例1のコネクタ1は、図1及び図2に示すように、プリント基板50上に設置して用いられる基板用コネクタである。コネクタ1は、ハウジング2と、ハウジング2に圧入された状態で保持される複数の第一端子金具3及び複数の第二端子金具4とを備えている。
【0014】
ハウジング2は、図1~3に示すように、合成樹脂製であり、左右方向に長い箱状をなしている。ハウジング2には、前面に大きく開口した嵌合溝10が形成されており、この嵌合溝10に相手側コネクタ(図示省略)が嵌め込まれる。嵌合溝10は、仕切壁11によって左右2つに分割されている。嵌合溝10の左右両面及び上下両面は全領域に亘って閉塞されている。嵌合溝10の背面は、ハウジング2の後壁部12によって閉塞されている。
【0015】
後壁部12には、前後方向に貫通した複数の取付孔13が形成されている。複数の取付孔13は、左右方向に並列するように形成されている。全ての取付孔13は一列に配されている。各取付孔13は、圧入孔14と、圧入孔14の後側に形成された収容凹部15とからなる。各圧入孔14は、前後方向に細長い形状をなしており、幅寸法が高さ寸法よりも大きめに形成されている。
【0016】
図4に示すように、収容凹部15は、ハウジング2(後壁部12)の後面に開口しており、圧入孔14に連通している。収容凹部15は、圧入孔14よりも幅寸法が大きく形成されており、少なくとも一部(本実施例1では、圧入孔14の左右両側の開口端縁と連通する部分)が圧入孔14と段差状をなしている。この段差部分には、端子金具3,4の圧入方向への移動を規制する規制面16が形成されている。規制面16は端子金具3,4の圧入方向に対して直交している。収容凹部15の上下両面には、収容凹部15の開口端縁から奥方に向けて内側に傾斜したガイド面17が形成されている(図2参照)。
【0017】
端子金具3,4は、ハウジング2の後方から圧入孔14に圧入され、所定位置まで到達すると、圧入が完了となる。この状態を正規圧入状態と定義する。この正規圧入状態では、端子金具3,4の圧入孔14よりも前方の部分が、前方に向けて嵌合溝10内に突出した状態で配される。端子金具3,4の圧入孔14よりも後方の部分は、下方に向けて直角に折り曲げられる。第一端子金具3と第二端子金具4は、互いに前後方向にずれた位置で折り曲げられる。端子金具3,4における折り曲げられて下方に延びる部分(基板接続部35,45)は、プリント基板50に形成されたスルーホール51に挿入された状態で半田付けされ、プリント基板50の回路に電気的に接続される。このようにしてコネクタ1は、プリント基板50に設置される。
【0018】
<端子金具3,4>
図4に示すように、端子金具3,4は、導電性の金属部材であり、細長い形状をなしている。端子金具3,4は、幅方向に対称な形状をなしている。端子金具3,4の上下両面は面一状をなしている。第一端子金具3は、細長い形状の第一軸部30と、第一軸部30の長さ方向の一部(中央部)のみに形成された第一圧入部31と、第一圧入部31の後側に形成された第一張り出し部32と、第一軸部30の後端部から延設された第一基板接続部35とを備えている。
【0019】
第一軸部30は、断面形状が方形をなしており、先端部が端縁に向けて窄むように形成されている。第一軸部30は、正規圧入状態において前後方向に伸長した形態となる。
【0020】
第一圧入部31は、第一端子金具3の左右両側縁部に形成されている。第一圧入部31は、第一端子金具3の長さ方向における一部のみを左右方向(端子金具3,4の並列方向)に膨出させた形態をなしている。すなわち、第一圧入部31は、第一軸部30の左右両面から左右方向外方に膨出した形態をなしている。また、第一圧入部31の左右両面には凹凸が形成されている。これにより、第一圧入部31が形成された部分における第一端子金具3の最大幅寸法は圧入孔14の幅寸法よりも大きく形成されている。第一圧入部31の高さ寸法は、圧入孔14の高さ寸法と同じか僅かに小さく形成されている。
【0021】
第一張り出し部32は、第一端子金具3の左右両側縁部に形成されている。第一張り出し部32は、第一端子金具3の長さ方向における一部のみを左右方向(端子金具3,4の並列方向)に張り出した形態をなしている。すなわち、第一張り出し部32は、第一軸部30の左右両面から左右方向外方(幅方向)に張り出した形態をなしている。第一張り出し部32の左右両面は、圧入方向と平行に形成されており、平面視において矩形状をなしている。これにより、第一張り出し部32が形成された部分の第一端子金具3は、平面視において方形状をなしている。第一張り出し部32が形成された部分の第一端子金具3の幅寸法は、収容凹部15の幅寸法よりも小さく形成されており、第一圧入部31が形成された部分の第一端子金具3の最大幅寸法よりも大きく形成されている。第一張り出し部32が形成された部分の第一端子金具3の高さ寸法は、圧入孔14の高さ寸法と同じか僅かに小さく形成されている。第一張り出し部32の後面には、圧入時に冶具(図示省略)が押し当てられる第一押圧面32Aが形成されている。第一張り出し部32の前面には、圧入時に規制面16に突き当たる第一突当面32Bが形成されている。すなわち、第一張り出し部32は、圧入時に規制面16に突き当たる突当部としても機能する。なお、第一押圧面32A及び第一突当面32Bは、圧入方向(第一軸部30)に対して直交している。
【0022】
第一基板接続部35は、プリント基板50に接続される部分であり、第一軸部30の後端部から延設されている。第一基板接続部35は、細長い形状をなしており、断面の形状及び大きさは、第一軸部30の断面の形状及び大きさと同じである。第一基板接続部35は、正規圧入状態において上下方向に伸長した形態となる。
【0023】
第一端子金具3は、第一押圧面32Aが冶具(図示省略)に押圧されることによって、圧入孔14に挿入される。そして、第一圧入部31が圧入孔14に圧入されると、第一圧入部31と圧入孔14との間に生じる摩擦力及びアンカー効果によってハウジング2に保持される。また、第一突当面32Bが規制面16に突き当たることによって正規圧入状態となる。第一端子金具3は、正規圧入状態では、第一張り出し部32が収容凹部15に収容されて、第一押圧面32Aが収容凹部15の開口端縁と前後方向に揃うか、収容凹部15の開口端縁よりも後方に配される。第一端子金具3は、第一押圧面32Aよりも後方の部分(第一軸部30と第一基板接続部35との接続部分)が下方に折り曲げられる。
【0024】
第二端子金具4は、細長い形状の第二軸部40と、第二軸部40の長さ方向の一部(中央部)のみに形成された第二圧入部41と、第二圧入部41の後側に形成された突当部42と、突当部42の後方に形成された第二張り出し部43と、第二基板接続部45とを備えている。
【0025】
第二軸部40、第二圧入部41及び第二基板接続部45の形態は、それぞれ第一軸部30、第一圧入部31、第一基板接続部35の形態と同じであるため説明を省略する。
【0026】
突当部42は、第二端子金具4の左右両側縁部に形成されている。突当部42は、第二端子金具4の長さ方向における一部のみを左右方向(端子金具3,4の並列方向)に張り出した形態をなしている。すなわち、突当部42は、第二軸部40の左右両面から左右方向外方(幅方向)に張り出した形態をなしている。突当部42の前面には、圧入時に規制面16に突き当たる第二突当面42Aが形成されている。第二突当面42Aは、圧入方向(第二軸部40)に対して直交している。突当部42の左右両面には、前端部以外の部分において、後方に向けて幅方向内方に傾斜した前側傾斜縁部42Bが形成されており、前端部において、圧入方向に平行な前側平行縁部42Cが形成されている。前側傾斜縁部42Bは、第二軸部40(圧入方向)に対して緩やかに傾斜している。前側傾斜縁部42Bは、端子金具3,4の並列方向への張出寸法が後方に向けて次第に小さくなっている。突当部42は、平面視において略三角形状をなしている。突当部42が形成された部分の第二端子金具4は、平面視において略等脚台形状をなしている。突当部42の前後寸法は、収容凹部15の前後寸法と同じか、収容凹部15よりも小さく形成されている。突当部42が形成された部分の第二端子金具4の最大幅寸法は、収容凹部15の幅寸法よりも小さく形成されており、第二圧入部41が形成された部分の第二端子金具4の最大幅寸法よりも大きく形成されている。突当部42が形成された部分の第二端子金具4の高さ寸法は、圧入孔14の高さ寸法と同じか、僅かに小さく形成されている。なお、突当部42には、冶具に押圧される押圧面が形成されていない。
【0027】
第二張り出し部43は、第二端子金具4の左右両側縁部に形成されている。第二張り出し部43は、突当部42と前後対称な形態をなしている。すなわち、第二張り出し部43は、第二端子金具4の長さ方向における一部のみを左右方向(端子金具3,4の並列方向)に張り出した形態をなしている。また、第二張り出し部43は、第二軸部40の左右両面から左右方向外方(幅方向)に張り出した形態をなしている。第二張り出し部43の後面には、圧入時に冶具(図示省略)が押し当てられる第二押圧面43Aが形成されている。第二押圧面43Aは、圧入方向(第二軸部40)に対して直交している。第二張り出し部43の左右両面には、後端部以外の部分において、前方に向けて左右方向内方に傾斜した後側傾斜縁部43Bが形成されており、後端部において、圧入方向に平行な後側平行縁部43Cが形成されている。後側傾斜縁部43Bは、第二軸部40(圧入方向)に対して緩やかに傾斜している。後側傾斜縁部43Bは、端子金具3,4の並列方向への張出寸法が前方に向けて次第に小さくなっている。第二張り出し部43は、平面視において略三角形状をなしている。第二張り出し部43が形成された部分の第二端子金具4は、平面視において略等脚台形状をなしている。第二張り出し部43が形成された部分の第二端子金具4の高さ寸法は、圧入孔14の高さ寸法と同じか、圧入孔14の高さ寸法よりも僅かに小さく形成されている。なお、第二張り出し部43には、圧入時に規制面16に突き当たる突当面が形成されていない。
【0028】
突当部42と第二張り出し部43との間には、突当部42と第二張り出し部43とに連なった中間部44が形成されている。中間部44は、第二軸部40と断面の形状及び大きさが同じである。すなわち、中間部44の幅寸法は、突当部42の最大幅寸法よりも小さく形成されており、第二張り出し部43の最大幅寸法よりも小さく形成されている。中間部44の前後寸法は、突当部42及び第二張り出し部43とほぼ同じか、突当部42及び第二張り出し部43よりも小さく形成されている。
【0029】
第二端子金具4は、第二押圧面43Aが冶具(図示省略)に押圧されることによって、圧入孔14に挿入される。そして、第二圧入部41が圧入孔14に圧入されると、第二圧入部41と圧入孔14との間に生じる摩擦力及びアンカー効果によってハウジング2に保持される。また、第二突当面42Aが規制面16に突き当たることによって正規圧入状態となる。正規圧入状態では、突当部42の後端縁は、収容凹部15の開口端縁と前後方向に揃うか、収容凹部15の開口端縁よりも前方に配される。すなわち、突当部42は、全体が収容凹部15に収容される。第二張り出し部43は、第二押圧面43Aが収容凹部15の開口端縁よりも後方に配され、少なくとも一部が収容凹部15の外側に露出した状態で配される。中間部44は、少なくとも一部が収容凹部15の外側に露出した状態で配される。第二端子金具4は、第二張り出し部43よりも後方の部分(第二軸部40と第二基板接続部45との接続部分)が下方に折り曲げられる。第二端子金具4の折り曲げられる位置は、第一端子金具3の折り曲げられる位置よりも後方となっている。
【0030】
第一端子金具3及び第二端子金具4は、左右方向に交互に配される。したがって、隣り合う第一端子金具3及び第二端子金具4は、以下のような関係で配される。隣り合う端子金具3,4の張り出し部32,43は、形成位置が前後方向にずれるように配される。即ち、前後方向において、第一端子金具3に形成された第一張り出し部32が前側に配され、第二端子金具4に形成された第二張り出し部43が後側に配される。より具体的には、後側の第二張り出し部43の最も張り出した部分が、前側の第一張り出し部32の最も張り出した部分よりも後方に配される。これにより、第二張り出し部43と第一端子金具3との最小の空間距離X1が、張り出し部32,43が前後方向に揃った位置に配された場合の最小の空間距離X0よりも大きくなっている。また、張り出し部32,43のうち後側の第二張り出し部43の左右両側縁部に形成された後側傾斜縁部43Bは、前方に向けて幅方向内方に傾斜している。これにより、後側の第二張り出し部43の後側傾斜縁部43Bは、隣り合う第一端子金具3との間隔(空間距離)が前方に向けて次第に大きくなっている。こうすることで、張り出し部32,43同士の空間距離を大きく確保しつつ、後側の第二張り出し部43を前方へ寄せることができるので、押圧時に中間部44が座屈することを防止しつつ、張り出し部32,43同士の空間距離を大きく確保することができる。また、後側の第二張り出し部43の前端縁は、前側の第一張り出し部32の後方に配される。
【0031】
また、第二端子金具4の突当部42は、収容凹部15内に収容され、左右両側縁部に形成された前側傾斜縁部42Bが、収容凹部15の奥側から開口側に向けて幅方向内方に傾斜している。これにより、突当部42と第一端子金具3との最小の空間距離X2は、突当部42(第二張り出し部43)の最も張り出した部分と第一張り出し部32とが前後方向に揃った位置に配された場合の最小の空間距離X0よりも大きくなっている。
【0032】
<実施例1の作用及び効果>
実施例1のコネクタ1は、ハウジング2と、複数の第一端子金具3と、複数の第二端子金具4とを備えている。第一端子金具3は、前後方向に伸張する第一軸部30と、第一軸部30から幅方向に張り出して形成される第一張り出し部32とを具備している。第二端子金具4は、前後方向に伸張する第二軸部40と、第二軸部40から幅方向に張り出して形成される第二張り出し部43とを具備している。隣り合う第一端子金具3と第二端子金具4とにおいて、第一端子金具3の第一張り出し部32の形成位置と第二端子金具4の第二張り出し部43の形成位置は前後方向にずれるように配されている。
このコネクタ1によれば、隣り合う2つの端子金具3,4の各張り出し部32,43が前後にずれた状態で配されるので、隣り合う張り出し部32,43の位置が前後方向に揃っている従来の構成と比較して、端子金具3,4のピッチをより小さくすることが可能となる。
【0033】
また、実施例1のコネクタ1では、前側に第一張り出し部32が形成された第一端子金具3と、前後方向において後側に第二張り出し部43が形成された第二端子金具4とが隣り合って配されている。そして、第二端子金具4の第二張り出し部43は、前方に向けて幅方向内方に傾斜している。
これにより、後側の第二張り出し部43の左右両側縁部が圧入方向と平行である場合と比較すると、後側の第二張り出し部43の前後方向の長さを確保して強度を高めつつ、隣り合う張り出し部32,43間の空間距離を小さく抑えることが可能となる。
【0034】
また、実施例1のコネクタ1では、前側に第一張り出し部32が形成された第一端子金具3と、前後方向において後側に第二張り出し部43が形成された第二端子金具4とが隣り合って配されている。第二端子金具4の第二張り出し部43は、前方に向けて幅方向内方に傾斜している。ハウジング2には、圧入孔14の後端に連なってハウジング2の後面に開口する収容凹部15が形成されている。第一端子金具3の第一張り出し部32は、収容凹部15に収容されている。第二端子金具4の第二軸部40には、幅方向に張り出した形態をなし、収容凹部15に収容される突当部42が形成されている。突当部42の左右両側縁部は、収容凹部15の奥側から開口側に向けて幅方向内方に傾斜している。
隣り合う収容凹部15には、第一張り出し部32と突当部42が収容されるが、突当部42に関しては、左右両側縁部を傾斜形状とした。これにより、突当部42の前後寸法を確保して強度を高めつつ、収容凹部15内の第一張り出し部32と突当部42との空間距離を大きく確保することができる。
【0035】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例1では、第一端子金具において第一張り出し部が突当部の機能を兼ね備えるようにしたが、第二端子金具のように第一張り出し部とは別に突当部を設ける構成としてもよい。
(2)上記実施例1では、端子金具の圧入部は軸部の左右両面から左右外方に膨出するようにしたが、軸部の別の面から膨出するようにしてもよい。例えば、軸部の上下両面から上下方向に膨出するようにしてもよい。
(3)上記実施例1では、突当部の最大幅寸法と張り出し部の最大幅寸法を同じとしたが同じでなくともよい。但し、隣り合う端子金具との空間距離を一定以上に確保する必要がある。
(4)上記実施例1では、第一端子金具が突当面を有しているが、突当面を有していなくともよい。例えば、張り出し部の前後寸法が、収容凹部の前後寸法よりも小さい構成としてもよい。この場合、冶具(押圧面)が収容凹部の開口端縁まで到達したところで圧入(押圧)を終了するようにすることが好ましい。こうすれば、張り出し部の前後寸法が収容凹部の前後寸法よりも小さい場合であっても、収容凹部内に入り込んだ冶具が収容凹部の内面に接触することで損傷することを防止することができる。この場合、押圧を終了した状態が、正規圧入状態となる。
【符号の説明】
【0036】
1…コネクタ
2…ハウジング
3…第一端子金具
4…第二端子金具
13…取付孔
14…圧入孔
15…収容凹部
16…規制面
30…第一軸部(軸部)
32…第一張り出し部(張り出し部)
32A…第一押圧面
32B…第一突当面
40…第二軸部(軸部)
42…突当部
42A…第二突当面
42B…前側傾斜縁部
43…第二張り出し部(張り出し部)
43A…第二押圧面
43B…後側傾斜縁部
図1
図2
図3
図4