IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブッハー ハイドロリクス エルディング ゲーエムベーハーの特許一覧

特許7004256ロボットおよびロボットのための負荷平衡構成
<>
  • 特許-ロボットおよびロボットのための負荷平衡構成 図1
  • 特許-ロボットおよびロボットのための負荷平衡構成 図2
  • 特許-ロボットおよびロボットのための負荷平衡構成 図3
  • 特許-ロボットおよびロボットのための負荷平衡構成 図4
  • 特許-ロボットおよびロボットのための負荷平衡構成 図5
  • 特許-ロボットおよびロボットのための負荷平衡構成 図6
  • 特許-ロボットおよびロボットのための負荷平衡構成 図7
  • 特許-ロボットおよびロボットのための負荷平衡構成 図8
  • 特許-ロボットおよびロボットのための負荷平衡構成 図9
  • 特許-ロボットおよびロボットのための負荷平衡構成 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】ロボットおよびロボットのための負荷平衡構成
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
B25J19/00 D
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017200551
(22)【出願日】2017-10-16
(65)【公開番号】P2018065244
(43)【公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-07-15
(31)【優先権主張番号】16194756.9
(32)【優先日】2016-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517362059
【氏名又は名称】ブッハー ハイドロリクス エルディング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】マーチン ウォンディンガー
【審査官】樋口 幸太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05456130(US,A)
【文献】特開昭53-144423(JP,A)
【文献】特開2008-089024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節ジョイントによって接続される少なくとも2つの結合要素を備える多軸ロボットのための流体の負荷平衡構成であって、
前記負荷平衡構成は、
-相対的に移動可能である2つの結合要素に取り付けられる油圧シリンダであって、前記油圧シリンダの第1の端部は第1の結合要素と接続され、第2の端部は第2の結合要素と接続される、油圧シリンダと、
-前記油圧シリンダと結合されるように構成される少なくとも1つの圧力リザーバと、
-前記油圧シリンダおよび前記少なくとも1つの圧力リザーバを互いに流体結合させるために、前記油圧シリンダと前記少なくとも1つの圧力リザーバとの間に構成される制御ユニットを備え、
前記制御ユニットは、前記油圧シリンダと前記少なくとも1つの圧力リザーバとの間の第1の流体経路および第2の流体経路に関連付けられ、
前記第1の流体経路または前記第2の流体経路を通る流体の流れを選択的に可能にするために、第1の動作状態および第2の動作状態で動作可能である制御可能なバルブが、前記第2の流体経路において設けられ
前記第2の動作状態において、前記少なくとも1つの圧力リザーバのその部分に対する実際の圧力が、前記油圧シリンダのその部分に対する現在のシステム圧力より大きい場合、前記第2の流体経路を介する、前記油圧シリンダへの前記少なくとも1つの圧力リザーバの返流が有効化される、負荷平衡構成。
【請求項2】
関節ジョイントによって接続される少なくとも2つの結合要素を備える多軸ロボットのための流体の負荷平衡構成であって、
前記負荷平衡構成は、
-相対的に移動可能である2つの結合要素に取り付けられる油圧シリンダであって、前記油圧シリンダの第1の端部は第1の結合要素と接続され、第2の端部は第2の結合要素と接続される、油圧シリンダと、
-前記油圧シリンダと結合されるように構成される少なくとも1つの圧力リザーバと、
-前記油圧シリンダおよび前記少なくとも1つの圧力リザーバを互いに流体結合させるために、前記油圧シリンダと前記少なくとも1つの圧力リザーバとの間に構成される制御ユニットとを備え、
前記制御ユニットは、前記油圧シリンダと前記少なくとも1つの圧力リザーバとの間の第1の流体経路および第2の流体経路に関連付けられ、
前記第1の流体経路または前記第2の流体経路を通る流体の流れを選択的に可能にするために、第1の動作状態および第2の動作状態で動作可能である制御可能なバルブが、前記第2の流体経路において設けられ、
前記負荷平衡構成の圧力と経路間の特性曲線は、前記第1の動作状態において、実質的にキンクのない形状を有し、前記負荷平衡構成の前記圧力と経路間の特性曲線は、前記第2の動作状態において、前記第1の動作状態における前記負荷平衡構成の前記圧力と経路間の特性曲線の平均傾斜より大きな傾斜を含む斜面を有し、実質的に一定の線分である、負荷平衡構成。
【請求項3】
関節ジョイントによって接続される少なくとも2つの結合要素を備える多軸ロボットのための流体の負荷平衡構成であって、
前記負荷平衡構成は、
-相対的に移動可能である2つの結合要素に取り付けられる油圧シリンダであって、前記油圧シリンダの第1の端部は第1の結合要素と接続され、第2の端部は第2の結合要素と接続される、油圧シリンダと、
-前記油圧シリンダと結合されるように構成される少なくとも1つの圧力リザーバと、
-前記油圧シリンダおよび前記少なくとも1つの圧力リザーバを互いに流体結合させるために、前記油圧シリンダと前記少なくとも1つの圧力リザーバとの間に構成される制御ユニットとを備え、
前記制御ユニットは、前記油圧シリンダと前記少なくとも1つの圧力リザーバとの間の第1の流体経路および第2の流体経路に関連付けられ、
前記第1の流体経路または前記第2の流体経路を通る流体の流れを選択的に可能にするために、第1の動作状態および第2の動作状態で動作可能である制御可能なバルブが、前記第2の流体経路において設けられ、
前記負荷平衡構成の圧力と経路間の特性曲線は、前記第2の動作状態において、前記油圧シリンダの移動する方向に依存する形状を有し、圧力が上昇する場合、前記圧力と経路間の特性曲線は、経路値で圧力の平坦域に達し、前記経路値は、圧力が低減された場合に前記圧力の平坦域を離れる前記圧力と経路間の特性曲線の経路値より小さい、負荷平衡構成。
【請求項4】
前記油圧シリンダと前記少なくとも1つの圧力リザーバとの間の前記第1の流体経路において、圧力バルブが設けられる、請求項1から3の何れか一項に記載の負荷平衡構成。
【請求項5】
前記第1の動作状態において、前記第2の流体経路は開いており、前記第2の動作状態において、前記第2の流体経路を通って前記油圧シリンダから、前記少なくとも1つの圧力リザーバへ向かう方向の流体の流れがブロックされる、請求項1から4の何れか一項に記載の負荷平衡構成。
【請求項6】
前記制御ユニットと前記油圧シリンダとの間に少なくとも1つのさらなる圧力リザーバが形成され、前記制御ユニットと前記油圧シリンダとの間の接続線は、さらなる前記圧力リザーバと結合する、請求項1からの何れか一項に記載の負荷平衡構成。
【請求項7】
前記第1の動作状態において、前記第2の流体経路は開いており、前記第2の動作状態において、前記第2の流体経路を通って、前記油圧シリンダから、前記少なくとも1つの圧力リザーバへ向かう方向の流体の流れがブロックされ、
前記圧力リザーバは、補助的な圧力リザーバとして構成され、さらなる前記圧力リザーバは、ベース圧力リザーバとして構成され、前記ベース圧力リザーバおよび前記補助的な圧力リザーバは、前記第1の動作状態において、実質的に並列に接続され、前記補助的な圧力リザーバは、前記第2の動作状態において、現在のシステム圧力に依存して接続される、請求項6に記載の負荷平衡構成。
【請求項8】
関節ジョイントによって接続される少なくとも2つの結合要素を備える多軸ロボットのための流体の負荷平衡構成であって、
前記負荷平衡構成は、
-相対的に移動可能である2つの結合要素に取り付けられる油圧シリンダであって、前記油圧シリンダの第1の端部は第1の結合要素と接続され、第2の端部は第2の結合要素と接続される、油圧シリンダと、
-前記油圧シリンダと結合されるように構成される少なくとも1つの圧力リザーバと、
-前記油圧シリンダおよび前記少なくとも1つの圧力リザーバを互いに流体結合させるために、前記油圧シリンダと前記少なくとも1つの圧力リザーバとの間に構成される制御ユニットをと備え、
前記制御ユニットは、前記油圧シリンダと前記少なくとも1つの圧力リザーバとの間の第1の流体経路および第2の流体経路に関連付けられ、
前記第1の流体経路または前記第2の流体経路を通る流体の流れを選択的に可能にするために、第1の動作状態および第2の動作状態で動作可能である制御可能なバルブが、前記第2の流体経路において設けられ、
前記第1の動作状態において、前記第2の流体経路は開いており、前記第2の動作状態において、前記第2の流体経路を通って、前記油圧シリンダから、前記少なくとも1つの圧力リザーバへ向かう方向の流体の流れがブロックされ、
前記圧力リザーバは、補助的な圧力リザーバとして構成され、さらなる前記圧力リザーバは、ベース圧力リザーバとして構成され、
前記ベース圧力リザーバおよび前記補助的な圧力リザーバは、前記第1の動作状態において、実質的に並列に接続され、前記補助的な圧力リザーバは、前記第2の動作状態において、現在のシステム圧力に依存して接続される、負荷平衡構成。
【請求項9】
前記制御可能なバルブの前記第2の動作状態において、前記システム圧力が増大する場合、前記第1の流体経路が閉じられ、前記システム圧力が定められた圧力レベルを下回る場合、前記システム圧力が前記定められた圧力レベルに達する場合に、圧力バルブを通る前記第1の流体経路は開いており、前記制御可能なバルブは、逆止バルブとして作用する、請求項7または8に記載の負荷平衡構成。
【請求項10】
前記制御可能なバルブは、システム圧力が圧力閾値を超える場合、前記第2の動作状態において、逆止バルブとして作用する、請求項1から9の何れか一項に記載の負荷平衡構成。
【請求項11】
前記第2の流体経路における前記制御可能なバルブには、アクチュエータ、特に電磁石が設けられ、これにより、前記バルブが制御可能となる、請求項1から10の何れか一項に記載の負荷平衡構成。
【請求項12】
前記負荷平衡構成は、関節ジョイントによって接続される少なくとも3つの結合要素を備える多軸ロボットのために設けられ、前記油圧シリンダは、第1の油圧シリンダとして構成される負荷平衡構成であって、
前記負荷平衡構成は、
-相対的に移動可能である2つの結合要素に取り付けられる第2の油圧シリンダであって、
前記第2の油圧シリンダの第1の端部は、前記第2の結合要素と接続され、第2の端部は、第3の結合要素と接続される前記第2の油圧シリンダをさらに備え、
前記第1の油圧シリンダは、マスタシリンダとして構成され、前記第2の油圧シリンダは、スレーブシリンダとして構成され、
前記マスタシリンダは、流体エネルギーを格納するために圧力リザーバと結合され、
前記マスタシリンダおよび前記スレーブシリンダは、互いに流体結合される、請求項1から11の何れか一項に記載の負荷平衡構成。
【請求項13】
多関節ロボットの種類に係るロボット、特に産業用ロボットであって、関節ジョイントによって接続される、前記ロボットの2つの結合要素と関連付けられる、請求項1から12の何れか一項に記載の負荷平衡構成を有する、ロボット。
【請求項14】
前記負荷平衡構成は、カルーセルとして構成される結合要素と、スイングアームとして構成される結合要素と関連付けられ、前記油圧シリンダは、2つの前記結合要素の間の回転軸から半径方向に離間される旋回点において、関節式の態様で支持される、請求項13に記載のロボット。
【請求項15】
前記油圧シリンダは、前記カルーセルと前記スイングアームとの間の最大相対的運動のために、前記油圧シリンダにおいて、収縮運動とまた伸長運動の双方が存在するような方式で構成される、請求項14に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、関節ジョイントによって接続され、相対的に移動可能、特に相対的に旋回可能である、少なくとも2つの結合要素を備える多軸ロボットのための流体負荷平衡構成に関する。
【背景技術】
【0002】
多軸ロボット、特にいわゆる産業用ロボットが、一般に当技術分野において公知である。通常、そのようなロボットは、互いに接続され、相対的に移動可能である、2つ、3つまたはそれより多くの結合要素を備える。例として、これらの結合要素は、ベース、スイングアーム、アーム/ブーム、ハンドなどと呼ばれてよい。一般的な種類のロボットは、通常、直列的な運動連鎖に関わる。そのようなロボットは、多関節ロボットと呼ばれもする。2つから7つまたはより多くの回転軸および/または旋回軸を有するロボットが、公知である。直列運動の場合、ロボットの結合要素は、ベースから出発して、直列連鎖を形成する。すなわち、ベースおよび/または運動連鎖においてベースと隣接して構成される結合要素における駆動部は、それぞれ直接的に続く結合要素を支持および/または移動する必要があるだけでなく、場合により、運動連鎖において端部材に向かって、さらなる結合要素を支持および/または移動する必要もある。これは、保持トルクの増大および/または一般に、負荷および慣性力の増大をもたらす。
【0003】
産業用ロボットという用語は、一般に、対象物の自律的操作のために適切な器具を備え付けられる操作装置を指し、複数の運動軸において、特に方向、位置、および動作手順に関してプログラム可能である。産業用ロボットは、基本的に制御装置および複数の軸を有するロボットアームを含み、場合により、制御装置によって制御される駆動部により動かされることができるレバーを含む。産業用ロボット、特に比較的大きな負荷容量を有する産業用ロボットは、少なくともそれらの軸の1つのために、特に運動連鎖の第2の軸および/または水平方向に配される軸のために、例えば、コイルスプリングまたは別のエネルギー格納部を含む、重量および/または質量平衡システムを備えてよい。
【0004】
ロボットのための負荷平衡構成は、相対的に移動可能である、特に旋回可能である、隣接する2つの結合要素の間に通常構成される。負荷平衡構成のいくつかの種類が公知であり、例えば、純粋に力学的質量ベースの平衡構成、スプリングベースの負荷平衡構成、流体負荷平衡構成などがある。そのような負荷平衡構成の目的は、基本的に、ロボットの結合要素が、別の結合要素と相対的に動かされるにつれて、静的エネルギーおよび/または運動エネルギーを格納するためであり、これにより、例えば、反対の運動のためのエネルギーが利用可能である。このように、駆動部が必要とする支持トルクおよび/または負荷トルクの低減を実現する目的で、例えば、ロボットの結合要素の逆の負荷状況および/または極限位置が最適化され得る。
【0005】
加国2,217,224 A1号から、関節式の態様で互いに直列で据え付けられ、動力付きのベース、スイングアーム、ブームおよびロボットハンドを有する多軸産業用ロボットが公知である。スイングアームは、ベース軸およびハンドのフランジの中心によって形成されるシステム面から横方向の態様で構成され、スイングアームおよびブームには、片側カンチレバーベアリングがそれぞれ設けられ、スイングアームは、スイングアームが構成されるシステム面の側面上に構成される、静的な油圧質量平衡構成に接続され、スイングアームのギアおよびベアリングは、システム面の側面上に構成され、スイングアームのモータは、システム面の他の側面上に構成される。これに加えて、質量平衡構成の改良を開示する、米国2011/0072930 A1号が参照される。
【0006】
米国2014/0297037 A1号から、少なくとも1つのアーム、アームに取り付けられるガス圧縮スプリング、機械的ロボットユニットを制御する制御器を備える機械的ロボットユニットを有する多関節ロボットが公知である。ガス圧縮スプリングは、シリンダ、シリンダ内に包囲される圧縮性不活性ガス、およびシリンダ内で摺動するために構成されるピストンロッドを備え、ガス圧縮スプリングは、アームを駆動するサーボモータの負荷を低減するガスバランサとして構成される。制御器は、サーボモータに電流が供給され、制御される基準時点においてアームを作動させるサーボモータの基準電流値を決定するため、サーボモータが電流供給され、基準時点に関してと同一の動作状態下で制御される場合、基準時点と異なる時点において、サーボモータの対象電流値を決定するため、基準電流値と対象電流値との間の差異を算出するため、および、差異に基づいて、ガス圧縮スプリングの圧縮性不活性ガスの内圧の下落量を算出するために構成される。
【発明の概要】
【0007】
こうした背景を鑑みて、本発明の目的は、多軸ロボットおよび駆動軸のピーク負荷、好ましくは、ロボットのエネルギー消費の最小化に寄与するような負荷平衡構成を備え付けられるロボットのための流体負荷平衡構成を提供することである。さらに好ましくは、ロボットの動作挙動は、例えば、関係する結合要素への動的負荷および/または静的負荷を少なくとも部分的に補償または平準化することによって、最適化されるであろう。さらに好ましくは、負荷平衡構成の機能範囲は、増大されるであろう。好ましくは、これは、費用効率の高い態様で実現可能であろう。
【0008】
本発明によると、この目的は、関節ジョイントによって接続される少なくとも2つの結合要素を備える多軸ロボットのための流体負荷平衡構成によって、実現される。負荷平衡構成は、
-相対的に移動可能である2つの結合要素に取り付けられる油圧シリンダであって、油圧シリンダの第1の端部は、第1の結合要素と接続され、第2の端部は、第2の結合要素と接続される、油圧シリンダと、
-油圧シリンダと結合するように構成される少なくとも1つの圧力リザーバと、
-油圧シリンダおよび少なくとも1つの圧力リザーバを互いに流体結合させるために、油圧シリンダと少なくとも1つの圧力リザーバとの間に構成される制御ユニットであって、制御ユニットは、油圧シリンダと少なくとも1つの圧力リザーバとの間の第1の流体経路および第2の流体経路に割り当てられ、第1の流体経路または第2の流体経路を通る流体の流れを選択的に許容するために、第1の動作状態および第2の動作状態において動作可能である制御可能なバルブが、第2の流体経路において設けられる、制御ユニットを備える。
【0009】
本発明の目的は、従って完全に実現される。
【0010】
本発明によると、流体、すなわち利用される油圧オイルは、2つの流体経路を介して、油圧シリンダと少なくとも1つの圧力リザーバとの間をつまり往復して流れ得る。2つの流体経路は、負荷平衡構成のための2つの動作モードまたは動作状態が利用可能であるような方式で、構成されおよび制御可能である。これは、例えば、2つの動作状態間の移行に応答して、負荷平衡構成の圧力と経路間の特性曲線の変更/移行をもたらす。例として、圧力と経路間の特性曲線は、使用される流体(油圧オイル)のシステム圧力と、油圧シリンダの持ち上げられている状態との間の相関を説明する。このように、2つの結合要素の間の相対運動において、どの程度まで、エネルギーが圧力リザーバに格納される、および/または圧力リザーバから放出されるかが制御され得る。
【0011】
第1の動作状態と第2の動作状態との間の移行が、負荷平衡構成の圧力と経路間の特性の適応を生じさせる。第1の動作状態は、通常モードと呼ばれてもよい。第2の動作状態は、昇圧モードと呼ばれてもよい。制御可能なバルブは、例えば、切換バルブ、制御バルブ、圧力バルブとして、または同様の方式で構成されてよい。制御可能なバルブは、特に外部から制御可能であり、すなわち制御ユニットを介して制御可能である。従って、例えば、使用者または重畳制御によって、バルブが、第1の動作状態または第2の動作状態で動作されるべきかが、外部的に決定されてよく、従って、負荷平衡構成が、第1の動作モードまたは第2の動作モードにおいて動作可能か否かが、外部的に決定されてよい。
【0012】
言うまでもなく、特性曲線の移行は、理想的な平行移行を必ずしも伴なわない。むしろ、制御可能なバルブの設計に応じて、例えば、特性曲線の傾斜などの、圧力と経路間の特性曲線または力と経路間の特性曲線の変化/適応が起こる。これは、例えば、少なくとも部分的に変更される傾斜などに関わってよい。特性曲線の圧力の値は、対応する力の値と比例する。
【0013】
前述の構成は、回転軸のモータ用の基底エネルギー要件の低減を全体的に実現してよい。現在の要求に応じて、異なる力と経路間の特性曲線が存在し得、これにより、ピーク負荷が、要求ベースの態様で、理想的に補償され得る。本開示の上記の態様に係る設計により、可変的な力と経路間の特性曲線が提供される。
【0014】
負荷平衡構成の例示的な実施形態によると、油圧シリンダと少なくとも1つの圧力リザーバとの間の第1の流体経路において、圧力バルブが設けられる。例として、この圧力バルブは、独立したものとなるように設計され、すなわち、外部から影響を制御する選択肢はない。従って、一定の制御特性が提供され得る。しかしながら、基本的に、第1の流体経路の圧力バルブに、一定の調節に代えて、比例制御または基本的に可変的な調節の選択肢を設けることがさらに考えられる。
【0015】
これは、負荷平衡構成が動作する場合、第1の流体経路における圧力バルブが、外部的に制御されることを必ずしも伴なわない。それは、しかしながら、圧力と経路間の特性曲線に(追加的に)このように影響させて、必要に応じて、特性曲線がさらに一層可変的になるように設計することがさらに考えられる。
【0016】
負荷平衡構成のさらなる実施形態によると、第1の動作状態において、第2の流体経路は開いており、第2の流体経路は、第2の動作状態において、方向に依存する態様でブロックされる。このように、第2の動作状態において、第2の流体経路を介する圧力リザーバへの流入が、防止され得る。換言すると、例えば圧力バルブが割り当てられる第1の流体経路が、有効化される。
【0017】
第1の動作状態において、第2の流体経路が開いている場合、流体は、妨げられずに第2の流体経路を流れてよい。
【0018】
負荷平衡構成のさらなる例示的な実施形態によると、第2の動作状態において、少なくとも1つの圧力リザーバのその部分に対する現在の圧力が、油圧シリンダのその部分に対する現在のシステム圧力より大きい場合、第2の流体経路を介する、少なくとも1つの圧力リザーバから油圧シリンダへの返流が有効化される。このように、例えば収縮運動中、伸長運動中の特性曲線の形状から逸脱する特性曲線の形状がもたらされてよい。全体的に、油圧シリンダが伸長されるおよび収縮される場合、ヒステリシスのような、負荷平衡構成の圧力と経路間の特性曲線が、第2の動作状態において存在してよい。
【0019】
言うまでもなく、本明細書で前に使用されている伸長(extending)」および「収縮(retracting)」という用語は、油圧シリンダが逆の配列である場合、場合により、特に問題なく置換可能である。上記の関連付けは、負荷平衡構成に流れ込む流体(油圧オイル)が、油圧シリンダが引き出される場合に圧縮され、油圧シリンダが収縮される場合に膨張されることを伴う。その結果、引込油圧シリンダおよび押込油圧シリンダが考えられる。
【0020】
負荷平衡構成のさらなる実施形態によると、少なくともさらなる圧力リザーバが、制御ユニットと油圧シリンダとの間に形成され、制御ユニットと油圧シリンダとの間の接続線が、さらなる圧力リザーバと結合する。さらなる圧力リザーバは、基本的にベース圧力リザーバと呼ばれてもよい。ベース圧力リザーバは、基本的に圧力バルブと結合されてもよい。
【0021】
少なくともこの例示的な実施形態によれば、第1の流体経路および第2の流体経路を介して、油圧シリンダと結合される(第1の)圧力リザーバは、補助的な圧力リザーバと呼ばれてもよい。
【0022】
負荷平衡構成が、2つの圧力リザーバを備える前提において、その一方は制御ユニットと油圧シリンダとの間に構成され、その他方は、制御ユニットの背後に構成される。油圧シリンダの観点から、力と経路間の特性曲線の形状に関して、さらに大きい設計の変動性および自由度が実現される。
【0023】
負荷平衡構成の例示的な改良によると、圧力リザーバは、補助的な圧力リザーバとして構成され、さらなる圧力リザーバは、ベース圧力リザーバとして形成され、ベース圧力リザーバおよび補助的な圧力リザーバは、第1の動作状態において、実質的に並列に接続され、補助的な圧力リザーバは、第2の動作状態において、現在のシステム圧力に依存して接続される。
【0024】
2つの動作モード間の切換は、第2の流体経路における制御可能なバルブの適切な制御によって、ここでもたらされる。
【0025】
負荷平衡構成のさらなる実施形態によると、制御可能なバルブの第2の動作状態において、システム圧力が増大する場合、第1の流体経路はブロックされる。システム圧力が定められた圧力レベルを下回る場合、システム圧力が定められた圧力レベルに達する場合に、圧力バルブによって開かれる第1の流体経路は開き、制御可能なバルブは、第2の流体経路において逆止バルブとして作用する。このように、第1に、ベース圧力リザーバは、流体で充填され、第1の流体経路における圧力バルブの制御特性に応じて、補助的な圧力リザーバが、圧力に依存する態様で接続される。
【0026】
負荷平衡構成のさらなる例示的な実施形態によると、圧力と経路間の特性曲線は、第1の動作状態において、基本的にキンクのない形状を有し、圧力と経路間の特性曲線は、第2の動作状態において、第1の動作状態における圧力と経路間の特性曲線の平均的な傾斜より大きな傾斜を含む斜面、さらには、実質的に一定の(直線の)線分を有する。
【0027】
上記の定義の意味におけるキンクのない形状は、例えば、直線形状であるかまたは曲線形状であるが、しかしながらキンクのないものを含んでよい。数学的に見ると、キンクがない場合、対応する関数は、各箇所において2回微分可能である。しかしながら、これは、限定するべきものとして理解されるべきではない。
【0028】
負荷平衡構成のさらなる例示的な実施形態によると、圧力と経路間の特性曲線は、第2の動作状態において、方向に依存する形状を有し、圧力と経路間の特性曲線は、圧力が上昇するにつれて、経路値で圧力の平坦域に達する。当該経路値は、圧力が低減される場合に、圧力と経路間の特性曲線が圧力の平坦域を離れる経路値より小さい。
【0029】
既に本明細書において示されているように、この例示的な実施形態によると、圧力上昇は、油圧シリンダの伸長運動に結び付けられる。圧力減少は、油圧シリンダの収縮運動に結び付けられる。しかしながら、言うまでもなく、例えば、逆の構成において、または他の方法で変更される油圧シリンダの実施形態において、圧力上昇は、収縮中に存在してもよく、圧力減少は、油圧シリンダの伸長中に存在してもよい。結論として、これは、油圧接続線とシリンダをピストンの前方側(正面側)またはピストンの後方側において、結合することによって決定される。
【0030】
負荷平衡構成のさらなる例示的な実施形態によると、制御可能なバルブは、システム圧力における圧力閾値の超過に続く第2の動作状態において、逆止バルブとして作用する。
【0031】
負荷平衡構成の例示的な実施形態によると、第2の流体経路における制御可能なバルブには、アクチュエータ、特に電磁石が設けられ、これにより、バルブが制御可能となる。好ましくは、例えば、制御可能なバルブがONにされていない場合、すなわちアクチュエータに電流が供給されない場合に、第2の動作状態が存在する。
【0032】
負荷平衡構成のさらなる例示的な実施形態によると、制御可能なバルブは、切換バルブまたは比例バルブとして構成される。基本的に、制御可能なバルブを方向制御バルブ、特に2/2ウェイバルブとして構成することがさらに考えられる。複数の組み合わせが考えられる。
【0033】
さらなる実施形態によると、負荷平衡構成は、関節ジョイントによって接続される少なくとも3つの結合要素を備える多軸ロボットのために設けられ、油圧シリンダは、第1の油圧シリンダとして構成される。負荷平衡構成は、
-相対的に移動可能である2つの結合要素に取り付けられる第2の油圧シリンダであって、第2の油圧シリンダの第1の端部は、第2の結合要素と接続され、第2の端部は、第3の結合要素と接続され、
第1の油圧シリンダは、マスタシリンダとして構成され、第2の油圧シリンダは、スレーブシリンダとして構成され、
マスタシリンダは、流体エネルギーを格納するために圧力リザーバと結合し、
マスタシリンダおよびスレーブシリンダは、互いに流体結合する、第2の油圧シリンダをさらに備える。
【0034】
このように、負荷平衡構成の機能は、少なくともさらなる結合要素へと拡張される。その結果、ロボットにおける、またさらなる目標負荷の補償が実現され得る。しかしながら、スレーブシリンダにはそれ自体の圧力リザーバが設けられないので、第2の油圧シリンダを設置する労力は小さい。それにもかかわらず、第2の結合要素と第3の結合要素との間に設けられるその軸の駆動モータに関して、静的状態において、全くないまたはほんの僅かの追加負荷が存在する。それは、しかしながら、負荷平衡構成のプラス効果によって顕著に補償され得る。全体的に、さらにこの軸について、エネルギー消費の低減および慣性質量の低減が実現され得る。ロボットは、より多くの動的態様で作動されてよい。動作中、構成要素への負荷が低減され得る。
【0035】
好ましくは、ロボットは、直線運動を有する多軸ロボットとして構成される。マスタシリンダおよびスレーブシリンダは、好ましくは、互いに流体的に直接結合される。すなわち、少なくとも通常動作状態において、マスタシリンダとスレーブシリンダとの間の流体(油圧オイル)の流れをブロックまたは抑制するバルブは、マスタシリンダとスレーブシリンダとの間に設けられない。
【0036】
一般に、マスタシリンダは、一次シリンダと呼ばれてもよい。従って、スレーブシリンダは、二次シリンダと呼ばれてもよい。スレーブシリンダは、流体エネルギーを格納するためにマスタシリンダに割り当てられる圧力リザーバを使用する。
【0037】
負荷平衡構成の例示的な実施形態によると、マスタシリンダおよびスレーブシリンダは、接続線を介して互いに接続される。これは、恒久的に開かれている接続線を特に含む。接続線は、柔軟性のある線として構成されてもよい。それは、しかしながら、少なくとも部分的に柔軟性のない線として、接続線を形成することがさらに考えられる。少なくとも通常動作状態において、接続線をブロックすることは、意図されていない。
【0038】
マスタシリンダおよびスレーブシリンダは、シリンダの視点から一方向の運動(例えば収縮運動または伸長運動)が存在するような方式で、互いに流体結合されてよく、それにより、システム圧力の増大またはシステム圧力の低減をそれぞれもたらす。しかしながら、ロボットの関係する結合要素の現在の運動に応じて、2つのシリンダのうち一方が、収縮され、これに対して、2つのシリンダのうち他方は、引き出されることがさらに考えられる。その結果、シリンダの一方は、基本的に流体を圧縮し、これに対して、他方のシリンダは、基本的に流体を減圧/膨張することがさらに考えられる。設計および実際に実行される運動に応じて、一方のシリンダの効果が、他方のシリンダの効果を補ってよく、またはそれをさらに超えてもよい。
【0039】
負荷平衡構成のさらなる例示的な実施形態によると、接続線は、マスタシリンダとスレーブシリンダとの間の相対運動が有効化されるような方式で柔軟に構成される。これは、関係する3つの結合要素の間の相対運動、特に相対的な旋回性によって、既にもたらされる。例として、3つの関係する結合要素、例えば、ロボットのカルーセル、スイングアーム、およびアームは、第1の位置において、Z字構成を仮定し得る。第2の位置において、例えば、実質的に直線の配置および構成が設けられてよい。
【0040】
関係する結合要素が、Z字形状の構成と、ミラー反転されるZ字形状の構成との間の遷移を含む運動を実行することがさらに考えられる。すなわち、関係する結合要素は、第1の位置において基本的にZ字形状で構成され、結合要素は、第2の位置におけるそれらの連鎖において、それに関連して(例えば水平方向に)ミラー化された全体的な構成を表わし、第1の位置におけるそれらの方向と比べて、それと反対に方向付けられる。言うまでもなく、単一のそのような結合要素は、この目的ではミラー化されないが、それぞれ動かされる。Z字の上側脚および下側脚を形成するこれらの結合要素は、反対の方向がもたらされるよう、2つの位置の間で約180°旋回される。
【0041】
負荷平衡構成のさらなる例示的な実施形態によると、接続線は、後方ピストン面によって範囲を定められるマスタシリンダのシリンダ空間に結合し、そして、後方ピストン面によって範囲を定められるスレーブシリンダのシリンダ空間に結合する。換言すると、双方のシリンダは、それらが伸長されるにつれて、それぞれ流体を圧縮する。それらが収縮される場合、圧力減少および/または流体の膨張が起こる。これは、しかしながら、さらなる例示的な実施形態において、油圧シリンダが、押込シリンダとして構成されることを排除はしないであろう。本実施形態によると、流体は、収縮中に圧縮されるであろう。言うまでもなく、さらに、油圧シリンダの一方は、押込シリンダとして構成され、油圧シリンダの他方は、引込シリンダとして構成される実施形態が考えられる。
【0042】
負荷平衡構成のさらなる例示的な実施形態によると、マスタシリンダ内、スレーブシリンダ内、および圧力リザーバ内のシステム圧力は、実質的に等しい。これは、互いに流体結合される、マスタシリンダおよびスレーブシリンダに、とりわけ適用される。さらに、圧力リザーバは、マスタシリンダと直接的に流体結合されてもよい。しかしながら、代替的な実施形態によると、マスタシリンダと圧力リザーバとの間の流体の流れを制御するために、圧力バルブ、または圧力リザーバとマスタシリンダとの間に他の方法で構成されたバルブを設けることが考えられる。
【0043】
負荷平衡構成のさらなる例示的な実施形態によると、第1の結合要素と第2の結合要素、および/または、第2の結合要素と第3の結合要素が、それぞれ相対的に旋回される場合、マスタシリンダとスレーブシリンダが、互いに旋回される。
【0044】
負荷平衡構成のさらなる実施形態によると、圧力リザーバは、マスタシリンダのシリンダ壁に結合される。これは、マスタシリンダと圧力リザーバとの間に、長い線が必要ないという利点を有する。むしろ、全体的に、マスタシリンダは、モジュール形状のユニットとして構成されてよい。
【0045】
負荷平衡構成のさらなる例示的な実施形態によると、マスタシリンダと結合され、好ましくはマスタシリンダのシリンダ壁に結合される、少なくとも2つの圧力リザーバが設けられる。概して、格納ユニットは、少なくとも圧力リザーバを備えるという前提において、しかしながら場合により、2つまたはより多くの圧力リザーバであってもよい。これは、例えば、承認要件、サービス要件などに関して、いくつかの利点を有し得る。
【0046】
一般に、マスタシリンダは、運動連鎖において、スレーブシリンダよりロボットのベースに近いシリンダである。従って、マスタシリンダにおいて、少なくとも1つの圧力リザーバを設けることは有益であり、これにより、圧力リザーバは、運動連鎖において続く駆動部によって動かされる必要はない。
【0047】
負荷平衡構成のさらなる実施形態によると、マスタシリンダのシリンダハウジングは、関節式の態様で、第1の結合要素に据え付けられ、マスタシリンダのピストンロッドは、関節式の態様で、第2の結合要素に据え付けされ、スレーブシリンダのシリンダハウジングは、関節式の態様で、第2の結合要素に据え付けられ、スレーブシリンダのピストンロッドは、関節式の態様で、第3の結合要素に据え付けられる。
【0048】
従って、基本的により重い部分、つまりシリンダハウジングは、ロボットのベースにより近い結合要素に据え付けられる。これは、負荷の分散のために有益である。
【0049】
言うまでもなく、関連性が反対の、そこから逸脱する実施形態が考えられる。従って、例えば、マスタシリンダのシリンダハウジングは、関節式の態様で、第2の結合要素に据え付けられ、マスタシリンダのピストンロッドは、関節式の態様で、第1の結合要素に据え付けられ、スレーブシリンダのシリンダハウジングは、関節式の態様で、第3の結合要素に据え付けられ、スレーブシリンダのピストンロッドは、関節式の態様で、第2の結合要素に据え付けられる。
【0050】
負荷平衡構成のさらなる例示的な実施形態によると、マスタシリンダは、スレーブシリンダの有効面より大きい有効面を備え、スレーブシリンダの有効面は、マスタシリンダの有効面のおおよそ30%から70%、好ましくは、おおよそ40%から60%である。
【0051】
本明細書で使用されているように、有効面は、例えば前方面または後方面のピストン面で、これにより、ピストンは、油圧シリンダ内に含まれる流体に作用し、流体を変位および/または加圧する。
【0052】
言うまでもなく、逸脱する構成も考えられ、有効面の割合が、異なるように選択され、例えば、1:1であってさえよい。これらの実施形態について、それぞれの運動は、所望の力の変換が提供されるような方式で選択され得る。結合要素における油圧シリンダの据付箇所の位置は、寸法決めの目的から変更され得る。
【0053】
本開示のさらなる態様によると、本発明の目的は、ロボットによって、特に多関節ロボットの種類の産業用ロボットによって実現される。そのロボットには、関節ジョイントによって接続されるロボットの少なくとも2つの結合要素に関連付けられる、本明細書に記載されている少なくとも1つの実施形態に係る負荷平衡構成が設けられる。
【0054】
ロボットの例示的な実施形態によると、負荷平衡装置は、カルーセルとして構成される結合要素およびスイングアームとして構成される結合要素と関連付けられ、油圧シリンダは、2つの結合要素の間の回転軸から半径方向に離間される旋回点において、関節式の態様で据え付けられる。
【0055】
ロボットのさらなる実施形態によると、油圧シリンダは、カルーセルとスイングアームとの間の最大相対的運動のために、油圧シリンダにおいて、収縮運動および伸長運動の双方が存在するような方式で構成される。最大相対的運動は、例えば、考えられる最大の旋回角度を含む2つの関係する結合要素の間の旋回運動を含み得る。結合要素において、どの種類の力およびトルクが予期されるかによって、それは、ロボット自体または適応される負荷によってであり得、その結果、様々な動作状態において、存在するトルクの低減が、負荷平衡構成によって実現され得る。
【0056】
前述されている特徴および以下で述べられる特徴は、特定の組み合わせのみに使用され得るだけではなく、本発明の精神および範囲から離れることなく、さらに他の組合せまたは分離された特徴として使用され得ると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
本開示のさらなる利点および特徴は、以下の図面に関連して、複数の例示的な実施形態の以下の説明によって開示される。
図1】収縮された状態における、負荷平衡構成が設けられるロボットの実施形態の概略側面図である。
図2図1に係る状態における、負荷平衡構成が設けられるロボットのさらなる実施形態の側面図である。
図3図1に係るロボットの伸長された姿勢における、さらなる図である。
図4図2に係るロボットの伸長された姿勢における、さらなる側面図である。
図5】負荷平衡構成の例示的な実施形態の概略簡略図である。
図6図5に係る負荷平衡構成の機能を明らかにするための圧力と経路間の特性曲線を含むダイアグラムである。
図7】負荷平衡構成のさらなる実施形態の概略簡略図である。
図8図7に係る負荷平衡構成の機能を明らかにするための圧力と経路間の特性曲線を含むダイアグラムである。
図9】負荷平衡構成のまたさらなる実施形態の概略図である。
図10図9に係る負荷平衡構成の機能を明らかにするためのロボットの結合要素の旋回角度に応じて、もたらされる駆動トルク(ギアトルク)を明らかにするための特性曲線のダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1に関連して、および図2図3および図4にさらに関連して、ロボットおよびロボットのための負荷平衡構成の一般的な実施形態が明らかにされるであろう。
【0059】
図1は、例えば、産業用ロボットとして構成されるロボット10の側面図を示す。ロボット10は、多関節ロボットまたは座屈アームロボットとして構成される。ロボット10は、直列的な運動連鎖を備える。
【0060】
例として、ロボット10は、直列する態様で互いに結合される結合要素12、14、16、18、20、22および24を備える。結合要素12、14、16、18、20、22、24の各々は、その隣接する結合要素と相対的に移動可能、特に回転可能または旋回可能である。第1の結合要素12は、ベースと呼ばれてもよい。最後の結合要素24において、例えば、いわゆるエンドエフェクタ用のインターフェース26が設けられる。運動連鎖は、さらなる結合要素によって拡張されてよい。インターフェース26において、例えば、グリッパまたはそのような種類のマニュピュレータが支持されてよい。
【0061】
ロボット10は、結合要素12、14、16、18、20、22および24のうち2つの要素の間にそれぞれ形成される、いくつかの(運動)軸30、32、34、36、38、40を備える。軸30、32、34、36、38、40は、駆動軸と呼ばれてもよく、駆動部/モータ、例えば電気モータが設けられてよく、またはそれに結合されてよい。ギアが、軸30、32、34、36、38、40と、それらと関連するモータとの間にそれぞれ介在してよい。
【0062】
軸30は、結合要素12と結合要素14との間に介在し、結合要素12と結合要素14との間の相対運動または相対回転を可能にする。軸32は、結合要素14と結合要素16との間に介在し、結合要素14と結合要素16との間の相対回転または相対旋回を可能にする。軸34は、結合要素16、18と関連付られ、結合要素16と結合要素18との間の相対回転または相対旋回を可能にする。軸36は、結合要素18と結合要素20との間に介在し、結合要素18と結合要素20との間の相対回転または相対旋回を可能にする。軸38は、結合要素20と結合要素22との間に介在し、結合要素20と結合要素22との間の相対回転または相対旋回を可能にする。軸40は、結合要素22と結合要素24との間に介在し、結合要素22と結合要素24との間の相対回転または相対旋回を可能にする。
【0063】
図1に関連して明らかにされるロボット10について、結合要素12は、ベース42と呼ばれてもよい。結合要素14は、カルーセル44と呼ばれてもよい。結合要素16は、スイングアーム46と呼ばれてもよい。結合要素18は、アーム48と呼ばれてもよい。ベース42は、ロボット10を底面に固定して取り付けるために通常構成される。それでも、用途例に応じて、例えば、天井でまたは(側部の)壁で支持されるロボット10の構成も公知である。
【0064】
図1に係るロボット10は、図3において例示目的でさらに例示され、図3もロボット10の側面図を含む。しかしながら、図3におけるロボット10は、図1におけるロボット10とは対照的に、カルーセル44に対するスイングアーム46の相対旋回、およびスイングアーム46に対するアーム48の相対旋回を特に含む、変更された方向を備える。ロボット10は、図1において、収縮された/折り畳まれた位置で示され、図3において、伸長された位置で示されている。
【0065】
図1に関連して明らかにされる例示的な実施形態によれば、ロボット10には、油圧シリンダ62を備える負荷平衡構成60がさらに設けられ、油圧シリンダ62は、シリンダハウジング64と、シリンダハウジング64へと突入するピストン66とを備える。シリンダハウジング64とピストン66は、相互に対して並進移動可能である。油圧シリンダ62は、一方の端部でシリンダハウジング64において、ベアリングおよび/または旋回点68を介し、結合要素14と、すなわちカルーセル44と旋回可能に結合される。油圧シリンダ62は、ピストン66に設けられる他方の端部で、ベアリングおよび/または旋回点70を介し、結合要素16において、すなわちスイングアーム46において据え付けられる。旋回点68、70はそれぞれ、軸32に偏心的に相対的に、および/または軸32から半径方向にオフセットして構成される。結合要素14と結合要素16との間の相対旋回が起こる場合、ピストン66とシリンダハウジング64との間の相対運動が起こる。このように、流体、特に油圧オイルは、シリンダハウジング64へと流れ込み得、および/または、シリンダハウジング64から変位される。
【0066】
負荷平衡構成60は、少なくとも1つの圧力リザーバ78を備える格納ユニット74をさらに備える。格納ユニット74および圧力リザーバ78は、図1において単に概略的に示されている。圧力リザーバ78は、例えば、ダイヤフラム格納部、気泡格納部、ピストン格納部、スプリング格納部、および/またはさらなる格納構造の種類に従って構成される。例として、圧力リザーバ78内に、例えば、窒素などのガス状流体が収容される。ガス状流体は、油圧流体と対比して圧縮性が高く、これにより、油圧シリンダ62が動かされる場合に変位される油が、圧力リザーバ78において、ガス状流体を加圧してよい。このように、位置エネルギーまたは運動エネルギーは、流体エネルギーとして格納されてもよい。
【0067】
図1に係る折り畳まれた姿勢と図3に係る折り広げられた姿勢との間の遷移において、ピストン66が最初にシリンダハウジング64の深くへと突入し、最大そう入深さをのりこえて、結合要素16がさらに旋回される場合、それは、シリンダハウジング64から再度伸長されるように、結合要素14に相対的に結合要素16が旋回される。
【0068】
図2および4に関連して、全体的に110で示されている、ロボットのさらなる実施形態が明らかにされるであろう。図2および4に係るロボット110は、基本的に、図1および3に係るロボット10と同様に構成される。これは、結合要素12、14、16、18、20、22、24と、それらと関連する軸30、32、34、36、38および40とに基本的に適用される。ロボット110についても、結合要素12は、ベース42と呼ばれてよい。従って、結合要素14は、カルーセル44と呼ばれてよい。結合要素16は、スイングアーム46と呼ばれてもよい。結合要素18は、アーム48と呼ばれてもよい。
【0069】
図2および4に例示されているロボット110の姿勢は、図1および3で明らかにされるロボット10の姿勢に実質的に相当する。
【0070】
また、ロボット110には、図2および4において160で示されている負荷平衡構成が設けられる。負荷平衡構成160には、図1および3に係る油圧シリンダ62の構成と基本的に同様の構成の油圧シリンダ162が設けられる。
【0071】
油圧シリンダ162は、シリンダハウジング164およびピストン166を備える。シリンダハウジング側端部において、油圧シリンダ162は、ベアリングおよび/または旋回点168を介して、結合要素14に据え付けられる。ピストン側端部において、油圧シリンダ162は、ベアリングおよび/または旋回点170を介して、結合要素16に据え付けられる。負荷平衡構成60と類似して、負荷平衡構成160にも、少なくとも1つの圧力リザーバ178を含む格納ユニット174が設けられる。格納ユニット174は、油圧シリンダ162と関連付けられ、シリンダハウジング164において、特に構成される。
【0072】
負荷平衡構成160は、しかしながら、第2の油圧シリンダ182をさらに含む。油圧シリンダ182は、図2および4において、実質的に破線で例示されている。油圧シリンダ182は、第2の結合要素16および第3の結合要素18と関連付られる。図2および4が基づいている例示的な図の方向において、油圧シリンダ182は、第2の結合要素16によって、少なくとも部分的に覆われる。
【0073】
油圧シリンダ182は、シリンダハウジング184およびシリンダハウジング184内へと突入し、シリンダハウジング186から伸長するために構成されるピストン186を備える。油圧シリンダ182は、そのシリンダハウジング側端部において、ベアリングまたは旋回点188を介して結合要素16に収容される。油圧シリンダ182は、そのピストン側端部において、旋回点190を介して、結合要素18に据え付けられる。
【0074】
圧力リザーバ178または第2の圧力リザーバは、基本的に、第2の油圧シリンダ182において構成されてもよい。しかしながら、少なくともいくつかの実施形態によると、図2および4において例示されている構成が好ましい。
【0075】
油圧シリンダ162の旋回点168、170はそれぞれ、軸32からオフセットされ、および/または軸32から半径方向に離間される。油圧シリンダ182の旋回点188、190は、それぞれ、軸34からオフセットされ、および/または軸34から半径方向に離間される。
【0076】
油圧シリンダ182は、上記の例示的な用語によると、ロボット110のスイングアーム46とアーム48との間に構成される。
【0077】
図2で例示されている例示的な実施形態には、油圧シリンダ162と油圧シリンダ182との間の流体結合をもたらす、油圧シリンダ162と油圧シリンダ182との間に接続線194が伸びていることが不可欠である。例として、接続線194は、シリンダハウジング164からシリンダハウジング184へ伸びている。このように、負荷平衡構成160の油圧シリンダ162、182は、互いに動作可能に結合される。
【0078】
図2に係る負荷平衡構成160のさらなる特徴は、圧力リザーバが設けられる格納ユニットが、結合要素16と結合要素18との間に構成される油圧シリンダ182に関して設けられないことである。むしろ、油圧シリンダ182は、油圧シリンダ162に設けられる格納ユニット174をさらに使用する。このため、接続線194は、油圧シリンダ182と油圧シリンダ162との間に伸びており、特に、シリンダハウジング164とシリンダハウジング184との間に伸びている。
【0079】
図2および4で明らかにされる負荷平衡構成160の実施形態の利点は、第2の油圧シリンダ182自体に関して、従って、少なくとも1つの圧力リザーバ178を持つ別個の格納ユニット174が設けられないことである。これは、結合要素16および次に続く結合要素18、20、22、24を結合要素14に相対的に旋回するために、軸32および/または軸32の駆動モータがのりこえる必要がある、慣性質量の増大を回避する。さらに、これらの構成要素について追加的な労力は必要でない。
【0080】
図5から10に関連し、基本的に互いに組み合わされて実装され得る、負荷平衡構成のいくつかの例示的な実施形態が明らかにされるであろう。
【0081】
図5は、概略図を参照し、例えば、図1および3を参照して明らかにされるロボット10の構成に従って構成される、負荷平衡構成60を明らかにする。
【0082】
負荷平衡構成60には、シリンダハウジング64およびそこに収容されるピストン66を含む油圧シリンダ62が設けられる。ベアリングおよび/または旋回点68、70を介して、油圧シリンダ62は、結合要素14、16に据え付けられてよい。本明細書に既に記載されているように、さらに、油圧シリンダ62と結合される少なくとも1つの圧力リザーバ78を備える格納ユニット74が、設けられる。図5は、さらに、少なくとも追加的な圧力リザーバ80が設けられてよいことも示す。
【0083】
油圧シリンダ62のピストン66は、ピストンロッド82を備える。シリンダハウジング64において、環状空間またはシリンダ空間84が、接続線86がどこに至るのかを定める。図5に関連して例示されている油圧シリンダ62の構成によると、接続線86は、ピストン66の後方部においてシリンダ空間84に至る。結果的に、ピストン66がシリンダハウジング64から伸長する場合、そこに含まれる流体は、変位されおよび/または圧縮される。ピストン66がシリンダハウジング64へと収縮される場合、流体が流れ込み得る。
【0084】
接続線86は、油圧シリンダ62と第1の線88と第2の線90との間に伸長する。第1の線88は、第1の流体経路と呼ばれてもよい。第2の線90は、第2の流体経路と呼ばれてもよい。
【0085】
第1の線88および第2の線90は、(回路の観点から)相互に対して並列に伸長し、双方が格納ユニット74の圧力リザーバ78へと至る。さらに、圧力リザーバ80は、接続線86と結合される。第1の線88および第2の線90は、それぞれ接続線86および/または圧力リザーバ80と圧力リザーバ78との間にそれぞれ伸長する。負荷平衡構成60は、例えば、接続線86と結合する圧力センサ92(例えば圧力ゲージ)をさらに備える。例として、さらに、接続線86とさらに結合する充填バルブ94が設けられる。
【0086】
負荷平衡構成60は、第2の線90と関連付られる制御ユニット96をさらに備える。制御ユニット96は、第1の線88および/または第2の線90を通じてピストン66によって変位される流体の流れを制御するように構成される。
【0087】
例として、第1の線88において、定められる圧力閾値に応じて切り換わる圧力バルブ98が設けられる。しかしながら、第2の線90について、制御ユニット96を介して制御される制御可能なバルブ100が設けられる。例として、制御可能なバルブ100は、2/2ウェイバルブとして、図5に示されている実施形態に従って構成される。制御可能なバルブ100の他の構成が、特に問題なく考えられる。図5において、バルブ100の2つの切換状態は、例として、IおよびIIで示されている。切換状態IおよびIIは、負荷平衡構成60の第1の動作モードおよび第2の動作モードと関連付けられる、バルブ100の第1の動作状態および第2の動作状態に相当する。
【0088】
例えば、電磁石として構成されるバルブアクチュエータ102は、制御可能なバルブ100と関連付けられる。さらに、例えば、スプリングのたぐいの反発要素104が、設けられる。
【0089】
補足的に図6に関連して、負荷平衡構成60の機能は、より詳細に説明されるであろう。
【0090】
図6は、例えば、圧力センサ92によって測定され得る、負荷平衡構成60内のシステム圧力と、シリンダハウジング64に対するピストン66の移動した経路との間の関係を例示する。その経路は、シリンダストロークと呼ばれてもよい。
【0091】
220で示されている軸において、経路は、(例えばmm(ミリメートル)で)定性的にプロットされる。222で示されている軸において、システム圧力は、(例えばbar(バール)で)定性的にプロットされる。224で示されている線は、超えてはならない最大動作圧力を例示的に明らかにする。
【0092】
226で示されている線は、バルブ100の第1の動作状態においての、すなわちバルブ100が開いている場合の負荷平衡構成の圧力と経路間の特性を明らかにする。228で示されている線は、バルブ100が第2の動作状態において、すなわち逆止バルブの態様で動作する場合の負荷平衡構成60内のシステム圧力を明らかにする。さらに、230で示されている曲線は、ピストン66が収縮した場合、すなわち環状空間84に流体が流れ込む場合の例示的な圧力と経路間の形状を明らかにする。
【0093】
図5において、バルブ100は、例えば位置IIにあり、電流が供給されない。この第2の動作モードにおいて、バルブ100は、圧力リザーバ78に向かう、第2の線90を介する流体の流れを防止する逆止バルブとして作用する。ここで、この第2の動作状態における場合、ピストン66は、そこに含まれる流体が変位され、および/または加圧されるような方式で、シリンダハウジング64に相対的に変位され、次に、流体は、接続線86を介して、圧力リザーバ80へと最初に流れる。
【0094】
第2の動作モード(動作状態II)である限り、主に圧力リザーバ80が充填され、および加圧され、関連する曲線228は、動作状態Iに相当する曲線226よりかなり急勾配である。
【0095】
しかしながら、定められた圧力レベル、例えば、図6において約290barのシステム圧力に達したとき、および達するとすぐに、第1の線88において圧力バルブ98が開き、これにより、圧力リザーバ78も充填され得る。圧力バルブ98は、しかしながら、シリンダストロークがさらに増大するにつれて、最初は、システム圧力のさらなる増大が生じないことを確実にする。圧力リザーバ78内の圧力がこの閾値に達し、その結果、圧力リザーバ80内の圧力に相当もする場合にのみ、システム圧力は、全体的にさらに増大する。
【0096】
換言すると、曲線228は、はっきりと異なる平坦域を有する。圧力バルブ98が制御される方法に応じて、曲線228の平坦域の代わりに、別の形状ももたらされてよい。
【0097】
昇圧モードと呼ばれてもよい動作モードIIの利点は、少ない(ストローク)経路での力の増大にある。このように、現在の用途例およびロボット10への現在の負荷に応じて、軸(例えば軸32)において必要な保持トルクおよび/または駆動トルクが、低減され得る。
【0098】
圧力減少中、すなわち、図5に例示されている実施形態に従ってピストン66がシリンダハウジング64へと突入する場合、第2の動作モードにおいて圧力と経路間の特性曲線は、図6において曲線230に示す、僅かに異なる挙動を表す。この原因は、逆止バルブとしての制御可能なバルブ100の構成であり、これにより、圧力リザーバ78から油圧シリンダ62に向かう流体の返流が、圧力リザーバ80においてのまたは圧力リザーバ80内の圧力が、圧力リザーバ78においてのまたは圧力リザーバ78内の圧力より低い場合、有効化される。
【0099】
曲線230の正確な位置は、ここで、平坦域においての実際の箇所、すなわち圧力減少が開始する実際のシリンダストロークに依存する。つまり圧力リザーバ80内の圧力が、いまだに圧力リザーバ78内の圧力より高い限り、逆止バルブを通じて流体が逆流しないであろう。しかしながら、圧力リザーバ80における圧力および/またはシリンダ62内の圧力が、圧力リザーバ78内より低いとすぐに、制御可能なバルブ100における逆止バルブは、のりこえられるであろう。
【0100】
図7および8に対して、追加の参照がなされる。図7は、260で示されている負荷平衡構成を明らかにする。図8は、図6の対応する特性曲線に類似する圧力と経路間のダイアグラムにおいて示す。図6および図8のダイアグラム表現は、同一尺度に基づく。
【0101】
詳細な構成に関して、図7に係る負荷平衡構成260は、第1の線88および/または第2の線90と油圧シリンダ62との間に接続線86に結合する圧力リザーバがないという点で、図5に係る負荷平衡構成60とは異なる。代わりに、格納ユニット74は、互いに結合される2つの圧力リザーバ78、278を例示的に含む。言うまでもなく、図6に係る実施形態は、1つの圧力リザーバ78のみでも考えられる。
【0102】
図8は、軸240上でシリンダストロークを(例えばmmで)定性的に明らかにする。軸242は、システム圧力を(例えばbarで)定性的に明らかにする。244で示されている線は、最大動作圧力を示す。
【0103】
246で示されている線は、制御可能なバルブ100の第1の動作状態(位置I)に相当する第1の動作モードにおける負荷平衡構成260の圧力と経路間の特性を例示する。但し、図5および6における負荷平衡構成60、260のそれぞれの構成要素は、同様に寸法決めされ(圧力リザーバ278は、システムにおけるその位置に関わらず、圧力リザーバ80に基本的に相当し)、図8における曲線246は、図6における曲線226に相当する。
【0104】
図8は、曲線248を参照し、第2の動作モードにおける負荷平衡構成260のシステム圧力をさらに例示する。250で示されている曲線は、流体が油圧シリンダ62へと押し返される場合、第2の動作モードにおける、対応する圧力と経路間の特性曲線を明らかにする。
【0105】
例示されている、油圧シリンダ62の例示的な構成および実施形態によると、曲線248は、伸長運動に相当する。曲線250は、収縮運動に相当する。
【0106】
曲線248は、その傾斜の領域内で、図6における対応する曲線228よりかなり急勾配である。これは、圧力リザーバ78、278以外には、シリンダハウジング64と直接的に結合するさらなる圧力リザーバまたはバッファが設けられないことによって実質的に起こる。しかしながら、残りの圧縮性は、依然として存在し、オイルの圧縮性、ラインの圧縮性などに例示的に起因する。言うまでもなく、圧力リザーバ80(図5)の選択および設計に応じて、特性曲線228、248に関する傾斜の他の形状がもたらされてよい。
【0107】
しかしながら、第2の動作モードにおける圧力が閾値に達するとすぐに、圧力バルブ98が開き、これにより、流体は、圧力リザーバ78、278の何れかを加圧するために格納ユニット74に流れ込んでよい。
【0108】
収縮運動のための圧力減少は、図5および6に関連して明らかにされている実施形態と基本的に同様の挙動を表わす。
【0109】
流体(油圧オイル)は、油圧シリンダと制御可能なバルブ100との間のシステムにおける圧力(例えば、圧力センサ92によって測定され得る)が、圧力リザーバ78、278内の圧力より低い場合にのみ、油圧シリンダ62の圧力リザーバ78、278から逆流してよい。
【0110】
言うまでもなく、制御可能なバルブ100が第1の動作状態(位置I)にある場合、図7に係る負荷平衡構成260も、第1の動作モードにおいて動作可能である。次に、圧力リザーバ78、および存在するのであれば圧力リザーバ278は、油圧シリンダ62と直接的に流体結合し、これにより、システム内の何れの箇所においても、実質的に同一のシステム圧力が存在する。
【0111】
図9および図10に関連して、図2および4において例示されているロボット10の構成において基本的に使用可能である、負荷平衡構成160の例示的な実施形態が、明らかにされるであろう。
【0112】
図2および4に関連して明らかにされている実施形態と同様に、図9に係る負荷平衡構成160は、油圧シリンダ182に加えて、さらなる油圧シリンダ162を備える。油圧シリンダ162は、ピストン166が収容されるシリンダハウジング164を備える。ベアリングまたは旋回点168、170を介して、油圧シリンダ162は、結合要素14、16に据え付けられてよい。少なくとも1つの圧力リザーバ178を備える格納ユニット174が、油圧シリンダ162と関連付けられる。
【0113】
油圧シリンダ182は、シリンダハウジング184と、シリンダハウジング184に収容されるピストン186とを備える。ベアリングまたは旋回点188、190を介して、油圧シリンダ182は、結合要素16、18に据え付けられてよい。格納ユニット174の圧力リザーバ178は、196で示されている接続線を介して、油圧シリンダ162のシリンダハウジング164と結合される。
【0114】
油圧シリンダ162は、マスタシリンダ200と呼ばれてもよい。油圧シリンダ182は、スレーブシリンダ202と呼ばれてもよい。スレーブシリンダ202は、接続線194を介して、マスタシリンダ200と結合される。マスタシリンダ200は、圧力リザーバ178とさらに結合される。マスタシリンダ200およびスレーブシリンダ202を持つ負荷平衡構成160の構成は、ツイン配置と呼ばれてもよい。
【0115】
油圧シリンダ162は、ピストンロッド204、およびピストン166とシリンダハウジング164との間の環状空間206をさらに備える。環状空間206は、ピストン166の後方側で範囲を定められている。油圧シリンダ182は、ピストン186とシリンダハウジング184との間に伸長し、ピストン186の後方側によって範囲を定められている環状空間210によって囲まれるピストンロッド208を備える。
【0116】
接続線194は、油圧シリンダ162、182の環状空間206、210内にそれぞれ至る。これは、正確な尺度で描かれていない図9において例示されている一方、少なくともいくつかの例示的な実施形態によると、マスタシリンダ200は、スレーブシリンダ202の有効面より大きい有効面を備えることが、有益であり得る。シリンダ200、202の有効面は、ピストン166、186の後方側で、例として環状面であり、これにより、流体(油圧オイル)が付勢される。
【0117】
マスタシリンダにおいて、例えば過剰圧力バルブとして構成され得る圧力バルブ212が、さらに設けられる。さらに、システム圧力を検出するために構成される、214で示されている圧力センサが設けられる。216で示されている口は、例えば充填口として構成されてよい。218で示されている口は、通気口として構成されてよい。
【0118】
ピストン166、186は、同一方向に変位され得るが、ロボット110の結合要素によって実行される実際の運動次第では、反対方向に変位されてもよい。全体として、流体(油圧オイル)が、油圧シリンダ182、162内で変位される限り、流体は、格納ユニット174の圧力リザーバ178に向かって流れる。このように、運動エネルギーおよび/または位置エネルギーは、流体エネルギーの形で格納され得、必要に応じて放出されてよい。
【0119】
図10は、いくつかの旋回角度とトルク間の特性線に関連して、負荷平衡構成160の機能を明らかにする。図2および図4にも関連して、280で示されている軸は、軸34の周りを相対的に旋回可能である、結合要素16と結合要素18との間の考えられる角度位置(例えば°(度)で)の範囲を定性的に明らかにする。左側の軸280の負の角度範囲は、図4において例示されている姿勢に基本的に相当する。軸280の正の右側の範囲は、基本的に、図2において例示されているロボット110の収縮姿勢に相当する。
【0120】
軸282は、軸34において、および/またはそれと関連する例えば、モータおよびギアを含み得る駆動ユニットにおいて、定められた負荷を移動するために必要とされるギアトルクを(例えばNm(ニュートンメートル)で)定性的に明らかにする。
【0121】
284、286、288で示されている曲線は、図2において例示されているロボット110の姿勢から図4において例示されている姿勢への間の遷移にそれぞれ相当する、定められた運動のために必要とされるギアトルクを明らかにする。
【0122】
軸282によって明らかにされる、必要とされるギアトルクは、正の値および負の値を表わしてよい。これは、それぞれの回転方向に関係する。簡略化のため、基本的にギアトルクの絶対値も利用され得る。
【0123】
284で示されている曲線は、軸34の周りの力およびトルクを補うために結合要素16、18と関連付けられるスレーブシリンダ202を備えない、すなわち油圧シリンダ182がないロボットを明らかにする。比較的高いギアトルク(絶対値とみなす)が、所与の負荷で運動をもたらすために必要である。
【0124】
曲線286は、同一の負荷での同一の運動は、図2および4に係る結合要素16、18と例示的に接続される、図9に係るスレーブシリンダ202および/または油圧シリンダ182によって、負荷平衡構成が拡張される場合、かなり低い必要とされるギアトルクで有効化されることを例示している。この構成は、ツインシステムと呼ばれてもよい。
【0125】
288で示されている曲線は、例えば図9に係るマスタシリンダ200およびスレーブシリンダ202を備える負荷平衡構成160が、例えば図5または7に係るマスタシリンダ200と関連付けられる昇圧システムと組み合わせられた場合、必要とされるギアトルクに関する曲線のさらなる変位が考えられることを明らかにする。
【0126】
言うまでもなく、図5および9に係る、および/または図7および9に係る負荷平衡構成の実施形態は、用途例および現在の負荷状態のロボットの相乗効果が存在するかに応じて、特に問題なく互いに組み合わせられてよい。その結果、ツインシステムおよび昇圧システムは、互いに組み合わせられてよい。
【0127】
従って、図9に係る負荷平衡構成160のマスタシリンダ200は、図5および/または7に係る構成と組み合わせられてよく、少なくとも1つの圧力リザーバ78は、第1の線88および第2の線90を備える構成を介して、制御される。第1の動作状態および第2の動作状態において制御ユニット96によって動作可能である、第1の線88における圧力バルブ98が、および第2の線90における制御可能なバルブ100が、設けられる。
【0128】
逆に、図5に係る負荷平衡構成60および図7に係る負荷平衡構成260の実施形態は、特に問題なく、図9に係る負荷平衡構成160の実施形態に従って、スレーブシリンダ202によって拡張され、2つの油圧シリンダ間の接続線194も設けられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10