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特許7004285外部冷却装置と複数の冷却回路とを備える電気モータ
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  • 特許-外部冷却装置と複数の冷却回路とを備える電気モータ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】外部冷却装置と複数の冷却回路とを備える電気モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/18 20060101AFI20220114BHJP
   H02K 9/02 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
H02K9/18 A
H02K9/02 Z
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017092467
(22)【出願日】2017-05-08
(65)【公開番号】P2017201878
(43)【公開日】2017-11-09
【審査請求日】2020-04-02
(31)【優先権主張番号】1653991
(32)【優先日】2016-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】313011906
【氏名又は名称】アルストム トランスポート テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ベナリ、 ブーアッラーム
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-087460(JP,U)
【文献】特開昭61-102149(JP,A)
【文献】特開平11-299176(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第00300257(GB,A)
【文献】米国特許第03461328(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/18
H02K 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータ(10)であって、
内部容積を画定するフレーム(12)と、
回転子(14)及び固定子(16)であって、前記回転子(14)及び前記固定子(16)は前記内部容積内に収容された、回転子(14)及び固定子(16)と、
前記固定子(16)を横切る少なくとも1つの一次冷却回路(18)であって、前記一次冷却回路(18)は、前記電気モータ(10)の外側とそれぞれが流体連通状態にある一次入口(28)と一次出口(30)とを備え、前記一次入口(28)は前記外側から来る外部流体(FE)を受け取るように適合され、前記外部流体(FE)は前記一次冷却回路(18)内を循環すること及び前記一次出口(30)を通じて出ることが意図される、一次冷却回路(18)と、
前記フレーム(12)の外側の少なくとも1つの冷却装置(20)であって、前記冷却装置(20)は二次入口(36)と二次出口(38)と少なくとも1つの二次導管(40)とを備え、前記二次入口(36)及び前記二次出口(38)は前記内部容積と流体連通状態にあり、前記二次導管(40)は前記二次入口(36)と前記二次出口(38)とを接続するように、及び少なくとも部分的に前記フレーム(12)の外側上で延在するように適合された、冷却装置と、
前記一次冷却回路(18)から分離された少なくとも1つの二次冷却回路(22)であって、前記二次冷却回路(22)は前記回転子(14)を横切り、前記冷却装置(20)の前記二次入口(36)及び前記二次出口(38)と流体連通状態にあり、内部流体(FI)が前記二次冷却回路(22)内及び前記冷却装置(20)内を循環することが意図される、二次冷却回路(22)と
を備える電気モータ(10)であって、内部空間の範囲を定めるチャネル(24)を更に備え、前記チャネル(24)は前記冷却装置(20)の内壁(48)と前記固定子(16)の外壁(27)との間で延在し、前記一次冷却回路(18)は、前記一次入口(28)によって受け取られた前記外部流体(FE)の小部分を前記チャネル(24)に供給するための、前記一次入口(28)に接続されたデビエーションを備えることを特徴とする、電気モータ(10)。
【請求項2】
前記外部流体(FE)の前記小部分は、前記冷却装置(20)の前記二次導管(40)に実質的に平行な方向において前記チャネル(24)内を循環する、請求項1に記載のモータ(10)。
【請求項3】
前記冷却装置(20)は前記内部空間内に位置する内部冷却フィン(52)を備え、前記内部冷却フィン(52)は前記冷却装置(20)の前記内壁(48)上に取り付けられ、第1の方向(X-X’)に沿って延在し、前記第1の方向(X-X’)は、前記チャネル(24)内を循環する前記外部流体(FE)の循環の方向に実質的に沿って延在する、請求項1又は請求項2に記載のモータ(10)。
【請求項4】
前記固定子(16)は前記内部空間内に収容された第2の内部フィン(64)を備え、前記第2の内部フィン(64)は前記固定子(16)の前記外壁(27)上に取り付けられ、第1の方向(X-X’)に沿って延在し、前記第1の方向(X-X’)は、前記チャネル(24)内を循環する前記外部流体(FE)の循環の方向に実質的に沿って延在する、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のモータ(10)。
【請求項5】
前記チャネル(24)の前記内部空間内を循環する前記外部流体(FE)の速度は10メートル/秒と80メートル/秒との間に含まれる、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のモータ(10)。
【請求項6】
前記外部流体(FE)の前記小部分は前記チャネル(24)の全長にわたって循環し、前記チャネル(24)の長さは前記冷却装置(20)の前記二次導管(40)の長さの少なくとも80%に等しい、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のモータ(10)。
【請求項7】
前記デビエーションは、前記冷却装置(20)の前記二次導管(40)より上流側に位置する、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載のモータ(10)。
【請求項8】
前記チャネル(24)に供給される前記外部流体(FE)の前記小部分は、前記一次入口(28)によって受け取られる前記外部流体(FE)の5%と15%との間に含まれる、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載のモータ(10)。
【請求項9】
前記冷却装置(20)は前記二次入口(36)と前記二次出口(38)との間に延在する流体循環の経路を画定し、前記冷却装置(20)の前記二次導管(40)は、前記冷却装置(20)の前記内壁(48)に実質的に垂直な平面内で延在する複数の分離壁(62)を備え、前記分離壁(62)は、流体が前記流体循環の経路に沿って互いに実質的に反対の少なくとも2つの方向において循環するように位置付けられる、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載のモータ(10)。
【請求項10】
前記チャネル(24)は実質的に矩形の形状の断面を有し、前記断面の幅は50ミリメートルと100ミリメートルとの間に含まれ、前記断面の高さは20ミリメートルと40ミリメートルとの間に含まれる、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載のモータ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの固定子を冷却するための一次冷却回路と、モータの回転子を冷却するための二次冷却回路とを含む電気モータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、一次回路は、固定子を横切る及び/又は取り囲む一次回路内で外部流体、例えば外気を循環させることによって固定子を冷却することを可能にするために、モータのフレームの外側と流体連通状態にある。他方、二次回路は、モータ、特に回転子の、例えばほこりを避けるために、又は全ての汚れた移動要素をなくすために、フレームの外側と流体連通状態にはない。
【0003】
二次回路はその場合、二次回路における閉回路内を循環する内部流体と外気との間の熱交換を保証する冷却装置に接続される。
【0004】
内部流体の適切な冷却を保証するために、従来技術から知られている冷却装置は、外壁上に取り付けられた、熱交換表面積を増加するフィンを含み、その場合、外部通気系(outer ventilation system)がこれらのフィンに向けた外気の流れを生成する。一例として、そのような通気系は、モータが内部に搭載された輸送車両、例えば鉄道車両の移動によって生成される空気の循環から作られる。
【0005】
しかし、これらの冷却装置は、二次回路内を循環する内部流体の冷却に関して十分な満足を与えるものではない。
【0006】
加えて、そのような冷却装置が通気系と結合される場合、冷却装置の効率の向上には空気循環の速度の増加が必要とされ、これにより高いコストと大規模な寸法設計とが誘起される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的の1つは、従来技術におけるよりも大きな効率を、既存の通気系のいかなる変更も必要とせずに有する冷却装置を含む電気モータを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明は、
内部容積を画定するフレームと、
回転子及び固定子であって、回転子及び固定子は内部容積内に収容された、回転子及び固定子と、
固定子を横切る少なくとも1つの一次冷却回路であって、一次回路は、モータの外側とそれぞれが流体連通状態にある一次入口と一次出口とを含み、一次入口は外側から外部流体を受け取るように適合され、外部流体は一次回路内を循環すること及び一次出口を通じて出ることが意図される、一次冷却回路と、
フレームの外側の少なくとも1つの冷却装置であって、冷却装置は二次入口と二次出口と少なくとも1つの二次導管とを含み、二次入口及び二次出口は内部容積と流体連通状態にあり、二次導管は二次入口と二次出口とを接続するように、及び少なくとも部分的にフレームの外側で延在するように適合された、冷却装置と、
一次回路から分離された少なくとも1つの二次冷却回路であって、二次回路は回転子を横切り、冷却装置の二次入口及び二次出口と流体連通状態にあり、内部流体が二次回路内及び冷却装置内を循環することが意図される、二次冷却回路と
を含む電気モータであって、内部空間の範囲を定めるチャネルを更に含み、チャネルは冷却装置の内壁と固定子の外壁との間で延在し、一次回路は、一次入口によって受け取られた外部流体の小部分をチャネルに供給するための、一次入口に接続されたデビエーション(deviation)を含む、電気モータを対象とする。
【0009】
そのような電気モータは特に、二次回路内を循環する内部流体の、冷却装置による冷却効率の増加を、既存の構造を実質的に変更する必要なしにもたらすという利点を有する。更に、この解決法は、一次回路及び二次回路を実質的に変更することも、それらの回路の間の連通を作ることもなしに、一次回路内を循環する外部流体の一部を使用することからなるため、単純であり適用が安価である。
【0010】
本発明による電気モータは、以下の特徴のうちの1つ又は複数を、単独で又は技術的に考えられる全ての組み合わせに従って更に含んでもよい。
【0011】
外部流体の小部分は、冷却装置の二次導管に実質的に平行な方向においてチャネル内を循環する。
【0012】
冷却装置は内部空間内に位置する内部冷却フィンを含み、内部フィンは冷却装置の内壁上に取り付けられ、第1の方向に沿って延在し、第1の方向は、チャネル内を循環する外部流体の循環の方向に沿って実質的に延在する。
【0013】
固定子は内部空間内に収容された第2の内部フィンを含み、第2の内部フィンは固定子の外壁上に取り付けられ、第1の方向に沿って延在し、第1の方向は、チャネル内を循環する外部流体の循環の方向に実質的に沿って延在する。
【0014】
チャネルの内部空間内を循環する外部流体の速度は10メートル/秒と80メートル/秒との間に含まれる。
【0015】
外部流体の小部分はチャネルの全長にわたって循環し、チャネルの長さは冷却装置の二次導管の長さの少なくとも80%に等しい。
【0016】
デビエーションは、冷却装置の二次導管より上流側に位置する。
【0017】
チャネルに供給される外部流体の小部分は、一次入口によって受け取られる外部流体の5%と15%との間に含まれる。
【0018】
冷却装置は二次入口と二次出口との間に延在する流体循環経路を画定し、冷却装置の二次導管は、冷却装置の内壁に実質的に垂直な平面内で延在する複数の分離壁を含み、分離壁は、流体が流体循環経路に沿って互いに実質的に反対の少なくとも2つの方向において循環するように位置付けられる。
【0019】
チャネルは実質的に矩形の形状の横断面を有し、横断面については、幅が50ミリメートルと100ミリメートルとの間に含まれ、高さが20ミリメートルと40ミリメートルとの間に含まれる。
【0020】
本発明は、単なる例として示される、かつ添付の図面を参照してなされる以下の説明を読むことによって、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明による電気モータの一部の第1の平面Iに沿った断面図であり、第1の平面Iは、モータの回転子の回転軸に対応する第1の方向X-X’によって、及び第1の方向X-X’に垂直な第2の方向Y-Y’によって画定される。
図2図1のモータの回転子の第2の平面IIに沿った断面図であり、第2の平面IIは第1の方向X-X’によって画定され、第1の平面Iに相対的に傾斜している。
図3図1及び図2のモータの第3の平面IIIに沿った断面図であり、第3の平面IIIは、第2の方向Y-Y’によって、並びに第1の方向X-X’及び第2の方向Y-Y’に垂直な第3の方向Z-Z’によって画定される。
図4】第4の平面IVに沿った本発明によるモータの第2の実施形態の断面図であり、第4の平面IVは第1の方向X-X’によって、及び第3の方向Z-Z’によって画定される。
図5】第3の平面IIIに類似した平面に沿った本発明によるモータの第3の実施形態の断面図であり、前記平面は第1の方句X-X’に垂直である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本説明において、「上流側」及び「下流側」という用語は、流体流れの循環の方向に関して定義される。
【0023】
図1図3において、本発明の第1の実施形態による電気モータ10が示されている。簡単にするために、モータの半分のみが示されており、他方の半分は、示された半分とX-X’軸に関して実質的に対称である。
【0024】
モータ10は、モータ10の内部容積を画定するフレーム12又はケースと、内部容積内に収容された回転子14及び固定子16とを含む。モータ10は更に、少なくとも1つの一次冷却回路18と、フレーム12に対する少なくとも1つの外部冷却装置20と、少なくとも1つの二次冷却回路22と、少なくとも1つのチャネル24とを含む。
【0025】
回転子14は、フレーム12の内側で回転シャフト26上に回転可能に固定して搭載され、固定子16に相対的に回転軸Rの周りを回転移動可能であるように搭載され、回転軸Rは第1の方向X-X’に沿って延在する。固定子16は、フレーム12の内側で回転軸Rに平行に回転子14を取り囲み、回転子と同軸である。通常、回転子14及び固定子16により、電気的エネルギーを、回転子14のシャフト26によって送達される機械的エネルギーに変換する可能性が提供される。
【0026】
特に、固定子16は外壁27を含み、外壁27は、回転軸Rから最も遠く離れた固定子16の壁として画定される。外壁27は実質的に、軸Rを有する円筒状であり、第1の方向X-X’及び第3の方向Z-Z’に沿って延在する。
【0027】
一次回路18は、フレーム12及び固定子16を冷却するように適合される。一次回路18は、一次入口28と、一次出口30と、少なくとも1つの一次導管32と、少なくとも1つのデビエーションとを含む。
【0028】
一次入口28は一次導管32に接続され、モータ10の外側から外部ガス流体FEを受け取るように適合される。外部流体FEは例えばモータ10の外側に位置する周囲空気である。一般に、一次回路18の入口における外部流体FEの温度は-50℃と+45℃との間に含まれる。
【0029】
一次出口30も一次導管32に接続され、外部流体FEをモータ10の外側に向けて逃がすように適合される。一般に、一次回路18の出口における外部流体FEの温度は-30℃と+65℃との間に含まれる。
【0030】
好ましくは、一次回路18の出口における外部流体FEの温度は、一次入口28の入口における空気に相対的に約20℃加熱されている。
【0031】
実際には、一次入口28及び一次出口30はそれぞれがモータ10の外側と流体連通状態にある。
【0032】
複数の一次導管32が存在する場合、一次入口28及び一次出口30はそれらの一次導管32のそれぞれに接続される。
【0033】
前記又は各一次導管32は、一次入口28を一次出口30に接続することが意図されるものであり、固定子16を横切り、例えば第1の方向X-X’に実質的に沿って延在する。特に、図3に見られるように、各一次導管32は固定子16の外壁27を横切る。
【0034】
一次回路18のデビエーションは、図には見られないが、フォークの形状を有し、一次入口28に接続され、一次入口28を通じて一次回路18に入る外部流体FEの一部を偏向させるように適合される。偏向は更に、偏向された外部流体FEの小部分をチャネル24に供給するように適合される。有利には、デビエーションは、一次入口28と一次出口30との間の外部流体FEの全体的な循環方向に沿って、冷却装置20より上流側に位置する。
【0035】
チャネル24に供給される外部流体FEの小部分は、一次入口28を通じて受け取られる外部流体FEの例えば5%と40%との間に、好ましくは5%と15%との間に含まれる。
【0036】
冷却装置20は、二次回路22内を循環する内部ガス流体FIを冷却するように適合される。冷却装置20はフレーム12の外側上に位置し、本体34と、二次入口36と、二次出口38と、少なくとも1つの二次導管40とを含む。
【0037】
本体34は、例えば円筒形状の、図1及び図2の平面I、平面IIに垂直な平面に沿った断面を有する。実際には、本体は、第1の方向X-X’に沿って長手方向に全て延在する3つの外壁42、44、及び46と内壁48とを含む。
【0038】
外壁42、44、及び46はモータ10の外側の方に位置し、内壁48はモータ10のフレーム12の方に位置する。実際には、内壁48は、固定子16の外壁27の少なくとも一部分に面して位置する。
【0039】
図2及び図3に見られるように、外壁42、44、及び46はそれぞれが、前記外壁42、44、及び46上に取り付けられ本体34の外側の方に向けられた外部冷却フィン50を含む。外壁42、44、及び46のそれぞれは、例えば少なくとも30個の外部フィン50を含む。
【0040】
外部フィン50は、冷却装置20内を循環する流体と前記冷却装置20を取り囲む周囲空気との間の、広い表面上にわたる熱交換を保証することが可能である。外壁42、44、及び46のそれぞれにおいて、外部フィン50は互いに平行に位置付けられ、第3の方向Z-Z’に従って横方向に延在する。特に、モータ10が、列車などの人を輸送するための車両上に設置される場合、列車の移動は周囲空気の流れを生成し、これは次に外部通気系によって利用され、それにより外部フィン50に向けた約5メートル/秒の速度を有する空気の循環が生成される。
【0041】
図3に見られるように、冷却装置20の内壁48は、前記内壁48上に取り付けられ本体34の外側の方に向けられた内部冷却フィン52を含む。実際には、設計により、内部フィン52は固定子16の外壁27に面して位置する。内壁48は、例えば少なくとも5つの内部フィン52を含む。
【0042】
内部フィン52は、冷却装置20内を循環する流体と、冷却装置20の内壁48と固定子16の外壁27との間に延在する空間内を循環する流体との間の熱交換を保証することが意図される。
【0043】
内部フィン52は互いに平行に位置付けられ、第1の方向X-X’に沿って長手方向に延在する。
【0044】
好ましくは、内部フィン52はそれぞれが、第1の方向X-X’及び第2の方向Y-Y’によって画定される平面内に含まれる。
【0045】
各内部フィン52は、例えば第1の方向X-X’に沿って測定された約20センチメートルの長さと、第2の方向Y-Y’に沿って測定された約5センチメートルの高さとを有する。
【0046】
内部フィン52は例えばアルミニウムで作られる。
【0047】
好ましくは、内部フィン52はそれらの間で、第3の方向Z-Z’に沿って約1センチメートルだけ間隔を空けられる。
【0048】
二次入口36は二次導管40に開口しており、二次回路22においてフレーム12の内側内を循環する内部流体FIを受け取るように適合される。一般に、冷却装置20の入口における内部流体FIの温度は100℃と120℃との間に含まれる。
【0049】
二次出口38は二次導管40に接続され、内部流体FIを二次回路22に向けて逃がすように適合される。一般に、冷却装置20の出口における内部流体FIの温度は80℃と100℃との間に含まれる。
【0050】
実際には、二次入口36及び二次出口38はそれぞれがモータ10の内部容積と流体連通状態にある。
【0051】
二次導管40は少なくとも部分的にフレーム12の外側上で延在し、二次入口36と二次出口38とを接続することが意図される。好ましくは、デビエーションは例えば二次導管40より上流側に位置する。
【0052】
二次回路22は特に回転子14を冷却するように適合され、少なくとも1つのトンネル54を含む。
【0053】
トンネル54は回転子14を横切り、フレーム12と回転子14及び固定子16との間で延在する径方向通路を介して冷却装置20の二次入口36及び二次出口38と流体連通状態にある。
【0054】
複数のトンネル54が存在する場合、各トンネル54が前述したように回転子14を横切り、冷却装置20と流体連通状態にある。
【0055】
前記又は各トンネル54は第1の方向X-X’に実質的に沿って延在する。
【0056】
二次回路22は一次回路18から隔離され、すなわち、二次回路22と一次回路18との間に流体連通は存在せず、二次回路22内を循環する内部流体FIは一次回路18内に入ることはできない。特に、二次回路22はモータ10の外側と連通しない。
【0057】
チャネル24は、冷却装置20内を循環する内部流体FIと前記チャネル24内を循環する外部流体FEの小部分との間の追加の熱交換を保証することによって、冷却装置20の効率を向上させるように適合される。
【0058】
チャネル24は、冷却装置20の内壁48と固定子16の外壁27との間で内部空間を画定することによって延在する。更に、チャネル24はチャネル入口56とチャネル出口58とを含む。
【0059】
チャネルの入口56は、分流された外部流体FEの小部分を受け取るためにデビエーションに接続され、チャネルの出口58は、前記チャネル24内を循環した外部流体FEを逃がすためにモータ10の外側に開口する。一般に、外部流体FEは第1の方向X-X’に沿ってチャネル内を循環する。
【0060】
設計により、冷却装置20の内壁48上に取り付けられた内部フィン52は、チャネル24によって画定される内部空間内に位置する。実際には、チャネル24の内部空間内を循環する外部流体FEの小部分は、内部フィン52と接触して見出される。
【0061】
好ましくは、外部流体FEの小部分はチャネル24の全長にわたって循環する。これはチャネル24がチャネル出口58のみを、それを通じて前記外部流体FEが逃げ得るように有することを意味する。
【0062】
好ましくは、チャネル24は、第1の方向X-X’に沿って測定された、二次導管40の長さの少なくとも80%に等しい長さを有する。これによりその場合、広い交換表面積を有する可能性が、及び従って、前記チャネル24と冷却装置20との間の熱交換レベルの増加の可能性が提供される。この表面は内部フィン52によって更に増加される。
【0063】
有利には、チャネル24は二次導管40の長さに等しい長さを有する。そのような状況では、デビエーションが二次導管40より上流側に位置する理由が理解される。特に、チャネル24内の外部流体FEの循環が単方向である場合、このように位置付けられたデビエーションを有することにより、二次導管40の始まりにできるだけ接近して位置するチャネル入口56を有する可能性が、及び従って、前記二次導管40の長さに等しいチャネル24の長さを得る可能性が提供される。
【0064】
一例として、チャネル24は約40センチメートルの長さと、実質的に矩形の形状の、第1の方向X-X’に対する横断面とを有し、横断面については、第3の方向Z-Z’に沿って測定された幅が50ミリメートルと100ミリメートルとの間に含まれ、第2の方向Y-Y’に沿って測定された高さが20ミリメートルと40ミリメートルとの間に含まれる。
【0065】
設計により、外部流体の小部分FEは、二次導管40に実質的に平行な少なくとも1つの方向においてチャネル24内を循環する。あるいは、外部流体FEの小部分は、二次導管40と反対の少なくとも1つの方向においてチャネル24内を循環する。両方の場合において、チャネル24内を循環する外部流体の小部分FEと、冷却装置20内を循環する内部流体FIとは、互いに実質的に平行な方向において循環する。
【0066】
次に、モータ10の冷却動作について図1図3を参照して説明する。
【0067】
二次回路22内を循環する内部流体FIの移動は細い矢印で示されている。図1及び図2に見られるように、内部ガス流体FIは二次回路22を満たす。その場合、内部流体FI、例えば空気は周囲空気から隔離される。回転子14の回転シャフト26は、図示されていないファンを装備し、ファンは、二次回路22及び冷却装置20の内側で内部流体FIを循環させることが可能なブレードを備える。従って、内部流体FIを回転子14から冷却装置20まで、及び冷却装置20から回転子14まで導く内部流れが生成される。この循環により、内部ガス流体FIが冷却装置20内で外側との熱交換によって冷却され、次に回転子14内を循環して回転子14を冷却する可能性が提供される。回転子14のトンネル54を通過する間に加熱された内部流体FIは、次に冷却装置20に送り返され、そこで再び熱交換によって冷却される。
【0068】
一次回路18内を循環する外部流体FEの経路は太い矢印で示され、チャネル24内を循環する外部流体FEの小部分の経路は中太の矢印で示されている。特に図1に見られるように、ファン60により、外部流体FE、例えば周囲空気が一次入口28を通じて流入することが可能になる。次に、外部流体FEは一次回路18によってデビエーションまで案内され、そこにおいて外部流体FEの一部は一次回路18内を引き続き循環し、残りはチャネル24に向けて偏向される。
【0069】
一次回路18内を引き続き循環する外部流体FEの部分は、各一次導管32を介して固定子16を通過する。その場合、各一次導管32内を循環することによって外部流体FEは固定子16を冷却する。最後に、一次出口30により、フレーム12の外側によってその場合に加熱されたこの外部流体FEを排出する可能性が提供される。実際には、フレーム12及び固定子16は、モータ10の外側からの外部流体FEによって冷却される。
【0070】
チャネル24に向けて偏向された外部流体FEの他の部分はその場合、内部空間内を、すなわち冷却装置20の内壁48と固定子16の外壁27との間を循環する。チャネル入口56における外部流体FEの温度は、一次入口28における前記外部流体FEの温度に実質的に等しい。この温度はその場合、例えば外気の温度に実質的に等しい。
【0071】
従って、冷却装置20の内壁48において熱交換が行われ、内部流体FIの温度より低い温度を有する外部流体FEが、二次導管40内を循環する内部流体FIを冷却することが可能になる。
【0072】
加えて、冷却装置20が内部フィン52を含む場合、チャネル24を横切る外部流体FEの小部分が前記内部フィン52と接触する。これによりその場合、冷却装置20の二次導管内を循環する内部流体FIと、チャネル24内を循環する外部流体FEとの間の熱交換が増加する可能性が提供される。
【0073】
一例として、チャネルの内部空間内を循環する外部流体FEの速度は10メートル/秒と80メートル/秒との間に含まれる。比較的速いこの速度は、冷却装置20の効率の向上に寄与する。
【0074】
本発明は単純であり適用が安価であるという利点を有する。実際、本発明は、チャネル24に供給するために、及び一次回路18の既存の一次入口28を使用するために、デビエーションの作成を必要とする。実際には、本発明は、いかなる新たなエネルギー源も必要としない。
【0075】
図4において、本発明によるモータ10の第2の実施形態が示されている。
【0076】
前述した実施形態とは異なり、冷却装置20は少なくとも1つの、及び好ましくは複数の分離壁62を含む。分離壁62は、冷却装置20の内壁48に実質的に垂直に延在する。
【0077】
これらの分離壁62は外壁42、44、及び46と共に、二次入口36と二次出口38との間に延在する流体循環経路を画定し、この経路は冷却装置20内を循環する内部流体FIが従う経路に一致する。
【0078】
分離壁62はそれぞれの長さを有し、内部流体FIが流体循環経路に沿って互いに実質的に反対の少なくとも2つの方向において循環するように位置付けられる。言い換えると、分離壁62は二次導管40内のバッフルを画定する。
【0079】
図4の実施形態によれば、冷却装置20は2つの分離壁62を含み、内部流体FIは二次入口36から第1の方向において循環し、第1の方向は第1の方向X-X’に平行であり、次に第1の方向と反対の第2の方向において、しかし再び第1の方向において、二次出口38につながるまで循環する。
【0080】
図4において、チャネル24内を循環する外部流体FEの循環は、点線による標準的矢印によって示されている。従って、内部流体FIは外部流体FEと同じ方句に、又は反対方向に循環する。これは、特に内部流体FIと外部流体FEとが反対方向に循環する場合に、それぞれの速度が反対であるため熱交換が増加し、従ってチャネル24内を循環する外部流体FEを用いた、冷却装置20内を循環する内部流体FIの冷却が増加するという利点を有する。従って、冷却装置20の効率が増加することが再び見出される。
【0081】
図5において、本発明によるモータ10の第3の実施形態が示されている。
【0082】
前述した第2の実施形態とは異なり、固定子16は第2の内部フィン64を含む。
【0083】
第2の内部フィン64は固定子16の外壁27上に取り付けられ、チャネル24によって画定される内部空間内に収容される。
【0084】
好ましくは、第2の内部フィン64は内部フィン52と同一であり、全て互いに平行であり、第1の方向X-X’によって及び第2の方向Y-Y’によって画定される平面内で延在する。
【0085】
実際には、第2のフィン64が取り付けられた固定子16の領域を一次導管32は横切らず、固定子16はこの位置において、チャネル24内の外部流体FEの循環による、第2のフィン64によって保証される熱交換により冷却されることが再び見出される。これにより固定子16の冷却が向上する可能性が提供される。
図1
図2
図3
図4
図5