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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】試料回収装置および試料回収方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 1/04 20060101AFI20220114BHJP
   E02D 5/34 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
E02D1/04
E02D5/34 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017253509
(22)【出願日】2017-12-28
(65)【公開番号】P2019119999
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000177416
【氏名又は名称】三和機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100061619
【氏名又は名称】田中 武文
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 和博
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-073360(JP,A)
【文献】特開2012-082617(JP,A)
【文献】特開2013-002096(JP,A)
【文献】特開2013-256839(JP,A)
【文献】特開2012-144914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 1/04
E02D 5/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に注入した注入物と土壌との混合試料を回収する回収室3を内部に有するケース2と、回収室3の採取口4を開閉する開閉部材5とを有し、ケース2の所定位置には、試料取出部25内の試料を排出する試料取出口26と、試料取出口26を閉塞する取出ピン27とにより構成する試料取出部25を設け、該試料取出部25は、取出ピン27が試料取出口26の排出方向に対して反対方向に移動すると、試料取出口26を開口させるように構成した試料回収装置。
【請求項2】
請求項1において、前記ケース2の下部には、前記回収室3を閉塞する閉塞部材43を着脱自在に設け、前記試料取出部25は、ケース2の一方側に試料取出口26を設け、試料取出口26の反対側のケース2に前記取出ピン27を挿入する取出ピン挿入口30を形成し、取出ピン挿入口30から挿入した取出ピン27の先端が試料取出口26に嵌合して閉塞する構成とし、前記取出ピン27は、前記取出ピン挿入口30内に位置する部分の外周面に、前記取出ピン挿入口30内に形成したメスネジ溝32に螺合するオスネジ溝31を形成し、メスネジ溝32にオスネジ溝31が螺合した状態で前記試料取出口26内に位置する取出ピン27の先端部分には先端に至るに従い外径を細くする排出量調節部35を形成し、前記取出ピン27のオスネジ溝31が設けてある側の端部には、取出ピン27を回すための操作用頭部34を設け、前記排出量調節部35は、先端に至るに従い軸径が細くなるように側面視において直線状の傾斜面、または、先端に至るに従い深くなるような断面V字状溝に形成した試料回収装置。
【請求項3】
請求項1において、前記ケース2の下部には、前記回収室3を閉塞する閉塞部材43を着脱自在に設けた試料回収装置。
【請求項4】
請求項1または請求項3において、前記試料取出部25は、ケース2の一方側に試料取出口26を設け、試料取出口26の反対側のケース2に前記取出ピン27を挿入する取出ピン挿入口30を形成し、取出ピン挿入口30から挿入した取出ピン27の先端が試料取出口26に嵌合して閉塞する構成とした試料回収装置。
【請求項5】
請求項4において、前記取出ピン27は、前記取出ピン挿入口30内に位置する部分の外周面に、前記取出ピン挿入口30内に形成したメスネジ溝32に螺合するオスネジ溝31を形成し、メスネジ溝32にオスネジ溝31が螺合した状態で前記試料取出口26内に位置する取出ピン27の先端部分には先端に至るに従い外径を細くする排出量調節部35を形成した試料回収装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5において、前記取出ピン27のオスネジ溝31が設けてある側の端部には、取出ピン27を回すための操作用頭部34を設けた試料回収装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6において、前記排出量調節部35は、先端に至るに従い軸径が細くなるように側面視において直線状の傾斜面、または、先端に至るに従い深くなるような断面V字状溝に形成した試料回収装置。
【請求項8】
ケース2の所定位置に設けた取出ピン挿入口30から取出ピン27の先端を挿入させ、取出ピン27を回転させて取出ピン27のオスネジ溝31を取出ピン挿入口30のメスネジ溝32に螺合させ、取出ピン27の回転により操作用頭部34が取出ピン挿入口30の入口に当接すると、取出ピン27の先端の排出量調節部35が前記取出ピン挿入口30の反対側に設けた試料取出口26内に嵌合して試料取出口26を閉塞し、この状態で試料回収装置1を地中に注入した注入物と土壌との混合試料を回収すべき深度まで下降させ、次に、ケース2の回収室3の採取口4を開口させて、回収室3内に試料を回収し、試料を回収した試料回収装置1を地盤上に上昇させ、次に、取出ピン27を反対回転させて、取出ピン27が取出ピン挿入口30から抜ける方向に移動させ、これにより、取出ピン27の排出量調節部35の一部が試料取出口26から抜けて、試料取出口26を徐々に開口させて回収室3内の試料を排出させて回収する試料回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎杭工事において、杭下端部の根固め、球根造成、杭周辺の固定等の作業における試料の採取に使用される試料回収装置および試料回収方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ケースの所定位置に試料取出口を設け、試料取出口を蓋部材で閉塞する構成は、公知である(特許文献1参照)。
また、ケースの所定位置に試料取出口を設け、試料取出口に蓋部材を螺合させて閉塞する構成は、公知である(特許文献2参照)。
また、ケースの下部に試料取出口を設け、試料取出口の外周に取出口を開口させた蓋部材を設けた構成は、公知である(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-82617号公報
【文献】特開2011-12534号公報
【文献】特開2013-02096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例のうち、特許文献1に記載の構成は、単に蓋部材で閉塞しただけであるから、蓋部材を外す構成の開示はなく、蓋を外せば、採取装置内部の圧力が高くなっている場合、内部の未固化試料が噴出し、作業者にかかるなどして、回収効率や作業性が悪い。
前記公知例のうち、特許文献2に記載の構成も、蓋部材を試料取出口に螺合させた構成のため、未固化試料が出てくる方向と蓋部材を外す方向が同じであるため、内部の未固化試料が噴出する等の特許文献1と同じ課題を有する。
前記公知例のうち、特許文献3に記載の構成は、筒状の部材の外周に試料取出口を設け、試料取出口の外周に更に筒状の閉塞部材を被せた二重構成のため、構成が複雑であり、二重筒部分に試料が滲出してメンテナンスが容易でないという課題がある。
本発明は、簡単な構成で、かつ、簡単な操作(作業)でありながら、試料を簡単に採取回収できるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、地中に注入した注入物と土壌との混合試料を回収する回収室3を内部に有するケース2と、回収室3の採取口4を開閉する開閉部材5とを有し、ケース2の所定位置には、試料取出部25内の試料を排出する試料取出口26と、試料取出口26を閉塞する取出ピン27とにより構成する試料取出部25を設け、該試料取出部25は、取出ピン27が試料取出口26の排出方向に対して反対方向に移動すると、試料取出口26を開口させるように構成した試料回収装置としたものである。
請求項2の発明は、前記ケース2の下部には、前記回収室3を閉塞する閉塞部材43を着脱自在に設け、前記試料取出部25は、ケース2の一方側に試料取出口26を設け、試料取出口26の反対側のケース2に前記取出ピン27を挿入する取出ピン挿入口30を形成し、取出ピン挿入口30から挿入した取出ピン27の先端が試料取出口26に嵌合して閉塞する構成とし、前記取出ピン27は、前記取出ピン挿入口30内に位置する部分の外周面に、前記取出ピン挿入口30内に形成したメスネジ溝32に螺合するオスネジ溝31を形成し、メスネジ溝32にオスネジ溝31が螺合した状態で前記試料取出口26内に位置する取出ピン27の先端部分には先端に至るに従い外径を細くする排出量調節部35を形成し、前記取出ピン27のオスネジ溝31が設けてある側の端部には、取出ピン27を回すための操作用頭部34を設け、前記排出量調節部35は、先端に至るに従い軸径が細くなるように側面視において直線状の傾斜面、または、先端に至るに従い深くなるような断面V字状溝に形成した試料回収装置としたものである。
請求項3の発明は、前記ケース2の下部には、前記回収室3を閉塞する閉塞部材43を着脱自在に設けた試料回収装置としたものである。
請求項4の発明は、前記試料取出部25は、ケース2の一方側に試料取出口26を設け、試料取出口26の反対側のケース2に前記取出ピン27を挿入する取出ピン挿入口30を形成し、取出ピン挿入口30から挿入した取出ピン27の先端が試料取出口26に嵌合して閉塞する構成とした試料回収装置としたものである。
請求項5の発明は、前記取出ピン27は、前記取出ピン挿入口30内に位置する部分の外周面に、前記取出ピン挿入口30内に形成したメスネジ溝32に螺合するオスネジ溝31を形成し、メスネジ溝32にオスネジ溝31が螺合した状態で前記試料取出口26内に位置する取出ピン27の先端部分には先端に至るに従い外径を細くする排出量調節部35を形成した試料回収装置としたものである。
請求項6の発明は、前記取出ピン27のオスネジ溝31が設けてある側の端部には、取出ピン27を回すための操作用頭部34を設けた試料回収装置としたものである。
請求項7の発明は、前記排出量調節部35は、先端に至るに従い軸径が細くなるように側面視において直線状の傾斜面、または、先端に至るに従い深くなるような断面V字状溝に形成した試料回収装置としたものである。
請求項8の発明は、ケース2の所定位置に設けた取出ピン挿入口30から取出ピン27の先端を挿入させ、取出ピン27を回転させて取出ピン27のオスネジ溝31を取出ピン挿入口30のメスネジ溝32に螺合させ、取出ピン27の回転により操作用頭部34が取出ピン挿入口30の入口に当接すると、取出ピン27の先端の排出量調節部35が前記取出ピン挿入口30の反対側に設けた試料取出口26内に嵌合して試料取出口26を閉塞し、この状態で試料回収装置1を地中に注入した注入物と土壌との混合試料を回収すべき深度まで下降させ、次に、ケース2の回収室3の採取口4を開口させて、回収室3内に試料を回収し、試料を回収した試料回収装置1を地盤上に上昇させ、次に、取出ピン27を反対回転させて、取出ピン27が取出ピン挿入口30から抜ける方向に移動させ、これにより、取出ピン27の排出量調節部35の一部が試料取出口26から抜けて、試料取出口26を徐々に開口させて回収室3内の試料を排出させて回収する試料回収方法としたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1および請求項2の発明では、ケース2の試料取出口26を閉塞する取出ピン27が試料取出口26の排出方向に対して反対方向に移動すると、試料取出口26を開口させるので、試料の取出し作業を行う箇所である取出ピン挿入口30と、未固化試料が出てくる箇所である試料取出口26との位置が異なるため、試料が回収室3内の圧力により噴出しても、作業者にかかることがなく試料の取出回収を行うことができる。
請求項3の発明では、閉塞部材43を外すと、回収室3内の試料を回収することができ、試料の回収に際して試料取出口26との使い分けが可能になり、試料回収作業を容易にできる。
請求項4の発明では、試料取出部25は、ケース2の一方側に試料取出口26を設け、試料取出口26の反対側のケース2に前記取出ピン27を挿入する取出ピン挿入口30を形成し、取出ピン挿入口30から挿入した取出ピン27の先端が試料取出口26に嵌合して閉塞する構成としているので、取出ピン27により取出ピン挿入口30と試料取出口26を同時に閉塞できると共に、試料の取出し作業を行う箇所である取出ピン挿入口30と、未固化試料が出てくる箇所である試料取出口26との位置を相違させる構成を簡単に実現でき、安価な試料回収装置を提供できる。
請求項5の発明では、取出ピン27は、取出ピン挿入口30内のメスネジ溝32に螺合するオスネジ溝31を形成し、取出ピン27の先端部分には先端に至るに従い外径を細くする排出量調節部35を形成しているので、取出ピン27を回転操作という簡単な操作で試料回収・取出することができ、また、排出量調節部35により徐々に試料を排出させることができ、試料の排出量調節が可能にできる。
請求項6の発明では、取出ピン27の端部に操作用頭部34を設けているので、取出ピン27の回転操作を容易に行うことができる。
請求項7の発明では、排出量調節部35は、先端に至るに従い軸径が細くなるように側面視において直線状の傾斜面、または、先端に至るに従い深くなるような断面V字状溝に形成しているので、試料の排出量調節機構(構成)を簡単に実現できる。
請求項8の発明では、試料が回収室3内の圧力により噴出しても、作業者にかかることなく試料の取出回収を行うことができ、また、徐々に試料を排出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ベースマシンおよび試料回収装置の側面図。
図2】試料回収装置の作業開始前の縦断側面図。
図3】試料回収装置の回収後の縦断側面図。
図4】取出ピンの側面図および試料取出口付近の断面図。
図5】回収状態模式図。
図6】排出量調節部の側面図。
図7】同斜視図。
図8】同他の実施形態の斜視図および断面図。
図9】同他の実施形態の平面図および断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態を図により説明すると、1は試料回収装置であり、試料回収装置1は既製杭埋め込み工法の実施において、地中に注入した根固め液の土壌との混合状態の試料(未固化液・サンプル)を採取するものである。
本発明は試料回収装置1で採取した試料の取出構成に関するものであり、試料回収装置1は試料を採取できればよく、その構成は任意であり、以下、一例を示す。
試料回収装置1は、縦長で円筒部材により形成したケース2内に試料を回収する回収室3を形成し、ケース2に形成した土壌の試料を採取する採取口4を開閉する開閉部材5を設けて構成している(図2)。
【0009】
開閉部材5は、ケース2より小径の円筒部材により形成した円筒部6の内周面に上下一対の取付体7を固定している。各取付体7の中心には縦軸芯のカバーロッド8を固定する(図2)。
開閉部材5は、円筒部6をケース2の内周面に密に当接させて上下自在となるようにケース2に取付け、採取口4の内側に円筒部6が位置する閉塞位置と、採取口4よりも下方に円筒部6を位置させて採取口4が開口する開口位置とに切り替わるように構成する。
【0010】
ケース2内には、開閉部材5を閉塞位置と開口位置とに切り替える切替操作機構10を設ける。切替操作機構10は、回収室3の上方のケース2内の下部に支持部材11を位置固定状態に設け、支持部材11とこの支持部材11の上方のケース2の天板部12との間に切替操作機構10を収容する切替操作機構収容室13を形成し、切替操作機構収容室13内には上下移動体15を上下移動可能に設け、上下移動体15には円筒部材により形成した嵌合筒部16を設け、嵌合筒部16の下部を開閉部材5のカバーロッド8の上部に取付けて構成している。
上下移動体15と支持部材11との間には、上下移動体15を常時上昇するように付勢するバネ18を設ける(図2)。
【0011】
ケース2の天板部12には外部上側筒部20の下部を接続し、外部上側筒部20には上方から前記切替操作機構10の一部を構成する試料の採取操作用のシンカー21を挿入する挿入孔22を設ける。
シンカー21はバネ18の弾力より重い重量で構成する。
切替操作機構10は、シンカー21を外部上側筒部20の挿入孔22から挿入すると、シンカー21の自重重量で上下移動体15を下降させ、開閉部材5による採取口4の閉塞を開放して採取口4を開口させ、試料を回収室3内に回収する。
次に、シンカー21をワイヤー23により牽引すると、バネ18の弾力により上下移動体15を上昇させ、これにより、開閉部材5は採取口4を閉塞し、この状態で、試料回収装置1全体を地盤から上昇させて、試料を回収する。
【0012】
ケース2の下部には、試料回収装置1で採取した試料の試料取出部25を設ける。試料取出部25は、ケース2に形成した試料取出口26を取出ピン27の出入りにより閉塞と開口とに切替える構成とし、取出ピン27が試料取出口26の試料排出方向に対して反対方向に移動すると、試料取出口26を開口させるように構成する。
ケース2の下部にはケース2の直径方向に前記試料取出口26を形成し、試料取出口26の反対側には取出ピン挿入口30を形成し、取出ピン挿入口30には取出ピン挿入口30からケース2を水平方向に貫通して試料取出口26を閉塞(蓋)する取出ピン27を設ける。
そのため、試料取出口26の開閉操作を試料取出口26の反対側で行うことが可能となり、試料の噴出により試料取出口26の開閉操作に悪影響を与えることを防止する。
【0013】
また、取出ピン27には取出ピン挿入口30側にオスネジ溝31を形成し、取出ピン挿入口30にはオスネジ溝31に係合するように取出ピン挿入口30にメスネジ溝32を設け、取出ピン27のオスネジ溝31が設けてある側の端部のピン頭部33にはピンを回すための操作用頭部34を設ける。操作用頭部34は操作用工具を使用しうるように六角ナット状の突起形状あるいは六角穴の凹部形状により構成する。
取出ピン27の試料取出口26側の端部(先端部)には排出量調節部35を設ける。
取出ピン27の排出量調節部35は、回収室3と試料取出口26とを徐々に連通させて一度に試料取出口26が開口しないようにするものである。
したがって、排出量調節部35は試料取出口26に嵌合している状態では、試料取出口26を閉塞する構成とし、一例として、図4図7のように、先端に至るに従い軸径が細くなるように側面視において直線状の傾斜面36にて形成している。
【0014】
また、図8は排出量調節部35の他の実施形態であり、終始同径の取出ピン27の先端外周面に、先端に至るに従い深くなるような断面V字形状のV字溝37に形成している。
また、図9は排出量調節部35の他の実施形態であり、取出ピン27の先端外周面に取り入れ口40を形成し、取出ピン27の先端面に排出口41を形成し、取り入れ口40と排出口41を連通孔42により断面L型状に連通させて構成している。
排出量調節部35は、取出ピン27を回す角度により試料の排出する際の試料取出口26の排出流量を調節することができる。
これにより、試料回収装置1全体を地盤から引き上げた後、取出ピン27を回すと取出ピン27が試料取出口26から徐々に抜けていき、試料取出口26から試料を回収することができる。
【0015】
すなわち、試料取出部25は、ケース2に形成した試料取出口26と、取出ピン27を挿入する取出ピン挿入口30とを相対峙させて設け、取出ピン挿入口30から挿入した取出ピン27の先端により試料取出口26を回収室3側から閉塞する構成とする。
したがって、取出ピン27は、取出ピン挿入口30に螺合すると、排出量調節部35が試料取出口26内に位置するように設定して形成する。
すなわち、取出ピン27の操作用頭部34がケース2の嵌合孔44の孔底に当接すると、取出ピン27の排出量調節部35が試料取出口26内に位置して閉塞する設定としている。
【0016】
また、ケース2の下部には、回収室3を閉塞する閉塞部材43を着脱自在に設ける。閉塞部材43を外して回収室3内の試料を回収する。
この場合、回収室3内の圧力が高い場合は、取出ピン27を回転させて試料取出口26から徐々に試料回収すると、閉塞部材43の開放に比し、試料の噴出を防止でき、試料回収作業を容易にする。
また、回収室3内の圧力が低い場合(取出ピン27を回転させて試料取出口26を開口させて圧力を低下させた等)、閉塞部材43を開放することにより、短時間で試料の回収を行えるだけでなく、回収室3内の清掃等のメンテナンス作業も容易になる。
すなわち、本発明では、試料取出口26と閉塞部材43を外した開放口(図示省略)の二カ所から、試料の回収ができ、作業条件等によって使い分けが可能になって、この点で、試料回収作業を容易にしている。
【0017】
しかして、試料回収装置1により土壌中の試料を採取する手段は任意であるが、以下、一例を示す。図1において、45は地盤上に設置したベースマシンであり、ベースマシン45のマスト46にアースオーガー47を上下動自在に取付け、アースオーガー47の掘削ロッド48の下端に掘削ヘッド(図示省略)を装着して掘削縦孔を掘削し、試料を土壌に注入して地盤改良あるいは杭の施工作業を行い、作業終了後に、アースオーガー47の掘削ロッド48を一旦引き上げ、アースオーガー47の掘削ロッド48から掘削ヘッドを外し、代わりに、試料回収装置1のケース2の天板部12を取付ける。
そして、アースオーガー47を下降させて掘削縦孔Tに試料回収装置1を挿入する。
【0018】
次に、所定深さ位置まで掘削ロッド48を挿入すると、地盤上に突き出ている掘削ロッド48の所定部分に係合部49を取付け(図3)、この係合部49の下面に支持部材50を当てがって支持し、この状態で、試料回収装置1のケース2側に接続されている掘削ロッド48とアースオーガー47側に接続されている掘削ロッド48との接続を切り離し、試料回収装置1の上方に、ウインチ51を有する台座52を設置して試料のサンプル回収作業を行う。
【0019】
(実施形態の作用)
本発明は上記構成であり、地盤所定位置に土壌改良剤等を土壌に注入して地盤改良あるいは杭を施工する。
試料回収装置1は、縦長で円筒部材により形成したケース2内に試料を回収する回収室3を形成し、ケース2に形成した土壌の試料を採取する採取口4を開閉する開閉部材5を設けて構成しているので、開閉部材5が採取口4の内側に位置する閉塞状態で、試料回収装置1を試料の採取を希望する所望深度にまで下降させる。
所望深度に試料回収装置1を下降させたら、ケース2内に設けた開閉部材5を閉塞位置と開口位置とに切り替える切替操作機構10により開閉部材5を下降させて採取口4を開口させ、回収室3内に試料を流入させる。
【0020】
次に、回収室3内に試料を流入させると、切替操作機構10により開閉部材5を上昇させ、開閉部材5の円筒部6により採取口4を閉塞する。
この状態で、アースオーガー47を上昇させて、試料回収装置1全体を地盤から上昇させて、試料を回収する。
ケース2の下部には試料回収装置1で採取した試料の試料取出部25を設け、試料取出部25はケース2に形成した試料取出口26と、試料取出口26を閉塞する取出ピン27とを有して構成しているので、試料取出口26を閉塞する取出ピン27を、試料取出口26から抜く方向に移動させると、回収室3内の試料は試料取出口26から排出されて回収できる。
【0021】
試料取出口26は、ケース2の下部を閉塞する閉塞部材43の上方であって、取出ピン27を挿入する取出ピン挿入口30の反対側のケース2に形成しているので、取出ピン27を取出ピン挿入口30から抜くと、回収室3内の試料は、操作位置と反対側の試料取出口26から排出される。
したがって、試料の取出し作業を行う箇所と、未固化試料が出てくる箇所が異なることになり、試料が採取装置内部の圧力により噴出しても、作業者にかかるのを防止でき、衛生的に試料の取出作業を行うことができる。
【0022】
すなわち、試料取出口26の反対側のケース2に取出ピン挿入口30を形成し、取出ピン挿入口30から挿入した取出ピン27の先端は試料取出口26に嵌合して閉塞しているので、取出ピン挿入口30から取出ピン27を抜くように移動させると、取出ピン27の先端は試料取出口26から回収室3内に引っ込んで、回収室3内の試料は試料取出口26から排出されて回収される。
取出ピン27は、その外周面に取出ピン挿入口30内に形成したメスネジ溝32に螺合するオスネジ溝31を形成し、取出ピン27のオスネジ溝31が設けてある側の端部(一端側)には、取出ピン27を回すための六角頭等の操作用頭部34を設けているので、操作用頭部34を操作工具(図示省略)等により回転させると、取出ピン挿入口30は取出ピン27の先端が試料取出口26から抜ける方向に移動し、回収室3内の試料は試料取出口26から排出されて回収される。
【0023】
したがって、試料取出口26の開閉操作を試料取出口26の反対側で行うことが可能となり、しかも、取出ピン27を回転させるだけの操作によって、試料取出口26から試料を排出させて回収でき、回収取出操作を容易にする。
この場合、取出ピン27の試料取出口26側の端部(他端側)には、切欠状の排出量調節部35を設けているので、取出ピン27を回転させると、取出ピン27が試料取出口26から徐々に抜けて、排出量調節部35が試料取出口26と回収室3内とを少しずつ連通させ、試料取出口26から試料を回収することができ、試料が回収室3内の圧力により噴出するのを防止でき、試料の噴出により試料取出口26の開閉操作を害することを防止する。
【0024】
また、取出ピン27には取出ピン挿入口30側にオスネジ溝31を形成し、取出ピン挿入口30にはオスネジ溝31に係合するように取出ピン挿入口30にメスネジ溝32を設け、取出ピン27のオスネジ溝31が設けてある側の端部にはピンを回すための操作用頭部34を設け、取出ピン27の試料取出口26側の端部には排出量調節部35を設ける構成としているため、取出ピン27を回す角度により試料の排出する際の流量を調節することができる。
これにより、試料回収装置1全体を地盤から引き上げた後、取出ピン27を回すと取出ピン27が試料取出口26から徐々に抜けていき、試料取出口26から試料を回収することができる。
【0025】
すなわち、試料取出部25は、ケース2に形成した試料取出口26と、取出ピン27を挿入する取出ピン挿入口30とを相対峙させて設け、取出ピン挿入口30から挿入した取出ピン27の先端により試料取出口26を回収室3側から閉塞する構成としているので、取出ピン27の操作用頭部34を操作すると、回収室3内の試料は、操作位置と反対側の試料取出口26から排出され、試料の取出し作業を行う箇所と、未固化試料が出てくる箇所が異なることになり、試料が回収室3内の圧力により噴出しても、作業者にかかるのを防止でき、衛生的に試料の取出作業を行うことができる。
【0026】
また、取出ピン27の排出量調節部35により試料の取出し流量を調節できるため、試料が大量に噴出することを抑えられ、この点でも、効率的に回収室3内の試料の取出しを行うことが出来る。
また、回収室3内の圧力による荷重が大きい可能性がある初期導通時は、取出ピン27の排出量調節部35部分以外の外周面が試料取出口26の内周面と接しているため、取出ピン27の摺動を安定して行うことができる。
また、試料取出部25の取出ピン27は、取出ピン挿入口30のメスネジ溝32にオスネジ溝31が螺合すると、排出量調節部35が試料取出口26内に位置するように設定しているので、作業開始時に、取出ピン27を取出ピン挿入口30に螺合させるだけでセッティングが完了し、試料の取出作業を容易にする。
【0027】
また、取出ピン27の排出量調節部35は、先端に至るに従い軸径が細くなるように側面視において直線状の傾斜面にて形成しているので、試料取出口26からの試料の排出量の調節機構を簡単に構成できる。
また、図9の排出量調節部35の他の実施形態では、取出ピン27の先端外周面に取り入れ口40を形成し、取出ピン27の先端面に排出口41を形成し、取り入れ口40と排出口41を連通孔42により断面L型状に連通させて構成しているので、取出ピン27を回転させると、取出ピン27の排出量調節部35の取り入れ口40と回収室3内との連通面積が徐々に大きくなって、試料を徐々に排出させられる。
【符号の説明】
【0028】
1…試料採取装置、2…ケース、3…回収室、4…採取口、5…開閉部材、6…円筒部、7…取付体、8…カバーロッド、10…切替操作機構、11…支持部材、12…天板部、13…切替操作機構収容室、15…上下移動体、16…嵌合筒部、18…バネ、20…外部上側筒部、21…シンカー、22…挿入孔、23…ワイヤー、25…試料取出部、26…試料取出口、27…取出ピン、30…取出ピン挿入口、31…オスネジ溝、32…メスネジ溝、34…操作用頭部、35…排出量調節部、40…取り入れ口、41…排出口、42…連通孔、43…閉塞部材、45…ベースマシン、46…マスト、47…アースオーガー、48…掘削ロッド。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9