(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】埋め込みコイルアッセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20220114BHJP
H01F 17/06 20060101ALI20220114BHJP
H01F 27/32 20060101ALI20220114BHJP
H01F 41/12 20060101ALI20220114BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
H01F17/00 C
H01F17/06 A
H01F17/06 Z
H01F27/32 103
H01F41/12 A
H01F41/04 B
(21)【出願番号】P 2017533236
(86)(22)【出願日】2015-12-21
(86)【国際出願番号】 US2015067228
(87)【国際公開番号】W WO2016100988
(87)【国際公開日】2016-06-23
【審査請求日】2018-12-10
(32)【優先日】2014-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】ハイイン リー
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン マイケル サットン
(72)【発明者】
【氏名】ミン リー
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-527620(JP,A)
【文献】特表2002-501678(JP,A)
【文献】特表2010-516056(JP,A)
【文献】特開2014-038884(JP,A)
【文献】再公表特許第2016/111282(JP,A1)
【文献】再公表特許第2016/076121(JP,A1)
【文献】再公表特許第2015/190229(JP,A1)
【文献】特開平10-242339(JP,A)
【文献】実開平02-106808(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00
H01F 17/06
H01F 27/02
H01F 27/32
H01F 41/12
H01F 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込みコイルアッセンブリであって、
上側表面を有する環状金属層と、
前記環状金属層の前記上側表面上の内側リングに配される第1の複数の金属ピラーと、
前記環状金属層の前記上側表面上の中間リングに配される第2の複数の金属ピラーと、
前記環状金属層の前記上側表面上の外側リングに配される第3の複数の金属ピラーと、
前記第1の複数の金属ピラーと前記第2の複数の金属ピラーとの間の前記環状金属層の前記上側表面上のフェライトリングと、
各々が前記第1の複数の金属ピラーと前記第2の複数の金属ピラーとの対応する金属ピラーを接続する、複数の導電性構造と、
前記フェライトリングと前記第1及び第2の複数の金属ピラーと前記第3の複数の金属ピラーの少なくとも一部と前記導電性構造の少なくとも一部とを覆う封止層と、
を含
み、
前記第3の複数の金属ピラーの少なくとも1つが露出された垂直に延在する表面を有する、埋め込みコイルアッセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の埋め込みコイルアッセンブリであって、
前記環状金属層が複数の離間された円周方向セグメントを含み、各セグメントが前記第1の複数の金属ピラーの少なくとも1つと前記第2の複数の金属ピラーの少なくとも1つと前記第3の複数の金属ピラーの少なくとも1つとを有する、埋め込みコイルアッセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載の埋め込みコイルアッセンブリであって、
前記複数の導電性構造が複数のボンドワイヤを含む、埋め込みコイルアッセンブリ。
【請求項4】
請求項1に記載の埋め込みコイルアッセンブリであって、
前記複数の導電性構造が前記封止層の頂部上にパターニングされる回路要素を含む、埋め込みコイルアッセンブリ。
【請求項5】
請求項4に記載の埋め込みコイルアッセンブリであって、
前記複数の導電性構造が前記パターニングされた回路要素と前記複数の金属ピラーとを接続する複数の充填されたビアを更に含む、埋め込みコイルアッセンブリ。
【請求項6】
請求項1に記載の埋め込みコイルアッセンブリであって、
前記金属ピラーが焼結された金属ピラーと置かれた金属ピラーの少なくとも1つを含む、埋め込みコイルアッセンブリ。
【請求項7】
請求項1に記載の埋め込みコイルアッセンブリであって、
前記金属ピラーがステンシル印刷された金属パウダーから形成される、埋め込みコイルアッセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載の埋め込みコイルアッセンブリであって、
前記環状金属層が、前記金属ピラーの内側リング内の位置において前記環状金属層を介する孔を有する、埋め込みコイルアッセンブリ。
【請求項9】
埋め込みコイルアッセンブリであって、
第1の表面を有する環状金属層と、
前記環状金属層の第1の表面上の内側リングに配置される第1の複数の金属ピラーと、
前記環状金属層の第1の表面上の中間リングに配置される第2の複数の金属ピラーと、
前記環状金属層の第1の表面上の外側リングに配置される第3の複数の金属ピラーと、
前記第1の複数の金属ピラーと前記第2の複数の金属ピラーとの間の前記環状金属層の第1の表面上のフェライトリングと、
複数の導電性構造であって、各々が前記第1の複数の金属ピラーと前記第2の複数の金属ピラーの対応する1つを接続する、前記複数の導電性構造と、
前記フェライトリングと前記第1及び第2の複数の金属ピラーと前記第3の複数の金属ピラーの少なくとも一部を覆う封止層と、
を含
み、
前記第3の複数の金属ピラーの各々の一部が前記封止層から露出されている、埋め込みコイルアッセンブリ。
【請求項10】
請求項
9に記載の埋め込みコイルアッセンブリであって、
前記環状金属層が間隔を開けられた円周方向セグメントを含み、各セグメントが前記第1の複数の金属ピラーの少なくとも1つと前記第2の複数の金属ピラーの少なくとも1つと前記第3の複数の金属ピラーの少なくとも1つとを有する、埋め込みコイルアッセンブリ。
【請求項11】
請求項
9に記載の埋め込みコイルアッセンブリであって、
前記複数の導電性構造が複数のボンドワイヤを含む、埋め込みコイルアッセンブリ。
【請求項12】
請求項
11に記載の埋め込みコイルアッセンブリであって、
前記複数のボンドワイヤがそれぞれ外側端部と内側端部とを含む、埋め込みコイルアッセンブリ。
【請求項13】
埋め込みコイルアッセンブリであって、
第1の表面を有する環状金属層と、
前記環状金属層の第1の表面上の内側リングに配置される第1の複数の金属ピラーと、
前記環状金属層の第1の表面上の中間リングに配置される第2の複数の金属ピラーと、
前記環状金属層の第1の表面上の外側リングに配置される第3の複数の金属ピラーと、
前記第1の複数の金属ピラーと前記第2の複数の金属ピラーとの間の前記環状金属層の第1の表面上のフェライトリングと、
複数の導電性構造であって、各々が前記第1の複数の金属ピラーと前記第2の複数の金属ピラーの対応する1つを接続する、前記複数の導電性構造と、
前記フェライトリングと前記第1及び第2の複数の金属ピラーと前記第3の複数の金属ピラーの少なくとも一部を覆う封止層と、
を含み、
前記環状金属層の一部が前記封止層から露出されて
おり、前記第3の複数の金属ピラーの各々の一部が前記封止層から露出されている、埋め込みコイルアッセンブリ。
【請求項14】
請求項
13に記載の埋め込みコイルアッセンブリであって、
前記環状金属層が複数の間隔があけられた円周方向セグメントを含み、各セグメントが前記第1の複数の金属ピラーの少なくとも1つと前記第2の複数の金属ピラーの少なくとも1つと前記第3の複数の金属ピラーの少なくとも1つとを有する、埋め込みコイルアッセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
トロイダルインダクタ及びトロイダル変圧器を含み、トロイダルコイルアッセンブリは、受動電子構成要素である。トロイダルコイルアッセンブリは、典型的に、鉄粉又はフェライトなどの高透磁性(permeability)材料の円形のリング形状の(トロイダル)磁気コアを含む。少なくとも一つの典型的なトロイダルインダクタにおいて、トロイダルコアにその全円周方向長さを通じてワイヤが巻きつけられる。概して、トロイダル変圧器では、第1のワイヤ(一次巻線)が、コアの円周の第1の半分の周りに巻き付けられ、第2のワイヤ(二次巻線)が、コアの円周の第2の半分の周りに巻き付けられる。変圧器及びインダクタコイルアッセンブリ両方において、ワイヤターン(wire turns)は、互いから電気的に絶縁される。
【背景技術】
【0002】
トロイダルコイルアッセンブリは電子用途において用いられてきている。小さなトロイダルコイルアッセンブリは、印刷回路基板に及びモールディングされたブロック構成要素に埋め込まれることもある。
【発明の概要】
【0003】
記載される例において、埋め込みコイルアッセンブリが、上側表面を有する環状金属層、環状金属層の上側表面上の内側リングに配される第1の複数の金属ピラー、環状金属層の上側表面上の中間リングに配される第2の複数の金属ピラー、及び環状金属層の上側表面上の外側リングに配される第3の複数の金属ピラーを含む。フェライトリングが、第1の複数の金属ピラーと第2の複数の金属ピラーとの間で、環状金属層の上側表面上に配置される。複数の導電性構造は各々、第1の複数の金属ピラー及び第2の複数の金属ピラーの対応するものを接続する。封止層が、フェライトリング、第1及び第2の複数の金属ピラー、第3の複数の金属ピラーの少なくとも一部、及び導電性構造の少なくとも一部を覆う。
【0004】
埋め込みコイルアッセンブリをつくる方法が、頂部表面及び底部表面を有する金属層を提供すること、及び複数の個別の円周方向セクションに分割される環状金属層を提供するように金属層をパターニング及びエッチングすることを含む。
【0005】
別の埋め込みコイルアッセンブリが、環状軸を有するフェライトリングを含む。フェライトリングは導電性金属表面上に配置される。複数の個別の離間された導電性構造が、フェライトリングの上に延在し、フェライトリングの環状軸の放射状に外方に位置する導電性表面の第1の領域において、及びフェライトリングの環状軸の放射状に内方に位置する導電性表面の第2の領域において、導電性金属表面に取り付けられる。封止層が、フェライトリング、及び導電性構造の少なくとも一部を覆う。
【0006】
埋め込みコイルアッセンブリをつくる別の方法が、導電性金属表面上に、環状軸を有するフェライトリングを置くことを含む。この方法は、複数の個別の離間された導電性構造を形成することを含み、複数の個別の離間された導電性構造は、フェライトリングの上に延在し、フェライトリングの環状軸の放射状に外方に位置する導電性表面の第1の領域において、及びフェライトリングの環状軸の放射状に内方に位置する導電性表面の第2の領域において、導電性金属表面に取り付けられる。この方法はまた、フェライトリング、及び導電性構造の少なくとも一部を封止することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】従来の埋め込みコイルアッセンブリの等角断面図である。
【0008】
【
図2】埋め込みコイルアッセンブリを製造する例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図3】埋め込みコイルアッセンブリを製造する例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図4】埋め込みコイルアッセンブリを製造する例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図5】埋め込みコイルアッセンブリを製造する例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図6】埋め込みコイルアッセンブリを製造する例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図7】埋め込みコイルアッセンブリを製造する例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図8】埋め込みコイルアッセンブリを製造する例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図9】埋め込みコイルアッセンブリを製造する例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図10】埋め込みコイルアッセンブリを製造する例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図11A】埋め込みコイルアッセンブリを製造する例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【0009】
【0010】
【
図12】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図13】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図14】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図15】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図16】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図17】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図18】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図19】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図20】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図21】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【0011】
【
図22】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更に別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図23】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更に別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図24】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更に別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図25】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更に別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図26】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更に別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図27】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更に別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図28】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更に別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図29】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更に別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図30】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更に別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【0012】
【
図31】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更に別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図32】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更に別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図33】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更に別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図34】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更に別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図35】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更に別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図36】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更に別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図37】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更に別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図38A】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更に別の例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【0013】
【0014】
【
図39】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更なる例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図40】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更なる例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図41】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更なる例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図42】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更なる例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図43】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更なる例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図44】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更なる例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図45】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更なる例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図46】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更なる例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図47】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更なる例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図48】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更なる例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【0015】
【
図49】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更なる例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図50】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更なる例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図51】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更なる例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図52】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更なる例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図53】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更なる例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図54】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更なる例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図55】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更なる例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【
図56】埋め込みコイルアッセンブリを製造する、更なる例示の方法における或る段階の側部立面断面図である。
【0016】
【
図57】埋め込みコイルアッセンブリをつくる方法の例示の実施例のブロック図である。
【0017】
【
図58】埋め込みコイルアッセンブリをつくる方法の別の例示の実施例のブロック図である。
【0018】
【
図59】埋め込みコイルアッセンブリをつくる方法の更なる例示の実施例のブロック図である。
【0019】
【
図60】埋め込みコイルアッセンブリをつくる方法の更に別の例示の実施例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本願は、米国特許出願番号US14/576,934(本願と同時に出願された対応PCT出願、TI-75080WO)に関連し、当該特許出願は、参照により本願に組み込まれる。
【文献】米国特許出願番号US14/576,934
【0021】
小さなトロイダルコイルアッセンブリは、大抵、印刷回路基板に、及び個別のモールディングされた構成要素に埋め込まれる。
図1は、従来の埋め込みコイルアッセンブリ10の等角断面図である。コイルアッセンブリ10は、頂部表面14及び底部表面16を有する、FR-4などの有機基板12に形成される。コイルアッセンブリ10は、環状の(「リング形状」/「トロイダル」)フェライトコア20を有する。コア20は、リング形状の頂部表面22、リング形状の底部表面24、内側円筒状表面26、及び外側円筒状表面28を有する。エポキシ充填された中央コラム30が円筒状外側表面32を有し、これは、フェライトコア20の内側円筒状表面26とエンゲージする。コイル巻線アッセンブリ40が、有機基板12の頂部表面14上に部分的に形成され、概して扇状のパターニングされた金属層42を含み、金属層42は各々、放射状内側端部46及び放射状外側端部48を有する、複数の、離間され、放射状に(radially)延在するセグメント44を有する。コイル巻線アッセンブリ40の別の部分を提供する、ミラーイメージコイル巻線アッセンブリ(図示せず)が、有機基板12の底部表面16上に形成される。また、コイル巻線アッセンブリ40は、複数のめっきされたビア50を含む。リード取り付け領域を除き、頂部金属層42の放射状に延在するセグメント44の各々は、その放射状内側端部46において第1のめっきされたビア52により、及びその放射状外側端部48において第2のめっきされたビア54により、基板の底部表面16上のパターニングされた金属層の対応する部分に接続される。このようなアッセンブリが小型の変圧器又はインダクタを提供するために用いられるとき、製造は、多数の小さなビアをドリリング及びめっきすることに関与する。このプロセスは、マシン時間がかかり、高価である。
【0022】
埋め込みコイルアッセンブリ(図示せず)を提供する別の従来の方法は、トロイダルフェライトコアの周りに金属巻線をハンドラップする(hand wrap)こと、及び、その後、ハンドラップされたアッセンブリを有機基板に埋め込むことである。小さなトロイダルコアのこのようなハンドラップもまた、過度に時間がかかり、労力がかかり、高価である。
【0023】
本明細書は、幾つかの埋め込みコイルアッセンブリ、及びこのような埋め込みコイルアッセンブリをつくる方法を開示する。幾つか又は全てのこれらの埋め込みコイルアッセンブリ製造方法の利点は、上述の従来の方法に比べた、アッセンブリが生成され得る速度及び効率である。これらの利点は、モールド化合物などの有機材料に入れられる有機印刷回路基板及びスタンドアロンインダクタ構成要素に関与する、新たな製造環境において半導体製造技術からの手法を用いることにより、少なくとも部分的に、達成される。
【0024】
図2~
図11Aは、埋め込みコイルアッセンブリを製造する例示の方法の種々の段階における側部立面断面図である。
図2において、環状の金属裏打ち(backing)プレート又はモールド110が、円形ベース部112を有する。金属裏打ちプレート110は、頂部表面115を備える、上向きに突出する中央コラム部114を有する。外側環状部116が、リング形状の頂部表面117を有する。環状ボイド118が、中央コラム部114と外側環状部116との間に配置される。環状ボイド118は、開いた上側端部120及び閉じた下側端部122を有する。感光性(photo-definable)フィルム層130が、中央コラム部114及び外側環状部116の円形頂部表面115及びリング形状の頂部表面117上に支持される。従来の銅クラッド感光性膜層を形成するため、感光性フィルム層130の頂部表面に銅フォイル層132が取り付けられる。
【0025】
図3に示すように、外側環状部133、ボイド118の上に配置される環状ボイド134、内側環状部135、及び中央円形孔136を提供するために、銅フォイル層132がパターニング及びエッチングされる。
【0026】
図4に図示するように、
図4のボイド118及び134が、マージされて、その底部表面122から金属層132の頂部表面138まで継続的であるように、感光性フィルム層130のボイド134の下及びボイド118の上に位置する部分が、露光されてエッチングにより取り除かれる。
図4は、このマージされたボイド118を示す。
【0027】
図5に図示するように、次にフェライトリング150が、表面122とエンゲージして環状ボイド118内部に置かれる。フェライトリング150を置いた後、外側端部156及び内側端部158を有する複数の円周方向に離間されたボンドワイヤ154が、金属層232のそれぞれ外側環状部133及び内側環状部135に取り付けられる。ボンドワイヤ154は、所定の円周方向距離離間され、フェライトリング150の上の「ワイヤケージ」を形成する。次に、第2の金属裏打ちプレート又はモールド170が、金属層132の外側環状部に対向して配置され、第2の金属裏打ちプレート又はモールド170は、小さな中央孔174と、ディスク形状の空の空間178を画定する環状の垂直に突出する壁176とを備える円形の横方向に配置される部分172を有する。このアッセンブリは、その後、
図6に示すように反転される。反転の結果、フェライトリング150は、重力によりボンドワイヤ154と接するまで下方に転置され(displaced)、ボンドワイヤ154は、更なる下方への動きを防止する。各ボンドワイヤ154の長さは、フェライトリング150の、上方に面する表面151が、金属層132の、上方に面する表面131の高さで又はその高さをわずかに下回って位置するような位置でフェライトリング150が停止するように選択される。
【0028】
次に、
図7に図示するように、空間178にモールド化合物180が注入され、フェライトリング150と、ボンドワイヤ154と、内側環状部135と、外側環状部133の一部とを覆う。
【0029】
次に、
図8に図示するように、金属裏打ちプレート/モールド110が取り除かれ、注入されたモールド化合物180の環状の垂直に突出する部分が、支持プレート130より上に延在する。
【0030】
図9に図示するように、感光性フィルム層がその後取り除かれ、モールド化合物180の頂部表面181が、フェライトリング150の頂部表面151、及び外側及び内側金属リング部分133及び135の頂部表面131、185と同一平面となるように、突出部182が平らにされ、研磨される。
【0031】
図10に図示するように、その後、アッセンブリの平坦な頂部表面上に金属層186がめっきされる。
【0032】
最終的に、
図11Aに図示するように、ボンドワイヤと共に、フェライトリング150の周りの複数の完了した巻線を提供するため、頂部金属層186、及び銅フォイル層132の外側及び内側環状部133、135がパターニングされる。上側銅層186、及びその下にある銅フォイル層132の外側及び内側環状部133、135は、
図11Bに図示するように、複数のパイ形状のセグメント190にパターニング及びエッチングされ、これらは、パイ形状のボイド192により分離される。その結果、埋め込みコイルアッセンブリ100(
図11A、11B)が提供される。
【0033】
埋め込みコイルアッセンブリ100(
図11A、11B)は、中央開口152を有する横方向に配置されるフェライトリング150を含む。上側の横方向に配置される環状金属層186が中央開口188を有し、中央開口188は、フェライトリング150における中央開口152と整合され、フェライトリング150の頂部表面151とエンゲージする。下側の横方向に配置される環状金属層132が中央開口136を有し、中央開口136は、上側金属層188における中央開口と整合され、内側環状部135から外側環状部133を分離する環状ボイド134を中に有する。フェライトリング150は環状ボイド134内に置かれる。
【0034】
図11Bは、埋め込みコイルアッセンブリ100の頂部平面図であり、上側金属層186を示し、下側金属層132及びフェライトリング150の種々の部分を小さな破線で、及びボンドワイヤ154を一層大きな破線で示す。最終的なパターニング及びエッチングプロセスの結果、上側環状金属層186及びその下の下側環状金属層132は、円周方向空間192により分離される、複数の円周方向のパイ形状のセグメント190に分割される。下側金属層132の各円周方向セグメント190が、ボイド134により放射状に分離される、外側及び内側の放射状に延在する部分133、135を有する。下側金属層132の外側及び内側部133、135は、それらに取り付けられる上側金属層186の同一形状の部分とエンゲージする。フェライトリング150は、下側金属層132の環状ボイド134に位置する。ボンドワイヤ154は、その反対の端部で、下側金属層132の離間された外側及び内側部133、135に接続され、フェライトリング150の下に延在する。モールド化合物180(
図11A)の層が、フェライトリング150、上側及び下側金属層186、132、及びボンドワイヤ154とエンゲージする。
【0035】
図12~
図21を参照して説明されるように、上述の埋め込みコイルアッセンブリ100と同一の埋め込みコイルアッセンブリ200が、代替の方法でつくられ得る。
【0036】
図12は可変モールド210の側部立面断面図である。可変モールド210は、モールド110について上述したものとほぼ同じ構造を有する。可変モールド210における対応する構造は、200番代の数字を使うことを除き、モールド110に用いられるものと同じ参照符号で示される。可変モールド210は、それが、中央開口234を備える転置可能なシールプレート220を有するという点で、モールド110とは異なる。
図12~
図15におけるオペレーションは、
図2~
図5を参照して上述したものと本質的に同様に実施される。
【0037】
図12に示すように、環状金属裏打ちプレート又はモールド210が、円形ベース部212を有する。金属裏打ちプレート210は、円形頂部表面215を備える上方に突出する中央コラム部214、及びリング形状の頂部表面217を備える上方に突出する外側環状部216を含む。中央コラム部214と外側環状部216との間に環状ボイド218が位置する。環状ボイド218は、開いた上側端部220を有する。感光性フィルム層230が、中央コラム部214及び外側環状部216の円形頂部表面215及びリング形状の頂部表面217上に支持される。銅フォイル層232の表表面が、感光性フィルム層230の表表面に取り付けられる。
【0038】
図13に示すように、銅フォイル層232は、外側環状部233、ボイド218の上に位置する環状ボイド234、内側環状部235、及び中央円形孔236を提供するように、パターニング及びエッチングされる。
【0039】
図14に図示するように、感光性フィルム層230の、ボイド234の下及びボイド218の上に位置する部分は、
図13のボイド218が細長いボイド218となるように、露光され、その後、エッチングにより取り除かれる。
図14に示すように、ボイド218は、転置可能プレート220の頂部表面222から金属層232の頂部表面238の高さまで延在する。
【0040】
図15に図示するように、フェライトリング250が、環状ボイド219内部に置かれ、表面222上にある。フェライトリング250を置いた後、外側端部256及び内側端部258を有する複数の円周方向に離間されたボンドワイヤ254が、金属層232のそれぞれ外側環状部233及び内側環状部235に取り付けられる。次に、第2の金属裏打ちプレート/モールド270が、金属層232の外側環状部233に対向して配置され、第2の金属裏打ちプレート/モールド270は、孔274を備える円形の横方向に配置される部分272と、空の空間278を画定する環状垂直に突出する壁276とを有する。このアッセンブリは、その後、
図16に示すように反転される。
【0041】
反転の結果、
図16に示すように、フェライトリング250は、ボンドワイヤ254と接するまで重力により下方に転置され、ボンドワイヤ254は、更なる下方への動きを防止する。各ボンドワイヤ254の長さは、フェライトリング250が、その上方に面する表面251が、金属層232の、上方に面する表面231と同じ高さに位置する位置で停止するように、選択される。
【0042】
次に、
図17に示すように、転置可能金属プレート220は、下方に配置される表面221が、感光性フィルム層230の上方に面する表面及びフェライトリング250の上方に面する表面251と平坦となるまで、下方に移動される。その後、
図18に示すように、転置可能プレート220及び下側モールド270により画定されるキャビティ275は、モールド化合物280で注入される。
【0043】
図19により図示されるように、モールド化合物280が硬化した後、モールド210が取り除かれ/開けられ、既に実質的に平坦である残りのモールド化合物281の頂部表面が、必要に応じて更に平らにされ、研磨され、そのため、金属層232及びフェライトリング250の上側表面231、285、及び251と同一平面となる。
【0044】
図20により図示されるように、底部モールド270はその後取り除かれ、上側金属層280が、表面231及び251とエンゲージして、アッセンブリの平坦な頂部表面上にめっきされる。この時点で、
図20に示すアッセンブリは、
図10に示すアッセンブリと同一である。次に、
図11A及び11Bを参照して上述したオペレーションが、
図20のアッセンブリに対して実施され、その結果、
図21に示す生成物200となり、これは、
図11A及び11Bに示すものと実質的に同一である。
【0045】
別の埋め込みコイルアッセンブリ300をつくる方法における種々の製造段階を
図22~
図30に図示する。
【0046】
図22は、印刷回路基板(「PCB」)プリプレグアッセンブリ310の側部立面図である。プリプレグアッセンブリ310は、下側金属層312及び上側金属層314を含み、これはいずれも、銅フォイル層であり得る。金属層312、314間に挟まれるのは、エポキシ内のグラスファブリックなど、マトリックスにおけるコンポジットファイバー材料のプリプレグ層316であり、これは、本明細書において「コンポジット層」316とも称される。
【0047】
図23に図示するように、プリプレグ310の周辺に複数の貫通孔322、324がドリリングされる。貫通孔322、324は、その後、
図24に図示するように、めっきされた貫通孔326、328を提供するためにめっきされる。
【0048】
次に、
図25により図示されるように、金属層312、314、及び316上に、回路がパターニング及びエッチングされる。このプロセスにより、外側金属リング332が形成され、これは、めっきされた貫通孔326及び328を含む。金属リング332は、コンポジット層ブリッジ336を金属リング332の中間の高さで支持する。内側金属リング334が、コンポジットブリッジ336の頂部表面において支持される。環状金属ブリッジ335が、二つの金属リング332及び334と継続的であり、二つの金属リング332及び334を接続する。例示の実施例において、金属ブリッジは、金属リング332及び334の各々の高さの半分の高さを有する。他の実施例において、環状金属ブリッジ335は、金属リング332及び334と同じ高さを有し得、又はそれは別の高さを有してもよい。
【0049】
図26で図示するように、第1の複数の円周方向に離間された金属ピラー338が外側リング332上に形成され、第2の複数の円周方向に離間されたピラー340が内側リング334上に形成される。一実施例において、これらのピラー338及び340は、従来のように生成され、その後、所定の間隔でリング332、334に従来のように取り付けられる。別の実施例において、これらのピラーは、3Dプリンタを用いてリング332及び334上に印刷され、その後、これらのピラーをリング332及び334に焼結/溶融するために高温に晒される。幾つかの実施例において、金属ピラー338、340は銀又は銅である。
【0050】
図27に示すように、フェライトリング346が環状金属ブリッジ335上に置かれ、環状金属ブリッジ335は、外側ピラー338とピラー340の内側リングとの間の環状空間におけるコンポジットブリッジ336上に支持される。
【0051】
次に、
図28に図示するように、ボンドワイヤ348がフェライトリング346の上に延在するように、第1の複数のピラー338及び第2の複数のピラー340において放射状に整合されるピラー間にボンドワイヤ348が接続される。
【0052】
図29により図示されるように、
図28のアッセンブリはその後、トランスファモールドの利用などにより、モールド化合物352のブロックがアッセンブリ全体を覆い、外側金属リング332の底部表面のみが露出されたまま残るように、モールディングされる。
【0053】
次に、
図30に図示するように、直径方向に対向するめっきされた貫通孔326、328の下に、I/Oリードブロック362、364が形成される。一実施例において、リードブロック362、364は、2ステッププロセスで形成される。まず、はんだペーストが塗られ、その後、はんだペーストは、はんだをリフローするため、及びそれを金属リング332及びめっきされた貫通孔328又は332に溶融するために加熱される。コイルアッセンブリ300が、巻線の単一のセットを備えるインダクタコイルアッセンブリである場合、二つのみの、めっきされた貫通孔328及び332が概して存在する。巻線の二つのセットを備える典型的な変圧器コイルアッセンブリでは、コアの円周方向半分に一つの、概して4つのこのようなI/Oリードブロックが存在する。I/Oリード362、364などの形成で、埋め込みコイルアッセンブリ300を完了し得る。
【0054】
別の実施例の埋め込みコイルアッセンブリ400をつくる方法を、
図31~
図38を参照して説明する。
図31に図示するように、ベースプレート410が、その上に形成される銅クレードなどの金属フォイル層412を有する。次に、
図32に図示するように、回路要素パターンが金属層412に形成され、(この実施例において)これは、その中の中央孔419と個別のアイランド部418とを備える環状のメインボディ部416を含む。他の実施例において、このような孔419が形成されず、個別のアイランド418が形成されないパターニング及びエッチングの後、金属フォイル層は対称的となる。
【0055】
メインボディ部416は、複数の個別の放射状に延在する部分に更にパターニングされ、これらは、
図11Bに示すものに類似するパイ形状の部分であり得る。アイランド部416は、単一のパイ形状の部分における単一の小さな孔419によって形成される円周方向に短い部分であり得る。アイランド部416は、コイルアッセンブリ400(
図37)とは異なり、コイルアッセンブリ400から隔離される回路(図示せず)のための一つの端子として用いられ得る。他の実施例において、この孔419は、コイルアッセンブリ400から省かれる。
【0056】
次に、
図33で図示するように、ピラー422の内側リング、ピラー424の中間リング、及びピラー426の外側リングが、一つのピラーが、各放射状端部上であり各パイ形状の部分の放射状中間に(アイランド418と整合される放射状に短くされたパイ形状の部分を除く。これは、その上に二つのピラーのみを有する一方、アイランド418自体がその上に一つのピラーを有する)、パターニングされた環状金属層412上に焼結されるか又は置かれる。
図33に図示するように、その後、フェライトリング432が、ピラー422の内側リングとピラー424の中間リングとの間の位置で、金属層412上に置かれる。
【0057】
図35により図示するように、その後、ボンドワイヤ434がフェライトリング432の上に延在するように、ボンドワイヤ434が、ピラー422の内側リングにおけるピラーとピラー424の中間リングにおけるピラーとの間にその対抗する端部において取り付けられる。
【0058】
次に、
図36により示される、モールド化合物440の層が、金属層412、ピラー422、424、426、フェライトリング432、及びボンドワイヤ434の上にモールディングされる。モールド化合物440の層は、孔417及び419も充填する。
図31~
図36の各々は、シンギュレートされていないアッセンブリの一部を図示し、これは、複数の同一のアッセンブリを含む。
【0059】
図37に示すように、複数のアッセンブリの各々は、その一つが
図36に示されているが、その後、ソーカットによりシンギュレートされ、ソーカットは、ピラー426の外側リング、及び金属層412の一部、及びそのすぐ下に配置される支持層410を通過する。これらの金属部分は、モールド化合物440ブロックの横方向側面において露出され、
図38Aの完了したコイルアッセンブリ400の一つ又は複数の巻線のための端子として用いられ得る。
【0060】
図37に示されるベース層410の除去により、
図38Aに図示するように、完了した埋め込みコイルアッセンブリ400が提供される。
【0061】
埋め込みコイルアッセンブリ400の代替実施例を
図38Bに図示する。この代替実施例は、孔419が省かれることを除き、
図38Aのものと同一である。
【0062】
図39~
図48は、コイルアッセンブリ400に類似する別の埋め込みコイルアッセンブリ500の形成における段階を図示する。
図39に示すように、金属フォイル層512がベース層510上に支持される。フォイル層512は、その中の孔517と、孔519によって形成される外側アイランド部518とを備えた環状メインボディ516を提供するため、
図32を参照して例示及び説明したものと同じ方式で、その上にパターニング及びエッチングされる回路要素を有する。
【0063】
次に、
図41に示すように、非粘着性の事前形成されたモールド520が金属フォイル層512上に置かれる。その後、
図42に示すように、内側リングに配される複数の金属ピラー532、中間リングに配される複数の金属ピラー534、及び外側リング536に配される複数の金属ピラー536を提供するために、事前形成されたモールド520において金属パウダーがボイド内にプリントされる。金属パウダーは、その後、中空でないピラーを形成するために焼結されるか又は硬化される。
【0064】
事前形成されたモールド520はその後、
図43に図示するように取り除かれ、フェライトリング540が、
図44に示すように、内側リングにおけるピラー532と中間リングにおけるピラー534との間の環状ボイドにおいて配置される。
【0065】
図45で図示するように、その後、ボンドワイヤ546が、ピラー532の内側リング及びピラー534の中間リングにおける整合されたピラーにフェライトリング542の上に取り付けられる。
【0066】
次に、
図45のアッセンブリは、それに付けられるモールド化合物550の層を有し、この層は、金属層512、内側、中間、及び外側の複数のピラー532、534、536、フェライトリング540、及びボンドワイヤ546を覆う。
【0067】
その後、ベース層510は、
図48で図示するように、完了した埋め込みコイルアッセンブリ500を提供するために取り除かれ、これは、上述のアッセンブリ400と本質的に同一であり得る。
【0068】
図33~
図37及び
図42~
図48を参照して説明した製造段階を完了するための代替プロセスを、
図49~
図56に図示する。この代替プロセスを用いてつくられる最終生成物は、
図56に示す埋め込みコイルアッセンブリ600である。
【0069】
プロセスは、
図49に図示するようなアッセンブリで始まり、このアッセンブリにおいて、支持ベース層610が、パターニングされた金属層612を支持し、金属層612は、中央開口617と、孔619により分離される小さな外側アイランド部618とを備える環状メインボディ616を有する回路を提供するようにパターニング及びエッチングされており、即ち、埋め込みコイルアッセンブリ400及び500の一部を形成する、上述したものと同じパターンである。金属ピラー622の内側リング、金属ピラー624の中間リング、及び金属ピラー626の外側リングが、
図49に示すように、金属層612の表面上に形成される。フェライトリング632が、中央リングにおける金属ピラー622と中間リングにおける金属ピラー624との間の環状空間において配置される。
【0070】
次に、
図49に示すアッセンブリは、金属層616、金属ピラー622、624、626の全て、及びフェライトリング632を覆い、孔617及び619を充填する、モールド化合物640の層を提供するために、トランスファモールドなどによりモールディングされる。
【0071】
次に、
図51により図示するように、銅クラッドラミネーション層であり得る金属層650が、モールド化合物層640の頂部表面上に形成される。
図52に示すように、その後、レーザーを用いることなどにより、マイクロビア652が形成され、マイクロビア652は、頂部金属層650、及びモールド層640の一部を介して、金属ピラー622の内側リング及び金属ピラー624の中間リングの各々の表面まで延在する。
【0072】
図53に図示するように、ビア652はその後、頂部めっき層650を介してピラーの各々から延在する継続的な垂直の金属経路654を提供するために、金属めっきされる。
【0073】
次に、
図54に示すように、中間ピラー624の外方に位置する頂部めっき層650の外側環状部655がエッチングにより取り除かれ、中央開口657がエッチングにより取り除かれ、頂部層は、
図11Bに示すパイ形状の部分に類似して、頂部から見た場合に複数のパイ形状の部分へと更にエッチングされる。その結果、複数のブリッジ構造666が形成され、各ブリッジ構造666は、層650から形成される水平の部分、及び個別のピラー622、624によって形成される二つの垂直の端部部分、及びその上に配置される充填されたビア654を含む。各ブリッジ構造666は、頂部から見た場合、概してパイ形状である。
【0074】
次に、
図55に図示するように、
図54に示すアッセンブリ及び近隣のアッセンブリがシンギュレートされる。その後、底部層610が取り除かれ、
図56における完了した埋め込みコイルアッセンブリ600が残る。このアッセンブリにおいて、金属ブリッジ666が、内側ピラーリング及び中間ピラーリングにおけるピラー622、624の各ペア間に延在する。外側ピラーリングにおけるピラー626の幾つかが、シンギュレーションカットによりモールド化合物640の横方向の側壁を介して露出される。別の実施例において(図示せず)、
図49のプロセスにおいて孔619がエッチングされなかったことを除き、同一の構造が提供され、そのため、完成したアッセンブリは対称的(孔619がないなど)であり、露出されたピラー626の任意のものが、外部リード(図示せず)のコイルアッセンブリ巻線への接続のために用いられ得る。
【0075】
種々の金属層及び充填されたビア及びボンドワイヤにおいて用い得る典型的な金属として銅が説明されてきたが、他の導電性材料(銀又は金など)が、本明細書に記載される金属構成要素を提供し得る。
【0076】
図57は、埋め込みコイルアッセンブリをつくる例示の方法を図示する。この方法は、ブロック701で示すように、第1のモールド上の金属フォイルのシートを支持することを含む。この方法はまた、ブロック702で示すように、環状ボイドにより分離される外側環状フォイル部分及び内側環状フォイル部分を提供するために、金属フォイルのシートをパターニングすることを含む。この方法は、ブロック703で示すように、金属フォイルのシート内の環状ボイドと整合される第1のモールドにおける環状チャネルにおいてフェライトリングを置くことを含む。
【0077】
図58は、埋め込みコイルアッセンブリをつくる別の方法を図示する。この方法は、ブロック711で示すように、内側非導電性層、頂部金属層、及び底部金属層を有するラミネートプレートを提供することを含む。この方法はまた、ブロック712で示すように、非導電性プレートを提供するために、ラミネートプレートをパターニング及びエッチングすることを含み、非導電性プレートは、外側周辺部分と、非導電性プレートの内側周辺部における非導電性プレートの外側周辺部分を支持する外側金属リングと、非導電性プレートの上側表面により支持される内側金属リングと、外側及び内側金属リングを接続する環状金属ブリッジ部とを有する。この方法はまた、ブロック713で示すように、第1の複数の金属ピラーの底部端部を外側金属リングの頂部表面に、及び第2の複数の金属ピラーの底部端部を内側金属リングの頂部表面に取り付けることを含む。この方法は更に、ブロック714で示すように、フェライトリングを環状ブリッジ部分の頂部表面上に置くことを含む。この方法はまた、ブロック715で示すように、複数のボンドワイヤの第1の端部を第1の複数の金属ピラーの頂部表面にボンディングすること、及び別の複数のボンディングワイヤの第2の端部を第2の複数の金属ピラーの頂部表面にボンディングすることを含む。
【0078】
図59は、埋め込みコイルアッセンブリをつくる方法を図示する。この方法は、ブロック721で示すように、頂部表面及び底部表面を有する金属層を提供すること、及びパターニングすることを含む。ブロック722で示すように、この方法は、複数の個別の円周方向セクションに分割される環状金属層を提供するように金属層をエッチングすることを含む。
【0079】
図60は、埋め込みコイルアッセンブリをつくる方法を図示し、この方法は、731で示すように、フェライトリング(これは環状軸を有する)を導電性金属表面上に置くことを含む。この方法はまた、ブロック732で示すように、複数の個別の離間された導電性構造を形成することを含み、導電性構造は、フェライトリングの上に延在し、フェライトリングの環状軸の放射状に外方に位置する導電性表面の第1の領域において、及び、フェライトリングの環状軸の放射状に内方に位置する導電性表面の第2の領域において、導電性金属表面に取り付けられる。この方法は更に、ブロック733で示すように、フェライトリング、及び導電性構造の少なくとも一部を封止することを含む。
【0080】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に変形が成され得、他の実施例が可能である。