(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】成形機洗浄用の洗浄液供給機ならびに該洗浄液供給機を用いた成形機の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
B29C 48/27 20190101AFI20220114BHJP
B29C 45/17 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
B29C48/27
B29C45/17
(21)【出願番号】P 2018013601
(22)【出願日】2018-01-30
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】591038451
【氏名又は名称】株式会社マルヤス
(74)【代理人】
【識別番号】100082429
【氏名又は名称】森 義明
(74)【代理人】
【識別番号】100162754
【氏名又は名称】市川 真樹
(72)【発明者】
【氏名】野村 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】安藤 茂昭
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-074419(JP,U)
【文献】特開平09-314602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 7/00-7/32
B29B 7/00-7/94
B29C 45/00-45/84
B29C 48/00-48/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のシリンダ、前記シリンダの内部に配設された搬送スクリュ、前記シリンダの後端に設けられ、前記搬送スクリュを回転可能に支持するモータ、前記シリンダの後端部上面に形成されている原料投入口に取り付けられているホッパおよび前記シリンダの周囲に配設された加熱ヒータを備える成形機に成形機洗浄用の洗浄液を供給するための洗浄液供給機であって、
前記ホッパに取り付けられ、その先端が前記シリンダの原料投入口の近傍に位置するよう配置される洗浄液供給管と、
前記洗浄液供給管の他端に取り付けられ、前記洗浄液供給管に洗浄液を供給する洗浄液供給タンクとを備え
、
前記洗浄液供給管の先端が、前記原料投入口の近傍で、回転中の前記搬送スクリュが上方から下方に向けて下降する側に配置されていることを特徴とする洗浄液供給機。
【請求項2】
前記洗浄液供給管は、外管と、該外管の内側に摺動可能に収容される内管とで構成されており、前記内管に洗浄液が通流されることを特徴とする請求項1に記載の洗浄液供給機。
【請求項3】
筒状のシリンダ、前記シリンダの内部に配設された搬送スクリュ、前記シリンダの後端に設けられ、前記搬送スクリュを回転可能に支持するモータ、前記シリンダの後端部上面に形成されている原料投入口に取り付けられているホッパおよび前記シリンダの周囲に配設された加熱ヒータを備える成形機の洗浄方法であって、
前記成形機には、その先端が前記原料投入口の近傍で、回転中の前記搬送スクリュが上方から下方に向けて下降する側に配置される洗浄液供給管が取り付けられており、
前記ホッパ内に原料樹脂が貯留され、且つ、前記搬送スクリュが回転している状態で前記洗浄液供給管に洗浄液を通流させることによって洗浄液を前記シリンダ内に供給することを特徴とする成形機の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出成形機や射出成形機といった各種成形機の内部を洗浄するための洗浄液供給機ならびに該洗浄液供給機を用いた成形機の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂製品を成形するための装置として押出成形機や射出成形機といった各種成形機が知られている。成形機は、一般的に筒状のシリンダ、シリンダの内部に配設された搬送スクリュおよびシリンダの後端に設けられ、搬送スクリュを回転可能に取着されたモータにより大略構成されている。シリンダの後端部上面には、原料投入口が設けられており、この原料投入口にホッパが取り付けられている。また、シリンダの前端部には、金型が取り付けられており、シリンダの周囲には、ヒータが配設されている。
【0003】
このような成形機を使用して各種樹脂成形品を成形する際には、まず、原料樹脂をホッパ内に投入する。ホッパ内に投入された原料樹脂は、原料投入口を通ってシリンダ内に入りこみ、搬送スクリュの回転によってシリンダの前方へと送られる。原料樹脂は、シリンダ内を前方へ送られている最中、ヒータからの熱を受けて徐々に加熱溶融しつつ搬送スクリュの回転によって混練され、最終的に金型へと送られて所定形状の樹脂成形品が成形される。
【0004】
上述した樹脂成形の作業中に加熱溶融した原料樹脂(以下、「溶融樹脂」という。)の一部が焼け焦げてコゲを生成或いは熱変性してゲル化し、これらコゲやゲル(以下、「コゲ等」という。)がシリンダの内壁に付着することがある。
【0005】
これらシリンダの内壁に付着したコゲ等は少しずつ成長して大きなコゲ等となり、これをそのまま放置しておくとシリンダの内壁にこびり付いて除去が困難になるという問題がある。また、溶融樹脂がシリンダ内を流動するときの摩擦でコゲ等の一部がシリンダ内壁から剥離することがあり、これが成形品中に混入して不良品を生じさせるという問題もある。
【0006】
このような問題を防止すべく、原料樹脂に少量の洗浄液を混ぜ合わせてパージ剤(洗浄液が原料樹脂の表面に付着したもの)を調整し、これを成形機内に投入することにより成形機内を定期的に洗浄(パージ洗浄)することが従来から一般的に行われていた(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】インターネット<URL:http://e-maruyasu.jp/introduction/gelclean>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
パージ洗浄は、ホッパに供給されたパージ剤がシリンダ内に送り込まれることによって開始されるが、成形機の稼働中、ホッパには大量の原料樹脂が貯留されている。
【0009】
そのため、ホッパ内に大量の原料樹脂が貯留されたままの状態でパージ剤をホッパに供給すると、パージ洗浄の開始は、このホッパ内に貯留されている大量の原料樹脂が全てシリンダ内に送り込まれた後、これに続くパージ剤がシリンダ内に送り込まれるまで待つ必要があり、時間的にも原料的にも多くのロスが生じてしまう。
【0010】
そこで、このようなロスを避けるべく、通常は、搬送スクリュの回転を止め、ホッパ内に貯留されている大量の原料樹脂を一旦抜き取る作業を行うのであるが(ホッパの下端部には、通常、原料樹脂の排出口が設けられており、この排出口からホッパ内の原料樹脂を抜き取ることができるようになっている。)、大型の成形機ともなると、ホッパ内に貯留されている原料樹脂は、たとえば300kg以上の大容量となり、その抜取作業に多くの時間と労力を要していた。
【0011】
また、パージ洗浄を行うためには、原料樹脂と洗浄液とを混ぜ合わせてパージ剤を調整する作業が必要となるが、パージ洗浄を行うたびにこの調整作業を行うのは面倒であるし、調整したパージ剤をホッパに投入するのにも多くの労力を必要とする。
【0012】
さらに、ホッパにパージ剤を投入すると、パージ剤中に含まれる洗浄液がホッパの内壁に付着することになる。そのため、パージ洗浄終了後は、ホッパの内壁に付着している洗浄液を拭き取り除去する必要があり、その清掃作業が煩わしいという問題もあった。
【0013】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、ホッパ内の原料樹脂の抜取作業、パージ剤の調整作業、ホッパへのパージ剤の供給作業さらにはパージ洗浄後のホッパの清掃作業といった成形機内部の洗浄作業(パージ洗浄)に付随する各種作業を行う必要のない成形機洗浄用の洗浄液供給機ならびに該洗浄液供給機を用いた成形機の洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載した発明は、「筒状のシリンダ12、シリンダ12の内部に配設された搬送スクリュ14、シリンダ12の後端に設けられ、搬送スクリュ14を回転可能に支持するモータ16、シリンダ12の後端部上面に形成されている原料投入口12aに取り付けられているホッパ18およびシリンダ12の周囲に配設された加熱ヒータ22を備える成形機10に成形機洗浄用の洗浄液Lを供給するための洗浄液供給機50であって、
ホッパ18に取り付けられ、その先端がシリンダ12の原料投入口12aの近傍に位置するよう配置される洗浄液供給管52と、
洗浄液供給管52の他端に接続され、洗浄液供給管52に洗浄液Lを供給する洗浄液供給タンク30とを備え、
洗浄液供給管52の先端が、原料投入口12aの近傍で、回転中の搬送スクリュ14が上方から下方に向けて下降する側に配置されている」ことを特徴とする洗浄液供給機50である。
【0016】
請求項2に記載した発明は、「洗浄液供給管52は、外管56と、該外管56の内側に摺動可能に収容される内管58とで構成された二重管構造のものであり、内管58に洗浄液Lが通流される」ことを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載した発明は、「筒状のシリンダ12、シリンダ12の内部に配設された搬送スクリュ14、シリンダ12の後端に設けられ、搬送スクリュ14を回転可能に支持するモータ16、シリンダ12の後端部上面に形成されている原料投入口12aに取り付けられているホッパ18およびシリンダ12の周囲に配設された加熱ヒータ22を備える成形機10の洗浄方法であって、
成形機10には、その先端が原料投入口12aの近傍で、回転中の前記搬送スクリュが上方から下方に向けて下降する側に配置される洗浄液供給管52が取り付けられており、
ホッパ18内に原料樹脂Pが貯留され、且つ、搬送スクリュ14が回転している状態で洗浄液供給管52に洗浄液Lを通流させることによって洗浄液Lをシリンダ12内に供給する」ことを特徴とする成形機の洗浄方法である。
【発明の効果】
【0018】
この発明では、洗浄液をシリンダの原料投入口の近傍に洗浄液供給管を介して供給できるようになっている。ここで、原料投入口近傍では、原料樹脂が搬送スクリュの回転によって引き込まれつつシリンダ内に送られる。つまり、原料投入口近傍では原料樹脂の流動が大きくなっており、ここに洗浄液を供給することにより原料樹脂と洗浄液とが効果的に攪拌・混合されてパージ剤が自動的に調整されることとなる。
【0019】
原料投入口付近で調整されたパージ剤は、搬送スクリュによってシリンダ内に引き込まれるので、調整後のパージ剤の供給作業は成形機内で自動的に行われることとなる。
【0020】
また、パージ剤の調整と供給は原料投入口付近で行われ、上述したようにそのまますぐにシリンダ内に取り込まれてパージ洗浄が開始されるので、従来のようにパージ剤がホッパを通過することはない。したがって、ホッパ内の原料樹脂の抜取作業や、パージ洗浄後のホッパの洗浄作業も不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】この発明に係る成形機洗浄用の洗浄液供給機が組み込まれた成形機を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を図示実施例に従って詳述する。
図1は、本発明に係る成形機洗浄用の洗浄液供給機50が組み込まれた成形機10の一例である。なお、以下には、成形機10として押出成形機を使用した場合を代表例として説明するが、本願発明は、押出成形機や射出成形機或いはインフレーション成形機のように原料樹脂を加熱溶融して金型で所定形状の樹脂成形品を形成するものであればどのような成形機にも適用することができる。
【0023】
成形機10は、筒状のシリンダ12、シリンダ12の内部に配設された搬送スクリュ14およびシリンダ12の後端に設けられ、搬送スクリュ14を回転可能に支持するモータ16により大略構成されており、この成形機10に洗浄液供給機50が装着される。
【0024】
シリンダ12の後端部上面には、原料投入口12aが設けられており、この原料投入口12aにホッパ18が取り付けられている。また、シリンダ12の前端部には、金型(ダイス)20が設けられており、シリンダ12の周囲には、加熱ヒータ22が配設されている。
【0025】
ホッパ18の上部に設けられているすり鉢状の受部18aには、丸孔18bが形成されており、この丸孔18bに洗浄液供給機50の洗浄液供給管52が挿通されている。
【0026】
洗浄液供給機50は、洗浄液供給管52と洗浄液貯留タンク54により大略構成されている。
【0027】
洗浄液供給管52は、洗浄液Lを成形機10内に供給するためのもので、本実施例では外管56と内管58とからなる二重管構造のものとして構成されている。
【0028】
外管56は、金属などの剛性材料からなるパイプ状のもので、本実施例では略L字状に屈曲形成されており、横方向に延びる水平部分56aがホッパ18の丸孔18bに挿通されている。また、水平部分56aの先端から下方に屈曲して縦方向に延びる垂直部分56bは、ホッパ18内にその軸方向に沿って配置されており、垂直部分56bの先端がシリンダ12の原料投入口12a近傍に配置されている。
【0029】
ここで、外管56の先端(より具体的に言えば、垂直部分56bの下端部)は、上述したように原料投入口12aの近傍に配置されているが、
図2に示すように、搬送スクリュ14の直上であって、回転中の搬送スクリュ14が上方から下方に向けて下降する側(
図2における左側)に位置するよう配置することが望ましい。
【0030】
内管58は、樹脂などの可撓性材料からなる細長いチューブ状のもので、その先端が外管56の内側に摺動可能に収容されている。また、内管58の反対側端部は、洗浄液貯留タンク54に接続されている。
【0031】
洗浄液貯留タンク54は、洗浄液Lを貯留するためのもので、洗浄液供給管52(内管58)を介して必要量の洗浄液Lを成形機10に供給できるようになっている。
【0032】
以上のように構成されている成形機10の成形作業途中でパージ洗浄を行う際には、パージ洗浄に必要な材料(原料樹脂Pと洗浄液L)の準備が整っていることを確認する。具体的には、ホッパ18に原料樹脂Pが貯留されていること、搬送スクリュ14が回転している状態であること、洗浄液貯留タンク54に洗浄液Lが貯留されていること、そして、洗浄液供給管52(内管58)に洗浄液Lを供給できる状態であることをそれぞれ確認する。
【0033】
ここで、原料樹脂Pは、例えば粒径3~5mm程度の粒状(ペレット状)の熱可塑性樹脂で、成形作業中の原料樹脂がそのまま利用される(もちろん、成形作業中の原料樹脂とは異なるものを利用してもよい。この場合、ホッパ18内に既に貯留されている原料樹脂Pは、ホッパ18から抜くことなくそのままパージ剤P’として使用することができる)。原料樹脂Pとして用いられる熱可塑性樹脂の一例としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリプロピレン、ナイロン樹脂、ポリアセタールといった結晶性樹脂、或いはポリスチレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテルといった非結晶性樹脂等が挙げられる。
【0034】
洗浄液Lは、シリンダ12の内壁に付着したコゲ等をシリンダ12の内壁から剥離させるためのもので、原料樹脂Pへの浸透性を高める界面活性剤および炭化物や汚れを分解するアルカリ剤を、溶媒としての水に添加することによって調整されている。なお、本実施例では、洗浄液Lとして、株式会社マルヤス製のプラスチック洗浄液(商品名:ゲル・クリーン+(プラス))が用いられている。
【0035】
(洗浄液Lの供給工程)
ホッパ18に原料樹脂Pが貯留され、且つ、搬送スクリュ14が回転している状態であることを確認した後、洗浄液供給機50を稼動させる(具体的には、洗浄液貯留タンク54から洗浄液供給管52(内管58)に対して洗浄液Lを圧送する。)。洗浄液貯留タンク54から圧送される洗浄液Lの量は、ホッパ18からシリンダ12内に送られる原料樹脂Pの単位時間あたりの重量に応じて適宜設定される(例えば10cc/分)。
【0036】
(パージ剤の調整工程)
洗浄液供給管52(内管58)内に送られた洗浄液Lは、そのまま内管58を通って原料投入口12a近傍に滴下される。ここで、洗浄液供給管52の先端は、搬送スクリュ14の直上であって、回転中の搬送スクリュ14が上方から下方に向けて下降する側に位置するよう設けられているが、当該部分は、搬送スクリュ14の回転により原料樹脂Pが多量に引き込まれる箇所である。つまり、原料樹脂Pの流動が大きくなっている箇所に洗浄液Lを滴下することにより、樹脂原料と洗浄液Lとの攪拌・混合が効果的に行われ、シリンダ12内でパージ剤P’が自動的に調整されることとなる。
【0037】
(パージ剤の供給工程)
以上のようにシリンダ12内で調整されたパージ剤P’は、搬送スクリュ14の回転によってシリンダ12内に引き込まれ、前方へと順次送られる。つまり、原料投入口12a付近で調整されたパージ剤P’はそのまま自動的にシリンダ12内に供給されるので、従来のように調整したパージ剤P’を成形機10内に供給する作業が不要となる。シリンダ12内に送られたパージ剤P’は、シリンダ12内を前方へと送られる過程で加熱ヒータ22からの熱を受けて温度上昇し、発泡体32となってシリンダ12内を前方へ移動する。
【0038】
(パージ洗浄工程)
パージ剤P’は、上述したように、シリンダ12内を前方へと送られる過程で加熱ヒータ22からの熱を受けて温度上昇する。ここで、パージ剤P’を構成している原料樹脂Pは、原料投入口12aからある程度進んだところ(本実施例の場合は3分の1ほど進んだところ)で軟化温度に到達して溶融する(原料投入口12aから3分の1ほど進んだところで原料樹脂Pが軟化温度に到達するよう、加熱ヒータ22の昇温条件が適宜設定されている)。ここで、「軟化温度」とは、固体状態の原料樹脂Pが軟化して変形し始める(流動体化し始める)温度のことを言い、使用する原料樹脂Pの種類によってその値は異なる。溶融状態の原料樹脂Pは、高い粘性を有する流動体であり、シリンダ12と搬送スクリュ14との間の空間は、溶融した原料樹脂Pによって隙間なく充填されることとなる。
【0039】
また、洗浄液Lは、原料樹脂Pと同様、加熱ヒータ22からの熱を受けて温度上昇し、原料樹脂Pが軟化温度に到達するよりも手前の位置で気化温度に到達してシリンダ12内で気化する。この気化した洗浄液Lは、液体状態の体積を1とした場合にその体積を1000倍近くにまで膨張させる。気化後の洗浄液Lは,搬送スクリュ14の回転によって溶融した原料樹脂P内に混ぜ込まれるとともに混練されて全体に均一に拡散され、これにより、シリンダ12内に発泡体30が形成され、シリンダ12内の汚れを掻き取りつつ、金型20から外部に排出される。
【0040】
(成形作業の再開工程)
パージ洗浄を終了する際は、洗浄液貯留タンク54からの洗浄液Lの供給を停止すればよい。これにより、成形機10内での新たなパージ剤P’の調整が行われることはなく、これ以上のパージ洗浄は行われなくなる。
【0041】
ここで、ホッパ18内の原料樹脂Pには、洗浄液Lが付着しておらず、そのまま成形用の原料として使用できるので、成形作業を速やかに再開することができる。また、洗浄液Lは洗浄液供給管52を通じて成形機10に供給されるので、ホッパ18が洗浄液Lに触れることはない。したがって、従来のように、パージ洗浄終了後においてホッパ18に付着した洗浄液Lの拭き取り除去作業を行う必要もない。このとき、外管56から内管58を引き抜くようにすれば、成形作業を再開したときの振動等によって内管58内の洗浄液Lが不所望に液垂れして成形機10内に供給されるのを防止することができる。
【0042】
なお、上述実施例では、洗浄液供給管52が外管56と内管58とによる二重管構造のものとして形成されているが、一重管構造のものであってもよい。
【0043】
また、上述実施例では、洗浄液貯留タンク54から圧送される洗浄液Lの量が、シリンダ12の回転速度等から割り出した原料樹脂Pの理論供給量を考慮して設定されるが、原料樹脂Pの種類といった条件次第では、搬送スクリュ14の回転によってシリンダ12の前方に送られる原料樹脂Pの量が理論供給値よりも多くなる(或いは少なくなる)場合がある。特に原料樹脂Pがシリンダ12の前方に送られる量が理論値よりも少ない場合に、仕様書に記載されている理論量の洗浄液Lが供給されると、洗浄液Lの供給が過多となる。すると、原料樹脂Pの表面の濡れ量が多くなり過ぎてしまい、原料樹脂Pを効果的にシリンダ12の前方へ送ることができないという現象が生じる(サージング現象)。
【0044】
そこで、このようなサージング現象が生じないよう、洗浄液貯留タンク54から圧送される洗浄液Lを、原料樹脂Pが実際に供給される実測値に合わせて供給するようにしてもよい。
【0045】
このようなサージング現象を防止する具体例として、ホッパ18からシリンダ12内に実際に送りこまれる成形樹脂Pの重量を計測する計量機(図示省略)をホッパ18に取り付け、洗浄液貯留タンク54側で成形樹脂Pの減少量をモニタリングしつつ、パージ剤P’を調整するのに最適な理論量の洗浄液Lを供給するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10:成形機、12:シリンダ、12a:原料投入口、14:搬送スクリュ、16:モータ、18:ホッパ、18a:受部、18b:丸孔、20:金型、22:加熱ヒータ、24:洗浄液供給管、26:外管、26a:水平部分、26b:垂直部分、28:内管、30:洗浄液貯留タンク、32:発泡体、L:洗浄液、P:原料樹脂、P’:パージ剤