(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】受光モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/02 20060101AFI20220128BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20220128BHJP
H01L 25/16 20060101ALI20220128BHJP
H01L 25/065 20060101ALN20220128BHJP
H01L 25/07 20060101ALN20220128BHJP
H01L 25/18 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
H01L31/02 B
G02B6/42
H01L25/16 A
H01L25/08 E
(21)【出願番号】P 2018054404
(22)【出願日】2018-03-22
【審査請求日】2020-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100186761
【氏名又は名称】上村 勇太
(72)【発明者】
【氏名】前川 享平
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-294429(JP,A)
【文献】特開2004-055848(JP,A)
【文献】特開平10-290014(JP,A)
【文献】特開2007-201213(JP,A)
【文献】特開2006-126275(JP,A)
【文献】特開平10-062655(JP,A)
【文献】特開2000-294807(JP,A)
【文献】特開2002-016267(JP,A)
【文献】国際公開第2012/073963(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0134919(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0029564(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/0392
H01L 31/08-31/119
H01L 31/18-31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステムの主面上に、第1電極及び第2電極が設けられた集積回路チップ、並びに電子部品を搭載する第1工程と、
前記第1電極及び前記電子部品をワイヤボンディングする第2工程と、
前記集積回路チップ上に、受光素子が搭載されたキャリアを接着剤を介して搭載する第3工程と、
前記第2電極、及び前記キャリア上に設けられると共に前記受光素子に接続される配線パターンをワイヤボンディングする第4工程と、
をこの順に備える受光モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記集積回路チップの長手方向に沿って前記第1電極が設けられると共に、前記集積回路チップの短手方向に沿って前記第2電極が設けられ、
平面視にて、前記キャリアと前記第2電極との間隔は、前記キャリアと前記第1電極との間隔よりも大きい、請求項1に記載の受光モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記キャリアにおいて前記第2電極に対向する側面は、傾斜面であり、
前記傾斜面と、前記キャリアにおいて前記集積回路チップに対向する面とがなす角度は、鈍角である、請求項1又は2に記載の受光モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記第2電極は、前記集積回路チップにおいて前記キャリアが搭載される面上に設けられる電極パッドと、前記電極パッド上に設けられるバンプとを有し、
前記第4工程では、前記バンプと前記配線パターンとをワイヤボンディングする、請求項1~3のいずれか一項に記載の受光モジュールの製造方法。
【請求項5】
前記第2電極は、前記集積回路チップにおいて前記キャリアが搭載される面上に設けられる電極パッドと、前記電極パッド上に設けられる中継基板とを有し、
前記第4工程では、前記中継基板の頂面に設けられると共に前記電極パッドに電気的に接続される導電部と、前記配線パターンとをワイヤボンディングする、請求項1~3のいずれか一項に記載の受光モジュールの製造方法。
【請求項6】
前記電極パッドと前記導電部とは、前記中継基板内に設けられるビア配線を介して電気的に接続される、請求項5に記載の受光モジュールの製造方法。
【請求項7】
前記電極パッドと前記導電部とは、前記中継基板の表面に設けられる中継配線を介して電気的に接続される、請求項5に記載の受光モジュールの製造方法
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光モジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光ファイバに取り付けられる同軸タイプの受光モジュールが開示されている。この受光モジュールは、パッケージと、パッケージ上面に設けられたフォトダイオードと、パッケージ上面に設けられたプリアンプICと、を備える。フォトダイオードおよびプリアンプICは、パッケージに固定された電源端子および信号出力端子と、ボンディングワイヤを介して電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光ファイバの光軸と交差するステムの主面上にフォトダイオードを搭載する同軸タイプの受光モジュールが知られている(例えば特許文献1を参照)。このような受光モジュールにおいては、ステムの主面の面積の制限により、プリアンプなどの集積回路チップ及びフォトダイオードを自在に配置できない場合がある。特に、集積回路チップの寸法が高機能化等により大きくなると、このような問題が顕著となる。このような場合、フォトダイオードの位置が入射光の中心軸から大きく外れると、受光感度が低下してしまう。逆に、フォトダイオードの位置が入射光の中心軸に近すぎると、フォトダイオードの受光面の反射による戻り光が増し、光反射減衰量(OpticalReturn Loss;ORL)が増大してしまう。
【0005】
本発明は、ステムの主面上の適切な位置にフォトダイオードを配置することができる受光モジュール及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る受光モジュールの製造方法は、ステムの主面上に、第1電極及び第2電極が設けられた集積回路チップ、並びに電子部品を搭載する第1工程と、第1電極及び電子部品をワイヤボンディングする第2工程と、集積回路チップ上に、受光素子が搭載されたキャリアを接着剤を介して搭載する第3工程と、第2電極、及びキャリア上に設けられると共に受光素子に接続される配線パターンをワイヤボンディングする第4工程と、をこの順に備える。
【0007】
別の一実施形態に係る受光モジュールは、受光素子と、第1面及び第1面とは反対側の第2面を有し、第1面に前記受光素子を搭載するキャリアと、第2面に対向する第3面及び第3面とは反対側の第4面を有し、接着剤を介して第3面に前記キャリアを搭載する集積回路チップと、主面上に集積回路チップを搭載するステムと、受光素子と集積回路チップとを電気的に接続するワイヤと、を備え、集積回路チップの第3面上には、受光素子に電気的に接続される電極が設けられ、電極は、第3面上に設けられる電極パッドと、電極パッド上に設けられ、少なくともその頂面が接着剤から露出する導電部材とを有し、ワイヤは、導電部材と、キャリアの第1面上に設けられると共に受光素子に接続される配線パターンとにボンディングされている。
【発明の効果】
【0008】
本発明による受光モジュール及びその製造方法によれば、ステムの主面上の適切な位置にフォトダイオードを配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による受光モジュールの構成を示す断面図である。
【
図2】
図2は、受光部のフォトダイオード付近の構成を拡大して示す側面図である。
【
図3】
図3は、パッケージおよびレンズを取り除いた受光部の平面図である。
【
図4】
図4は、集積回路チップの第2面の平面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る受光モジュールの製造方法を説明するための図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る受光モジュールの製造方法を説明するための図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る受光モジュールの製造方法を説明するための図である。
【
図9】
図9(a)は、
図8のIXa-IXa線に沿った断面図であり、
図9(b)は、
図8のIXb-IXb線に沿った断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る受光モジュールの製造方法を説明するための図である。
【
図12】
図12は、実施形態の第1変形例に係る受光部の要部拡大断面図である。
【
図13】
図13は、実施形態の第2変形例に係る受光部の要部拡大断面図である。
【
図14】
図14(a)は、実施形態の第3変形例に係る受光部の要部拡大断面図であり、
図14(b)は、第3変形例の導電部材を示す概略斜視図であり、
図14(c)は、第3変形例の導電部材を示す概略平面図である。
【
図15】
図15(a)は、実施形態の第4変形例に係る受光部の要部拡大断面図であり、
図15(b)は、第4変形例の導電部材を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の一実施形態は、ステムの主面上に、第1電極及び第2電極が設けられた集積回路チップ、並びに電子部品を搭載する第1工程と、第1電極及び電子部品をワイヤボンディングする第2工程と、集積回路チップ上に、受光素子が搭載されたキャリアを接着剤を介して搭載する第3工程と、第2電極、及びキャリア上に設けられると共に受光素子に接続される配線パターンをワイヤボンディングする第4工程と、をこの順に備える受光モジュールの製造方法である。
【0011】
この受光モジュールの製造方法では、集積回路チップ上に、受光素子が搭載されたキャリアを搭載する。これにより、集積回路チップの寸法が大きい場合であっても、受光素子の配置の自由度を高めることができるので、ステムの主面上の適切な位置に受光素子を配置することができる。加えて、上記製造方法では、集積回路チップ上に接着剤を介してキャリアを搭載する前に、ステム上の電子部品と、集積回路チップの第1電極とをワイヤボンディングする。これにより、キャリアと集積回路チップとの間から押し出されて流動する接着剤によって第1電極が覆われることを回避できる。したがって、電子部品と第1電極とのワイヤボンディングに不良が発生することを抑制できる。
【0012】
集積回路チップの長手方向に沿って第1電極が設けられると共に、集積回路チップの短手方向に沿って第2電極が設けられ、平面視にて、キャリアと第2電極との間隔は、キャリアと第1電極との間隔よりも大きてもよい。この場合、集積回路チップ上に接着剤を介してキャリアを搭載したとき、第1電極と比較して、当該接着剤が第2電極まで到達しにくくなる。このため、第2電極が接着剤によって覆われることを回避できる。したがって、第2電極と配線パターンとのワイヤボンディングに不良が発生することを抑制できる。
【0013】
キャリアにおいて第2電極に対向する側面は、傾斜面であり、傾斜面と、キャリアにおいて集積回路チップと対向する面とがなす角度は、鈍角であってもよい。この場合、上記側面と集積回路チップにおいて接着剤が設けられる面とがなす角度は、鋭角になる。このため、表面張力の影響によって、上記側面が垂直面であるときと比較して、接着剤が上記側面から離れにくくなる。したがって、流動する接着剤が第2電極まで到達しにくくなるので、第2電極が接着剤によって覆われることを回避できる。
【0014】
第2電極は、集積回路チップにおいてキャリアが搭載される面上に設けられる電極パッドと、電極パッド上に設けられるバンプとを有し、第4工程では、バンプと配線パターンとをワイヤボンディングしてもよい。この場合、第2電極においては、電極パッドが接着剤に覆われたとしてもバンプの頂面は接着剤に覆われにくくなっている。このため、第2電極と配線パターンとのワイヤボンディングに不良が発生することを抑制できる。
【0015】
第2電極は、集積回路チップにおいてキャリアが搭載される面上に設けられる電極パッドと、電極パッド上に設けられる中継基板とを有し、第4工程では、中継基板の頂面に設けられると共に電極パッドに電気的に接続される導電部と、配線パターンとをワイヤボンディングしてもよい。この場合、第2電極においては、電極パッドが接着剤に覆われたとしても導電部は接着剤に覆われにくくなっている。このため、第2電極と配線パターンとのワイヤボンディングに不良が発生することを抑制できる。
【0016】
電極パッドと導電部とは、中継基板内に設けられるビア配線を介して電気的に接続されてもよい。この場合、ビア配線を中継基板によって保護できるので、電極パッドと導電部との導電状態を良好に保持できる。
【0017】
電極パッドと導電部とは、中継基板の表面に設けられる中継配線を介して電気的に接続されてもよい。この場合、中継基板にビア配線が形成されるときと比較して、中継基板に中継配線を容易に形成できる。
【0018】
本発明の他の一実施形態は、受光素子と、第1面及び第1面とは反対側の第2面を有し、第1面に前記受光素子を搭載するキャリアと、第2面に対向する第3面及び第3面とは反対側の第4面を有し、接着剤を介して第3面に前記キャリアを搭載する集積回路チップと、主面上に集積回路チップを搭載するステムと、受光素子と集積回路チップとを電気的に接続するワイヤと、を備え、集積回路チップの第3面上には、受光素子に電気的に接続される電極が設けられ、電極は、第3面上に設けられる電極パッドと、電極パッド上に設けられ、少なくともその頂面が接着剤から露出する導電部材とを有し、ワイヤは、導電部材と、キャリアの第1面上に設けられると共に受光素子に接続される配線パターンとにボンディングされている、受光モジュールである。
【0019】
この受光モジュールでは、受光素子を搭載するキャリアが集積回路チップ上に搭載されている。これにより、集積回路チップの寸法が大きい場合であっても、受光素子の配置の自由度を高めることができるので、ステムの主面上の適切な位置に受光素子を配置することができる。また、集積回路チップの電極は、第3面上から露出する電極パッドと、電極パッド上に設けられ、少なくともその頂面が接着剤から露出する導電部材とを有する。加えて、ワイヤは、導電部材と、キャリアの第1面上に設けられると共に受光素子に接続される配線パターンとにボンディングされている。これにより、電極パッドが接着剤によって覆われたとしても、導電部材の頂面は接着剤から露出している。したがって、導電部材と配線パターンとのワイヤボンディングに不良が発生することを抑制できる。
【0020】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る受光モジュール及びその製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態による受光モジュール1Aの構成を示す断面図であって、入射光の光軸に沿った断面を示している。
図1に示されるように、本実施形態の受光モジュール1Aは、光ファイバに接続される光レセプタクル10と、光レセプタクル10に固定された受光部20とを備える。また、光レセプタクル10は、ファイバスタブ(スタブフェルール)12と、金属部材14と、スリーブ16と、外郭部材(シェル)18とを有する。ファイバスタブ12は、フェルール11と、光ファイバ13とを有する。
【0022】
フェルール11は、円筒形状(または円柱形状)を有する部材である。フェルール11の中心軸線は方向A1に沿って延びており、フェルール11の該中心軸線に垂直な断面は円形である。フェルール11は、方向A1において並ぶ基端面11a及び先端面11bを有する。先端面11bは、光レセプタクル10に接続される光コネクタのフェルールとフィジカルコンタクトを行う面であって、例えば球面状に研磨されている。基端面11aは、先端面11bとは反対側の面であって、この光レセプタクル10に取り付けられる受光部20と対向する。基端面11aは、フェルール11の中心軸線に垂直な面に対して僅かに(例えば8°程度)傾斜している。フェルール11は、円柱面である外周面11cを更に有する。
【0023】
フェルール11は、ファイバ保持孔11dを更に有する。ファイバ保持孔11dは、方向A1に沿って延びており、フェルール11の中心軸上に形成されている。ファイバ保持孔11dの断面は円形状であり、その内径は光ファイバ13の外径よりも僅かに大きい。ファイバ保持孔11dの一方の開口は先端面11bに含まれ、ファイバ保持孔11dの他方の開口は基端面11aに含まれる。すなわち、ファイバ保持孔11dは、フェルール11の基端面11aと先端面11bとの間を方向A1に沿って貫通している。フェルール11は、例えばジルコニア(ZrO2)製である。靱性及びヤング率が高いジルコニアによってフェルール11が構成されることにより、先端面11bにおいてフィジカルコンタクトを好適に行うことができる。
【0024】
光ファイバ13は、例えばシングルモードファイバであって、樹脂被覆が除去された裸ファイバである。光ファイバ13は、例えば石英製である。光ファイバ13は、方向A1を長手方向(光軸方向)として延びており、一端13a及び他端13bを有する。光ファイバ13は、ファイバ保持孔11dに挿入される。そして、先端面11b側のファイバ保持孔11dの開口から一端13aが露出し、基端面11a側のファイバ保持孔11dの開口から他端13bが露出する。一端13aは、光レセプタクル10に接続される光コネクタ側の光ファイバの一端と接触する。他端13bは、受光部20のフォトダイオード21(後述)と光学的に結合される。光ファイバ13の外径は、例えば125μmである。
【0025】
金属部材14は、方向A1に延びる貫通孔14aを有し、貫通孔14a内にファイバスタブ12を保持する部材である。金属部材14は、例えばステンレスといった金属材料からなる。金属部材14は方向A1に沿って延びる円筒形状を有する。金属部材14は、基端面14b及び先端面14c、並びに外周面14dを有する。基端面14b及び先端面14cは方向A1において並んでおり、貫通孔14aは基端面14bと先端面14cとの間を貫通している。方向A1に垂直な貫通孔14aの断面は円形である。基端面14bは、受光部20のパッケージ22(後述)と対向する。ファイバスタブ12は、方向A1に沿って、金属部材14の貫通孔14aに圧入されている。すなわち、フェルール11の外周面11cは、貫通孔14aの内面と接しており、これによりファイバスタブ12が金属部材14に固定されている。
【0026】
スリーブ16は、方向A1に沿って延びる円筒状の部材であり、例えばセラミック製である。一例では、スリーブ16はフェルール11と同じ材料(例えばジルコニア)からなる。スリーブ16の内径は、ファイバスタブ12の外径とほぼ等しい。スリーブ16は、方向A1において並ぶ基端16a及び先端16bを有する。また、スリーブ16は、外周面16c及び内周面16dを有する。スリーブ16の基端16a側の開口からは、ファイバスタブ12が挿入されている。言い換えれば、スリーブ16の基端16a側の一部は、フェルール11の外周面11cと金属部材14との隙間に挿入されている。従って、スリーブ16の外周面16cは金属部材14と接しており、スリーブ16の内周面16dはフェルール11の外周面11cと接している。スリーブ16の先端16b側の開口からは、光コネクタフェルールが挿入される。フェルール11の先端面11bと光コネクタフェルールの先端面とは、スリーブ16内において互いに接触する。これにより、フェルール11が保持する光ファイバ13と、光コネクタフェルールが保持する光ファイバとが、高い結合効率でもって互いに光結合される。
【0027】
外郭部材18は、金属部材14に固定されるとともに光コネクタと接続される部材である。外郭部材18は、方向A1に沿って延びる円筒状の部材であり、例えば金属製またはステンレス等の合金製である。外郭部材18は、フランジ部18aと、方向A1に沿って延びる貫通孔18dとを有する。また、外郭部材18は、方向A1において並ぶ基端面18b及び先端部18cを有する。フランジ部18aは、外郭部材18の外側に向けて突出した円盤状の部分である。フランジ部18aは、外郭部材18の基端面18b側に設けられており、本実施形態ではフランジ部18aの一方の面が基端面18bを構成する。貫通孔18dは、基端面18bと先端部18cとの間を貫通している。方向A1に垂直な貫通孔18dの断面は円形であり、その中心軸線は、ファイバスタブ12及び金属部材14の中心軸線と重なる。外郭部材18は、貫通孔18dの一部として、基端面18b側の第1の部分18eと、先端部18c側の第2の部分18fとを含む。第1の部分18eは、基端面18bから方向A1に沿って第2の部分18fまで延びている。第2の部分18fは、先端部18cから方向A1に沿って第1の部分18eまで延びている。そして、第1の部分18e及び第2の部分18fは、スリーブ16の先端16bと先端部18cとの間において相互に連結(連通)している。第1の部分18eの内径は、スリーブ16の外周面16cの外径とほぼ等しいか、僅かに大きい。第2の部分18fの内径は、スリーブ16の内周面16dの内径よりも僅かに大きい。このように、第1の部分18eの内径は第2の部分18fの内径よりも大きいので、第1の部分18eと第2の部分18fとの間には段差面18gが形成されている。段差面18gは、スリーブ16の先端16bと対向している。
【0028】
受光部20は、フォトダイオード21(受光素子)、パッケージ22、レンズ23、ステム24、キャリア25、集積回路チップ26、及び複数のリードピン27を有する。
【0029】
ステム24は、略円形の平板状の絶縁性部材であり、平坦な主面24aを有する。主面24aは、光レセプタクル10に接続される光ファイバの光軸(すなわち光ファイバ13の光軸)と交差する。一例では、主面24aは、光レセプタクル10に接続される光ファイバの光軸(光ファイバ13の光軸)に対して垂直である。ステム24は、例えばセラミックといった材料からなる。
【0030】
パッケージ22は、略円筒状の金属部材であり、その中心軸は光ファイバ13の光軸に沿っている。光ファイバ13の光軸方向におけるパッケージ22の基端側の一端22aは、円環状の部材29を介してステム24の主面24aに固定されている。具体的には、円環状の部材29は該光軸方向における一端面29aおよび他端面29bを有する。パッケージ22の基端側の一端22aは部材29の一端面29aに固着されており、ステム24の主面24aは部材29の他端面29bに固着されている。また、光ファイバ13の光軸方向におけるパッケージ22の先端側の一端22bは、円筒状の部材19を介して金属部材14に固定されている。具体的には、部材19の先端側の一端から金属部材14が挿入され、金属部材14の外周面と部材19の内周面とが互いに固着されている。また、パッケージ22の先端側の一端22bが部材19の基端側の面に固着されている。パッケージ22は、例えば鉄ニッケル合金といった材料からなる。
【0031】
複数のリードピン27は、ステム24の主面24aと交差する方向に延びる棒状の金属部材である。複数のリードピン27は、ステム24を貫通して設けられ、ステム24に固定されている。複数のリードピン27は、パッケージ22およびステム24によって画成される空間内に配置されるフォトダイオード21及び集積回路チップ26に対して電気信号および電源電力の授受を行う。
【0032】
レンズ23は、パッケージ22の内側に保持され、パッケージ22の内周面に対し樹脂23aを介して固定されている。レンズ23は、光透過部材からなる集光レンズであり、光ファイバ13の光軸上に配置されている。レンズ23は、光ファイバ13の他端13bから出射された光をフォトダイオード21付近に向けて集光する。フォトダイオード21からの戻り光を防ぐ為、レンズ23の光軸は、光ファイバ13の光軸に対して僅かにオフセットされている。
【0033】
フォトダイオード21は、レンズ23を介して光ファイバ13の他端13bと光学的に結合されており、光レセプタクル10に接続される光ファイバからの光を受けて該光の強度に応じた大きさの電流信号を出力する。フォトダイオード21は、絶縁性のキャリア25上に搭載され、キャリア25は集積回路チップ26上に配置されている。すなわち、フォトダイオード21は、キャリア25を介して集積回路チップ26上に搭載されている。集積回路チップ26は、フォトダイオード21からの電流信号を受けて、該電流信号を電圧信号に変換する半導体ICである。
【0034】
ここで、
図2は、受光部20のフォトダイオード21付近の構成を拡大して示す側面図である。
図2に示されるように、集積回路チップ26は、第3面26b及び第3面26bとは反対側の第4面26aを有する。第4面26a及び第3面26bは、光ファイバ13の光軸方向に並んでおり、該光軸方向と交差する(例えば直交する)平面に沿って延びている。集積回路チップ26は、第4面26aにおいてステム24の主面24aと対向する。キャリア25は、第1面25b及び第1面25bとは反対側の第2面25aを有する。キャリア25は、第2面25aにおいて集積回路チップ26の第3面26bと対向する。また、フォトダイオード21は、主面21a及び主面21aとは反対側の反対面21bを有し、主面21aから光を受ける。キャリア25は、第1面25bとフォトダイオード21の反対面21bとが対向するように、第1面25b上にフォトダイオード21を搭載する。
【0035】
図3は、パッケージ22およびレンズ23を取り除いた受光部20の平面図である。
図4は、集積回路チップ26の第3面26bの平面図である。
図5は、キャリア25の第1面25bの平面図である。
図3に示されるように、ステム24の主面24a上には、基準電位(グランド電位)に規定されるGNDパターン24bが設けられている。GNDパターン24bは、例えばビアホール(図示せず)を介してステム本体と接続されている。また、ステム24の周縁部には、複数のリードピン27a~27fが設けられている。
【0036】
図4に示されるように、集積回路チップ26の第3面26bは、短手方向に沿って延びる一対の辺26c,26dと、長手方向に沿って延びる一対の辺26e,26fとを有する長方形状を呈している。集積回路チップ26は、複数の電極28を第3面26b上に有する。本実施形態では、各電極28は電極パッドである。複数の電極28のうち、第3面26bの辺26c(すなわち、集積回路チップ26の短手方向)に沿って並ぶ3つの電極28a~28cは、フォトダイオード21と電気的に接続される。具体的には、2つの電極28a,28cはフォトダイオード21のカソード電極に接続され、バイアス電圧をフォトダイオード21に印加する。電極28bはフォトダイオード21のアノード電極に接続され、フォトダイオード21から出力された電流信号を受ける。
【0037】
また、第3面26bの辺26e寄りに位置する電極28dは、フォトダイオード21へのバイアス電圧を受光モジュール1Aの外部から入力する。
図3に示されるように、電極28dは、GNDパターン24b上に実装された電子部品であるキャパシタ(チップコンデンサ)41の一方の電極と、ボンディングワイヤを介して電気的に接続されている。キャパシタ41の該一方の電極は、ボンディングワイヤを介してリードピン27dと電気的に接続されている。キャパシタ41の他方の電極は、GNDパターン24bに導電性接着剤(例えばはんだ等)を介して電気的に接続されている。
【0038】
また、第3面26bの辺26fに沿って並ぶ電極28e,28fは、集積回路チップ26への電源電圧を受光モジュール1Aの外部から入力する。
図3に示されるように、電極28e,28fは、GNDパターン24b上に実装されたキャパシタ(チップコンデンサ)42の一方の電極と、ボンディングワイヤを介して電気的に接続されている。キャパシタ42の該一方の電極は、ボンディングワイヤを介してリードピン27aと電気的に接続されている。キャパシタ42の他方の電極は、GNDパターン24bに導電性接着剤を介して電気的に接続されている。
【0039】
また、第3面26bの辺26e寄りに位置する電極28gは、GNDパターン24b上に実装されたキャパシタ(チップコンデンサ)44の一方の電極と、ボンディングワイヤを介して電気的に接続されている。キャパシタ44の該一方の電極は、ボンディングワイヤを介してリードピン27bと電気的に接続されている。キャパシタ44の他方の電極は、GNDパターン24bに導電性接着剤を介して電気的に接続されている。
【0040】
また、電極28e,28fの間に位置し、電極28e,28fと共に第3面26bの辺26fに沿って並ぶ電極28hは、GNDパターン24b上に実装されたキャパシタ(チップコンデンサ)45の一方の電極と、ボンディングワイヤを介して電気的に接続されている。キャパシタ45の該一方の電極は、ボンディングワイヤを介してリードピン27cと電気的に接続されている。キャパシタ45の他方の電極は、GNDパターン24bに導電性接着剤を介して電気的に接続されている。
【0041】
また、第3面26bの辺26dに沿って並ぶ電極28i,28jは、フォトダイオード21からの電流信号に基づいて生成された電圧信号を受光モジュール1Aの外部へ出力する。
図3に示されるように、一方の電極28iは、ボンディングワイヤを介してリードピン27eと電気的に接続されている。また、他方の電極28jは、ボンディングワイヤを介して別のリードピン27fと電気的に接続されている。
【0042】
なお、複数の電極28には、集積回路チップ26の基準電位(グランド電位)を規定する複数の電極28k~28oが含まれている。これらの電極28k~28oは、ボンディングワイヤ及び導電性のGNDブロック43(
図3参照)を介してGNDパターン24bと電気的に接続される。また、他の電極28には、電流モニタ用の電極パッド、及びゲイン調整用の電極パッド等が含まれている。
【0043】
図5に示されるように、キャリア25の第1面25bは、短手方向に沿って延びる一対の辺25c,25dと、長手方向に沿って延びる一対の辺25e,25fとを有する長方形状を呈している。
図3に示されるように、キャリア25の長手方向は、集積回路チップ26の長手方向と一致する。キャリア25の第1面25bの面積は、集積回路チップ26の第3面26bの面積の半分以上である。なお、
図5に示される正方形の枠C1は、フォトダイオード21の搭載領域を示している。
【0044】
キャリア25は、フォトダイオード21と電気的に接続される配線パターン31~33を第1面25b上に有する。配線パターン31~33は、第1面25bの長手方向に沿って延びており、短手方向においてこの順に並んでいる。配線パターン31~33は、それらの延在方向の一端に、パッド31b~33bをそれぞれ含む。配線パターン32のパッド32bは、フォトダイオード21の反対面21bに設けられた一方の電極パッドに、配線パターン31及び33のパッド31b,33bは、フォトダイオード21の反対面21bに設けられた他方の電極パッドに、それぞれ導電性接着剤を介して電気的に接続される。また、配線パターン31~33は、それらの延在方向の他端に、ボンディングパッド31a~33aをそれぞれ含む。ボンディングパッド31a~33aは、第1面25bの辺25cに沿って並んでいる。ボンディングパッド31a~33aの間隔は、例えば50μmである。
図3に示されるように、ボンディングパッド31a~33aは、個別のボンディングワイヤを介して電極28a~28cにそれぞれ接続される。こうして、配線パターン31~33は、電極28bとフォトダイオード21の一方の電極とを電気的に接続し、電極28a,28cとフォトダイオード21の他方の電極とを電気的に接続する。
【0045】
キャリア25の第1面25b上には、配線パターン34が更に設けられている。配線パターン34は、配線パターン31~33と辺25dとの間に配置されている。配線パターン34は、導電性接着剤の流れ止め領域35を介して配線パターン31,33と電気的に接続されている。流れ止め領域35の一部は、フォトダイオード21と重なる。配線パターン34上には、キャパシタ(チップコンデンサ)が実装される。なお、
図5に示される正方形の枠C2は、キャパシタの搭載領域を示している。このキャパシタの一方の電極は配線パターン34と電気的に接続され、他方の電極はボンディングワイヤを介して集積回路チップ26の電極28k~28oのいずれかと電気的に接続される。
【0046】
ここで、
図5には、入射光の中心軸AXが示されている。この中心軸AXは、パッケージ22およびステム24の中心軸線に対して僅かにオフセットされている。そして、本実施形態では、電極28a~28c及びボンディングパッド31a~33aが、中心軸AXを挟んでフォトダイオード21の中心Oとは反対側に配置されている。言い換えると、中心軸AXは、電極28a~28c及びボンディングパッド31a~33aと、フォトダイオード21の中心Oとの間に位置する。したがって、フォトダイオード21の中心Oは、中心軸AXと一致しておらず、中心軸AXから外れている。第1面25bの長手方向におけるフォトダイオード21の受光面の中心Oと中心軸AXとの距離D1は、例えば200μmである。パッド31b~33bとボンディングパッド31a~33aとを結ぶ方向(すなわち第1面25bの長手方向)における配線パターン31~33の長さL1は、同方向における第1面25bの長さL2の1/4以上であり、より好適には1/2以上である。
【0047】
次に、本実施形態に係る受光モジュール1Aの製造方法の一例について説明する。以下では、
図6~
図11を参照しながら、ステム24上にフォトダイオード21を搭載する方法の一例を具体的に説明する。
図6~8,10は、本実施形態に係る受光モジュール1Aの製造方法を説明するための図である。
図9(a)は、
図8のIXa-IXa線に沿った断面図であり、
図9(b)は、
図8のIXb-IXb線に沿った断面図である。
図11は、
図10のXI-XI線に沿った断面図である。
【0048】
まず、
図6に示されるように、ステム24の主面24a上に、複数の電極28が設けられた集積回路チップ26と、キャパシタ41,42等の電子部品とを搭載する(第1工程)。第1工程では、集積回路チップ26の第4面26aがステム24の主面24aと対向するように、集積回路チップ26をステム24に搭載する。これにより、集積回路チップ26の第3面26b及び複数の電極28が露出する。なお第1工程では、ステム24の主面24a上には、集積回路チップ26を搭載した後にキャパシタ41,42等を搭載してもよいし、キャパシタ41,42等を搭載した後に集積回路チップ26を搭載してもよい。
【0049】
次に、
図7に示されるように、複数の電極28の一部と、上記電子部品とをワイヤボンディングする(第2工程)。第2工程では、複数の電極28において集積回路チップ26の長手方向に沿って並ぶ電極(第1電極)と、上記電子部品とをワイヤボンディングする。本実施形態では、電極28dとキャパシタ41とをワイヤボンディングし、電極28e,28fとキャパシタ42とをワイヤボンディングし、電極28gとキャパシタ44とをワイヤボンディングし、電極28hとキャパシタ45とをワイヤボンディングする。例えば、電極28hとキャパシタ45とは、ワイヤW1を介して電気的に接続されている。また、第2工程では、電極28iとリードピン27eとをワイヤボンディングし、電極28jとリードピン27fとをワイヤボンディングする。また、電極28k~28oと、対応するGNDブロック43とをワイヤボンディングする。加えて第2工程では、キャパシタ41とリードピン27dとをワイヤボンディングし、キャパシタ42とリードピン27aとをワイヤボンディングし、キャパシタ44とリードピン27bとをワイヤボンディングし、キャパシタ45とリードピン27cとをワイヤボンディングする。各ワイヤボンディングは、公知の方法にて実施される。
【0050】
次に、
図8に示されるように、集積回路チップ26上に、フォトダイオード21が搭載されたキャリア25を搭載する(第3工程)。第3工程では、キャリア25の第2面25aが集積回路チップ26の第3面26bと対向するように、キャリア25を集積回路チップ26に搭載する。このとき、各電極28は、キャリア25から露出している。平面視にてキャリア25と各電極28との間隔は、異なっている。例えば、電極28において後にフォトダイオード21にワイヤボンディングされる電極28a~28c(第2電極)とキャリア25との間隔は、ステム24に搭載された電子部品にワイヤボンディングされる電極28d~28h(第1電極)とキャリア25との間隔よりも大きくなっている。具体例としては、
図9(a),(b)に示されるように、キャリア25において電極28hに対向する側面25gと、電極28hとの間隔S1は、キャリア25において電極28aに対向する側面25hと、電極28aとの間隔S2よりも小さくなっている。間隔S2は、例えば間隔S1の2倍以上である。本実施形態では、間隔S1は50μm以上90μm以下であり、間隔S2は200μm以上240μm以下である。なお、側面25gは、キャリア25において辺25fを含み且つ第1面25bと異なる面であり、側面25hは、キャリア25において第1面25bの辺25cを含み且つ第1面25bと異なる面である。
【0051】
図9(a),(b)に示されるように、第3工程では、キャリア25を接着剤51を介して集積回路チップ26上に搭載している。接着剤51は、例えば紫外線硬化性樹脂等を含んでおり、その硬化前には流動性を示す。このため、例えばキャリア25の第2面25aに接着剤51を付着させた後、接着剤51を介して集積回路チップ26にキャリア25を搭載したとき、接着剤51の一部がキャリア25と集積回路チップ26との間から押し出されて流動する。本実施形態では、上述した間隔S1,S2の関係から、流動した接着剤51は、電極28hには到達しやすくなっているが、電極28aには到達しにくくなっている。このため、電極28aの表面は、電極28hよりも接着剤51によって覆われにくくなっている。
【0052】
次に、
図10に示されるように、電極28a~28cと、キャリア25上に設けられると共にフォトダイオード21に接続される配線パターン31~33をそれぞれワイヤボンディングする(第4工程)。第4工程では、例えば
図11に示されるように、電極28aと配線パターン31とにワイヤW2をボンディングする。同様に、電極28b,28cと配線パターン32,33とをそれぞれ異なるワイヤにて電気的に接続する。以上の第1工程~第4工程を順に実施することによって、ステム24上にフォトダイオード21を搭載する。続いて、ステム24にパッケージ22及びレンズ23を取り付けて受光部20を形成する。この受光部20を光レセプタクル10に固定することによって、受光モジュール1Aを製造する。
【0053】
以上に説明した、本実施形態に係る製造方法によって製造された受光モジュール1Aによれば、フォトダイオード21を搭載するキャリア25の第2面25aと、集積回路チップ26の第3面26bとは、対向している。すなわち、フォトダイオード21を搭載するキャリア25が、集積回路チップ26上に搭載されている。これにより、集積回路チップ26の寸法が大きい場合であっても、フォトダイオード21の配置の自由度を高めることができるので、フォトダイオード21を入射光の中心軸の近くに配置することができ、受光感度の低下を抑制できる。加えて、本実施形態に係る製造方法では、集積回路チップ26上に接着剤51を介してキャリア25を搭載する前に、ステム24上のキャパシタ41等の電子部品と、集積回路チップ26の電極28d~28hとをワイヤボンディングする。これにより、キャリア25と集積回路チップ26との間から押し出されて流動する接着剤51によって電極28d~28hが覆われることを回避できる。したがって、上記電子部品と電極28d~28hとのワイヤボンディングに不良が発生することを抑制できる。
【0054】
更には、本実施形態の受光モジュール1Aでは、長く延びる配線パターン31~33がキャリア25の第1面25bに設けられている。これにより、集積回路チップ26の電極28a~28cとフォトダイオード21との距離を長くすることが可能となり、電極28a~28cの位置によらずフォトダイオード21を自在に配置することができる。さらに、この受光モジュール1Aでは、電極28a~28c及びボンディングパッド31a~33aが、入射光の中心軸AXを挟んでフォトダイオード21の中心Oとは反対側に配置される。これにより、ステム24の主面24aに占める集積回路チップ26の割合が大きい場合でも、フォトダイオード21を入射光の中心軸AXから適度に離間させてORLを低減することができる。
【0055】
本実施形態では、平面視にて、キャリア25と集積回路チップ26の短手方向に沿って設けられる電極28aとの間隔S2は、キャリア25と集積回路チップ26の長手方向に沿って設けられる電極28hとの間隔S1よりも大きい。このため、集積回路チップ26上に接着剤51を介してキャリア25を搭載したとき、電極28hと比較して、接着剤51が電極28aまで到達しにくくなる。このため、電極28aが接着剤51によって覆われることを回避できる。したがって、電極28aと配線パターン31とのワイヤボンディングに不良が発生することを抑制できる。
【0056】
以下では、上記実施形態の第1~第4変形例について説明する。各変形例においては、重複した説明は省略される。
【0057】
(第1変形例)
図12は、上記実施形態の第1変形例に係る受光部の要部拡大断面図である。
図12に示されるように、キャリア25Aにおいて電極28aに対向する側面25hは、傾斜面になっている。また、側面25hと第1面25bとがなす角度θ1は鋭角になっており、側面25hと第2面25aとがなす角度θ2は鈍角になっている。このため、側面25hは、方向A1において第1面25bに近づくにつれて、外側に位置するように傾斜している。側面25hにおいて第1面25bと共有する辺25iは、平面視にて電極28aから最も離れている。辺25iと電極28aとの間隔S3は、間隔S1以上であってもよいし、間隔S1未満であってもよい。このような第1変形例では、上記実施形態のように側面25hが垂直面であるときと比較して、接着剤51の表面張力の影響によって、接着剤51が側面25hから離れにくくなる。したがって、上述したように間隔S3が設定された場合であっても、接着剤51が電極28aまで到達しにくくなる。このため、第1変形例においても、電極28aと配線パターン31とのワイヤボンディングに不良が発生することを抑制できる。
【0058】
(第2変形例)
図13は、上記実施形態の第2変形例に係る受光部の要部拡大断面図である。
図13に示されるように、電極28aは、第3面26b上に設けられる電極パッド61と、電極パッド61上に設けられる導電部材62とを有する。第2変形例における導電部材62は、方向A1に沿って電極パッド61から突出する導電性のバンプ(突起)である。導電部材62は、例えばボールボンダーを用いて形成する。導電部材62の方向A1に沿った長さ(高さ)は、例えば20μm以上50μm以下である。導電部材62は、例えば、集積回路チップ26がステム24の主面24a上に搭載される前に、電極パッド61上に設けられる。第2変形例では、少なくとも電極28b,28cが、電極28aと同様に導電部材であるバンプを有している。少なくとも導電部材62の頂面62aは、接着剤51から露出している。第2変形例では、上記第4工程にて頂面62aと配線パターン31とをワイヤボンディングする。このため、ワイヤW2は、頂面62aと配線パターン31とにボンディングされる。以上に説明した第2変形例では、例えば電極28aの電極パッド61が接着剤51に覆われたとしても、導電部材62であるバンプの頂面62aは接着剤51に覆われにくくなっている。このため第2変形例では、上記実施形態及び上記第1変形例と同様の作用効果が奏される。なお、平面視におけるキャリア25と電極28aとの最短距離は、間隔S1以上であってもよいし、間隔S1未満であってもよい。
【0059】
(第3変形例)
図14(a)は、上記実施形態の第3変形例に係る受光部の要部拡大断面図である。
図14(a)に示されるように、電極28aは、電極パッド61と、電極パッド61上に設けられる導電部材62Aとを有する。第3変形例における導電部材62Aは、中継基板であり、例えばフリップチップボンディングによって電極パッド61上に実装される。導電部材62Aは、略直方体形状を呈する基材71と、基材71内に設けられるビア配線72と、基材71の頂面71aに設けられると共にビア配線72を介して電極パッド61に電気的に接続される導電部73とを有する。ビア配線72の両端は基材71から露出しており、その一端は電極パッド61に接触しており、その他端は導電部73に接触している。導電部73は、導電部材62Aにおける端子として機能し、平面視にて略矩形状を呈する。第3変形例では、上記第4工程にて、導電部73と配線パターン31とをワイヤボンディングする。このため、ワイヤW2は、導電部73と配線パターン31とにボンディングされている。以上に説明した第3変形例においても、上記第2変形例と同様の作用効果が奏される。加えて、ビア配線72を中継基板である導電部材62Aの基材71によって保護できるので、電極パッド61と導電部73との導電状態を良好に保持できる。なお、平面視におけるキャリア25と電極28aとの最短距離は、間隔S1以上であってもよいし、間隔S1未満であってもよい。
【0060】
図14(b)は、中継基板を示す概略斜視図であり、
図14(c)は、中継基板の概略平面図である。
図14(b),(c)に示されるように、基材71には、ビア配線72及び導電部73は、それぞれ複数設けられている。第3変形例では、各ビア配線72は、電極28a~28cの電極パッド61にそれぞれ接触する。このため、電極28a~28cは、共通する導電部材62Aを備える。なお第3変形例では、基材71の方向A1に沿った長さ(高さ)は0.2mmであり、頂面71aの短辺の長さは0.3mmであり、頂面71aの長辺の長さは0.7mmであってもよい。また、平面視におけるビア配線72は円形状を呈しており、その直径は0.1mmであってもよい。平面視におけるビア配線72同士の距離は0.1mmであってもよい。平面視における導電部73は矩形形状を呈しており、その一辺は0.15mmであってもよい。
【0061】
上記第3変形例において、電極28aは、基材71を有しているので、上記実施形態及び上記第1変形例の電極28よりも高い。このため、ワイヤW2の長さを上記実施形態及び上記第1変形例よりも短くできるので、ワイヤW2による信号損失を低減できる。基材71の高さがキャリア25と同程度である場合、ワイヤW2の長さをさらに短くできる。
【0062】
(第4変形例)
図15(a)は、上記実施形態の第4変形例に係る受光部の要部拡大断面図である。
図15(b)は、第4変形例の導電部材を示す概略斜視図である。
図15(a),(b)に示されるように、電極28aは、電極パッド61と、電極パッド61上に設けられる導電部材62Bとを有する。導電部材62Bは、基材71Aと、基材71Aの表面に設けられる中継配線72Aと、基材71Aの頂面71aに設けられると共に中継配線72Aを介して電極パッド61に電気的に接続される導電部73とを有する。中継配線72Aの全体は基材71Aから露出しており、その一端は電極パッド61に接触しており、その他端は導電部73に接触している。中継配線72Aは、例えば基材71の表面をメタライズすることによって形成される。中継配線72Aの幅は、例えば0.1mmである。第4変形例では、上記第3変形例と同様に、上記第4工程にて導電部73と配線パターン31とをワイヤボンディングする。このため、導電部73と配線パターン31とはワイヤW2を介して電気的に接続されている。以上に説明した第4変形例においても、上記第2変形例及び第3変形例と同様の作用効果が奏される。加えて、第3変形例と比較すると、中継配線72Aを容易に形成できる。
【0063】
本発明による受光モジュール及びその製造方法は、上述した実施形態及び変形例に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上述した実施形態および各変形例を、必要な目的及び効果に応じて互いに組み合わせてもよい。例えば、上記実施形態と上記第1変形例を組み合わせて、側面25hを傾斜面にすると共に、辺25cと電極28aとの間隔を間隔S2に合わせてもよい。この場合、接着剤51が電極28aにさらに到達しにくくなる。上記第1変形例に対して、上記第2変形例~上記第4変形例のいずれかを組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1A…受光モジュール、10…光レセプタクル、11…フェルール、11a…基端面、11b…先端面、11c…外周面、11d…ファイバ保持孔、12…ファイバスタブ、13…光ファイバ、13a…一端、13b…他端、14…金属部材、14a…貫通孔、14b…基端面、14c…先端面、14d…外周面、16…スリーブ、16a…基端、16b…先端、16c…外周面、16d…内周面、18…外郭部材、18a…フランジ部、18b…基端面、18c…先端部、18d…貫通孔、18e…第1の部分、18f…第2の部分、18g…段差面、19…部材、20…受光部、21…フォトダイオード(受光素子)、21a…主面、21b…反対面、22…パッケージ、23…レンズ、23a…樹脂、24…ステム、24a…主面、24b…GNDパターン、25,25A…キャリア、25a…第2面、25b…第1面、25c~25f…辺、26…集積回路チップ、26a…第4面、26b…第3面、26c~26f…辺、27a~27f…リードピン、28,28a~28o…電極、29…部材、31~34…配線パターン、31a~33a…ボンディングパッド、31b~33b…パッド、35…流れ止め領域、41,42…キャパシタ、43…GNDブロック、51…接着剤、61…電極パッド、62,62A,62B…導電部材、71…基材、72…ビア配線、72A…中継配線、73…導電部、AX…入射光の中心軸。