(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】電動式排水栓装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/22 20060101AFI20220114BHJP
E03C 1/23 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
E03C1/22 C
E03C1/23 Z
(21)【出願番号】P 2018076487
(22)【出願日】2018-04-12
【審査請求日】2021-01-29
(73)【特許権者】
【識別番号】392028767
【氏名又は名称】株式会社日本アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】太田 慎一
(72)【発明者】
【氏名】石垣 征樹
(72)【発明者】
【氏名】北川 浩平
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-49467(JP,A)
【文献】特開2017-172211(JP,A)
【文献】特開平8-13577(JP,A)
【文献】特開2012-36560(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0044231(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12-1/33
A47K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽体の排水口を開閉するための上下動可能な栓蓋と、
前記槽体に取付けられ、前記排水口を流れる排水の流路を構成する筒状の配管と、
通電により動作する電動動作部を具備してなるアクチュエータを有する電動ユニットとを備え、
前記電動動作部の動作により生じた駆動力が前記栓蓋側へと伝達されることで、前記栓蓋が上下動するように構成された電動式排水栓装置であって、
自身の内部空間が前記配管内に連通しつつ前記配管の側部から延び、前記配管とは反対側に位置する端部にて開口するとともに少なくとも当該端部側の部位が斜め上方に向けて延びるように構成された斜め筒部と、
前記斜め筒部内に配置され、前記栓蓋側に対する前記駆動力の伝達部を構成する中間伝達部とを有し、
前記電動ユニットは、前記斜め筒部における前記端部に取付及び取外可能に構成されており、前記斜め筒部に対し取付けられた状態において、前記中間伝達部へと接続され前記電動動作部の動作により動作する連動伝達部と、前記斜め筒部における内部空間を前記配管内に連通する箇所を除いて密閉状態とする密閉手段とを具備することを特徴とする電動式排水栓装置。
【請求項2】
前記配管は、封水を貯留可能な封水部を有し、
前記斜め筒部に対し前記電動ユニットを取付けた状態において、前記電動ユニットの前記密閉手段が、前記封水部の封水面よりも上方に位置するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動式排水栓装置。
【請求項3】
前記中間伝達部は、非ワイヤ状をなす非伸縮性の部材によって構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動式排水栓装置。
【請求項4】
前記電動ユニットは、
前記アクチュエータを有する第一ユニット構成部と、
前記連動伝達部を有し、前記第一ユニット構成部とは別体の第二ユニット構成部と、
前記電動動作部から前記連動伝達部に対し前記駆動力を伝達する介在伝達部とを備え、
前記第二ユニット構成部が、前記斜め筒部に対し取付及び取外可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電動式排水栓装置。
【請求項5】
前記斜め筒部における前記配管側に位置する部位の内部に配置されるとともに、回動可能であり、かつ、自身の回動軸方向に沿った一端面が前記配管内を向くように構成された回動部と、
前記回動部の一端面から突出するとともに前記配管内に配置され、前記栓蓋を直接又は間接的に支持する支持部とを有し、
前記連動伝達部は、前記電動動作部の動作により回動するものであり、
前記斜め筒部に対し前記電動ユニットを取付けた状態において、前記連動伝達部及び前記回動部のそれぞれの回動軸が平行に配置されるとともに、前記中間伝達部は、その一端部が前記連動伝達部に接続される一方、その他端部が前記回動部に接続され、前記連動伝達部の回動に伴い前記回動部を回動させるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電動式排水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通電により動作するアクチュエータにより、槽体の排水口を開閉するための栓蓋を移動させる電動式排水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排水栓装置は、槽体(例えば、浴槽や洗面ボールなど)の排水口に設けられた栓蓋を備えており、栓蓋を上下動させることで排水口を開閉させるものである。
【0003】
排水栓装置としては、排水口を通過した排水の流れる配管と、往復移動や回動等により変位可能な操作部材と、操作部材の変位による駆動力を前記栓蓋側へと伝達する往復移動可能な伝達部材(例えば、ワイヤ等)とを備えたものが知られている。
【0004】
また、通電により動作するモータ等のアクチュエータにより、排水口の開閉を行う電動式の排水栓装置も提案されている(例えば、特許文献1等参照)。当該特許文献に記載の装置においては、浴槽のフランジ部に取付けられた筒状の外ケース内に、電動可能な電動動作部(出力軸)を有するアクチュエータ(モータ)と、電動動作部の動作に伴い動作する連動伝達部(駆動主軸)とを備えた電動ユニットが設けられている。外ケースは、配管から枝分かれした状態で突出する枝分かれ部に対し筒状のガイドチューブを介して接続されており、このガイドチューブ内には、連動伝達部の動作に従って移動する伝達部材が配置されている。そして、連動伝達部及び伝達部材を介して、電動動作部の動作により生じた駆動力が栓蓋側へと伝達されることで、栓蓋が上下動し、ひいては排水口の開閉状態が切換えられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電動ユニットの安定的な動作や安全性という点では、水分による悪影響をより確実に避けることが好ましい。
【0007】
仮に水分の影響によりアクチュエータや連動伝達部が汚損されてしまうと、アクチュエータや連動伝達部における正常動作に支障が生じてしまうおそれがある。具体的には、アクチュエータが汚損されてしまうと、通電不良や電動動作部の動作に要する力の増大などを招いてしまい、アクチュエータの故障や動作不良を招いてしまうおそれがある。また、連動伝達部が汚損されてしまうと、連動動作部の動作に要する力の増大が生じてしまい、連動動作部の動作不良が生じてしまうおそれがある。尚、手動操作式の排水栓装置の場合には、汚損により連動伝達部の動作に必要な力が多少増大したとしても、操作力を増大させることである程度対応できるが、アクチュエータの電動動作部によって連動伝達部を動作させる電動式の排水栓装置では、このような対応をすることができない。
【0008】
また、仮に水分がアクチュエータに付着してしまうと、漏電が発生してしまうことも考えられる。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電動ユニットに対する水分による悪影響をより確実に防止すること等が可能な電動式排水栓装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0011】
手段1.槽体の排水口を開閉するための上下動可能な栓蓋と、
前記槽体に取付けられ、前記排水口を流れる排水の流路を構成する筒状の配管と、
通電により動作する電動動作部を具備してなるアクチュエータを有する電動ユニットとを備え、
前記電動動作部の動作により生じた駆動力が前記栓蓋側へと伝達されることで、前記栓蓋が上下動するように構成された電動式排水栓装置であって、
自身の内部空間が前記配管内に連通しつつ前記配管の側部から延び、前記配管とは反対側に位置する端部にて開口するとともに少なくとも当該端部側の部位が斜め上方に向けて延びるように構成された斜め筒部と、
前記斜め筒部内に配置され、前記栓蓋側に対する前記駆動力の伝達部を構成する中間伝達部とを有し、
前記電動ユニットは、前記斜め筒部における前記端部に取付及び取外可能に構成されており、前記斜め筒部に対し取付けられた状態において、前記中間伝達部へと接続され前記電動動作部の動作により動作する連動伝達部と、前記斜め筒部における内部空間を前記配管内に連通する箇所を除いて密閉状態とする密閉手段とを具備することを特徴とする電動式排水栓装置。
【0012】
上記手段1によれば、電動ユニットを斜め筒部に取付けた状態において、斜め筒部の内部空間は配管内に連通する箇所を除いて密閉状態とされる。従って、仮に配管内の水位が上がり斜め筒部内に水が入る状態になったとしても、斜め筒部の内部空間に残った空気によって、斜め筒部の端部、すなわち、電動ユニットの被取付部へと水が至ってしまうことを効果的に抑制できる。これにより、汚損など、電動ユニットに対する水分による悪影響が生じてしまうことをより確実に防止できる。その結果、装置の動作安定性や安全性の向上を図ることができる。
【0013】
尚、電動ユニットは、連動伝達部及びアクチュエータを一体的に備えたユニットであってもよいし、後述する手段4のように、連動伝達部を有する構成部とアクチュエータを有する構成部とが別体となったユニットであってもよい。ここで、上記手段1によれば、水分による悪影響をより確実に防止できることから、前者のような連動伝達部及びアクチュエータを一体的に備えた電動ユニットの全体を配管に対しより接近させるといった構成を容易に実現することが可能となる。このように構成した場合には、装置の設置に係るスペースの縮小や駆動力のロスの抑制を図ることができる。
【0014】
さらに、上記手段1によれば、電動ユニットは密閉手段を具備しており、斜め筒部に対し単に電動ユニットを取付けることだけで、斜め筒部の内部空間を配管内に連通する箇所を除いて密閉状態とすることができる。従って、面倒な手間をかけることなく密閉状態を実現することができ、上述した各種作用効果をより容易にかつより確実に発揮させることができる。
【0015】
また、上記手段1によれば、電動ユニットは、斜め上方に延びる斜め筒部における配管とは反対側の端部へと取付及び取外可能に構成されている。従って、例えば、槽体が浴槽である場合など、配管が下方位置(手の届きにくい位置)に配置される場合であっても、電動ユニットの取付・取外を容易に行うことができ、施工やメンテナンスに係る作業性を向上させることができる。
【0016】
手段2.前記配管は、封水を貯留可能な封水部を有し、
前記斜め筒部に対し前記電動ユニットを取付けた状態において、前記電動ユニットの前記密閉手段が、前記封水部の封水面よりも上方に位置するように構成されていることを特徴とする手段1に記載の電動式排水栓装置。
【0017】
上記手段2によれば、電動ユニットの密閉手段は、斜め筒部に取付けられた状態において、封水部の封水面よりも上方に位置するように構成されている。従って、仮に密閉手段において微小な破損などが生じ、斜め筒部内の密閉状態が損なわれたとしても、封水が電動ユニットのうち密閉手段を超えた位置(密閉手段が正常である場合、密閉手段によって斜め筒部内の空間とは非連通とされる位置)に配置される部品に到達してしまうといった事態は生じなくなる。これにより、電動ユニットに対する水分による悪影響が生じてしまうことを一層確実に防止でき、動作安定性や安全性を一層向上させることができる。
【0018】
手段3.前記中間伝達部は、非ワイヤ状をなす非伸縮性の部材によって構成されていることを特徴とする手段1又は2に記載の電動式排水栓装置。
【0019】
尚、「非伸縮性の部材」とあるのは、栓蓋側へと駆動力を伝達する際に伸縮しないものであり、例えば、鉄や銅、アルミニウム、真鍮などの各種金属やこれらを含む合金、PEやPOMなどの各種硬質樹脂からなる部材を挙げることができる。
【0020】
上記手段3によれば、ワイヤ等の比較的容易に変形可能な部材を介して駆動力を伝達する場合と比較して、駆動力のロスをより生じにくくすることができる。その結果、栓蓋側に対し駆動力をより確実に伝達することができ、動作安定性をより向上させることができる。
【0021】
手段4.前記電動ユニットは、
前記アクチュエータを有する第一ユニット構成部と、
前記連動伝達部を有し、前記第一ユニット構成部とは別体の第二ユニット構成部と、
前記電動動作部から前記連動伝達部に対し前記駆動力を伝達する介在伝達部とを備え、
前記第二ユニット構成部が、前記斜め筒部に対し取付及び取外可能に構成されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の電動式排水栓装置。
【0022】
上記手段4によれば、電動ユニットは、それぞれ別体の第一ユニット構成部及び第二ユニット構成部と、両ユニット構成部間で駆動力を伝達する介在伝達部とを備えており、第二ユニット構成部が斜め筒部に対し取付及び取外可能とされている。従って、アクチュエータを有する第一ユニット構成部の設置位置をある程度自由に設定することができ、設置位置を調整することで、アクチュエータに対する水分の悪影響(アクチュエータの汚損や故障、動作不良、漏電の発生)をより効果的に防ぐことができる。
【0023】
さらに、第二ユニット構成部が斜め筒部に取付けられる構成であるため、電動ユニットのうち斜め筒部に取付けられる部品のサイズを小さなものとすることができる。従って、斜め筒部における電動ユニットの被取付部周囲のスペースがさほど大きくないような場合であっても、斜め筒部に対し電動ユニットを取付けることが可能となり、電動ユニットの取付自由度を向上させることができる。また、斜め筒部に対する電動ユニットの取付・取外がより容易になり、施工やメンテナンスに係る作業性を一層高めることも可能となる。
【0024】
また、上記手段4によれば、電動ユニットのうち少なくとも連動伝達部に対する水分による悪影響を防ぐことができ、連動伝達部の動作不良をより確実に防止することができる。従って、動作安定性の向上を図ることができる。
【0025】
尚、第一ユニット構成部を斜め筒部の端部開口よりも上方に設置することが好ましい。この場合には、万が一密閉手段の破損等により、端部開口から水漏れが生じたとしても第一ユニット構成部へと漏れた水が至らないことになる。そのため、アクチュエータの故障などをより一層確実に防止することができる。
【0026】
手段5.前記斜め筒部における前記配管側に位置する部位の内部に配置されるとともに、回動可能であり、かつ、自身の回動軸方向に沿った一端面が前記配管内を向くように構成された回動部と、
前記回動部の一端面から突出するとともに前記配管内に配置され、前記栓蓋を直接又は間接的に支持する支持部とを有し、
前記連動伝達部は、前記電動動作部の動作により回動するものであり、
前記斜め筒部に対し前記電動ユニットを取付けた状態において、前記連動伝達部及び前記回動部のそれぞれの回動軸が平行に配置されるとともに、前記中間伝達部は、その一端部が前記連動伝達部に接続される一方、その他端部が前記回動部に接続され、前記連動伝達部の回動に伴い前記回動部を回動させるように構成されていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の電動式排水栓装置。
【0027】
上記手段5によれば、斜め筒部に対し電動ユニットを取付けた状態において、連動伝達部及び回動部のそれぞれの回動軸は平行とされており、連動伝達部及び回動部に対し接続された中間伝達部によって、連動伝達部の回動運動が回動部の回動運動へと変換される。ここで、連動伝達部及び回動部のそれぞれの回動軸は平行であるため、連動伝達部から回動部へと駆動力を伝達するにあたって、中間伝達部の構成を複雑にする必要はなく、また、駆動力を円滑に伝達することができる。従って、装置の簡素化を図ることができ、製造コストを低減させることができる。また、動作安定性をより一層高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】第1実施形態において、配管の中心軸を含む断面における電動式排水栓装置の断面図である。
【
図2】第1実施形態において、斜め筒部の中心軸を含む断面と配管の中心軸を含む断面とにおける電動式排水栓装置の断面図である。
【
図5】表側から見たときにおける第1実施形態の電動ユニットの斜視図である。
【
図6】裏側から見たときにおける第1実施形態の電動ユニットの斜視図である。
【
図7】第1実施形態において、第二ケース構成部や第四ケース構成部を省略した状態の電動ユニットの斜視図である。
【
図8】第1実施形態における電動ユニットの分解斜視図である。
【
図9】第2実施形態における電動ユニットの正面図である。
【
図10】第2実施形態における第二ユニット構成部等の斜視図である。
【
図11】第2実施形態において、斜め筒部に取付けられた状態の第二ユニット構成部等の正面図である。
【
図12】第2実施形態において、斜め筒部に取付けられた状態の第二ユニット構成部等の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔第1実施形態〕
電動式排水栓装置1は、
図1及び
図2に示すように、槽体としての浴槽100に取付けられている。尚、浴槽100は、その底部分を構成する水平板状の底面部101と、当該底面部101の外周に立設された周壁部102とを備えている。底面部101には、排水口103が貫通形成されている。
【0030】
電動式排水栓装置1は、排水口部材2と、排水管3と、回動機構4と、栓蓋ユニット5と、中間伝達部6と、電動ユニット7とを備えている。
【0031】
排水口部材2は、円筒状に形成されており、自身の中心軸と排水口103の中心軸とがほぼ一致するように排水口103に挿設されている。また、排水口部材2は、その上端部において径方向外側に突出形成された鍔部21と、当該鍔部21よりも下側の外周に形成された雄ねじ部22とを備えている。
【0032】
排水管3は、上下方向に延びる円筒状の配管31と、排水管3の下端部に連なるようにして設けられた折返部32及び直交部33と、配管31から枝分かれした筒状の斜め筒部34とを備えている。配管31、折返部32及び直交部33によって、排水口103を流れる排水の流路が構成されている。
【0033】
配管31は、その一端部(上端部)内周に前記雄ねじ部22を螺合可能な雌ねじ部31Aを備えている。そして、底面部101の下方において排水口103とほぼ同軸の状態となるように配管31を配置した上で、底面部101の上方から排水口103を通して排水口部材2を配管31に挿通しつつ雄ねじ部22を雌ねじ部31Aに螺合し、鍔部21及び排水管3の上端面により底面部101を挟み込むことで、排水口部材2及び排水管3が接続されるとともに、両者が浴槽100に取付けられた状態となっている。
【0034】
尚、本実施形態において、鍔部21と底面部101の表面(上面)との間には、弾性変形可能な材料により形成された環状のシール部材8が配置されており、また、排水管3の上端面と底面部101の裏面との間には、シール部材8と同様に弾性変形可能な材料により形成された環状のシール部材9が配置されている。これらシール部材8,9によって、排水口部材2及び排水管3と浴槽100との間からの漏水防止が図られている。
【0035】
折返部32は、配管31の下端部から斜め上方に向けて延びる筒状をなしている。そして、排水口103を通って配管31に流れ込んだ排水は、封水として、配管31及び折返部32からなる屈曲部分の内部にて貯留可能となっている。すなわち、本実施形態では、配管31及び折返部32により封水を貯留可能な封水部35が構成されている。
【0036】
直交部33は、折返部32の上端部から配管31と直交する方向(水平方向)に延びる筒状をなしている。本実施形態では、封水部35において、折返部32及び直交部33の境界部分と同じ高さの封水面36(
図1等では、封水面36を二点鎖線で示す)まで封水を貯留可能となっている。
【0037】
斜め筒部34は、主として回動機構4や中間伝達部6の収容部として機能する部位であり、自身の内部空間が配管31内に連通した状態で配管31の側部から延びている。斜め筒部34は、第一筒状部341、第二筒状部342及び取付用アタッチメント部343を備えている。
【0038】
第一筒状部341は、斜め筒部34における配管31側に位置する部位であり、主に回動機構4の収容部として機能する。第一筒状部341は、配管31の側部から水平方向に延びる短い円筒状をなしている。尚、第一筒状部341は、厳密な水平方向に延びるものであってもよいし、水平方向に対し若干(例えば、10°以下)傾斜した方向に延びるものであってもよい。
【0039】
また、第一筒状部341は、配管31内に開口する流路側開口34Aを備えており、排水管3を流れる排水は、流路側開口34Aを通って斜め筒部34内に流入可能となっている。一方、第一筒状部341における流路側開口34Aとは反対側に位置する端部は閉塞された状態となっている。
【0040】
加えて、本実施形態において、流路側開口34Aの全体は、前記封水面36よりも下方に位置するように構成されている。これにより、結果的に、封水部35を排水口103に近接させることができ、排水管3(配管31)を上下方向に沿ってコンパクトなものとすることが可能となっている。
【0041】
第二筒状部342は、主として中間伝達部6の収容部として機能するものである。第二筒状部342は、第一筒状部341の外周(側面部)から斜め上方に向けて延びる筒状をなしており、自身の内部空間が第一筒状部341内に連通している。また、第二筒状部342における第一筒状部341とは反対側の端部外周には、取付用アタッチメント部343を連結するための雄ねじ部342A(
図2参照)が形成されている。
【0042】
取付用アタッチメント部343は、電動ユニット7の取付部として機能する部品であり、また、斜め筒部34を斜め上方に向けてより延長させる役割を有する。取付用アタッチメント部343は、
図3に示すように、接続筒部3431、取付筒部3432及び取付鍔部3433を備えている。
【0043】
接続筒部3431は、第二筒状部342に対し直列的に連結されており、第二筒状部342と同様に、主として中間伝達部6の収容部として機能する。接続筒部3431は、内周に前記雄ねじ部342Aを螺合可能な雌ねじを備えてなるナット部材10と当該ナット部材10の内周に設けられたCリング13(それぞれ
図1,2参照)とによって第二筒状部342に連結されている。詳述すると、被接続部3431は、その外周にナット部材10及びCリング13を予め配置した状態でその先端部が第二筒状部342に挿通され、次いで、前記雄ねじ部342Aへとナット部材10を螺合し、Cリング13及び次述するシール部材11を介して、第二筒状部342とナット部材10とにより自身の外周部分が挟み込まれた状態となることによって、第二筒状部342に連結されている。
【0044】
また、接続筒部3431の端面と第二筒状部342の内周に設けられた段差状部位との間には、環状のシール部材11(
図2参照)が配置されており、当該シール部材11は、接続筒部3431及び第二筒状部342により挟み込まれた状態とされている。これにより、取付用アタッチメント部343及び第二筒状部342間が水密にシールされた状態となっている。
【0045】
取付筒部3432は、電動ユニット7の後述する連動伝達部71等が挿通される部位である。取付筒部3432は、接続筒部3431の側面部から接続筒部3431の中心軸と直交する方向に突出形成された円筒状をなしている。また、取付筒部3432の内周面は、凹凸のない滑面状とされている。
【0046】
さらに、取付筒部3432の内周には、端部開口34Bが形成されている。端部開口34Bは、斜め筒部34における配管31とは反対側に位置する端部の開口である。本実施形態では、端部開口34Bの全体が前記封水面36よりも上方に位置するように、第二筒状部342及び取付用アタッチメント部343の長さや角度が設定されている。尚、斜め筒部34は、少なくとも端部開口34B側に位置する端部側部位が斜め上方に向けて延びる構成であればよい。
【0047】
取付鍔部3433は、電動ユニット7の取付部として機能する部位であり、取付筒部3432の端部から外側に突出する鍔状をなしている。取付鍔部3433には、その板厚方向に貫通する係止用孔部3433Aが形成されている。係止用孔部3433Aは、取付鍔部3433の周方向に沿って延びる湾曲形状をなしており、前記周方向に沿って間隔をあけて複数(本実施形態では、3つ)設けられている。各係止用孔部3433Aの前記周方向に沿った一方側は、後述する係止部731Cの先端部(後述する爪部731Dの存在する部位)が通過可能な大きさ(幅)となっている。これに対し、各係止用孔部3433Aの前記周方向に沿った他方側は、係止部731Cの先端部が通過不能である一方、係止部731Cの基端部が通過可能な大きさ(幅)となっている。
【0048】
また、取付鍔部3433における接続筒部3431とは反対側に位置する端面には、それぞれ窪み状をなす回転規制用凹部3433B及び取付時用凹部3433Cが形成されている。また、両凹部3433B,3433C間には、非対称壁部3433Dが設けられている。非対称壁部3433Dは、取付時用凹部3433C側に位置する面が取付鍔部3433の周方向に対し傾斜する傾斜面とされる一方、回転規制用凹部3433B側に位置する面が前記周方向に対しほぼ直角の直角面とされている。
【0049】
加えて、斜め筒部34は、電動ユニット7が取付けられていない状態において、流路側開口34A及び端部開口34Bを除いて密閉状態となっており、流路側開口34A及び端部開口34Bを通してのみ水が出入り可能となっている
さらに、排水管3のうち、配管31、折返部32、直交部33、第一筒状部341及び第二筒状部342からなる部品は、比較的硬質な樹脂などにより一体形成されている。また、取付用アタッチメント部343も、比較的硬質な樹脂などにより形成されている。そのため、第一筒状部341、第二筒状部342及び取付用アタッチメント部343を備えてなる斜め筒部34は、配管31に対し基本的には相対変位不能となっており(つまり、力が加えられた際に若干だけ撓み変形し得るものの、通常大きく変形しないものとなっており)、また、自立した状態となっている。
【0050】
図1及び
図2に戻り、回動機構4は、栓蓋ユニット5を上下動させるための機構であり、回動部41及び支持部42を備えている。
【0051】
回動部41は、第一筒状部341に挿通されており、第一筒状部341に対し相対回動可能とされている。回動部41は、自身の回動軸方向に沿った一端面が配管31内を向くようにして配設されている。
【0052】
また、回動部41は、自身の外周にて開口する被接続部41A(
図2参照)を備えている。より詳しくは、回動部41は、
図4(a)、(b)に示すように、それぞれ円板状をなす第一構成部411及び第二構成部412と、両構成部411,412の間において両者の中心部分同士を繋ぐようにして設けられた柱状部413とを備えており、被接続部41Aは、前記両構成部411,412のそれぞれに対し相対向した状態で形成されている。つまり、2つの被接続部41Aが相対向した状態で設けられている。被接続部41Aは、中間伝達部6の接続部として機能する部位であり、中間伝達部6の一端に設けられた後述する突起部が配置される円形空間を形成する部位と、当該円形空間に連通し当該円形空間の内径よりも幅狭の開口を形成する部位とを備えている。
【0053】
図1,2に戻り、支持部42は、栓蓋53を間接的に支持するものであり、本実施形態では、栓蓋ユニット5を支持して持ち上げるためのものである。支持部42は、回動部41の一端面(すなわち、前記第一構成部411の端面)における外周寄りから配管31内に突出する短い柱状をなしている。支持部42は、回動部41の回動動作により上下動する。尚、栓蓋の形状などによっては、支持部42によって栓蓋を直接的に支持する構成としてもよい。
【0054】
栓蓋ユニット5は、排水口103の開閉などを行うために、排水の流路に対応して設けられるものである。栓蓋ユニット5は、排水口部材2及び配管31内に配置されており、通水部材51と、支持軸52と、栓蓋53とを備えている。
【0055】
通水部材51は、少なくとも支持部42が上動したときに、支持部42によって持ち上げられる部位である。通水部材51は、円環状をなすとともに、配管31の内周面に沿って配置されている。また、通水部材51は、自身の径方向に沿って延びる複数の連結部(図示せず)を介して支持軸52の下端部に取付けられている。結果的に、通水部材51は、前記連結部及び支持軸52を介して栓蓋53に対し間接的に取付けられた状態となっている。
【0056】
支持軸52は、排水口部材2及び配管31(すなわち、上下方向に延び、排水流路を構成する円筒状部分)のほぼ中心に配置されており、鉛直方向に延びる棒状をなしている。また、支持軸52は、自身の上端部が栓蓋53の背面中心部に取付けられた状態とされている。
【0057】
栓蓋53は、排水口103を開閉するための栓であり、樹脂等からなる円板状の栓蓋本体部53Aと、当該栓蓋本体部53Aの背面の外周側から下方に突出する円筒状のパッキン取付部53Bと、弾性変形可能な材料により形成された環状のパッキン部53Cとを備えている。パッキン取付部53Bは、外周に開口する環状の溝を備えており、当該溝に対しパッキン部53Cが嵌め込まれることで、栓蓋本体部53Aの背面の外周側にパッキン部53Cが取付けられた状態となっている。
【0058】
中間伝達部6は、
図2に示すように、棒状をなしており、斜め筒部34内において斜め筒部34の延びる方向に沿って往復移動可能な状態で配置されている。中間伝達部6は、電動ユニット7の後述するモータ軸77Aの変位(回動)による駆動力を栓蓋53側(本実施形態では、回動部41)へと伝達するためのものである。中間伝達部6は、非ワイヤ状をなす非伸縮性の部材で形成されている。すなわち、中間伝達部6は、ワイヤではなく、栓蓋53側へと駆動力を伝達する際に伸縮しない部材(例えば、鉄や銅、アルミニウム、真鍮などの各種金属やこれらを含む合金、PEやPOMなどの各種硬質樹脂からなる部材など)によって形成されている。
【0059】
また、中間伝達部6は、自身の一端部(回動部41側の端部)に外側に突出する一対の突起部を備えている。中間伝達部6の一端部に設けられた当該突起部は、基本的に前記被接続部41Aにおける前記円形空間の内径よりも僅かに小径の円柱状をなしているが、厳密な円柱というわけではなく、外側面の一部が平坦面とされた断面D字状をなしている。また、前記突起部における最も幅狭の箇所は、回動部41の前記被接続部41Aにおける前記開口を通過可能な幅を有するものとされている。そして、被接続部41Aの前記円形空間へと前記突起部が配置されることで、回動部41に対し中間伝達部6の一端部が接続された状態となっている。尚、本実施形態において、排水口103を閉状態としたときにおける回動部41及び中間伝達部6の位置関係は、第二筒状部342の延びる方向に沿って中間伝達部6を斜め上方に引いたときに、被接続部41の前記開口を前記突起部のうち幅狭の箇所が通過して、被接続部41Aから前記突起部が円滑に抜けるような位置関係となっている。従って、回動部41及び中間伝達部6を接続する際には、排水口103を閉状態とするときの位置に回動部41を配置した上で、当該回動部41の被接続部41Aに対し、第二筒状部342へと挿通した中間伝達部6の前記突起部を差し入れることで、回動部41及び中間伝達部6を容易に接続可能となっている。一方、排水口103を閉状態としたとき以外では、中間伝達部6及び回動部41は、被接続部41Aの開口から前記突起部が抜けない位置関係となるように構成されており、その結果、中間伝達部6の往復動作に伴い、回動部41を確実に回動させることができるようになっている。尚、使用時において、排水口103が閉状態であるとき(仮に中間伝達部6が復動すると、被接続部41Aから前記突起部が容易に抜けるとき)には、中間伝達部6がそれ以上復動(引き方向に動作)することはないようになっている。そのため、使用時において、被接続部41Aから中間伝達部6の前記突起部が抜けてしまうといったことは生じない。
【0060】
一方、中間伝達部6は、自身の他端部に連結用の孔部分を備えている。中間伝達部6の他端部に設けられた当該孔部分に対し後述する連結突部712が挿通されることで、中間伝達部6の他端部と電動ユニット7とが接続された状態となっている。
【0061】
電動ユニット7は、電動により栓蓋ユニット5を上下動させるための駆動源を備えたユニットであり、斜め筒部34における端部開口34B側に位置する端部に取付けられている。電動ユニット7のそれぞれ後述する内側パッキン711D及び外側パッキン722(本実施形態では、電動ユニット7の全体)は、斜め筒部34に取付けられた状態において、前記封水面36よりも上方に位置するように構成されている。また、電動ユニット7は、
図5~8に示すように、連動伝達部71、外周配置部品群72、ケース73、受け部材74、減速歯車群75、変位部材76、アクチュエータとしてのモータ77、並びに、第一磁気センサ78A及び第二磁気センサ78Bを備えている。
【0062】
連動伝達部71は、電動ユニット7を斜め筒部34へと取付けた状態において中間伝達部6へと接続され、モータ77の動作による駆動力を中間伝達部6へと伝達する部位である。連動伝達部71は、回動動作可能とされており、電動ユニット7を斜め筒部34に取付けた状態において、連動伝達部71の回動軸と前記回動部41の回動軸とは平行に配置されるようになっている。
【0063】
また、連動伝達部71は、回動駆動部711及び連結突部712を備えており、回動駆動部711は、円板部711A、中間部711B及びピニオン711Cを備えている。円板部711A、中間部711B及びピニオン711Cは、この順序で同軸状に並ぶ構成とされている。
【0064】
円板部711Aは、回動駆動部711の一端部に設けられ、電動ユニット7を斜め筒部34へと取付けた状態において、斜め筒部34(接続筒部3431)の内部空間側を向くようにして配置される部位である。円板部711Aは、その最大外径が取付筒部3432(端部開口34B)の内径よりも若干だけ小さなものとされている。
【0065】
中間部711Bは、円板部711Aよりも小径の柱状をなしている。中間部711Bにおける円板部711A側に位置する基部の外周には、所定の弾性変形可能な材料(例えば、ゴムや樹脂等)により形成された環状の内側パッキン711Dが嵌め込まれている。一方、中間部711Bにおける内側パッキン711Dよりもピニオン711C側の外周には、複数の窪みが形成されている。この窪みによって、中間部711Bとこの外周に配置される外周配置部品群72(特に後述する介在円筒部721)との間で生じる摩擦抵抗を軽減することができ、ひいては連動伝達部71の円滑な回動を図ることが可能となっている。
【0066】
また、中間部711Bの内側には、後述する第二軸部792の一端部が配置される窪み状の受け部(図示せず)が設けられている。尚、受け部をピニオン711Cの内側などに設けてもよい。
【0067】
ピニオン711Cは、減速歯車群75を介して伝達されるモータ77からの駆動力を受ける部位である。ピニオン711Cは、回動駆動部711の他端部に設けられており、回動駆動部711の外周に設けられた複数の歯によって構成されている。ピニオン711Cの外径は、中間部711Bの外径とほぼ同一とされている。
【0068】
連結突部712は、電動ユニット7が斜め筒部34へと取付けられた状態において、中間伝達部6の前記孔部分に挿通されることで中間伝達部6に接続される部位である。つまり、連結突部712は、モータ77の動作による駆動力を中間伝達部6へと伝達する部位である。連結突部712は、円板部711Aにおける一端面(接続筒部3431の内部側を向く面)の外周寄りから突出しており、斜め筒部34(接続筒部3431)の内部空間に配置されている。連動伝達部71の回動により連結突部712が回動することで、中間伝達部6が往復移動する。
【0069】
外周配置部品群72は、中間部711Bの外周に配置される複数の部品により構成されており、介在円筒部721、外側パッキン722及びCリング723を備えている。
【0070】
介在円筒部721は、外周に環状の溝を備えた円筒状をなしており、中間部711Bの外周に配置されている。介在円筒部721は、電動ユニット7を斜め筒部34へと取付けた状態において、中間部711Bと取付筒部3432との間に介在した状態となる。さらに、介在円筒部721の内周面と中間部711Bの外周面とで内側パッキン711Dが挟み込まれた状態とされており、内側パッキン711Dによって中間部711B及び介在円筒部721間を通ったケース73内への水の浸入抑制が図られている。
【0071】
外側パッキン722は、所定の弾性変形可能な材料(例えば、ゴムや樹脂等)により形成された環状部材であり、介在円筒部721の外周に形成された前記溝に配置されている。外側パッキン722は、電動ユニット7を斜め筒部34へと取付けた状態において、介在円筒部721の外周面と取付筒部3432の内周面とで挟み込まれた状態となる。これにより、取付筒部3432及び介在円筒部721間を通ったケース73内への水の浸入抑制が図られている。
【0072】
本実施形態では、斜め筒部34に電動ユニット7を取付けた状態としたときに、内側パッキン711D及び外側パッキン722によって、斜め筒部34の端部開口34Bは、水密にシールされた状態となる。つまり、斜め筒部34に対し電動ユニット7を取付けた状態において、斜め筒部34の内部空間は、流路側開口34Aを除いて密閉状態となる。本実施形態では、内側パッキン711D及び外側パッキン722が密閉手段に相当する。
【0073】
また、介在円筒部721は、電動ユニット7が斜め筒部34へと取付けられた状態において、取付筒部3432に対し積極的に相対回動することはなく、基本的には外側パッキン722によって固定された状態となる。ここで、仮に中間部711Bを大径とし、連動伝達部71が回動する際に、中間部711B及び取付筒部3432間で摩擦抵抗が生じるように構成した場合には、中間部711Bの回動半径が大きい分、生じる摩擦抵抗が大きなものとなってしまう。これに対し、本実施形態では、連動伝達部71が回動する際には、介在円筒部721の内周において中間部711Bが回動するため、中間部711Bの回動半径が小さい分、生じる摩擦抵抗を小さなものとすることができる。すなわち、介在円筒部721は、連動伝達部71の回動時における摩擦抵抗を軽減するために設けられている。また、外側パッキン722は、水密性の確保という点に加え、取付筒部3432に対する介在円筒部721の相対回動を規制するという点でも機能する。
【0074】
尚、外側パッキン722として断面円形状のOリングを用いることが好ましい。この場合には、外側パッキン722と取付筒部3432等との間で十分に大きな摩擦抵抗をより容易に生じさせることができ、ひいては介在円筒部721の相対回動をより確実に規制することができる。一方、内側パッキン711Dとしては、断面X形状のXリングが用いることが好ましい。この場合には、中間部711Bとこの外周に配置される外周配置部品群72(特に介在円筒部721)との間で生じる摩擦をより効果的に軽減することができ、ひいては連動伝達部71のより円滑な回動を図ることが可能となる。
【0075】
Cリング723は、一部が途切れた円環状をなす薄肉の板状部材である。Cリング723は、円板部711Aとの間で介在円筒部721を挟んだ状態で、中間部711Bにおけるピニオン711C側に設けられた溝に嵌め込まれており、中間部711Bからの介在円筒部721の脱落を防止する。また、Cリング723の外周部分は、介在円筒部721の外周よりも突出した状態となっており、ケース73の内面へと引っ掛かった状態となっている。これにより、ケース73から円板部711Aや介在円筒部721等を突出させつつ、ケース73からの連動伝達部71や介在円筒部721の脱落が防止されている。
【0076】
ケース73は、連動伝達部71や減速歯車群75、モータ77などを保持するとともに、斜め筒部34に対する電動ユニット7の取付部として機能するものである。ケース73は、第一ケース構成部731、第二ケース構成部732、第三ケース構成部733及び第四ケース構成部734が組立てられることで形成されている。尚、
図6では、第二ケース構成部732及び第四ケース構成部734の図示を省略している。
【0077】
第一ケース構成部731は、連動伝達部71や変位部材76などを保持しつつ、斜め筒部34に対する電動ユニット7の取付部として機能する部位である。第一ケース構成部731は、第一基部731A及び第一収容壁部731Bを備えている。
【0078】
第一基部731Aは、円板状部位と当該円板状部位の周方向に対する接線方向に沿って突出する突出部位とを備えた平板状部位である。第一収容壁部731Bは、第一基部731Aに対し立設された平板状や湾曲板状などをなす複数の壁により構成されている。第一基部731A及び第一収容壁部731Bにより区画された第一ケース構成部731内の空間は、Cリング723やピニオン711C、変位部材76等の収容空間を構成している。
【0079】
また、第一基部731Aにおける前記突出部位と、当該突出部位に対応して設けられた第一収容壁部731Bとによって、筒状のチューブ部材(図示せず)の先端部に設けられた鍔状のフレア部分を収容するためのチューブ接続部731Gが形成されている。チューブ接続部731Gは、ケース73を、栓蓋53を手動操作するためのユニットの構成部品などとして利用する場合に用いられるものであり、本実施形態では、チューブ接続部731Gに対しチューブ部材は収容されていない。従って、必ずしもチューブ接続部731Gを設ける必要はない。
【0080】
さらに、第一基部731Aにおける円板状部位の中心部には、介在円筒部721の外径とほぼ同一の内径の貫通孔が形成されている。そして、当該貫通孔を通って介在円筒部721や外側パッキン722、円板部711A、連結突部712がケース73の外部に突出した状態となっている。尚、第一基部731Aにおける前記貫通孔を形成する部位には、円環状の段部が設けられており、当該段部に対し前記Cリング723が係止された状態となっている。
【0081】
加えて、第一基部731Aのうち第一収容壁部731Bが設けられた面の裏面には、係止部731Cが突出形成されている。係止部731Cは、斜め筒部34に対する電動ユニット7の取付に用いられる部位であり、第一基部731Aにおける円板状部位の周方向に沿って等間隔に複数(本実施形態では、3つ)設けられている。また、各係止部731Cの先端部には、外側(連動伝達部71の回動軸とは反対側)に向けて突出する爪部731Dが設けられている。
【0082】
さらに、第一基部731Aにおける前記円板状部位には、L字状をなし前記円板状部位の外周に開口する切欠部731Eが形成されている。切欠部731Eの存在によって、第一基部731Aにおける前記円板状部位の一部は、第一基部731Aに対する係止部731Cの突出方向に沿って弾性変形可能となっている。そして、この弾性変形可能な部位に対応して、第一基部731Aに対する係止部731Cの突出方向と同じ方向に向けて突出する回転規制用凸部731F(
図6参照)が設けられている。回転規制用凸部731Fは、前記回転規制用凹部3433Bに配置されることで、斜め筒部34に対する電動ユニット7の相対回転を規制するものである。
【0083】
第二ケース構成部732は、第一ケース構成部731へと取付けられることで、両ケース構成部731,732の内部に受け部材74や減速歯車群75、変位部材76等の収容空間を形成しつつ、モータ77や磁気センサ78A,78Bの収容空間を構成するものである。第二ケース構成部732は、第二基部732A、第二収容壁部732B、歯車収容壁部732C、モータ収容壁部732D及びセンサ収容壁部732Eを備えている。
【0084】
第二基部732Aは、第一基部731Aに対応する形状をなしており、第二収容壁部732Bは、第二基部732Aから突出し、第一収容壁部731Bに対応する形状の壁により構成されている。
【0085】
歯車収容壁部732Cは、減速歯車群75を収容する空間を形成するものである。歯車収容壁部732Cは、外観上、第二基部732Aから突出し、先端部の閉塞された2つの円筒状部位が平行な状態で一体化された形状をなしている。一方の円筒状部位の内部に位置する円柱状の空間は、それぞれ後述する第一歯車751及び第三歯車753に対応する。他方の円筒状部位の内部に位置する円柱状の空間は、それぞれ後述する第二歯車752及び第四歯車754に対応する。また、両円筒状の空間は、後述する歯車751~754を噛合可能とすべく、連通した状態とされている。
【0086】
また、一方の円筒状部位における先端側の閉塞部分の裏側には、後述する第一軸部791の他端部が配置される窪み状の受け部(図示せず)が設けられている。さらに、他方の円筒状部位における先端側の閉塞部分の裏側には、後述する第二軸部792の他端部が配置される窪み状の受け部(図示せず)が設けられている。
【0087】
さらに、本実施形態において、第一ケース構成部731及び第二ケース構成部732は、スナップフィット(材料の弾性変形を用いた手法)を利用して、両基部731A,732Bが相対向し、かつ、第一収容壁部731Bの内側に第二収容壁部732Bが嵌り込んだ状態で組立てられている。両ケース構成部731,732が組立てられることで、両ケース構成部731,732内において、Cリング723、受け部材74、減速歯車群75及び変位部材76などが安定した状態で保持されている。
【0088】
モータ収容壁部732Dは、モータ77を収容する空間を形成するものである。モータ収容壁部732Dは、歯車収容壁部732Cにおける一方の円筒状部位に連なるようにして設けられている。モータ収容壁部732D内に設けられたモータ77を収容するための空間は、それぞれ後述する第一歯車751及びウォーム77Bを噛合可能とすべく、歯車収容壁部732Cの内部空間と連通した状態となっている。
【0089】
センサ収容壁部732Eは、第一磁気センサ78A及び第二磁気センサ78Bを収容するためのものである。センサ収容壁部732Eは、変位部材76の収容空間との間で第二収容壁部732Bを挟む位置に設けられている。センサ収容壁部732Eにより形成された磁気センサ78A,78Bの収容空間は、変位部材76の後述する往復移動方向に沿って延びる状態となっている。
【0090】
第三ケース構成部733は、第二ケース構成部732へと取付けられ、センサ収容壁部732Eにより形成された第一磁気センサ78A及び第二磁気センサ78Bの収容空間に蓋をするためのものである。第三ケース構成部733は、スナップフィットを利用して、第二ケース構成部732(センサ収容壁部732E)に対し取付けられている。
【0091】
第四ケース構成部734は、第二ケース構成部732へと取付けられることで、モータ収容壁部732Dにより形成されたモータ77の収容空間に蓋をしつつ、モータ77を保持するためのものである。第四ケース構成部734は、スナップフィットを利用して、第二ケース構成部732(モータ収容壁部732D)に取付けられている。
【0092】
尚、本実施形態では、斜め筒部34に対し電動ユニット7が取付けられた状態を維持しつつ、第三ケース構成部733のみを取外すことで、第一磁気センサ78A及び第二磁気センサ78Bの交換を行うことが可能である。また、斜め筒部34に対し電動ユニット7が取付けられた状態を維持しつつ、第四ケース構成部734のみを取外すことで、モータ77の交換を行うことが可能である。従って、磁気センサ78A,78Bやモータ77のメンテナンスを容易に行うことができるようになっている。
【0093】
受け部材74は、後述する第一軸部791の一端部を受けて支持するための部位である。受け部材74は、中心に半円状の孔が形成された半円板状をなしており、第一軸部791の一端部が配置される窪み状の受け部74Aを備えている。受け部材74は、第一ケース構成部731及び第二ケース構成部732の組立に伴い両ケース構成部731,732で挟み込まれることにより、両ケース構成部731,732で構成された収容空間にて移動不能な状態で保持されている。
【0094】
減速歯車群75は、モータ77の後述するモータ軸77Aで生じた駆動力を連動伝達部71に対し、回転数を減じつつ伝達するものである。本実施形態において、減速歯車群75は、それぞれ2段歯車(歯数の異なる2つの歯車が、歯車の回転軸方向に沿って並ぶようにして配置されたもの)によって構成された、第一歯車751、第二歯車752、第三歯車753及び第四歯車754を備えている。
【0095】
第一歯車751及び第三歯車753は、同軸状に配置されており、棒状の第一軸部791によって自由回転可能な状態で支持されている。尚、第一軸部791は、受け部材74に設けられた前記受け部74Aと、歯車収容壁部732Cにおける一方の円筒状部位に設けられた前記受け部とによって支持されている。
【0096】
第二歯車752及び第四歯車754は、同軸状に配置されており、棒状の第二軸部792(
図7参照。
図8では不図示)によって自由回転可能な状態で支持されている。尚、第二軸部792は、中間部711Bの内側に設けられた前記受け部と、歯車収容壁部732Cにおける他方の円筒状部位に設けられた前記受け部とによって支持されている。
【0097】
第一歯車751は、その大きい側の歯車が後述するウォーム77Bに噛合され、その小さい側の歯車が第二歯車752における大きい側の歯車に噛合されている。第二歯車752、第三歯車753及び第四歯車754においては、この順序で駆動力が伝達されるように各歯車が噛合されているが、駆動力は、それぞれ小さい側の歯車から大きい側の歯車へと伝達されるようになっている。例えば、第二歯車752における小さい側の歯車から、この歯車に噛合された、第三歯車753における大きい側の歯車に対し駆動力が伝達される。そして、第四歯車754は、その小さい側の歯車が回動駆動部711におけるピニオン711Cの形成された部位の内周に嵌合されており、第四歯車754の回動に伴い連動伝達部71が回動するようになっている。
【0098】
変位部材76は、連動伝達部71の回動角度に応じて、その配置位置が変動するように構成された部材である。変位部材76は、第一ケース構成部731及び第二ケース構成部732内に設けられた収容空間にて往復移動可能な状態で配置されている。変位部材76の側面には、当該変位部材76の移動方向に沿って複数の歯76Aが平行に並んだ状態で設けられている。そして、これら歯76Aがピニオン711Cに対し直接的に噛合された状態となっている。すなわち、変位部材76は、ピニオン711Cに対し直接的に噛合された複数の歯76Aを備えてなるラックである。そして、連動伝達部71が回動することで、変位部材76が変位するようになっている。
【0099】
加えて、変位部材76には、円柱状の磁石76Bが取付けられている。磁石76Bは、変位部材76の変位に合わせてその位置が変化する。
【0100】
モータ77は、電動により排水口103を開閉するための駆動源である。モータ77は、電動動作部としての回転可能な棒状のモータ軸77A(
図8参照)を備えるとともに、それぞれ図示しない所定の電源及び所定の制御手段(例えば、マイコン等からなる)に対し電気的に接続されている。モータ軸77Aは、前記電源からモータ77に対する通電により回転可能であり、本実施形態では、双方向に回転可能に構成されている。
【0101】
また、モータ軸77Aには、ウォーム77Bが固定されており、上記の通り、ウォーム77Bは、第一歯車751における大きい側の歯車に噛合されている。
【0102】
第一磁気センサ78A及び第二磁気センサ78Bは、それぞれ磁石76Bで生じている磁気を検知するためのセンサであり、例えば、ホール素子などを有している。第一磁気センサ78A及び第二磁気センサ78Bは、変位部材76の往復移動方向に沿って離間した状態で、センサ収容壁部732Eに固定されている。両磁気センサ78A,78Bは、それぞれ前記制御手段と電気的に接続されており、磁石76Bで生じている磁気を検知することで、変位部材76の位置ひいては排水口103の開閉状態を検知する。
【0103】
本実施形態では、排水口103が開状態であるときに、第一磁気センサ78Aによって磁石76Bの磁気が検知され、第一磁気センサ78Aから所定の磁気検出信号が前記制御手段へと出力される。一方、排水口103が閉状態であるときには、第二磁気センサ78Bによって磁石76Bの磁気が検知され、第二磁気センサ78Bから磁気検出信号が前記制御手段へと出力される。
【0104】
尚、前記制御手段は、図示しない表示手段(例えば、液晶画面など)や入力手段(例えば、ボタンなど)を備えてなる所定の操作パネル(図示せず)と電気的に接続されている。前記制御手段は、第一磁気センサ78Aから磁気検出信号が入力されると、前記表示手段において、排水口103が開状態である旨の情報を表示させる。一方、前記制御手段は、第二磁気センサ78Bから磁気検出信号が入力されると、前記表示手段において、排水口103が閉状態である旨の情報を表示させる。
【0105】
さらに、前記制御手段は、前記入力手段に対し排水口103を閉状態とする旨の指示情報が入力される(例えば、排水口103を閉状態とするためのボタンが操作される)と、磁気センサ78A,78Bからの出力に基づき、排水口103が開状態であるか否かを確認する。そして、前記制御手段は、排水口103が開状態であるときには、前記電源からモータ77に対しモータ軸77Aを一方側に回動させるための電力を供給させる。さらに、前記制御手段は、モータ77への給電開始後、第二磁気センサ78Bから磁気検出信号が入力され、排水口103が閉状態に切替わったことを把握すると、前記電源からモータ77に対する給電を停止させ、モータ77の動作を停止させる。一方、前記制御手段は、前記入力手段に対し排水口103を閉状態とする旨の指示情報が入力されたときに、排水口103が既に閉状態である場合、前記電源からモータ77に対し電力を供給させない。
【0106】
また、前記制御手段は、前記入力手段に対し排水口103を開状態とする旨の指示情報が入力される(例えば、排水口103を開状態とするためのボタンが操作される)と、両磁気センサ78A,78Bからの出力に基づき、排水口103が閉状態であるか否かを確認する。そして、前記制御手段は、排水口103が閉状態であるときには、前記電源からモータ77に対しモータ軸77Aを他方側に回動させるための電力を供給させる。さらに、前記制御手段は、モータ77への給電開始後、第一磁気センサ78Aから磁気検出信号が入力され、排水口103が開状態に切替わったことを把握すると、前記電源からモータ77に対する給電を停止させ、モータ77の動作を停止させる。一方、前記制御手段は、前記入力手段に対し排水口103を開状態とする旨の指示情報が入力されたときに、排水口103が既に開状態である場合、前記電源からモータ77に対し電力を供給させない。
【0107】
上記のように構成された電動式排水栓装置1では、排水口103が閉状態であるときに、前記入力手段へと排水口103を開状態とする旨の指示情報が入力されると、前記制御手段によって前記電源からモータ77に対し電力が供給され、モータ軸77Aが一方側に所定量だけ回動する。これにより、モータ軸77Aの駆動力が歯車751~754等を介して連動伝達部71へと伝達される。そして、連動伝達部71が一方側へと回動することに伴い連結突部712も一方側へと回動し、ひいては中間伝達部6が往動(回動部41側へと押し込まれる方向に移動)する。その結果、支持部42が上動することで栓蓋53が上動し、パッキン部53Cが排水口部材2から離間することで、排水口103が開状態とされる。
【0108】
一方、排水口103が開状態であるときに、前記入力手段に対し排水口103を閉状態とする旨の指示情報が入力されると、前記制御手段によって前記電源からモータ77に対し電力が供給され、モータ軸77Aが他方側に所定量だけ回動する。これにより、モータ軸77Aの駆動力が歯車751~754等を介して連動伝達部71へと伝達される。そして、連動伝達部71が他方側へと回動することに伴い連結突部712も他方側へと回動し、ひいては中間伝達部6が復動する。その結果、支持部42が下動することで栓蓋53が下動し、パッキン部53Cが排水口部材2に接触することで、排水口103が閉状態とされる。
【0109】
尚、本実施形態では、排水口103が開状態であるときに、支持部42に対し通水部材51が載置された状態となる一方、支持部42が最も下方に配置されているとき(排水口103が閉状態であるとき)に、支持部42から通水部材51が離間した状態(浮いた状態)となるように構成されている。これにより、排水口103を閉状態としたときに、パッキン部53Cを排水口部材2へとより確実に接触させることができ、良好な水密性を得ることができるようになっている。
【0110】
さらに、上記のように構成された電動ユニット7は、斜め筒部34に対し取付及び取外可能とされている。ここで、斜め筒部34に対する電動ユニット7の取付は、次のようにして行うことができる。
【0111】
すなわち、第二筒状部342へと取付用アタッチメント部343を接続する前において、当該取付用アタッチメント343へと電動ユニット7を予め取付けた状態とする。この取付にあたっては、まず、電動ユニット7における、ケース73から突出した状態にある円板部711Aや介在円筒部721等を取付筒部3432内へと挿通するとともに、各係止用孔部3433Aにおける幅の比較的大きな箇所(係止部731Cにおける爪部731Dの存在部位が通過可能に構成された箇所)に対し係止部731Cを挿通し、さらに、第一基部731Aの前記環状部位と取付鍔部3433とを面接触させる。このとき、取付用アタッチメント343内に中間伝達部6を配置し、当該中間伝達部6の他端部に設けられた孔部分へと連結突部712を挿通しておく。その上で、取付筒部3432に対し電動ユニット7(ケース73)を相対回動させて、各係止用孔部3433Aにおける幅の比較的小さな箇所(係止部731Cの先端部が通過不能である一方、係止部731Cの基端部が通過可能に構成された箇所)へと係止部731Cを配置し、最終的に爪部731Dを取付鍔部3433における係止用孔部3433Aを形成する部位へと係止することによって、取付用アタッチメント343へと電動ユニット7を取付ける。
【0112】
その後、取付用アタッチメント343から突出した状態にある中間伝達部6を第二筒状部342に挿通し、排水口103を閉状態としたときの配置位置にある回動部41の被接続部41Aに対し中間伝達部6における前記一対の突起部を差し入れることで、回動部41に対し中間伝達部6の一端部を接続する。その上で、ナット部材10やCリング13によって、取付用アタッチメント343を第二筒状部342へと連結することで、斜め筒部34に対し電動ユニット7を取付けることができる。斜め筒部34に対し電動ユニット7を取付けた状態とすることで、特段の作業を行うことなく、内側パッキン711D及び外側パッキン722により、斜め筒部34の内部空間は配管31内に連通する箇所(流路側開口34A)を除いて密閉状態となる。尚、取付手法は上記に限られず、まず第二筒状部342へと取付用アタッチメント343を接続した上で、当該取付用アタッチメント343へと電動ユニット7を取付けることとしてもよい。
【0113】
また、本実施形態では、取付用アタッチメント343に対する電動ユニット7の取付時に、取付用アタッチメント343に対する電動ユニット7の取付向きが正しければ、回転規制用凸部731Fが取付時用凹部3433Cに収容された状態となり、第一基部731Aの前記環状部位と取付鍔部3433とを面接触させることができるが、取付用アタッチメント343に対する電動ユニット7の取付向きが誤っていると、回転規制用凸部731Fが取付時用凹部3433Cに収容されず、第一基部731Aの前記環状部位と取付鍔部3433とを面接触させることができないようになっている。そして、面接触していない状態では、取付用アタッチメント343に対し電動ユニット7(ケース73)を相対回動させることはできないため、取付作業者は、取付向きが誤っていることを把握できる。さらに、本実施形態では、上記の通り、非対称壁部3433Dのうち回転規制用凹部3433B側に位置する面は直角面であるため、斜め筒部34(取付用アタッチメント343)に取付けられた電動ユニット7が斜め筒部34に対し相対回転してしまうことを効果的に規制できる。これにより、斜め筒部34からの電動ユニット7の意図しない外れをより確実に防止可能となっている。
【0114】
尚、電動ユニット7の取外しは、上記の手法とは反対の手順で行うことができる。すなわち、排水口103を閉状態とするときの位置に回動部41を配置しつつナット部材10を取外した上で、中間伝達部6を斜め上方に引くことにより、被接続部41Aから中間伝達部6における前記一対の突起部を外しつつ、第二筒状部342から中間伝達部6を引き抜くことで、第二筒状部342から電動ユニット7の取付けられた取付用アタッチメント343を取外せばよい。勿論、第二筒状部342及び取付用アタッチメント343を接続したままの状態で、当該取付用アタッチメント343から電動ユニット7を取外すようにしてもよい。
【0115】
以上詳述したように、本実施形態によれば、電動ユニット7を斜め筒部34に取付けた状態では、電動ユニット7の有する内側パッキン711D及び外側パッキン722により、斜め筒部34の内部空間は配管31内に連通する箇所(流路側開口34A)を除いて密閉状態とされる。従って、仮に配管31内の水位が上がり斜め筒部34内に水が入る状態になったとしても、斜め筒部34の内部空間に残った空気によって、斜め筒部34における端部開口34B側の端部、すなわち、電動ユニット7の被取付部へと水が至ってしまうことを効果的に抑制できる。これにより、汚損など、電動ユニット7に対する水分による悪影響が生じてしまうことをより確実に防止できる。その結果、装置の動作安定性や安全性の向上を図ることができる。
【0116】
また、水分による悪影響をより確実に防止できることから、本実施形態のように、電動ユニット7の全体を配管31に対しより接近させるといったことが可能となる。このように構成することで、装置の設置に係るスペースの縮小や駆動力のロスの抑制を図ることができる。
【0117】
さらに、本実施形態によれば、斜め筒部34に対し単に電動ユニット7を取付けることだけで、斜め筒部34の内部空間を配管31内に連通する箇所(流路側開口34A)を除いて密閉状態とすることができる。従って、面倒な手間をかけることなく密閉状態を実現することができ、上述した各種作用効果をより容易にかつより確実に発揮させることができる。
【0118】
また、電動ユニット7は、斜め筒部34における配管31とは反対側の端部へと取付及び取外可能に構成されている。従って、本実施形態のように、槽体が浴槽100であり、配管31が手の届きにくい下方位置に配置される場合であっても、電動ユニット7の被取付部、つまり、斜め筒部34の端部に対して手が届きやすい状態となる。そのため、電動ユニット7の取付・取外を容易に行うことができ、施工やメンテナンスに係る作業性を向上させることができる。
【0119】
さらに、電動ユニット7の内側パッキン711D及び外側パッキン722は、斜め筒部34に取付けられた状態において、封水面36よりも上方に位置するようになっている。従って、仮に内側パッキン711Dや外側パッキン722において微小な破損などが生じ、斜め筒部34内の密閉状態が損なわれたとしても、封水が電動ユニット7のうち内側パッキン711D及び外側パッキン722を超えた位置(内側パッキン711D等が正常である場合、内側パッキン711D等によって斜め筒部34内の空間とは非連通とされた位置)に配置される部品(例えばモータ77等)に到達してしまうといった事態は生じなくなる。これにより、電動ユニット7に対する水分による悪影響が生じてしまうことを一層確実に防止でき、動作安定性や安全性を一層向上させることができる。
【0120】
加えて、中間伝達部6は、非ワイヤ状をなす非伸縮性の部材によって構成されている。そのため、ワイヤ等の比較的容易に変形可能な部材を介して駆動力を伝達する場合と比較して、駆動力のロスをより生じにくくすることができる。その結果、栓蓋53側に対し駆動力をより確実に伝達することができ、動作安定性をより向上させることができる。
【0121】
併せて、連動伝達部71及び回動部41のそれぞれの回動軸は平行とされるため、連動伝達部71から回動部41へと駆動力を伝達するにあたって、中間伝達部6の構成を単純化することができ、さらには、駆動力を円滑に伝達することができる。従って、装置の簡素化を図ることができ、製造コストを低減させることができる。また、装置の動作安定性をより一層高めることが可能となる。
〔第2実施形態〕
次いで、第2実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0122】
上記第1実施形態において、電動ユニット7は、アクチュエータとしてのモータ77と連動伝達部71とを一体的に備えたものとされている。これに対し、本第2実施形態では、
図9~12に示すように、電動ユニット12は、アクチュエータとしてのモータ121Aを有する第一ユニット構成部121と、回動可能な連動伝達部122Aを有するとともに、斜め筒部34に取付けられる第二ユニット構成部122とを備え、両ユニット構成部121,122が別体とされている。
【0123】
第一ユニット構成部121は、上記第1実施形態の電動ユニット7の構成部品のうち、特に通電により動作する部品を備えたものである。より詳しくは、第一ユニット構成部121は、モータ121Aと、上記第1実施形態の磁気センサ78A,78Bに相当する磁気センサ(図示せず)とを備えている。上記第1実施形態と同様に、モータ121Aは所定の電源からの給電により動作し、また、モータ121Aに対する給電は制御手段によって制御されるようになっている。
【0124】
また、第一ユニット構成部121は、上記第1実施形態における変位部材76に相当する往復移動可能な部材と、上記第1実施形態における減速歯車群75に相当する複数の歯車とを備えている(両者ともに不図示)。さらに、モータ121Aは、通電により回動可能なモータ軸(本第2実施形態では不図示であるが、上記第1実施形態のモータ軸77Aと同様の動作をする)を備えており、前記モータ軸の回動による駆動力は、減速歯車群75に相当する前記歯車を介して変位部材76に相当する前記部材へと伝達される。ここで、前記モータ軸が一方側に回動すると、変位部材76に相当する前記部材は復動し、前記モータ軸が他方側に回動すると、変位部材76に相当する前記部材は往動する。
【0125】
また、変位部材76に相当する前記部材には、上記第1実施形態の磁石76Bに相当する磁石(不図示)が設けられており、この磁石の磁気が磁気センサ78A,78Bに相当する前記磁気センサによって検知されることで、排水口103の開閉状態を把握可能とされている。
【0126】
加えて、本第2実施形態において、第一ユニット構成部121は、浴槽100のうち、周壁部102の上端から外側に突出するフランジ部(不図示)の裏側に設置されている。但し、第一ユニット構成部121の設置位置はある程度自由に設定可能であるため、勿論、前記フランジ部の裏側以外の位置に第一ユニット構成部121を設置してもよい。
【0127】
第二ユニット構成部122は、上記第1実施形態の電動ユニット7の構成部位のうち、特に斜め筒部34への取付に用いられる部位や中間伝達部6へと接続される部位、斜め筒部34の端部開口34Bを水密にシールするための部位を備えたものである。詳述すると、第二ユニット構成部122は、上記第1実施形態における係止部731Cなど、斜め筒部34に対する電動ユニット7の取付に用いられる部位に相当する部位を備えている。そして、第二ユニット構成部122は、斜め筒部34に対し取付及び取外可能とされており、斜め筒部34に対する第二ユニット構成部122の取付及び取外に係る手法は、上記第1実施形態における斜め筒部34に対する電動ユニット7の取付及び取外に係る手法と同様とされている。
【0128】
また、第二ユニット構成部122は、側面に歯を有する往復移動可能なラック部材122C(
図12参照)を備えている。さらに、上記の通り、第二ユニット構成部122は連動伝達部122Aを備えているが、当該連動伝達部122Aは、上記第1実施形態における連動伝達部71と同様に、円板部122D、中間部122E及びピニオン122Fが同軸状に並んだ構成とされている。前記ラック部材122Cの歯は、ピニオン122Fに噛合されており、ラック部材122Cの往復移動に伴い連動伝達部122Aが回動するようになっている。
【0129】
加えて、円板部122Dにおける端面の外周寄りには、連結突部122Bが突出形成されている。連結突部122Bは、連動伝達部122Aの回動に伴い回動する。また、連結突部122Bは、斜め筒部34に対し第二ユニット構成部122が取付けられた状態において、中間伝達部6へと接続された状態(すなわち、中間伝達部6の端部に設けられた孔部分に挿通された状態)となる。
【0130】
さらに、第二ユニット構成部122は、上記第1実施形態と同様に、中間部122Eの外周に配置される円筒状の介在円筒部122Gを備えている。また、中間部122E及び介在円筒部122G間には、所定の弾性変形可能な材料(例えば、ゴムや樹脂等)により形成された環状の内側パッキン122Hが配置されており、介在円筒部122Gの外周に形成された溝には、弾性変形可能な材料(例えば、ゴムや樹脂等)により形成された環状の外側パッキン122Jが配置されている。
【0131】
内側パッキン122Hは、介在円筒部122Gの内周面と中間部122Eの外周面とで挟み込まれた状態とされている。これにより、中間部122E及び介在円筒部122G間を通った第二ユニット構成部122内への水の浸入抑制が図られている。
【0132】
また、外側パッキン122Jは、第二ユニット構成部122を斜め筒部34へと取付けた状態において、介在円筒部122Gの外周面と取付筒部3432の内周面とで挟み込まれた状態となる。これにより、取付筒部3432及び介在円筒部122G間を通った第二ユニット構成部122内への水の浸入抑制が図られている。
【0133】
本第2実施形態では、斜め筒部34に第二ユニット構成部122を取付けた状態としたときに、内側パッキン122H及び外側パッキン122Jによって、斜め筒部34の内部空間は、前記流路側開口34Aを除いて密閉状態となる。本第2実施形態では、内側パッキン122H及び外側パッキン122Jが密閉手段に相当する。
【0134】
さらに、電動ユニット12は、前記モータ軸から連動伝達部122Aに対し前記モータ軸の回動による駆動力を伝達するための介在伝達部123を備えている。介在伝達部123は、両ユニット構成部121,122のそれぞれに接続された筒状のチューブ部材124の内周に配置されており、チューブ部材124内にて往復移動可能とされている。また、介在伝達部123の一端部は、第一ユニット構成部121における変位部材76に相当する前記部材に接続されており、介在伝達部123の他端部は、第二ユニット構成部122における前記ラック部材122Cに接続されている。介在伝達部123は、例えば金属製の撚り線などにより構成されており、変位部材76に相当する前記部材の往復移動に合わせて、前記ラック部材122Cを往復動作させることが可能である。
【0135】
本第2実施形態では、排水口103が閉状態であるときに、前記入力手段に対し排水口103を閉状態とする旨の指示情報が入力されると、前記制御手段によって前記電源からモータ121Aに対し電力が供給され、前記モータ軸が一方側に所定量だけ回動する。そして、前記モータ軸の回動により、第一ユニット構成部121における変位部材76に相当する前記部材が復動することで、介在伝達部123が復動(第二ユニット構成部122から第一ユニット構成部121側に移動)する。さらに、介在伝達部123の復動に伴い、第二ユニット構成部122における前記ラック部材122Cが復動することで、連動伝達部122Aが一方側に回動し、ひいては中間伝達部6が往動する。その結果、支持部42及び栓蓋53が上動し、排水口103が開状態とされる。
【0136】
一方、排水口103が開状態であるときに、前記入力手段に対し排水口103を閉状態とする旨の指示情報が入力されると、前記制御手段によって前記電源からモータ121Aに対し電力が供給され、前記モータ軸が他方側に所定量だけ回動する。そして、前記モータ軸の回動により、第一ユニット構成部121における変位部材76に相当する前記部材が往動することで、介在伝達部123が往動する。さらに、介在伝達部123の往動に伴い、第二ユニット構成部122における前記ラック部材122Cが往動することで、連動伝達部122Aが他方側に回動し、ひいては中間伝達部6が復動する。その結果、支持部42及び栓蓋53が下動し、排水口103が閉状態とされる。
【0137】
以上、本第2実施形態によれば、モータ121Aを有する第一ユニット構成部121の設置位置をある程度自由に設定することができ、設置位置を調整することによって、モータ121Aに対する水分の悪影響(モータ121Aの汚損や故障、動作不良、漏電の発生)をより効果的に防ぐことができる。
【0138】
さらに、斜め筒部34に対しては、モータ121A等を有する第一ユニット構成部121ではなく、第二ユニット構成部122のみが取付けられる構成であるため、電動ユニット12のうち斜め筒部34に取付けられる部品のサイズを小さなものとすることができる。従って、斜め筒部34における電動ユニット12の被取付部周囲のスペースがさほど大きくないような場合であっても、斜め筒部34に対し電動ユニット12を取付けることが可能となり、電動ユニット12の取付自由度を向上させることができる。また、斜め筒部34に対する電動ユニット12の取付・取外がより容易になり、施工やメンテナンスに係る作業性を一層高めることも可能となる。
【0139】
また、電動ユニット12のうち少なくとも連動伝達部122Aに対する水分による悪影響を防ぐことができ、連動伝達部122Aの動作不良をより確実に防止することができる。従って、装置の動作安定性の向上を図ることができる。
【0140】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0141】
(a)上記実施形態において、斜め筒部34は、第一筒状部341の外周(側面部)から第二筒状部342が斜め上方に延びるように構成されている。すなわち、平面視したときに、第一筒状部341の中心軸と第二筒状部342の中心軸とが直交するように構成されている。これに対し、平面視したときに、第一筒状部及び第二筒状部342の各中心軸が平行に並ぶ又は重なった状態となるように斜め筒部34を構成してもよい。
【0142】
また、上記実施形態において、斜め筒部34は、第二筒状部342とは別体の取付用アタッチメント部343を備えている。これに対し、第二筒状部342が、取付用アタッチメント部343に相当する部分を一体的に備えるように構成してもよい。
【0143】
(b)上記実施形態において、斜め筒部34の端部開口34Bは、斜め筒部34の側面側に開口するように構成されており、電動ユニット7,12は、この端部開口34Bに対応して取付けられるように構成されている。これに対し、斜め筒部34の端部(斜め筒部34の中心軸が通る位置)に、斜め上方に開口する端部開口を設け、当該端部開口に対応して電動ユニットを取付けるように構成してもよい。
【0144】
(c)斜め筒部34に対する電動ユニット7,12の取付手法は、上記実施形態で挙げた手法に限定されるものではなく、適宜変更可能である。従って、例えば、ねじ止めによって、斜め筒部34に対し電動ユニットを取付けることとしてもよい。また、例えば、スナップフィットを利用して斜め筒部34に対し電動ユニットを取付けてもよい。
【0145】
(d)上記実施形態では、アクチュエータとして、回動可能なモータ軸を有するモータ77,121Aを挙げているが、モータ以外のアクチュエータ(例えば、ソレノイドなど)を利用してもよい。
【0146】
(e)上記実施形態では、内側パッキン711D,122H及び外側パッキン722,122Jによって密閉手段が構成されている。これに対し、介在円筒部721,122Gを省略し、連動伝達部71,122A(例えば、中間部711B,122Eに相当する部位)が取付筒部3432の内周面に沿って回動するように構成した場合には、連動伝達部71,122A及び取付筒部3432間に、密閉手段としての1のパッキンを設けることとしてもよい。すなわち、密閉手段を構成するパッキンの数は、2つに限定されるものではなく、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、密閉手段を構成するパッキンの形状を適宜変更してもよい。
【0147】
(f)上記第1実施形態において、電動ユニット7は、栓蓋53の手動操作を可能とする機構を備えていないが、電動ユニットに対し、栓蓋53の手動操作を可能とする機構を設けることとしてもよい。例えば、上記第1実施形態において、チューブ接続部731Gに対しチューブ部材(例えば、前記チューブ部材124に相当する部材)を接続するとともに、当該チューブ部材の内周に、ワイヤ状の伝達部材(例えば、介在伝達部123に相当する部材)を往復移動可能な状態で挿通し、当該伝達部材を、図示しない所定の操作部材(例えば、操作ボタン)の変位に伴いチューブ部材内にて往復動作するように構成する。また、前記伝達部材における操作部材とは反対側に位置する端部を変位部材76に対し接続した状態とする。尚、変位部材76の往復移動による連動伝達部71の円滑な回動を図るという点では、減速歯車群75を低抵抗で回転可能な歯車により構成したり、減速歯車群75における減速比を調節したり、減速歯車群75を構成する歯車の数を減じたり、減速歯車群75をなくしたりすることが好ましい。
【0148】
上記のように構成した場合、排水口103が閉状態であるときに、前記操作部材を変位させ、前記伝達部材を往動(前記操作部材側から電動ユニット7側へと移動)させることで、変位部材76が往動する。その結果、連動伝達部71が一方側へと回動することに伴い支持部42及び栓蓋53が上動し、排水口103が開状態とされる。
【0149】
一方、排水口103が開状態であるときに、前記操作部材を変位させ、前記伝達部材を復動(電動ユニット7側から前記操作部材側へと移動)させることで、変位部材76が復動する。その結果、連動伝達部71が他方側へと回動することに伴い支持部42及び栓蓋53が下動し、排水口103が閉状態とされる。
【0150】
上記のように電動及び手動の双方で排水口103の開閉状態を切換可能とすることによって、例えば、モータ77や前記制御手段など、給電により動作する部品が故障したときなどであっても排水口103の開閉状態を切換えることができる。従って、利便性の向上を図ることができる。
【0151】
(g)上記実施形態において、排水管3は封水部35を備えているが、封水部35を備えないものであってもよい。
【0152】
(h)上記実施形態では、栓蓋53(パッキン部53C)が排水口部材2に接触することで、排水口103が閉鎖されるように構成されているが、栓蓋53(パッキン部53C)が浴槽100(底面部101)に接触することで、排水口103が閉鎖されるように構成してもよい。
【0153】
(i)上記実施形態では、槽体として浴槽100を例示しているが、本発明の技術思想を適用可能な槽体は浴槽に限定されるものではない。従って、例えば、洗面ボールやキッチンの流し台などの浴槽以外の槽体に対し本発明の技術思想を適用してもよい。
【符号の説明】
【0154】
1…電動式排水栓装置、6…中間伝達部、7,12…電動ユニット、31…配管、34…斜め筒部、34B…端部開口、35…封水部、36…封水面、41…回動部、42…支持部、53…栓蓋、71,122A…連動伝達部、77,121A…モータ(アクチュエータ)、100…浴槽(槽体)、103…排水口、121…第一ユニット構成部、122…第二ユニット構成部、123…介在伝達部、122H,711D…内側パッキン(密閉手段)、122J,722…外側パッキン(密閉手段)。