(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】飲料容器およびキャップ組立体
(51)【国際特許分類】
B65D 47/06 20060101AFI20220203BHJP
B65D 53/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
B65D47/06 120
B65D53/00
(21)【出願番号】P 2018212364
(22)【出願日】2018-11-12
【審査請求日】2021-04-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391003912
【氏名又は名称】コンビ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】住吉 正敏
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-112405(JP,A)
【文献】実開昭57-101767(JP,U)
【文献】実開昭57-199552(JP,U)
【文献】実開昭56-056707(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端で開口し他端を閉鎖された筒状の容器本体と、
前記開口を少なくとも部分的に閉鎖するように取り付けられ、飲み口を形成する飲み口アダプターと、を備え、
前記飲み口アダプターは、前記容器本体に取り付けられるアダプター本体と、アダプター本体に保持された弾性部材と、を有し、
前記アダプター本体は、円筒状の周壁部と、前記周壁部の全長に亘って接続した天壁部と、を有し、
前記弾性部材は、
前記天壁部と前記容器本体の上端面との間に配置される全体として平板状の板状部を含み、前記板状部は、アダプター本体に接触してシール部を形成する第1面と、前記第1面に対向して設けられ前記容器本体の
上端面に接触してシール部を形成する
平坦な第2面と、を含み、前記第1面には、前記アダプター本体を前記容器本体へ取り付けた状態において前記アダプター本体に押し付けられる凸部が、設けられ
、
前記容器本体の上端面は、前記容器本体が画成する開口面に対し、外側に向けて下側に傾斜する傾斜面を有し、
前記凸部は、前記容器本体の前記傾斜面の上側端縁の外側に位置し、
前記凸部は、前記天壁部から前記周壁部に亘って隙間なく接触している、飲料容器。
【請求項2】
前記凸部の少なくとも一部は、前記容器本体の上端面
の上
方に位置し、
前記凸部の幅は、前記上端面の幅よりも小さい、請求項1に記載の飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料容器および飲料容器に用いられるキャップ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、乳幼児用の飲料容器は、飲料が収容される容器本体と、飲み口を形成する飲み口アダプターと、を有している。飲み口アダプターは、容器本体に取り外し可能に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような飲料容器では、飲み口アダプターを容器本体に取り付ける際、飲み口アダプターと容器本体との間との間から飲料が漏れ出ることを防止するため、飲み口アダプターと容器本体とを密着させて、両者の間にシールを形成する必要がある。これには大きな力を要し、飲料容器の取り扱い性を損なっていた。また、飲み口アダプターと容器本体とを互いに対してしっかりと押し付けても、飲み口アダプターには製造誤差等により個体差が生じるため、飲み口アダプターと容器本体との間に安定してシールを形成することは、困難であった。
【0005】
本件発明は、以上の点を考慮してなされたものであって、飲み口アダプターの個体差に依存することなく十分に安定したシールを形成しながら、飲み口アダプターの容器本体への取り付けに必要となる力を低減して、飲料容器の取り扱い性を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による飲料容器は、
一端で開口し他端を閉鎖された筒状の容器本体と、
前記開口を少なくとも部分的に閉鎖するように取り付けられ、飲み口を形成する飲み口アダプターと、を備え、
前記飲み口アダプターは、前記容器本体に取り付けられるアダプター本体と、前記アダプター本体に保持された弾性部材と、を有し、
前記弾性部材は、アダプター本体に接触してシール部を形成する第1面と、前記第1面に対向して設けられ前記容器本体の端面に接触してシール部を形成する第2面と、を含み、前記第1面には、前記アダプター本体を前記容器本体へ取り付けた状態において前記アダプター本体に押し付けられる環状凸部が、設けられている。
【0007】
本発明による飲料容器において、
前記アダプター本体は、円筒状の周壁部と、前記周壁部の全長に亘って接続した天壁部と、を有し、
前記環状凸部は、前記天壁部と前記周壁部との接続部に沿って、配置されてもよい。
【0008】
本発明による飲料容器において、
容器本体の端面は、容器本体が画成する開口面に対し、外側に向けて下側に傾斜する傾斜面を有していてもよい。
【0009】
本発明による飲料容器において、
前記環状凸部は、前記容器本体の前記傾斜面の上側端縁の外側に位置していてもよい。
【0010】
本発明による飲料容器において、
前記アダプター本体は、円筒状の周壁部と、前記周壁部の全長に亘って接続した天壁部と、を有し、
前記弾性部材は前記天壁部に沿って広がる板状部を含み、前記環状凸部は前記板状部と一体的に形成されて前記板状部から突出していてもよい。
【0011】
本発明による飲料容器において、
前記アダプター本体の前記天壁部に孔が形成され、
前記弾性部材は、前記板状部と一体的に形成されて前記飲み口を形成する飲み口部を有し、
前記飲み口部は、前記アダプター本体の前記天壁部に設けられた前記孔を通過していてもよい。
【0012】
本発明による飲料容器において、
閉じた状態で前記飲み口を覆う開閉可能なキャップを更に備えていてもよい。
【0013】
本発明によるキャップ組立体は、
容器本体に取り付けられるキャップ組立体であって、
前記容器本体の開口を少なくとも部分的に閉鎖するように取り付けられ、飲み口を形成する飲み口アダプターを備え、
前記飲み口アダプターは、前記容器本体に取り付けられるアダプター本体と、前記アダプター本体に保持された弾性部材と、を有し、
前記弾性部材は、アダプター本体に接触してシール部を形成する第1面と、前記第1面に対向して設けられ前記容器本体の端面に接触してシール部を形成する第2面と、を含み、前記第1面には、前記アダプター本体を前記容器本体へ取り付けた状態において前記アダプター本体に押し付けられる環状凸部が、設けられている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、飲み口アダプターの個体差に依存することなく十分に安定したシールを形成しながら、飲み口アダプターの容器本体への取り付けに必要となる力を低減して、飲料容器の取り扱い性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施の形態を説明するための図であって、飲料容器を示す側面図。
【
図4】
図2の飲料容器の、I-I線に沿った部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
【0017】
図1乃至
図4は、本発明による飲料容器の一実施の形態を説明するための図である。このうち、
図1および
図2は、それぞれ、飲料容器の全体構成を示す側面図および平面図である。また、
図3は、
図1の飲料容器を示す分解斜視図であり、
図4は、
図2の飲料容器のI-I線に沿った部分断面図である。なお、
図3において、図示の明確化のため、後述するストローの図示を省略している。
【0018】
図1乃至
図4に示す飲料容器1は、使用者(主に乳幼児)が飲み口を通じて茶やジュースなどの飲料を飲むための容器である。飲料容器1は、容器本体2と、上記飲み口を形成し、容器本体2に取り外し可能に取り付けられる飲み口アダプター3と、を備えている。飲み口アダプター3には、閉じた状態で飲み口を覆うキャップ6が取り付けられている。飲み口アダプター3及びキャップ6によって、キャップ組立体が構成されている。
【0019】
容器本体2は、内部に飲料を収容するためのものである。
図3によく示されているように、容器本体2は、一端(上端)で開口し他端(下端)で閉鎖された筒状に形成されている。容器本体2の上端部外周には、飲み口アダプター3を取り付けるための雄ネジ部2sが形成されている。
【0020】
飲み口アダプター3は、容器本体2に取り付けられるアダプター本体4と、アダプター本体4に保持される弾性部材5と、を有する。後述するように、弾性部材5は、飲料容器1の使用者が口を付ける飲み口部20を含む。
【0021】
アダプター本体4は、
図3によく示されているように、一端(上端)が部分的に閉鎖された筒状に形成されている。具体的には、アダプター本体4は、円筒状の周壁部4aと、周壁部4aの上端縁の全長に亘って接続した天壁部4bと、を有している。
図1および
図4に示すように、周壁部4aの下端部内周には、雌ネジ部4sが形成されている。雌ネジ部4sは、容器本体2の雄ネジ部2sと噛み合う。雌ネジ部4sと雄ネジ部2sとを噛み合わせることで、アダプター本体4を容器本体2に取り付けることができる。
図3に示すように、天壁部4bには、弾性部材5が取り付けられる取付孔4hが形成されている。また、天壁部4bには、天壁部4bから容器本体2とは反対の側に突出する突出部4cが設けられている。
図1および
図4に示すように、突出部4cは、その側部に、後述するキャップ6の係合凸部6dと係合し、キャップ6を閉じた状態に保持する係合凹部4dが形成されている。
【0022】
弾性部材5は、
図1、
図3および
図4によく示されているように、板状部10と、飲み口を形成する飲み口部20と、ストロー7が接続されるストロー受容部30と、を有している。板状部10と飲み口部20とストロー受容部30とは、一体的に形成されている。弾性部材5は、乳幼児が飲み口部20に馴染み易いよう、シリコン等の柔らかな材料で作製されている。
【0023】
板状部10は、
図3に示すように、全体として平板状である。
図4に示すように、板状部10は、アダプター本体4の天壁部4bと、容器本体2の開口を画成する環状の上端面2aと、の間に配置される。板状部10は、アダプター本体4の天壁部4bに沿って拡がり、天壁部4bと容器本体2の上端面2aとの間でシールを形成する。より具体的には、板状部10は、アダプター本体4に接触してシール部を形成する第1面11と、第1面11に対向して設けられ、容器本体2の上端面2aに接触してシール部を形成する第2面12と、を含む。
図2および
図4から理解されるように、板状部10には、アダプター本体4の天壁部4bから板状部10に向かう方向(上下方向)に見て、天壁部4bの取付孔4h内となる位置に、容器本体2に通じる飲み口用開口14および通気穴15が設けられている。通気穴15には、通気穴15を閉鎖する弁板部16が設けられている。
【0024】
飲み口部20は、
図3に示すように、板状部10の第1面11から延び出している。飲み口部20は、全体として円筒状である。
図4に示すように、飲み口部20の内部空間は、板状部10の飲み口用開口14を通じて容器本体2の内部空間と連通している。飲み口部20は、アダプター本体4の取付孔4hを貫通している。
【0025】
図2および
図3に示すように、飲み口部20および通気穴15の周囲には、弾性部材5をアダプター本体4に取り付けるための取り付け部40が形成されている。
図4に示すように、取り付け部40は、板状部10の第1面11から突出してアダプター本体4の取付孔4hを貫通している。取り付け部40の上端部には、アダプター本体4の天壁部4bから板状部10に向かう方向(上下方向)に見て取付孔4hの外側に延び出す延出部41が形成されている。延出部41がアダプター本体4の天壁部4bの板状部10とは反対の側に配置されることにより、言い換えると天壁部4bの取付孔4hを画成する縁部が板状部10と延出部41との間に配置されることにより、弾性部材5はアダプター本体4に保持される。
【0026】
ストロー受容部30は、
図1および
図4に示すように、板状部10の第2面12から容器本体2内へ突出している。ストロー受容部30は、円筒状であり、板状部10の飲み口用開口14の周囲に立設されている。ストロー受容部30には、ストロー7の一端が接続されている。
【0027】
なお、上述のように、互いに異なる機能を有する各部10,20,30が一体に形成されていることにより、飲料容器1の部品点数を低減して洗浄時の取り扱い性を改善することができる。また、各部10,20,30のアダプター本体4への組み付けを容易にすることができる。
【0028】
次に、キャップ6について説明する。
図1乃至
図3に示すように、キャップ6は、ドーム状をなしており、閉じた状態で飲み口部20を覆う。キャップ6で飲み口部20を覆うことにより、飲み口部20を衛生的に保つことができる。キャップ6は、飲み口アダプター3のアダプター本体4に、揺動軸線Axを中心として揺動可能に接続している。そして、キャップ6は、飲み口アダプター3に相対動作することで開閉する。
【0029】
キャップ6は、閉じた状態で飲み口部20に対面する内側面6aを有する。この内側面6aには、キャップ6が閉じた状態で上述したアダプター本体4の係合凹部4dと係合する係合凸部6dが設けられている。係合凸部6dと係合凹部4dとが係合することにより、キャップ6は閉じた状態に維持される。
【0030】
また、キャップ6は、その内側面6aから突出して、キャップ6が閉じた状態で飲み口部20を屈曲させ且つ押し潰して閉塞させる閉塞凸部6bを有する。飲み口部20が閉塞されることにより、飲み口部20から飲料が漏れ出ることが防止される。
【0031】
キャップ6は、その内側面6aから突出して、キャップ6が閉じた状態で弾性部材5の通気穴15内に挿入されて、通気穴15を覆う弁板部16を開放する開放凸部6cを有する。通気穴15の弁板部16が開放されることにより、容器本体2の内圧が上昇して飲み口部20から飲料が漏れ出る、ということが防止される。
【0032】
ところで、容器本体と容器本体に取り外し可能に取り付けられる飲み口アダプターとを有する飲料容器においては、飲み口アダプターを容器本体に取り付ける際、飲み口アダプターと容器本体との間から飲料が漏れ出ることを防止するため、飲み口アダプターと容器本体とを密着させて、両者の間にシールを形成する必要がある。これには大きな力を要し、飲料容器の取り扱い性を損なっていた。また、飲み口アダプターと容器本体とを互いに対してしっかりと押し付けても、飲み口アダプターには製造誤差等により個体差が生じるため、飲み口アダプターと容器本体との間に安定してシールを形成することは困難であった。
【0033】
このようなことを考慮して、本実施の形態の飲料容器1は、飲み口アダプター3の個体差に依存することなく十分に安定したシールを形成しながら、飲み口アダプター3の容器本体2への取り付けに必要となる力を低減して、飲料容器1の取り扱い性を改善するための工夫がなされている。
【0034】
具体的には、
図3に示すように、板状部10の第1面11に、その周縁部に沿って環状凸部8が設けられている。この環状凸部8は、アダプター本体4が容器本体2に取り付けられた状態で、アダプター本体4に(より具体的には天壁部4bに)押し付けられる。
【0035】
このような板状部10の第1面11に環状凸部8が形成された弾性部材5を用いた飲料容器1では、環状凸部8が設けられていない弾性部材を用いた飲料容器と比較して、飲み口アダプター3を容器本体2に取り付けるための力を低減させることができる。なぜなら、飲み口アダプター3を容器本体2に取り付ける際、アダプター本体4の天壁部4bと容器本体2の上端面2aとの間で弾性部材5の板状部10が圧縮されて弾性部材5と容器本体2の上端面2aとの間にシールが形成されるが、板状部10の第1面11に環状凸部8が形成されている場合、環状凸部8が設けられていない場合と比較して、アダプター本体4の天壁部4bと容器本体2の上端面2aとの間で圧縮される弾性部材5の体積を低減させることができるからである。
【0036】
また、板状部10の第1面11に環状凸部8を形成して、飲み口アダプター3を容器本体2に取り付ける際に弾性部材5の環状凸部8をアダプター本体4の天壁部4bに積極的に密着させることにより(すなわち、環状凸部8を板状部10の他の部分に先行して天壁部4bに密着させることにより)、アダプター本体4や弾性部材5の個体差によって両者の密着性に違いが生じる虞を低減させることができる。したがって、飲み口アダプター3の個体差に依存することなく、アダプター本体4と弾性部材5との間に十分に安定してシールを形成することができる。
【0037】
図示された例では、
図4から理解されるように、環状凸部8は、アダプター本体4の周壁部4aと天壁部4bとの接続部4eとなる隅部に沿って配置される。これにより、環状凸部8の配置が安定し、安定したシールを形成することができる。
【0038】
さらに、図示された例では、
図4から理解されるように、環状凸部8の少なくとも一部は、容器本体2の環状の上端面2a上に位置している。また、アダプター本体4の天壁部4bから板状部10に向かう方向(上下方向)に見て、環状凸部8の幅8wは、容器本体2の上端面2aの幅2wよりも小さい。これにより、飲み口アダプター3を容器本体2に取り付ける際、アダプター本体4の天壁部4bと容器本体2の上端面2aとの間で圧縮される弾性部材5の体積を、環状凸部8が設けられていない場合と比較して、効果的に低減させることができる。また、飲み口アダプター3を容器本体2に取り付ける際、環状凸部8をアダプター本体4の天壁部4bに積極的に密着させるということ(すなわち、環状凸部8を板状部10の他の部分に先行して天壁部4bに密着させるということ)を、効果的に実現することができる。
【0039】
なお、図示された例では、環状凸部8は、板状部10と一体的に形成されて、板状部10の第1面11から突出している。このように環状凸部8が板状部10に支持されていることで、環状凸部8の捻れ等を防止することができ、また環状凸部8の配置を安定させることができる。したがって、環状凸部8とアダプター本体との間に安定したシールを形成することができる。
【0040】
また、容器本体2の環状の上端面2aは、アダプター本体4の天壁部4bに正対する環状の第1上端面2bと、環状の第1上端面2bにその外側または内側から接続し、天壁部4bに対して傾斜した環状の第2上端面2cと、を有する。容器本体2の上端面2aのうち環状の第1上端面2bは、飲み口アダプター3を容器本体2に取り付ける際、環状の第2上端面2cに先行して弾性部材5の板状部10に接触し、板状部10を圧縮して弾性部材5との間にシールを形成する。このことによっても、飲み口アダプター3を容器本体2に取り付けるための力を低減させることができる。なぜなら、容器本体2の環状の上端面2aの全てが天壁部4bに正対する場合と比較して、アダプター本体4の天壁部4bと容器本体2の上端面2aとの間で圧縮される弾性部材5の体積を低減させることができるからである。
【0041】
図示された例では、第2上端面2cは、第1上端面2bにその外側から接続し、容器本体2が画成する開口面(環状端面によって囲まれる面)に対し、環状の上端面2aの外側に向けて、容器本体2の上下方向における下側に傾斜している。これにより、天壁部4bと周壁部4aとの接続部4eとなる隅部に向けて環状凸部8を押し付けることが可能となる。このことによっても、環状凸部8の配置を安定させることができ、環状凸部8とアダプター本体4との間に安定したシールを形成することができる。
【0042】
また、
図4によく示されているように、環状凸部8は、第1上端面2bの外側(すなわち、第2上端面2cの上側端縁2dの外側)に位置している。これにより、天壁部4bと周壁部4aとの接続部4eとなる隅部に向けて環状凸部8を押し付けるということを、より効果的に実現することができる。したがって、環状凸部8の配置を効果的に安定させることができ、環状凸部8とアダプター本体4との間にさらに安定したシールを形成することができる。
【0043】
上述してきた一実施の形態によれば、飲料容器1は、一端で開口し他端を閉鎖された筒状の容器本体2と、上記開口を少なくとも部分的に閉鎖するように取り付けられ、飲み口を形成する飲み口アダプター3と、を備えている。飲み口アダプター3は、容器本体2に取り付けられるアダプター本体4と、アダプター本体4に保持された弾性部材5と、を有している。弾性部材5は、アダプター本体4に接触してシール部を形成する第1面11と、第1面11に対向して設けられ容器本体2の端面に接触してシール部を形成する第2面12と、を含んでいる。そして、第1面11には、アダプター本体4を容器本体2へ取り付けた状態においてアダプター本体4に押し付けられる環状凸部8が、設けられている。
【0044】
このような飲料容器1によれば、飲み口アダプター3を容器本体2に取り付ける際に押し潰される弾性部材5の体積を低減させることができ、飲み口アダプター3を容器本体2に取り付けるための力を低減させることができる。また、飲み口アダプター3を容器本体2に取り付ける際に弾性部材5の環状凸部8をアダプター本体4に積極的に密着させることができるため、アダプター本体4や弾性部材5の個体差によって両者の密着性に違いが生じる虞を低減させることができる。したがって、飲み口アダプター3の個体差に依存することなく、アダプター本体4と弾性部材5との間に十分に安定してシールを形成することができる。以上により、上記飲料容器1によれば、飲み口アダプター3の個体差に依存することなく十分に安定してシールを形成しながら、飲み口アダプター3の容器本体2への取り付けに必要となる力を低減して、飲料容器1の取り扱い性を改善することができる。
【0045】
上述の一具体例において、アダプター本体4は、円筒状の周壁部4aと、周壁部4aの全長に亘って接続した天壁部4bと、を有する。そして、環状凸部8は、天壁部4bと周壁部4aとの接続部4eに沿って配置される。これにより、環状凸部8が天壁部4bと周壁部4aとの接続部4eとなる隅部に沿って配置され、環状凸部8の配置を安定させることができる。この結果、環状凸部8とアダプター本体4との間に、安定したシールを形成することができる。
【0046】
上述の一具体例において、容器本体2の端面2aは、容器本体2が画成する開口面に対し、外側に向けて下側に傾斜する傾斜面(第2上端面)2cを有している。これにより、天壁部4bと周壁部4aとの接続部4eとなる隅部に向けて環状凸部8を押し付けることができ、環状凸部8の配置を効果的に安定させることができる。この結果、環状凸部8とアダプター本体4との間に、安定したシールを効果的に形成することができる。
【0047】
上述の一具体例において、環状凸部8は、上記傾斜面(第2上端面)2cの上側端縁2dの外側に位置している。これにより、天壁部4bと周壁部4aとの接続部4eとなる隅部に向けて環状凸部8を押し付けて環状凸部8の配置を安定させる、ということを効果的に実現することができる。そして、環状凸部8とアダプター本体4との間に、安定したシールを効果的に形成することができる。
【0048】
上述の一具体例において、アダプター本体4は、円筒状の周壁部4aと、周壁部4aの全長に亘って接続した天壁部4bと、を有している。また、弾性部材5は天壁部4bに沿って広がる板状部10を含み、環状凸部8は板状部10と一体的に形成されて板状部10から突出している。環状凸部8が板状部10に支持されることで、環状凸部8の捻れ等を防止することができ、環状凸部8の配置を安定させることができる。これにより、環状凸部8とアダプター本体4との間に、安定したシールを形成することができる。
【0049】
上述の一具体例において、アダプター本体4の天壁部4bに孔(取付孔)4hが形成されている。また、弾性部材5は、板状部10と一体的に形成されて飲み口部20を形成する飲み口部20を有している。そして、飲み口部20は、アダプター本体4の天壁部4bに設けられた孔4hを通過している。このように異なる機能を有する各部10,20が一体的に形成されることにより、飲料容器1の部品点数を低減して洗浄時等の取り扱い性を改善することができる。また、各部10,20のアダプター本体4への組み付けを容易にすることができる。
【0050】
上述の一具体例において、飲料容器1は、閉じた状態で飲み口を覆う開閉可能なキャップ6を更に備えている。キャップ6で飲み口部20を覆うことにより、飲み口部20を衛生的に保つことができる。
【0051】
あるいは、上述してきた一実施の形態によれば、キャップ組立体は、容器本体2に取り付けられるキャップ組立体であって、容器本体2の開口を少なくとも部分的に閉鎖するように取り付けられ、飲み口を形成する飲み口アダプター3を備えている。飲み口アダプター3は、容器本体2に取り付けられるアダプター本体4と、アダプター本体4に保持された弾性部材5と、を有している。弾性部材5は、アダプター本体4に接触してシール部を形成する第1面11と、第1面11に対向して設けられ容器本体2の端面2aに接触してシール部を形成する第2面12と、を含み、第1面11には、アダプター本体4を容器本体2へ取り付けた状態においてアダプター本体4に押し付けられる環状凸部8が、設けられている。
【0052】
このようなキャップ組立体によれば、飲み口アダプター3を容器本体2に取り付ける際に押し潰される弾性部材5の体積を低減させることができ、飲み口アダプター3を容器本体2に取り付けるための力を低減させることができる。また、飲み口アダプター3を容器本体2に取り付ける際に弾性部材5の環状凸部8をアダプター本体4に積極的に密着させることができるため、アダプター本体4や弾性部材5の個体差によって両者の密着性に違いが生じる虞を低減させることができる。したがって、飲み口アダプター3の個体差に依存することなく、アダプター本体4と弾性部材5との間に十分に安定してシールを形成することができる。以上により、上記キャップ組立体によれば、飲み口アダプター3の個体差に依存することなく十分に安定してシールを形成しながら、飲み口アダプター3の容器本体2への取り付けに必要となる力を低減して、飲料容器1の取り扱い性を改善することができる。
【0053】
一実施の形態を複数の具体例により説明してきたが、これらの具体例が一実施の形態を限定することを意図していない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施されることが可能であり、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、飲み口部20の形状は図示したものに限られず、種々の形態を取ることができる。また。環状凸部8は、板状部10と別体であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 飲料容器
2 容器本体
2a 上端面
3 飲み口アダプター
4 アダプター本体
4a 周壁部
4b 天壁部
4e 接続部
5 弾性部材
6 キャップ
7 ストロー
8 環状凸部
10 板状部
11 第1面
12 第2面
20 飲み口部
30 ストロー受容部