(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】フルパッドカバレッジバウンダリスキャン
(51)【国際特許分類】
G01R 31/28 20060101AFI20220128BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20220128BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
G01R31/28 V
H01L27/04 T
(21)【出願番号】P 2018556862
(86)(22)【出願日】2017-05-01
(86)【国際出願番号】 US2017030359
(87)【国際公開番号】W WO2017190123
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2020-04-12
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】プラカシュ ナラヤナン
(72)【発明者】
【氏名】ラジェシュ ミッタル
(72)【発明者】
【氏名】ラジャ メロトラ
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第99/052033(WO,A1)
【文献】特開2009-003775(JP,A)
【文献】特開2013-079941(JP,A)
【文献】特開平09-034864(JP,A)
【文献】特開2000-030499(JP,A)
【文献】特開2002-352202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/28-31/30
H01L 21/822
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路であって、
機能的回路要素と、
テスト回路要素と、
第1の状態においてテスト信号を前記テスト回路要素に通信し、
第2の状態において入力/出力信号を前記機能的回路要素に通信する、第1のセットのパッドと、
前記第1のセットのパッドとは異なる第2のセットのパッドであって、前記第2の状態において前記第1のセットのパッドと関連する信号をテストするために
前記第2の状態においてテスト信号を前記テスト回路要素に通信する、前記第2のセットのパッドと、
を含む、集積回路。
【請求項2】
請求項1に記載の集積回路であって、
前記テスト回路要素が、複数のスキャンセルを含む構成可能なスキャンチェーンを含み、前記複数のスキャンセルにおける各セルが、前記第1のセットのパッド
と前記第2のセットのパッド
との一方におけるそれぞれのパッドに関連付けられる、集積回路。
【請求項3】
請求項2に記載の集積回路であって、
前記第1のセットのパッドが、前記構成可能なスキャンチェーンにおけるそれぞれのスキャンセルをバイパスするテスト信号を通信するように、前記第1の状態において前記構成可能なスキャンチェーンを構成するための回路要素
と、
前記第2のセットのパッドが、前記構成可能なスキャンチェーンにおけるそれぞれのスキャンセルをバイパスし
て前記第2の状態において前記第1のセットのパッドにおけるそれぞれのパッドに接続されるバウンダリセルをテストするためである
テスト信号を通信するように、前記第2の状態において前記構成可能なスキャンチェーンを構成するための回路要素
と、
を
更に含む、集積回路。
【請求項4】
請求項2に記載の集積回路であって、
前記複数のスキャンセルにおける各スキャンセルが、
直列チェーンデータを受信する直列レジスタ
と、
前記セルが、前記第2の状態において前記第1のセットのパッドと関連する信号をテストするため
にテスト信号を前記テスト回路要素に通信するために動作されるとき
に、前記直列レジスタにおける直列チェーンデータが前記直列レジスタに対応するパッドに達することを阻止する回路要素
と、
を含む、集積回路。
【請求項5】
請求項1に記載の集積回路であって、
前記第1の状態における前記テスト信号
と前記第2の状態における前記テスト信号
とがJTAG信号を含む、集積回路。
【請求項6】
請求項1に記載の集積回路であって、
前記第1のセットのパッドがデュアルユースパッドを含む、集積回路。
【請求項7】
請求項1に記載の集積回路であって、
前記第1のセットのパッドが、
1つの時間にJTAGテスト信号を通信するパッド
と別の時間にUART信号を通信するパッド
とを含む、集積回路。
【請求項8】
請求項1に記載の集積回路であって、
前記第1のセットのパッドが、
1つの時間にJTAGテスト信号を通信するパッド
と別の時間にSPI信号を通信するパッド
とを含む、集積回路。
【請求項9】
請求項1に記載の集積回路であって、
前記第1のセットのパッドが、
1つの時間にJTAGテスト信号を通信するパッド
と別の時間に機能的インタフェース信号を通信するパッド
とを含む、集積回路。
【請求項10】
請求項1に記載の集積回路であって、
前記集積回路のためのパッドの総数が16パッドに等しいか又はそれより少ない、集積回路。
【請求項11】
請求項1に記載の集積回路であって、
前記集積回路のためのパッドの総数が32パッドに等しいか又はそれより少ない、集積回路。
【請求項12】
請求項1に記載の集積回路であって、
前記集積回路のためのパッドの総数が64パッドに等しいか又はそれより少ない、集積回路。
【請求項13】
テスト回路操作性の方法であって、
第1の状態において、機能的回路要素
とテスト回路要素
とを含む集積回路の第1のセットのパッドに
第1のセットのテスト信号を印加し、前記
第1のセットのテスト信号を前記テスト回路要素に通信すること
と、
第2の状態において、前記第1のセットのパッドとは異なる、
前記集積回路の第2のセットのパッドに
第2のセットのテスト信号を印加し、前記第1のセットのパッドに関連付けられる信号をテストするため
に前記テスト回路要素に
前記第2のセットのテスト信号を通信すること
と、
を含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記テスト回路要素が、複数のスキャンセルを含む構成可能なスキャンチェーンを含み、前記複数のスキャンセルにおける各セルが、前記第1のセットのパッド
と前記第2のセットのパッド
との一方におけるそれぞれのパッドに関連付けられる、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記第1のセットのパッドが、前記構成可能なスキャンチェーンにおけるそれぞれのスキャンセルをバイパスするテスト信号を通信するように、前記第1の状態において前記構成可能なスキャンチェーンを構成すること
と、
前記第2のセットのパッドが、前記構成可能なスキャンチェーンにおけるそれぞれのスキャンセルをバイパス
して前記第1のセットのパッドにおけるそれぞれのパッドに前記第2の状態において接続されるバウンダリセルをテストするためである
テスト信号を通信するように、前記第2の状態において前記構成可能なスキャンチェーンを構成すること
と、
を
更に含む、方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法であって、
前記複数のスキャンセルにおける各スキャンセルが、
直列チェーンデータを受信する直列レジスタ
と、
前記第2の状態において前記第1のセットのパッドと関連する信号をテストするため
にテスト信号を前記テスト回路要素に通信するために前記セルが動作されるとき
に、前記直列レジスタにおける直列チェーンデータが前記直列レジスタに対応するパッドに達することを阻止する回路要素
と、
を含む、方法。
【請求項17】
請求項13に記載の方法であって、
前記第1の状態における前記テスト信号
と前記第2の状態における前記テスト信号
とがJTAG信号を含む、方法。
【請求項18】
請求項13に記載の方法であって、
前記第1のセットのパッドがデュアルユースパッドを含む、方法。
【請求項19】
請求項13に記載の方法であって、
前記第1のセットのパッドが、
1つの時間にJTAGテスト信号を通信するパッド
と別の時間にUART信号を通信するパッド
とを含む、方法。
【請求項20】
請求項13に記載の方法であって、
前記第1のセットのパッドが、
1つの時間にJTAGテスト信号を通信するパッド
と別の時間にSPI信号を通信するパッド
とを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、集積回路及び印刷回路基板のバウンダリスキャンに関連する。
【背景技術】
【0002】
バウンダリスキャンは、ロジック、メモリ、及び、集積回路(IC)上又は印刷回路基板(PCB)上のその他の回路をテストするための方法及び関連する回路構成である。典型的に、バウンダリスキャンでは、4又は5つのピンがIC上に含まれ、各ピンは、IC上、又はICがアセンブルされるPCB上の相互接続をテストするためのそれぞれの専用テストアクセスポート(TAP)信号に対応する。具体的には、TAP信号は、ICが適切に機能するか否か、それがPCBに接続されるか否かを判定するため、また、ICピン状態又は測定された電圧を観測することによるデバッグのために有用である。テストは、自動テスト機器(ATE)などにより、製造時に、及び現場での後続のテスト(例えば、デバイスが販売された又は市場に出された後)で成され得る。バウンダリスキャンに関連する付加的な詳細及び規格化はJTAG(Joint Test Action Group)により開発されており、IEEE1149規格及びその.xサブ規格において特定される。
【0003】
更なる背景として、
図1は、従来のバウンダリスキャンアーキテクチャを有するIC10の電気的ブロック図を図示する。簡略化のため、IC10は、TAP信号とインタフェースし、JTAGテストに関連するものとしてのテストアクセスポートTAPコントローラ12と、コアと称されることもあるIC機能的回路要素14とを含むように示され、IC機能的回路要素14は、JTAGテストとは別の、IC10の種々の回路機能の概括的表示である。また、IC10は、デバイスの周囲の種々の位置に示される多数のI/OパッドP
0~P
15を含む。パッドP
0~P
4は、下記表1に示すように、それぞれの及び既知のJTAG TAP関連信号を搬送する。
表1に示されるように、パッドP
4は、JTAGテストデータの入力を可能にし、パッドP
0は、JTAGテストデータの出力を可能にし、残りのパッドP
1~P
3は、信号をTAPコントローラ12に提供する。命令レジスタ16は、典型的に、受信された信号に対してとるオペレーション(例えば、信号がパスされるべきデータレジスタを定義すること)を示すため、現在のJTAG命令をストアする。バイパスレジスタ18は、入力から出力に直接パスするように、TDIにセルC
0~C
15のチェーンをバイパスさせる単一ビットレジスタセルである。IDレジスタ20は、IC10に対するIDコード及び改定数をストアするためであり、それにより、IC10を、IC10のためのバウンダリスキャン構成情報をストアするファイルにリンクさせ得る。
【0004】
JTAG関連パッドP0~P4とは別に、残りのICパッドP5~P15の各々は、それぞれのバウンダリスキャンセルC5~C15を介して機能的回路要素14に接続される。そのため、このようなパッドは、機能的回路要素14によって成されるようなその意図されるオペレーションに関連して、IC10のI/Oを表す。しかし、JTAGテストに関連して、スキャンセルC5~C15の各々は、少なくとも一つの他のスキャンセルに接続され、それにより、スキャンチェーンを形成する。JTAGの目的のため、データは、それぞれのパッドにより各セルに入力され得、又は機能的回路要素14から各セルにおいてキャプチャされ、その後、このようなデータは、チェーンに沿って連続的にシフトされ得、そのため、それが最後のこのようなセルC15からTDO情報として出力される。従って、このようにして、機能的回路要素14からのI/O接続性及びデータ状態は、IC10の適切なオペレーションを確認するために評価され得る。
【0005】
上述した手法は、多数のアーキテクチャにわたるIC及びPCBテストにおいて効率的であることが証明されているが、IEEE1149.x規格は、JTAGパッド自体がそれぞれのスキャンセルに接続されないことを必要とする。従って、
図1の例では、パッドP
0~P
4は、このようなそれぞれのセルに接続されない。しかしながら、このような要求は制約を課す。
【発明の概要】
【0006】
記載される例において、集積回路が、機能的回路要素及びテスト回路要素を含む。また、集積回路はパッドのセットを含み、このパッドのセットは、テスト信号をテスト回路要素に通信するため第1の状態で動作し得、及び、入力/出力信号を機能的回路要素に通信するため第2の状態で動作し得る。また、集積回路は、パッドの上記セットとは異なる第2のセットのパッドを含み、第2のセットのパッドは、パッドの上記セットと第2の状態において関連する信号をテストするためにテスト信号をテスト回路要素に通信するため第2の状態で動作し得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】従来のバウンダリスキャンアーキテクチャを有するIC10の電気的ブロック図を図示する。
【0008】
【
図2A】例示の一実施例に従った及びJTAGテスト信号の第1のセットを受け取るための第1のスイッチされた状態における、IC200の電気的ブロック図を図示する。
【0009】
【
図2B】
図2の及びJTAGテスト信号の第2のセットを受け取るための第2のスイッチされた状態における、IC200の電気的ブロック図を図示する。
【0010】
【
図3】IC200のオペレーションの例示の方法300のフローチャートを図示する。
【0011】
【
図4】代替の例示の実施例のIC200’の電気的ブロック図を図示する。
【0012】
【
図5】
図4のIC200’におけるセルのために用いられ得るセルC
xのための構造を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図2a及び
図2bは、例示の一実施例に従ったIC200の電気的ブロック図を図示する。IC200は、
図1に関連して上述したものに類似する種々の機能ブロックを含む。明確にするため、
図2a及び
図2bのブロックは、
図1の参照番号に200を加えて番号を付している。そのため、JTAG信号を処理すること及びIC機能性に関連して、IC200は、TAPコントローラ212、機能的回路要素(又はコア)214、命令レジスタ216、バイパスレジスタ218、及びIDレジスタ220を含む。しかし、例示の実施例に関連して、このようなブロックは、2つの異なるそれぞれのセットのパッド(例えば、ピン)からのJTAG信号のセットに関連して動作する。
図2aにおいて、JTAG信号の第1のそのようなセットが、パッドP
0~P
4に対して0の下付き文字を備えて示されている。
図2bにおいて、JTAG信号の第2のそのようなセットが、パッドP
5~P
9に対して1の下付き文字を備えて示されている。従って、これ以降に記載されるように、IC200は、2つの異なる状態において動作し得、これらは各々、異なるスイッチされた信号経路を用いて成され、
図2aは、バイナリの意味で0の状態として示される第1のそのような状態を示し、
図2bは、バイナリの意味で1の状態として示される第2のそのような状態を示す。これ以降に記載されるように、このような状態は、状態機械又は類似の制御を用いて実装されてもよく、それにより、組み合わされた2つの状態がIC200の全てのパッドのフルJTAGバウンダリスキャンを可能にする。
【0014】
図2aを更に詳細に参照すると、IC200は、例示のIC200が16ピンデバイスであるように、多数のパッドP
0~P
15を含む。更に、それぞれのバウンダリスキャンセルC
0~C
15が各パッドに対して存在し、それにより、バウンダリセルスキャンチェーンを形成する。そのため、例示の実施例において、固定のJTAGパッドが対応するバウンダリスキャンセルを有さない従来の手法(
図1の例において表わされるものなど)とは対照的に、これ以降に更に記載される理由のため、各デバイスパッドが、対応するバウンダリスキャンセルを有する。
【0015】
上述したように、第1のセットのパッド、即ちパッドP
0~P
4は、下記表2において要約されるように、JTAG信号の第1のセットを受け取るために
図2aに示されている。
また、表2のパッドP
0~P
4の各々は、
図2aに示すように第1の状態において、JTAGテストを達成するためそのそれぞれのJTAG信号が適切に配路されるように、各このようなスイッチング要素がパッドを相互接続するように、それぞれのスイッチング要素S
0~S
4に接続される。従って、この第1の状態では:(i)パッドP
1~P
3は、TAPコントローラ212に接続され、(ii)パッドP
0は、バウンダリスキャンセルC
15からTDO
0としてデータを受け取るように接続され、セルのシーケンスにおける最後のセルが
図2aにおいて構成されるようにバウンダリチェーンを形成し、及び(iii)パッドP
4は、そのTDI
0信号が、マルチプレクサ222及びスイッチング要素S
222を介して、バウンダリスキャンセルC
5で開始するバウンダリスキャンチェーンに入力され得るように接続され、また、その信号は、命令レジスタ216、バイパスレジスタ218、及びIDレジスタ220に接続される。
【0016】
また、
図2aに示すようにIC200は、第2のセットのパッド、即ちパッドP
5~P
9を含み、これらは各々、第1の状態において、
図2aに示すように、下記表3において要約されるように、各このようなスイッチング要素が、パッドをスキャンセルチェーンにおけるそれぞれのバウンダリスキャンセルに相互接続するように、それぞれのスイッチング要素S
5~S
9に接続される。
また、第1の状態において、バウンダリセルC
5~C
9の各々は、それぞれのパッドと、セルを介する、機能的回路要素214への間の排他的パススルー接続経路を提供する。この点で、「排他的」は、各バウンダリパッドが、一つのそれぞれのピンと機能的回路要素214との間のパススルーのみを可能にすることを示す。従って、このような接続性は、パッド又は機能的回路要素214からの信号が、それぞれのセルにおいてキャプチャされ得るようにし、その後、信号は、最終的にその信号が出力データTDOとしてスキャンセルチェーンから提供されるように、順次、次に続くセルにシフトされ得る。
【0017】
IC200はまた、パッドの第1又は第2のセット以外のパッドを含み、従って、そのような付加的なパッドは、第3のセットのパッドと考えられ、これらは、JTAG信号を受け取るように動作しない可能性がある。
図2aの例において、パッドのこの第3のセットは、パッドP
10~P
15として示される。第3のセットのパッドにおける各パッドは、好ましくは、下記表4に要約されるように、チェーンにおけるそれぞれの及び排他的なパススルーバウンダリスキャンセルに、パッドの第1及び第2のセットの場合のようなスイッチング要素なしに、直接接続される。
従って、それぞれのパッドの、セルを介する、機能的回路要素214への間の排他的接続経路は、パッド又は機能的回路要素214からの信号が、それぞれのセルにおいてキャプチャされ得るようにし、その後、信号は、最終的にその信号がスキャンセルチェーンから出力データTDOとして提供されるように、順次、次に続くセルにシフトされ得る。
【0018】
図2aの締めくくりとして、バウンダリセルC
15は、また、デマルチプレクサ224の入力に出力され、デマルチプレクサ224は、0状態に対し、その状態でセルC
15の出力がパッドP
0に接続されるように、デマルチプレクサ入力をスイッチング要素S
0を介してパッドP
0に接続する第1の出力を有する。また、後に説明する理由のため、デマルチプレクサ224は、1状態に対し、デマルチプレクサ入力をバウンダリスキャンセルC
0に接続する第2の出力を有する。また、命令レジスタ216、バイパスレジスタ218、及びIDレジスタ220の出力の各々は、マルチプレクサ226の入力に接続され、マルチプレクサ226は、0状態に対し、デマルチプレクサ入力をマルチプレクサ224の入力に接続する第1の出力を有する。従って、上述したように、後者は、0状態の間、その入力を(TDO
0として)ピンP
0に接続し、この状態の間、それらのレジスタの出力がピンP
0に接続され得るようにする。
【0019】
図2bをより詳細に参照すると、IC200が第2の状態で示され、種々のスイッチ位置及びデマルチプレクサ選択の位置に対応する数1を備えて示される。従って、この点で、
図2aからのバウンダリセルのスキャンチェーンのための信号経路は、
図2bにおいて異なる経路に切り替えられ、それにより、第1の状態において、第1のセットのパッド(例えば、P
0~P
4)からの信号がそれぞれのバウンダリセルにパスせず、第2の状態において、第2のセットのパッド(例えば、P
5~P
9)からの信号がそれぞれのバウンダリセルにパスしないという意味で、構成可能なスキャンチェーンを確立する。従って、この点で、
図2bにおいて、下記表5に要約されるように、第2のセットのパッドは、JTAG信号の第2のセットを受け取る。
各第2の状態JTAG信号は、第2の状態において、
図2bに示すように、それぞれのスイッチング要素に接続され、各このようなスイッチング要素がパッドを相互接続して、JTAGテストを達成するためにそれぞれのJTAG信号が適切に配路されるようにする。また、こういった配路は、状態0においてこのようなパッドがそれぞれ排他的に接続されるパススルーバウンダリスキャンセル(即ち、セルC
5~C
9)をバイパスする。従って、この第2の状態では:(i)パッドP
6~P
8は、TAPコントローラ212に接続され、(ii)パッドP
5は、バウンダリスキャンセルC
4からマルチプレクサ222及びスイッチ要素S
5データを介してTDO
1として、
図2bにおいて構成されるようにバウンダリチェーンを形成するセルのシーケンスにおける最後のセルを受け取るように接続され、及び(iii)パッドP
9は、そのTDI
1信号が、マルチプレクサ228を介して、バウンダリスキャンセルC
10で開始するバウンダリスキャンチェーンに入力され得るように接続され、また、その信号は、命令レジスタ216、バイパスレジスタ218、及びIDレジスタ220に接続される。
【0020】
また、
図2bに示すように、IC200は第1のセットのパッドを含む。しかしながら、バウンダリセルの構成可能なスキャンチェーンへの接続性の変化に起因して、第1のセットのパッドにおける各パッド、即ちパッドP
0~P
4は、第2の状態において、下記表6に要約されるように、それぞれのスイッチング要素S
0~S
4を介して、スキャンセルチェーンにおけるそれぞれのバウンダリスキャンセルに接続される。
また、バウンダリセルC
0~C
4の各々は、機能的回路要素214にも接続される。
【0021】
図2bの締めくくりとして、IC200も、パッドの第1又は第2のセットにおけるもの以外のパッドを含み、従って、そのような付加的なパッドは、第3のセットのパッドと考えられ得、これらは、JTAG信号を受け取るように動作しない可能性がある。そのため、
図2aの例にあるように、パッドのこの第3のセットを
図2bにパッドP
10~P
15として示し、上述の表4に要約されたように、各々、そのチェーンにおけるそれぞれのバウンダリスキャンセルに直接接続される。
【0022】
図3は、IC200のオペレーションの例示の方法300のフローチャートを図示する。方法300は、TAPコントローラ212の一部として含まれる状態機械を用いて、又は、IC200上に個々に位置するか、又は自動テスト装置(ATE)を用いるなど、部分的に外部から、その他の回路要素及び制御により達成され得る。方法300は、JTAGテスト開始工程310で開始し、JTAGテスト開始工程310において、例として、このようなテストは、ATEを介するなど製造業者ロケーションで、又は、IC又はPCBレベルなど、のちに現場で成され得る。一つの例示の実施例において、工程310は、IC200が起動されるとき、つまり、パワーオンリセット手順の一部として、成され得る。
【0023】
工程310の後、方法300は工程320に続く。工程320において、IC200は、上述した第1の状態0において動作し、その場合、マルチプレクス及びデマルチプレクスするスイッチング要素は
図2aに示すとおりである。同時に、所定の状態で第1のセットのパッドに印加されるJTAG信号の第1のセット(例えば、現代の規格に従って4つ又は5つの信号)が、それぞれの排他的パススルーバウンダリチェーンセルに接続されず、これらのJTAG信号の各々は、特定の信号に基づいて及び上述したように適切に配路される。そのため、上記の表2が、JTAG信号のこの第1のセットに対する例を提供する。このような接続の場合、JTAGテストは、その後、この例ではパッドP
5~P
15である、IC200上の残りのパッドに対して実施され、それにより、表3及び4に示されるそれぞれのセルに関連してそれらのパッドをテストする。そのため、パッドP
4はTDIデータをバウンダリスキャンチェーンに導入し得、このバウンダリスキャンチェーンは、状態0において、セルC
5で始まり、セルC
15を介して進むように構成され、信号状態は、それらのセルと機能的回路要素214との間で搬送され得、構成可能なスキャンチェーンに沿って進み得、パッドP
0を介して出力されるTDOデータとして生成され得る。その他のJTAGテストもまた、工程320の構成されたバウンダリチェーンの間、及び工程320の構成されたバウンダリチェーンを用いて達成され得る。
【0024】
工程320の後、方法300は工程330に続く。工程330において、IC200は、上述した第2の状態1で動作され、その場合、マルチプレクス及びデマルチプレクスするスイッチング要素は
図2bに示すとおりである。同時に、JTAG信号の第2のセット(例えば、現代の規格に従って4つ又は5つの信号)が、第1のセットとは異なる第2のセットのパッドに印加され、JTAG信号の第2のセットは、所定の状態においてそれぞれの排他的パススルーバウンダリチェーンセルに接続されず、JTAG信号のこの第2のセットも、信号に基づいて及び上述したように適切に配路される。そのため、上記の表5が、JTAG信号のこの第2のセットに対する例を提供する。このような接続の場合、JTAGテストはその後、状態0において、パッドP
0~P
4である、少なくともJTAG接続されたパッドに対して実施される。また、
図2bの構成の場合、テストは、第3のセットのパッド、即ちパッドP
10~P
15、に対して反復され得る(又は代替のテストが実施される)。そのため、パッドP
9はTDIデータをバウンダリスキャンチェーンに導入し得、このバウンダリスキャンチェーンは、状態1において、セルC
10で始まり、C
15を介して続き、その後元に戻り、及び、セルC
0~C
4を含むが、JTAG信号を受け取るパッドに対応するセル(即ち、C
5~C
9)を含まないように構成される。そのため、工程330を終了した後:(a)工程320において、第1のセットのパッドが、第1のセットにないパッドをテストするためJTAG信号を受け取るために用いられ、及び(b)工程330において、第1のセットのパッドとは異なる第2のセットのパッドが、第1のセットのパッドをテストするためJTAG信号を受け取るために用いられ得る。
【0025】
工程330の後、方法300は工程340に続く。工程340において、IC200の第2のセットのパッドは、状態0構成に再構成され、その後、IC200は、各パッドに対してデバイス仕様及びパッド割り当てに従って動作され得る。従って、この点で、IC200のための第2のセットのパッドは、デュアルパーパスパッドであり得、テストの間JTAGパッドとして(状態1テストにおいて)機能する。工程340における再構成の後、それらのパッドは、それぞれのスキャンセルを介して機能的回路要素214に接続される。その後、方法300は、工程350において完了する。
【0026】
図4は、代替の例示の実施例のIC200’を図示し、IC200’は、種々の機能的及び構造的態様を上述したIC200と共有する。従って、概して、ICは:(i)テスト信号をテスト回路要素に通信するために第1の状態で動作し得る、及び、入力/出力信号を機能的回路要素に通信するために第2の状態で動作し得る第1のセットのパッド、及び(ii)第1のセットのパッドとは異なる第2のセットのパッドであって、第2の状態において第1のセットのパッドと関連する信号をテストするために、テスト信号をテスト回路要素に通信するため第2の状態で動作し得る第2のセットのパッドを備えて提供される。しかし、IC200’では、交互のパッドのセットは、パッドの2つのセットが接続されるスイッチング回路230を用いて促進され、それにより、スイッチング回路230は、パッド及び機能的回路要素214及びタップコントローラ212間で信号を通信し得る。また、タップコントローラ212は、命令レジスタ216、バイパスレジスタ218、及びIDレジスタ220の任意のものと双方向に通信するように動作し得、そのため、2つのパッドのセット(第1の状態に一つ、第2の状態に一つ)の両方が、JTAG信号を回路230において多重化させ得、そのため、JTAG信号の単一出力セットがTAPロジックを駆動し(例えば、それらをタップコントローラ212に結合することによる。タップコントローラ212はその後、必要に応じて、IDレジスタ220、バイパスレジスタ218、及び命令レジスタ216と、更に双方向に通信し得る)、任意のその他のJTAG機能性をサポートする。この点で、回路230及びコントローラ212両方における必須のスイッチング装置を実装するために種々の代替例が可能である。また、IC200’では、
図5に関連してこれ以降に更に記載されるように、特定のセル構造が、
図2a及び2bに示すスイッチング及び多重化装置の代わりに実装され得る。
【0027】
図5は、
図4のIC200’におけるセルC
0~C
15の任意のものの出力及び直列チェーン経路のために用いられ得るセルCxのための構造を図示し、
図5において、類似の回路要素又はその同様の部分が、その入力経路のために実装され得る。セルCxの構造の場合、共有されるパッドの異なる構成にわたってバウンダリスキャンチェーン全体は同じであり得、本明細書において説明されるように付加的な構造が、JTAGのために用いられているそれぞれのパッドに対応するセル間でシフトされる値が、伝搬せず、パッドに影響を与えないことを確実にする。セルCxは、下記入力又は制御信号を含む。
・pararell_input: 機能的ピン多重(muxing)モジュール(これは、機能的回路要素214の一部として含まれ得る)からのデータであり、それにより、機能的使用の場合に関連する信号(例えば、SPI、UART・・・)は、機能的ピン多重モジュールの一部として多重化され、この信号は、マルチプレクサ240に入力される第1のデータであり、マルチプレクサ240に入力される第2のデータは、スキャンチェーンにおける先行セルCx‐1からの直列チェーンデータである。また、pararell_inputは、第1のデータ入力としてマルチプレクサ242に入力され、マルチプレクサ242に入力される第2のデータは、マルチプレクサ244の出力である。
・pararell_input_tpm: テストピン多重モジュールからのデータであり、それにより、テスト使用の場合に関連する信号(例えば、スキャン、dmled、・・・)は、テストピン多重モジュールの一部として多重化され、この信号は、マルチプレクサ244に入力される第1のデータであり、マルチプレクサ242に入力される第2のデータは、マルチプレクサ246の出力である。
・top_bsc_shift: pararell_input信号又はスキャンチェーンにおける先行セルCx‐1からのシフトされたデータとの間で選択するためマルチプレクサ240を制御する。
・clock_dr: マルチプレクサ240の出力からのデータにおけるクロックに直列レジスタフリップフロップ248をクロックする一方、データをラッチアウトレジスタフリップフロップ250に出力する。
・top_bsc_update: ラッチアウトレジスタフリップフロップ250を直列レジスタフリップフロップ247の出力からのデータにおけるクロックにクロックする一方、マルチプレクサ246に入力される第1のデータ値に出力する。
・top_bsc_output_mode: バウンダリスキャンセルがI/Oを駆動する、前の(ex)テストモードを特定するための信号であり、この信号は、マルチプレクサ252に入力される第1のデータである。
・test_path_select: scan/dmled/PBISTなどに関連するデザインフォーテスト(DFT)テスト経路を可能にするため、パッドに出力されるべきpararell_input_tpmを選択するためにマルチプレクサ252に入力される制御信号である。
【0028】
また、セルCxに関連付けられるのは、4ビットデータレジスタ254であり、その4ビットは次のように接続される。
・b0: マルチプレクサ241の制御。
・b1: マルチプレクサ252に入力される第2のデータ値。
・b2: マルチプレクサ246の制御。
・b3: マルチプレクサ246に入力される第2のデータ値。
【0029】
セルCxのオペレーションは次の通りである。
図2a及び2bのIC200は、スイッチ及び或るマルチプレクサを示し、一つの状態において、第1のセットのパッドがJTAGピンのために用いられ得、第2のセットのパッドは、信号をそれぞれのセルに結合する。その場合、その第1のセットに対し、スイッチは或るセルをバイパスさせ得る。
図5に対し、IC200’において、類似の結果を提供する際、セルCxは、一つの状態に対し、非JTAGテスト又はその他のデータをパッドに出力し得、及び別の状態に対し、JTAGスキャンチェーンデータがパッドに出力され得る。具体的には、レジスタ254におけるビットは、「pararell_input_tpm」からの経路又はラッチアウトレジスタ250の経路(即ち、マルチプレクサ246を制御することにより)を選択するようにプログラムされ(又は代替としてハードコーディングされ(hard-coded))、そのため、選択された選択肢が、その後、マルチプレクサ242を介してパッドにパスし得るようにする。そのため、直列レジスタ248は、両方の状態においてバウンダリスキャンチェーンの一部であり、バウンダリスキャンチェーン全体を異なる構成にわたって同じとする一方で、レジスタ254(又はハードコーディングされる)値が、直列レジスタ248における値のシフトが、所望とされない場合に、パッドに伝搬せず影響を与えないことを確実にする。具体的には、JTAGテストのために第1のセットのパッドが用いられる第1の状態において、このようなパッドに対応する各セルCxのための直列レジスタ248は、チェーンにおける先行セルからの値においていくらかシフトされ得るが、その値はパッドに伝搬せず、そのため、パッドは、テストに必要とされるように(即ち、パッドへの代わりにpararell_input_tpmを提供することにより)機能し続ける。第2のセットのパッドがJTAGテストのために用いられる第2の状態において、JTAGパッドの第1のセットに対応するセルにおける直列レジスタ値は、(レジスタ250、及びマルチプレクサ246、244、及び242を介して)各それぞれのパッドに伝搬され得、それにより、それらが、バウンダリスキャンテストを通して、制御可能でありテスト可能であることを確実にする。
【0030】
本明細書の上記記載を考慮すると、例示の実施例は、IC及び印刷回路基板(PCB)のバウンダリスキャンにおける改善を提供する。具体的には、例示の一実施例のICはパッドの共有を可能にし、そのため、第1の状態において、JTAGテストのためにそれらのパッドが用いられ得、その状態の間、ピンバイパス又はその他の方式が、(データを機能的回路要素214を通過させるのではなく、TDI及びTDOパッドはチェーンからデータを入力及び出力するため直列に接続されるが)構成可能なスキャンチェーンにパススルー接続されず、及び、第2の状態において、パッドは、排他的なそれぞれのスキャンセルにパススルー接続される非JTAG信号のために用いられ、及び付加的なパッドがその第2の状態の間デュアルユースパッドのJTAGテストのために用いられるようにする。そのため、ICパッドのセットが、ユニバーサル非同期レシーバ/トランスミッタ(UART)のための入力/出力などの機能的インタフェースのため、又はシリアル・ペリフェラル・インタフェース(SPI)としてなど、JTAGテストを超える第2の機能を行ない得る。そのため、低電力無線周波数デバイスなどの低パッドカウントデバイスでは、第1のセットのパッドは、一方がJTAG機能、他方がJTAGに関連しない他の機能の、2つの異なる機能に対して供給され得、ここで、それにも関わらず、パッド(及び関連する信号及び機能)自体は、それらのパッドがJTAGパッドとして機能しない或る状態でテストされたJTAGであり得、JTAGパッドの第2のセットが、構成可能なスキャンチェーンを介して一時的にイネーブルされる。「低パッドカウント」への参照は、応用例又はその他の考慮に基づいて変化し得、そのため、例示の実施例は、64パッドより少なく、32パッドより少なく、又は16パッドより少なくし得る。このようなアプローチは、パッドの数が低減され得るにつれてデバイスコストを低減し、又は全てのパッドのためのフルJTAGテストが、比較的低パッド数デバイスで可能とされる。そのため、例示の実施例は、何等かの(例えば、安全性、オートモーティブの)資質に対して重要な要件であり得るように、機能的インタフェースのためJTAGパッドを共有するデバイスに対する100%の入力/出力テストカバレッジを可能にする。また、ボードテストは、通常、デュアルユースパッドを備えるデバイスに対して2つの異なるアクセスプロトコルを必要とし、ここで、一つの用途はJTAGであり、それに対して、このようなパッド(
図1の例におけるものなど)に対して存在する対応するバウンダリセルはないので、スキャンチェーンJTAGテストがデュアルユースパッドのために可能とされない一方で、例示の実施例はデュアル要件をなくし得る。
【0031】
図2a及び
図2bは、それぞれの異なる状態におけるJTAGテストに対する選択されたセルのパススルー接続性をバイパスするように、バウンダリセルの構成可能なスキャンチェーンをつくるためのスイッチング構成の一例を図示するが、種々の代替例が可能である。例えば、例示の一実施例は16パッドを含むように示されるが、種々のその他の数のパッドが実装され得る。また、例示の実施例は、任意選択のTRST(テストリセット)JTAG信号を含む又は含まないようにつくられ得る。
【0032】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に改変が成され得、他の実施例が可能である。