(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】位置決め測定を促進する通信方法および装置
(51)【国際特許分類】
H04W 52/02 20090101AFI20220114BHJP
H04W 24/10 20090101ALI20220114BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20220114BHJP
【FI】
H04W52/02 111
H04W24/10
H04W64/00 140
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020026386
(22)【出願日】2020-02-19
(62)【分割の表示】P 2018208337の分割
【原出願日】2018-11-05
【審査請求日】2020-03-17
(32)【優先日】2009-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514087980
【氏名又は名称】オプティス ワイヤレス テクノロジー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(72)【発明者】
【氏名】カズミ, ムハンマド
(72)【発明者】
【氏名】リンドフ, ベングト
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー, ウォルター
【審査官】玉木 宏治
(56)【参考文献】
【文献】特許第6266032(JP,B1)
【文献】特開2006-041790(JP,A)
【文献】国際公開第2007/148175(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0291729(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 52/02
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線インタフェースを通じて無線アクセスネットワークと通信する無線端末を動作させる方法であって
、前記方法は、
前記無線アクセスネットワークの1つ以上のセルから送信される
位置基準信号について前記無線端末が測定を行うことを示すメッセージを、前記無線端末が
アイドル期間を含む不連続受信(DRX
)モードである間に、前記無線アクセスネットワークから受信することと、
前記メッセージの受信に応じて、前記DRXモードの
少なくとも1つのアイドル期間を短縮または削除することと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
測定を行うことを示すメッセージの受信は、セル識別子の検出を行うことを示すメッセージの受信を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記無線端末の位置を判定するために前記位置基準信号を使用することを更に含む
ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記測定は、異なる複数のセルからの前記位置基準信号の観測到達時間差を測定することを含む
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記位置基準信号は、位置判定用の固有の基準信号である
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記測定の動作が完了すると、前記DRXモードに復帰することを更に含む
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記DRXモードの前記少なくとも1つのアイドル期間の短縮または削除は、前記測定の動作より前に行われる
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
無線インタフェースを通じて無線アクセスネットワークと通信するように構成された無線端末であって、
前記無線アクセスネットワークの1つ以上のセルから送信される
位置基準信号について前記無線端末が測定を行うことを示すメッセージを、
前記無線端末がアイドル期間を含む不連続受信(DRX)モードである間に、前記無線アクセスネットワークから受信する送受信部と、
前記メッセージの受信に応じて、
前記DR
Xモードの
少なくとも1つのアイドル期間を短縮または削除するように構成された、コンピュータに実装された無線リソース制御(RRC)部と、
を備えることを特徴とする無線端末。
【請求項9】
測定を行うことを示すメッセージの受信は、セル識別子の検出を行うことを示すメッセージの受信を含む
ことを特徴とする請求項
8に記載の無線端末。
【請求項10】
前記測定は、前記無線端末の位置を判定するためのものである
ことを特徴とする請求項8または9に記載の無線端末。
【請求項11】
前記測定は、異なる複数のセルからの前記位置基準信号の観測到達時間差を測定することを含む
ことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の無線端末。
【請求項12】
前記位置基準信号は、位置判定用の固有の基準信号である
ことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の無線端末。
【請求項13】
前記コンピュータに実装された無線リソース制御(RRC)部は更に、前記測定の動作が完了すると、前記無線端末を前記DRXモードに復帰させるように構成される
ことを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項に記載の無線端末。
【請求項14】
前記コンピュータに実装された無線リソース制御(RRC)部は、前記測定の動作より前に、前記DRXモードの前記少なくとも1つのアイドル期間を短縮または削除する
ことを特徴とする請求項8乃至13のいずれか1項に記載の無線端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気通信に関するものであり、特に無線端末が不連続受信(DRX:discontinuous reception)モードおよび不連続送信(DTX:discontinuous transmission)モードの少なくともいずれかで動作しているかまたは動作し続けている際に、測定を行う方法および装置に特に関するものである。
【背景技術】
【0002】
典型的なセルラ無線システムでは、無線端末(移動局および/またはユーザ装置ユニット(UE)としても知られている)が、無線アクセスネットワーク(RAN)を介して、1つ以上のコアネットワークと通信する。無線端末は、移動電話機(「セルラ」電話機)や例えば移動終端(mobile termination)などの無線能力を有するラップトップなどの、移動局またはユーザ装置ユニット(UE)であってもよく、従って、例えば、ポータブル型、ポケット型、ハンドヘルド型、コンピュータ内蔵型、または車載型の、無線アクセスネットワークと音声およびデータの少なくともいずれかを通信する移動デバイスであってもよい。
【0003】
無線アクセスネットワーク(RAN)は、地理的エリアをカバーし、その地理的エリアは、セルエリアに分割され、各セルエリアは、ネットワークによっては「ノードB」、「Bノード」、または(LTEでは)eNodeBとも称される無線基地局(RBS)を例とする、基地局からサービスを提供される。セルは、基地局サイトの無線基地局装置が無線カバレッジを提供する地理的エリアである。各セルは、その地域の無線エリア内の識別子によって識別され、その識別子は、セル内でブロードキャストされる。基地局は、基地局の範囲内のユーザ装置ユニット(UE)と、無線周波数で動作しているエアインタフェースを通じて通信する。
【0004】
無線アクセスネットワークの種類によっては、幾つかの基地局が、通常、無線ネットワークコントローラ(RNC)に(例えば、有線または無線で)接続されている。無線ネットワークコントローラは、時には基地局コントローラ(BSC)とも称され、自装置に接続された複数の基地局の種々の動作を管理・調整する。無線ネットワークコントローラは、通常、1つ以上のコアネットワークに接続されている。
【0005】
UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)は、GSM(Global System for Mobile Communications)(登録商標)から発展した第3世代移動通信システムであり、広帯域符号分割多元接続(WCDMA)(登録商標)アクセス技術に基づく改善した移動通信サービスを提供するよう意図されている。UTRAN(Universal Terrestrial Radio Access Network)は、本質的に、ユーザ装置ユニット(UE)に対して広帯域符号分割多元接続を使用する無線アクセスネットワークである。第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)として知られる団体が、UTRANおよびGSMベースの無線アクセスネットワーク技術をさらに発展させることに取り組んでいる。
【0006】
E-UTRAN(Evolved UTRAN)に関する仕様化が、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)内で進行中である。E-UTRANに対して使用される別の名称は、LTE(Long Term Evolution)無線アクセスネットワーク(RAN)である。LTEは、3GPP無線アクセス技術の一変形であり、無線基地局ノードが、無線ネットワークコントローラ(RNC)ノードでなく、コアネットワークに直接接続される。一般にLTEでは、無線ネットワークコントローラ(RNC)ノードの機能は、無線基地局ノードで行われる。このような状況から、LTEシステムの無線アクセスネットワーク(RAN)は、無線ネットワークコントローラ(RNC)ノードに報告しない無線基地局ノードを備える本質的に「フラットな」アーキテクチャを有する。E-UTRANは、無線端末向けに進化型UTRAユーザプレーンおよび制御プレーンプロトコル終端を提供する進化型基地局ノード、例えば進化型ノードBまたはeNBなどを備える。
【0007】
他の無線アクセス技術と同様にLTEでも、ネットワークが無線端末(UE)の地理的位置を妥当な精度で知ることは有利である。実際のところ、国または管轄区によっては、ネットワークが所定の距離範囲(例えば、数十メートル)内かつ規定の時間内にUEの所在を突き止められることを義務付けている。この要件は、UEを操作する人に対する緊急サービスなどのUEへのサービスを促進するために、または安全管理の理由から、課されることが多い。
【0008】
UEの地理的位置についての知識は、通常、UEが自装置の地理的位置を判定し、その地理的位置を、UEを操作する人とネットワークに報告することによってもたらされる。UEを操作する人にその位置を知らせる能力は、UEの操作者にとって大きな有用性を有することがあり、実際のところ、そのような位置報告サービスへの加入は、ネットワークオペレータにとって収入源になり得る。
【0009】
全地球航法衛星システム(GNSS)は、UE操作者などの加入者がその位置を突き止め、他の関連するナビゲーション情報を取得するのを可能にする衛星航法システムに対する標準的な一般名称である。全地球測位システム(GPS)および欧州のガリレオ測位システムは、GNSSの良く知られた例である。
【0010】
全地球航法衛星システム(GNSS)だけでなく、非GNSS測位法もまた、UE位置を判定するために利用されている。1つの提案によれば、状況によっては、GNSSベースの測位法が主要な位置決め(測位)技術(positioning technique)として利用されてもよいのに対して、非GNSS測位法は、補助的またはバックアップの測位技術として利用されてもよい。これに関しては、本明細書に引用して援用する非特許文献1を参照されたい。他のUEの測位技術は、例えば(1)非特許文献2および(2)非特許文献3に記載されており、両方とも、その内容をすべて本明細書に引用して援用する。
【0011】
非GNSS測位法は、地上測位法と称されることも多い。この地上測位法は、通常、UEと基地局などの無線ネットワークノードとの少なくともいずれかが測定した信号に基づき、UE位置を判定する。そのような信号および方法の例には、セル識別子ベースの方法、異なる基地局においてアップリンクにおける信号の到達時間差(U-TDOA)を検出するネットワークベースの方法、3つ以上のセルからの信号の到達時間差を観測するUEベースの方法(OTDOA)、およびフィンガプリント測位法もしくはパターンマッチング測位法が含まれる。
【0012】
セルIDベース測位技術やパターンマッチング測位技術などの、これら地上測位法の中には、検出したセル識別子、受信信号強度、パスロス等のような通常のUE隣接セル測定値を利用するものがある。他方では、U-TDOAやOTDOAなどのある種の方法は、特定の測定値を必要とする。到達時間差などの測定値の中には、ハンドオーバ時の時間合わせ、セル同期の支援等のような他の目的で再使用されるものもある。
【0013】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)では、無線リソース制御(RRC:Radio Resource Control)レイヤとして知られるレイヤ3プロトコルが、UEに対する無線リソースの使用を表現する種々のRRC状態を定めている。一方のUTRANと他方のLTEでは、状態数に違いがある。
【0014】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)は、不連続受信(DRX)として知られる機能もサポートしている。不連続受信(DRX)は、UEが、必要でない時にその無線回路の一部または全部の電源を切ることによって、節電できるようにし、それによって、UEのバッテリ寿命を延ばす。不連続受信(DRX)は、その内容をすべて本明細書に引用して援用する特許文献1に別の視点から記載され、利用されている。
【0015】
UTRANでは、アイドル状態、CELL_PCH状態、URA_PCH状態、CELL_FACH状態、およびCELL_DCH状態の、いくつかのRRC状態がある。E-UTRANのアイドル状態では、UEは、複数のセル(例えば、100~300のセル)からなるセットを備えるトラッキングエリアレベルで所在が分かる。同様にCELL_DCH状態では、UEは、他のUEと共用されない専用の無線リソースを使用する。UEは、その現在のアクティブセットによってセルレベルで所在が分かり、UEは、個別トランスポートチャネル、ダウンリンクおよびアップリンク共用トランスポートチャネル、またはトランスポートチャネルの組み合わせを使用し得る。UTRANのCELL_FACH状態では、UEに個別物理チャネルは割り当てられない。UEは、ダウンリンクでFACHチャネルを継続的にモニタする。UEは、アップリンクでデフォルトの共通または共用のトランスポートチャネル(例えばRACH)を割り当てられる。UTRANのCELL_PCH状態またはURA_PCH状態では、UEに個別物理チャネルは割り当てらず、アップリンク動作は可能でなく、UEは、UTRANからページング情報またはブロードキャスト情報を受信する。不連続受信(DRX)は、今では、3GPPリリース7以降に準拠するすべてのUTRANのRCC状態で使用されている。しかし、CELL_FACH状態およびCEL_DCH状態に関しては、許容されるDRXサイクルがはるかに短い。具体的に言うと、CELL_DCHに関しては、最長DRXサイクルは=40ミリ秒である。
【0016】
LTEに関しては、アイドル状態および接続状態の2つのRRC状態だけしかない。DRXは、両方のLTE状態で使用され、両方の状態においてDRXサイクルは10ミリ秒~2.56秒の範囲である。
【0017】
以降の検討および説明は、LTEにおける不連続受信(DRX)動作に重点的に取り組むが、当該検討および説明は、LTEに限定されず、UTRANを含む他の状況にも適用し得ることを理解すべきである。
【0018】
DRX「サイクル」は、「オン期間」と「DRX期間」とを含む。当該サイクルの「オン期間」部分の間は、ユーザ装置ユニット(UE)は、RRC接続状態におけるスケジューリング割り当てに関して、個別物理制御チャネル(PDCCH)として知られるチャネルをモニタしなくてはならない。LTEでは、ページングもPDCCHにマッピングされる。それ故、アイドル状態のUEは、ページングの受信に関してもPDCCHをモニタする。「DRX期間」中は、UEは、バッテリを節約するためにダウンリンクチャネルの受信を省略し得る。従って、DRXは、バッテリ節約とレイテンシとの間でトレードオフを有し、一方では、長いDRX期間は、UEのバッテリ寿命を長くするのに有益であり、他方では、短いDRX期間は、データ転送の再開時に応答を早める。
【0019】
一般に、DRX機能は、ネットワークが設定し制御する。UEの動作は、UEがスケジューリング割り当てに関して個別物理制御チャネル(PDCCH)をいつモニタしなければならないかを規定するルール・セットに基づいている。
【0020】
UEが無線リソース制御(RRC)コネクションを確立していないとき、すなわちUEが関わる無線送信のための無線ベアラが設定されていないとき、UEは、一般に「スリープ」しているが、DRXサイクルごとに目を覚まし、ページングをモニタする。
【0021】
他方、UEがRRCコネクションを有し、DRX機能が作動している(例えば、LTEのRRC接続状態)とき、DRX機能は、前述のDRXサイクル、前述のオン期間、および非アクティビティタイマによって特徴付けられる。UEは、DRXサイクルごとの始めに目覚め、オン期間の間ずっとPDCCHをモニタする。「オン期間」中にスケジューリングメッセージが受信されると、UEは非アクティビティタイマを開始し、非アクティビティタイマが作動している間、サブフレームごとにPDCCHをモニタする。この期間中、UEは、受信モードと見なされてもよい。非アクティビティタイマが作動している間にスケジューリングメッセージが受信されたときは必ず、UEは、非アクティビティタイマを再始動する。非アクティビティタイマが満了すると、UEは別のDRXサイクルに戻る。スケジューリング割り当てが受信されない場合、UEは、再びスリープする。
【0022】
従って、E-UTRANまたはLTEでは、DRX機能は、アイドルモードおよびRRC接続モードの両方で使用される。前述の位置決め測定(positioning measurements)は、典型的に接続モードで行われる。さらにE-UTRANでは、ネットワークが許容する範囲で、RRC接続モードで広範囲のDRXサイクル(例えば、サイクル長)を用いてもよい。例えば、DRX(すなわち、DRXサイクルの時間長)は、10ミリ秒~2.56秒の間で変わってもよい。DRXサイクルが長くなると、測定と測定との間の時間が長くなり、その結果、UEがセルから受信する信号についてまばらにしか(例えば、少ない頻度でしか)測定し得ないので、測定量(measurement quantities)についての測定性能が劣化することがある。UEがDRX状態のとき、測定期間も、より長く設定されてもよく、また測定期間長は、DRXサイクルによって変わってもよい。
【0023】
測定期間は、例えばUTRANおよびE-UTRANなどの通信において公知の概念である。
図16に示すように、1測定期間は、サンプルであるセルのそれぞれからの幾つかのサンプル(例えば、4~5のサンプル)を必要とする。サンプル数は、変わってもよく、例えば実装固有でもよい。
図16は、(一例として)信号を測定される4つのセルと、各セルの4つのサンプルがある状況を示す。非DRXモードでは、測定期間は、200ミリ秒に標準化されている。セルに関するサンプル値は、測定期間にわたって平均化されてもよい。
【0024】
通常、測定量についての測定期間は、DRXサイクルのK倍、例えばDRXの5倍である。一例として、DRXサイクルが2.56秒に関しては、LTE測定量である基準信号受信電力(RSRP)の測定期間は、約10.28秒である。無線端末(UE)はまた、1つの測定期間中に、一定数のセル、例えばサービングセルを含む6つまたは8つのセルに対して(RSRPなどの)特定のタイプの測定も実行できる。連続受信(非DRXの場合)およびすべての許容されたDRXサイクルに対するすべての標準化された測定量についての測定期間は、3GPP規格に予め定められている。同様に、UEが測定期間にわたって一定の測定量を行うために必要とされるセル数も、その規格に仕様が定められている。
【0025】
そこで、位置決め測定の測定期間もDRXに起因して延長される場合、測定報告遅延も増大するであろう。その結果、無線端末(UE)の位置決め(測位)における応答時間が長くなるであろう。これらの現象は、無線端末(UE)の位置の測定精度に悪影響を及ぼすことがある。
【0026】
UE位置判定の精度は、不連続受信(DRX)によって影響を受けることがあるだけでなく、不連続送信(DTX)からも影響を受けることがある。すなわち、不連続電力制御および測定のためのアイドルギャップの使用などの不連続送信(DTX)も、測位性能に影響を及ぼすことがある。不連続送信(DTX)は、アクティビティまたは送信の周期的なパターンの後に、比較的長い非アクティビティ期間またはアイドル期間が続くのを特徴とする。
【0027】
アップリンク不連続送信(DTX)の場合、基地局は、UEから信号を少ない頻度で(例えば、まばらに)受信し、それ故に、測定を行う機会が少ないであろう。不連続送信(DTX)が長くなると、測定期間が長くなり、それ故に、UE位置の判定において応答時間が長くなるであろう。例として、ネットワークベースの位置決め(測位)のために基地局で行われるラウンドトリップ時間(RTT)測定は、不連続送信(DTX)が使用されると遅れるであろう。
【0028】
UTRANでは、不連続送信(DTX)は、不連続電力制御チャネル(DPCCH)を特徴とし、干渉およびUE電力を減少するために使用されている。同様に、圧縮モードギャップおよび測定ギャップなどの他のアイドルギャップも、UTRANおよびE-UTRANでそれぞれ使用されている。
【0029】
位置決め測定は、通常、RRC接続状態で行われる。UTRANのFDDおよびTDDなどのレガシーシステムでは、位置決め固有の測定および対応する手順が存在する。これらのレガシーシステムでは、RRC接続状態における最長の許容不連続受信(DRX)サイクルは、40ミリ秒に制限され、(位置決め測定を含む)すべてのUE測定の測定期間は、DRXサイクルに対応する。例として、WCDMA SFN-SFNタイプ2位置決め関連測定は、UE受信機がアクティブの際に、データの受信と同時に行われる。これは、DRXサイクルによっては、DRXにおける測定期間が非DRXの場合よりも長いということを意味する。しかし、UTRANにおけるCELL_DCHのDRX(40ミリ秒)が短いために、測位性能に対するDRXの影響はあまり大きくない。
【0030】
E-UTRANでは、RRC接続状態のDRXサイクルは、最大2.56秒までの範囲でもよい。DRX状態では従来、測定量についての測定期間は、DRXサイクルのK倍であり、例えば倍率を5と仮定すると、2.56秒のDRXサイクルに対して10.28秒である。このレベルの測定期間は、位置決め測定としては非常に長い。それ故、E-UTRANにおいて不連続受信(DRX)が使用される場合には、測定期間の拡大(scaling)は望ましくない。この理由は、延長された測定期間が位置決め精度(すなわち、UEからの応答)に悪影響を及ぼし、位置決め精度の要件の達成を妨げかねないからである。
【0031】
不連続送信(DTX)も、測位性能の精度および応答時間に影響を及ぼすことがある。特に、ラウンドトリップ時間(RTT)などのアップリンク測定は、より長いDTXレベルまたはDTXサイクルでUEが動作している場合に遅れることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【文献】米国特許出願第12/475,953号、2009年6月1日出願、発明の名称「USING MOBILITY STATISTICS TO ENHANCE TELECOMMUNICATIONS HANDOVER(通信ハンドオーバを強化するための移動統計の使用)」
【非特許文献】
【0033】
【文献】Qualcomm(報告者),RP-080995,ワークアイテム,「Positioning Support for LTE(LTEのための測位支援)」
【文献】Polaris Wireless(報告者),RP-070926,スタディアイテム,「Evaluation of the inclusion of Pattern Matching Technology in the UTRAN(UTRANへのパターンマッチング技術の包含に関する評価)」
【文献】True Position(報告者),RP-090354,ワークアイテム,「Network-Based Positioning Support for LTE(LTEのためのネットワークベースの測位支援」
【文献】3GPP TS 25.215,「Physical layer; Measurements (FDD)(物理層:測定(FDD))」
【文献】3GPP TS 25.225,「Physical layer; Measurements(TDD)(物理層:測定(TDD))」
【文献】3GPP TS 36.214,「Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E UTRA); Physical layer measurements(E-UTRA:物理層測定)」
【発明の概要】
【0034】
本発明の多様な態様のうちの1つの態様では、本明細書に開示の技術は、無線インタフェースを通じて無線アクセスネットワークと通信する無線端末を動作させる方法に関するものである。無線端末は、受信期間と受信期間との間の非受信期間、および送信期間と送信期間との間の非送信期間のうちの少なくとも1つを含む不連続モードで動作可能なタイプである。本方法は、無線アクセスネットワークの1つ以上のノードから送信されるダウンリンク信号(例えば、基地局が送信するダウンリンク信号)について無線端末が測定を行うことを知らせるメッセージ、および無線端末から送信されるアップリンク信号について無線アクセスネットワークが測定を行うことを知らせるメッセージを、無線アクセスネットワークから受信する工程を含む。本方法は、当該メッセージの受信の結果として、または当該メッセージの受信後に、不連続モードから、測定の動作を促進するための修正モードに、無線端末の動作を変更する工程をさらに含む。不連続モードと比べて、修正モードでは、(i)非受信期間および(ii)非送信期間のうちの少なくとも1つが短縮または削除される。
【0035】
幾つかの実施形態例では、測定は、無線端末によって行われ、メッセージは、無線アクセスネットワークの1つ以上のセルから無線端末が受信する信号について測定を行うことを、無線端末に指示するように設定されている測定要求メッセージである。他の実施形態例では、無線アクセスネットワークが測定を行う際にメッセージが送信され、測定の実行中には、無線端末は修正モードになる必要がある。
【0036】
本明細書で説明および使用する限りにおいて、「不連続モードから修正モードへの変更」には、(1)無線端末のモードの変更(例えば、(不連続受信(DRX)または不連続送信(DTX)等の)不連続モードから連続送信モードへの変更)と、(2)不連続モード(第1の不連続モード)から修正不連続モード(第2の不連続モード)への変更とのうちの1つ以上が含まれる。(第1の)不連続モードから修正(第2の)不連続モードへの変更には、不連続モードに関係するパラメータまたは値の変更、例えば、不連続受信(DRX)サイクル値または不連続送信(DTX)レベル値等のパラメータまたは値の変更(例えば短縮)が含まれてもよい。
【0037】
一実施形態例では、不連続モードは、不連続受信(DRX)モードである。別の実施形態例では、不連続モードは、不連続送信(DTX)モードである。さらに別の実施形態例では、不連続モードは、不連続受信(DRX)モードと不連続送信(DTX)モードの両方を含む。
【0038】
一実施形態例では、修正モードは、連続モードである。別の実施形態例では、修正モードは、修正された不連続モード・パラメータを有する修正不連続モードを含み、修正された不連続モード・パラメータは、それ以前の不連続モード・パラメータよりも短いサイクルを示す。この後者の実施形態では、メッセージの受信の結果としての変更動作は、第1の不連続モード値を特徴とする第1の不連続モードから第2の不連続モード値を特徴とする第2の不連続モードへの変更と、測定動作の完了に応じた第1の不連続モードへの復帰とを含んでもよい。一実施形態例では、第2の不連続モード値は、第1の不連続モード値よりも小さいかまたは短い。一実施例では、不連続モードは、不連続受信(DRX)モードであり、第1の不連続モード値と第2の不連続モード値とでは、不連続受信(DRX)サイクル長が異なる。別の実施例では、不連続モードは、不連続送信(DTX)モードであり、第1の不連続モード値と第2の不連続モード値とでは、不連続送信(DTX)レベル値が異なる。
【0039】
一実施形態例では、測定は、無線端末の位置を判定するためである。一実施例では、メッセージは、無線アクセスネットワークの複数のセルから無線端末が受信する信号の到達時間差を測定することを、無線端末に指示するように設定されている測定要求メッセージである。別の実施例では、測定要求メッセージは、無線アクセスネットワークの複数のセルから無線端末が受信する信号の基準信号時間差(RSTD)を測定することを、無線端末に指示するように設定されている。RSTD測定は、複数のセルから受信した、適切な任意の基準信号もしくはパイロット信号、または任意の既知の信号について、無線端末が実行してもよい。例として、基準信号は、他の測定のためにも使用される共通基準信号、または主に位置決め測定を促進するために送信される位置決め基準信号でもよい。
【0040】
一実施形態例では、本方法は、不連続モードから修正モードへのモード変更のタイミングに影響を及ぼすモード変更タイミング・ファクタ(MCTF)に従って、不連続モードから変更する工程をさらに含む。一実施例では、本方法は、メッセージの受信前に、無線端末においてモード変更タイミング・ファクタ(MCTF)を予め設定する工程をさらに含む。別の実施例では、本方法は、メッセージの中にモード変更タイミング・ファクタ(MCTF)を含める工程をさらに含む。
【0041】
一実施形態例では、本方法は、測定動作が完了すると、修正モードから不連続モードへの復帰のタイミングに影響を及ぼす測定後モード復帰タイミング・ファクタ(MRTF)の満了後に、修正モードから不連続モードに復帰する工程をさらに含む。
【0042】
一実施形態例では、不連続モードから修正モードへの変更には、不連続受信(DRX)と不連続送信(DTX)の一方または両方の無効化が含まれる。
【0043】
本発明の別の態様では、本明細書に開示の技術は、無線インタフェースを通じて無線アクセスネットワークと通信する無線端末を動作させる別の方法に関するものである。本方法は、無線アクセスネットワークの1つ以上のノードから送信されるダウンリンク信号(例えば、基地局が送信するダウンリンク信号)について無線端末が測定を行うことを知らせるメッセージ、または無線端末から送信されるアップリンク信号について無線アクセスネットワークが測定を行うことを知らせるメッセージを、無線アクセスネットワークから受信する工程と、当該メッセージの受信の結果として、無線端末が、測定の実行中に不連続モードを無視または修正する工程とを含む。幾つかの実施形態例では、当該メッセージは、無線アクセスネットワークの1つ以上のセルから無線端末が受信する信号について測定を行うことを、無線端末に指示するように設定されている測定要求メッセージである。
【0044】
本発明の別の態様では、本明細書に開示の技術は、無線インタフェースを通じて無線アクセスネットワークと通信する無線端末を動作させる別の方法に関するものである。本方法は、基地局から送信されるダウンリンク信号について無線端末が測定を行うことを知らせるメッセージ、または無線端末から送信されるアップリンク信号について無線アクセスネットワークが測定を行うことを知らせるメッセージを、無線アクセスネットワークから受信する工程と、当該メッセージの受信の結果として、無線端末がより短いまたは適度なDRXサイクルの測定期間に相当する測定を実行するための、より短いまたは適度な測定期間を提供する工程とを含む。幾つかの実施形態例では、当該メッセージは、無線アクセスネットワークの1つ以上のセルから無線端末が受信する信号について測定を行うことを、無線端末に指示するように設定されている測定要求メッセージである。
【0045】
本発明の別の態様では、本明細書に開示の技術は、無線インタフェースを通じて無線アクセスネットワークと通信する無線端末に関するものである。無線端末は、受信期間と受信期間との間の非受信期間、および送信期間と送信期間との間の非送信期間のうちの少なくとも1つを含む不連続モードで動作可能なタイプである。無線端末は、送受信部と、コンピュータに実装された無線リソース制御(RRC)部とを備える。送受信部は、基地局から送信されるダウンリンク信号について無線端末が測定を行うことを知らせるメッセージ、または無線端末から送信されるアップリンク信号について無線アクセスネットワークが測定を行うことを知らせるメッセージを、無線アクセスネットワークから受信する。無線リソース制御(RRC)部は、当該メッセージの受信の結果として、不連続モードから、測定動作を促進するための修正モードに、無線端末を変更する。不連続モードは、受信期間と受信期間との間の非受信期間、および送信期間と送信期間との間の非送信期間のうちの少なくとも1つを含む。修正モードは、不連続モードと比べて(i)非受信期間および(ii)非送信期間のうちの少なくとも1つを短縮または削除するように設定されている。幾つかの実施形態例では、メッセージは、位置決め信号に対する測定を実行することを、無線端末に指示するように設定されている測定要求メッセージであり、送受信部は、無線アクセスネットワークの1つ以上のセルから位置決め信号を受信する。
【0046】
一実施形態例では、不連続モードは、不連続受信(DRX)モードである。別の実施形態例では、不連続モードは、不連続送信(DTX)モードである。
【0047】
一実施形態例では、修正モードは、連続モードである。別の実施形態例では、修正モードは、修正されたパラメータを有する修正不連続モードを含み、当該修正されたパラメータは、以前のパラメータよりも短い。
【0048】
一実施形態例では、無線リソース制御(RRC)部は、さらに、メッセージ受信の結果として、第1の不連続モード値を特徴とする第1の不連続モードから、第2の不連続モード値を特徴とする第2の不連続モードに無線端末の動作を変更し、測定の動作が完了すると、第1の不連続モードに復帰する。一実施例では、第2の不連続モード値は、第1の不連続モード値よりも小さいかまたは短い。一実施例では、不連続モードは、不連続受信(DRX)モードであり、第1の不連続モード値と第2の不連続モード値とでは、不連続受信(DRX)サイクル長が異なる。別の実施例では、不連続モードは、不連続送信(DTX)モードであり、第1の不連続モード値と第2の不連続モード値とでは、不連続送信(DTX)レベル値が異なる。
【0049】
一実施形態例では、無線端末は、無線端末の位置を判定するための測定を行う測定部をさらに備える。一実施例では、測定要求メッセージは、無線アクセスネットワークの複数のセルから無線端末が受信する信号の到達時間差を測定することを、無線端末の測定部に指示するように設定されている。別の実施例では、測定要求メッセージは、無線アクセスネットワークの複数のセルから無線端末が受信する信号の基準信号時間差(RSTD)を測定することを、無線端末の測定部に指示するように設定されている。
【0050】
一実施形態例では、無線リソース制御(RRC)部は、不連続モードから修正モードへのモード変更のタイミングに影響を及ぼすモード変更タイミング・ファクタ(MCTF)に従って、不連続モードから変更する。一実施例では、モード変更タイミング・ファクタ(MCTF)は、メッセージの受信前に無線端末において予め設定されている。別の実施例では、モード変更タイミング・ファクタ(MCTF)は、メッセージに含まれている。
【0051】
一実施形態例では、無線リソース制御(RRC)部は、さらに、測定動作が完了すると、修正モードから不連続モードへの復帰のタイミングに影響を及ぼす測定後モード復帰タイミング・ファクタ(MRTF)の満了後に、修正モードから不連続モードに復帰する。
【0052】
一実施形態例では、無線リソース制御(RRC)部は、不連続受信(DRX)と不連続送信(DTX)の一方または両方を無効にすることによって、不連続モードから修正モードに変更する。
【0053】
本発明の別の態様では、本明細書に開示の技術は、無線インタフェースを通じて無線アクセスネットワークと通信して動作する無線端末に関する。無線端末は、送受信部と、コンピュータに実装された無線リソース制御(RRC)部とを備える。送受信部は、基地局から送信されるダウンリンク信号について無線端末が測定を行うことを知らせるメッセージ、または無線端末から送信されるアップリンク信号について無線アクセスネットワークが測定を行うことを知らせるメッセージを、無線アクセスネットワークから受信する。無線端末の無線リソース制御(RRC)部は、当該メッセージの受信の結果として、無線端末が測定の実行中に不連続モードを無視または修正する。一実施形態例では、当該メッセージは、無線アクセスネットワークの複数のセルから送信される信号について位置判定信号の測定を行うことを、無線端末に指示するように設定されている測定要求メッセージであり、送受信部は、さらに、無線アクセスネットワークの1つ以上のセルから位置判定信号を受信する。
【0054】
本発明の別の態様では、本明細書に開示の技術は、無線端末との無線インタフェースを通じて動作する無線アクセスネットワーク(RAN)のノードに関するものである。ノードは、コンピュータに実装されたノード無線リソース(RRC)部と、送受信部とを備える。無線リソース制御(RRC)部は、無線端末への送信のための測定要求メッセージを作成する。測定要求メッセージは、無線アクセスネットワークの複数のセルから送信される信号について位置判定のための測定を実行することを無線端末に指示するように、かつ、無線端末の動作を不連続モードから修正モードへ変更することによって無線端末が測定の動作を促進するために無線端末が使用するパラメータを無線端末に提供するように、設定されている。不連続モードは、受信期間と受信期間との間の非受信期間、および送信期間と送信期間との間の非送信期間のうちの少なくとも1つを含む。修正モードは、不連続モードと比べて(i)非受信期間および(ii)非送信期間のうちの少なくとも1つを短縮または削除するように設定されている。送受信部は、無線インタフェースを通じて無線端末に測定要求メッセージを送信する。
【0055】
一実施形態例では、不連続パラメータは、不連続受信(DRX)モード用である。別の実施形態例では、不連続パラメータは、不連続送信(DTX)モード用である。また別の実施形態例では、不連続パラメータは、不連続受信(DRX)モードおよび不連続送信(DTX)モードのうちの1つ以上を含む。
【0056】
一実施形態例では、測定は、無線端末の位置を判定するためである。
【0057】
一実施形態例では、測定要求メッセージは、無線アクセスネットワークの複数のセルから無線端末が受信する信号の到達時間差を測定することを、無線端末に指示するように設定されている。別の実施形態例では、測定要求メッセージは、無線アクセスネットワークの複数のセルから無線端末が受信する信号の基準信号時間差(RSTD)を測定することを、無線端末に指示するように設定されている。
【0058】
一実施形態例では、不連続パラメータは、予め変更された時間オフセットを含む。別の実施形態例では、不連続パラメータは、修正モードから不連続モードへの復帰のタイミングに影響を及ぼす測定後モード復帰タイミング・ファクタ(MRTF)を含む。
【0059】
従って、本明細書に開示の技術は、無線端末(UE)がDTX/DRXモードにある際に位置決め測定を促進するために必要なルールまたはルール・セットを定めることを包含する。そのようなルールは、種々の規制要件および緊急呼サービス目標を満足することを保証する良好な位置決め(測位)性能を確実にする。
【0060】
従って、DRX状態における観測到達時間差等の位置決め関連測定を行うために、適切な手順、方法および装置が提供される。本明細書に開示の技術は、DRX状態においてUE位置を判定するための、信号到達時間差タイプの測定のための方法および装置を開示する。本明細書に開示の技術は、DTXモードにおいて位置決め測定を行う方法も開示する。本明細書に開示の技術は、DRX状態およびDTX状態の少なくともいずれかにおいて、無線端末(UE)またはネットワークノードが実行する他の位置決め測定に適用可能である。本明細書に開示の技術はまた、DRX状態およびDTX状態の少なくともいずれかにおいて、無線端末(UE)またはネットワークノードが行うあらゆる測定に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
本発明の、前述および他の目的、特徴並びに利点は、種々の図面を通して参照文字が同じ構成要素に言及する添付の図面に示されている好ましい実施形態についての、以下のより詳細な説明から明らかになるであろう。それらの図面は、必ずしも一定の割合で拡大縮小されておらず、代わりに本発明の原理を明らかにする強調が行われている。
【0062】
【
図1】代表的なネットワークノードおよび代表的な無線端末を有する無線アクセスネットワークの一部分の概略図である。
【
図2】通信ネットワークのセル配置の一例についての地形的な図である。
【
図3】無線端末を動作させる方法の一実施形態例を構成する基本的な動作例またはステップ例を示すフローチャートである。
【
図4】測定動作の完了に応じて修正モードから不連続モードに復帰する無線端末の動作を含む、無線端末を動作させる方法の一実施形態例を構成する基本的な動作例またはステップ例を示すフローチャートである。
【
図5】不連続モードから修正モードへの変更の概念を全体的に示す線図である。
【
図5C】不連続モードから修正モードへの変更についての特定の状況例を示す線図である。
【
図6】一実施形態例による代表的な無線端末の一部分の概略図である。
【
図7】不連続モードから修正モードへのモード変更がモード変更タイミング・ファクタに従って行われる、代表的なネットワークノードおよび代表的な無線端末を有する無線アクセスネットワークの一部分の概略図である。
【
図8】
図7のネットワークのタイミング・シーケンスを示す線図である。
【
図9】測定動作の完了に応じて無線端末が測定後モード復帰タイミング・ファクタに従って修正モードから不連続モードに復帰する、代表的なネットワークノードおよび代表的な無線端末を有する無線アクセスネットワークの一部分の概略図である。
【
図10】
図9のネットワークのタイミング・シーケンスを示す線図である。
【
図11】不連続モードから連続モードへの変更を含むモード変更動作についての非限定的な一方法例に含まれる動作例またはステップ例を示すフローチャートである。
【
図12】第1の不連続モードから短縮サイクル長を有する第2の不連続モードへの変更を含むモード変更動作の非限定的な一方法例に含まれる動作例またはステップ例を示すフローチャートである。
【
図13】ネットワークノードが、無線端末についての位置測定を行う間に、不連続送信(DTX)モードを中断するように無線端末に指示する、代表的なネットワークノードおよび代表的な無線端末を有する無線アクセスネットワークの一実施形態例の一部分の概略図である。
【
図14】
図13の実施形態のモード変更動作の非限定的な一方法例に含まれる動作例またはステップ例を示すフローチャートである。
【
図15】不連続モード状況の一測定期間例と、モード変更によってもたらされる非不連続モード状況の一測定期間例とを比較する線図である。
【
図17】緊急事態に遭遇した無線端末を動作させる方法の別の実施形態例を構成する基本的な動作例またはステップ例を示すフローチャートである。
【
図18】緊急事態の終了に応じて修正モードから不連続モードに復帰する無線端末の動作を含む、無線端末を動作させる方法の一実施形態例を構成する基本的な動作例またはステップ例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下の説明では、本発明を完全に理解してもらう手段として、限定でなく説明のために、特定のアーキテクチャ、インタフェース、技術等のような具体的な詳細について記述する。しかし、本発明がこれらの具体的な詳細から離れた他の実施形態で実践され得ることは、当業者には明らかであろう。すなわち、当業者は、本明細書に明示的に記述または図示されていないが、本発明の原理を具現し、その精神および範囲内に含まれる種々の装置を考案できるであろう。場合によっては、公知のデバイス、回路および方法の詳細な記述は、不必要な詳細で本発明の記述を不明瞭にしないよう省略している。本発明の原理、態様および実施形態、ならびにそれらの具体例を列挙する本明細書のすべての記述は、それらの構造上および機能上の両方の均等物を包含することを意図している。さらに、そのような均等物は、現在既知の均等物と、将来開発される均等物、すなわち構造に関係なく同じ機能を実行するあらゆる開発要素との両方を含むことを意図している。
【0064】
従って、例えば、本明細書のブロック図が、本技術の原理を具現する具体的回路の概念図を表し得ることを当業者は理解するであろう。同様に、あらゆるフロー図、状態遷移図、疑似コードなどが、種々のプロセスを表し、それらのプロセスが、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に実質的に表され、コンピュータまたはプロセッサが明示的に図示されているか否かにかかわらず、そのようなコンピュータまたはプロセッサで実行され得ることも理解するであろう。
【0065】
「コンピュータ」、「プロセッサ」または「コントローラ」と名付けられているかまたは記述されている機能ブロックを含む種々の要素の機能は、専用のハードウェアおよびコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納されたコード化された命令の形態のソフトウェアを実行できるハードウェアの使用によって提供されてもよい。コンピュータは、1つ以上のプロセッサおよび1つ以上のコントローラの少なくともいずれかを備えると一般に理解され、コンピュータおよびプロセッサという用語は、本明細書では同義的に使用されるであろう。コンピュータまたはプロセッサによって提供されるとき、機能は、1つの専用のコンピュータもしくはプロセッサによって、1つの共用のコンピュータもしくはプロセッサによって、または一部が共用もしくは分散されてもよい複数の個別のコンピュータもしくはプロセッサによって、提供されてもよい。そのような機能は、コンピュータに実装されている、ひいてはマシンに実装されていると理解される。さらに、「プロセッサ」または「コントローラ」という用語の使用はまた、そのような機能を実行できる他のハードウェア、およびソフトウェアを実行できる他のハードウェアの少なくともいずれかに言及すると解釈されるものであり、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、縮小命令セットプロセッサ、ハードウェア(例えば、デジタルまたはアナログ)回路、および(適切な場合)そのような機能を実行できる状態マシンを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0066】
図1は、無線アクセスネットワーク(RAN)などの、一例である通信ネットワーク20を示す。ネットワーク20は、可能なエンティティの中でもとりわけ、無線端末30と通信するネットワークノード28を備える。幾つかの実施例では、ネットワークノード28は、無線ネットワークコントローラノード(RNC)の形態をとる。LTE実施などの他の実施形態例では、ネットワークノード28は、代わりに無線基地局またはeNodeBの形態を取ってもよい。
【0067】
無線端末30は、移動電話機(「セルラ」電話機)や例えば移動終端などの無線能力を有するラップトップなどの、移動局またはユーザ装置ユニット(UE)でもよく、ひいては、例えばポータブル型、ポケット型、ハンドヘルド型、コンピュータ内蔵型、または車載型の、無線アクセスネットワークと音声およびデータの少なくともいずれかを通信する移動デバイスでもよい。種々の図面において、無線端末30は、「UE」と図示または言及されている。無線端末30は、無線インタフェースまたはエアインタフェース32を通じて通信ネットワーク20と通信する。ネットワークノード28は、通常、多くの無線端末と通信しているが、簡潔にするために、そのような無線端末30を1つだけ図示する。
【0068】
図2は、通信ネットワーク20のセルラ配置の一部分を地形的フォーマットで描写し、例示であるセルC1~C6を具体的に示す。基地局ノードが、各セルに付随する。
図2は、通信ネットワーク20のセルC5内に在る代表的な無線端末30をさらに示す。例えばそのCDMA能力およびハンドオーバ能力などを考慮すると、無線端末30は、各セルに関係する信号、例えば信号を送信するセルの識別情報(identification)を含むパイロット信号などをモニタ(例えば測定)する。
【0069】
図1は、その最も基本的な形態である、送受信部34とプロセッサもしくはコンピュータ40とを備える無線端末30を示す。送受信部34は、通信ネットワーク20から無線端末30へのダウンリンク送信および無線端末30から通信ネットワーク20へのアップリンク送信の一方または両方を促進する働きをする。送受信部34は、無線インタフェース32を通じて無線信号を送受信するための(1つ以上の)アンテナと、増幅器と、関連するハードウェア要素とを一般に備える。
【0070】
コンピュータ40は、自装置の動作とともに無線端末30の動作と、無線インタフェース32を通じた信号およびデータの送信とを可能にする命令の実行を含む、多くの目的を果たす。本明細書に開示の技術の基本的な態様を明らかにするために、
図1は、コンピュータ40が無線リソース制御(RRC)部42を備え、さらにその無線リソース制御(RRC)部42が測定部44を備えることを示している。他の実施形態例では、測定部44は、無線リソース制御(RRC)部42の外部に位置付けまたは配置されてもよいことを理解すべきである。本明細書で説明するように、測定部42は、ネットワーク20の複数のセル(
図2参照)に関して、測定を行う働きをする。
【0071】
本明細書に記述する無線端末は、不連続モードで動作できるタイプである。本明細書で使用する限り、「不連続モード」は、受信期間と受信期間との間の非受信期間、および送信期間と送信期間との間の非送信期間のうちの少なくとも1つを備えるかまたは含む。受信期間と受信期間との間の非受信期間を備える不連続モードは、不連続受信(DRX)としても知られている。送信期間と送信期間との間の非送信期間を備える不連続モードは、不連続送信(DTX)としても知られている。
【0072】
図1は、ネットワークノード28がeNodeB(例えば基地局ノード)であるLTE環境における、ネットワークノード28の非限定の一実施を示す。
図1は、ネットワークノード28がノード送受信部48とノードプロセッサもしくはノードコンピュータ50とを備えることをさらに示す。ノード送受信部48は、例えば増幅器などの関連電子機器とともに、複数のアンテナを通常備える。ノードコンピュータ50は、ノード無線リソース制御(RRC)部52を備える。
【0073】
本明細書で使用する限り、「送受信部」は、少なくとも幾つかの実施形態では、複数の送受信部を含むと理解されるべきである。さらに、無線端末30またはネットワークノード28の送受信部がダウンリンクで不連続受信(DRX)モードの動作にかかわってもよいということは、その送受信部がアップリンクで不連続送信(DTX)モードの動作にもかかわっていることを意味することはなく、その逆も同様である。
【0074】
本明細書に開示の技術の一態様は、無線端末などの無線端末を動作させる方法に関する。
図3は、本明細書に開示の技術の第1の態様による方法に含まれる代表的な動作例またはステップ例を示す。動作3-1は、無線アクセスネットワークの1つ以上のノードから送信されるダウンリンク信号について無線端末が測定を行うことを知らせるメッセージ、または無線端末から送信されるアップリンク信号について無線アクセスネットワークが測定を行うことを知らせるメッセージを、無線端末30が、無線アクセスネットワークからその送受信部34を通じて受信する工程を含む。「無線アクセスネットワークの1つ以上のノードから送信されるダウンリンク信号」は、具体的には、例えばeNodeBなどの基地局から送信されるダウンリンク信号を含むが、それに限定されない。
【0075】
本方法は、メッセージ受信の結果として、またはメッセージ受信後に、無線端末30の動作モードを変更する動作(動作3-2)、すなわち、不連続モードから、測定動作を促進するための修正モードへ無線端末の動作を変更する動作をさらに含む。
【0076】
図4は、
図3の方法の好ましい形態を示し、この形態は、動作3-3として、測定動作の完了時に無線端末30が修正モードから不連続モードに復帰する工程をさらに有する。一実施形態例では、復帰動作3-3は、測定部44から測定期間についての測定が終了したという指標(indication)を受け取った時に、無線リソース制御(RRC)部42で遂行されてもよい。
図4はまた、動作3-3に続いて動作3-1がもう1度実行されてもよいことと、
図4の動作が必要に応じて本質的にループでまたは繰り返して実行されてもよいこととを示す。
【0077】
本明細書に記載の幾つかの実施形態例では、動作3-1で無線アクセスネットワークから受信されるメッセージは、無線アクセスネットワークの1つ以上のセル(
図2参照)から無線端末が受信する信号に対して測定を行うように、無線端末30に指示するように設定された測定要求メッセージ(MRM:measurement request message)である。
図13および
図14に描かれる実施形態などの他の実施形態では、動作3-1で受信されるメッセージは、無線アクセスネットワークが測定を行うことを示す。
【0078】
前述のように、「不連続モード」は、受信期間と受信期間との間の非受信期間、および送信期間と送信期間との間の非送信期間のうちの少なくとも1つを備えるかまたは含む。例えば、受信期間と受信期間との間に非受信期間を備える不連続モードは、不連続受信(DRX)としても知られており、送信期間と送信期間との間に非送信期間を備える不連続モードは、不連続送信(DTX)としても知られている。
【0079】
不連続モードから修正モードへの変更には、幾つかのシナリオが有り得る。最初の一般的シナリオが
図5に示されている。
図5は、全体として、不連続モードから修正モードに変化する無線端末のモードを示しており、修正モードは連続モードまたは修正不連続モードを含む。
図5の全体的シナリオについてのより具体的な例が、
図5A~
図5Cにおいて与えられている。
【0080】
図5Aは、不連続モードが不連続受信(DRX)モードであり、動作3-1の無線アクセスネットワークからのメッセージの受信に応じて、無線端末が、連続受信モードまたは修正不連続受信(DRX’)モードに動作を変更する状況を示している。
図5Aの状況では、メッセージ(MRM)の受信は、無線端末の送信動作モードを変更しない。
【0081】
図5Bは、不連続モードが不連続送信(DTX)モードであり、動作3-1のメッセージの受信に応じて、無線端末が、連続送信モードまたは修正不連続送信(DTX’)モードに動作を変更する状況を示している。
図5Bの状況では、動作3-1のメッセージの受信は、無線端末の受信動作モードを変更しない。
【0082】
図5Cは、不連続モードが不連続受信(DRX)モードと不連続送信(DTX)モードの両方を有する状況を示している。動作3-1のメッセージの受信に応じて、無線端末は、連続モード(連続受信と連続送信の両方を含む)または修正モード(修正不連続受信(DRX’)と修正不連続送信(DTX’)の両方を含む)に動作を変更する。
【0083】
従って、本明細書で使用する限り、「不連続モードから修正モードへの変更」という表現は、(1)無線端末のモードの変更(例えば、(不連続受信(DRX)または不連続送信(DTX)などの)不連続モードから連続送信モードへの変更)と、(2)不連続モード(第1の不連続モード)から修正不連続モード(第2の不連続モード)への変更とのうちの1つ以上を含む。
【0084】
(第1の)不連続モードから修正(第2の)不連続モードへの変更は、不連続モードに関連するパラメータまたは値の変更を含んでもよく、例えば不連続受信(DRX)サイクル値または不連続送信(DTX)レベル値などのパラメータまたは値の変更(例えば、短縮または減少)を含んでもよい。
【0085】
動作3-3で示される、不連続モードに復帰する無線端末30の能力を考慮して、
図5および
図5A~5Cの矢印は、両矢印で示されている。
図5および
図5A~5Cのいずれにも「モード変更」と言及されている破線は、動作3-1のメッセージの受信によって促されるモード変更、または例えば測定期間の終了などの測定の完了に応じて認められるモード変更の復帰を含んでもよい。
【0086】
図6は、無線リソース制御(RRC)部42がモードコントローラ60を備える無線端末30の一実施形態例を示す。モードコントローラ60は、モード状態変更部62を有し、このモード状態変更部62は、
図5または
図5A~5Cに示される1つ以上のモード変更などのモード変更を実施するとともに、無線端末30の現在の動作モードを常に把握する。
【0087】
上述のように、モード変更すなわち「不連続モードから修正モードへの変更」は、不連続モード(第1の不連続モード)から修正不連続モード(第2の不連続モード)への変更を備えてもよい。第1の不連続モードから第2の不連続モードへの変更を実施するやり方の一例は、不連続モードに関係するパラメータまたは値の変更を含む。例えば、不連続モードの第1の値を有するパラメータは、修正不連続モードの第2の値に変更されてもよい。このために、
図6の無線端末30のモードコントローラ60が、不連続モード・パラメータ値を格納するレジスタまたは記憶場所(第1のパラメータ値レジスタ64)、および修正モード・パラメータ値を格納するレジスタまたは記憶場所(第2のパラメータ値レジスタ66)を備えるように示されている。
【0088】
前述のことから、動作3-1のメッセージの受信の結果として、一実施形態例では、無線端末の動作は、((第1のパラメータ値レジスタ64に格納されてもよい)第1の不連続モード・パラメータ値を特徴とする)第1の不連続モードから((第2のパラメータ値レジスタ66に格納されてもよい)第2の不連続モード値を特徴とする)第2の不連続モードに変更されてもよい。第2の不連続モード値は、第1の不連続モード・パラメータ値より短い(例えば小さい)。
【0089】
前述の一例として、不連続モードが不連続受信(DRX)モードの実施例では、第1の不連続モード・パラメータ値および第2の不連続モード・パラメータ値は、不連続受信(DRX)サイクル長が異なる。第2の不連続モード・パラメータ値、例えば修正(第2の)不連続モードのDRXサイクル長は、第1の不連続モード・パラメータ値、例えば第1の不連続モードのDRXサイクル長より小さい。
【0090】
前述の別の例として、不連続モードが不連続送信(DTX)モードの実施例では、第1の不連続モード・パラメータ値と第2の不連続モードのパラメータ値は、不連続送信(DTX)レベルが異なる。第2の不連続モード・パラメータ値、例えば修正(第2の)不連続モードのDTXレベルは、第1の不連続モード・パラメータ値、例えば第1の不連続モードのDTXレベルより小さい。
【0091】
図7および
図8は、無線端末30の一実施形態例を示し、この例では、無線リソース制御(RRC)部42は、不連続モードから修正モードへのモード変更がいつ行われるかに影響を及ぼすモード変更タイミング・ファクタ(MCTF:mode change timing factor)に従って、不連続モードから変更するように構成される。
図8は、不連続モードから修正モードへのモード変更の説明図に時間ベクトルを重ね合わせており、動作3-1のメッセージの受信およびそれに続くモード変更の相対的な時間位置を示している。
これまでの実施形態では、モード変更は、動作3-1のメッセージの受信後できる限り速やかに行われるのに対して、
図7および
図8の実施形態では、モード変更タイミング・ファクタ(MCTF)が本質的に、モード変更を、実行可能な実施時点を越えて遅らせる働きをする。場合によっては、モード変更タイミング・ファクタ(MCTF)は、モード変更が実施されるまでに、動作3-1のメッセージの受信後に存在する必要があるオフセット値(例えば、持続時間またはフレーム)でもよい。その他の場合には、相対的なオフセット値ではなく、モード変更タイミング・ファクタ(MCTF)は、モード変更が行われる時点の特定の(例えば絶対的な)フレーム番号の指標でもよい(このような場合のモード変更タイミング・ファクタ(MCTF)は、動作3-1のメッセージの受信後に起こるモード変更イベントを示す)。
【0092】
図7は、モード変更タイミング・ファクタ(MCTF)が、動作3-1のメッセージの受信前に、無線端末で予め設定される第1の実施を含む、2つの個別の実施を説明するために用いる。このために、
図7は、無線リソース制御(RRC)部42と、予め設定されたモード変更タイミング・ファクタ(MCTF)を格納し得るモード変更タイミング・ファクタ(MCTF)レジスタまたは記憶場所68を備えるモードコントローラ60とを示す。前述のように、事前設定は、動作3-1のメッセージの受信前の任意の時点で行われ得る。例えば、セッションの開始時、セッション前の定期更新もしくはネットワークからの管理メッセージによって、または、無線端末30の始動時もしくは電源投入時に行われてもよい。
【0093】
図7は、モード変更タイミング・ファクタ(MCTF)のための値が動作3-1のメッセージに含まれる別の実施例も示す。この
図7の代替実施は、ネットワークノード28のノード無線リソース制御(RRC)部52がメッセージ・フォーマッタ80を含むように示している。
図7のメッセージ・フォーマッタ80は、動作3-1のメッセージの中にモード変更タイミング・ファクタ(MCTF)を含めるように構成される。一実施例では、動作3-1のメッセージは、任意の適切なRRCシグナリング・メッセージの形態を取り得る(またはそのメッセージに含まれてもよい)。モード変更タイミング・ファクタ(MCTF)は、例えば測定設定情報要素などの測定要求メッセージ(MRM)の任意の未割り当てのフィールドまたは任意の新しく指定されるフィールドに挿入されてもよい。
【0094】
図9および
図10は、無線リソース制御(RRC)部42が、測定動作の完了に応じて、修正モードから不連続モードへの復帰のタイミングに影響を及ぼす測定後モード復帰タイミング・ファクタ(MRTF:mode revert timing factor)に従って、修正モードから不連続モードに復帰するように構成される、無線端末30の実施形態例を示す。
図10は、不連続モードから修正モードへのモード変更の説明図に時間ベクトルを重ね合わせており、測定動作の完了とそれに続く不連続モードへのモード復帰の相対的な時間位置を示している。
これまでの実施形態では、モード復帰は、測定動作の完了に応じてできる限り速やかに行われるのに対して、
図9および
図10の実施形態では、モード復帰タイミング・ファクタ(MRTF)が本質的に、モード復帰を、実行可能な実施時点を越えて遅らせる働きをする。場合によっては、モード復帰タイミング・ファクタ(MRTF)は、モード復帰が実施される前に、測定動作の完了後に存在する必要があるオフセット値(例えば、持続時間またはフレーム)でもよい。その他の場合には、モード復帰タイミング・ファクタ(MRTF)は、相対的なオフセット値ではなく、モード復帰が行われる時点の特定の(例えば絶対的な)フレーム番号の指標でもよい(このような場合のモード復帰タイミング・ファクタ(MRTF)は、測定動作の完了後に起こるモード復帰イベントを示す)。
【0095】
図9は、実際のところ、モード復帰タイミング・ファクタ(MRTF)が無線端末で予め設定される、例えば動作3-1のメッセージの受信前に予め設定される、第1の実施を含む2つの個別の実施を説明するために用いる。このために、
図9は、無線リソース制御(RRC)部42と、事前設定のモード変更タイミング・ファクタ(MCTF)を格納し得るモード復帰タイミング・ファクタ(MRTF)レジスタまたは記憶場所68を備えるモードコントローラ60とを示す。前述のように、事前設定は、動作3-1のメッセージの受信前の任意の時点で行われ得る。例えば、セッションの開始時、セッション前の定期更新もしくはネットワークからの管理メッセージによって、または、無線端末30の始動時もしくは電源投入時に行われてもよい。
【0096】
図9は、モード復帰タイミング・ファクタ(MRTF)のための値が動作3-1のメッセージに含まれる別の実施例も示す。この
図9の代替実施は、ネットワークノード28のノード無線リソース制御(RRC)部52が前述のメッセージ・フォーマッタ80を含むことを示す。
図9のメッセージ・フォーマッタ80は、動作3-1のメッセージの中にモード復帰タイミング・ファクタ(MRTF)を含めるように構成される。一実施例では、当該メッセージは、任意の適切なRRCシグナリング・メッセージの形態を取り得る(またはそのメッセージに含まれてもよい)。モード復帰タイミング・ファクタ(MRTF)は、例えば測定設定情報要素などの測定要求メッセージ(MRM)の任意の未割り当てのフィールドまたは任意の新しく指定されるフィールドに挿入されてもよい。
【0097】
従って、
図7および
図9は、無線リソース制御(RRC)部52が、無線端末30への送信用のメッセージを作成し、その中にモード変更のタイミングを指定するかまたはタイミングに影響を及ぼすパラメータを含めるように構成される。当該モード変更は、不連続モードと修正モードとの間にあり、例えば
図7の場合には、不連続モードから修正モードへのモード変更であり、
図9の場合には、修正モードから不連続モードへのモード変更である。特に、ノード無線リソース制御(RRC)部52は、動作3-1のメッセージの中に、モード変更タイミング・ファクタ(MCTF)とモード復帰タイミング・ファクタ(MRTF)の一方または両方を含めるように構成されるメッセージ・フォーマッタ80を備える。
前述のように、不連続モードは、受信期間と受信期間との間の非受信期間、および送信期間と送信期間との間の非送信期間のうちの少なくとも1つを備えるように構成される。不連続モードと比べて、修正モードは、(i)非受信期間および(ii)非送信期間のうちの少なくとも1つを短縮または削除するように構成される。送受信部は、無線インタフェースを通じて無線端末に動作3-1のメッセージを送信するように構成される。
【0098】
一実施形態例では、無線リソース制御(RRC)部は、不連続受信(DRX)と不連続送信(DTX)の一方または両方を無効にすることによって、不連続モードから修正モードに変更するように構成される。
【0099】
一実施形態例では、無線端末30の測定部44は、例えば無線端末の位置判定のための測定などを行うように構成される。そのような測定を実行および評価し得る多様なやり方がある。一実施例では、動作3-1のメッセージは、無線アクセスネットワークの複数のセルから無線端末が受信する信号の到達時間差を測定することを測定部44に指示するように構成される測定要求メッセージである。別の実施例では、測定要求メッセージは、無線アクセスネットワークの複数のセルから無線端末が受信する信号の基準信号時間差(RSTD:reference signal time difference)を測定することを測定部44に指示するように構成される。
【0100】
実施形態例において、動作3-1のメッセージは、無線端末の位置を判定するために測定が行われることを示し得ると上述した。本明細書に開示の技術は、本質的に、そのような測定を行うあらゆる実行可能なやり方、および無線端末の位置判定を促進する種々の異なる種類の信号を包含する。測位方法の幾つかの非限定的な例について、説明のために以下に述べる。
【0101】
無線端末の位置を判定する1つの技術は、ラウンドトリップ時間(RTT)の判定を含む。ラウンドトリップ時間(RTT)は、ダウンリンクにおける信号送信の始点と、アップリンクにおいて受信した対応する信号についての推定された最初のパスとの間の時間差である。ラウンドトリップ時間は、基地局で測定される。
図13および
図14を参照して以下に述べる一実施形態例によれば、基地局がラウンドトリップ時間(RTT)の測定を行う際に無線端末が不連続送信(DTX)モードにある場合、無線端末(UE)は、不連続送信(DTX)を無視すべきであり、その代わりに、基地局から受信した任意のダウンリンク信号に応答してアップリンクで連続的に送信すべきである。それによって、ラウンドトリップ時間(RTT)測定を促進することが望ましい。RTTの測定は、ユーザ固有の測定であり、これは、セル内の各UEについて個別に測定されることを意味する。UTRANシステムでは、RTTは、UTRAN測定として規定されている。
【0102】
無線端末の位置を判定する別の技術は、無線端末(UE)の受信-送信時間差(例えば、UE Rx-Tx時間差)の判定を含む。UTRAN FDD(WCDMA)では、呼設定および位置決め(測位)のために主に定められている、それぞれタイプ1およびタイプ2の2つのUE Rx-Tx時間差測定がある。例えば非特許文献4などを参照されたい。これらのうち、1番目のもの(タイプ1)は必須であるが、任意的な測定である2番目のもの(±1チップ精度)より精度が劣る(±1.5チップ精度)。
【0103】
無線端末の位置を判定する別の技術は、3つのセルからの信号の観測到達時間差(OTDOA:observed time difference of arrival)の判定を含む。WCDMAでは、2つの異なるセルから受信したCPICH信号についてUEが測定するSFN-SFNタイプ2測定(非特許文献4参照)が、この方法で使用するUEの位置の判定のために使用される。E-UTRANでは、同様の測定が、既知のパイロット信号または基準信号について行われる。基準信号は、通常のセル固有の基準信号または位置決め用の固有の基準信号でもよい。一般に、そのような測定は、OTDOAと称され得る。より具体的には、この測定を基準信号時間差(RSTD)と称している。
【0104】
無線端末の位置を判定する別の技術は、受信信号強度、受信信号品質およびパスロスなどの通常の隣接セル測定を含む。これらの種類の測定は、より一般的にはフィンガプリント法として知られているパターンマッチング法を使用してもよい。このような測定の公知の例は、UTRAN FDDにおけるCPICH RSCPおよびCPICH Ec/No(例えば非特許文献4などを参照)、UTRAN TDDにおけるP-CCPCH RSCP(例えば非特許文献5などを参照)、ならびにE-UTRANにおけるRSRPおよびRSRQ(例えば非特許文献6などを参照)である。しかし、パスロス、CPICH RSCP、P-CCPCH RSCPおよびRSRPなどの信号強度タイプの測定が、パターンマッチング測位法に最も関係がある。
【0105】
このように、本明細書に開示の技術は、例えば2つのセルからの信号の観測到達時間差、基準信号時間差(RSTD)、UTRANにおけるSFN-SFNタイプ2測定、または位置決めのために使用される任意の他の測定などの、1つ以上の位置決め測定を行うようにネットワークが要求する場合に、DRX/DTXモードの無線端末(UE)の動作を支配するルール・セットについての定義を含む。本明細書に開示の技術は、個別の特徴または組み合わせ可能な特徴として、例えば、不連続受信(DRX)において位置決め測定を行う方法および装置、ならびに不連続送信(DTX)において位置決め測定を行う方法および装置などを含む。
【0106】
本明細書に含まれる幾つかの実施形態では、ネットワークは、2つ以上のセル・セットに対応する2つのセルからの信号の到達時間差などの位置決め測定を行うように無線端末(UE)に要求する。これらのセル・セットは、好ましくは異なる基地局サイトに配置されるべきである。無線端末(UE)は、そのような要求をネットワークから受信する際、不連続モード(例えばDRX状態)にあるものとする。本明細書に開示の技術のこの部分については、幾つかの側面がある。
【0107】
第1の側面によれば、測定要求の受信に応じて、UEは、DRXサイクルを無視し、連続受信モードになる。UEは、要求された位置決め測定をすべて実行するまで、連続受信モードのままでいる。必要な測定をすべて完了後、無線端末(UE)は、不連続受信(DRX)状態に戻るかまたは復帰する。そのようなルールは、ネットワークが不連続受信(DRX)モードにおける無線端末(UE)の動作について認識しているよう、標準規格において予め規定されてもよい。
【0108】
第2の側面によれば、測定要求の受信に応じて、無線端末(UE)は、DRXサイクルを完全には無視しない。もっと正確に言えば、無線端末(UE)は、そのDRXサイクルを短縮する。無線端末(UE)は、要求された位置決め測定をすべて実行するまで、短縮DRXサイクルを使用して動作する。必要な測定をすべて完了後、UEは、測定要求の受信前に使用していた最初のDRXに戻るかまたは復帰する。このようなルールもまた、DRXモードにおけるUEの動作についてネットワークに認識させるよう、標準規格において予め規定されてもよい。短縮DRXサイクルは、無線端末(UE)において最初に事前設定されてもよい。あるいは、短縮DRXサイクルはまた、可能な限りの最も短いDRXサイクル、またはある特定のDRXサイクル、例えば40ミリ秒周期などの予め定められたDRXサイクルでもよい。あるいは、短縮DRXは、位置決め測定の実行要求を含むのと同じ測定制御メッセージで伝達されてもよい。先行技術のシステム(E-UTRAN)では、無線端末(UE)は、例えば1つの短いサイクルおよび1つの長いサイクルなどの、2つのDRXサイクルを使用して事前設定され得る。この第2の側面は、無線端末(UE)が短縮DRXサイクルを使用して必要な測定精度を満足できる場合に役立つ。このようにして、無線端末(UE)は、さらにそのバッテリ電力をある程度節約できる。
【0109】
前述の一例として、無線端末(UE)がDRXサイクル=1.28秒を使用していると想定する。ネットワークノードから位置決め測定要求の受信に応じて、無線端末(UE)は、DRXサイクル=40ミリ秒を使用して動作を開始し、測定をすべて完了するまで続ける。測定完了後、UEは、DRXサイクル=1.28秒に戻る。
【0110】
第3の側面によれば、位置決め測定を行うために、UEが連続モードになる、またはそのDRXサイクルを短縮する、時間インスタンスまたは相対的な時間オフセットも、予め定められてもよい。上述のモード変更タイミング・ファクタ(MCTF)を参照されたい。あるいは、そのようなパラメータは、測定要求と一緒に無線端末(UE)に伝達されてもよいし、または、例えばセッションの開始時などに、無線端末(UE)において最初に事前設定されてもよい。
【0111】
同様に、第4の側面によれば、位置決め測定実行後に、UEが最初のDRXサイクルに戻るまたは復帰する時間インスタンスまたは相対的な時間オフセットも、予め定められてもよい。上述のモード復帰タイミング・ファクタ(MRTF)を参照されたい。あるいは、時間インスタンスまたは相対的な時間オフセットは、測定要求と一緒にパラメータとして無線端末(UE)に伝達されてもよいし、または、例えばセッションの開始時などに、無線端末(UE)において最初に事前設定されてもよい。
【0112】
全般的に見て、上記の側面は、位置決め測定が、不連続モードよりも(例えばDRXなどよりも)優先順位が高いということに相当する。従って、第5の側面によれば、DRXよりも優先順位が高いことが、または、位置決め測定を行う際に(例えば、2つのセルからの信号の到達時間差測定を行う際に)、無線端末(UE)が、DRX動作を無効にする、DRX動作を無視する、もしくはDRXを短縮することが、標準規格またはその他のやり方で単に規定され得る。このようにすると、DRXにおける方法の詳細は、明示的な標準化ではなく、無線端末(UE)の実装に委ねられる。
さらに別の実施形態によれば、無線端末(UE)が不連続モードにあり、かつ位置決め測定を行うように要求された際に、無線端末(UE)が、非DRXの場合(連続受信の場合)に対応する測定要件、または短縮DRXに対応する測定要件を満足すべきことも、仕様に定められ得る。このことは、測定期間および他の要件が、非DRXの場合または短縮DRXの場合と同一であるということを意味する。
【0113】
上述のように、無線端末(UE)は、位置決め測定要求の受信に応じて、不連続モード(例えばDRX)を無効にしてもよいし、あるいはDRXサイクルを短縮してもよい。本明細書に開示の技術の非限定的な幾つかのシナリオ例について、
図11および
図12に示す。
【0114】
図11のシナリオは、位置決め測定(例えばRSTDなど)の実行要求の受信に応じて、UEがDRXを完全に無効にする事例(例えば、第1の側面)を含む。
図11に示されるように、最初、無線端末(UE)はDRX状態にある(動作11-1)。次いで、無線端末(UE)は、ネットワークからRSTD測定要求を受信する(動作11-2)。ネットワークからの要求メッセージはまた、無線端末(UE)がそのDRXを無効にする、および、測定実行後にDRXを有効にする時間イスタンス(例えば、上述のモード変更タイミング・ファクタ(MCTF)などのサブフレームまたは時間オフセット)を含んでもよい。さもなければ、無線端末(UE)は、予め定められた値またはルールから、時間インスタンスまたは時間オフセットを決定する。
次いで、無線端末(UE)は、DRXサイクルを無効にし(動作11-3)、対をなすセルの複数のセット(例えば、サービングセルとN個の隣接セルからなるN(N>1)対のセットなど)から、RSTD測定の実行を開始する(動作11-4)。無線端末(UE)は、例えば動作の要件などに従って、指定の持続期間内に要求されたRSTD測定のすべてを実行できる。従って、無線端末(UE)が非DRX(連続受信モード)に留まる持続期間は、非DRXの場合のRSTD測定期間とほぼ等しい。それ故、測定タイマが満了すると(11-5)、無線端末(UE)は、DRXモードを有効にする(例えば不連続モードに復帰する)(動作11-6)。
【0115】
図12は、例えばRSTDなどの位置決め測定の実行要求の受信に応じて、無線端末(UE)がDRXサイクルを短縮する、非限定的な特定の一シナリオ例を示す。
図12に示されるように、最初無線端末(UE)は、DRX状態にある(動作12-1)。無線端末(UE)は、ネットワークからRSTD測定要求を受信する(動作12-2)。ネットワークからの要求メッセージはまた、無線端末(UE)がそのDRXサイクルを短縮する、および、測定実行後に最初のDRX状態に戻る時間イスタンス(例えば、サブフレームまたは時間オフセット)を含んでもよい。さもなければ、無線端末(UE)は、予め定められた値またはルールから、時間インスタンスまたは時間オフセットを決定する。
次いで、無線端末(UE)は、そのDRXサイクルを短縮し(動作12-3)、対をなすセルの複数のセット(例えば、サービングセルとN個の隣接セルからなるN(N>1)対のセットなど)から、RSTD測定の実行を開始する(動作12-4)。無線端末(UE)が短縮DRXサイクルに留まる持続期間は、短縮DRXサイクルに相当するRSTD測定期間にほぼ等しい。それ故、測定タイマが満了すると(動作12-5)、無線端末(UE)は、初期のDRX状態に戻る(動作12-6)。
【0116】
図11および
図12の例はRSTDを扱っているが、UTRAN SFN-SFNタイプ2、2つのセルからの信号の観測到達時間差(OTDOA)、またはパスロスや信号強度や信号品質などを含む任意の他の位置決め測定などの、他の位置決め測定に、
図11および
図12の例が容易に適用され得ることを当業者は理解し得る。
【0117】
不連続送信(DTX)は、あらゆるタイプのアイドルギャップに起因して起こり得る。当該ギャップは、一般的に、周波数間(inter-frequency)のキャリアおよびRAT間(inter-RAT)の(すなわち、サービング・キャリアに対応する技術以外の技術上の)キャリアの少なくともいずれかについての測定を行うために使用される。UTRANおよびE-UTRANでは、周期的な圧縮モードパターンおよびアイドルギャップがそれぞれ、これらのタイプの測定を行うために使用される。
【0118】
DTXは、送信電力、受信干渉、雑音上昇等を減少するためなどの他の目的のために、UTRANでも使用される。例として、もともと連続的な電力制御が使用されており、それ故に連続的なDPCCHが使用されているWCDMAでは、ネットワークが設定可能な不連続アップリンク電力制御機能によって(すなわち、不連続な個別物理制御チャネル(DPCCH)を設定することによって)、ネットワークがアップリンク雑音上昇およびUE送信電力を減少させることが可能である。正確なDTXパターン(例えば周期性)およびDTX/アイドルの時/ギャップは、所望のシナリオに従ってネットワークによって設定される。
【0119】
本明細書に開示の技術の第6の側面によれば、位置決め測定(例えば、RSTDまたはSFN-SFNタイプ2等)についての要求の受信に応じて、無線端末(UE)は、DTXを無効にし、連続送信モードになる。位置決め測定実行後、無線端末(UE)は、DTXモードに戻る。DRXの場合と同様に、DTXが無効化および有効化される時間インスタンスまたは時間オフセットは、ネットワークから伝達されてもよいし、予め定められたルールから導かれてもよいし、予め定められた値であってもよい。
【0120】
本明細書に開示の技術の第7の側面によれば、位置決め測定(例えば、RSTDまたはSFN-SFNタイプ2等)要求の受信に応じて、無線端末(UE)は、DTXを完全に無効にしないで、正確に言うと、DTXサイクルまたはDTXレベルを減少させ、例えばUEは、DTXの周期を640ミリ秒から80ミリ秒にしてもよい。DTXサイクルはまた、要求に応じて予め定められてもよい。無線端末(UE)は、可能な限りの最も短いDTXレベルになるか、あるいは、事前設定のDTX/アイドルギャップもしくは予め定められたDTX/アイドルギャップに従って動作する。位置決め測定の実行後、無線端末(UE)は、通常または初期のDTXモードに戻る。DRXの場合と同様に、無線端末(UE)が短縮DTXで送信する時間インスタンスまたは時間オフセット、および通常のDTXで再開する時間インスタンスまたは時間オフセットは、ネットワークから伝達されてもよいし、予め定められたルールから導かれてもよいし、予め定められた値であってもよい。
【0121】
DTXサイクルまたはアイドルギャップ(圧縮モードギャップまたは測定ギャップなど)が長くなるほど、特に、基地局で行われる位置決め測定についての測定期間および応答時間(例えば、ラウンドトリップ時間または一方向の伝搬遅延)が長くなることがある。この理由は、DTXまたはアイドルギャップに起因して、無線端末(UE)が送信した信号を無線ネットワークノードがまばらに受信するからである。この問題は、例えば本明細書に開示の技術の第8の側面などによって解決される。
【0122】
図13は、本明細書に開示の技術の第8の側面の実施に適した、代表的なネットワークノード28および代表的な無線端末30を示しており、ネットワークノード28は、当該ネットワークノードが無線端末30についての位置決め測定を行う間、不連続送信(DTX)モードを中断するよう、当該無線端末30に指示する。この第8の側面に関しては、
図13のネットワークノード28は、ノード測定部80を有する。
【0123】
(
図13および
図14に示される)この第8の側面によれば、無線端末(UE)は、例えばラウンドトリップ時間または一方向の伝搬遅延等のアップリンク位置決め測定を促進するために、DTXサイクルを無効にする。このようにして、基地局、ノードBまたはeNodeBなどの無線ネットワークノードは、無線端末(UE)送信の信号を頻繁に受信して、位置決め関連測定を迅速に行うとともにより短期間にUE位置を判定できる。
図14は、第8の側面の非限定的な動作例またはステップ例を示しており、特に動作14-1として、ネットワークノードが、指定された(例えば特定の)期間(T1)にわたってDTXを無効にするよう無線端末(UE)に指示するメッセージまたはコマンドをUEに伝達することを示している。動作14-2として、無線端末(UE)は、不連続送信(DTX)モードを中断する。特定のまたは指定された期間T1の間、ネットワークノードは、位置決め測定を行う(動作14-3)。期間T1後、UEは、DTX動作を再開する(動作14-4)。
【0124】
図13および
図14に示される第8の側面では、期間T1は、無線端末へのメッセージの中でネットワークノードから指定されてもよいし、または、予め定められた値(例えば、非DTXの場合における測定量の測定期間)であってもよい。その場合は、ネットワークが伝達するメッセージは、当該ネットワークが位置決め測定を行うことを無線端末(UE)に知らせるだけであろう。それ故、UEは、予め定められた時間までDTXを無視し続けるであろう。
【0125】
従って、第8の側面では、ネットワークは、ネットワークが現在測定を行っていることを無線端末(UE)に知らせる。あるいは、ネットワークは、特定の時間にわたってDTXを無視するようにUEに指示する。別のやり方では、ネットワークが、予め定められたメッセージまたは信号を単にUEに送信する。当該予め定められたメッセージは、予め定められたルールに従って、予め定められた特定の期間にわたってUEがDTXを無視することを暗に伝える。
【0126】
上記で何回か説明したが、DRXサイクル、DTXサイクルまたはアイドルギャップ(圧縮モードギャップまたは測定ギャップなど)が長くなるほど、測定期間が長くなることがあり、その結果、無線端末(UE)の位置の判定が遅延することがある。
図15は、無線端末が、2.56秒のサイクル長を有する不連続モード(DRXまたはDTXの一方または両方)で動作しており、4つのセルのそれぞれからの4つのサンプルを用いる状況を示している。
図15の不連続モードの状況では、LTE測定量である基準信号受信電力(RSRP:reference signal received power)の測定期間は、約10.28秒である。
図15はまた、非不連続モードなどの修正モードへの(特に、
図16の状況例への)モード変更に応じて行われる測定期間の短縮について示している。それに応じて、モード変更を考慮して、測定期間が10.28秒から200ミリ秒に短縮されていることを、
図15は示している。大幅に短縮された測定期間によって、無線端末(UE)の位置をより迅速かつ正確に判定することが可能になる。
【0127】
連続送信は、測定を速めるのに役立つが、干渉を増加させもする。それ故、DTXサイクルまたはDTXレベルを適切な値にすることで、位置決め測定についての妥当な測定期間と、無線端末(UE)の判定された位置についての許容可能な応答時間とがもたらされるであろう。この目的は、本明細書に開示の技術の第9の側面によって達成される。
従って、この第9の側面によれば、無線端末(UE)は、無線ネットワークノードがより短期間に位置決め測定を行うのを促進するために、短縮されたDTXサイクル/アイドルギャップを使用する。これまでの場合と同様に、ネットワークは、DTX/アイドルギャップを特定の期間(T2)にわたっていつ短縮すべきかをUEに伝達する必要がある。短縮されたDTXサイクルがUEに伝達されてもよいし、あるいは、予め定められたルールも指定されてもよい。例として、当該予め定められたルールは、事前設定された短縮DTX/アイドルギャップまたは予め定められた短縮DTX/アイドルギャップに従って動作することを、UEに要求できよう。別の可能性は、無線端末(UE)が可能な限りで最も短いDTXレベルを使用することである。期間(T2)もまた、伝達される値ではなく、予め定められた値であってもよい。
【0128】
本明細書に開示の技術の第10の側面によれば、位置決め測定は、DTX/アイドルギャップ/測定ギャップ/圧縮モードギャップよりも優先順位が高いことが、仕様に定められ得るかまたは規定(例えば標準化)され得るだけでもよい。さもなければ、無線端末(UE)、ネットワークまたはその両方によって位置決め測定が行われる場合に、DTX/アイドルギャップ/測定ギャップ/圧縮モードギャップをUEが無効化、無視または短縮することが、仕様に定められてもよい。このようにすると、DTXまたはアイドルギャップにおける方法の詳細は、明示的に標準化をすることなしに、無線端末(UE)の実装に委ねられるであろう。
さらに別の実施形態によれば、無線端末(UE)がDTX状態にあり、かつ位置決め測定が無線端末(UE)または無線ネットワークノードによって行われる際に、非DTXの場合(連続送信の場合)に対応する測定要件、または短縮DTXに対応する測定要件を満足すべきことも、仕様に定められ得る。このことは、測定期間および他の要件が、非DTXの場合または短縮DTXの場合と同一であるということを意味する。
【0129】
実際には、DTXモードおよびDRXモードの両方が使用されてもよい。例として、無線端末(UE)がDRXに設定されている場合に、隣接セル測定を行うための測定ギャップも、同時に有効化されてもよい。
【0130】
従って、本明細書に開示の技術の第11の側面によれば、無線端末(UE)によって、基地局などの無線ネットワークノードによって、または無線端末(UE)と無線ネットワークノードの両方によって、位置決め関連測定(すなわち、測定期間にわたるDRX/DTXの無効化)が行われる場合に、無線端末(UE)は、DRXとDTX(または任意のタイプのアイドルギャップ)の両方を無効にする。
【0131】
本明細書に開示の技術の第12の側面によれば、UEによって、基地局などの無線ネットワークノードによって、またはUEおよび無線ネットワークノードの両方によって、位置決め関連測定(すなわち、測定期間にわたる短縮DRX/DTXの使用)が行われる場合に、UEは、短縮DRXと短縮DTXの両方を使用する。
【0132】
本明細書に開示の技術の第13の側面によれば、本明細書に開示のDRXおよびDTXにおける位置決め測定に関する方法のあらゆる組み合わせが使用されてもよい。
【0133】
これまでの実施形態のすべては、DRXにおける地上測位法(例えば、UEベースおよびネットワークベースのUTDOA等)に関する測定に関係があるルール、方法および手順を含むか、備えるか、またはその両方である。
【0134】
GNSSまたはA-GNSSの場合では、無線端末(UE)は、一定数の衛星(例えば、一定数の可視衛星)から受信した信号、衛星の識別子などについての測定を、全部または一部行う必要がある。無線端末(UE)がDRXモードにある場合、測定は遅延するであろう。これにより、無線端末(UE)の位置の判定における応答時間が長くなるであろう。
【0135】
本明細書に開示の技術の第14の側面によれば、本明細書に記載の方法はすべて、例えばA-GPS測定などの衛星ベースの位置決め測定を行うためにも使用されてもよい。このことは、無線端末(UE)が、GNSS、A-GNSSまたはA-GPS関連測定を行う場合に、DRX/DTXを無視してもよいか、またはDRX/DTXを短縮してもよいということを意味する。
【0136】
従って、本明細書に開示の技術は、とりわけ以下を二者択一的にまたは集合的に含む。
【0137】
不連続受信(DRX)状態において、無線端末は、非不連続受信(DRX)に対応する測定期間にわたって、基準信号時間差(RSTD)測定を行う。
【0138】
無線端末が不連続受信(DRX)モード/状態であるか否かにかかわらず、無線端末は、同一の測定期間にわたって基準信号時間差(RSTD)測定を行う。
【0139】
無線端末が不連続受信(DRX)モード/状態に設定されている場合、ネットワークからの基準信号時間差(RSTD)測定の受信に応じて、無線端末は、基準信号時間差(RSTD)測定についての測定期間中、不連続受信(DRX)サイクルを無視する。
【0140】
無線端末が不連続受信(DRX)モード/状態に設定されている場合、ネットワークからの基準信号時間差(RSTD)測定要求の受信に応じて、無線端末は、基準信号時間差(RSTD)の測定期間中、非DRX状態になる(またはそのDRXサイクルを短縮する)。
【0141】
本明細書に開示の技術の第15の側面によれば、無線端末(UE)は、緊急事態または公衆警報(public warning)などの危機的状況の場合に、DRXおよびDTXの少なくともいずれかを無視する。緊急事態または公衆警報は、ハリケーン、台風、竜巻、洪水、テロ行為、火事等のような、1つ以上の理由が原因で引き起こされ得る。
一実施形態では、UEがDRXおよびDTXの少なくともいずれかで動作している場合には、ネットワークノードからの緊急関連情報の受信に応じて、UEは、特定の期間(Te)にわたってDRXおよびDTXの少なくともいずれかを無視する。期間Teは、予め定められた期間であってもよいし、ネットワークから伝達される値であってもよい。Teを含む緊急情報は、ブロードキャストチャネル、UE固有のチャネル、または任意の適切なチャネルを介して、UEに送信されてもよい。UEは、ネットワークからシグナリング・メッセージによって、DRX状態およびDTX状態の少なくともいずれかを無視するように明示的に指示されてもよい。あるいは、緊急事態下におけるDRX状態およびDTX状態の少なくともいずれかの無効化もまた、予め定められたルールに基づいてもよい。例として、予め定められたルールが仕様で定められてもよく、そのルールに従って、UEが、緊急呼を開始するか、または警報もしくは緊急事態に関連する要求を送信した場合、UEは、予め定められた時間にわたって、または緊急呼の完了まで、DRXおよびDTXの少なくともいずれかを無効にする。
公衆警報または緊急事態の終了後、UEは、通常のDRX動作およびDTX動作の少なくともいずれかに復帰する。緊急事態においてDRXおよびDTXの少なくともいずれかを無効にすることによって、UEおよびネットワークが、通信をより高速に確立することが可能になるとともに、UEおよびネットワークノードの少なくともいずれかが、種々の理由のため(例えば、UE位置の判定のため、より良好な移動性能のため等)に必要となる測定を、より高速に実行することが可能になる。
【0142】
本明細書に開示の技術の第16の側面によれば、UEがDRXおよびDTXの少なくともいずれかで動作している際に、緊急事態または公衆警報などの危機的状況がある場合に、UEは、DRX状態およびDTX状態の少なくともいずれかを完全には無効にしない。正確に言うと、UEは、期間(Ts)にわたってDRXサイクルおよびDTXサイクルの少なくともいずれかを短縮する。Tsは、予め定められた値であってもよいし、ネットワークノードからUEに伝達される値であってもよい。DRX/DTXサイクルについての短縮された値は、緊急事態の間の使用のために予め定められてもよいし、あるいは、ブロードキャストチャネル、UE固有のチャネル、または任意の適切なチャネルを介して、緊急メッセージの中でUEに伝達されてもよい。
公衆警報または緊急事態の終了後、UEは、通常のDRXおよびDTX動作の少なくともいずれかに復帰する。緊急事態におけるDRXおよびDTXの少なくともいずれかの短縮には、幾つかの利点がある。当該短縮によって、UEおよびネットワークが、通信をより高速に確立するのが可能になるとともに、UEおよびネットワークノードの少なくともいずれかが、種々の理由のため(例えば、UE位置の判定のため、より良好なUE移動性能のため等)に必要となる測定を、比較的高速に実行することが可能になる。他の利点は、そのような緊急事態において重要であるバッテリ電力を、さらに節約できることである。
【0143】
図17および
図18は、本明細書に開示の技術の第15および第16の側面を示している。
図17は、本明細書に開示の技術の第15および第16の側面に従った方法に含まれる代表的な動作例またはステップ例を示している。動作17-1は、緊急事態が存在することを認識する工程を含む(当該認識は、前述の例のいずれかに従う)。本方法は、当該認識の結果として、または認識後に、無線端末30の動作モードを変更する動作(動作17-2)、すなわち、不連続モードから、測定の動作を促進するための修正モードに、無線端末の動作を変更する工程をさらに含む。
図18は、
図17の方法の好ましい形態を示しており、無線端末30が修正モードから不連続モードに復帰する動作17-3をさらに含む。そのような復帰は、例えば、所定の時間間隔の満了に応じて、または緊急事態が終了したという指標/認識などの、本明細書に記載の基準例のいずれかに応じて、行われてもよい。一実施形態例では、動作17-3の変更動作および復帰動作17-3の少なくともいずれかは、無線リソース制御(RRC)部42によって達成され得る。本技術の第15および第16の側面についての態様は、不連続モードおよび修正モードの意味、ならびに不連続受信(DRX)および不連続送信(DTX)の少なくともいずれかへの適用性を含むがそれらに限定されず、本明細書に記載の他の実施形態および例を参照して理解される。
【0144】
本明細書に開示の技術は、多くの利点を含むか、またはもたらす。非限定的な利点の例には、以下のものが含まれる。
・DRX状態にある無線端末(UE)が、より短期間に、その位置を判定するために使用される測定を実行できるとともに測定値を報告できる。これにより、無線端末(UE)がDRX状態にある際に、無線端末(UE)の位置を判定するための応答時間が低減される。
・短縮DRX/DTXサイクルの使用を可能にする実施形態によって、測定期間および応答時間が適度に低減される。
・より短くかつ適切なDTX/ギャップを使用することによって、適度な干渉レベルおよび雑音上昇レベルを維持できる。
・より短くかつ適切なDRXサイクルを使用することによって、適度なUEの節電を達成できる。
・UE位置の判定を高速に行う必要がある緊急呼の要件が、無線端末(UE)がDRX状態にある際に満足され得る。
【0145】
これまでの記述は多くの特定事項を含んでいるが、これらの事項は、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきでなく、本発明の現在好ましい幾つかの実施形態の実例を提供しているにすぎないと解釈されるべきである。それ故、本発明の範囲は、当業者には明らかになるかもしれない他の実施形態も完全に包含し、それに応じて、本発明の範囲が不当に限定されないことが理解されるであろう。単数形での要素の言及は、明示的にそのように述べない限り「唯一」を意味する意図はなく、むしろ「1つ以上」を意味することを意図している。上述の好ましい実施形態の要素の、当業者に周知の構造上、化学上、および機能上の均等物はすべて、明示的に本明細書に含まれる。さらに、本明細書に含まれることになるデバイスまたは方法が、本発明が解決しようとしているあらゆる課題に取り組む必要はない。