(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】グラフニューラルネットワークに基づくマルチソースタイミングデータ故障診断方法及び媒体
(51)【国際特許分類】
G06N 3/04 20060101AFI20220114BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20220114BHJP
【FI】
G06N3/04
G06N20/00 130
(21)【出願番号】P 2021136415
(22)【出願日】2021-08-24
【審査請求日】2021-08-24
(31)【優先権主張番号】202011637583.0
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519295166
【氏名又は名称】▲広▼州大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲チー▼ 科
(72)【発明者】
【氏名】李 文康
【審査官】吉倉 大智
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0312898(US,A1)
【文献】熊谷将也 ほか,侵入検知システムのためのグラフ構造に基づいた機械学習および可視化,情報処理学会研究報告 インターネットと運用技術(IOT)[online],日本,情報処理学会,2019年03月08日,Vol. 2019-IOT-44, No.52,pp.1-7,ISSN:2188-8787
【文献】Honda Shion,GNNまとめ(1): GCNの導入,Qiita [online],2020年06月25日,[検索日 2021.11.08], インターネット:<URL:https://qiita.com/shionhonda/items/d27b8f13f7e9232a4ae5>
【文献】Zonghan Wu ほか,Connecting the Dots: Multivariate Time Series Forecasting with Graph Neural Networks,arXiv.org [online],v1,2020年05月24日,[検索日 2021.11.08], インターネット:<URL:https://arxiv.org/abs/2005.11650v1>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 3/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフニューラルネットワークに基づくマルチソースタイミングデータ故障診断方法であって、
計算機器が、
S1、故障検出のシステムに対して、マルチソースタイミング履歴データを取得することと、
S2、マルチソースタイミング履歴データに対してデータ前処理を行い、トレーニングサンプルを得ることと、
S3、トレーニングサンプルを介してグラフニューラルネットワークモデルに対してトレーニングを行い、故障診断モデルを得ることと、
S4、故障検出対象システムに対して、マルチソースタイミングリアルタイムデータを取得し、データ前処理を行うことと、
S5、マルチソースタイミングリアルタイムデータ前処理後の結果を故障診断モデルに入力し、故障診断モデルによりシステムの故障診断結果を出力することとを含
み、
マルチソースタイミング履歴データとマルチソースタイミングリアルタイムデータに対して、データ前処理を行うプロセスは、以下のとおりであり、
SA、データ同期処理:取得したマルチソースタイミング履歴データ又はマルチソースタイミングリアルタイムデータに対して、各データソースのタイミングデータを同期サンプリングし、即ち、設定時間間隔△Tに従って各データソースの同じ時刻でのサンプリング値を同期取得し、同期タイミングデータセットDを得、
【数37】
そのうち、Mはデータソースの総個数であり、Nはサンプリングデータ長さであり、そのうち、
【数38】
はk番目のデータソースのタイミングデータに対してサンプリングを行うときに、時刻tでサンプリングされたデータを表し、t0はサンプリングの開始時点であり、 そのうち、平均値補間法を用いて欠損値処理を行い、各データソースの同じ時刻でのサンプリング値を取得するために用いられ、
SB、正規化処理:同期タイミングデータセットDにおける各データソースの異なる時刻でのデータ
【数39】
に対してmin-maxを用いて正規化処理し、正規化処理後のデータセットをD*と記し、
SC、データスライス処理:データスライス処理は、
【数40】
をマッピングし、且つ関数f(t)を
【数41】
にマッピングすることに定義され、
そのうち、dはスライス長さであり、λは移動ステップサイズであり、Nはサンプリングデータ長さであり、
データセットD*は上記データスライス処理を経た後、長さがLであるスライス序列
【数42】
そのうち、
【数43】
はスライスデータIjにおけるm組目データを表し、この組データには、正規化処理後の複数のデータソースの同じ時刻でのデータを含む、ことを特徴とするグラフニューラルネットワークに基づくマルチソースタイミングデータ故障診断方法。
【請求項2】
ステップS2では、マルチソースタイミング履歴データに対してデータ前処理を行った後に、得られたスライス序列
【数44】
をトレーニングサンプルとし、各トレーニングサンプルのラベルが各スライス序列の最後の組のデータに対応するシステム故障状況である、ことを特徴とする請求項
1に記載のグラフニューラルネットワークに基づくマルチソースタイミングデータ故障診断方法。
【請求項3】
ステップS4では、取得したマルチソースタイミングリアルタイムデータは、システムが前のある時刻から現在の時刻Tまでのリアルタイムデータであり、データ同期サンプリング処理後、各データソースがT-(N-1)△T番目時刻、T-(N-2)△T番目時刻,…,T-△T番目時刻、T番目時刻のデータサンプリング値を得、マルチソースタイミングリアルタイムデータに対応する同期タイミングデータセットDを構成し、その後、ステップSBとステップSC処理を経た後、スライス序列
【数45】
を故障診断モデルに入力し、故障診断モデルによりシステムの故障診断結果を出力する、
ことを特徴とする請求項
1に記載のグラフニューラルネットワークに基づくマルチソースタイミングデータ故障診断方法。
【請求項4】
前記グラフニューラルネットワークモデルは、入力層、グラフ構造層、GNN層とsoftmax層を含み、そのうち、
入力層は、マルチソースタイミング履歴データ又はマルチソースタイミングリアルタイムデータ前処理後のスライスタイミングデータセット
【数46】
を入力するためのものであり、
グラフ構造層は、GNN層計算に必要なグラフノードVと接続マトリクスAを構築するためのものであり、
GNN層は、前記グラフノードVと接続マトリクスAに基づいて、グラフにおける各ノードのノード隠蔽状態を計算して更新し、これに基づいて各ノードの出力を計算するためのものであり、そのうち、
【数47】
そのうち、
【数48】
は、学習可能ウェイト行列であり、
softmax層は、演算y=softmax(O)を実行するためのものであり、そのうち、yは対応なサンプルの故障診断予測確率を表し、OはGNN層の出力ベクトルであり、また、予測確率の大きさに応じて故障診断結果を出力する、ことを特徴とする請求項
1に記載のグラフニューラルネットワークに基づくマルチソースタイミングデータ故障診断方法。
【請求項5】
前記GNN層は二層であり、それぞれ第一層GNNと第二層GNNであり、
そのうち、第一層GNNのグラフノードV1=(V1,V2,...,Vd)は、各スライスデータIjにおけるすべての組のデータ
【数49】
からなり、合計d個のノードがあり、各ノードのノード特徴は、各スライスデータにおける各組データに対応し、各データソースの同じ時刻でのデータサンプリング値を表し、接続マトリクスAは、ノードと隣接ノードとの間の時間次元相関作用関係を表すために用いられ、時間次元に沿って前後隣接する三つのノードとの間のエッジ接続を構築し、正規化エッジ重みを付与して接続マトリクスを得、
そのうち、第一層GNNは、それぞれスライス序列
【数50】
における各スライスデータIjに対して計算を行い、埋め込みベクトルOj(j=1,2,...,L)を出力し、出力された埋め込みベクトルOjを第二層GNNの入力とし、
第二層GNNのグラフノードV2=(O1,O2,...,OL)であり、Lは、スライス序列長さであり、ノード特徴は、埋め込みベクトルから構成され、各スライスの収束特徴ベクトルを表し、第二層GNNにおける接続マトリクスAは、第一層GNNの接続マトリクスAと同じであり、
第二層GNNは、第一層GNNの出力に対して計算を行い、融合ベクトルOを出力し、Oをsoftmax層の出力とする、ことを特徴とする請求項
4に記載のグラフニューラルネットワークに基づくマルチソースタイミングデータ故障診断方法。
【請求項6】
ステップS3では、グラフニューラルネットワークモデルに対してトレーニングを行うプロセスにおいて、モデルトレーニングアルゴリズムとしてAlmeida-Pinedaアルゴリズムを採用し、最適化されたコスト関数は、クロスエントロピー関数を選択する、ことを特徴とする請求項1に記載のグラフニューラルネットワークに基づくマルチソースタイミングデータ故障診断方法。
【請求項7】
プログラムが記憶される記憶媒体であって、
前記プログラムがプロセッサによって実行される時、請求項1~
6のいずれか1項に記載のグラフニューラルネットワークに基づくマルチソースタイミングデータ故障診断方法を実現させる、ことを特徴とする記憶媒体。
【請求項8】
プロセッサと、プロセッサ実行可能なプログラムを格納するためのメモリとを含む計算機器であって、
メモリに記憶されるプログラムが前記プロセッサによって実行される時、請求項1~
6のいずれか1項に記載のグラフニューラルネットワークに基づくマルチソースタイミングデータ故障診断方法を実現させる、ことを特徴とする計算機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートな故障診断技術分野に関し、特にグラフニューラルネットワークに基づくマルチソースタイミングデータ故障診断方法及び媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模システムの作動状態モニタリングは、マルチセンサの協同動作が必要である。マルチセンサにより収集したマルチソースタイミングデータは、大規模システムの故障診断のために情報ベースを提供し、システム故障の発生は、複数の要素と相関し、マルチセンサにより収集したマルチソースデータの間には、大量の有効関連情報が潜在的に存在し、即ち、システム故障の発生は、マルチソースデータ相関性を有し、同時に、システム故障の発生は、段階的変化の過程であり、現在のシステム故障の発生は、事前期間のシステムの作動状態と密接関係があり、即ち、システム故障の発生は、時間相関性を有する。
【0003】
従来技術では、一般的には、故障診断方法は、数学モデルに基づく故障診断、パラメータ推定に基づく故障診断、信号処理に基づく故障診断、知識に基づく故障診断、ニューラルネットワークに基づく故障診断などの方法を含み、その共通性は、経験に基づいて、故障診断を行うために必要な故障特徴を人工で設計し、抽出する必要があることである。しかしながら、人工設計故障特徴は、適用性が悪く、領域知識依頼性が強く、診断正確性が低いなどの不足があるため、深層学習に基づくスマートな故障診断方法は、その特徴自動抽出、正確性が高いなどの利点で、ビッグデータバックグラウンドの故障診断分野で迅速に発展されている。
【0004】
CNN(コンボリューショナルニューラルネットワーク)とLSTM(長短期記憶ニューラルネットワーク)に基づくスマートな故障診断は、広く応用されており、特徴自動抽出と故障分類診断を実現することができるが、CNNとLSTMのマルチソースデータに対して特徴抽出は、一般的に、複数のCNN+LSTM分岐方式、各分岐がそれぞれシングルソースデータ特徴を抽出してから多分岐特徴融合の処理方法を採用し、マルチソースデータの間の相関性特徴を弱化又は損失した以上、ネットワークの複雑度を増加させ、故障診断結果の正確性と効率を低下させた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の第一の目的は、従来技術の欠点と不足を克服するためのグラフニューラルネットワークに基づくマルチソースタイミングデータ故障診断方法を提供することである。この方法は、マルチソースデータの相関性特徴と時間次元のタイミング特徴を比較的によく融合することができ、故障診断の正解率とノイズ耐性を効果的に向上させることができる。
【0006】
本発明の第二の目的は、グラフニューラルネットワークに基づくマルチソースタイミングデータ故障診断装置を提供することである。
【0007】
本発明の第三の目的は、記憶媒体を提供することである。
【0008】
本発明の第四の目的は、計算機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の目的は、以下の技術案によって実現される。
グラフニューラルネットワークに基づくマルチソースタイミングデータ故障診断方法であって、
S1、故障検出のシステムに対して、マルチソースタイミング履歴データを取得することと、
S2、マルチソースタイミング履歴データに対してデータ前処理を行い、トレーニングサンプルを得ることと、
S3、トレーニングサンプルを介してグラフニューラルネットワークモデルに対してトレーニングを行い、故障診断モデルを得ることと、
S4、故障検出対象システムに対して、マルチソースタイミングリアルタイムデータを取得し、データ前処理を行うことと、
S5、マルチソースタイミングリアルタイムデータ前処理後の結果を故障診断モデルに入力し、故障診断モデルによりシステムの故障診断結果を出力することとを含む。
【0010】
好ましくは、マルチソースタイミング履歴データとマルチソースタイミングリアルタイムデータに対して、データ前処理を行うプロセスは、以下のとおりである。
SA、データ同期処理:取得したマルチソースタイミング履歴データ又はマルチソースタイミングリアルタイムデータに対して、各データソースのタイミングデータを同期サンプリングし、即ち、設定時間間隔△Tに従って各データソースの同じ時刻でのサンプリング値を同期取得し、同期タイミングデータセットDを得、
【数1】
そのうち、Mはデータソースの総個数であり、Nはサンプリングデータ長さであり、そのうち、
【数2】
はk番目のデータソースのタイミングデータに対してサンプリングを行うときに、時刻tでサンプリングされたデータを表し、t
0はサンプリングの開始時点であり、
そのうち、平均値補間法を用いて欠損値処理を行い、各データソースの同じ時刻でのサンプリング値を取得するために用いられ、
SB、正規化処理:同期タイミングデータセットDにおける各データソースの異なる時刻でのデータ
【数3】
に対してmin-maxを用いて正規化処理し、正規化処理後のデータセットをD
*と記し、
SC、データスライス処理:データスライス処理は、
【数4】
をマッピングし、且つ関数f(t)を
【数5】
にマッピングすることに定義され、
そのうち、dはスライス長さであり、λは移動ステップサイズであり、Nはサンプリングデータ長さであり、
データセットD
*は上記スライス処理を経た後、長さがLであるスライス序列
【数6】
スライスデータI
jにおけるm組目データを表し、この組データには、正規化処理後の複数のデータソースの同じ時刻でのデータを含む。
【0011】
さらに、ステップS2では、マルチソースタイミング履歴データに対してデータ前処理を行った後に、得られたスライス序列
【数7】
をトレーニングサンプルとし、各トレーニングサンプルのラベルが各スライス序列の最後の組のデータに対応するシステム故障状況である。
【0012】
さらに、ステップS4では、取得したマルチソースタイミングリアルタイムデータは、システムが前のある時刻から現在の時刻Tまでのリアルタイムデータであり、データ同期サンプリング処理後、各データソースがT-(N-1)△T番目時刻、T-(N-2)△T番目時刻,…,T-△T番目時刻、T番目時刻のデータサンプリング値を得、マルチソースタイミングリアルタイムデータに対応する同期タイミングデータセットDを構成し、その後、ステップSBとステップSC処理を経た後、スライス序列
【数8】
を故障診断モデルに入力し、故障診断モデルによりシステムの故障診断結果を出力する。
【0013】
さらに、前記グラフニューラルネットワークモデルは、入力層、グラフ構造層、GNN層とsoftmax層を含み、そのうち、
入力層は、マルチソースタイミング履歴データ又はマルチソースタイミングリアルタイムデータ前処理後のスライスタイミングデータセット
【数9】
を入力するためのものであり、
グラフ構造層は、GNN層計算に必要なグラフノードVと接続マトリクスAを構築するためのものであり、
GNN層は、前記グラフノードVと接続マトリクスAに基づいて、グラフにおける各ノードのノード隠蔽状態を計算して更新し、これに基づいて各ノードの出力を計算するためのものであり、そのうち、
【数10】
そのうち、
【数11】
softmax層は、演算y=softmax(O)を実行するためのものであり、そのうち、yは対応なサンプルの故障診断予測確率を表し、OはGNN層の出力ベクトルであり、また、予測確率の大きさに応じて故障診断結果を出力する。
【0014】
さらに、前記GNN層は二層であり、それぞれ第一層GNNと第二層GNNであり、
そのうち、第一層GNNのグラフノードV
1=(V
1,V
2,...,V
d)は、各スライスデータI
jにおけるすべての組のデータ
【数12】
からなり、合計d個のノードがあり、各ノードのノード特徴は、各スライスデータにおける各組データに対応し、各データソースの同じ時刻でのデータサンプリング値を表し、接続マトリクスAは、ノードと隣接ノードとの間の時間次元相関作用関係を表すために用いられ、時間次元に沿って前後隣接する三つのノードとの間のエッジ接続を構築し、正規化エッジ重みを付与して接続マトリクスを得、
そのうち、第一層GNNは、それぞれスライス序列
【数13】
における各スライスデータI
jに対して計算を行い、埋め込みベクトルO
j(j=1,2,...,L)を出力し、出力された埋め込みベクトルO
jを第二層GNNの入力とし、
第二層GNNのグラフノードV
2=(O
1,O
2,...,O
L)であり、Lは、スライス序列長さであり、ノード特徴は、埋め込みベクトルから構成され、各スライスの収束特徴ベクトルを表し、第二層GNNにおける接続マトリクスAは、第一層GNNの接続マトリクスAと同じであり、
第二層GNNは、第一層GNNの出力に対して計算を行い、融合ベクトルOを出力し、Oをsoftmax層の出力とする。
【0015】
好ましくは、ステップS3では、グラフニューラルネットワークモデルに対してトレーニングを行うプロセスにおいて、モデルトレーニングアルゴリズムとしてAlmeida-Pinedaアルゴリズムを採用し、最適化されたコスト関数は、クロスエントロピー関数を選択する。
【0016】
本発明の第二の目的は、以下の技術案によって実現される。
グラフニューラルネットワークに基づくマルチソースタイミングデータ故障診断装置であって、
故障検出のシステムに対して、マルチソースタイミング履歴データを取得するための第一のデータ取得モジュールと、
マルチソースタイミング履歴データに対してデータ前処理を行い、トレーニングサンプルを得るための第一のデータ処理モジュールと、
トレーニングサンプルを介してグラフニューラルネットワークモデルに対してトレーニングを行い、故障診断モデルを得るためのモデル構築モジュールと、
故障検出対象システムに対して、マルチソースタイミングリアルタイムデータを取得し、データ前処理を行うための第二のデータ処理モジュールと、
マルチソースタイミングリアルタイムデータ前処理後の結果を故障診断モデルに入力し、故障診断モデルによりシステムの故障診断結果を出力するための故障診断モジュールとを含む。
【0017】
本発明の第三の目的は、以下の技術案によって実現される。
プログラムが記憶される記憶媒体であって、前記プログラムがプロセッサによって実行される時、本発明の第一の目的に記載のグラフニューラルネットワークに基づくマルチソースタイミングデータ故障診断方法を実現させる、ことを特徴とする。
【0018】
本発明の第四の目的は、以下の技術案によって実現される。
プロセッサと、プロセッサ実行可能なプログラムを格納するためのメモリとを含む計算機器であって、
メモリに記憶されるプログラムが前記プロセッサによって実行される時、本発明の第一の目的に記載のグラフニューラルネットワークに基づくマルチソースタイミングデータ故障診断方法を実現させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、従来技術に対して、以下の利点及び有益な効果を有する。
本発明のグラフニューラルネットワークに基づくマルチソースタイミングデータ故障診断方法は、まず、故障検出のシステムに対して、マルチソースタイミング履歴データを取得し、マルチソースタイミング履歴データに対してデータ前処理を行い、トレーニングサンプルを得、トレーニングサンプルを介してグラフニューラルネットワークモデルに対してトレーニングを行い、故障診断モデルを得、故障検出対象システムに対して、マルチソースタイミングリアルタイムデータを取得し、データ前処理を行った後、故障診断モデルに入力し、故障診断モデルによりシステムの故障診断結果を出力する。以上から分かるように、本発明は、グラフニューラルネットワークモデルを用いて故障診断モデルを構築し、また、本発明は、システムにおける取得したマルチソースタイミングデータに基づいてシステムの故障判定を行い、そのうち、マルチソースタイミングデータは、二つの次元特徴を有し、一つは、時間次元のタイミング特徴であり、マルチソースデータの異なる時刻での状態を記述し、もう一つは、マルチソースデータ相関性特徴であり、同一時刻でマルチソースデータの間の相互関係を記述する。このため、本発明の故障診断モデルは、マルチソースデータの相関性特徴と時間次元のタイミング特徴を比較的によく融合することができ、故障診断の正解率とノイズ耐性を効果的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の故障診断方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の故障診断方法におけるデータ前処理概略図である。
【
図3】本発明の故障診断方法における故障診断モデル構造概略図である。
【
図4】本発明の故障診断方法におけるグラフニューラルネットワークモデルで得られた接続マトリクス図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施例及び図面を結び付けながら、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の実施形態はこれらに限定されない。
【0022】
実施例1:
本実施例は、グラフニューラルネットワークに基づくマルチソースタイミングデータ故障診断方法を開示し、この方法は、システムの動作状態に対して検出を行う時、複数のセンサが検出したデータを取得し、これらのデータに基づき、システムに対する故障検出を実現することができる。そのうち、システムは、風力発電システム、地下鉄デバイスモニタシステム、回路デバイスモニタシステムなどであってもよく、システム検出に対して関連データを収集するセンサは、温度センサ、湿度センサ、振動センサ、赤外線センサ、レーザセンサ、張力センサ、重力センサ、速度センサ、加速度センサ、超音波センサ、変位センサ、電流センサ、電圧センサ、煙感知センサなどを含む。
【0023】
図1に示すように、本実施例の故障診断検出方法の具体的なステップは、以下のとおりである。
【0024】
S1、故障検出のシステムに対して、マルチソースタイミング履歴データを取得する。
本実施例では、システム上の様々なタイプのセンサが各時間帯内で検出された履歴データを取得することができ、それによりマルチソースタイミング履歴データを構成する。マルチソースデータは、温度センサが収集した温度データ、湿度センサが収集した湿度データ、振動センサが収集した振動データ、赤外線センサが収集した赤外温度データ、レーザセンサが収集した距離データ、張力センサが収集した張力データ、重力センサが収集した重力データ、速度センサが収集した速度データ、加速度センサが収集した加速度データ、超音波センサが収集した超音波データ、変位センサが収集した変位データ、電流センサが収集した電流データ、電圧センサが収集した電圧データ、煙感知センサが収集した煙濃度データを含むが、それらに限らない。
【0025】
S2、マルチソースタイミング履歴データに対してデータ前処理を行い、トレーニングサンプルを得る。
本実施例では、複数のマルチソースタイミング履歴データを取得し、各マルチソースタイミング履歴データに対してそれぞれ前処理を行った後、複数のトレーニングサンプルを得ることができる。そのうち、マルチソースタイミング履歴データに対してデータ前処理を行うプロセスは、具体的には、ステップSA~SCに示すとおりである。
【0026】
SA、データ同期処理:各データソースのタイミングデータに対して同期サンプリングを行い、即ち、設定時間間隔△Tに従って各データソースの同じ時刻でのサンプリング値を同期取得し、同期タイミングデータセットDを得、
【数14】
そのうち、Mはデータソースの総個数であり、Nはサンプリングデータ長さであり、そのうち、
【数15】
はk番目のデータソースのタイミングデータに対してサンプリングを行うときに、時刻tでサンプリングされたデータを表し、t
0はサンプリングの開始時点である。
【0027】
本実施例では、同期タイミングデータセットDは、合計M列があり、それぞれM個のデータソースに対応し、各列のデータは、同一データソースが異なる時刻、即ち、t0、t0+△T、t0+2△T,...,,t0+(N-1)×△T時刻でのサンプリング値を表し、例えば、同期タイミングデータセットDにおける1列目データは、各要素がそれぞれ、1番目データソースがそれぞれt0、t0+△T、t0+2△T,...,,t0+(N-1)×△T時刻を表すサンプリング値に対応する。同期タイミングデータセットDは、合計N行があり、それぞれN個のサンプリング時刻、即ち、t0からt0+(N-1)×△Tまでの時刻に対応し、各行データは、異なるデータソースが同じ時刻でのサンプリング値に対応し、例えば、同期タイミングデータセットDの1行目データは、各要素がそれぞれ、1,2,…,M番目のデータソースが時刻t0でのサンプリング値に対応する。もちろん、同期タイミングデータセットDは、必ずしも上記データフォーマットである必要はなく、行と列のデータを入換えたものであってもよい。
【0028】
本ステップでは、平均値補間法を用いて欠損値処理を行い、各データソースの同じ時刻でのサンプリング値を取得するために用いられる。
【0029】
SB、正規化処理:同期タイミングデータセットDにおける各データソースの異なる時刻でのデータ、即ち、上記ステップSAで得られたデータセットDにおける各列データ
【数16】
に対して、min-maxを用いて正規化処理し、正規化処理後のデータセットをD
*と記し、
図2に示すように、メッシュは、正規化処理後に得られたデータセットD
*を表し、各行は、一つの収集サンプル(異なるデータソース(ソース1,ソース2,…,ソースM)の同じ時刻でのサンプリング値)を表し、各列は、同一データソースの時間軸上の変化(同一データソースの異なる時刻でのサンプリング値)を表し、最後の列は、サンプルのラベル値である。
【0030】
SC、データスライス処理:データスライス処理は、
【数17】
にマッピングすることに定義され、
そのうち、dはスライス長さであり、λは移動ステップサイズであり、Nはサンプリングデータ長さであり、本実施例では、スライス長さの値取り範囲は[20,100]であり、移動ステップサイズλの値取り範囲は[2,5]であり、
データセットD
*は上記スライス処理を経た後、長さがLであるスライス序列
【数18】
そのうち、
【数19】
はスライスデータI
jにおけるm組目データを表し、この組データには、正規化処理後の複数のデータソースの同じ時刻でのデータを含み、一つのスライスデータI
jには、d組データを含み、対応するスライス長さはdである。
図2に示すように、ステップSAにおける同期タイミングデータセットDのフォーマットに基づき、q=0の場合、対応するスライスデータI
0を得、I
0はデータセットD
*における1行目からd行目までの合計d行のデータを含み、即ち、スライス長さはdに対応する。
【数20】
はスライスデータI
jにおけるm行目データを表し、例えば、I
jがI
0である場合、
【数21】
は、データセットD
*の1行目からd行目までのデータにおけるm行目データを表す。
【0031】
本実施例では、マルチソースタイミング履歴データがステップSA~ステップSC処理を経た後、ステップSCで示される長さがLであるスライス序列
【数22】
をトレーニングサンプリングとし、即ち、各トレーニングサンプリングには、L個のスライスデータを含み、それぞれスライスデータI
0,I
1,...,I
j,...,I
L-1であり、本実施例では、マルチソースタイミング履歴データにおける最後の組のデータの取得時に、システムに対応する故障状況をトレーニングサンプリングのラベルとし、
図2に示すように、マルチソースタイミング履歴データにおける最後の一行データの取得時に、システムに対応する故障状況をトレーニングサンプリングのラベルとする。
【0032】
S3、トレーニングサンプルを介してグラフニューラルネットワークモデルに対してトレーニングを行い、故障診断モデルを得る。本実施例では、グラフニューラルネットワークモデルに対してトレーニングを行うプロセスにおいて、モデルトレーニングアルゴリズムとしてAlmeida-Pinedaアルゴリズムを採用し、最適化されたコスト関数は、クロスエントロピー関数を選択する。
【0033】
S4、故障検出対象システムに対して、マルチソースタイミングリアルタイムデータを取得し、データ前処理を行う。
本実施例では、マルチソースタイミングリアルタイムデータのデータ前処理のプロセスは、上記ステップSA~ステップSCに示すとおりであり、ここでは説明を省略する。本実施例では、取得したマルチソースタイミングリアルタイムデータは、システムが前のある時刻から現在の時刻Tまでのリアルタイムデータであり、データ同期サンプリング処理後、各データソースがT-(N-1)△T番目時刻、T-(N-2)△T番目時刻,…,T-△T番目時刻、T番目時刻、合計N個のデータサンプリング値を得、即ち、現在時刻T時刻は、ステップSAにおけるt
0+(N-1)×△T時刻に対応し、各データソースには、合計N個のサンプリング値を含み、すべてのデータソースのN個サンプリング値は、マルチソースタイミングリアルタイムデータに対応する同期タイミングデータセットDを構成し、同期タイミングデータセットDは、ステップSBとステップSC処理を経た後、スライス序列
【数23】
には、L個スライスデータを含み、各スライスデータは、d行データを含む。
【0034】
S5、マルチソースタイミングリアルタイムデータ前処理後の結果を故障診断モデルに入力し、故障診断モデルによりシステムの故障診断結果を出力する。本実施例では、ステップS4で得られたスライス序列
【数24】
を故障診断モデルに入力し、故障診断モデルによりシステムの故障診断結果を出力する。
【0035】
本実施例では、
図3に示すように、上記ステップで用いられるグラフニューラルネットワークモデルは、入力層、グラフ構造層、GNN層とsoftmax層を含み、そのうち、
入力層は、マルチソースタイミング履歴データ又はマルチソースタイミングリアルタイムデータ前処理後のスライスタイミングデータセット
【数25】
を入力するためのものであり、
グラフ構造層は、GNN層計算に必要なグラフノードVと接続マトリクスAを構築するためのものであり、
GNN層は、前記グラフノードVと接続マトリクスAに基づいて、グラフにおける各ノードのノード隠蔽状態を計算して更新し、これに基づいて各ノードの出力を計算するためのものであり、そのうち、
【数26】
そのうち、
【数27】
は、学習可能ウェイト行列である。
【0036】
softmax層は、演算y=softmax(O)を実行するためのものであり、そのうち、yは対応なサンプルの故障診断予測確率を表し、OはGNN層の出力ベクトルであり、また、予測確率の大きさに応じて故障診断結果を出力する。
【0037】
本実施例では、GNN層は二層であり、それぞれ第一層GNNと第二層GNNであり、
そのうち、第一層GNNのグラフノードV
1=(V
1,V
2,...,V
d)は、各スライスデータI
jにおけるデータ、即ち、すべての行のデータ
【数28】
からなり、合計d個のノードがあり、各ノードのノード特徴は、行値から構成され、各スライスデータにおける各行データに対応し、各データソースの同じ時刻でのデータサンプリング値を表し、接続マトリクスAは、ノードと隣接ノードとの間の時間次元相関作用関係を表すために用いられ、時間次元に沿って前後隣接する三つのノードとの間のエッジ接続を構築し、
図4に示すように、正規化エッジ重みを付与して接続マトリクスAを得、そのうち、dが7である場合、ノード1~ノード7を含むことに対応し、得られた接続マトリクスAは、以下のとおりである:
【数29】
上記接続マトリクスAは、
図4中の左側表に対応する。
【0038】
そのうち、本実施例では、第一層GNNは、それぞれスライス序列
【数30】
における各スライスデータI
jに対して計算を行い、埋め込みベクトルO
j(j=1,2,...,L)を出力し、出力された埋め込みベクトルO
jを第二層GNNの入力とし、
第二層GNNのグラフノードV
2=(O
1,O
2,...,O
L)であり、Lは、スライス序列長さであり、ノード特徴は、埋め込みベクトルから構成され、各スライスの収束特徴ベクトルを表し、第二層GNNにおける接続マトリクスAは、第一層GNNの接続マトリクスAと同じであり、
第二層GNNは、第一層GNNの出力に対して計算を行い、融合ベクトルOを出力し、Oをsoftmax層の出力とする。
【0039】
本実施例では、ステップS3で故障診断モデルの構築が完成した後、最適化されたメッシュを介して故障診断モデルのハイパーパラメータを検索決定することができ、移動ステップサイズ、スライス長さを含み、そのうち、移動ステップサイズの初期値は2であり、値取り範囲は[2,5]であり、スライス長さの初期値は30であり、値取り範囲は[20,100]である。本実施例のハイパーパラメータを選択する時、最適なハイパーパラメータを取得するまで、異なるハイパーパラメータ値によってモデルに対して評価を行う。
【0040】
本実施例では、正解率関数を用いて、故障診断モデルの性能を評価することができる。N′をテストセットのサンプル総数、I(x)を指標関数とし、xが真である場合、その戻り値は1であり、xが偽である場合、その戻り値は0である。故障診断モデルのテストセットに対する評価正解率は、
【数31】
に定義されており、
そのうち、y
iはi番目のサンプル予測値であり、i label(i)はi番目のサンプルラベル値である。
【0041】
当業者であれば理解できるように、本実施例の方法における全部又は一部ステップを実現することは、プログラムによって関連するハードウェアを指令することにより完成してもよく、相応なプログラムはコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。なお、添付図面において特定の順序で本実施例1の方法動作を説明したが、これらの動作は該特定の順序で実行されなければならないことを要求又は暗示するわけではなく、又は図示されたすべて動作を実行しなければ所望の結果を実現できない。逆に、記述されたステップは実行順序を変更してもよく、あるステップは、同時に実行されてもよい。追加的又は代替的に、なんらかのステップを省略してもよく、複数のステップを一つのステップとして統合して実行してもよく、及び/又は一つのステップを複数のステップに分解して実行してもよい。
【0042】
実施例2
本実施例は、第一のデータ取得モジュールと、第一のデータ処理モジュールと、モデル構築モジュールと、第二のデータ処理モジュールと、故障診断モジュールとを含むグラフニューラルネットワークに基づくマルチソースタイミングデータ故障診断装置を開示する。各モジュールによって実現される機能は、以下のとおりである。
【0043】
第一のデータ取得モジュールは、故障検出のシステムに対して、マルチソースタイミング履歴データを取得するために用いられ、
第一のデータ処理モジュールは、マルチソースタイミング履歴データに対してデータ前処理を行い、トレーニングサンプルを得るために用いられ、
モデル構築モジュールは、トレーニングサンプルを介してグラフニューラルネットワークモデルに対してトレーニングを行い、故障診断モデルを得るために用いられ、
第二のデータ処理モジュールは、故障検出対象システムに対して、マルチソースタイミングリアルタイムデータを取得し、データ前処理を行うために用いられ、
故障診断モジュールは、マルチソースタイミングリアルタイムデータ前処理後の結果を故障診断モデルに入力し、故障診断モデルによりシステムの故障診断結果を出力するために用いられる。
【0044】
さらに、第一のデータ処理モジュール及び第二のデータ処理モジュールの両方は、
データを同期処理するためのデータ同期処理モジュールであって、具体的には、取得したマルチソースタイミング履歴データ又はマルチソースタイミングリアルタイムデータに対して、各データソースのタイミングデータを同期サンプリングし、即ち、設定時間間隔△Tに従って各データソースの同じ時刻でのサンプリング値を同期取得し、同期タイミングデータセットDを得、
【数32】
そのうち、Mはデータソースの総個数であり、Nはサンプリングデータ長さであり、そのうち、
【数33】
はk番目のデータソースのタイミングデータに対してサンプリングを行うときに、時刻tでサンプリングされたデータを表し、t
0はサンプリングの開始時点である、データ同期処理モジュールと、
データに対して正規化処理を行うための正規化処理モジュールであって、具体的には、同期タイミングデータセットDにおける各データソースの異なる時刻でのデータ
【数34】
に対してmin-maxを用いて正規化処理し、正規化処理後のデータセットをD
*と記す、正規化処理モジュールと、
データセットD
*に対してデータスライス処理を行うためのデータスライスモジュールであって、本実施例では、データスライス処理は、
【数35】
にマッピングすることに定義され、
そのうち、dはスライス長さであり、λは移動ステップサイズであり、Nはサンプリングデータ長さであり、
データセットD
*は上記スライス処理を経た後、長さがLであるスライス序列
【数36】
はスライスデータI
jにおけるm組目データを表し、この組データには、正規化処理後の複数のデータソースの同じ時刻でのデータを含む、データスライスモジュールとを含む。
【0045】
本実施例の上記各モジュールの具体的な実現は、上記実施例1を参照してもよく、ここでは説明を省略する。説明すべきことは、本実施例による装置は、上記各機能モジュールの分割のみを例に挙げて説明したが、実際応用では、前述した機能の全部又は一部を完成させるために、必要に応じて、上記機能分配を異なる機能モジュールによって完成させてもよく、即ち、内部構造を異なる機能モジュールに分割する。
【0046】
実施例3:
本実施例は、プログラムが記憶される記憶媒体を開示し、前記プログラムがプロセッサによって実行される時、実施例1に記載のグラフニューラルネットワークに基づくマルチソースタイミングデータ故障診断方法を実現させる。具体的には、以下のとおりである。
【0047】
故障検出のシステムに対して、マルチソースタイミング履歴データを取得し、
マルチソースタイミング履歴データに対してデータ前処理を行い、トレーニングサンプルを得、
トレーニングサンプルを介してグラフニューラルネットワークモデルに対してトレーニングを行い、故障診断モデルを得、
故障検出対象システムに対して、マルチソースタイミングリアルタイムデータを取得し、データ前処理を行い、
マルチソースタイミングリアルタイムデータ前処理後の結果を故障診断モデルに入力し、故障診断モデルによりシステムの故障診断結果を出力する。
【0048】
上記内容の具体的な動作プロセスは、実施例1における説明に示すとおりであり、ここでは説明を省略する。
【0049】
本実施例では、記憶媒体は、磁気ディスク、光ディスク、コンピュータメモリ、読み取り専用メモリ(ROM、Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)、Uディスク、リムーバブルハードディスクなどの媒体であってもよい。
【0050】
実施例4:
本実施例は、計算機器を開示する。この計算機器は、プロセッサと、プロセッサ実行可能なプログラムを格納するためのメモリとを含み、メモリに記憶されるプログラムが前記プロセッサによって実行される時、実施例1に記載のグラフニューラルネットワークに基づくマルチソースタイミングデータ故障診断方法を実現させる、ことを特徴とする。具体的には、以下のとおりである。
【0051】
故障検出のシステムに対して、マルチソースタイミング履歴データを取得し、
マルチソースタイミング履歴データに対してデータ前処理を行い、トレーニングサンプルを得、
トレーニングサンプルを介してグラフニューラルネットワークモデルに対してトレーニングを行い、故障診断モデルを得、
故障検出対象システムに対して、マルチソースタイミングリアルタイムデータを取得し、データ前処理を行い、
マルチソースタイミングリアルタイムデータ前処理後の結果を故障診断モデルに入力し、故障診断モデルによりシステムの故障診断結果を出力する。
【0052】
上記内容の具体的な動作プロセスは、実施例1における説明に示すとおりであり、ここでは説明を省略する。
【0053】
本実施例では、計算機器はデスクトップコンピュータ、ノートパソコン、スマートフォン、PDA携帯端末、タブレット等の端末装置であってもよい。
【0054】
以上説明したように本発明は、グラフニューラルネットワークモデルを用いて故障診断モデルを構築し、且つシステムのセンサが取得したマルチソースタイミングデータに基づいてシステムの故障判定を行い、そのうち、マルチソースタイミングデータは、二つの次元特徴を有し、一つは、時間次元のタイミング特徴であり、マルチソースデータの異なる時刻での状態を記述し、もう一つは、マルチソースデータ相関性特徴であり、同一時刻でマルチソースデータの間の相互関係を記述する。このため、本発明の故障診断モデルは、マルチソースデータの相関性特徴と時間次元のタイミング特徴を比較的によく融合することができ、故障診断の正解率とノイズ耐性を効果的に向上させることができる。
【0055】
上記実施例は、本発明の好適な実施例であるが、本発明の実施形態は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内及び原理下で行われる他の任意の変形、修飾、置換、組み合わせ、簡略化は、いずれも等価の置換方式であり、いずれも本出願の保護範囲内に含まれる。
【要約】 (修正有)
【課題】グラフニューラルネットワークに基づくマルチソースタイミングデータ故障診断方法、マルチソースタイミングデータ故障診断装置、記憶媒体及び計算機器を提供する。
【解決手段】方法は、故障検出のシステムに対して、マルチソースタイミング履歴データを取得することと、マルチソースタイミング履歴データに対してデータ前処理を行い、トレーニングサンプルを得、トレーニングサンプルを介してグラフニューラルネットワークモデルに対してトレーニングを行い、故障診断モデルを得ることと、故障検出対象システムに対して、マルチソースタイミングリアルタイムデータを取得し、データ前処理を行った後、故障診断モデルに入力し、故障診断モデルによりシステムの故障診断結果を出力することとを含む。
【選択図】
図1