(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】再生樹脂ペレット製造方法とその装置
(51)【国際特許分類】
B29B 9/06 20060101AFI20220128BHJP
C08J 3/12 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
B29B9/06
C08J3/12 Z CER
C08J3/12 CEZ
(21)【出願番号】P 2021541472
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(86)【国際出願番号】 JP2021006447
【審査請求日】2021-07-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591038451
【氏名又は名称】株式会社マルヤス
(74)【代理人】
【識別番号】100082429
【氏名又は名称】森 義明
(74)【代理人】
【識別番号】100162754
【氏名又は名称】市川 真樹
(72)【発明者】
【氏名】曽根 浩二
(72)【発明者】
【氏名】日野 湧也
(72)【発明者】
【氏名】小川 礼治
(72)【発明者】
【氏名】野村 俊夫
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-054752(JP,A)
【文献】実開昭57-078914(JP,U)
【文献】特開2019-030994(JP,A)
【文献】特開2011-020413(JP,A)
【文献】米国特許第05139403(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 9/00- 9/16
B29C 48/00-48/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1方向に連続的に供給された1または複数のロスフィルムに延伸を付与しながら撚りを掛け、且つ撚りの掛った部分を加圧し、前記ロスフィルム同士の接触部分を圧着して撚り紐を形成し、前記撚り紐を切断して再生ペレットを製造する再生ペレット製造方法において、
前記ロスフィルムに撚りを掛けつつ延伸するその前段階で、前記ロスフィルムの軟化温度で前記ロスフィルムを予備加熱し、
前記ロスフィルムの前記予備加熱工程で、前記ロスフィルムを更に予備延伸することを特徴とする再生ペレット製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の再生ペレット製造方法において、
前記ロスフィルムの撚りを付与する工程で、前記ロスフィルムをその軟化温度で加熱しつつ延伸することを特徴とする再生ペレット製造方法。
【請求項3】
1又は複数の熱可塑性樹脂製のロスフィルムを所定の幅に集束して中間送り部に供給するロスフィルム供給部と、
供給された前記ロスフィルムを挟持しつつ送り出し、前記ロスフィルムの捻じりの起点となる中間送り部と、
前記中間送り部からの前記ロスフィルムの供給を受け、前記中間送り部に対して相対的に回転して前記ロスフィルムに撚りを付与すると共に前記中間送り部の送り出し速度より速く引取って前記ロスフィルムに延伸を付与して撚り紐を送り出す回転圧縮部と、
前記回転圧縮部から送り出された撚り紐を所定の長さで切断して再生ペレットを製造する再生ペレット製造装置において、
前記ロスフィルム供給部と中間送り部との間に前記ロスフィルムを前記ロスフィルムの軟化温度にて予備加熱する第1加熱部が設置され、
前記ロスフィルム供給部と前記第1加熱部との間に、前記中間送り部のロスフィルム引取速度よりロスフィルム繰り出し速度が遅く、第1加熱部内におけるロスフィルムの予備延伸の起点となる予備延伸送り部が更に設置されていることを特徴とする再生ペレット製造装置。
【請求項4】
1又は複数の熱可塑性樹脂製のロスフィルムを所定の幅に集束して中間送り部に供給するロスフィルム供給部と、
供給された前記ロスフィルムを挟持しつつ送り出し、前記ロスフィルムの捻じりの起点となる中間送り部と、
前記中間送り部からの前記ロスフィルムの供給を受け、前記中間送り部に対して相対的に回転して前記ロスフィルムに撚りを付与すると共に前記中間送り部の送り出し速度より速く引取って前記ロスフィルムに延伸を付与して撚り紐を送り出す回転圧縮部と、
前記回転圧縮部から送り出された撚り紐を所定の長さで切断して再生ペレットを製造する再生ペレット製造装置において、
前記ロスフィルム供給部と中間送り部との間に前記ロスフィルムを前記ロスフィルムの軟化温度にて予備加熱する第1加熱部が設置され、
前記ロスフィルム供給部と前記第1加熱部との間に、前記中間送り部を介して、前記回転圧縮部のロスフィルム引取速度よりロスフィルム繰り出し速度が遅く、第1加熱部内におけるロスフィルムの予備延伸の起点となる予備延伸送り部が更に設置されていることを特徴とする再生ペレット製造装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の再生ペレット製造装置において、
前記中間送り部と前記回転圧縮部との間に、前記中間送り部と前記回転圧縮部によって撚られ且つ延伸されている加圧前の延伸撚り紐を該加圧前の延伸撚り紐の軟化温度で加熱する第2加熱部が更に設置されていることを特徴とする再生ペレット製造装置。
【請求項6】
請求項3~5のいずれかに記載の再生ペレット製造装置において、
前記第1加熱部は、予備加熱される集積ロスフィルムの移動ラインを囲繞する加熱位置と、前記加熱位置から外れた退去位置との間を往復し、前記往復時に、予備加熱される前記ロスフィルムの出入口となる開口部が移動方向側の面の全面にわたって形成されている加熱部本体と、
加熱時に、前記開口部を閉塞して、内部に前記ロスフィルムの加熱空間を構成する開閉蓋と、
前記加熱空間に熱風を送り込む熱風供給部とで構成されていることを特徴とする再生ペレット製造装置。
【請求項7】
請求項5に記載の再生ペレット製造装置において、
前記第2加熱部は、2次加熱される延伸撚り紐の移動ラインを囲繞する加熱位置と、前記加熱位置から外れた退去位置との間を往復し、前記往復時に前記2次加熱される延伸撚り紐の出入口となる開口部が移動方向側の面の全面にわたって形成されている加熱部本体と、
加熱時に、前記開口部を閉塞して、内部に前記2次加熱される延伸撚り紐の加熱空間を構成する開閉蓋と、
前記加熱空間に熱風を送り込む熱風供給部とで構成されていることを特徴とする再生ペレット製造装置。
【請求項8】
請求項3~7のいずれかに記載の再生ペレット製造装置において、
前記回転圧縮部から送り出された撚り紐を所定の長さで切断するカッターは、円板状でその周囲に一定間隔で多数の切断刃が取り付けられた丸鋸状の刃物であり、その回転軸は圧着撚り紐の移動ラインの延長線より上に設置されていることを特徴とする再生ペレット製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインフレーション成形で製造した2重フィルムの両端の裁断屑である耳端やその他の製造工程で発生したロスフィルム(例えば、厚み不良や製造途中で破れた2重フィルム)を原料とした再生樹脂ペレットの製造方法とその装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂フィルム等の製造過程で発生する大量の上記ロスフィルム(長尺で、ある程度の幅がある耳端や製品ロス)を加工して再生樹脂ペレット(以下、単に「再生ペレット」という。)として利用することが従来から広く行われている。上記再生ペレット製造のためにロスフィルムを加熱溶融し、細長い断面円形の紐状樹脂を押出成形し、これを切断すると、米粒状のバージンペレットに近似した形状の均一な円柱状のペレットが生産できる反面、再溶融のための加熱によって樹脂の品質の劣化が進むことが指摘されていた。そのため、非加熱でこのような再生ペレットを製造することができる技術が求められていた。
【0003】
非加熱で再生ペレットを製造することが可能な再生ペレット製造装置の一例としては、例えば、特許文献1が知られている。特許文献1に記載の再生ペレット製造装置は、ロスフィルム供給部、延伸部、回転圧縮部及び切断部で構成されている。
【0004】
ロスフィルム供給部は、1または複数の合成樹脂製ロスフィルムを重ね合わせ、一定の張力を付加して延伸部に送り込む部分である。
【0005】
延伸部は、供給された1または複数のロスフィルムを非加熱で引き伸ばし、延伸後の薄肉延伸フィルムを細く絞り込んで1本の薄肉延伸集束ロスフィルムとし、これを下流側に配設された回転圧縮部に送り出す部分である。
【0006】
回転圧縮部は、外周面に凹凸が形成された一対の圧縮ローラとこれに続く引取ローラとを備え、前記延伸部に対して相対的に回転する。この相対的回転によって、前記延伸部から引き取った前記薄肉延伸集束ロスフィルムに捩りを付与すると同時に点圧縮して凹状圧痕付き圧着撚り紐を形成する部分である。前記撚り紐は、深い凹状圧痕が形成されるように強く圧縮されるため、扁平な撚り紐として送り出される。引取ローラは、扁平な前記凹状圧痕付き圧着撚り紐を挟み込んで送り出し方向に回転し、切断部にこれを送り出す部分である。
【0007】
切断部は、丸鋸状のカッターと、カッターによる上記撚り紐の切断位置の直前に設置されたガイドローラとを備えている。ガイドローラは、回転圧縮部の引取ローラから自転しながら引き出されてきた上記撚り紐をその上下から挟み込んで切断位置に送り込むものである。そして、カッターにより撚り紐は短く切られ、表裏に凹状圧痕が付いた偏平な再生ペレットになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
文献1に示すこの従来装置では、凹状圧痕でほつれない再生ペレットを形成できるが、凹状圧痕の深さの制約(即ち、撚り紐の芯近くまで圧痕を形成する必要がある。)から捻じった撚り紐の断面積を大きくできない。従って断面積の大きい再生ペレットを生産できず、生産性に制約があった。
【0010】
加えて、ロスフィルムには従来装置の適用範囲のもの(即ち、薄手で柔らかく、圧痕の形成や撚りやすく、幅も余り広くないもの)だけでなく、適用外の厚いものや幅広のもの、硬度が高く曲がりにくい材質のものも大量に存在する。このような厚いものや硬度が高く曲がりにくい材質のロスフィルムは、圧痕を形成出来ないし、圧縮しても圧着させにくい。また、延伸時に破れることもあり、しかも高密度に捻じることができず、紐状に成形することが難しい。仮に紐状にしたとしても稠密でなく隙間の多い紐にしかならず、高品質のペレットへの再生ができなかった。それ故、このような再生ペレット製造において、資源再利用の面から更なるロスフィルムの適用範囲拡大が望まれていた。
【0011】
また、この従来装置では再生ペレットを連続的に生産できるので、ロスフィルムの高速処理ができ生産性が高くできる反面、上記のように圧痕を作るために強く圧縮しなければならない。この強い圧縮により撚り紐の断面が扁平となる。この断面が扁平な撚り紐を切断すれば、切断された再生ペレットの形状も必然的に扁平となり、米粒状のバージンペレットと異なるためバージンペレットとの材料混合精度に劣るという欠点もある。
【0012】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、第1には、凹状圧痕の深さの制約がなく、直径の大なる再生ペレットが出来、第2に、断面形状がある程度、円に近く、バージンペレットに近い再生ペレットの生産を可能にすることができ、第3に、従来のロスフィルムは勿論のこと、従来適用できなかった厚いもの、幅広のものや硬度が高く曲がりにくい材質のロスフィルムも所定の撚り紐とし、これを切断してバージンペレットと比べて遜色がない再生ペレットを生産できる再生ペレット製造方法とその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載した発明(方法発明:
図11(a)(b))は、
1方向に連続的に供給された1または複数のロスフィルムRに延伸を付与しながら撚りを掛け、且つ撚りの掛った部分を加圧し、前記ロスフィルムR同士の接触部分を圧着して撚り紐Rを形成し、前記撚り紐Rを切断して再生ペレットPを製造する再生ペレット製造方法において、
前記ロスフィルムRに撚りを掛けつつ延伸するその前段階で、前記ロスフィルムRの軟化温度で前記ロスフィルムRを予備加熱
し、
前記ロスフィルムRの前記予備加熱工程で、前記ロスフィルムRを更に予備延伸することを特徴とする。
【0014】
予備加熱温度が、ロスフィルムRの軟化温度であるから、ロスフィルムRの材質を劣化させることがない。この予備加熱で軟化したロスフィルムRを次工程で延伸しつつ撚りを掛け、その撚りの掛った部分を更に加圧すれば、撚られたロスフィルムRの表面部分の、少なくとも密着した部分でロスフィルムR同士が融着する。それ故、これを切断してペレット化したとしてもその少なくとも表面部分ではロスフィルムR同士が融着しているので、再生ペレットPの解れはない。加えて、この予備加熱により、従来のように深い凹状圧痕Yが形成されるほど強く加圧しなくてもよく(或いは、凹状圧痕Yなしで)、再生ペレットPの断面をほぼ円形、或いは円形に近い楕円形として米粒状のバージンペレットに近付けることが出来るし、直径の太い再生ペレットPも製造できる。換言すれば、本発明での再生ペレットPの断面は、従来例のような扁平にならない。
【0016】
ロスフィルムRの予備加熱工程で、ロスフィルムRを更に予備延伸することにより、撚りを掛けるのが困難な分厚いロスフィルムRや硬いロスフィルムRを薄くして、次の延伸と共に撚りを掛ける工程(撚糸工程)で、ロスフィルムRに延伸と撚りを掛けやすくすることが出来、従来、処理対象外であった上記ロスフィルムRを処理対象とすることが出来る。なお、通常の原料ロスフィルムRに対しては予備延伸を行わない。
【0017】
請求項2に記載した発明(製造方法:
図12(a)(b))は、
請求項1に記載の再生ペレット製造方法において、
前記ロスフィルムRの撚りを付与する工程(撚糸工程)で、前記ロスフィルムRをその軟化温度で加熱しつつ延伸することを特徴とする。
【0018】
これにより、ロスフィルムRの撚りがより密になり、密度の高い、よりバージンペレットに近い再生ペレットPを生産できる。
【0019】
請求項3に記載した発明(装置:
図11(a))は、
1又は複数の熱可塑性樹脂製のロスフィルムRを所定の幅W2に集束して中間送り部5に供給するロスフィルム供給部1と、
供給された前記ロスフィルムRを挟持しつつ送り出し、前記ロスフィルムRの捻じりの起点Kとなる中間送り部5と、
前記中間送り部5からの前記ロスフィルムRの供給を受け、前記中間送り部5に対して相対的に回転して前記ロスフィルムRに撚りを付与すると共に前記中間送り部5の送り出し速度より速く引取って前記ロスフィルムRに延伸を付与して撚り紐Rを送り出す回転圧縮部10と、
前記回転圧縮部10から送り出された撚り紐Rを所定の長さで切断して再生ペレットPを製造する再生ペレット製造装置
A2において、
前記ロスフィルム供給部1と中間送り部5との間に前記ロスフィルムRを前記ロスフィルムRの軟化温度にて予備加熱する第1加熱部60が設置され
、
前記ロスフィルム供給部1と前記第1加熱部60との間に、前記中間送り部5のロスフィルム引取速度よりロスフィルム繰り出し速度が遅く、第1加熱部60内におけるロスフィルムRの予備延伸の起点Koとなる予備延伸送り部3が更に設置されていることを特徴とする。
【0021】
請求項4に記載した発明(装置:
図11(b))は、
1又は複数の熱可塑性樹脂製のロスフィルムRを所定の幅W2に集束して中間送り部5に供給するロスフィルム供給部1と、
供給された前記ロスフィルムRを挟持しつつ送り出し、前記ロスフィルムRの捻じりの起点Kとなる中間送り部5と、
前記中間送り部5からの前記ロスフィルムRの供給を受け、前記中間送り部5に対して相対的に回転して前記ロスフィルムRに撚りを付与すると共に前記中間送り部5の送り出し速度より速く引取って前記ロスフィルムRに延伸を付与して撚り紐Rを送り出す回転圧縮部10と、
前記回転圧縮部10から送り出された撚り紐Rを所定の長さで切断して再生ペレットPを製造する再生ペレット製造装置A2において、
前記ロスフィルム供給部1と中間送り部5との間に前記ロスフィルムRを前記ロスフィルムRの軟化温度にて予備加熱する第1加熱部60が設置され、
前記ロスフィルム供給部1と前記第1加熱部60との間に、前記中間送り部5を介して、前記回転圧縮部10のロスフィルム引取速度よりロスフィルム繰り出し速度が遅く、第1加熱部60内におけるロスフィルムRの予備延伸の起点Koとなる予備延伸送り部3が更に設置されていることを特徴とする。
【0022】
請求項5に記載した発明(装置:
図12(a)(b))は、
請求項3又は4に記載の再生ペレット製造装置A3において、
前記中間送り部5と前記回転圧縮部10との間に、前記中間送り部5と前記回転圧縮部10によって撚られ且つ延伸されている加圧前の延伸撚り紐Rを該加圧前の延伸撚り紐Rの軟化温度で加熱する第2加熱部80が更に設置されていることを特徴とする。
【0023】
請求項6に記載した発明は、
請求項3~5のいずれかに記載の再生ペレット製造装置A2、A3において、
前記第1加熱部60は、予備加熱される集積ロスフィルムRの移動ラインLを囲繞する加熱位置と、前記加熱位置から外れた退去位置との間を往復し、前記往復時に、予備加熱される前記ロスフィルムRの出入口となる開口部61aが移動方向側の面の全面にわたって形成されている加熱部本体61と、
加熱時に、前記開口部61aを閉塞して、内部に前記ロスフィルムRの加熱空間Zを構成する開閉蓋62と、
前記加熱空間Zに熱風を送り込む熱風供給部75とで構成されていることを特徴とする。
【0024】
請求項7に記載した発明は、
請求項5に記載の再生ペレット製造装置A3において、
前記第2加熱部80は、2次加熱される延伸撚り紐Rの移動ラインLを囲繞する加熱位置と、前記加熱位置から外れた退去位置との間を往復し、前記往復時に前記2次加熱される延伸撚り紐Rの出入口となる開口部81aが移動方向側の面の全面にわたって形成されている加熱部本体81と、
加熱時に、前記開口部81aを閉塞して、内部に前記2次加熱される延伸撚り紐Rの加熱空間Zを構成する開閉蓋82と、
前記加熱空間Zに熱風を送り込む熱風供給部95とで構成されていることを特徴とする。
【0025】
請求項8に記載した発明は、
請求項3~7のいずれかに記載の再生ペレット製造装置A2、A3において、
前記回転圧縮部10から送り出された撚り紐Rを所定の長さで切断するカッター51は、円板状でその周囲に一定間隔で多数の切断刃52が取り付けられた丸鋸状の刃物であり、その回転軸Oは圧着撚り紐Rの移動ラインLの延長線より上に設置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
以上から、本発明は、直径の小さい再生ペレットから直径の大なる再生ペレットの生産が出来、しかも断面形状がある程度円に近い再生ペレットの生産を可能にすることができる。加えて、従来のロスフィルムは勿論のこと、従来適用できなかった厚いもの、幅広のものや硬度が高く曲がりにくい材質のロスフィルムも所定の撚り紐とし、これを切断してバージンペレットと比べて遜色がない再生ペレットとすることができるようになった。
なお、カッターの回転軸の位置を上記のように工夫することで、圧着撚り紐の切断が確実になった。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2】(a)
図1の中間送り部、圧縮回転及び切断部の平断面図、(b)そのX-X断面矢視図である。
【
図3】
図2(a)の縦断面図、(b)同図のケーシングの側面図である。
【
図5】本発明の第1加熱部とロスフィルム供給部の絞り部の縦断面図である。
【
図7】(a)第1、2加熱装置が退去位置に退去した図、(b)第1、2加熱装置が加熱位置に戻った図、(c)第1、2加熱装置が加熱状態になった図である。
【
図9】
図8における撚り紐の切断状態を示す図である。
【
図10】(a)本発明装置で形成された再生ペレットの斜視図、(b)前記再生ペレットの側面図、(c)前記再生ペレットの正面図、(d)前記再生ペレットの他の正面図である。
【
図11】(a)本発明の
第1実施形態の平面図、(b)その変形例である。
【
図12】本発明の
第2実施形態の平面図、(b)その変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明装置を図示実施例に従って説明する。本発明の
基本形態は、
図1~
図9に示すように絞り部2を有するロスフィルム供給部1、第1加熱部60、中間送り部5、回転圧縮部10及び切断部50これらを搭載した架台7とで構成され、
第1実施形態は、
図11に示すように、ロスフィルム供給部1の絞り部2と第1加熱部60との間に予備延伸送り部3が更に設置されており、
第2実施形態は、
図12に示すように、中間送り部5と回転圧縮部10との間に第2加熱部80が更に設置されている。
基本形態から順に説明し、
第1,2実施形態では
基本形態と相違する部分を中心に説明し、同じ部分については
基本形態の説明を援用する。
【0029】
上記実施形態において、ロスフィルムRは各工程において形状を変えて行く。基本形態では、ロスフィルム供給部1の絞り部2までを原料ロスフィルムR、絞り部2から中間送り部5までを予備加熱される、又は予備加熱された集束ロスフィルムR、中間送り部5から回転圧縮部10の圧縮ローラ部22までを延伸撚り紐R、圧縮ローラ部から切断部50までを圧着撚り紐Rとし、いずれも符号Rで表す。
同様に、第1実施形態でも、絞り部2から中間送り部5までを加熱された予備延伸集束ロスフィルムR、第2実施形態でも、中間送り部5から圧縮ローラ部22までをまでを2次加熱される、又は2次加熱された延伸撚り紐Rとする。
【0030】
なお、本発明で使用されるモータ類は、変速機付きモータでもよいが、速度制御が容易なようにするためにインバータモータ、サーボモータ或いはステッピングモータが主として使用される。また、ベルト類は、回転を正確に伝達するためにタイミングベルトが使用される。
【0031】
ロスフィルムRは、背景技術で述べたように、インフレーション成形、又はTダイ法における樹脂フィルム(熱可塑樹脂)の製造過程で発生する大量のロスフィルム(長尺で、ある程度の幅がある耳端や製品ロス)で、その幅や肉厚、品種は様々で、硬く或いは分厚くて曲げ難いもの、幅の広いものなどがある。いずれの原料のロスフィルムRも幅をW1とする。
【0032】
(基本形態)
ロスフィルム供給部1は、1乃至複数枚のロスフィルムRを上下に重ね合わせ、或いは絞り込んで折り畳み、次の第1加熱部60を通過可能な幅W2にして第1加熱部60に供給するものである。ロスフィルムRの絞り込みは、どのような方法でも良いが、本実施例では絞り部2が使用される。ロスフィルムRの供給は、図示しないリールを巻き戻すことで供給してもよいし、フィルム成形機からインラインで供給するようにしてもよい。
【0033】
絞り部2は、送られてきた原料である1乃至複数の幅広ロスフィルムRを絞り込んで折り畳み、幅W2の狭い1本の絞り込まれた集束ロスフィルムRとするものである。
絞り部2は、本実施例では、ダイスのような部材で、絞り孔2aの入口は広く、出口は狭く形成されたロート状の孔又はスリットが形成されている。入口の開口幅は送られてきた原料であるロスフィルムRの幅W1よりも広く、出口は第1加熱部60のロスフィルムRの加熱空間Zより狭い幅W2に形成されている。
【0034】
絞り部2は、上記のように1枚又は上下に重ね合わされたロスフィルムRをスリット2aに通過させてロスフィルムRを絞り又は折り畳んで上記幅W2に形成するものである。
絞り部2に供給されるロスフィルムRは、再生ペレットPの大きさや嵩比重に合わせて供給され、その供給枚数や幅W1、肉厚、硬さなどが再生ペレットPの用途によって適宜選択される。
【0035】
ロスフィルム供給部1の他の構造のものとして、図示しないが、例えば、特許文献1に記載の構造のもの(入口固定ロールと出口固定ロールとの間に昇降自在にダンサーロールが配設され、両固定ロール間に掛け渡されて連続搬送される1乃至複数のロスフィルムに対して一定の張力を付与している。)も使用できる。
【0036】
第1加熱部60は本実施例では、加熱部本体61、開閉蓋62、本体駆動部66、蓋開閉機構70及び熱風供給部75とで構成されている(
図7)。
加熱部本体61は断面コ字状の長尺部材で、その一側面(移動側の一方の面)に全長に亙って開口部61aが開口している。加熱部本体61の上面には開口部61aを開閉する開閉蓋62がヒンジ62aを介して開閉可能に設置されており、閉塞時には加熱部本体61とで角筒状の加熱空間Zを形成する。
【0037】
本体駆動部66は、加熱部本体61の背方(退去側)から下方にかけて設置され、加熱部本体61を加熱位置と退去位置に移動可能にするスライド機構67(ガイド軸67aにボールベアリングを装備したスライドブロック67b)と、加熱部本体61の背面に設置された本体駆動シリンダ68とで構成されている。
蓋開閉機構70は上記のようにヒンジ機構で開閉されるようになっており、蓋開閉シリンダ71で開閉される。
【0038】
熱風供給部75は、加熱部本体61の上面、図示していないが下面或いはその両方に取り付けられた熱風供給管76と、その内部に配置されたヒータ77とで構成されている。ここでは加熱部本体61の上面側だけに設けられている。
熱風供給管76は図示しない送風機に接続され、加熱部本体61内に送風するようになっている。なお、温度管理は、加熱部本体61に設置された温度センサー(図示せず)にて行われ、軟化温度(例えば100℃~500℃)に加熱された熱風で加熱空間Z内を通過するロスフィルムRを加熱する。これによりロスフィルムRはゴム弾性を示すようになる。前記加熱温度は、ロスフィルムRの種類に合わせて予め図示しない温度調節装置に入力され、最適の温度が適宜選定される。
【0039】
中間送り部5は、上下一対の中間ローラ5a・5bと駆動側の中間ローラ5bに接続された中間駆動モータ6とで構成されている。中間ローラ5a・5bの表面には絞られた集束ロスフィルムRの次工程の延伸時のスリップを防止する凹凸(ローレットやエンボス)が設けられている。ロスフィルムRを上下一対の中間ローラ5a・5bで挟み込んでいる部分が「撚りの起点K」となる。
【0040】
回転圧縮部10は、回転部11及びこの回転部11内に装備された圧縮部21、前記回転部11と圧縮部21とを独立して回転させる第1・第2駆動部15・35にて構成され、架台7に設置されている。
【0041】
回転部11は、ケーシング12、第1従動プーリ19とで構成され、ケーシング12はベアリング8・9を介して架台7に回転可能に設置されている。
回転部11のケーシング12は、前段部12aと後段部12bとに分かれ、前段部12aは円筒状で上記第1従動プーリ19と一方のベアリング8が装着されている。
後段部12bは中空矩形箱状のもので、その前端から前段部12aが一体的に突設されており、出口部分の支持部に他方のベアリング9が装着されている。
【0042】
圧縮部21は、圧縮ローラ―部22を構成する上下の圧縮ローラ22a・22b、上下の引取ローラ25a・25b、第2従動プーリ39が装着された中空の主歯車部材40、前記主歯車部材40に噛合し、駆動側の圧縮ローラ22bと駆動側の引取ローラ25bとを回転させる複数のギアで構成されたギアトレインとで構成されている。なお、上記圧縮ローラ22a・22b及び引取ローラ25a・25bにおいて、いずれを駆動側としてもよい。
【0043】
主歯車部材40は、主歯車40aと中空軸部40bとで構成され、中空軸部40bがケーシング12の前段部12aに回転可能に収納され、前段部12aの外側に突き出たその部分に第2従動プーリ39が装着されている。
中空軸部40bのケーシング12内の端部には主歯車40aが設けられ、該主歯車40aはケーシング12の切欠き窓に臨むように配置されている。
ケーシング12の外側には、上記切欠き窓を通してその一部がケーシング12内に入り込むように従動歯車41が設置されており、上記切欠き窓を通して主歯車40aに噛合している。
【0044】
従動歯車41の回転軸には主ウォームギア42が装着され、これに従動ウォームギア43が噛合している。従動ウォームギア43は駆動側の圧縮ローラ22bの回転軸23の一端に装着されている。
そして、
図2,
図3(a)(b)に示すように、駆動側の圧縮ローラ22bの回転軸23の他端には第1伝達ギア44が装着され、中間の第2伝達ギア45を介して駆動側の引取ローラ25bに装着した第3伝達ギア46に回転が伝達される。この第1伝達ギア44から第3伝達ギア46に至るギアトレインを介して駆動側の引取ローラ25bは駆動側の圧縮ローラ22bの回転より10%程度、若干早く回転するように設定されている。
【0045】
上記第1駆動部15は、第1駆動モータ16と、その回転軸に装着された第1駆動プーリ17とで構成され、第1駆動プーリ17と第1従動プーリ19とは第1タイミングベルト18で繋がっている。
同様に、上記第2駆動部35は、第2駆動モータ36と、その回転軸に装着された第2駆動プーリ37とで構成され、第2駆動プーリ37と第2従動プーリ39とは第2タイミングベルト38で繋がっている。
【0046】
上記圧縮部21の圧縮ローラ22a・22bは円柱状の部材(或いは、外周に多数のギザギザ突起が突設されている円板を多数円柱状に積層したもの)で、その外面は平坦な円曲面(図示せず)、或いは先が半球状(いぼ状)或いは平面視長円、正面視台形状の突起24(
図1の丸枠で囲まれた拡大図を参照)がその全面に亘って多数形成されている。加圧側の圧縮ローラ22a及び駆動側の圧縮ローラ22bの中心には、回転軸23がそれぞれ設けられており、その両端がケーシング12に回転可能に支持されている。
【0047】
そして、下側の駆動側の圧縮ローラ22bに対して上側の圧縮ローラ22aがばね(図示せず)によって押圧するように配置されている。これにより、上側の圧縮ローラ22aは下側の駆動側の圧縮ローラ22bの回転によって従動的に回転する。この加圧側の圧縮ローラ22aによる加圧力は図示しない圧縮力調整機構によって調整されている。なお、上記圧縮力を調整する必要がない場合はこれを設けなくてもよい。
【0048】
圧縮部21の上下一対の引取ローラ25a・25bは、圧縮ローラ部22の下流側に配置され、圧縮ローラ22a・22bと同様に、それぞれの回転軸26がケーシング12にそれぞれ回転可能に支持され、上記第1伝達ギア44から第3伝達ギア46のギアトレインにより、駆動側の圧縮ローラ22bから回転力が伝達される。
【0049】
上記引取ローラ25a・25bも圧縮ローラ22a・22bと同様、下側の受圧側となる引取ローラ25bに対して上側の加圧側となる引取ローラ25aがばね(図示せず)によってその押圧力を調整する押圧力調整機構(図示せず)が設けられている。上記押圧力を調整する必要がない場合はこれを設けなくてもよい。
【0050】
上記駆動側の圧縮ローラ22bと駆動側の中間ローラ5bとの関係では、中間ローラ5bに対して圧縮ローラ22bの方が速く回転するように設定されている。これにより、圧縮ローラ22a・22bと中間ローラ5a・5bとの間を移送される予備加熱されゴム弾性を示す集束ロスフィルムRは、撚りが加えられつつ延伸されることになる。
また、回転部11と圧縮部21との関係では、回転部11のケーシング12の回転に対して、圧縮部21の主歯車部材40は独立して回転する。そしてケーシング12の回転より主歯車部材40の回転が速ければ、圧縮ローラ22a・22bと引取ローラ25a・25bも正転し、圧着撚り紐Rを切断部50方向に送り出す。上記回転数が同じであれば、圧縮ローラ22a・22bと引取ローラ25a・25bは静止している。従って、回転部11と圧縮部21との回転数を調整することで、圧着撚り紐Rの送り出しスピードを調整することが出来る。
【0051】
切断部50は、圧縮部21において圧縮と必要に応じて形成された凹状圧痕Y(エンボス)とが施され、引取ローラ25a・25bによって引き出された圧着撚り紐Rを切断する。凹状圧痕Yが施された圧着撚り紐Rでは、少なくとも1以上の凹状圧痕Yを含む間隔で、好ましくはその表面に形成されている凹状圧痕Yの間隔よりも広い間隔で切断することによって再生ペレット化する。
図8に示すように、切断部50は、ハウジング54、カッター51、受け刃57及び変速機付きモータ(図示せず)により大略構成されている。
【0052】
ハウジング54は箱状のもので、その上端部前面には、圧着撚り紐Rの導入口55が形成されており、その下端部には、再生ペレット収容ボックス(図示せず)が挿脱可能に配置されている。
【0053】
ハウジング54の上部には、カッター51が回転可能に取り付けられており、カッター51の回転軸Oに変速機付きモータ(図示せず)が接続されている。カッター51の回転数は、圧着撚り紐Rの送り速度並びに再生ペレットPの大きさに応じて適宜設定される。
【0054】
カッター51の回転軸Oの中心は、
図8から分かるように圧着撚り紐Rの移動ラインLの延長線より高さHだけ高く設定されている。導入口55の背部(カッター側)には受け刃57が設けられている。受け刃57の剪断面57sは、僅かに内側で凹状に湾曲しており、その切断位置Cにおいてカッター51の切断刃52の先端の回転軌跡Dに接する接線T方向に形成されている。従って、受け刃57の上面(圧着撚り紐Rの摺動面)と剪断面57sとの成す角度は鈍角である。なお、切断刃52は
図4に示すように、受け刃57に対して傾斜しており、圧着撚り紐Rを剪断するようになっている。
【0055】
次に、この再生ペレット製造装置A1を用いて再生ペレットPを製造する場合を説明する。ロスフィルムRのセッティング時点では第1加熱部60の加熱部本体61は幅狭の予備加熱される集束ロスフィルムRの移動ラインLから外れた後退位置に開蓋状態で位置している(
図7(a))。
最初に、原料となる1乃至複数本の幅の広いロスフィルムRを所定通りロスフィルム供給部1にセッティングする。幅広ロスフィルムRが複数本の場合、これらを引き揃えて上下に重ね合わせ、その先端部分を軽く捩じって一まとめにする。
【0056】
続いて、このロスフィルムRを絞り部2の絞り孔2aに通す。幅W1であった原料ロスフィルムRは絞り孔2aを通過することにより絞られて幅W2の集束ロスフィルムRとなる。
上記のように引き出された幅狭の集束ロスフィルムRは、
図1で、2点鎖線で示す後退位置にある第1加熱部60の加熱部本体61を素通りして中間送り部5に引き込まれる。中間送り部5の中間ローラ5a・5bは、その外周面に凹凸が形成されているので、その噛み込みとその回転により絞り部2からの集束ロスフィルムRの引き抜きが可能となる。
そして、中間送り部5の中間ローラ5a・5b間に通されたロスフィルムRは、その挿通端を一対の圧縮ローラ22a・22b間、及び引取ローラ25a・25b間、導入口55にこの順で挿通し、ロスフィルムRの先端をカッター51に臨ませる。
【0057】
なお、この時点では加工前の段階であるから、延伸撚糸がなされていない状態のロスフィルムRで、これを一対の圧縮ローラ22a、22b間に通すときは、駆動側の圧縮ローラ22bに対する加圧側の圧縮ローラ22aの押圧力を予め解除して加圧側の圧縮ローラ22aをフリーにしておく。
【0058】
然る後、第1加熱部60の本体駆動シリンダ68を作動させて加熱部本体61を後退位置から前進させてロスフィルムRを囲繞する加熱位置まで前進させ、続いて蓋開閉シリンダ71を作動させて開閉蓋62を閉じ、加熱空間Z内をロスフィルムRが通過できるような状態とする。
【0059】
以上のようにしてロスフィルムRのセッティングが完了すれば、電源を投入して再生ペレット製造装置A1を作動させて再生ペレットPの製造を開始する。
中間送り部5ではローラ5a・5bが作動し、ロスフィルムRに一定の張力を与えつつロスフィルム供給部1の絞り部2を通過させる。
絞り孔2aは上記のように入口より出口の方が狭いので、幅広ロスフィルムRはここで絞られ或いは折り畳まれて幅狭の集束ロスフィルムRとして出口より引き出される。
【0060】
第1加熱部60では、ヒータ77に通電され、熱風供給管76を通過する風が所定温度(軟化温度)迄熱せられ、加熱部本体61内に吹き込まれ、当該温度で加熱空間Zを通過しているロスフィルムRを加熱する。ロスフィルムRはゴム弾性を示す。この熱風は加熱空間Zを回転するように流れ、ロスフィルムRの表面だけでなく、ある程度その内部まで加熱し、少なくその表面部分のフィルムを均一に加熱し、その後、加熱部本体61の前後の開口からロスフィルムRの表面を加熱しながらこれに沿って噴出される。
基本形態では、通過する集束ロスフィルムRには、絞り部2から引き出される時の張力が掛かるだけであるから、加熱されているものの伸びは殆どない。換言すれば、集束ロスフィルムRの加熱は上記のようなゴム弾性を示現する軟化温度であり、且つ、引き抜き力も大きくないので、加熱下であってもこの引き抜きによって集束ロスフィルムRが大きく伸びたりはしない。
【0061】
中間ローラ5a・5bから圧縮ローラ22a・22bへと送られた、予備加熱された集束ロスフィルムRは、中間ローラ5a・5bと圧縮ローラ22a・22bの間で延伸されると同時に捩られて延伸撚り紐Rとなり、続いて圧縮ローラ22a・22bで圧縮されて圧着撚り紐Rになる。そして、中間ローラ5a・5bによる加圧(この部分の加圧は強い加圧となる。)で接触している予備加熱された集束ロスフィルムR同士の表面が接着する。
【0062】
更にこの予備加熱された集束ロスフィルムRは、中間ローラ5a・5bから送り出され、この部分の延伸で細く且つ薄く引き伸ばされ、同時に撚りで捻じられて、撚り部分の接触面同士が付着して1本の円柱状の延伸撚り紐Rとなる。ここでの圧縮ローラ22a・22b圧縮は、従来のような断面が偏平となるような強い圧縮の必要がなく、予備加熱・延伸された集束ロスフィルムRに対して撚りを与えられる程度の弱い圧縮となる。次に回転圧縮部10の作用について説明する。
【0063】
第1・2駆動モータ16・36が作動すると、第1・2タイミングベルト18・38を介して第1・2従動プーリ19・39が中間ローラ5a・5bから送り出された、予備加熱された集束ロスフィルムRの移動ラインLの周囲を回転する。第1従動プーリ19は、ケーシング12の前段部12aに取り付けられているため、内部に装着された圧縮ローラ22a・22b、及び引取ローラ25a・25bも共に回転する。この部分のロスフィルムは圧縮ローラ22a・22bに挟まれて捻じられつつ送られている。そのため、中間ローラ5a・5bの挟持点を起点Kとしてケーシング12と共に自転している圧縮ローラ22a・22bにより撚りが与えられて延伸撚り紐Rとなる。
なお、この工程は、予備加熱された集束ロスフィルムRに撚りと延伸とを付与する工程(延伸撚糸工程)であるが、上記圧縮力は、加熱されて伸びやすく且つ捻じりやすくなっている延伸撚り紐Rが延伸時の張力によって圧縮ローラ22a・22bに対してスリップせず、且つ撚りを与えられる程度の力で足る。換言すれば、従来の圧縮力のように非加熱状態で撚りが付与され、深い凹状圧痕を形成するために集束ロスフィルムを扁平な形になるまで押し潰すようなものではない。
【0064】
第2従動プーリ39が延伸撚り紐Rの周囲を自転すると、主歯車部材40が回転する。この主歯車部材40の主歯車40aは側方の従動歯車41を回転させ、主・従動ウォームギア42・43を介して駆動側の圧縮ローラ22bを延伸撚り紐Rの送り方向に回転させる。この駆動側の圧縮ローラ22bには所定の圧力で加圧側の圧縮ローラ22aが押し付けられているため、駆動側の圧縮ローラ22bと共に加圧側の圧縮ローラ22aが延伸撚り紐Rの送り方向に回転する。上記捩じられつつある延伸撚り紐Rが所定の加圧力でこの圧縮ローラ22a・22bに挟まれているために、この部分に突起24が形成されている場合には、上下両面に凹状圧痕Yが連続的に形成される。この延伸撚り紐Rは上記のように軟化温度まで予備加熱されているので、凹状圧痕Yの底部でフィルム同士が更に強固に圧着する。(なお、この圧痕Yは、上記圧着による葉面部分のフィルム同士の接合が十分であれば省略することが出来る。)
【0065】
そして、上記のように駆動側の圧縮ローラ22bの他端には第1伝達ギア44が装着されており、第2伝達ギア45を介して駆動側の引取ローラ25bに装着された第3伝達ギア46が回転する。駆動側の引取ローラ25bには加圧側の引取ローラ25aが延伸撚り紐Rを挟持しつつ一定の押圧力にて押圧しているので、加圧側の引取ローラ25aも送り方向に回転する。圧着された延伸撚り紐Rを圧着撚り紐Rとする。
【0066】
圧縮ローラ22a・22bに突起24が形成されている場合には、圧着撚り紐Rに突起24が入り込んで圧着撚り紐Rを引き出しにくくなっているが、引取ローラ25a・25bは圧縮ローラ22a・22bより若干早く送り方向に回転しているため、圧縮ローラ22a・22bの間に挟み込まれ、凹状圧痕Yに突起24が入り込んで引き出しにくくなっている圧着撚り紐Rに対して張力が加わることになり、圧縮ローラ22a・22bの間から圧着撚り紐Rがスムーズに引き出される。引き出された圧着撚り紐Rは引取ローラ25a・25bにより切断部50に向かって送り出される。上記のように引取ローラ25a・25bの送り速度は圧縮ローラ22a・22bの送り速度より速く、圧縮ローラ22a・22bから引き出された圧着撚り紐Rはピンと張った状態で引き出される。
【0067】
ピンと張った状態で引取ローラ25a・25bから送り出された圧着撚り紐Rは、その状態を保って上下左右に暴れることなく導入口55を通り、切断位置Cを越えて切断部50内に送り込まれる。そしてカッター51の回転により、圧着撚り紐Rは切断位置Cで切断され、再生ペレットPが生産される。
【0068】
図10は再生ペレットPの図面で、(b)は圧縮ローラ22a・22bの圧縮が弱く、断面がほぼ円形であり、(c)は圧縮がやや強く、その断面が扁平に変形している。断面がほぼ円形の方がバージンペレットに近く好ましい。いずれも凹状圧痕Yが付けられているが、加熱の場合にも上記のように凹状圧痕Yを設けてもよいが、上記のように必ずしも付ける必要がなく、無くてもよい。
【0069】
この圧着撚り紐Rの切断において、切断刃52の剪断力Fが発生する切断角度は切断位置Cに立てた垂線Sに対して角度θだけ回転圧縮部10側に倒れる(
図8)。この直線は切断位置Cにおける切断刃52の先端の軌跡Dに対する接線Tである。この剪断力Fを分解すると、垂線S方向の力F1(圧着撚り紐Rの切断のための力)と、垂線Sに直角で圧着撚り紐Rの送り込み方向の力F2とに分解される。
この力F2が、切断時の圧着撚り紐Rの引き込み力となる。切断刃52は短時間で次々と切断位置Cに到達するため、切断時の圧着撚り紐Rには連続的に引き込み力F2が加わることになる。その結果、上記の送り出しの状態と相俟って切断時の圧着撚り紐Rの挿入端が導入口55内で暴れず、従来のガイドローラなしで円滑な切断が可能となる。従って、従来の問題点となっていた切断時の撚り戻しを解消できる。
【0070】
上記作業中にいずれかの場所でロスフィルムRが切断した場合には、ロスフィルムRの移動を停止させ、そして、上記作業中にいずれかの場所でロスフィルムRが切断した場合には、ロスフィルムRの移動を停止させ、蓋開閉シリンダ71を作動させて開閉蓋62を開き、次いで本体駆動シリンダ68を作動させてロスフィルムRの移動ラインLから加熱部本体61を退避させる。加熱部61を退避させるためで、第1加熱部60の送風とヒータ77の通電の停止は不要である(復帰後の昇温時間が削減される)。
然る後、ロスフィルムRの切断部分を取り除き、既述のようにロスフィルムRの再セッティングと、第1加熱部60の復帰とを行い、再スタートする。
【0071】
(
第1実施形態:
図11)
第1実施形態の装置A2では、ロスフィルム供給部1と第1加熱部60との間に予備延伸送り部3が更に設置されている。
ここでは、ロスフィルムRの搬送に予備延伸送り部3と中間送り部5が用意されている。それ故、予備延伸送り部3と中間送り部5の両方に駆動モータ4・6を設置する場合と、予備延伸送り部3だけに設置する場合に二通りがある。
【0072】
予備延伸送り部3と中間送り部5の両方に駆動モータ4・6を設置する場合を同図(a)に従って説明する。
この場合は、予備延伸送り部3の構成は、第1実施形態の中間送り部5と同じで、上下一対の予備延伸ローラ3a・3bと駆動側の予備延伸ローラ3bに接続された予備延伸駆動モータ4とで構成されている。
【0073】
予備延伸送り部3の送り出し速度は前記中間送り部5の引き取り速度より遅く、予備延伸送り部3と中間送り部5との間の集束ロスフィルムRには第1加熱部60内において、軟化させる温度雰囲気で張力が掛り、予備延伸される。これにより、従来装置では適用できなかった素材も撚糸可能な程度に薄く、或いは幅広にすることが出来る。また、硬い材質のものも柔らかくすることが出来る。
なお、予備延伸ローラ3a・3bの表面も上記予備延伸におけるスリップを防止するために凹凸(ローレットやエンボス)が設けられている。その余は第1実施形態と同じである。
【0074】
これに対して、同図(b)の場合は、中間送り部5は中間ローラ5a・5bだけで中間駆動モータ5の設置はない。それ故、中間ローラ5a・5bは回転圧縮部10の引き込みによりロスフィルムRを挟持して従動的に回転し、撚りの起点Kとなる。従って、予備延伸送り部3の送り出し速度は回転圧縮部10の引き込み速度より遅い。
そして、予備延伸送り部3と中間送り部5との間の集束ロスフィルムRには第1加熱部60内において、軟化させる温度雰囲気で張力が掛り予備延伸される。
【0075】
(
第2実施形態:
図12)
第2実施形態では、既述のように、中間送り部5と回転圧縮部10との間に第2加熱部80が更に設置されている。
第2加熱部80は、寸法の違いはあれ、構造及び動作は第1加熱部60と同じで、加熱部本体81、開閉蓋82、本体駆動部86、蓋開閉機構90及び熱風供給部95とで構成され、ヒンジ82a、スライド機構87(ガイド軸87a、スライドブロック87b、本体駆動シリンダ88・91)を備えている(
図7)。第1加熱部60と第2加熱部80とは、作図を簡略化するために共用している(
図5、
図6、
図7)。
即ち、第2加熱部80では、稼働と共にヒータ97に通電され、熱風供給管96を通過する風が所定温度(軟化温度)迄熱せられ、加熱部本体81内に吹き込まれ、当該温度で加熱空間Zを通過している2次加熱される延伸撚り紐Rを加熱する。この熱風は加熱空間Zを回転するように流れ、2次加熱されている延伸撚り紐Rの表面からある程度の内部まで加熱し、少なくその表面部分のフィルムを均一に加熱し、その後、加熱部本体81の前後の開口から噴出される。
【0076】
第2加熱部80は、中間送り部5から送り出された加圧前の撚り紐Rを軟化温度で2次加熱するので、粘性が更に高まって接触しているロスフィルム同士Rの接着や捻じりによる稠密度が高まり、バージンペレットに近い密度の再生ペレットにすることが出来る。
【0077】
なお、この場合も予備延伸送り部3と中間送り部5の両方に駆動モータ4・6を設置する場合と、予備延伸送り部3だけに設置する場合に二通りがあり、第1実施形態で述べたとおりの延伸が得られ、且つ、2次加熱部80による2次加熱中に更なる延伸と撚りが付与される。
【符号の説明】
【0078】
A1・A2・A3:本発明の再生ペレット製造装置、C:切断位置、D:切断刃の軌跡、F:剪断力、F1:垂線方向の力、F2:引き寄せ方向の力、H:カッターの高さ、Ko:予備延伸の起点、K:撚りの起点、L:移動ライン、O:カッターの回転軸、P:再生(樹脂)ペレット、R:原料ロスフィルム、予備加熱される、又は予備加熱された集束ロスフィルム、延伸撚り紐、圧着撚り紐、加熱された予備延伸集束ロスフィルム、2次加熱される、又は2次加熱された延伸撚り紐、S:垂線、T:接線、W1:原料のロスフィルムの幅、W2:集束ロスフィルムの幅、Y:凹状圧痕、Z:加熱空間、θ:切断角度
1:ロスフィルム供給部、2:絞り部、2a:絞り孔、3:予備延伸送り部、3a・3b:予備延伸ローラ、4:予備延伸駆動モータ、5:中間送り部、5a・5b:中間ローラ、6:中間駆動モータ、7:架台、8・9:ベアリング、10:回転圧縮部、11:回転部、12:ケーシング、12a:前段部、12b:後段部、15:第1駆動部、16:第1駆動モータ、17:第1駆動プーリ、18:第1タイミングベルト、19:第1従動プーリ、21:圧縮部、22:圧縮ローラ部、22a:加圧側の圧縮ローラ、22b:駆動側の圧縮ローラ、23:回転軸、24:突起、25a:加圧側の引取ローラ、25b:駆動側の引取ローラ、26:回転軸、35:第2駆動部、36:第2駆動モータ、37:第2駆動プーリ、38:第2タイミングベルト、39:第2従動プーリ、40:主歯車部材、40a:主歯車、40b:中空軸部、41:従動歯車、42:主ウォームギア、43:従動ウォームギア、44:第1伝達ギア、45:第2伝達ギア、46:第3伝達ギア、50:切断部、51:カッター、52:切断刃、54:ハウジング、55:導入口、57:受け刃、57s:剪断面、60:第1加熱部、61:加熱部本体、61a:開口部、62:開閉蓋、62a:ヒンジ、66:本体駆動部、67:スライド機構、67a:ガイド軸、67b:スライドブロック、68:本体駆動シリンダ、70:蓋開閉機構、71:蓋開閉シリンダ、75:熱風供給部、76:熱風供給管、77:ヒータ、80:第2加熱部、81:加熱部本体、81a:開口部、82:開閉蓋、82a:ヒンジ、86:本体駆動部、87:スライド機構、87a:ガイド軸、87b:スライドブロック、88:本体駆動シリンダ、90:蓋開閉機構、91:蓋開閉シリンダ開口部、95:熱風供給部、96:熱風供給管、97:ヒータ
【要約】
従来適用できなかった厚いもの、幅広のものや硬度が高く曲がりにくい材質のロスフィルムも使用でき、しかもバージンペレットに近い再生ペレットの生産を可能にする再生ペレット製造方法である。
1方向に連続的に供給された1または複数のロスフィルム(R)に延伸を掛けながら撚りを掛け、且つ撚りの掛った部分を加圧して前記ロスフィルム(R)同士の接触部分を圧着して撚り紐(R)を形成し、前記撚り紐(R)を切断して再生ペレット(P)を製造する再生ペレット製造方法であって、前記ロスフィルム(R)に延伸しつつ撚りを掛けるその前段階で、前記ロスフィルム(R)の軟化温度で前記ロスフィルム(R)を予備加熱する。