(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】省エネルギ温室スクリーン
(51)【国際特許分類】
A01G 9/14 20060101AFI20220114BHJP
B32B 27/12 20060101ALI20220114BHJP
A01G 9/24 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
A01G9/14 S
B32B27/12
A01G9/24 H
(21)【出願番号】P 2018560839
(86)(22)【出願日】2017-05-30
(86)【国際出願番号】 EP2017063035
(87)【国際公開番号】W WO2017207568
(87)【国際公開日】2017-12-07
【審査請求日】2020-05-25
(32)【優先日】2016-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】518231286
【氏名又は名称】エービー ルドヴィグ スヴェンソン
【氏名又は名称原語表記】AB LUDVIG SVENSSON
【住所又は居所原語表記】511 82 Kinna, Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100195545
【氏名又は名称】鮎沢 輝万
(72)【発明者】
【氏名】ホルゲーソン, ペール
(72)【発明者】
【氏名】アスプランド, ダニエル
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-531900(JP,A)
【文献】特開2006-176774(JP,A)
【文献】特開2013-190635(JP,A)
【文献】特開2009-211078(JP,A)
【文献】特開昭55-088632(JP,A)
【文献】特開2011-217681(JP,A)
【文献】特開2012-019712(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0008638(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105058934(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/14
A01G 9/22 - 9/24
B32B 27/12
B32B 27/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム材料のストリップ(11)を備える温室スクリーンであって、フィルム材料のストリップ(11)は、編み工程、経編み工程、または製織工程によって、横方向の糸
(13a、13b;15;19)および縦方向の糸
(12、14、18)の紡織糸システムによって相互に連結され、連続製品を形成し、少なくともいくつかの前記ストリップ(11)は、
フィルムの第1の側上に第1の反射防止コーティングを備え、かつ前記フィルムの第2の側上に第2の反射防止コーティングまたは反射防止層を備える、単層または複層のポリエステルのフィルムの形態のフィルム材料を含み、前記フィルム材料は、少なくとも93.5%の透過率を有し、機械方向(MD)で測定されたとき、前記
第1および/または第2の反射防止コーティングが589nmの波長において1.64より低い屈折率を有し、前記反射防止層が589nmの波長において1.64より低い屈折率を有する、ことを特徴とする温室スクリーン。
【請求項2】
前記フィルム材料が少なくとも94.5%、例えば少なくとも95.3%の透過率を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の温室スクリーン。
【請求項3】
前記フィルム材料が、少なくとも10マイクロメータで、最大40マイクロメータ、例えば、少なくとも11マイクロメータで、最大25マイクロメータ、例えば、少なくとも14マイクロメータで、最大23マイクロメータ、例えば、少なくとも14.5マイクロメータで、最大20マイクロメータの合計厚さを有する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の温室スクリーン。
【請求項4】
前記フィルム材料の前記第2の側が反射防止コーティングを備える、ことを特徴とする請求項1
から3のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項5】
前記第1および第2の反射防止コーティングが、機械方向(MD)で測定されたとき、589nmの波長において、1.60より低い、例えば、1.58より低い屈折率を有する、ことを特徴とする請求項1
から4のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項6】
前記第1および第2の反射防止コーティングが、ポリアクリレート類、シリコーン類、ポリウレタン類、ポリ酢酸ビニル、およびポリビニルアルコール類(PVOH)、またはそれらの組合せからなる材料の群からである、ことを特徴とする請求項1
から5のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項7】
前記第1および第2の反射防止コーティングが、ポリアクリレート類をベースとする、ことを特徴とする請求項6に記載の温室スクリーン。
【請求項8】
前記第1および第2の反射防止ポリアクリレートコーティングが、70wt%超のメタクリル酸メチルおよびアクリル酸エチル
の繰返し単位を含む、ことを特徴とする請求項7に記載の温室スクリーン。
【請求項9】
前記第1および第2の反射防止ポリアクリレートコーティングが、80wt%超のメタクリル酸メチルおよびアクリル酸エチルの繰返し単位を含む、ことを特徴とする請求項7に記載の温室スクリーン。
【請求項10】
前記第1および第2の反射防止ポリアクリレートコーティングが、93wt%超のメタクリル酸メチルおよびアクリル酸エチルの繰返し単位を含む、ことを特徴とする請求項7に記載の温室スクリーン。
【請求項11】
前記第1および第2の反射防止コーティングが、50wt%超のメタクリル酸メチルの繰返し単位を含む、ことを特徴とする請求項8
から10のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項12】
前記第1および第2の反射防止ポリアクリレートコーティングが、10wt%未満
の芳香族構造要素を含む繰返し単位を含む、ことを特徴とする請求項6
から11のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項13】
前記第1および第2の反射防止ポリアクリレートコーティングが、5wt%未満の芳香族構造要素を含む繰返し単位を含む、ことを特徴とする請求項6から11のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項14】
前記第1および第2の反射防止ポリアクリレートコーティングが、1wt%未満の芳香族構造要素を含む繰返し単位を含む、ことを特徴とする請求項6から11のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項15】
前記第2の反射防止コーティングが、シリコーン-アクリレートコポリマーのコーティングである、ことを特徴とする請求項4
から6のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項16】
前記第1および第2の反射防止コーティングが、少なくとも60nmで、130nm未満、例えば、少なくとも70nmで、115nm未満、例えば、少なくとも78nmで、110nm未満、例えば、110nm未満で、95nm超の厚さである、ことを特徴とする請求項1
から15のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項17】
前記反射防止コーティングが、Tinuvin(登録商標)479、およびTinuvin(登録商標)5333 DWからなる群のUV安定剤を少なくとも1wt%含む(乾燥重量に基づき)、ことを特徴とする請求項1
から16のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項18】
前記第1および第2の反射防止コーティングが、前記フィルム材料の横方向の伸張の前に前記フィルム材料に塗布される、ことを特徴とする請求項1
から17のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項19】
前記フィルム材料が
ベース層の上側に共押出反射防止層を有する、ことを特徴とする請求項1
から3、5
から12、16、および17のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項20】
前記共押出反射防止層が、機械方向(MD)で測定されたとき、589nmの波長において、1.65より低い、例えば、1.60より低い屈折率を有するポリエステルからなる、ことを特徴とする請求項
19に記載の温室スクリーン。
【請求項21】
前記共押出反射防止層が、少なくとも2mol%で、20mol%未満、少なくとも3mol%で、18mol%未満、少なくとも6mol%で、16mol%未満の含有量のコモノマーを含む、ことを特徴とする請求項
19または
20に記載の温室スクリーン。
【請求項22】
前記コモノマーが、イソフタル酸(IPA)であり、前記共押出反射防止層に、IPAを6mol%超で、23mol%未満、例えば、9mol%超で、19mol%未満、例えば、15mol%未満の濃度で添加される、ことを特徴とする請求項
21に記載の温室スクリーン。
【請求項23】
6mol%超のコモノマー含有量を含む前記共押出反射防止層が、少なくとも1.5wt%、例えば、2.1wt%の有機UV安定剤を含む、ことを特徴とする請求項
20から22のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項24】
前記フィルム材料は、370nmから300nmの波長範囲において、40%未満、例えば、30%未満、例えば、15%未満の透過を有する、ことを特徴とする請求項1
から23のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項25】
前記フィルム材料は、600超、例えば、650超、例えば、700超の標準粘度(SV)値を有する、ことを特徴とする請求項1
から24のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項26】
前記フィルム材料は、18%未満、例えば、8%未満、例えば、3%未満のヘイズを有する、ことを特徴とする請求項1
から25のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項27】
少なくとも全ての
外側層は、少なくとも0.3wt%の有機UV安定剤(前記層の重量に基づき)を含む、ことを特徴とする請求項1
から26のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項28】
前記有機UV安定剤は、トリアジン類、ベンゾトリアゾール類、またはベンゾオキサジノン類からなる群から選択される、ことを特徴とする請求項
27に記載の温室スクリーン。
【請求項29】
前記有機UV安定剤は、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(ヘキシル)オキシーフェノール(Tinuvin(登録商標)1577)、または2-(2’-ヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)(Tinuvin(登録商標)1600)である、ことを特徴とする請求項
28に記載の温室スクリーン。
【請求項30】
前記フィルム材料は、多層化され、かつ少なくとも1つの外側層を含み、この外側層中の前記ポリエステルがイソフタル酸(IPA)を8-23wt%IPAの含有量で有する、ことを特徴とする請求項1
から29のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項31】
フィルム材料の1以上の前記ストリップ(11)は、前記縦方向の糸
(12、14、18)の間の距離より狭い幅を有する、ことを特徴とする請求項1
から30のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項32】
隙間が前記1以上のストリップ(11)と
隣接するストリップの間に形成され、前記隙間が前記スクリーンを通る換気を許している、ことを特徴とする請求項
31に記載の温室スクリーン。
【請求項33】
少なくとも10%、例えば、少なくとも20%、例えば、少なくとも30%、例えば、少なくとも40%、例えば、少なくとも50%、例えば、少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、例えば、少なくとも80%、例えば、少なくとも90%の前記温室スクリーン内の前記ストリップ(11)が、前記単層または複層のポリエステルフィルム材料を含む、ことを特徴とする請求項1
から32のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項34】
前記温室スクリーン内の全てのストリップ(11)が、前記単層または複層のポリエステルフィルム材料である、ことを特徴とする請求項1
から33のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項35】
前記編まれた、経編みされた、または織られたストリップが強化スクリーン材料を形成するように紡績糸網目に接着剤で付けられている、ことを特徴とする請求項1
から34のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項36】
温室における、請求項1
から35のいずれか一項に記載の温室スクリーンの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続製品を形成するように、編み工程、縦編み工程、または製織工程によって、紡績糸骨組みにより相互に連結された、複数の柔軟なストリップのフィルム材料を含むような温室スクリーンに関する。具体的には、本発明は、光透過率の高い要求を有する、作物の栽培に適した省エネルギ温室スクリーンにさらに関する。スクリーンは、特有の透過率、および高いUV安定性を有する。本発明は、温室フィルム材料の製造方法にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
温室内の施設栽培の目的は、収穫を増加させるように自然環境を変更すること、生産物の質を向上させること、省資源化を図ること、および、産地を広げること、および他の物との間の作物循環を長くすることである。温室の場所、およびその中で育てられる作物に応じて、生産量を低下させることになる有害なストレスを回避するために、年の全てまたは一部の間、作物は保護される必要がある。
【0003】
ある既知の温室スクリーンは、平行に延び、かつ連続製品を形成するように、編み工程、経編み工程、または製織工程、および紡績糸システムにより、相互に連結された、フィルム材料の複数の柔軟なストリップを備え、ストリップは製品の表面積の主要な部分を形成している。そのような温室スクリーンは、例えば、欧州特許出願公開第0109951号明細書によって知られている。このタイプのスクリーンの他の例は、仏国特許発明第2071064号明細書、欧州特許出願公開第1342824号明細書、および国際公開第2008/091192号に示されている。柔軟な材料のストリップは、光透過、および/または、伝熱、および反射に対して、所望の特性を提供する選択された材料であり得る。
【0004】
温室スクリーンは、省エネルギ、遮蔽、および温度制御のため、しばしば使用される。そのようなスクリーンは、いくつかの要求を満足しなければならない。それに対して、光は植物に到達することができるように、スクリーンを通過しなければならない。夜間、および特に早朝の時間において、温室省エネルギスクリーンは、また、温室内の反射ならびに再放射の双方によって、対流のために温室の内側の地面から上昇する熱を保持するべきである。温室省エネルギスクリーンなしでは、エネルギ消費が温室内で増加し、および理想的な気候の調節が困難である。
【0005】
しかしながら、スクリーンの不利な点は、それらが太陽のビーム経路に追加の層を形成することであり、吸収および反射の双方によって、利用できる光の量を減少させる。昼に、省エネルギスクリーンは上げることができ、または、過度の光の場合、省エネルギスクリーンは、また、冷却のため使用され得る。
【0006】
朝の時間の間、省エネルギスクリーンは、加熱のための過度のエネルギ量を使用することなく、高い光合成活性を確実にする光の最大量を同時に提供し、最適な植物成長温度に到達する必要のため、特に重要である。しかしながら、朝の時間において、太陽がまだ地平線付近の低角にあるとき、スクリーン表面上への光の反射率は、太陽が地平線上より高く上昇するときの日中の後より高い。
【0007】
温室スクリーンは、また、良好なUV安定性を有さなければならず、著しい黄変、脆化、表面の裂け、または、透過率または機械特性の重大な減少なく、温室環境内において少なくとも5年の使用を保証する。
【発明の概要】
【0008】
第1の予想から見ると、本教示は、温室の内側の熱を維持、または冷却の場合は外側の熱を維持することによって、省エネルギ化を図る特性を備える温室スクリーンを提供し得、同時にそれは、良好なUV安定性をさらに有し、かつ高い光合成活性を確実にする光の最大透過率を提供する。したがって、本教示は、フィルム材料のストリップを含む温室スクリーンを提供し、フィルム材料のストリップは、編み工程、縦編み工程、または製織工程によって、横方向の糸および縦方向の糸の紡績糸システムにより相互に連結され、連続製品を形成する。少なくともいくつかのストリップは、単層または複層ポリエステルフィルムの形態のフィルム材料を含み、フィルムの第1の側上に第1の反射防止コーティングを備え、およびフィルムの第2の側上にも第2の反射防止コーティングまたは反射防止層を備え、フィルム材料は少なくとも93.5%の透過率を有する。機械方向(MD)で測定されたとき、反射防止コーティングは、589nmの波長において、1.64より低い屈折率を有し、および反射防止層は、589nmの波長において、1.64より低い屈折率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
温室スクリーンの配置の例は、添付の図面と関連して、以下に記載される。
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態に従う、経編スクリーンの拡大表示部分を示す。
【
図2】
図2は、別の実施形態に従う、経編スクリーンの部分を示す。
【
図3】
図3は、織スクリーンの拡大表示の部分を示す。
【
図4】
図4は、さらなる実施形態に従う、織スクリーンの部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1-4は、紡績糸骨組み12、13a、13b;14、15;18、19によって一緒に保持された複数の細いフィルムストリップ11を含む、本発明に従う温室スクリーン10を開示している。ストリップは、好ましくは、縁同士、接近して配置されており、それらは、実質的に連続表面を形成する。全ての実施形態において、ストリップの間の距離は、紡績糸システムが見てわかるように、明瞭とするために誇張されている。スクリーンは、縦方向y、および横方向xを有し、ストリップ11は、縦方向に延びている。いくつかの実施形態において、ストリップ11’は、横方向にも延び得る。ストリップの典型的な幅は、2mmと10mmの間である。
【0012】
図1において、フィルムストリップは、欧州特許出願公開第0109951号明細書に記載されるような、縦編み手段によって相互に連結される。紡績糸骨組みは、ループまたは編目を形成し、かつ縦方向yに主に延びる経糸12を備えている。経糸12は、フィルムストリップに亘って延びる緯糸13aおよび13bによって互いに連結されている。
【0013】
図1は、4つのガイドバーが、ストリップ11のために1つ、フィルムストリップに対して横方向に延びる糸13aおよび13bを接続するために2つ、および縦方向の経糸12のために1つ、使用された経編み工程によって製造されたファブリックのためのメッシュパターンの例を示す。
【0014】
フィルムストリップ11の間の隙間は、メッシュパターンを明確にするために、強く誇張されている。通常、フィルムストリップ11は、縁同士が接近して位置される。縦方向の経糸12は、スクリーンの一方側である下側に配置され、一方で、横方向に連結の緯糸13aおよび13bは、ファブリックの両側である上側および下側に位置される。この点における用語「横方向」は、縦方向に対して垂直な方向に限定されないが、連結の糸13aおよび13bが図面に示されるようにフィルムストリップ11に亘って延びることを意味する。縦方向の緯糸と横方向の糸との間の連結は、ファブリックの下側に形成される。このように、フィルムストリップは、縦方向の緯糸によって限定されることなく、縁同士が接近して配置され得る。
【0015】
図1の縦方向の緯糸12は、一連の編目において、隣接したフィルムストリップの対向する縁に沿って途切れないように連続的に延びており、オープン鎖編形態と呼ばれる。
【0016】
横方向の糸13aおよび13bは、同一位置で、つまり、互いに対向して、フィルムストリップの上下を通り、フィルムストリップをしっかり捕える。縦方向の経糸12における各編目は、それと噛み合う、そのような横方向の糸13aおよび13bの2つを有する。
【0017】
図2は、
図1に示すものと同様のファブリックのためのメッシュパターンの別の例を示す。違いは、横方向の糸13aおよび13bが、代替の方法で、1つおよび2つのフィルムストップ11上を通っている。
【0018】
図3は、フィルムストリップ11が、縦方向yに延びる経糸14によって相互に連結され、および横方向xに主にフィルムストリップに亘って延びる緯糸15で織り合わされた、織られたスクリーンを示す。
【0019】
図4は、縦方向yに延びるフィルムストリップ11(経ストリップ)、および横方向xに延びるフィルムストリップ11’(緯ストリップ)を含む、米国特許第5288545号明細書に記載されるような織られたスクリーンの別の実施形態を示す。横方向の緯ストリップ11’は、
図4に示されるように、縦方向の経ストリップ11の同一側に常にあり得、または縦方向の経ストリップ11の上側および下側に互い違いであり得る。経ストリップ11および緯ストリップ11’は、縦方向および横方向の糸18および19を含む、紡績糸骨格によって一緒に保持される。スクリーンは、ストリップのない開口領域を含み得、スクリーン下の発熱性を減少させる。
【0020】
フィルム特性
本願明細書に開示されるようなフィルム材料は、少なくとも93.5%、例えば、少なくとも94.5%の透過率を有し、または透過率は少なくとも95.3%である。透過率が高いと、温室内の植物の成長が優れることになる。
【0021】
温室スクリーンの高い透過率は、以下に記載されるような、原材料および粒子内容物を使用して達成される。主に、改善された透過率は、温室スクリーンで使用される、単層、または複層フィルム材料の一方側上、または両方側上に反射防止コーティングを設けることで達成される。代替的に、単層、または複層フィルム材料は、第1の側上に1つの反射防止コーティング、および第2の側上に反射防止層を備え得る。そのような反射防止コーティングまたは層に関する特定の特性は、以下でより詳細に記載されることになる。
【0022】
この開示された温室スクリーンにおいて、少なくともいくつかのストリップは、本願明細書に記載されるように、単層、または複層のポリエステルフィルム材料から作製される。単層フィルム材料はベース層とも呼ばれる単層フィルムだけからなる。複層の実施形態において、フィルムは、ベース層(B層)、および少なくとも1つのさらなる層を含む。さらなる層は、フィルム内のその位置に応じ、少なくとも1つのさらなる層が2つの表面の各々上に位置されるとき、中間層と呼ばれ、またはそれがフィルムの上層を形成するとき、外側層を呼ばれる。
【0023】
本願明細書に開示されるようにフィルム材料は、少なくともベース層(B層)を含む。一実施形態において、B層は、ベース層の第1の側上に共押出しされた第1層A(co-exA層)を含み得る。さらに、さらなる実施形態において、B層は、第2の側上にさらなる共押出しされた層C(co-exC層)を含み得る。少なくともB層、および、いくつかの実施形態において、co-exA層およびco-exC層を含むフィルム材料は、さらに以下に記載されるように、1つまたは2つの反射防止コーティングでさらに被覆され得る。co-exA層、および/またはco-exC層がフィルムにおいて外側層を形成するなら、それらは、さらに以下にも記載されるように、反射防止特性を有利に備える。
【0024】
ベース層、任意の共押出層、反射防止コーティング、および/または反射防止共押出層を含むフィルム材料の合計厚さは、25マイクロメータ以下である。単層、または複層のポリエステルフィルムストリップの最小厚さは、少なくとも10マイクロメータ、例えば、少なくとも14マイクロメータ、かつ23マイクロメータ以下、または14.5マイクロメータと20マイクロメータの間であるべきである。フィルムの厚さが10マイクロメータより下の場合、温室における最終適用の間に亀裂生成を伴うフィルム損傷の危険が増加し、かつフィルムの機械的強度が使用中に発生し得るスクリーンの引張力を受け入れるために十分ではもはやなくなる。40マイクロメータを超えると、フィルムは、非常に硬くなり、および開いて引き出された状態において、束の寸法は、非常に大きくなり、かつ過度の遮光を与える。
【0025】
複層の実施形態において、ベース層の厚さは、残りの層(co-exA層および/またはco-exC層)の厚さの合計と少なくとも同じである。有利に、ベース層の厚さは、合計フィルム厚さの少なくとも55%で、理想的には、合計フィルム厚さの63%である。
【0026】
複層フィルムにおいて、外側層(すなわち、共押出A層、および共押出C層)の厚さは、少なくとも0.5マイクロメータ、例えば、少なくとも0.6マイクロメータ、または少なくとも0.7マイクロメータである。外側層の厚さは、3マイクロメータ以下、例えば、2.5マイクロメータ以下、例えば、1.5マイクロメータ以下である。0.5マイクロメータより下で、プロセスの安定性、および外側層の厚さの均一性が減少する。0.7マイクロメータから、非常に良いプロセス安定性が得られる。
【0027】
外側層が非常に厚くなると、生産プロセスに起因する再生体がベース層に加えられなければならないので、費用対効果が減少し、および、ベース層の厚さがフィルムの合計厚さと比較して非常に薄くなると、大きな割合の再生体がこの層に加えられなければならない。
【0028】
ベース層および他の層のポリマー
フィルム(以下でさらに記載される、任意のUV安定剤、粒子、難燃剤、ポリオレフィン、および他の添加剤)のベース層および他の層(共押出A層、および共押出C層)のポリマーは、熱可塑性ポリエステルから、少なくとも80wt%で作製される。この目的のために適切な熱可塑性ポリエステルは、特に、エチレングリコールとテレフタル酸のポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、PET)、エチレングリコールとナフタリン-2,6-ジカルボン酸(=ポリエチレン-2,6-ナフタレート、PEN)のポリエステル、ならびに、カルボン酸類およびジオール類の任意の混合物である。
【0029】
特に好ましくは、エチレングリコールとテレフタル酸のユニット、またはナフタリン-2,6-ジカルボン酸の、少なくとも85mol%、例えば、少なくとも90mol%、または、少なくとも92mol%からなるポリエステル類で与えられる。残りのモノマーユニットは、他の脂肪族、脂環式、または芳香族のジオール類、またはジカルボン酸類から誘導される。
【0030】
適切な他の脂肪族のジオール類は、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、化学式HO-(CH2)n-OHであって、nが好ましくは10未満の脂肪族のグリコール類、シクロヘキサンジメタノール、ブタンジオール、プロパンジオール等である。他の適切なジカルボン酸類は、例えば、イソフタル酸(IPA)、アジピン酸等である。
【0031】
フィルムが、ジエチレングリコール、またはそれから誘導されたユニットを2wt%未満、例えば、1.5wt%未満含むと、温室用途において信頼性、および耐候性にとって好ましいと判明した。いくつかの理由のため、フィルムが、イソフタル酸(IPA)を12mol%未満、例えば、8mol%未満、または5mol%未満含むと有利になることが判明した。しかしながら、複層の実施形態において、少なくとも1つのAまたはCの共押出外側層である、フィルムが、8mol%超のIPA、および理想的には10mol%超のIPAで、23mol%未満のIPA、例えば、19mol%未満、および理想的には、15mol%未満を含有し得る(この変更は、以下で、さらに述べられるように、フィルムの透過率を増加させるように働く)。
【0032】
層が8mol%超のIPA含有量を有するなら、有利に、有機UV安定剤(以下に記載されるように)の少なくとも1.5wt%、例えば、2.1wt%超を付加的に含み、高いIPA含有量を有する層における低いUV安定性を補償する。1,4-シクロヘキサジメタノール(CHDM)の重量%が3wt%未満、理想的には1wt%未満なら、CHDMのUV安定性が極めて低いので、フィルムのため有利であることがさらに判明した。
【0033】
イソフタル酸、ジエチレングリコール、およびCHDMの合計含有量(フィルムの合計重量に基づく)は、7wt%以下であるべきであり、および理想的には、6wt%未満であるべきである。コモノマー、特に、CHDMの含有量が、前記制限を超えないなら、フィルムから作製されたスクリーンのUV安定性が、制限を越えている実施形態より著しく良好である。
【0034】
本発明のフィルムの生産のため、ポリエステルの標準粘度(SV)値が選択され、フィルムは理想的にSV値>700、SV>650、例えば、SV>600を有する。フィルムのSV値は<950、例えば、<850とするべきである。SV値が600より低いと、フィルムは、脆くなり、生産の間にたびたび割れを生じる。さらに、温室の内側で、粘度は、急速に減少し、フィルムの柔軟性の損失を引き起こし、スクリーンの割れ、および早期破壊を引き起こす。さらに、以下で述べられる機械的特性は、600より低いSV値ではもはや達成され得ない。
【0035】
フィルムが950より高いSVを有すると、過度に高い流れが押出装置電動モータの運転の間に生じ得、かつ押し出しの間の圧力変動に導き得る、押出装置内の高い粒子負荷のため、ポリマーは非常に丈夫である。これは、不十分な運転信頼性を導く。さらに、押出しダイおよび切断具上の摩擦が不釣合に高くなる。したがって、ポリエステルの標準粘度(SV)値は700と850の間から有利に選択される。
【0036】
UV光保護
本願明細書で記載されるように、温室スクリーンで使用されるフィルム材料は、370nm未満から300nmの波長範囲(すなわち、UV光範囲内)において、低透過率を有する。この特定の範囲内の任意の波長で、透過率は、40%未満、例えば、30%未満、または15%未満とすべきである。これは、脆化および黄化に対してスクリーンを保護し、および、この方法で、温室内の植物および設備もUV光に対して保護もされる。390nmと400nmの間で、透過率は、20%超、例えば、30%超、または40%超とすべきであり、この波長より上で、光合成活性が明確にあり、および植物成長がこの波長より上での過度の光フィルタリングのための負の影響を与えることになるためである。
【0037】
低UV透過性は1以上の有機UV安定剤の添加によって達成される。UV光に対する低透過性は、フィルムおよびその中に含まれる難燃剤を急な劣化、およびひどい黄化から保護する。有機UV安定剤は、トリアジン類、ベンゾトリアゾール類、またはベンゾオキサジノン類からなる群から選択され得る。トリアジン類である、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(ヘキシル)オキシ-フェノール(Tinuvin(登録商標)1577)、または、BASFによってTinuvin(登録商標)1600で販売された2-(2’-ヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)が使用されるとき、370nmより下での透明性が低いUV安定剤のレベルで達成され得、同時に390nmより上の波長における高い透明性が達成される。
【0038】
ベース層、または、複層フィルムの場合においては、少なくとも1つの外側層(co-exAまたはC)、または両方の外側層(co-exAおよびC)が、少なくとも1つの有機UV安定剤を含む。上記のUV安定化トリアジン誘導体類は、良好な熱安定性を有し、および275-310℃の従来のポリエチレンテレフタレートのプロセス温度におけるスクリーンからの低いガス放出を有する。
【0039】
UV安定剤は、外側層内(co-exAおよび/またはC)、またはベース層内に、それらが添加された層の重量に基づき、UV安定化剤を0.3と3wt%の間、例えば、0.75と2.8wt%の間、または1.2から2.5wt%の量で含まれる。複層の実施形態において、外側層に加えて、ベース層もUV安定剤を含み得る。UV安定剤の含有量(wt%)は、外側層よりこのベース層でより低い。層内における、この特定の含有量は、トリアジンに関係する。トリアジン誘導体に代わり、ベンゾトリアゾール類、またはベンゾオキサジノン類の群からのUV安定剤が使用されると、トリアジン成分は、ベンゾトリアゾール成分、またはベンゾオキサジノン成分の1.5倍量で置き換えられなければならない。
【0040】
巻特性の改善のための粒子
ベース層、および外側co-exAおよび/またはC層は、また、フィルムの巻特性を改善するため他の粒子を含み得る。そのような無機または有機の粒子は、例えば、炭酸カルシウム、アパタイト、二酸化珪素類、アルミニウム酸化物、架橋ポリスチレン、架橋ポリ-メチル-メタクリレート(PMMA)、ゼオライト、およびアルミニウムシリケートのような他のシリケート類、またはTiO2、またはBaSO4のような白色顔料類でもある。
【0041】
これらの粒子は、好ましくは、外側co-exAおよび/またはC層に添加され、フィルムの巻特性を改善する。そのような粒子が添加されるとき、シリカ系粒子の使用が好ましく、それらが透過率を最小で減少させるからである。しかしながら、それらの粒子は、後方散乱によって透過率の損失を引き起こし得る。そのような粒子の割合が、外側層内で非常に多いとき、高い透過率特性を達成することが著しく困難である。したがって、任意の層内において、それらの他の粒子の割合は、各場合において、関連する層の合計重量に基づき、各層内で3wt%以下、例えば、1wt%未満、または0.2wt%未満である。
【0042】
例えば、TiO2、またはBaSO4のような白色ポリマー類は、また、フィルム材料の巻特性を改善し得る。しかしながら、そのような白色顔料類は、ポリプロピレン、環状オレフィンコポリマー(COC’s)、ポリエチレン、ポリスチレン等のような、主要成分のポリエステルと非相溶性である傾向があり、したがって、0.3wt%未満の量で添加され(フィルムの重量に基づき)、および理想的には少しも添加されない(すなわち、0wt%)。白色顔料類は、透過率において負の効果を有し、およびそれらは、フィルムの燃焼挙動において強い負の影響も有する。さらに、それらは、UV光によって影響を及ぼされる傾向があり、および過度の黄化を生じ、したがって、スクリーンの無駄を省くことを著しく悪化させる、UV安定剤の実質の追加量を必要とするだろう。
【0043】
2層のフィルムの場合、それらの粒子は、層の一方(co-exAまたはC)にだけ添加され、または複層の実施形態の場合、それらは外側の2層(co-exAおよびC)にだけ添加される。したがって、これらの粒子は、ベース層に、しばしば添加される再生体の上の少ない範囲にだけ、ベース層に到達することになる。したがって、透過率の最小の減少だけが、巻き取りのため要求される粒子によって達成される。
【0044】
難燃剤
例えば、電気的故障によって始まる火災が甚大な経済的損失を引き起こす全温室にスクリーンによって広がり得るので、温室中のスクリーンは、潜在的な火災災害があり得る。したがって、数年から、最新技術は難燃剤スクリーンである。温室カーテン用の適切な火災特性を達成するために、光散乱粒子および他の粒子、ならびに白色顔料および非相溶性ポリマーのレベルが、本願明細書に開示されるような、範囲内であるなら、難燃剤は必要とされない。そのようなフィルムは、4以下の火災試験におけるスコアに達した。
【0045】
言及された群の1つのレベルが提案レベルより高いなら、または特別な温室用途のため、引火性においてさらにもっと減少が必要なら、フィルムは、また、有機リン化合物に基づく難燃剤を含有すると有利であることが判明した。これらの難燃剤は、リン酸、または亜リン酸のエステルである。リン含有化合物がポリエステルの一部であるなら、有利であることが判明した。Adeka rod 700((ジフェニルリン酸塩)に対して4,4’-(イソプロピリデン-ジフェニル))のような重合化リン含有難燃剤は、生産の間に難燃剤のガス放出の不利益に加えて、フィルム、すなわち、ポリエステルの加水分解安定性における非常に強い悪影響をも有しており、湿潤な温室気候において、フィルムの急速な脆化を生じさせることになり、したがってスクリーンがよりしばしば置き換えられる必要がある。これらの影響は、組み込まれたポリエステル鎖リン化合物の使用によって著しく減少する。
【0046】
リン化合物は、2-カルボキシエチル-メチルホスフィン酸(他の適切な化合物は、例えば、西独国特許出願公開第2346787号明細書に記載されている)の使用を伴うような、主鎖の一部であり得る。しかしながら、リンが側鎖にある、リン化合物は、温室条件下で加水分解する傾向を減少させる。そのような化合物は、化学式(I)の化合物である。
【0047】
【化1】
R
1は、-COOR
4、-OR
5および-OCOR
6から選択されるエステル形成基であり、
R
2およびR
3は、ハロゲン原子、1-10の炭素原子を有する炭化水素基、およびR
1から独立して選択され、
R
4は、水素原子、カルボニル基、または、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を含み得る、1-10の炭素原子を有する炭化水素基であり、
R
5は、水素原子、または、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を含み得る、1-10の炭素原子を有する炭化水素基であり、
R
6は、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を含み得る、1-10の炭素原子を有する炭化水素基であり、
Aは、1-8の炭素原子を有する、二価、または三価の炭化水素基であり、
n1は、1または2であり、
および、n2およびn3は、それぞれ、0、1、2、3、または4であり、特に、化学式(I)の化合物は、2つのエステル形成官能基を含んでいる。
【0048】
モノマー、6-オキソ-ジベンゾ[c,e]-[1,2]オキサホスホリン-6-イルメチル-コハク酸-ビス(2-ヒドロキシエチル)エステル(CAS登録番号63562-34-5)は、ポリエステルの生産において、加水分解に対して相対的に低い感受性を示し、フィルム生産プロセスにおいて、良好な作業信頼性をも与え得る。
【0049】
難燃剤の量は調節され、フィルム中のリンの割合は、少なくとも500ppm、例えば、少なくとも1200ppm、または少なくとも1600ppmである。リンの割合は、5000ppmより低く、例えば、4000ppmより低く、または、3000ppmより低くすべきである(使用される全ての成分の各重量、すなわち、モルによる物質の量に基づき)。リンの含有量が500ppmより低いと、フィルムが非常に早く燃えることになる。リンの割合が高いと、燃焼速度が低くなるが、これは、また、加水分解安定性を低くする。5000ppmより高いと、フィルムは、暦年で最大限に使用され得る。3000ppmより低いと、加水分解速度は十分低く、加水分解による分解は、数年の使用内で予期されない。
【0050】
リン含有量は、層間で同じようにまたは異なるように分配され得る。しかしながら、一実施形態において、外側の共押出Aおよび/またはC層が内側層のリン濃度の少なくとも75%含有するか、または、それらが、同じ濃度のリンを含有するか、または外側層がベース層より少なくとも5%多くリンを含有する。これは、特に有利な燃焼挙動を導き、およびリンの総体的な低い量が必要とされる。
【0051】
反射防止コーティング
本願明細書に開示されるようなフィルム材料は、少なくとも93.5%、例えば、少なくとも94.5%、または少なくとも95.3%の透過率を有する。透過率が高いと、温室内の植物の成長が優れることになる。1%多い光が植物に到達すると、生産量は1%増加する。本願明細書に記載されるような改善された温室スクリーンで、スクリーンは、光が200W/m2に到達するまで、閉じたままであり得、それにより、光の損失のため生産量に影響を及ぼすことなしに、エネルギを節約する。
【0052】
フィルム材料の透過率は、本願明細書に記載されるような、原材料および粒子内容物を使用して達成される。主に、増加した透過率は、フィルムの少なくとも一方の側上、または両方の側上に反射防止コーティングを提供することによって達成される。
【0053】
反射防止コーティングは単層、または複化フィルムの表面に適用された光学コーティングのタイプであり、反射を低減させる。反射防止コーティングまたは層は、ベース層、または中間層と比べ対照的な屈折率を備える透明薄膜構造からなる。層またはコーティングの厚さは、界面から反射されたビーム中に弱め合う干渉、および、対応する透過したビーム中に強め合う干渉を生成するように選択される。
【0054】
ベース層を含むフィルム材料、および、複層の実施形態においては、また、任意の外側/中間層(co-exAおよび/またはC)が、それ自身、ポリエステルフィルムより低い屈折率を有する反射防止材料でコートされる。反射防止コーティング材料は、機械方向に測定されたとき、589nmの波長において、1.64より低い、例えば、1.60より低い、または1.58より低い屈折率を有する。
【0055】
単層、または複層フィルム材料の2つの側は、異なる反射防止コーティングでコートされ得、または、フィルム材料は、両側上で同じ反射防止コーティングでコートされ得る。
【0056】
使用され得る反射防止コーティング材料は、ポリアクリレート類、シリコーン類、ポリウレタン類、ポリ酢酸ビニル、およびポリビニルアルコール(PVOH)、またはそれらの組合せからなる群からである。適切なアクリレート類は、例えば、欧州特許出願公開第0144948号明細書に記載され、および、適切なシリコーン類は、例えば、欧州特許出願公開第0769540号明細書に記載されている。アクリレート類をベースとする反射防止コーティング材料は、温室において、それらの据え付けの間に、ブリードアウトしない傾向、または剥離しない傾向があり、シリコーンをベースとするコーティングを使用するとき、これは生じ得る(または、ポリビニルアルコールで洗浄する)。第1および/または第2の反射防止コーティングは、一実施形態において、ポリアクリレート類をベースとする。
【0057】
第1および第2の反射防止ポリアクリレートコーティングは、メタクリル酸メチルおよびアクリル酸エチルの繰返し単位を、70wt%超、例えば、80wt%超、または、93wt%超含み得る。一実施形態において、アクリレートコーティングの50wt%超がメタクリル酸メチルの繰返し単位を含む。さらなる実施形態において、アクリレートコーティングは、芳香族構造要素を含む繰り返し単位を、10wt%未満、例えば、5wt%未満、または1wt%未満を含有する。芳香族構造要素を有する繰り返し単位が10wt%より高い含有量では、反射防止コーティングの耐候性において著しい低下がある。一実施形態において、第2の反射防止コーティングは、シリコーン-アクリレートコポリマーのコーティングである。
【0058】
反射防止コーティングの厚さは、少なくとも60nm、例えば、少なくとも70nm、または78nmである。反射防止コーティングの厚さは、多くて130nm、例えば、115nm以下、および理想的には110nm以下である。これは、理想の透過率増加を、所望の波長範囲内で達成する。一実施形態において、反射防止コーティングの厚さは、87nm超、および例えば、95nm超である。この一実施形態において、反射防止コーティングの厚さは、115nm未満、および理想的には、110nm未満である。95から110nmの間のこの狭い厚さ範囲において、双方、透過率増加は、最適範囲、かつ同時に、UVの反射であり、および可視スペクトルの残りに関する光の青色領域が増加する。これは、片手のUV安定剤を節約するが、主に、青色/赤色の波長比が赤色成分のほうを選んでシフトすることを導く。これは、増加した開花である、改善された植物成長となり、および着果が達成され、および植物の黄化を妨げる。
【0059】
反射防止コーティングは、既知の方法(リバースグラビアロール、またはメイヤーバー)によるフィルムの横伸張に先だって、水分散液インラインからフィルム材料に適用される。一実施形態において、反射防止コーティングは、少なくとも1wt%(乾燥重量に基づき)のUV安定剤、例えば、Tinuvin(登録商標)479、またはTinuvin(登録商標)5333を含む。HALS(ヒンダードアミン光安定剤)は、再生(生産物からフィルム残余のリサイクリング)をもたらし得、および次に透過率を減少させる材料の著しい黄化をもたらし得、したがって好ましくない。
【0060】
フィルム材料の少なくとも第1の側は、上記のように反射防止コーティングを備える。しかしながら、また、反対側、すなわち、上記のフィルム材料の第2の表面は、反射防止コーティングを備え得る(以下の表1の実施例2、3、VB2および4参照)。一実施形態において、第1の反射防止コーティングと同じ反射防止コーティングが、また、第2のフィルム表面に適用され、すなわち、第1および第2のフィルム表面の両方は、上記のように、同じ反射防止アクリレートでコートされる(以下の表1の実施例2、3、およびVB2参照)。
【0061】
代替の実施形態において、第2の反射防止コーティングは、第1の反射防止コーティングと比べて変更され、すなわち、一方の側は、アクリレート系コーティングを有し、およびシリコーン-アクリレートコポリマーのコーティングが他方の側に適用される(以下の表1のVB4参照)。シリコーン-アクリレートコポリマーは、例えば、Dow Corning USAから入手できる。上記のように、両面反射防止コーティングで、>95.3%の透過率値が達成され得る。
【0062】
反射防止特性を備える共押出外側層
さらなる実施形態において、フィルムの第1の反射防止コートされた側と反対の側上の第2の側は、第2の反射防止コーティングに代わって、ベース層Bの上側に反射防止特性を有するコモノマーを含む共押出(coex)外側層を備え得る(以下の表1の実施例1およびVB1参照)。この実施形態において、共押出層は、配向したホモ-ポリエチレンテレフタレートより低い屈折率を有するポリエステルからなる。機械方向で測定したとき、589nmの波長において、屈折率は、1.70より低く、例えば、1.65より低く、および理想的には、1.60より低い。この屈折率は、コモノマーが、少なくとも2mol%、例えば、少なくとも3mol%で添加されたポリマーによって達成され、および理想的には、ポリマーは少なくとも6mol%のコモノマーを含んでいる。2mol%より低いと、屈折率のための所望値が達成され得ない。コモノマーは、一実施形態において、20mol%より低く、例えば、18mol%より低く、および理想的には、16mol%より低い。16mol%より高いと、UV安定性が、フィルムの非晶質性のため、著しく悪く、および20mol%より高いと、UV安定剤の増加した割合がコモノマーによって生じる減少したUV安定性を補償することができない。
【0063】
コモノマーとして、エチレングリコールおよびテレフタル酸(またはジメチルテレフタレート)以外の全てのモノマーが含まれる。コモノマーの割合は、常に、全てのコモノマーの合計を示す。たった2つのコモノマーが、同時に、好ましく使用される。使用される1つのコモノマーは、イソフタル酸(IPA)である。一実施形態において、共押出層は、6mol%超のIPA、例えば、9mol%超のIPAを含むが、23mol%未満のIPA、例えば、19mol%未満、または15mol%未満を含む。6%超のコモノマー含有量を備える共押出層は、一実施形態において、少なくとも1.5wt%、例えば、2.1wt%超の有機UV安定剤(上記されるような)を含み、増加したコモノマー含有量を備える層の安定性を補償する。
【0064】
一方の側上に、反射防止コーティング(例えば、アクリレート)を備え、および反対の側上に、コモノマーを含むポリマー(すなわち、コポリマー層を形成すること)を含む層を備えるフィルム材料を組み合わせることで、発明のフィルムの透過率は、少なくとも93.5%であるが、>95.3%の高い透過率の値に達しない。しかしながら、コーティングと比較して、コポリマー層を加えることの利点は、フィルム材料が、温室の高ストレス領域(しばしば洗浄された領域)において有益であり得る、高い磨耗性を備えることである。
【0065】
フィルムの生産プロセス
個々の層のポリエステルポリマーは、ジカルボン酸類およびジオールから開始、またはジカルボン酸類のエステルから開始する、ジメチルおよびジオールのような、ポリ濃縮物によって調整される。適切なポリエステルは、500から1300の範囲内の標準粘度(SV)値を有し、個々の値は重要でないが、使用された材料の平均SV値は700超、例えば、750超とすべきである。
【0066】
顔料、および/または粒子、ならびにUV安定剤は、ポリエステルの実際上の調製の間に添加され得る。この目的のため、粒子は、ジオールに分散され、付随的に、粉砕、デカンタに移され、および/または濾過され、およびエステル化(トランス)ステップの間の、またはポリ濃縮ステップにおける反応器に加えられる。濃縮化粒子含有、または添加物含有ポリエステルのマスターバッチは、2軸押出機で生産され得、および粒子のないポリエステルのフィルム押し出しにおいて希釈され得る。30wt%未満のポリエステルを含有するマスターバッチが使用されるとき好ましいと判明した。特に、マスターバッチ中に含有されるSiO2粒子の量が純SiO2の20wt%を超えないようにすべきである(ゲル形成の危険)。別のオプションは、2軸押出機でフィルム押し出しの間に直接、粒子および添加物を加えることである。
【0067】
スクリュ式押出機が使用されるなら、事前にポリエステル類を乾燥する。脱ガス帯で2軸押出機を使用するとき、乾燥ステップは省かれ得る。
【0068】
まず、単層、または複層フィルム中の個々の層のポリエステル、またはポリエステル混合物が圧縮され、および押出機内で溶解させられる。単層または複層における溶融物は、その後、平らな溶融物フィルムに形成され、スロットダイを通され、およびチル・ロールおよび1つ以上のテイクオフロール上に引き出され、すると、それは冷却および凝固する。
【0069】
本発明のフィルムは、2軸配向、すなわち、2軸伸張されている。フィルムの2軸配向は、順次、最も頻繁に実行される。ここで、フィルムは、第1の縦方向(つまり、機械方向=MD)、それから、横方向(つまり、機械方向に垂直=TD)に伸張される。縦方向に配向される伸張は、所望伸張比に相当する異なる速度で運転している2つのローラによって実行され得る。横方向伸張のため、適切なテンタフレームが一般に使用される。
【0070】
伸張が実行される温度は、相対的に広い範囲内で変更し得、およびフィルムの所望の特性に依存する。一般に、縦方向における伸張は、80から130℃の温度範囲で実行され(80から130℃の温度に加熱)、および横方向においては、90℃(伸張の開始)から140℃(伸張の終了)の温度範囲で実行される。縦方向の伸張比は2.5:1から5:1の範囲内で、好ましくは2.8:1から4:1の範囲内である。5より上の伸張比は、製造性において著しい低下を導く(テア)。
【0071】
横方向の伸張比は、一般に2.5:1から5:1の範囲内で、好ましくは3.2:1から4:1の範囲内である。4.8より高い横方向の伸張比は、製造性において著しい低下を導き(テア)、および回避されるべきである。一般に、高い領域の伸張比(縦方向×横方向)は、フィルムに高い屈折率を与え、今度は、低いフィルム透過率を生じる。したがって、領域の伸張比(=伸張比MD×伸張比TD)は、一実施形態において、20より低く、例えば、18より低い。
【0072】
所望フィルム特性を達成するために、伸張温度(MDおよびTDにおいて)は125℃であり、および好ましくは118℃より低いときが有利であると判明した。横方向の伸張前に、フィルムの一方、または両方の表面がそれ自体公知の方法に従いインラインでコートされ得る。インラインのコーティングは、コーティングを塗布するために使用され得、透過率を増加させる(反射防止)。フィルムのインラインの反射防止コーティングは、反射防止コーティングが別のオフラインステップで適用されるときと反対に、フィルムの全体的な製造コストを低減させる。続く、加熱セットにおいて、フィルムは、150から250℃の温度で約0.1から10秒の周期に亘り張力下に保持され、および伸縮値を達成するために、横方向において、少なくとも1%、例えば、少なくとも3%、または少なくとも4%に緩和される。
【0073】
この緩和は、150℃から190℃の温度範囲内で行われることになる。透明性バウを減少させるため、第1の固定領域における温度は、220℃より低く、例えば、190℃より低い。さらに、同様の理由のため、合計横方向伸張比の少なくとも1%、例えば、少なくとも2%が、通常伸張されない、第1の固定領域にあるべきである。それから、フィルムは通常の方法で巻かれる。
【0074】
他のフィルム特性
上記の方法に従うフィルムは、縦方向および横方向において150℃で、5%未満、例えば、2%未満、または1.5%未満の収縮を有する。このフィルムは、100℃で、3%未満、例えば、1%未満、または0.3%未満の範囲までさらなる収縮を有する。この寸法安定性は、例えば、フィルムの適切な緩和によって(プロセスの記載参照)、巻き取る前に得られ得る。この寸法安定性は、ストリップ間の空気の増加した通路を導くことになる(すなわち、省エネルギ効果の減少)、スクリーンにおいて使用されるときにフィルムストリップの後の収縮を避けるために重要である。非常に大きい収縮または拡張が最終製品において波状の変更を生じることになるので、緩和は、温室スクリーンに加えてローラスクリーンの製造の間の両方で実行される。
【0075】
本発明のフィルムは、縦方向および横方向において、3000N/mm2超、例えば、3500N/mm2超、または(少なくとも1つのフィルム方向において)>4500N/mm2超である、フィルムの両方向における弾性率をさらに備える。F5値(5%伸張における力)が、縦方向および横方向において、約80N/mm2であり、例えば約90N/mm2である。これらの機械的特性は、上述のプロセス条件の文脈中のフィルムの2軸伸張のパラメータを変更することによって設定され得、および得られ得る。
【0076】
前記機械的特性を有するフィルムは、利用中に、引っ張られるとき、過度に伸ばされず、および容易に扱いやすいままである。
【0077】
本発明の透過率の値を達成するために、フィルムのヘイズが18%未満、例えば、8%未満、または3%未満であると好ましいことも判明した。濁度が低いと、光の後方散乱が少なく、したがって透過率の損失も少ない。本発明の粒子内容物およびポリマー組成物に従い、これらのヘイズの値は、到達される。
【0078】
用途
フィルムは、有利に、2-10mmの幅を有する細いストリップに切断され、それから、ポリエステル紡績糸(また、これはUV安定化されなければならない)で、ファブリックまたはスクリーンが生産され、温室内で吊るされる。フィルムのストリップは、他のフィルムのストリップ、特に、光散乱効果を有するフィルムと組み合わされ得る。
【0079】
所望の透過率特性を提供するため、スクリーンの表面積の少なくとも10%、例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%が、本願明細書に記載されるように、単層または複層のフィルムのストリップ(11)であるべきである。一実施形態に従い、スクリーン中の全てのストリップ(11)は、記載された単層または複層のポリエステルのフィルムであり、およびストリップ(11)は縁同士近接して配置され、それらは実質的に連続的な表面を形成する。さらなる実施形態において、フィルムそれ自身は、温室内に設置され、または代替的に、編まれ、縦編みされ、または織られたフィルムストリップが紡績糸網目に接着剤で付けられ得、強化スクリーン材料を形成する。
【0080】
いくつかの実施形態において、本発明のフィルム材料のストリップは、毛管作用によって液体輸送能力を有する紡績糸骨格によって相互に連結され得る。紡績糸骨格は、編まれ、縦編みされ、または織られたフィルム材料のストリップの少なくとも1つの側に熱的に結合され得、および、ストリップに熱的に結合された紡績糸骨格のそれらの部分は、また、毛管作用によって液体輸送能力を有する。
【0081】
上記のこれらの設置は、夜間のエネルギ損失の減少を引き起こし、および特に、早朝において、良好な光を植物に与える。
【実施例】
【0082】
次の条件が実施例1-3、およびVB1-5のため適用される。
【0083】
ポリマー混合物が292℃で融解され、および50℃に制御された温度で冷却ロール上にスロットダイを通り静電気的に適用された。その結果のフィルムは、その後、次の条件下で、縦方向に、およびそれから横方向に伸ばされる。
【0084】
縦方向の伸張
加熱 75-115℃
伸張温度 115℃
縦方向の伸張比 3.8
【0085】
横方向の伸張
加熱 100℃
伸張温度 112℃
横方向の伸張比(第1の固定帯における伸張を含む) 3.9
【0086】
設定
温度 237-150℃
持続 3秒
200-150℃でのTDにおける緩和 5%
【0087】
実施例において、以下の原材料が使用される。
【0088】
PET1=エチレングリコールとテレフタル酸で作製され、820のSV値を有するポリエチレンテレフタレート、および0.9wt%のDEG(モノマーとしてジエチレングリコール)。
【0089】
PET2=730のSV値を有するポリエチレンテレフタレート、コポリマーとして(6-オキソージベンズ[c,e]-[1,2]オキサホスホリン-6-イルメチル)コハク酸ビス(2-ヒドロキシエチル)エステルであって、そこからのリンの割合が原材料の中に18000ppmである。
【0090】
PET3=700のSV値を有し、20wt%のTinuvin(登録商標)1577を含有するポリエチレンテレフタレート。UV安定剤は、次の組成物、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(ヘキシル)オキシ-フェノール(BASF Ludwigshafen、GermanyからのTinuvin(登録商標)1577)を有する。Tinuvin(登録商標)1577は、149℃の融点を有し、および330℃で熱的に安定である。
【0091】
PET4=700のSV値を有し、および、2.7ミクロンのd50を有するシリカ、Sylysia 310 P(製造業者 FUJI SILYSIA CHEMICAL LTD Greenville NC/USA)の15wt%を有するポリエチレンテレフタレート。SiO2は、ポリエチレンテレフタレートに、二軸押出機を使用して組み込まれた。
【0092】
PET5=710のSV値を有し、コポリマーとしてイソフタル酸を25mol%を有するポリエチレンテレフタレート。
【0093】
次の表1は、配合組成、製造条件、および結果のフィルム特性(wt%は、各層の合計重量に基づき計算された)
【0094】
【0095】
【0096】
試験方法の記載
以下の分析方法が、使用され、使用されたパラメータを決定した。
【0097】
平均粒径d50の測定
平均粒子サイズd50の決定は、Malvern Mastersizer 2000を使用して実施された。このため、粒子は、水に分散され、および計器内で分析されるキュベットに移動され、粒子のサイズがレーザ光回折で決定された。一般に、検出器は、数学上の相関性機能を使用して、角度依存光強度から回折されたレーザ光の画像強度を捕え、粒子サイズ分布が計算される。粒子サイズ分布は、2つのパラメータ、つまり、メジアン値d50(=平均値のための位置の測定)および分散度SPAN98(=粒径の分散の測定)によって特徴付けられる。試験手順は、自動的に実行され、およびd50値の数学的決定が含まれた。
【0098】
それらの粒子を有する生産されたフィルムにおける測定は、生産開始前の粒子の初期値と比較して15-25%低いd50値を生じる。
【0099】
UV/Visスペクトル、または波長xでの透過
フィルムの透過は、UV/Visダブルビーム分光光度計(Lambda12または35)Perkin Elmer USAで測定された。およそ(3×5)cm幅のフィルム試験片が、ビーム経路において測定ビームに対して垂直な平らなサンプルホルダ内に挿入された。測定ビームは、検出器の方に50mmの積分球によって向けられ、強度は所望の波長で透過率を決定するように使用される。バックグラウンドは空気であった。透過率は、所望の波長で読み取られる。
【0100】
透過率
透過率は、BYK-Gardner GmbH Germanyのhaze-Gard plusによってASTM-D 1003-61(A法)に従って測定された。
【0101】
明瞭性
明瞭性の決定は、ASTM-D-1003に従い、およびBYK-Gardner GmbHのhaze-gard plusを使用することによって実行される。光は、小立体角内で偏光され、散乱光の量は細いローブ内に集められる。明瞭性は、2.5°未満の角度範囲内で測定される。明瞭性を測定するように、フィルムは、光出口開口に接して適用される。(画像鮮鋭度)
【0102】
SV(標準粘度)
標準粘度SVは、ジクロロ酢酸(DCA)内に1%の濃度で、ウッベローデ粘度計において、25℃で、DIN53726に基づいて測定され、毛管を通過する溶液の所要時間を測定した。溶解されたフィルムを含むDCA溶液の粘度は、使用されたポリマーの平均鎖長に相当する。無機粒子(例えば、TiO2、またはSiO2)のような不溶解性材料は、粘度測定に影響を及ぼさないが、サンプル重量測定の間、考慮されなければならい(以下参照)。相対粘度(ηrel)から、無次元SV値が以下のように決定される。
SV=(ηrel-1)×1000
【0103】
充填されていないフィルム対充填されたフィルムにおける、使用されたポリマーの鎖長を比較することができるように、不溶解性材料の量が、フィルムがそのような粒子を含む場合において、考慮されなければならない。不溶解性粒子を含有する、ポリマー原材料、またはフィルムは、DCA内に溶解され、および不溶解性顔料が測定前に遠心分離した。不溶解性粒子の割合は、アッシュ決定によって決定された。充填されたフィルムが分析される場合、充填されたフィルムの多くの量が、充填されていないフィルムと比較して、ジクロロ酢酸に溶解されなければならない。以下の式は、フィルムが不溶解性粒子を含む場合において、DCA内に溶解される、サンプルの重量を計算するために使用される。
【0104】
DCAに溶解されたサンプル(充填されたフィルム)の合計重量=(充填されていないフィルムのサンプルの重量)/((100-充填されたフィルムの不溶解性粒子含有量wt%)/100)。例えば、標準の充填されていないフィルムの0.4gが40mlのDCA内に溶解され、および分析される充填されたフィルムが不溶解性粒子を5%含むと(アッシュ決定によって決定されるような)、充填されたフィルムの0.42gが、不溶解性粒子の重量を補償するように、DCA内に溶解されなければならない。
0.4g/((100-5)/100)=0.42g
【0105】
機械的特性
機械的特性は、張力試験DIN EN ISO 572-1および-3(試験片タイプ2)に従い、100mm×15mmのフィルムストリップにおいて決定された。
【0106】
収縮
熱収縮は、10cmの縁長さを有する四角のフィルムサンプルで決定された。サンプルは切断され、一方の縁が機械方向に平行で、および一方の縁が機械方向に垂直であった。サンプルは、正確に測定され(縁長さL0が各機械方向TDおよびMDで決定された。すなわち、L0 TDおよびL0 MD)、および対流式オーブン内で、定まった収縮温度(ここでは150℃)で、15分アニールされた。サンプルは、取り出され、および室温で正確に測定された(縁長さLTDおよびLMD)。収縮は式から計算された。
【0107】
収縮[%]MD=100×(L0 MD-LMD)/L0 MD、または
収縮[%]TD=100×(L0 TD-LTD)/L0 TD
【0108】
膨張
熱膨張は、10cmの縁長さを有する四角のフィルムサンプルで決定された。サンプルは、正確に測定され(縁長さL0)、対流式オーブン内で、100℃で、15分アニールされ、それから室温で正確に測定された(縁長さL)。膨張は式
膨張[%]=100×(L-L0)/L0
から起因し、および、フィルム上の各方向において別々に決定された。
【0109】
UV安定性
UV安定性およびUTS値は、曝露時間が1000hでなく、2000hであったことを除き、DE69731750(国際公開第98/06575号の独国)の第8頁内のような初期値の%で決定され、および特定された。
【0110】
耐炎性
30×30cm片のフィルムが角に2つのクリップで留められ、および垂直に吊るされた。一般に、吊るしている点で、フィルムの片を動かす、空気移動がないことが確実にされなければならない。上からわずかな空気は容認できる。フィルム片は、それから、下側の中心に下からの炎に曝された。火炎処理のため、市販のたばこ用ライター、またはより良くはブンゼンバーナが使用される。火炎は1cmより長く、かつ3cm未満としなければならない。火炎は、これが着火火炎なしに燃焼するように継続するまで、フィルムに十分長く保持された(少なくとも3秒)。それによって、火炎は、最大で5秒間、最大限に保持され、その後、燃焼および収縮が試験された。4つのそのような着火プロセスが実行された。
【0111】
ここで与える実施例において、耐炎性は、以下の等級で評価された。
1=フィルムが4着火の間に着火し、および3秒超燃焼されなかった。
2=フィルムが着火され、および15秒未満後消され、およびフィルム表面の30%超が残った。
3=フィルムが着火され、および20秒未満後消され、およびフィルム表面の30%超が残った。
4=フィルムが着火され、および40秒未満後消され、およびフィルム表面の30%超が残った。
5=フィルムが着火され、および40秒未満後消され、およびフィルム表面の10%超が残った。
6=フィルムが着火され、および40秒超燃焼され、または、フィルム表面の10%未満が消火の後残った。
【0112】
波長の関数としての屈折率の決定
フィルム基材、および、波長の関数としてベース材料の屈折率以外の屈折率を有する塗布されたコーティングまたは共押出(coex)層の屈折率を決定するため、分光エリプソメトリが使用される。この方法を支持する背景情報および理論は、例えば、次の刊行物に見出され得る。J.A.Woollam et al,Overview of variable angle spectroscopic ellipsometry (VASE):I.Basic theory and typical applications,Proc.SPIE Vol.CR72,p.3-28,Optical Metrology,Ghanim A.Al-Jumaily; Ed.
【0113】
最初のものは、コーティング、または改質共押出層のないベースフィルムを分析する。フィルムの背面反射を押さえるため、背面(分析されない側)は、微細粒子径(例えば、P1000)を有する研磨布紙によって粗らされる。それから、シートは、回転補償装置を装備する分光エリプソメータ、例えば、J.A.Woollam Co.,IncのM-2000で測定される。サンプルフィルムの機械方向は、光ビームに平行である。測定された波長は、370から1000nmの範囲であり、測定角度は65、70、および75°である。
【0114】
それから、エリプソメトリックのデータΨ、およびΔは、実験データに合うようにモデル化される。コーシーモデルが本件において適切である。
【0115】
【数1】
(波長λ ミクロン)
n(λ)は波長λにおける屈折率である。パラメータA、BおよびCは、データが測定されたスペクトルΨおよびΔに可能な限り合うように、変更される。
【0116】
モデルの質をテストするために、MSE(平均二乗誤差)の値が含まれ得、モデルを測定されたデータ(Ψ(λ)およびΔ(λ))と比較する。MSEは最小化されるべきである。
【0117】
【数2】
n=波長の数
m=数パラメータフィット
N=cos(2Ψ)
C=sin(2Ψ)cos(Δ)
S=sin(2Ψ)sin(Δ)[1]
【0118】
ベースフィルムのための結果のコーシーパラメータA、BおよびCは、波長の関数として、屈折率nの計算を可能とし、370から1000nmの測定範囲内で有効である。
【0119】
コーティング、または改質coex層は同様に分析され得る。ベースフィルムのパラメータは、既に分析され、かつよく知られており、および追加の層のモデリングの間一定を維持されるべきである。また、コーティング、または共押出層の屈折率を決定するため、フィルムの背面は上記のように粗らされなければならない。再度、あるものが、追加の層の波長に依存する屈折率を記載するようにコーシーモデルを使用し得る。今、層は、モデリングにおいて考慮されなければならい基板上にある。層の厚さは、得られるスペクトルに影響を及ぼし、およびモデリングプロセスにも含まれなければならない。