IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝エレベータ株式会社の特許一覧

特許7004407据付治具を備えた巻上機ユニット及びその据付方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】据付治具を備えた巻上機ユニット及びその据付方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 11/08 20060101AFI20220114BHJP
   B66B 7/00 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
B66B11/08 A
B66B11/08 Z
B66B7/00 M
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2020137061
(22)【出願日】2020-08-14
【審査請求日】2020-08-14
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100211502
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 祥弘
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 勇輝
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-241070(JP,A)
【文献】特開2015-124088(JP,A)
【文献】特開2009-062147(JP,A)
【文献】国際公開第2016/056585(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 11/08
B66B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータを駆動させる巻上機と、
前記巻上機を設置するマシンビーム部材と、
前記マシンビーム部材の端部近傍に設けられ、前記マシンビーム部材と共に前記巻上機を吊り上げるための吊り具を係合する吊元部と、
下端部が前記マシンビーム部材を載置する床面に接されており、前記吊元部の吊り上げにより、前記床面との接点を基点として、前記巻上機を回転させる第一の据付治具と、を具備し、
前記第一の据付治具は、前記マシンビーム部材に固定もしくは係合される回転軸と、該回転軸を挿通する貫通孔を有した支持部と、を備え、前記回転軸が前記マシンビーム部材に固定される場合は、前記回転軸は前記貫通孔を介して前記支持部に係合し、前記回転軸が前記マシンビーム部材に係合される場合は、前記回転軸は前記貫通孔を介して前記支持部に固定もしくは係合して、前記マシンビーム部材における前記吊元部と反対側の端部近傍に設けられることを特徴とする巻上機ユニット。
【請求項2】
前記マシンビーム部材は、前記床面に対して長手方向が略平行な第一のマシンビームであり、
前記第一のマシンビームは、前記巻上機の下部に設けられ、前記巻上機を回転後、壁面もしくは柱に取付可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の巻上機ユニット。
【請求項3】
前記第一のマシンビームの前記吊元部近傍に、
前記第一の据付治具と共に、前記第一のマシンビームを前記床面に対して支持する第二の据付治具を備えることを特徴とする請求項2に記載の巻上機ユニット。
【請求項4】
前記第一の据付治具は、前記支持部の位置を上下に移動可能とする第一の高さ調整機構を設けることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の巻上機ユニット。
【請求項5】
前記第一の据付治具は、前記支持部の位置を上下に移動可能とする第一の高さ調整機構を設け、
前記第二の据付治具は、該第二の据付治具の位置を上下に移動可能とする第二の高さ調整機構を設け、
前記巻上機を回転させる際には、前記第一の高さ調整機構の底面は前記床面に接した状態で、前記支持部は前記床面から離れ、前記第一の高さ調整機構が基点として機能することを特徴とする請求項3に記載の巻上機ユニット。
【請求項6】
前記第一の据付治具は、前記床面に合わせて前記巻上機の平面移動が可能な第一の移動機構を収納可能に設け、
前記第二の据付治具は、前記床面に合わせて前記巻上機の平面移動が可能な第二の移動機構を設け、
前記巻上機を回転させる際には、前記支持部の底面は前記床面に接した状態で、前記第一の移動機構は前記床面よりも上方に位置するよう収納し、前記支持部が基点として機能することを特徴とする請求項3に記載の巻上機ユニット。
【請求項7】
前記第一の据付治具は、前記支持部の位置を上下に移動可能とする第一の高さ調整機構と、床面に合わせて前記巻上機の平面移動が可能な第一の移動機構と、
前記第二の据付治具は、該第二の据付治具の位置を上下に移動可能とする第二の高さ調整機構と、前記床面に合わせて前記巻上機の平面移動が可能な第二の移動機構と、を有し、
前記巻上機を回転させる際には、前記第一の高さ調整機構を伸長させ、前記第一の高さ調整機構の底面は前記第一の移動機構よりも下方に位置し、かつ、前記床面に接した状態で、前記第一の高さ調整機構が基点として機能することを特徴とする請求項3に記載の巻上機ユニット。
【請求項8】
前記マシンビーム部材は、前記床面に略平行な第一のマシンビームと前記第一のマシンビームに略垂直な第二のマシンビームとが組み合わせて構成されており、
前記第一のマシンビームは、前記巻上機の下部に設けられ、
前記第二のマシンビームは、前記第一のマシンビームの一の端部近傍に垂直方向に設けられ、前記巻上機を回転後、床面に接して配置可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の巻上機ユニット。
【請求項9】
前記第一のマシンビームの前記吊元部近傍に、
前記第一の据付治具と共に、前記第一のマシンビームを前記床面に対して支持する第二の据付治具を備えることを特徴とする請求項8に記載の巻上機ユニット。
【請求項10】
前記第二のマシンビームの上端部近傍に、
前記巻上機の回転後、下端部は床面に接し、前記第一の据付治具と共に、前記マシンビーム部材を前記床面に対して支持する第三の据付治具を備えることを特徴とする請求項8に記載の巻上機ユニット。
【請求項11】
前記第一のマシンビームの前記吊元部近傍に、前記第一の据付治具と共に、前記第一のマシンビームを前記床面に対して支持する第二の据付治具と、
前記第二のマシンビームの上端部近傍に、前記巻上機の回転後、下端部は床面に接し、前記第一の据付治具と共に、前記マシンビーム部材を前記床面に対して支持する第三の据付治具と、
を備えることを特徴とする請求項8に記載の巻上機ユニット。
【請求項12】
前記第一の据付治具は、前記支持部の位置を上下に移動可能とする第一の高さ調整機構を設けることを特徴とする請求項1、請求項8乃至請求項11のいずれか一項に記載の巻上機ユニット。
【請求項13】
前記第一の据付治具は、前記支持部の位置を上下に移動可能とする第一の高さ調整機構を設け、
前記第二の据付治具は、該第二の据付治具の位置を上下に移動可能とする第二の高さ調整機構を設け、
前記巻上機を回転させる際には、前記第一の高さ調整機構の底面は床面に接した状態で、前記支持部は前記床面から離れ、前記第一の高さ調整機構が基点として機能することを特徴とする請求項9または請求項11に記載の巻上機ユニット。
【請求項14】
前記第一の据付治具は、前記支持部の位置を上下に移動可能とする第一の高さ調整機構を設け、
前記第二の据付治具は、該第二の据付治具の位置を上下に移動可能とする第二の高さ調整機構を設け、
前記第三の据付治具は、前記巻上機の回転後に、前記第三の据付治具の位置を上下に移動可能とする第三の高さ調整機構を設けることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の巻上機ユニット。
【請求項15】
前記第一の据付治具は、前記床面に合わせて前記巻上機の平面移動が可能な第一の移動機構を収納可能に設け、
前記第二の据付治具は、前記床面に合わせて前記巻上機の平面移動が可能な第二の移動機構を設け、
前記巻上機を回転させる際には、前記支持部の底面は前記床面に接した状態で、前記第一の移動機構は前記支持部に収納して、前記支持部が基点として機能することを特徴とする請求項9または請求項11に記載の巻上機ユニット。
【請求項16】
前記第一の据付治具は、前記床面に合わせて前記巻上機の平面移動が可能な第一の移動機構を収納可能に設け、
前記第二の据付治具は、前記床面に合わせて前記巻上機の平面移動が可能な第二の移動機構を設け、
前記第三の据付治具は、前記巻上機の回転後に、前記床面に合わせて前記巻上機の平面移動が可能な第三の移動機構を設けることを特徴とする請求項11に記載の巻上機ユニット。
【請求項17】
前記第一の据付治具は、前記支持部の位置を上下に移動可能とする第一の高さ調整機構と、床面に合わせて前記巻上機の平面移動が可能な第一の移動機構と、
前記第二の据付治具は、位置を上下に移動可能とする第二の高さ調整機構と、前記床面に合わせて前記巻上機の平面移動が可能な第二の移動機構と、を有し、
前記巻上機を回転させる際には、前記第一の高さ調整機構を伸長させ、前記第一の高さ調整機構の底面は前記第一の移動機構よりも下方に位置し、かつ、前記床面に接した状態で、前記第一の高さ調整機構が基点として機能することを特徴とする請求項9または請求項11に記載の巻上機ユニット。
【請求項18】
前記第一の据付治具は、前記支持部の位置を上下に移動可能とする第一の高さ調整機構と、床面に合わせて前記巻上機の平面移動が可能な第一の移動機構と、
前記第二の据付治具は、該第二の据付治具の位置を上下に移動可能とする第二の高さ調整機構と、前記床面に合わせて前記巻上機の平面移動が可能な第二の移動機構と、
前記第三の据付治具は、前記巻上機の回転後に、該第三の据付治具の位置を上下に移動可能とする第三の高さ調整機構と、同様に前記巻上機の回転後に、前記床面に合わせて前記巻上機の平面移動が可能な第三の移動機構を有することを特徴とする請求項10または請求項11に記載の巻上機ユニット。
【請求項19】
前記第一の高さ調整機構は、金属製のジャッキであることを特徴とする請求項4、請求項5、請求項7、請求項12乃至請求項14、請求項17、請求項18のいずれか一項に記載の巻上機ユニット。
【請求項20】
前記第二の高さ調整機構は、金属製のジャッキであることを特徴とする請求項5、請求項7、請求項13、請求項14、請求項17、請求項18のいずれか一項に記載の巻上機ユニット。
【請求項21】
前記第三の高さ調整機構は、金属製のジャッキであることを特徴とする請求項14または請求項18に記載の巻上機ユニット。
【請求項22】
前記第一の移動機構及び前記第二の移動機構は、球体もしくは輪状の回転体であることを特徴とする請求項6、請求項7、請求項15乃至請求項18のいずれか一項に記載の巻上機ユニット。
【請求項23】
前記第三の移動機構は、球体もしくは輪状の回転体であることを特徴とする請求項16または請求項18に記載の巻上機ユニット。
【請求項24】
前記回転体は、ボールローラもしくは車輪であることを特徴とする請求項22または請求項23に記載の巻上機ユニット。
【請求項25】
前記回転軸は、前記マシンビーム部材にあらかじめ設けられた孔部に挿し込み、ブラケットを介して前記マシンビーム部材に支持することを特徴とする請求項1乃至請求項24のいずれか一項に記載の巻上機ユニット。
【請求項26】
機械室を昇降路の側方に設けた、横引き方式のエレベータにおける巻上機ユニットの据付方法であって、
前記巻上機ユニットは、エレベータの駆動機である巻上機と、前記巻上機を設置するマシンビーム部材と、前記マシンビーム部材の端部近傍にある第一の取付位置に設けられ、吊り具を係合できる吊元部と、前記巻上機ユニットの回転の際に基点となる第一の据付治具と、を具備し、
前記第一の据付治具は、前記吊元部に対して反対側の端部近傍に設けられる回転軸と、前記回転軸を挿通する貫通孔を持す支持部と、を有し、
前記第一の据付治具を基点とし、前記吊り具を係合した前記吊元部を引き上げることで、前記巻上機を90°回転させ、前記マシンビーム部材を壁面もしくは柱に取り付けることを特徴とする巻上機ユニットの据付方法。
【請求項27】
前記吊元部の近傍にある第二の取付位置に、前記第一の据付治具と共に、前記マシンビーム部材を床面に対して支持する第二の据付治具を備え、
前記第一の据付治具及び第二の据付治具は、前記床面に合わせて前記巻上機の平面移動が可能な移動機構を有し、
前記巻上機を90°回転させる前に、前記据付治具に設けられた前記移動機構を用いて移動させることで回転動作を開始する位置に配置することを特徴とする請求項26に記載の巻上機ユニットの据付方法。
【請求項28】
前記マシンビーム部材は、床面に略平行な第一のマシンビームと前記第一のマシンビームに略垂直な第二のマシンビームとが組み合わせて構成されており、
前記第一のマシンビームは、前記巻上機の下部に設けられ、
前記第一の据付治具を基点とし、前記吊り具を係合した前記吊元部を引き上げることで、前記巻上機を90°回転させ、前記第一のマシンビームを壁面もしくは柱に、または前記第二のマシンビームを前記床面もしくは梁に取り付けることを特徴とする請求項26または請求項27に記載の巻上機ユニットの据付方法。
【請求項29】
前記第一のマシンビームの吊元部近傍にある第二の取付位置に、第二の据付治具と、
前記第二のマシンビームの上端部近傍にある第三の取付位置に、第三の据付治具と、のいずれか一方もしくは双方に備え、
前記第一の据付治具及び第二の据付治具は、前記床面に合わせて前記巻上機の平面移動が可能な移動機構を有し、
前記第二の取付位置に前記第二の据付治具が備わる場合は、前記巻上機の回転前に、前記据付治具に設けられた前記移動機構を用いて移動させることで前記巻上機を回転動作の開始する位置に配置し、
前記第三の取付位置に前記第二の据付治具が備わる場合は、前記巻上機の回転後に、前記据付治具に設けられた前記移動機構を用いて移動させることで前記巻上機を据付位置に配置することを特徴とする請求項28に記載の巻上機ユニットの据付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、据付治具を備えた巻上機ユニット及びその据付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータは、昇降路内で乗りかごを移動させることにより、任意の階床に乗客や荷物を輸送する。このようなエレベータでは、駆動機である巻上機が必要であり、その据付方法として、例えば、昇降路とは別に設けた機械室に巻上機を備えるタイプと、機械室は設けず昇降路内に巻上機を備えるマシンルームレスタイプがある。
【0003】
天井方向へのスペースの制約から機械室を昇降路の直上部に設けることができない場合、昇降路の側方に設けた機械室に巻上機を据え付ける、いわゆる横引き方式を用いることがある。
【0004】
横引き方式の場合、横引き方式専用の巻上機が必要となるため、巻上機を構成する機材は、通常とは異なる製造を行う必要があり、手間がかかる。この難点を解消するため、通常の巻上機を活用できるよう、据付方法を工夫し、元の巻上機の形態から90°回転させ、垂直に据え付けたものがある。
【0005】
ただし、機材出荷時に所定の形態に傾けることはできないため、現場作業時に限られたスペース内で回転させて据付位置に配置する必要がある。従来、マシンビームに取り付けた巻上機、いわゆる巻上機ユニットを取り付ける場合、図23に示すように、マシンビームの両端を吊元部110として、吊り具である作業ロープ120を吊元部110に係合し、巻上機ユニット100全体を回転させて据え付けている。バランスを崩さないよう配慮してIからIIIの三つのステップで作業を行い、床面130に対して巻上機ユニット100が元の形態からおよそ垂直となるように壁面140に取り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平2-261788号公報
【文献】特許第5791206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この場合は、マシンビームの両端を含めた少なくとも二か所に吊元を設け、作業ロープ等の吊り具を介して持ち上げる必要があるため、その作業ロープを調整する作業員二人がタイミングを合わせ、同時に作業を進める必要があり、また、二か所を吊元として用いるために作業ロープを懸架するスペースを十分に確保する必要がある。
【0008】
そこで本発明では、必要とする人手を従来よりも少なくするべく、吊元は一か所であっても作業可能であり、回転させて所定の設置位置まで適切に配置できる、据付治具を付した巻上機ユニットを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の巻上機ユニットは、エレベータを駆動させる巻上機と、前記巻上機を設置するマシンビーム部材と、前記マシンビーム部材の端部近傍に設けられ、前記マシンビーム部材と共に前記巻上機を吊り上げるための吊り具を係合する吊元部と、下端部が前記マシンビーム部材を載置する床面に接されており、前記吊元部の吊り上げにより、前記床面との接点を基点として、前記巻上機を回転させる第一の据付治具と、を具備し、前記第一の据付治具は、前記マシンビーム部材に固定もしくは係合される回転軸と、該回転軸を挿通する貫通孔を有した支持部と、を備え、前記回転軸が前記マシンビーム部材に固定される場合は、前記回転軸は前記貫通孔を介して前記支持部に係合し、前記回転軸が前記マシンビーム部材に係合される場合は、前記回転軸は前記貫通孔を介して前記支持部に固定もしくは係合して、前記マシンビーム部材における前記吊元部と反対側の端部近傍に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態の横引き方式のエレベータの全体構成を示す図である。
図2図2は、巻上機ユニットの正面図である。
図3図3は、図2の巻上機ユニットの右側面図である。
図4図4は、据付治具の構造を示す斜視図である。
図5図5は、ジャッキの構造を示す正面図である。
図6図6は、据付治具の構造につき、(a)ジャッキの格納時と(b)ジャッキアップ時を示す正面図である。
図7図7は、据付治具の構造につき、(a)ジャッキの格納時と(b)ジャッキアップ時を示す側面図である。
図8図8は、他の構造を有する据付治具の斜視図(変形例1)である。
図9図9は、他の構造を有する据付治具の斜視図(変形例2)である。
図10図10は、他の構造を有する据付治具の斜視図(変形例3)である。
図11図11は、回転軸とマシンビームとの関係を示す斜視図である。
図12図12は、回転軸とマシンビームとの関係を示す断面図である。
図13図13は、回転軸と据付治具との関係を示す斜視図である。
図14図14は、回転軸と据付治具との関係を示す断面図である。
図15図15は、据付治具が設けられる位置を示す正面図である。
図16図16は、据付治具が設けられる位置を示す正面図(2)である。
図17図17は、巻上機ユニットを回転する際の作業の流れを示した図である。
図18図18は、巻上機ユニットを回転する際の他の作業の流れを示した図(2)である。
図19図19は、他の構成を有する巻上機ユニットの正面図(2)である。
図20図20は、図19の据付治具周辺を説明する拡大正面図である。
図21図21は、他の構成を有する巻上機ユニットの正面図(3)である。
図22図22は、図21の据付治具周辺を説明する拡大正面図である。
図23図23は、従来の巻上機ユニットを回転する際の作業手順を示す例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態の据付治具を備えた巻上機ユニット及びその据付方法について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本実施形態における横引き方式のエレベータの全体構成を示す図であり、元の巻上機ユニットの形態から90°時計回りに回転させ、機械室の床面に対して巻上機ユニットを垂直にして、左側の壁面に据え付けた状態を示している。
【0013】
昇降路1の側方に連結する形で機械室2を備え、この中に、巻上機ユニット10が設けられている。昇降路1内には、乗りかご3とカウンターウェイト4が収容され、それぞれがメインロープ5に繋がれる。メインロープ5はそらせシーブ6を介して巻上機ユニット10を構成する巻上機11のトラクションシーブ12に懸架される。巻上機11の駆動力によってトラクションシーブ12が回転することで、メインロープ5が動き、図示せぬガイドレールに沿って乗りかご3とカウンターウェイト4が昇降する。
【0014】
図2は巻上機ユニット10の正面図であり、図3はその右側面図である。巻上機ユニット10は、巻上機11、マシンビーム14、サブマシンビーム16、据付治具20とから構成される。
【0015】
巻上機11は、マシンビーム14の上面に載置され、巻上機11の下部に設けられたマシンビーム締結部13にボルトを挿入してマシンビーム14に締結する。ここで、巻上機11のトラクションシーブ12にメインロープ5を懸架する際、そのメインロープ5がマシンビーム14に接触しないよう、トラクションシーブ12の位置はマシンビーム14よりもメインロープ5が架かる方向、すなわち図3において左方向にせり出している。
【0016】
壁側に据え付けるマシンビームの端部、すなわち図2においてマシンビーム14の左側の端部には、巻上機ユニット10を吊り上げる際に用いる吊元部15が設けられている。なお、本実施形態では、吊元部15は、楊重作業に用いるロープ(以下、作業ロープと称す)を通す貫通孔で構成しているが、貫通孔の代わりに、吊り具を構成するフック部分を取り付けるアイボルト等であってもよい。吊元部15の反対側にあたるマシンビーム14のもう一方の端部近傍には、マシンビーム14に対して垂直にサブマシンビーム16が設けられ、ボルトを用いてマシンビーム14に連結されている。巻上機ユニット10は、マシンビーム14とサブマシンビーム16とを直接連結させるとともに、ジョイント17を介して別のボルトを挿入し、マシンビーム14とジョイント17及びサブマシンビーム16とジョイント17とをそれぞれ締結させることで、L字型の支持台を構成している。ジョイント17によって、マシンビーム14とサブマシンビーム16の接続がより強固なものとなる。ただし、図2ではマシンビーム14における巻上機11との設置面に対しサブマシンビーム16を乗せるようにして固設しているが、後述する図16のように、サブマシンビーム16の端部が床面18に接するようにマシンビーム14の端部にサブマシンビーム16の長手方向の面を横から連結しても構わない。L字型の支持台には、回転軸30(図3参照)を三か所に突設し、それぞれの回転軸30においてL字型の支持台を挟んだ両端に据付治具20を設けている。
【0017】
ここで、図4から図7を用いて、マシンビーム14及びサブマシンビーム16に備え付けられる据付治具20について説明する。なお、マシンビーム14に取り付けられる据付治具20とサブマシンビーム16に取り付けられる据付治具20とは同様の構造であるため、ここではマシンビーム14に取り付けられる据付治具20を例にとって説明し、サブマシンビーム16側の説明は省略するものとする。
【0018】
据付治具20は、図4に示すように、支持部21、ボールローラ23、支持部21下面側に開口する凹部に収納されたジャッキ24で構成されている。
【0019】
支持部21は、回転軸30を挿入する貫通孔22を有している。
【0020】
ボールローラ23は、移動機構として支持部21の下部に設けられており、支持部21の底面より下面に突出している。本実施形態内では、移動機構としてボールローラ23を用いているが、球体もしくは輪状の回転体であれば良く、車輪等の他の形状であっても構わない。
【0021】
ジャッキ24は、高さ調整機構として図5に示す機械式のパンタグラフの形状である。ジャッキ24は、鉄鋼部材25が組み合わされ、さらに、ねじ軸26、基台28とで構成される。組み合わされた鉄鋼部材25の間に挿入したねじ軸26の一端にはつまみ27を有し、ねじ軸26の周方向につまみ27をひねることで、ねじ軸26が周方向に正の方向(時計回り)もしくは逆の方向(反時計回り)に回転する。ねじ軸26の回転機構により、ジャッキ24の高さは調整可能となる。
【0022】
次に、図6図7を用いて、ジャッキ24の伸縮状態に応じた据付治具20の機能を説明する。ジャッキ24の位置により、据付治具20の果たす役割が異なる。
【0023】
図6は据付治具20の正面図、図7はその側面図であり、18は床面を示す。床面18は例えば、機械室2の床面などである。図6(a)、図7(a)はともに、はジャッキ24を支持部に収納してある状態を示し、図6(b)、図7(b)はジャッキ24を伸ばして支持部21ないしボールローラ23よりも床面側に突出した状態を表す。
【0024】
ジャッキ24は通常、支持部21に収納され、支持部21の底面よりもジャッキ24の基台28の底面が上部に位置する(a)の状態である。ボールローラ23が床面に接触しているため、床面18に合わせた平面移動が可能である。
【0025】
つまみ27を回すとジャッキ24の高さが調整できる。そのため、ジャッキアップする方向につまみ27を回すと、ジャッキ24の高さが伸び、基台28が床面18側に向かって下がっていく。つまみ27は例えば、手動で回すことができる。
【0026】
基台28が床面18に接したら、接した箇所から支持部21を押し上げ、ボールローラ23の設置面を浮かした(b)の状態となる。それまでボールローラ23が床面18と接しているために受けていた巻上機ユニット10の荷重はジャッキ24へと移行し、ジャッキ24が重力方向にかかる荷重を受ける。
【0027】
(据付治具の変形例)
ここまでは、ボールローラ23とジャッキ24にそれぞれ別の部材を用いる構成を説明したが、据付治具20は、図8のように移動機構と高さ調整機構を兼ね備えた、伸縮可能な回転体29を有する構造(変形例1)であってもよい。この場合、平面移動が必要なときには図のようにボールローラ23が支持部21よりも下部に突出してボールローラが床面18に接触した状態とし、平面移動を行わないときは支持部21内に収納させる。
【0028】
他にも、図9のように、ボールローラ23を有さない構造であり、支持部21とジャッキ24を備える構造(変形例2)、もしくは、図10のように、支持部21のみを有する構造(変形例3)であっても構わない。ボールローラ23を有さない場合は、回転後の据付位置への巻上機ユニット10の平行移動が困難であるため、巻上機ユニット10を回転させることで据付位置が決定するもの、即ち、平行移動が不要な場合であれば有効である。
【0029】
次に、部品ごとの接続関係を説明する。前提として、マシンビーム14においては、据付治具20が具備される位置にはあらかじめ穴が設けられており、その図示せぬ穴に回転軸30(図3参照)を挿し込み、据付治具20を取り付けることとする。一方、据付治具20においては、前述した貫通孔22に回転軸30を挿通し、取り付ける。
【0030】
(据付治具の取付方法)
ここで、本実施形態に適用可能な回転軸30の取付方法を説明する。第一の方法は、回転軸30において、マシンビーム14との接続部は固定し、据付治具20との接続部は回動可能に係合する方法である。第二の方法は、マシンビーム14との接続部は回動可能に係合し、据付治具20との接続部は固定する方法である。そして第三の方法は、マシンビーム14との接続部及び据付治具20との接続部いずれも回動可能に係合する方法である。軸と部品とが固定される場合は、軸止め固定すなわち軸止し、軸と部品とが係合される場合は、周方向に摺動可能に軸支することとなる。前述の第一から第三の方法に示したように、回転軸30において、マシンビーム14と据付治具20の少なくとも一方が軸支していれば、もう一方は軸止であっても、軸支であっても構わない。
【0031】
以下、マシンビーム14側を回転軸30に固定し、据付治具20側は回転軸30が回動可能となるよう係合している、第一の方法を用いる場合を例として説明する。
【0032】
まずは、回転軸30とマシンビーム14との接続関係について説明する。図11は、回転軸30とマシンビーム14と間の部材等との位置関係を示した斜視図で、図12はその断面図である。
【0033】
マシンビーム14に設けられた孔部に回転軸30を挿し込み、回転軸30の外周に円筒型の鉄鋼部材であるブラケット31を設ける。ボルト33は、回転軸30を貫通し、ブラケット31と回転軸30とを締結する。
【0034】
ブラケット31のさらに外周にはドーナツ状のプレート32を設け、そのプレート32とブラケット31及びプレート32とマシンビーム14とは図示せぬボルトもしくは溶接等で固定する。
【0035】
これにより、マシンビーム14に軸止した回転軸30は、マシンビーム14の回転動作に連動する。
【0036】
次に、回転軸30と据付治具20との接続関係について説明する。図13は、回転軸30と据付治具20と間の部材等との位置関係を示した斜視図で、図14はその断面図である。図11に示した回転軸30とマシンビーム14との接続関係と同様に、ブラケット31と回転軸30とをボルト33で締結する。さらにプレート32の代わりにベアリング34を用いて、ベアリング34の内輪34aとブラケット31、ベアリング34の外輪34bと据付治具20とを図示せぬボルト等で取り付ける。ベアリング34の内輪34aと外輪34bとの間には、球状の転動体34cを複数個有し、転動体34cの回転により回転軸30の周方向への回転を可能とする機能を備える。
【0037】
貫通孔22に回転軸30を挿入し係合することで、マシンビーム14の所定位置に軸支することが可能となり、さらに、ベアリング34の働きにより、支持部21は、回転軸30からの回転運動には連動することなく、回転軸30に対して摺動可能となっている。
【0038】
なお、本実施形態では、マシンビーム14に固定した回転軸30の、両端部付近のそれぞれに据付治具20を取り付けているが、回転軸30とマシンビーム14とが接続している二か所の間に据付治具20を一つ設けるとしても構わない。
【0039】
ここまで、回転軸30とマシンビーム14とを固定し、回転軸30と据付治具20とを係合する場合について説明したが、その他の接続方法を用いる場合でも、プレート32とベアリング34とを使い分けることにより、実現可能である。第二の方法の場合は、回転軸30とマシンビーム14との接続にはベアリング34、回転軸30と据付治具20との接続にはプレート32をそれぞれ有する機構を設ける。また、第三の方法の場合は、回転軸30とマシンビーム14、回転軸30と据付治具20のいずれも接続箇所のそれぞれにベアリング34を有する機構を設ける。このようにして、ベアリング34を含める機構を用いることで、その箇所は摺動可能に軸支できる。
【0040】
以上のようにして巻上機ユニット10が構成される。
【0041】
(巻上機ユニット10の回転方法)
次に、巻上機ユニット10を回転させる際の手順を説明する。
【0042】
図15は、巻上機ユニット10において据付治具20が具備される位置X、Y、Zを示した図である。据付治具20は、正面から見てマシンビーム14の左右の端部近傍にそれぞれ一か所、サブマシンビーム16の上端部に一か所設けられている。ただし、マシンビーム14の巻上機11設置面に対しサブマシンビーム16を乗せている場合ではなく、図16に示すように、サブマシンビーム16の端部が床面18に接するようにマシンビーム14の端部に横から連結している場合は、サブマシンビームの端部近傍のそれぞれに一か所ずつ据付治具20を設けても良い。以下、据付治具20の各取付位置による機能の違いを示すべく、位置Xに備え付けられた据付治具20は20X、位置Yに備え付けられた据付治具20は20Y、位置Zに備え付けられた据付治具20は20Zと称す。以下、据付治具20の形状としては図4図8図9図10のうち、図4に示す据付治具20を取り付けた巻上機ユニット10を用いる場合について説明する。回転軸30との接続には前述の第一の方法を用いることとする。
【0043】
以下、図17を用いて、巻上機ユニット10を90°回転させる作業手順を説明する。
【0044】
巻上機ユニット10は、マシンビーム14が床面18に対して略平行となるように載置されている。マシンビーム14に設けられた据付治具20の下端部は床面18に接しており、吊元部15が吊り上げられると、据付治具20の下端部と床面18との接点が基点となり、巻上機ユニット10を回転させることができる。この回転は、以下に示すステップI~IVによりなされる。
【0045】
ステップIでは、まずはマシンビーム14の据付治具20X、20Yのつまみ27を調整し、ボールローラ23が床面18に接触しない位置までジャッキアップする。
【0046】
また、マシンビーム14の吊元部15に巻上機ユニット10を吊り上げるための作業ロープ19を通す。作業ロープ19は、チェーンブロックと玉掛けロープから成る。そして機械室上部、天井に設けられている図示せぬ吊元を介した作業ロープ19を作業員が保持し、作業ロープ19のチェーン部分の長さを少しずつ短くし、巻上機ユニット10の牽引を開始する。
【0047】
このとき、ステップIIに示すように、作業ロープ19を牽引することによって、据付治具20Xを基点に巻上機ユニット10を元の位置から傾け、吊元部15の位置は徐々に上がり、時計回りに回転させることができる。
【0048】
作業者が、作業ロープ19を牽引し、天井から吊元までの作業ロープ19の長さを短くしていくことで、ステップIIからステップIIIの状態にかけて、サブマシンビーム16が床面18と平行に近づき、マシンビーム14は床面18に対して垂直に近づく。
【0049】
ステップIIIのように、巻上機ユニット10が元の位置からおよそ垂直になったところで、牽引を止め、基点とした据付治具20Xのジャッキ24の高さに合わせて、サブマシンビーム16に取り付けてある据付治具20Zのつまみ27を調整し、収納されているジャッキ24を出す。これにより、荷重は据付治具20Xのみにかかっている状態から、据付治具20X、20Zの双方にかかるようになり、ステップIVのように巻上機ユニット10が安定する。
【0050】
その後、据付治具20Xと20Zのジャッキ24を支持部21に収納される位置に調整し、それぞれのボールローラ23と床面18とを接触させる。巻上機ユニット10を回転させた一人の作業員は、その後、吊元部15にかかる作業ロープ19を外し、ボールローラ23により必要に応じて巻上機ユニット10を正確な据付位置まで平行移動させる。そしてマシンビーム14は機械室2の内壁面に、サブマシンビーム16は機械室2の床面18にそれぞれ取り付ける。なお、据付位置によっては、内壁面とは別に設けられた柱にマシンビーム14を据え付けてもよく、床面18とは別に設けられた梁にサブマシンビーム16を据え付けてもよい。
【0051】
以上のようにI~IVのステップで作業を行うことで、巻上機ユニット10を時計回りに回転させ、所定位置に据え付けることができる。
【0052】
他にも、図18に示すように、ステップIの段階であらかじめすべての据付治具20X、20Y、20Zのそれぞれが同じ高さだけ下面側に出るようにジャッキアップし、その状態で回転させてサブマシンビーム16が床面18とおよそ平行になった後、すべてのジャッキ24を元の状態に戻すといった順序でも構わない。ジャッキ24が出た状態については、図6(b)の形状を参照されたい。
【0053】
据付治具20Y及び20Zは、巻上機ユニット10の回転前もしくは回転後の平面移動に用いるため、回転体を有する図4図8の機構が適しているが、据付治具20Xは、図9のようにボールローラ23を持たない構成、あるいは、図10のように、ジャッキ24もボールローラ23も持たない構成であってもよい。高さ調整機構としてジャッキ24を有さない場合は、巻上機ユニット10を回転させるために、据付治具20の支持部21の下面が、マシンビーム14の底面よりも下部になるように設ける。
【0054】
なお、本実施形態では、巻上機ユニットの三か所に据付治具20を取り付けているが、少なくとも位置Xに据付治具20を設けていればよい。その上でさらにサブマシンビーム16を持たない形状、つまり図19図21に示す巻上機ユニットの形状でも構わない。この場合は、マシンビーム14の一端には吊元部15を、他端には据付治具20を設けることとなる。
【0055】
図19及び図21は、マシンビーム14の吊元部15の反対側の端部近傍に据付治具20を有する巻上機ユニットの構造である。また、図20は、図19の据付治具20周辺を説明する拡大正面図、図22は、同様に図21の据付治具20周辺を説明する拡大正面図である。据付治具として、図19図20は、支持部21とボールローラ23とジャッキ24とを有するもの、もしくは、図8に示した支持部21と伸縮可能な回転体29とを有するものを示しており、図21図22は、図10に示した支持部21単体、もしくは図9に示した支持部21とジャッキ24とを有するものを示している。これら形状の場合、据付治具20を基点に時計回りに回転させることができる。
【0056】
図2及び図16に示すようなマシンビーム14とサブマシンビーム16とを組み合わせた構成、並びに、図19に示すようなマシンビーム14のみによる構成につき、マシンビーム部材と呼ぶことができる。マシンビーム部材について、巻上機11を支持する構成であれば、図に示す構成である必要は無く、例えば、サブマシンビームを複数用いてもよい。
【0057】
以上に述べたように、本実施形態の据付治具20を備えた巻上機ユニット10及びその据付方法によれば、巻上機ユニット10を時計回りに90°回転させて据え付ける場合、マシンビーム14とサブマシンビーム16との接合部に、高さ調整機構と移動機構を有する据付治具20を設けることにより、ジャッキ24を回転の基点として巻上機ユニット10を時計回りに回転させることができるとともに、必要に応じてボールローラ23を用いて据付位置まで容易に移動させることができる。これによれば、限られたスペース内での据付において、据付時の作業性を向上させつつ、巻上機ユニット10を適正に回転させることができる。
【0058】
また、吊り上げる際に用いる必要な吊元部15の必要数は一つであり、これまで最低二人で同時に行わなければならなかった巻上機ユニット10の吊り上げ作業を、作業員一人でも行うことができるため作業性が向上する。したがって、据付に係る作業人員を減らすことが可能となる。もしくは全体の安全性をより確保しつつ作業を進めることができるため作業時間短縮を実現することが可能となる。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、そのほかの様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1…昇降路、2…機械室、3…乗りかご、4…カウンターウェイト、5…メインロープ、6…そらせシーブ、10…巻上機ユニット、11…巻上機、12…トラクションシーブ、13…マシンビーム締結部、14…マシンビーム(第一のマシンビーム)、15…吊元部、16…サブマシンビーム(第二のマシンビーム)、17…ジョイント、18…床面、19…作業ロープ、20・20X・20Y・20Z…据付治具、21…支持部、22…貫通孔、23…ボールローラ、24…ジャッキ、25…鉄鋼部材、26…ねじ軸、27…つまみ、28…基台、29…伸縮可能な回転体、30…回転軸、31…ブラケット、32…プレート、33…ボルト、34…ベアリング、34a…内輪、34b…外輪、34c…転動体、100…巻上機ユニット(従来例)、110…吊元部(従来例)、120…作業ロープ、130…床面、140…壁面
【要約】
【課題】
エレベータの据付方法として、昇降路の側方に設けた機械室に巻上機を据え付ける、横引き方式を用いる場合、専用の巻上機が必要となる。そこで、通常の巻上機を活用し、回転させて所定の設置位置まで適切に配置できる、据付治具を付した巻上機ユニットを提案する。
【解決手段】
巻上機ユニットは、巻上機と、巻上機を支持するマシンビームと、マシンビームの長手方向の一の端部近傍に設けられ、吊り具を係合する吊元部と、吊元部と反対側の端部近傍に設けられ、マシンビームに固定もしくは係合される回転軸と、回転軸を挿通する貫通孔を持す支持部を有し、回転軸がマシンビームに固定される場合は支持部に係合し、回転軸がマシンビームに係合される場合は支持部に固定もしくは係合する据付治具と、を具備し、吊元部を牽引して巻上機を回転させる場合、据付治具は、マシンビームの底面よりも下方に一部が位置し、基点として機能し、巻上機を回転させて据え付けられる。
【選択図】図17
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23