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特許7004409エレベータ統括制御装置及び割当てかご決定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】エレベータ統括制御装置及び割当てかご決定方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/18 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
B66B1/18 N
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020151134
(22)【出願日】2020-09-09
【審査請求日】2020-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】根本 竜太郎
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-197373(JP,A)
【文献】特開2016-084195(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0203938(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102105378(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0031332(KR,A)
【文献】国際公開第2017/090179(WO,A1)
【文献】特開2015-067432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗場に向かう際に利用者の個人情報を照合して、許可された利用者に対して前記乗場への入場を許可すると共に、入場を許可された利用者に対して割当てられたかご情報を報知するセキュリティゲートと、前記エレベータの乗場に設置され、前記セキュリティゲートを通過した利用者の行先階登録を受付ける乗場行先呼び登録装置と、にそれぞれ接続され、
制御対象となる乗りかごから、乗りかごの運行状況を認識するために必要なかご情報を受信する運行状況認識部と、
前記セキュリティゲートで照合された個人情報から当該利用者の出発階、行先階、利用者の属性、認証セキュリティゲート番号を含む認証情報を受信する認証情報認識部と、
前記乗場行先呼び登録装置から出発階、行先階、利用者の属性、及び当該乗場行先呼び登録装置の番号を受信する乗場行先呼び認識部と、
前記乗場行先呼び認識部で任意の単位時間当たりに登録された呼びの個数をカウントする乗場行先呼び登録個数カウント部と、
前記乗場行先呼び登録個数カウント部によるカウント結果に応じて、各エレベータの乗りかごに同時に割当てられる許容人数を変更する同一かご割当て許容人数変更部と、
前記かご情報、前記認証情報及び前記同一かご割当て許容人数変更部からの情報に基づき、割当てかごが許容人数以内になるように前記利用者への割当てかごを決定する乗場行先呼び割当てかご決定部と、
を備えるエレベータ統括制御装置。
【請求項2】
前記同一かご割当て許容人数変更部が決定した許容人数を曜日毎、時間帯毎に記憶して、一定期間の平均値により曜日毎、時間帯毎の同一かご割当て許容人数を決定する同一かご割当て許容人数学習部を備え、
前記同一かご割当て許容人数変更部は、前記同一かご割当て許容人数学習部の学習結果に基づき、各時間帯の同一かご割当て許容人数の初期値を決定する、
請求項1に記載のエレベータ統括制御装置。
【請求項3】
前記乗場行先呼び登録個数カウント部によるカウント結果に基づき、単位時間に一定値以上の個数の乗場行先呼びが登録されていると認識した場合、前記エレベータの乗場が混雑していると判定する乗場混雑状況検知部と、
前記乗場混雑状況検知部の判定結果を前記セキュリティゲートに出力する乗場混雑状況出力部と、を更に備え、
前記乗場行先呼び割当てかご決定部は、前記乗場混雑状況検知部により乗場が混雑していると判定された場合、当該乗場行先呼びに対する割当てを実施しないように決定する、
請求項1又は2に記載のエレベータ統括制御装置。
【請求項4】
前記乗場行先呼び登録装置で登録された目的階情報を記憶し、目的階毎に乗場行先呼びの回数をカウントする目的階別乗場行先呼び登録回数カウント部と、
前記目的階別乗場行先呼び登録回数カウント部のカウント結果に基づき、乗場行先呼び登録装置による再登録が事前に設定した閾値よりも大きい場合には、前記セキュリティゲートから前記エレベータの乗場まで利用者が移動する予測移動時間を長く設定する利用者予測移動時間変更部と、を更に備え、
前記乗場行先呼び割当てかご決定部は、前記利用者予測移動時間変更部からの情報を加味して、前記利用者が割当てかごの前に移動した後に到着するかごの中から割当てかごを決定する、
請求項1から3の何れか1項に記載のエレベータ統括制御装置。
【請求項5】
前記乗場行先呼び登録装置は、個人情報認証機能を有し、前記利用者が前記乗場行先呼び登録装置から再度個人認証を行うことで乗場行先呼び登録を行う場合、
前記セキュリティゲートで認証した個人情報を記憶し、個人情報毎に割当てかご情報を保存するセキュリティゲート認証時割当てかご記憶部と、
前記セキュリティゲート認証時割当てかご記憶部からの情報と、前記乗場行先呼び登録装置の認証結果の情報とに基づき、割当てかご毎に乗場行先呼び登録装置で再登録された回数をカウントする割当てかご毎再登録数カウント部と、
前記割当てかご毎再登録数カウント部のカウント結果が予め設定した閾値よりも多い場合には、前記セキュリティゲートから前記乗りかごの利用者が移動する予測移動時間を長く設定するかご別利用者予測移動時間変更部とを備え、
前記乗場行先呼び割当てかご決定部は、かご別予測移動時間変更部からの情報を加味して、前記乗りかごを割当てられた利用者が割当てかごの前に移動した後に到着する乗りかごの中から割当てかごを決定する、
請求項1から4の何れか1項に記載のエレベータ統括制御装置。
【請求項6】
前記乗場行先呼び登録装置は、個人情報認証機能を有し、前記利用者が前記乗場行先呼び登録装置から再度個人認証を行うことで乗場行先呼び登録を行う場合、
前記乗場行先呼び登録装置で認証した個人情報を記憶し、個人情報毎に回数をカウントする個人別乗場行先呼び登録回数カウント部と、
前記個人別乗場行先呼び登録回数カウント部からの情報が、前記乗場行先呼び登録装置による再登録が事前設定した閾値よりも多い場合は、セキュリティゲートから前記乗場まで前記利用者が移動する予測到着時間を長く設定する個人別予測移動時間変更部と、を備え、
前記乗場行先呼び割当てかご決定部は、個人別予測移動時間変更部からの情報を加味して、前記乗りかごを割当てられた利用者が割当てかごの前に移動した後に到着するかごの中から割当てかごを決定する、
請求項1から5の何れか1項に記載のエレベータ統括制御装置。
【請求項7】
エレベータの乗場に向かう際に利用者の個人情報を照合して、許可された利用者に対して前記乗場への入場を許可すると共に、入場を許可された利用者に対して割当てられたかご情報を報知するセキュリティゲートと、前記エレベータの乗場に設置され、前記セキュリティゲートを通過した利用者の行先階登録を受け付ける乗場行先呼び登録装置と、にそれぞれ接続されたエレベータ統括制御装置が実施する割当てかご決定方法であって、
前記セキュリティゲートを通過した利用者により前記乗場行先呼び登録装置から呼び登録がされた場合を割当てかごへの乗り遅れ発生と捉えてその状況を分析し、
分析の結果、かごの割当て許可人数の多少、前記セキュリティゲートから割当てかごまでの平面的な予測移動時間の少なくとも何れかを調整して、割当てかごを決定する、
割当てかご決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ統括制御装置及び割当てかご決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗場へ向かう通路にセキュリティゲートを設け、セキュリティゲート通過時に行先呼びを登録する行先呼び登録装置を備えた行先階登録システムが知られている。このような行先階登録システムでは、呼びが登録された地点からエレベータの乗りかごまでの間に平面的な距離があるため、目的のエレベータに乗り遅れるおそれがある。
【0003】
このような乗り遅れの防止策として、従来、乗りかご内への利用者の乗り込みの有無を照合する装置を設ける提案がある。また、ゲート通過者の体重とかご内荷重とを比較する手段を設けて乗り込み完了が検知されるまで、乗りかごを出発させない装置も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開2010/023723号公報
【文献】特開2013-49555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の手法では、乗り遅れの可能性のあるかごに利用者を割当ててしまう可能性もあり、乗り遅れの発生を抑制することはできないという不具合がある。
【0006】
本発明の実施形態は上記事情に鑑み、乗り遅れの可能性のあるかごに利用者を割当ててしまう不具合を抑制でき、利用者に対するサービス性を向上させることができるエレベータ統括制御装置及び割当てかご決定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための実施形態は、エレベータの乗場に向かう際に利用者の個人情報を照合して、許可された利用者に対して前記乗場への入場を許可すると共に、入場を許可された利用者に対して割当てられたかご情報を報知するセキュリティゲートと、前記エレベータの乗場に設置され、前記セキュリティゲートを通過した利用者の行先階登録を受付ける乗場行先呼び登録装置と、にそれぞれ接続され、制御対象となる乗りかごから、乗りかごの運行状況を認識するために必要なかご情報を受信する運行状況認識部と、前記セキュリティゲートで照合された個人情報から当該利用者の出発階、行先階、利用者の属性、認証セキュリティゲート番号を含む認証情報を受信する認証情報認識部と、前記乗場行先呼び登録装置から出発階、行先階、利用者の属性、及び当該乗場行先呼び登録装置の番号を受信する乗場行先呼び認識部と、前記乗場行先呼び認識部で任意の単位時間当たりに登録された呼びの個数をカウントする乗場行先呼び登録個数カウント部と、前記乗場行先呼び登録個数カウント部によるカウント結果に応じて、各エレベータの乗りかごに同時に割当てられる許容人数を変更する同一かご割当て許容人数変更部と、前記かご情報、前記認証情報及び前記同一かご割当て許容人数変更部からの情報に基づき、割当てかごが許容人数以内になるように前記利用者への割当てかごを決定する乗場行先呼び割当てかご決定部と、を備えるエレベータ統括制御装置である。
【0008】
また、他の実施形態は、エレベータの乗場に向かう際に利用者の個人情報を照合して、許可された利用者に対して前記乗場への入場を許可すると共に、入場を許可された利用者に対して割当てられたかご情報を報知するセキュリティゲートと、前記エレベータの乗場に設置され、前記セキュリティゲートを通過した利用者の行先階登録を受け付ける乗場行先呼び登録装置と、にそれぞれ接続されたエレベータ統括制御装置が実施する割当てかご決定方法であって、前記セキュリティゲートを通過した利用者により前記乗場行先呼び登録装置から呼び登録がされた場合を割当てかごへの乗り遅れ発生と捉えてその状況を分析し、分析の結果、かごの割当て許可人数の多少、前記セキュリティゲートから割当てかごまでの平面的な予測移動時間の少なくとも何れかを調整して、割当てかごを決定する、割当てかご決定方法である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るエレベータ統括制御装置の実施形態が適用されるエレベータシステムの構成を示す説明図。
図2】実施形態におけるセキュリティゲートの一例を示す説明図。
図3】実施形態における乗場行先呼び登録装置の一例を示す説明図。
図4】本発明に係るエレベータ統括制御装置の第1実施形態の構成を示すブロック図。
図5】第1実施形態の処理手順を示すフローチャート。
図6】本発明に係るエレベータ統括制御装置の第2実施形態の構成を示すブロック図。
図7】第2実施形態の処理手順を示すフローチャート。
図8】第2実施形態の処理手順を示すフローチャート。
図9】本発明に係るエレベータ統括制御装置の第3実施形態の構成を示すブロック図。
図10】第3実施形態の処理手順を示すフローチャート。
図11】本発明に係るエレベータ統括制御装置の第4実施形態の構成を示すブロック図。
図12】第4実施形態の処理手順を示すフローチャート。
図13】本発明に係るエレベータ統括制御装置の第5実施形態の構成を示すブロック図。
図14】第5実施形態の処理手順を示すフローチャート。
図15】本発明に係るエレベータ統括制御装置の第6実施形態の構成を示すブロック図。
図16】第6実施形態の処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本発明の実施形態が適用されるエレベータシステムの構成を示している。
【0011】
図1に示すように、実施形態のエレベータシステム1は、建屋に設置されたセキュリティゲート10と、3台の号機エレベータ(1号機エレベータ21、2号機エレベータ22、3号機エレベータ23)と、各号機エレベータ(1号機エレベータ21、2号機エレベータ22、3号機エレベータ23)別に設置された乗りかご31,32,33とを備える。また、各号機エレベータ21,22,23を個別に制御する1号機制御装置41、2号機制御装置42、3号機制御装置43を備える。
【0012】
また、エレベータの各乗場には、乗場行先呼び登録装置60が設置され、各号機エレベータ21~23の乗場ドア付近には、それぞれ乗場行先階表示装置71~73が設置されている。各乗りかご31~33内には、それぞれかご内行先階表示装置81~83が設置されている。
【0013】
セキュリティゲート10は、利用者(入場者)が所持する社員証等のセキュリティカードからエレベータ乗場に向かう個人の個人情報を読み取り、その個人が正当な利用者であるか否かを判定するもので、図2に示すように、ゲート毎に個人情報認識装置11と、割当てかご報知装置12とを備えている。
【0014】
個人情報認識装置11は、エレベータの乗場に向かう際に利用者が所持するセキュリティカードの個人情報を照合して、許可された利用者に対して乗場への入場を許可する。
【0015】
割当てかご報知装置12、入場を許可された利用者に対して割当てられたかご情報を報知する。
【0016】
乗場行先呼び登録装置60は、図3に示すように、利用者が行先呼びを入力するためのキーパットを有する行先呼び登録装置61と、利用者に対して割当てられたかごを報知する液晶ディスプレイを有する割当てかご報知装置とを備えている。
【0017】
さらに、実施形態のエレベータシステム1は、各号機制御装置41~43を統括制御するエレベータ統括制御装置100(100A~100F)とを備える。
【0018】
エレベータシステム1では、呼びが登録された地点からエレベータの乗りかご31~33までの間に平面的な距離があるため、目的のエレベータに乗り遅れるおそれがある。
【0019】
この不具合を解決するために、実施形態のエレベータ統括制御装置100は、セキュリティゲート10を通過した利用者により乗場行先呼び登録装置60から呼び登録がされた場合を割当てかごへの乗り遅れ発生と捉えてその状況を分析する機能を有する。そして、分析の結果、かごの割当て許可人数の多少、セキュリティゲート10から割当てかごまでの平面的な予測移動時間の少なくとも何れかを調整して、割当てかごを決定する機能を有する。
【0020】
<第1実施形態>
《第1実施形態の構成》
図4は第1実施形態のエレベータ統括制御装置100Aの構成を示すブロック図である。
【0021】
第1実施形態のエレベータ統括制御装置100Aは、運行状況認識部101と、認証情報認識部102と、乗場行先呼び認識部103と、単位時間乗場行先呼び登録個数カウント部104と、同一かご割当て許容人数変更部105と、乗場行先呼び割当てかご決定部106と、割当てかご情報出力部107と、割当て指令出力部108と、かご呼び登録部109とを備えている。
【0022】
運行状況認識部101は、制御対象となる乗りかごから、乗りかごの運行状況を認識するために必要なかご情報を受信する。
【0023】
認証情報認識部102は、セキュリティゲート10で照合された個人情報から当該利用者の出発階、行先階、利用者の属性、認証セキュリティゲート番号を含む認証情報を受信する。
【0024】
乗場行先呼び認識部103は、乗場行先呼び登録装置60から出発階、行先階、利用者の属性、及び乗場行先呼び登録装置60の番号を受信する。
【0025】
単位時間乗場行先呼び登録個数カウント部104は、乗場行先呼び認識部103で任意の単位時間当たりに登録された呼びの個数をカウントする。
【0026】
同一かご割当て許容人数変更部105は、単位時間乗場行先呼び登録個数カウント部104によるカウント結果に応じて、各エレベータの乗りかご31~33に同時に割当てられる許容人数を変更する。
【0027】
乗場行先呼び割当てかご決定部106は、同一かご割当て許容人数変更部105からの情報を加味して許容人数以内になるように利用者への割当てかごを決定する。
【0028】
割当てかご情報出力部107は、乗場行先呼び割当てかご決定部106で決定された割当てかご情報を、対象の割当てかご報知装置12へ出力する。
【0029】
割当て指令出力部108は、割当てかごに対して応答指令を出力する。
【0030】
かご呼び登録部109は、割当てかごに対して行先階のかご呼び登録情報を出力する。
【0031】
《第1実施形態の処理手順》
次に、第1実施形態のエレベータ統括制御装置100Aの処理手順を図5のフローチャートに基づいて説明する。
【0032】
エレベータの利用者は、建屋に入場する際に自身のセキュリティカードの情報をセキュリティゲート10に読み取らせて入場する。セキュリティゲート10の個人情報認識装置11は、エレベータの利用者の個人情報を照合して、許可された利用者に対して乗場への入場を許可する。
【0033】
エレベータ統括制御装置100Aの運行状況認識部101は、制御対象となる乗りかご31~33から、乗りかご31~33の運行状況を認識するために必要なかご情報を受信する。
【0034】
また、認証情報認識部102は、セキュリティゲート10で照合された個人情報から当該利用者の出発階、行先階、利用者の属性、認証セキュリティゲート番号を含む認証情報を受信する。
【0035】
乗場行先呼び認識部103は、乗場行先呼び登録装置60から出発階、行先階、利用者の属性、及び当該乗場行先呼び登録装置の番号を受信する。
【0036】
単位時間乗場行先呼び登録個数カウント部104は、乗場行先呼び認識部103で任意の単位時間当たりに登録された呼びの個数をカウントする。
【0037】
同一かご割当て許容人数変更部105は、単位時間乗場行先呼び登録個数カウント部104によるカウント結果に応じて、各エレベータの乗りかご31~33に同時に割当てられる許容人数を変更する。
【0038】
次いで、同一かご割当て許容人数変更部105は、変更後の許容人数は保存されているか否かを判定する(ステップS1)。
【0039】
変更後の許容人数が保存されている場合(ステップS1YES)には、保存されている許容人数を現状の許容人数に設定する(ステップS2)。変更後の許容人数が保存されていない場合(ステップS1NO)には、予め設定されている許容人数の初期値を現状の許容人数に設定する(ステップS3)。
【0040】
次いで、同一かご割当て許容人数変更部105は、単位時間の乗場行先呼び登録個数が第1の閾値(閾値1)未満か否かを判定する(ステップS4)。例えば、第1の閾値としては、乗りかご31~33の定員が20人の場合には、16人程度(定員の80%程度)がよい。考え方としては、単位時間当たりの出発回数の0.0~0.5倍くらいの人数がよい。例えば、単位時間5分間、平均出発間隔40秒の場合は5分間の間に7.5回エレベータが当該階を出発したことになる。エレベータ側の制御以外の要因で割当て号機に乗り込まなかった人もいると考えられ、その人数は単位時間当たりの出発回数の0.5倍程度まで許容するものとする。
【0041】
単位時間の乗場行先呼び登録個数が第1の閾値(閾値1)未満であれば(ステップS4YES)、次に、同一割当てかご許容人数が予め設定した上限値か否かを判定する(ステップS5)。上限値は、乗りかご31~33の定員が20人である場合には、その80%である18人である。
【0042】
同一割当て許容人数が予め設定した上限値を超えていない場合(ステップS5NO)には、同一かご割当て許容人数を現状の許容人数にn人加算する(ステップS6)。n人は、少しずつ調整する方がよく、1~2人程度がよい。
【0043】
単位時間の乗場行先呼び登録個数が第1の閾値(閾値1)以上であれば(ステップS4NO)、単位時間の乗場行先呼び登録個数が閾値1以上、かつ、第2の閾値(閾値2)未満か否かを判定する(ステップS7)。第2の閾値としては、単位時間当たりの出発回数の1.0~1.5倍くらいの人数がよい。例えば、単位時間5分間、平均出発間隔40秒の場合は5分間の間に7.5回エレベータが当該階を出発したことになる。これに対して7.5人乗場行先階呼びを登録した人がいれば毎回1人乗れなかった人がいるということになる。よって定員を変動させる基準は単位時間当たりに出発した回数の1.0~1.5倍程度の人数とすることが適正である。
【0044】
単位時間の乗場行先呼び登録個数が閾値1以上、かつ、第2の閾値(閾値2)未満であれば(ステップS7YES)、同一かご割当て許容人数を変更しない(ステップS8)。単位時間の乗場行先呼び登録個数が閾値1以上であるが、閾値2未満でない場合(ステップS7NO)、次に、同一割当てかご許容人数が予め設定した下限値か否かを判定する(ステップS9)。下限値は、積載人数の45~55%程度がよい。実際のビルでは、カバンを持っている等の理由により多くの人が乗り込めない出勤時間帯でも、55%程度は乗り込んでいたという測定結果が得られている。
【0045】
同一かご割当て許容人数変更部105は、同一割当てかご許容人数が予め設定した下限値に達していれば(ステップS9YES)、ステップS8に移行して、同一かご割当て許容人数を変更しない。同一割当てかご許容人数が予め設定した下限値に達していない場合(ステップS9NO)には、同一かご割当て許容人数を現状の許容人数からn人減算する(ステップS10)。
【0046】
ステップS6,S8,S10により、同一かご割当て許容人数が設定されると、設定された人数を現在の同一かご割当て許容人数として保存する(ステップS11)。
【0047】
そして、乗場行先呼び割当てかご決定部106は、同一かご割当て許容人数変更部105からの情報を加味して許容人数以内になるように利用者への割当てかごを決定する。
【0048】
このように、第1実施形態によれば、同一かごに割当てる許容人数を変更することができるので、乗り遅れの可能性のあるかごに利用者を割当ててしまう不具合を抑制でき、利用者に対するサービス性を向上させることができる。
【0049】
<第2実施形態>
《第2実施形態の構成》
図6は第2実施形態のエレベータ統括制御装置100Bの構成を示すブロック図である。
【0050】
第2実施形態では、図4に示した第1実施形態の構成に加えて、同一かご割当て許容人数学習部110を備えることを特徴とする。
【0051】
同一かご割当て許容人数学習部110は、同一かご割当て許容人数変更部105が決定した許容人数を曜日毎、時間帯毎に記憶して、一定期間の平均値により曜日毎、時間帯毎の同一かご割当て許容人数を決定する。そして、同一かご割当て許容人数変更部105は、同一かご割当て許容人数学習部110の学習結果に基づき、各時間帯の同一かご割当て許容人数の初期値を決定する。
【0052】
《第2実施形態の処理手順》
次に、第2実施形態のエレベータ統括制御装置100Bの処理手順を図7図8のフローチャートに基づいて説明する。
【0053】
図7に示すように、同一かご割当て許容人数変更部105は、同一かご割当て許容人数学習部110により学習された当該時間帯の許容人数が保存されているか否かを判定する(ステップS21)。
【0054】
学習された当該時間帯の許容人数が保存されている場合(ステップS21YES)には、直近の時間帯の許容人数と学習の許容人数から、当該時間帯の学習の許容人数を更新する(ステップS22)。
【0055】
学習された当該時間帯の許容人数が保存されていない場合(ステップS21NO)には、予め設定されている許容人数の初期値を学習の許容人数に設定する(ステップS23)。
【0056】
ステップS6,S8,S10により、学習された同一かご割当て許容人数が求められるとこれを保存する(ステップS24)。
【0057】
図8に示すように、学習による許容人数が保存されている場合(ステップS31YES)には、同一かご割当て許容人数変更部105は、学習による許容人数を現状の許容人数に設定する(ステップS32)。
【0058】
学習による許容人数が保存されている場合(ステップS31NO)には、予め設定されている許容人数の初期値を現状の許容人数に設定する(ステップS33)。
【0059】
以下、ステップS34~S41の処理は、図5に示したステップS4~S11の処理と同様である。
【0060】
そして、乗場行先呼び割当てかご決定部106は、同一かご割当て許容人数変更部105からの情報を加味して許容人数以内になるように利用者への割当てかごを決定する。
【0061】
このように、第2実施形態によれば、学習により許容人数を変更することができ、乗り遅れの可能性のあるかごに利用者を割当ててしまう不具合を抑制でき、利用者に対するサービス性を向上させることができる。
【0062】
<第3実施形態>
《第3実施形態の構成》
図9は第3実施形態のエレベータ統括制御装置100Cの構成を示すブロック図である。
【0063】
第3実施形態では、図6に示した第2実施形態の構成に加えて、乗場混雑状況検知部111と、乗場混雑状況出力部112とを備えることを特徴とする。
【0064】
乗場混雑状況検知部111は、単位時間乗場行先呼び登録個数カウント部104によるカウント結果に基づき、単位時間に一定値以上の個数の乗場行先呼びが登録されていると認識した場合、エレベータの乗場が混雑していると判定する。
【0065】
乗場混雑状況出力部112は、乗場混雑状況検知部111の判定結果をセキュリティゲート10に出力する。
【0066】
《第3実施形態の処理手順》
次に、第3実施形態のエレベータ統括制御装置100Cの処理手順を図10のフローチャートに基づいて説明する。
【0067】
単位時間乗場行先呼び登録個数カウント部104は、乗場行先呼び認識部103で任意の単位時間当たりに認識された呼びの個数をカウントする。
【0068】
乗場混雑状況検知部111は、単位時間乗場行先呼び登録個数カウント部104によるカウント結果に基づき、単位時間に一定値以上の個数の乗場行先呼びが登録されていると認識した場合、エレベータの乗場が混雑していると判定する。
【0069】
すなわち、乗場混雑状況検知部111は、先ず、単位時間の乗場行先呼び登録個数が第1の閾値(閾値1)未満か否かを判定する(ステップS4)。
【0070】
単位時間の乗場行先呼び登録個数が第1の閾値(閾値1)未満であれば(ステップS51YES)、乗場混雑状況検知部111は、乗場の混雑状況を指標する乗場混雑フラグをクリアする(ステップS52)。単位時間の乗場行先呼び登録個数が第1の閾値(閾値1)以上であれば(ステップS51NO)、乗場混雑フラグをセットする(ステップS53)。
【0071】
上述した乗場混雑フラグの情報は、乗場混雑状況出力部112からセキュリティゲート10に対し混雑状況情報として出力される(ステップS54)。
【0072】
そして、乗場行先呼び割当てかご決定部106は、乗場混雑状況検知部111により乗場が混雑していると判定された場合、当該乗場行先呼びに対する割当てを実施しないように決定する。
【0073】
このように、第3実施形態によれば、乗場の混雑度を考慮することができ、乗り遅れの可能性のあるかごに利用者を割当ててしまう不具合を抑制でき、利用者に対するサービス性を向上させることができる。
【0074】
<第4実施形態>
《第4実施形態の構成》
図11は第4実施形態のエレベータ統括制御装置100Dの構成を示すブロック図である。
【0075】
第4実施形態では、図9に示した第3実施形態の構成に加えて、目的階別乗場行先呼び登録回数カウント部113と、利用者予測移動時間変更部114とを備えることを特徴とする。
【0076】
目的階別乗場行先呼び登録回数カウント部113は、乗場行先呼び登録装置60で登録された目的階情報を記憶し、目的階毎に乗場行先呼びの回数をカウントする。
【0077】
利用者予測移動時間変更部114は、目的階別乗場行先呼び登録回数カウント部113のカウント結果に基づき、乗場行先呼び登録装置60による登録が事前に設定した閾値よりも大きい場合には、セキュリティゲート10からエレベータの乗場まで利用者が移動する予測移動時間を長く設定する。ここでの閾値は、セキュリティゲートでの登録個数に対する乗場行先階呼び登録のパーセンテージに基づき、20%~50%程度がよい。例えば、セキュリティゲートで10階行き呼びが10回登録されたことに対して乗場行先呼びが4回登録されたら予測移動時間を長くするようにする。
【0078】
《第4実施形態の処理手順》
次に、第4実施形態のエレベータ統括制御装置100Dの処理手順を図12のフローチャートに基づいて説明する。
【0079】
目的階別乗場行先呼び登録回数カウント部113は、乗場行先呼び登録装置60で登録された目的階情報を記憶し、目的階毎に乗場行先呼びの回数をカウントする。
【0080】
利用者予測移動時間変更部114は、目的階別乗場行先呼び登録回数カウント部113のカウント結果に基づき、乗場行先呼び登録装置60による登録が事前に設定した閾値よりも大きい場合には、セキュリティゲート10からエレベータの乗場まで利用者が移動する予測移動時間を長く設定する。
【0081】
すなわち、利用者予測移動時間変更部114は、先ず、変更後の利用者予測移動時間が保存されているか否かを判定する(ステップS61)。
【0082】
変更後の利用者予測移動時間が保存されている場合(ステップS61YES)には、保存されている利用者予測移動時間を現状の利用者予測移動時間に設定する(ステップS62)。変更後の利用者予測移動時間が保存されていない場合(ステップS61NO)には、予め設定されている利用者予測移動時間の初期値を現状の予測移動時間に設定する(ステップS63)。
【0083】
単位時間の当該目的階の乗場行先呼び登録個数が第1の閾値(閾値1)未満か否かを判定する(ステップS64)。
【0084】
単位時間の当該目的階の乗場行先呼び登録個数が第1の閾値(閾値1)未満であれば(ステップS64YES)、次に、利用者予測移動時間が予め設定した上限値か否かを判定する(ステップS65)。上限値は、建物の構造に依存しており、セキュリティゲート10からエレベータの乗場までの距離に基づいて設定される。
【0085】
利用者予測移動時間が予め設定した上限値を超えていない場合(ステップS65NO)には、利用者予測移動時間を現状の時間にn秒加算する(ステップS66)。n秒としては、初期設定値の5~20%程度の秒数が適切である。
【0086】
単位時間の当該目的階の乗場行先呼び登録個数が第1の閾値(閾値1)以上であれば(ステップS64NO)、単位時間の当該目的階の乗場行先呼び登録個数が閾値1以上、かつ、閾値2未満か否かを判定する(ステップS67)。
【0087】
単位時間の乗場行先呼び登録個数が閾値1以上、かつ、第2の閾値(閾値2)未満であれば(ステップS67YES)、利用者予測移動時間を変更しない(ステップS68)。単位時間の乗場行先呼び登録個数が閾値1以上であるが、閾値2未満でない場合(ステップS67NO)には、次に、利用者予測移動時間が予め設定した下限値か否かを判定する(ステップS69)。
【0088】
利用者予測移動時間が予め設定した下限値に達していれば(ステップS69YES)、ステップS68に移行して、利用者予測移動時間を変更しない。利用者予測移動時間が予め設定した下限値に達していない場合(ステップS69NO)には、利用者予測移動時間を現状の許容人数からn秒減算する(ステップS70)。
【0089】
ステップS66,S68,S70により、利用者予測移動時間が設定されると、設定された利用者予測移動時間を現在の利用者予測移動時間として保存する(ステップS71)。
【0090】
そして、乗場行先呼び割当てかご決定部106は、利用者予測移動時間変更部114からの情報を加味して、利用者が割当てかごの前に移動した後に到着するかごの中から割当てかごを決定する、
このように、第4実施形態によれば、利用者の移動時間を考慮することができ、乗り遅れの可能性のあるかごに利用者を割当ててしまう不具合を抑制でき、利用者に対するサービス性を向上させることができる。
【0091】
<第5実施形態>
《第5実施形態の構成》
図13は第5実施形態のエレベータ統括制御装置100Eの構成を示すブロック図である。
【0092】
第5実施形態では、図11に示した第4実施形態の構成に加えて、セキュリティゲート認証時割当てかご記憶部115と、割当てかご毎再登録数カウント部116と、かご別利用者予測移動時間変更部117とを備えることを特徴とする。
【0093】
セキュリティゲート認証時割当てかご記憶部115は、セキュリティゲート10で認証した個人情報を記憶し、個人情報毎に割当てかご情報を保存する。
【0094】
割当てかご毎再登録数カウント部116は、セキュリティゲート認証時割当てかご記憶部115からの情報と、乗場行先呼び登録装置60の認証結果の情報とに基づき、割当てかご毎に乗場行先呼び登録装置60で再登録された回数をカウントする。
【0095】
かご別利用者予測移動時間変更部117は、割当てかご毎再登録数カウント部116のカウント結果が予め設定した閾値よりも多い場合には、セキュリティゲート10から乗りかごの利用者が移動する予測移動時間を長く設定する。
【0096】
そして、乗場行先呼び割当てかご決定部106は、かご別利用者予測移動時間変更部117からの情報を加味して、乗りかごを割当てられた利用者が割当てかごの前に移動した後に到着する乗りかごの中から割当てかごを決定する。
【0097】
《第5実施形態の処理手順》
次に、第5実施形態のエレベータ統括制御装置100Eの処理手順を図14のフローチャートに基づいて説明する。
【0098】
セキュリティゲート認証時割当てかご記憶部115は、セキュリティゲート10で認証した個人情報を認証情報認識部102を介して入力し、入力された個人情報を記憶し、個人情報毎に割当てかご情報として保存する。
【0099】
割当てかご毎再登録数カウント部116は、セキュリティゲート認証時割当てかご記憶部115からの情報と、乗場行先呼び登録装置60の認証結果の情報とに基づき、割当てかご毎に乗場行先呼び登録装置60で再登録された回数をカウントする。
【0100】
かご別利用者予測移動時間変更部117は、割当てかご毎再登録数カウント部116のカウント結果が予め設定した閾値よりも多い場合には、セキュリティゲート10から乗りかごの利用者が移動する予測移動時間を長く設定するように変更する。
【0101】
この状態において、かご別利用者予測移動時間変更部117は、変更後のかご別利用者予測移動時間は保存されているか否かを判定する(ステップS81)。
【0102】
変更後のかご別利用者予測移動時間が保存されている場合(ステップS81YES)には、保存されているかご別利用者予測移動時間を現状の予測移動時間に設定する(ステップS82)。変更後のかご別利用者予測移動時間が保存されていない場合(ステップS81NO)には、予め設定されている予測移動時間の初期値を現状の予測移動時間に設定する(ステップS83)。
【0103】
次いで、単位時間の当該割当てかごの乗場行先呼び再登録個数が第1の閾値(閾値1)未満か否かを判定する(ステップS84)。
【0104】
単位時間の当該割当てかごの乗場行先呼び再登録個数が第1の閾値(閾値1)未満であれば(ステップS84YES)、次に、かご別利用者予測移動時間が予め設定した上限値か否かを判定する(ステップS85)。
【0105】
かご別利用者予測移動時間が予め設定した上限値を超えていない場合(ステップS85NO)には、かご別利用者予測移動時間を現状の時間にn秒加算する(ステップS86)。
【0106】
単位時間の当該割当てかごの乗場行先呼び再登録個数が第1の閾値(閾値1)以上であれば(ステップS84NO)、単位時間の当該割当てかごの乗場行先呼び再登録個数が閾値1以上、かつ、閾値2未満か否かを判定する(ステップS87)。
【0107】
単位時間の当該割当てかごの乗場行先呼び再登録個数が閾値1以上、かつ、第2の閾値(閾値2)未満であれば(ステップS87YES)、かご別利用者予測移動時間を変更しない(ステップS88)。単位時間の当該割当てかごの乗場行先呼び再登録個数が閾値1以上であるが、閾値2未満でない場合(ステップS87NO)には、次に、かご別利用者予測移動時間が予め設定した下限値か否かを判定する(ステップS89)。
【0108】
かご別利用者予測移動時間が予め設定した下限値に達していれば(ステップS89YES)、ステップS88に移行して、かご別利用者予測移動時間を変更しない。かご別利用者予測移動時間が予め設定した下限値に達していない場合(ステップS89NO)には、かご別利用者予測移動時間を現状の許容人数からn秒減算する(ステップS90)。
【0109】
ステップS86,S88,S90により、かご別利用者予測移動時間が設定されると、設定されたかご別利用者予測移動時間を現在のかご別利用者予測移動時間として保存する(ステップS71)。
【0110】
そして、乗場行先呼び割当てかご決定部106は、かご別利用者予測移動時間変更部117からの情報を加味して、乗りかごを割当てられた利用者が割当てかごの前に移動した後に到着する乗りかごの中から割当てかごを決定する。
【0111】
このように、第5実施形態によれば、かご別に利用者の移動時間を考慮することができ、乗り遅れの可能性のあるかごに利用者を割当ててしまう不具合を抑制でき、利用者に対するサービス性を向上させることができる。
【0112】
<第6実施形態>
《第6実施形態の構成》
図15は第6実施形態のエレベータ統括制御装置100Fの構成を示すブロック図である。
【0113】
第6実施形態では、図13に示した第5実施形態の構成に加えて、個人別乗場行先呼び登録回数カウント部118と、個人別予測移動時間変更部119とを備えることを特徴とする。
【0114】
個人別乗場行先呼び登録回数カウント部118は、乗場行先呼び登録装置60で認証した個人情報を乗場行先呼び認識部101を介して入力して記憶し、個人情報毎に乗場行先呼び登録回数をカウントする。
【0115】
個人別予測移動時間変更部119は、個人別乗場行先呼び登録回数カウント部118からの情報が、乗場行先呼び登録装置60による再登録が事前設定した閾値よりも多い場合は、セキュリティゲート10から乗場まで利用者が移動する予測到着時間を長く設定する。
【0116】
《第6実施形態の処理手順》
次に、第6実施形態のエレベータ統括制御装置100Fの処理手順を図16のフローチャートに基づいて説明する。
【0117】
個人別乗場行先呼び登録回数カウント部118は、乗場行先呼び登録装置60で認証した個人情報を乗場行先呼び認識部101を介して入力して記憶し、個人情報毎に乗場行先呼び登録回数をカウントする。
【0118】
個人別予測移動時間変更部119は、個人別乗場行先呼び登録回数カウント部118からの情報が、乗場行先呼び登録装置60による再登録が事前設定した閾値よりも多い場合は、セキュリティゲート10から乗場まで利用者(特定の個人)が移動する予測到着時間を長く設定する。
【0119】
すなわち、個人別予測移動時間変更部119は、先ず、変更後の個人別予測移動時間が保存されているか否かを判定する(ステップS101)。
【0120】
変更後の個人別予測移動時間が保存されている場合(ステップS101YES)には、保存されている当該個人の利用者予測移動時間を現状の予測移動時間に設定する(ステップS102)。変更後の個人別予測移動時間が保存されていない場合(ステップS101NO)には、予め設定されている利用者予測移動時間の初期値を現状の予測移動時間に設定する(ステップS103)。
【0121】
次いで、個人別乗場行先呼び登録回数が第1の閾値(閾値1)未満か否かを判定する(ステップS104)。
【0122】
個人別乗場行先呼び再登録回数が第1の閾値(閾値1)未満であれば(ステップS104YES)、次に、個人別予測移動時間が予め設定した上限値か否かを判定する(ステップS105)。
【0123】
個人別予測移動時間が予め設定した上限値を超えていない場合(ステップS105NO)には、個人別予測移動時間を現状の時間にn秒加算する(ステップS106)。次いで、個人別乗場行先呼び登録回数をリセットする(ステップS110)。
【0124】
個人別乗場行先呼び再登録回数が第1の閾値(閾値1)以上であれば(ステップS104NO)、個人別乗場行先呼び登録回数が閾値1以上、かつ、閾値2未満か否かを判定する(ステップS107)。
【0125】
個人別乗場行先呼び登録回数が閾値1以上、かつ、第2の閾値(閾値2)未満であれば(ステップS107YES)、個人別予測移動時間を変更しない(ステップS108)。個人別乗場行先呼び登録回数が閾値1以上であるが、閾値2未満でない場合(ステップS107NO)には、次に、個人別予測移動時間が予め設定した下限値か否かを判定する(ステップS109)。
【0126】
個人別予測移動時間が予め設定した下限値に達していれば(ステップS109YES)、ステップS108に移行して、個人別予測移動時間を変更しない。個人別予測移動時間が予め設定した下限値に達していない場合(ステップS109NO)には、個人別予測移動時間を現状の許容人数からn秒減算する(ステップS110)。次いで、個人別乗場行先呼び登録回数をリセットする(ステップS113)。
【0127】
ステップS106,S108,S110により、かご別利用者予測移動時間が設定されると、設定されたかご別利用者予測移動時間を現在のかご別利用者予測移動時間として保存する(ステップS112)。
【0128】
そして、乗場行先呼び割当てかご決定部106は、個人別予測移動時間変更部119からの情報を加味して、乗りかご31~33が割当てられた個人が割当てかごの前に移動した後に到着する乗りかご31~33の中から割当てかごを決定する。
【0129】
このように、第6実施形態によれば、個人別の移動時間を考慮することができ、乗り遅れの可能性のある乗りかご31~33に利用者を割当ててしまう不具合を抑制でき、利用者に対するサービス性を向上させることができる。
【0130】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0131】
1…エレベータシステム、10…セキュリティゲート、11…個人情報認識装置、12…割当てかご報知装置、21…1号機エレベータ、22…2号機エレベータ、23…3号機エレベータ、31,32,33…乗りかご、41…1号機制御装置、42…2号機制御装置、43…3号機制御装置、60…乗場行先呼び登録装置、61…行先呼び登録装置、62…割当てかご報知装置、71,72,73…乗場行先階表示装置、81,82,83…かご内行先階表示装置、100,100A~100F…エレベータ統括制御装置、101…乗場行先呼び認識部、102…認証情報認識部、103…運行状況認識部、104…単位時間乗場行先呼び登録個数カウント部(乗場行先呼び登録個数カウント部)、105…同一かご割当て許容人数変更部、106…乗場行先呼び割当てかご決定部、107…割当てかご情報出力部、108…割当て指令出力部、109…かご呼び登録部、110…同一かご割当て許容人数学習部、111…乗場混雑状況検知部、112…乗場混雑状況出力部、113…目的階別乗場行先呼び登録回数カウント部、114…利用者予測移動時間変更部、115…セキュリティゲート認証時割当てかご記憶部、116…割当てかご毎再登録数カウント部、117…かご別利用者予測移動時間変更部、118…個人別乗場行先呼び登録回数カウント部、119…個人別予測移動時間変更部
【要約】
【課題】乗り遅れの可能性のあるかごに利用者を割当ててしまう不具合を抑制でき、利用者に対するサービス性を向上させる。
【解決手段】エレベータの乗場に向かう際に利用者の個人情報を照合して、許可された利用者に対して乗場への入場を許可すると共に、入場を許可された利用者に対して割当てられたかご情報を報知するセキュリティゲートと、エレベータの乗場に設置され、セキュリティゲートを通過した利用者の行先階登録を受け付ける乗場行先呼び登録装置と、にそれぞれ接続されたエレベータ統括制御装置は、セキュリティゲートを通過した利用者により乗場行先呼び登録装置から呼び登録がされた場合を割当てかごへの乗り遅れ発生と捉えてその状況を分析し、分析の結果、かごの割当て許可人数の多少、セキュリティゲートから割当てかごまでの平面的な予測移動時間の少なくとも何れかを調整して、割当てかごを決定する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16