(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】車両用視認装置及び表示制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20220114BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20220114BHJP
B60R 1/22 20220101ALI20220114BHJP
【FI】
H04N7/18 K
G09G5/00 550C
B60R1/22
G09G5/00 550H
H04N7/18 J
(21)【出願番号】P 2017227156
(22)【出願日】2017-11-27
【審査請求日】2020-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】小杉 正則
(72)【発明者】
【氏名】長尾 貴史
【審査官】佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-507449(JP,A)
【文献】国際公開第2011/105502(WO,A1)
【文献】特開2012-073399(JP,A)
【文献】特開2012-063589(JP,A)
【文献】特開平08-197981(JP,A)
【文献】特開平09-018894(JP,A)
【文献】特開2013-104976(JP,A)
【文献】特開2015-143970(JP,A)
【文献】特開2010-039793(JP,A)
【文献】特開2012-133543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G09G 5/00
B60R 1/00
B60R 11/00
B60R 21/00
B60K 35/00
H04N 13/00
G02B 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両周辺の撮影画像を表示する表示部と、
目の焦点の調整が必要な予め定めた運転状況として運転時間を検出する検出部と、
前記表示部に表示された撮影画像に対して画像処理を施すことにより
、前記検出部によって検出された運転時間が長いほど、長い焦点距離で、かつ乗員から前記表示部までの距離以上の長い焦点距離になるように仮想的に
前記焦点を変更して前記表示部に表示する制御を行う制御部と、
を備えた車両用視認装置。
【請求項2】
車両周辺の撮影画像を表示する表示部と、
目の焦点の調整が必要な予め定めた運転状況として運転者の視線を検出する検出部と、
前記検出部によって前記表示部の方向の視線が検出された場合に、前記表示部に表示された撮影画像に対して画像処理を施すことにより、焦点距離が予め定めた遠方距離の焦点距離から徐々に乗員から前記表示部までの距離になるように仮想的に前記焦点を変更して前記表示部に表示する制御を行う制御部と、
を備えた車両用視認装置。
【請求項3】
前記検出部
が、前記運転状況として前方車両までの距離を更に検出し、
前記制御部が、前記検出部によって検出された運転時間が長いほど、長い焦点距離で、前記検出部によって検出された前方車両までの距離が長いほど、長い焦点距離で、かつ乗員から前記表示部までの距離以上の長い焦点距離になるように仮想的に前記焦点を変更する請求項
1に記載の車両用視認装置。
【請求項4】
前記検出部が
、運転時間及び前方車両までの距離を前記運転状況として更に検出し、
前記制御部が、前記検出部によって
前記表示部の方向の視線が検出された場合に、焦点距離が予め定めた遠方距離の焦点距離から徐々に乗員から前記表示部までの距離になるように仮想的に前記焦点を変更し、仮想的に前記焦点を変更する際の変更速度を、前記検出部によって検出された前記運転時間及び前記前方車両までの距離に基づいて変更する請求項2に記載の車両用視認装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両周辺を視認するために車両周辺を撮影して撮影画像を表示する車両用視認装置及び表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両にカメラ等の撮影部及びモニタ等の表示部を搭載して、車両周辺を撮影部で撮影した撮影画像を表示部に表示する車両用視認装置が知られている。
【0003】
ところで、視度を合わせる技術の一例として、例えば、特許文献1に記載の技術が提案されている。
【0004】
特許文献1に記載の技術では、機械的な調整や光学系の調整を行うことなく、画像処理により、仮想的に視度(観者の網膜上の焦点外れ)を補正する技術が提案されている。これにより、眼鏡やコンタクトレンズ等を使用することなく、表示部を見ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車両用視認装置では、運転中に表示部に表示された撮影画像を見る際には、乗員が目の焦点を遠方から表示部までの距離に切り替える必要があり、眼精疲労に繋がっていた。また、老眼や遠視の人は、そもそも近い距離に焦点が合わない人もおり、表示部に焦点が合わないことがあった。
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術は、運転中の焦点を切り替えるものではないため、改善の余地があった。
【0008】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、乗員が視点を表示部に切替える際に焦点が合わないことを抑制可能な車両用視認装置及び表示制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために第1の態様は、車両周辺の撮影画像を表示する表示部と、目の焦点の調整が必要な予め定めた運転状況として運転時間を検出する検出部と、前記表示部に表示された撮影画像に対して画像処理を施すことにより、前記検出部によって検出された運転時間が長いほど、長い焦点距離で、かつ乗員から前記表示部までの距離以上の長い焦点距離になるように仮想的に前記焦点を変更して前記表示部に表示する制御を行う制御部と、を備える。
【0010】
第1の態様によれば、表示部には、車両周辺の撮影画像が表示されるので、表示部を確認することによって車両周辺を視認できる。また、検出部は、目の焦点の調整が必要な予め定めた運転状況として運転時間を検出する。
【0011】
そして、制御部では、表示部に表示された撮影画像に対して画像処理を施すことにより、検出部によって検出された運転時間が長いほど、長い焦点距離で、かつ乗員から表示部までの距離以上の長い焦点距離になるように仮想的に焦点を変更して表示部に表示する制御が行われる。これにより、表示部に表示される撮影画像に対して仮想的に焦点の調整が行われるので、乗員が視点を表示部に切替える際に焦点が合わないことを抑制可能となる。
【0012】
また、第2の態様は、車両周辺の撮影画像を表示する表示部と、目の焦点の調整が必要な予め定めた運転状況として運転者の視線を検出する検出部と、前記検出部によって前記表示部の方向の視線が検出された場合に、前記表示部に表示された撮影画像に対して画像処理を施すことにより、焦点距離が予め定めた遠方距離の焦点距離から徐々に乗員から前記表示部までの距離になるように仮想的に前記焦点を変更して前記表示部に表示する制御を行う制御部と、を備える。
【0013】
第2の態様によれば、表示部には、車両周辺の撮影画像が表示されるので、表示部を確認することによって車両周辺を視認できる。また、検出部は、目の焦点の調整が必要な予め定めた運転状況として運転者の視線を検出する。そして、制御部では、表示部に表示された撮影画像に対して画像処理を施すことにより、検出部によって表示部の方向の視線が検出された場合に、焦点距離が予め定めた遠方距離の焦点距離から徐々に乗員から前記表示部までの距離になるように仮想的に焦点を変更して表示部に表示する制御が行われる。これにより、表示部に表示される撮影画像に対して仮想的に焦点の調整が行われるので、乗員が視点を表示部に切替える際に焦点が合わないことを抑制可能となる。
【0015】
なお、検出部が、運転状況として前方車両までの距離を更に検出し、制御部が、検出部によって検出された運転時間が長いほど、長い焦点距離で、検出部によって検出された前方車両までの距離が長いほど、長い焦点距離で、かつ乗員から表示部までの距離以上の長い焦点距離になるように仮想的に焦点を変更してもよい。
【0016】
さらに、検出部が、運転時間及び前方車両までの距離を運転状況として更に検出し、制御部が、検出部によって表示部の方向の視線が検出された場合に、焦点距離が予め定めた遠方距離の焦点距離から徐々に乗員から前記表示部までの距離になるように仮想的に焦点を変更し、仮想的に焦点を変更する際の変更速度を、検出部によって検出された運転時間及び前方車両までの距離に基づいて変更してもよい。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、乗員が視点を表示部に切替える際に焦点が合わないことを抑制可能な車両用視認装置を提供できる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1実施形態に係る車両用視認装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る車両用視認装置の制御装置の機能を示す機能ブロック図である。
【
図4】画像処理による仮想的な矯正を説明するための図である。
【
図5】乗員の視線に対するモニタに表示する画像に対する焦点距離の変更を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係る車両用視認装置の制御装置で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】第2実施形態に係る車両用視認装置の制御装置の機能を示す機能ブロック図である。
【
図8】第2実施形態の仮想矯正画像処理部による運転時間に応じた焦点距離の変更例を示す図である。
【
図9】第2実施形態に係る車両用視認装置の制御装置で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】第3実施形態に係る車両用視認装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図11】第3実施形態に係る車両用視認装置の制御装置の機能を示す機能ブロック図である。
【
図12】第3実施形態の仮想矯正画像処理部による前方車両までの距離に応じた焦点距離の変更例を示す図である。
【
図13】第3実施形態に係る車両用視認装置の制御装置で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図14】第4実施形態に係る車両用視認装置の制御装置の機能を示す機能ブロック図である。
【
図15】焦点距離Dを距離d1から徐々に距離d3に変更する際の変更速度を運転時間及び前方車両までの距離の少なくとも一方に応じて変更する例を説明するための図である。
【
図16】第4実施形態に係る車両用視認装置の制御装置で行われる一部の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る車両用視認装置の概略構成を示すブロック図である。
【0022】
車両用視認装置10には、後方カメラ18、及びドアカメラ16(16L、16R)が設けられている。後方カメラ18は、車両後部かつ車幅方向中央部(例えば、トランクまたはリアバンパの車幅方向中央部)に配置され、車両の後方を所定の画角(撮影領域)で撮影可能とされている。また、ドアカメラ16Lは、車両の車幅左側のドアミラーに設けられ、ドアカメラ16Rは、車両の車幅右側のドアミラーに設けられている。ドアカメラ16L、16Rは、車体側方から車両後方を所定の画角(撮影領域)で撮影可能とされている。なお、以下では、ドアカメラ16L、16Rは、左右を区別しない場合には、ドアカメラ16として説明する。
【0023】
後方カメラ18及びドアカメラ16は、車両周辺としての車両後方を撮影する。詳細には、後方カメラ18の撮影領域の一部は、ドアカメラ16の撮影領域の一部と重複し、後方カメラ18、及びドアカメラ16により、車両後方を車体の右斜め後方から左斜め後方の範囲に渡って撮影可能とされている。これにより、車両の後方側が広角に撮影される。
【0024】
車両の車室内には、インナーミラー22(
図3参照)が設けられており、インナーミラー22は、車室内天井面の車両前側かつ車幅方向中央部に取付けられている。インナーミラー22には、表示部としての長尺矩形状とされたモニタ12が設けられており、モニタ12は、長手方向が車幅方向とされ、かつ表示面が車両後方に向けられている。これにより、モニタ12は、車両前側のフロントウインドシールドガラスの上部付近に配置されて、表示面が車室内の乗員に視認可能にされている。
【0025】
モニタ12の表示面には、ハーフミラー(ワイドミラー)が設けられており、モニタ12が非表示の場合に、ハーフミラーには、車室内と共にリアウインドガラス及びドアガラスを通した後方視界が写される。
【0026】
また、インナーミラー22の近傍には、インナーカメラ14が設けられており、撮影方向が車両後方に向けられて、インナーカメラ14が乗員を撮影する。
【0027】
また、車両用視認装置10には、制御装置20が設けられており、制御装置20にモニタ12、インナーカメラ14、ドアカメラ16、及び後方カメラ18が接続されている。制御装置20には、CPU20A、ROM20B、RAM20C、不揮発性記憶媒体(例えば、EPROM)20D、及びI/O(入出力インタフェース)20Eがそれぞれバス20Fに接続されたマイクロコンピュータが含まれている。ROM20B等には、車両用視認表示制御プログラム等の各種のプログラムが記憶されており、CPU20AがROM20B等に記憶されるプログラムを読み出して実行することで、制御装置20がモニタ12に乗員の視認を補助する画像を表示する。
【0028】
制御装置20は、後方カメラ18、及びドアカメラ16の各々により撮影された車両周辺の車外撮影画像を重ねて視認用画像を生成し、モニタ12に表示する制御を行う。なお、モニタ12は、運転席より車両前側に設けられており、撮影画像に対してモニタ12に表示される画像が左右反転される。
【0029】
次に、制御装置20のROM20Bに記憶されたプログラムを実行することにより実現される制御装置20の機能について説明する。
図2は、本実施形態に係る車両用視認装置10の制御装置20の機能を示す機能ブロック図である。
【0030】
制御装置20は、
図2に示すように、視認用画像生成部30、処理部36、制御部としての仮想矯正画像処理部34、及び検出部としての視線抽出部36の機能を備えている。
【0031】
視認用画像生成部30は、後方カメラ18及びドアカメラ16の撮影画像をそれぞれ取得して、それぞれの撮影画像を合成して視認用画像を生成する。
【0032】
処理部36は、視認用画像生成部30によって生成された視認用画像に対して、画像情報以外の入力に基づいて、各種補正等の処理を行う。
【0033】
視線抽出部36は、インナーカメラ14によって撮影された撮影画像から、モニタ12に表示された視認用画像に対して目の焦点の調整が必要な予め定めた運転状況として乗員(運転者)の視線を抽出する。具体的には、視線抽出部36は、乗員の視線を抽出して、乗員の視線がモニタ12付近の方向であるか、或いはモニタ12以外の方向であるかを検出する。
【0034】
仮想矯正画像処理部34は、視線抽出部36の検出結果に基づいて、処理部36により処理された視認用画像に対して、仮想的に矯正する画像処理を施すことで、仮想的に目の焦点を変更する処理を行い、モニタ12に視認用画像を表示する。なお、仮想矯正画像処理部34は、例えば、特許文献1として挙げた特許第5607473号公報に記載の視度補正の技術を用いて、画像処理により仮想的な焦点調整を行うことができる。或いは、Fu-Chung Huang、他3名、”Eyeglasses-free Display”、[online]、[平成29年11月13日検索]、インターネット(URL: http://web.media.mit.edu/~gordonw/VisionCorrectingDisplay/)に記載の技術を用いてもよい。また、モニタ12に視認用画像を表示する際には、鏡像変換処理を行って左右を反転して表示するが、鏡像変換処理は、視認用画像生成部30、処理部32、及び仮想矯正画像処理部34の何れで行ってもよい。以下の説明では、説明を簡略化するために鏡像変換については省略して説明する場合がある。
【0035】
ここで、仮想矯正画像処理部34によって行われる画像処理による仮想的な矯正について説明する。
図3は、運転者が乗車している様子を示す図であり、
図4は、画像処理による仮想的な矯正を説明するための図である。
【0036】
図3に示すように、運転者が前方方向を見ている場合には、前方の距離d1に焦点があるように運転している。一方、光学式のインナーミラー22を使った場合は、後方の距離d2に目の焦点があるように運転している。ここで、d1、d2は、5m以上の距離であり、運転状況によっては100m以上になり、運転者とインナーミラー22との距離d3に比べて遠方の距離である。
【0037】
インナーミラー22は、物理的には、距離d3に位置する。光学式のインナーミラー22を用いた場合は反射した像に焦点を合わせるため、距離d3に意識することなく、焦点距離D=d2で距離d2離れた点の後方を見る。一方、モニタ12を見る場合、モニタ12に映る後方画像を見る必要があるため、目の焦点距離を距離d3に合わせて後方視界を見ることになる。
【0038】
図4(A)に示すように、距離d3のモニタ12に焦点距離Dを合わせて見ている場合、ぼけることなく正常に見える。一方、
図4(B)に示すように、目の焦点距離Dが距離d1に合っている状態では、距離d3のモニタ12はぼけて見えてしまうが、仮想矯正画像処理部34によって仮想的な矯正を画像処理で行うことにより、距離d3に位置するモニタ12上の画像に対する仮想的な焦点距離Dを距離d1にすることではっきり見えるようになる。つまり、焦点距離Dを距離d1から距離d3に戻すことなく、モニタ12の画像(後方視界)を見ることができる。なお、距離d1を前方の5m以上の距離としたが、距離d1(但し、d1>d3)を老眼(遠視)の人が見えることができる最も近い距離とした場合は、目の能力として見えない部分である距離d3にあるモニタ12の画像も見ることができる。
【0039】
本実施形態では、視線抽出部36が、インナーカメラ14の撮影画像から運転者の視線を検出して、モニタ12を目視しているか否かを判断する。モニタ12以外を見ている場合は、前方を見ていると考えられるため、
図5に示すように、仮想矯正画像処理部34がモニタ12に表示する画像に対して焦点距離Dが距離d1になるように仮想的に変更する。すなわち、距離d1離れたところに目の焦点があった状態で、モニタ12を見ると仮想的に矯正されて表示された画像がはっきり見える。
【0040】
一方、前方を見ている運転者が、モニタ12付近に視線を変えた場合は、
図5に示すように、視線を変えた瞬間はモニタ12に表示する画像における仮想的な焦点距離Dは距離d1のままだが、仮想矯正画像処理部34が、徐々に距離d3になるように変化させる。視線がモニタ12以外に外れた場合は、仮想矯正画像処理部34が、モニタ12に表示される画像における仮想的な焦点距離Dを距離d1に戻す。
【0041】
20代の若者などは目の焦点距離を合わせる能力が高く、遠方の距離d1の元を見ていて急に近場の距離d3の物を見たとしても、瞬時に双方の距離に焦点を合わせることができる。しかしながら、年齢を重ねるにつれて目の焦点を合わせる能力が低くなり、瞬時に焦点を変えることが難しくなる。そこで、目の焦点移動にかかる時間に呼応させて、モニタ12に表示する画像に対する焦点距離も変えれば、目の負担を軽減しつつ、見えやすくなる。また、年齢に限らず、長時間運転などによっても焦点を合わせる能力が低くなるが、この場合も同様に、仮想矯正画像処理部34が仮想的に矯正を行う画像処理を行うことで、目の負担を軽減しつつ、見えやすくなる。なお、仮想矯正画像処理部34は、
図5に示すように、モニタ12付近の視線が検出された場合に、徐々に焦点距離を変更するが、その時間は、例えば、1秒から30秒の範囲で、乗員の目の能力に応じて設定を変更可能としてもよい。
【0042】
続いて、上述のように構成された本実施形態に係る車両用視認装置10の制御装置20で行われる具体的な処理について説明する。
図6は、本実施形態に係る車両用視認装置10の制御装置20で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図6の処理は、図示しないイグニッションスイッチ(IG)がオンされた場合に開始する。或いは、モニタ12の電源をオンする指示が行われた場合に開始してもよい。
【0043】
ステップ100では、CPU20Aが、カメラの撮影画像を取得開始してステップ102へ移行する。すなわち、視認用画像生成部30が、後方カメラ18、ドアカメラ16、及びインナーカメラ14のそれぞれによって撮影された撮影画像を取得して、それぞれの撮影画像を合成して視認用画像を生成する。
【0044】
ステップ102では、CPU20Aが、後方視認用画像をモニタ12に表示してステップ104へ移行する。すなわち、視認用画像生成部30によって生成され、処理部36によって各種補正が行われた視認用画像が仮想矯正画像処理部34を介してモニタ12に表示される。このとき、仮想矯正画像処理部34は、焦点距離Dを距離d1として視認用画像に対して画像処理を施してモニタ12に表示する。
【0045】
ステップ104では、CPU20Aが、インナーカメラ14によって撮影された撮影画像から乗員の視線を検出してステップ106へ移行する。すなわち、視線抽出部36がインナーカメラ14の撮影画像から乗員の視線を抽出して、乗員の視線がモニタ12付近であるか、モニタ12以外であるかを検出する。
【0046】
ステップ106では、CPU20Aが、乗員の視線がモニタ12付近であるか否かを判定する。該判定は、仮想矯正画像処理部34が、視線抽出部36によって抽出された視線の方向に基づいて、乗員の視線がモニタ12付近であるか否かを判定する。該判定が、肯定された場合にはステップ108へ移行し、否定された場合にはステップ104に戻って上述の処理を繰り返す。
【0047】
ステップ108では、CPU20Aが、モニタ12に表示する画像に対する焦点距離Dを距離d1から距離d3に徐々に変更してステップ110へ移行する。すなわち、仮想矯正画像処理部34が、視認用画像に対して仮想的に焦点距離Dを距離d1から距離d3に徐々に変更してモニタ12に表示する。これにより、仮想的に矯正されて、モニタ12に表示された後方画像が見易くなる。
【0048】
ステップ110では、CPU20Aが、ステップ104と同様に、インナーカメラ14によって撮影された撮影画像から乗員の視線を検出してステップ112へ移行する。
【0049】
ステップ112では、CPU20Aが、乗員の視線がモニタ12以外に移動したか否かを判定する。該判定は、仮想矯正画像処理部34が、視線抽出部36によって抽出された視線の方向に基づいて、乗員の視線がモニタ12以外であるか否かを判定する。該判定が、肯定された場合にはステップ114へ移行し、否定された場合にはステップ110に戻って上述の処理を繰り返す。
【0050】
ステップ114では、CPU20Aが、モニタ12に表示する画像に対して仮想的に焦点距離Dを距離d1に変更してステップ116へ移行する。すなわち、仮想矯正画像処理部34が、視認用画像に対する仮想的な焦点距離Dを距離d1に戻してモニタ12に表示する。
【0051】
ステップ116では、CPU20Aが、イグニッションスイッチ(IG)がオフされたか否かを判定する。該判定が否定された場合にはステップ104に戻って上述の処理を繰り返し、判定が肯定された場合には一連の処理を終了する。なお、ステップ116の処理は、モニタ12の電源をオフする指示が行われたか否かを判定してもよい。
【0052】
このように、視線応じて、モニタ12に表示する画像に対して仮想的に焦点距離を変更することで、モニタ12に表示された後方画像を視認し易くすることができる。従って、乗員が視点を表示部に切替える際に運転状況の変化により焦点が合わないことを抑制できる。
【0053】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態に係る車両用視認装置について説明する。
図7は、第2実施形態に係る車両用視認装置の制御装置20の機能を示す機能ブロック図である。なお、車両用視認装置の構成は第1実施形態と基本的に同一のものを適用可能であるため、詳細な説明は省略する。
【0054】
第1実施形態では、乗員の視線に応じて、モニタ12に表示する画像に対して仮想的に目の焦点を変更する例を説明したが、本実施形態では、運転時間に応じて目の焦点を仮想的に変更するようにしたものである。
【0055】
本実施形態における制御装置20は、
図7に示すように、第1実施形態の視線抽出部36の代わりに、検出部としてタイマ部38を備えている点が異なり、その他は同一の機能を有する。なお、本実施形態では、視線抽出部36の機能がないので、インナーカメラ14は省略してもよい。
【0056】
タイマ部38は、運転状況として運転時間を計測し、計測した時間を仮想矯正画像処理部34に出力する。運転時間の計測は、例えば、イグニッションスイッチ(IG)がオンされてからの時間を計測する。
【0057】
そして、仮想矯正画像処理部34が、運転時間に応じて、モニタ12に表示する画像に対して仮想的に焦点を変更する。具体的には、イグニッションスイッチのオン直後であれば、疲労は少なく目の焦点を合わせる能力が高いと考えられるため、仮想矯正画像処理部34が、モニタ12に表示する画像に対する仮想的な焦点距離Dを距離d3とする。つまり、仮想的な矯正を行うことなく、モニタ12に視認用画像を表示する。一方、運転時間が長くなると疲労が多くなり、目の焦点を合わせる能力が低下すると考えられるため、仮想矯正画像処理部34が、モニタ12に表示する画像に対する仮想的な焦点距離Dを距離d1にする。本実施形態では、
図8に示すように、イグニッションスイッチ(IG)がオンされて直ぐは、焦点距離Dを距離d3にとし、運転時間が長くなるに従って、徐々に、焦点距離Dを長くして、距離d1にする。
【0058】
眼精疲労が少ないと、目の焦点を合わせる能力が高く、遠方の距離d1の物を見ていて急に距離d3の物を見たとしても、瞬時に双方の距離に焦点を合わせることができる。しかし、疲労が増すにつれて目の焦点を合わせる能力が低くなり、瞬時に焦点を変えることが難しくなる。そこで、目の疲労に呼応させて、モニタ12に表示する画像に対する仮想的な焦点距離を変更していけば、目の負担を軽減しつつ、見易くなる。なお、
図8に示すように、運転時間に応じて徐々に焦点距離を変更するが、その時間は、例えば、1分から10時間の範囲で、乗員の目の能力に応じて設定を変更可能としてもよい。
【0059】
眼精疲労は、運転時間に依存するためイグニッションスイッチのオンオフに合わせればよいが、昼と夜とでは目の能力が異なる人がいるので、眼精疲労の少ない場合の代わりに、朝から夕方を運転直後を適用し、運転経過後の眼精疲労が多い場合の代わりに、夕方から深夜(朝方まで)を運転する場合を適用してもよい。
【0060】
続いて、上述のように構成された本実施形態に係る車両用視認装置の制御装置20で行われる具体的な処理について説明する。
図9は、本実施形態に係る車両用視認装置の制御装置20で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図9の処理は、図示しないイグニッションスイッチ(IG)がオンされた場合に開始する。或いは、モニタ12の電源をオンする指示が行われた場合に開始してもよい。また、
図6の処理と同一処理については同一符号を付して説明する。
【0061】
ステップ100では、CPU20Aが、カメラの撮影画像を取得開始してステップ102へ移行する。すなわち、視認用画像生成部30が、後方カメラ18、及びドアカメラ16のそれぞれによって撮影された撮影画像を取得して、それぞれの撮影画像を合成して視認用画像を生成する。なお、本実施形態では、インナーカメラ14の撮影画像は不要であるので、インナーカメラ14の撮影画像の取得は省略する。
【0062】
ステップ102では、CPU20Aが、後方視認用画像をモニタ12に表示してステップ103へ移行する。すなわち、視認用画像生成部30によって生成され、処理部36によって各種補正が行われた視認用画像が仮想矯正画像処理部34を介してモニタ12に表示される。イグニッションオン直後であるので、仮想矯正画像処理部34は、焦点距離Dを距離d3として視認用画像に対して画像処理を施してモニタ12に表示する。
【0063】
ステップ103では、CPU20Aが、運転時間の計測を開始してステップ105へ移行する。すなわち、タイマ部38が、イグニッションスイッチがオンされてからの時間の計測を開始する。
【0064】
ステップ105では、CPU20Aが、モニタ12に表示する画像に対する焦点距離を運転時間に応じた焦点距離に変更してモニタ12に表示してステップ116へ移行する。すなわち、仮想矯正画像処理部34が、タイマ部38によって計測された運転時間に応じて予め定めた焦点距離になるように、視認用画像に対して目の焦点を仮想的に矯正する。これにより、目の焦点を合わせる能力が経時変化しても、目に負担をかけることなくクリアな後方視界を提供できる。
【0065】
ステップ116では、CPU20Aが、イグニッションスイッチ(IG)がオフされたか否かを判定する。該判定が否定された場合にはステップ105に戻って上述の処理を繰り返し、判定が肯定された場合には一連の処理を終了する。なお、ステップ116の処理は、モニタ12の電源をオフする指示が行われたか否かを判定してもよい。
【0066】
このように、運転時間応じて、モニタ12に表示する画像に対する目の焦点を仮想的に変更することで、経時的な眼精疲労による焦点を調整する能力が低下してもモニタ12に表示された後方画像を視認し易くすることができる。従って、本実施形態においても乗員が視点を表示部に切替える際に運転状況の変化により焦点が合わないことを抑制できる。
【0067】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態に係る車両用視認装置について説明する。
図10は、第3実施形態に係る車両用視認装置の概略構成を示すブロック図である。また、
図11は、第3実施形態に係る車両用視認装置の制御装置20の機能を示す機能ブロック図である。
【0068】
本実施形態では、第1実施形態に対して、
図10に示すように、検出部として前方監視部24を更に備えており、I/O20Eに接続されている。
【0069】
前方監視部24は、前方の障害物や車両等を監視し、監視結果を制御装置20に出力する。前方監視部24は、例えば、超音波レーダ、レーザレーダ等の各種レーダを適用してもよいし、ステレオカメラ等の距離測定が可能なカメラを適用してもよい。
【0070】
制御装置20は、
図11に示すように、第1実施形態の視線抽出部36の代わりに、車両抽出部40の機能を有する。
【0071】
車両抽出部40は、前方監視部24の監視結果から前方車両を抽出すると共に、前方車両までの距離を運転状況として検出する。
【0072】
そして、仮想矯正画像処理部34が、車両抽出部40によって検出された前方車両までの距離に応じて、モニタ12に表示する画像に対して仮想的に目の焦点を変更する。例えば、
図12に示すように、前方車両までの距離が遠くなるに従って、焦点距離Dを距離d3から遠い距離に変更する。
【0073】
すなわち、本実施形態では、前方監視部24により前方の車両を監視し、複数の前方車両があれば、自車両に最も近い1台までの距離を車両抽出部40が検出する。そして、仮想矯正画像処理部34が、前方車両までの距離に応じて、モニタ12に表示する画像に対して仮想的に目の焦点を変更する。例えば、前方車両までの距離が3m程度、つまり渋滞等で停車しているなど、目の前に車両がある場合は、仮想矯正画像処理部34による仮想矯正の焦点距離Dを距離d3程度まで近づける。元々、目の前の車両を見ているため、目の焦点が近くにあり、このように制御することで、車室内のモニタ12の位置を見たとしてもそれほど目の焦点が劇的に変らず目が疲れ難くなる。
【0074】
一方、前方の車両がない場合は、かなり遠方を見ているため、仮想矯正画像処理部34が、仮想矯正の焦点距離Dを、例えば、100m程度まで遠ざける。車室内のモニタ12を見た場合の焦点変化を最小限に抑えることで、目が疲れにくくなる。
【0075】
続いて、上述のように構成された本実施形態に係る車両用視認装置の制御装置20で行われる具体的な処理について説明する。
図13は、本実施形態に係る車両用視認装置の制御装置20で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図13の処理は、図示しないイグニッションスイッチ(IG)がオンされた場合に開始する。或いは、モニタ12の電源をオンする指示が行われた場合に開始してもよい。また、
図6の処理と同一処理については同一符号を付して説明する。
【0076】
ステップ100では、CPU20Aが、カメラの撮影画像を取得開始してステップ102へ移行する。すなわち、視認用画像生成部30が、後方カメラ18、及びドアカメラ16のそれぞれによって撮影された撮影画像を取得して、それぞれの撮影画像を合成して視認用画像を生成する。なお、本実施形態では、インナーカメラ14の撮影画像は不要であるので、インナーカメラ14の撮影画像の取得は省略する。
【0077】
ステップ102では、CPU20Aが、後方視認用画像をモニタ12に表示してステップ107へ移行する。すなわち、視認用画像生成部30によって生成され、処理部36によって各種補正が行われた視認用画像が仮想矯正画像処理部34を介してモニタ12に表示される。イグニッションオン直後であるので、仮想矯正画像処理部34は、焦点距離Dを距離d3として視認用画像に対して画像処理を施してモニタ12に表示する。
【0078】
ステップ107では、CPU20Aが、前方車両までの距離を計測してステップ109へ移行する。すなわち、前方監視部24の監視結果に基づいて、車両抽出部40が前方車両を検出すると共に、前方車両までの距離を検出する。
【0079】
ステップ109では、CPU20Aが、モニタ12に表示する画像に対する焦点距離を前方車両までの距離に応じた焦点距離に変更してモニタ12に表示してステップ116へ移行する。すなわち、仮想矯正画像処理部34が、車両抽出部40によって検出された前方車両までの距離に応じて予め定めた焦点距離になるように、視認用画像に対して目の焦点を仮想的に矯正する。これにより、車室内のモニタ12を見た際の焦点変化を最小限に抑えることができ、目が疲れ難くなる。
【0080】
ステップ116では、CPU20Aが、イグニッションスイッチ(IG)がオフされたか否かを判定する。該判定が否定された場合にはステップ107に戻って上述の処理を繰り返し、判定が肯定された場合には一連の処理を終了する。なお、ステップ116の処理は、モニタ12の電源をオフする指示が行われたか否かを判定してもよい。
【0081】
このように、前方車両までの距離に応じて、モニタ12に表示する画像に対して仮想的に焦点を変更することで、室内のモニタ12を見た際の焦点変化を最小限に抑えることができ、目の疲れを抑制する。また、焦点変化を最小限に抑えることできるので、モニタ12に表示された後方画像を視認し易くすることができる。従って、本実施形態においても乗員が視点を表示部に切替える際に運転状況の変化により焦点が合わないことを抑制できる。
【0082】
(第4実施形態)
続いて、第3実施形態に係る車両用視認装置について説明する。第4実施形態は、第1実施形態の変形例である。全体構成は、
図10に示す第3実施形態のものを適用可能であるため、詳細な説明は省略する。
図14は、本実施形態に係る車両用視認装置の制御装置20の機能を示す機能ブロック図である。
【0083】
本実施形態における制御装置20の機能は、
図14に示すように、第1~3実施形態の制御装置20の機能を組み合わせた機能を有する。すなわち、制御装置20は、視認用画像生成部30、処理部36、仮想矯正画像処理部34、視線抽出部36、タイマ部38、及び車両抽出部40を備えている。
【0084】
本実施形態では、第1実施形態おける仮想矯正画像処理部34が、モニタ12に表示する画像に対する焦点距離Dを距離d1から徐々に距離d3に変更する際の変更速度を運転時間及び前方車両までの距離の少なくとも一方に応じて変更するようにしたものである。
【0085】
具体的には、本実施形態では、運転時間が長くなるほど、焦点距離Dを距離d1から距離d3に変更する時間を長くし、前方車両までの距離が長くなるほど、焦点距離Dを距離d1から距離d3に変更する時間を長くする。すなわち、
図15の点線、一点鎖線、及び実線で示すように、距離d1から距離d3へ徐々に変更する際の傾きを変更する。具体的には、運転時間及び前方車両までの距離に対する焦点距離Dを予め定めて記憶しておき、仮想矯正画像処理部34が、運転時間と、前方車両までの距離に対応する焦点距離Dを読み出して、焦点距離Dを変更してモニタ12に表示する。
【0086】
続いて、上述のように構成された本実施形態に係る車両用視認装置の制御装置20で行われる具体的な処理について説明する。
図16は、本実施形態に係る車両用視認装置の制御装置20で行われる一部の処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図16の処理は、
図6における第1実施形態のステップ108の代わりに行われる。
【0087】
ステップ200では、CPU20Aが、運転時間を計測してステップ202へ移行する。すなわち、タイマ部38が、イグニッションスイッチがオンされてからの時間を計測する。
【0088】
ステップ202では、CPU20Aが、前方車両までの距離を計測してステップ204へ移行する。すなわち、車両抽出部40が前方監視部24の監視結果に基づいて前方車両を検出すると共に、前方車両までの距離を検出する。
【0089】
ステップ204では、CPU20Aが、運転時間及び前方車両までの距離に応じた焦点距離の変更速度を設定してステップ206へ移行する。
【0090】
ステップ206では、CPU20Aが、設定された焦点距離の変更速度で、モニタ12に表示する画像に対する仮想的な焦点距離Dを距離d1から距離d3に徐々に変更して、一連の処理をリターンして、
図6のステップ110へ移行する。
【0091】
このように、上述のステップ108の代わりに
図16の処理を行うことにより、焦点距離Dを距離d1から距離d3に徐々に変更する際の変更速度を、運転時間及び前方車両までの距離に応じて変更することができる。これにより、眼精疲労や、前方車両までの距離などの様々な運転状況に合わせて、モニタ12を見易くすることができる。従って、本実施形態においても乗員が視点を表示部に切替える際に運転状況の変化により焦点が合わないことを抑制できる。
【0092】
なお、上記の第2実施形態及び第3実施形態を組み合わせた形態としてもよい。すなわち、仮想矯正画像処理部34が、運転時間及び前方車両までの距離に応じて、モニタ12に表示する画像に対する仮想的な焦点距離を変更してもよい。例えば、
図12に示す前方車両までの距離と焦点距離の関係を示すマップ等を運転時間毎に予め定める。すなわち、前方車両までの距離が長いほど長い焦点距離Dとされ、運転時間が長いほど長い焦点距離Dとされたマップを予め定めて、運転時間及び前方車両までの距離に対応する焦点距離Dを読み出して、モニタ12に表示する画像に対して焦点距離を仮想的に変更する。
【0093】
また、上記の各実施形態では、複数のカメラ(後方カメラ18及びドアカメラ16)の各々の撮影画像を合成してモニタ12に表示する例を説明するが、これに限るものではない。単一のカメラ(例えば、後方カメラ18)の撮影画像をモニタ12に表示する形態としてもよい。
【0094】
また、上記の各実施形態では、表示部の一例としてインナーミラー22に設けたモニタ12を適用し、モニタ12に車両周辺の撮影画像を表示する例を説明したが、これに限るものではなく、インナーミラー22に設けたモニタ12以外の表示部を適用してもよい。表示部の他の例としては、例えば、ヘッドアップディスプレイや、ナビゲーション装置等のディスプレイ等を適用してもよい。
【0095】
また、上記の各実施形態では、運転状況に応じて、撮影画像に画像処理を施すことにより仮想的に目の焦点を変更を変更する例を説明したが、これに限るものではない。例えば、運転状況に関係なく、予め定めた焦点になるように撮影画像に対して画像処理を行って焦点を変更してモニタ12に表示してもよい。
【0096】
また、上記の実施形態における制御装置20で行われる処理は、ソフトウエアの処理として説明したが、これに限るものではない。例えば、ハードウエアで行う処理としてもよいし、ハードウエアとソフトウエアの双方を組み合わせた処理としてもよい。
【0097】
また、上記の実施形態における制御装置20で行われる処理は、プログラムとして記憶媒体に記憶して流通させるようにしてもよい。
【0098】
さらに、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0099】
10 車両用視認装置
12 モニタ
14 インナーカメラ
16 ドアカメラ
18 後方カメラ
20 制御装置
24 前方監視部
30 視認用画像生成部
34 仮想矯正画像処理部
36 視線抽出部
38 タイマ部
40 車両抽出部