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特許7004443交換可能なフィルタ組立体を備えた剛性の滅菌容器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】交換可能なフィルタ組立体を備えた剛性の滅菌容器
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/00 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
A61J1/00
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017115743
(22)【出願日】2017-06-13
(65)【公開番号】P2018023762
(43)【公開日】2018-02-15
【審査請求日】2020-04-07
(31)【優先権主張番号】62/350,362
(32)【優先日】2016-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/399,774
(32)【優先日】2017-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル,ホワイト
(72)【発明者】
【氏名】リチャード アール.,スカーギル
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ エム.,パットン
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2001/0020601(US,A1)
【文献】米国特許第04796778(US,A)
【文献】実開平04-114345(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッキング機構と係合することによってフィルタ組立体が滅菌容器に取り外し可能に取り付けられるように構成された前記フィルタ組立体に接続されるロッキング機構であって、
殻;
長手方向の軸を有し、前記殻内に摺動して挿入される第1のクリップであって、第1のロッキング部材と、前記長手方向の軸から第1方向の横方向にオフセットした第1の弧状通路とを含む第1のクリップ;
前記殻内に摺動して挿入される第2のクリップであって、第2のロッキング部材と、前記第1の方向と反対側の第2の方向に前記長手方向の軸から横方向にオフセットされた第2の弧状通路と、を含む第2のクリップ;
前記第1の弧状通路を通って延伸し、前記第1のクリップに接続された第1の端と、前記第2のクリップに接続された第2の端とを含む第1の付勢部材;及び
前記第2の弧状通路を通って延伸し、前記第1のクリップと前記第2のクリップとを付勢する第2の付勢部材;を含み、
前記第1および第2の付勢部材は、前記長手方向の軸から互いに横方向にオフセットされ、前記第1および第2の付勢部材は、前記第1のクリップと前記第2のクリップとを付勢して、前記第1のロッキング部材を前記第2のロッキング部材に付勢する、ロッキング機構。
【請求項2】
前記第1のクリップが、前記第2のクリップと同一であることを特徴とする、請求項1に記載のロッキング機構。
【請求項3】
前記第1のロッキング部材が平面を含み、平面はその近位端に形成された空洞を含む、請求項2に記載のロッキング機構。
【請求項4】
前記殻が第1の賦活開口部を含み、前記第1のクリップが、前記第1の賦活開口部を通り摺動するように延びている第1のボタンを含む、請求項1に記載のロッキング機構。
【請求項5】
前記第1のクリップが、前記ボタンに接続された第1の近位端と、第1の付勢部材支持部を含む第1の遠位端とを含む第1の本体を含む、請求項4に記載のロッキング機構。
【請求項6】
前記第1の近位端が第1の基部を含み、前記第1の遠位端がさらに前記第1のロッキング部材を含む、請求項5に記載のロッキング機構。
【請求項7】
前記付勢部材が、前記第1の基部と前記第1のロッキング部材との間に配置される、請求項6に記載のロッキング機構。
【請求項8】
前記殻が延伸した空洞を含み、前記第1のクリップ及び前記第2のクリップが前記空洞の内部に配置される、請求項4に記載のロッキング機構。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2016年6月15日に提出された仮出願第62/350,362号明細書の優先権を主張し、その全体をあらゆる目的のためにここに援用する。
【技術分野】
【0002】
【発明の分野】
【0003】
本発明は、容器、より具体的には例えば、医療装置を滅菌及び保管するために使用することができる滅菌容器に関する。
【0004】
【背景技術】
【0005】
滅菌容器は、ろ過された外気を滅菌処理の最中及び後に流入及び流出させることができる通気性フィルタ組立体を含む。使用後この容器は、再利用することが望ましい場合がある。しかし、フィルタ組立体の中のフィルタ材を交換して、清浄な空気がフィルタ組立体を通じて充分に移送されるようにすることが望ましいであろう。
【0006】
したがって、必要に応じて容易に除去及び交換することができるフィルタ組立体を含む滅菌容器の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
この、そして他の要求を満たすために、滅菌する装置、システム、及び方法が提供される。滅菌装置及びシステムは、滅菌容器、1つ以上のフィルタ、1つ又は複数のフィルタ保持板、並びに、滅菌容器にフィルタ及び/又は板を固定するよう設計された1つ又は複数のクリップ若しくはロックを含んでいてもよい。方法は、例えばオートクレーブ処理中に、滅菌容器を組み立てる及び/又は使用するステップを含んでいてもよい。
【0008】
1実施形態によれば、滅菌容器は、皿、蓋、フィルタ保持板、フィルタ保持クリップ、封止部、及びハンドルを含んでいてもよい。皿は、空気、湿熱/蒸気、又は他のオートクレーブガスを容器に通過させることができる孔を含む。保持板は、これらの穿孔領域上で皿に取り付けられ、フィルタ材を保持する。
【0009】
1実施形態では、滅菌容器は、殻と、殻内に摺動して挿入される第1のクリップとを備えたロッキング機構を含む。第1のクリップは、第1のロッキング部材を有する。第2のクリップは、殻内に摺動して挿入される。第2のクリップは、第2のロッキング部材を有する。付勢部材が、第1のクリップに接続する第1の端と、第2のクリップに接続する第2の端とを有することにより、付勢部材が、第1のクリップと第2のクリップとを付勢し、これにより第1のロッキング部材が第2のロッキング部材に向けて付勢されるようになっている。
【0010】
別の実施形態においては、滅菌容器は、ロッキング機構を含み、ロッキング機構は、第1の開口部と、第2の開口部と、第1の開口部と第2の開口部との間に延びる空洞とを有する殻を備えている。第1のクリップは、第1の開口部を通って延びる第1のボタンと、第1のボタンから遠位に延びる第1の延伸した基部と、第1の基部から延びる第1のスペーサと、第1のスペーサから上方に延びる第1の面とを有する。第1の面は、その第1の近位端に形成された第1の空洞を有する。第1の付勢部材支持部が、第1の延伸した基部と第1の面との間に配置されている。第2のクリップは、第1のクリップと同一である。付勢部材が、第1の付勢部材支持部に接続された第1の端と、第2の付勢部材支持部に接続された第2の端とを有する。
【0011】
さらに別の実施形態では、滅菌容器は、取り付け支柱とロッキング機構とを備えたロッキング組立体を含む。ロッキング機構は、殻と、殻の内部に摺動して挿入される第1のクリップとを備えている。第1のクリップは、取り付け支柱の第1の側に配置された第1のロッキング部材を有する。第2のクリップは、殻の内部に摺動して挿入される。第2のクリップは、第1のクリップと同一であり、取り付け支柱の反対側に配置されている。付勢部材が、第1のクリップに接続された第1の端と、第2のクリップに接続された第2の端とを有しており、この付勢部材は、第1のクリップと第2のクリップを付勢して取り付け支柱に係合させるようになっている。
【0012】
この「発明の概要」は、「発明を実施するための形態」において以下にさらに記載される簡略化された形態の概念を紹介するために提供される。この「発明の概要」は、特許請求された主題の鍵となる機能又は本質的な機能を特定することを意図したものではなく、特許請求された主題の範囲を限定するために使用されることを意図したものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の他の態様、機能、及び利点は、以下の詳細な記載、添付された特許請求の範囲、及び、同様の又は同一の構成要素を類似の参照番号によって特定している添付図面から、さらに完全に明らかになるであろう。
図1】第1の例示的な実施形態に係る滅菌容器の斜視図である。
図2図1に示す滅菌容器の正立面図である。
図3図1に示す滅菌容器の平面図である。
図4図1に示す滅菌容器の右側立面図である。
図5図1に示す容器と共に使用される蓋の底面斜視分解図である。
図6図5に示す蓋の上面斜視分解図である。
図7図1に示す容器の上面斜視分解図である。
図8図1に示す容器と共に使用されるフィルタ組立体の平面図である。
図9図8に示すフィルタ組立体の側立面図を示す。
図10図8に示すフィルタ組立体の上部分解図である。
図11図8の線11-11に沿ったフィルタ組立体の断面図である。
図12図8のフィルタ組立体に使用される封止部の拡大図であり、図11に示す拡大円12に沿ったものである。
図13図8のフィルタ組立体の拡大断面図であり、図2に示す拡大円13に沿ったものである。
図14】容器と共に使用される蓋クリップの拡大断面図であり、図2の拡大円14に沿ったものである。
図15図1の容器上に図8のフィルタ組立体を固定するのに使用されるロッキング機構の例示的な実施形態の分解図である。
図16図15に示すロッキング機構と共に使用されるクリップの分解斜視図である。
図17図16に示すクリップの底面図である。
図18図16に示すクリップの端立面図である。
図19図16に示すクリップの断面図であり、図17の線19-19に沿ったものである。
図20図16に示すクリップの平面図である。
図21図16に示すクリップの断面図であり、図20の線21-21に沿ったものである。
図22図15に示すロッキング機構の底面斜視図であり、その殻を外して、施錠位置にあるクリップを示す。
図23図22のロッキング機構の上面斜視図である。
図24図15に示すロッキング機構の底面斜視図であり、その殻を外して、非施錠位置にあるクリップを示す。
図25図24のロッキング機構の上面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図中、全体を通して、類似の数字は類似の構成要素を表示する。特定の用語が、本明細書で便宜上使用されているが、本発明を限定すると解釈されるものではない。その用語は、具体的に言及された単語、その派生語、及び同様の意味の単語を含む。以下に例示される実施形態は、網羅的であることを意図するものではなく、また開示された正確な形態に本発明を限定することを意図するものではない。これらの実施形態は、本発明の原理及びその応用及び実際の使用を最もよく説明するように、そして当業者が本発明を最大限に利用できるように選択及び記載される。
【0015】
本明細書において、「1実施形態」又は「実施形態」に言及する場合、その実施形態に関連して記載された特定の機能、構造、又は特徴が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれ得るということが意味される。本明細書の諸所において「1実施形態では」という語句が出現しても、これは必ずしもすべて同一の実施形態を指しているわけではなく、他の実施形態と相互に排他的な別個の又は代替の実施形態を指しているわけでもない。同じことが「実現」という用語にも当てはまる。
【0016】
本明細書で使用されているとおり、「例示的」という語は、ここでは、具体例、代表例、又は例示としての役割を果たすことを意味するのに使用される。本明細書において「例示的」と記載されている任意の態様又は設計は、他の態様又は設計よりも好ましい又は有利であると必ずしも解釈されない。むしろ、用語「例示的」の使用は、具体的な方式によって諸概念を表すものとする。
【0017】
さらに、用語「又は」は、排他的な「又は」ではなく、包含的な「又は」を意味するものとする。すなわち、別段の指定がない限り、又は文脈から明瞭であるというのではない限り、「XがA又はBを使用する」とは、自然な包含的入れ替えのいずれも意味するものとする。すなわち、XがAを使用する;XがBを使用する;又はXがAとBの両方を使用するならば、その場合、前例のいずれにおいても「XがA又はBを使用する」が満足される。さらに、本明細書及び添付の特許請求項において使用される冠詞「a」及び「an」は、別段の指定がない限り、又は単数形を指し示す文脈から明瞭であるというものでない限り、「1つ又は複数の」を意味すると一般に解釈されるものとする。
【0018】
特に明記しない限り、各数値及び範囲は、値又は範囲の値にあたかも「約」又は「おおよそ」に先行されるかのように近似的なものであると解釈されるものとする。
【0019】
特許請求項の解釈を容易にすることを目的として、特許請求項における図番号及び/又は図参照符号の使用により、特許請求される主題の考え得る1つ又は複数の実施形態が特定されるものとする。そうした使用によって、それらの特許請求項の範囲が、対応する図中に示される実施形態に限定されるとは必ずしも解釈されないものとする。
【0020】
本明細書に記載される例示的な方法のステップは、記載された順序で実行される必要は必ずしもなく、そのような方法のステップの順序は、単に例示的なものであると理解されるものとすることを理解されたい。同様に、そのような方法にはさらなるステップが含まれてもよく、本発明のさまざまな実施形態と一致する方法において、特定のステップが省略されても組み合わされてもよい。
【0021】
以下の方法請求項における構成要素は、もし存在する場合には、対応する表示の特定の順序で記載されるものの、それらの請求項による列挙が、構成要素の一部又は全部を実現するための特定の順序であることを示唆しているのでない限り、それらの構成要素は、その特定の順序で実現されるということに限定されるわけでは必ずしもないものとする。
【0022】
また、本記載の目的のために、用語「結合」、「結合する」、「結合した」、「接続」、「接続する」又は「接続した」は、2つ以上の構成要素を互いに直接的に又は間接的に結合又は接続する、当技術分野で既知の又はそれ以降に出現した方法を指し、1つ又は複数のさらなる構成要素が、必要ではないものの介在することが企図される。逆に、用語「直接的に結合した」、「直接的に接続した」は、そうしたさらなる構成要素が存在しないことを示唆する。
【0023】
本開示は、例えば、医療装置及び/又は機器を滅菌及び保管するのに使用することができる、オートクレーブ可能な容器の実施形態を提供する。この容器は、製品のグラフィックケースを蒸気滅菌サイクル時に保持するように、例えば、滅菌ラップを使用する代替として、特に構成されてもよい。
【0024】
本発明の容器の例示的な仕様は、例えば:蒸気滅菌等の滅菌媒体の透過が可能であり、標準的なオートクレーブ時間内で、滅菌により残留した湿気を乾燥させるのが可能であること;滅菌装置内のグラフィックケース内に置かれた装置及び機器を効果的に滅菌するように構成された最小フィルタ面積、例えば、176平方インチの最小フィルタ面積を有すること;1つ又は複数の製品のグラフィックケースが、ハンドルを直立させた状態で嵌合可能であること;標準的なフィルタサイズ及び不正開封防止機能付きロックを使用すること;大サイズの体重が11ポンド以下であること;そして積み重ね可能であること、を含んでいてもよい。
【0025】
このような容器は、滅菌処理時及びその後に容器内に又はそこから滅菌媒体、例えば蒸気及び空気を通過させることができるフィルタ組立体も含む。容器がその蓋で封止されている場合、フィルタ組立体は、容器上で湿熱が通過できる唯一の場所であってもよい。これにより、容器内の内容物はオートクレーブからいったん取り出された後も無菌状態に保たれる。
【0026】
1実施形態によれば、フィルタ組立体は、フィルタ組立体クリップを含んでいてもよく、これは、フィルタ組立体を容器上に確実に保持しつつ、フィルタ材の交換のためには容易に解放されて、フィルタ組立体を容器から取り外すことができるものである。
【0027】
図1~4を参照すると、第1の例示的な実施形態に係る容器100が示される。容器100は、病院用に従来からある滅菌ラップの代替となる。従来技術の容器に勝る容器100のいくつかの利点には、他に知られているいくつかの容器よりも軽量な設計であること;容器100の内部に置かれたケース(図示せず)のハンドルが直立状態を保持可能であるようにした蓋の設計により、外科スタッフが手術室環境内で容器100からケースを容易に持ち上げられること;皿の底面が蓋の形状を忠実に反映しており、これによって、保管用に第2の容器100を第1の容器100に簡単に積み重ね可能であること;標準的なフィルタと不正開封防止ロックを備えていることにより、病院では、容器100を滅菌処理部門と共通化するのが簡単であること;そして長寿命であることが立証されている施錠設計でること、が挙げられる。
【0028】
容器100は、それぞれ長手方向前及び後の側部102、104、それぞれ横方向右及び左の側部106、108、並びに底部の皿110を有する、概して平行六面体の構造である。側部102、104、106、108、及び底部の皿110によって空洞111が画定され、この空洞内に、製品のグラフィックケース(図示せず)などの物体が入れられて容器100内で保管されることになる。
【0029】
図5及び図6を参照すると、容器100を覆う取り外し可能な蓋120が備えられている。底部の皿110は、その外周に沿って延びる縁部112を含み、この縁部が、底部の皿110から下に向かって延びる突出部114を画定する。同様に、蓋120が縁部122を含み、この縁部が、蓋120の最上面126から下方に延びる凹部124を画定して、1つの容器100の突出部114が別の容器100の凹部124に収まるようにし、これにより複数の容器100を互いに積層することが可能となっている。
【0030】
各凹部124は、概して環状パターンに配置された複数の開口部128を2組、含む。開口部128により、蓋120の内部129に取り付けられたフィルタ組立体130への/からの、蓋120を介した通気が可能となる。ネジ穴132は各複数の開口部128内の中心に位置し、これにより、固定部材、例えばネジ134を通過させて、取り付け支柱135を蓋120に固定することができる。フィルタ組立体130は、空洞111内の空間の相当量を塞がないように、突出部114上に大きく突出しないような大きさとしている。
【0031】
同様に、図7を参照すると、突出部114は、概して環状パターンに配置された複数の開口部136を2組、含む。開口部136により、蓋110の内部138に取り付けられたフィルタ組立体130への/からの、底部の皿110を介した通気が可能となる。ネジ穴140は、各複数の開口部136内の中心に位置し、これにより、固定部材、例えばネジ142を通過させて、取り付け支柱144を底部の皿110に固定することができる。
【0032】
図8図13を参照すると、フィルタ組立体130は、外周152を有する概して円形の保持盤150と、中央ハブ154と、中央ハブ154を外周152に接続する複数のスポーク156とを含む。フィルタ材158は、隣接スポーク156の間に配置される。保持盤150は、さまざまなメーカーから提供される7.5インチ径の標準的なフィルタ材を保持する大きさとすることができる。
【0033】
外周152は、外側封止部162を受容し保持する大きさの凹型チャネル160を含む。外側封止部162は環状であり、外側唇部164と内側唇部166とを含む。外側封止部162は、シリコーン、ゴム、又は他の適切な封止材料から構成することができる。
【0034】
ハブ154は、内側封止部170を受容する大きさの凹面168を含む。ハブ154は、中央開口部172を含み、この中央開口部は、取り付け支柱135、144が延びて通過することができる大きさとなっている。同様に、内側封止部170は、中央開口部174を含み、この中央開口部も、取り付け支柱135、144が延びて通過することができる大きさとなっている。内側封止部170は、シリコーン、ゴム、又は他の適切な材料から構成することができる。
【0035】
図13を参照すると、取り付け支柱135が示されている。例示的な実施形態では、取り付け支柱144は、取り付け支柱135と同一であるので、取り付け支柱135についてのみ考察する。取り付け支柱135は、接続端189と自由端192とを含む。接続端189は、ネジ134が挿入されるネジ山付き袋小路194を含む。自由端192は、テーパー付き支持部196に取り付けられる切頭円錐形頭部195を含む。テーパー付き支持部196は、切頭円錐形頭部195の下に延びており、縁部198がその頭部195の下に形成されるようになっている。
【0036】
ハブ154は、ネジ178などの固定部材を受容するような大きさの一対の貫通開口部176も含む。ネジ178は、ロッキング機構179をハブ154に固定するのに使用される。
【0037】
図15~25を参照すると、ロッキング機構179は、2つの対向するボタン182、184を含み、これらは、互い向かって圧縮される場合にはロッキング機構179を解放し、解放される場合にはロッキング機構179をロックする。図16に示すように、ボタン180は、概して平行六面体形状であり、その側面は湾曲し、断面は楕円形を形成する。しかしながら当業者は、ボタン182がさらに他の形状であってもよいことを認識するであろう。
【0038】
ボタン182、184は、延伸した空洞188を有する殻186内に含まれる。図15に示すように、殻186は、空洞188の両側に、径方向に対向する一対の凹部187を含み、これによって、ネジ178(図10に示す)が殻186をハブ154に固定することができるようになっている。第1のクリップ190及び第2のクリップ191が、空洞188内で長手方向に動くよう、空洞188内に摺動して配置される。例示的な実施形態では、第1のクリップ190は第2のクリップ191と同一である。第1のクリップ190と第2のクリップ191は、殻186内に配置され、第1のクリップ190と第2のクリップ191は反対方向に移動するようになっており、これについては後でさらに詳しく考察する。
【0039】
空洞188の第1の側には、殻186が第1の起動開口部194を備え、これを通って第1のクリップ190上のボタン182が摺動可能に延びている。同様に、空洞188の第2の側には、殻186が第2の起動開口部196を備え、これは径方向に第1の起動開口部194と対向しており、これにより、空洞188が第1の起動開口部194と第2の起動開口部196の間に延び、第2の開口部を通って第2のクリップ191上のボタン184が摺動可能に延びている。
【0040】
第1のクリップ190を図16~21に示す。例示的な実施形態では、第1のクリップ190及び第2のクリップ191は同一であるため、第1のクリップ190についてのみ記載する。
【0041】
クリップ190は、ボタン182に接続された近位端200と、ロッキング部材203を含む遠位端202とを有する本体199を有する。本明細書で使用される用語「近位」は、それぞれボタン180、182に近いクリップ190、191上の位置であり、「遠位」は、それぞれボタン180、182から遠いクリップ190、191上の位置である。
【0042】
本体199は、ボタン182に接続されそこからから遠位に延びる延伸した基部204を含む。基部204は、長手方向の軸205の一つの側にのみ沿っており、延伸した空隙207(図20に示す)を含む。長手方向の軸205の反対側では、第2のクリップ191のための空間を設けるために本体は欠落している。スペーサ206が基部204から延び、そして図22及び図24に示すように、表面208がスペーサ206から延びる。表面208は、その近位端211に形成された空洞209を有する平面であり、表面208と空洞209とがロッキング部材203を形成するようになっている。空洞209は円弧状であり、取り付け支柱135上のテーパー付き支持部196と係合するよう面取りされている。クリップ190が取り付け支柱135と係合する場合、空洞209は、取り付け支柱135を一部囲むように延びている。
【0043】
第1の弧状通路217が、基部204と、スペーサ206と、表面208との間に延びている。第1の弧状通路217は、第1のバネ230などの付勢部材がその中に収まるような大きさとなっている。同様に、スペーサ206の反対側には、第2のバネ232が収まるような大きさの第2の弧状通路219が含まれる。随意に、貫通路234が、弧状通路217、219の間にあるスペーサ206の中に形成されてもよい。貫通路234により、本体199において使用される材料の量が削減され、本体199の重量が削減されることにより、クリップ190の円滑な動作が可能になる。
【0044】
図16を参照すると、基部204は複数のリブ220、222を含み、これらのリブは、殻186の底部に留まって、殻186内においてクリップ190を摺動可能にし、その場合の摩擦は、もしリブ220、222が省略されて基部204が直接係合して殻186内で摺動するとした場合よりも少ない。
【0045】
図19に示すように、第1のピン通路240が、表面208を通って、第1のピン差し込み口242と同軸に延びている。第1のピン通路240と第1のピン差し込み口242は、第1付勢部材支持部245を受容し保持する大きさであり、延伸した基部204と表面208との間の遠位端202で第1の弧状の通路217中に第1の付勢部材支持部245を配置するようになっている。同様に第2のピン通路244が、表面208を通って第2のピン差し込み口246と同軸に延びている。第2のピン通路244と第2のピン差し込み口246は、第2の付勢部材支持体247を受容し保持する大きさであり、延伸した基部204と表面208との間の第1の遠位端202で第2の弧状の通路219中に第2の付勢部材支持部247を配置するようになっている。
【0046】
上述のように、例示的な実施形態では、クリップ190とクリップ191は同一である。殻186内にクリップ190、191が組み立てられている場合、第1のクリップ190の表面208は、第2のクリップ191の対応する表面208と同一平面上にある。クリップ190上の空洞209とクリップ191上の対応する空洞209は、取り付け支柱135の係合に使用されるロッキング面を形成する。図15を参照されたい。
【0047】
第1の付勢部材230は、第1の付勢部材支持部245おいてクリップ190に接続する第1の端234と、第2の付勢部材支持部247においてクリップ191に接続する第2の端236とを含み、付勢部材230がクリップ190とクリップ191を付勢することによって、クリップ190上の表面208がクリップ191上の表面208に向けて付勢されるようになっている。例示的な実施形態では、第1の付勢部材230と第2の付勢部材232は、基部204と第1のロッキング部材203との間で、それぞれ第1の弧状通路217と第2の弧状通路219の中に配置された螺旋状のバネである。付勢部材230、232は、クリップ190上のロッキング部材203と、クリップ191上のロッキング部材203とを付勢して、取り付け支柱135に係合させる。図22を参照すると、付勢部材230の第1の部分240は、クリップ190を貫通して延びており、付勢部材230の残りの部分242は、クリップ191を貫通して延びている。
【0048】
ロッキング機構179がハブ154に取り付けられている場合、取り付け支柱135は、クリップ190の空洞209とクリップ191の空洞209との間に配置され、この場合、図13に示すようにロッキング機構179が、ロックされた位置にある場合には、第1のクリップ190の表面208と第2のクリップ191の第1の表面208は、取り付け支柱135に係合する。ロッキング機構179は、図22及び23ではロックされた位置で示されている。
【0049】
第1のボタン182と第2のボタン184が殻186内に移動することにより、クリップ190の表面208が取り付け支柱135から離れ第2のボタン182に向かって動くと共に、クリップ191の表面208が取り付け支柱135から離れ第1のボタン182に向かって動き、これにより、取り付け支柱135からロッキング機構179が解放され、ロッキング機構179を容器100又は蓋120から取り外すことができるようになる。図24及び25に、ロック解除位置にあるロッキング機構179を示す。この移動により、付勢部材230、232がそれぞれの取り付け支柱245、247の間で延ばされて、エネルギーが付勢部材230、232内に貯えられる。第1及び第2のボタン182、184が解放されると、付勢部材230、232に貯えられたエネルギーが解放され、これにより付勢部材230、232が圧縮され、各クリップ190、191のロッキング部材203が動いて取り付け支柱135に係合する。
【0050】
再び図14を参照すると、蓋120の縁部122は、その周りに延びる凹型チャネル210を含む。チャネル210は、容器100の右側106の蓋ロック212と、左側108の同様の蓋ロック212を受容するような大きさとなっている。補強部材213が、縁部122を覆うように位置しており、チャネル210内に延びる第1の端と、蓋120から外方に縁部122の端まで延びる第2の端とを有する。補強部材213は、アルミニウム、ステンレス鋼、又は他の適切な材料から構成することができる。
【0051】
縁部122は、封止部218を受容して保持するようなサイズである凸部214も含む。蓋120が容器100に固定されている場合、封止部218は、容器100と蓋との間の空間を封止する。封止部218は、シリコーン、ゴム、又は他の適切な材料から構成することができる。
【0052】
図2、4、及び14を参照すると、蓋ロック212は、補強部材213を係合する自由端252を有する施錠部250を含み、これは図14に示すとおりである。施錠部250の対向端は、回転軸266においてレバー264へのカム機構となっており、図2に示す位置までレバー264が押し下げられると、自由端252が補強部材213に対して下方に付勢され、蓋120が容器100に固定されるようになっている。施錠部250を解放するには、レバー264を押し上げて、回転軸266のカム動作を解除し、自由端252を縁部122の上まで起こして、自由端252が、回転軸266のまわりに回転して蓋120から離れられるようにする。
【0053】
再び図14を参照すると、ハンドル組立体260が、側壁106に回転可能に接続されている。ハンドル組立体260は、リベット、化学結合、又は他の適切な接続機構などにより側壁106に直接的に接続された枠262を含む。
チャネル264は枠262に接続される。チャネル264は、ハンドル268の回転端266を支持する。ハンドル268の回転端266は、蓋ロック212よりも広く、ハンドル268が蓋ロック212の外周の周りに延びることができようになっており、これは図4に示すとおりである。ハンドル268は、概して「U-字形状」であり、その両端はチャネル264内に緩やかに延びており、図4に示す位置からハンドル268が蓋ロック212の下に延びている位置まで、ハンドル268がチャネル264内で約180度回転することができるようになっている。
【0054】
また提供されるのは、滅菌容器と、滅菌容器内に配置されるケースと、グラフィックケース内で受容されるように、そして例えば、オートクレーブ処理を使用して滅菌されるように構成された医療装置及び機器とを含む滅菌システム及びキットを組み立てる並びに使用する方法である。
【0055】
本発明の性質を説明するために記載され説明された部分の詳細、材料、及び配置におけるさまざまな変更は、以下の特許請求項で表現される本発明の趣旨から逸脱することなく当業者によってなされ得ることは、さらに理解されるであろう。
図1
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