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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】患者移転デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61G 1/003 20060101AFI20220114BHJP
   A61G 7/053 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
A61G1/003 701
A61G7/053
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020518401
(86)(22)【出願日】2018-09-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 US2018053180
(87)【国際公開番号】W WO2019067758
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-09-07
(31)【優先権主張番号】62/563,898
(32)【優先日】2017-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520104167
【氏名又は名称】シガ イノベーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】エマーソン, アーロン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト, タイ エー.
(72)【発明者】
【氏名】ラスト, マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ニザール, ハキーム
【審査官】小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0123384(US,A1)
【文献】特表2014-518735(JP,A)
【文献】特表2006-507027(JP,A)
【文献】米国特許第04087873(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 1/003
A61G 7/053
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移転デバイスであって、前記移転デバイスは、
筐体であって、前記筐体は、
第1および第2の対向している端部に結合された第1および第2の対向している側部であって、前記端部は、前記筐体が前記第1の側部に近接した第1の表面と前記第2の側部に近接した第2の表面との間の距離に及ぶように寸法を決定されている、第1および第2の対向している側部と、
前記第1および第2の対向している側部と前記第1および第2の対向している端部とに取り付けられたパネルであって、前記パネルは、構造剛性を前記筐体に提供する円周補強部を有する、パネルと
を備えている、筐体と、
少なくとも部分的に前記筐体内に位置付けられ、それに結合されたデッキと、
前記デッキ周りの運動のために配置された連続ベルトと
を備え、
前記連続ベルトは、前記筐体の第1の側部における第1の表面から前記筐体の第2の側部における第2の表面に身体を移すように構成されており、
前記パネルは、前記筐体の底部上に配置された水平基部を画定する基部構造を備え、
前記円周補強部は、前記筐体の前記基部の周辺の周りに延びている統合された垂直側壁を備え、
前記統合された垂直側壁は、前記筐体の前記第1および第2の対向している側部と前記第1および第2の対向している端部とに取り付けられている、移転デバイス。
【請求項2】
前記筐体の外部からアクセス可能でない複数の水平に向けられた留め具をさらに備え、前記留め具は、前記パネルと、前記筐体の前記第1および第2の対向している側部と、前記筐体の前記第1および第2の対向している端部とを一緒に接合している、請求項1に記載の移転デバイス。
【請求項3】
前記筐体の前記第1および第2の側部の各々は、集中する上部および底部斜面を有する輪郭が付けられた縁領域を備え、前記集中する上部および底部斜面は、前記第1の表面から前記第2の表面への前記身体の移転における前記身体との人間工学的相互作用のために選択されており、前記筐体の前記第1および第2の側部の各々は、摩擦を提供し、前記身体の移転中、前記移転デバイスを前記第1および第2の表面のうちの少なくとも1つに対して実質的に静止した状態に保つ表面処理または材料をさらに備えている、請求項1に記載の移転デバイス。
【請求項4】
前記筐体の外部周辺を流体または異物の進入からシールするガスケットをさらに備え、前記筐体の外部周辺は、流体シールを備えている、請求項1に記載の移転デバイス。
【請求項5】
前記連続ベルトは、前記デッキの周りに双方向運搬関係に配置され、前記連続ベルトは、移転シートを前記筐体の中に挿入するための1つの方向と、前記身体を前記筐体の前記第1の側部における前記第1の表面から前記筐体の前記第2の側部における前記第2の表面に移すための反対方向とにおける運動のために構成されている、請求項1に記載の移転デバイス。
【請求項6】
1つ以上の耐衝撃性角部材をさらに備え、前記1つ以上の耐衝撃性角部材は、それに入射する衝撃エネルギーを前記筐体の中に消散させるように適合され、前記耐衝撃性角部材は、前記筐体の1つ以上の角に配置されたエラストマ構成要素を備えている、請求項1に記載の移転デバイス。
【請求項7】
前記デッキの第1および第2の側部に沿って延びている第1および第2の細長いローラをさらに備え、前記第1および第2の細長いローラは、前記デッキの過剰なたわみに起因する前記第1および第2の細長いローラと前記デッキの前記第1および第2の側部との間の接触を低減させる距離だけ、前記デッキの前記第1および第2の側部から間隔を置かれている、請求項1に記載の移転デバイス。
【請求項8】
前記デッキは、実質的に対称である上部および底部主表面を備え、前記デッキは、前記筐体の端部フレーム部材からの解放および除去のために、前記筐体の前記端部フレーム部材に取り付け可能であり、
前記デッキは、前記実質的に対称である上部および底部主表面に関して、かつ前記端部フレーム部材に関して、前記筐体内での配置において表裏兼用である、請求項1に記載の移転デバイス。
【請求項9】
前記デッキは、実質的に連続した上部および底部表面を備え、前記上部または底部表面のいずれにおいても、アクセス可能な機械的留め具またはデッキアセンブリハードウェアを欠いている、請求項1に記載の移転デバイス。
【請求項10】
前記デッキは、前記上部および底部表面を画定する押し出し成形されたポリマーデッキ本体を備えているか、または、
前記デッキは、前記デッキの前記上部および底部表面を画定するための一緒に結合された2つの実質的に対称であるパネル構造を備え、複数の統合された構造リブ部材が、前記2つの実質的に対称であるパネル構造間に延びている、請求項に記載の移転デバイス。
【請求項11】
前記連続ベルトの内側部分上に配置された低摩擦表面材料であって、前記低摩擦表面材料は、前記連続ベルトの内側部分と前記デッキの上部表面との間の摩擦を低減させるように選択されている、低摩擦表面材料と、
前記連続ベルトの露出表面上に配置された1つ以上の視覚的整列ガイドであって、前記1つ以上の視覚的整列ガイドは、前記ベルト上に設置され、前記身体を前記連続ベルト上で移すために適合された移転シートの整列を誘導するように構成されている、1つ以上の視覚的整列ガイドと、
前記連続ベルトの1つ以上の外側縁上の補強構造であって、前記縁は、摩滅に抵抗し、前記連続ベルトを前記デッキに対して定位置に維持するための緊張を提供するように適合されている、補強構造と
のうちの1つ以上のものをさらに備えている、請求項1に記載の移転デバイス。
【請求項12】
前記連続ベルトの内側表面および前記デッキの外側表面の一方または両方上のテクスチャ加工をさらに備え、前記テクスチャ加工は、前記連続ベルトの内側表面と前記デッキの外側表面との間の接触の表面積を低減させ、それによって、前記連続ベルトと前記デッキとの間の摩擦を低減させるように選択されている、請求項1に記載の移転デバイス。
【請求項13】
前記筐体の組立のために適合された複数の機械的接続点をさらに備え、前記機械的接続点は、前記筐体の外部からアクセス不可能な前記筐体の内部表面に沿って配置され、前記移転デバイスは、組み立てられると、前記移転デバイスの外側に露出された機械的留め具構成要素を有していない、請求項1に記載の移転デバイス。
【請求項14】
前記パネルと前記筐体との間の1つ以上の外部に露出された継ぎ目に沿って配置された1つ以上のガスケットをさらに備え、前記ガスケットは、前記筐体を流体および汚染物質進入に対してシールするように適合されている、請求項1に記載の移転デバイス。
【請求項15】
身体を第1の表面から第2の表面に移す方法であって、前記方法は、
前記第1の表面と前記第2の表面との間の距離に移転デバイスを架け渡すことであって、前記移転デバイスは、
第1および第2の対向している端部に結合された第1および第2の対向している側部を伴う筐体であって、前記第1の表面は、前記第1の側部に近接し、前記第2の表面は、前記第2の側部に近接している、筐体と、
前記第1および第2の対向している側部と前記第1および第2の対向している端部とに結合された円周補強部を有するパネルであって、前記円周補強部は、前記身体が装填されているときの前記移転デバイスに構造剛性を提供する、パネルと、
デッキの周りに配置された連続ベルトであって、前記デッキは、少なくとも部分的に前記筐体内に位置付けられ、前記筐体によって支持されている、連続ベルトと
を備えている、ことと、
前記身体を前記連続ベルト上で前記第1の表面から前記第2の表面に移すことと
を含み、
前記身体は、前記デッキによって前記距離をまたいで支持されており、
前記パネルは、前記筐体の底部上に配置された水平基部を画定する基部構造を備え、前記円周補強部は、前記筐体の前記基部の周辺の周りに延びている統合された垂直側壁を備え、前記統合された垂直側壁は、前記筐体の前記第1および第2の対向している側部と前記第1および第2の対向している端部とに取り付けられている、方法。
【請求項16】
前記パネルの底部上に画定された摩擦表面に沿って前記第1および第2の表面と接触して前記移転デバイスを位置付けることをさらに含み、前記摩擦表面は、前記身体を移す間、前記移転デバイスの位置を前記第1および第2の表面に対して維持するように適合されている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
シート材を前記連続ベルトに取り付け、前記シート材の一部を前記連続ベルト上で前記筐体の中に挿入することをさらに含み、前記身体は、前記身体を移す間、前記デッキによって、前記連続ベルトに取り付けられた前記シート材上に支持されている、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記デッキを前記筐体から除去することと、前記デッキの向きを逆転させることと、少なくとも部分的に前記筐体内に前記デッキを再位置付けし、前記筐体によって支持されることとをさらに含み、前記デッキの上部および底部表面、対向している側部、または対向している端部は、逆転されている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第1および第2の細長いローラを前記連続ベルト内に係合することであって、前記第1および第2のローラは、前記デッキの対向している端部からその中央部分へ増加する許容差だけ、前記デッキの対向している側部から間隔を置かれている、ことと、
前記ベルトを前記第1および第2の細長いローラと回転係合させることと
をさらに含み、
前記許容差は、前記第1の表面から前記第2の表面に前記デッキによって支持された前記身体を移す間、前記細長いローラのたわみ時の前記細長いローラと前記デッキの前記対向している側部との間のクリアランスを維持する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、参照することによって、全体として、かつあらゆる目的のために本明細書に組み込まれる2017年9月27日に出願された米国仮出願第62/563,898号「PATIENT TRANSFER DEVICE」の優先権を主張する。
(分野)
【0002】
本開示は、概して、病院および臨床環境ならびに他の医療または患者処置設定における患者搬送に関する。特に、本開示は、例えば、手術室、または検査、実験室、治療、もしくは回復場所において、ベッドまたはストレッチャー間で患者を1つの表面から別の表面に移すための患者移転デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
病院の日々の業務では、患者は、1つの表面から別の表面に頻繁に移動させられる。多くの事例では、患者は、歩行可能ではなく、看護および/または医療スタッフの補助を伴ってストレッチャーを介して移動させられる。例えば、患者が、外科手術を受けるとき、歩行可能患者でさえ、業務上、および/または、麻酔の影響、もしくは手技から生じる、またはそれに関連する必然的条件に起因して、歩行不能として扱われ得る。
【0004】
歩行不能患者は、典型的に、患者を新しいエリアに移動させる必要性が存在するときはいつでも、ストレッチャーを介して移動させられる。例えば、外科手術後、看護および/または医療スタッフは、典型的に、手術室から回復室に搬送するために、患者をストレッチャーに移す。概して、患者は、回復室に居る間、ストレッチャー上に留まる。回復時、患者は、ストレッチャー上で病室に移動させられる。病室に入ると、患者は、看護および/または医療スタッフによって、ストレッチャーから病院用ベッドに移動させられる。
【0005】
患者を移動させるために使用されるいくつかの従来技術デバイスが、米国特許第8,782,826号(特許文献1)、第9,101,521号(特許文献2)、および第9,114,050号(特許文献3)(全て、本出願人に譲渡されている)に開示されている。本開示は、これらの従来技術デバイスの改良および/または代替を提供するデバイスを開示する。特に、本設計は、重い患者(現在、より一般に遭遇される)の負荷下における構造のさらなる安定性と、汚染物質侵入を防止し、デバイスの清掃を促進し、感染症の拡散を低減させるための改良とを達成することに対処する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第8,782,826号明細書
【文献】米国特許第9,101,521号明細書
【文献】米国特許第9,114,050号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に説明される種々の実施例および実施形態は、病院の手術室、ならびに他の臨床、実験室、検査、治療、搬送、および回復環境において、表面間、例えば、ベッド、ストレッチャー、または他の場所間で患者もしくは他者の身体を移すための患者移転デバイスに関する。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
移転デバイスであって、前記移転デバイスは、
筐体であって、前記筐体は、
第1および第2の対向している端部に結合された第1および第2の対向している側部であって、前記端部は、前記筐体が前記第1の側部に近接した第1の表面と前記第2の側部に近接した第2の表面との間の距離に及ぶように寸法を決定されている、第1および第2の対向している側部と、
前記第1および第2の対向している側部と前記第1および第2の対向している端部とに取り付けられたパネルであって、前記パネルは、構造剛性を前記筐体に提供する円周補強部を有する、パネルと
を備えている、筐体と、
少なくとも部分的に前記筐体内に位置付けられ、それに結合されたデッキと、
前記デッキ周りの運動のために配置された連続ベルトと
を備え、
前記連続ベルトは、前記筐体の第1の側部における第1の表面から前記筐体の第2の側部における第2の表面に身体を移すように構成されている、移転デバイス。
(項目2)
前記パネルは、前記筐体の底部上に配置された水平基部を画定する基部構造を備え、
前記円周補強部は、前記筐体の基部の周辺の周りに延びている垂直側壁を備え、
前記垂直側壁は、前記筐体の前記第1および第2の対向している側部と前記第1および第2の対向している端部とに取り付けられている、項目1に記載の移転デバイス。
(項目3)
前記筐体の外部からアクセス可能でない複数の水平に向けられた留め具をさらに備え、前記留め具は、前記パネルと、前記筐体の前記第1および第2の対向している側部と、前記筐体の前記第1および第2の対向している端部とを一緒に接合している、項目1に記載の移転デバイス。
(項目4)
前記筐体の前記第1および第2の側部の各々は、集中する上部および底部斜面を有する輪郭が付けられた縁領域を備え、前記集中する上部および底部斜面は、前記第1の表面から前記第2の表面への前記身体の移転における前記身体との人間工学的相互作用のために選択されており、前記筐体の前記第1および第2の側部の各々は、摩擦を提供し、前記身体の移転中、前記移転デバイスを前記第1および第2の表面のうちの少なくとも1つに対して実質的に静止した状態に保つ表面処理または材料をさらに備えている、項目1に記載の移転デバイス。
(項目5)
前記筐体の外部周辺を流体または異物の進入からシールするガスケットをさらに備え、前記筐体の外部周辺は、流体シールを備えている、項目1に記載の移転デバイス。
(項目6)
前記連続ベルトは、前記デッキの周りに双方向運搬関係に配置され、前記連続ベルトは、移転シートを前記筐体の中に挿入するための1つの方向と、前記身体を前記筐体の前記第1の側部における前記第1の表面から前記筐体の前記第2の側部における前記第2の表面に移すための反対方向とにおける運動のために構成されている、項目1に記載の移転デバイス。
(項目7)
1つ以上の耐衝撃性角部材をさらに備え、前記1つ以上の耐衝撃性角部材は、それに入射する衝撃エネルギーを前記筐体の中に消散させるように適合され、前記耐衝撃性角部材は、前記筐体の1つ以上の角に配置されたエラストマ構成要素を備えている、項目1に記載の移転デバイス。
(項目8)
前記デッキの第1および第2の側部に沿って延びている第1および第2の細長いローラをさらに備え、前記第1および第2の細長いローラは、前記デッキの過剰なたわみに起因する前記第1および第2の細長いローラと前記デッキの前記第1および第2の側部との間の接触を低減させる距離だけ、前記デッキの前記第1および第2の側部から間隔を置かれている、項目1に記載の移転デバイス。
(項目9)
前記デッキは、実質的に対称である上部および底部主表面を備え、前記デッキは、前記筐体の端部フレーム部材からの解放および除去のために、前記筐体の前記端部フレーム部材に取り付け可能であり、
前記デッキは、前記実質的に対称である上部および底部主表面に関して、かつ前記端部フレーム部材に関して、前記筐体内での配置において表裏兼用である、項目1に記載の移転デバイス。
(項目10)
前記デッキは、実質的に連続した上部および底部表面を備え、前記上部または底部表面のいずれにおいても、アクセス可能な機械的留め具またはデッキアセンブリハードウェアを欠いている、項目1に記載の移転デバイス。
(項目11)
前記デッキは、前記上部および底部表面を画定する押し出し成形されたポリマーデッキ本体を備えているか、または、
前記デッキは、前記デッキの前記上部および底部表面を画定するための一緒に結合された2つの実質的に対称であるパネル構造を備え、複数の統合された構造リブ部材が、前記2つの実質的に対称であるパネル構造間に延びている、項目10に記載の移転デバイス。
(項目12)
前記連続ベルトの内側部分上に配置された低摩擦表面材料であって、前記低摩擦表面材料は、前記連続ベルトの内側部分と前記デッキの上部表面との間の摩擦を低減させるように選択されている、低摩擦表面材料と、
前記連続ベルトの露出表面上に配置された1つ以上の視覚的整列ガイドであって、前記1つ以上の視覚的整列ガイドは、前記ベルト上に設置され、前記身体を前記連続ベルト上で移すために適合された移転シートの整列を誘導するように構成されている、1つ以上の視覚的整列ガイドと、
前記連続ベルトの1つ以上の外側縁上の補強構造であって、前記縁は、摩滅に抵抗し、前記連続ベルトを前記デッキに対して定位置に維持するための緊張を提供するように適合されている、補強構造と
のうちの1つ以上のものをさらに備えている、項目1に記載の移転デバイス。
(項目13)
前記連続ベルトの内側表面および前記デッキの外側表面の一方または両方上のテクスチャ加工をさらに備え、前記テクスチャ加工は、前記連続ベルトの内側表面と前記デッキの外側表面との間の接触の表面積を低減させ、それによって、前記連続ベルトと前記デッキとの間の摩擦を低減させるように選択されている、項目1に記載の移転デバイス。
(項目14)
前記筐体の組立のために適合された複数の機械的接続点をさらに備え、前記機械的接続点は、前記筐体の外部からアクセス不可能な前記筐体の内部表面に沿って配置され、前記移転デバイスは、組み立てられると、前記移転デバイスの外側に露出された機械的留め具構成要素を有していない、項目1に記載の移転デバイス。
(項目15)
前記パネルと前記筐体との間の1つ以上の外部に露出された継ぎ目に沿って配置された1つ以上のガスケットをさらに備え、前記ガスケットは、前記筐体を流体および汚染物質進入に対してシールするように適合されている、項目1に記載の移転デバイス。
(項目16)
身体を第1の表面から第2の表面に移す方法であって、前記方法は、
前記第1の表面と前記第2の表面との間の距離に移転デバイスを架け渡すことであって、前記デバイスは、
第1および第2の対向している端部に結合された第1および第2の対向している側部を伴う筐体であって、前記第1の表面は、前記第1の側部に近接し、前記第2の表面は、前記第2の側部に近接している、筐体と、
前記第1および第2の対向している側部と前記第1および第2の対向している端部とに結合された円周補強部を有するパネルであって、前記円周補強部は、前記身体が装填されているときの前記移転デバイスに構造剛性を提供する、パネルと、
デッキの周りに配置された連続ベルトであって、前記デッキは、少なくとも部分的に前記筐体内に位置付けられ、前記筐体によって支持されている、連続ベルトと
を備えている、ことと、
前記身体を前記連続ベルト上で前記第1の表面から前記第2の表面に移すことと
を含み、
前記身体は、前記デッキによって前記距離をまたいで支持されている、方法。
(項目17)
前記パネルの底部上に画定された摩擦表面に沿って前記第1および第2の表面と接触して前記移転デバイスを位置付けることをさらに含み、前記摩擦表面は、前記身体を移す間、前記移転デバイスの位置を前記第1および第2の表面に対して維持するように適合されている、項目16に記載の方法。
(項目18)
シート材を前記連続ベルトに取り付け、前記シート材の一部を前記連続ベルト上で前記筐体の中に挿入することをさらに含み、前記身体は、前記身体を移す間、前記デッキによって、前記連続ベルトに取り付けられた前記シート材上に支持されている、項目16に記載の方法。
(項目19)
前記デッキを前記筐体から除去することと、前記デッキの向きを逆転させることと、少なくとも部分的に前記筐体内に前記デッキを再位置付けし、前記筐体によって支持されることとをさらに含み、前記デッキの上部および底部表面、対向している側部、または対向している端部は、逆転されている、項目18に記載の方法。
(項目20)
第1および第2の細長いローラを前記連続ベルト内に係合することであって、前記第1および第2のローラは、前記デッキの対向している端部からその中央部分へ増加する許容差だけ、前記デッキの対向している側部から間隔を置かれている、ことと、
前記ベルトを前記第1および第2の細長いローラと回転係合させることと
をさらに含み、
前記許容差は、前記第1の表面から前記第2の表面に前記デッキによって支持された前記身体を移す間、前記細長いローラのたわみ時の前記細長いローラと前記デッキの前記対向している側部との間のクリアランスを維持する、項目16に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、本開示の種々の実施形態による移転デバイスの斜視図である。
【0009】
図1B図1Bは、患者移転において使用するために位置付けられる移転シートを伴う移転デバイスを示す別の斜視図である。
【0010】
図2図2は、図1の実施形態による移転デバイスの上面図である。
【0011】
図3図3は、図1の実施形態による移転デバイスの底面図である。
【0012】
図4図4は、図1の実施形態による移転デバイスの分解図である。
【0013】
図5図5は、図1の実施形態による移転デバイスの筐体の斜視図である。
【0014】
図6図6は、図5の実施形態による支持デバイスの構造パネルの斜視図である。
【0015】
図7図7は、図6の実施形態による構造パネルの一部の詳細図である。
【0016】
図8図8は、図6の実施形態による構造パネルの別の斜視図である。
【0017】
図9図9は、図1の実施形態による移転デバイスの詳細断面図である。
【0018】
図10図10は、本開示の代替実施形態による移転デバイスの詳細断面図である。
【0019】
図11図11は、図1の実施形態による移転デバイスの詳細断面図である。
【0020】
図12図12は、図1の実施形態による移転デバイスの詳細断面図である。
【0021】
図13図13は、図5の実施形態による角緩衝材を伴わない筐体の斜視図である。
【0022】
図14図14は、図5の実施形態による筐体の詳細断面図である。
【0023】
図15図15は、図5の実施形態による上側筐体シェルが除去されている筐体の詳細斜視図である。
【0024】
図16図16は、図1の実施形態による移転デバイスのデッキの斜視部分切断図である。
【0025】
図17図17は、図16の実施形態によるデッキの上部平面図である。
【0026】
図18図18は、本開示の代替実施形態による移転デバイスのデッキの上部平面図である。
【0027】
図19図19は、図1の実施形態によるローラおよびデッキの周囲に巻き付けられたベルトの詳細断面図である。
【0028】
図20図20は、図1の実施形態による移転デバイスの連続ベルトの斜視図である。
【0029】
図21A図21Aは、図5の実施形態によるリブを含む移転デバイスの筐体の斜視図である。
【0030】
図21B図21Bは、図21Aの実施形態による移転デバイスの構造パネルの斜視図である。
【0031】
図22図22は、図17の実施形態によるより少ないリブを伴う移転デバイスのデッキの斜視図である。
【0032】
図23図23は、図22の実施形態による図22における線23-23に沿って得られた、移転デバイスのデッキの断面図である。
【0033】
図24図24は、図22の実施形態による移転デバイスのデッキの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1Aは、患者搬送システム、装置、アセンブリ、またはデバイス100(限定ではなく、明確にするために、「移転デバイス」)の斜視図である。図1Bは、患者移転において使用するために位置付けられる移転シート300を伴う移転デバイス100を示す代替斜視図である。
【0035】
患者搬送システムまたは移転デバイス100は、デッキアセンブリ102と、デッキアセンブリ102を支持するための筐体104とを含む。デッキアセンブリ102は、デッキ(例えば、図16-18におけるデッキ130または132参照)と、1つの表面から隣接する表面への患者の移転を促進するために、デッキの周りに走らされた連続ベルト106とを含む。例えば、ベルトまたはウェビング106は、筐体104に対して移動可能であり、筐体104の片側から筐体104の反対側への患者の移転を促進し得る。
【0036】
図1Bに示されるように、シート材300(例えば、使い捨て移転シート)が、移転デバイス100の上部に、および部分的にその中に位置付けられ得、デバイス100は、患者が移動させられることになる第1の患者支持表面321と第2の患者支持表面322との間の間隙または距離DSをまたいで延びている。筐体104は、シート材300を下にある表面321、322から遮蔽し、患者を1つの表面から別の表面に運搬する間、筐体104からのシート材300の清潔な除去を確実にする。ベルト106への除去可能取り付けは、シート材300が、移転中、ベルトとともに移動し、患者とともに留まる一方、デッキアセンブリ102(ベルト106を含む)および筐体104は、移転後、除去されることを可能にする。
【0037】
シート材300は、吸収性層を備え、患者移転を実施する人物によって握持され得るその露出された縁357における材料の層も有し得る。移転を設定するために、接着剤の1つ以上の下面パッチ(露出された縁357に隣接する下面パッチ355に匹敵する)を有し得る露出された縁357と反対側のシートの縁が、ベルト106を横断して設置され、ベルト106に接着させられ得る。ベルト106は、対向する間隔を置かれたローラ118、120(図1Aにおけるベルト106の下にある)の周りの双方向運動のために構成される。
【0038】
シート300が、ベルト106に接着させられると、デバイスが、患者に適用される前、ベルト106が、シート300の一部を筐体104の中に引き込むか、または挿入するために回転させられ得る。その後、シート300が挿入された搬送デバイス100の縁が開始側表面321上に置かれた患者の下に設置され(典型的に、開始側表面上で患者の側面を一時的に上にするように患者を回転させることによって)、それによって、背中が下になるように患者を回転させると、患者の体重の大部分は、シート300および下にあるベルト106上に置かれるようになる。
【0039】
患者の移動は、開始側表面321に最も近い患者の側の「押す」人(例えば、看護および/または医療スタッフ)によって始動され、目的地側表面322に最も近い患者の側の「引っ張る」人(例えば、看護および/または医療スタッフ)によって完了され得る。「押す」人は、力を患者(例えば、患者の側面)に加えることによって、患者移転を始動させ得、「引っ張る」人は、患者の片側のシート材300の縁を握持し、それぞれの縁を引っ張り、移転デバイス100を横断して第1の(開始側)表面321から第2の(目的地側)表面322に(例えば、手術台または実験室もしくは検査ステーションからベッドまたはストレッチャーに)患者を移動させ得る。
【0040】
ベルト106は、シート300の挿入のためのベルト運動方向と反対の矢印320によって示される方向へのシート材300の移動に従うことによって、シート300上の患者を運搬し、目的地側表面322への患者移転をもたらし得る。シート材300は、完全または部分的に補強され、例えば、標的化された材料完全性を提供し、ベッド表面上の患者の位置を上昇または別様に調節することによって、随意の移転後利便性をスタッフに提供し得る。移転デバイス100は、引っ張りが生じ得る縁の引っ張り強度を限定することによって、引っ張る人による患者移転の始動を阻止し、それによって、引っ張る人を保護し得る(すなわち、引っ張る人から離れて位置している負荷を移動させることは、引っ張る人の肩および背中に負荷/応力を移し得、肩および背中は、一般的かつ代償の大きい傷害リスクのエリアである)。
【0041】
図2は、移転デバイス100の上面図である。図3は、移転デバイス100の底面図である。ここで図1-3を参照し、移転デバイス100が、さらに説明されるであろう。
【0042】
筐体104は、概して、第1の表面と第2の表面との間の距離DSに及ぶように寸法を決定される。筐体104は、第1の細長い側部フレーム(またはフレーム部材)108と、第2の細長い側部フレーム(またはフレーム部材)110と、第1の細長い端部フレーム(またはフレーム部材)112と、第2の細長い端部フレーム(またはフレーム部材)114とを含む。端部フレーム部材112、114は、側部フレーム部材108、110に取り付けられ、筐体104の周辺構造を形成し、パネル116が、フレーム部材108、110、112、114間に及び、それに取り付けられ、筐体104の底部を形成する。
【0043】
概して、側部フレーム部材108、110は、患者の身長寸法に沿って延び、端部フレーム部材112、114は、第1の表面と第2の表面との間の距離をまたいで延びている。筐体104は、第1の表面と第2の表面との間の距離に及ぶ間、故障しないような強度を有するように、十分な強度で作製される。筐体104は、第1の表面から第2の表面へのその移転における患者との人間工学的相互作用のために選択された集中する上部および底部斜面を有する輪郭が付けられた縁領域を含み得る。
【0044】
デッキアセンブリ102は、筐体104の第1の細長いフレーム部材108の近くでデッキ構造(例えば、図16-18におけるデッキ130または132)の一方の側に沿ってベルト106の下に位置付けられた第1の細長いローラ118と、筐体104の第2の細長いフレーム部材110の近くでデッキの別の反対の側に沿ってベルト106の下に位置付けられた第2の細長いローラ120とを含み得る。代替として、ローラなしデッキアセンブリ102が、提供され、低摩擦支承表面が、一方または両方のローラ118、120に取って代わり得る。
【0045】
図4は、例えば、図1の実施形態による移転デバイス100の分解図である。図4に示されるように、連続ベルト106は、ベルト106が、ローラ118、120に対して運搬関係に位置付けられるように、ローラ118、120の上に適合する。
【0046】
一対のコネクタプレート122、124が、細長いローラ118、120およびデッキのそれぞれの端部に取り付けられ得、ローラ118、120は、コネクタプレート122、124およびデッキに対して回転可能である。コネクタプレート122、124は、概して、互いに間隔を置かれ、平行にローラ118、120を維持する。コネクタプレート122のうちの一方は、第1の端部フレーム部材112に取り付け可能であり、他方のコネクタプレート124は、第2の端部フレーム部材114に取り付け可能であり、それによって、デッキアセンブリ102を筐体104に取り付ける。コネクタプレート122、124は、例えば、清掃のためのデッキアセンブリ102の筐体104からの除去を可能にする保持/解放機構を含み得る。
【0047】
第1および第2のローラ118、120とデッキ(例えば、図16-18におけるデッキ130、132)とは、連続ベルト106の内部に位置付けられる。連続ベルト106の一部は、移転デバイス100を横断して患者を運搬する一方、連続ベルト106の残りの部分は、筐体104とデッキとの間を通る。筐体104とデッキとの間を通ることによって、連続ベルト106は、第1の表面または第2の表面(患者は、そこからまたはそこに移される)に接触せず、それによって、第1および第2の表面間の材料の相互汚染を低減させる。
【0048】
筐体104の第1および第2の側部フレーム(またはフレーム部材)108、110の指定は、恣意的であり、第1および第2の端部フレーム(またはフレーム部材)112、114、および第1および第2のローラ118、120の指定も同様であることに留意されたい。これらの指定のいずれかまたは全ては、一般性を失うことなく、入れ替えられ、または逆にされ得る。例えば、デッキアセンブリ102は、筐体104の第1の側部フレーム部材108から第2の側部部材110、または第2の側部部材110から第1の側部部材108のいずれかの方向において、患者を移すように構成され得る。筐体104も、水平または垂直平面のいずれかもしくは両方において回転させられ、例えば、第1および第2の表面に対する第1および第2の側部フレーム部材108、110のそれぞれの場所を交換すること、および/または、第1および第2の端部フレーム部材112、114の場所を交換することができる。
【0049】
ローラボードおよび他の既存のシステムと対照的に、例えば、患者移転システムは、移転プロセス中、第1の表面と第2の表面との間の間隙DSをまたいで実質的に静止したままであり、第1の表面から第2の表面への相互汚染のリスクを低下させ、要求される患者操作の数を低減させる。移転プロセス中、患者の体重は、デッキアセンブリ102によって支持され、例えば、垂直(重力)負荷が、患者身体から、ベルト106を通して、デッキ(例えば、図16-18におけるデッキ130、132)上に移され、それから、第1の表面および/または第2の表面に移される。デッキアセンブリ102は、筐体104によって、第1および第2の表面から分離され、第1の表面から第2の表面への材料の相互汚染のリスクを低減させる。この「間隔を置かれた」または「分離された」患者移転構成は、他のデバイスと比較して、各患者移転において要求される操作の数も低減させる。
【0050】
(表裏兼用デッキ)
図16は、例えば、図1の実施形態による移転デバイス100のデッキ130の斜視部分切断図である。図17は、例えば、図16の実施形態によるデッキ130の上部平面図である。図18は、本開示の代替実施形態による移転デバイスのデッキ132の上部平面図である。
【0051】
図16-18を参照すると、支持デッキ130(図16、17、および図22-24)および代替支持デッキ132(図18)が、図示される。デッキ130、132は、連続ベルト106内に位置付けられ、少なくとも部分的または完全に、筐体104内に受け取られるように構成される。デッキ130、132は、それぞれ、接続プレート122、124を介して、第1および第2の細長いフレーム部材112、114に結合される。デッキ130、132は、筐体104の片側から、デッキをまたいで筐体104の反対側までの移転中、患者または他者の身体を支持するように構成される。
【0052】
デッキ130、132は、表裏兼用であるように構成され得る。例えば、デッキ130、132は、同じ表面を各それぞれのデッキ130、132の両側に有し、それによって、デッキ130、132は、移転デバイス100または患者に影響を及ぼすことなく、いずれの側が外部に面した状態でも、筐体104の中に設置され得、それによって、移転デバイス100およびその構成要素の寿命を増加させ得る。デッキ130、132を表裏兼用であるように設計することによって、デッキ130、132は、例えば、デッキが、筐体104およびデッキまたはベルトを清掃するために、筐体104から除去された後、デッキを上下逆の状態で筐体104内に設置する可能な間違いを排除する。
【0053】
両面デッキ130、132は、向き特定のデッキを上下逆の状態で筐体104内に設置することによって生じるベルト106上の予期せぬ磨耗を防止し、したがって、ベルト106の寿命を増加させ、高品質画像を顧客に提示する。デッキ130、132の上側および下側表面の両方は、低摩擦表面仕上げ(例えば、選択されたポリマーまたは最適化された熱可塑性材料)、テクスチャ、または被覆(例えば、TEFLON(登録商標)またはシリコーン材料で含浸されたナイロン)を有し、デッキと包囲ベルト106との間の静止および動的摩擦係数を低減させ得る。
【0054】
図16は、例えば、図1の実施形態による移転デバイスのデッキ130の斜視部分切断図である。図17は、例えば、図16の実施形態によるデッキ130の上部平面図である。図17を参照すると、デッキ130の上部平面図が、図示される。
【0055】
図22は、例えば、図17の実施形態によるより少ないリブ150を伴う移転デバイスのデッキ130の斜視図である。図22を参照すると、デッキ130の斜視図が、図示される。
【0056】
デッキ130の底部平面図は、デッキ130の上部平面図と類似または実質的に同じである。デッキ130の対向主表面134、136は、類似、対称、または実質的に同じであり、デッキ130は、いずれの向きにおいても筐体104内に据え付けられ、主表面134、136のいずれも、筐体104から外向きに面することができる。デッキの上部および底部主表面は、故に、実質的に対称である。
【0057】
デッキ130は、それぞれの接続プレート122、124および/または筐体104の端部フレーム部材112、114への取り付けのための対向している端部138、140を含む。デッキ130は、細長いローラ118、120との隣接した設置のために、対向している側部142、144を含む。デッキ130の主表面134、136と同様に、筐体104の中へのデッキ130の据え付けが、向き特定ではなく、デッキ130が、対向表面134、136、端部138、140、および側部142、144がいずれかの向きにある状態で据え付けられ得るように、端部138、140は、互いに類似、対称、または実質的に同じであり得、側部142、144は、類似、対称、または実質的に同じであり得る。デッキ130は、ベルト106が、主表面134、136に沿って延び、デッキ130の側部142、144に沿って配置されるローラ118、120の周囲に巻き付くように、ベルト106の内側に受け取られるように構成される。
【0058】
図23は、例えば、図22の実施形態による線23-23に沿って得られた移転デバイスのデッキ130の断面図である。図24は、例えば、図22の実施形態による移転デバイスのデッキ130の分解斜視図である。
【0059】
図16および23を参照すると、デッキ130は、統合されたリブ150を伴う2つの同じ圧力形成されたパネル146、148を用いて作製され得、リブ150は、剛性を主表面134、136と、概して、デッキ130の構造とに提供する。
【0060】
図23に図示されるように、各パネル146、148のリブ150は、主表面134、136が、実質的に平面であり、患者移転を促進し、リブ150が、主表面134、136の剛性を増加させるように、そのそれぞれの主表面134、136から内向きに突出し得る。この方式では、リブ150は、デッキ130の全体的外形を増加させずに主表面134、136の剛性を増加させる。
【0061】
パネル146、148のリブ150は、隣接するリブ150が、互いに対して接触し、主表面134、136の剛性をさらに増加させるように、互いに整列させられ得る。隣接するリブ150は、それぞれ、パネル146、148の主表面134、136間に等距離で位置付けられるデッキ130の正中線に沿って、互いに対して接触し得る。パネル146、148あたりのリブ150の数は、用途に応じて変動し得る。例えば、各パネル146、148は、図22-24に図示されるような5つのリブ150、図16および17に図示されるような12のリブ150、または必要に応じたリブ150の他の数を含み、所望の剛性の量を主表面134、136に提供し得る。
【0062】
圧力形成されたパネル146、148は、デッキ130の重量の低減を可能にし、それによって、移転デバイス100の全体的重量を減少させる。各パネル146、148は、例えば、任意のアルミニウム合金、マグネシウム合金、または任意の他の構造的に強固な金属、合金、もしくはプラスチック/ポリマーで形成され得る。パネル146、148は、一緒に取り付けられ、強固な両面デッキ本体130を作成し得る。例えば、隣接するリブ150(図23参照)は、一緒に取り付けられ(例えば、一緒に溶接される、リベット留めされる、または別様に固定される)、パネル146、148を一緒に固定し得る。加えて、または代替として、パネル146、148の周辺は、外部キャップまたは内壁システム等によって、一緒に接合され得る。
【0063】
図24を参照すると、一実施形態によるデッキ130の分解図が、図示される。図24に図示されるように、接合バンド141は、パネル146、148を一緒に接続し得る。接合バンド141は、単一の一体型構成要素として形成され得るか、またはパネル146、148のそれぞれの側部および端部を一緒に接続するために、図24に図示されるように、別個の区分141a、141b、141c、141dから形成され得る。例えば、第1および第2の接合バンド141a、141cは、パネル146、148のそれぞれの端部138、140を一緒に接続するために使用され得、第3および第4の接合バンド141b、141dは、それぞれの側部142、144を一緒に接続するために使用され得る。
【0064】
各パネル146、148は、パネル146、148への接合バンド141の取り付けを促進するように構成される内向きに曲げられた周辺フランジ143を含み得る。周辺フランジ143は、各パネル146、148の周辺の周囲に連続的または断続的に延び得る。パネル146、148および接合バンド141は、図示されるリベット145等の留め具を介して、一緒に取り付けられ得る。
【0065】
図24を継続して参照すると、デッキ130は、デッキ130を移動させることにおいてユーザ(例えば、看護士および/または医療スタッフ)を促進するための取り扱い特徴を含み得る。例えば、図22に図示されるように、デッキ130は、デッキ130の各端部138、140に近接して位置するハンドル147を含み得る。それぞれの端部レール149が、少なくとも部分的にハンドル147を定位置に固定し得、それぞれの開口151が、それぞれのハンドル147と端部レール149との間に画定され、ユーザの手を収容し得る。各ハンドル147は、湾曲され得、各ハンドル147の端部は、端部レール149内に画定された受け取り孔の中へのスナップ嵌め等の種々の様式において、それぞれの端部レール149に取り付けられ得る。
【0066】
端部レール149は、ハンドル147の両側に沿って延びている保護部153を含むことにより、ハンドル147とパネル146、148との間の界面を通した汚染物質の潜入を阻止し得る。保護部153は、表面134、136の周囲のベルトの移動に干渉しないように、パネル146、148の主表面134、136と実質的に同一平面にあり得る(図23参照)。保護部153は、少なくとも部分的に開口151を取り囲み得る。
【0067】
図24を参照すると、各ハンドル147は、パネル146、148の端部138、140内に画定される略半円形カットアウト155内に受け取られ得る。ハンドル147は、図24に図示されるリベット157等を介して、種々の様式において、パネル146、148の端部に取り付けられ得る。
【0068】
端部レール149は、デッキ130の各それぞれの端部138、140に沿って延び得る。端部レール149は、図24に図示されるねじ159等を介して、種々の様式においてパネル146、148の端部138、140に取り付けられ得る。パネル146、148に取り付けられると(図22参照)、端部レール149は、端部キャップとして機能し、パネル146、148の端部を汚染からシールし得、ハンドル147は、開口151を通して見え得る。
【0069】
端部レール149は、デッキ130の各側部142、144とともに、ローラ118、120を回転支持し得る。例えば、図24に図示されるように、各端部レール149は、2つの内向きに突出する柱部161を含み得、ローラ118、120の端部は、柱部161に搭載され、デッキ130の周囲のベルトの循環中、柱部161の周りで回転する。各それぞれの端部レール149上の柱部161は、クリアランス間隙をローラ118、120とデッキ130の側部142、144との間に伴うローラ118、120間のパネル146、148の位置付けを可能にする十分な距離で、互いから間隔を置かれ得る。
【0070】
デッキ130を組み立てるために、パネル146、148は、リベット145、スポット溶接、および/または他の留め方法等を介して、一緒に接続され得る。ハンドル147は、リベット157、スポット溶接、および/または他の留め方法等を介して、パネル146、148の端部に接続され得る。次いで、端部レール149は、ねじ159、リベット、スポット溶接、および/または他の留め方法等を介して、パネル146、148の端部に接続され得る。
【0071】
パネル146、148への端部レール149の接続中、ローラ118、120は、端部レール149が、パネル146、148に接続されると、ローラ118、120が、柱部161上に回転搭載されるように、端部レール149上の柱部161と整列させられ得る。パネル146、148への端部レール149の接続中、ハンドル147も、各端部レール149上の保護部153間に受け取られ得、ハンドル147は、ハンドル147の端部と端部レール149との間のスナップ嵌め接続等を介して、それぞれの端部レール149に接続され得る。
【0072】
既存の患者移転デバイスに対して、デッキ130は、より高速の組立、より少ないハードウェア、およびより少ない部品を提供する。デッキ130は、既存の患者移転デバイスのためのデッキより重量が軽く、露出されたハードウェアを含まず、統一されたフレームおよびパネルを含み、内部フレーム部品を含まない。デッキ130は、リベット留めされた周辺継ぎ目を含み、パネル146、148の高速組立を提供し得る。
【0073】
図18に戻って参照すると、デッキ132の上部平面図が、図示される。デッキ132の底部平面図は、デッキ132の上部平面図と同じであり、したがって、底部平面図は、省略される。デッキ132の対向主表面152、154は、互いに類似、対称、または実質的に同じであり、したがって、デッキ132は、主表面152、154のいずれが筐体104から外向きに面した状態でも、いずれの向きにおいても、筐体104内に据え付けられることができる。デッキ132は、接続プレート122、124および/または筐体104の端部フレーム112、114への取り付けのために、それぞれ、対向している端部156、158を含む。デッキ132は、細長いローラ118、120に隣接した設置のために、対向している側部160、162を含む。
【0074】
デッキ132の主表面152、154と同様、筐体104の中へのデッキ132の据え付けが、向き特定ではなく、デッキ132が、対向表面152、154、端部156、158および側部160、162がいずれの向きにある状態でも据え付けられ得るように、端部156、158は、互いに類似、対称、または実質的に同じであり得、側部160、162は、類似、対称、または実質的に同じであり得る。デッキ132は、ベルト106が、主表面152、154に沿って延び、デッキ132の側部160、162に沿って配置されるローラ118、120の周囲に巻き付くように、ベルト106の内側に受け取られるように構成される。デッキ132は、押し出し成形されるか、または、本明細書に開示される他の構造を有し得る。
【0075】
図16および17に戻って参照すると、デッキ130は、どんなハードウェアもその上部および底部主表面134、136上に有していない。同様に、図18を参照すると、デッキ132は、どんなハードウェアもその上部および底部主表面152、154上に有していない。表面ハードウェアを排除することは、平滑かつ一貫した表面を提供し、ベルト106の性能および寿命を改良し、患者のための快適性を増加させる。
【0076】
(ローラとデッキとの間の距離)
図19は、例えば、図1の実施形態によるローラ118およびデッキ132の周囲に巻き付けられたベルト106の詳細断面図である。ローラ118、120とデッキの側部(例えば、図16-17に図示されるデッキ130の側部142、144または図18に図示されるデッキ132の側部160、162)との間の距離は、既存の類似移転デバイスに対して増加させられ得る。
【0077】
図19を参照すると、ローラ118は、デッキ132から距離D1だけ分離される。より具体的には、距離D1は、ローラ118の外側表面とデッキ132との間に画定される。距離D1は、筐体のデッキ132の過剰なたわみに起因したローラ118とデッキ132の側部160との間の可能な接触を低減させるように寸法を決定される。いくつかの実施形態では、距離D1は、少なくとも2.5mmである。
【0078】
ローラ118および側部160のみが、簡略化目的のために、図19に図示されるが、ローラ120も同様に、デッキ132の側部162から距離D1だけ分離される。同様に、デッキ130が、使用されるとき、ローラ118は、側部142から距離D1だけ分離され、ローラ120は、側部144から距離D1だけ分離される。したがって、ローラ118、120は、距離D1に起因して、患者移転中、デッキ130、132の側部からの干渉なく、自由に回転したままである。
【0079】
ローラ118、120および隣接する筐体のたわみの量に応じて、他の措置も、適正な距離D1を維持することを補助するために講じられ得る。具体的には、第1および第2の細長いローラは、デッキの対向している端部からその中央部分へと増加する許容差だけ、デッキの対向している側部から間隔を置かれ得、許容差は、患者を第1の表面から第2の表面に連続ベルト上で移す際、ローラおよび/または筐体の曲がりのためのクリアランスを維持するように選択される。
ベルト
【0080】
図20は、例えば、図1の実施形態による移転デバイスの連続ベルト106の斜視図である。図20を参照すると、連続ベルト106の斜視図が、示される。ベルト106は、1つ以上の視覚的整列ガイド線166を含み、ベルト106上への使い捨て移転シートの装填および筐体の中への挿入を促進し得る(上記の図1Bの議論参照)。
【0081】
例えば、図20におけるベルト106は、3つの視覚的整列ガイド線166をベルト106の上側表面上に含むが、3つより多いまたはより少ない線166が、含まれてもよい。視覚的整列ガイド線166は、ローラ118、120と平行に延び(図4参照)、シートを筐体の中に挿入するために、ベルト106に取り付けられるとき、移転シートの縁がローラ118、120と平行に設置されることを確実にし得る。図20に図示されるように、視覚的整列ガイド線166は、ローラ118、120の長さの大部分に延び得る。視覚的整列ガイド線166は、移転デバイス100の他の特徴と一致するように合わせて作られ得る。
【0082】
図20を依然として参照すると、ベルト106の露出された外側縁168は、縁取りされるか、または、別様に補強構造を用いて、例えば、摩滅に抵抗するコーティングまたはシールによって、保護されるように仕上げられ得る。ベルト106の未加工縁は、特に、ベルト106が、移動し、デッキ130、132に対して擦れる事例では、摩擦および磨損を受けやすく、経時的に磨耗を受けやすい。縁取り/保護された縁168は、ベルト106の寿命を改良し、縁磨損等の外観的および/または機能的問題を緩和する。縁取りされた縁168は、ベルト106の中心170と縁168との間でベルト円周サイズ(または長さ)を変化させる(すなわち、改良された機能のために、より弛んだ中心領域170を比較的に少ない緊張で維持しながら、緊張を縁168上に提供する)ことによって、ベルト移動に対する抵抗を提供し得る。縁取りされた縁168は、ベルト106の内側または外側表面上にあり得、ベルト106と同一材料または異なる材料から形成され得る。
【0083】
ベルト106は、デッキ130、132上の引きずりを低減させるための低摩擦内部表面または裏地172を含み得る。内部表面172は、低摩擦表面仕上げ(例えば、選択されたポリマーまたは最適化された熱可塑性材料)、テクスチャ、または被覆(例えば、TEFLON(登録商標)またはシリコーン材料で含浸されたナイロン)を含み、静的および動的摩擦係数を低減させ得る。加えて、または代替として、内部表面172は、デッキ130、132の外側表面と相互作用し、低摩擦を促進するように構成され得る。例えば、ベルト106の内部表面172とデッキ130、132の外側表面との間のパターン相互作用は、低摩擦をそれぞれの表面間に提供し得る。したがって、ベルト106は、デッキ上を移動する。換言すると、デッキは、身体の移転において移動部品を実質的に有していない。
【0084】
いくつかの実施形態では、デッキ130、132は、移動ベルト106との摩擦を低減させるために、コーティングされ得るか、または、別の低減させられた摩擦表面が、使用され得る。低減させられた摩擦表面のための好適なコーティングおよび表面仕上げ技法は、限定ではないが、粉末コーティング(例えば、流動性乾燥粉末コーティング技法)、テクスチャ加工された表面施工、フィルムコーティング、蒸着、噴霧、および低減させられた摩擦、耐久性、ならびに他の性質のために選択される他のコーティングおよび表面仕上げ技法を含む。移転ベルト106も、低減させられた摩擦(例えば、内側)表面または層、例えば、移転ベルト106とデッキ130、132の対面表面との間の界面に沿った摩擦を低減させるように選択されるシリコーン含浸ナイロンまたは他の材料を具備し得る。
【0085】
(筐体のシールされた周辺縁)
図9は、例えば、図1の実施形態による移転デバイスの詳細断面図である。筐体104の外部周辺縁は、シールされ、シールされていない継ぎ目縁に沿った、汚染物質、特に、血液または尿等の汚染流体の進入および潜伏のリスクを低減させ得る。筐体104および/またはあるハードウェアの設計は、筐体104の周辺に沿った緊密な装備を確実にするために使用され得る。
【0086】
図9を参照すると、筐体104は、周辺ガスケットまたは弾性緩衝材174を含み、筐体104の周辺に沿った緊密な装備を確実にし得る。例えば、周辺ガスケット174は、筐体104の上側筐体シェル176および下側筐体シェル178等の2つの筐体部分間の界面をシールし得る。周辺ガスケット174は、エラストマ材料から作製され得る。いくつかの実施形態では、周辺ガスケット174は、Shore A硬度10~100を有し得る。
【0087】
図10は、本開示の代替実施形態による移転デバイスの詳細断面図である。図10を参照すると、ある代替構成では、筐体シェル176、178は、液密接触嵌合を筐体シェル176、178間に形成し、それによって、筐体104の周辺の周囲に延びているシールされたまたはシール可能縁180を形成するように設計され得る。シールされた縁180は、筐体シェル176、178(プラスチック等)と同一材料、または、例えば、Shore A硬度10~100を伴うエラストマ材料であり得る。
【0088】
筐体シェル176、178は、例えば、留め具182を介して、一緒に結合され得る。留め具182は、筐体シェル176、178を一緒に固定し、周辺ガスケット174またはシールされた縁180が、筐体シェル176、178間のシールされた界面を維持し、筐体104の外部周辺縁に沿った汚染物質の進入および潜伏のリスクを低減させることを確実にし得る。
【0089】
(筐体シェルと底部パネルとの間のガスケット式継ぎ目)
図11は、例えば、図1の実施形態による移転デバイスの詳細断面図である。図12は、例えば、同様に図1の実施形態による移転デバイスの詳細断面図である。
【0090】
継ぎ目は、その中への流体および他の汚染物質の進入および潜伏のリスクを示し、概して、容易に清掃可能ではない。図11および12を参照すると、筐体104は、1つ以上のガスケットを底部パン116と筐体シェル176、178の一方または両方との間に形成された外部に露出された継ぎ目において含み得る。
【0091】
図11および12に図示されるように、筐体104は、底部パネル116と下側筐体シェル178との間に位置付けられ、それらとシール係合され、汚染物質が底部パネル116と下側筐体シェル178との間に形成される継ぎ目を通して筐体104の中に進入することを防止する第1のガスケット184を含み得る。筐体104は、底部パネル116と上側筐体シェル176との間に位置付けられ、それらとシール係合され、汚染物質が底部パネル116と上側筐体シェル176との間に形成される継ぎ目を通して筐体104の中に進入することを防止する第2のガスケット186も含み得る。
【0092】
ガスケット184、186は、それぞれ、底部パネル116の対向表面の周囲に連続的に延び、連続したシールを底部パネル116と下側および上側筐体シェル178、176との間に形成し得る。ガスケット184、186は、汚染アクセスポイントを効果的にシールし、それによって、継ぎ目が従来の方法を使用して清掃されることを可能にし得る。ガスケット184、186は、エラストマ材料から作製され得る。いくつかの実施形態では、ガスケット184、186は、Shore A硬度5~100を伴うエラストマ材料から作製される。
【0093】
(耐衝撃性角)
図5は、例えば、図1の実施形態による移転デバイスの筐体14の斜視図である。図5を参照すると、筐体104は、耐衝撃性角緩衝材188を有し得る。角緩衝材188は、筐体シェル176、178(図9-12参照)より損傷を受けにくく、大きい損傷を伴わずに、衝撃を受ける能力、または衝撃エネルギーを吸収する能力を増加させる。衝撃および摩滅保護を筐体104の角および縁に提供することによって、角緩衝材188は、手荒な取り扱いまたはエネルギーを移転デバイス100の構造部分(例えば、パネル116)に伝達することによる衝撃からの損傷を大きく低減させる。
【0094】
角緩衝材188は、例えば、Shore A硬度10~100を伴う(例えば、ラテックスなしの)、自皮殻発泡体および/またはゴム状化合物等の耐久性のある衝撃吸収エラストマ材料から形成され得る。角緩衝材188を形成するために使用される材料は、筐体シェル176、178と類似テクスチャおよび硬度特徴を有し、角緩衝材188の表面を横断した皮膚引きずりのリスクを低減させ得る。
【0095】
図13は、例えば、図5の実施形態による角緩衝材を伴わない筐体104の斜視図である。図13を参照すると、筐体104は、角緩衝材のうちの1つを伴わずに示される。
【0096】
図13に図示されるように、周辺ガスケットまたは緩衝材174は、筐体104の外側縁に沿って延び、シールされた界面を上側筐体シェル176と下側筐体シェル178との間に形成する。1つ以上の留め具182が、少なくとも部分的に筐体シェル176、178および底部パネル116を通して延び、シェル176、178およびパネル116を一緒に結合し得る(図11-17参照)。
【0097】
図14は、例えば、図5の実施形態による筐体104の詳細断面図である。図15は、例えば、同様に図5の実施形態による上側筐体シェル176が除去されている筐体104の詳細斜視図である。
【0098】
図14および15を参照すると、角緩衝材188は、筐体シェル176、178と統合され得る。例えば、筐体シェル176、178は、それぞれ、角緩衝材188を筐体シェル176、178に取り付けるために、フランジ190、192を画定し得る。フランジ190、192は、互いに向かって延び得、それぞれ、角緩衝材188の上側および下側表面内に形成される溝194、196内に受け取られ、角緩衝材188を上側および下側シェル176、178に保持し得る。
【0099】
角緩衝材188の保持部分198が、筐体シェル176、178間に受け取られ得、角緩衝材188の緩衝材部分または突起200は、保持部分198から外向きに延び得、移転デバイス100のそれぞれの角上の衝撃を吸収するように露出され得る。保持部分198および緩衝材突起200は、溝194、196によって、互いから分離される。
【0100】
図15に図示されるように、1つ以上の留め具182が、角緩衝材188を底部パネル116、下側筐体シェル178、および上側筐体シェル176(図15では、除去され、角緩衝材188が下側筐体シェル178および底部パネル116に対して位置付けられることを示す)に留め得る。いくつかの実施形態では、角緩衝材188は、衝撃点に局所化されたもの(例えば、弾性-非弾性衝撃シナリオに依拠する)とは対照的に、底部パネル116に接触し、衝撃エネルギーをより大きい表面積にわたって(例えば、パネル116にわたって)分散させるように特に設計される。
【0101】
(筐体の剛性および構造)
図6は、例えば、図5の実施形態による支持デバイスの構造パネル116の斜視図である。図7は、例えば、図6の実施形態による構造パネル116の一部の詳細図である。図8は、例えば、同様に図6の実施形態による構造パネル116の代替斜視図である。移転デバイス100の剛性および構造は、部分的に底部パネル116によって提供される。
【0102】
図5-8に図示されるように、底部パネル116は、円周補強部を伴う基部204を含み、一実施形態では、構造側壁206が、基部204の周辺全体から上向きに延び、それによって、パンに類似する。側壁206は、平面であり得る基部204と実質的に垂直に向けられ得る。
【0103】
図21Aは、例えば、図5の実施形態によるリブ208を含む移転デバイスの筐体104の斜視図である。図21Bは、例えば、図21Aの実施形態による移転デバイスの構造パネル116の斜視図である。
【0104】
図21Aおよび21Bに図示されるように、基部204は、リブを含み、患者移転中、基部204とデッキアセンブリ102の底部側との間のクリアランスを維持するために好適な追加の剛性をパネル116に提供し得る。基部204は、筐体104の長さ方向に沿って縦方向に延びている複数の細長いリブ208を含み得る。
【0105】
リブ208は、筐体104の側方方向を横断して互いから間隔を置かれ得る。リブ208は、リブ208が、パネル116とデッキアセンブリ102との間の公称クリアランスを低減させないように、基部204から下向きに突出し得る。リブ208は、重量効率様式において、基部204のたわみを低減させ、それによって、筐体104の重量の最小限の増加を伴って、または全く伴わずに、患者移転中、基部204とデッキアセンブリ102との間の干渉を限定するように構成され得る。
【0106】
リブ208は、種々の寸法を有し得る。一実施形態では、リブ208は、清掃のための指幅アクセスを提供するために十分な幅(少なくとも3/4インチまたは1.9cmの幅等)を有し、リブ208は、移転デバイス100の全体的外形を最小限に増加させる、または増加させない、深度(約1/4インチまたは0.6cmの深度等)を有する。
【0107】
リブ208は、患者移転中、筐体104がシフトすることを防止し得る。リブ208の幾何学的形状は、筐体104がシフトすることを阻止するように構成され得る。リブ208は、移転デバイス100のシフトに対する物理的妨害を提供し得る。何故なら、リブ208が患者移転中に加えられる力を移すように垂直に突出し、リブ208が患者の体重の下のマットレスまたはパッド下の発泡体の台等の曲がりやすい下にある表面にもたれかかり得るからである。
【0108】
リブ208は、ベルト106およびローラ118、120の低摩擦移動(シフトを促進する筐体104への側方力を低減させる)および底部パネル116の外向きに面した表面216(例えば、底部表面)に適用される表面処理等、シフトを阻止する、他の特徴と組み合わせて提供され得る。パネル116の外向きに面した表面216の一部または全部は、高摩擦特性(例えば、高摩擦係数)を伴う表面処理または材料で構成され得る。
【0109】
一実施形態では、突出するリブ208は、筐体104の側方シフトをさらに阻止するための高摩擦コーティングまたは処理を含み得る。別の実施形態では、パネル116の外向きに面した表面216全体は、筐体104の側方シフトを阻止するための高摩擦コーティングまたは処理を含み得る。4つのリブ208が、図21Aおよび21Bにおける実施形態に図示されるが、基部204は、4つより多いまたはより少ないリブを含み得る。
【0110】
既存の移転デバイスは、種々の構成要素を伴うフレームを含み、その円周補強部を伴うパネル116は、そのようなフレームの使用を排除し、それは、移転中、体重負荷のためのこのコア構成要素の剛性機能に影響を及ぼさずに、移転デバイス100の全体的重量を低減させ、かつそれを潜在的に改良する。パネル116は、例えば、形成され、打ち抜かれ、鋳造され、または成型され得る。パネル116は、金属、プラスチック、金属とプラスチックとの組み合わせ、または構造的に統合された側壁206を形成することが可能な他の化合物もしくはポリマーから作製され得る。パネル116を形成するために使用される材料の曲げ弾性率は、最低でも0.1GPAを有し得る。パネル116は、その下向きに面した表面にわたる任意の点において、10mm未満のたわみを有し得る。
【0111】
図7に図示されるように、リップ210が、パネル側壁206の上側縁に沿って形成され得る。リップ210は、フレーム部材108、110、112、114に対するパネル116の設置を促進し(図4参照)、側壁206およびパネル116自体の剛性も補強し得る。
【0112】
例えば、図9-12に図示されるように、パネル116の側壁206の上部におけるリップ210は、下側筐体シェル178の直立壁212の上に配置され得、筐体シェル176、178間に捕捉され得る。側壁206と直立壁212とは、互いに平行かつ接触し得る。1つ以上の留め具182が、パネル116が、構造剛性を移転デバイス100に提供するように、パネル116の側壁206および筐体シェル176、178を通して延び、パネル116および筐体シェル176、178を一緒に固定し得る。
【0113】
(接続ハードウェア)
図1-3を参照すると、移転デバイス100は、目に見える外部ハードウェアまたは突出部を含まない。言い換えると、全ての外部に露出されたハードウェアおよびゴム製の足部またはレストは、移転デバイス100内で排除され、利用可能な汚染物質アクセスおよび蓄積点を低減させている。
【0114】
図5に図示されるように、筐体104の構成要素(例えば、筐体シェルおよび構造パネル)は、パネル116の壁206を通して挿入される留め具182を筐体の組立のために適合される複数の機械的接続点において使用することによって、一緒に接続され得る。留め具182は、筐体104の内部からアクセス可能であり得、筐体104の外部から見えない。
【0115】
図9-12に図示されるように、留め具182は、水平に向けられ得、上側筐体シェル176、下側筐体シェル178、および底部パネル116の垂直壁を貫通し、それによって、上側筐体シェル176、下側筐体シェル178、および底部パネル116を均一の比較的に剛体の構造に一緒に接合し得る。
【0116】
(パネルの摩擦特性)
図8を参照すると、パネル116の外向きに面した(例えば、底部)表面216の一部または全部は、移転デバイス100が、使用中、第1の表面および第2の表面に対して移動することを防止する高摩擦特性(例えば、高摩擦係数)を伴う表面処理または材料で構成される。既存のデバイスは、デバイスの側部の周囲に配置されるエラストマ製の足部を含むが、パネル116の高摩擦特性は、これらのエラストマ製の足部を移転デバイス100から排除する。耐損傷コーティングが、パネル116の外向きに面した表面216に塗布され、表面216を損傷から保護し得る。
【0117】
パネル116の底部表面216は、本明細書に説明されるように、1つの表面から別の表面への患者の移転中、筐体104を実質的に静止した状態に保つために、高摩擦材料(例えば、ゴムまたは類似エラストマ)を含み得る。したがって、通常動作では、筐体104は、ある他の(例えば、ローラボード)設計におけるように、移転プロセス中、患者(または他者の身体)に伴って移動しない。代わりに、患者および下にあるシートは、ベルト106の回転に伴って移動する。
【0118】
用語「実質的に静止」は、したがって、本明細書の移転デバイス100および筐体104に対して使用されるように、患者移転プロセス中、筐体104の少なくとも一部が、第1の(開始側)表面と接触したままであり、筐体104の少なくとも別の部分が、第2の(目的地側)表面と接触したままであることを示す。それぞれの初期および最終表面と接触する移転デバイス100の部分は、限定ではないが、(例えば、側部フレーム108および/または側部フレーム110に沿った)筐体104の1つ以上の側部および/または底部パネル116を含み得る。パネル116の底部表面は、患者の移転中、移転デバイス100を第1および第2の表面のうちの少なくとも1つに対して実質的に静止した状態に保つように構成される。
【0119】
図4および6を参照すると、パネル116の内部(例えば、上部)表面218は、低摩擦処理または材料特性(例えば、低摩擦係数を伴う)を有し、ベルト106および関連付けられた移転シートが、パネル116に対して妨害のない回転移動を有することを確実にする。パネル116の内部表面218は、低摩擦表面仕上げ(例えば、選択されたポリマーまたは最適化された熱可塑性材料)、テクスチャ、または被覆(例えば、TEFLON(登録商標)またはシリコーン材料で含浸されるナイロン)を有し、静的および動的摩擦係数を低減させ得る。
【0120】
移転デバイス100は、既存の移転デバイスに優る複数の利点を提供する。例えば、移転デバイス100は、既存の移転デバイスと比較して、低減させられた全体的重量を有し、それによって、看護士および/または他の医療スタッフが、移転デバイス100を移動させ、患者を第1の(初期)表面から第2の(目的地側)表面に移すことをより容易にする。
【0121】
移転デバイス100は、既存の移転デバイスと比較して、デバイス100に対して低減させられた損傷リスクを有する。例えば、移転デバイス100は、衝撃保護を移転デバイス100に提供する角緩衝材および/または周辺ガスケットを有する。
【0122】
移転デバイス100は、ウイルス/細菌汚染の低減させられたリスクを提供する。例えば、移転デバイス100は、シールされた継ぎ目および界面をその種々の構成要素間に提供し、外部接続または他の突出するハードウェアを排除し、それによって、移転デバイス100の中への汚染アクセスポイントを低減させ、清掃を促進する。
【0123】
移転デバイス100は、低減させられた数の構成要素を有し、それによって、移転デバイス100をより製造および組み立てし易くする。例えば、移転デバイス100は、別個の構造支持フレームを含まず、むしろ、移転デバイス100の底部として機能し、構造剛性を移転デバイス100に提供する構造側壁を伴う底部パネルを含む。
【0124】
移転デバイス100は、患者移転中、第1の表面と第2の表面との間の間隙をまたぐデバイス移動および停滞を低減させる。例えば、移転デバイス100は、位置付け用の脚部を伴わない高摩擦底部表面を含み、それは、耐滑動表面を提供し、患者移転中、移転デバイス100が不注意に移動しないことを確実にする。
【0125】
移転デバイス100は、ローラ上のベルト移動を低減させる。例えば、移転デバイス100は、ベルトを不注意による移動から制限する縁取りされた縁を伴うベルトを含む。
【0126】
(移転方法)
患者搬送システムまたは移転デバイス100は、その構造から利点を享受する患者移転のための方法を用いて使用される。これらは、患者を第1の表面から第2の表面に移す方法を含み、方法は、第1の表面と第2の表面との間の間隙に移転デバイスを架け渡すことであって、デバイスは、第1および第2の対向している端部に結合された第1および第2の対向している側部を伴う筐体と、第1および第2の対向している側部と第1および第2の対向している端部とに結合され、間隙を横断して移動する患者が装填されたとき、構造剛性を移転デバイスに提供する円周補強部を有するパネルであって、第1の表面は、第1の側部に近接し、第2の表面は、第2の側部に近接している、パネルとを備えている、ことと、使い捨てシート上で患者を第1の表面から第2の表面に移動させることとを含み、使い捨てシートは、デッキの周りに配置され連続ベルト取り付けられ、デッキは、間隙にび、少なくとも部分的に筐体内に位置付けられ、それによって支持されている。
【0127】
この方法において、パネルは、患者が移動している間、移転デバイスの位置を第1および第2の表面に対して維持するように適合された底部表面摩擦特徴に沿って、第1および第2の表面に接触し得る。この方法において、移転デバイスは、筐体を流体および他の汚染物質進入に対してシールするように適合されたシールされた外部周辺を含み得る。
【0128】
この方法は、患者をデバイス上に装填し、移動を実施する前、使い捨てシートを少なくとも部分的に筐体の中に挿入することをさらに含み得る。この方法は、デッキを筐体から除去し、その向きを逆転させることもさらに含み得、デッキは、デッキの上部および底部表面が逆転された状態で、筐体内に配置される。この方法は、第1の表面と第2の表面との間の間隙に移転デバイスを架け渡すことをさらに含み得、患者は、患者を第1の表面から第2の表面に間隙をまたいで移動させることにおいて、筐体によって支持され、使い捨てシート上で、それとともに移動する。
【0129】
この方法は、デッキの対向している側部に沿って連続ベルトとともに配置された第1および第2の細長いローラを回転させることもさらに含み得、連続ベルトは、患者を第1の表面から第2の表面に移すことにおいて第1および第2の細長いローラと回転係合され、第1および第2の細長いローラは、デッキの対向している端部からその中央部分へ増加する許容差だけ、デッキの対向している側部から間隔を置かれ、許容差は、患者を第1の表面から第2の表面に連続ベルト上で移すことにおいて、ローラおよび/または筐体のたわみのためのクリアランスを維持するように選択される。
【0130】
本発明は、例示的実施形態を参照して説明されたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更が、行われることができ、異なる均等物が、その特定の要素に代用され得ることが当業者によって理解されるであろう。本発明は、したがって、開示される、特定の実施例に限定されず、添付の請求項によって包含される実施形態の不可欠な範囲から逸脱することなく異なる問題および状況にも適合され、異なる材料および技法が適用されることができる。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図22
図23
図24