(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】サーボバルブ及び流体装置
(51)【国際特許分類】
F15B 13/044 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
F15B13/044 A
(21)【出願番号】P 2017111225
(22)【出願日】2017-06-05
【審査請求日】2020-05-27
(31)【優先権主張番号】P 2016126964
(32)【優先日】2016-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】大塩 慧太朗
(72)【発明者】
【氏名】柴田 優
(72)【発明者】
【氏名】朝田 悟始
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特公昭42-002725(JP,B1)
【文献】米国特許第02884907(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 13/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルを変位させることにより、当該ノズルの吐出口から吐出される流体を制御してアクチュエータを駆動するサーボバルブであって、
前記吐出口から吐出された前記流体が流入する第1流入口及び第2流入口が形成された流入面を含むレシーバと、
前記流体が流動する流動経路が形成された筐体と、
前記ノズルの変位に応じて、前記流体によって前記筐体内で往復動される可動片と、
を備え、
前記ノズルは、前記吐出口が形成された端面及び前記端面の周囲に形成された外周面を備える力発生部を含み、
前記ノズルが、前記吐出口の中心から延びる延長線が、前記第1流入口と前記第2流入口との間で前記流入面に交差する中立位置から前記延長線が前記第1流入口と交差する位置に向かって変位すると、前記第2流入口内の前記流体は、前記ノズルに向けて噴き出され、
前記力発生部は、前記第2流入口から噴き出された前記流体と衝突し、前記ノズルの変位方向に合致する方向に作用する補助力を生じさせ、
前記筐体には、前記第1流入口に連なる第1流出口及び前記第2流入口に連なる第2流出口が形成され、
前記可動片は前記筐体の内部空間によって形成された空房部を区画し、
前記空房部は前記第2流出口に繋がり、前記第2流入口に流入した流体の前記流動経路の終端部分を形成
し、
前記ノズルが前記第1流入口側へ変位されると、前記可動片は前記第1流入口へ吐出された前記流体によって変位される一方で、前記流体が前記第2流出口から押し出されることによって前記第2流入口から噴き出されて前記力発生部に衝突することにより、前記合致する方向に作用する補助力が生じる、
サーボバルブ。
【請求項2】
前記ノズルが、前記中立位置から前記延長線が前記第2流入口と交差する位置に向かって変位すると、前記第1流入口内の前記流体は、前記ノズルに向けて噴き出され、
前記力発生部は、前記第1流入口から噴き出された前記流体と衝突し、前記ノズルの変位方向に合致する方向に作用する補助力を生じさせる
請求項1に記載のサーボバルブ。
【請求項3】
前記力発生部は、前記流入面に向かって突出し、且つ、前記流入面に向けて狭まる錐体であり、
前記外周面は、前記ノズルの第1流入口側への変位に対する補助力を生じさせる第1力発生面と、前記ノズルの第2流入口側への変位に対する補助力を生じさせる第2力発生面とを含む
請求項2に記載のサーボバルブ。
【請求項4】
前記第1力発生面は、前記第2流入口に対向し、
前記第2力発生面は、前記第1流入口に対向する
請求項3に記載のサーボバルブ。
【請求項5】
前記ノズルは、前記流入面に対向する対向面を含み、
前記対向面は、第1仮想平面内で形成され、
前記錐体は、前記第1仮想平面と前記流入面との間で定義された第2仮想平面内で形成され、且つ、前記吐出口が形成された吐出端面を含み、
前記第1仮想平面内における前記錐体の第1輪郭は、前記対向面の外縁によって囲まれ、
前記第2仮想平面内における前記錐体の第2輪郭は、前記吐出口を囲む
請求項3又は4に記載のサーボバルブ。
【請求項6】
前記第1輪郭は、前記外周面と前記対向面との間で凹状のコーナを形成する
請求項5に記載のサーボバルブ。
【請求項7】
前記ノズルは、前記流入面に対向する対向面を含み、
前記対向面は、第1仮想平面内で形成され、
前記第1力発生面及び前記第2力発生面は、前記第1仮想平面から凹設された溝部を形成する
請求項3又は4に記載のサーボバルブ。
【請求項8】
前記外縁は、前記第1流入口と前記第2力発生面との間の距離及び前記第2流入口と前記第1力発生面との間の距離それぞれよりも、前記第1流入口及び前記第2流入口それぞれから離れた位置に形成される
請求項5に記載のサーボバルブ。
【請求項9】
前記レシーバは、前記第1流入口から延びる第1流路を形成する第1流路壁と、前記第2流入口から延びる第2流路を形成する第2流路壁と、を含み、
前記流入面は、前記吐出口から吐出された前記流体を、前記第1流入口へ流入する第1流体と、前記第2流入口に流入する第2流体と、に分け、
前記ノズルが、前記中立位置から前記第1流入口側へ変位すると、前記第2流体は、前記第2流路壁によって、前記第1力発生面に向けて反射される
請求項3乃至8のいずれか1項に記載のサーボバルブ。
【請求項10】
前記ノズルが、前記中立位置から前記第2流入口側へ変位すると、前記第1流体は、前記第1流路壁によって、前記第2力発生面に向けて反射される
請求項9に記載のサーボバルブ。
【請求項11】
前記ノズルを変位させる駆動部を更に備え、
前記駆動部は、前記第1流入口と前記第2流入口との間で、前記ノズルを変位させ、前記第1流出口からの前記流体の流出量と前記第2流出口からの前記流体の流出量とを調整する
請求項2乃至10のいずれか1項に記載のサーボバルブ。
【請求項12】
前記ノズルが、前記第2流入口側へ変位されると、前記可動片は、前記第2流入口へ吐出された前記流体によって変位される一方で、前記流体を、前記第1流出口から押し出すことによって、前記第1流入口から噴き出させる
請求項11に記載のサーボバルブ。
【請求項13】
請求項12に記載のサーボバルブと、
前記可動片の変位に応じて動作する他の可動片を有するアクチュエータと、を備える
流体装置。
【請求項14】
請求項11に記載のサーボバルブと、
前記筐体と、前記可動片と、を有するアクチュエータと、を備え、
前記ノズルが、前記第1流入口側へ変位されると、前記可動片は、前記第1流入口へ吐出された前記流体によって変位される一方で、前記流体を、前記第2流出口から押し出すことによって、前記第2流入口から噴き出させ、
前記ノズルが、前記第2流入口側へ変位されると、前記可動片は、前記第2流入口へ吐出された前記流体によって変位される一方で、前記流体を、前記第1流出口から押し出すことによって、前記第1流入口から噴き出させる
流体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い応答性能を有するサーボバルブ及び流体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サーボバルブは、航空機や他の産業分野において、利用されている。特許文献1は、電磁気学的原理に基づいて、ノズルを回転軸を中心に変位させ、レシーバに形成された2つの流入口への作動油の流入量を調整する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サーボバルブの高い応答速度は、サーボバルブを利用した制御の高い正確性に帰結する。したがって、従来から、ノズルを駆動するための機械的及び/又は電気的な機構に様々な改良が加えられてきている。しかしながら、これらの改良の多くは、材料の選択、機械的な強度、制御の複雑性やサーボバルブの製造コストといった様々な課題に直面する。
【0005】
本発明は、サーボバルブに高い応答速度を与える簡便な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係るサーボバルブは、ノズルを変位させることにより、当該ノズルの吐出口から吐出される流体を制御してアクチュエータを駆動する。サーボバルブは、前記吐出口から吐出された前記流体が流入する第1流入口及び第2流入口が形成された流入面を含むレシーバを備える。前記ノズルは、前記吐出口が形成された端面及び前記端面の周囲に形成された外周面を備える力発生部を含む。前記ノズルが、前記吐出口の中心から延びる延長線が、前記第1流入口と前記第2流入口との間で前記流入面に交差する中立位置から前記延長線が前記第1流入口と交差する位置に向かって変位すると、前記第2流入口内の前記流体は、前記ノズルに向けて噴き出される。前記力発生部は、前記第2流入口から噴き出された前記流体と衝突し、前記ノズルの変位方向に合致する方向に作用する補助力を生じさせる。
【0007】
上記構成によれば、力発生部は、第2流入口から噴き出された流体と衝突し、ノズルの変位方向に合致する方向に作用する補助力を生じさせるので、ノズルの変位は、第1補助力によって補助される。ノズルは、補助力の作用の下で、第1流入口側へ素早く変位することができるので、サーボバルブは、アクチュエータを素早く駆動することができる。
【0008】
本発明の更に他の局面に係る流体装置は、上述のサーボバルブと、前記第1可動片の変位に応じて動作する第2可動片を有するアクチュエータと、を備える。
【0009】
上記構成によれば、流体装置は、上述のサーボバルブを備えるので、ノズルは、応答性よく動作する。この結果、第1可動片も、応答性よく変位することができる。アクチュエータの第2可動片は、第1可動片の変位に応じて動作するので、第2可動片も応答性よく動作することができる。
【0010】
本発明の更に他の局面に係る流体装置は、上述のサーボバルブと、前記筐体と、前記筐体によって形成された空房部を区画し、前記流動経路を形成する可動片と、を有するアクチュエータと、を備える。前記ノズルが、前記第1流入口側へ変位されると、前記可動片は、前記第1流入口へ吐出された前記流体によって変位される一方で、前記流体を、前記第2流出口から押し出すことによって、前記第2流入口から噴き出させる。前記ノズルが、前記第2流入口側へ変位されると、前記可動片は、前記第2流入口へ吐出された前記流体によって変位される一方で、前記流体を、前記第1流出口から押し出すことによって、前記第1流入口から噴き出させる。
【0011】
上記構成によれば、ノズルが、第1流入口側へ変位されると、可動片は、第1流入口へ吐出された流体によって変位される一方で、流体を第2流入口から噴き出させるので、第1流入口側へのノズルの変位は、第2流入口から噴き出された流体によって補助される。ノズルが、第2流入口側へ変位されると、可動片は、第2流入口へ吐出された流体によって変位される一方で、流体を第1流入口から噴き出させるので、第2流入口側へのノズルの変位は、第1流入口から噴き出された流体によって補助される。
【発明の効果】
【0012】
上述の技術は、サーボバルブ及び流体装置に高い応答速度を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態のサーボバルブの概念図である。
【
図2A】
図1に示されるサーボバルブの概念図である。
【
図2B】
図1に示されるサーボバルブの概念図である。
【
図3】第2実施形態のサーボバルブの概念図である。
【
図4】第3実施形態のノズルの概略的な断面図である。
【
図5】
図4に示されるノズル上に形成された4つの輪郭線の概略図である。
【
図6】第4実施形態のノズルの概略的な断面図である。
【
図7】
図1に示されるサーボバルブの概念図である(第5実施形態)。
【
図8A】
図1に示されるサーボバルブの概略的な拡大図である(第6実施形態)。
【
図8B】
図1に示されるサーボバルブの概略的な拡大図である(第6実施形態)。
【
図11A】レシーバに対するノズルの相対位置、ノズルから吐出される作動流体の流量及びノズルが作動流体から受ける力の関係を表すグラフである(第9実施形態)。
【
図11B】レシーバに対するノズルの相対位置、ノズルから吐出される作動流体の流量及びノズルが作動流体から受ける力の関係を表すグラフである(第9実施形態)。
【
図12】実施形態のノズルの外周角を説明するための図である。
【
図13】実施形態のノズルの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
サーボバルブは、一般的に、レシーバとノズルとを備える。レシーバには、ノズルから吐出された作動流体(例えば、作動油が挙げられるが、これに限られない。以下、単に「流体」ともいう。)が流入する一対の流入口が形成される。ノズルから吐出された作動流体が、一方の流入口に主に流入する間、スプールバルブやアクチュエータによって押し出された作動流体は、他方の流入口から吐出される。本発明者等は、スプールバルブやアクチュエータによって押し出された作動流体を利用して、サーボバルブの応答性能を向上させる技術を開発した。第1実施形態において、良好な応答性を有する例示的なサーボバルブが説明される。
【0015】
図1は、第1実施形態のサーボバルブ100の概念図である。
図1を参照して、サーボバルブ100が説明される。本実施形態において、「上」、「下」、「左」、「右」、「時計回り」、「反時計回り」、「鉛直」や「水平」といった方向を表す用語は、説明の明瞭化のみを目的として用いられる。本実施形態の原理は、これらの方向を表す用語によっては何ら限定されない。
【0016】
サーボバルブ100は、ノズル200と、レシーバ300と、駆動部400と、を備える。駆動部400は、ノズル200の上部に規定された回転軸RAX周りに時計回り及び反時計回りにノズル200を揺振する。駆動部400は、電磁力を用いて、ノズル200に回転力を与える一般的なトルクモータであってもよいし、ノズル200を回転軸を中心に予め定められた所定角度の範囲内でその先端が双方向に旋回(揺動)運動させる他の駆動装置であってもよい。本実施形態の原理は、駆動部400として用いられる特定の装置に限定されない。
【0017】
ノズル200は、上面210と下面220とを含む。下面220は、ノズル200の下方に配置されたレシーバ300に対向する。上面210は、下面220の上方に位置する。上面210には、流入口211が形成される。流入口211は、ポンプや作動流体を供給する他の流体供給源に接続される。作動流体は、流入口211を通じて、ノズル200に流入する。
【0018】
下面220(先端面)には、吐出口221が形成される。ノズル200には、流入口211から下方に延び吐出口221に繋がるノズル流路230が形成される。ノズル流路230は、吐出口221に向けて狭まる。流入口211からノズル200に流入した作動流体は、ノズル流路230に沿って流下し、吐出口221から吐出される。その後、作動流体は、レシーバ300に流入する。
【0019】
レシーバ300は、ノズル200の下面220に対向する上面310を含む。上面310には、左流入口311及び右流入口312が形成される。左流入口311及び右流入口312それぞれは、吐出口221よりも大きく形成されてもよい。レシーバ300には、左流路313及び右流路314が形成される。左流路313は、左流入口311から左下方に延び、左流出口315で終端する。右流路314は、右流入口312から右下方に延び、右流出口316で終端する。左流出口315及び右流出口316は、レシーバ300の外面に形成され、スプールバルブ(図示せず)やアクチュエータ(図示せず)に連結される。
【0020】
図1に示されるノズル200は、中立位置にある。ノズル200が中立位置にあるとき、ノズル流路230の中心軸(流入口211の中心と吐出口221の中心とを結ぶ軸線)は、左流入口311の中心と右流入口312の中心との間で延びる線分の中点を通過する鉛直線VLに略一致する。ノズル200が中立位置にあるとき、吐出口221から吐出された作動流体は、左流入口311と右流入口312とに略均等に流入する。本実施形態において、第1流入口は、左流入口311及び右流入口312のうち一方によって例示される。第2流入口は、左流入口311及び右流入口312のうち他方によって例示される。流入面は、レシーバ300の上面310によって例示される。
【0021】
図2A及び
図2Bそれぞれは、サーボバルブ100の概念図である。
図1乃至
図2Bを参照して、サーボバルブ100が更に説明される。
【0022】
図2Aに示されるノズル200は、駆動部400によって、中立位置(
図1に示されるノズル200の位置)から回転軸RAX周りに時計回りに揺振されている。このとき、吐出口221は、鉛直線VLの左方に位置する。
【0023】
図2Bに示されるノズル200は、駆動部400によって、中立位置(
図1に示されるノズル200の位置)から回転軸RAX周りに反時計回りに揺振されている。このとき、吐出口221は、鉛直線VLの右方に位置する。
【0024】
図2A及び
図2Bそれぞれは、ノズル流路230の中心軸の延設方向に沿って、吐出口221の中心からレシーバ300に向けて延びる吐出線DCLを示す。作動流体は、吐出線DCLに沿って吐出口221から吐出される。ノズル200が、駆動部400によって時計回りに揺振されると、吐出線DCLは、左流入口311に交差する。ノズル200が、駆動部400によって反時計回りに揺振されると、吐出線DCLは、右流入口312に交差する。本実施形態において、延長線は、吐出線DCLによって例示される。第1位置は、
図2A及び
図2Bのうち一方に示されるノズル200の位置によって例示される。第2位置は、
図2A及び
図2Bのうち他方に示されるノズル200の位置によって例示される。
【0025】
ノズル200の下面220は、レシーバ300の上面310に対向する対向面222と、対向面222から下方に隆起する隆起面223と、を含む。ノズル200が中立位置にあるとき(
図1を参照)、対向面222は、レシーバ300の上面310に略平行である。隆起面223は、対向面222から突出する突出部を形成する。本実施形態において、隆起面223は、突出部として、レシーバ300の上面310に向けて狭まる円錐台を形成する。代替的に、隆起面223は、突出部として、他の立体形状(たとえば、角錘台や半球体)を形成してもよい。本実施形態の原理は、隆起面223によって形成される特定の立体形状に限定されない。本実施形態において、力発生部は、隆起面223によって例示される。すなわち、力発生部は、レシーバ300から戻ってくる流体によって、ノズル200の変位を補助する力を発生させる向きに形成された面によって形成される。
【0026】
隆起面223は、端面224と、周面225と、を含む。吐出口221は、端面224に形成される。周面225は、端面224と対向面222との間に形成された環状の帯面であり、隆起面223が形成する円錐台の外周面を形成する。
【0027】
図2Aは、右流路314の中心線RCLを示す。中心線RCLは、周面225の右半分に交差する。
【0028】
図2Aに示されるノズル200から吐出された作動流体は、左流入口311に主に流入する。その後、作動流体は、左流路313を通じて、スプールバルブ(図示せず)又はアクチュエータ(図示せず)といった可動部(図示せず)に供給される。可動部は、左流路313を通じて供給された作動流体によって所定の動作を行う。この間、可動部は、可動部から右流路314に連なる流路(図示せず)に存在する作動流体を押し出す。この結果、作動流体は、右流入口312から中心線RCLの延出方向(左斜め上方)に噴出する。したがって、右流入口312から噴出した作動流体は、周面225の右半分に衝突する。作動流体と周面225の右半分との衝突は、時計回りのノズル200の揺振を補助する補助力に帰結する。本実施形態において、第1補助力及び第2補助力のうち一方は、作動流体と周面225の右半分との衝突によって引き起こされた補助力によって例示される。第1力発生面及び第2力発生面のうち一方は、周面225の右半分によって例示される。
【0029】
図2Bは、左流路313の中心線LCLを示す。中心線LCLは、周面225の左半分に交差する。
【0030】
図2Bに示されるノズル200から吐出された作動流体は、右流入口312に主に流入する。その後、作動流体は、右流路314を通じて、スプールバルブ(図示せず)又はアクチュエータ(図示せず)といった可動部(図示せず)に供給される。可動部は、右流路314を通じて供給された作動流体によって所定の動作を行う。この間、可動部は、可動部から左流路313に連なる流路(図示せず)に存在する作動流体を押し出す。この結果、作動流体は、左流入口311から中心線LCLの延出方向(右斜め上方)に噴出する。したがって、左流入口311から噴出した作動流体は、周面225の左半分に衝突する。作動流体と周面225の左半分との衝突は、反時計回りのノズル200の揺振を補助する補助力に帰結する。本実施形態において、第1補助力及び第2補助力のうち他方は、作動流体と周面225の左半分との衝突によって引き起こされた補助力によって例示される。第1力発生面及び第2力発生面のうち他方は、周面225の左半分によって例示される。
【0031】
<第2実施形態>
中立位置からの移動の直後に、サーボバルブが、レシーバから吹き出された作動流体から補助力を得ることができるならば、サーボバルブの応答性能は、更に向上される。第2実施形態において、レシーバから吹き出された作動流体から補助力を中立位置からの移動の直後に得ることができるように設計された例示的なサーボバルブが説明される。
【0032】
図3は、第2実施形態のサーボバルブ100Aの概念図である。
図3を参照して、サーボバルブ100Aが説明される。第1実施形態の説明は、第1実施形態と同一の符号が付された要素に援用される。本実施形態において、「上」、「下」、「左」、「右」、「時計回り」、「反時計回り」、「鉛直」や「水平」といった方向を表す用語は、説明の明瞭化のみを目的として用いられる。本実施形態の原理は、これらの方向を表す用語によっては何ら限定されない。
【0033】
第1実施形態と同様に、サーボバルブ100Aは、駆動部400を備える。第1実施形態の説明は、駆動部400に援用される。
【0034】
サーボバルブ100Aは、ノズル200Aと、レシーバ300Aと、を更に備える。第1実施形態と同様に、ノズル200Aは、上面210を含む。第1実施形態と同様に、ノズル200A内には、ノズル流路230が形成される。第1実施形態の説明は、上面210及びノズル流路230に援用される。
【0035】
ノズル200Aは、下面220Aを更に含む。第1実施形態と同様に、下面220Aは、対向面222を含む。第1実施形態の説明は、対向面222に援用される。
【0036】
ノズル200Aは、対向面222から下方に隆起する隆起面223Aを更に含む。隆起面223Aは、対向面222から突出する突出部を形成する。本実施形態において、隆起面223Aは、突出部として、レシーバ300Aの上面310Aに向けて狭まる円錐台を形成する。代替的に、隆起面223Aは、突出部として、他の立体形状(たとえば、角錘台や半球体)を形成してもよい。本実施形態の原理は、隆起面223Aによって形成される特定の立体形状に限定されない。本実施形態において、力発生部は、隆起面223Aによって例示される。
【0037】
隆起面223Aは、端面224Aと、周面225Aと、を含む。第1実施形態に関連して説明された吐出口221は、端面224Aに形成される。周面225Aは、端面224Aと対向面222との間に形成された環状の帯面であり、隆起面223Aが形成する円錐台の外周面を形成する。
【0038】
レシーバ300Aは、ノズル200Aの下面220Aに対向する上面310Aを含む。上面310Aには、左流入口311A及び右流入口312Aが形成される。左流入口311A及び右流入口312Aそれぞれは、吐出口221よりも大きく形成されてもよい。レシーバ300Aには、左流路313A及び右流路314Aが形成される。左流路313Aは、左流入口311Aから左下方に延び、左流出口315Aで終端する。右流路314Aは、右流入口312Aから右下方に延び、右流出口316Aで終端する。左流出口315A及び右流出口316Aは、レシーバ300Aの外面に形成され、スプールバルブ(図示せず)やアクチュエータ(図示せず)に連結される。
【0039】
図3に示されるノズル200Aは、中立位置にある。レシーバ300の左流入口311Aは、中立位置にあるノズル200Aの周面225Aの左半分の広い領域において対向する。したがって、反時計回りのノズル200Aの揺振の開始と略同時に、ノズル200Aは、左流入口311Aから噴出された作動流体から反時計回りの揺振を補助する補助力を受けることができる。このことは、ノズル200Aが応答性よく反時計回りに揺振することができることを意味する。レシーバ300の右流入口312Aは、中立位置にあるノズル200Aの周面225Aの右半分の広い領域において対向する。したがって、時計回りのノズル200Aの揺振の開始と略同時に、ノズル200Aは、右流入口312Aから噴出された作動流体から時計回りの揺振を補助する補助力を受けることができる。このことは、ノズル200Aが応答性よく時計回りに揺振することができることを意味する。
【0040】
本実施形態において、第1力発生面は、ノズル200Aの周面225Aの左半分又は右半分によって例示される。第2力発生面は、ノズル200Aの周面225Aの右半分又は左半分によって例示される。第1流入口は、右流入口312A又は左流入口311Aによって例示される。第2流入口は、左流入口311A又は右流入口312Aによって例示される。
【0041】
左流入口311A、右流入口312A及び周面225Aの上述の位置関係を得るために、設計者は、例えば、以下の寸法を調整することができる。
(1)対向面222と端面224Aとの間の距離
(2)端面224Aの大きさ
(3)鉛直線VLと周面225Aの母線との間の傾斜角(すなわち、隆起面223が形成する円錐台のテーパ角)
(4)左流入口311A及び右流入口312Aの中心間距離
(5)左流入口311A及び右流入口312Aの形状及び大きさ
(6)鉛直線VLに対する左流路313A及び右流路314Aの傾斜角度
【0042】
<第3実施形態>
上述の実施形態に関連して説明されたノズルの隆起面は、円錐台状の突出部を形成する。しかしながら、突出部は、他の様々な形状であってもよい。第3実施形態において、隆起面によって形成される例示的な立体形状が説明される。
【0043】
図4は、第3実施形態のノズル200Bの概略的な断面図である。
図4を参照して、ノズル200Bが説明される。第1実施形態の説明は、第1実施形態と同一の符号が付された要素に援用される。本実施形態において、「上」、「下」、「左」、「右」、「時計回り」、「反時計回り」、「鉛直」や「水平」といった方向を表す用語は、説明の明瞭化のみを目的として用いられる。本実施形態の原理は、これらの方向を表す用語によっては何ら限定されない。
【0044】
第1実施形態と同様に、ノズル200Bは、上面210を含む。第1実施形態と同様に、ノズル200B内には、ノズル流路230が形成される。第1実施形態の説明は、上面210及びノズル流路230に援用される。
【0045】
ノズル200Bは、下面220Bを更に含む。第1実施形態と同様に、下面220Bは、対向面222を含む。第1実施形態の説明は、対向面222に援用される。
【0046】
下面220Bは、対向面222から下方に隆起する隆起面223Bを更に含む。隆起面223Bは、対向面222から突出する突出部を形成する。
【0047】
図4は、2つの水平面HF1、HF2を示す。水平面HF1は、対向面222に沿う仮想的な面である。水平面HF2は、水平面HF1とレシーバ(図示せず)の上面(図示せず)との間で規定された仮想的な面である。本実施形態において、第1仮想平面は、水平面HF1によって例示される。第2仮想平面は、水平面HF2によって例示される。
【0048】
隆起面223Bは、端面224Bと、周面225Bと、を含む。端面224Bは、水平面HF2に沿う。第1実施形態に関連して説明された吐出口221は、端面224Bに形成される。周面225Bは、端面224Bと対向面222との間に形成された帯面であり、隆起面223Bが形成する錐体の外周面を形成する。本実施形態において、吐出端面は、端面224Bによって例示される。
【0049】
図5は、ノズル200B上に形成された4つの輪郭線CT1,CT2,CT3,CT4を示す。
図4及び
図5を参照して、ノズル200Bが更に説明される。
【0050】
輪郭線CT1は、水平面HF1上の対向面222の外縁を表す。輪郭線CT2は、水平面HF1上の周面225Bの輪郭を表す。輪郭線CT2は、対向面222と周面225Bとによって形成される凹状のコーナを表す。輪郭線CT2は、輪郭線CT1によって全体的に囲まれる。輪郭線CT3は、水平面HF2上の端面224Bの輪郭を表す。輪郭線CT3は、輪郭線CT2によって全体的に囲まれる。輪郭線CT4は、水平面HF2上の吐出口221の輪郭を表す。輪郭線CT4は、輪郭線CT3によって全体的に囲まれる。本実施形態において、第1輪郭は、輪郭線CT2によって例示される。第2輪郭は、輪郭線CT3によって例示される。
【0051】
本実施形態において、隆起面223Bは、四角錐を形成する。しかしながら、上述の輪郭の関係が満たされるならば、隆起面223Bは、他の立体形状(たとえば、楕円錘や六角錘)を形成してもよい。本実施形態の原理は、隆起面223Bが形成する特定の立体形状に限定されない。
【0052】
<第4実施形態>
第3実施形態に関連して説明されたノズルの隆起面は、対向面から突出する立体形状を形成する。代替的に、ノズルの隆起面は、対向面から凹没された溝部の輪郭を形成する壁面の一部を形成してもよい。第4実施形態において、対向面から凹没された溝部の輪郭を形成する壁面の一部を形成する隆起面を有するノズルが説明される。
【0053】
図6は、第4実施形態のノズル200Cの概略的な断面図である。
図6を参照して、ノズル200Cが説明される。第3実施形態の説明は、第3実施形態と同一の符号が付された要素に援用される。本実施形態において、「上」、「下」、「左」、「右」、「時計回り」、「反時計回り」、「鉛直」や「水平」といった方向を表す用語は、説明の明瞭化のみを目的として用いられる。本実施形態の原理は、これらの方向を表す用語によっては何ら限定されない。
【0054】
第3実施形態と同様に、ノズル200Cは、上面210を含む。第3実施形態と同様に、ノズル200C内には、ノズル流路230が形成される。第3実施形態の説明は、上面210及びノズル流路230に援用される。
【0055】
ノズル200Cは、下面220Cを更に含む。第3実施形態と同様に、下面220Cは、対向面222を含む。第3実施形態の説明は、対向面222に援用される。
【0056】
下面220Cには、対向面222から凹設された溝部226が形成される。下面220Cは、溝部226によって囲まれた隆起面223Cを更に含む。隆起面223Cは、溝部226の底から下方に突出する突出部を形成する。
【0057】
図6は、対向面222に沿う仮想的な水平面HFを示す。本実施形態において、第1仮想平面は、水平面HFによって例示される。
【0058】
隆起面223Cは、端面224Cと、周面225Cと、を含む。第3実施形態に関連して説明された吐出口221は、端面224Cに形成される。本実施形態において、端面224Cは、水平面HFと面一である。代替的に、端面は、水平面HFより上方に位置してもよいし、下方に位置してもよい。本実施形態の原理は、端面と水平面HFとの間の特定の位置関係に限定されない。
【0059】
周面225Cは、端面224Cと溝部226の底との間に形成された帯面であり、隆起面223Cが形成する錐体の外周面を形成する。周面225Cは、溝部226の輪郭の一部を形成する。第1実施形態に関連して説明された如く、ノズル200Cが、時計回りに揺振されると、周面225Cの右半分は、レシーバ(図示せず)の右流入口(図示せず)から吹き出された作動流体に衝突する。ノズル200Cが、反時計回りに揺振されると、周面225Cの左半分は、レシーバ(図示せず)の左流入口(図示せず)から吹き出された作動流体に衝突する。本実施形態において、第1力発生面は、周面225Cの右半分又は左半分によって例示される。第2力発生面は、周面225Cの左半分又は右半分によって例示される。
【0060】
<第5実施形態>
レシーバの左流入口又は右流入口から吹き出された作動流体は、ノズルの対向面とレシーバの上面との間に形成された狭い空隙を通じて外方に流れる。作動流体から対向面の外縁から外方に流れた作動流体の一部は、ノズルの外周面近傍を流れた後、ノズルの外周面から剥離することもある。ノズルの外周面からの作動流体の剥離は、ノズルの移動方向とは反対向きの力を生じさせる。作動流体の剥離の結果、ノズルの外周面に作用する抗力を低減するために、ノズルの対向面とレシーバの上面との間に形成された狭い空隙を流れる作動流体は、十分に整流化されることが好ましい。第5実施形態において、作動流体の例示的な整流化技術が説明される。
【0061】
図7は、サーボバルブ100の概念図である。第1実施形態の説明は、サーボバルブ100に援用される。
図7を参照して、サーボバルブ100が説明される。本実施形態において、「上」、「下」、「左」、「右」、「時計回り」、「反時計回り」、「鉛直」や「水平」といった方向を表す用語は、説明の明瞭化のみを目的として用いられる。本実施形態の原理は、これらの方向を表す用語によっては何ら限定されない。
【0062】
図7に示されるノズル200は、中立位置にある。
図7は、鉛直線VLと、左流入口311の中心点LCPと、右流入口312の中心点RCPと、を示す。
図7は、鉛直線VLと中心点LCP,RCPとを包摂する仮想平面上におけるノズル200及びレシーバ300の断面を表す。
【0063】
図7は、上述の仮想平面と、対向面222及び隆起面223の間の境界線と、によって規定された2つの交点LIP,RIPを示す。
図7は、上述の仮想平面と対向面222の外縁とによって規定された2つの交点LOP,ROPを更に示す。
図7は、4つのベクトルA,B,C,Dを示す。ベクトルAは、中心点LCPから交点LIPに延びる。ベクトルBは、中心点LCPから交点LOPに延びる。ベクトルCは、中心点RCPから交点RIPに延びる。ベクトルDは、中心点RCPから交点ROPに延びる。ノズル200を設計する設計者は、以下の不等式に示される関係が充足されるように、対向面222の輪郭形状を決定してもよい。
【0064】
【0065】
上述の不等式の関係が満たされるならば、左流入口311と隆起面223の周面225の左半分との間の距離及び右流入口312と隆起面223の周面225の右半分との間の距離それぞれよりも対向面222の外縁は、左流入口311及び右流入口312それぞれから離間した位置に形成されることとなる。以下の数式によって定められる差分値DFVが大きいならば、作動流体は、ノズル200の対向面222とレシーバ300の上面310との間の空間を流れる間に十分に整流化される。設計者は、大きな差分値DFVが得られるように、対向面222の輪郭形状を決定してもよい。
【0066】
【0067】
<第6実施形態>
ノズルが時計回りに揺振した直後において、高圧の作動流体の一部は、レシーバの右流路に流入する。右流路が鉛直線から大きく傾斜しているならば、右流路に流入した作動流体の一部は、上方に反射し、ノズルの隆起面の右半分に衝突する。ノズルが反時計回りに揺振した直後において、高圧の作動流体の一部は、レシーバの左流路に流入する。左流路が鉛直線から大きく傾斜しているならば、左流路に流入した作動流体の一部は、上方に反射し、ノズルの隆起面の左半分に衝突する。したがって、右流路及び左流路からの反射流は、ノズルの揺振に補助力を生じさせることができる。第6実施形態において、反射流を利用した応答性の向上技術が説明される。
【0068】
図8A及び
図8Bは、隆起面223の周囲におけるサーボバルブ100の概略的な拡大図である。第1実施形態の説明は、サーボバルブ100に援用される。
図8を参照して、サーボバルブ100が説明される。本実施形態において、「上」、「下」、「左」、「右」、「時計回り」、「反時計回り」、「鉛直」や「水平」といった方向を表す用語は、説明の明瞭化のみを目的として用いられる。本実施形態の原理は、これらの方向を表す用語によっては何ら限定されない。
【0069】
図8Aに示されるノズル200は、中立位置から時計回りに僅かに揺振されている。このとき、吐出口221から吐出された作動流体の多くは、左流入口311から左下方に延びる左流路313に流入する一方で、一部の作動流体は、右流入口312から右下方に延びる右流路314に流入する。ノズル200が時計回りに揺振され、鉛直線VLからの吐出線DCLの傾斜角が大きくなると、鉛直線VLからの吐出線DCLの傾斜角は、鉛直線VLからの左流路313の傾斜角に近づく。この間、鉛直線VLからの吐出線DCLと右流路314の中心線との間の角度関係は、直角に近づく。したがって、ノズル200が中立位置から時計回りに揺振されると、左流入口311に流入した作動流体は、左流路313に沿って円滑に流れやすくなる一方で、右流入口312に流入した作動流体は、右流路314の壁面によって反射されやすくなる。
【0070】
ノズル200が中立位置から時計回りに揺振されると、右流入口312の直上に位置する隆起面223の周面225の右半分は、ノズル200が中立位置にあるときよりもレシーバ300の上面310(すなわち、右流入口312)に対して平行な傾きを有することになる。したがって、隆起面223の周面225の右半分は、右流路314の壁面によって反射された作動流体に衝突しやすくなる。隆起面223の周面225の右半分と右流路314の壁面によって反射された作動流体との衝突は、ノズル200の時計回りの揺振を補助する補助力に帰結する。したがって、ノズル200は、時計回りに応答性よく揺振される。
【0071】
図8Bに示されるノズル200は、中立位置から反時計回りに僅かに揺振されている。このとき、吐出口221から吐出された作動流体の多くは、右流路314に流入する一方で、一部の作動流体は、左流路313に流入する。ノズル200が反時計回りに揺振され、鉛直線VLからの吐出線DCLの傾斜角が大きくなると、鉛直線VLからの吐出線DCLの傾斜角は、鉛直線VLからの右流路314の傾斜角に近づく。この間、鉛直線VLからの吐出線DCLと左流路313の中心線との間の角度関係は、直角に近づく。したがって、ノズル200が中立位置から反時計回りに揺振されると、右流入口312に流入した作動流体は、右流路314に沿って円滑に流れやすくなる一方で、左流入口311に流入した作動流体は、左流路313の壁面によって反射されやすくなる。
【0072】
ノズル200が中立位置から反時計回りに揺振されると、左流入口311の直上に位置する隆起面223の周面225の左半分は、ノズル200が中立位置にあるときよりもレシーバ300の上面310(すなわち、左流入口311)に対して平行な傾きを有することになる。したがって、隆起面223の周面225の左半分は、左流路313の壁面によって反射された作動流体に衝突しやすくなる。隆起面223の周面225の左半分と左流路313の壁面によって反射された作動流体との衝突は、ノズル200の反時計回りの揺振を補助する補助力に帰結する。したがって、ノズル200は、反時計回りに応答性よく揺振される。
【0073】
本実施形態において、第1流路は、右流路314及び左流路313のうち一方によって例示される。第2流路は、右流路314及び左流路313のうち他方によって例示される。第1流路壁は、右流路314及び左流路313のうち一方を形成する流路壁によって例示される。第2流路壁は、右流路314及び左流路313のうち他方を形成する流路壁によって例示される。第1流体は、右流路314及び左流路313のうち一方に流入した作動流体によって例示される。第2流体は、右流路314及び左流路313のうち他方に流入した作動流体によって例示される。
【0074】
<第7実施形態>
上述の実施形態に関連して説明されたサーボバルブは、作動流体によって駆動される様々な流体装置に組み込まれ得る。第7実施形態において、例示的な流体装置が説明される。
【0075】
図9は、第7実施形態の流体装置500の概略図である。
図1及び
図9を参照して、流体装置500が説明される。第1実施形態の説明は、第1実施形態と同一の符号が付された要素に援用される。
【0076】
流体装置500は、サーボバルブ100Dと、アクチュエータ600と、を備える。第1実施形態と同様に、サーボバルブ100Dは、レシーバ300を含む。第1実施形態の説明は、レシーバ300に援用される。レシーバ300に形成された左流路313及び右流路314は、第6実施形態に関連して説明された設計原理に基づき設計されてもよい。
【0077】
サーボバルブ100Dは、トルクモータ400Dを含む。トルクモータ400Dは、
図1を参照して説明された駆動部400に対応する。駆動部400に関する説明は、トルクモータ400Dに援用される。
【0078】
トルクモータ400Dは、下コイル411と、上コイル412と、下磁極片421と、上磁極片422と、磁性ロッド430と、を含む。上コイル412は、下コイル411の上方に配置される。下磁極片421は、略円筒状に形成されてもよい。下コイル411は、下磁極片421内に収容される。下磁極片421と同様に、上磁極片422は、略円筒状に形成されてもよい。上コイル412は、上磁極片422内に配置される。上磁極片422の下縁は、下磁極片421の上縁に対向する。磁性ロッド430は、略水平に延びる。磁性ロッド430の左端及び右端は、下磁極片421の上縁と上磁極片422の下縁との間の空隙内に位置する。
【0079】
下コイル411及び上コイル412には、電流が供給される。この結果、下磁極片421及び上磁極片422は、磁石として機能する。磁性ロッド430の右端が、下磁極片421に引きつけられる一方で、磁性ロッド430の左端が、上磁極片422に引きつけられるように、電流が、下コイル411及び上コイル412に供給されると、磁性ロッド430は、時計回りに回転する。磁性ロッド430の左端が、下磁極片421に引きつけられる一方で、磁性ロッド430の右端が、上磁極片422に引きつけられるように、電流が、下コイル411及び上コイル412に供給されると、磁性ロッド430は、反時計回りに回転する。
【0080】
サーボバルブ100Dは、ノズル部200Dを含む。ノズル部200Dは、
図1を参照して説明されたノズル200に相当する。ノズル200に関する説明は、ノズル部200Dに援用されてもよい。
【0081】
ノズル部200Dは、ノズル片240と、フレキシブルチューブ250と、連結シャフト260と、を含む。フレキシブルチューブ250は、鉛直に延び、トルクモータ400Dを貫通する。ノズル片240は、フレキシブルチューブ250の下端に取り付けられる。高圧の作動流体は、フレキシブルチューブ250に供給される。作動流体は、フレキシブルチューブ250によって案内され、ノズル片240に到達する。
【0082】
ノズル片240は、レシーバ300の上面310に対向する下面241を含む。下面241には、吐出口242が形成される。下面241の隆起形状は、上述の実施形態に関連して説明された設計原理に基づいて決定される。ノズル片240に供給された高圧の作動流体は、吐出口242から吐出される。その後、作動流体は、レシーバ300に流入する。
【0083】
連結シャフト260は、フレキシブルチューブ250を、磁性ロッド430の中間部に連結する。フレキシブルチューブ250及びノズル片240は、時計回り及び反時計回りの磁性ロッド430の回転に応じて、左右に往復移動することができる。本実施形態において、第1位置は、中立位置(吐出口242の中心から作動流体の吐出方向に延長された延長線とレシーバ300の上面310との交点が、左流入口311と右流入口312との中間に位置するノズル片240の位置)から左方又は右方に移動したノズル片240の位置によって例示される。第2位置は、中立位置から右方又は左方に移動したノズル片240の位置によって例示される。
【0084】
磁性ロッド430が連結シャフト260周りに時計回りの回転をすると、ノズル片240は、左方に移動する。この結果、吐出口242と左流入口311との間の重畳面積は増加する一方で、吐出口242と右流入口312との間の重畳面積は減少する。この場合、レシーバ300内に形成された左流路313への作動流体の流入量は、右流路314へ流入する作動流体の流量を上回る。
【0085】
磁性ロッド430が連結シャフト260周りに反時計回りの回転をすると、ノズル片240は、右方に移動する。この結果、吐出口242と右流入口312との間の重畳面積は増加する一方で、吐出口242と左流入口311との間の重畳面積は減少する。この場合、レシーバ300内に形成された右流路314への作動流体の流入量は、左流路313へ流入する作動流体の流量を上回る。
【0086】
アクチュエータ600は、筐体610と、可動片620と、を含む。筐体610には、2つのポート611,612が形成される。アクチュエータ600のポート611は、レシーバ300の左流出口315に流体流通可能に接続される。すなわち、アクチュエータ600のポート611は、レシーバ300の左流入口311から延びる左流路313に連なる。アクチュエータ600のポート612は、レシーバ300の右流出口316に流体流通可能に接続される。すなわち、アクチュエータ600のポート612は、レシーバ300の右流入口312から延びる右流路314に連なる。本実施形態において、第1流出口は、ポート611及びポート612のうち一方によって例示される。第2流出口は、ポート611及びポート612のうち他方によって例示される。
【0087】
可動片620は、隔壁621と、ロッド622と、を含む。隔壁621は、筐体610の内部空間を左チャンバ631と右チャンバ632とに仕切る。ポート611は、左チャンバ631に繋がる。左チャンバ631は、左流路313に流入した作動流体の流動経路の終端部分を形成する。ポート612は、右チャンバ632に繋がる。右チャンバ632は、右流路314に流入した作動流体の流動経路の終端部分を形成する。ロッド622は、隔壁621から右方に延び、筐体610の外に突出する。ロッド622は、筐体610の外に配置された他の外部装置(図示せず)に接続される。本実施形態において、空房部は、筐体610の内部空間によって例示される。
【0088】
ノズル片240が左方に移動すると、作動流体は、ノズル片240の吐出口242からレシーバ300の左流入口311に主に流入する。左流入口311に流入した作動流体は、その後、レシーバ300の左流路313、レシーバ300の左流出口315及びアクチュエータ600のポート611を通じて、左チャンバ631に流入する。この結果、左チャンバ631の内圧は増加し、可動片620は、右方に移動する。この間、右チャンバ632内に存在していた作動流体は、アクチュエータ600のポート612、レシーバ300の右流出口316及びレシーバ300の右流路314を通じて、右流入口312から噴出される。右流入口312から噴出された作動流体は、ノズル片240の下面241に形成された隆起部分に衝突し、ノズル片240の左方への移動を補助する補助力をノズル片240に与える。したがって、ノズル片240は、応答性よく左方へ移動することができる。
【0089】
ノズル片240が右方に移動すると、作動流体は、ノズル片240の吐出口242からレシーバ300の右流入口312に主に流入する。右流入口312に流入した作動流体は、その後、レシーバ300の右流路314、レシーバ300の右流出口316及びアクチュエータ600のポート612を通じて、右チャンバ632に流入する。この結果、右チャンバ632の内圧は増加し、可動片620は、左方に移動する。この間、左チャンバ631内に存在していた作動流体は、アクチュエータ600のポート611、レシーバ300の左流出口315及びレシーバ300の左流路313を通じて、左流入口311から噴出される。左流入口311から噴出された作動流体は、ノズル片240の下面241に形成された隆起部分に衝突し、ノズル片240の右方への移動を補助する補助力をノズル片240に与える。したがって、ノズル片240は、応答性よく右方へ移動することができる。
【0090】
図9において、レシーバ300は、アクチュエータ600の筐体610とは別体に描かれている。しかしながら、レシーバ300は、アクチュエータ600の筐体610と一体的に形成されてもよい。
【0091】
<第8実施形態>
第7実施形態に関連して説明されたアクチュエータは、レシーバに直接的に連結される。代替的に、スプールバルブが、レシーバとアクチュエータとの間に配置されてもよい。第8実施形態において、スプールバルブを備える例示的な流体装置が説明される。
【0092】
図10は、第8実施形態の流体装置500Eの概略図である。
図10を参照して、流体装置500Eが説明される。第7実施形態の説明は、第7実施形態と同一の符号が付された要素に援用される。
【0093】
第7実施形態と同様に、流体装置500Eは、アクチュエータ600を備える。第7実施形態の説明は、アクチュエータ600に援用される。
【0094】
流体装置500Eは、サーボバルブ100Eと、2つのポンプ510,520と、タンク530と、を更に備える。第7実施形態と同様に、サーボバルブ100Eは、ノズル部200Eと、レシーバ300と、トルクモータ400Dと、を含む。第7実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
【0095】
サーボバルブ100Eは、スプールバルブ700を更に含む。スプールバルブ700は、筐体710と、スプール720と、カンチレバースプリング730と、を含む。スプール720は、筐体710内に配置される。この結果、筐体710内に、作動流体が流動する流動経路が形成される。カンチレバースプリング730は、筐体710とスプール720とを連結する。カンチレバースプリング730は、スプール720を閉止位置に留まらせようとする力をスプール720に加える。スプール720が閉止位置にあるとき、スプールバルブ700は、ポンプ510,520からアクチュエータ600への作動流体の供給経路を遮断する。スプール720が閉止位置から左方或いは右方へ移動すると、スプールバルブ700は、ポンプ510,520からアクチュエータ600への作動流体の供給経路を開く。
【0096】
筐体710には、7つのポート711~717が形成される。ポート711は、レシーバ300の左流出口315に流体流通可能に接続される。ポート712は、レシーバ300の右流出口316に流体流通可能に接続される。ポンプ510,520は、ポート713,714にそれぞれ取り付けられる。ポート715,716は、アクチュエータ600のポート611,612に流体流通可能にそれぞれ接続される。タンク530は、ポート717に取り付けられる。
【0097】
スプール720は、4つの隔壁721,722,723,724と、これらの隔壁721,722,723,724を連結する連結シャフト725と、を含む。連結シャフト725は、略水平に延びる。隔壁721は、連結シャフト725の左端に形成される。隔壁722は、連結シャフト725の右端に形成される。隔壁723は、隔壁721,722の間に位置する。隔壁724は、隔壁722,723の間に位置する。
【0098】
隔壁721,722,723,724は、筐体710の内部空間を5つのチャンバ741,742,743,744,745に仕切る。チャンバ741は、最も左に形成される。チャンバ742は、最も右に形成される。チャンバ743は、隔壁721,723間に形成される。チャンバ744は、隔壁722,724間に形成される。チャンバ745は、隔壁723,724間に形成される。
【0099】
ノズル片240が左方に移動すると、作動流体は、ノズル片240の吐出口242からレシーバ300の左流入口311に主に流入する。左流入口311に流入した作動流体は、その後、レシーバ300の左流路313、レシーバ300の左流出口315及びスプールバルブ700のポート711を通じて、チャンバ741に流入する。この結果、チャンバ741の内圧は増加し、スプール720は、閉止位置から右方に移動する。この間、チャンバ742内に存在していた作動流体は、スプールバルブ700のポート712、レシーバ300の右流出口316及びレシーバ300の右流路314を通じて、右流入口312から噴出される。右流入口312から噴出された作動流体は、ノズル片240の下面241に形成された隆起部分に衝突し、ノズル片240の左方への移動を補助する補助力をノズル片240に与える。したがって、ノズル片240は、応答性よく左方へ移動することができる。
【0100】
その後、ノズル片240が中立位置に復帰すると、ノズル片240の吐出口242から吐出された作動流体は、レシーバ300の左流入口311と右流入口312とに略均等に流入する。この間、スプール720に左方に作用する力は、スプール720に右方に作用する力よりもカンチレバースプリング730の復元力の分だけ大きくなる。したがって、スプール720は、左方へ移動し、閉止位置に復帰する。
【0101】
ノズル片240が右方に移動すると、作動流体は、ノズル片240の吐出口242からレシーバ300の右流入口312に主に流入する。右流入口312に流入した作動流体は、その後、レシーバ300の右流路314、レシーバ300の右流出口316及びスプールバルブ700のポート712を通じて、チャンバ742に流入する。この結果、チャンバ742の内圧は増加し、スプール720は、閉止位置から左方に移動する。この間、チャンバ741内に存在していた作動流体は、スプールバルブ700のポート711、レシーバ300の左流出口315及びレシーバ300の左流路313を通じて、左流入口311から噴出される。左流入口311から噴出された作動流体は、ノズル片240の下面241に形成された隆起部分に衝突し、ノズル片240の右方への移動を補助する補助力をノズル片240に与える。したがって、ノズル片240は、応答性よく右方へ移動することができる。
【0102】
その後、ノズル片240が中立位置に復帰すると、ノズル片240の吐出口242から吐出された作動流体は、レシーバ300の左流入口311と右流入口312とに略均等に流入する。この間、スプール720に右方に作用する力は、スプール720に左方に作用する力よりもカンチレバースプリング730の復元力の分だけ大きくなる。したがって、スプール720は、右方へ移動し、閉止位置に復帰する。
【0103】
本実施形態において、第1可動片は、スプール720によって例示される。第1流出口は、ポート711,712のうち一方によって例示される。第2流出口は、ポート711,712のうち他方によって例示される。
【0104】
スプール720が閉止位置にあるとき、隔壁723は、ポート715を閉じる。このとき、隔壁724は、ポート716を閉じる。ポンプ510は、ポート713を通じて、高圧の作動流体をチャンバ743に供給する。ポンプ520は、ポート714を通じて、高圧の作動流体をチャンバ744へ供給する。スプール720が閉止位置から右方に移動すると、チャンバ743からアクチュエータ600への作動流体の供給経路及びアクチュエータ600からチャンバ745への作動流体の排出経路が開かれる。スプール720が閉止位置から左方に移動すると、チャンバ744からアクチュエータ600への作動流体の供給経路及びアクチュエータ600からチャンバ745への作動流体の排出経路が開かれる。したがって、ポート715,716からアクチュエータ600への作動流体の流出量は、ノズル片240の左右の移動によって調整される。
【0105】
スプール720が、閉止位置から右方に移動すると、ポンプ510からポート713を通じてチャンバ743に供給された作動流体は、ポート715,611を通じて、左チャンバ631に流入する。左チャンバ631の内圧は増加するので、可動片620は右方に移動する。この間、右チャンバ632は、ポート612,716を介して、チャンバ745に連通する。右チャンバ632内に存在していた作動流体は、右方に移動する可動片620によって、右チャンバ632から押し出され、チャンバ745に流入する。チャンバ745に流入した作動流体は、その後、タンク530に貯留される。
【0106】
スプール720が、閉止位置から左方に移動すると、ポンプ520からポート714を通じてチャンバ744に供給された作動流体は、ポート716,612を通じて、右チャンバ632に流入する。右チャンバ632の内圧は増加するので、可動片620は左方に移動する。この間、左チャンバ631は、ポート611,715を介して、チャンバ745に連通する。左チャンバ631内に存在していた作動流体は、左方に移動する可動片620によって、左チャンバ631から押し出され、チャンバ745に流入する。チャンバ745に流入した作動流体は、その後、タンク530に貯留される。本実施形態において、第2可動片は、可動片620によって例示される。
【0107】
図10において、レシーバ300は、スプールバルブ700の筐体710とは別体に描かれている。しかしながら、レシーバ300は、スプールバルブ700の筐体710と一体的に形成されてもよい。
【0108】
本実施形態において、カンチレバースプリング730は、スプール720と筐体710とに連結されている。カンチレバースプリング730に代えて、スプール720とノズル部200Eとを連結する弾性部材が用いられてもよい。
【0109】
<第9実施形態>
本発明者等は、ノズルの下面の形状異なる2つのモデルを用いて、ノズルの下面の形状とノズルが作動流体から受ける力(フローフォース)との間の関係を解析した。第9実施形態において、解析結果が説明される。
【0110】
図11A及び
図11Bは、レシーバに対するノズルの相対位置、ノズルから吐出される作動流体の流量及びノズルが作動流体から受ける力の関係を表すグラフである。
図11Aに示されるデータは、第1実施形態に関連して説明された設計原理に基づき設計されたノズルから得られており、ノズルの下面には円錐台状の隆起が形成されている。
図11Bに示されるデータは、従来のノズルから得られており、ノズルの下面は平坦である(すなわち、ノズルの下面には、隆起は存在しない)。
図11A及び
図11Bを参照して、ノズルの下面の隆起形状から得られる有利な効果が説明される。
【0111】
図11A及び
図11Bのグラフの横軸は、レシーバに対するノズルの相対位置をそれぞれ表す。
図11A及び
図11Bのグラフそれぞれの原点は、中立位置を表す。
図11A及び
図11Bのグラフの縦軸は、作動流体の吐出量と、ノズルが作動流体から受ける力と、を示す。
【0112】
【0113】
ノズルは、レシーバから吹き出される作動流体からの力だけでなく、ノズル流路内の作動流体の圧力やノズルの外周面近傍における作動流体の剥離に起因する力を受ける。ノズル流路内の作動流体の圧力やノズルの外周面近傍における作動流体の剥離に起因する力は、ノズルの変位方向とは反対向きの抗力として作用する。
【0114】
図11Aに示されるフローフォースの平均値は、
図11Bに示されるフローフォースの平均値よりも顕著に小さい。このことは、ノズルの下面に形成された隆起とレシーバから吹き出される作動流体との衝突が、上述の抗力を相殺していることを表す。隆起が形成された下面を有するノズルの移動に対する抗力は、ノズルのストロークに亘って低減されているので、隆起が形成された下面を有するノズルは、応答性よく左方及び右方に移動することができる。一方、平坦な下面を有するノズルの移動に対する抗力は、ほとんど低減されないので、平坦な下面を有するノズルは、応答性において、隆起が形成された下面を有するノズルに劣る。
【0115】
図11Aに示されるフローフォースの変動幅は、
図11Bに示されるフローフォースの変動幅よりも顕著に小さい。このことは、ノズルの下面に隆起が形成されるならば、ノズルの位置制御が、作動流体の流量やノズルのストローク位置に影響されにくくなることを表す。したがって、上述の実施形態に関連して説明されたノズルは、応答性だけでなく、位置制御の精度においても、従来のノズルよりも優れている。
【0116】
以上、本発明の実施形態を説明した。本実施形態に係るサーボバルブは、流入口から噴き出される流体と衝突し、変位方向に合致する方向に作用する補助力を生じる力発生部がノズルに形成されている。これにより、ノズルは変位方向に作用する補助力を受けて移動しやすくなるので、アクチュエータの応答速度が向上する。
【0117】
ここで、
図12に示すノズル200の吐出線DCLを通る断面において、周面225と吐出線DCLとがなす角を外周角αとする。外周角αは、例えば流体の流量に応じて設定する。例えば、ノズル200が適切な補助力を受けて動くように、流体の流量が小さい場合には外周角αを大きく、流量が大きい場合には外周角αを小さくする。外周角αは、0~60度が好ましく、3~50度がより好ましく、5~40度がさらに好ましく、8~30度が特に好ましい。サーボバルブ100においてノズル200がスプール720及び流体のそれぞれとばねで接続された振動モデルを考える。このモデルでは、フローフォースが増大して流体による等価ばね定数が大きくなると、ノズル200の振動が発散して動作が不安定化する。そこで、フローフォースが増大してノズル200の動作が不安定化する角度を外周角αの上限とする。また、サーボバルブ100においてフローフォースがゼロとなる角度を外周角αの下限とする。
【0118】
図13は、変形例に係るノズル200Fの部分拡大図を示す図である。
図13に示すノズル200Fには、端面224から吐出口221につながる窪み226が形成されている。窪み226は、端面224から吐出線DCLに沿って上方に延びて、上側ほど直径が小さくなる円錐台状に形成されている。窪み226の内周面は、周面225と同様に、ノズル200Fの変位方向に作用する補助力を受ける。これにより、ノズル200Fが受ける補助力が大きくなる。なお、窪み226の形状はこれに限らず、例示した形状と異なってもよい。
【0119】
上述の様々な実施形態に関連して説明された設計原理は、様々なサーボバルブ及び流体装置に適用可能である。上述の様々な実施形態のうち1つに関連して説明された様々な特徴のうち一部が、他のもう1つの実施形態に関連して説明されたサーボバルブ及び流体装置に適用されてもよい。
【0120】
本発明の一局面の概要は、次の通りである。一局面のサーボバルブは、ノズルを変位させることにより、当該ノズルの吐出口から吐出される流体を制御してアクチュエータを駆動する。サーボバルブは、前記吐出口から吐出された前記流体が流入する第1流入口及び第2流入口が形成された流入面を含むレシーバを備える。前記ノズルは、前記吐出口が形成された端面及び前記端面の周囲に形成された外周面を備える力発生部を含む。前記ノズルが、前記吐出口の中心から延びる延長線が、前記第1流入口と前記第2流入口との間で前記流入面に交差する中立位置から前記延長線が前記第1流入口と交差する位置に向かって変位すると、前記第2流入口内の前記流体は、前記ノズルに向けて噴き出される。前記力発生部は、前記第2流入口から噴き出された前記流体と衝突し、前記ノズルの変位方向に合致する方向に作用する補助力を生じさせる。
【0121】
上記構成によれば、力発生部は、第2流入口から噴き出された流体と衝突し、第1流入口側へ向かうノズルの変位方向に合致する方向に作用する補助力を生じさせるので、第1流入口側へのノズルの変位は、補助力によって補助される。ノズルは、補助力の作用の下で、第1流入口側へ素早く変位することができるので、サーボバルブは、アクチュエータを素早く駆動することができる。
【0122】
上記構成において、前記ノズルが、前記中立位置から前記延長線が前記第2流入口と交差する位置に向かって変位すると、前記第1流入口内の前記流体は、前記ノズルに向けて噴き出されてもよい。前記力発生部は、前記第1流入口から噴き出された前記流体と衝突し、前記第2流入口側へ向かう前記ノズルの変位方向に合致する方向に作用する補助力を生じさせてもよい。
【0123】
上記構成によれば、力発生部は、第1流入口から噴き出された流体と衝突し、第2流入口側へ向かうノズルの変位方向に合致する方向に作用する補助力を生じさせるので、第2流入口側へのノズルの変位は、補助力によって補助される。ノズルは、補助力の作用の下で、第2流入口側へ素早く変位することができるので、サーボバルブは、アクチュエータを素早く駆動することができる。
【0124】
上記構成において、前記力発生部は、前記流入面に向かって突出し、且つ、前記流入面に向けて狭まる錐体であってもよい。前記外周面は、前記ノズルの第1流入口側への変位に対する補助力を生じさせる第1力発生面と、前記ノズルの第2流入口側への変位に対する補助力を生じさせる第2力発生面とを含んでもよい。
【0125】
上記構成によれば、錐体の外周面は、第1力発生面と第2力発生面とを含むので、ノズルは、第1補助力及び第2補助力を得るための簡素な構造を有することができる。
【0126】
上記構成において、前記第1力発生面は、前記第2流入口に対向してもよい。前記第2力発生面は、前記第1流入口に対向してもよい。
【0127】
上記構成によれば、第1力発生面は、第2流入口に対向するので、ノズルが中立位置から第1流入口側へ変位した直後に、第1力発生面は、強い第1補助力を生じさせることができる。第2力発生面は、第1流入口に対向するので、ノズルが中立位置から第2流入口側へ変位した直後に、第2力発生面は、強い第2補助力を生じさせることができる。
【0128】
上記構成において、前記ノズルは、前記流入面に対向する対向面を含んでもよい。前記対向面は、第1仮想平面内で形成されてもよい。前記錐体は、前記第1仮想平面と前記流入面との間で定義された第2仮想平面内で形成され、且つ、前記吐出口が形成された吐出端面を含んでもよい。前記第1仮想平面内における前記錐体の第1輪郭は、前記対向面の外縁によって囲まれてもよい。前記第2仮想平面内における前記錐体の第2輪郭は、前記吐出口を囲んでもよい。
【0129】
上記構成によれば、第1輪郭は、対向面の外縁によって囲まれ、且つ、第2輪郭は、吐出口を囲むので、外周面は、対向面の外縁と吐出口との間に位置することとなる。したがって、力発生部は、第1流入口又は第2流入口から噴き出された流体と衝突し、第1補助力又は第2補助力を生じさせることができる。
【0130】
上記構成において、前記第1輪郭は、前記外周面と前記対向面との間で凹状のコーナを形成してもよい。
【0131】
上記構成によれば、錐体は、凹状のコーナから突出するので、第1流入口又は第2流入口から噴き出された流体は、滞留をほとんど生ずることなく、対向面の外縁に向けて流れることができる。
【0132】
上記構成において、前記ノズルは、前記流入面に対向する対向面を含んでもよい。前記対向面は、第1仮想平面内で形成されてもよい。前記第1力発生面及び前記第2力発生面は、前記第1仮想平面から凹設された溝部を形成してもよい。
【0133】
上記構成によれば、第1力発生面及び第2力発生面は、第1仮想平面から凹設された溝部を形成するので、力発生部は、対向面から突出しなくてもよい。したがって、ノズルは、短い軸長寸法を有することができる。
【0134】
上記構成において、前記外縁は、前記第1流入口と前記第2力発生面との間の距離及び前記第2流入口と前記第1力発生面との間の距離それぞれよりも、前記第1流入口及び前記第2流入口それぞれから離間した位置に形成されてもよい。
【0135】
上記構成によれば、外縁は、第1流入口と第2力発生面との間の距離及び第2流入口と第1力発生面との間の距離それぞれよりも、第1流入口及び第2流入口それぞれから離間した位置に形成されるので、流体の流動は、対向面と流入面との間で安定化される。この結果、対向面の外縁の周囲の流体流動から生ずる力は、ノズルの変位方向とは逆向きに作用しにくくなる。したがって、サーボバルブは、アクチュエータを素早く駆動することができる。
【0136】
上記構成において、前記レシーバは、前記第1流入口から延びる第1流路を形成する第1流路壁と、前記第2流入口から延びる第2流路を形成する第2流路壁と、を含んでもよい。前記流入面は、前記吐出口から吐出された前記流体を、前記第1流入口へ流入する第1流体と、前記第2流入口に流入する第2流体と、に分けてもよい。前記ノズルが、前記中立位置から前記第1流入口側へ変位すると、前記第2流体は、前記第2流路壁によって、前記第1力発生面に向けて反射されてもよい。
【0137】
上記構成によれば、ノズルが、中立位置から第1流入口側へ変位すると、第2流体は、第2流路壁によって、第1力発生面に向けて反射されるので、第1流入口側へのノズルの変位は、第2流路壁が第2面に向けて反射した流体によって補助される。したがって、サーボバルブは、アクチュエータを素早く駆動することができる。
【0138】
上記構成において、前記ノズルが、前記中立位置から前記第2流入口側へ変位すると、前記第1流体は、前記第1流路壁によって、前記第2力発生面に向けて反射されてもよい。
【0139】
上記構成によれば、ノズルが、中立位置から第2流入口側へ変位すると、第1流体は、第1流路壁によって、第2力発生面に向けて反射されるので、第2流入口側へのノズルの変位は、第1流路壁が第1面に向けて反射した流体によって補助される。したがって、サーボバルブは、アクチュエータを素早く駆動することができる。
【0140】
上記構成において、サーボバルブは、前記ノズルを変位させる駆動部と、前記流体が流動する流動経路が形成された筐体と、を更に備えてもよい。前記筐体には、前記第1流入口に連なる第1流出口及び前記第2流入口に連なる第2流出口が形成されてもよい。前記駆動部は、前記第1流入口と前記第2流入口との間で、前記ノズルを変位させ、前記第1流出口からの前記流体の流出量と前記第2流出口からの前記流体の流出量とを調整してもよい。
【0141】
上記構成によれば、駆動部は、第1流入口と第2流入口との間で、ノズルを変位させ、第1流出口からの流体の流出量と第2流出口からの流体の流出量とを調整するので、設計者は、第1流出口及び第2流出口からの流出量の変動を利用して、ノズルに対する補助力の作用方向を適宜選択できる。
【0142】
上記構成において、前記筐体内で、前記ノズルの変位に応じて、前記流体によって往復動される第1可動片を更に備えてもよい。前記ノズルが、前記第1流入口側へ変位されると、前記第1可動片は、前記第1流入口へ吐出された前記流体によって変位される一方で、前記流体を、前記第2流出口から押し出すことによって、前記第2流入口から噴き出させてもよい。前記ノズルが、前記第2流入口側へ変位されると、前記第1可動片は、前記第2流入口へ吐出された前記流体によって変位される一方で、前記流体を、前記第1流出口から押し出すことによって、前記第1流入口から噴き出させてもよい。
【0143】
上記構成によれば、第1可動片は、第1流入口へ吐出された流体によって変位される一方で、流体を第2流入口から噴き出させるので、第1流入口側へのノズルの変位は、第2流入口から噴き出された流体によって補助される。ノズルが、第2流入口側へ変位されると、第1可動片は、第2流入口へ吐出された流体によって変位される一方で、流体を第1流入口から噴き出させるので、第2流入口側へのノズルの変位は、第1流入口から噴き出された流体によって補助される。
【0144】
本発明の更に他の局面に係る流体装置は、上述のサーボバルブと、前記第1可動片の変位に応じて動作する第2可動片を有するアクチュエータと、を備える。
【0145】
上記構成によれば、流体装置は、上述のサーボバルブを備えるので、ノズルは、応答性よく動作する。この結果、第1可動片も、応答性よく変位することができる。アクチュエータの第2可動片は、第1可動片の変位に応じて動作するので、第2可動片も応答性よく動作することができる。
【0146】
本発明の更に他の局面に係る流体装置は、上述のサーボバルブと、前記筐体と、前記筐体によって形成された空房部を区画し、前記流動経路を形成する可動片と、を有するアクチュエータと、を備える。前記ノズルが、前記第1流入口側へ変位されると、前記可動片は、前記第1流入口へ吐出された前記流体によって変位される一方で、前記流体を、前記第2流出口から押し出すことによって、前記第2流入口から噴き出させる。前記ノズルが、前記第2流入口側へ変位されると、前記可動片は、前記第2流入口へ吐出された前記流体によって変位される一方で、前記流体を、前記第1流出口から押し出すことによって、前記第1流入口から噴き出させる。
【0147】
上記構成によれば、ノズルが、第1流入口側へ変位されると、可動片は、第1流入口へ吐出された流体によって変位される一方で、流体を第2流入口から噴き出させるので、第1流入口側へのノズルの変位は、第2流入口から噴き出された流体によって補助される。ノズルが、第2流入口側へ変位されると、可動片は、第2流入口へ吐出された流体によって変位される一方で、流体を第1流入口から噴き出させるので、第2流入口側へのノズルの変位は、第1流入口から噴き出された流体によって補助される。
【産業上の利用可能性】
【0148】
上述の実施形態の原理は、流体から駆動力を得る様々な装置に好適に利用される。
【符号の説明】
【0149】
100,100A,100D,100E・・サーボバルブ
200,200A~200C,200F・・・・・・・ノズル
200D,200E・・・・・・・・・・・ノズル部(ノズル)
221,242・・・・・・・・・・・・・吐出口
222・・・・・・・・・・・・・・・・・対向面
223,223A~223C・・・・・・・隆起面(力発生部)
224,224A~224C・・・・・・・端面(吐出端面)
225,225A~225C・・・・・・・周面(外周面)
226・・・・・・・・・・・・・・・・・溝部
300,300A・・・・・・・・・・・・レシーバ
310,310A・・・・・・・・・・・・上面(流入面)
311,311A・・・・・・・・・・・・左流入口(第1流入口又は第2流入口)
312,312A・・・・・・・・・・・・右流入口(第2流入口又は第1流入口)
313,313A・・・・・・・・・・・・左流路(第1流路又は第2流路)
314,314A・・・・・・・・・・・・右流路(第2流路又は第1流路)
400・・・・・・・・・・・・・・・・・駆動部
400D・・・・・・・・・・・・・・・・トルクモータ(駆動部)
500,500E・・・・・・・・・・・・流体装置
600・・・・・・・・・・・・・・・・・アクチュエータ
610・・・・・・・・・・・・・・・・・筐体
611・・・・・・・・・・・・・・・・・ポート(第1流出口又は第2流出口)
612・・・・・・・・・・・・・・・・・ポート(第2流出口又は第1流出口)
620・・・・・・・・・・・・・・・・・可動片(第2可動片)
710・・・・・・・・・・・・・・・・・筐体
711・・・・・・・・・・・・・・・・・ポート(第1流出口又は第2流出口)
712・・・・・・・・・・・・・・・・・ポート(第2流出口又は第1流出口)
720・・・・・・・・・・・・・・・・・スプール(第1可動片)
CT2・・・・・・・・・・・・・・・・・輪郭線(第1輪郭)
CT3・・・・・・・・・・・・・・・・・輪郭線(第2輪郭)
DCL・・・・・・・・・・・・・・・・・吐出線(延長線)
HF,HF1・・・・・・・・・・・・・・水平面(第1仮想平面)
HF2・・・・・・・・・・・・・・・・・水平面(第2仮想平面)