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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】精算機
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20220114BHJP
   G06K 7/14 20060101ALI20220114BHJP
   G07F 7/08 20060101ALI20220114BHJP
   G06K 17/00 20060101ALI20220114BHJP
   G06K 7/015 20060101ALI20220114BHJP
   G06V 30/00 20220101ALI20220114BHJP
   G07B 15/00 20110101ALI20220114BHJP
   H04N 1/19 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
G06T1/00 420B
G06K7/14 043
G07F7/08 G
G06K17/00 022
G06K7/015
G06K9/00 S
G07B15/00 L
H04N1/19
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017163584
(22)【出願日】2017-08-28
(65)【公開番号】P2019040523
(43)【公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】591069086
【氏名又は名称】パーク二四株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 成夫
(72)【発明者】
【氏名】知名 絵梨子
(72)【発明者】
【氏名】田中 祐司
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 礼央
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-028565(JP,A)
【文献】特開2007-241574(JP,A)
【文献】特開平06-036094(JP,A)
【文献】特開2015-184780(JP,A)
【文献】特開2008-009725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
G06K 7/14
G07F 7/08
G06K 17/00
G06K 7/015
G06K 9/00
G07B 15/00
H04N 1/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザと向き合う正面パネルを備えた筐体をなす精算機であって、 前記の正面パネルに埋め込み固定されるリーダユニットと、そのリーダユニットに隣接させて前記の正面パネルに固定される表示パネルと、乗降データ処理サーバにてテキスト化された処理データを受信する処理データ受信手段と、コイン返却口と、を備え、 前記のリーダユニットは、光源およびイメージセンサを備えた撮影手段と、 その撮影手段からユーザ側に位置して前記の撮影手段の光源から発せられる光を透過させる透過板と、 その透過板に対して読み取り対象が撮影に適した所定の位置へユーザが固定しやすくする位置合わせ手段と、 その位置合わせ手段によって固定されて前記の撮影手段にて撮影されてデジタル化された前記の読み取り対象の読み取りデータから所定の枠を認識する枠認識手段と、 その枠認識手段にて認識された枠内の読み取りデータをテキスト化するための処理サーバへ送信する枠内データ送信手段と、を備えるとともに、前記のコイン返却口よりも上方に位置させることとし、 前記の位置合わせ手段は、 前記の透過板を基準として読み取り対象の厚さ寸法よりも大きな挿入口と、 その挿入口から挿入された読み取り対象の横幅寸法を収納可能な左右規制部材と、 前記の挿入口から挿入された読み取り対象の上方向へ移動することを規制するための上規制部材と、 前記の挿入口から挿入された読み取り対象を手前側へ移動することを規制するための前面カバー板と、を備え、 前記の表示パネルは、ユーザへの指示を画面出力することとするとともに、 前記の処理データに基づいて優待の有無を判断した結果を反映させた精算額を出力させることとした精算機。
【請求項2】
前記の表示パネルが出力することとした処理データに基づいて優待の有無を判断した結果を反映させた精算額は、前記の乗降データ処理サーバにて算出することとした請求項1に記載の精算機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコンビニエンスストアやデパートメントストアなどの店舗の料金支払い装置、自動販売機、自動券売機、入退室管理装置、および駐車料金の集中精算機や事前料金精算機などに適用して好適なリーダユニット等に関する。
特に、異なる非接触無線通信方式の非接触ICカードに対応する対応用リーダライタ装置を容易に見極めることを可能とするリーダユニット、そのリーダユニットを用いた精算機およびその精算機を制御するコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日においては、いわゆる「近傍型」の非接触ICカードが知られている。その「近傍型」の非接触ICカードは、ISO14443(ISO:International Organization for Standardization)の国際標準規格に準拠して動作する通信距離が10cm程度である。その「近傍型」の非接触ICカードは、マイフェアカード(Mifare:登録商標)に代表されるタイプA(TypeA)、住民基本台帳カードやデジタルチケットに代表されるタイプB(TypeB)に分類されている。
我が国で広く普及しているフェリカカード(Felica:登録商標)、スイカカード(Suica:登録商標)、エディカード(Edy:登録商標)は、「近傍型」の非接触ICカードとなっており、便宜上、タイプC(TypeC)に分類されている。
【0003】
前述したようなタイプA,タイプB,タイプCの各非接触ICカードは、キャリア周波数が13.56MHzで共通であり、変調方式や符号化方式などが異なるものの、金銭取引の簡易決済の手法として定着している。
【0004】
非接触ICカードには、ユーザが入金した入金額データ、買い物で使った出費額データ、公共交通サービスを利用した際の乗降記録データなどがICチップに記録されている。そうしたデータを二次的に利用することで複合的なサービスを提供する、というビジネスも登場した。
たとえば、図1に示すように、公共交通機関を利用した旨を証明することで、駐車料金を割り引く、といったサービスである。このサービスを実現するため、たとえば、特許文献1に示す技術がある。
【0005】
特許文献1に開示された駐車料金精算機は、公共交通機関の乗降に利用するICカードを、駐車料金の精算においても利用できるように工夫されている。
この技術では、駐車場の利用開始時刻などの簡単なデータが記録された磁気カードを用いた駐車場利用チケットと、公共交通機関の乗降に利用するICカードとの両方からデータを読み取ることができ、公共交通機関の乗降データが所定条件を満たした場合には、駐車料金を割り引いて精算できる。公共交通機関と駐車場とを併用した場合に駐車料金が割り引かれるサービスは、「パーク&ライド」と称され、都市部の交通渋滞の緩和などに一定の効果を上げている。
【0006】
特許文献2では、割引適用を受けるユーザに対して情報処理手順を判りやすくするために、精算手続の手順を表示パネルへ出力し、ユーザの使い勝手を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-33566号公報
【文献】特開2011-28565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】

さて、近年、個人情報の保護に対する関心が高まっている。たとえば、公共交通機関の乗降に利用するICカードにおける乗降記録データについても、ユーザが予想する範囲を超えて利用されるようになっている。こうした事態への批判が高まり、交通系ICカードを運用する鉄道会社などは、乗降記録データを第三者へ提供することを制限するようになってきた。
【0009】
一方、前述したパーク&ライドは既に定着しつつあるが、ICカードにおける乗降記録データが提供されないと割引適用などの運用できない。したがって、パーク&ライドというサービスを継続するためには、乗降記録データを読み取ったり、入力したりする他の手段が求められている。
そのほか、各種の証明書類など、電子データを直接読み込むことができない書類などにも対応可能な料金精算機は、各方面で求められるようになると予想される。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、電子データを直接読み込むことができないチケット、証明書類などへ印字された情報を読み込んで対応可能なリーダユニットおよびそのリーダユニットを制御するコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(第一の発明)
本願における第一の発明は、ユーザが指で掴む読み取り対象(50)を光学読み取りするリーダユニット(40)に係る。
そのリーダユニット(40)は、光源およびイメージセンサを備えた撮影手段(41)と、
その撮影手段(41)からユーザ側に位置して前記の撮影手段(41)の光源から発せられる光を透過させる透過板(42)と、
その透過板(42)に対して前記の読み取り対象(50)が撮影に適した所定の位置へユーザが固定しやすくする位置合わせ手段と、
その位置合わせ手段によって固定されて前記の撮影手段(41)にて撮影されてデジタル化された前記の読み取り対象(50)の読み取りデータから所定の枠を認識する枠認識手段と、
その枠認識手段にて認識された枠内の読み取りデータをテキスト化するための処理サーバへ送信する枠内データ送信手段と、
を備える。
【0012】
(用語説明)
「読み取り対象(50)」とは、紙や樹脂シートなどへ印字または刻印された文字や数字のあるチケット(たとえば、新幹線の乗車チケット、駐車場の駐車券など)、樹脂カードへ番号や記号を刻印された各種カード(クレジットカード、会員カードなど)、携帯情報端末(たとえばスマートフォン)の液晶画面、紙や液晶画面に表示されたコード(たとえば二次元バーコード)などである。
「イメージセンサ」とは、画像識別機、画像認証機などとも称され、たとえば、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサなどがある。
【0013】
「読み取り対象」には、予め印刷されている不変領域と、乗車票ごとに異なる文字が印字される可変領域とがある。可変領域の囲っている枠を見出す手段である「枠認識手段」とは、不変領域として印刷されている枠であって、その枠内が可変領域となるような枠を認識する。
「位置合わせ手段」とは、読み取り対象(50)の読み取り面(51)が固定されることを趣旨としている。たとえば、読み取り対象(50)の寸法に合わせた収納空間の奥行き寸法とする。
読み取り対象(50)が定型サイズのカード類である場合には、その定型サイズに応じて形成した溝や凹部などである。
【0014】
(作用)
ユーザは、位置合わせ手段および透過板(42)に基づいて、読み取り対象(50)を撮影に適した所定の位置へ固定する。
固定された読み取り対象(50)は、撮影手段(41)が撮影し、リーダユニット(40)が画像データを取得する。取得した画像データは、枠認識手段によって、所定の枠を認識する。
そして、その枠認識手段にて認識された枠内の読み取りデータをテキスト化するための処理サーバへ、枠内データ送信手段が送信する。
その結果、電子データを直接読み込むことができないチケット、証明書類などへ印字されたデータを読み込んで、各種の割引制度などへ対応できる精算機の実現に寄与する。
【0015】
(第一の発明のバリエーション)
本願における第一の発明は、処理サーバにてテキスト化された処理データを受信する処理データ受信手段と、
その処理データを用いて所定の出力をする出力手段と、を備えることとしてもよい。
【0016】
(用語説明)
「処理サーバ」とは、第一の発明を組み込んだ精算機(後述する第二の発明)との双方向通信を実行し、前記の精算機を遠隔制御したり、必要なデータを送信したり受信したりする。
「処理データ」とは、処理サーバの機能によって異なる。たとえば、処理サーバがテキスト化を実行する場合にはテキスト化された文字データであり、処理サーバがテキスト化したデータに基づいて精算金額までを算出する場合には生産金額データである。
「出力手段」とは、例えば精算金額を表示する表示パネルである。処理サーバがテキスト化を実行して処理データとしてテキスト化された文字データを処理データ受信手段が受信する場合には、その文字データに基づいて精算金額を算出する算出手段を含む。
【0017】
(作用)
前記の処理サーバにてテキスト化された処理データを、処理データ受信手段が受信する。受信した処理データを用いて、出力手段は、所定の出力をする。
【0018】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の位置合わせ手段は、前記の透過板(42)を基準として読み取り対象(50)の厚さ寸法よりも大きな挿入口(46)と、
その挿入口(46)から挿入された読み取り対象(50)の横幅寸法を収納可能な左右規制部材(44)と、
前記の挿入口(46)から挿入された読み取り対象(50)の上方向へ移動することを規制するための上規制部材(45)と、
前記の挿入口(46)から挿入された読み取り対象(50)を手前側へ移動することを規制するための前面カバー板(43)と
を備えることとしてもよい。
【0019】
(作用)
ユーザは、挿入口(46)に対して、下から読み取り対象(50)を挿入する。挿入された読み取り対象(50)は、左右方向を左右規制部材(44)によって規制され、上方向への必要以上の移動を上規制部材(45)にて規制され、手前側方向への必要以上の移動を前面カバー板(43)にて規制される。
このことによって、読み取り対象(50)は撮影のタイミングでぶれにくく、前記の枠認識手段などによる画像データ処理においても、大きなズレや誤差を軽減する役割を担う。
【0020】
(第二の発明)
第二の発明は、第一の発明に係るリーダユニット(40B)を備えた精算機に係る。
すなわち、ユーザと向き合う正面パネル(11)を備えた筐体をなす精算機であって、 前記の正面パネル(11)に埋め込み固定されるリーダユニット(40)を備える。
そのリーダユニット(40)は、光源およびイメージセンサを備えた撮影手段(41)と、
その撮影手段(419からユーザ側に位置して前記の撮影手段(41)の光源から発せられる光を透過させる透過板(42)と、
その透過板(42)に対して前記の読み取り対象(50)が撮影に適した所定の位置へユーザが固定しやすくする位置合わせ手段と、
その位置合わせ手段によって固定されて前記の撮影手段(41)にて撮影されてデジタル化された前記の読み取り対象(50)の読み取りデータから所定の枠を認識する枠認識手段と、
その枠認識手段にて認識された枠内の読み取りデータをテキスト化するための処理サーバへ送信する枠内データ送信手段と、を備えた精算機に係る。
【0021】
「精算機」とは、商品やサービスの対価を精算する機械、たとえば、コンビニエンスストアやデパートメントストアなどの店舗の料金支払い装置、自動販売機、自動券売機、入退室管理装置、駐車料金の集中精算機や事前料金精算機などである。料金の支払い形態は、現金としての紙幣や貨幣の組合せ、クレジットカード、プリペイドカード、電子マネーなどがある。
【0022】
第二の発明のバリエーションは、第一の発明のバリエーション1,2に準ずる。
【0023】
(第三の発明)
第三の発明は、第二の発明に係る精算機を制御するコンピュータプログラムに係る。
すなわち、前記のリーダユニットに備えられた光源およびイメージセンサを制御して前記の読み取り対象を撮影させる撮影手順と、
その撮影手順にて撮影されてデジタル化された前記の読み取り対象の読み取りデータから所定の枠を認識する枠認識手順と、
その枠認識手順にて認識された枠内の読み取りデータをテキスト化するための処理サーバへ送信する枠内データ送信手順と、
前記の処理サーバにてテキスト化等の加工が施された処理データを受信する処理データ受信手順と、
を前記の精算機の制御手段に実行させることとしたコンピュータプログラムである。
【0024】
(作用)
第三の発明に係るコンピュータプログラムは、精算機に備えられた入力手段、ランダムアクセスメモリなどの記憶手段、中央演算装置(CPU)による演算手段などによって実行される。
また、第三の発明に係るコンピュータプログラムは、CD-R,DVD-R,ハードディスクなどの記録媒体へ記録して提供することもできるし、通信回線を介して提供することもできる。
【0025】
(第三の発明のバリエーション1)
第三の発明は、前記の処理データ受信手順が受信する処理データを、処理サーバにて精算金額を算出済みの精算金額としてもよい。
【0026】
(第三の発明のバリエーション2)
第三の発明は、前述のバリエーション1と異なり、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の処理データ受信手順にて受信した処理済みデータを用いて精算金額を算出する精算金額算出手順と、 その精算金額算出手順にて算出された精算金額に基づいた所定の出力をする出力手順と、
を前記の精算機の制御手段に実行させることとしてもよい。
【0027】
(第三の発明のバリエーション3)
第三の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の精算金額算出手順にて精算金額を算出する際に用いる優待データを予め蓄積しておく優待データ蓄積手段を前記の精算機には備え、
前記の精算金額算出手順においては、前記の優待データ蓄積手段に蓄積された優待データを用いて精算金額を算出することとしてもよい。
【0028】
(処理サーバのバリエーション)
前記した処理サーバは、複数の精算機を管理する管理サーバとしての役割を担ってもよい。
「管理サーバ」は、一般的に複数の精算機(40,40,・・・)との双方向通信をすることで、当該複数の精算機(40,40,・・・)が取得するデータを吸い上げて蓄積、管理したり、スキャナ装置を制御する制御プログラムを更新したり、精算機に内蔵されている各種の制御装置の制御プログラムを更新したりすることができる。
【発明の効果】
【0029】
第一の発明および第二の発明によれば、電子データを直接読み込むことができない書類などにも対応可能なリーダユニット、精算機を提供することができた。
第三の発明によれば、電子データを直接読み込むことができない書類などにも対応可能なリーダユニットを備えた精算機を制御するコンピュータプログラムを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】鉄道などの公共交通機関と駐車場とを併用するパークアンドライドを示す概念図である。
図2】第一の実施形態に係るリーダユニットを組み込んだ精算機を示す斜視図である。
図3】第一の実施形態におけるリーダユニットの主要部を示す概念図である。
図4】第一の実施形態によって精算をする手順を示すフローチャートである。
図5】乗車票を読み込んで処理する手順を示す概念図である。
図6】交通系ICカードを読み込んで処理する手順を示す概念図である。
図7】精算機および処理サーバの機能を示す概念図である。
図8】精算機および処理サーバの機能を示す概念図である。
図9】リーダユニットの外観を示す図である。
図10】リーダユニットの外観を示す図である。
図11】リーダユニットと表示パネルの配置に関するバリエーションを示す図である。
図12】処理サーバと複数の精算機との関係を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施形態および図面に基づいてさらに詳しく説明する。
ここで使用する図面は、図2から図12であり、従来技術を示した図1も比較のため参照する。
【0032】
図2
図2に示す精算機は、駐車場を利用したユーザが駐車料金を精算するための精算機10であり、押し当てリーダユニット装着型の精算機10Aである。
この精算機10(10A)は、縦長の直方体形状をなし、ユーザに向かう面となる正面パネル11には、さまざまな機器がユーザの操作に供するように備えられている。
【0033】
正面パネル11には、上から順に、ユーザへの指示など画面出力する表示パネル12、駐車券などのチケットを排出するチケット排出機13、ユーザが精算のために投入するコインを受け入れるコイン投入機20、ユーザが精算のために紙幣やクレジットカードを投入したり釣り札またはクレジットカードを受け取ったりする紙幣出入機30、駐車料金の精算に必要な読み取り対象を読み取るためのカードリーダ40、つり銭としてのコインや受け入れできないコインが排出されるコイン返却口14、が備えられている。
「読み取り対象」とは、紙や樹脂シートなどへ印字または刻印された文字や数字のあるチケット(たとえば、新幹線の乗車チケット、駐車場の駐車券など)、樹脂カードへ番号や記号を刻印された各種カード(クレジットカード、会員カードなど)、バーコード(主に二次元バーコード)、携帯情報端末(たとえばスマートフォン)の液晶画面である。
【0034】
カードリーダ40は、読み取り対象の印字や数字を光学読み取りするための光学機器であり、図1に示した従来のパークアンドライドのための精算機には備えられていない。
このカードリーダ40は、図3図9図10などを用いて詳述する。
【0035】
図3
図3に示す読み取り対象50は、東海道新幹線の乗車チケットである。このチケットに印字されている乗車年月日、乗車駅、降車駅といった情報を、前述したリーダユニット40が読み取る。読み取った情報にて、新幹線の利用履歴と駐車場利用との組み合わせ状態を判断し、駐車料金に対する割引制度の適用の有無とともに、駐車料金の精算金額を表示パネル12へ出力する。
その表示パネル12へ出力された駐車料金を、ユーザは紙幣やコインを使って精算することとなる。
【0036】
このリーダユニット40およびリーダユニット40が組み込まれた精算機10Aであれば、電子データを直接読み込むことができないチケット、証明書類などへ印字された情報を読み込んで、各種の割引制度などへ対応できる精算機となる。
その結果、交通系電子マネー(ICカード)から乗降記録データが提供されなくなっても、パーク&ライドのサービス運用が可能となる。
【0037】
図4
図4は、公共交通機関と駐車場とを併用したユーザに対して、駐車料金の割引が受けられるなどの特典があるパークアンドライドを適用するか否かの手順を、そのユーザが操作する手順に従って示すフローチャートである。
駐車料金を精算しようとするユーザが、精算をスタートさせる(S1).たとえば、ユーザが駐車券を所定の投入口へ挿入するなどである。
【0038】
精算機の表示パネルには、ユーザに対して「交通機関を利用したか?」と尋ねる(S2)。その問いかけに対してユーザが「No」を選択した場合には、駐車料金の通常の精算となる(S7)。
ユーザが「Yes」を選択すれば、精算機は「新幹線か、在来線か?」の選択を要求する。
【0039】
ユーザが「新幹線」を選択した場合、精算機はユーザに対して新幹線の乗車票をリーダユニット(図3などに図示)にタッチさせるように促す(S4)。
ユーザが「在来線」を選択した場合、精算機はユーザに対して交通系ICカードを所定の読み取り機にタッチさせるように促す(S5)。
【0040】
新幹線または在来線の乗車記録を読み取った精算機は、パークアンドライドの割引規定があるか否か、ある場合にはどういう割引額が適用されるかを算出し、生産金額を算出する(S6)。
なおユーザが、新幹線の乗車票をリーダユニット(図3などに図示)にタッチしない、在来線の乗車記録が記録された交通系ICカードを所定の読み取り機にタッチしない、という場合には、ユーザによる支払い方法の選択へ移る(S4またはS5からS7への破線にて示す)。
割引が適用された場合には、その適用された割引額を、適用されない場合には通常の精算額を、ユーザが精算し、精算は終了する(S8)。
【0041】
なお、前述のS6については、必要なデータを精算機から受信した処理サーバが割引額の算出をして精算機へ送信する場合と、リーダユニットによる画像データのテキスト化処理のみを処理サーバが実行する場合とがあり得る。
【0042】
図5
図5では、(交通系ICカードではなく)乗車票を読み込んで処理する手順を示している。すなわち、ユーザに対して予め公共交通機関を利用したか、を尋ねており(図4におけるS2)、更に、ユーザが新幹線を選択している(図4におけるS3)。
表示パネル11は、ユーザに対して新幹線の乗車票を提示するように指示する(1)。優待処理を実行する優待処理端末は、リーダユニットを起動させる(2)。
【0043】
ユーザがリーダユニット40に対して新幹線の乗車票をかざしたら、リーダユニット40はそれを撮影し、その画像データを取得する(3)。取得した画像データは、優待処理端末を介して処理サーバへ送信される(4)。
処理サーバでは、受信した画像データから必要な部分をテキスト変換し、そのテキストデータを優待処理端末へ送信する(5)。
優待処理端末では、受信したテキストデータに基づいて優待の有無を判断し、優待の有無に応じた精算金額を算出し、その精算金額の提示を表示パネル12へ指示する(6)。
【0044】
図6
図6では、(乗車票ではなく)交通系ICカードを読み込んで処理する手順を示している。すなわち、ユーザに対して予め公共交通機関を利用したか、を尋ねており(図4におけるS2)、更に、ユーザが在来線を選択している(図4におけるS3)。
図5との相違点は、ユーザが新幹線の乗車票ではなく、交通系ICカードをICカードリーダへかざすこととした点(2,3)、およびICカードリーダは画像データではなく電子データとしてのユーザに係る乗車記録データを読み込むので、処理サーバにおける画像処理が不要な点(3,4)である。
【0045】
加えて、この処理サーバは、乗降データに優待があるか否かを判断し、その結果データを送信することとしている(5)。そのため、精算処理端末では、その結果データによる優待の有無に基づいて精算金額を算出して、その算出した精算金額の表示パネルへの表示を指示する(6)。
【0046】
図7
図7に示すのは、精算機と、その精算機とは物理的に離れた場所に設置されている乗降データ処理サーバとについて、各機能を説明するための概念図である。
精算機には、読み取り対象を撮影して得た撮影データをテキスト化した際にエラーを少なくするために、撮影するカメラとのピントを含めた位置合わせを実行するための位置合わせ手段を含む。 位置合わせ手段に基づいて撮影のためのピント合わせができた読み取り対象は、撮影手段によって撮影する。
【0047】
撮影された画像データに対しては、優待サービスの適用に必要な情報が存在する場所を特定する。それを実行するのが枠認識手段であり、前記の必要な情報が存在する枠を確認する。その枠認識手段にて特定された枠内に存在する画像データ(この段階ではテキストデータではない)を、枠内データ送信手段が、乗降データ処理サーバへ送信する。
【0048】
乗降データ処理サーバでは、枠内データをデータ受信手段が受信し、受信した枠内データは、テキスト化手段にてテキスト化する。
テキスト化に際しては、処理データベース(図中、データベースは「DB」と略記している)に予め蓄積されているデータを用いる。
処理データベースには、優待サービスに関わる駅名が蓄積されている駅名データベースと、枠内データを過去に変換したデータである処理履歴データが蓄積されている処理履歴データベースと、を備えている。
【0049】
テキスト化データがテキスト化したデータに対し手、処理データベースに蓄積された各種のデータを用いて、駅名マッチング手段が候補となる駅名とのマッチングを実行する。
マッチングしないテキストデータは、優待サービスの対象ではない駅名である可能性が高い。マッチングしたテキストデータは、優待サービスの対象の対象である駅名となる。
駅名マッチング手段によるマッチング結果は、処理データとして処理データ送信手段が、精算機へ送信する。
【0050】
乗降データ処理サーバから送信されてきた処理データは、処理データ受信手段が受信する。
そして、精算金額算出手段が、受信した処理データを用いて、予め蓄積された優待データベースの優待適用を判断して算出する。そして、精算額出力手段が、その精算金額を出力する。
【0051】
図8
図8に示すのは図7のバリエーションであり、精算機と、その精算機とは物理的に離れた場所に設置されている乗降データ処理サーバとについて、各機能を説明するための概念図である。
図7との違いは、精算機に設けていた優待データベース、および精算金額算出手段を乗降データ処理サーバに設けることとした点である。これによって、乗降データ処理サーバは、優待サービスの適用の有無までを判断し、精算金額を算出した処理データを精算機へ送信するのである。
【0052】
精算機では、入庫時刻および出庫時刻によって駐車料金を算出する場合、前述の処理データとしては、駐車料金からの割引金額のデータとなる。しかし、精算機が枠内データを送信する際に、割引前の駐車料金のデータまでも送信しておく場合、精算額を処理データとして受信する。
【0053】
図9
図9には、第一の実施形態における主要部であるリーダユニット40と、そのリーダユニット40に対するユーザへの操作手順を出力して指示するなどの役割を担う表示パネル12と、前記のリーダユニット40にて読み込まれる読み込み対象50としての新幹線乗車票と、を示す。
ユーザは、乗車駅や降車駅が表示されている読み取り面51を、リーダユニット40におけるカメラ(スキャナ装置)41へ読み込ませるのである。
【0054】
図10
図10には、リーダユニット40の詳細を示している。図10(a)は正面図、図10(b)は、斜視図である。
このリーダユニット40には、読み取り対象50における撮影データの精度を高めるため、位置合わせ手段を備えている。この位置合わせ手段は、前記の透過板42を基準として読み取り対象50の厚さ寸法よりも若干大きな厚さ寸法である挿入口46と、 その挿入口46から挿入された読み取り対象50の横幅寸法を収納可能な左右規制部材44と、 前記の挿入口46から挿入された読み取り対象50の上方向へ移動することを規制するための上規制部材45と、 前記の挿入口46から挿入された読み取り対象50を手前側へ移動することを規制するための前面カバー板43と、を備えている。
左右規制材44は、その下側部分を左右方向寸法が僅かに広がるような形状をなしている。読み取り対象50を差し込みやすいようにするためである。
【0055】
ユーザは、挿入口46に対して、下から読み取り対象50を挿入する。挿入された読み取り対象50は、左右方向を左右規制部材44によって規制され、上方向への必要以上の移動を上規制部材45にて規制され、手前側方向への必要以上の移動を前面カバー板43にて規制される。
このことによって、読み取り対象50は撮影のタイミングでぶれにくく、前記の枠認識手段などによる画像データ処理においても、大きなズレや誤差を軽減する役割を担う。
【0056】
リーダユニット40の挿入口46は、リーダユニット40の中央に対して正面から見て下側に位置している。これは、リーダユニット40と表示パネル12とを左右方向へ隣接させていること、およびユーザが読み取り対象50を左右いずれの手で握っても使いやすいようにするためである。
リーダユニット40が表示パネル12と隣り合って配置されているのは、以下のような理由による。すなわち、リーダユニット40へ読み取り対象50をどのようにして読み込ませればよいのか、について表示パネル12による出力表示がユーザに対して指示するので、近接している方がユーザによる操作の誤りを減らせるからである。
【0057】
図11
図11には、リーダユニット40と表示パネル12とを上下方向へ隣接させて配置した場合を示す。 図11のように、リーダユニット40の上側へ表示パネル12を配置することもできる。
リーダユニット40における読み取り対象50の挿入口46は、ユーザに対して右側へ位置させている。ユーザには右利きが多いこと、リーダユニット40および表示パネル12を上下方向へ配置したので、上下方向にユーザが読み取り対象50を動かすのにやりにくい場合があることを考慮したためである。
【0058】
図12
図12は、前述の実施形態に係る精算機α、β、・・・を、処理サーバが多数管理する場合を概念的に示している。
前述の実施形態に係る精算機α、β、・・・には、処理サーバとのデータ通信が可能であるようにしてある。
処理サーバは、各精算機α、β、・・・に備えられているリーダユニット40を制御するためのソフトウェアをアップデートするような場合、データ通信網を用いて一括で実行することができる。
【0059】
また、各精算機α、β、・・・のリーダユニットが読み取った読み取りデータを吸い上げ、テキスト化(更にデータ加工をして精算金額の算出)をした処理データを送信する。
なお、各精算機α、β、・・・から駐車場管理データや車両管理データなどをも受信できるようにした場合、処理サーバに置いて駐車場の管理、車両の管理などに用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、サービスや商品の料金の精算機(特に駐車料金精算装置)を製造する製造業、精算機に用いるソフトウェアの開発業、精算機を中央制御する通信サービス業、料金の精算機をレンタルするレンタル業、料金の精算機を代行する代行サービス業などにおいて、利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0061】
10 ;精算機
11 ;正面パネル
12 ;表示パネル 13 ;チケット排出機
14 ;コイン返却口
20 ;コイン投入機 21 ;正面板
22 ;投入口 23 ;奥行き部
30 ;紙幣出し入れ機 31 ;正面板
32 ;投入口 33 ;奥行き部
40 ;リーダユニット
41 ;スキャナ装置(カメラ) 42 ;透過板
43 ;前面カバー板 44 ;左右規制材
45 ;上規制材 46 ;挿入口
50 ;読み取り対象(乗車票) 51 ;読み取り面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12