(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】疲労軽減ウェア
(51)【国際特許分類】
A41D 13/05 20060101AFI20220203BHJP
A41D 13/005 20060101ALI20220203BHJP
A61H 3/00 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
A41D13/05
A41D13/05 125
A41D13/005 101
A41D13/005 103
A41D13/05 156
A61H3/00 B
(21)【出願番号】P 2017173763
(22)【出願日】2017-09-11
【審査請求日】2020-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(73)【特許権者】
【識別番号】517318333
【氏名又は名称】株式会社テイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】河村 良夫
(72)【発明者】
【氏名】柿崎 貴文
(72)【発明者】
【氏名】山下 三男
(72)【発明者】
【氏名】大橋 嘉造
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-106270(JP,A)
【文献】実開昭54-127735(JP,U)
【文献】特開2017-064335(JP,A)
【文献】特開2016-056458(JP,A)
【文献】特開2002-153115(JP,A)
【文献】特表2014-503320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/00-13/12
A61H1/00-5/00
A01G23/00-23/14
A01D43/00-43/04
A01D43/08-46/30
A61F5/00-6/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が作業を行う場合の疲労を軽減する疲労軽減ウェアであって、前記作業者によって着用される前記疲労軽減ウェアであり、
前記作業者が自己の肢体にて作業を行えるように、前記作業者の身体の少なくとも一部を支点として、前記作業者の肢体を支持する肢体支持手段、を備え、
前記肢体支持手段は、前記作業者からの外力によって弾性的に変形
し、
前記疲労軽減ウェアは、前記作業者の前記肢体以外の少なくとも一部に着用される固定手段であって、前記肢体支持手段の少なくとも一部を、前記作業者の身体における前記支点となる一部に固定する前記固定手段、を備え、
前記肢体支持手段と前記固定手段とは、相互に別体であり、
前記疲労軽減ウェアは、前記肢体支持手段と前記固定手段とを相互に着脱可能に固定する肢体支持手段用着脱手段、を備え、
前記肢体支持手段は、前記固定手段における一部と対向して当該固定手段に対して着脱可能に固定される基部、を備える、
疲労軽減ウェア。
【請求項2】
前記肢体支持手段用着脱手段は、
前記肢体支持手段の前記基部における前記固定手段と対向する側の面と、前記固定手段における正面側の一部における前記肢体支持手段の前記基部と対向する側の面とを相互に着脱可能に固定する面ファスナー、を備える、
請求項1に記載の疲労軽減ウェア。
【請求項3】
前記肢体支持手段は、前記基部に接続されている上腕受部であって、前記作業者の上腕が載置される前記上腕受部、を更に備え、
前記上腕受部及び前記基部は相互に折り曲げ可能となっている、
請求項2に記載の疲労軽減ウェア。
【請求項4】
前記肢体支持手段は、通気性を確保するための通気部、を備え、
前記通気部は、前記肢体支持手段における前記上腕受部及び前記基部が相互に接続されている部分に設けられている切り欠き部を含む、
請求項3に記載の疲労軽減ウェア。
【請求項5】
前記作業者の頭部を支持する頭部支持手段、を備える、
請求項1から
4の何れか一項に記載の疲労軽減ウェア。
【請求項6】
前記作業者の頭部を支持する頭部支持手段であって、前記固定手段とは別体の前記頭部支持手段と、
前記頭部支持手段と前記固定手段とを相互に着脱可能に固定する頭部支持手段用着脱手段と、を備える、
請求項
1から4の何れか一項に記載の疲労軽減ウェア。
【請求項7】
前記作業者の腰部を支持する腰部支持手段、を備える、
請求項1から
6の何れか一項に記載の疲労軽減ウェア。
【請求項8】
前記作業者に対して冷却又は加温する温度調整手段、を備える、
請求項1から
7の何れか一項に記載の疲労軽減ウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疲労軽減ウェアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一定の姿勢を保った状態で上向き作業を行う作業者の疲労を軽減する技術として、作業疲労軽減装置が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の作業疲労軽減装置においては、作業者の胴体に装着される胴体固定部と、作業者の腕を保持する保持部と、当該保持部を胴体固定部に対して支持する支持棒とが備えられており、当該作業疲労軽減装置を装着した作業者の腕を作業姿勢に保った状態で保持部にて保持する事により、作業者の疲労を軽減していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の作業疲労軽減装置においては、作業者の腕を保持する保持部が支持棒によって支持されていたので、保持部にて保持した状態で支持棒(方杖)に対して交差する方向(例えば、直交する方向等)に作業者の腕を移動させる事が困難であり、作業者が自由に作業姿勢を変更する事ができずに、作業性が低下する可能性があった。
【0005】
本発明は上記事実に鑑み、作業性を維持した状態で作業者の疲労を軽減する事が可能となる疲労軽減ウェアを提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の疲労軽減ウェアは、作業者が作業を行う場合の疲労を軽減する疲労軽減ウェアであって、前記作業者によって着用される前記疲労軽減ウェアであり、前記作業者が自己の肢体にて作業を行えるように、前記作業者の身体の少なくとも一部を支点として、前記作業者の肢体を支持する肢体支持手段、を備え、前記肢体支持手段は、前記作業者からの外力によって弾性的に変形し、前記疲労軽減ウェアは、前記作業者の前記肢体以外の少なくとも一部に着用される固定手段であって、前記肢体支持手段の少なくとも一部を、前記作業者の身体における前記支点となる一部に固定する前記固定手段、を備え、前記肢体支持手段と前記固定手段とは、相互に別体であり、前記疲労軽減ウェアは、前記肢体支持手段と前記固定手段とを相互に着脱可能に固定する肢体支持手段用着脱手段、を備え、前記肢体支持手段は、前記固定手段における一部と対向して当該固定手段に対して着脱可能に固定される基部、を備える。
請求項2に記載の疲労軽減ウェアは、請求項1に記載の疲労軽減ウェアにおいて、前記肢体支持手段用着脱手段は、前記肢体支持手段の前記基部における前記固定手段と対向する側の面と、前記固定手段における正面側の一部における前記肢体支持手段の前記基部と対向する側の面とを相互に着脱可能に固定する面ファスナー、を備える。
請求項3に記載の疲労軽減ウェアは、請求項2に記載の疲労軽減ウェアにおいて、前記肢体支持手段は、前記基部に接続されている上腕受部であって、前記作業者の上腕が載置される前記上腕受部、を更に備え、前記上腕受部及び前記基部は相互に折り曲げ可能となっている。
請求項4に記載の疲労軽減ウェアは、請求項3に記載の疲労軽減ウェアにおいて、前記肢体支持手段は、通気性を確保するための通気部、を備え、前記通気部は、前記肢体支持手段における前記上腕受部及び前記基部が相互に接続されている部分に設けられている切り欠き部を含む。
【0009】
請求項5に記載の疲労軽減ウェアは、請求項1から4の何れか一項に記載の疲労軽減ウェアにおいて、前記作業者の頭部を支持する頭部支持手段、を備える。
【0010】
請求項6に記載の疲労軽減ウェアは、請求項1から4の何れか一項に記載の疲労軽減ウェアにおいて、前記作業者の頭部を支持する頭部支持手段であって、前記固定手段とは別体の前記頭部支持手段と、前記頭部支持手段と前記固定手段とを相互に着脱可能に固定する頭部支持手段用着脱手段と、を備える。
【0011】
請求項7に記載の疲労軽減ウェアは、請求項1から6の何れか一項に記載の疲労軽減ウェアにおいて、前記作業者の腰部を支持する腰部支持手段、を備える。
【0012】
請求項8に記載の疲労軽減ウェアは、請求項1から7の何れか一項に記載の疲労軽減ウェアにおいて、前記作業者に対して冷却又は加温する温度調整手段、を備える。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の疲労軽減ウェアによれば、肢体支持手段を備えることにより、例えば、作業者の肢体を肢体支持手段に支持された状態で自由に移動させる事ができるので、作業性を維持した状態で作業者の疲労を軽減することが可能となる。
また、固定手段を備えることにより、例えば、肢体支持手段が作業者の体の支点となる一部からずれることを防止することができるので、肢体支持手段にて作業者の肢体を確実に支持することができ、作業者の疲労を確実に軽減することが可能となる。
また、肢体支持手段用着脱手段を備えることにより、例えば、作業者が肢体支持手段と固定手段とを別々に着用又は脱衣することができるので、疲労軽減ウェアの着用又は脱衣を容易に行うことができ、当該疲労軽減ウェアの使用性を向上させることが可能となる。
【0016】
請求項5に記載の疲労軽減ウェアによれば、頭部支持手段を備えることにより、例えば、肢体に加えて頭部も支持することができるので、作業者の肢体の疲労軽減に加えて頸部の疲労も軽減することができ、作業者の疲労を一層軽減することが可能となる。
【0017】
請求項6に記載の疲労軽減ウェアによれば、頭部支持手段用着脱手段を備えることにより、例えば、作業者が頭部支持手段と固定手段とを別々に着用又は脱衣することができるので、疲労軽減ウェアの着用又は脱衣を容易に行うことができ、当該疲労軽減ウェアの使用性を向上させることが可能となる。
【0018】
請求項7に記載の疲労軽減ウェアによれば、腰部支持手段を備えることにより、例えば、肢体に加えて腰部も支持することができるので、作業者の肢体の疲労軽減に加えて腰部の疲労も軽減することができ、作業者の疲労を一層軽減することが可能となる。
【0019】
請求項8に記載の疲労軽減ウェアによれば、冷却又は加温する温度調整手段を備えることにより、例えば、保冷剤や保温剤等を取付けることで作業者の体温を下げたり温めたりすることができるので、熱中症の予防・対策及び寒さによる怪我等を防止することができ、作業者の安全性を確保することが可能となる。特に、作業者の頸部に温度調整手段を設けた場合、身体における血流が比較的多い部分を冷却又は加温することができるので、作業者を効果的に冷却又は加温することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施の形態に係る疲労軽減ウェアを正面側から見た図である。
【
図8】本体部及び本体部に吊り下げられた状態の腕支持部を正面側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る疲労軽減ウェアの実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、疲労軽減ウェアに関する。
【0023】
ここで、「疲労軽減ウェア」とは、作業者が作業を行う場合の疲労を軽減する軽減手段であって、具体的には、作業者によって着用されるウェアであり、例えば、少なくとも肢体支持手段を備えるものであり、また、任意で固定手段、肢体支持手段用着脱手段、頭部支持手段、頭部支持手段用着脱手段、腰部支持手段、又は温度調整手段を備えるものである。
【0024】
なお、「作業者」とは、作業を行う人又は動物(例えば、犬、猫等)であり、例えば、疲労軽減ウェアを着用し得る者である。「作業」とは、仕事をすることであり、例えば、作業者が一定の姿勢を維持した状態で行われる仕事等を含む概念である。そして、「作業」とは、一例としては、作業者が腕を上げて上方を向いた状態で行われる天井に関する作業、あるいは、作業者が腕を下げて下方を向いた状態で行われる床面に関する作業等の任意の作業を含む概念である。
【0025】
また、「肢体支持手段」とは、作業者が自己の肢体にて作業を行えるように、作業者の身体の少なくとも一部を支点として、作業者の肢体を支持する手段であり、具体的には、作業者からの外力によって弾性的に変形するものである。
【0026】
なお、「肢体」とは、人又は動物の腕又は脚であって、胴体とは異なる部分である。「支点」とは、作業者の肢体を支持するための基準となる点であって、作業者の身体の少なくとも一部の点であり、例えば、肢体以外の一部の点であり、一例としては、胸部(詳細には、肋骨が設けられている部分)の点、又は、腰部の点等を含む概念である。「作業者からの外力」とは、作業者から肢体支持手段に対して付与される力であり、例えば、作業者の肢体の自重、あるいは、作業者の筋肉にて発生した力等を含む概念である。
【0027】
また、「固定手段」とは、作業者の肢体以外の少なくとも一部に着用されるものであって、具体的には、少なくとも、肢体支持手段の少なくとも一部を、作業者の身体における支点となる一部に固定するものであり、例えば、作業者の胸部に着用されるもの等を含む概念である。また、「固定手段」は、例えば、肢体支持手段と一体となっているもの、又は、肢体支持手段とは別体となっているもの、頭部支持手段と一体となっているもの、又は、頭部支持手段と別体となっているもの、あるいは、腰部支持手段と一体となっているもの、又は、腰部支持手段と別体となっているもの、等を含む概念である。
【0028】
また、「肢体支持手段用着脱手段」とは、肢体支持手段と、当該肢体支持手段とは別体となっている固定手段とを相互に着脱可能に固定するものであり、例えば、面ファスナー、スナップボタン、又はファスナー等を含む概念である。
【0029】
また、「頭部支持手段」とは、作業者の頭部を支持するものであり、例えば、作業者の首又は頭部付近に着用されるもの等を含む概念である。
【0030】
また、「頭部支持手段用着脱手段」とは、頭部支持手段と、当該頭部支持手段とは別体となっている固定手段とを相互に着脱可能に固定するものであり、例えば、面ファスナー、スナップボタン、又はファスナー等を含む概念である。
【0031】
また、「腰部支持手段」とは、作業者の腰部を支持するものであり、具体的には、作業者の腰部に着用されるものであり、例えば、腰部の骨盤を固定するいわゆるコルセットの如き機能を有するもの等を含む概念である。
【0032】
また、「温度調整手段」とは、作業者に対して冷却又は加温するものであり、例えば、電力を用いて冷却又は加温する任意の装置、電力を用いずに単体で冷却する冷却体、又は、電力を用いずに単体で加温する発熱体等を含む概念である。
【0033】
そして、以下に示す実施の形態では、「疲労軽減ウェア」が、肢体支持手段に加えて、固定手段、肢体支持手段用着脱手段、頭部支持手段、頭部支持手段用着脱手段、及び温度調整手段を備えており、また、「作業者」が腕を上げて上方を向いた状態で行われる天井に関する作業を行う人であり、また、「肢体」が腕であり、また、「支点」が胸部(詳細には、肋骨が設けられている部分)の点であり、また、「固定手段」が肢体支持手段及び頭部支持手段とは別体となっており、また、「肢体支持手段用着脱手段」及び「頭部支持手段用着脱手段」が面ファスナーであり、また、「温度調整手段」が電力を用いずに単体で冷却する冷却体である場合について説明する。
【0034】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0035】
(構成)
まず、本実施の形態に係る疲労軽減ウェアの構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る疲労軽減ウェアを正面側から見た図であり、
図2は、疲労軽減ウェアを背面側から見た図である。
【0036】
なお、
図1及び
図2においては、疲労軽減ウェア10を着用した作業者11が腕を上げて上方を向いている状態を図示しており、また、
図1においては、作業者11の正面側(つまり、胸部側)を図示しており、また、
図2においては、作業者11の背面側(つまり、胸部の反対側であり背中側)を図示している。また、作業者11については、実際には、作業服に重ねて疲労軽減ウェア10を着用しているが、作業服を着用している作業者11の上半身の外形を破線で図示している。なお、本実施の形態では、疲労軽減ウェア10を着用している作業者11を基準にして、作業者11の胸部側を「正面」又は「正面側」と称し、作業者11の背中側を「背面」又は「背面側」と称し、鉛直方向において上方向を「上方」と称し、鉛直方向において下方向を「下方」と称して説明する。また、疲労軽減ウェア10を着用している作業者11を基準にして、作業者11から離れる方向を「外側」、「表側」と称し、作業者11に近付く方向を「内側」、「裏側」と称して説明する。
【0037】
疲労軽減ウェア10は、例えば、相互に別体となっている本体部20、2個の腕支持部30、及びと頭支持部40を備えており、これら各部を相互に固定することにより構成されるものである。なお、2個の腕支持部30については、相互に同様に構成されていることとし、2個の腕支持部30を明示的に区別して説明する場合を除いて、1個の腕支持部30について説明する。
【0038】
(構成‐本体部)
図3は、本体部を正面側から見た図である。本体部20は、固定手段であり、具体的には、作業者11に着用されるものである。この本体部20の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、全体としては所定の素材で製造されたノースリーブの衣服として構成されており、また、前見頃部21、打ち合わせ部22、後見頃部23、及び肩部24を備える。なお、本体部20を製造するための素材については、任意の素材を適用することができるが、特徴的なものについてのみ以下説明する(疲労軽減ウェア10の他の各部についても同様とする)。
【0039】
(構成‐本体部‐前見頃部)
前見頃部21は、本体部20の正面側の一部であり、例えば、正面側において相互に重なる打ち合わせ部22が形成される部分であり、また、本体部側着脱部211を備える部分である。なお、本体部側着脱部211については、後述する。
【0040】
(構成‐本体部‐打ち合わせ部)
打ち合わせ部22は、前見頃部21の正面側の一部であり、例えば、相互に重なる一部であり、また、相互に重なっている部分が着脱自在に固定されるように所定の着脱手段(例えば、面ファスナー)が設けられている部分である。
【0041】
(構成‐本体部‐後見頃部)
後見頃部23は、本体部20の背面側の一部であり、例えば、通気性を確保するために所定の素材(例えば、メッシュ素材等)にて製造されている部分である。
【0042】
(構成‐本体部‐肩部)
肩部24は、本体部20の一部であり、例えば、前見頃部21及び後見頃部23を上方にて接続している部分であり、また、作業者11の両肩に対応する位置に設けられる2個の部分であり、また、前見頃部21及び後見頃部23に連続している部分であり、また、本体部側着脱部211を備える部分である。
【0043】
本体部側着脱部211は、肢体支持手段用着脱手段であり、また、頭部支持手段用着脱手段であり、具体的には、前述の前見頃部21の外側の面及び正面側の肩部24の外側の面における少なくとも一部に形成されているものであり、例えば、腕支持部30及び頭支持部40を着脱することが可能な面ファスナーであって、腕支持部30及び頭支持部40が設けられ得る位置(つまり、前見頃部21及び肩部24)に形成されているものである。
【0044】
(構成‐腕支持部)
図4は、腕支持部を裏側から見た図であり、
図5は、腕支持部を表側から見た図であり、
図6は、腕支持部を側面側から見た図である。なお、
図4は、
図1の図面右側の(つまり、作業者11の左腕用の)腕支持部30を内側から見た状態を示しており、
図5は、
図1の図面右側の腕支持部30を外側から見た状態を示しており、
図6の(A)は、
図1の図面右側の腕支持部30を正面側から見た状態を示しており、
図6の(B)は、(A)に図示されている腕支持部30が折り曲げられた状態を示している。また、
図4は、腕支持部30の内部に設けられている要素を破線で図示している。なお、
図1の図面左側の(つまり、作業者11の右腕用の)腕支持部30については、左腕用のものと左右が対称に構成されており、つまり、左腕用のものと同様に構成されているので、ここでは、特に、
図4~
図6に図示されている左腕用のものに着目して説明する。
【0045】
腕支持部30は、肢体支持手段であり、具体的には、作業者11に着用されるものであり、作業者11の両腕を支持するように2個設けられているものである。この腕支持部30の具体的な種類や構成は任意であるが、全体としては所定の素材で製造されているものであり、また、例えば、基部31、上腕受部32、巻付部33、継目部34、通気部35、弾性部36、及び吊下部37を備える。
【0046】
(構成‐腕支持部‐基部)
図4等の基部31は、腕支持部30の下方の一部であり、具体的には、本体部20に着脱自在に固定される部分であり、例えば、
図1の本体部20の前見頃部21における、作業者11の脇近傍から下方に向かっての胸部に取付けられる部分である。また、基部31は、例えば、上下方向の力(例えば、
図4において、基部31に対して上方から下方に向かって印加される力、及び、逆に基部31に対して下方から上方に向かって印加される力)によって容易に折れ曲がらないよう、多少撓む程度の硬質部材からなることが好ましく、本実施形態ではプラスチック等の硬質合成樹脂の板を用いて構成されている部分である。また、基部31は、例えば、作業者11の胸部の曲面に対応するため、左右方向からの力(例えば、
図4において、基部31に対して図面左側から右側に向かって印加される力、及び逆に基部31に対して図面右側から左側に向かって印加される力)には若干曲がるよう構成されている部分である。また、基部31は、例えば、腕支持部側着脱部311を備える。なお、腕支持部側着脱部311については後述する。
【0047】
(構成‐腕支持部‐上腕受部)
図4等の上腕受部32は、腕支持部30の上方の一部であり、具体的には、継目部34を挟んだ基部31と反対側に設けられる部分であり、例えば、
図1の作業者11の体の中心に向かってやや傾斜して、かつ体の前方にやや折れ曲がるよう取付けられて部分である。また、上腕受部32は、例えば、作業者11の上腕が載置される部分であり、また、基部31と同様に多少撓む程度の硬質部材からなることが好ましく、本実施形態ではプラスチック等の硬質合成樹脂の板を用いて構成されている部分である。また、上腕受部32の内面は、作業者11が快適に作業することができるよう、吸湿性に優れた当て布が貼設されるとともに、作業中に作業者11の腕がずれないよう、一部には滑り止め部材も貼設される(いずれも図示せず)。
【0048】
(構成‐腕支持部‐巻付部)
図4等の巻付部33は、上腕受部32に設けられている部分であり、具体的には、
図1の作業者11の上腕に対して上腕受部32を追従させる部分であり、例えば、作業者11の上腕に巻き付けられて固定される部分である。巻付部33は、例えば、
図4の上腕受部32の両側の縁から延在している2個の巻付片として構成されている部分、この2個の巻付片を相互に重ねて着脱自在に固定することができるように当該重なる部分に所定の着脱手段(例えば、面ファスナー)が設けられている。
【0049】
(構成‐腕支持部‐継目部)
図4等の継目部34は、基部31と上腕受部32との相互間に設けられている部分であり、具体的には、基部31と上腕受部32とを折り曲げ可能に接続する部分であり、例えば、
図1の作業者11が疲労軽減ウェア10を着用した場合に、当該作業者11の脇近傍に配置される部分である。継目部34は、例えば、柔軟に曲がる素材(例えば、皮、合成皮革、布等)で製造されている部分であり、また、通気部35を挟んで当該通気部35の両側に設けられている部分である。
【0050】
(構成‐腕支持部‐通気部)
図4等の通気部35は、腕支持部30の中央付近に設けられている部分であり、具体的には、通気性を確保するために設けられている部分であり、例えば、
図1の作業者11が疲労軽減ウェア10を着用した場合に、当該作業者11の脇近傍に配置される部分である。なお、ここで、基部31及び上腕受部32は、例えば、
図6(B)に図示すように、基部31と上腕受部32とを継目部34を基準に折り曲げたときにこれらが互いに干渉するのを防止するために、
図4に図示されるように、全体として楕円形上に切り欠かれているが、通気部35は、例えば、この切り欠かれている部分を覆うように楕円形状の素材(例えば、メッシュ生地の布の如き通気性を有する素材)を設けることにより構成される部分である。
【0051】
(構成‐腕支持部‐弾性部)
図4の弾性部36は、腕支持部30を弾性的に支持しているものであり、具体的には、基部31に対して上腕受部32を支持しているものであり、例えば、
図4の破線にて示すように、腕支持部30の内部に設けられるものであり、また、腕支持部30の外縁よりもやや内側に沿って設けられるものであり、基部31、上腕受部32、及び継目部34を連通するものである。弾性部36は、例えば、全体としては金属製のものであり、詳細には、2個の継目部34に対応する位置にねじりコイルばねを備え、また、この2個の継目部34に対応する位置以外の残りの位置において当該ねじりコイルばねに連続している線状体を備えるものである。
【0052】
なお、この弾性部36のねじりコイルばねの弾力については任意に設定することが可能であるが、例えば、作業者11が腕を上げて作業を行う場合の作業者11の負担を軽減することに留意し、作業者11が腕の自重を支持する筋力負担を軽減し、且つ、作業者11が作業中に腕を下す動作を容易に行えること(つまり、作業者11が容易に姿勢を変更し得ること)を考慮して、作業者11の腕の自重と釣り合う程度に設定されていることとする。実際には、作業者11の如き複数の作業者に対する作業負担を軽減するための実験を行った上で、弾力を決定して、決定した弾力を有するねじりコイルばねを採用してもよい。
【0053】
そして、例えば、弾性部36がねじりコイルばねを備えることにより、腕支持部30は、
図6(B)に図示するように、作業者11の腕の自重及び作業者11が腕を下げようとする外力を受けて主に継目部34に対応する部分が曲がり、その他の部分は若干撓むことになっている。また、例えば、弾性部36が基部31を
図4の図面上下方向にわたるように設けられていることにより、基部31が上下方向の力によって折れ曲がらないための補強がなされるとともに、左右方向からの力には特に抵抗せず基部31の硬質合成樹脂の板が作業者の胸部の曲線に応じて撓むようになっている。
【0054】
(構成‐腕支持部‐吊下部)
図4等の吊下部37は、腕支持部30を本体部20に対して吊り下げる部分であり、具体的には、基部31を本体部20から取り外した場合に、腕支持部30が落下することを防止する部分であり、例えば、基部31の下方の端部に設けられている部分であり、また、腕支持部側着脱部311を備える部分である。
【0055】
腕支持部側着脱部311は、肢体支持手段用着脱手段であり、具体的には、基部31の内側の面における少なくとも一部に設けられているものであり、例えば、基部31(
図4に示す面)及び吊下部37の外側の面(
図5に示す面)に設けられているものであり、また、基部31において
図4の図面上下方向において延在するように2個設けられており、また、吊下部37の外側の面全体に設けられているものであり、また、本体部20の本体部側着脱部211に対して着脱することが可能な面ファスナーである。
【0056】
(構成‐頭支持部)
図7は、頭支持部を正面側から見た図である。頭支持部40は、頭部支持手段であり、具体的には、作業者11に着用されるものである。この頭支持部40の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、全体としては所定の素材で製造されているものであり、また、例えば、クッション部41、ベルト部42、及び温度調整部43を備えるものである。
【0057】
(構成‐頭支持部‐クッション部)
クッション部41は、頭支持部40のベルト部42に挟まれている部分であり、具体的には、作業者11の頭部を支持する部分であり、例えば、作業者11の首の後側又は後頭部に当接させることによって、作業者11が上向き作業をするときの首の負担を低減させる部分であり、また、クッション性のある(つまり、弾力のある)素材(例えば、発泡ポリエチレン等)を備えて構成されている部分である。
【0058】
(構成‐頭支持部‐ベルト部)
ベルト部42は、クッション部41の両側に設けられている部分であり、具体的には、頭支持部40を本体部20に対して固定する部分であり、例えば、クッション部41から両側に向かって突出している比較的長い部分であり、また、頭支持部側着脱部421を備える部分である。
【0059】
頭支持部側着脱部421は、頭部支持手段用着脱手段であり、具体的には、頭支持部40の内側の面(つまり、正面側の面)における少なくとも一部に設けられているものであり、例えば、ベルト部42の内側の面に設けられているものであり、また、本体部20の本体部側着脱部211に対して着脱することが可能な面ファスナーである。
【0060】
温度調整部43は、温度調整手段であり、具体的には、電力を用いずに単体で
図1の作業者11を冷却する冷却体であり、例えば、公知の保冷剤が充填されている保冷剤パックとして構成することができるものである。また、温度調整部43は、作業者11の凍傷を防止するために、クッション部41に温度調整部43である保冷剤パックを収容する収容ポケットを設けて、当該収容ポケットに収容することによりクッション部41に設けられるものである。
【0061】
(疲労軽減ウェアの使用方法)
次に、このように構成される疲労軽減ウェア10の使用方法について説明する。具体的には、作業者11が、相互に分離されている本体部20、2個の腕支持部30、及び頭支持部40を着用する工程、着用した状態で作業を行う工程、及び疲労軽減ウェア10を脱衣する工程に分けて説明する。また、これらの工程の説明の後に、上方以外の作業を比較的長時間行う工程について説明する。
【0062】
(疲労軽減ウェアの使用方法‐着用する工程)
まず、作業者11は、
図3の本体部20に腕を通して着用した上で、当該打ち合わせ部22を作業者11の胸部の前で相互に重ねて、打ち合わせ部22の不図示の着脱手段にて固定する。
【0063】
次に、作業者11は、
図7の頭支持部40を着用する。具体的には任意であるが、例えば、クッション部41を作業者11の首の後側又は後頭部に当接させた状態で、ベルト部42の頭支持部側着脱部421を
図1の本体部20の上方側の本体部側着脱部211に取り付けて、頭支持部40を本体部20に固定することにより着用する。
【0064】
次に、作業者11は、
図4の腕支持部30を着用する。具体的には任意であるが、例えば、まず、巻付部33の2個の巻付片の一部同士を重ねて不図示の着脱手段にて相互に接続して、作業者11の腕よりも大径となる通し穴が形成し、この形成した通し穴に作業者11の上腕を通す。次に、継目部34を作業者11の脇近傍に持ってきながら、基部31の内側の面に設けられている腕支持部側着脱部311を前見頃部21の本体部側着脱部211に重ねることにより、基部31を本体部20に固定する。この場合、基部31が作業者11の胸部に固定されることになる。なお、このように基部31に固定する場合、吊下部37を基部31と前見頃部21との間に折り込んで、吊下部37の外側の面に設けられている
図5の腕支持部側着脱部311を前見頃部21の本体部側着脱部211に重ねることにより、吊下部37も基部31と共に本体部20に固定する。そして、
図1及び
図2のように、作業者11は、疲労軽減ウェア10を着用することになる。これにて、疲労軽減ウェア10を着用する工程を終了する。
【0065】
(疲労軽減ウェアの使用方法‐着用した状態で作業を行う工程)
次に、作業者11は、疲労軽減ウェア10を着用した状態で作業の対象となっている天井の下方に移動した後、腕を上げて上方を向いた状態で天井に関する作業を行う。この場合、疲労軽減ウェア10が、以下に示すように、作業者11の腕及び頭部を支持することになり、作業者の疲労を軽減することが可能となる。
【0066】
腕の支持について具体的には、作業者11の腕の自重の少なくとも一部は、上腕受部32、弾性部36及び継目部34を介して基部31に伝達され、この後、本体部20に伝達された上で、基部31と対向している作業者11の胸部に伝達されて支持されことになる。つまり、疲労軽減ウェア10が、作業者11の胸部を支点として、作業者11の腕を支持すことになるので、作業者11の疲労を軽減することが可能となる。なお、前述したように、本体部20の前見頃部21に対する腕支持部30の基部31の固定は、一例としては、面ファスナーを用いて行われているが、作業中に作業者11の腕から上腕受部32に外力が加えられたとしても、当該外力は主に上方から下方に向かう力であるので、
図4に示すように基部31の腕支持部側着脱部311が延在している方向に対応しているために、腕支持部30が本体部20から意図に反して取り外されてしまうことを防止することが可能である。
【0067】
頭部の支持について具体的には、作業者11の頭部の自重の少なくとも一部は、クッション部41を介して作業者11の首の背面側の付け根当たりに伝達されて支持されることになる。つまり、疲労軽減ウェア10が、作業者11の首の背面側の付け根当たりを支点として、作業者11の頭部を支持すことになるので、作業者11の疲労を軽減することが可能となる。
【0068】
なお、このように作業者11が疲労軽減ウェア10にて支持されている場合であっても、腕支持部30が作業者11からの外力によって弾性的に変形するので、作業者11は、上方の作業以外の作業(例えば、比較的短時間の下方の作業等)も容易に行うことができる。特に、少なくとも、
図4の継目部34にて弾性部36の不図示のねじりコイルばねにて基部31と上腕受部32とが相互に弾性的に折り曲げ可能となっているので、作業者11は、腕を下方に下して比較的短時間の下方の作業も容易に行うことができる。これにて、疲労軽減ウェア10を着用した状態で作業を行う工程を終了する。
【0069】
(疲労軽減ウェアの使用方法‐脱衣する工程)
図8は、本体部及び本体部に吊り下げられた状態の腕支持部を正面側から見た図である。次に、
図1の作業者11は、巻付部33の2個の巻付片の一部同士を重ねて形成された通し穴か腕を抜きながら、上腕受部32を本体部20から剥がすように正面側かつ下方に押える。この場合、基部31が上下方向からの力によって折れ曲がらないよう構成されていることと相まって、基部31が
図1の矢印Aに示すように、基部31の先端部Tを支点として、上方から正面側に回動するようになる。この場合、腕支持部側着脱部311が本体部側着脱部211から上方から下方に向かって次第に剥がれていることになるので、容易に基部31を取り外すことが可能となる。
【0070】
なお、この場合、
図5の吊下部37の外側の面に設けられている腕支持部側着脱部311を前見頃部21の本体部側着脱部211に未だ取り付けられた状態であるので、
図8に示すように、腕支持部30が本体部20に吊り下げられることになり、腕支持部30が落下することを防止することが可能となる。この後、吊下部37を本体部20から取り外することにより腕支持部30を取り外し、また、
図1の頭支持部40を取り外し、更に、本体部20を脱衣することにより、疲労軽減ウェア10を脱衣する。これにて、疲労軽減ウェア10を脱衣する工程を終了する。
【0071】
(疲労軽減ウェアの使用方法‐上方以外の作業を比較的長時間行う工程)
また、上述のようにして、
図1及び
図2に示すように、疲労軽減ウェア10を着用した作業者11が上方の作業を終了し、下方の作業を比較的長時間行う必要がある場合には、前述の脱衣する工程で説明したように基部31を取り外して、
図8に示すように、腕支持部30を吊り下げた状態にすることにより、下方の作業を容易に行うことが可能となる。これにて、上方以外の作業を比較的長時間行う工程を終了する。
【0072】
(本実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、腕支持部30を備えることにより、例えば、作業者11の腕を腕支持部30に支持された状態で自由に移動させる事ができるので、作業性を維持した状態で作業者11の疲労を軽減することが可能となる。
【0073】
また、本体部20を備えることにより、例えば、腕支持部30が作業者11の体の支点となる一部(例えば、胸部)からずれることを防止することができるので、腕支持部30にて作業者11の腕を確実に支持することができ、作業者11の疲労を確実に軽減することが可能となる。
【0074】
また、本体部側着脱部211及び腕支持部側着脱部311を備えることにより、例えば、作業者11が腕支持部30と本体部20とを別々に着用又は脱衣することができるので、疲労軽減ウェア10の着用又は脱衣を容易に行うことができ、当該疲労軽減ウェア10の使用性を向上させることが可能となる。
【0075】
また、頭支持部40を備えることにより、例えば、腕に加えて頭部も支持することができるので、作業者11の腕の疲労軽減に加えて頸部の疲労も軽減することができ、作業者11の疲労を一層軽減することが可能となる。
【0076】
また、本体部側着脱部211及び頭支持部側着脱部421を備えることにより、例えば、作業者11が頭支持部40と本体部20とを別々に着用又は脱衣することができるので、疲労軽減ウェア10の着用又は脱衣を容易に行うことができ、当該疲労軽減ウェア10の使用性を向上させることが可能となる。
【0077】
また、冷却する温度調整部43を備えることにより、例えば、保冷剤等を取付けることで作業者11の体温を下げることができるので、熱中症の予防・対策・防止等を行うことができ、作業者11の安全性を確保することが可能となる。特に、作業者11の頸部に温度調整部43を設けた場合、身体における血流が比較的多い部分を冷却することができるので、作業者11を効果的に冷却することが可能となる。
【0078】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0079】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0080】
(分散や統合について)
また、上述した各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意に機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。
【0081】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0082】
(本体部について(その1))
また、上記実施の形態の
図3の本体部20の肩部24については、例えば、前見頃部21及び後見頃部23に対して予め結合して製造してもよい。このように構成した場合、着用及び脱衣が容易となる。また、肩部24については、例えば、前見頃部21又は後見頃部23の一方に対して結合して製造した上で、前見頃部21又は後見頃部23の他方に対して所定の着脱手段(例えば、面ファスナー等)にて着脱自在に固定可能となるように構成してもよいし、あるいは、前見頃部21及び後見頃部23の両方とは別体として製造した上で、前見頃部21及び後見頃部23に対して着脱手段にて着脱自在に固定可能となるように構成してもよい。このように構成した場合、肩部24の取り付け長さ等を調整することにより、作業者11の体格に合わせて本体部20を着用させることが可能となる。
【0083】
(本体部について(その2))
また、上記実施の形態の
図3の本体部20の後見頃部23を、メッシュ素材以外にて製造してもよいし、例えば、ベルトの如き紐状の素材で製造してもよい。
【0084】
(腕支持部について)
また、上記実施の形態の
図4の腕支持部30の構成を任意に変更等してもよい。例えば、基部31又は上腕受部32を硬質部材で構成する代わりに、内部に金属等のフレームを設けてもよい。また、
図4の基部31に設けられている2個の腕支持部側着脱部311のうちの1個のみを省略して、
図4の図面左右方向における片側のみに腕支持部側着脱部311を設けてもよい。
【0085】
(温度調整部について)
また、
図7の温度調整部43として、冷却体の代わりに発熱体を設けて加熱したり、あるいは、電池式で稼働する空調装置を設けて加熱又は冷却を行ってもよい。また、温度調整部43を、疲労軽減ウェア10における頭支持部40以外に設けてもよい。具体的には、温度調整部43を、本体部20の後見頃部23、又は、本体部20の全体、あるいは、腕支持部30に設けてもよい。
【0086】
(肢体支持手段のバリエーションについて)
また、上記実施の形態においては、肢体支持手段を
図1の腕支持部30にて実現する場合について説明したが、これに限らない。例えば、作業者11の肘付近から肩及び背中を介して太もも付近までかけ渡す弾性ベルトにて、肢体支持手段を実現してもよい。この場合、弾性ベルトにて、太もも又は肩を支点として腕を上方に支持することが可能となる。また、例えば、作業者の腕の下部から脇の下の胴体にわたって設けられる弾性支持装置にて、肢体支持手段を実現してもよい。この弾性支持装置については、腕の下部に設けられる第1の板材と、脇の下の胴体に設けられる第2の板材とが相互に弾性的に折れ曲がるように接続することによって構成してもよい。この場合、弾性支持装置にて、脇の下の胴体を支点として腕を上方に支持することが可能となる。
【0087】
(腰部支持手段について)
また、上記実施の形態の疲労軽減ウェア10に本体部20に対して作業者11の腰部に着用されるコルセットの如き腰部支持部(腰部支持手段)を設けてもよい。このように構成した場合、腰部支持部を備えることにより、例えば、肢体に加えて腰部も支持することができるので、作業者の肢体の疲労軽減に加えて腰部の疲労も軽減することができ、作業者の疲労を一層軽減することが可能となる。
【0088】
(付記)
付記1の疲労軽減ウェアは、作業者が作業を行う場合の疲労を軽減する疲労軽減ウェアであって、前記作業者によって着用される前記疲労軽減ウェアであり、前記作業者が自己の肢体にて作業を行えるように、前記作業者の身体の少なくとも一部を支点として、前記作業者の肢体を支持する肢体支持手段、を備え、前記肢体支持手段は、前記作業者からの外力によって弾性的に変形する。
【0089】
付記2の疲労軽減ウェアは、付記1に記載の疲労軽減ウェアにおいて、前記作業者の前記肢体以外の少なくとも一部に着用される固定手段であって、前記肢体支持手段の少なくとも一部を、前記作業者の身体における前記支点となる一部に固定する前記固定手段、を備える。
【0090】
付記3の疲労軽減ウェアは、付記2に記載の疲労軽減ウェアにおいて、前記肢体支持手段と前記固定手段とは、相互に別体であり、前記疲労軽減ウェアは、前記肢体支持手段と前記固定手段とを相互に着脱可能に固定する肢体支持手段用着脱手段、を備える。
【0091】
付記4の疲労軽減ウェアは、付記1から3の何れか一項に記載の疲労軽減ウェアにおいて、前記作業者の頭部を支持する頭部支持手段、を備える。
【0092】
付記5の疲労軽減ウェアは、付記2又は3に記載の疲労軽減ウェアにおいて、前記作業者の頭部を支持する頭部支持手段であって、前記固定手段とは別体の前記頭部支持手段と、前記頭部支持手段と前記固定手段とを相互に着脱可能に固定する頭部支持手段用着脱手段と、を備える。
【0093】
付記6の疲労軽減ウェアは、付記1から5の何れか一項に記載の疲労軽減ウェアにおいて、前記作業者の腰部を支持する腰部支持手段、を備える。
【0094】
付記7の疲労軽減ウェアは、付記1から6の何れか一項に記載の疲労軽減ウェアにおいて、前記作業者に対して冷却又は加温する温度調整手段、を備える。
【0095】
(付記の効果)
付記1に記載の疲労軽減ウェアによれば、肢体支持手段を備えることにより、例えば、作業者の肢体を肢体支持手段に支持された状態で自由に移動させる事ができるので、作業性を維持した状態で作業者の疲労を軽減することが可能となる。
【0096】
付記2に記載の疲労軽減ウェアによれば、固定手段を備えることにより、例えば、肢体支持手段が作業者の体の支点となる一部からずれることを防止することができるので、肢体支持手段にて作業者の肢体を確実に支持することができ、作業者の疲労を確実に軽減することが可能となる。
【0097】
付記3に記載の疲労軽減ウェアによれば、肢体支持手段用着脱手段を備えることにより、例えば、作業者が肢体支持手段と固定手段とを別々に着用又は脱衣することができるので、疲労軽減ウェアの着用又は脱衣を容易に行うことができ、当該疲労軽減ウェアの使用性を向上させることが可能となる。
【0098】
付記4に記載の疲労軽減ウェアによれば、頭部支持手段を備えることにより、例えば、肢体に加えて頭部も支持することができるので、作業者の肢体の疲労軽減に加えて頸部の疲労も軽減することができ、作業者の疲労を一層軽減することが可能となる。
【0099】
付記5に記載の疲労軽減ウェアによれば、頭部支持手段用着脱手段を備えることにより、例えば、作業者が頭部支持手段と固定手段とを別々に着用又は脱衣することができるので、疲労軽減ウェアの着用又は脱衣を容易に行うことができ、当該疲労軽減ウェアの使用性を向上させることが可能となる。
【0100】
付記6に記載の疲労軽減ウェアによれば、腰部支持手段を備えることにより、例えば、肢体に加えて腰部も支持することができるので、作業者の肢体の疲労軽減に加えて腰部の疲労も軽減することができ、作業者の疲労を一層軽減することが可能となる。
【0101】
付記7に記載の疲労軽減ウェアによれば、冷却又は加温する温度調整手段を備えることにより、例えば、保冷剤や保温剤等を取付けることで作業者の体温を下げたり温めたりすることができるので、熱中症の予防・対策及び寒さによる怪我等を防止することができ、作業者の安全性を確保することが可能となる。特に、作業者の頸部に温度調整手段を設けた場合、身体における血流が比較的多い部分を冷却又は加温することができるので、作業者を効果的に冷却又は加温することが可能となる。
【符号の説明】
【0102】
10 疲労軽減ウェア
11 作業者
20 本体部
21 前見頃部
22 打ち合わせ部
23 後見頃部
24 肩部
30 腕支持部
31 基部
32 上腕受部
33 巻付部
34 継目部
35 通気部
36 弾性部
37 吊下部
40 頭支持部
41 クッション部
42 ベルト部
43 温度調整部
211 本体部側着脱部
311 腕支持部側着脱部
421 頭支持部側着脱部
A 矢印
T 先端部