(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】吸引用管体及び吸引具
(51)【国際特許分類】
A47L 5/00 20060101AFI20220128BHJP
F04F 5/44 20060101ALI20220128BHJP
F04F 5/20 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
A47L5/00
F04F5/44 D
F04F5/20 A
(21)【出願番号】P 2017189224
(22)【出願日】2017-09-28
【審査請求日】2019-02-05
【審判番号】
【審判請求日】2020-04-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517342202
【氏名又は名称】杉山 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100154210
【氏名又は名称】金子 宏
(72)【発明者】
【氏名】杉山 高志
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】柿崎 拓
【審判官】田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】実開平2-18598(JP,U)
【文献】特開平8-303399(JP,A)
【文献】実開昭60-140627(JP,U)
【文献】特開2011-218866(JP,A)
【文献】登録実用新案第3150598(JP,U)
【文献】特開2013-94213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L5/00
F04F5/20
F04F5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータのキーボード等の表面の埃を吹き飛ばすエアダスタに用いられる吸引用管
体であって、
外管と、
前記外管の
基端から挿入され、前記外管の胴部内に先端が位置決めされる内管と
、
前記外管の
基端と前記内管の先端との間に位置する前記外管の接合部に一端が接合されて
前記外管に連通する吸引管と、
を備え、
前記外管は、前記内
管を基端に通し
、封止樹脂を用いて基端を閉じることで前
記内
管を固定し、前記外管の前記基端と
は逆側の他端を塞
ぐフィルタをさらに備えるこ
とを特徴とする、吸引用管体。
【請求項2】
前記内管の先端と前記接合部との離間距離は、前記外管の内径の3倍以上であることを
特徴とする、請求項1に記載の吸引用管体。
【請求項3】
前記内管の内径は、前記外管の内径の2分の1以下であることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の吸引用管体。
【請求項4】
前記吸引管は、前記接合部において、前記外管に対して垂直よりも前記内管の挿入箇所
の側に傾斜していることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の吸引用管体
。
【請求項5】
請求項1に記載の吸引用管体と、
前記内管の基端に取り付けられるエアダスタと、
を備えることを特徴とする、吸引具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引用管体及び吸引具に関する。
【背景技術】
【0002】
流体を利用してベンチュリ効果によって減圧状態を作り出し、物を吸引する器具が知られている。例えばアスピレータと呼ばれる器具は、部分的に細く形成された接合部を有する水平管とその接合部に接合された垂直管とから構成されるT字管を有し、水平管の一端に流体を流し込んで他端から噴出することにより、接合部の狭い空間内で流体の流速が増して圧力が下がり、それにより垂直管内が減圧されることで、垂直管の先端から液体、埃等の異物を吸引することが可能となる。流体として、水等の液体、空気等の気体を使用することができる。
【0003】
通常、コンプレッサ等を用いて大きな圧力で流体をアスピレータに流し込む(例えば、特許文献1参照)。一方、コンプレッサ等の大掛かりな装置を使用したくない場面も考えられる。例えば、コンピュータのキーボード等の表面の埃を吹き飛ばすエアダスタを使用する場合、吹き飛ばされた埃を吸引したい。エアダスタは気体を噴き出すので、その気体によって減圧状態を作り出し、埃を吸引することが考えられる。ここで、エアダスタを利用して簡易に吸引具を構成する場合には、気体を吹き出す圧力が十分に大きくはないため、効果的に減圧状態を作るための工夫を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、エアダスタを用いて埃等の異物を吸引するための吸引用管体及びこれを備える吸引具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吸引用管体は、外管と、外管の一端から挿入され、外管の胴部内に先端が位置決めされる内管と、外管の一端と内管の先端との間に位置する外管の接合部に一端が接合されて外管に連通する吸引管と、を備えることを特徴とする。
【0007】
これによれば、内管の基端からその内部に気体を流し込むと、気体は、内管内の狭い空間を高速で流れ、内管の先端から外管の胴部内に流れ出て胴部の広い空間を低速で流れ、そして外管の他端から流れ出る。このとき、外管内における内管の先端近傍の圧力が外管の他端側に対して下がるため、内管の先端から外管の一端側に位置する接合部で外管に連通する吸引管の他端に負圧が発生することで、吸引管を用いて吸引することが可能となる。
【0008】
本発明の吸引用管体は、内管の先端と接合部との離間距離は、外管の内径の3倍以上であることを特徴とする。
【0009】
これによれば、吸引管から外管の内径の3倍以上離間した箇所に内管の先端があり、そこから噴き出した気体は、吸引管に流れることなく、外管に流れることが確実になる。吸引管を効果的に減圧することができる。
【0010】
本発明の吸引用管体は、内管の内径は、外管の内径の2分の1以下であることを特徴とする。
【0011】
これによれば、内管の先端から噴き出した気体の流速が大きくなり、効果的に減圧を生じることができる。
【0012】
本発明の吸引用管体は、前記吸引管は、前記接合部において、前記外管に対して垂直よりも前記内管の挿入箇所の側に傾斜していることを特徴とする。
【0013】
これによれば、吸引管から吸入された埃等の異物が接合部の係留されずに外管に送られる。
【0014】
本発明の吸引用管体は、外管の他端を塞ぐフィルタをさらに備えることを特徴とする。
【0015】
これによれば、吸引管から吸引され、外管を流れる気体に含まれる埃等の異物を除去することができる。
【0016】
本発明の吸引具は、本発明の吸引用管体と、内管の基端に取り付けられるエアダスタと、を備えることを特徴とする。
【0017】
これによれば、エアダスタを用いて内管に気体を流し込むことで、吸引管から埃等の異物を吸引することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の吸引用管体及び吸引具によれば、エアダスタを用いて埃等の異物を吸引することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、吸引用管体の構成を示す断面図である。(実施例1)
【
図2】
図2は、吸引用管体にエアダスタを取り付けた吸引具を示す図である。(実施例1)
【
図3】
図3は、吸引用管体の構成を示す断面図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は、吸引用管体1の構成を示す。吸引用管体1は、エアダスタを用いて埃等の異物を吸引するための器具であり、外管2、内管3、吸引管4、及びフィルタ5を含んで構成される。なお、吸引用管体1は埃等の異物を吸引するものとしたが、エアダスタが噴出する気体の圧力に応じて任意の目的物を吸引するものとしてもよい。
【0022】
外管2は、気体をガイドするための管状部材である。外管2は、例えば、塩化ビニル、フッ素樹脂、アクリル、ポリカーボネート等を用いて、内径D=5~10mmでフレキシブルに成形される。外管2は、後述する内管3を基端(
図1における左端)に通し、例えば封止樹脂を用いて基端を閉じることで内管3を固定支持する。また、外管2は、胴部の下端に後述する吸引管4が接合される接合部2aを有する。
【0023】
内管3は、エアダスタに取り付けてその気体を高速で噴出するための管状部材である。内管3は、例えば、塩化ビニル、フッ素樹脂、アクリル、ポリカーボネート等を用いて、内径d=1.5~2.5mmでリジッドに成形される。内管3は、先端(
図1における右端)を外管2の基端から挿入して外管2の胴部内、すなわち外管2の接合部2aと先端(
図1における右端)との間に位置決めされる。
【0024】
内管3の内径dは、外管2の内径Dより小さく(d<D)、2分の1以下(d≦D/2)であるのが望ましい。それにより、内管3の先端から外管2内に噴き出した気体の流速が大きくなり、効果的に減圧を生じることができる
【0025】
吸引管4は、埃等の異物を吸引するための管状部材である。吸引管4は、外管2と同じ素材を用いてフレキシブルに成形される。吸引管4は、外管の接合部2a(外管2の基端と内管3の先端との間に位置する)に基端が接合されて外管2に連通する。内管3の先端と接合部2aとの離間距離Lは、外管2の内径Dより十分大きい(L>>D)のが望ましく、例えば3倍以上(L≧3D)とする。ただし、内管3の先端と外管2の先端との離間距離も、外管2の内径Dより十分大きいのが望ましい。それにより、エアダスタのように比較的小さい噴出圧で気体が内管3内に流し込まれ、その先端から噴出される場合においても、気体が吸引管に流れることなく、外管に流れることが確実になる。吸引管を効果的に減圧することができる。
【0026】
フィルタ5は、吸引管4の先端から吸引されて気体に混入した埃等の異物を吸引するための部材である。フィルタ5は、例えば不織布を採用することができる。なお、吸引する異物の大きさに応じて、例えば0.5mm以下のサイズの孔を有するメッシュ状シート、多孔質状シートであってもよい。フィルタ5は、円環状の固定部材2bを用いて外管2の先端を塞いで固定される。
【0027】
図2に、吸引用管体1の使用状態、すなわちエアダスタ11に取り付けて吸引具10とした状態を示す。吸引具10は、吸引用管体1の内管3の基端をエアダスタ11の頭部11aに取り付けることで構成される。エアダスタ11により内管3の基端からその内部に気体を流し込むと、気体は、内管3内の狭い空間を高速で流れ、内管3の先端から外管2の胴部内に流れ出て胴部の広い空間を低速で流れ、そして外管2の先端から流れ出る。このとき、外管2内における内管3の先端近傍の外管2内の空間cで圧力が外管2の先端側に対して下がるため、内管3の先端から外管2の基端側に位置する接合部2aで外管2に連通する吸引管4の先端に負圧が発生する。従って、エアダスタ11を用いて内管3に気体を流し込むことで、吸引管4から埃等の異物を吸引することができる。
【0028】
以上詳細に説明したように、本実施例の吸引用管体1は、外管2、外管2の基端から挿入され、外管2の胴部内に先端が位置決めされる内管3、及び外管2の基端と内管3の先端との間に位置する外管2の接合部2aに基端が接合されて外管2に連通する吸引管4を備える。内管3の基端からその内部に気体を流し込むと、気体は、内管3内の狭い空間を高速で流れ、内管3の先端から外管2の胴部内に流れ出て胴部の広い空間を低速で流れ、そして外管2の先端から流れ出る。このとき、外管2内における内管3の先端近傍の圧力が外管2の先端側に対して下がるため、内管3の先端から外管2の基端側に位置する接合部2aで外管2に連通する吸引管4の先端に負圧が発生することで、吸引管4を用いて吸引することが可能となる。
【実施例2】
【0029】
図3は、吸引用管体1の構成を示す。実施例1(
図1)と比較すると、接合部2aにおける外管2と吸引管4とのなす角度が相違する。吸引管4は、外管2に対して垂直でなく内管3の挿入箇所の側に傾斜している。図では、垂直に対して60度の傾斜を示しているが、この傾斜角は、30度以上であることが好ましい。
【0030】
吸引管4によって吸引された気体は、図の白抜き矢印に沿って流れる。接合部2aにおいて、実施例1(
図1)では90度湾曲して流れていたが、本実施例では30度のみ湾曲して流れる。湾曲角度が小さくなり、気体の流れがスムーズになる。気体中の埃等の異物が接合部2aに係留されてしまう可能性をなくすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の吸引用管体及び吸引具は、エアダスタを用いて埃等の異物を吸引するのに好適である。
【符号の説明】
【0032】
1 吸引用管体
2 外管
2a 接合部
2b 固定部材
3 内管
4 吸引管
5 フィルタ
10 吸引具
11 エアダスタ
11a 頭部