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▶ ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】スリップリング膨張継手
(51)【国際特許分類】
   F01D 11/00 20060101AFI20220114BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20220114BHJP
   F01D 25/24 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
F01D11/00
F01D25/00 H
F01D25/00 M
F01D25/24 P
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017231314
(22)【出願日】2017-12-01
(65)【公開番号】P2018138783
(43)【公開日】2018-09-06
【審査請求日】2020-11-16
(31)【優先権主張番号】102016000126878
(32)【優先日】2016-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】特許業務法人坂本国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・ピエリ
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-155703(JP,A)
【文献】特開2002-309903(JP,A)
【文献】特開2002-206408(JP,A)
【文献】特開平07-280151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 1/00-11/24
F01D 13/00-15/12
F01D 23/00-25/36
F16L 27/00-27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対移動する流体通路(3、4)と同軸である壁開口を有する第1のタービン部品(1)および第2のタービン部品(2)を密封式に連結するための膨張継手であって、
前記開口は、前記膨張継手のためのシートとして機能する対向する径方向表面(102、201)を備えた窪みを前記第1および第2のタービン部品(1、2)の中に画定し、
前記膨張継手は、
・ 前記流体通路(3、4)の周りの前記径方向表面(102、201)と軸方向および径方向に係合するために前記窪みの中に配設されるように適合された密封リング(5)と、
・ 前記密封リング(5)と前記第1のタービン部品(1)の前記径方向表面(201)との間に介入するように適合された中間リング(6)と、を含み、
前記中間リング(6)は、相対回転を防止するために前記密封リング(5)の隆起(105)と軸方向に係合する開口(206)を有する、膨張継手。
【請求項2】
前記中間リング(6)は、前記第1のタービン部品(1)の前記径方向表面(201)上に位置決めされるように適合されたフランジ付き端部部分(106)を備えた円筒体の形状を有し、前記中間リング(6)の側部壁は、前記対応する流体通路(3)と軸方向に整列し、前記中間リング(6)の前記開口(206)は、前記フランジ付き端部部分(106)に設けられる、請求項1記載の膨張継手。
【請求項3】
ブッシュ要素(7)は、前記中間リング(6)の側部壁と係合するために設けられる、請求項2に記載の膨張継手。
【請求項4】
前記ブッシュ要素(7)は、前記密封リング(5)の終端部分(405)を前記中間リング(6)に向けて保持するように前記密封リング(5)の環状表面(305)に作用する径方向の当接表面(107)を有する、請求項3記載の膨張継手
【請求項5】
前記ブッシュ要素(7)は、前記中間リング(6)の側部壁と係合して、前記流体通路(3)と流体連通する当接コンジットを形成するように構成され、
前記ブッシュ要素(7)を前記中間リング(6)に固定するための定着要素が設けられる、請求項3または4に記載の膨張継手。
【請求項6】
前記ブッシュ要素(7)を前記中間リング(6)に固定するための前記定着要素は、前記ブッシュ要素(7)を前記中間リング(6)に固定するために前記ブッシュ要素(7)の周囲に設けられたパイロット穴(207)に挿入されるべきピンと、前記ブッシュ要素(7)を前記中間リング(6)に締め付けるためのねじ(307)と、を含む、請求項5記載の膨張継手。
【請求項7】
前記中間リング(6)の前記開口は、軸方向限界付け壁(306)を有する周方向スロット(206)であり、前記密封リング(5)の前記隆起は、対応嵌合する軸方向側部表面(205)を有する周方向当接要素(105)である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の膨張継手。
【請求項8】
前記中間リング(6)は、前記第1のタービン部品(1)に固定するための定着要素を有し、前記膨張継手の膨張は、前記シート上の前記密封リング(5)の軸方向および/または径方向の移動によって保証され、径方向隙間(401、402)は、前記密封リング(5)と、前記密封リング(5)を受容する前記窪みを前記第1のタービン部品(1)に画定する前記第1のタービン部品(1)の側部壁と、の間に設けられる、請求項1乃至7のうちのいずれか1項に記載の膨張継手。
【請求項9】
前記中間リング(6)の前記定着要素は、前記中間リング(6)の周囲に設けられたパイロット穴(406)に挿入されるべきピン、および/または、前記中間リング(6)を前記第1のタービン部品(1)に固定するためのねじ(506)、を含む、請求項記載の膨張継手。
【請求項10】
相対移動する流体通路と同軸である窪みを画定する壁開口を有する第1および第2のタービン部品を密封式に連結するための方法であって、
前記第2のタービン部品の前記窪みは、円形底部表面を備えた円筒状穴の形状を有し、
前記第のタービン部品の前記窪みは、底部円形表面および中間環状表面を画定するように内側穴と当該内側穴の直径よりも大きい直径を有する外側穴とが同軸に配置された、同軸の円筒状穴の形状を有し、
前記方法は、
・ フランジ付き端部部分および周方向開口を有するねじ付き中間リングを、前記第のタービン部品の前記内側穴の側部壁上に、前記中間リングの前記フランジ付き端部部分が前記第1のタービン部品の前記中間環状表面上に位置決めされるまで、締め付けるステップと、
・ 前記フランジ付き端部部分上に、軸方向に周方向当接要素を有する密封リングを、前記中間リングの前記周方向開口と係合して前記密封リングおよび前記中間リングの相対回転を防止するように、置くステップと、を含む方法。
【請求項11】
ブッシュ要素を、前記第1のタービン部品の前記内側穴に面している前記中間リングの側部壁上に、前記第1のタービン部品の前記流体通路と流体連通する当接コンジットを形成するために、締め付けるステップをさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記ブッシュ要素を締め付けるステップは、前記ブッシュ要素の径方向当接表面を、前記密封リングの環状表面に向けて、前記密封リングを前記中間リングの前記フランジ付き端部部分に向けて保持するために、押すステップを含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記ブッシュ要素を締め付けた後に、
・ 穴を、前記ブッシュ要素に設けられたパイロット穴に対応するように前記中間リングに、穴あけ加工するステップと、
・ ピンを、前記ブッシュ要素の前記パイロット穴および前記中間リングの前記穴あけ加工した穴の中に、前記ブッシュ要素を前記中間リングに固定するために、挿入するステップと、
・ 任意選択で前記ピンの全部または一部を溶接するステップと、をさらに含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記密封リングを前記中間リングの前記フランジ付き端部部分上に置く前に、
・ 穴を、前記中間リングの前記フランジ付き端部部分上に設けられたパイロット穴に対応するように前記第1のタービン部品の前記中間環状表面上に、穴あけ加工するステップと、
・ ピンを、前記中間リングの前記パイロット穴および前記第1のタービン部品の前記穴あけ加工した穴の中に、前記フランジ付き端部部分を前記第1のタービン部品の前記中間環状表面に固定するために、挿入するステップと、
・ 任意選択で前記ピンの全部または一部を溶接するステップと、をさらに含む、請求項10乃至13のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記密封リングの露出した部分が前記第2のタービン部品の前記窪みの中に挿入できるように、前記第1のタービン部品および/または前記第2のタービン部品を軸方向に移動させることによって、前記第2のタービン部品を前記第1のタービン部品に結合するステップをさらに含む、請求項10乃至14のうちのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題の実施形態は、それらの同軸の界面同士が相対移動する2つのタービン部品を密封式に連結するための膨張継手およびタービン部品を連結するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンでは、蒸気は、流動媒体として使用され、300バールを超える圧力で摂氏600度を超える温度を有する場合がある。そういった高い温度および圧力は、蒸気タービンの材料に対する要望を増大させている。特に、蒸気の進入領域は、熱的および機械的に高い圧力が加わる。
【0003】
蒸気タービンは、慣習的に、内側ケーシングと、内側ケーシングの周りに配置される外側ケーシングと、内側ケーシングの内部に回転可能に実装されるロータと、を有する。生の蒸気は、外側ケーシングおよび内側ケーシングを通って流れ通路に流れ込んでロータに達する。ケーシング間の同軸の界面領域は、熱的に高い圧力が加わり、相対移動する。
【0004】
ケーシングの熱膨張差に適応し、同時に、それらの間の高圧蒸気の漏出を実質上防止するために、図1に示すタイプのスリップタイプ膨張継手を提供することは普通の慣行である。
【0005】
内側ケーシング1および外側ケーシング2は、対応する流体通路3、4と同軸である壁開口を有し、それは円筒状の窪みを画定しており、対向する径方向表面102、201が継手のためのシートとしての機能を果たす。密封リング5は、流体通路3、4の周りで窪み102、201と軸方向および径方向に係合するように、窪みの中に配設される。ブッシュ7は、内側ケーシング1の中で締め付けられて、密封リング5を軸方向にブロックする保持リング107を有する当接コンジットを形成する。
【0006】
高圧および高温度勾配によって特徴付けられ、熱膨張および収縮の差と強い乱流振動をもたらす不安定な動作のせいで、ケーシング間の界面は、使用時に相対移動する。回転を防止するために、内側ケーシング1上のシート201は、密封リング5の対応するセクションと嵌合する形状を有する。図2aに示すように。動作中、蒸気の高温、高圧、高速、および乱流のせいで、密封リングは、振動および回転しがちである。このことは、減少した隙間(図2c参照)を有するそれらのゾーン401にシートの側部摩耗を引き起こす、図2bの矢印によって示されるようなシートとリングの間の完全に均一ではないギャップ401を決定する。この解決策は、このように、回転に関して頑強ではない。
【0007】
四角状のシート継手の代替物は、米国特許第2,863,632号に開示されているデバイスである。しかしながら、この文献のスリップリング膨張継手は、多重のリングパック構成を必要とするので、かなり複雑であり高価である。
【0008】
したがって、回転防止挙動に頑強であり、同時に、単純かつ安価で、既存の/損傷したユニットを改装するために据え付けもまた容易である、2つのタービン部品を密封式に連結するための膨張継手が求められている。
【発明の概要】
【0009】
第1の例示的な実施形態に従って、相対移動する流体通路と同軸である壁開口を有する第1および第2のタービン部品を密封式に連結するための膨張継手が存在し、
開口は、継手のためのシートとして機能する対向する径方向表面を備えた窪みを第1および第2のタービン部品の中に画定し、
前記継手は、
・ 流体通路の周りの窪み付き表面と軸方向および径方向に係合するなどのために窪みの中に配設されるように適合された密封リングと、
・ 密封リングと第1のタービン部品の窪み付き表面との間に介入するように適合された中間リングと、を含み、
中間リングは、相対回転を防止するために密封リングの隆起と軸方向に係合する開口を有する。
【0010】
第2の例示的な実施形態に従って、第1および第2のタービン部品を密封式に連結するための方法が存在する。
【0011】
タービン部品、すなわち、タービンの内側および外側ケーシングなどは、相対移動する流体通路と同軸である窪みを画定する壁開口を有する。第1のタービン部品の窪みは、円形底部表面を備えた円筒状穴の形状を有し、その一方、第2のタービン部品の窪みは、底部円形表面および中間環状表面を画定するように、外側穴の直径よりも小さい直径を有する内側穴を備えた同軸の円筒状穴の形状を有する。
【0012】
特に、方法は、
・ フランジ付き端部部分および周方向開口を有するねじ付き中間リングを、第1のタービン部品の内側穴の側部壁上に、中間リングのフランジ付き端部部分が第1のタービン部品の中間環状表面上に位置決めされるまで、締め付ける動作と、
・ フランジ付き端部部分上に、軸方向に周方向当接要素を有する密封リングを、中間リングの周方向開口と係合して中間リングに対する密封リングの相対回転を防止するように、置く動作と、を含む。
【0013】
密封リングと内側ケーシングとの間の中間リングの導入は、密封リングの内側ケーシングとの直接接触、したがって、シート上のリングの摺動および研削を回避させ、継手の完全性が維持される。さらにまた、法線方向ブロック表面を備えた密封リングの円対称性は、非均一な側部摩耗を引き起こす四角状のシートの必要性を排除し、こうして、極めて小型で、頑強で、非常に役立つデバイスがもたらされる。
【0014】
本開示の主題のこれらや他の特徴、態様、および利点については、図面全体にわたって同様の符号が同様の部品を指す添付の図面を参照して、以下の詳細な説明を解釈するとき、より良く理解されることになろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】従来技術に従った四角状のシートを備えた膨張継手の断面図である。
図2a図1の四角状のシートの非均一な側部摩耗を示すための例示的な概略を示す図であって、密封リングがシートから均一に離隔される理想的なケースを示す図である。
図2b図1の四角状のシートの非均一な側部摩耗を示すための例示的な概略を示す図であって、シートと密封リングの間のギャップが均一に分配されない実際のケースを示す図である。
図2c図1の四角状のシートの非均一な側部摩耗を示すための例示的な概略を示す図であって、回転によって起こる、密封リングとシートの間の接触ゾーン、したがって、摩耗を示す図である。
図3a】本実施形態に従った改善を示すための例示的な概略を示す図であって、円形の密封リングが円形シートから均一に離隔される理想的なケースを示す図である。
図3b】本実施形態に従った改善を示すための例示的な概略を示す図であって、シートと密封リングの間のギャップが均一に分配されない実際のケースを示す図である。
図3c】本実施形態に従った改善を示すための例示的な概略を示す図であって、円対称のおかげで、密封リングの回転の場合でも、密封リングとシートの間の接触ゾーン、したがって、摩耗が起こらないことを示す図である。
図4】例示的な実施形態に従った膨張継手の断面図である。
図5a】本実施形態に従った中間リングの3次元図である。
図5b】本実施形態に従った中間リングの下から見た図である。
図5c】本実施形態に従った中間リングの側部断面図である。
図6a】本実施形態に従った密封リングの3次元図である。
図6b】本実施形態に従った密封リングの下から見た図である。
図6c】本実施形態に従った密封リングの側部断面図である。
図7a】実施形態に従ったブッシュの上から見た図(図7aである。
図7b】実施形態に従ったブッシュの横方向断面図(図7b)である。
図8】別の実施形態に従った膨張継手の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の開示は、それらの同軸の界面同士が相対移動する2つのタービン部品を密封式に連結するための膨張継手の様々な実施形態を詳細に説明している。図4では、実施形態に従った膨張継手の断面図が、2つのタービン部品1、2を連結するために実装された状態で示されている。タービン部品、タービンの内側ケーシングおよび外側ケーシングなどは、流体通路3、4と同軸である窪みを画定している壁開口を有する。高圧および高温度勾配によって特徴付けられ、熱膨張および収縮の差と強い乱流振動をもたらす不安定な動作のせいで、2つのタービン部品間の界面は、使用時に相対移動する。第2のタービン部品2の窪みは、円形底部表面102を備えた円筒状穴の形状を有し、その一方、第1のタービン部品1の窪みは、底部円形表面101および中間環状表面201を画定するように、外側穴の直径よりも小さい直径を有する内側穴を備えた2つの同軸の円筒状穴の形状を有する。
【0017】
継手は、タービン部品1の窪み付き表面201と軸方向および径方向に係合するなどのために窪みの中に配設される密封リング5を含む。しかしながら、密封リング5と表面201の接触は、直接ではなく、タービン部品1よりも硬質な材料から典型的に作られた中間リング6の介在物とである。
【0018】
図5により良く示されるように、タービン部品1に対する良好な固定を達成するために、中間リング6は、ねじ付き円筒体506の形状を有利に有し、フランジ付き端部部分106は、フランジ付き端部部分106が中間表面201上に停止するまで、タービン部品1の内側穴の側部壁301上に締め付けられるブッシュのように機能する。側部壁は、流体通路3と軸方向に整列する。中間リング6は、フランジ付き端部部分106に開口を有する。図示実施形態では、開口は、軸方向の側部表面306によって限界付けされる2つの対称的な周方向スロット206の形式であるが、明らかに、密封リング5が相対回転をブロックするために係合する対応隆起を有する限り、任意のタイプ、数量、および配置にすることができる。
【0019】
フランジ付き端部部分106のパイロット穴406は、中間リング6をタービン部品1に、例えば、ピンで、固定するために設けられる。
【0020】
図6は、円筒体の形式の密封リング5を示しており、一端部には、中間リング6の軸方向の側部表面に相補的な軸方向の側部表面205を有する周方向隆起105を備える。
【0021】
継手の組み立て時に、密封リング5は、中間リング6のフランジ付き端部部分106上に置かれ、周方向当接隆起105が、中間リング6の周方向開口206と軸方向に係合して、中間リング6に対する密封リング5の相対回転を防止する。
【0022】
径方向隙間401、402は、密封リング5と、密封リング5をタービン部品1の中に受容する窪みを画定している前記第1の部品の側部壁との間に存在し、密封リング5が継手シート内でスリップするのを可能にしている。前記隙間401、402は、組み立ての目的のために、また、接触するパーツの熱膨張を可能にするために、必要とされる。
【0023】
ブッシュ要素7は、中間リング6の側部壁と係合するために設けられて、流れ通路3と流体連通するトロンコ円錐形の当接コンジットを形成する。ブッシュ要素7は、中間リング6に向けて密封リング5の終端部分405上に保持機能を及ぼすように、密封リング5のへこみ付けされた環状表面305上に作用する径方向の当接表面107を有する。
【0024】
定着要素は、ブッシュ要素7を中間リング6に固定するために設けられる。図7に示す実施形態では、定着要素は、ブッシュ要素7を中間リング6に固定するためにブッシュ要素7の周囲に設けられたパイロット穴207に挿入されるべきピンと、ブッシュ要素7を中間リング6に締め付けるためのねじ307、606と、を含む。
【0025】
ねじ付きブッシュと内側ケーシングの間の中間リングの導入は、密封リングの内側ケーシングとの直接接触を回避させる。さらにまた、それは密封リングが回転するのを防止するが、それというのも、従来の四角状のシート上の摺動する接触界面が中間リング上の標準の接触界面で置き換えられ、それが強化表面を備えており、部品の摩耗を制限するからである。
【0026】
四角状のシートの代わりに円形シートを使用することは、特に有利である。このことは、図3の概略を見ることによって理解することができる。図3aは、円形の密封リング5が円形シート201から均一に離隔される理想的なケースを示し、図3bは、動作中の部品の位置公差と相対移動の結果のせいでシート201と密封リング5の間のギャップ401が均一に分配されない実際のケースを示し、図3cは、円対称のおかげで、密封リングとシートの間の接触ゾーン、したがって、摩耗が起こらないことを示している。これに対して、図2に示すような四角状のシート上では、ギャップ401における僅かな差は、接触の点を生じさせるのに十分であり、小さな回転角度ですら側部摩耗に至る。
【0027】
継手を組み立てるために、実施形態は、
・ フランジ付き端部部分および周方向開口を有するねじ付き中間リングを、第1のタービン部品の内側穴の側部壁上に、中間リングのフランジ付き端部部分が第1のタービン部品の中間環状表面上に位置決めされるまで、締め付けることと、
・ フランジ付き端部部分上に、軸方向に周方向当接要素を有する密封リングを、中間リングの周方向開口と係合して中間リングに対する密封リングの相対回転を防止するように、置くことと、
・ ブッシュ要素を、内側穴に面している中間リングの側部壁上に、第1のタービン部品の流れ通路と流体連通する当接コンジットを形成するために、締め付けることと、を提供する。
【0028】
ブッシュ要素を締め付ける動作は、ブッシュ要素の径方向当接表面を、密封リングの環状表面に向けて、密封リングを中間リングのフランジ付き端部部分に向けて保持するために、押すことを有利に含む。
【0029】
密封リングを中間リングのフランジ付き端部部分上に置く前に、中間リングは、
・ 穴を、中間リングのフランジ付き端部部分上に設けられたパイロット穴406に対応する第1のタービン部品の中間環状表面上に、穴あけ加工することと、
・ ピンを、穴あけ加工したパイロット穴406および穴の中に、フランジ付き端部部分を第1のタービン部品の中間環状表面に固定するために、挿入することと、
によって第1のタービン部品に固定することができる。
【0030】
締め付けた後に、ブッシュ要素7の定着は、
・ 穴を、ブッシュ要素7に設けられたパイロット穴207に対応する部品6上に、穴あけ加工することと、
・ ピンを、穴あけ加工したパイロット穴および穴の中に、挿入して、フランジ付き端部部分を部品6の中間環状表面に、好ましくは、前記部品6と前記ブッシュ要素7との間のねじをまたいで、固定することと、
によってさらに改善することができる。
【0031】
ピンの全部または部分は、有利に溶接される場合がある。
【0032】
最後の動作は、第1および/または第2のタービン部品を軸方向に移動させることによって第2のタービン部品を第1のタービン部品に結合させることに関係しており、密封リングの露出した部分が第2のタービン部品の窪みに挿入できるようにして、図8に示すような組立体を得る。注意が払われて、部品2と密封リング5の間には、軸方向隙間403ができる。
【0033】
例示的な実施形態の上の説明は、添付の図面を参照している。異なった図面の同じ参照番号は、同一または類似の要素を指す。以下の詳細な説明は、本発明を限定しない。代わりに、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって画定される。
【0034】
明細書全体にわたって、「1つの実施形態」または「実施形態」の参照が意味することは、実施形態と関連して説明される特定の特色、構造、または特徴が、開示された主題の少なくとも1つの実施形態に含められる、ということである。このように、明細書全体にわたって様々な場所での語句「1つの実施形態では」または「実施形態では」の登場は、必ずしも同じ実施形態を指すわけではない。さらに、特定の特色、構造、または特徴は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切なやり方で組み合わせてもよい。上の詳細な説明は、権利請求する本発明の範囲を限定しない。代わりに、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって画定される。
【符号の説明】
【0035】
1 第1のタービン部品
2 第2のタービン部品
3 流体通路/流れ通路
4 流体通路
5 密封リング
6 中間リング/部品
7 ブッシュ要素
102 窪み付き表面
105 隆起
106 フランジ付き端部部分
201 径方向表面
206 開口/周方向スロット
207 パイロット穴
305 環状表面
401 径方向隙間
402 径方向隙間
405 終端部分
406 パイロット穴
506 ねじ
図1
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図8