(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】電磁装置の追跡
(51)【国際特許分類】
G01B 7/00 20060101AFI20220114BHJP
A61M 25/095 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
G01B7/00 103M
A61M25/095
(21)【出願番号】P 2017563561
(86)(22)【出願日】2016-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2016063388
(87)【国際公開番号】W WO2016198661
(87)【国際公開日】2016-12-15
【審査請求日】2019-06-07
(32)【優先日】2015-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ファッジ アルバート
(72)【発明者】
【氏名】テルメール モーリス アラン
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-299634(JP,A)
【文献】特開2014-176690(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0097475(US,A1)
【文献】特開2007-301368(JP,A)
【文献】特開2010-051801(JP,A)
【文献】特開2015-102551(JP,A)
【文献】特開2007-163462(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102006029122(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00- 7/34
A61M 25/00-25/18
A61B 8/00- 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ入力部と、
データプロセッサと、
データ出力部と
を含む、医療装置の電磁追跡システム用のワイヤレス読取ユニットであって、
前記データ入力部は、電磁センサから生信号を受信し、
前記データプロセッサは、
起動時に、電磁場データを提供され、前記データ入力部によって提供される前記生信号を、
磁場発生器の様々な磁場放出要素によって誘導された様々な信号成分の識別及び/若しくは分離、並びに/又は
三角測量に使用される信号成分若しくは信号パラメータの抽出
を実行することによって、少なくとも部分的に前処理し、
前記データ出力部は、ワイヤレスデータリンクを、医療装置の電磁追跡システムの制御ユニットに提供し、少なくとも部分的に前処理されたデータをデータ伝送し、
前記ワイヤレス読取ユニットは、前記医療装置に一時的に取り付けられる取り外し可能なドングルとして提供されるか、又は前記ワイヤレス読取ユニットは、前記医療装置内に恒久的に統合される、
ワイヤレス読取ユニット。
【請求項2】
前記生信号の前記前処理に関し、前記データプロセッサは、さらに、
前記生信号のフィルタリングと、
前記生信号の増幅と、
前記生信号のアナログ処理及びアナログ‐デジタル変換と
のグループのうちの少なくとも1つを実行する、請求項1に記載のワイヤレス読取ユニット。
【請求項3】
局所エネルギ源をさらに含み、
前記局所エネルギ源は、前記ワイヤレス読取ユニットに電気エネルギを供給する、
請求項1又は2に記載のワイヤレス読取ユニット。
【請求項4】
前記ワイヤレス読取ユニットは、追跡対象の医療装置のエネルギ源によって電気エネルギが供給される、請求項1乃至3の何れか一項に記載のワイヤレス読取ユニット。
【請求項5】
少なくとも本体部と、
電磁追跡センサと、
請求項1乃至4の何れか一項に記載のワイヤレス読取ユニットと
を含む電磁追跡用の医療装置であって、
前記電磁追跡センサは、磁場発生器によって生成された電磁場の強度を測定し、
前記電磁追跡センサは、医療装置の決められた部分に固定的に取り付けられ、
前記ワイヤレス読取ユニットは、少なくとも一時的に前記本体部に取り付けられる、
医療装置。
【請求項6】
前記ワイヤレス読取ユニットを前記本体部に一時的に取り付けるためのインターフェースが提供される、請求項5に記載の医療装置。
【請求項7】
前記医療装置は、細長い本体とグリップ部とを有するカテーテルであり、
前記電磁追跡センサは、前記細長い本体の遠位端部に配置され、
前記ワイヤレス読取ユニットは、前記グリップ部に取り付けられる、
請求項5又は6に記載の医療装置。
【請求項8】
前記医療装置は、トランスデューサヘッド部を有する超音波プローブであり、
前記電磁追跡センサ及び前記ワイヤレス読取ユニットは、前記超音波プローブ内に恒久的に統合される、
請求項5又は6に記載の医療装置。
【請求項9】
関心領域での既知の空間分布を有する電磁場を生成するための磁場発生器と、
制御ユニットと、
少なくとも1つの請求項5乃至8の何れか一項に記載の電磁追跡用の医療装置と、
を含む、医療装置の電磁追跡システムであって、
前記制御ユニットは、前記磁場発生器による前記電磁場の生成を制御し、前記ワイヤレス読取ユニットから信号を受信する、
電磁追跡システム。
【請求項10】
起動時に、前記制御ユニットは、前記ワイヤレス読取ユニットの前記データプロセッサに
前記電磁場データを提供する、請求項9に記載の電磁追跡システム。
【請求項11】
電磁波源の識別に関し、様々な磁場発生要素に関連する前記様々な信号成分の識別及び分離は、前記磁場発生器がどのように制御されるかに関連して提供される、請求項9又は10に記載の電磁追跡システム。
【請求項12】
前記ワイヤレスデータリンクは、前記ワイヤレス読取ユニットと前記制御ユニットとを所定のタイムスロットにおいて接続する一時的リンクとして構成される、請求項9、10、又は11に記載の電磁追跡システム。
【請求項13】
a)電磁場を生成するステップと、
b)医療装置の所定のポイントに取り付けられたセンサによって前記電磁場の強度を測定し、前記医療装置に少なくとも一時的に取り付けられたワイヤレス読取ユニットに生信号を提供するステップと、
c)前記生信号を、前記ワイヤレス読取ユニットによって前処理するステップと、
d)前処理されたデータを、ワイヤレスデータリンクによって電磁追跡システムの制御ユニットに伝送するステップと、
e)前記医療装置の前記所定のポイントの空間的位置及び/又は空間的方向を決定するステップと
を含む、医療装置を追跡する方法であって、
前記ステップc)において、前記生信号の前記前処理に関し、データプロセッサは、
起動時に、電磁場データを提供され、
磁場発生器の様々な磁場放出要素によって誘導された様々な信号成分の識別及び/若しくは分離、並びに/又は
三角測量に使用される信号成分若しくは信号パラメータの抽出
を実行する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置の電磁追跡に関し、特に、医療装置の電磁追跡システム用のワイヤレス読取ユニット、電磁追跡用の医療装置、医療装置の電磁追跡システム、及び医療装置の追跡方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁追跡は、例えば、処置中に使用される装置、例えばその位置及び方向を追跡するために、特定の介入処置において使用される。例として、電磁センサを電磁追跡システムの演算ユニットに接続するために、ワイヤ接続が提供される。さらなる例として、米国特許第2010/0056871A1号は、デジタルインターフェースを介する医療装置の同期を記載する。例えば、2つのカテーテルを含む心臓カテーテルシステムが記載される。カテーテルは、ワイヤレスデジタルインターフェースを含み、これはコンソールにおいて対応するインターフェースと通信する。それぞれの対応物、すなわちコンソールにおけるインターフェースは、2つのカテーテルから伝達されたデータ信号を受信する及び処理する中央処理ユニットと通信する。カテーテルは、位置座標を示す信号を生成する位置センサが提供され、位置センサは磁場発生器によって生成された磁場を感知し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
医療装置の追跡をさらに改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、独立請求項の主題によって解決され、さらなる実施形態は従属請求項に組み込まれる。
【0005】
第1の態様によれば、医療装置の電磁追跡システム用のワイヤレス読取ユニットが提供される。ワイヤレス読取ユニットは、データ入力部、データプロセッサ、及びデータ出力部を含む。データ入力部は、電磁センサから生信号を受信する。データプロセッサは、さらなる変換のためにデータ入力部によって提供される生信号を、少なくとも部分的に前処理する。データ出力部は、少なくとも部分的に前処理されたデータを、医療装置の電磁追跡システムの制御ユニットにデータ伝送する。データ出力部は、制御ユニットへのワイヤレスデータリンクを提供する。生信号の前処理に関し、データプロセッサは、磁場発生器の様々な磁場放出要素によって誘導された様々な信号成分の識別及び/若しくは分離、並びに/又は三角測量に使用される信号成分若しくは信号パラメータの抽出を実行する。
【0006】
有利には、ワイヤレス読取ユニットは、生信号の前処理によりワイヤレスデータリンクをさらに改善することを可能にする。換言すれば、生センサ信号のストリームは、制御ユニットにデータリンクを介して連続的に転送されるのではないが、生信号が前処理され、次いで転送され、ひいてはデータストリーム又はデータストリームのパーティションの低減が可能にされ、これは、ワイヤレスデータリンクに照らして改善を意味する。したがって、追跡システムに接続されるか、又はワイヤレスデータリンクを介して互いに通信する、多数の装置が存在するため、運用シアターにおける全体的な状況も改善され得る。前処理はまた、通信をより信頼性あるものにする。
【0007】
例において、制御ユニットは、処理ユニット、又は電磁追跡システムの演算ユニット若しくはコンソールである。
【0008】
例によれば、生信号の処理に関し、データプロセッサは、生信号のフィルタリング、生信号の増幅、これら信号のアナログ処理及びA/D(アナログ/デジタル)変換のうちの少なくとも1つをさらに実行する。
【0009】
例において、生信号の前処理に関し、データプロセッサは、磁場発生器の電磁波源の識別を実行する。
【0010】
例において、データプロセッサは、センサ位置の三角測量に使用され得る信号パラメータの計算を実行する。
【0011】
例によれば、ワイヤレス読取ユニットは、医療装置に一時的に取り付けられる取り外し可能なドングルとして提供される。
【0012】
有利には、ワイヤレス読取ユニットは、多数の様々な医療装置に一時的に取り付けられ得る。したがって、単一のドングルは複数の装置に使用され得るので、例えば、介入処置中に使用される多数の医療装置の追跡が追跡され得る一方で、ワイヤレス読取ユニットの数が最小限に低減される。したがって、特定の介入中に使用されるすべての装置を追跡するために、装置はより多数の装置から選択され得、選択された装置は(取り外し可能な)ワイヤレス読取ユニットに備えられる。例えば、そのような装置は使い捨て可能であり、(取り外し可能な)ワイヤレス読取装置は少なくとも複数回使用される。
【0013】
第2の態様によれば、電磁追跡用の医療装置が提供される。この装置は、少なくとも本体部と、電磁追跡センサと、ワイヤレス読取ユニットとを含む。ワイヤレス読取ユニットは、上記の例の1つにより提供される。電磁追跡センサは、磁場発生器によって生成された電磁場の強度を測定する。電磁追跡センサは、医療装置の決められた部分に固定的に取り付けられる。ワイヤレス読取ユニットは、少なくとも一時的に本体部に取り付けられる。
【0014】
医療装置は、例えば介入処置中に使用される、特定の介入目的のために提供される。したがって、この装置は医療目的の医療装置である。“電磁追跡用の医療装置”という単語は、医療目的で医療装置を提供することを意味し、この医療装置は、電磁追跡に適する。
【0015】
有利には、電磁追跡は、空間的状況、例えば運用シアター、例えば病院における、医療装置の位置の決定を可能にする。医療装置に取り付けられるワイヤレス読取ユニットを提供することによって、電磁追跡センサによって提供されたデータを前処理し、次いで、前処理されたデータをより大きなシステムの制御ユニットに転送することが可能である。
【0016】
例によれば、ワイヤレス読取ユニットを本体部に一時的に取り付けるためのインターフェースが提供される。
【0017】
有利には、これは、ワイヤレス読取ユニットの取り外し、及びワイヤレス読取ユニットの本体部、すなわち実際の医療装置への容易な接続を可能にする。
【0018】
例によれば、医療装置は、細長い本体とグリップ部とを有するカテーテルである。電磁追跡センサは、細長い本体の遠位端部に配置され、ワイヤレス読取ユニットは、グリップ部に取り付けられる。
【0019】
有利には、先端部又は遠位端部にセンサを配置することにより、電磁追跡に使用され得るカテーテルが提供される。グリップ部の領域へのワイヤレス読取ユニットの統合は、容易な取扱いを可能にする。
【0020】
別の例によれば、医療装置は、トランスデューサヘッド部を有する超音波プローブである。電磁追跡センサ及びワイヤレス読取ユニットは、超音波プローブに取り付けられる。例において、電磁追跡センサ及びワイヤレス読取ユニットは、ヘッド部に配置される。
【0021】
有利には、運用シアターにおける空間的状況又は空間的配置の観点から超音波プローブを追跡することが可能である。したがって、例えば、患者が全体座標系内に位置合わせされる場合、超音波プローブによって取得された画像データを患者と関連させて位置合わせさせることが可能である。例えば、同じ患者の様々な画像データが追跡データに位置合わせされ得る。
【0022】
第3の態様によれば、医療装置の電磁追跡システムが提供される。システムは、関心領域での既知の空間分布を有する電磁場を生成するための磁場発生器を含む。さらに、制御ユニットが提供される。さらにまた、上記の例のうちの1つによる電磁追跡用の医療装置が提供される。制御ユニットは、磁場発生器による電磁場の生成を制御し、ワイヤレス読取ユニットから信号を受信する。
【0023】
有利には、電磁追跡システムは、ワイヤレスリンクを介して伝送されるデータを前処理するワイヤレス読取ユニットの使用のために、低減されたデータ通信、又はワイヤレスリンクを介して改善されたデータが提供される。
【0024】
例において、電磁波源の識別に関し、様々な磁場発生要素に関連する様々な信号成分の識別及び分離は、磁場発生器がどのように制御されるかに関連して提供される。
【0025】
例によれば、起動時に、制御ユニットは、ワイヤレス読取ユニットのデータプロセッサに電磁場データを提供する。
【0026】
これは、有利には、このような磁場データも考慮する、それぞれの前処理を可能にする。
【0027】
例によれば、ワイヤレス読取ユニット及び制御ユニット(又は処理ユニット)は、ワイヤレスユニットが様々な磁場発生要素から信号成分を分離し得るように、同期される。
【0028】
第4の態様によれば、医療装置を追跡する方法が提供される。方法は、
a)電磁場を生成するステップと、
b)医療装置の所定の点に取り付けられたセンサによって電磁場の強度を測定し、医療装置に少なくとも一時的に取り付けられたワイヤレス読取ユニットに生信号を提供するステップと、
c)生信号を、ワイヤレス読取ユニットによって前処理するステップと、
d)前処理されたデータを、ワイヤレスデータリンクによって電磁追跡システムの制御ユニットに伝送するステップと、
e)医療装置の所定のポイントの空間的位置及び/又は空間的方向を決定するステップと
を含む方法であって、
ステップc)において、生信号の前処理に関し、データプロセッサは、
‐磁場発生器の様々な磁場放出要素によって誘導された様々な信号成分の識別及び/若しくは分離、並びに/又は
‐三角測量に使用される信号成分若しくは信号パラメータの抽出
を実行する。
【0029】
例において、ステップe)は、空間的位置の決定を含む。別の例において、ステップe)は空間的方向の決定を含む。さらなる例において、ステップe)は、空間的位置及び空間的方向の決定を含む。
【0030】
一態様によれば、医療装置の追跡に関し、電磁センサからデータを受信するワイヤレス読取ユニットが提供される。ワイヤレスデータリンクを介して全体的な電磁追跡システムの制御ユニットにデータを伝送する前に、ワイヤレス読取ユニットは、電磁センサによって提供されるデータの前処理を実行することによって、制御ユニットの機能の少なくとも一部を提供する。したがって、前処理されたデータは、ワイヤレスリンクを介して制御ユニットに送信され、ひいては、電磁追跡システムのデータリンク接続を容易にし、改善する。
【0031】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態を参照して明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明の例示的な実施形態が、以下の図面を参照して以下に記載される。
【0033】
【
図1】医療装置の電磁追跡システム用のワイヤレス読取ユニットの例を示す。
【
図2】概略的な設定における電磁追跡用の医療装置の例を示す。
【
図3】概略的な設定における医療装置の電磁追跡システムの例を示す。
【
図4】ドングルとして提供されたワイヤレス読取ユニットに関連した電磁追跡用の医療装置の例としてのカテーテルを示し、
図4Aは分離状態を示し、
図4Bは付着状態を示す。
【
図5】医療装置の例としての超音波プローブを示し、電磁追跡に使用され得る。
【
図6】医療装置を追跡するための方法の例の基本ステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、医療装置の電磁追跡システム(
図3を参照)用のワイヤレス読取ユニット10を示す。ワイヤレス読取ユニット10は、データ入力部12と、データプロセッサ14と、データ出力部16とを含む。データ入力部12は、電磁センサ(図示せず)から、破線矢印で示される生信号18を受信する。データプロセッサ14は、さらなる変換のために、データ入力部12によって提供される生信号18を少なくとも部分的に前処理する。データ出力部16は、医療装置の電磁追跡システムの制御ユニットへの、少なくとも部分的に前処理されたデータのデータ伝送のために構成される。
【0035】
データ出力部16は、別の破線矢印で示されたワイヤレスデータリンク20を医療装置の電磁追跡システムの制御ユニット(さらには図示せず)へ提供する。ワイヤレスリンクはまた、処理ユニット又はコンソールにも提供される。
【0036】
図2は、電磁追跡用の医療装置22の例を示す。装置は、少なくとも、本体部24と、電磁追跡センサ26とを含む。さらに、上記の及び下記の例のうちの1つによるワイヤレス読取ユニット10の少なくとも1つの例が提供される。電磁追跡センサ26は、医療装置の電磁追跡システムの磁場発生器(
図3も参照)によって生成された電磁場の強度を測定する。電磁追跡センサ26は、医療装置22の決められた部分に固定的に取り付けられる。ワイヤレス読取ユニット10は、少なくとも一時的に本体部24に取り付けられる。
【0037】
ワイヤレス読取ユニット10及び生信号の提供された前処理についてさらに記載する前に、簡単に医療装置22につき参照される。
【0038】
医療装置22は、介入又は診断作業、すなわち医療機能を実行するために提供される。電磁追跡は、医療装置に追加されたものであり、医療装置又は医療装置の一部の位置及び場合によっては方向を監視するために使用される。
【0039】
例において、装置の状態情報に関し、電磁追跡システムは装置を有する追加の双方向通信が提供されるものとし、この装置は、例えばボタン又はステータスLEDを実施するために使用され得る。ワイヤレスリンクは、この情報も同様に中継し得る。このタイプの情報は、装置当たり数ビットにしか及ばず、処理を必要としない。したがって、一度接続が確立されると簡単に実行され得る。
【0040】
例において、追跡対象の装置との統合に関し、ワイヤレス読取ユニットは、ドングルとして追跡対象の装置に差し込む、再使用可能なスタンドアローン装置であるものとする(下記も参照)。センサへの接続、及び、該当する場合は、追跡対象の装置のエネルギ源への接続が提供される。これは、低コスト又は使い捨て可能な装置及び追跡の使用を常には必要としない装置につき、特に魅力的である。例えば、心臓血管用途のためのカテーテルが提供される。代替の例において、ワイヤレス読取ユニットは、追跡対象の装置内に恒久的に統合される。このシナリオは、ほとんどの場合追跡機能の使用が予想される再使用可能な医療装置につき、魅力的である。例えば、追跡されたUS(超音波)トランスデューサが提供される。
図1を再び参照すると、データ入力部12及びデータ出力部16は、
図2において更には図示されないが、当然提供されることに留意されたい。
【0041】
図2において、アンテナシンボル28は、制御ユニットに提供されたワイヤレスデータリンク20を示す。
【0042】
ワイヤレス読取ユニット10は、制御ユニットの機能の少なくとも一部を局所的に実行している。例において、ワイヤレス読取ユニットは、装置位置の三角測量のために結果を制御ユニットに送信する。別の例において、装置位置の三角測量は、ワイヤレス読取ユニットによって少なくとも部分的に提供される。
【0043】
例において、ワイヤレスリンク20に関し、ワイヤレスリンクがリアルタイム動作を可能にし、複数の装置を同時に追跡することを支援するものとする。追加的に、他の装置との/からの干渉を制限するために、例において、運用シアター(病院)環境での専用ワイヤレスチャネルが使用される。様々な磁場生成要素(コイル)に関連する信号成分を局所的に識別し及び分離し、並びにこれらの成分から特徴を抽出する、能力は、無線、すなわちワイヤレスの、リンク、の帯域幅及び同期要件を大幅に低減し得る。また、所定のタイムスロットにおいてのみデータを送信する一時的リンクとして、ワイヤレスリンクを提供することも可能である。例えば、特徴抽出は局所的に実行され、無線(ワイヤレスリンク)は、計算時にセンサの位置を決定するために次いで使用される各位置特定事象(枠)について計算された特徴のみを送信する。これは、追跡システムの信頼性をさらに改善する。
【0044】
例において、処理及び通信チェーン全体は、医療介入中にこの例の適用に必要とされる適切な視覚と手の協調が可能になるように、予測可能で十分な低遅延を有する。
【0045】
図1を参照すると、以下において、データプロセッサ14に関する
図2の図を参照して、データプロセッサ14についてさらに記載される。
【0046】
生信号18の前処理に関し、データプロセッサ14は、生信号のフィルタリング、生信号の増幅、信号のアナログ処理及びアナログ‐デジタル変換、又は磁場発生器の様々な磁場放出要素によって誘導された様々な信号成分の識別及び/若しくは分離、並びに三角測量に使用され得る信号成分若しくは信号パラメータの抽出、のグループのうちの少なくとも1つを実行する。
【0047】
別個のオプションとして
図2に示される、個別に又は様々な種類の組み合わせで使用され得る例によれば、データプロセッサ14は、増幅及び/又はフィルタリングセグメント30を含む。さらに、アナログ‐デジタル変換セグメント32が提供される。さらにまた、電磁波源及びそれらのそれぞれのIDを識別するための識別セグメント34が提供される。さらに、特徴抽出セグメント36が提供される。さらにまた、無線、すなわちワイヤレスデータリンクセグメント38は、ワイヤレスリンク20に関するデータのそれぞれの変換を示す。
【0048】
セグメントは、共通プロセッサのサブ部分として、又は個別の回路として提供され得る。例において、ワイヤレス読取ユニットは、電磁追跡システムの制御ユニット(
図3に示される)から機能の一部、例えば、その最も基本的な機能の一部を引き継ぐ。ワイヤレス制御ユニットは、上記のように、
i)フィルタリング、増幅、アナログ処理を実行し、センサ信号のアナログ‐デジタル変換を実行することと、
ii)磁場発生器の様々な磁場放出要素(コイル)によって誘導された様々な信号成分を識別及び分離することと、
iii)上記の信号成分から、三角測量を実行するために制御ユニットによって使用されるすべての特徴(例えば、信号成分増幅)を抽出することと、
iv)ワイヤレスリンクを介して制御ユニットに上記の特徴を通信することと
を実行し得る。
【0049】
例において、増幅及びフィルタリングに関し、不要な雑音/干渉を除去するために、センサからの信号がフィルタリングされ、次いで増幅されるものとする。例えば、信号は、より一般化された処理のためにデジタル化されるが、別の例においては、アナログ‐デジタル変換が提供される。
【0050】
更なる例において、オプションとして
図2に示されるように、ワイヤレス読取ユニット10は、局所エネルギ源40をさらに含む。エネルギ源は、ワイヤレス読取ユニット10に電気エネルギを供給する。
【0051】
例において、ワイヤレス読取ユニット10は、追跡対象の医療装置のエネルギ源によって電気エネルギが供給され、すなわち、ワイヤレス読取ユニット10は、それが取り付けられる医療装置の既存の電源、例えば、アブレーションカテーテルのRF(無線周波数)発生器からの超音波プローブ又は電力に電力を供給する同じ電源から、電力を受信する。
【0052】
例において、エネルギ源に関し、ワイヤレス読取ユニットの一部である電池が提供される。
【0053】
代替の例において、追跡対象の医療装置への接続が提供され、例えば、これが超音波トランスデューサのような電動式の医療装置である場合、ワイヤレス読取ユニットは、医療装置自体によってエネルギの供給がされ得る。別の例は、電源を含むワイヤレス読取ユニットの組み合わせを提供するが、受電装置に接続される場合には外部電源も使用する。
【0054】
別の例において、データプロセッサは、所与の閾値に関連して生信号の変化をさらに決定し、データ伝送は、変化が閾値を上回る場合にのみ起動される。
【0055】
図3は、医療装置の電磁システム100を示す。システムは、関心領域での既知の空間分布を有する電磁場を生成するための磁場発生器102を含む。電磁場は線104で示される。さらに、制御ユニット106が提供される。さらにまた、上記の例のうちの1つによる電磁追跡用の医療装置22の少なくとも1つの例が提供される。制御ユニット106は、磁場発生器102による電磁場の生成を制御し、ワイヤレス読取ユニット10から信号を受信する。
【0056】
ワイヤレスデータリンク20を介する通信は、2つのアンテナシンボル108及びそれぞれのデータ波線110で示される。
【0057】
磁場発生器102は、空間的な態様で電磁センサ26の追跡を可能にするために様々な電磁場セグメントを生成し得る複数のコイル112を含む。
【0058】
制御ユニット106の出力矢印114は、医療装置22の電磁センサ26の空間的な追跡の結果を示す。
【0059】
磁場発生器102は、説明のためだけに、複数のコイル112を囲む四角形の箱で概略的に示されることに留意されたい。当然、コイル112は、電磁追跡が行われる空間内に分散される。
【0060】
したがって、例において、磁場発生器は、
図3のコイル112によって示されるように、様々な位置及び方向に配置された一組のコイルを含む。したがって、磁場発生器102は、既知の、及びしばしば較正された、関心領域での空間分布を有する電磁(EM)場を生成する。医療装置、例えばカテーテルのような機器には、電磁センサ26、例えば、磁場発生器によって生成された電磁場の強度を測定し得る単純なコイルが備えられ得る。この測定値、すなわちこの言わば生信号、又は生データは、次いで、電磁センサのひいてはセンサが埋め込まれた装置(又は、典型的には、カテーテルの先端のような、特に関連性のある装置の一部)の座標及び方向を推定するために、生成された磁場の空間分布の知識と共に解釈される。
【0061】
例において、制御ユニット106は、位置の三角測量を実行するためにワイヤレス読取ユニット10によって受信された情報パケットを解釈し得る。別の例において、ワイヤレス読取ユニット10自体において位置の三角測量を実行するように提供される。この例において、電磁場発生器較正がワイヤレス読取ユニット10に提供される。
【0062】
例において、制御ユニット106は、医療装置の電磁追跡センサの位置を決定するための三角測量を実行(計算)する。
【0063】
例において、1つ以上、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10の医療装置、又は10以上の医療装置が提供される。
【0064】
ワイヤレス読取要素内の電磁波源の識別に関し、様々な磁場発生要素に関連する様々な信号成分の識別及び分離は、磁場発生器がどのように制御されるかに関連して提供される。
【0065】
例えば、以下のように提供される。
【0066】
‐周波数分割:様々なコイルが、周波数領域で分離されるスペクトルを有する電磁信号を生成している場合、様々な信号成分の識別は、様々な成分を分離するために周波数ベースのフィルタリングを適用することのように直接的であり得る。
【0067】
‐時分割:様々なコイルが時分割方式で一度に1つずつ起動される場合、様々な成分の識別は、読取インターフェースと起動シーケンスとの間の適切な同期の達成を必要とする。これは、以下の様々な態様で達成される。
【0068】
‐制御ユニットは、ワイヤレスリンクを介して、信号検出を様々なコイルの起動シーケンスと同期させるために使用され得る、ビーコン信号を送信する。
【0069】
‐制御ユニットとワイヤレス読取ユニットとの間の通信プロトコルは、それらの間の十分な時間同期を保証する。
【0070】
‐制御ユニットは、読取ユニットの自己同期を可能にするプロトコルに従ってコイルを起動する。例は、以下を含む。i)制御ユニットは、測定シーケンス(例えば、すべてのコイルが同時にアクティブ又は同時に非アクティブである、交互の時間間隔の既知のシーケンス)の繰り返しの間に認識可能な“シーケンス開始”信号を導入する。ii)遷移が容易に検出され得るように、シーケンスのその後の繰り返しの間に電磁信号の位相が変化する。iii)遷移が容易に検出され得るように、シーケンスのその後の繰り返しの間に電磁信号の周波数が変化する。
【0071】
例において、特徴抽出に関し、上記のように、ワイヤレスリンクの帯域幅要求を制限するために、ワイヤレス読取ユニットは、センサから制御ユニットに生データを送信しないが、位置の三角測量に使用されるべき関連する特徴のみを抽出するものとする。これらの特徴の例は、磁場発生器の様々なコイルから受信される信号電力である。
【0072】
例において、制御ユニットは、センサデータに基づいて座標を計算する。また、制御ユニットは電磁場の生成も調整、すなわち制御し、電磁場が電磁センサ26に生信号を提供させるので、電磁追跡システム100の基礎を提供する。制御ユニット106はまた、処理ユニット又は主処理ユニットと呼ばれ得る。
【0073】
例において、ワイヤレス読取ユニット10が所与の定位枠に関する様々な電磁波源に正確に関連するすべての特徴を含む情報パケットを生成し得るように、特徴抽出は信号成分の識別の後に実行される。このパケットは、枠番号(又はタイムスタンプ)を含み得る。このアプローチに続いて、制御ユニット106は、正確に受信された各情報パケット(必要とされるすべての情報は、例においては単一のパケットの一部である)に関する適切な装置位置を常に計算し得、欠落パケットを識別し得る。
【0074】
オプションとして提供される例によれば、起動時に、制御ユニット106はワイヤレス読取ユニット10のデータプロセッサ14に、電磁場データを提供する(
図3にさらに詳細には示されない)。
【0075】
さらなるオプションにおいて、ワイヤレスリンク20は、ワイヤレス読取ユニット10と制御ユニット106とを所定のタイムスロットにおいて接続する一時的リンクとして構成される。
【0076】
例において、ワイヤレス読取装置は、医療装置に一時的に取り付けられる取り外し可能なドングル42として提供される。
【0077】
図4は、カテーテル44の形態の医療装置22の例を示す。カテーテル44は、細長い本体46とグリップ部48とを有する。電磁追跡センサ26は、細長い本体46の遠位端部50に配置される。ワイヤレス読取ユニット10は、グリップ部48に取り付けられる。
【0078】
例えば、インターフェース52は、ワイヤレス読取ユニット10を医療装置の本体部24に一時的に取り付けるために提供される。例えば、グリップ部48は、本体部として考慮され得る。
【0079】
図4Aは、医療装置22がドングル42に接続されようとしている状態を示す。
図4Bは、ドングル42がインタフェース52を介して医療装置に接続される状態を示す。破線54に示される放射波は、一度ドングルが取り付けられると、したがって電磁追跡の機能を示す。
【0080】
これは、次いで電磁追跡によって追跡され得る多数の装置への、少数のドングル、例えば1つ以上のドングルの使用を可能にする。これは、使い捨て可能な装置には有利である。ドングルは複数の介入に使用され得るが、装置は使用されるたびに廃棄される。
【0081】
図5は、概略的な構成の超音波プローブ56の形態の医療装置10のさらなる例を示す。超音波プローブ56は、トランスデューサヘッド部58を有し、電磁追跡センサ26とワイヤレス読取ユニット10とがヘッド部58に配置される。ヘッド部58はまた、ハンドル(サブ)部又はサブ部60を含み、電磁追跡26は、超音波プローブ56に取り付けられる。例えば、ワイヤレス読取ユニット10と電磁追跡センサ26とはフロントヘッド部に提供され得、ワイヤレス読取ユニット10はハンドル又はグリップのサブ部内に配置され得る。例において、ワイヤレス読取ユニット10と電磁追跡センサ26とは、装置が十分に剛性である限り、様々な位置に取り付けられる。
【0082】
超音波プローブ56は、ケーブル62で示されるように、別個の又は外部のエネルギ供給によって動作され得るが、また、超音波プローブ56内に、すなわちケーブル接続62なしで、ひいては統合されたエネルギ供給を伴って、エネルギ貯蔵体が提供される。したがって、超音波プローブのエネルギ又は電源64はまた、ワイヤレス読取ユニット10を動作するために使用され得る。
【0083】
図6は、医療装置の追跡方法200の例を示す。以下のステップが提供される。ステップa)とも呼ばれる第1のステップ202において、電磁場が生成される。ステップb)とも呼ばれる第2のステップ204において、電磁場の強度は、医療装置の所定の点に取り付けられたセンサによって測定され、生信号は、医療装置に少なくとも一時的に取り付けられたワイヤレス読取ユニットに提供される。ステップc)とも呼ばれる第3のステップ206において、生信号は、ワイヤレス読取ユニットによって前処理される。ステップd)とも呼ばれる第4のステップ208において、前処理されたデータは、ワイヤレスデータリンクによって電磁追跡システムの制御ユニットに送信される。ステップe)とも呼ばれる第5のステップ210において、医療装置の所定の点の空間的位置及び/又は空間的方向が決定される。したがって、医療装置は改善された方法において追跡され得る。
【0084】
本発明の実施形態は、様々な主題を参照して記載されることに留意されたい。特に、いくつかの実施形態はインサートを参照して記載されるが、他の実施形態は装置を参照して記載される。しかし、当業者であれば、別段の通知がない限り、1つの主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、様々な主題に関連する特徴間の任意の組み合わせも、本出願で開示されるとみなされることが理解される。しかし、すべての特徴を組み合わせることで、特徴の単純な合計以上の相乗効果が得られる。
【0085】
本発明は、図面及び前述の説明において詳細に図示され記載されたが、そのような図示及び説明は、例示的又は代表的であって限定的ではないとみなされるべきである。 本発明は開示された実施形態に限定されない。 開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示、及び従属請求項の研究から、請求された発明を実施する際の当業者によって理解され、達成され得る。
【0086】
特許請求の範囲において、“含む(comprising)”という単語は他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞“a”又は“an”は複数を除外しない。 単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に再掲されたいくつかのアイテムの機能を果たすことができる。 特定の措置が相互に様々な従属請求項に再掲されているという事実のみでは、これらの措置の組み合わせを活用することができないことを示すものではない。 特許請求の範囲における参照符号は、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。