(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】X線画像吸気品質モニタリング
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
A61B6/00 350Z
(21)【出願番号】P 2018523416
(86)(22)【出願日】2016-11-02
(86)【国際出願番号】 EP2016076312
(87)【国際公開番号】W WO2017080868
(87)【国際公開日】2017-05-18
【審査請求日】2019-10-31
(32)【優先日】2015-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヤング スチュワート
(72)【発明者】
【氏名】ヴォン ベルグ ジェンス
(72)【発明者】
【氏名】ビストロフ ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ウィーバーネイト ナタリー
(72)【発明者】
【氏名】ナイチェル ウーリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ファアイネパリ パラヴィ
(72)【発明者】
【氏名】チャクラバルティ ビスワループ
(72)【発明者】
【氏名】パウル ソウブヒク
【審査官】門 良成
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-158288(JP,A)
【文献】国際公開第2014/185197(WO,A1)
【文献】特開2015-136566(JP,A)
【文献】特開2015-043894(JP,A)
【文献】特開2009-153677(JP,A)
【文献】特開2005-312776(JP,A)
【文献】特開2011-086276(JP,A)
【文献】特開2015-229101(JP,A)
【文献】国際公開第2012/026145(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/141067(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0297164(US,A1)
【文献】国際公開第2017/080868(WO,A1)
【文献】久保 武,“わかりやすい胸部画像診断――胸部X線をどう見るか――”,日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌,2015年08月31日,第25巻, 第2号,pp.180-185
【文献】原 裕子,“特集 成長に伴う正常像の変化 胸部”,画像診断,第19巻, 第5号,株式会社秀潤社,1999年,pp.495-504
【文献】しゃぼん玉チーム,“フィジカルアセスメント”[online],はじめまして呼吸療法,Ver.7-1,2010年06月09日,p.1,https://hosp.komatsu.ishikawa.jp/local/pdf/syabondama_07.pdf,[令和2年9月23日検索], インターネット
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の関心領域のX線画像を受信し、前記X線画像内
の横隔膜を識別し、前記X線画像内に
前記横隔膜の経路を表す横隔膜線を生成し、前記X線画像内
の肋骨を識別し、前記X線画像内に
前記肋骨の経路を表す肋骨線を生成し、
前記X線画像内の前記横隔膜線及び前記肋骨線を検出し、前記横隔膜線と前記肋骨線との交差状態について、前記X線画像を評価する、プロセッサを含み、
前記横隔膜線と前記肋骨線との前記交差状態は、交差状態規則に従って規定され、前記プロセッサは更に、
前記X線画像内に存在する前記肋骨線と前記横隔膜線との前記交差状
態を、前記交差状態規則に関して前記X線画像の吸気品質を特定する所定のX線画像吸気品質モニタリング規則と比較し、前記X線画像の吸気品質尺度を出力する、X線画像吸気品質モニタリングのための装置。
【請求項2】
第1肋骨線は、第1の交差状態規則を有し、第2肋骨線は、前記第1の交差状態規則とは異なる第2の交差状態規則を有し、前記第1の交差状態規則及び前記第2の交差状態規則は、前記交差状態を決定するために使用される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プロセッサは更に、前記X線画像を、右肺野部と左肺野部とに分割し、前記左肺野部、前記右肺野部又は両方における前記横隔膜線及び前記肋骨線を検出し、左肺X線画像吸気品質尺度及び/又は右肺X線画像吸気品質尺度が計算されることを可能とするように前記検出を繰り返す、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記プロセッサは更に、前記X線画像の前記左肺野部又は前記右肺野部における硬結領域を特定し、前記プロセッサは、硬結領域が前記左肺野部内で特定される場合、前記X線画像吸気品質尺度として、前記右肺X線画像吸気品質尺度を提供し、硬結領域が前記右肺野部内で特定される場合、前記X線画像吸気品質尺度として、前記左肺X線画像吸気品質尺度を提供する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記プロセッサは更に、前記X線画像内に鎖骨の経路を表す鎖骨線を検出し、前記鎖骨線を分割する前記X線画像内の線を表す鎖骨分割線を生成し、前記横隔膜線との前記鎖骨分割線の鎖骨交差状態の存在について、前記X線画像を評価し、前記鎖骨交差状態は、前記横隔膜線との前記鎖骨分割線の交差点として規定される、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記所定のX線画像吸気品質モニタリング規則は、第10肋骨が前記横隔膜線を交差することを規定する交差状態規則を前記第10肋骨の経路を表す肋骨線の後方部分が満たす場合、正のX線画像吸気品質尺度が出力されるようにされる、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記X線画像吸気品質尺度は、照明警告光又は警告音として表示画面上に出力される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記プロセッサは更に、肋骨計数構成情報を含む撮像ガイドライン構成情報を受信し、肺野にある幾つかの更なる肋骨線を前記肋骨計数構成情報と比較し、ガイドライン吸気状態比較を生成する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
患者の関心領域のX線画像を受信するステップと、
前記X線画像内
の横隔膜を識別し、前記X線画像内に
前記横隔膜の経路を表す横隔膜線を生成するステップと、
前記X線画像内
の肋骨を識別し、前記X線画像内に
前記肋骨の経路を表す肋骨線を生成するステップと、
前記X線画像内の前記横隔膜線及び前記肋骨線を検出するステップと、
前記横隔膜線と前記肋骨線との交差状態について、前記X線画像を評価するステップと、
前記X線画像内に存在する前記肋骨線と前記横隔膜線との前記交差状
態を、交差状態規則に関して前記X線画像の吸気品質を特定する所定のX線画像吸気品質モニタリング規則と比較するステップと、
前記比較に基づいて前記X線画像の吸気品質尺度を出力するステップと、
の各ステップをプロセッサが実行し、
前記横隔膜線と前記肋骨線との前記交差状態は、前記交差状態規則に従って規定される、X線画像吸気品質モニタリングのための方法。
【請求項10】
第1肋骨線は、第1の交差状態規則を有し、第2肋骨線は、前記第1の交差状態規則とは異なる第2の交差状態規則を有し、前記第1の交差状態規則及び前記第2の交差状態規則は、前記交差状態を決定するために使用される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記プロセッサが、前記X線画像を、右肺野部と左肺野部とに分割するステップを更に含み、
前記横隔膜線及び前記肋骨線を検出する前記ステップは、前記左肺野部、前記右肺野部又は両方において行われ、
前記評価するステップ及び前記比較するステップは、左肺X線画像吸気品質尺度及び/又は右肺X線画像吸気品質尺度が計算されることを可能とするように繰り返される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記プロセッサが、
前記X線画像の左肺野又は右肺野における硬結領域を特定するステップと、
硬結領域が前記左肺野内で特定される場合、前記X線画像吸気品質尺度として、前記右肺X線画像吸気品質尺度を提供するステップと、
硬結領域が前記右肺野内で特定される場合、前記X線画像吸気品質尺度として、前記左肺X線画像吸気品質尺度を提供するステップと、
を更に
実行する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
X線源及びX線検出器を有するX線画像取得デバイスと、
請求項1に記載の装置と、
を含み、
前記X線画像取得デバイスは、前記患者の前記関心領域のX線画像データを取得し、前記X線画像データを前記装置に提供する、X線撮像システム。
【請求項14】
プロセッサによって実行されるときに、前記プロセッサに、
患者の関心領域のX線画像を受信するステップと、
前記X線画像内
の横隔膜を識別し、前記X線画像内に
前記横隔膜の経路を表す横隔膜線を生成するステップと、
前記X線画像内
の肋骨を識別し、前記X線画像内に
前記肋骨の経路を表す肋骨線を生成するステップと、
前記X線画像内の前記横隔膜線及び前記肋骨線を検出するステップと、
前記横隔膜線と前記肋骨線との交差状態について、前記X線画像を評価するステップと、
前記X線画像内に存在する前記肋骨線と前記横隔膜線との前記交差状
態を、交差状態規則に関して前記X線画像の吸気品質を特定する所定のX線画像吸気品質モニタリング規則と比較するステップと、
前記比較に基づいて前記X線画像の吸気品質尺度を出力するステップと、
を含み、
前記横隔膜線と前記肋骨線との前記交差状態は、前記交差状態規則に従って規定される、X線画像吸気品質モニタリングのための方法を実行させる、1以上の実行可能な命令が格納された非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線画像吸気品質モニタリングに関し、具体的には、X線画像吸気品質モニタリング装置、X線画像吸気品質モニタリング方法、X線撮像システム、コンピュータプログラム要素及びコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
胸部X線検査は、肺の異常及び患者の肺内の初期段階の病気の検出及びモニタリングに重要な手順である。医師及び放射線科医といった医療関係者が、X線画像から直接、異常を検出する。取得直後の画質の評価は、医用撮像専門家の仕事である。X線画像は、患者が検査室を出る前に、十分な品質であることが確認される。胸部X線画像の品質が十分ではない場合、患者が検査室を出る前に、新しいX線画像が撮られるべきである。画質は、所定の標準操作手順に確実に従うシステム操作者の技術に依存する。特に、検出器に対する患者の位置決めに関する要素は患者の協力を必要とする。米国特許出願公開第2004/0161141号は、像のデジタル表現からX線画像の向きを推測する方法について説明している。しかし、このようなシステムは、更に改良することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、改良されたX線画像吸気品質モニタリング技術を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の課題は、独立請求項の主題によって解決される。更なる実施形態は、従属請求項に組み込まれる。なお、以下に説明される本発明による方法の態様は、本発明による装置、X線撮像システム、コンピュータプログラム要素及びコンピュータ可読媒体にも適用される。
【0005】
本発明の第1の態様によれば、X線画像吸気品質モニタリング方法であって、当該方法は、
a)患者の関心領域のX線画像を受信するステップと、
b)X線画像内に横隔膜の経路を表す横隔膜線を生成し、X線画像内に肋骨の経路を表す肋骨線を生成するステップと、
c)横隔膜線を検出し、肋骨線を検出するステップと、
d)(i)横隔膜線と(ii)肋骨線との交差状態の存在について、X線画像を評価するステップと、
e)肋骨線と横隔膜線との交差状態の存在を、交差状態規則に関して画像吸気状態を指定する所定のX線画像吸気品質モニタリング規則と比較し、X線画像吸気品質尺度を生成するステップとを含み、横隔膜線と肋骨線との交差状態は、交差状態規則に従って規定される、方法が提供される。
【0006】
したがって、上記方法は、医用撮像の成功率を向上させ、評価処理を単純化する効果を有する。アルゴリズムが胸部X線画像を解析し、横隔膜と肋骨との交差の存在(又は不在)を、高品質画像が撮られたかどうかの指標として使用する。更に、低品質画像の却下が、様々なシステム操作者の技術レベルのばらつき又は偏りにあまり依存しなくなるというメリットがある。また、患者の呼吸状態の自動定量化が、自動読影及び報告処理に組み込まれる。例えば画像内の結核といった病気を起因とする硬結領域は、別の吸気状態においてX線写真が取得されることを必要とする場合がある。これは検出可能である。当該X線画像の誤った解釈を防ぐことができ、代わりに、肺内で感染性結核が進行していることの報告が生成される。
【0007】
本発明による方法の一実施形態では、第1肋骨線は、第1の交差状態規則を有し、第2肋骨線は、第1の規則とは異なる第2の交差状態規則を有する。第1及び第2の規則は、交差状態を決定するために使用される。したがって、様々な肋骨の様々な解剖学的特性を考慮する交差状態が規定され、これにより、非常に正確な吸気品質モニタリング規則を規定することができる。
【0008】
本発明による方法の別の実施形態では、ステップb)は更に、
b1)X線画像を、右肺野部と左肺野部とに分割するステップを含み、
ステップc)において、横隔膜線及び肋骨線を検出するステップは、左肺野部、右肺野部又は両方において行われ、
ステップd)及びe)は、左肺X線画像吸気品質尺度及び/又は右肺X線画像吸気品質尺度を計算できるように繰り返される。
【0009】
したがって、有用な吸気品質データを、右肺又は左肺について単独で収集することができる。
【0010】
本発明による方法の別の実施形態では、
b2)X線画像の左肺野又は右肺野における硬結領域を特定するステップと、
e1)硬結領域が左肺野内で特定される場合、X線画像吸気品質尺度として、右肺X線画像吸気品質尺度を提供するステップと、
e2)硬結領域が右肺野内で特定される場合、X線画像吸気品質尺度として、左肺X線画像吸気品質尺度を提供するステップとが提供される。
【0011】
したがって、肺画像品質評価における使用に適していない肺を除外することができる。
【0012】
本発明の第2の態様によれば、X線画像吸気品質モニタリング装置が提供される。当該装置は処理ユニットを含む。処理ユニットは、患者の関心領域のX線画像を受信し、X線画像内に横隔膜の経路を表す横隔膜線を生成し、X線画像内に肋骨の経路を表す肋骨線を生成し、横隔膜線を検出し、肋骨線を検出し、(i)横隔膜線と(ii)肋骨線との交差状態の存在について、X線画像を評価する。横隔膜線と肋骨線との交差状態は、交差状態規則に従って規定され、プロセッサは、肋骨線と横隔膜線との交差状態の存在を、交差状態規則に関して画像吸気状態を指定する所定のX線画像吸気品質モニタリング規則と比較し、X線画像吸気品質尺度を生成する。したがって、上記第1の態様と同様の利点を有する装置が提供される。
【0013】
本発明による装置の一実施形態では、第1肋骨線は、第1の交差状態規則を有し、第2肋骨線は、第1の規則とは異なる第2の交差状態規則を有し、第1及び第2の規則は、前記交差状態を決定するために使用される。したがって、様々な肋骨の様々な解剖学的特性を考慮する交差状態が規定される。
【0014】
本発明による装置の別の実施形態では、処理ユニットは更に、X線画像を、右肺野部と左肺野部とに分割し、左肺野部、右肺野部又は両方における横隔膜線及び肋骨線を検出し、左肺X線画像吸気品質尺度及び/又は右肺X線画像吸気品質尺度が計算されることを可能とするように検出を繰り返す。したがって、有用な吸気品質データを、右肺又は左肺について単独で収集することができる。
【0015】
本発明による装置の別の実施形態では、処理ユニットは更に、X線画像の左肺野又は右肺野における硬結領域を特定し、処理ユニットは、硬結領域が左肺野内で特定される場合、X線画像吸気品質尺度として、右肺X線画像吸気品質尺度を提供し、硬結領域が右肺野内で特定される場合、X線画像吸気品質尺度として、左肺X線画像吸気品質尺度を提供する。したがって、肺画像品質評価における使用に適していない肺を除外することができる。
【0016】
本発明による装置の別の実施形態では、処理ユニットは更に、X線画像内に鎖骨の経路を表す鎖骨線を検出し、鎖骨線を分割するX線画像内の線を表す鎖骨分割線を生成し、横隔膜線との鎖骨分割線の鎖骨交差状態の存在について、X線画像を評価する。交差状態規則は、横隔膜線との鎖骨分割線の交差点として規定される。したがって、患者の生体構造におけるより多くの骨に関連する交差状態規則が提供され、これにより、測定精度が向上される。
【0017】
本発明による装置の別の実施形態では、所定のX線画像吸気品質モニタリング規則は、第10肋骨線の後方部分が、第10肋骨が横隔膜線を交差することを規定する交差状態規則を満たす場合、正のX線画像吸気品質尺度が出力されることである。したがって、標準吸気品質評価パラメータが提供される。
【0018】
本発明による装置の別の実施形態は更に、出力ユニットを含む。出力ユニットは、X線画像吸気品質尺度を表示する。したがって、医療専門家に対して吸気品質尺度が表示される。
【0019】
本発明による装置の別の実施形態では、処理ユニットは更に、肋骨計数構成情報を含む撮像ガイドライン構成情報を受信し、ガイドライン吸気状態比較を生成するために、肺野にある幾つかの更なる肋骨線を、肋骨計数構成情報と比較する。出力ユニットは更に、ガイドライン吸気状態比較を表示する。したがって、このようにすると、装置は、規制機関からの標準情報を使用し、この情報を、X線画像に、それらが撮影されるにつれて自動的に適用する。
【0020】
本発明の第3の態様によれば、X線撮像システムが提供される。
【0021】
X線撮像システムは、X線源及びX線検出器を有するX線画像取得デバイスと、上記装置とを含む。
【0022】
X線画像取得デバイスは、患者の関心領域のX線画像データを取得し、X線撮像データを装置に提供する。
【0023】
したがって、肺画像品質評価をユーザに提供する能力を有するX線撮像システムが提供される。
【0024】
本発明の第4の態様によれば、上記装置を制御するためのコンピュータプログラム要素が提供される。コンピュータプログラム要素は、処理ユニットによって実行されると、上記方法ステップを行うように適応される。
【0025】
本発明の第5の態様によれば、上記コンピュータプログラム要素が格納されたコンピュータ可読媒体が提供される。
【0026】
本文において、「患者の関心領域」との用語は、X線撮像装置によって撮像される患者の一部分を意味する。胸部検査の場合、関心領域は、患者の首から下で横隔膜の上方にあるが、当然ながら、関心領域は、多くの異なる角度から撮像可能である。例えば後部-前部又は前部-後部撮像手法が一般的に使用される。関心領域は、患者の左右の側部であってもよい。関心領域は、例えば移動型X線撮像装置による角度として、胸部画像の一部であってよい。
【0027】
本文において、「横隔膜」との用語は、横隔膜のX線検出器上へのX線投影を指し、これにより、(例えば身体の後部又は前部方向からの)横隔膜のX線画像が形成される。したがって、「横隔膜線」との用語は、X線画像内の横隔膜のトレースの形状を追跡するX線画像内の経路を規定する。横隔膜は、通常、肺葉の下部においてカップ状の境界線として出現するが、境界線は、胸腔が拡大した度合いに応じて動くことができる。
【0028】
本文において、「肋骨」又は「鎖骨」との用語は、肋骨のX線検出器上へのX線投影を指し、これにより、(例えば身体の後部又は前部方向からの)肋骨のX線画像が形成される。したがって、「肋骨線」との用語は、患者の肋骨形状に対応するX線画像の線を規定する。
【0029】
撮像角及び画像種類、並びに、患者の吸気又は呼気の度合いに依存して、肋骨線は、多かれ少なかれ湾曲し、横隔膜又は他の肋骨線と交差する。
【0030】
本文では、「交差状態」との用語は、横隔膜の一部を含むX線画像の領域が、肋骨線を含む像の一部を含むX線画像の一部と一致する状況を規定する。したがって、「交差」は、患者の体内で物理的に起きている交差ではなく、横隔膜及び少なくとも1つの肋骨のトレースがX線検出器上に投影され肋骨線又は横隔膜線が形成される患者胸部を通るX線ビームの形状投影からもたらされる交差状態である。
【0031】
本文では、「交差状態規則」との用語は、肋骨線が横隔膜線の上に重なるかどうか、又は、その逆を規定する論理条件を規定する。例えば第8肋骨について、第8肋骨の側部の4/7の空間が横隔膜の外側半分内にあるという交差状態がしっかりと規定されることが可能であると考えられる。この条件が満たされると、交差状態は真であると示され、この条件が満たされないと、交差状態は偽であると規定される。当然ながら、横隔膜と肋骨との特定の交差範囲が含まれる多くの交差状態規則が考えられる。前部-後部(AP)ビュー、後部-前部(PA)ビュー若しくは側方ビュー、又は、様々なX線源若しくは検出器撮像角について、様々な交差状態規則が可能である。或いは又は更に、交差状態規則は、患者の年齢、性別又は体形といった患者固有データに応じて変えられてもよい。
【0032】
本文では、「所定のX線画像吸気品質モニタリング規則」との用語は、高品質又は低品質の画像が存在するかどうかの決定を可能にする。X線画像吸気品質モニタリング規則は、1つ又は幾つかの肋骨交差状態を使用して、高品質X線画像が存在しているかどうかを決定する。その最も単純な形では、所定のX線画像吸気品質モニタリング規則は、例えば第10肋骨である1つの肋骨と横隔膜との真の交差状態のみを必要とする。より複雑な所定のX線画像吸気品質モニタリング規則では、提示される高品質のX線画像吸気品質の条件は、例えば横隔膜との幾つかの肋骨の交差に基づいていてよい。規則は、基本的な論理条件又は確率といった連続量を含むより複雑な評価であってよい。
【0033】
したがって、本発明の基本的な考えは、X線画像における横隔膜と肋骨線との交差点の存在を自動的に特定することであることが分かる。この交差点の存在を、更なる検査において使用し、当該交差点が交差状態規則及び所定のX線画像吸気品質モニタリング規則を満たすかどうかが規定され、これにより、X線画像吸気品質尺度が推論される。これにより、X線画像品質の評価を間違う可能性を防ぐ目的で、被験者の吸気状態の評価の自動化が可能にされる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明の例示的な実施形態は、次の図面を参照して、以下に説明される。
【0035】
【
図1a】
図1aは、吸気時の胸腔のX線画像を示す。
【
図1b】
図1bは、呼気時の胸腔のX線画像を示す。
【
図2a】
図2aは、鎖骨線と横隔膜との交差技術を示す。
【
図2b】
図2bは、鎖骨線と横隔膜との交差技術を示す。
【
図4a】
図4aは、本明細書において説明されるアルゴリズムの例示的なバージョンで処理された後の胸部を示す。
【
図4b】
図4bは、本明細書において説明されるアルゴリズムの例示的なバージョンで処理された後の胸部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
胸部X線撮影は、一般的に行われる臨床撮像検査である。胸部X線撮影は、胸部の病気の検出及び診断に重要な役割を果たす。胸部X線撮影によって取得される画像の品質は、例えば適切な生体構造が視野内に収まること、背景信号に対する関心構造体のコントラスト及びX線機器に対する患者の胸部の位置決めの向きに応じて規定される。画質の評価は、各検査種類について規定される最低基準を満たすことに重きを置いている。これらの最低基準の評価は、システム操作者の技術に依存する。通常、所定の標準操作手順が従われるべきである。特に、X線検出器に対する患者の位置決めは、患者の協力を必要とする。
【0037】
胸部X線撮影に使用される典型的な投影形状は、後部-前部(PA)ビューである。このビューでは、X線源は、X線ビームが胸部の後面から入り、患者の前部から出て検出器に到達するように配置される。欧州委員会によって「European Guideline on Quality Criteria for Diagnostic Radiographic Images, 1996」において規定されるような診断ガイドラインは、取得が、呼吸を一時止めて、患者の最大吸気において行われるべきであることを規定している。この理由として、像検出器に投影される肺の実質組織の面積が最大化され、これにより、腹部組織といった他の不透明構造体の重なりが回避されるからである。視覚化される実質組織の空気混入が最大化され、脈管の混み合い領域が撮像肺野から移動させられる。呼吸の基本的メカニズムは、横隔膜が収縮する(胸腔の下部が引き下ろされる)と、胸腔が拡大し、胸腔内の圧力が下がることである。圧力を均等化するために、肺に空気が入る。横隔膜が弛緩する(上がる)と、肺の弾力性及び胸壁によって、胸壁が収縮し、肺から空気が押し出される。
【0038】
図1は、吸気状態及び呼気状態中に取得された同じ患者の画像間の画質の違いを示すX線画像を示す。
【0039】
図1aは、吸気状態にある肺を示す。吸気状態では、前部から後部への肋骨の曲線がはっきりと見え、横隔膜12が胸部の構造全体を引き下ろすことによって、肺野10が拡大される。この撮像状態は、高品質胸部X線写真に好ましい状態である。
【0040】
図1bは、呼気状態にある肺を示す。肺野14は小さい。更に、
図1bでは、不透明領域16が内在病状に関連しているのか、又は、単に心臓の周辺の血管の束に関連しているのか、明確ではない。
【0041】
したがって、医療専門家は
図1aに示される状態で肺を撮像することを好む。
【0042】
図2aは、吸気状態にある
図1aの肺の表現を示す。右鎖骨18が、脊柱20に対して直角にある。これらの骨は強調されている。鎖骨分割線22が重ねられ、当該線は、横隔膜12を交差することが見て取れる。鎖骨分割線22が横隔膜を交差する点は、以前より知られている肺画像品質モニタリング尺度である。
【0043】
図2bは、呼気状態にある
図1bの肺の表現を示す。右鎖骨24は、今度は、脊柱20に対して角度を成して示され、したがって、鎖骨分割線26は、横隔膜12を、
図2aにおける状況に比べて、より中央の点において交差する。
【0044】
現在では、肺影及び横隔膜の相互作用に関する診断ガイドラインは、画質に影響を及ぼす取得の多くの要素の制御における操作者の技術レベルに依存する。例えばX線照射のタイミングは、患者の呼吸サイクルの最大吸気段階と一致すべきである。X線技師が、患者に適切に指示しなければ、又は、患者に指示を適切に行う何らかの支障がある場合、X線画像の品質はマイナスの影響を受ける。現在では、取得後、画像は、画像取得を行う操作者によって視覚的に評価され、X線画像の品質が更なる診断解釈に送られるのに十分であるかどうかが決定される。したがって、操作者の技術レベルも、画質を決定し、患者が撮像室を出る前に、特定の画像を却下するか又は承認するかに関する決定をする際の重要な要素である。したがって、X線画像評価の改良された方法が必要である。したがって、本発明の第1の態様によれば、X線画像吸気品質モニタリング方法が提供される。当該方法は、
a)患者の関心領域のX線画像を受信するステップ30と、
b)X線画像内に横隔膜の経路を表す横隔膜線を生成し、X線画像内に肋骨の経路を表す肋骨線を生成するステップ32と、
c)横隔膜線を検出し、肋骨線を検出するステップ34と、
d)(i)横隔膜線と(ii)肋骨線との交差状態の存在について、X線画像を評価するステップ36と、
e)X線画像吸気品質尺度を生成するために、肋骨線と横隔膜線との交差状態の存在を、交差状態に関して画像吸気状態を指定する所定のX線画像吸気品質モニタリング規則と比較するステップ38と、
を含み、
横隔膜線と肋骨線との交差状態は、交差状態規則に照らして規定される。
【0045】
図3は、第1の態様による方法を示す。ステップa)において、通常、デジタルフラットパネルX線検出器からX線画像が受信される。これは、患者をX線検出器内の所望の位置に位置決めする処理が行われ、X線画像が撮られていることを前提としている。
【0046】
或いは、X線画像は、デジタル走査装置から受信されてもよい。レガシX線マシンを使用して、関心領域のフィルム露光を提供してもよく、これは、次にデジタル化され、本発明の本態様に従って露光品質について分析される。
【0047】
ステップb)において、X線画像内で横隔膜線が特定される。通常、関心領域が人間の胸部である場合、横隔膜は、胸部領域の下部を通る湾曲経路をたどる。横隔膜は、組織の様々な構造を分割し、目立つ形状を有し、横隔膜の左側のドームよりも少し高い右側の「ドーム」を有する。したがって、X線画像内の横隔膜の経路をたどる線は、画像処理技術による検出に適している。人間の横隔膜は、
図1に示されるように、単一のつながった境界線であるが、実用的な目的から、左セクション及び右セクションといった横隔膜のはっきりと異なるセクションを検出することも可能である。
【0048】
任意選択的に、横隔膜は、勾配検出、胸部内の領域のテクスチャ検出、注水法によって、又は、画像内に存在する予想形状に関する訓練画像から学習される知識を展開することによって検出されてもよい。横隔膜の形状は、曲線をたどり、したがって、スプライン手法を使用するモデル化に適している。
【0049】
肋骨線も、別の画像処理技術を使用して抽出することができる。任意選択的に、肋骨線は、ラベル付けアルゴリズムを使用して番号が付けられてよい。
【0050】
ステップc)において、横隔膜線を検出し、肋骨線を検出するステップがある。当業者は、肋骨影の輪郭の特定と、肺影の下部を描出する横隔膜境界線の場所とは、X線画像から抽出可能であることは知っている。
【0051】
任意選択的に、幾何学的推論エンジンが、横隔膜線の上方にその影が投影される下位肋骨セクション(後部及び前部共に)の番号を推測し、肋骨線に、それらの肋骨位置に応じてラベルを付けてよい。慣習的に、患者の頭部に最も近い肋骨が「1」と示される。「真肋」は、第1肋骨乃至第7肋骨として下に下がる。「仮肋」は、第8肋骨乃至第12肋骨として更に下がる。第11肋骨及び第12肋骨は、時に、「浮動肋骨」としても知られる。
【0052】
ステップd)において、肋骨交差状態が特定される。肋骨交差状態とは、その最も単純な形で、X線画像において、1つの肋骨線が、X線画像の1つの点を、1つの横隔膜線と共有することを意味する。
【0053】
任意選択的に、肋骨交差状態の存在は、肋骨の番号に応じて規定される。様々な番号が付けられた肋骨が、以下に更に説明されるように、様々な規則に応じて、横隔膜を交差するか否かが規定されてよい。肋骨交差状態には、横隔膜との2つ以上の肋骨の交差を伴うことも排除されない。
【0054】
ステップe)は、横隔膜線と肋骨線との交差状態の存在の確認に続いて適用される。単純な例では、横隔膜との特定の肋骨線の任意の交差の存在は、肺野が十分に拡張したことを示す場合である。これは、例えば大きい番号が付けられた肋骨の場合である。しかし、幾つかの肋骨線は、これらの肋骨線が横隔膜と交差しても、肺野は依然として、高品質画像が撮られたという結論を可能とするには十分に拡大されていないように置かれることがある。したがって、所定のX線画像吸気品質規則は、高品質X線画像が撮られたかどうかについての更なるフィルタを適用することが分かるであろう。
【0055】
本説明における任意の他の実施形態と組み合わされてよい一実施形態によれば、ステップb)において、X線画像内に複数の肋骨線が生成される。複数の肋骨線のそれぞれは、違う肋骨の線を表す。複数の肋骨線が生成された場合、ステップc)において、当該複数の肋骨線が検出される。ステップd)において、複数の肋骨線からの1つの肋骨線が、横隔膜線との交差について評価される。この場合、交差状態規則は、1つ又は複数の肋骨線の交差状態の詳細を含んでよい。
【0056】
肋骨線と横隔膜線との交差が存在し、当該交差は、X線画像内に示されるべき高品質肺野の条件を満たすことが確認されると、X線画像吸気品質尺度が出力される。
【0057】
任意選択的に、X線画像吸気品質尺度を出力するステップf)がある。
【0058】
任意選択的に、ステップf)において、X線画像吸気品質尺度が、コンピュータ表示画面上に出力される。
【0059】
任意選択的に、X線画像吸気品質尺度は、画像が高品質又は低品質であることを示し、X線画像の再撮影が不要である又は必要であることを暗示する単純な2進指標である。これにより、決定結果のより単純な表現が可能になる。
【0060】
任意選択的に、ステップf)において、X線画像吸気品質尺度は、照明警告光又は警告音として出力される。
【0061】
任意選択的に、ステップf)において、X線画像吸気品質尺度は、X線装置によって提供されるX線画像の一部に挿入されるビットマップ「透かし」として出力される。
【0062】
任意選択的に、X線画像吸気品質尺度は、例えば「低、中、高」の群から選択される離散化されたカテゴリである。
【0063】
任意選択的に、交差状態規則は、X線源及び/又は検出器の撮像角に合わせてカスタマイズされてもよい。撮像装置のセットアップ角を入力するステップがある。入力された撮像装置のセットアップ角に基づいて、交差状態規則を選択するステップがある。このようにして、形状投影作用によって引き起こされる画像内の変化が説明される。
【0064】
任意選択的に、X線画像吸気品質尺度は、連続値、例えば百分率である。これにより、経験のある操作者は、画像の品質を操作者自身で判断することができる。
【0065】
一実施形態によれば、交差状態規則及び/又は所定のX線画像吸気品質モニタリング規則は、地域又は全国撮像標準に従うことを可能とするために、「European Guideline on Quality Criterial for Diagnostic Images」といった特定の撮像標準に関連しているデータレコードとして提供されてよい。このような標準規則は、CD-ROMといったデータ担体形式で供給されても、インターネットからのダウンロード又はアップデートを介して供給されてもよい。
【0066】
一実施形態によれば、交差状態規則及び/又は所定のX線画像吸気品質モニタリング規則は、医用撮像専門家によって、所定標準又は医療機関によって求められる特定のプロトコルに予めプログラミングされてもよい。以下に説明されるように、規則のパラメータは、コンピュータインターフェースを使用して予めプログラミングされてよい。
【0067】
図4a及び
図4bは、それぞれ、吸気状態及び呼気状態におけるPA胸部X線写真を示す。当技術分野において知られている注釈付け処理に従い、また、上記されたように生成及び検出される肋骨線及び横隔膜線は、上記方法の例示的な適用を示し、以下により詳細に説明される。注釈付き線42は横隔膜線である。注釈付き線40は第6肋骨を表す。注釈付き線34は第8肋骨を表す。注釈付き線36は第10肋骨を表す。横隔膜線30を交差すると見なされる肋骨は、点線で示され、そうでない場合、実線で示される。
【0068】
図示される事例では、第6肋骨の前面が横隔膜を交差すれば、当該第6肋骨は、横隔膜線を交差すると見なされ、点線で示されるという交差状態規則が適用されている。
【0069】
図示されない別の交差状態規則は、第8肋骨、第9肋骨又は第10肋骨の後部の所定部分よりも多くの部分が横隔膜よりも下にあれば、当該肋骨は交差すると見なされるという規則である。
【0070】
図4aは、高品質の吸気状態を示す胸部X線写真を示す。この場合、第6肋骨の交差
状態規則は、第6肋骨の前面が横隔膜線を交差するという規則である。
図4aでは、方法は、第6肋骨40が横隔膜線42と交差していないため、交差
状態は満たされていないことを見出す。しがたって、点線は示されない。更に、この状況では、所定のX線画像吸気品質モニタリング規則は、第6肋骨の交差
状態規則が満たされない場合、「高品質」画像が存在すると規定し、これにより、ユーザにX線画像吸気品質尺度が提供される。
【0071】
図4bは、低品質の吸気状態を示す胸部X線写真を示す。
図4bの場合では、第6肋骨の前面は、横隔膜線44を交差する。したがって、交差
状態は満たされるので、第6肋骨線46は、点線でラベル付けされる。
図4aと同様に、所定のX線画像吸気品質モニタリング規則は、第6肋骨の交差
状態規則が満たされない場合、「高品質」画像が存在すると規定する。したがって、第6肋骨は横隔膜線を交差するので、「低品質」画像が存在することが示され、したがって、これにより、ユーザにX線画像吸気品質尺度が提供される。
【0072】
図4bは更に、第3肋骨の極端部(先端)が横隔膜線を交差することも示す。例えば第3肋骨と横隔膜との交差が第3肋骨の中央50%以内である場合のみ、第3肋骨は横隔膜線を交差すると認められることを示す追加の第3肋骨交差
状態規則が規定されてもよい。したがって、第3肋骨の先端の偶発的な交差による「偽陰性」結果を防ぐことができる。
【0073】
簡単な言葉では、交差状態規則は、調べられる肋骨について、「この肋骨は、横隔膜を交差するか?」との問いに回答しているものと考えられる。所定のX線画像吸気品質モニタリング規則は、「この肋骨が交差状態規則を満たすということは、低品質画像が存在することを意味するか?」との問いをしているものと考えられる。したがって、この決定により、ユーザにX線画像吸気品質尺度が提供される。
【0074】
したがって、
図4では、自動検出された肋骨の中心線及び横隔膜の場所を使用して、被験者の吸気状態が定量化され、画質の結果として得られる測定基準が確定される。個々の肋骨線のラベル付けは、規定された規則に基づいて、肋骨毎に、肋骨と横隔膜との交差の存在に依存して規定される。
【0075】
図4において、第8の後部肋骨、第9の後部肋骨及び第10の後部肋骨が、横隔膜との交差について検査される。この例では、肋骨は、交差しないか、又は、その交差が横隔膜線の横方向の4/7内にあれば、肺野内にあると見なされる。これは交差
状態規則の一例である。
【0076】
更に、その上位肋骨のすべてが肺野内である最下位肋骨が決定される(当業者は分かっているように、肺野は容易にセグメント化できる)。撮像ガイドラインによれば、その上記肋骨のすべてが肺野内である最下位骨は、高吸気品質ためには両側の第10肋骨であるべきである。これは、所定のX線画像吸気品質モニタリング規則の一例である。
【0077】
一実施形態によれば、所定のX線画像吸気品質モニタリング規則は、第10肋骨線の後方部分が、第10肋骨が横隔膜線を交差することを規定する交差状態規則を満たす場合に、正のX線画像吸気品質尺度が出力されるということである。
【0078】
図5a及び
図5bは、周囲の像が排除された
図4a及び
図4bの簡略版を示す。理解を助けるために、この表現では、肋骨の前方部分は図示されていない。前方部分は、重なった部分又は肋骨として現れる。ローマ数字の番号付けは、医療専門家はよく知っている標準肋骨レベル表記法を指す。
【0079】
図5aは、「高品質」画像を提供するのに必要な吸気レベルを有する胸腔の右側半分の図を示す。
図5aは肺野80を示す。医療分野の慣例に従って番号が付けられた7つの肋骨線が肺野内に示される。横隔膜線82が、第8肋骨線と第9肋骨線を分ける。横隔膜82は肋骨線を交差せず、したがって、交差
状態規則は偽である。
【0080】
図5bは、「低品質」画像をもたらす吸気レベルを有する胸腔の右側半分の図を示す。医療分野の慣例に従って番号が付けられた8つの肋骨線が肺野内に示される。横隔膜線84が、第8肋骨線と第9肋骨線を分ける。横隔膜84は、第8肋骨線を点86において交差する。この場合、交差
状態規則が、単に第8肋骨線と横隔膜線との任意の交差が交差
状態規則を満たすことであれば、この場合、交差
状態規則は満たされ、第8肋骨は、横隔膜線と交差していると規定される。更に、この例では、第8肋骨線が横隔膜線と交差していれば、画像の吸気状態が低品質であると規定されることを前提とする。したがって、この場合、検出アルゴリズムによって、低品質画像が存在したことが示される。複数の肋骨の交差状態、又は、肋骨若しくは横隔膜と交差した肋骨若しくは横隔膜に沿った横方向の範囲を組み合わせる規則を用いて、より複雑な画像吸気状態が規定されてもよい。
【0081】
方法の一実施形態によれば、肋骨要素を、例えば番号順にラベル付け(番号付け)するステップがある。
【0082】
方法の一実施形態によれば、交差状態規則は、最初にラベル付けされた肋骨に適用される第1の交差状態規則と、次にラベル付けされた肋骨に適用される第2の交差状態規則とを含む。第1の交差状態規則と第2の交差状態規則とは異なる。
【0083】
或いは、第1及び第2の交差状態規則は同じである。これは、第1及び第2肋骨が胸郭の同じ高さにあるが、胸郭の右側及び左側にある場合に有用である。
【0084】
この実施形態によれば、2つのラベル付けされた肋骨は、横隔膜との2つ又は1つの交差の存在を決定するために、それらに適用される交差規則が異なる。様々な肋骨に様々な交差規則を適用できるという事実は、小さい番号の肋骨よりも、大きい番号の肋骨の自然解剖学的変異の方が有意に考慮され、より正確な品質推定が提供されることを意味する。
【0085】
方法の一実施形態によれば、交差状態規則は更に、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11又は第12の交差状態規則を含む。これらの交差状態規則は、それぞれ、人間の胸郭内の肋骨の番号付けに対応する。12の交差状態規則からなる上記リストにおける交差状態規則が必ずしもすべて存在している必要はなく、これらは、有益な効果のために、解剖学的特徴のどの組み合わせが高品質のX線画像を提示するかの考慮に依存して任意の組み合わせられてよい。
【0086】
方法の一実施形態によれば、上記交差状態規則は、X線画像内の横隔膜線の画素と同一の少なくとも1つの画素位置を有する肋骨線の画素を含む。
【0087】
方法の一実施形態によれば、交差が横隔膜線の横方向の2/7、3/7、4/7、5/7、6/7内にあれば、交差状態規則は満たされないと見なされる。
【0088】
画像処理アルゴリズムを適用して、X線画像内の肋骨部分を区別することができる。例えば肋骨の湾曲の変化を調べることによって、前方部分及び後方部分を区別することができる。
【0089】
方法の一実施形態によれば、交差状態規則は、前部交差状態規則を含む。これは、横隔膜との肋骨の交差に関する決定が、肋骨の前方部分のみに関連する画像情報を使用して行われることを意味する。前部状態規則は、任意選択的に、各肋骨について異なってよい。全部交差状態規則は、任意選択的に、胸郭の右側又は左側について異なってよい。
【0090】
方法の一実施形態によれば、交差状態規則は、後部交差状態規則を含む。これは、横隔膜との肋骨の交差に関する決定が、肋骨の後方部分のみに関連する画像情報を使用して行われることを意味する。後部状態規則は、任意選択的に、各肋骨について異なってよい。後部交差状態規則は、任意選択的に、胸郭の右側又は左側について異なってよい。
【0091】
方法の一実施形態によれば、交差状態規則は、前部及び/又は後部交差状態規則を含む。前部及び/又は後部交差状態規則は、任意選択的に、各肋骨について異なってよい。前部及び/又は後部交差状態規則は、任意選択的に、胸郭の右側又は左側について異なってよい。
【0092】
方法の一実施形態によれば、交差状態規則は、水平前面像を使用して、第6肋骨が、肺野内で横隔膜線の上方に現れるような第7肋骨線の横隔膜線との交差を含む。
【0093】
方法の一実施形態によれば、交差状態規則は、水平後面像を使用して、第9肋骨が、肺野内で横隔膜線の上方に現れるような第10肋骨線の横隔膜線との交差を含む。
【0094】
方法の一実施形態によれば、検査対象の肋骨の幅尺度が記憶され、肋骨線の一部分が検査対象の肋骨の幅尺度の幅の100%、50%、25%、10%又は1%の幅内を移動するならば、交差状態が存在すると見なされる。
【0095】
方法の一実施形態によれば、交差状態規則が満たされるならば、低品質画像が存在することを規定する所定の品質モニタリング規則が提供される。
【0096】
方法の一実施形態によれば、交差状態規則が満たされるならば、低品質画像が存在することを規定する所定の品質モニタリング規則が提供される。
【0097】
方法の一実施形態によれば、低品質画像が存在しているかどうかを決定するために、複数の、肋骨毎の交差状態規則を組み合わせる所定の品質モニタリング規則が提供される。
【0098】
方法の一実施形態によれば、所定の品質モニタリング規則は、数値の尤度値を含む。
【0099】
方法の一実施形態によれば、X線画像は、後部-前部(PA)ビュー、前部-後部(AP)ビュー又は側面ビューを使用して撮られる。
【0100】
方法の一実施形態によれば、画像ビュー方向情報が提供され、各ビュー方向について、特定の交差状態規則及び特定のX線画像吸気品質規則が提供される。したがって、画像ビュー方向に関係なく、最適な画像結果が保証される。
【0101】
方法の一実施形態によれば、各肋骨線が、交差状態を決定するために使用される特定の交差状態規則を有する上記されたような方法が提供される。複数の肋骨線が提供される場合、各肋骨線も、交差状態を決定するために使用される特定の交差状態規則を有する。
【0102】
方法の一実施形態によれば、所定のX線画像吸気品質モニタリング規則は、第12、第11、第10、第9、第8、第6又は第5肋骨が、横隔膜を交差するかどうかを決定する。
【0103】
方法の一実施形態によれば、ステップb)は更に、
b1)X線画像を、右肺野部と左肺野部とに分割するステップ、
を含み、
ステップc)において、横隔膜線及び肋骨線を検出するステップが、左肺野部、右肺野部又は両方において行われ、
ステップd)及びステップe)は、左肺X線画像吸気品質尺度及び/又は右肺X線画像吸気品質尺度が計算されることを可能とするように繰り返される。
【0104】
本実施形態によれば、片方の肺のみについて規定されたX線画像吸気品質尺度を使用して、肢体不自由患者又は片側の撮像が不可能である患者も依然として画質について評価されることが可能である。
【0105】
方法の一実施形態によれば、ステップe)は更に、左肺X線画像吸気品質尺度と右肺X線画像吸気品質尺度との比率を見つけるステップを含む。
【0106】
したがって、本実施形態によれば、計算された左右比から、画像における非対称性が特定される。
【0107】
方法の一実施形態によれば、方法は更に、
b2)X線画像の左肺野又は右肺野における硬結領域を特定するステップと、
e1)硬結領域が左肺野内で特定される場合、X線画像吸気品質尺度として、右肺X線画像吸気品質尺度を提供するステップ、又は、
e2)硬結領域が右肺野内で特定される場合、X線画像吸気品質尺度として、左肺X線画像吸気品質尺度を提供するステップとを含む。
【0108】
結核といった病気が患者の胸部にある場合、硬結領域(液体で満たされる肺組織の領域)は大きい。したがって、呼気状態で取得されるX線写真には、不透明領域が観察され、間違って解釈される可能性がある。本発明の本実施形態によれば、硬結領域が肺野内で特定される場合、吸気品質尺度から対応する右肺又は左肺を除外することができる。したがって、(例えばテクスチャ又は形状認識アルゴリズムといった画像処理アルゴリズムを使用して)異常が特定される場合。肺の異常が特定される場合、影響を受けていない肺側を、X線画像吸気品質尺度の基礎として使用することができる。このような片側尺度は、大抵、確実且つ正確な尺度である。
【0109】
方法の一実施形態によれば、ステップb)は更に、
b1)X線画像内に鎖骨の経路を表す鎖骨線を検出するステップ、
を含み、
ステップc)は更に、
c1)鎖骨線を分割するX線画像内の線を表す鎖骨分割線を生成するステップと、
c2)横隔膜線との鎖骨分割線の鎖骨交差状態の存在について、X線画像を評価するステップと、
を含み、
ステップc)において、横隔膜線との鎖骨分割線の交差点を使用して、交差状態規則が規定される。
【0110】
鎖骨の線は、肋骨に比べて鎖骨の曲率半径の違いを考慮するための若干の修正を加えるが、肋骨線検出と同じアルゴリズムを使用して特定することができる。鎖骨分割線は、鎖骨線の2等分として又は鎖骨分割線に沿った特定の比率として見出すことができる。鎖骨分割線が横隔膜線を交差する点は、したがって、肋骨が横隔膜線を交差すると見なされるかどうかのための識別子として機能する横隔膜線上の点を形成する。この識別子は、患者の姿勢全体に関連している。したがって、鎖骨線と肋骨線との交差に関与する検出規則が提供され、低品質画像の高精度な検出の機会が提供される。
【0111】
方法の一実施形態によれば、ステップa)は更に、
a3)肋骨計数構成情報を含む撮像ガイドライン構成情報を受信するステップと、
d3)ガイドライン吸気状態比較をもたらすために、肺野にある更なる肋骨線の番号を、肋骨計数構成情報と比較するステップと、
e1)ガイドライン吸気状態比較を表示するステップと、
を含み、更にステップe4)及びステップg1)を含む。
【0112】
X線画像診断に有用な一般的に使用される交差状態規則及び所定のX線画像吸気品質規則は、一般的な医療ガイドラインから導出可能であり、当該医療ガイドラインは、データ担体上又はネットワークを介してガイドライン構成情報として提供されることが可能である。
【0113】
したがって、患者検査が、標準撮像ガイドラインと効率的に比較されることが可能である。
【0114】
方法の一実施形態によれば、所定のX線画像吸気品質モニタリング規則は、肋骨線の第10肋骨線が第10肋骨交差状態規則を満たす場合、正のX線画像吸気品質尺度が出力されるべきであることを示す。
【0115】
横隔膜線との第10肋骨の交差は、診断撮像実践において好適な測定基準である。
【0116】
方法の一実施形態によれば、何れかの上記例による方法は更に、ステップa)の後に、
a4)x線画像をセグメント化するステップを含む。
【0117】
本発明の第2の態様によれば、X線画像吸気品質モニタリング装置が提供される。
【0118】
図6は、X線画像吸気品質モニタリング装置50のブロック図である。装置50は、処理ユニット52を含む。
【0119】
X線画像吸気品質モニタリング装置50は処理ユニットを含む。
【0120】
処理ユニット52は、患者の関心領域のX線画像を受信し、X線画像内に横隔膜の経路を表す横隔膜線を生成し、X線画像内に肋骨の経路を表す肋骨線を生成し、横隔膜線を検出し、肋骨線を検出し、(i)横隔膜線と(ii)肋骨線との交差状態の存在について、X線画像を評価する。
【0121】
横隔膜線と肋骨線との交差状態は、交差状態規則に従って規定される。プロセッサは、肋骨線と横隔膜線との交差状態の存在を、交差状態規則に関して画像の吸気状態を指定する所定のX線画像吸気品質モニタリング規則と比較し、X線画像吸気品質尺度をもたらす。
【0122】
一例によれば、X線画像吸気品質尺度は、2進条件である。したがって、画像が高品質であれば、真の条件が戻され、画像が低品質であれば、偽の条件が戻される。
【0123】
一例によれば、X線画像吸気品質尺度は、連続測定基準である。連続測定基準は、様々な患者又は様々な病気について吸気品質尺度が区別されることを可能にする。
【0124】
一実施形態によれば、肋骨線は、交差状態を決定するために使用される特定の交差状態規則を有する。複数の肋骨線がある場合、複数の肋骨線の各肋骨線が、交差状態を決定するために使用される特定の交差状態規則を有する。
【0125】
一実施形態によれば、第1肋骨線は、第1の交差状態規則を有し、第2肋骨線は、第1の規則とは異なる第2の交差状態規則を有し、第1及び第2の規則は、交差状態を決定するために使用される。
【0126】
一実施形態によれば、交差状態規則は、X線源及び/又は検出器の撮像角に合わせてカスタマイズされてもよい。プロセッサ52は、撮像装置のセットアップ角を受信する。プロセッサは、入力された撮像装置のセットアップ角に基づいて、交差状態規則を選択する。このようにして、形状投影作用によって引き起こされる画像内の変化が説明される。
【0127】
例えば
図1から分かるように、肋骨と横隔膜線との交差状態は定性的であり、考慮される肋骨に依存して変化する。したがって、本実施形態によれば、個々の肋骨線を、特定の肋骨線が横隔膜を交差すると見なされるかどうかを決定する特定の肋骨交差規則に帰することが可能である。例えば第8肋骨は、当該肋骨が横隔膜線の外側3/7に接触するならば、交差すると見なされるが、第7肋骨は、当該肋骨が横隔膜線の外側4/7に接触するならば、交差すると見なされる。
【0128】
一実施形態によれば、処理ユニットが更に、X線画像を右肺野部と左肺野部とに分割し、左肺野部、右肺野部又は両方において横隔膜線及び肋骨線を検出し、左肺X線画像吸気品質尺度及び/又は右肺X線画像吸気品質尺度を計算できるように検出を繰り返す上記されたような装置が提供される。更に、左肺野部測定値と右肺野部測定値とを比較することによって、右及び左吸気品質比較が生成される。
【0129】
本実施形態によれば、右肺又は左肺の測定値にのみ依存して、吸気品質を決定することができる。これは、胸部X線写真が、例えば人工心臓ペースメーカである金属性要素又は他の移植片若しくは外科用金属ワークピースによって遮断される場合に重要である。肺吸気品質の評価は、右又は左肺のみを使用して行われることが可能である。
【0130】
更に、右肺と左肺との吸気品質を比較することによって、吸気状態の対称性について評価を行うことができる。
【0131】
本発明の一実施形態によれば、処理ユニットが更に、X線画像の左肺野又は右肺野内の硬結領域を特定し、処理ユニットが、硬結領域が左肺野内で特定される場合、X線画像吸気品質尺度として、右肺X線画像吸気品質尺度を提供し、又は、硬結領域が右肺野内で特定される場合、X線画像吸気品質尺度として、左肺X線画像吸気品質尺度を提供する上記されたような装置が提供される。一実施形態によれば、処理ユニットが更に、X線画像内に鎖骨の経路を表す鎖骨線を検出し、鎖骨線を分割するX線画像内の線を表す鎖骨分割線を生成し、横隔膜線との鎖骨分割線の鎖骨交差状態の存在について、X線画像を評価する上記されたような装置が提供される。交差状態規則は、横隔膜線との鎖骨分割線の交差点として規定される。
【0132】
一実施形態によれば、上記されたような装置が提供される。所定のX線画像吸気品質モニタリング規則は、肋骨線の第10肋骨線が第10肋骨交差状態規則を満たす場合、正のX線画像吸気品質尺度が出力されるべきであるというものである。
【0133】
第10肋骨線が横隔膜を交差する場合に、優れた吸気状態が存在すると規定することが有用であることが分かっている。
【0134】
一実施形態によれば、入力ユニットを更に含む上記されたような装置50が提供される。入力ユニットは、X線検出器からX線画像を受信する。
【0135】
一実施形態によれば、出力ユニットを更に含む上記されたような装置50が提供される。出力ユニットは、X線画像吸気品質尺度を表示する。
【0136】
任意選択的に、X線画像吸気品質尺度は、単純な赤又は緑色の警告光、アラーム音又はデジタル若しくは英数字読出しとして表示されてもよい。これにより、ユーザに単純な画質フィードバックが与えられる。
【0137】
任意選択的に、出力ユニットは、X線画像吸気品質尺度を、画質を表す数値として表示する。
【0138】
本発明の一実施形態によれば、出力ユニットは、デジタルフラットパネルディスプレイ上又はアナログX線写真乾板上に導入されるX線画像自体に、X線画像吸気品質尺度を表示する。したがって、画像を評価する医療専門家は、X線照射の品質に関する推定が与えられる。
【0139】
本発明の一実施形態によれば、処理ユニットが更に、肋骨計数構成情報を含む撮像ガイドライン構成情報を受信し、肺野にある更なる肋骨線の番号を肋骨計数構成情報と比較し、ガイドライン吸気状態比較を生成し、出力ユニットが更に、ガイドライン吸気状態比較を表示するように構成された、上記されたような装置が提供される。
【0140】
このようにすると、処理ユニットは、規制機関から情報を受信し、この情報を、X線画像に、それらが撮影されるにつれて自動的に適用することができる。
【0141】
本発明の第3の態様によれば、
X線源64及びX線検出器66を有するX線画像取得デバイス62と、
X線検出器に接続される装置68と、
出力部74と、
を含む、X線撮像システム60が提供される。
【0142】
X線画像取得デバイス62は、患者の関心領域のX線画像データを取得し、X線撮像データを装置68に提供する。装置68は、上記実施形態の何れかに説明される通りに動作する。装置68は、出力部74を介して、ユーザにX線画像吸気品質尺度を出力する。
【0143】
図7は、X線撮像システム60を示す。システムは、通常は、回転アノード型のX線源62を含む。X線源62は、放射線が(例えば画素化されたフラットパネル型)X線検出器66の方向に放出されるように配置される。放射線は、X線検出器において受信される。X線検出器66は、上記されたように装置68に接続される。
【0144】
使用時、患者の関心領域が、X線源62の前に置かれる。X線源62が起動され、患者が照射される。装置68は、上記されたように、肋骨交差規則及び所定のX線画像吸気品質規則に従って画質を評価する。装置68は、画面74上でユーザに対して出力されるX線画像吸気品質尺度を生成する。任意選択的に、出力部はランプ又は単純な可聴警告であってよい。任意選択的に、装置は、キーボード76及びマウス78といった入力手段が備わったPCといったコンピュータの一部であってよい。
【0145】
任意選択的に、X線検出器62は、自立検出器70又はベッド72内にあってよい。したがって、患者の胸部は、立った状態又は座った状態で撮像されることが可能である。
【0146】
本発明の第4の態様によれば、上記説明の1つにしたがって装置を制御するためのコンピュータプログラム要素が提供される。コンピュータプログラム要素は、処理ユニットによって実行されて、上記方法ステップの何れかによる方法ステップを行う。
【0147】
本発明の一態様によれば、上記プログラム要素が格納されたコンピュータ可読媒体が提供される。
【0148】
本発明の第5の態様によれば、上記プログラム要素が記憶されたコンピュータ可読媒体が提供される。
【0149】
したがって、コンピュータプログラム要素は、コンピュータユニットに記憶されていてもよい。当該コンピュータユニットも、一実施形態の一部であってよい。当該コンピュータユニットは、上記方法のステップを行うか又はステップの実行を誘導する。更に、コンピュータユニットは、上記装置のコンポーネントを動作させる。コンピュータユニットは、自動的に動作するか及び/又はユーザの命令を実行する。コンピュータプログラムが、データプロセッサの作業メモリにロードされてよい。したがって、データプロセッサは、上記実施形態のうちの1つによる方法を実行する能力を備えている。
【0150】
本発明のこの例示的な実施形態は、最初から本発明を使用するコンピュータプログラムと、アップデートによって、既存のプログラムを、本発明を使用するプログラムに変えるコンピュータプログラムとの両方を対象とする。
【0151】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又は他のハードウェアの一部として供給される光学記憶媒体又は固体媒体といった適切な媒体上に記憶される及び/又は分散配置されるが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介した形態といった他の形態で分配されてもよい。しかし、コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブといったネットワーク上に提示され、当該ネットワークからデータプロセッサの作業メモリにダウンロードされてもよい。
【0152】
本発明の更なる例示的な実施形態によれば、ダウンロード用にコンピュータプログラム要素を利用可能にする媒体が提供され、当該コンピュータプログラム要素は、本発明の上記実施形態のうちの1つによる方法を行うように構成される。
【0153】
請求項において、「含む」との用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、また、「a」又は「an」との不定冠詞も、複数形を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に引用される幾つかのアイテムの機能を果たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されることだけで、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。請求項における任意の参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。