(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】ネガ型フォトレジストを用いたパターニング工程におけるLWR改善方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
G03F 7/40 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
G03F7/40 511
(21)【出願番号】P 2018557340
(86)(22)【出願日】2017-04-26
(86)【国際出願番号】 KR2017004450
(87)【国際公開番号】W WO2017191930
(87)【国際公開日】2017-11-09
【審査請求日】2018-11-01
【審判番号】
【審判請求日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】10-2016-0055180
(32)【優先日】2016-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516210942
【氏名又は名称】ヨンチャン ケミカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】YOUNG CHANG CHEMICAL CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】イ スジン
(72)【発明者】
【氏名】キム ジホン
(72)【発明者】
【氏名】イ スンフン
(72)【発明者】
【氏名】イ スンヒョン
【合議体】
【審判長】榎本 吉孝
【審判官】里村 利光
【審判官】植前 充司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-44298(JP,A)
【文献】国際公開第2014/181748(WO,A1)
【文献】特開2017-107188(JP,A)
【文献】特開2009-271259(JP,A)
【文献】特開2011-33841(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0123164(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B7/00-7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ArFに感応するネガ型フォトレジストパターンの膨潤物質
としてエチレングリコール90重量%、非露光パターン面を現像することが可能なアルカリ性物質
としてトリメチルアミン0.1重量%、これらを溶かして混合する溶媒
として2-ヘプタノール8.89~9.89重量%、及び
非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル0.01~1重量%を含んでなる、パターンのLWRを改善する組成物。
【請求項2】
請求項
1に記載のパターンのLWRを改善する組成物を用いて、ネガ型フォトレジストを用いたパターン形成工程でLWRを改善するために現像工程の後に連続工程でパターニングされたウエハー上に、
1)組成物を噴射し、
2)一定時間静置し、
3)スピンドライ方式で乾燥させる過程を経るパターンのLWRを改善する方法であって、
組成物を5~50mL/sの速度で噴射し、10~20秒静置する、パターンのLWRを改善する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造工程中にネガ型フォトレジスト(negative-tone photoresist)を用いたフォトレジストパターンのLWR(Line Width Roughness)改善方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの小型化及び集積化に伴って微細パターンの実現が要求されており、このような微細パターンを形成する方法としては、露光装備の開発または追加工程の導入によるフォトレジストパターンの微細化が効率的である。
【0003】
半導体を製造する工程において、過去は波長365nmのi-line光源を用いて半導体基板にパターンを形成したが、さらに微細なパターンを形成するために、より小さな波長帯の光源を必要とするようになった。
【0004】
実際に、KrF(248nm)を始めとしてArF(198nm)、EUV(extreme ultra violet-極紫外線、13.5nm)光源を用いたリソグラフィー(lithography)技術が開発され、現在商用化されているか商用化中にあり、これを用いてさらに微細な波長を実現することができるようになった。しかし、パターンが微細化(数十nm)されることにより、比較的大きな(数百nm)パターンのときに問題にならなかった、形成されたパターン側壁の粗さ(LWR、line width roughness)が製造工程の際に工程マージンを減少させる問題が発生することになった。
【0005】
フォトレジストパターン形成方法としては、アルカリ現像液を用いてパターンを形成するポジトーン現像工程と、有機溶剤を用いてパターンを形成するネガトーン現像工程がある。前記ポジトーン現像液を用いたパターン形成方法は、フォトレジスト膜の露光領域をアルカリ現像液で選択的に溶解及び除去してパターンを形成する方式であり、ネガトーン現像液を用いたパターン形成方法は、ポジトーン現像液を用いたパターン形成方法よりもパターン形成が容易であり、未露光部分を除去するのでより効果的にフォトレジストパターンを形成することができる。
【0006】
ネガティブフォトレジスト工程の特性により通常のポジティブ工程に比べて解像度やLWRが良くなったが、このような良い特性にも拘らず、さらに強化されたパターンの微細化により悪くなった工程マージンを確保するためにフォトレジストのLWRに対する更なる改善が求められている。よって、LWRの改善のために、既存のフォトレジスト(photoresist)の構成物質中のポリマーの構造を改善したり、分子量を小さくしたり、フォトレジスト自体の光に対する感度を増加させたりするなどの努力があったが、完全な解決策にはならなかった。
【0007】
一方、さらに新規工程の開発に関する研究によってさらに微細なパターンを実現することが可能な作業が盛んに行われており、フォトレジストパターンのLWRを改善してパターンの均一性を確保することが可能な技術の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、半導体製造工程中にネガ型フォトレジストを用いたフォトレジストパターンのLWR(Line Width Roughness)を改善することが可能な組成物、及びこの組成物を用いた工程方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明の組成物は、好適な第1実施形態として、フォトレジストパターンを膨潤させることが可能な物質1~99.999重量%、非露光パターン面を現像することが可能なアルカリ性物質0.001~2重量%、これらを溶かして混合する溶媒0~98.999重量%、及び界面活性剤0~2重量%を含む、フォトレジストパターンのLWR改善用工程液組成物を提供する。
【0010】
前記実施形態に係るフォトレジストパターンを膨潤させることが可能な物質は、メタノール、エタノール、2-ブトキシエタノール、N-プロパノール、2-プロパノール、1-ブトキシ-2-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、tert-ブチルアルコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル-1-ペンタノール、2-メチル-3-ペンタノール、2,3-ジメチル-3-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノールなどのC1~C5のアルコール及びアルコール誘導体、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジドンなどのアミド系溶剤、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、1-ヘキサノン、2-ヘキサノン、4-ヘプタノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトニルアルコール、アセチルカルビトールなどのケトン系溶剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、モノメチルエーテル、メトキシメチルブタノール、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカンなどの炭化水素系溶剤、及びこれらの混合物よりなる群から選択されるものであってもよい。
【0011】
前記実施形態に係るアルカリ性物質は、金属イオンが置換されていないアミン類であれば使用に特に制限がない。エチルアミン、n-プロピルアミンなどの1級アミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジフェニルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ-n-ブチルアミンなどの2級アミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリオクチルアミン、メチルジエチルアミンなどの3級アミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラペンチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム水酸化物、及びこれらの混合物よりなる群から選択されるものであってもよい。
【0012】
前記実施形態に係る溶媒は、レジストパターンを溶解しなければ特に制限はなく、一般な有機溶剤を含む溶液を使用することができる。1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-オクタノール、4-オクタノールなどの1価アルコール、酢酸ブチル、酢酸アミル、エチル-3-エトキシプロピオネート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、ギ酸ブチル、ギ酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのエステル系溶剤、及びこれらの混合物よりなる群から選択されるものであってもよい。
【0013】
前記実施形態に係る界面活性剤は、非イオン性界面活性剤であってもよい。
【0014】
前記実施形態に係る非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン類、ポリオキシエチレンラウリルエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタン類、及びこれらの混合物よりなる群から選択されるものであってもよい。
【0015】
そのために、本発明において、パターンのLWRを改善するための工程方法の好適な実施形態は、ネガ型フォトレジスト現像工程の後に連続して上記の条件で製造された組成物を、1)一定量を噴射(dispense)し、2)一定時間静置(puddle)させた後、3)スピン(spin)方式で乾燥させることである。
【0016】
ネガ型フォトレジストでパターニングする工程は、一般的なポジ型フォトレジストと比較してフォトレジスト液をコーティングし、ソフトベーク(soft bake)、露光、露光後のベーク(PEB、post exposure bake)、それぞれの現像液を用いた現像までは同一であるが、ポジ型フォトレジストを使用する工程では、最後に水で洗浄(rinse)して現像液と現像された残留物を除去する段階があり、ネガ型フォトレジスト工程では、水と現像液とが混合できないので、水で洗浄が不可能であって現像液をもう少し用いて水洗浄段階の代わりにするか、或いは韓国特許(公開番号10-2014-0103187)では水の代わりに使用可能な有機溶媒タイプのリンス液を残留物の除去に使用している。
【0017】
韓国特許(公開番号10-2014-0103187)の内容を考察すると、ポジ型フォトレジストで水を用いたリンスのような役割を果たす有機溶剤タイプのリンス液を用いて残留物を除去するためのネガ型フォトレジスト洗浄方法であって、パターンを溶解もせず膨潤(swelling)もさせない有機溶剤を用いてスピン塗布法、浸漬法、スプレー噴射法のいずれかを選択して洗浄を行うことにより、現像後に残留する残留物を除去することを目的とする。これに対し、本発明は、膨潤物質でパターンを微細に膨潤させ、膨潤したパターンにアルカリ物質がよく浸透するようにしてパターンの非露光面の一部をトリミング(trimming)させてLWRを改善することを目的としている。
【0018】
処理工程の面でも、前記引用発明で記述しているスピン塗布法は、静置(puddle)段階なしに、洗浄しようとする対象のウエハーを回転させ続けながら液を噴射して洗浄するのに対し、本発明では、パターンの膨潤のためにウエハーを固定して静置させる(半導体工程で「パドル(Puddle)」という)段階が必須である。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るネガ型フォトレジストパターンのLWR改善工程用組成物、及び該組成物を用いたLWR改善工程は、フォトレジストのパターン形成において実現しようとするパターンを微細に膨潤させ、アルカリで非露光面をトリミングさせてパターンのLWR(Line Width Roughness)を減らすので、LWRを改善して焦点深度マージン(DoF margin)及びエネルギーマージン(EL margin)を高めることにより、半導体製造工程の全体工程マージンを高めるだけでなく、製品の不良率も画期的に減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】比較実験例1及び実験例7のフォトレジストパターンを走査電子顕微鏡で観察した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明は、ネガ型フォトレジストのパターニング工程におけるパターンのLWRを改善するためのパターン処理用組成物、及び処理工程方法に関する。
【0022】
本発明におけるパターン処理用組成物は、フォトレジストパターンの膨潤が可能な物質1~99.999重量%、非露光パターン面を現像することが可能なアルカリ性物質0.001~2重量%、溶媒0~98.999重量%、及び界面活性剤0~2重量%から構成される。
【0023】
本発明における処理工程方法は、5~50mL/sの速度で1~20秒で噴射し、10~90秒未満で静置し、スピンドライ(spin dry)方式で乾燥させる過程を経る。
【0024】
一般に、半導体製造工程で微細パターンの形成に用いられるフォトレジスト構成物質の物理化学的性質を適切に利用してパターンのLWR不良を引き起こすパターン側壁の粗い部分を仕上げることができる。すなわち、現像工程の際にパターン側壁の粗い部分の物理化学的状態に合う適切な化学物質を用いて、突き出た部分と多く削られた部分を補正する方法が提案できる。
【0025】
このようなネガ型フォトレジストにおいて酸が過度に拡散した親水性のフォトレジストが残ったパターンは、完全に現像されたパターンに比べて大きさがLWRの偏差だけ大きくなる。
【0026】
本発明では、露光の際に酸の拡散により元のパターンの大きさよりも大きくなった部分のパターン大きさを基準として相対的に小さく現像されたパターン部を所望の大きさに膨潤させ、この膨潤したパターン面の一部をアルカリ性物質で微細に除去してパターンをトリミングさせることが可能なLWR改善工程液組成物を提示し、これを用いてパターンの大きさを合わせてLWRを改善しようとする。
【0027】
選択可能な膨潤物質としては、アルコール及びアルコール誘導体、アミド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系及び炭化水素系溶剤から選択される1種以上を使用することができる。
【0028】
アルコール及びアルコール誘導体として、具体的には、メタノール、エタノール、2-ブトキシエタノール、N-プロパノール、2-プロパノール、1-ブトキシ-2-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、tert-ブチルアルコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル-1-ペンタノール、2-メチル-3-ペンタノール、2,3-ジメチル-3-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノールなどのC1~C5のアルコール及びアルコール誘導体を使用することができる。
【0029】
アミド系溶剤として、具体的には、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどを使用することができる。
【0030】
ケトン系溶剤として、具体的には、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、1-ヘキサノン、2-ヘキサノン、4-ヘプタノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトニルアルコール、アセチルカルビトールなどを使用することができる。
【0031】
エーテル系溶剤として、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、モノメチルエーテル、メトキシメチルブタノール、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどを使用することができる。
【0032】
エステル系溶剤として、具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどを使用することができる。
【0033】
炭化水素系溶剤として、具体的には、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカンなどを使用することができる。
【0034】
前記膨潤物質の含有量は1~99.999重量%であり得る。
【0035】
選択可能なアルカリ性物質としては、エチルアミン、n-プロピルアミンなどの1級アミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジフェニルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ-n-ブチルアミンなどの2級アミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリオクチルアミン、メチルジエチルアミンなどの3級アミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラペンチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム水酸化物などを使用することができる。
【0036】
前記アルカリ性物質の含有量は0.001~2重量%であり得る。前記アルカリ性物質の含有量が0.001重量%未満である場合、パターンを形成しているフォトレジストに対するトリミング効果を確認することができず、前記アルカリ性物質の含有量が2重量%を超える場合、トリミング効果が過度であってパターンの厚さ及び間隔に対する寸法が変わってパターンのCDUが悪くなるという問題点がある。
【0037】
選択可能な溶媒としては、レジストパターンを溶解しなければ特に制限はなく、一般な有機溶剤を含む溶液を使用することができる。特に好ましい溶剤としては、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-オクタノール、4-オクタノールなどの1価アルコール溶剤、酢酸ブチル、酢酸アミル、エチル-3-エトキシプロピオネート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、ギ酸ブチル、ギ酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのエステル系溶剤などを使用することができる。
【0038】
前記溶媒の含有量は0~98.999重量%であり得る。
【0039】
選択可能な界面活性剤は、具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン類、ポリオキシエチレンラウリルエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタン類などの非イオン性界面活性剤であって、単独で或いはこれらの混合物よりなる群から選択されるものを使用することができる。
【0040】
前記界面活性剤は、表面張力を下げて広がり性や浸透力を増大させ、パターンのLWRを改善するのに役立つことができる。
【0041】
前記界面活性剤の含有量は0~2重量%であり得る。
【0042】
上述したようなフォトレジストパターンのLWR改善組成物を工程に適用したときに、正常パターンに形成したフォトレジストが数ナノレベルで微細に膨潤をさせなければならないので、適切な工程方法と時間設定が必須である。工程液の種類によって異なるが、300mmのウエハーを基準にフォトレジストパターンのLWR改善用工程で、静置時間(puddle time)を1秒以下にすると、膨潤効果が少なくてLWR改善の効果がほとんどなく、静置時間を90秒以上にすると、工程時間が多くかかるだけでなく、膨潤が過剰になってパターンがあまりにも大きくなるから、むしろパターンLWRが悪くなるので、1秒超過60秒未満を静置時間として定めることが好ましい。
【0043】
通常のフォトレジストパターニング工程を考察すると、ArFに感応するフォトレジストを300mmのシリコンウエハーにスピン(spin)コーター(coater)を用いて1500rpmの速度でスピンコーティングし、120℃にて60秒間ホットプレート(hot plate)で乾燥させた後(SB:Soft bake)、ArFが発生する露光機を用いて露光させ、しかる後に、120℃にて60秒間ホットプレート(hot plate)で乾燥させて(PEB:Post exposure bake)ネガトーン現像液(酢酸ブチル)で30秒間現像(ネガトーン現像)する。
【0044】
本発明では、通常のフォトレジストパターニング工程の後にフォトレジストパターンのLWR改善用工程液を用いて100rpmで15mL/sの速度で10秒間噴射した後、60秒間静置(puddle)し、2000rpmの回転数で20秒間ウエハーを回転させることにより、フォトレジストパターン形成を完了した。
【0045】
前述したようなフォトレジストパターンのLWR改善組成物と、これらの組成物を適用した工程方法は、小さなパターン面を適切に膨潤及びトリミングさせてLWRを改善することにより、後で行われるエッチングやインプラント工程で高い工程マージンを提供するので、生産歩留まりの増大及び歩留まりの増大による製造コストの削減を期待することができる。
【実施例】
【0046】
以下、本発明の好適な実施例及び比較例を説明する。しかし、下記の実施例は、本発明の好適な一実施例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
実施例1
2-プロパノール80重量%、トリエチルアミン0.1重量%、及び2-ヘプタノール19.9重量%が含まれている、フォトレジストパターンのLWR改善用工程液を次の方法で製造した。
2-プロパノール、トリエチルアミン、2-ヘプタノールを投入して6時間攪拌した後、0.02μmのフィルターに通過させて、フォトレジストパターンのLWR改善用工程液を製造した。
【0047】
実施例2~実施例10
表1に記載されているような組成によって、実施例1と同様の方法でフォトレジストパターンのLWR改善用工程液を製造した。
【0048】
比較例
一般に、半導体素子の製造工程中にネガトーン現像工程の最終洗浄液として使用される酢酸ブチルを準備した。
【0049】
実験例1
ArFに感応するフォトレジストを300mmのシリコンウエハーにスピン(spin)コーター(coater)を用いて1500rpmの速度でスピンコーティングし、120℃にて60秒間ホットプレート(hot plate)で乾燥させた後(SB:Soft bake)、ArFが発生する露光機を用いて露光させ、しかる後に、120℃にて60秒間ホットプレート(hot plate)で乾燥させ(PEB:Post exposure bake)、ネガトーン現像液(酢酸ブチル)で30秒間現像(ネガトーン現像)する。その後、実施例1で製造された工程液を用いて100rpmで15mL/sの速度で10秒間噴射した後、20秒間静置(puddle)し、2000rpmの回転数で20秒間ウエハーを回転させることにより、フォトレジストパターンの形成を完了した。このとき、形成されたパターンの大きさは50nmである。
【0050】
実験例2~実験例23
工程液として、実施例1~実施例10でそれぞれ製造された工程液を使用すること、及びパターン形成方法中の静置(puddle)時間以外は実験例1と同様の方法でパターン形成を行った。
【0051】
比較実験例1~比較実験例3
工程液として比較例の酢酸ブチルを使用すること及び静置時間以外は、実験例1と同様の方法でパターン形成を行った。
【0052】
実験例1及び実験例23及び比較実験例1~3でパターンが形成されたシリコンウエハーに対して、ホール(hole)の場合にLWR測定が容易ではないので、CDU(Critical Dimension uniformity)を測定してLWRの改善程度を確認し、その結果を表2に示した。
【0053】
CDUが小さければ、その分だけLWRも改善されたと見なすことができる。
(1)CDU(Critical Dimension Uniformity)
【0054】
走査電子顕微鏡(FE-SEM、Hitachi)を用いてパターンのX軸とY軸との差を測定してCDU値を確認した。処理後、本実験では、45nmのホールパターンを測定し、無処理区でCDUの標準偏差が4.5nmであるので、標準偏差が4.5nmよりも小さく、0に近くなるほどCDUが改善されたと見なすことができるが、実際半導体製造工程で意味のある数値である0.5nm以上向上した4.0nm以下をCDUの標準偏差目標とした。
【0055】
【0056】
【0057】
前述したように、CDUの標準偏差が小さいほどパターンが均一である(LWRが改善された)ことを示し、CDUの偏差が低いほどELマージンとDoFマージンの数値が高くなるので工程マージンが良くなる。
【0058】
前記実験結果から、膨潤物質とアルカリ物質の含有量に応じて多少の違いはあるが、静置時間10~20秒の区間でLWR改善工程液組成物にて処理する場合に無処理区(比較実験例1)に比べてCDUが11%以上向上することを確認することができる。