(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】強化されたグリップのための微細構造化されたパッケージング表面
(51)【国際特許分類】
B65D 25/34 20060101AFI20220114BHJP
G09F 3/00 20060101ALI20220114BHJP
B65D 25/20 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
B65D25/34 Z
G09F3/00 Q
B65D25/20 Q
(21)【出願番号】P 2018567037
(86)(22)【出願日】2017-06-23
(86)【国際出願番号】 US2017039085
(87)【国際公開番号】W WO2018005294
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-06-15
(32)【優先日】2017-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518276508
【氏名又は名称】ハヴィ グローバル ソリューションズ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハルスマン、ラルフ アレン
(72)【発明者】
【氏名】マクファーソン、キャメロン
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-526288(JP,A)
【文献】特開2013-028152(JP,A)
【文献】特開平07-071694(JP,A)
【文献】特開2014-111484(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0154029(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0014111(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/34
G09F 3/00
B65D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細構造化領域を有するベース層と、
前記微細構造化領域上に配置された複合微細構造
と
を備える、物体のための接触面であって、前記複合微細構造は、
80μm~120μmの第1の幅を有する第1の微細特徴部
、および260μm~300μmの範囲の第1のピッチを有する第1の微細構造のセットと、
前記第1の幅よりも小さい第2の幅を有する第2の微細特徴部
、および前記第1のピッチの24%未満の第2のピッチを有する第2の微細構造のセット
と
を含み、
前記第1及び第2の微細構造のセットと前記接触面を握る人の皮膚との間の前記
第1及び第2の微細構造のセットに起因する接触割合は、1%~25%の範囲内である、接触面。
【請求項2】
前記ベース層を前記物体に固定するように構成された、前記ベース層に固定された接着剤層をさらに備える、請求項1に記載の接触面。
【請求項3】
前記第2の幅が、前記第1の幅の25%~41%である、請求項1に記載の接触面。
【請求項4】
前記複合微細構造が、前記第1の幅の3%~6%の第3の幅を有する第3の微細特徴部を有する第3の微細構造のセットをさらに含む、請求項2に記載の接触面。
【請求項5】
前記第1の微細構造のセットが前記ベース層上に山と谷を設けるように、前記第1の微細特徴部が変形した縁部を含む、請求項1に記載の接触面。
【請求項6】
前記複合微細構造が、30μm~100μmの範囲の高さを有する、請求項1に記載の接触面。
【請求項7】
前記複合微細構造が、前記接触面と接触している手の皮膚に対する前記複合微細構造の接触割合を1%~7%の範囲内で含む、請求項1に記載の接触面。
【請求項8】
前記第1の微細特徴部が、円形、正方形、楕円形、三角形、長方形、棒、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される断面を有する、請求項1に記載の接触面。
【請求項9】
前記複合微細構造、前記ベース層、および前記接着剤層が半透明である、請求項2に記載の接触面。
【請求項10】
前記複合微細構造が、前記第1のピッチの15%未満の第3のピッチを有する第3の微細構造のセットをさらに含む、請求項
1に記載の接触面。
【請求項11】
前記第1の微細構造のセットと前記第2の微細構造のセットとが位置合わせされていない、請求項1に記載の接触面。
【請求項12】
物体のための接触面であって、
微細構造化領域を有するベース層と、
前記微細構造化領域上に配置された複合微細構造であって、
前記ベース層上に配置された第1の微細構造のセットと、
前記ベース層上に配置された第1の部分、および前記第1の微細構造のセット上に配置された第2の部分を有する第2の微細構造のセットと、
前記ベース層上に配置された第1の部分、前記第1の微細構造のセット上に配置された第2の部分、および前記第2の微細構造のセット上に配置された第3の部分を有する第3の微細構造のセット
と
を含む複合微細構造と、
前記ベース層を
前記物体に固定するように構成された、前記ベース層に固定された接着剤層と
を含
み、
前記第1の微細構造のセット、前記第2の微細構造のセット、および前記第3の微細構造のセットが位置合わせされていない、接触面。
【請求項13】
前記第2の微細構造のセットが、前記第1の微細構造のセットの第1の微細特徴部よりも25%~41%小さい幅を有する第2の微細特徴部を有する、請求項1
2に記載の接触面。
【請求項14】
前記複合微細構造が前記ベース層上に山と谷を形成するように、前記第2の微細構造のセットが、変形した縁部を有する第2の微細特徴部を有する、請求項1
2に記載の接触面。
【請求項15】
表面上に配置された微細構造のセット
を含む、物体のための接触面であって、前記微細構造のセットは、
15μm~3000μmの範囲の幅、30μm~1500μmの範囲の深さ、および100μm~3000μmの範囲のピッチを有する第1の微細特徴部と、
前記第1の微細特徴部の幅より25%~41%小さい幅を有する第2の微細特徴部と
を含み、
前記微細構造のセットと前記表面を握る人の皮膚との間の前記微細構造のセットに起因する接触割合は、1%~25%の範囲内であり、
前記第1の微細
特徴部と前記第2の微細
特徴部とが位置合わせされていない、接触面。
【請求項16】
前記表面が容器の外面である、請求項1
5に記載の接触面。
【請求項17】
前記微細構造のセットが30μm~100μmの範囲の深さを有し、前記微細構造のセットと前記表面を握る人の皮膚との間の前記微細構造のセットに起因する接触割合は、1%~7%の範囲内である、請求項1
5に記載の接触面。
【請求項18】
前記微細構造のセットが、前記第2の微細特徴部の幅よりも小さい幅を有する第3の微細特徴部をさらに含む、請求項1
5に記載の接触面。
【請求項19】
物体のための接触面であって、
微細構造化領域を有するベース層と、
260μm~300μmの範囲の第1のピッチを有する第1の微細構造のセット
、および前記第1のピッチの24%未満の第2のピッチを有する第2の微細構造のセットを含む前記微細構造化領域上に配置された複合微細構造であって、前記複合微細構造は、30μm~250μmの間の深さを有し、前記第1の微細構造のセットと前記
接触面を握る人の皮膚との間の前記複合微細構造に起因する接触割合は、1%~25%の範囲内である、複合微細構造と、
前記ベース層を
前記物体に固定するように構成された、前記ベース層に固定された接着剤層
と
を含
み、
前記複合微細構造は、複合微細構造を有しない接触面と比較してグリップ力を増大させる、接触面。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本国際出願は、2016年6月27日に出願された米国仮特許出願第62/355,081号からの優先権を主張する。本出願はまた、2016年2月5日に出願された米国仮特許出願第62/291,833号の優先権を主張する2017年2月3日に出願された米国特許出願第15/424,627号の一部継続出願でもあり、これらはすべて参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、カップ、ボトル、クロージャ、缶、ボウル、トレイ、容器、箱、ハングタグ、および人の手や指に接触し得る他の物体を含む物品に固定する、取り付ける、または一体化することができるラベル、表面、および他の特徴に関する。ラベル、表面、または他の特徴は、人が物品の改善されたグリップを有することを可能にし得る。
【背景技術】
【0003】
物品、容器、および上に挙げたもののような他の物体は、冷たい液体を含み、表面を露点以下の温度にして、外面に水ができるようにすることができる。表面にこのような結露があると、滑らかになり、物体を保持しにくくなる。さらに、洗剤、シャンプー、日焼け止めローション、および同様の品目などの流体を含む容器は、滑らかな表面を作り出す容器の外面上に内容物を含み得る。これは、ユーザのグリップ能力を低下させる可能性がある。
【0004】
いくつかの容器は、ユーザのグリップ能力を高めるために、異なる容器の向き、くぼみなどを含み得る。他の容器は、容器とユーザの手との間の摩擦係数を増大させ得るコーティングまたは接着剤を含み得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、グリップ強度要件の低減、およびラベル、物体、または接触面と手との間の摩擦の改善など、摩擦およびグリップ特性を改善するラベル、物体、または他の接触面を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、改善された物理的性質を提供しながら、肉眼では見えないかまたはほとんど見えない微細構造を提供することである。これらの微細構造は、所与のラベル、物体、または接触面の審美性に影響を与えることなく改善された品質を提供し得る。
【0007】
本開示のいくつかの目的は、特に物体が外面に結露または他の液体を有する場合に、ユーザが物体をよりしっかりと握ること、および滑りの危険性を減らすことを可能にするラベルを提供することを含み得る。上記の目的は、本開示に従って、改良された物理的性質を有するラベル、物体、または接触面を提供することによって達成することができ、これらは、微細構造化領域を有するベース層と;第1の直径(または幅)が80μm~120μmの第1の微細特徴部を有する第1の微細構造のセット、第2の直径(または幅)が第1の直径の25%~41%の第2の微細特徴部を有する第2の微細構造のセット、および第3の直径(または幅)が第1の直径の3%~6%の第3の微細特徴部を有する第3の微細構造のセットを備えた、微細構造化領域上に配置された複合微細構造と;ベース層を物体に固定するように構成されたベース層に固定された接着剤層と、を含む。本発明の目的のために、接着剤層は糊のような従来の接着剤を含み得る。しかしながら、当業者であれば、本発明の新規な範囲から逸脱することなく、接着剤層がベース層を物体に固定するのに適した他の任意の材料も含み得ることを理解されよう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一例では、物体のための接触面は、微細構造化領域を有するベース層と、微細構造化領域上に配置された複合微細構造であって:ベース層上に配置された第1の微細構造のセットと;ベース層上に配置された第1の部分、および第1の微細構造のセット上に配置された第2の部分を有する第2の微細構造のセットと;ベース層上に配置された第1の部分、第1の微細構造のセット上に配置された第2の部分、および第2の微細構造のセット上に配置された第3の部分を有する第3の微細構造のセットと、を含む複合微細構造と、ベース層を物体に固定するように構成されたベース層に固定された接着剤層と、を含むことができる。
【0009】
さらなる例では、物体のための接触面は、15μm~3000μmの範囲の直径、30μm~1500μmの範囲の深さ、および100μm~3000μmの範囲のピッチを有する第1の微細特徴部と、第1の微細特徴部の直径より25%~41%小さい直径を有する第2の微細特徴部と、を含む表面上に配置された微細構造のセットを含むことができ、微細構造のセットと表面を握る人の皮膚との間の微細構造のセットに起因する接触割合は、1%~25%の範囲内である。
【0010】
本発明は、第1の微細特徴部のセットがベース層上に山と谷を形成するように、第1の微細特徴部のセットが変形した縁部を有する場合を含むことができる。複合微細構造は、30μm~100μmの範囲の高さを有することができ、皮膚に対する複合微細構造の接触割合は、1%~7%の範囲内である。第1の微細構造のセットは、円形、正方形、楕円形、三角形、長方形、棒またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される断面を有することができる。ベース層および接着剤層は半透明または透明であり得る。
【0011】
第1の微細構造のセットは260μm~300μmの範囲のピッチを有することができ、第2の微細構造のセットは第1の微細特徴部のセットのピッチの24%未満のピッチを有することができ、第3の微細構造のセットは第1の微細特徴部のセットのピッチの15%未満のピッチを有することができる。第1、第2、および第3の微細構造のセットは、位置合わせされていてもいなくてもよい。
【0012】
本発明は、改良された物理的性質を有するラベル、物体、または接触面を含むことができ、これは、微細構造化領域を有するベース層と、15μmから3000μmの範囲の直径、30μmから1500μmの範囲の深さ、および100μmから3000μmの範囲のピッチを有する微細特徴部を有する、微細構造化領域上に配置された微細構造のセットと、を含み、微細構造のセットに起因するドライリフト力は、リフト試験によると7ポンドを超え、微細構造のセットに起因するウェットリフト力は、リフト試験によると8ポンドを超え、微細構造のセットと皮膚との間の微細構造のセットに起因する接触割合が0.5%から30%の範囲にあり、それによって、容器に固定することができる改善されたグリップの物理的性質を有する微細構造化ラベルを提供する。
【0013】
本発明は、改良された物理的性質を有するラベル、物体、または接触面を含むことができ、これは、15μmから3000μmの範囲の直径、30μmから1500μmの範囲の深さ、および100μmから3000μmの範囲のピッチを有する微細特徴部を有する、表面上に配置された微細構造のセットを含み、微細構造のセットに起因するドライリフト力は、リフト試験によると7ポンドを超え、微細構造のセットに起因するウェットリフト力は、リフト試験によると8ポンドを超え、微細構造のセットと皮膚との間の微細構造のセットに起因する接触割合が0.5%から30%の範囲にあり、それによって、容器に固定することができる改善されたグリップの物理的性質を有する微細構造化ラベルを提供する。表面は、容器の外面またはベース層であり得る。
【0014】
以下に、本発明を実施するために設計された構成を、その他の特徴と共に説明する。本発明は、以下の明細書を読み、その一部を形成し、本発明の例を示す添付の図面を参照することによってより容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の実施形態の様々な態様の正面図である。
【
図2】本開示の実施形態の様々な態様の別の正面図である。
【
図3】本開示の実施形態のいくつかの物理的態様を示す図である。
【
図4A】本開示の実施形態の物理的態様を示す図である。
【
図4B】本開示の実施形態の物理的態様を示す別の図である。
【
図5A】本開示の実施形態の物理的態様を示す図である。
【
図5B】本開示の実施形態の物理的態様を示す別の図である。
【
図9A】本開示の実施形態の態様の側断面図である。
【
図10】本開示の実施形態の態様の斜視側面図である。
【
図11】パターンを様々な条件下で試験したときの実験結果のチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
当業者であれば、本発明の1つまたは複数の態様が特定の目的を満たすことができ、一方、1つまたは複数の他の態様が特定の他の目的を満たすことができることを理解されよう。それぞれの目的は、すべての点で、本発明のあらゆる態様に等しく適用されない場合がある。このため、前述の目的は、本開示の任意の一態様に関する代替案において見られることができる。本開示のこれらおよび他の目的ならびに特徴は、以下の詳細な説明が添付の図面および例と併せて読まれるとき、より完全に明らかにされよう。しかしながら、前述の概要および以下の詳細な説明は両方とも好ましい実施形態のものであり、限定的と見なされるべきではないことを理解されたい。特に、本開示はいくつかの特定の実施形態への言及を含むが、説明は単に例示的なものであることを理解されよう。添付の特許請求の範囲によって記載されるような本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者は様々な修正および応用を想到することができる。同様に、本開示の他の目的、特徴、利益および利点は、この概要および以下に記載の特定の実施形態から明らかにされ、当業者には容易に明らかにされよう。そのような目的、特徴、利益および利点は、添付の例、データ、図、およびそこから導き出されるすべての合理的な推論と共に、単独でまたは本明細書に組み込まれる参考文献を考慮して、上記から明らかにされよう。
【0017】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示の主題が属する当業者に一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似のまたは同等な任意の方法、デバイス、および材料が、本明細書に開示される主題の実施または試験において使用され得るが、代表的な方法、デバイス、および材料が本明細書に記載される。
【0018】
図1は、前面ラベル12と後面ラベル14とを有する飲料容器10を示している。1つまたは複数の微細構造を前面ラベルおよび後面ラベル上に取り付けるか製造することができる。ラベルを、容器の反対側に配置することができ、容器の両側で保持者の手に接触させるように構成することができる。微細構造を、ラベル全体またはラベルの一部に配置することができる。前面ラベル12は前部微細構造化領域16を含むことができる。一実施形態では、前部微細構造化領域16は、通常容器を保持しているときに保持者の親指または手のひらに係合するように設計された水平方向のストリップであり得る。したがって、前部微細構造化領域16は前面ラベル12の上面に向かって配置されてもよい。後面ラベルは、後部微細構造化領域18を含むことができる。後部微細構造化領域18は、通常容器を保持しているときに保持者の指と係合するように構成され得る。したがって、後部微細構造化領域18は、前部微細構造化領域16よりも大きくてもよく、および/または前部微細構造化領域16の高さ以下にさらに延びていてもよく、またはその高さ以下に位置してもよい。前面ラベルおよび後面ラベルを、1つまたは複数の微細構造を用いて製造し、次いで容器に固定することができる。一実施形態では、単一のラベルが容器を囲むことができ、前部微細構造化領域16および後部微細構造化領域18を含むことができる。一実施形態では、ラベルは透明または部分的に透明であり得る。
【0019】
一実施形態では、微細構造自体は25~1500ミクロンの範囲の高さを有し、微細構造化特徴部は50~1000ミクロンの範囲の幅を有することができる。特徴部間の間隔は、200ミクロン~5000ミクロンの範囲内であり得る。微細構造化特徴部は、円形、正方形、楕円形、三角形、長方形、または直線状の隆起、棒、もしくは他の幾何学的形状、またはそれらの組み合わせからなる群から選ばれるオーバヘッドの2D形状を有するピラーを含むことができる。微細構造化特徴部で覆われている微細構造化領域の割合は、密度で0.25~25%の範囲内であり得る。ピラーなどの微細構造化特徴部の側面の抜き勾配は、45度を超えることができる。いくつかの実施形態では、抜き勾配は60度より大きい。微細構造化特徴部の幅に対する微細構造化特徴部の高さによって定義されるアスペクト比は、0.5~5の範囲内であり得る。
【0020】
微細構造化特徴部の幅は、肉眼でオーバヘッド方向から見たときに100ミクロン以下であり得る。したがって、微細構造化特徴部は、肉眼では容易に見ることができずまたは知覚できず、その結果、それらは一般的には目に見えない微細構造である。これらの微細構造化特徴部は、上から見たときに20~2000ミクロンの範囲の幅を有することができる。100ミクロンを超える微細構造化特徴部は、肉眼で見ることができる。
【0021】
本明細書に記載の微細構造は、肉眼では見えない物理的性質を含むことができ、保持者の皮膚(濡れても乾いても)と接触したときに握るための摩擦が高く、製造コストが低く、大きな表面積の微細構造なしで高いグリップ力が達成される。いくつかの実施形態では、微細構造の微細特徴部は、目に見えてもよく、高いグリップ特性を有しながらも、容器の表面の低い被覆率を有する。抜き勾配を60度よりも大きくすることができ、いくつかのマクロ特徴部の代わりに一連の微細構造化特徴部を使用することができる。
【0022】
一実施形態では、ラベル、物体、または接触面は、ラベル印刷後および写真がラベルに印刷された(紙、プラスチック、またはその他)後に透明ポリマーを印刷すること(インクジェット、熱転写、ラピッドプロトタイピング印刷など)によって、目に見えないまたは目に見える特徴部を含むことができる。いくつかの例では、電子ビーム、キャスト硬化、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、エンボス加工など、他の実行可能な印刷プロセスが使用されてもよい。一実施形態では、ラベルが内面に印刷された後、シュリンクラップまたは透明プラスチックラベルの裏面をエンボス加工することによって、目に見えないまたは目に見える特徴部を追加することができる。
【0023】
図2を参照すると、微細構造を容器自体の上に製造することができ、その構成は
図1に示すラベルの配置に類似することができる。容器は、前部微細構造化領域16と後部微細構造化領域18とを含むことができる。一実施形態では、微細構造は、70μm~1000μmの高さを有する微細構造化特徴を含むことができる。ラベルまたは容器上の微細特徴部を有する微細構造の密度が0.5%~25%の範囲内であり、高温面(外壁など)から、高温面から離れて面している微細特徴部の外側の端に対して静止している第2の面(手など)への熱伝達を低減することができる。微細構造化特徴部は、均一に分布していてもよいし、またはランダムなパターン配列でもよい。
【0024】
図3は、本開示の実施形態に含まれ得るいくつかの微細特徴パターンを示している。パターンは、パターン300(微細構造なし)、302、304、306、308、および310として示されている。パターン302、308、および310は、一般に、楕円形である断面を有する微細特徴部を含み、丸みを帯びた縁部を含むことができる。微細特徴部の長軸が隣接する微細特徴部に対して約180度交互になるように、または交互の直交パターンになるように、様々な微細特徴部を配置することができる。パターン304は、略円形の断面を含み、略平らなまたは丸い先端を有することができる。微細特徴部を、垂直方向の列が隣接する垂直方向の列に対してオフセットされるようにオフセット線形式に配置することができる。パターン306は、基板表面に沿って略平行に延びる隆起部を含む。パターン308は、一般に、上から見たときに楕円形である断面を有する微細特徴部を含む。微細特徴部の長軸が隣接する微細特徴部に対して約180度交互になるように、または交互の直交パターンになるように、様々な微細特徴部を配置することができる。
【0025】
図4Aおよび
図4Bは、略円形の断面を有する微細特徴部を示す斜視図を示している。微細構造化特徴部402は、ピラー、カラム、またはシリンダであってもよく、現在の列の上下の列に対して交互のパターンで配置され得る。さらに、特徴部402は、平らな頂部、湾曲した頂部、尖った頂部、または任意の他の形状を含み得る。
図4Aおよび
図4Bは、平らな頂部を有する特徴部402を示している。
【0026】
図5Aおよび
図5Bは、微細構造化特徴部502の略楕円形の断面を示している。微細特徴部の長軸が隣接する微細特徴部に対して約180度交互になるように、または交互の直交パターンになるように、微細構造化特徴部502を配置することができる。
図5Bは、上から見た斜視図を示している。
【0027】
図6は、ピラー状微細構造602がラベル、クロージャ、または容器上に配置されている本開示の実施形態のパターンを示している。微細構造602は、各カラム604の頂部に、より小さいスケールの第2の微細構造606を有するカラム604を含むことができる。
【0028】
カラム604自体に関しては、それらは正方形の断面、円形の断面、台形の断面、多角形の断面、非対称の断面、または他の任意の形状の断面を有することができる。丸みを帯びたフィレットベースを各カラム604に含めることができる。ラベルまたは容器の接触面または基板上の微細構造は、複数のカラム604を有することができ、カラム604は63cm2/100cm2~242cm2/100cm2の面積を有する。
【0029】
動作中、本開示の特徴部は、容器および保持者の手が濡れていても乾いていても、痛みや擦り傷を引き起こすことなく、容器上の(直接のまたはそのラベルを介した)グリップを高めることができる。本発明の適用は、ゴム、プラスチック、金属、紙、または他の材料である物体にすることができ、ボトル、ラベル、スポーツ用品、道具、およびユーザが保持する他の物体などの品目を含み得る。
【0030】
図7は、図示のようにランドと溝または山と谷の構造を含み得る微細構造化特徴部を有する例示的なパターン700を示している。
図7は、例示的な山702および谷704を示している。
【0031】
図8は、微細構造化特徴部802が反転されて基板800内に下降する、別の例示的なパターンを示している。
【0032】
図9Aおよび
図9Bは、様々な微細構造をどのように互いに重ね合わせることができるかを示している。いくつかの実施形態では、微細構造は互いに重ね合わされた様々な層を含むことができる。これらの層は集合的に複合微細構造を形成することができる。第1の層902を、ラベルまたは容器の表面などの基板または表面904に適用することができる。第1の層902は、それぞれ80μm~120μmの範囲の直径、260μm~300μmのピッチ、および30μm~50μmの深さを有することができる第1の微細構造の第1のセット906を含むことができる。第2の層908を第1の層902上に適用することができ、それぞれが10μm~50μmの範囲の直径、40μm~80μmのピッチ、および30μm~50μmの深さを有することができる第2の微細構造のセット910を含むことができる。第2の層908が第1の層902上に配置されると、第1の層の忠実度が90%以上に維持され得る。一実施形態では、第2の層908の適用は、第1の層902の個々の微細構造906の反りを低減することができる。第3の微細構造のセット914を有する第3の層912を、第1および/または第2の層の上に配置することができる。いくつかの実施形態において、第3の微細構造のセット914は、約10μmの直径、20μmのピッチ、および20μmの深さを有する。いくつかの例では、1つまたは複数の微細構造のセットは、約100μmの直径、約200μmのピッチ、および約200μmの深さを有し得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、第2の層908および/または第3の層912は、水平領域916上の第1の微細構造のセット906の頂部の表面904上に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、第3の層914は、水平領域918上の第2の微細構造のセット908の頂部に配置されてもよい。第3の層912の適用は、第1および/または第2の層を変形させることができる。第3の層912が第1の層902上に配置されると、第1の層902の忠実度は90%以上の忠実度を維持することができる。第3の層912が第2の層908上に配置されると、第2の層908の忠実度が90%以上の忠実度を維持することができる。
【0034】
一実施形態では、微細構造をベース層920に適用することができる。各微細構造のセットを、ベース層920の第1の面に取り付けることができる。ベース層920の他方の面を、接着層922に固定することができる。接着層922を、物品の表面924に固定することができる。接着層922を、物品の表面924に取り外し可能に固定することができる。物品の表面924は、真っ直ぐな外面、湾曲した外面、または他の形状であり得る。
【0035】
図9Bは、第2または第3の微細構造のセットの追加による縁部934などの変形縁部を含み得る第1の微細構造のセット932を有する例示的な微細構造パターン930を示している。第1の微細構造のセット932の変形は、一般に260μm~300μmの間隔で基板に沿って配置された山のパターンをもたらし得る。山は、微細構造のセット内の各微細構造の頂点から下方に全体的に傾斜した形状を形成する丸みを帯びた縁部を含むことができる。微細構造の第2の層936を、第1および第2の層の整列を必要とせずに第1の層932上に配置することができ、それによって2つの層の位置合わせの必要性がなくなる。第3の層(図示せず)は、同様にいかなる整列または位置合わせも必要とせずに第1または第2の層の上に配置され得る。
【0036】
図10は、本開示の実施形態の側面斜視図の一例を示している。例えば、
図10は、ベース層または基板1006に結合または固定された複合微細構造1002を示している。さらに、複合微細構造は人の皮膚1004と接触している。いくつかの例では、接触量は1~7%の範囲内であり得る。
【0037】
本発明の物理的性質、具体的にはヒトの皮膚に対する微細構造化表面の様々な条件下で達成される摩擦を決定するために、リフト試験を実施することができる。一実施形態では、リフト試験の目的は、乾燥状態および潤滑状態の両方で、ヒトの皮膚に対する成形ポリプロピレンプラークのグリップ性能を評価することである。本明細書で使用される「グリップ」は、皮膚と接触したときに表面の横方向に滑ることに対する抵抗の定量化であり得る。グリップは一方向または双方向であってもよい。滑りに対する抵抗の大きさは、加えられた圧力に比例し得る。いくつかの実施形態およびリフト試験では、皮膚に対する複合微細構造化表面の接触割合は、1%~7%の範囲内であり得る。微細構造の単層配置および多層配置の両方を含む特定の微細構造配置について、接触割合は、微細構造または複合微細構造化表面自体の最上部の総面積に対する微細構造または複合微細構造の最頂部の面積の比として計算することができる。例えば、微細構造の上面は、接触割合が10%となるように、100μm2の面積に対して10μm2を覆ってもよい。
【0038】
一実施形態では、皮膚と接触する微細構造は、30μm~100μmの範囲の高さまたは相対高さを有する。相対高さは、第1の微細構造のセットより上の第2の微細構造のセットの高さ、第2または第1のセットより上の第3の微細構造のセットの高さ、または最も外側の微細構造のセットの頂部から次に高い、3番目に高い、またはベース層からの高さであってもよい。微細構造の高さが100μmを超えると、被験者の神経終末との負の相互作用により被験者に不快感を与える可能性がある。微細構造または複合微細構造の高さが30μm未満の場合、十分なグリップを提供するために被験者との十分な接触がない可能性がある。
【0039】
被験者が微細構造または微細構造化ラベルを備えた容器を握ったとき、容器を握るのに必要とされる力は、ボトル、缶、または典型的にはラベルを含む他のハンドヘルド製品のような消費者製品の標準的な動作範囲内に入った。すなわち、被験者によって加えられた力が容器を異常に変形させることもなく、容器を持ち上げるのに異常な力が必要とされることもなかった。2インチ×2インチ×2mmのいくつかのサンプルを標準射出グレードのランダムコポリマー(RCP)ポリプロピレンから製造した。サンプルを半分に切断し、各半分を互いに糊付けして、微細構造がサンプルの両側に存在するようにした。後で張力計に取り付けるために、各サンプルの端部に穴を開けた。方向性パターンについては、最高レベルのグリップを提供するために正しい方向での試験を行った。微細構造サンプルをランダムに選択し、被験者に与えた。被験者には、微細構造自体に関する情報は一切与えられていない。被験者にサンプルを視覚と感触で説明するように依頼した。
【0040】
[実施例1]-ドライ試験
【0041】
微細構造化サンプルを、ある場合には15ポンドの張力計に取り付け、力の読み出し情報を被験者から遠ざけた。微細構造サンプルは、ボトルのような小さな容器を拾い上げるときに使用されたのと略同じ量の圧力で握られた。サンプルを持ち上げて、リフト力を記録した。
【0042】
[実施例2]-潤滑試験
【0043】
微細構造化サンプルを、食器用石鹸(Dawn(登録商標))65%および水35%の溶液に浸し、30秒間垂直に保持して過剰の液体を流れさせた。ドライ試験手順を繰り返した。試験者の指のプルーニング(pruning)を減らすために、潤滑サンプルを連続して流した。
【0044】
以下の表1は、試験した微細構造サンプルについてのドライおよび潤滑条件下の両方の試験結果をまとめたものである。
【表1】
上記の結果はプラスマイナス2ポンドの値を有することができる。被験者はまた、サンプルの微細構造の触覚特性を分析し、「滑らかおよび柔らかい」対「痛みを伴うおよびとげがある」などの快適さに関して触感を評価するように求められた。上記の微細構造のうち、4つは物理的な握りやすさと触感の性能について許容できると見なされた:H003,H049,H079,およびH160。
【0045】
一実施形態では、上に示した微細構造は、表2に示す以下の代表的な寸法を有することができる。
【表2】
微細構造H003では、サイズの第1の寸法は、長さ方向の寸法を表し、サイズの第2の寸法は、微細構造に含まれる微細特徴部の幅方向の寸法を表す。微細構造H160では、サイズの第1の寸法は、第1の微細構造のセットを表し、サイズの第2の寸法は第2の微細構造のセットを表し、ピッチの第1の寸法は、第1の微細構造のセットのピッチを表し、ピッチの第2の寸法は、第2の微細構造のセットのピッチを表す。一実施形態では、サイズ寸法は、それぞれの寸法の±20%の範囲、またはその任意の範囲内であり得る。微細構造のセット内の各微細構造は、円形、楕円形、線形、正方形、長方形、三角形、正弦曲線、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選ぶことができる。表面または基板上の個々の微細構造の配置によって画定される格子は、長方形、三角形、オフセットまたはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される配置であり得る。ピッチ寸法は、それぞれの寸法の±20%の範囲、またはその任意の範囲内であり得る。深さは、それぞれの寸法の±20%の範囲、またはその任意の範囲内であり得る。これらの微細構造パターンを、単一のパターンとすることができ、または同一の基板もしくは表面上の複数の類似または非類似の微細構造のセットを含む複合パターンとすることができる。複合微細構造は、互いに対して整列されている(位置合わせされている)または互いに対して整列されていない(位置合わせされていない)層を含むことができる。
【0046】
一実施形態では、本発明を使用して、ユーザによって手渡される他の物品に追加することができるラベル、ステッカ、ラップなどを作成することができる。例えば、道具、スポーツ用品、および医療機器を追加の用途に含めることができる。多くの場合、物品はユーザによって握られる必要があり、そして確実なグリップを維持するためのユーザの能力を低下させる可能性がある流体にさらされることができる。スポーツ用品は、雨などの天候からの流体にさらされることができる(例えば、野球のバットやゴルフクラブ)。道具は、自動車からの油および他の流体、造園道具を用いて作業するときの雨、およびスイミングプールや池などからの水など、作業環境自体の天候からの湿った環境で使用され得る。ラベル、ステッカ、またはラップは、物品に固定されることができ、ユーザが濡れた状態でも乾いた状態でも物品を握る能力を高めることができる。
【0047】
[実施例3]-追加試験
【0048】
微細構造化サンプルを、ドライ、水、タイド、ダウニー、モータオイル、キャノーラリキッドオイル、ローションを含む様々な条件下で試験した。以下の表3は、試験した微細構造サンプルについての乾燥および潤滑条件下の試験結果をまとめたものである。
【表3】
【0049】
ニュートン単位でのグリップ力が各パターンについて示されている。結果から分かるように、パターン化された構造は「ブランク」サンプルよりも良好に機能し、ユーザがより高いグリップを有することを可能にした。
図11は、各パターンの性能を説明するチャートを示している。
【0050】
特に明記されていない限り、本明細書で使用される用語およびフレーズならびにその変形は、特に断りのない限り、限定するのではなく制限のないものとして解釈されるべきである。同様に、連結詞「および」でリンクされた項目のグループは、それらの項目のそれぞれおよびすべてがグループに存在することを必要とするものとして読まれるべきではなく、特に断りのない限り、「および/または」と読むべきである。同様に、連結詞「または」でリンクされた項目のグループは、そのグループ間の相互排他性を必要とするものとして読まれるべきではなく、特に断りのない限り、「および/または」と読むべきである。
【0051】
さらに、本開示の項目、要素、または構成要素は、単数形で記載または請求され得るが、単数形への限定が明示されない限り、複数形がその範囲内にあることが意図される。いくつかの例では、「1つまたは複数」、「少なくとも」、「これらに限定されない」または他の同様のフレーズなどの広義の単語およびフレーズの存在は、そのような広範なフレーズは存在し得ない例では狭義の場合が意図または要求されることを意味すると解釈されない。
【0052】
本主題は、その特定の例示的な実施形態および方法に関して詳細に記載されてきたが、当業者であれば、前述のことを理解すると、そのような実施形態に対する変更、変形、および均等物を容易に生み出すことができることを理解されよう。したがって、本開示の範囲は、限定ではなく例としてであり、主題の開示は、本明細書に開示された教示を用いて当業者には容易に明らかであるように、本主題に対するそのような変更、変形、および/または追加の包含を排除するものではない。