(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】無線電力送信機を動作させる方法とそれを用いた無線電力送信機
(51)【国際特許分類】
H02J 50/12 20160101AFI20220114BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20220114BHJP
【FI】
H02J50/12
H02J50/80
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019156286
(22)【出願日】2019-08-29
【審査請求日】2019-12-04
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508249697
【氏名又は名称】インテグレーテッド・デバイス・テクノロジー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニコラウス スミス
(72)【発明者】
【氏名】ルイ リウ
(72)【発明者】
【氏名】アミット バビジー
(72)【発明者】
【氏名】ジアンジアン ファン
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル アウングレンセイ
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-103751(JP,A)
【文献】特開2017-070035(JP,A)
【文献】特開2015-080302(JP,A)
【文献】特開2017-028855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00 - 50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線電力送信機を動作させる方法であって、前記無線電力送信機の第1インダクタによって生成される磁場を介して電力が無線電力受信機に無線で転送され、前記無線電力受信機の第2インダクタに第2AC電流を誘導する無線電力転送動作において、
前記無線電力送信機が
前記無線電力受信機と通信を行って前記無線電力受信機の前記第2インダクタの前記第2AC電流を示す値を受信する工程と、
前記無線電力送信機が、前記値に基づいて、前記無線電力受信機の前記第2インダクタを介して流れる電流を減少させることにより、前記第2AC電流を第1の値に
減少させる工程と、
前記無線電力送信機が前記第1インダクタの出力電力を増加させ、前記無線電力受信機の出力電力を
所望の値まで増加させる工程と、
を備える無線電力送信機を動作させる方法。
【請求項2】
前記無線電力送信機の前記第1インダクタの前記出力電力を増加させるにあたり、前記無線電力送信機の前記第1インダクタに電力を供給するDC電圧を増加させる、
請求項1に記載の無線電力送信機を動作させる方法。
【請求項3】
前記無線電力送信機の前記第1インダクタの前記出力電力を増加させるにあたり、前記無線電力送信機の前記第1インダクタを通る第1AC電流の周波数を増加させる、
請求項1に記載の無線電力送信機を動作させる方法。
【請求項4】
前記無線電力送信機が前記第2AC電流を前記第1の値に
減少させるにあたり、前記無線電力送信機と前記無線電力受信機との間での通信を行い、前記第2AC電流を、可能な限り高い動作周波数または可能な限り高い電圧で動作させるように動作点を調整することにより、前記第2AC電流を最小の値に低減するコマンドを前記無線電力送信機が前記無線電力受信機に送信する、
請求項1に記載の無線電力送信機を動作させる方法。
【請求項5】
前記コマンドの送信は、前記無線電力送信機と前記無線電力受信機との間での無線通信において実行される、
請求項4に記載の無線電力送信機を動作させる方法。
【請求項6】
前記無線電力送信機が前記第2AC電流を前記第1の値に
減少させるにあたり、前記無線電力送信機は、前記無線電力受信機から第1の指示を受信するまで、前記無線電力送信機の前記第1インダクタの出力電力を低減する、
請求項1に記載の無線電力送信機を動作させる方法。
【請求項7】
前記第1の指示は、前記無線電力受信機との無線通信において前記無線電力送信機に受信される、
請求項6に記載の無線電力送信機を動作させる方法。
【請求項8】
前記第1の指示は、前記第2インダクタにおける最小電流振幅を示す、
請求項6に記載の無線電力送信機を動作させる方法。
【請求項9】
前記第1の指示は、前記無線電力送信機の前記第1インダクタの出力電力を増加させる要求である、
請求項6に記載の無線電力送信機を動作させる方法。
【請求項10】
無線電力送信機であって、
磁界を発生させて無線電力受信機の第2インダクタに第2AC電流を誘導す
る第1インダクタと、
前記無線電力受信機から前記無線電力受信機の前記第2インダクタの前記AC電流を示す値を受信し、前記値に基づいて、前記無線電力受信機の前記第2インダクタを流れる電流を減少させることにより、前記第2AC電流を第1の値に
減少させ、前記無線電力送信機の第1インダクタの出力電力を増加させて、前記無線電力受信機の出力電力を
所望の値まで増加させるコントローラと、
そ備える無線電力送信機。
【請求項11】
前記無線電力送信機の前記第1インダクタの出力電力を増加させるために、前記第1インダクタに電力を供給するDC電圧を増加させる
請求項10に記載の無線電力送信機。
【請求項12】
前記無線電力送信機の前記第1インダクタの出力電力を増加させるために、前記第1インダクタを通る第1AC電流の周波数を増加させる、
請求項10に記載の無線電力送信機。
【請求項13】
前記無線電力受信機の前記第2AC電流に前記第1の値にさせるにあたり、前記無線電力送信機は、前記無線電力受信機に、その出力電力の値を維持しつつ、前記第2AC電流を最小値に低減するコマンドを送信する、
請求項10に記載の無線電力送信機。
【請求項14】
前記コマンドの送信は、前記無線電力送信機と前記無線電力受信機との間で無線通信において実行される、
請求項13に記載の無線電力送信機。
【請求項15】
前記無線電力受信機の前記第2AC電流に前記第1の値を持たせる際に、前記無線電力送信機は、前記無線電力受信機から第1の指示を受信するまで、前記第1インダクタの出力電力を低減する、
請求項10に記載の無線電力送信機。
【請求項16】
前記第1の指示は、前記無線電力送信機と前記無線電力受信機との間で無線通信において受信される、
請求項15に記載の送信機。
【請求項17】
前記第1の指示は、前記無線電力受信機の前記第2インダクタにおける最小電流振幅を示す、
請求項15に記載の無線電力送信機。
【請求項18】
前記第1の指示は、前記無線電力送信機の前記第1インダクタの出力電力を増加させる要求である、
請求項15に記載の無線電力送信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は無線電力システムに関し、特に、システム制御による無線電力最大効率追跡に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、平成30年8月29日出願の米国仮特許出願第62/724,519号の優先権を主張する。
【0003】
モバイルデバイス、例えばスマートフォンおよびタブレットは、無線電力充電システムをますます使用している。典型的には、無線電力充電システムが時間変化磁場を生成するように駆動される送信機コイルと、時間変化磁場で送信された電力を受信するように送信機コイルに対して配置される受信機コイルとを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線電力伝送システムは無線電力受信機(RX)負荷に必要な電力を供給するように設計されているが、無線電力送信/無線電力受信機システム全体の全体的な効率を最大にすることにあまり注意が払われていない。
【0005】
したがって、無線電力伝送システム全体の効率を最大にするためのより良いシステムを開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施の形態に係る無線電力送信機を動作させる方法は、前記無線電力送信機の第1インダクタによって生成される磁場を介して電力が無線電力受信機に無線で転送され、前記無線電力受信機の第2インダクタに第2AC電流を誘導する無線電力転送動作において、前記無線電力送信機が前記第2AC電流を第1の値にさせる工程と、前記無線電力送信機が前記第1インダクタの出力電力を増加させ、前記無線電力受信機の出力電力を増加させる工程と、を備える。
【0007】
実施の形態に係る無線電力送信機は、無線電力受信機の第2インダクタに第2AC電流を誘導する磁界を発生させるための第1インダクタと、前記第2AC電流を第1の値にし、前記無線電力送信機の第1インダクタの出力電力を増加させて、前記無線電力受信機の出力電力を増加させるコントローラと、を備える。
【0008】
これらの実施形態および他の実施形態は、以下の図面に関して以下でさらに説明される。
【発明の効果】
【0009】
無線電力伝送システム全体の効率が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1はいくつかの実施形態による無線電力伝送システムを示す。
【
図2】
図2はいくつかの実施形態による無線電力伝送システムを示す。
【
図3】
図3は、いくつかの実施形態による無線電力伝送送信機を示す。
【
図4】
図4は、いくつかの実施形態による無線電力伝送受信機を示す。
【
図5】
図5は、いくつかの実施形態による無線電力伝送動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明では、本発明のいくつかの実施形態を説明する特定の詳細が述べられる。しかし、当業者には、いくつかの実施形態がこれらの特定の詳細の一部または全部なしに実施され得ることが明らかであろう。本明細書に開示される特定の実施形態は例示的であることを意味するが、限定的ではない。当業者は本明細書では特に説明しないが、本開示の範囲および精神の中にある他の要素を理解することができる。
【0012】
本発明の態様および実施形態を示すこの説明および添付の図面は、特許請求の範囲が保護された発明を定義するものとして解釈されるべきではない。この説明および特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができる。場合によっては、周知の構造および技術が本発明を不明瞭にしないために、詳細には示されていないか、または説明されていない。
【0013】
一実施形態を参照して詳細に説明される素子およびそれらの関連する態様は、実用的な場合はいつでも、それらが具体的に示されていないかまたは説明されていない他の実施形態に含まれてもよい。例えば、要素が1つの実施形態を参照して詳細に説明され、第2の実施形態を参照して説明されない場合、要素は、それにもかかわらず、第2の実施形態に含まれるものとして特許請求され得る。
【0014】
図1は、電力の無線転送のための無線電力システム100を示す。
図1に示すように、無線電力送信機102は、送信機コイル106を駆動して磁場を生成する。電源104は、無線電力送信機102に電力を供給する。電源104は例えば、バッテリベースの電源とすることができ、または、例えば、60Hzで120Vの交流電流によって電力を供給することができる。無線電力送信機102は、典型的には無線電力規格の1つに従って、典型的にはある範囲の周波数で送信機コイル106を駆動する。本発明の実施形態は無線電力規格のいずれかと共に、または任意の無線電力伝送システムと共に使用されてもよい。
【0015】
無線電力アライアンス(Alliance for Wireless Power)(A4WP)規格および無線電力コンソーシアム(Wireless Power Consortium)規格、Qi規格を含む、電力の無線伝送のための複数の規格がある。A4WP規格の下では、例えば、50ワットまでの電力を、送信機コイル106の近傍の複数の充電装置に、約6.78MHzの電力伝送周波数で誘導的に送信することができる。無線電力コンソーシアム(Wireless Power Consortium)、Qi規格の下では、共振誘導結合システムが装置の共振周波数で単一の装置を充電するために利用される。Qi規格では受信機コイル108が送信機コイル106に近接して配置され、一方、A4WP規格では受信機コイル108が他の充電装置に属する他のコイルと共に、送信機コイル106の近くに配置される。
図1は、これらの規格のいずれかの下で、または他の何らかの方法で動作する、一般化された無線電力システム100を示す。
【0016】
図1にさらに示されるように、送信機コイル106によって生成される磁場は受信機コイル108にAC電流を誘導し、その結果、電力が無線電力受信機110で受信される。無線電力受信機110は負荷112に電力を供給し、負荷112は、バッテリ充電器および/またはモバイルデバイスの他の構成要素であってもよい。無線電力受信機110は、典型的には受信したAC電力を負荷112のDC電力に変換するための整流を含む。
【0017】
現在の無線電力システムはRxの負荷112に基づいて制御され、動作点は無線電力受信機110によって要求される電力の関数である。したがって、動作点は、Rx電力要件を満たすように調整され、電力消費を低減する観点から常に最適であるとは限らない。効率は、Tx VIN(電源104の出力から無線電力送信機102によって生成されるDC電圧)、またはVBRG(VINから無線電力送信機102によって生成され、送信機コイル106を介して駆動されるブリッジインバータによってAC電流に変換されるDC電圧)、送信機コイル106および受信機コイル108で形成される共振タンク(TxおよびRx)の共振周波数、動作周波数制限、ならびに負荷112に送達されるRx出力電圧VOUTおよび電力POUTの関数で動作点の副産物である。
【0018】
効率を決定するパラメータは製品仕様によって大部分が設定されているので、特定の電力伝送動作における効率を最大にするように調整することはできず、したがって、効率は固定された事前設定パラメータの副産物であった。効率を高めるためのこれまでの努力はコイル設計(DCR(DC抵抗)およびACR(AC抵抗)の低減、およびフェライト透磁率の変化)、出力電圧(VOUT)および入力電圧(VIN)をより高い固定値に増加させること、ならびにより良好な性能およびより低い電力損失(これはシステムのコストを増加させ得る)を有する構成要素を選択することに。
【0019】
しかし、本発明のいくつかの実施形態では、効率が動作周波数、VBRG電圧、およびVOUT電圧などの動作パラメータを事前設定し、固定したままにするのではなく、能動的に調整することによって増大させることができる。
【0020】
図2は、本発明のいくつかの実施形態に従って実行することができる無線電力送信機202および無線電力受信機210を有する例示的な無線電力伝送システム200を示す。
図2に示すように、無線電力送信機202は、送信機コイルドライバ224を制御するように結合された制御部222を含む。送信機コイルドライバ224は、AC電流で送信機コイル106を駆動するように結合される。制御部222はまた、場合によってはパケット形式で、通信部226を介してデータを送受信するように結合される。通信部226は例えば、周波数変調技術を使用してデータを無線電力受信機210に送信し、振幅変調技術で変調されたデータを無線電力受信機210から受信することができる。
【0021】
同様に、無線電力受信機210は、受信機コイル108に結合されたRX整流器234の動作を制御するように結合された制御部232を含む。制御部232は上述したように、無線電力送信機202とデータを送受信する通信部236に結合される。制御部222および/または制御部232は、無線電力送信機202および無線電力受信機210をそれぞれ動作させることができる任意の処理システム(マイクロコントローラ、メモリ、サポート回路)とすることができる。
【0022】
無線電力送信機202の例は
図3により詳細に示され、無線電力受信機210の例は
図4により詳細に示される。
【0023】
無線電力伝送システム200は効率を最大にするために、Rx出力電力POUTおよびTx上の相対位置に従ってVBRGおよび/またはVOUT電圧を調整することによって、動作点を設定するように制御される。これは、これらの重要なパラメータを固定し、結果として生じる効率を受け入れることとは対照的である。
【0024】
この方式を実現するために、無線電力受信機210は、その出力電圧VOUT、および/または出力電流IOUT、および/またはRx出力電力POUTを無線電力送信機202に報告して、無線電力送信機202がRx電力を推定できるようにする。(いくつかの実施形態では、Rxレポートが報告済みパワーパケット(RPP)を送信することによって作成される)無線電力送信機202の電圧レギュレータ310(
図3)を使用して、VBRGおよび/またはVINを調整し、無線電力受信機210に強制し、無線電力送信機202が最高動作周波数で動作するよう、電力レベルの変化を要求させることができる。これにより、送信機コイル106、受信機コイル108の誘導結合が増加し、TxおよびRx共振タンクを通って流れる最小電流でシステムが同じ電力レベルPOUTを供給するように動作できるようになる。特に、電圧VINおよび/またはVOUTは以下の(式1)ように相互インダクタンス(M)に関連する送信機コイル106の電流I_Tx_coilを最小化するように、電圧レギュレータ310によって設定することができる。
【0025】
V_Rx_coil=2π*f*M*I_Tx_coil (式1)
【0026】
ここで、V_Rx_coilは受信機コイル108の両端間の電圧(EMF)であり、fは動作周波数(Hz)である。
【0027】
V_Rx_coilおよびI_Tx_coilは、RMS(二乗平均平方根)値と見なすことができる。効率は、I_Tx_coilまたはI_Rx_coilが増加すると低下する。コイル電力損失は、次式(式2)で与えられる。
【0028】
損失=(I_Tx_coil)^2*ACR_TX+(I_Rx_coil)^2*ACR_RX (式2)
【0029】
ここで、I_Tx_coilは送信機コイル106内のRMS(二乗平均平方根)電流であり、I_Rx_coilは受信機コイル108内のRMS電流であり、ACR_TXは送信機コイル106のACR(AC抵抗)であり、ACR_RXは受信機コイル108のACRである。また、AC電流が高いほど、Tx内のDC電流が高くなり、Tx電源からTxコイルまでのあらゆる構成要素における損失が比例関係で増大する。したがって、送信および受信コイル電流I_Tx_coil、I_Rx_coilを減少させることは、エネルギー損失を減少させ、電力伝達効率を増加させる。
【0030】
いくつかの実施形態では、コイル電流I_Tx_coil、I_Rx_coilは電圧がすべて増加するので、受信機-送信機通信に基づく動作点を使用して、高出力電力POUTを負荷112に依然として送達しながら、低減される。
【0031】
図3の例示的な送信機では電圧レギュレータ310が電源104からの電力信号をDC電圧VIN、VBRG(おそらく5.0V未満;本発明は例示のために提供される特定の電圧値または他のパラメータ値に限定されない)に変換する。電圧VBRGは、スイッチQ1~Q4(場合によってはバイポーラまたは電界効果トランジスタ、例えばNMOS)によって形成されるブリッジインバータに入力される。制御部222によって制御されるこれらのスイッチは2つの対(Q1、Q4)および(Q2、Q3)を形成し、一方のスイッチ対は開いており、他方のスイッチ対は、制御部222によって、動作周波数fで閉じている。その結果、交流電流I_Tx_coilは、送信機コイル106およびコンデンサC1によって形成される共振タンクを介してVBRG端子と接地との間を流れる。電流振幅、したがって、電流によって生成される磁界の(所与の動作周波数における)振幅および変化率は、所与の動作周波数および共振タンクに対するVBRG電圧を調整することによって調整することができる。
【0032】
無線電力受信機210(
図4)では、受信機コイル108およびコンデンサC2は共振タンクを形成し、そのAC電流I_Rx_coilはRX整流器234によって整流される。示される特定の例では、RX整流器234が制御部232によって制御されるトランジスタQ5~Q8を含む同期整流器である(また、効率および安定性を最大にするために、対または他の組み合わせで)。RX整流器出力は負荷112に供給される。コンデンサC3、及び場合によっては他の送信器及び受信器構成物を含めて、適切な動作パラメータ及び機能を提供することができる。
【0033】
電力転送動作の間、および場合によっては電力転送自体の直前に、無線電力送信機202および無線電力受信機210は、動作パラメータを設定するために互いに通信する。
図5のステップ520に示すように、送信機は、受信機に受信コイル電流I_Rx_coilをある最小値に低減させる。例えば、いくつかの実施形態では通信プロトコルが送信機がI_Rx_coil電流を、出力電流IOUTがゼロまたはゼロ近くに達するが、任意の有意な長さの時間にわたってゼロに留まらない最小値に低減するように、受信機に命令することを可能にする。出力電流がかなりの長さの時間にわたってゼロに留まった場合、出力電力はこの長さの時間の間にゼロであり、したがって効率はゼロであり、ワイヤレス接続を維持するために必要なすべての電力は、送達される電力なしで消費される。
【0034】
受信機は、例えばトランジスタQ5~Q8のデューティサイクルを低減することによって、またはトランジスタのゲート電圧を低減することによって、そのコイル電流I_Rx_coilを低減することができる。
【0035】
他の実施形態では、ステップ520が以下のように実行される。受信機の制御部232はVOUTおよび/またはIOUTおよび/またはPOUTおよび/またはI_Rx_Coil値を監視し、これらの値を無線電力送信機202に周期的に提供する。送信機は受信機から受信した値を監視しながら、それらの値が最小受信コイル電流I_Rx_coilを示すまで、および/または受信機が送信機に出力電力を増加させるように要求するまで、送信機コイル106の出力電力を徐々に減少させる。(送信機は例えば、VBRG、および/または動作周波数、ならびに/またはスイッチQ1~Q4のデューティサイクルおよび/またはゲート電圧を低減することによって、その出力電力を低減することができるが、いくつかの実施形態ではデューティサイクルが50%に維持され、動作周波数fは例えば、送信機の共振タンク周波数に応じて、ある限界内に維持される)送信機がその出力電力を減少させる一方、受信機は最大ゲート電圧で50%デューティサイクルで整流器を動作させることによって、その出力電圧および電流VOUT、IOUTを最大にしようとする。
【0036】
次いで(ステップ530)、送信機は例えば、VBRG電圧、および/または動作周波数、および/またはブリッジインバータのデューティサイクルおよび/またはゲート電圧を増加させることによって、その出力電力を増加させる。その結果、VOUTおよびPOUTは所望の値に増加する。コイル電流I_Tx_coil、I_Rx_coilも増加するが、この増加は上述したように、最初にステップ520でI_Rx_coil電流を最小化するため、効率の改善に比べて最小である。
【0037】
VBRG調整は、VOUTおよび/またはIOUTおよび/またはPOUTおよび/またはI_Rx_coilパラメータの受信機の報告に基づいて、電力転送動作全体にわたって継続することができる。具体的には、ステップ520および530が電力転送中に周期的に繰り返される。
【0038】
いくつかの実施形態では、送信機および/または受信機のデューティサイクルが全体を通して50%に固定され、ステップ520および530で変更されない。
【0039】
いくつかの実施形態は、以下の項によって定義される:
【0040】
第1項は送信機のインダクタ(例えば、送信機コイル106)によって生成される磁場を介して電力が無線で転送され、無線電力受信機のインダクタ(例えば、受信機コイル108)にAC電流を誘導する無線電力伝送動作において無線電力送信機を動作させる方法を定義し、この方法は以下を含む。
【0041】
送信機はAC電流を第1の値(例えば、ステップ520における低いI_Rx_coil値)にさせ、次いで、送信機は受信機の出力電力(例えば、POUT)を増加させるために、送信機のインダクタの出力電力を増加させる(例えば、ステップ530において、場合によってはVBRGおよび/または動作周波数を増加させることによって)。
【0042】
第2項は、送信機のインダクタの出力電力を増加させる前記送信機は前記送信機のインダクタに電力を供給するDC電圧(例えば、VBRG)を増加させることを含む、前記第1項に記載の方法。
【0043】
第3項は、前記送信機のインダクタの出力電力を増加させる前記送信機は前記送信機のインダクタを通るAC電流の周波数(例えば、動作周波数)を増加させることを含む、前記第1項または前記第2項に記載の方法。
【0044】
第4項は、前記受信機のインダクタ内のAC電流に第1の値を持たせる前記送信機は、前記受信機のインダクタのAC電流を最小値に低減するコマンドを前記受信機に送信することを含む、前記第1項から前記第3項までのいずれかに記載の方法。
【0045】
第5項は、前記コマンドの送信は、前記受信機との無線通信において実行される、前記第4項に記載の方法。
【0046】
第6項は、前記受信機のインダクタ内のAC電流を第1の値を有するようにする前記送信機は、前記受信機から第1の指示を受信するまで、前記送信機のインダクタの出力電力を低減するステップを含む、前記第1項から前記第5項までのいずれかに記載の方法。
【0047】
第7項は、前記第1の指示は、前記受信機との無線通信において受信される、前記第6項に記載の方法。
【0048】
第8項は、前記第1の指示が受信機のインダクタにおける最小電流振幅を示す(最小電流振幅は、I_Rx_coil値および/またはPOUTおよび/またはVOUTおよび/またはIOUT値を送信する受信機によって示されてもよい)、前記第6項または前記第7項に記載の方法。
【0049】
第9項は、前記第1の指示は、送信機のインダクタの出力電力を増加させる要求で前記第6項、前記第7項、または前記第8項に記載の方法。
【0050】
本発明は上述の方法を実行するように構成された送信機を含み、例えば、ハードワイヤードおよび/またはソフトウェアプログラム方式で適切に構成された制御部222を有する。
【0051】
上記の詳細な説明は、本発明の特定の実施形態を例示するために提供され、限定することを意図するものではない。本発明の範囲内で、多くの変形および修正が可能である。本発明は、以下の特許請求の範囲に記載されている。
【符号の説明】
【0052】
100:無線電力システム
102:無線電力送信機
104:電源
106:送信機コイル
108:受信機コイル
110:無線電力受信機
112:負荷
200:無線電力伝送システム
202:無線電力送信機
210:無線電力受信機
222:制御部
224:送信機コイルドライバ
226:通信部
232:制御部
234:RX整流器
236:通信部
310:電圧レギュレータ
520、530:ステップ
C1、C2、C3:コンデンサ
IOUT:Rx出力電流
POUT:Rx出力電力
Q1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6、Q7、Q8:スイッチ
VBRG:VINから無線電力送信機102によって生成され、送信機コイル106を介して駆動されるブリッジインバータによってAC電流に変換されるDC電圧
VOUT:Rx出力電圧