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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】ドアロック
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/14 20060101AFI20220114BHJP
   E05B 65/00 20060101ALI20220114BHJP
   A47L 15/42 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
D06F39/14 Z
E05B65/00 N
A47L15/42 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019500233
(86)(22)【出願日】2017-07-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-10
(86)【国際出願番号】 CN2017091621
(87)【国際公開番号】W WO2018006790
(87)【国際公開日】2018-01-11
【審査請求日】2020-06-09
(31)【優先権主張番号】201610525155.6
(32)【優先日】2016-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201611122616.1
(32)【優先日】2016-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ワン ヤン
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-120902(JP,A)
【文献】特開平10-272293(JP,A)
【文献】実開平02-113376(JP,U)
【文献】特開2010-150885(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0042105(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104746303(CN,A)
【文献】特開平10-286394(JP,A)
【文献】特開2017-176296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/14
E05B 65/00
A47L 15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアロック(100)において、
ドアに取り付けられたフック(101)と、
ベース(114)と、
ドアを閉じたときに前記フック(101)が係合する開口溝(202)を有し、前記開口溝に係合した前記フックを係止するロック位置と、前記フックを前記開口溝から解放するロック解除位置との間で回転可能に前記ベース(114)に取り付けられたカム(201)と、
前記カム(201)に対して接近、離反する方向に移動可能に前記ベース(114)に取り付けられ、前記カム(201)に当接することによって、該カム(201)の回動に伴って前記ベース(114)上を往復移動するスライダー(204)と、
前記スライダー(204)に取り付けられ、回転可能な状態または回転不可能な状態になることが可能な揺動ブロック(401)と
前記揺動ブロック(401)を回転不可能なようにロックするか、或いは、該揺動ブロック(401)を回転可能なように解放する揺動ブロックロック機構(402、403、405、407)とを具備し、
前記揺動ブロック(401)はばね孔(405)を有し、
前記揺動ブロックロック機構は、
前記ばね孔内から突出可能に同ばね孔内に配置されたローラー(402)と、
前記ばね孔内に配置されたばねガイド(403)と、
前記ばねガイド(403)に外嵌され、前記ばね孔から突出する方向に前記ローラーに弾性力を付与するばね(407)とを具備し、
前記スライダー(204)には、段状突起(410)が設けられた収容室(431)が設けられており、
前記段状突起(410)は、前記ローラー(402)が前記揺動ブロック(401)から突出して該段状突起(410)に接触すると、該ローラー(402)と係合し、それによって、該揺動ブロック(401)の回転運動を阻止し、
前記フックを前記カムの開口溝から脱離させる方向に付勢すると、前記カムが回転し、これによって、前記スライダーが該カムから離反する方向に付勢されるが、前記ローラーが前記段状突起に係合することによって、前記スライダーが前記カムから離反する方向への移動が阻止され、
前記フックを更に前記カムの開口溝から脱離させる方向に付勢すると、前記ローラーが前記段状突起に押圧される方向に前記揺動ブロックが付勢され、前記ローラーが前記ばね孔内に移動することによって、前記揺動ブロックが回転可能となり、これにより、前記スライダーが前記カムから離反する方向に移動可能なり、前記フックが前記カムの開口溝から離反可能となることを特徴とするドアロック。
【請求項2】
前記揺動ブロック(401)は、ロック位置に対応する第1の位置(B点)と、ロック解除位置に対応する第2の位置(A点)とを有するハート形溝(411)を更に備えることを特徴とした請求項に記載のドアロック。
【請求項3】
ピン(303)が設けられた摺動機構(302)を備え、
ハート形溝(411)は、摺動機構(302)の上方に位置し、
ピン(303)は、前記ハート形溝(411)に挿入され、該ハート形溝(411)のロック位置(B点)とロック解除位置(A点)との間で運動することを特徴とした請求項に記載のドアロック。
【請求項4】
前記摺動機構(302)は前記ベース(114)に取り付けられており
前記揺動ブロック(401)は、突出部(420)を有し、前記ベース(114)は、突起(305)を有し、
前記揺動ブロック(401)の突出部(420)と、前記ベース(114)の突起(305)とが互いに係合して、前記揺動ブロック(401)を前記ローラーが前記段状突起に係合する位置に復帰させることを特徴とした請求項に記載のドアロック。
【請求項5】
前記カム(201)には、前記カム(201)がロック解除位置になると、前記フック(101)を押し出す方向に前記カムを付勢する捻りばね(210)が設けられていることを特徴とした請求項に記載のドアロック。
【請求項6】
信号によって起動し、前記カム(201)をロック位置からロック解除位置へ移動させる自動ロック解除装置(103、433)を更に備えることを特徴とした請求項に記載のドアロック。
【請求項7】
自動ロック解除装置(103、433)が、
前記揺動ブロック(401)の前記ローラー(402)を該揺動ブロック(401)の内部に押し込む操作レバー(433)と、
前記操作レバー(433)を駆動するアクチュエーター(103)と具備することを特徴とした請求項6に記載のドアロック。
【請求項8】
該ドアロックは、前記スライダー(204)に取り付けられ、該スライダー(204)を前記カムに接近する方向に付勢するリターンスプリング(213)を更に備え、
前記カム(201)の捻りばね(210)の弾性力は、前記スライダー(204)の前記リターンスプリング(213)の弾性力よりも大きいことを特徴とした請求項に記載のドアロック。
【請求項9】
該ドアロックは、緩衝機構(1201、1202、1203)を更に備え、該緩衝機構(1201、1202、1203)は、該ドアロックがロック状態にある場合に、加えられた外力を緩和することを特徴とした請求項に記載のドアロック。
【請求項10】
前記緩衝機構(1201、1202、1203)は、レバー片(1201)と、レバー軸(1203)と、レバーばね(1203.1、1203.2)とを備え、
前記レバー片(1201)には、上部(1213)と、中部(1214)と、下部(1215)とが含まれ、
前記レバー片(1201)の中部(1214)の背面は、前記レバー軸(120)を収容する凹溝(1204)になるように湾曲し、
摺動機構(302)が円盤(321)を有する摺動盤(302)を備え、
前記上部(1213)は、前記摺動盤(302)の前記円盤(321)の縁部に近接していることを特徴とした請求項に記載のドアロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気器具装置(洗濯機および食器洗い機等)のドアロックに関し、特に、電気器具装置(洗濯機および食器洗い機等)のドアを複数の方式によって開けるドアロックに関する。
【背景技術】
【0002】
ドアロック機構は、電気器具装置(洗濯機、食器洗い機等)のドアのロックまたは開放の制御に用いることができる。
【0003】
電気器具装置を正常に使用するには、装置のドアロック機構に対して多方面のニーズがある。例えば、電気器具のドアを開ける種々の便利な方式を使用者に提供する必要があり、また、電気器具装置が種々の状態で確実に運転するように確保する必要もある。その上、一部の商用または家庭用電気器具装置のドアロック機構では、子供を守る安全機構を備える必要がある。例えば、ドアが側面に設けられたドラム式洗濯機のドアロック機構は、例えばドラム式洗濯機のドラムに子供が誤って入った場合、子供が洗濯機のドラムから出て来られるように、閉じられたドアを相対的に小さい力で内側から押し開けることができるようになっている必要がある。
【0004】
本発明は、上記のニーズを満たすドアロック機構を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ドアロック機構に対する種々のニーズを満たすために、本発明は、使用者がドアの外(外側)からのプッシュ-プッシュまたはプッシュ-プルの方式によって施錠およびドア開放を行うことができ、施錠後に、ドアの中(内側)からの押す方式または自動方式によってドアを開けることもでき、自動でドアを開けることもできるドアロック構造を提供する。本発明のドアロック構造の実施の形態は、次の通りである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、カムと、駆動装置とを具備し、
前記カムは、開口溝を有しており、該カムの開口溝に対してドアに取り付けられたフックが挿入されると、該カムの中にフックが固定され、
前記駆動装置は、前記ドアの外部からの押す力、該ドアの外部からの引く力、該ドアの内部からの押す力、または制御信号による起動によって、前記カムをロック位置からロック解除位置へ移動させる、ドアロックを含む。
【0007】
本発明の第2の態様は、カムと、駆動装置とを具備し、
前記カムは、開口溝を有しており、該カムの開口溝に対してドアに取り付けられたフックが挿入されると、該カムの中にフックが固定され、
前記駆動装置は、前記ドアの外部からの押す力、該ドアの外部からの引く力、または該ドアの内部からの押す力によって、前記カムをロック位置からロック解除位置へ移動させる、ドアロックを含む。
【0008】
第2の態様に記載のドアロックによると、前記駆動装置は、スライダーと、揺動ブロックとを具備し、
前記スライダーは、前記カムに当接し、該カムの回動に伴って往復運動するものであり、該スライダーが前記フックを押さえ付ける側にある場合には、該フックをロック位置に固定し、ロックが解除されると、該スライダーが該フックから離れる側に運動可能になることによって、カムがフックを解き放し、
前記揺動ブロックは、前記スライダーに取り付けられているとともに、前記カムをロック位置またはロック解除位置に保持可能な機構を有し、
前記揺動ブロックは、回転動作可能な状態または回転不可能な状態になることができる。
【0009】
第2の態様に記載のドアロックによると、前記揺動ブロックは、揺動ブロックロック機構を備え、
前記揺動ブロックロック機構は、該揺動ブロックを回転不可能なようにロックするか、または、該揺動ブロックを回転可能なように解放するためのものである。
【0010】
第2の態様に記載のドアロックによると、前記揺動ブロックは、ハート形溝を更に備え、
前記ハート形溝は、ロック位置に対応する第1の位置(B点)と、前記ロック解除位置に対応する第2の位置(A点)とを有している。
【0011】
第2の態様に記載のドアロックによると、前記揺動ブロックロック機構は、ローラーと、ばねガイドと、ばねとを具備し、
前記ばねは、前記ばねガイドに外嵌されており、前記ローラーに弾性力を付与し、
前記揺動ブロックは、ばね孔を有し、
前記ばねと、前記ばねガイドと、前記ローラーとは、前記ばね孔に取り付けられている。
【0012】
第2の態様に記載のドアロックによると、スライダーには、段状突起が設けられた収容室が設けられ、
前記段状突起は、ローラーが前記揺動ブロックから突出して該段状突起に接触すると、該ローラー(402)と係合して、該揺動ブロックの回転運動を阻止するためのものである。
【0013】
第2の態様に記載のドアロックによると、前記駆動装置は、摺動機構を更に備え、
前記摺動機構には、ピンが設けられ、
前記ハート形溝は、摺動機構の上部に位置し、
前記ピンは、前記ハート形溝に挿入されているとともに、該ハート形溝のロック位置(B点)とロック解除位置(A点)との間で運動する。
【0014】
第2の態様に記載のドアロックによると、前記駆動装置は、ベースを更に備え、
前記ベースには、前記摺動機構が取り付けられ、
前記揺動ブロックは、突出部を有し、前記ベースは、突起を有し、
前記揺動ブロックの突出部と、前記ベースの突起とが互いに嵌合して、該揺動ブロックを振れ位置に復帰させる。
【0015】
第2の態様に記載のドアロックによると、前記カムには、カムがロック解除位置になると前記フックを押し出す捻りばねが設けられている。
【0016】
第2の態様に記載のドアロックによると、前記駆動装置は、自動ロック解除装置を更に備え、
信号の起動によって該駆動装置が前記カムをロック位置からロック解除位置へ移動するようになっている。
【0017】
第2の態様に記載のドアロックによると、前記自動ロック解除装置は、操作レバーと、アクチュエーターとを具備し、
前記操作レバーは、前記揺動ブロックの前記ローラーを揺動ブロックの内部に押し込むためのものであり、
前記アクチュエーターは、前記操作レバーを駆動するためのものである。
【0018】
第2の態様に記載のドアロックによると、該ドアロックは、リターンスプリングを更に備え、
前記リターンスプリングは、前記スライダーに取り付けられており、該スライダーをリセットするためのものであり、
前記カムの前記捻りばねの弾性力は、前記スライダーの前記リターンスプリングの弾性力よりも大きくなっている。
【0019】
第2の態様に記載のドアロックによると、緩衝機構を備え、該緩衝機構は、該ドアロックがロック状態にある場合に、加えられた外力を緩和するためのものである。
【0020】
第2の態様に記載のドアロックによると、前記緩衝機構は、レバー片と、レバー軸と、レバーばねとを具備し、
前記レバー片には、上部と、中部と、下部とが含まれ、
前記レバー片の中部の背面は、前記レバー軸を収容する凹溝になるように湾曲し、
前記摺動機構は、円盤を有する摺動盤を備え、
前記上部は、前記摺動盤の前記円盤の縁部に近接している。
【発明の効果】
【0021】
本発明のドアロックは、揺動ブロックによるスライダーの制御によってカムをロックするか、または解放することで、ドアロックのロックおよび解除を制御する。また、揺動ブロックは、回転状態と、回転不可能な状態とになることができ、揺動ブロックが回転すると、外力による押し引き、または電気器具のドアの内側から押すことによって、ドアロックを開けることができる。さらに、別個のアクチュエーターによって揺動ブロックのロックおよび解除を行い、これを回転させて、カムを解放し、ロック解除の目的を果たすことができる。その上、本発明には、アクチュエーターの故障に至るような外力によるスライダーの望ましくない変位を吸収可能な緩衝機構が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】本発明のドアロック100の正面から示した全体構成模式図であり、分解図の形式でドアロック100の一部の部材を示している。
図1B】本発明のドアロック100の背面から示した全体構成模式図である。
図2図1Aのドアロック100の上カバー117を取り、アクチュエーター103を取り去った構成模式図である。
図3A】スライダー204およびスイッチケース105から取り外した図2のベース114の構成模式図である。
図3B】本発明のピン303の構成模式図であり、ピン303の更に詳細な構成を示している。
図4A】スライダー204の背面構成模式図である。
図4B】本発明の揺動ブロック401の背面構成模式図である。
図4C】本発明の揺動ブロック401の断面図である。
図4D】本発明の揺動ブロック401の正面構成模式図である。
図5A】スライダー204から取り外した図4Aの揺動ブロック401および操作レバー433の構成模式図である。
図5B】操作レバー433の背面構成模式図である。
図6】本発明のドアロックの全体構成断面図である。
図7A-1】ドアロック100の側面構成断面図である。
図7A-2】図7A-1の状態におけるピン303と揺動ブロック401のハート形溝411との相対位置の模式図である。
図7B-1】ドアロック100の側面構成断面図であり、本発明のフック101のカム201への挿入中であるが、ロックされていないときの構成および状態を示す模式図である。
図7B-2】図7B-1の状態におけるピン303と揺動ブロック401のハート形溝411との相対位置の模式図である。
図7C-1】ドアロック100の側面構成断面図であり、本発明のフック101がカム201に挿入され、その上、ロックされたときの構成および状態を示す模式図である。
図7C-2】図7C-1の状態におけるピン303と揺動ブロック401のハート形溝411との相対位置の模式図である。
図8A-1】外部の引く力または内部の押す力で解錠する過程を示すためのものである。
図8A-2】外部の引く力または内部の押す力で解錠する過程を示すためのものである。
図8B-1】外部の引く力または内部の押す力で解錠する過程を示すためのものである。
図8B-2】外部の引く力または内部の押す力で解錠する過程を示すためのものである。
図9A】本発明のスライダー204の3つの断面図であり、自動解錠の過程においてアクチュエーター103が揺動ブロック401を回転させてロック解除する過程を示す模式図である。
図9B】本発明のスライダー204の3つの断面図であり、自動解錠の過程においてアクチュエーター103が揺動ブロック401を回転させてロック解除する過程を示す模式図である。
図9C】本発明のスライダー204の3つの断面図であり、自動解錠の過程においてアクチュエーター103が揺動ブロック401を回転させてロック解除する過程を示す模式図である。
図10A】本発明のベース114および揺動ブロック401の横断面図であり、揺動ブロック401が回転後に非振れ位置に復帰した状態を示すための模式図である。
図10B】本発明のベース114および揺動ブロック401の横断面図であり、揺動ブロック401が回転後に非振れ位置に復帰した状態を示すための模式図である。
図11】ドアロック100の横断面図であり、ドアロック100がロック状態にあるときのスライダー204とスイッチケース105のロックブロック1101との位置関係を示すためものである。
図12A】それぞれ、ベース114の斜視図およびベース114の構成斜視図および図12Aに対応する構成分解図であり、図11に示す隙間Hに設けられた緩衝機構を示すためのものである。
図12B】それぞれ、ベース114の斜視図およびベース114の構成斜視図および図12Aに対応する構成分解図であり、図11に示す隙間Hに設けられた緩衝機構を示すためのものである。
図13A】ドアロック100の断面図であり、図12A、12Bの緩衝機構の動作過程を示すためのものである。
図13B】ドアロック100の断面図であり、図12A、12Bの緩衝機構の動作過程を示すためのものである。
図13C図13Aの一部拡大図であり、緩衝機構の動作過程の更に具体的な細部を示すためのものである。
図13D図13Bの一部拡大図であり、緩衝機構の動作過程の更に具体的な細部を示すためのものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本明細書の一部をなす図面を参照しながら本発明の種々の具体的な実施形態を説明する。本発明では、例えば「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」、「頭」、「尾」等の方向を示す用語を用いて本発明の種々の例示の構成部分および構成要素を説明するが、ここでこれらの用語を用いるのは、単に説明の便宜のために、図に示された例示の方位に基づいて決定されたものにすぎないと理解すべきである。本発明で開示された実施形態は異なる方向で設けることができるので、方向を示すこれらの用語は、単に説明をしているにすぎず、制限とみなすべきでない。可能な場合には、本発明で用いられる同一または類似の図面の符号は同一の部材を示している。
【0024】
図1Aは、本発明のドアロック100の正面から示した全体構成模式図であり、分解図の形式でドアロック100の一部の部材を示している。図1Bは、本発明のドアロック100の背面から示した全体構成模式図である。
【0025】
図1Aに示すように、ドアロック100は、ドアロックケース110を備え、ドアロックケース110の上部には、上カバー117が設けられ、ドアロックケースの上カバー117における頭部側の上には、フック101を収容するためのドアロック孔112が設けられている。フック101は、ドアロック孔112の上方に位置しており、フック101がドアロック本体110の上のドアロック孔112からドアロック100の内部に挿入されると、ドアロック100内部のカム(図2のカム201参照)に引っ掛かり、上記カムがロックされると、それに伴って電気器具のドアがロックされる。
【0026】
図1Aにおいて、ドアロック100は、作動部材103と、スイッチケース105とを更に備えている。ドアロックの上カバー117における頭部側の下には、底面119が設けられ、上カバー117と底面119との間には、作動部材103が収容される収容室115が設けられている。アクチュエーター103は、リターンスプリング121と、コア122と、先端の触針123とを備えた電磁駆動部材(図6参照)である。アクチュエーター103が起動信号を受信すると、その内部のコイル(図6のコイル121参照)が通電されて、コイル121がコア122に対して電磁推進力を生じ、触針123を押し出すが、遮断すると、触針123が引っ込められる。以下の図、の説明からわかるように、触針123の役割は、次の点にある。すなわち、触針123が押し出されると、触針123がスライダー204の操作レバー433(図4A参照)を押し動かし、それによって、スライダー204の揺動ブロック401が回転可能な状態になる。
【0027】
スイッチケース105は、上カバー117における尾部側の下に取り付けられている。以下の図、に対する説明からわかるように、スイッチケース105の機能は、主にスライダー204のロックまたは解除であり、ドアロック100を制御する主回路のオンまたはオフである。
【0028】
図1Bに示すように、ロック本体の上カバー117における頭部側の下には、ベース114が設けられ、ロック本体の上カバー117における尾部側の下には、スイッチケース105が設けられ、ベース114と、スイッチケース105とは、上カバー117の下面においてドアロック本体110の幅方向に隣り合って設けられている。
【0029】
図2は、図1Aのドアロック100の上カバー117を取り、アクチュエーター103を取り去った構成模式図であり、ベース114と、スイッチケース105と、スライダー204における部材と、ベース114、スイッチケース105およびスライダー204の関係とを更に具体的に示すためのものである。
【0030】
図2において、ベース114と、スイッチケース105とは、上カバー117の下面においてドアロックケース110の幅方向に並列に隣り合って設けられている。スライダー204は、ドアロックケース110の幅方向に沿ってベース114とスイッチケース105とに渡って上カバー117とスイッチケース105との間に設けられており、スライダー204の頭部でベース114の上方の一部を覆うことができるようになっている。スライダー204には、ロック孔219が設けられており、スイッチケース105のロックブロック(図11のロックブロック1101参照)が突き出してロック孔219に挿入されると、スライダー204がロックされるようになっている。
【0031】
図2に示すように、ベース114には、カム201が設けられている。カム201は、フック101の下方に設けられ、カム201の本体は、新月状の湾曲構造となっており、円弧状の開口溝202が設けられている。開口溝202の上端は、湾曲フック205となっている。フック101がドアロック孔112に挿入されると、カム201が回動するように押し動かされ、カム201の回動により、湾曲フック205がフック101の孔102に挿入されてフック101を引っ掛ける。開口溝202の下端206と、フック101の先端とは、接触するようになっている。フック101が挿入されると、フック101の先端が開口溝202の下端206を押さえ付けて、反時計回りに回転するようにカム201を押し動かすことができる。
【0032】
カム201は、両側の丸軸212、214を通じてベース114に固定され、丸軸212、214周りに回転運動可能になっている。丸軸212、214には、捻りばね210が被せて設けられている。捻りばね210は、捻りばね210.1、210.2として両側に設けられており、カム201をリセットさせるねじり力を付与するものである。フック101がカム201から抜けると、捻りばね210.1、210.2がカム201を時計回りに回転させる。カム201の尾端(開口溝202とは離間する方の遠端)の両側には、カムピン211が更に設けられ、カムピン211は、スライダー204の左端に当接している。また、捻りばね210は、ドアを開けるオフセット力を付与する。すなわち、カム201およびスライダー204がロック解除位置にある場合には、捻りばね210がフック101をカム201から弾き出すようになっている。
【0033】
図2に示されているのは、スライダー204の正面であり、スライダー204の尾端には、リターンスプリング213が設けられている。カム201の捻りばね210のねじり力は、スライダー204のリターンスプリング213の弾性力よりも大きくなっている。リターンスプリング213と捻りばね210との相互作用により、カム201が回転運動をすると、これに伴ってスライダー204が往復運動をする。具体的には、リターンスプリング213は、カム201のカムピン211にスライダー204を当接させる初期張力を付与し、捻りばね210は、カム201を反時計回りに回転させる付勢力を付与する。このように捻りばね210とリターンスプリング213とが互いに協働しており、カム201が時計回りおよび反時計回りに回転すると、カム201の背面とスライダー204との間の接触により、これに応じてスライダー204が往復移動するようになっている。
【0034】
図3Aは、スライダー204およびスイッチケース105から取り外した図2のベース114の構成模式図であり、ベース114に設けられた部材と、これらの部材間の関係とを更に具体的に示すためのものである。
【0035】
図3Aからわかるように、ベース114には、横溝311が設けられ、横溝311は、摺動盤302を収容するためのものであり、摺動盤302は、横溝311に沿って横方向に移動することができる。プッシュ-プッシュでドアを開閉する操作の場合、摺動盤302の横溝311に沿った横方向の移動により、ピン303をハート形溝411内で横方向に移動させることができる。スライダー204の移動に対して緩衝操作する必要がある場合には、摺動盤302は、横溝311の幅方向に移動することができる(図13D参照)。スライダー204の移動に対して緩衝操作する必要がない場合には、横溝311の幅方向における摺動盤302の移動が規制される(図13C参照)。摺動盤302には、ピン303(その内部構成は、具体的には図3Bを参照されたい)が設けられている。ピン303の下端は、円盤321の孔に挿入されているが、ピン303の上端は、スライダー204の揺動ブロック401のハート形溝411に挿入されている(図4C参照)。ベース114の1つのコーナー(後部左のコーナー)には、更に突起305が設けられ、突起305は、揺動ブロック401の突出部420と嵌合するものであり(図4C参照)、揺動ブロック401を非振れ位置へ復帰させるのに用いられる(図10A、10B参照)。
【0036】
図3Bは、本発明のピン303の構成模式図であり、ピン303の更に詳細な構成を示している。
【0037】
図3Bに示すように、摺動盤302は、円盤321と、円盤321の一端が延びたソケット322とを備えている。ソケット322には、底部を閉じた収容室325が設けられ、円盤321の中心には、挿入孔323が設けられている。挿入孔323は、収容室325に連通しており、挿入孔323には、ピン(スチール針)303を挿入することができる。ピン303の一端(尾部の端)とソケット322の内底との間には、ばね324が設けられている。スライダー204に設けられたハート形溝411が摺動盤302の上方に位置しているので、摺動盤302のピン303の下端が揺動ブロック401のハート形溝411内に挿入されており(図5A参照)、ソケット322のばね324の弾性力によりスチールのピン303を上下移動させて、ピン303がハート形溝411の底部に常に接触するように、ハート形溝411の深さの変化に応じてピン303の円盤321からの突出高さを調節することができる。ピン303とハート形溝411との間の相対的な位置関係は、スライダー204およびカム201の操作状態が反映される。
【0038】
図4Aは、スライダー204の背面構成模式図である。図4Bは、本発明の揺動ブロック401の背面構成模式図であり、揺動ブロック401の背面の構成を示すためのものである。図4Cは、本発明の揺動ブロック401の断面図であり、揺動ブロック401内部のロック機構を更に明確に示すためのものである。図4Dは、本発明の揺動ブロック401の正面構成模式図であり、ハート形溝411の構成を更に明確に示すためのものである。
【0039】
図4Aに示すように、スライダー204の内部には、揺動ブロック401を収容するための収容室431が設けられ、揺動ブロック401は、収容室431内において回転運動することができる。揺動ブロック401の回転ロック機構(ローラー402およびロッド409参照)を通じて、揺動ブロック401は、収容室431において、回転可能な状態または回転不可能な状態に設けることができる。本発明では、揺動ブロック401が回転可能な状態において、プッシュ-プルによるドア開閉操作方式と、自動でドアを開ける方式とを実施することができる。また、揺動ブロック401が回転不可能な状態において、プッシュ-プッシュによるドア開閉操作方式を実施することができる。
【0040】
揺動ブロック401は、揺動ブロック401の背面の一端の円形孔412に延在する軸(図6の軸605参照)を通じて収容室431内に回動可能に固定されている。ローラー402が収容室431の辺縁部の段状突起410に係合して、揺動ブロック401を係止し、このとき、揺動ブロック401は、回転不可能な状態になる。ローラー402が収容室430内に引っ込むと、ローラー402に対する段状突起410の係合力がなくなり、このとき、揺動ブロック401は、回転可能な状態になり、従って、揺動ブロック401は、振れを生じることができるようになる。ローラー402がばね407の弾性力によって突出するので、ドアを引く力または押す力で揺動ブロック401に回転を強いる力がばね407の弾性力よりも大きくなると、ローラー402が収容室430内に押し戻され、このとき、揺動ブロック401は、回転することができるようになる。また、外力がローラー402に直接加えられてローラー402を収容室430内に押し戻した場合にも、揺動ブロック401は、回転することができるようになる。スライダーの収容室431の片側には、操作レバー433が設けられており、操作レバー433は、揺動した場合にローラー402に力が直接加わり、ローラー402を収容室430内に押し戻すことができ、従って、揺動ブロック401は、回転することができるようになる。操作レバー433の構成は、具体的には図5B、5Cを参照されたい。
【0041】
図4Bに示すように、揺動ブロック401は、全体的に扇状構造であり、扇状構造の端部には、円形孔412が設けられ、スライダー204の収容室431の底部には、軸(図6の軸605参照)が設けられており、円形孔412が軸605に被せられ、このように、孔412によって、揺動ブロック401は、スライダー204の内部の収容室(図4Aの収容室431参照)内に回動可能に固定されている。図4Bでは、揺動ブロック401の縁部の一部から突出したローラー402がわかる。揺動ブロック401の内部におけるローラー402を制御するための構成は、揺動ブロック401の断面図である図4Cを参照されたい。
【0042】
図4Cで説明するように、切り開いた揺動ブロック401からその内部構成がわかる。図4Cに示すように、揺動ブロック401には、ばね孔405が設けられ、ばね孔405における揺動ブロック401近傍の縁部には、収容室430が1つ設けられ、収容室430には、ローラー402が収容されており、外力を受けていない場合には、ローラー402の一部が収容室430の外部に延在している。ばね孔405には、ばねガイド403と、ばね407と、スリーブ409とが設けられている。ばねガイド403の近端は、ローラー402に連結され、ばね407と、スリーブ409とは、ばねガイド403に外嵌され、スリーブ409は、ばね407とローラー402との間に位置し、スリーブ409の一端は、ばね407に接触し、スリーブ409の他端は、ローラー402に接触している。
【0043】
本実施形態では、ローラー402は、収容室430においてばね孔405に沿って往復運動することができる。従って、ローラー402は、収容室430から突出することで揺動ブロック401の縁部の外側に突出することができる。或いは、ローラー402は、収容室430内に引っ込むことで揺動ブロック401の縁部の内側に引っ込むことができる。外力がない状況では、ローラー402が後方のばね407に当接し、ローラー402の一部が揺動ブロック401の縁部から突出して、スライダー204の収容室辺縁の1つの段状突起(図4Aの段状突起410参照)に係合することにより、揺動ブロック401が固定されることになり(図9A参照)、従って、揺動ブロック401が回転動作不可能な状態になる。外力が作用している状況では、外力がローラー402を押し込むように作用しており、外力がばね407の弾性力に抗するように作用すると、ローラー402が収容室430内に引っ込み、段状突起410が揺動ブロック401を解放し、従って、揺動ブロック401が回転動作可能な状態になる。当業者にとっては、ローラー402は、ボールまたは他の構成であってもよい。
【0044】
図4Dに示すように、揺動ブロック401は全体的に扇状構造であり、揺動ブロック401の正面には、ハート形溝411が設けられ、ハート形溝411には、2つの停留点、すなわち、ハート形の端部A点と、ハート形の中央部B点とが設けられている。なお、ハート形の端部A点がロック解除位置に対応しており、ハート形の中央部B点がロック位置に対応している。また、ハート形溝411には、2つの非停留位置、すなわち、C点(第1の移行位置)と、D点(第2の移行位置)とが設けられている。ハート形の中央部B点には凹部450があり、ピン303がハート形の中央部B点の凹部450にある場合には、ピン303の移動が規制されるので、スライダー204も移動することができなくなる。つまり、ピン303がハート形の中央部B点の凹部450にある場合には、ハート形溝411内をピン303が摺動可能な状態に復帰しようとすれば、ピン303をハート形の中央部B点の凹部450から移動させる必要がある。
【0045】
ピン303がハート形溝411内部に当たったまま運動する場合、A点からB点への運動を第1の運動経路とし、第1の運動経路は、第1の移行位置C点を経由する必要があり、C点で折り返してB点に移動する。また、B点からA点への運動を第2の運動経路とし、第2の運動経路は、第2の移行位置D点を経由する必要があり、D点で折り返してA点に移動する。ピン303がハート形溝411内でB点からD点へまたはD点からA点へ移るには、いずれも横方向に距離があり、また、ピン303がハート形溝411でA点からC点へまたはC点からB点へ移るにも、いずれも横方向に距離がある。従って、揺動ブロック401が回転不可能な状態において、ピン303がハート形溝411内で往復運動した場合、これに応じて、摺動盤302が横溝311内で横方向に移動することになる。
【0046】
図4Dにおいて、揺動ブロック401の片側には、更に突出部420が設けられている。揺動ブロック401が振れた場合において、スライダー204がカム201から離れる方向へ移動したとき、突起305が突出部420に押さえ付けられ、スライダー204の作用力によって、突起305が揺動ブロック401を非振れ位置に戻すようになっている。
【0047】
図5Aは、揺動ブロック401と操作レバー433との位置関係を更に適切に示すように、スライダー204から取り外した図4Aの揺動ブロック401および操作レバー433の構成模式図である。図5Bは、本発明の操作レバー433の更に詳細な構成模式図である。
【0048】
図5Aに示すように、操作レバー433は、内側部511と、外側部413とを有している。操作レバー433の内側部511は、揺動ブロック401に対向する側に設けられ、すなわち、操作レバー433の内側部511は、揺動ブロック401のローラー402を有する側に対向しており、操作レバー433の内側部511の近端では、揺動ブロック401の方向へ耳部522が延在し、耳部522には、孔523が設けられている。孔523をスライダー204内の軸(図6の軸607参照)に装着することにより、操作レバー433が軸607周りに回動するようになっている。操作レバー433が軸607周りにローラー402に向かって回動すると、操作レバー433の内側部511がローラー402に力を直接加えて、ローラー402を収容室430に押し戻すことができ、従って、揺動ブロック401が回転可能な状態になる。
【0049】
図5Bは、操作レバー433の背面構成模式図である。
【0050】
図5Bに示すように、操作レバーの内側部511の遠端では、揺動ブロック401から離れる方向に繋ぎ部432が延在しており、繋ぎ部432の遠位に外側部413が延在している。操作レバー433の外側部413には、孔523から離れる方向に前端532が延在している。繋ぎ部432と孔523との間では、操作レバーの内側部511に接触部531が設けられている。
【0051】
再び図4Aを参照すると、繋ぎ部432が収容室431の壁体を乗り越えており、操作レバーの内側部511は、収容室431内に設けられて、収容室431の内壁に密接しており、操作レバーの外側部413は、収容室431外に設けられて、スライダー204の外壁に密接している。外力で前端532が押し動かされると、操作レバー433が回動し、それによって、接触部531がローラー402を押圧することができるようになる。
【0052】
図6は、本発明のドアロックの全体構成断面図であり、アクチュエーター103がどのように揺動ブロック401のローラー402を駆動するかを示すためのものである。
【0053】
図6から、ドアロック100のベース114に設けられたカム201と、カム201の両側の捻りばね210.1、210.2と、スライダー204と、スライダー204の収容室431と、収容室431に設けられた揺動ブロック401と、アクチュエーター103とがわかる。アクチュエーター103は、ベース114およびスライダー204の片側に設けられている。アクチュエーター103は、リターンスプリング121と、コア122と、触針123と、コイル121とを備えている。触針123の先端は、操作レバー433の前端532に近接し、操作レバー433の接触部531は、ローラー402に近接し、ローラー402は、収容室431の段状突起410に係合している。アクチュエーター103が電気信号を受信して起動すると、コイル121が通電され、コイル121に発生する電磁力により、コア122が前へ移動するように駆動され、それによって、触針123が前へ突出する。その後、触針123が操作レバー433の前端532を押し動かし、それによって、操作レバー433の接触部531がローラー402を押し込んで、揺動ブロック401のばね403の弾性力に抗し、それによって、ローラー402が収容室430内に押し戻され、段状突起410から離脱し、従って、揺動ブロック401が回転可能な状態になる。
【0054】
図7A-1は、ドアロック100の側面構成断面図であり、本発明のフック101がまだカム201に挿入されていないときの構成および状態を示す模式図である。図7A-2は、図7A-1の状態におけるピン303と揺動ブロック401のハート形溝411との相対位置の模式図である。
【0055】
図7A-1に示すように、フック101は、カム201から離れた位置にある。このとき、カム201は、解放位置にあり、捻りばね210の弾性力の位置エネルギーにより、反時計回りに回転する形勢にあり、スライダー204は、カム201の背面により右側(カム201から離れる方向)へ押されている。スライダー204のリターンスプリング213は、圧縮状態にあり、スライダー204は、カム201に向かって運動する形勢にあるが、運動の形勢は、カム201に遮られており、スライダー204とカム201とは、相対的に安定した位置にある。すなわち、ドアロック100は、ロック解除位置にある。このとき、図7A-2に示すように、ピン303は、スライダー204のハート形溝411に位置するA位置にあり、スライダー204の揺動ブロック401は、ローラー402が段状突起410で係止されているので、回転不可能な状態にある。
【0056】
図7B-1は、ドアロック100の側面構成断面図であり、本発明のフック101のカム201への挿入中であるが、ロックされていないときの構成および状態を示す模式図である。図7B-2は、図7B-1の状態におけるピン303と揺動ブロック401のハート形溝411との相対位置の模式図である。
【0057】
図7B-1に示すように、ドアを閉じる必要がある場合には、ドアの外側からドアに押す力を付与して、フック101をカム201に向かって運動させると、フック101の先端がカム201の開口の下端206に接触することになり、フック101が挿入される際の押す力が捻りばね210のねじり力に抗してカム201を反時計回りに回転させ、カム201が図7A-1の位置から図7B-1の位置へ移動する。カム201の湾曲フック205が回転してフック101の溝202に挿入されると同時に、カム201が反時計回りに回転するので、スライダー204に突き当っていたカム201の力が弱くなり、従って、スライダー204のリターンスプリング213の弾性力がスライダー204を押し動かしてカム201に向かって運動させ、スライダー204が揺動ブロック401をピン303に対して運動させ、ピン303がハート形溝411の下方の第1の経路に沿ってA位置からC位置へ移動する。
【0058】
図7C-1は、ドアロック100の側面構成断面図であり、本発明のフック101がカム201に挿入され、その上、ロックされたときの構成および状態を示す模式図である。図7C-2は、図7C-1の状態におけるピン303と揺動ブロック401のハート形溝411との相対位置の模式図である。
【0059】
図7C-1に示すように、外界の押す力がなくなると、捻りばね210のねじり力によりカム201が時計回りに或る小角度だけ回転し、カム201がスライダー204を押し動かして或る距離だけ右へ移動させる。また、図7C-2に示すように、ハート形溝411は、ピン303に対してC位置で折り返してB位置へ移動する。ピン303が中心部B点の凹部450にあり、ピン303に対向する面に加えて、他の三面も規制されているので、スライダー204は、右(カム201から離れる方向)へ移動することができない。しかも、カム201が回動不可能なように、スライダー204がカム201の背面を押さえ付けているので、カム201の上端の湾曲フック205がフック101の孔102に引っ掛けられて、施錠操作が実施される。
【0060】
なお、図7A-2、図7B-2、7C-2の破線で示すように、このとき、摺動盤302がスライダー204の長手方向に移動することができないので(図13C参照)、ピン303は、スライダー204の長手方向に移動することができない。すなわち、このとき、ピン303は移動しないが、揺動ブロック401は移動する。まさに揺動ブロック401の移動により、ピン303の位置がハート形溝411に対して相対的に運動するようになっている。
【0061】
図7B-1は、外部の押す力を用いてドアを開ける操作を図示するのにも用いることができる。具体的には、ドアがロックされた後に、電気器具のドアを外部の押す力で正常にロック解除して開けるには、電気器具装置をオフ状態にする必要があり、また、スイッチケース105をスライダー204に対して解除する必要がある。外力でドアを押してフック101を駆動させる場合、カム201の動作は、図7B-1に示す通りである。具体的には、外部の押す力によりフック101がカム201を押し動かすようにすると、カム201が反時計回りの或る小角度だけ回転することになり、それによって、カム201が図7C-1に示す状態から図7B-1に示す状態に移動する。従って、カム201の背面がスライダー204から離れる方向に(左に)移動し、これに応じて、スライダー204のばね213の付勢力の作用によってスライダー204がカム201の方向に(左に)或る少しの距離だけ移動し、従って、ピン303がB点からD点へ移動する。B点の凹部450がピン303から離れる方向へ移動するので、揺動ブロック401は回転することができない。押す力がなくなると、カム210の捻りばね210のねじり力がスライダー204のばね213の弾性力に抗し(すなわち、カム210の捻りばね210のねじり力がスライダー204のばね213の弾性力よりも大きくなり)、それによって、スライダー204が右に(カム201から離れる方向に)移動し、従って、これに応じて、捻りばね210のねじり力の作用によってハート形溝411が或る距離だけ右に移動し、ピン303がハート形溝411においてD点の位置で折り返してA点へ移動することになり、ドアロックは解除位置になる。ハート形溝411においてB点からD点またはD点からA点へ移るには、いずれも或る横方向の距離があるので、揺動ブロック401が回転不可能な状態では、ハート形溝41におけるピン303の横方向の移動には、摺動盤302が横溝311においてその分横方向に移動する必要がある。
【0062】
図8A-1、図8A-2、図8B-1、8B-2は、外部の引く力または内部の押す力で解錠する過程を示すためのものである。図8A-1は、スライダー204の断面図であり、本発明のフック101がカム201に挿入され、その上、ピン303がハート形溝411のB点の位置にあるときのスライダー204の内部構成の動作状態を示す模式図である。図8A-2は、図8A-1状態におけるピン303とハート形溝411との相対位置の模式図である。
【0063】
図8A-1に示すように、ピン303がハート形溝411のB点の位置にある場合には、揺動ブロック401のローラー402が段状突起410により係止され、揺動ブロック401は振れていない。図8A-2に示すように、このとき、ピン303は、ハート形溝411のB点にある。
【0064】
図8B-1は、スライダー204の断面図であり、本発明のフック101がカム201に挿入され、その上、ドアが外部から引っ張られた(または、ドアが内部から押された)ときのスライダー204内部の構成および状態を示す模式図である。図8B-2は、図8B-1の状態におけるピン303と揺動ブロック401のハート形溝411との相対位置の模式図である。
【0065】
なお、ドアに外側から引く力を加えるか、またはドアに内側から押す力を加えると、ドアとドアロック100との間の作用点における力はいずれもフック101に伝えられるが、カム201に対する2つの力の作用方向が同じであるので、この2つのドア開放方式は、いずれも図8B-1、8B-2を用いて説明することができる。
【0066】
ドアの外側からドアに引く力を加えると(または、ドアの内側からドアに押す力を加え始めると)、ドアに取り付けられたフック101が、引く力(または内部の押す力)の作用によって、カム201を引っ張って時計回りに回転させ、カム201の時計回りの回転によりスライダー204を押し動かして右に移動させる。このとき、揺動ブロック401が係止された状態にあるので、スライダー204が右に移動することで揺動ブロック401が軸605周りに時計回りに回転する形勢となり、それによって、ローラー402が段状突起410に対して反時計回りに回転する反力を生じ、ローラー402のばね407を押す。ドアの外側からドアに引く力を加えて(または、ドアの内側からドアに押す力を加え始めて)ばね407の弾性力に抗すると、ローラー402が押されて収容室430に入り、従って、揺動ブロック401に対する段状突起410の障害がなくなり、それによって、揺動ブロック401が回転可能な状態になるので、スライダー204が揺動ブロック401を軸605周りに時計回りに回転させ、従って、揺動ブロック401が図8A-1に示す位置から図8B-1に示す位置に回動する。ピン303は、B点の凹部450の位置から外れて、ハート形溝411のB点で折り返してA点へ移動する。ピン303がA点にある場合にはスライダー204の移動の障害とならないので、スライダー204は、カム201を解放する。カム201は、捻りばね210の作用によって、時計回りに解除位置へ回転する。
【0067】
図9A図9B、9Cは、本発明のスライダー204の3つの断面図であり、自動解錠の過程においてアクチュエーター103が揺動ブロック401を回転させてロック解除する過程を示す模式図である。
【0068】
図9Aは、揺動ブロック4012が段状突起410により係止されたときの状態を示す模式図であり、フック101およびドアロック100の各部材の構成は、図7C-1と同じである。
【0069】
図9Bに示すように、自動ロック解除の場合には、アクチュエーター103が起動信号を受信し、アクチュエーター内部のコイル121が通電されて電磁力が発生し、電磁力でコア122を動かし、触針123を押し出し、触針123が操作レバー433の前端532を押し動かし始め、操作レバー433が軸607周りに回動し、ばね407の弾性力に抗するようにローラー402に対して押し込む力を徐々に加えていく。
【0070】
図9Cに示すように、ローラー402に加わる操作レバー433の力がばね407の弾性力に抗すると、ローラー402が段状突起410を乗り越えて、揺動ブロック401の係合の規制がなくなる。また、捻りばね201のねじり力の作用によって、カム201を押し動かして時計回りに回転させ、さらに、カム201がスライダー402を押し動かして右に運動させるが、ピン303が揺動ブロック401のハート形溝のB点の凹部450にあるので、ピン303は、スライダー402の長手方向に移動することができない。このため、スライダー402の移動により、揺動ブロック401は軸605周りに時計回りに回転せざるを得ず、それによって、ハート形溝411に対するピン303の位置がB点からA点へ直接(C点またはD点を経由することなく)移動して、ドアロックがロック解除される。このような方式が電気器具の自動解錠であり、電気器具のドア開放の自動化が図られるので、スマート電気器具の開発傾向に沿うことができる。
【0071】
図10A、10Bは、本発明のベース114および揺動ブロック401の横断面図であり、揺動ブロック401が回転して非振れ位置に復帰した状態を示すための模式図である。
【0072】
図10Aに示す部材の位置は、外力によるロック解除または電磁ロック解除の後に揺動ブロック401が反時計回りに回転した図8B-1または図9Cに示す状態の模式図に対応している。図10Aに示すように、ロック解除動作が完了すると(すなわち、ローラー402が揺動ブロック401内に後退すると)、揺動ブロック401は自由に回動することができるようになってピン303の拘束から抜け出すので、スライダー204に対するそれまでのピン303の支持力がなくなり、カム201の軸の捻りばね210により、カム201がドア開放位置に回転させられることになり、また、カム軸211によって、スライダー402がベース114に対して右またはカム201から離れる方向(図のA方向)に向かってドア開放状態の位置へ移動する。図10Aでは、揺動ブロック401のボール402は、スライダーの収容室431の係合段差部410から離れている。しかし、揺動ブロック401の突出部420は、スライダー204の突起305に接触または近接している。図10Aのカム軸211は、カム201がスライダー402を押し動かす推進装置である。
【0073】
図10Bに示すように、スライダー402がベース114に対して右(カム201から離れる方向)に移動すると、スライダー402とベース114との相対運動によりベース114の突起305が揺動ブロック401の突出部420を動かすことになり、それによって、揺動ブロック401が反時計回りに回転して、揺動ブロック401が突起段差部410に対向する位置まで戻され、再び揺動ブロック401を係止し、ピン303がハート形溝411のA点の位置に戻る。これと略同時に、スライダー204と、カム201もリセット(すなわち、ドア開放状態の位置への復帰)が完了する。
【0074】
図11は、ドアロック100の横断面図であり、ドアロック100がロック状態にあるときのスライダー204とスイッチケース105のロックブロック1101との位置関係を示すためのものである。
【0075】
図11に示すドアロック100では、電気器具のドアが正常に閉まると、フック101がカム201により固定されて、カム201の背面がスライダー204により押さえ付けられる。図2に示すように、スイッチケース105は、スライダー204の下部に位置している。従って、ロックブロック1101がスイッチケース105から上へ突出すると、スライダー204のロック孔219に挿入され、従って、カム201がロックされる。このとき、ローラー402が段差部410に係止されているので、揺動ブロック401は、回転不可能な状態にある。図11では、スライダー204のロック孔219の孔壁とロックブロック1101との間に隙間Hがある。本実施形態では、隙間の距離を0.45mmとし得る。この隙間Hは、ドアロック100をロック孔219に正常に挿入するのに必要なものである。しかしながら、この隙間があるので、外力によりフック101が突然外に引っ張られると、カム201がスライダー204を急激に押し動かして右(カム201から離れる方向)に移動させることになり、このような急激な推進は、ピン303に衝撃力を加えるおそれがあり、ピン303に不具合を発生させ得る。
【0076】
図12A、12Bは、それぞれ、ベース114の斜視図およびベース114の構成斜視図、12Aに対応する構成分解図であり、図11に示す隙間Hに設けられた緩衝機構を示すためのものである。
【0077】
図12A、12Bに示すように、緩衝機構は、ベース114の端部に設けられたレバー片1201と、レバー軸1202と、一対のレバーばね(1203.1、1203.2)とを備えている。レバー片1201には、上部1213と、中部1214と、下部1215とが含まれている。レバー片1201は、ベース114の尾部に立設されており、上部が摺動盤302の円盤321の縁部に近接している。レバー片1201の中部1214の背面は、凹溝1204になるように湾曲しており、凹溝1204は、レバー軸1202を収容するためのものである。従って、レバーばね(1203.1、1203.2)の弾性力の作用によって、レバー片1201は、レバー片1201の上部1213が円盤321の縁部に近接するか、またはそれを押さえ付けるように、レバー軸1203周りに或る特定の角度だけ反転することができ、従って、レバーばね(1203.1、1203.2)は、円盤321にオフセット力を付与することができる。
【0078】
図13A、13Bは、ドアロック100の断面図であり、図12A、12Bの緩衝機構の動作過程を示すためのものである。図13C、13Dは、それぞれ図13A、13Bの一部拡大図であり、緩衝機構の動作過程の更に具体的な細部を示すためのものである。
【0079】
図13A、13Cには、ドアを閉じた後において外側の引く力または内側の押す力が加えられていない場合の各関連部材の位置関係を示している。図13A、13Cに示すように、底部におけるレバーばね(1203.1、1203.2)の外側への弾性力のため、レバー片1201がレバー軸1203周りに反時計回りに回転する形勢にあり、それによって、レバー片1201の上部1213が円盤321の縁部に近接している。円盤321の縁部とレバー片1201の上部1213とには隙間があるので、横溝321における摺動盤302の摺動に支障がないようになっている。このとき、カム201の捻りばね210の右向きの付勢力はレバーばね(1203.1、1203.2)の弾性力に抗するには不十分であるので、摺動盤302は、レバー片1201の上部1213により規制されており、上下に移動することができない。
【0080】
図13B、13Dには、ドアを閉じた後において外力によりフックが突然外に引っ張られた場合の各関連部材の位置関係を示している。図13Dに示すように、カム201の捻りばね210にはスライダー204を右に押し動かす付勢力が生じていること、加えて、ドアを引っ張る引く力により、スライダー204が右に移動する。このとき、捻りばね210の右への付勢力、加えてドアを引っ張る引く力が、レバーばね(1203.1、1203.2)の弾性力に抗して、円盤321の縁部がレバー片1201の上部1213を押し、従って、スライダー204に伴って摺動盤302が隙間Hの距離だけ右へ移動(または、略移動)すると、ロックブロック1101がスライダー204のロック孔219の孔壁に接触して、スライダー204の移動が止まる。外力によりフック101が突然外に引っ張られると、スライダー204の右(カム201から離れる方向)への移動に伴って、これに応じて、摺動盤302は、隙間Hの距離だけ退避し、従って、ピン303に対する衝撃力がなくなるか、または緩和される。
【0081】
図に示す緩衝機構は、レバーばね1203.1、1203.2によりスライダー204の移動を吸収するような変位を生じるものであり、弾性力の大きさの程度の制御が容易であり、取付けが容易であり、ドアロック100の量産に適している。ただし、実際には、図に示す緩衝機構に限定されるものではなく、弾性力を有するワイヤー部材等のスライダー204の移動を吸収するのに有益な他の部材も、本発明の緩衝機構に類似した均等の設計に該当する。
【0082】
図示した具体的な実施形態を参照して本発明を説明したが、理解されるように、本発明により教示される精神および範囲並びに背景から逸脱しない限り、本発明の緩衝機構を備えるドアロックは、多数の変更形態を有することができ、本発明の状態表示装置および検出スライダーは、他の構成の電気器具のドアロックにも適用することができる。当業者が異なる形態に想到して本発明で開示される実施形態のパラメーターを改変したものも全て、本明細書および請求の範囲の精神および範囲に包含される。
【符号の説明】
【0083】
100 ドアロック
101 フック
102 孔
103 アクチュエーター
105 スイッチケース
110 ドアロックケース(本体)
112 ドアロック孔
114 ベース
115 収容室
117 上カバー
119 底面
121 コイル(リターンスプリング)
122 コア
123 触針
201 カム
202 開口溝
204 スライダー
205 湾曲フック
206 下端
210 カム
211 カムピン(カム軸)
212 丸軸
213 リターンスプリング
214 丸軸
219 ロック孔
302 摺動盤
303 ピン
305 突起
311 横溝
321 円盤
322 ソケット
323 挿入孔
325 収容室
401 揺動ブロック
402 ローラー
403 ガイド
405 孔
409 スリーブ
410 段状突起
411 ハート形溝
412 円形孔
413 外側部
420 突出部
430 収容室
431 収容室
432 繋ぎ部
433 操作レバー
450 凹部
511 内側部
522 耳部
523 孔
531 接触部
532 前端
605 軸
1101 ロックブロック
1201 レバー片
1202 レバー軸
1204 凹溝
1213 上部
1214 中部
1215 下部
4012 揺動ブロック
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6
図7A-1】
図7A-2.7B-2.7C-2】
図7B-1】
図7C-1】
図8A-1】
図8A-2】
図8B-1】
図8B-2】
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図13D