(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】屋外用の配管を連結するための継手装置
(51)【国際特許分類】
F16L 27/113 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
F16L27/113
(21)【出願番号】P 2019520970
(86)(22)【出願日】2017-10-26
(86)【国際出願番号】 EP2017077490
(87)【国際公開番号】W WO2018078036
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】102016120446.3
(32)【優先日】2016-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514240600
【氏名又は名称】フォン カイツ,アンドレアス
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】フォン カイツ, アンドレアス
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-084315(JP,U)
【文献】特表2016-510387(JP,A)
【文献】特表2015-517061(JP,A)
【文献】米国特許第03458219(US,A)
【文献】米国特許第03031213(US,A)
【文献】特表2016-509170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 27/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの配管(3、4)を連結するための継手装置(1)であって、前記2つの配管(3、4)の接続を確立するために軸方向において互いに連結され接続されている
と共に取り外し可能に軸方向(100)において連結され接続され得る2つの継手部分(11、12)を備え、前記2つの継手部分(11、12)は、前記継手装置(1)の周方向に分配されバネ荷重を受ける複数の継手要素(8)によって、前記継手装置(1)の前記軸方向に対して横から作用する力により通常の位置に対して互いに屈曲され得るような態様で互いに固定されており、前記継手要素(8)は、屈曲された位置における前記バネ荷重によって、前記継手部分(11、12)に前記通常の位置へ向かう方向の復元力を及ぼ
し、
前記継手部分(11、12)の接続部は、少なくとも1つのシール(5)によって周囲に対して密封されており、前記2つの継手部分(11、12)は、前記継手装置の周方向に分配されバネ荷重を受ける複数の継手要素(8)によって、特定の行程を超えた後に当該継手要素(8)の連結が解除されるまで、前記バネ荷重により作用するバネ力とは逆向きに互いに離れる向きに移動し又は屈曲することができ、その結果、前記継手部分(11、12)は分離することができ、前記2つの継手部分(11、12)は、分離までに、少なくとも0.5度の屈曲角度だけ屈曲することができる、継手装置(1)。
【請求項2】
前記継手部分(11、12)のうち少なくとも一方、好ましくは前記2つの継手部分(11、12)が連結された状態における前記継手装置は、水中で浮遊可能であることを特徴とする、請求項
1に記載の継手装置。
【請求項3】
前記継手部分(11、12)のうち少なくとも一方が、前記継手装置(1)の前記軸方向(100)に対して傾斜した少なくとも1つの継手面(7)を備え、前記継手装置(1)は、周方向に分配されたバネ荷重を受ける継手要素(8)を備え、当該継手要素(8)は、前記継手部分が連結された状態において、1つ又は複数の前記継手面(7)と接触状態にあり、且つ、径方向において前記バネ荷重に抗して移動可能又は旋回可能であり、前記傾斜した継手面(7)によって、前記バネ荷重の径方向に作用する力が軸方向に作用する力に変換され、当該軸方向に作用する力によって、前記2つの継手部分(11、12)は、それらの継手端部(110、120)において連結を保ち、前記継手部分は、前記継手要素(8)が径方向において前記バネ荷重に抗して移動されるという態様で、前記軸方向に対して横向きに作用する力により前記径方向に作用するバネ荷重に抗して屈曲されることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の継手装置。
【請求項4】
前記継手要素(8)は、前記継手面(7)に対応すると共に前記軸方向(100)に対して傾斜した面(80)を備え、その結果、前記継手部分(11、12)の軸方向に互いに離れる向きへの移動、及び、それによって仲介される継手要素(8)の径方向の移動の際、前記継手要素及び前記継手面(7)の前記対応する面は、互いに摺動する、ことを特徴とする請求項
3に記載の継手装置。
【請求項5】
少なくとも1つの継手要素(8)がバネ要素(9)を含み、前記バネ要素(9)が伸縮可能なバネリング(90)を含む、ことを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の継手装置。
【請求項6】
バネ荷重を受ける前記継手要素(8)はレバー(82)を含み、前記レバー(82)は前記バネ荷重に抗して旋回可能に支持されている、ことを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載の継手装置(1)。
【請求項7】
前記レバー(82)は、径方向における位置が調整可能な旋回点(85)の周りで旋回運動が行われるように支持されている、ことを特徴とする請求項
6に記載の継手装置(1)。
【請求項8】
前記レバー(82)は、レバーアーム(83、84)に沿った長手方向の位置が異なる2つの旋回軸を備えるように支持されており、その結果、第1の旋回軸の周りで前記継手部分(11,12)を離れる方向に移動させること又は互いに屈曲させることによって旋回が引き起こされ、第2の旋回軸の周りでの旋回によって前記継手部分(11,12)を連結するための前記継手要素(8)の開放が引き起こされる、ことを特徴とする請求項
6又は
7に記載の継手装置(1)。
【請求項9】
前記2つの継手部分は
、継手端部(110、120)を含むと共に、それぞれ、前記継手端部(110、120)に向かって開放された空洞(19、20)と、密封装置(13、14)とを備え、前記密封装置(13、14)は、前記継手部分(11、12)の分離の際に、前記空洞を周囲に対して密封するように形成されている、ことを特徴とする、請求項1~
8のいずれか1項に記載の継手装置。
【請求項10】
前記継手部分(11,12)の各々は、それ自体浮遊可能である、ことを特徴とする請求項1~
9のいずれか1項記載の継手装置(1)。
【請求項11】
前記継手部分(11,12)は少なくとも1つの浮体(16、17)を備える、ことを特徴とする請求項1~
10のいずれか1項に記載の継手装置(1)。
【請求項12】
2つの流体流れ配管又は信号配管の接続のために形成されている、請求項1~
11のいずれか1項に記載の継手装置(1)。
【請求項13】
前記継手部分(11,12)は、前記継手装置(1)の前記軸方向(100)に関して斜めに延びる少なくとも1つの継手面(7)を備え、前記継手要素(8)が前記継手面(7)との連結を解除され、前記継手部分(11、12)が分離するまで、前記継手要素(8)を径方向に移動可能とする遠隔操作可能な連結解除機構によって特徴付けられる、請求項1~
12のいずれか1項に記載の継手装置。
【請求項14】
金属製であることを特徴とする、請求項1~
13のいずれか1項に記載の継手装置。
【請求項15】
少なくとも30cmの直径を有することを特徴とする、請求項1~
14のいずれか1項に記載の継手装置(1)。
【請求項16】
連結された前記配管(3、4)が破断することを回避するために、所定の機械的な引張荷重限界を超えた際に分離する安全分離継手として形成されていることを特徴とする、請求項1~
15のいずれか1項に記載の継手装置(1)。
【請求項17】
少なくとも8インチ、好ましくは少なくとも10インチの直径を有する前記継手部分(11、12)の内部の流体通路(6)を特徴とする、請求項1~
16のいずれか1項に記載の継手装置。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載の継手装置(1)によって互いに接続された2つの配管(3、4)を含む配管構成(2)であって、前記配管構成は前記継手部分(11、12)の内部に少なくとも8インチの直径を有する流体通路(6)を含み、前記継手要素(8)はバネ要素(9)を含み、前記継手装置(1)の前記継手要素(8)の前記バネ要素(9)は、前記継手装置(1)が配置されている配管セクション(22)に横から力が作用する際、前記力によって引き起こされる前記継手部分(11、12)の間の屈曲角度(α)が、前記配管セクション(22)のセクション端部(220、221)の長手方向の間の角度(β)の半分よりも大きくなるように設計されており、前記配管セクション(22)の長さは、前記配管(3、4)のうちの1つの前記流体通路(6)の内径の20倍によって与えられており、又は、8mである
、配管構成(2)。
【請求項19】
水面を浮遊する
請求項1~17のいずれか1項に記載の継手装置(1)による2つの配管(3、4)の間の浮遊配管接続。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に配管継手、特に屋外での使用のための配管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような継手は、例えば室内の差込みコネクタと比較して、機械的な強度に関する特別な要求を満たさなければならない。特別な要求は、例えば沖合海域のような水中での使用のために企図された継手において生じる。そのような継手は、水中で高い静水圧に耐えなければならないか、又は、海面状態に晒されるかのいずれかである。特に、海面状態は、常に繰り返される機械的な負荷ピークをもたらす。これらは、時間の経過と共に疲労を引き起こし、その結果、継手は意図せざる分離に至る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の根底には、特に海面状態によって引き起こされるような、変化する横から作用する機械的な負荷の下での使用に特に適した継手を提供するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、独立請求項の主題によって解決される。有利な発展形態は、従属請求項に記載されている。本発明の基本的な着想は、接続されるべき2つの配管の剛な接続を企図するのではなく、芯出しされた連結にもかかわらず継手部分の間にある程度の柔軟性をもたらすことにある。特に、2つの配管を連結又は接続するための継手装置が企図されており、当該継手装置は、2つの配管の接続を確立するために軸方向において互いに連結され接続される2つの継手部分を備え、2つの継手部分は、継手装置の周方向に分配されバネ荷重を受ける複数の継手要素によって、軸方向又は長手方向に対して横から作用する力により通常の位置に対して互いに曲げられ得るような態様で互いに接続されており、継手要素は、曲げられた位置におけるバネ荷重によって、継手部分に通常の位置へ向かう方向の復元力を及ぼす。
【0005】
したがって、継手装置の継手要素は、継手装置が屈曲した際、継手要素のバネが荷重を受け、それにより機械的なエネルギを吸収することによって、横方向の力、又は、長手方向に対して横から作用する力を受け止める。
【0006】
継手装置は、2つの配管の恒久的な接続を具現し得る。しかしながら、特に、分離可能な接続を生成する継手装置を企図することも可能である。この場合、2つの配管は、2つの継手部分の接続を解除することによって互いに分離することができ、配管の各端部に継手部分の一方が残る。一般に、本発明のこの更なる態様によれば、2つの配管を連結するための継手装置が企図されており、当該継手装置は、2つの配管の接続を確立するために、取り外し可能に軸方向に連結され接続され得る2つの継手部分を備え、継手部分の接続部は、少なくとも1つのシールによって周囲に対して密封されており、2つの継手部分は、継手装置の周方向に分配されバネ荷重を受ける複数の継手要素によって、特定の行程を超えた後に当該継手要素の連結が解除されるまで、バネ荷重により作用するバネ力とは逆向きに互いに離れる向きに移動し又は屈曲することができ、その結果、継手部分は分離することができ、2つの継手部分は、分離までに、少なくとも0.5°の、本発明の発展形態においては更に少なくとも1°の屈曲角度だけ、屈曲可能である。少なくとも0.5°、好ましくは少なくとも1°屈曲できることは、恒久的に又は取り外し不可に互いに接続された継手部分を備える継手装置においても企図され得る。
【0007】
特に好ましくは、継手部分のうち少なくとも一方、好ましくは2つの継手部分が連結された状態における継手装置は、水中で浮遊可能である。
【0008】
継手が浮遊可能であることによって、連結された配管、又は、水中に落下した継手部分付きの配管半体は、水面において容易にアクセス可能である。他方で、その場合、海面状態が配管に、したがって継手にも、常に変化する力を及ぼすという問題が存在する。それによって引き起こされる荷重を受け流すために、継手機構は、バネ荷重を受ける継手要素によって柔軟であり、連結部分が分離することなく、機械的な荷重の一つのある程度まで、回避的に屈曲運動することが可能である。
【0009】
本発明が、以下において、添付の図面を参照して、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】横方向の力の作用下における継手装置を示している。
【
図3】2つの連結された継手部分を備える継手装置を概略的に示している。
【
図4】
図3に示された、軸方向の引張荷重が負荷された状態の継手装置を示している。
【
図5】
図3に示された、曲げモーメントが負荷された状態の継手装置を示している。
【
図6】過度の伸長又は屈曲運動の後に互いに分離された継手部分を示している。
【
図7】継手要素及び継手部分に互いに対応する傾斜面を有する本発明の実施形態を示している。
【
図8】
図7に示された、曲げモーメントが負荷された状態の継手装置を示している。
【
図9】継手装置の周方向に分配されたバネ荷重を受ける複数の継手要素を備える継手装置の更なる実施形態を示している。
【
図10】
図9に示された継手の継手部分を、継手要素が開かれた状態で示している。
【
図11】
図9に示された、曲げモーメントが負荷された継手装置を示している。
【
図12】適用例として、船舶を陸上の配管と接続するための継手装置を示している。
【
図13】
図10の構成を、継手装置が切り離された状態で示している。
【
図15】横からの力の作用下における継手装置を備えた配管構成を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、基本的な実施形態における、本発明による継手装置1を示している。継手装置1は、2つの継手半体又は継手部分11、12を含んでいる。継手装置1によって2つの配管3、4が繋ぎ合わされ、その結果、流体が、これらの配管を通って、又は、一方の配管から他方の配管へ、流れることができる。配管は、特に軸方向100に互いに連結されている。その際、軸方向100は、配管の長手方向に、又は、それに応じて配管を通る流体の流れの方向にも、延びている。継手装置1は、周方向に分配された、又は、連結された配管3、4によって生成される流体通路6を取り巻いて分配された、複数の継手要素8を備えている。継手要素8はバネ荷重を受けており、その結果、それらは継手装置1の軸方向に拡張可能である。このために、継手要素8にはバネ要素9が備えられている。継手要素8によって、2つの継手部分11、12が互いに固定されている。ここで、継手装置1は、2つの継手部分11、12が、継手装置1の軸方向に対して横から作用する力によって、通常の位置に対して互いに曲げられ得るように形成されている。
図1は、この場合、上述した通常の位置における継手装置1を示している。
図2には、そのような横からの、又は、軸方向100に対して横向きに作用する力Fと、曲げられた位置における継手装置1とが示されている。力Fによって、継手部分11、12の軸方向100、101の間に、通常の位置に比して角度αが生じている。曲げられた状態においても流体通路6の密封を保証するために、2つの継手部分11、12の間に変形可能な接続要素7を設けることができる。
【0012】
継手要素8のバネ要素9は、横方向の力を受容し、それにより、2つの配管3、4の柔軟な接続をもたらす。それにより、突然に発生する強い横からの力及び曲げモーメントが受け止められ、その結果、屋外、例えば沖合の海面状態で用いられる場合のように、配管接続部が移動する場合であっても、継手装置が受ける機械的な荷重はより小さくなる。
図2に示された位置におけるバネ荷重は、復元モーメントをも発生させ、当該復元モーメントによって、継手部分11、12は、横方向の力が弱まった場合に、再び通常の位置に戻される。
【0013】
図3は、本発明の発展形態による継手装置1の原理的な構造を示している。ここに示されている継手装置は、2つの配管の取り外し可能な接続に用いられることが企図されている。継手装置1は、2つの継手半体又は継手部分11、12を含んでおり、これらによって、2つの配管3、4の接続が確立される。この接続は、配管3、4が繰り返し互いに接続され得るよう、可逆的に取り外し可能であるべきである。用途に応じて、本発明による継手装置は、一般に、2つの流体流れ配管又は信号配管3、4の接続のために形成され得る。同様に、例えば複数の平行な流体配管、又は、少なくとも1つの流体配管及び電気ケーブルを含む束を有する配管束(Leitungsstrang)として形成された配管3、4も、互いに接続され得る。
【0014】
接続は、継手部分11、12の軸方向100において行われる。継手部分11、12の各々は、それによって継手部分11、12が互いに接続される継手端部110又は120と、それぞれの配管3、4を接続するための反対側の接続端部111、121とを備えている。軸方向は、配管3、4の長手方向によっても定義される。したがって、配管3、4に対する引張応力は、継手装置1の長手方向100に作用する引張力をもたらす。
【0015】
継手装置1は、2つの継手部分11、12が連結された状態において、水中で浮遊可能である。好ましくは、特定の図示された例に限定されることなく、継手部分11、12の各々は、それ自体浮遊可能である。継手部分11、12の少なくとも一方の浮遊可能性を確立するために、継手部分は少なくとも一つの浮体を備え得る。好ましくは、
図3の例にも示されているように、2つの継手部分11、12は、少なくとも1つの浮体16、17を備えて構成されている。継手装置1の好ましい構成材料は金属である。まさにこの場合には、継手装置1及び/又は継手部分11、12の浮遊可能性を可能とするために、浮体又は空洞が考慮に値する。浮体16、17は、継手部分11、12の一方又は両方の浮遊可能性を補助するために、各継手部分11、12の外側にも取り付けることができる。
【0016】
継手内部を密封するために、継手部分11、12の接続部は、少なくとも1つのシール5によって周囲に対して密封されている。
【0017】
複数の継手要素8が設けられ、これらは、2つの継手部分11、12が連結された状態において、1つ又は複数のバネ要素9によってバネ荷重を受けており、このようにして、継手部分は、軸方向100において互いに押し付けられ、連結が保たれる。実用的には、継手要素8は、継手装置1の円周上に分配されている。それによって、1つ又は複数のバネ要素9によって加えられる力も、継手装置1の円周上で分配される。継手要素8は、図示された例では、バネ要素9を介して継手部分の一方(ここでは継手部分11)に固定されており、他方の継手部分12の接合部(Widerlager)81と係合する。継手機構は、
図3においては純粋に象徴的である。継手要素8の可能な好ましい接続について、以下で更に説明される。しかしながら、更に他の可能性もある。例えば、接合部81と継手要素8は、磁力を介して互いに接続され得る。
【0018】
逆に、継手要素8との接続は剛ではなく、その結果、例えば浮遊する継手装置1の、波動、又は、例えば突堤又は船殻への衝突の際の他の運動によって、継手要素に作用する力は部分的にバネにより吸収され得る。一般に、図示された例に限定されることなく、本発明に従って、2つの継手部分11、12は、バネ荷重によって作用するバネ力に抗して、互いに離れる向きに移動したり屈曲したりすることができる。
図5の場合のように取り外し可能な継手の場合、継手要素8は、特定の行程を超えた後に連結が解除され得る結果、継手部分11、12は分離することができる。好ましくは、2つの継手部分11、12は、継手要素8が継手部分11、12の接続を解除することなく、分離されるまでに少なくとも0.5°の角度だけ屈曲可能である。
【0019】
図4は、軸方向に引張力が作用する、継手装置1の第1の荷重状態を示している。2つの継手部分11、12は、加えられた力によって互いに幾らか離れる向きに移動し、バネ要素9は、
図3に示された状態と比較して、更に引っ張られている。それに応じて、バネ要素9によって加えられる力に抗して、2つの連結部分11、12を互いに引き寄せる引張力が作用する。
【0020】
図5は、本発明の目的に特に関連する別の場合を示している。
図5に示されている状態において、2つの継手部分11、12は、横から又は長手方向に対して横向きに作用する力によって、互いに対して屈曲されている。したがって、継手部分12の長手方向101は、それ以外の継手装置1の長手方向100に対して、特に他方の継手部分11の長手方向に対しても、ある角度を成す。
【0021】
両方の場合において、即ち
図4に示された伸長の場合及び
図5に示された屈曲の場合において、継手要素8は依然として2つの継手部分を互いに連結している。また、シール5は、屈曲又は伸長にもかかわらず、周囲に対する継手部分の内部の密封を維持する。
【0022】
特定の行程を超えた後、継手要素8は連結が解除され、かくして接合部81から分離し、その結果、継手部分11、12は分離する。この状態は、
図6に示されている。連結された状態において、バネ要素9は、外部から作用する力がなくても、好ましくは張力を受けた状態にあり、その結果、継手部分は互いに押し付けられる。したがって、
図6のように分離された状態においても、バネ要素9は、
図3に示されている連結された状態と比較して収縮する。逆の場合も可能であり、この場合、継手部分を互いに押し付けるためのバネ力は、伸長によってではなく、1つ又は複数のバネ要素9の圧縮によって達成される。
【0023】
図6に示されている継手部分11、12の連結解除まで、これらは、外部の曲げモーメントによって、互いに対して少なくとも0.5°の角度だけ傾けられ得る。
図5に示されている例において、この角度は約3°である。
【0024】
図7は、本発明の実施形態を、継手要素8の具体的な構成と共に示している。継手装置1のこの実施形態は、継手部分11、12のうち少なくとも一方が、少なくとも、継手装置1の軸方向100に関して斜めに延びる継手面7、及び、周方向に分配されたバネ荷重を受ける継手要素8を備えており、当該継手要素8は、継手部分が連結された状態において、上記傾斜した継手面7のうち1つ又は複数と接触している、ということに基づいている。継手要素8は、バネ荷重に抗して径方向に移動可能である。傾斜した継手面7によって、バネ荷重の径方向に作用する力は軸方向に作用する力に変換され、当該軸方向に作用する力によって、2つの継手部分11、12は、それらの継手端部110、120において連結を保つ。その際、継手部分11、12は、継手要素8がバネ荷重に抗して径方向に移動されるという態様で、軸方向に対して横向きに作用する力により、径方向に作用するバネ荷重に抗して屈曲され得る。
【0025】
特に、
図7に示されている例のように、2つの継手部分11、12は、傾斜した継手面7を備えるものとして構成され得る。
【0026】
バネ要素9は、その構造的に単純な構成のゆえに有利な実施形態によれば、環状の拡張可能なバネ要素又は拡張可能な若しくは伸長可能なバネリング90を含む。その際、径方向に作用するバネ力は、拡張を通じて周方向に作用する収縮力がバネ要素に現れることによって生じる。そのようなバネリングは、
図7に示されている実施形態とは異なる構成の継手要素8と共にも用いられ得る。例えば、回転可能に支持されたレバー形状の継手要素8を設けることもでき、それらはバネリング90によって共に締め付けられる。
【0027】
本発明の更なる発展形態によれば、継手要素8は、継手面7に対応すると共に軸方向100に対して傾斜した面80を備えることもでき、その結果、継手部分11、12の軸方向に互いに離れる向きの運動、及び、それによって仲介された継手要素8の径方向の運動の際に、継手要素及び継手面7の対応する面は互いに摺動する。この発展形態も、
図7に示されている例において実現されている。特に、継手要素8には、2つの継手部分11、12の傾斜面7に対応する傾斜面80も設けられている。その際、継手要素8の傾斜面80は互いに向かい合っており、その結果、継手部分11、12は共にクランプされる。
【0028】
2つの継手部分11、12は、本発明の特に好ましい構成によれば、それぞれ、継手端部110、120に向かって開放された空洞19、20及び密封装置13、14を備えている。密封装置13、14は、それぞれ、継手部分11、12の分離の際、空洞19、20を周囲に対して密封するように形成されている。
図7に示されている実施形態では、密封装置13、14はポペット弁として形成されている。継手部分11、12の各々は、密封装置13、14を操作し、それによってそれぞれの空洞19、20を密封するために、駆動装置130、140を備えることができる。駆動装置130、140は、空洞19、20を密封するためのポペット弁を弁座へ移動させるために、油圧又は空気圧アクチュエータであることができる。駆動装置130、140の構成要素としての付勢されたバネに抗してポペット弁が開いたままに保持される機構も、同様に可能である。駆動及び弁座に対する押し付けは、継手部分が分離される際、バネによって生じる。
【0029】
継手要素8が継手面7との連結を解除され継手部分11、12が分離するまで、継手要素8が径方向に移動可能であるような、遠隔操作可能な連結解除機構を設けることもできる。そのような機構によって、駆動装置130、140は、継手部分11、12を分離するために、同時に移動されることもできる。
【0030】
代替的な又は付加的な構成によれば、継手装置1は、安全分離継手として形成されていてもよく、当該安全分離継手は、連結された配管3、4が破断することを回避するために、所定の機械的な引張荷重限界を超えた際に分離する。
【0031】
図8は、長手方向に対して横向きの荷重の下での
図7による継手装置を示している。2つの継手部分11、12は、一方の側の荷重によって互いに離れる向きに移動され、その結果、継手部分11、12の軸方向は、もはや一直線には並ばず、互いに対してある角度を成す。継手部分11、12の互いに離れる向きの移動は、矢印で示されている。継手部分11、12が、作用する曲げモーメントによって互いに離れる向きに移動する位置において、継手要素8は、表面80上を摺動する傾斜面7によって径方向外向きに移動される。しかしながら、継手部分11、12は依然として接続されており、対向して開放された空洞19、20によって形成された共通の内部空間は、シール5によって依然として密封されている。2つの継手部分11、12の間の屈曲角度は、図示された例においては約1.5°である。
【0032】
図9は、本発明による継手装置1の更なる特に好ましい実施形態の例を示している。この実施形態は、概して、バネ荷重を受ける継手要素8がレバー82を含み、レバー82がバネ荷重に抗して旋回可能に支持されているということに基づいている。特に、レバー82は、バネ荷重を受ける第1のアーム83と、2つの継手部分11、12の連結をもたらす第2のアーム84とを含み得る。
【0033】
図7及び
図8の実施形態の場合のように、また
図9に示されているように、バネ荷重を受ける継手要素8は、継手部分が連結された状態において、1つ又は複数の継手面7と接触し、バネ荷重に抗して移動可能である。この場合、バネ荷重に抗する運動は旋回運動である。特に、レバー82の旋回運動が引き起こされ、それによって、アーム84は、構造に応じて、径方向内向き又は外向きに、好ましくは図示されているように径方向外向きに移動する。レバーの支持は、旋回運動が旋回点85の周りで起こるようなものである。旋回点の径方向における位置を調節可能に形成することが特に有利である。
【0034】
旋回点85に対向してレバー82は支持面86を備え、当該支持面86によって、レバー82は、分離された継手部分11、12を組み立て互いに連結することができるよう、バネ力に抗して旋回される時、継手部分において支持され得る。すなわち、連結のプロセスのために、支持面はレバー82の旋回点を形成する。バネ力は、この例においては、コイルバネ91によってもたらされる。しかしながら、他のバネ型式、例えば、レバーアーム83を取り巻いて延びる
図7及び8の実施例に類似したバネリング、又は、ガス圧バネ若しくは弾性体バネも考えられる。
【0035】
ここでも、傾斜した継手面7が設けられており、当該継手面7によって、バネ荷重の径方向に作用する力は軸方向に作用する力に変換され、当該軸方向に作用する力によって、2つの継手部分11、12は、それらの継手端部110、120において連結が保たれる。また、継手部分は、継手要素8がバネ荷重に抗して径方向に移動されるという態様で、軸方向に対して横向きに作用する力により、径方向に作用するバネ荷重に抗して屈曲され得る。
【0036】
【0037】
図10は、継手要素8が開かれた、即ちレバー82が支持面86の周りをコイルバネ91のバネ力に抗して旋回された状態の継手部分11を示している。
【0038】
図11では、
図8と同様に、継手1が、流れ方向に対して横向きに作用する力によって僅かに屈曲され、その結果、継手部分の軸が互いにある角度を成している状態で示されている。横方向の力により、継手部分11、12が、したがって傾斜面7も、一方の側(
図11では上側)において僅かに離れる向きに移動することによって、レバー82のレバーアーム84は、他方のレバーアーム83に作用するバネ力に抗して旋回点85の周りを旋回される。屈曲角度が、したがってレバー82の旋回も、図示されているよりも更に大きい場合、継手要素は傾斜面との連結が解除され、継手部分11、12は互いに分離することができる。
【0039】
図10及び
図11から分かるように、旋回点85と支持面86の支持点の長手方向の位置は異なる。一般に、特定の実施例に限定されることなく、そのために、1つの発展形態によれば、継手要素8がレバー82を含むことが企図されており、その際、レバー82は、レバーアーム83、84に沿った長手方向の位置が異なる2つの旋回軸を備えるように支持されており、その結果、第1の旋回軸の周りで継手部分11,12を離れる向きに移動すること又は互いに屈曲させることによって旋回が引き起こされ、第2の旋回軸の周りでの旋回によって継手部分11,12を連結するための継手要素8の開放が引き起こされる。したがって、
図9~
図11に示されている例においては、第1の旋回軸は旋回点を通って延び、第2の旋回軸は継手部分11上の支持面86の支持点を通って延びている。
【0040】
これによって、とりわけ、レバーアームの長さ、したがってまた継手部分11、12を連結又は分離する際に打ち勝つべき力が、旋回軸の位置の影響を受け得るという利点がもたらされる。特に、2つの旋回軸の間に第3のレバーアームを形成することもでき、当該第3のレバーアームにより、レバー82は、旋回点85の径方向位置の変更を通じて旋回されることができる。その結果、継手要素は、
図10に示されているように、継手部分11,12の組み付けを許容する取り付け位置へ移動される。旋回点85は、図示されている実施形態においては、調整ネジ87の端部によって形成される。調整ネジ87は、
図10の下部の継手要素8において示されているように、さらにねじ込まれることができ、その結果、旋回点85は径方向内向きに移動し、それによってレバーは支持面86の支持点の周りで旋回し、それによってレバーアーム84を径方向外向きに移動させる。
【0041】
図12は、本発明による継手装置1の適用を示している。2本の配管3、4は、継手装置1を介して互いに接続されている。この場合、一方の配管3は船舶27に、他方の配管4は陸上の、例えば突堤29の配管に、それぞれ接続されている。配管3、4は、例えば、船舶の積荷を陸揚げするため、又は、船舶27に燃料を補給するために用いられ得る。
【0042】
この場合、海面状態によって曲げ荷重が生じる可能性があり、当該曲げ荷重は、
図5及び
図8によって示されているように、継手部分11、12の弾性的な運動によって吸収される。
図13に示されているように、継手部分11、12の意図的な開放又は意図せざる開放が生じた場合、水中に落下した継手部分11は、その浮遊可能性のゆえに容易に収容することができる。特に、継手部分が、水中で浮力が不足して例えばアンカーチェーンに引っ掛かった場合、問題が生じる可能性がある。
【0043】
図12及び
図13に示されている例においては、陸側の配管4が剛であるか、又は、陸側の継手部分12が剛な配管の構成要素であり、その結果、継手部分12は、継手装置1の開放の後においても、水中に落下する可能性はない。この場合、この継手部分12も浮遊可能である必要はない。
【0044】
図14は、別の適用を示している。ここでは、水面を浮遊する継手装置1による2つの配管3、4の間の浮遊配管接続が企図されている。配管3、4は、継手装置1がその重量にもかかわらず浮遊可能であるため、水中に引き込まれず、非常に容易に再び収容され得る。
【0045】
ここで、海面状態は、配管3、4を介して直接的に、それらの間にある継手装置にも影響を及ぼし、そこに曲げモーメントを生じさせる。比較的大きな曲げモーメントが、ここで述べた2つの継手部分の屈曲運動によって受け止められる。曲げモーメントが限界値を超えると、継手装置は分離によって連結解除に至る。そのような配管接続は、例えば、図示されているように、2つの船舶27、28の間で液状の又はガス状の流体を搬送するために使用することができる。
【0046】
本発明は、一般に、大径の容積の大きな配管を互いに接続するのに特に適している。したがって、継手装置1も、好ましくは大径である。まさにそのような継手装置及び配管において、海面状態で生じる力は、起こり得る材料疲労に起因する問題を具現する。好ましくは、継手装置1は、実施例に限定されることなく、少なくとも30cmの直径を有する。継手部分11、12の内部の流体通路6の典型的な直径は、本発明の一実施形態によれば、少なくとも8インチ、好ましくは少なくとも10インチ又は12インチ以上である。
【0047】
発明によって達成される継手装置1の柔軟性は、継手装置によって接続される配管3、4が完全には剛でない場合であっても、有利である。特に、上述した少なくとも8インチの内径のように大きな配管直径の場合、発生し得る横方向の力は、継手装置が剛に形成されており、横方向の力を吸収できない場合に、当該継手装置に疲労が出現するほどに著しいものである。
【0048】
したがって、一般に、継手装置が、配管構成の柔軟性よりも大きな柔軟性を提供する場合、特に有利である。これは、本発明の更なる態様によれば、継手装置1を含む配管構成の1つのセクションに沿って、横方向の力の作用下において、当該セクションの端部が直線的な構成に対してある角度で逸脱するときに達成され、その際、継手装置1は、2つの継手部分11、12がそれらの軸方向に対して逸脱する角度が、配管構成の上記セクションの端部の逸脱の角度の半分よりも大きくなるように構成されている。換言すれば、継手装置1は、横方向の力の作用下において、配管構成の変形が主として継手部分11、12の屈曲によって起こるように設計されている。この状況は、特に、その内径に対する配管セクションの長さにも依存する。好ましい実施形態では、流体通路6の内径の20倍の長さを有し、上述のように継手装置1を含む配管セクションが考えられる。明確にするために、
図15には、横からの力Fの作用、及び、それにより生じる配管セクション22の変形の下での配管構成2が示されている。配管セクション22は、配管構成2の想定上の部分にすぎず、配管3、4のうちの1つの内部の流体通路6の配管断面又は直径dよりも実質的に大きい長さsを有する。一実施形態によれば、流体通路6の直径dの20倍の長さs=20×dを有する配管セクション22が考えられる。別の実施形態によれば、確定された長さの配管セクション22も考えられる。適切な長さは8メートルである。
【0049】
配管セクション22の領域において横から作用する力Fにより、配管構成2は曲がる。それに応じて、配管セクション22のセクション端部220、221の軸方向に対する接線は、図示されているように互いに角度βを成す。継手要素8のバネ要素9の復元力は、横からの力Fによって引き起こされる屈曲角度αが、配管セクション22又はセクション端部220、221の方向の角度βの半分より大きくなるように決定されている。それに応じて、発生する機械的なモーメントに対して配管構成の荷重を緩和するための配管セクション22の柔軟性は、主として継手装置1によってもたらされる。
【0050】
したがって、要約すると、本発明の更なる態様によれば、本発明による継手装置1によって互いに接続された2つの配管3、4、好ましくはホース配管を含む配管構成2が提供され、その際、継手装置1の継手要素8のバネ要素9は、継手装置1が配置されている配管セクション22に横から作用する力によって、力Fにより引き起こされる継手部分11、12の間の屈曲角度αが、セクション端部220、221の長手方向又は軸方向の間の角度βの半分よりも大きくなるように設計されている。その場合、第1の実施形態による配管セクション22の長さは、配管3、4のうちの1つの流体通路6の内径の20倍によって与えられている。他の実施形態によれば、長さは8メートルである。
【0051】
図15に基づいて、更に、継手装置1が更に、継手部分11、12が屈曲の際にその周りを移動する旋回点30が、一般に且つ好ましくは、流体通路6の外側に位置するように設計されていることが認識され得る。これは、図面に示されている他の実施形態においても、明らかに当てはまる。そのような配置は、簡易な構造をもたらし、他方において、中央に配置された旋回点の周りの屈曲に対し、作用する力に対向して位置するバネ要素9において比較的大きな逸脱、したがって比較的大きな復元力をもたらすので、特に有利である。
【0052】
本発明が、図面の例示的な実施形態に限定されないことは、当業者には明らかである。特に、図面に示されている特徴は、互いに組み合わせることもできる。バネ要素9は、例示的にコイルバネとして示されているが、板バネ、皿バネ、弾性又は空気圧バネ要素を使用することもできる。
【符号の説明】
【0053】
1 継手要素
2 配管構成
3、4 配管
5 シール
6 流体通路
7 変形可能な接続要素
8 継手要素
9 バネ要素
11、12 継手部分
13、14 密封装置
16、17 浮体
19、20 空洞
25 水面
27、28 船舶
29 突堤
30 旋回点
81 接合部
82 レバー
83、84 レバーアーム
85 旋回点
86 支持面
87 調整ネジ
90 バネリング
91 コイルバネ
100 軸方向、長手方向
101 軸方向、12の長手方向
110、120 継手端部
111、121 接続端部
130、140 13、14のための駆動装置
220、221 セクション端部