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特許7004716識別信号を使用するリモートコントロール装置及びユーザ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】識別信号を使用するリモートコントロール装置及びユーザ装置
(51)【国際特許分類】
   G08C 23/04 20060101AFI20220114BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
G08C23/04 Z
H04Q9/00 311Q
H04Q9/00 301D
H04Q9/00 311U
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019526222
(86)(22)【出願日】2017-11-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2017079657
(87)【国際公開番号】W WO2018091681
(87)【国際公開日】2018-05-24
【審査請求日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】16199813.3
(32)【優先日】2016-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ぺニング デ ヴリース ヘンドリクス テオドルス ゲラルドゥス マリア
(72)【発明者】
【氏名】コック ヘンドリク コルネリス
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/050708(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0153838(US,A1)
【文献】特開2016-167385(JP,A)
【文献】特開2005-094055(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0145911(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 23/04
H04Q 9/00
H04B 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数のユーザ装置を制御するためのリモートコントロール装置であって、前記リモートコントロール装置は、ユーザから入力を受け取るための入力手段と、制御のために前記1つ又は複数のユーザ装置に制御コマンドを送信するための送信器と、前記ユーザ装置から1つ又は複数の光信号を受信するための指向性光センサと、プロセッサと、を備え、前記プロセッサは、前記ユーザ装置の少なくとも1つを識別するために、
受信された前記光信号の少なくとも1つを、前記ユーザ装置の少なくとも1つに関連付けるために分析し、
前記1つ又は複数の光信号は、所定の受信器クロックでサンプリングされることになる信号部分を構成するハイ信号状態及びロー信号状態を有し、各光信号は信号部分の信号パターンを含み、前記信号パターンは前記ユーザ装置の1つを一意に識別し、
各信号部分は、ロー期間中の少なくとも1つのロー信号状態と、ハイ期間中の少なくとも1つのハイ信号状態とを含み、前記ロー期間及びハイ期間は細分長さを有し、異なる細分長さは異なる信号部分タイプを決定し、
各細分長さは、送信器クロックの整数個分のクロック周期であり、前記送信器クロックは、前記所定の受信器クロックに対するクロック周波数の比を有し、前記クロック周波数の比は1より大きい数であり、少なくとも1つの細分長さは、前記所定の受信器クロックの整数個分のクロック周期よりも前記所定の受信器クロックの前記クロック周期のある割合だけ長く、
前記プロセッサはさらに、前記関連付けのために、
前記細分長さを検出することと、前記信号パターンを取得するため各信号部分をその信号部分の信号部分タイプに関連付けることとに基づいて、前記信号部分を復号する、リモートコントロール装置。
【請求項2】
前記異なる信号部分タイプを決定するために前記信号部分で使用される前記異なる細分長さは、前記所定の受信器クロックの整数個分ではない長さのクロック周期のシーケンスに対応する、選択された長さのみを含み、
前記プロセッサはさらに、前記シーケンス中で欠落している数に対応する長さを検出するとエラーを検出する、請求項1に記載のリモートコントロール装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、検出された長さをそれぞれの公称長さに復号する予想値の範囲を有する前記信号部分を復号し、前記予想値の範囲は、最も短いハイ期間又はロー期間に対しては2つの値を有し、少なくとも1つのより長いハイ期間又はロー期間については少なくとも3つの値を有する、請求項1又は2に記載のリモートコントロール装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
信号部分ごとに前記ハイ期間の長さを検出するか、若しくは、信号部分ごとに、前記ハイ期間の長さを検出し、それとは別に、隣接するロー信号期間の長さを検出することにより、又は
信号部分ごとに前記ハイ期間の長さを検出することと、その前の及び/又は後のロー信号期間の長さを検出することとを組み合わせて行うことにより、
前記信号部分を復号する、請求項1から3のいずれか一項に記載のリモートコントロール装置。
【請求項5】
前記指向性光センサは、到来方向、又は受信された光信号の到来方向間の差異を検出し、前記プロセッサは、受信された前記光信号の少なくとも1つを分析のために選択し、前記選択は、受信された前記光信号の検出された到来方向に依存する、又は
前記指向性光センサは、複数の光信号を複数の方向から受信し、前記プロセッサは、それぞれの信号パターンを並行して取得し、到来方向と取得された前記信号パターンとの組み合わせに基づいて関心対象の信号を選択する、請求項1から4のいずれか一項に記載のリモートコントロール装置。
【請求項6】
それぞれの異なるコードシステムに応じたそれぞれの信号パターンを含む前記1つ又は複数の光受信信号に対処するために、各コードシステムは、データワードの境界を表すそれぞれの異なる同期信号部分タイプを有し、
前記プロセッサは、前記それぞれの同期信号部分に基づいて前記コードシステムのそれぞれを検出し、その後、前記コードシステムのそれぞれに従って前記信号部分を復号する、請求項1から5のいずれか一項に記載のリモートコントロール装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のリモートコントロール装置を用いて操作されるユーザ装置であって、前記ユーザ装置は、
前記ユーザ装置を制御するための前記リモートコントロール装置からの制御コマンドを受信するための受信器と、
光信号を送信するための光送信器と、
所定の受信器クロックでサンプリングされることになる信号部分を構成するハイ信号状態及びロー信号状態を有するように前記光信号を変調するために、前記光送信器と協働する変調器と、
前記信号部分から構成される信号パターンに従った前記光信号の変調を可能にするために前記変調器と協働するコントローラと、
を備え、前記信号パターンは前記ユーザ装置を一意に識別し、
各信号部分は、ロー期間中の少なくとも1つのロー信号状態と、ハイ期間中の少なくとも1つのハイ信号状態とを含み、前記ロー期間及びハイ期間は細分長さを有し、異なる細分長さは異なる信号部分タイプを決定し、
各細分長さは、送信器クロックの整数個分のクロック周期であり、前記送信器クロックは、前記所定の受信器クロックに対するクロック周波数の比を有し、前記クロック周波数の比は1より大きい数であり、少なくとも1つの細分長さは、前記所定の受信器クロックの整数個分のクロック周期よりも前記所定の受信器クロックの前記クロック周期のある割合だけ長い、ユーザ装置。
【請求項8】
各信号部分は、ロー期間中の先頭又は末尾にある1つのロー信号状態と、ハイ期間中の1つのハイ信号状態とから構成され、前記異なる信号部分タイプは、データワードのうち2ビットの異なる値を各々が表す4つのデュオビットタイプと、前記データワードの境界を表す1つの同期タイプとを含む、請求項7に記載のユーザ装置。
【請求項9】
前記クロック周波数の比は2であり、
前記ロー期間の前記細分長さは、前記送信器クロックの3クロック周期を含み、
前記ハイ期間の前記細分長さは、データ信号部分タイプについては前記送信器クロックの3、9、16、及び24クロック周期を含み、
前記ハイ期間の前記細分長さは、前記データワードの境界を表す同期信号部分タイプについては前記送信器クロックの33クロック周期を含む、請求項7又は8に記載のユーザ装置。
【請求項10】
前記クロック周波数の比は2であり、
前記ロー期間の前記細分長さは、前記送信器クロックの3及び7クロック周期を含み、
前記ハイ期間の前記細分長さは、データ信号部分タイプについては前記送信器クロックの3及び7クロック周期を含み、
前記ハイ期間の前記細分長さは、前記データワードの境界を表す同期信号部分タイプについては前記送信器クロックの11クロック周期を含む、請求項7又は8に記載のユーザ装置。
【請求項11】
少なくとも1つの請求項1から6のいずれか一項に記載のリモートコントロール装置と、少なくとも1つの請求項7から10のいずれか一項に記載のユーザ装置とを備える、システム。
【請求項12】
リモートコントロール装置内で1つ又は複数のユーザ装置を識別するための光信号を分析する方法であって、
前記リモートコントロール装置は、前記ユーザ装置から1つ又は複数の光信号を受信するため、及び受信された前記光信号の到来方向を検出するための指向性光センサを備え、
前記方法は、
前記指向性光センサを使用して、前記ユーザ装置から1つ又は複数の光信号を受信し、受信された前記光信号の到来方向を検出するステップと、
受信された前記光信号の少なくとも1つを、前記ユーザ装置の少なくとも1つに関連付けるために分析するステップと、
を有し、
前記1つ又は複数の光信号は、所定の受信器クロックでサンプリングされることになる信号部分を構成するハイ信号状態及びロー信号状態を有し、各光信号は信号部分の信号パターンを含み、前記信号パターンは前記ユーザ装置の1つを一意に識別し、
各信号部分は、ロー期間中の少なくとも1つのロー信号状態と、ハイ期間中の少なくとも1つのハイ信号状態とを含み、前記ロー期間及びハイ期間は細分長さを有し、異なる細分長さは異なる信号部分タイプを決定し、
各細分長さは、送信器クロックの整数個分のクロック周期であり、前記送信器クロックは、前記所定の受信器クロックに対するクロック周波数の比を有し、前記クロック周波数の比は1より大きい数であり、少なくとも1つの細分長さは、前記所定の受信器クロックの整数個分のクロック周期よりも前記所定の受信器クロックの前記クロック周期のある割合だけ長く、
前記方法は、前記関連付けのために、
前記細分長さに基づいて前記信号部分を認識し、前記信号パターンをそこから取得するために各信号部分をその信号部分の信号部分タイプに関連付けるステップ
をさらに有する、方法。
【請求項13】
光送信器と、前記光送信器と協働する変調器とを備えるユーザ装置を識別するための光信号を作成する方法であって、前記方法は、
信号部分の信号パターンに従った前記光信号の変調を可能にするために前記変調器にデータ信号を提供するステップであって、前記信号パターンは前記ユーザ装置を一意に識別する、ステップと、
所定の受信器クロックでサンプリングされることになる前記信号部分を構成するハイ信号状態及びロー信号状態を有するように、前記変調器を使用して前記光信号を変調するステップと、
を有し、
各信号部分は、ロー期間中の少なくとも1つのロー信号状態と、ハイ期間中の少なくとも1つのハイ信号状態とを含み、前記ロー期間及びハイ期間は細分長さを有し、異なる細分長さは異なる信号部分タイプを決定し、
各細分長さは、送信器クロックの整数個分のクロック周期であり、前記送信器クロックは、前記所定の受信器クロックに対するクロック周波数の比を有し、前記クロック周波数の比は1より大きい数であり、少なくとも1つの細分長さは、前記所定の受信器クロックの整数個分のクロック周期よりも前記所定の受信器クロックの前記クロック周期のある割合だけ長い、方法。
【請求項14】
コンピュータプログラムを備えた一時的又は非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータプログラムは、請求項12又は13に記載の方法をプロセッサシステムに行わせる命令を含む、一時的又は非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ又は複数のユーザ装置を制御するためのリモートコントロール装置を対象とし、このリモートコントロール装置は、ユーザ装置から1つ又は複数の光信号を受信するための指向性光センサを備える。本発明はさらに、記載されるようなリモートコントロール装置を用いて操作するように構成されたユーザ装置を対象とし、ユーザ装置は、光信号を送信するための光送信器と、光信号を変調するために光送信器と協働する変調器と、を備える。本発明はさらに、1つ又は複数のユーザ装置を識別するための光信号を分析する方法、識別のための光信号をユーザ装置内で作成する方法、及びそれらの方法を行うためのコンピュータプログラム製品を対象とする。さらに、本発明は光学識別信号に関する。
【背景技術】
【0002】
大半の居間には、離れたところからリモートコントロールで制御できるユーザ装置が複数存在している。従来、そのような装置には、テレビ、オーディオシステム、及びDVD又はBlu-ray(登録商標)プレーヤが含まれるが、遠隔制御可能な装置の数は増え続けている。例えば、色や調光レベルを遠隔から設定可能な照明器具が存在し得る。別の例は、空気流や温度を制御できる空気調節システムである。
【0003】
知られている問題の一つは、従来の設定における異なるリモートコントロール装置の数が部屋の中にある遠隔制御可能な装置の数と対応していることであり、すなわち、それぞれの装置にそれ専用のリモートコントローラがある。ユーザにとってこのことは面倒と感じられ、例えば、正しいリモートコントローラを見つけなければならず、又は制御のために利用可能なすべての機能を理解する必要がある。すでに多年にわたり、この結果、様々な装置に対する制御機能が1つのコントローラに統合され、また様々な装置に関連付けられるようにプログラムできる汎用コントローラが開発されている。スマートフォン及びタブレットの普及及び開発に伴い、そのような機能は、現在では専用メニューを備えたアプリケーションを介して制御されることがある。
【0004】
しかし、上記の開発は問題を完全には解消しない。大半のリモートコントローラ又はアプリは依然として、例えば照明装置のみ又はマルチメディア装置のみなど、特定のタイプの装置の制御にしか適していない。さらに、既存の解決法は、同じタイプの多数の装置(例えば照明器具)を制御しようとする場合には解決法を提供しない。制御アプリケーションは、制御する必要のある照明器具のアドレスを知る必要がある。ユーザは装置のアドレスを覚えようと努めるものの、これは装置の数が増すと難しくなり、また明らかにこれは最も使い勝手のよい解決法ではない。
【0005】
現在、制御対象のユーザ装置を、その装置の方を指し示すことによって選択することが可能ないくつかのリモートコントローラが提案されている。そのようなリモートコントローラ装置の例が、国際特許出願WO2016/050708に記載されている。この文献は、コードに従って信号断片を構成するハイ信号状態及びロー信号状態を有する光学識別信号を送信するユーザ装置について記載している。コードは信号断片の信号パターンを定義し、信号パターンは一つのユーザ装置を一意に識別する。各信号断片は、ロー期間中のロー信号状態と、ハイ期間中のハイ信号状態とから構成され、ロー期間及びハイ期間は、異なる信号断片タイプを符号化するためのチャネルシンボルのチャネルビットで表された所定の長さを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
知られているコードでは、比較的遅い受信器クロックレートでの適正な検出に対処するために、1チャネルビットに対応するロー信号状態は、例えば所定の受信器クロックレートの3倍である、最小継続時間を有する。その結果、知られている光学識別信号コードは、信号パターンを送信するために比較的長い時間を要するという点で効率的でない。
【0007】
本発明の目的は、光学識別信号コードの効率の点で向上した性能でユーザ装置を制御するためのリモートコントロール装置及びリモートコントロールシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このために、本発明により、1つ又は複数のユーザ装置を制御するためのリモートコントロール装置が提供され、このリモートコントロール装置は、ユーザから入力を受け取るための入力手段と、制御のために1つ又は複数のユーザ装置に制御コマンドを送信するための送信器と、ユーザ装置から1つ又は複数の光信号を受信するための指向性光センサと、プロセッサとを備え、プロセッサは、ユーザ装置の少なくとも1つを識別するために、
- 受信された信号の少なくとも1つを、ユーザ装置の少なくとも1つに関連付けるために分析するように構成され、
1つ又は複数の光信号は、所定の受信器クロックでサンプリングされることになる信号部分を構成するハイ信号状態及びロー信号状態を有し、各光信号は信号部分の信号パターンを含み、信号パターンはユーザ装置の1つを一意に識別し、
各信号部分は、ロー期間中の少なくとも1つのロー信号状態と、ハイ期間中の少なくとも1つのハイ信号状態とを含み、ロー期間及びハイ期間は細分長さを有し、異なる細分長さは異なる信号部分タイプを決定し、
各細分長さは、送信器クロックの整数個分のクロック周期であり、送信器クロックは、所定の受信器クロックに対するクロック比を有し、クロック比は1より大きい数であり、少なくとも1つの細分長さは、所定の受信器クロックの整数個分のクロック周期よりも所定の受信器クロックのクロック周期のある割合だけ長く、
プロセッサはさらに、前記関連付けのために、
細分長さを検出することと、信号パターンをそこから取得するために、各信号部分をその信号部分の信号部分タイプに関連付けることとに基づいて、信号部分を復号するように構成される。
【0009】
また、上記に記載のリモートコントロール装置を用いて操作されるために構成されたユーザ装置も提供され、このユーザ装置は、
- ユーザ装置を制御するためのリモートコントロール装置からの制御コマンドを受信するための受信器と、
- 光信号を送信するための光送信器と、
- 所定の受信器クロックでサンプリングされることになる信号部分を構成するハイ信号状態及びロー信号状態を有するように光信号を変調するために、光送信器と協働する変調器と、
- 信号部分から構成される信号パターンに従った光信号の変調を可能にするために変調器と協働するコントローラと、
を備え、信号パターンはユーザ装置を一意に識別し、
各信号部分は、ロー期間中の少なくとも1つのロー信号状態と、ハイ期間中の少なくとも1つのハイ信号状態とを含み、ロー期間及びハイ期間は細分長さを有し、異なる細分長さは異なる信号部分タイプを決定し、
各細分長さは、送信器クロックの整数個分のクロック周期であり、送信器クロックは、所定の受信器クロックに対するクロック比を有し、クロック比は1より大きい数であり、少なくとも1つの細分長さは、所定の受信器クロックの整数個分のクロック周期よりも所定の受信器クロックのクロック周期のある割合だけ長い。
【0010】
また、リモートコントロール装置内で1つ又は複数のユーザ装置を識別するための光信号を分析する方法も提供され、
リモートコントロール装置は、ユーザ装置から1つ又は複数の光信号を受信するため、及び受信された光信号の到来方向を検出するための指向性光センサを備え、
上記方法は、
指向性光センサを使用して、ユーザ装置から1つ又は複数の光信号を受信し、受信された光信号の到来方向を検出するステップと、
受信された信号の少なくとも1つを、ユーザ装置の少なくとも1つに関連付けるために分析するステップと、
を有し、
1つ又は複数の光信号は、所定の受信器クロックでサンプリングされることになる信号部分を構成するハイ信号状態及びロー信号状態を有し、各光信号は信号部分の信号パターンを含み、信号パターンはユーザ装置の1つを一意に識別し、
各信号部分は、ロー期間中の少なくとも1つのロー信号状態と、ハイ期間中の少なくとも1つのハイ信号状態とを含み、ロー期間及びハイ期間は細分長さを有し、異なる細分長さは異なる信号部分タイプを決定し、
各細分長さは、送信器クロックの整数個分のクロック周期であり、送信器クロックは、所定の受信器クロックに対するクロック比を有し、クロック比は1より大きい数であり、少なくとも1つの細分長さは、所定の受信器クロックの整数個分のクロック周期よりも所定の受信器クロックのクロック周期のある割合だけ長く、
上記方法は、前記関連付けのために、
細分長さに基づいて信号部分を認識し、信号パターンをそこから取得するために各信号部分をその信号部分の信号部分タイプに関連付けるステップをさらに有する。
【0011】
また、光送信器と、光送信器と協働する変調器とを備えるユーザ装置を識別するための光信号を作成する方法も提供され、この方法は、
信号部分の信号パターンに従った光信号の変調を可能にするために変調器にデータ信号を提供するステップであって、信号パターンはユーザ装置を一意に識別する、ステップと、
所定の受信器クロックでサンプリングされることになる信号部分を構成するハイ信号状態及びロー信号状態を有するように、変調器を使用して光信号を変調するステップと、を有し、
各信号部分は、ロー期間中の少なくとも1つのロー信号状態と、ハイ期間中の少なくとも1つのハイ信号状態とを含み、ロー期間及びハイ期間は細分長さを有し、異なる細分長さは異なる信号部分タイプを決定し、
各細分長さは、送信器クロックの整数個分のクロック周期であり、送信器クロックは、所定の受信器クロックに対するクロック比を有し、クロック比は1より大きい数であり、少なくとも1つの細分長さは、所定の受信器クロックの整数個分のクロック周期よりも所定の受信器クロックのクロック周期のある割合だけ長い。
【0012】
また、コンピュータプログラムを備えた一時的又は非一時的なコンピュータ可読媒体も提供され、コンピュータプログラムは、光信号を分析又は作成する上記方法のいずれかをプロセッサシステムに行わせる命令を含んでいる。
【0013】
また、光学識別信号も提供され、この光学識別信号は、
- 所定の受信器クロックでサンプリングされることになる信号部分を構成するハイ信号状態及びロー信号状態を有し、
- 信号部分の信号パターンを含み、信号パターンはユーザ装置を一意に識別し、
各信号部分は、ロー期間中の少なくとも1つのロー信号状態と、ハイ期間中の少なくとも1つのハイ信号状態とを含み、ロー期間及びハイ期間は細分長さを有し、異なる細分長さは異なる信号部分タイプを決定し、
各細分長さは、送信器クロックの整数個分のクロック周期であり、送信器クロックは、所定の受信器クロックに対するクロック比を有し、クロック比は1より大きい数であり、少なくとも1つの細分長さは、所定の受信器クロックの整数個分のクロック周期よりも所定の受信器クロックのクロック周期のある割合だけ長い。
【0014】
リモートコントロール装置は、リモートコントロール装置が直接の見通し線を有するユーザ装置によって送信される光信号を受信するために、指向性光センサを適用する。
【0015】
光信号を見つけると、リモートコントロール装置内のプロセッサは、少なくとも1つの受信された光信号をユーザ装置の少なくとも1つに関連付けるために構成される。それを行うために、プロセッサは、関連付けられたユーザ装置を識別するための信号パターンを分析できるように、少なくとも信号パターンの送信時間をカバーする時間の間、光信号を追跡しなければならない。追跡は、例えば、動きセンサ、又は後に得られるカメラ画像の画像処理を使用して、リモートコントロール装置を向けているユーザの手の偶発的な動きを補償することを伴ってよい。
【0016】
ユーザ装置は、照明器具、暖房システム、サーモスタット、ラジオ、メディアプレーヤ、テレビ等のあらゆる種類の装置を含む。本発明は、リモートコントローラによって遠隔制御可能な任意の装置に実施されてよい。また、ユーザ装置が、上記のような光送信器、変調器、及びコントローラを備え得る中間の制御ユニットに接続されることも可能である。ユーザ装置はさらに、ユーザ装置を制御するためのリモートコントロール装置からの制御コマンドを受信するための受信器を備えるか、又はそれに接続されてよい。
【0017】
ユーザ装置から受信された光信号は、本発明によれば、例えば、高い光強度及び低い光強度又はオン/オフ変調などの、ハイ信号状態及びロー信号状態を含んでいる。光信号中で、ハイ信号状態及びロー信号状態は、所定の受信器クロックでサンプリングされることになる信号部分を構成する。受信器クロックは、コードが、所定の受信器クロックと呼ばれる所定のレートでサンプリングされるように設計されるという意味で所定である。リモートコントロール装置におけるサンプリングの実際のレートは、所定の受信器クロックのおよそのクロックレートを少なくとも有する実際の受信器クロックで発生しなければならない。提案されるコードは、実際の送信器及び受信器クロックレートに対する許容範囲を実現し、すなわち、様々な原因によるクロック許容差及びジッタを考慮する。実際の範囲については以下でさらに述べる。
【0018】
各光信号は、信号部分の信号パターンを含み、信号パターンは、例えば8ビットの識別子を使用して、ユーザ装置の1つを一意に識別する。さらに、各信号部分は、ロー期間中の少なくとも1つのロー信号状態と、ハイ期間中の少なくとも1つのハイ信号状態とを含む。
【0019】
上記の特徴は以下の効果を有する。ロー期間及びハイ期間は細分長さを有する。従来のチャネルビットを使用する従来のコードでは、期間の長さは、受信器クロックの整数個分のクロック周期である。しかし、ここでは長さが細分化されており、このことは、少なくともいくつかの長さは、所定の受信器クロックの整数個分のクロック周期ではないことを意味し、これは以下のようにして実現される。細分長さは、送信器クロックの整数個分のクロック周期に対応する。送信器クロックは、所定の受信器クロックに対するクロック比を有し、クロック比は1より大きい数である。そのため、提案されるコードでは、送信器クロックの公称クロック周波数は、所定の受信器クロックの周波数に対して前記クロック比を有する。少なくとも1つの細分長さは、所定の受信器クロックのそれぞれの整数個分のクロック周期よりも所定の受信器クロックのクロック周期のある割合だけ長い。
【0020】
例えば、コード中で使用される最も短い細分長さは、最も低くて可能な整数個分の送信器クロック周期によって決定され、一方で、所定の受信器クロックの1クロック周期よりも長い。所定の受信器クロックの1クロック周期と最も短い細分長さとの差が、所定の割合である。実際の受信器クロックは、送信器クロックに対して非同期であり、周波数が所定の受信器クロックからクロック許容差だけ逸脱し得、一方、様々な理由により、実際の受信器クロックに基づく光信号のサンプル瞬間の位相ジッタも存在し得る。所定の割合は、受信器クロック許容差及びジッタ及びさらなるエラーを考慮することにより、ハイ期間又はロー期間の公称長さに対応するサンプル瞬間の数が常に細分長さの期間内になることを保証する。有利には、そのような細分長さは、下記で説明するように、非同期の受信器クロックと2つのみの値を有する検出範囲とによって検出され得る。
【0021】
さらなる細分長さは、所定の受信器クロックの複数クロック周期に対応してよく、一方で、さらなる所定の割合だけ長い。或いは、より長い細分長さの一部は、所定の受信器クロックの整数個分のクロック周期に対応してもよく、少なくとも3つの値の検出範囲を必要とする。様々な実施形態が以下に記載される。
【0022】
効果的には、細分長さは、所定の受信器クロックの選択された数のクロック周期の公称長さを有するように選択され、一方で所定の割合だけ長い。前記割合により、それらの期間は、所定の受信器クロックの対応する数のクロック周期よりも長いが、同時に所定の受信器クロックの後続の数のクロック周期よりも短い。WO2016/050708の知られているコードのハイ期間の整数個分の長さと比べると、細分長さは、概して、より短くなるように選択され、このことはコード効率を向上させる。さらに、より短い期間は、下記で説明するように光信号をサンプリングする実際の受信器クロックを使用して確実に検出可能である。
【0023】
本発明はとりわけ以下の認識に基づく。知られている従来のコードでは、送信器クロック及び受信器クロックは、クロック周波数が等しく、位相が非同期であることが想定される。したがって、信号部分は、整数個分のクロックサイクルである所定の長さを有する。そのような長さを検出すると、結果としてサンプル瞬間が期間の両方の境界と一致するようになり、したがって、復号器は、両方の一致する瞬間が、検出された長さの外側にあり得る(結果として、検出された長さが意図される数より1つ低くなる)ことを考慮する必要がある。しかし、復号器はまた、両方の一致する瞬間が、検出された長さの内側にあり得る(結果として、検出された長さが意図される数より1つ高くなる)ことも考慮する必要がある。そのため、意図される数に復号されなければならない検出値の比較的大きい範囲、すなわち3つの可能な値がある。コード効率を向上させ、比較的大きい範囲を縮小するために、本発明者らは細分長さを提案している。細分長さは、所定の受信器クロックよりも高い送信器クロックで送信される。この新しいコード内で使用される所定の細分長さは、受信器クロックのサンプル瞬間に対して所定のマージンを有する。それにより、検出値の範囲が、対応する数、又は対応する数+1、すなわち2つの可能な値となるように縮小されることが実現される。
【0024】
任意選択で、光学識別信号中で、異なる信号部分タイプを決定するために信号部分内で使用される異なる細分長さは、所定の受信器クロックの非連続数個のクロック周期のシーケンスに対応する、選択された長さのみを含む。リモートコントロール装置内で、プロセッサはさらに、シーケンス中で欠落している数に対応する長さを検出するとエラーを検出するためにさらに構成されてよい。光学識別信号のコード内で使用される異なる細分長さのセットは、ここでは意図的にギャップ、すなわち欠落している数を有する。そのようなギャップは違反ゾーンとも呼ばれ、すなわち、違反ゾーン内で検出される長さはいずれもコードに違反し、そのため正しくなく検出されなければならない。違反ゾーンの結果、様々な理由により受信光信号の検出が妨害されるとき、プロセッサは、違反している長さが見つかると誤ったコードを検出し得る。有利には、従来のコードにおいては誤って検出された異なるユーザ装置の識別子に対して動作を行う代わりに、リモートコントロール装置は、別の信号パターンがエラーなしに検出されるのを待ってよい。
【0025】
任意選択で、光学識別信号中で、各信号部分は、ロー期間中の先頭又は末尾にある1つのロー信号状態と、ハイ期間中の1つのハイ信号状態とから構成され、異なる信号部分タイプは、データワードのうち2ビットの異なる値を各々が表す4つのデュオビットタイプと、データワードの境界を表す1つの同期タイプとを含む。有利には、各信号部分は、ここでは、データワードの2ビット分のデータを符号化し、一方で、同期タイプの信号部分を介してデータワードの境界が容易に検出できる。
【0026】
任意選択で、光学識別信号のコードの実際的実施形態では、クロック比は2である。ロー期間の少なくとも1つの細分長さは、送信器クロックの3クロック周期であってよく、これは所定の受信器クロックの1.5クロック周期に対応する。クロック比が2であるため、所定の割合は、所定の受信器クロックのクロック周期の0.5となり、これは有利には、実際の受信器クロックの逸脱についての大幅なマージンを提供する。2のクロック比を有するコードのさらなる実際的実施形態では、ロー期間の細分長さは、送信器クロックの3クロック周期を含み、ハイ期間の細分長さは、データ信号部分タイプについては送信器クロックの3、9、16、及び24クロック周期を含み、ハイ期間の細分長さは、データワードの境界を表す同期信号部分タイプについては送信器クロックの33クロック周期を含む。細分長さが、1、4、8、12、及び16の公称長さに対応する3、9、16、及び24であるため、予想される検出された長さのシーケンス中に違反ゾーンが作り出され、例えば、3又は6の検出された長さを含む信号パターンは誤っていると分析される。例示的コードでは、より長い細分長さ16及び24は、8及び12の公称長さに対応し、一方で、有効に復号することが可能な予想長さは、7、8、9、及び11、12、13である。そのような長い期間に関しては、予想長さのより大きい範囲を含めることにより、例えば7%など、所定の受信器クロックのクロック周期の大幅な逸脱を許容することが効果的であることが判明している。したがって、予想長さの全体シーケンスは、1、2、4、5、7、8、9、11、12、13、15、16、17、18となり、一方で、違反している長さを表すシーケンス中の欠落している数は、3、6、10、14である。
【0027】
光センサは、複数の光信号が異なる方向から存在している間に少なくとも1つの光信号を選択的に受信することができるという意味で指向性である。例えば、カメラを使用して、指向性光センサは、到来方向、又は受信された光信号の到来方向間の差異を確定することができる。その結果、リモートコントロール装置は、ユーザに、光送信器を備えたユーザ装置の方向に装置を向けさせ、リモートコントロール装置に対するユーザ装置の相対的な場所に基づいて、ユーザ装置によって送信された光信号を選択的に受信する。ブロブ(斑点)トラッカーは、カメラセンサ上の個々の明るい箇所の場所を、ユーザの指示行動によって生じる動き、又は移動する対象物に起因してそれらの位置が変化したときに追跡する。リモートコントロール装置は、例えば、この到来方向(カメラセンサ画像上の位置に基づく)を使用して、ユーザがどの装置を指し示しているのかを確定し、それにより、受信された光信号のうちから関心対象の装置に属する光信号としての光信号を選択する。例えば、画像センサの中心に最も近い、又はセンサ面を通る横断中心軸に対して最も小さい角度を有する光信号が、ユーザによって指し示されている装置に属するものと考えられる。或いは、信号の到来方向についての情報に基づく光信号の選択は、異なる形で行われてもよく、例えば、信号の強さ又は光信号に埋め込まれた優先度インディケータを使用して、1つ又は複数の光信号を選択することで行われてもよい。
【0028】
任意選択で、指向性センサは、複数の光信号を複数の方向から受信するように構成され、プロセッサは、それぞれの信号パターンを並行して取得し、到来方向と取得された信号パターンとの組み合わせに基づいて関心対象の信号を選択するように構成される。プロセッサは、一つの画像からのすべての光学識別信号を並行して復号し、画像内での位置と識別結果との組み合わせに基づいて関心対象の信号を選択するように構成されてよい。並行した復号は、複数の対象物を識別する必要がある場合に、著しく高速な検出/選択を可能にする。この理由は、装置がカメラセンサ上で見えるようになるとすぐに復号がすでに開始していることが可能であり、またユーザが実際に装置を指し示す前であっても識別がすでに終了している可能性があるためである。しかし、さらなる説明では主に検出前の選択を想定する。
【0029】
本発明による装置及び方法のさらなる好ましい実施形態は添付の特許請求の範囲に与えられ、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
本発明のこれら及び他の態様は、例として以下の説明に記載される実施形態、及び添付図面から明らかになり、またそれらをさらに参照して解説される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】システム、リモートコントロール装置、及びユーザ装置の概略図である。
図2図1のリモートコントロール装置によって受信される画像の概略図である
図3】本発明による光信号用のコードの概略図である。
図4】本発明によるリモートコントロール装置内で1つ又は複数のユーザ装置を識別するための光信号を分析する方法の概略図である。
図5】ユーザ装置を識別するための光信号を作成する方法の概略図である。
図6】光信号用の第2のコードの概略図である。
図7】光信号用の違反ゾーンを有するコードの概略図である。
図8】光信号用の違反ゾーンを有するさらなるコードの概略図である。
図9】一時的又は非一時的なコンピュータ可読媒体を示す図である。
図10】例示的なデータ処理システムを図示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図は、純粋に模式的なものであり、一定の縮尺では描かれていない。図中、すでに説明された要素に対応する要素は、同じ参照符号を有することがある。
【0033】
図1は、システム、リモートコントロール装置、及びユーザ装置の概略図である。同図において、システム1は、リモートコントロール装置3と、複数のユーザ装置25-1、25-2、及び25-3とを備える。リモートコントロール装置3は、指向性光センサ5を備える。指向性光センサ5は、例えば、画像をそのさらなる分析のためにプロセッサ6に提供するカメラである。リモートコントロール3は、複数の制御モジュール12も備え、これらはハードウェアの制御モジュール又はソフトウェアコーディングされたモジュールである。或いは、制御モジュールは外部の制御モジュールであってもよい。さらに、メモリ又はデータ記憶ユニット7及びワイヤレスデータ通信ユニット10がリモートコントロール装置3に備えられてよい。データ通信ユニット10は、例えば無線インターフェース又は光送信など、ユーザ装置を制御するのに適した任意の適切なデータ通信プロトコルを適用する。リモートコントロール装置3には、ユーザに情報を提供する、及び/又はユーザから入力を受け取るための(標準的な又はタッチセンシティブな)表示画面15も含まれてよい。さらに、リモートコントロール装置3は、ユーザから入力を受け取るノブ16などのいくつかの入力キーを備えたキーボードも備えてよい。任意選択で、入力は、例えば加速度計(図示せず)のようなモーションセンサ(図示せず)から受け取られる、例えばカメラデータやモーションセンサデータに基づいて、ジェスチャ検出を介して取得されてもよい。
【0034】
ユーザ装置25-1、25-2、及び25-3は各々、リモートコントロール装置3に装置識別子を提供するのを可能にすると共に、リモートコントロール装置3から制御コマンドなどの制御データを受信又は交換することを可能にする、いくつかの要素を少なくとも備える。図1では、各ユーザ装置25-1~25-3の対応する要素は、接頭文字-1、-2、又は-3を備えた同様の参照符号で示されており、それによりそれぞれの対応するユーザ装置25-1、25-2、25-3を参照等する。以下では、ユーザ装置25-1の要素を詳細に説明するが、この説明は、ユーザ装置25-2の対応する要素及びユーザ装置25-3の対応する要素にも同様に該当する。
【0035】
ユーザ装置25-1はコントローラ28-1を備える。ユーザ装置25-1は、例えば記憶された装置識別子を内部に含んでいるメモリ(図示せず)を有するが、これは必須ではない。識別子は、例えば、ジャンパ要素又はディップスイッチの組などのハードウェア設定可能な解決法(図示せず)を用いるなど、異なる方式で装置25-1内で利用可能にされ得る。装置25-1は、リモートコントロール装置3により受信され得る光信号を提供するために構成された光送信器26-1をさらに備える。光送信器26-1によって提供される光信号は、例えば赤外線光信号であるが、これは本質的に必須ではない(任意の他の波長の光信号が適用されてもよい)。光送信器26-1によって送信される光信号は、コントローラ28-1の制御下で変調器30-1を使用して生成される強度変調光信号である。詳細には、コントローラ28-1は、ユーザ装置25-1のバイナリ識別子を、シーケンスの冒頭又は最後にヘッダ及び/又はトレーラ部分を含む複数の信号部分に符号化する。ヘッダ及びトレーラの両方が光信号に含まれてよいが、これはすべての実装形態において必須という訳ではない。他の実施形態では、ヘッダ又はトレーラのどちらかが存在しなくてよく、さらには、最初の信号部分と最後の信号部分とが他の態様で認識できる実施形態では、ヘッダ及びトレーラの両方が存在しなくてよい。継続的に、組み立てられた信号部分は、組み立てられた信号部分から成るように光送信器26-1によって送信される光信号を変調するなど、変調器30-1を制御するためにコントローラ28-1によって使用される。ユーザ装置25-1の識別子を様々な信号部分に符号化する方式については後で説明する。ユーザ装置25-2及び25-3も同様の方式で動作する。任意選択で、識別子は、装置25-1、25-2、又は25-3のメモリ又は他の要素内に事前にプログラムされてもよい。しかし、別の選択肢は、そのような識別子がサーバによって提供されるか、又はサーバを使用して管理されるものである。このサーバは、リモートコントロール装置3と他の装置25-1~25-3とに対して外部にあることができ、又はシステム内に存在する装置(3、25-1、25-2、25-3)のいずれかと統合することができる。図1には、任意選択のサーバ又は管理ユニット21が示され、これは、装置3の設計を単純に保つ等のために、装置3及び装置25の両方とインターフェースを取る。このサーバ又は管理ユニット21は、インターネットアドレスのような(ローカルネットワークで一意の)識別子を分配する役目を担うことができる。識別子は、メディアアクセス層又はデータリンク層(OSIモデル)にハードコードされてもよく、Ethernet(登録商標)、802.11ワイヤレスネットワーク、Bluetooth(登録商標)等のような大半のIEEE802ネットワーク技術におけるMACアドレスのように一意であるか、又はMACアドレスであってもよい。別の識別子割り当てはペアリング技術に基づくことができ、その場合、制御装置をビーコンに密接させ、その後、制御装置がビーコンを認識し、識別コードを割り当てる。
【0036】
図1に示すシステムでは、制御されることが可能な3つの装置25-1、25-2、及び25-3がある。これらの装置は、照明器具、写真フレーム、空気調節装置、オーディオシステム、ゲーム機、テレビ、メディアプレーヤ等に相当する。各装置25-1、25-2、及び25-3は、リモートコントロール装置3との間の光通信のためのビーコンとして動作可能な光送信器26-1、26-2、及び26-3を備える。ビーコン26-1、26-2、及び26-3は、光変調信号を赤外線波長で送信するために構成される。光信号は好ましくは全方向性であり、すなわち、装置25-1~25-3が置かれた部屋の大部分で受信できるように、多くの方向に送信され、特に特定の方向に集中されることはない。
【0037】
上記のリモートコントロール装置の一実施形態では、指向性センサは、到来方向、又は受信された光信号の到来方向間の差異を検出するように構成され、プロセッサは、受信された光信号の少なくとも1つを分析のために選択するために構成され、選択は、受信された光信号の検出された到来方向に依存する。或いは、すべての光信号が並行して復号され、選択は、後で信号源の少なくとも1つが識別された時に行うことができる。任意選択で、プロセッサは、到来方向が変化したときに1つ又は複数の光信号を追跡するために構成されてもよい。有利には、指向性センサは、到来光信号の方向に基づいてユーザ装置を選択的に制御することを可能にする。
【0038】
リモートコントロール装置の異なる実施形態は、異なるタイプの指向性光センサに基づく。例えば、一実施形態によれば、指向性光センサは、分析を行うために画像をプロセッサに提供するカメラである。ただし、別の実施形態によれば、指向性光センサは、受信された光信号の到来方向を確定することを可能にするp-i-nフォトダイオード(略:PINダイオード)の適切な配置又はグループを備える。
【0039】
ユーザ装置の一実施形態では、ユーザ装置は、光信号を送信するための複数の光送信器を備える。有利には、リモートコントロール装置は、ユーザ装置の空間的向き又は場所を確定可能にされる。
【0040】
ビーコン26-1~26-3は、各自の装置識別情報を含んでいるコードを含む光信号を送出する。装置25-1~25-3は、電源が入れられている間に連続的にコードを送出するために構成されるか、又は任意のイベント若しくはトリガ信号に応答してコードを送出するために構成される。例えば、いくつかの実施形態では、リモートコントロール装置3がユーザによって取り上げられた時に、例えばリモートコントロール装置3が備える加速度センサ(図示せず)からの信号に応答して、一般的なトリガがリモートコントロール装置3によって送信される。他の実施形態では、ユーザがリモートコントロール装置3のノブ16を操作して一般的なトリガ信号を送る。
【0041】
図2は、図1のリモートコントロール装置によって受信される画像の概略図である。制御のために特定の装置25-1を識別するために、ユーザは、選択したい装置25-1の方向にリモート装置3を向ける。リモートコントロール装置3のカメラ5は、図2に示す画像のように見え得る画像を撮影する。光センサ5が大きな視野角を有する場合、図2に示すように、いくつかのビーコン26-1、26-2、26-3が画像内に見えることになる。さらに、光センサ5の光学的特性の結果、センサ画像35は、撮像された環境の反転した投影となる(画像の中心36に関して点対称であり、上が下になり、左が右になる)。中心軸に対して異なる角度の下でカメラによって見られる装置は、画像35上の異なる場所に提示されることになる。ただし、本教示に関する本例の理解性を不明瞭にしないために、ここでは装置25-1、25-2、及び25-3が図1に示すように互いに重ねて置かれているものとする。ユーザがリモートコントロール装置3を向けている光送信器又はビーコン26-1は、図2に示すように、画像センサの中心36に最も近くなる。このことに基づいて、リモートコントロール装置3のプロセッサ6は、装置25-1を制御対象の装置として選択し、光送信器26-1によって送信される信号の追跡を開始する。或いは、制御対象の装置を選択するために他の選択基準が使用されてもよい。さらに、この選択は、1つ又は複数の光信号を受信した直後に行われる必要はなく、識別工程の他のステップと同時に、又はすべて最後に行うこともできる。
【0042】
リモートコントロール装置3における信号処理は、まず、画像35内で光送信器26-1、26-2、及び26-3に対応するブロブ領域(=個々の明るい箇所の範囲、境界)を検出する。次に、検出されたブロブからブロブ位置及び強度の特徴が抽出される。図2に示すサンプル画像35からは、画像35内での位置座標x、画像35内での位置座標y、各ブロブの強度、波長、中心軸20に対する角度(図1参照)、並びに識別及び選択に寄与し得る他の可能な特徴、などの特徴を抽出することが可能である。
【0043】
了解されるように、ユーザ装置から受信された光信号の分析中、リモートコントロール装置3を把持しているユーザは、通常、リモートコントロール装置3を完全に静止して把持することはできない。したがって、ユーザがユーザ装置25-1を制御しようとする場合は、ユーザの手が動いた結果、光送信器26-1に対応する光信号(例えば図2に示される)が分析中に画像35内で動くことになる。下記で説明されるように、リモートコントロール装置3のプロセッサ6は、受信した画像内の光信号を追跡する。光信号がハイ信号状態で送信される限り、画像35内での送信器26-1に対応する光信号の追跡は、標準的なアルゴリズムを使用して平易に行うことができる。しかし、光信号がロー信号状態になると、プロセッサは直ちに画像35内の光送信器26-1の信号を追跡することができなくなる。プロセッサは、いくつかの連続したフレームにわたってブロブを見なかった後にのみ信号を見失うこととしてよい。可能なロー期間、例えば1フレーム又は2フレームにわたってブロブを見ない場合、その途絶が「ロー」状態として認識される。一方、特定のブロブが見られなかったものの追跡は継続する。
【0044】
ハイ信号状態及びロー信号状態が、光送信器が「オン」及び「オフ」であることに対応している場合、特に「オフ」の時間の間に光信号が失われる可能性がある。しかし、光信号がハイの強度とローの強度との間で変調されるがロー信号状態中に完全にはスイッチオフされない場合であっても、ロー信号状態中の信号対雑音比(SNR)は、ハイ信号状態中のSNRと比較してなお著しく低くなる。ブロブの追跡を最適化するために、ハイ状態期間の最大数及びロー状態期間の最小数とともにコードが使用されてよい。好ましくは、ロー信号状態の継続時間は、ハイ信号状態の継続時間と比較して最小にされる。ロー信号状態は、固定された最小継続時間を有してよく、主としてハイ信号状態の区切りの役目を果たす。ロー信号状態は、この場合、プロセッサ6がハイ信号状態を認識し、それらの継続時間を時間で測定することを可能にする。この実施形態において伝達されるべき情報は、ハイ信号状態の継続時間中に符号化される。
【0045】
コードの一実施形態では、ハイ信号状態の継続時間は、ロー信号状態の継続時間よりも長くなるように選択される。例えば、ロー期間の細分長さは、単に、最も短い可能な長さ及び次に短い長さである。このようにして確定された光信号は、リモートコントロール装置により「追従可能」となるように最適化されている。これは、ロー状態は光がないために追従できないことに起因する。例えば、光信号がオン-オフ変調された光信号である場合には、提供される光信号が主として「オン」状態から構成され、「オフ」状態はごくわずかであることが重要である。これは、光信号はそれが「オン」状態(又はハイ信号状態)である限り容易に追従できることに起因する。しかし、「オフ」状態にある間に、リモートコントロールは信号を見失う。
【0046】
上記コードと共に提供された光信号は、識別子を含むデータの搬送を可能にし、またユーザ装置に向けている間にリモートコントロール装置がユーザによって安定して把持されない場合に、上記のリモートコントロール装置による信号の追跡を可能にするように最適化され得る。したがって、このタイプの信号は、識別子信号を、それを受信する携帯型装置に遠隔からエアインターフェースを介して伝達するのに有利である。
【0047】
提案される方法及び機構では、識別子又はメッセージを表す信号パターンは立て続けに送信されてよく、受信器は、任意の瞬間にその場で復号を開始することができる(そのため送信コードの途中でも)。プリアンブルを待つことが必要とされる場合、送信長の50%の平均遅延が導入されてよい(最大100%)。提案される受信器は、直ちに復号を開始し、平均で50%の送信長の検出時間(最大100%)を節減する。受信器は、同期信号部分が半ばにある場合でも、信号パターンのすべての信号部分が、立て続けに反復されるコードワードの信号断片内にあるときには、信号パターンを検出することができる。そのため、ID又はメッセージを常時送信することができ、同期はペイロードの前後の両方に存在する。すると、受信器は、複数の信号部分がメッセージのデータワードのために使用される場合、同期をペイロードの前若しくは後に、又はさらにはペイロードの半ばでも受容できるようになる。
【0048】
図3は、本発明による光信号用のコードの概略図である。コードは、ユーザ装置(25-1、25-2、25-3)のうち1つの識別子をどのように送信のための光信号に符号化するかを定義する。コードの例示的実施形態では、各信号部分は、ロー期間中の先頭又は末尾にある1つのロー信号状態と、ハイ期間中の1つのハイ信号状態とから構成される。異なる信号部分タイプは、ビットペアとも呼ばれる、データワードのうち2ビットの異なる値を各々が表す4つのデュオビットタイプを含み得る。コードはまた、データワードの境界を表す1つの同期タイプも有する。識別メッセージの物理層メッセージ形式は、以下のようなものとすることができる。この形式は、同期目的のためのヘッダシンボルから開始する。ヘッダは一意であり、データシンボル中に発生することはできない。ヘッダは同期タイプによって符号化される。
【0049】
光信号は、信号部分のシーケンス、例えば同期信号部分とその後に続く4つのデータ信号部分、を含み、データ信号部分はペイロード信号部分と呼ばれる場合もある。同期信号部分がヘッダとしてペイロード部分の前にあるか、及び/又はペイロード部分の後に続いて、光信号の終わりを示すトレーラ信号部分を構成する。本例では、識別子は8データビットから構成されてよい。識別子の8ビットは、ユーザ装置25-1のコントローラ28-1によりビットペアにさらに分割される。各ビットペアは、8ビットの識別子のうち2ビットを含む。了解されるように、異なる実装形態においては、単一のビット若しくはビットのトリプレット(triplet)、又は異なる数のビットを符号化することも可能であり、各信号部分に符号化されるビット数は当業者によって選択されてよい。
【0050】
各ビットペアは、それぞれのペイロード信号部分に符号化される。識別コードがNビット幅であるとすると、完全なメッセージは、(1+Nビット/2)個のマーク、及びそれと同じ量のスペースを含み得る。上記のビットペアは、コード表に従って可変長のチャネルシンボルにマッピングされる。ビットペアは、各自の情報が光信号のハイ信号状態の継続時間中に伝達されるように符号化されてよい。
【0051】
復号器の一実装形態は、ブロブの明るさデータを入力として受け取り、ここで「マーク」は利用可能な明るさ信号として検出することができる。「スペース」は、ブロブトラッカーのメモリ内でブロブとして検出することができるが、明るさ信号は無いか、又は低い。マークイベント及びスペースイベントの継続時間は、実際の受信器クロックとも呼ばれる、サンプルクロック(=カメラフレームレート(FPS))の単位で数えることができる。
【0052】
送信クロックと受信器クロックとは非同期に実行されるので、実際の受信器クロックは、設計値(所定の受信器クロックと呼ぶ)と比べて遅く実行される可能性がある。同様に、実際の送信クロックは、設計値の送信クロックよりも遅く又は速く実行される可能性がある。その結果、受信されるシンボル継続時間は、理想的な送信シンボル継続時間と異なる。そのために、復号器は、受信されるシンボル長さに対するいくらかの変動を受容する必要がある。チャネルシンボルは、チャネル復号器表を用いて復号することができ、チャネル復号器表は、それぞれの受信される継続時間について、対応する信号部分タイプ、例えばビットペア値又は同期タイプを有する。チャネル復号器表は、可能なチャネルシンボルごとに最大及び最小のシンボル継続時間を保持する。チャネル復号器は、(有効な)受信されたマーク及びスペースの継続時間を調べる。データ復号器状態機械が、同期シンボルの受信によってトリガされて、検出された信号部分タイプに基づいて識別データを再構築してよい。
【0053】
本実施形態では、各ビットペアの様々な取り得るビット構成は、図3に示す表のコードに基づいて符号化及び復号される。表は、例示的コードのパラメータを定義する以下の行を有する。
- カメラフレームレート 120Hz;所定の受信器クロックレートを定義する。カメラサンプリングレート、又はフレームレートは、120Hzに設定される。スライドシャッターの設計に起因して、ブロブサンプリングの実際の瞬間は、センサ場内でのブロブ位置に依存し得る。これにより、識別コードの検出中に許容する最大移動速度に依存したサンプリングジッタが生じる。最大移動速度は、ブロブトラッカー内に設定された閾値に結び付けられる。例えば、(768ピクセルの画像上での)75ピクセルのブロブ検出閾値を想定すると、最大サンプリングジッタは、1/120 * 75/768=0.814msになる。実際には、閾値はこれより小さくてよいが、75ピクセルは、最大サンプル工程ジッタを指定するための上限とすることができる。
- ペイロード長 8ビット;データワード又は識別子の長さを定義する。
- ブロブトラッカー閾値 100ピクセル;ユーザの動きの間にカメラ画像内で光信号を追跡する能力を定義する。
- ビーコンクロックジッタ 0.1ms pk;送信器クロックにおけるジッタのピークレベルを定義する。実際には、識別コードはマイクロコントローラによって生成されてよい。タイミングジッタが発生し得るが、センサジッタと比べて著しく小さい可能性がある。ビーコンコード生成の妥当な最大タイミングジッタは30μsである。
- 目標クロック許容差 3.0%;最小の受信器クロック許容差を定義する。
- 最小復号器長 1clks;所定の受信器クロックのクロック周期での最も短い検出可能長さを定義する。
- 違反ゾーン 0clks;検出可能長さのシーケンスがエラー検出のための欠落している数を有するかどうかを定義する。
- TxClk/RxClk比 2.0;送信器クロックと所定の受信器クロックとの間のクロック比を定義する。
- 信号部分。表は「b00」のような表記で示される5つの信号部分を列挙しており、その後に、所定の受信器クロックのクロック周期での公称長さ、所定の受信器クロックのクロック周期での細分長さ、並びに、正しい検出のための所定の受信器クロックのクロック周期の最小及び最大の長さが続く。
b00 1 1.5 2 0.738 1.258
b01 3 3.5 4 0.888 1.111
b02 5 5.5 6 0.929 1.071
b03 7 7.5 8 0.948 1.052
b04 9 9.5 10 0.959 1.041
信号部分b00~b03は、上記のビットペアなどの2ビットを符号化する。信号部分b04は、同期信号部分を符号化する。
- 継続時間。すべてのペイロード値が結果として同じ送信長になる訳ではない。この例示的な符号化システムは、固定長の同期シンボル、固定されたスペース継続時間、及び可変長のマーク継続時間を有する。このことにより、コード長(所定の受信器クロックのクロックで表される)及び送信継続時間(秒単位)がコード内容に依存するようになる。符号化に起因して、より多くの「0」を含む識別情報は、結果として、より多くの「1」を含む識別情報よりも高速なメッセージとなる。コード長はメッセージ内に符号化されるビット数に依存するが、より短いペイロード長を使用することにより、又はすべての利用可能なコードワードの部分セットのみを許容することにより、より高速な送信を達成することができる。下表は、コードの上記パラメータについての信号パターンの継続時間を、所定の受信器クロックのクロック周期と時間とにおける最小値、平均値、及び最大値により列挙している。
継続時間 最小23.0 平均35.0 最大47.0 clks
継続時間 最小0.2 平均0.3 最大0.4s
- 相対ポインタ速度制限 0.333;コードに定義されたようにロー信号状態を有する信号を追跡するための相対移動速度を定義する。選択工程の間のポインタ速度は、符号化信号中でのロー信号状態の最大ラン長によって制限される。ブロブトラッカーは、固定された閾値を用いて動作し、連続したブロブ検出間の最大の変位のみを許容してよい。その結果、スペースのラン長と逆比例する速度制限となる。
【数1】
ポインタ速度は[rad/s]で表されてよい。
- 総システムクロック許容差 4.104%;結果として生じる、所定の受信器クロックからの実際の受信器クロックの許容される逸脱を定義する。
【0054】
上記パラメータに従ったコードの符号化は、ユーザ装置25-1のコントローラ28-1によって行われる。そして、コントローラは、光送信器26-1によって送信される光信号を変調するために変調器30-1を動作させる。上記パラメータに従ったコードの復号は、リモートコントロール装置3のプロセッサ6によって行われる。本例では、送信器のクロック周期で表された細分長さは、3、7、11、15、及び19である。コード中で使用されるすべての細分長さに対して、所定の受信器クロックの0.5クロック周期という割合がある。
【0055】
図3を参照して上記例で復号する場合、検出値の予想範囲は常に2、すなわち、公称長さ及びその値+1、である。リモートコントロール装置のプロセッサにおける復号は、そのために、予想値及びそれに対応する公称値、又は予想値及びそれに対応する信号部分のシーケンスの表を有することができる。所定の受信器クロックの9.5クロック周期である最も長い使用される長さについて、クロックマージンは4.1%と最も厳格であり、これが総システムクロック許容差を決定する。受信器クロックと送信器クロックを合わせた実際のクロック許容差は、この総許容差以内でなければならない。例えば図6~8に示すようなさらなる実施形態では、他の細分長さが選択されている。そのようなコードでは、クロックマージンは異なり、これは、正しい検出のための所定の受信器クロックのクロック周期の最小及び最大の長さによってそれぞれの図に示される通りである。
【0056】
この識別コード検出システムは、大半の通信システムと異なり、ノイズに制限されない可能性がある。代わりに、エラーの根本的原因は、明るさ信号が失われることにある。これはブロブがセンサ境界を横切るときに起こるが、ビーコンからセンサへの見通し線間に物体が発生するときにも起こる。両方の場合とも、受信器は、送信された量よりも多いロー信号状態を検出することになる。明るさ信号を失う別の理由は、ブロブトラッカーのエラーによって生じる可能性がある。ある光源が別の光源のブロブ識別位置に取って替わることがあり、これはロー期間とハイ期間の両方に影響し得る。検出の失敗を最小にするために、復号器は、先頭にあるスペースと末尾にあるスペース両方のラン長を確認することができる。
【0057】
一実施形態では、プロセッサは、信号部分ごとに、ハイ期間の長さを検出することによって信号部分を復号するように構成される。スペースとも呼ばれる、ロー期間に対する複数の細分長さを同じく持つコードの場合、プロセッサは、信号部分ごとに、ハイ期間の長さを検出し、それとは別に、隣接するロー信号期間の長さを検出するように構成されてよい。両方の検出された長さに基づいて、それぞれの信号部分を復号することができる。或いは、プロセッサは、信号部分ごとに、例えば、ハイ期間の長さを検出し、その前の及び/又は後のロー信号期間の長さを検出することにより、ハイ期間とロー期間との組み合わせを検出するように構成されてもよい。検出された組み合わせは、その後、それぞれの信号部分タイプへと復号される。
【0058】
リモートコントロールシステムの一実施形態では、複数のコードが同じ環境内で使用されてよく、例えば、異なるユーザ装置が、例えば8ビット及び12ビットなど、異なる長さの識別子又はデータワードを使用する。様々なコードを区別するには、それぞれの異なるコードシステムに応じたそれぞれの異なる信号パターンを有する1つ又は複数の光受信信号に対処することが必要であり、各コードシステムは、データワードの境界を表すそれぞれの異なる同期信号部分タイプを有し得る。異なるコードシステムを正しく復号するために、プロセッサは、コードシステムのそれぞれを、それぞれの異なる同期信号部分に基づいて検出するように構成されてよい。その後、プロセッサは、例えばそれぞれの異なる復号表を使用して、コードシステムのそれぞれに従って信号部分を復号する。
【0059】
図4は、本発明によるリモートコントロール装置内で1つ又は複数のユーザ装置を識別するための光信号を分析する方法の概略図である。任意選択で、方法は、リモートコントロール装置3が、ユーザ装置25-1~25-3をトリガして光学識別子信号の送信を開始させるために、環境内のすべての装置に、例えばデータ通信ユニット10を介してトリガ信号を提供することにより、ステップ54で開始する。異なる実装形態では、光学識別子信号は、例えば、装置25-1~25-3によって反復方式で継続的に送られ、その場合、方法は、リモートコントロール装置が装置25-1~25-3に向けられた時に、ステップ55で光学識別子信号を受信することによって開始する。さらなる選択肢は、リモートコントロール装置3によって提供されたトリガが装置25-1~25-3によって受信された後に、光学識別子信号が所定回数(例えば、1x、2x、3x、4x、5x、6x、…)反復されるものである。光学識別子信号間の送信の中断を防止するために、光学識別子信号を反復する際、現在の光学識別子信号のトレーラの後に、次の反復される光学識別子信号のヘッダが直ちに送信されてよい。この場合、ヘッダシンボルの先頭にあるゼロが、前の識別子のトレーラシンボルと重なる。別の選択肢は、リモートコントロール装置がスリープモードにあり、リモートコントロール装置3を起動してステップ55で光信号の受信を開始させるために何らかの内部トリガ(例えば、リモートコントロール装置3のユーザ操作に起因して生成される)が必要とされるものである。いずれにせよ、1つ又は複数のユーザ装置25-1~25-3によって送信された光信号は、図4の方法のステップ55で受信される。ステップ54は、一度だけ行われるか、又は反復されるフレームの数だけ行われるかのどちらでもよい。ステップ55も一度だけ行われるか(「カメラの電源オン」)、又はフレームごとに行われるか(「フレーム受信」)のどちらでもよい。
【0060】
ステップ56で、画像が1つのみの光信号を含んでいるか、それとも指向性光センサ5から受け取られた画像内に複数の光信号が存在するかが、プロセッサによって判定される。光センサ5から受け取られた画像35内に複数の光信号が存在する場合、方法はステップ59に進み、受信された光信号の少なくとも1つが、制御対象のユーザ装置に対する候補光信号として選択される。ステップ56、59は、フレームに基づいて反復されてよい。了解されるように、実装形態に応じて、2つ以上の受信光信号が候補信号として選択されてもよい。さらに、候補信号の選択のステップは、方法の開始時に(図4に示されるように)、若しくは後続のステップのうち任意のステップの間のどちらか、又はさらには方法の最後に行われてもよい。
【0061】
そして、方法のステップ60及びステップ64~76のシーケンスは、例えば並列スレッドとして同時に行われる。方法のステップ60(右のスレッド)で、プロセッサ6は、ステップ59で選択された少なくとも1つの光信号を追跡することによりブロブの追跡を行い、プロセッサは、光信号が受信され分析されている限り、少なくとも信号パターンが完全に受信されるまで、この信号を追跡し続けなければならない。左のスレッド(ステップ64~76)も、1つ又は複数の光信号の同期及びペイロードを復号するいくらかの反復を伴う。信号のペイロード部分及び同期部分を認識するこれらのステップの特定の順序は、実際のコードに応じて異なってよいことが留意される。最後に、識別子が認識された後に両方のスレッドが終了する。
【0062】
本例では、プロセッサ6は少なくとも1つの光信号を追跡する一方で、プロセッサ6は、ステップ64~76における少なくとも1つの光信号の分析も開始する。ステップ64で、プロセッサ6は、例えば、検討される光信号中でのロー信号状態の場所を認識することにより、光信号に存在している信号部分を認識する。ステップ66で、受信されつつある信号部分が、第1の信号部分から開始してプロセッサによって読み込まれる。ステップ68で、プロセッサは、受信された信号部分が同期タイプの信号部分であるかどうかを判定する。コードは、データワードの境界を示す1つのみの同期タイプ、又はヘッダタイプ及び/若しくはトレーラタイプのような異なる同期タイプ、又はデータワードを符号化するために使用されたコードを示す符号化された同期タイプを有する。
【0063】
信号部分が同期タイプの信号部分である場合、プロセッサは、ステップ69で次の部分を待ち、ステップ66に戻る。ステップ66で読み込まれた信号部分がヘッダタイプの信号部分でない場合は、ステップ72で、プロセッサは、受信された信号部分が異なるタイプの同期信号部分であるかどうかを判定する。信号部分が同期タイプの信号部分でない場合は、ステップ73で、プロセッサは、信号部分がペイロードタイプの信号部分であると確定し、表されている信号部分値を復号する。信号部分値は、後の使用のためにメモリ7に記憶される。上述したように細分長さを復号するには、復号器は、信号部分の検出された長さのセットを、それぞれの細分長さに関連付けられた値範囲に従って変換する。そのために、関連付けられた値範囲は、復号表に、又は復号論理回路に、又は命令の復号プロセッササブルーチンに記憶される。
【0064】
方法は、ステップ73の後、ステップ69に進む(次の信号部分を待つ)。ステップ72で完全なデータワードが受信された、又は次の受信された信号部分が同期タイプの信号部分であるとプロセッサが判定した場合、方法はステップ75に進み、ここで、プロセッサ6は、復号されて記憶されている信号部分値をメモリ7から取り出し、これらの信号部分値から、光信号によって表される識別子を作成する。そして、ステップ76で、受信されたユーザ装置25-1の識別子を使用して、プロセッサ6はユーザ装置25-1を識別し、それがどの装置であるかを確定する。そして識別方法は終了し、無論、続いて(通常そうであるように)ユーザがユーザ装置25-1を制御してよい。リモートコントロール装置は、ユーザが異なる方向を指し示した場合に方法を再開してよく、又は静止状態にされたときにリモートコントロール装置を作動停止してよい。
【0065】
図4には図示していないが識別方法に続き得る次のステップは、例えば、識別されたユーザ装置25-1を制御するためのリモートコントロール装置による正しい制御モジュール12の選択である。例えば、様々な制御モジュールが、ハードウェアとして又はソフトウェアコーディングされてリモートコントロール装置に存在し、装置25-1を制御するためにリモートコントロール装置によって適用される。或いは、リモートコントロール装置が、装置25-1のタイプを識別すると、外部の供給源から正しい制御モジュール、及び場合によっては関連するユーザインターフェースを取り出すことも可能である。これはサーバ又は管理ユニット21であり得る。リモートコントロール装置は、そのような情報をサーバ21から直接又は間接的に受信することができ、すなわち、サーバ21は、より大きいネットワーク(さらにはイントラネット又はインターネット)の一部であり得、したがってそれに接続され得る。例えば、リモートコントロール装置は、制御モジュール又はユーザインターフェースを装置25-1自体から取り出すか、又はそれは遠隔のサーバから取り出される。そして、ユーザから入力を受け取ると、リモートコントロール装置は、データ通信ユニット10及び対応するユーザ装置25-1のデータ通信ユニット32-1を用いて、ユーザ装置25-1に制御コマンドを送る。
【0066】
実施され得る分析のための別の選択肢は、1回の選択アクションで2つ以上の光信号(ブロブ)を選択できるものである。これは、例えば、識別及び分析ステップを行う前に示される。例えば、すべてのブロブ位置及び識別情報がリモートコントロール3のメモリ7にあってよい。或いは、このデータは、リモートコントロール装置3によりサーバ21から取得されてもよい。光学識別子信号の選択は、各自の位置及び/又は識別コード間の関係に基づき得る。可能なことは、例えば、装置のグループの選択(各装置が単一のビーコンを備える)、又はリモートコントロール及び/若しくは部屋に対する装置の向きの検出である。この後者の場合、装置25-1は、リモートコントロール装置3がすべての対応する信号を認識し選択できるようにするために、例えば、同じ、同様の、又は異なる一意の識別子(1つのユーザ装置が複数の識別子を有する)を送信するいくつかのビーコンを備えることができる。画像から、リモートコントロール装置3が装置25-1上の各光送信器の位置を把握している場合、向き及び相対位置が計算され、それに対応する制御機能が作動され得る(サーバ21からの支援を受けて、又は支援なしで)。
【0067】
図5は、ユーザ装置を識別するための光信号を作成する方法の概略図である。方法は、ユーザ装置25-1において適用されてよい。図5の方法はステップ80で開始し、ここで、ユーザ装置のユーザ装置識別子がビットペアに分けられる。分けられたビットペアから、ステップ81で、ユーザ装置25-1のコントローラ28-1は、同期タイプの信号部分がその前にある、及び/又は同期タイプの信号部分で終わる信号部分を作成する。ステップ83で、コントローラ28-1は、送る部分を選択する(例えば、ヘッダ1、2、3...等)。そしてステップ85で、コントローラは、検討される信号部分がそれからなるハイ信号状態及びロー信号状態の期間に従って変調器30-1を動作させる。例えば、変調器は、コントローラ28-1から「1」を受信したときはハイ信号状態を適用し、コントローラ28-1から「0」を受信したときはロー信号状態を適用する。
【0068】
信号部分の信号パターンに従った光信号の変調を可能にするためにデータ信号が変調器に提供される。信号パターンは、ユーザ装置を一意に識別する。光信号は、この時点で、所定の受信器クロックでサンプリングされることになる信号部分を構成するハイ信号状態及びロー信号状態を有している。各信号部分は、ロー期間中の少なくとも1つのロー信号状態と、ハイ期間中の少なくとも1つのハイ信号状態とを有する。ロー期間及びハイ期間は細分長さを有し、一方、それら期間のタイミングは送信器クロックを使用して制御される。異なる細分長さは、異なる信号部分タイプを決定する。識別子の実際のデータビットを信号部分に符号化するために、それぞれの細分長さが、コントローラに記憶された、又はプロセッサによって実行される符号化器回路若しくは符号化サブルーチンプログラムに記憶された、符号化表から導出されてよい。符号化時、各細分長さは、所定の受信器クロックの1クロック周期よりも長く、送信器クロックの整数個分のクロック周期である。送信器クロックは、所定の受信器クロックに対するクロック比を有する。クロック比は1より大きい数である。比は、例えば、2、3、若しくは4の整数比、又は2.5のような有理数である。有理数は、比として書くことができる数である。そのことは、有理数は分数として書くことができることを意味し、その場合分子(上にある数)と分母(下にある数)との両方が整数である。
【0069】
よって、ステップ85で光信号が光送信器26-1によって送信され、光送信器26-1は、変調器に接続されており、ハイ信号状態及びロー信号状態に対応する細分長さを受け取る。
【0070】
ステップ86で、コントローラ28-1は、方法を中止することができるかどうかを検証してよい。例えば、これは、割り込み信号を受信することに応答しているか、又はユーザ装置25-1内で起こる任意の他のイベントに応答している。通常、光信号は、最後の信号部分が送信された後に、最初から再送信されることになる。追跡を維持するために、ガード区間は望ましくない。或いは、いずれかの時点で、コントローラ28-1は、送信がもう必要でないと判断し、ステップ86で送信を中止してもよい。他の実施形態では、ユーザ装置25-1は、中止することなく光信号を継続的に送信するために構成される。方法がステップ86で中止される必要がない場合、方法はステップ88に進み、コントローラ28-1は、送信された信号部分がトレーラ信号部分であったかどうかを判定してよい。最後に送信された信号部分がトレーラ信号部分であった場合、方法はステップ90に進み、光信号の最初の信号部分から送信が再開される。よってステップ90は再開ステップであり、方法は再度ステップ83に進む(送る信号部分の選択)。
【0071】
ステップ88で最後に送られた信号部分がトレーラタイプの信号部分でないと判定される場合、方法はステップ92に進み、次の信号部分を送信のために選択すべきことをコントローラに示す。その後、方法は再度ステップ83に進む。任意選択で、装置25-1又はリモートコントロール3がユーザフィードバックを提供してよい。例えば、選択の後、又は選択候補になった後に、装置上でLED信号又は他のインディケータ(例えば可視若しくは可聴)が提供される。
【0072】
図6は、本発明による光信号用の第2のコードの概略図である。図に示された表は、図3を参照して説明したものと同じ行を有する。本実施形態では、より長い細分長さは、3という検出値のより大きい予想範囲を有するように設定され、3は、すなわち、公称長さ、及びその値+1、及びその値-1である。プロセッサは、検出された長さをそれぞれの公称長さに復号する予想値の範囲を有する信号部分を復号するように構成され、一方、予想値の範囲は、より短いハイ期間又はロー期間については2つの値を有し、少なくとも1つのより長いハイ期間又はロー期間については少なくとも3つの値を有する。そのようなコードでは、より長い長さに対するクロックマージンは厳格さがより低く、これは、正しい検出のための所定の受信器クロックのクロック周期の最小及び最大の長さによってそれぞれの図に示される通りである。本例では、6%というより高い目標クロック許容差に対処するために、コード中でより長い細分長さは、16及び22送信器クロック周期となるように選択されており、一方、検出値の予想範囲はそれらの長さについては3である。最も厳格なクロック許容差は、細分長さ5.5のときに見られ、7.1%である。
【0073】
エラー補正方法は、短いメッセージ長さを使用する識別システムには関係しない。著しいオーバーヘッドが必要とされ得、それによりコード効率が著しく下方に低下し得る。任意選択で、復号器の失敗が起こるのを防止するために、違反ゾーンが、エラー検出のために細分長さに含められる。違反スペースをもつコードは、明るさ信号の継続性に起因して、不良のコードシーケンスの検出を可能にする。違反スペースは、コード長を増大させ得る。
【0074】
図7は、本発明による光信号用の違反ゾーンを有するコードの概略図である。図に示された表は、図3を参照して説明したものと同じ行を有する。例示的実施形態では、異なる信号部分タイプを決定するために信号部分内で使用される異なる細分長さは、所定の受信器クロックの非連続数個のクロック周期のシーケンスに対応する、選択された長さのみを含む。違反ゾーンは欠落している数と合致する。リモートコントロール装置内で、プロセッサは、シーケンス中で欠落している数に対応する長さを検出するとエラーを検出するためにさらに構成される。
【0075】
本例では、4%というより高い目標クロック許容差に対処し、1クロック周期の違反ゾーンを可能にするために、コード中の細分長さは、3、9、15、24、及び32送信器クロック周期になるように選択されており、一方、検出値の予想範囲は、長さ24及び32については3である。最も厳格なクロック許容差は、細分長さ7.5のときに見られ、5.2%である。違反ゾーンに起因して、正しく復号したときには欠落している長さがある。復号器表における欠落している予想長さは、3、6、9、及び13であり、これらの値は、検出されたときに、誤っているとマークされることになる。
【0076】
図8は、本発明による光信号用の違反ゾーンを有するさらなるコードの概略図である。図に示された表は、図3を参照して説明したものと同じ行を有する。6%というより高い目標クロック許容差に対処し、1クロック周期の違反ゾーンを可能にするために、コード中の細分長さは、3、9、16、24、及び33送信器クロック周期になるように選択されており、一方、検出値の予想範囲は、長さ16及び24については3であり、長さ33については4である。最も厳格なクロック許容差は、細分長さ12のときに見られ、7.4%である。違反ゾーンに起因して、正しく復号したときには欠落している長さがある。復号器表における欠落している予想長さは、3、6、10、及び14であり、これらの値は、検出されたときに、誤っているとマークされることになる。
【0077】
上記のコードシステムのさらなる拡張は以下のようであってよい。同期ワードはコードシステム内で一意であるため、可変数の送信シンボルを同期シンボル間に挿入することが可能である。復号器は、最初に一意の同期信号部分を検出することによって可変数の送信シンボルを扱うように構成されてよい。また、新しいチャネルシンボルを使用してコードを拡張するために、追加的な同期信号部分が定義され得る。対応する復号器は、追加的な最小及び最大の継続時間を検出して、そのような新しいシンボルが一意に検出され、以前に定義された同期信号部分と混同されないことを保証するように構成される。
【0078】
本発明について、そのいくつかの具体的な実施形態に関して説明した。図面に示され、本明細書に記載される実施形態は、例示の目的のみを意図し、決して本発明に対して制限的なものではないことが了解されよう。例えば、図に示され、上記で説明した方法のステップは、単に本発明の可能な一実装形態を表すものである。ステップが行われる順序は異なってよく、さらには異なる実装形態では一部のステップが省かれてもよい。本発明は、いくつかの別個の要素を備えるハードウェアを用いて、及び/又は、適切にプログラムされたコンピュータ若しくはプロセッサシステムを用いて実施されてよい。それぞれのプログラムは、そのようなコンピュータ又はプロセッサシステムによって実行されたときに、上記に記載された方法を少なくとも部分的に実施してよい。
【0079】
図9は、例えば光ディスク900である、一時的又は非一時的なコンピュータ可読媒体を示す。これも同図に示すように、例えば実行可能コードであるコンピュータのための命令が、例えば、一連の機械可読の物理的マーク910の形態で、及び/又は、異なる電気的、例えば磁気的若しくは光学的特性若しくは値を有する一連の要素として、コンピュータ可読媒体900に記憶される。実行可能コードは、一時的又は非一時的な方式で記憶される。コンピュータ可読媒体の例には、メモリ装置、光学記憶装置、集積回路、サーバ、オンラインソフトウェア等が含まれる。
【0080】
図10は、本開示の実施形態で使用され得る例示的なデータ処理システムを図示するブロック図を示す。そのようなデータ処理システムは、これらに限定されないが、リモートコントロール装置、ユーザ装置、及びサーバを含む、本開示に記載されるデータ処理エンティティを含む。例えば、リモートコントロール装置は、そのようなデータ処理システムを有する携帯電話内に実施される。データ処理システム1000は、システムバス1006を通じてメモリ要素1004に結合された少なくとも1つのプロセッサ1002を含む。そのため、データ処理システムは、プログラムコードをメモリ要素1004内に記憶し得る。さらに、プロセッサ1002は、システムバス1006を介してメモリ要素1004からアクセスされるプログラムコードを実行する。一態様では、データ処理システムは、プログラムコードを記憶及び/又は実行するのに適したコンピュータとして実施される。しかし、データ処理システム1000は、本明細書に記載される機能を行うことが可能な、プロセッサ及びメモリを含む任意のシステムの形態で実施され得ることが了解されよう。
【0081】
メモリ要素1004は、例えばローカルメモリ1008及び1つ又は複数の大容量記憶装置1010などの1つ又は複数の物理的メモリ装置を含む。ローカルメモリは、ランダムアクセスメモリ、又はプログラムコードの実際の実行時に一般に使用される他の非永続的メモリ装置を指す。大容量記憶装置は、ハードドライブ、固体状態ディスク、又は別の永続的データ記憶装置として実施される。処理システム1000は、実行中に大容量記憶装置1010からプログラムコードを取り出さなければならない回数を減らすために、少なくとも一部のプログラムコードの一時的な記憶を提供する1つ又は複数のキャッシュメモリ(図示せず)も含み得る。
【0082】
入力装置1012及び出力装置1014として描かれる入出力(I/O)装置は、任意選択でデータ処理システムに結合される。入力装置の例には、これらに限定されないが、例えば、マイクロフォン、キーボード、マウスなどのポインティングデバイス、タッチ画面などが含まれる。出力装置の例には、これらに限定されないが、例えば、モニタ又はディスプレイ、スピーカなどが含まれる。入力装置及び/又は出力装置は、直接、又は仲介するI/Oコントローラを通じて、のどちらかでデータ処理システムに結合される。ネットワークアダプタ1016もデータ処理システムに結合されるか、又はその一部としてよく、それにより、仲介する私設又は公衆ネットワークを通じて、他のシステム、コンピュータシステム、遠隔のネットワーク装置、及び/又は遠隔の記憶装置に結合された状態になることができる。ネットワークアダプタは、データに対して前記システム、装置及び/又はネットワークによって送信されるデータを受信するためのデータ受信器と、前記システム、装置及び/又はネットワークにデータを送信するためのデータ送信器と、を備え得る。モデム、ケーブルモデム、及びEthernetカードは、データ処理システム1000に使用され得る異なるタイプのネットワークアダプタの例である。
【0083】
図10に示すように、メモリ要素1004は、アプリケーション1018を記憶し得る。データ処理システム1000はさらに、アプリケーションの実行を容易にし得るオペレーティングシステム(図示せず)を実行し得ることを了解すべきである。アプリケーションは、実行可能プログラムコードの形態で実施され、データ処理システム1000によって、例えばプロセッサ1002によって実行される。アプリケーションの実行に応答して、データ処理システムは、本明細書にさらに詳細に記載される1つ又は複数の動作を行うように構成され得る。
【0084】
図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲の考察から、特許が請求される本発明を実践する際に、開示された実施形態に対する他の変形形態が当業者によって理解され、実施されることができる。特許請求の範囲において、用語「~を備える」は、他の要素又はステップを排除せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を排除しない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に記述されるいくつかの項目の機能を実現してよい。単にある手段が相互に異なる従属請求項に記述されていることは、それらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを意味するものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に、又はその一部として供給される、光学記憶媒体又は固体状態媒体などの媒体で記憶/配布されてよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線の遠隔通信システムを介するなど、他の形態で配布されてもよい。特許請求の範囲内に参照符号がある場合は、範囲を制限するものと解釈すべきでない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10