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特許7004725睡眠中の患者に与えられた刺激の効果を表す指標を出力するためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】睡眠中の患者に与えられた刺激の効果を表す指標を出力するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/16 20060101AFI20220114BHJP
   A61B 5/378 20210101ALI20220114BHJP
   A61B 5/38 20210101ALI20220114BHJP
   A61B 5/381 20210101ALI20220114BHJP
   A61B 5/383 20210101ALI20220114BHJP
   A61M 21/02 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
A61B5/16 130
A61B5/378
A61B5/38
A61B5/381
A61B5/383
A61M21/02 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019533486
(86)(22)【出願日】2017-12-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-28
(86)【国際出願番号】 EP2017084078
(87)【国際公開番号】W WO2018115277
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-18
(31)【優先権主張番号】62/437,973
(32)【優先日】2016-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア モリナ ゲイリー ネルソン
(72)【発明者】
【氏名】トソネバ トスヴェトミラ キロバ
(72)【発明者】
【氏名】プファンドナー ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッサプラガダ ヴェンカタ サティヤ スーリヤ スブラマニヤ スリーラム
(72)【発明者】
【氏名】マハデバン アナンディ
(72)【発明者】
【氏名】コソバッド ディアン
【審査官】樋口 祐介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/087983(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/092515(WO,A1)
【文献】特開2011-092536(JP,A)
【文献】国際公開第2015/118415(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0276439(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0238103(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/06-5/398
A61M21/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠セッション中の患者に与えられた刺激の効果を表す指標を出力するシステムであって、前記システムが
前記睡眠セッション中の前記患者に前記刺激を与える1つ又は複数の刺激器と、
前記睡眠セッション中の前記患者の脳活動に関連した情報を伝える出力信号を生成する1つ又は複数のセンサと、
前記1つ又は複数の刺激器及び前記1つ又は複数のセンサと動作可能に通信する1つ又は複数のハードウェア・プロセッサであって、前記1つ又は複数のハードウェア・プロセッサが、機械可読命令によって、
前記出力信号、及び前記患者に与えられた前記刺激に基づいて、
前記睡眠セッション中の前記患者の徐波活動の累積量を示し、累積徐波活動因子及び非急速眼球運動(NREM)期間因子に基づいて決定される、徐波活動基準値、
前記睡眠セッション中の前記患者の徐波活動を前記刺激がどの程度拡張するかを示し、前記睡眠セッション中に前記患者に加えられた刺激の数、及び前記睡眠セッション中に前記患者に加えられた特定の強度の刺激の数のうちの1つ又は両方に基づいて決定される、刺激品質基準値、及び、
前記睡眠セッション中の前記患者の睡眠品質を示し、前記患者の入眠潜時値、前記患者の中途覚醒値、前記睡眠セッション中の総睡眠時間、又は前記睡眠セッション中の覚醒の数のうちの1つ又は複数に基づいて決定される、睡眠構造基準値
を決定すること、
前記指標を決定するために、前記徐波活動基準値、前記刺激品質基準値、及び前記睡眠構造基準値を組み合わせること、並びに
前記患者への表示のための前記指標を出力すること
を行う、1つ又は複数のハードウェア・プロセッサと
を備える、システム。
【請求項2】
前記1つ又は複数のハードウェア・プロセッサが、
前記患者が属する年齢範囲の母集団の、睡眠セッション中の累積徐波活動の基準量、睡眠セッション中に与えられた刺激の基準レベル、及び睡眠セッション中の睡眠品質の基準レベルに関連した情報を示す、前記患者に関する年齢にマッチした基準情報を入手することと、
前記年齢にマッチした基準情報に基づいて、前記徐波活動基準値、前記刺激品質基準値、及び前記睡眠構造基準値を決定することと
を行う、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つ又は複数のセンサが、脳波図(EEG)電極を含み、前記1つ又は複数のハードウェア・プロセッサにより、
前記徐波活動基準値が、前記累積徐波活動因子及び前記NREM期間因子に基づいて決定され、
前記累積徐波活動及びNREM期間因子両方が、前記出力信号、及び前記年齢にマッチした基準情報に基づいて決定され、
前記累積徐波活動因子が、前記睡眠セッション中に検出されたNREMエポックにわたる0.5Hzから4Hz帯域又は0.5Hzから4Hz帯域に含まれるサブ帯域における累積EEG電力に基づいて決定される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つ又は複数のハードウェア・プロセッサにより、前記刺激品質基準値が、前記睡眠セッション中に前記患者に加えられたトーンの数、及び前記睡眠セッション中に前記患者に加えられた特定の音量のトーンの数、並びに前記年齢にマッチした基準情報に基づいて決定される、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つ又は複数のハードウェア・プロセッサにより、前記睡眠構造基準値が、前記年齢にマッチした基準情報、前記患者の前記入眠潜時値、前記患者の前記中途覚醒値、前記睡眠セッション中の前記総睡眠時間、及び前記睡眠セッション中の前記覚醒の数に基づいて決定され、
前記入眠潜時値、前記中途覚醒値、前記総睡眠時間、及び/又は前記覚醒の数が前記出力信号に基づいて決定される、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つ又は複数のハードウェア・プロセッサによる前記組合せが、前記徐波活動基準値、前記刺激品質基準値、及び前記睡眠構造基準値の線形の組合せを含み、
前記徐波活動基準値、前記刺激品質基準値、及び前記睡眠構造基準値が、前記線形の組合せの中で個々に重み付けされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記1つ又は複数のハードウェア・プロセッサが、前記徐波活動基準値、前記刺激品質基準値、及び前記睡眠構造基準値の表示を行わせる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
睡眠セッション中の患者に与えられた刺激の効果を表す指標を出力するためのシステムであって、前記システムが、
前記睡眠セッション中の前記患者に前記刺激を与えるための手段と、
前記睡眠セッション中の前記患者の脳活動に関連した情報を伝える出力信号を生成するための手段と、
前記出力信号、及び前記患者に与えられた前記刺激に基づいて、
前記睡眠セッション中の前記患者の徐波活動の累積量を示し、累積徐波活動因子及び非急速眼球運動(NREM)期間因子に基づいて決定される、徐波活動基準値、
前記睡眠セッション中の前記患者の徐波活動を前記刺激がどの程度拡張するかを示し、前記睡眠セッション中に前記患者に加えられた刺激の数、及び前記睡眠セッション中に前記患者に加えられた特定の強度の刺激の数のうちの1つ又は両方に基づいて決定される、刺激品質基準値、及び
前記睡眠セッション中の前記患者の睡眠品質を示し、前記患者の入眠潜時値、前記患者の中途覚醒値、前記睡眠セッション中の総睡眠時間、又は前記睡眠セッション中の覚醒の数のうちの1つ又は複数に基づいて決定される、睡眠構造基準値
を決定するための手段と、
前記指標を決定するために、前記徐波活動基準値、前記刺激品質基準値、及び前記睡眠構造基準値を組み合わせるための手段と、
前記患者への表示のための前記指標を出力するための手段と
を有する、システム。
【請求項9】
前記患者が属する年齢範囲の母集団の、睡眠セッション中の累積徐波活動の基準量、睡眠セッション中に与えられた刺激の基準レベル、及び睡眠セッション中の睡眠品質の基準レベルに関連した情報を示す、前記患者に関する年齢にマッチした基準情報を入手するための手段と、
前記基準情報に基づいて、前記徐波活動基準値、前記刺激品質基準値、及び前記睡眠構造基準値を決定するための手段と
をさらに有する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
出力信号を生成するための前記手段が、脳波図(EEG)電極を含み、
前記徐波活動基準値が、前記累積徐波活動因子及び前記NREM期間因子に基づいて決定され、
前記累積徐波活動及びNREM期間因子両方が、前記出力信号、及び前記年齢にマッチした基準情報に基づいて決定され、
前記累積徐波活動因子が、前記睡眠セッション中に検出されたNREMエポックにわたる0.5Hzから4Hz帯域又は0.5Hzから4Hz帯域に含まれるサブ帯域における累積EEG電力に基づいて決定される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記刺激品質基準値が、前記睡眠セッション中に前記患者に加えられたトーンの数、及び前記睡眠セッション中の前記患者に加えられた特定の音量のトーンの数、並びに前記年齢にマッチした基準情報に基づいて決定される、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記睡眠構造基準値が、前記年齢にマッチした基準情報、前記患者の前記入眠潜時値、前記患者の前記中途覚醒値、前記睡眠セッション中の前記総睡眠時間、及び前記睡眠セッション中の前記覚醒の数に基づいて決定され、
前記入眠潜時値、前記中途覚醒値、前記総睡眠時間、及び/又は前記覚醒の数が前記出力信号に基づいて決定される、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記組合せが、前記徐波活動基準値、前記刺激品質基準値、及び前記睡眠構造基準値の線形の組合せを有し、
前記徐波活動基準値、前記刺激品質基準値、及び前記睡眠構造基準値が、前記線形の組合せの中で個々に重み付けされる、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記徐波活動基準値、前記刺激品質基準値、及び前記睡眠構造基準値の表示を行わせるための手段をさらに有する、請求項8に記載のシステム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[01] 本開示は、睡眠セッション中の患者に与えられた刺激の効果を表す指標を出力するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[02] 睡眠を監視するためのシステムが知られている。睡眠の回復値は、深睡眠中に適切に時間指定された聴覚刺激を加えて、睡眠徐波を拡張することによって増大されることが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
典型的には、睡眠を監視するためのシステムは、睡眠セッション中に与えられた刺激の恩恵をユーザに知らせる出力を自動的に生成しない。本開示は、従来技術システムにおける欠陥を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[03] したがって、本開示の1つ又は複数の態様は、睡眠セッション中の患者に与えられた刺激の効果を表す指標を出力するように構成されたシステムに関する。システムは、1つ若しくは複数の刺激器、1つ若しくは複数のセンサ、1つ若しくは複数のハードウェア・プロセッサ、及び/又は他の構成要素を備える。1つ又は複数の刺激器は、睡眠セッション中の患者に刺激を与えるように構成される。1つ又は複数のセンサは、睡眠セッション中の患者の脳活動に関連した情報を伝える出力信号を生成するように構成される。1つ又は複数のハードウェア・プロセッサは、1つ又は複数の刺激器及び1つ又は複数のセンサと動作可能に通信する。1つ又は複数のハードウェア・プロセッサは、機械可読命令によって、出力信号、及び患者に与えられた刺激に基づいて、睡眠セッション中の患者の徐波活動の累積量を示す徐波活動基準値、睡眠セッション中の患者の徐波活動を刺激がどの程度拡張するかを示す刺激品質基準値、及び睡眠セッション中の患者の睡眠品質を示す睡眠構造基準値を決定することを行うように構成される。1つ又は複数のハードウェア・プロセッサは、指標を決定するために、徐波活動基準値、刺激品質基準値、及び睡眠構造基準値を組み合わせること、並びに患者への表示のための指標を出力することを行うように構成される。
【0005】
[04] 本開示のさらに別の態様は、睡眠セッション中の患者に与えられた刺激の効果を表す指標を指標システムによって出力するための方法に関する。システムは、1つ若しくは複数の刺激器、1つ若しくは複数のセンサ、1つ若しくは複数のハードウェア・プロセッサ、及び/又は他の構成要素を備える。方法は、1つ又は複数の刺激器によって、睡眠セッション中の患者に刺激を与えること、1つ又は複数のセンサによって、睡眠セッション中の患者の脳活動に関連した情報を伝える出力信号を生成すること、並びに1つ又は複数のプロセッサによって、出力信号、及び患者に与えられた刺激に基づいて、睡眠セッション中の患者の徐波活動の累積量を徐波活動基準値、睡眠セッション中の患者の徐波活動を刺激がどの程度拡張するかを示す刺激品質基準値、及び睡眠セッション中の患者の睡眠品質を示す睡眠構造基準値を決定することを有する。方法は、1つ又は複数のプロセッサによって、指標を決定するために、徐波活動基準値、刺激品質基準値、及び睡眠構造基準値を組み合わせること、並びに1つ又は複数のハードウェア・プロセッサによって、患者への表示のための指標を出力することを有する。
【0006】
[05] 本開示のさらに別の態様は、睡眠セッション中の患者に与えられた刺激の効果を表す指標を出力するためのシステムのためのシステムに関する。システムは、睡眠セッション中の患者に刺激を与えるための手段、睡眠セッション中の患者の脳活動に関連した情報を伝える出力信号を生成するための手段、並びに出力信号、及び患者に与えられた刺激に基づいて、睡眠セッション中の患者の徐波活動の累積量を示す徐波活動基準値、睡眠セッション中の患者の徐波活動を刺激がどの程度拡張するかを示す刺激品質基準値、及び睡眠セッション中の患者の睡眠品質を示す睡眠構造基準値を決定するための手段を有する。システムは、指標を決定するために、徐波活動基準値、刺激品質基準値、及び睡眠構造基準値を組み合わせるための手段、並びに患者への表示のための指標を出力するための手段を有する。
【0007】
[06] 本開示のこれら及び他の目的、特徴、及び特性、並びに構造の関連要素の動作及び機能に関する方法、並びに部品の組合せ、及び製造の効率は、すべてが本明細書の一部を形成し、同様の参照数字が様々な図の対応する部品を示す添付の図面を参照しながら、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を考慮すると、さらに明らかになるであろう。しかし、図面は例証及び説明のためのものにすぎず、本開示の限定を定義することを意図するものではないということを明確に理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】[07] 睡眠セッション中の患者に与えられた刺激の効果を表す指標を出力するように構成されたシステムを示す図である。
図2】[08] システムの治療構成要素によって行われる動作の例を示す図である。
図3】[09] 患者の自動的に決定された累積徐波活動と手動で決定された累積徐波活動との間の相関関係を示す図である。
図4】[10] 累積徐波活動因子の決定を示す図である。
図5】[11] NREM期間因子の決定を示す図である。
図6】[12] 徐波活動基準値の決定を示す図である。
図7】[13] 睡眠セッション中の刺激トーンの数と累積徐波活動との間の相関関係を示す図である。
図8】[14] 刺激品質基準値の決定を示す図である。
図9】[15] 睡眠構造パラメータを示す図である。
図10】[16] 総睡眠時間ポイントを決定することを示す図である。
図11】[17] 中途覚醒ポイントを決定することを示す図である。
図12】[18] 入眠潜時(sleep onset latency)ポイントを決定することを示す図である。
図13】[19] 覚醒ポイントを示す図である。
図14】[20] 睡眠構造基準値の分布の例を示す図である。
図15】[21] 徐波活動基準値、刺激品質基準値、及び睡眠構造基準値を組み合わせることを示す図である。
図16】[22] 指標を表示する例を示す図である。
図17】[23] システムによって行われる動作の例を示す図である。
図18】[24] 睡眠セッション中の患者に与えられた刺激の効果を表す指標を出力するための方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[25] 本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別途明確に指示されない限り、複数形の参照を含む。本明細書で使用されるように、2つ以上の部品又は構成要素が「連結される」という表現は、リンクが発生する限り、直接的又は間接的に、すなわち1つ又は複数の中間部品又は中間構成要素を通じて、部品が結合されるか、合わせて動作することを意味する。本明細書で使用されるように、「直接的に連結される」は、2つの要素が互いに直接的に接触していることを意味する。本明細書で使用されるように、「固定的に連結される」又は「固定される」は、2つの構成要素が、互いに対して一定の方向を維持しながら1つになって動くように連結されることを意味する。
【0010】
[26] 本明細書で使用されるように、単語「一体の(unitary)」は、構成要素が、1つのピース又はユニットとして作り出されることを意味する。すなわち、別々に作り出され、その後、ユニットとして相互に連結されるピースを含む構成要素は、「一体の」構成要素又はボディではない。本明細書で用いられるように、2つ以上の部品又は構成要素が互いに「かみ合う(engage)」という表現は、直接的に、又は1つ若しくは複数の中間部品又は中間構成要素を通じて、互いに対して部品が力を及ぼすことを意味する。本明細書で用いられるように、用語「数(number)」は、1、又は1より大きい整数(すなわち複数)を意味する。
【0011】
[27] 例として、また限定ではなく、最上部、最下部、左、右、上部、下部、前、後、及びこれらの派生語などの本明細書で使用される方向を示す句は、図面に示されている要素の方向に関係し、特許請求の範囲に明確に列挙されない限り、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0012】
[28] 図1は、睡眠セッション中の患者12に与えられた刺激の効果を表す指標を自動的に出力するように構成されたシステム10を示す。睡眠を監視する典型的なシステムは、特定の睡眠セッション中の睡眠を説明するスコアをユーザに示す。しかし、典型的なシステムにおいて使用されるスコアのタイプは、例えばアクティグラフィ(例えば、Microsoft Band、Fitbit)又は脳波検査(例えばZeo)をこれらのシステムが使用するかどうかに関わらず、これらのシステムが、睡眠ステージ割合、微小覚醒(micro-arousal)カウント、総睡眠時間、等などの睡眠構造(又はマクロ睡眠(macro-sleep))パラメータにフォーカスするので、刺激を通じた睡眠拡張の恩恵を捕らえない。システム10は、睡眠構造情報の他に、徐波活動に関連した情報(0.5Hzから4Hz帯域における脳波図(EEG)電力)、患者12に与えられた刺激の品質に関連した情報、年齢にマッチした基準情報、及び/又は他の情報に基づいて、指標が決定されるように構成される。
【0013】
[29] システム10は、指標を決定するために、徐波活動、刺激品質、睡眠構造、及び/又は他の情報に関連した個々に重み付けされた基準値を決定すること、及び組み合わせることを行うように構成される。例えば、いくつかの実施形態において、システム10は、基準値が個々に重み付けされ、指標が、個々に重み付けされた基準値の組合せに基づいて決定されたスコア、色分けされた表示、及び/又は他の指標を含むように構成される。システム10は、システム10(例えば、システム10に含まれるユーザ・インターフェースの一部であるディスプレイ)を介して、患者12と関連付けられたモバイル・コンピューティング・デバイス及び/若しくは他のコンピューティング・デバイス上で、並びに/又は他のデバイス上で、患者12及び/又は他のユーザへの表示のために、指標(例えば、スコア、色分けされた表示、等)が出力されるように構成される。
【0014】
[30] いくつかの実施形態において、システム10は、非急速眼球運動(NREM:non-rapid eye movement)睡眠の全体を通して、(例えば下記に説明されるような)1つ又は複数の特定のEEG電力帯域におけるEEG電力の総量を徐波活動関連基準値が数量化するように構成される。これは睡眠の回復値に関連し、睡眠セッション中の患者12に与えられた刺激による影響を受ける。いくつかの実施形態において、刺激品質関連基準値は、睡眠セッション中の患者12の徐波活動を、刺激がどの程度拡張するかを数量化する。刺激品質関連基準値は、睡眠セッション中に患者12が受ける刺激の量を示すものでもある。刺激品質基準値は、刺激の様々な属性(例えば、トーンの数、到達した最大音量、平均音量、等)に基づいて決定される。いくつかの実施形態において、睡眠構造関連基準値は、全睡眠期間(TST:total sleep duration)、中途覚醒(WASO:wake after sleep onset)の期間、検出された睡眠微小覚醒の数、入眠潜時(SOL:sleep onset latency)、睡眠ステージの期間に関連したパラメータ、及び/又は患者12に関する他のパラメータなどのパラメータに基づいて睡眠品質を数量化する。
【0015】
[31] システム10は、徐波活動、刺激品質、睡眠構造に関連した、年齢にマッチした基準情報、並びに/又は患者12と年齢及び/若しくは他の人口統計学上の特性が似ている患者の母集団に関する他の情報に基づいて、個々の基準値が決定されるように構成される。年齢にマッチした基準情報は、年齢がマッチした母集団にわたる徐波活動、刺激品質、睡眠構造、及び/又は他の情報に関連した(例えば本明細書で説明されるような)様々なパラメータの統計的分布を含む。
【0016】
[32] いくつかの実施形態において、システム10は、刺激器16、センサ18、プロセッサ20、電子ストレージ22、ユーザ・インターフェース24、外部リソース26、及び/或いは他の構成要素の1つ又は複数を含む。
【0017】
[33] 刺激器16は、電気刺激、磁気刺激、及び/又は知覚刺激を患者12に与えるように構成される。刺激器16は、睡眠セッションの前、睡眠セッション中、及び/又は他の時間に、電気刺激、磁気刺激、及び/又は知覚刺激を患者12に与えるように構成される。例えば、刺激器16は、睡眠のより深いステージ、睡眠のより浅いステージへの遷移を容易にするため、特定のステージにおける睡眠を維持するため、及び/又は他の目的のために、睡眠セッション中の患者12に刺激を与えるように構成される。いくつかの実施形態において、刺激器16は、より深い睡眠ステージとより浅い睡眠ステージとの間の遷移を容易にすることが、患者12の睡眠徐波を減少させることを含み、より浅い睡眠ステージとより深い睡眠ステージとの間の遷移を容易にすることが、睡眠徐波を増大させることを含むように構成される。
【0018】
[34] 刺激器16は、非侵襲性脳刺激及び/又は他の方法を通じて、睡眠ステージ間の遷移を容易にすること、及び/又は特定のステージにおける睡眠を維持することを行うように構成される。刺激器16は、電気刺激、磁気刺激、及び/又は知覚刺激を使用して非侵襲性脳刺激を通じて、睡眠ステージ間の遷移を容易にすること、及び/又は特定のステージにおける睡眠を維持することを行うように構成される。電気刺激、磁気刺激、及び/又は知覚刺激は、聴覚刺激、視覚刺激、体知覚刺激、電気刺激、磁気刺激、刺激の様々なタイプの組合せ、及び/又は他の刺激を含む。電気刺激、磁気刺激、及び/又は知覚刺激は、臭気刺激、音刺激、視覚刺激、接触刺激、味覚刺激、体知覚刺激、触覚刺激、電気刺激、磁気刺激、及び/又は他の刺激を含む。例えば、睡眠ステージ間の遷移を容易にするために、及び/又は特定のステージにおける睡眠を維持するために、音響トーンが患者12に与えられる。刺激器16の例は、音波生成器、スピーカ、音楽プレーヤ、トーン生成器、患者12の頭皮上の1つ若しくは複数の電極、振動刺激を加えるための振動器(例えば圧電部材など)、大脳皮質を直接刺激するための磁界を生成するコイル、1つ若しくは複数の発光器若しくはランプ、芳香ディスペンサ、及び/又は他のデバイスの1つ若しくは複数を含む。いくつかの実施形態において、刺激器16は、患者12に与えられる刺激の強度、タイミング、及び/又は他のパラメータを調節するように構成される。
【0019】
[35] センサ18は、患者12の脳活動、中枢神経系の活動、末梢神経系の活動、及び/又は他の活動に関連した情報を伝える出力信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態において、脳活動に関連した情報は、中枢神経系に関連した情報、末梢神経系の活動に関連した情報、及び/又は他の情報を含む。いくつかの実施形態において、センサ18は、患者12の徐波活動に関連した情報を伝える出力信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態において、患者12の脳活動、中枢神経系の活動、末梢神経系の活動、及び/又は他の活動に関連した情報は、徐波活動に関連した情報である。いくつかの実施形態において、センサ18は、睡眠セッション中の患者12に与えられた刺激に関連した情報を伝える出力信号を生成するように構成される。
【0020】
[36] いくつかの実施形態において、患者12の徐波活動は、患者12の睡眠ステージに対応する。患者12の睡眠ステージは、急速眼球運動(REM:rapid eye movement)睡眠、NREM睡眠、及び/又は他の睡眠と関連付けられる。患者12の睡眠ステージは、NREMステージN1、NREMステージN2、若しくはNREMステージN3、睡眠、REM睡眠、及び/又は他の睡眠ステージの1つ又は複数である。いくつかの実施形態において、NREMステージ3及び/又は4は、徐波睡眠(例えば深睡眠)である。センサ18は、このようなパラメータを直接的に測定する1つ又は複数のセンサを含む。例えば、センサ18は、患者12の脳内の電流の流れから生じる患者12の頭皮に沿った電気活動を検出するように構成されたEEG電極を含む。センサ18は、患者12の徐波活動に関連した情報を間接的に伝える出力信号を生成する1つ又は複数のセンサを含む。例えば、1つ又は複数のセンサ18は、患者12の心拍数(例えばセンサ18は、患者12の胸郭上に置かれることが可能な心拍数センサ、患者12の手首のブレスレットとして構成されることが可能な心拍数センサ、及び/若しくは患者12の別の手足上に置かれることが可能な心拍数センサである)、患者12の動き(例えばセンサ18は、アクティグラフィ信号を使用して睡眠が分析されるように、患者12の手首及び/若しくは足首の周りのブレスレットなどのウェアラブル上に保持されることが可能な加速度計を備える)、患者12の呼吸、並びに/又は他の患者12の特性に基づいて出力を生成する心拍数センサを含む。
【0021】
[37] いくつかの実施形態において、1つ又は複数のセンサは、EEG電極、眼電図(EOG:electrooculogram)電極、アクティグラフィ・センサ、心電図(EKG:electrocardiogram)電極、呼吸センサ、圧力センサ、バイタル・サイン・カメラ、フォトプレチスモグラフィ(PPG:photoplethysmogram)センサ、機能的近赤外線センサ(fNIR:functional near infra-red sensor)、温度センサ、マイクロフォン及び/若しくは患者12に与えられた刺激(例えば、その量、周波数、強度、及び/若しくは他の特性)に関連した出力信号を生成するように構成された他のセンサ、並びに/又は他のセンサの1つ又は複数を含む。患者12の近くの1つの場所にあるセンサ18が示されているが、これは限定することを意図するものではない。センサ18は、複数の場所に置かれたセンサを含み、例えば、知覚刺激器16内の(若しくは知覚刺激器16と通信している)センサ、(取外し可能な手法で)患者12の衣類と連結されたセンサ、(例えば、ヘッド・バンド、リスト・バンド等として)患者12によって身につけられているセンサ、患者12が眠っている間に患者12のいるポイントに置かれたセンサ(例えば患者12の動きに関連した出力信号を伝えるカメラ)、患者12が眠っている場所にあるベッド及び/若しくは他の家具と連結されたセンサ、並びに/又は他の場所にあるセンサを含む。
【0022】
[38] プロセッサ20は、システム10における情報処理能力をもたらすように構成される。したがって、プロセッサ20は、デジタル・プロセッサ、アナログ・プロセッサ、情報を処理するために設計されたデジタル回路、情報を処理するために設計されたアナログ回路、ステートマシン、及び/又は情報を電子的に処理するための他のメカニズムの1つ又は複数を含む。プロセッサ20が単一のエンティティとして図1に示されているが、これは例証のためでしかない。いくつかの実施形態において、プロセッサ20は複数の処理ユニットを備える。これらの処理ユニットは、同じデバイス(例えば、知覚刺激器16、ユーザ・インターフェース24、等)の中に物理的に置かれ、またプロセッサ20は、連携して動作する複数のデバイスの処理機能を表す。いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、サーバ、及び/又は他のコンピューティング・デバイスなどのコンピューティング・デバイスであり、及び/又はコンピューティング・デバイスに含まれる。このようなコンピューティング・デバイスは、システム10とのユーザ対話を容易にするように構成されたグラフィカル・ユーザ・インターフェースを有する1つ又は複数の電子アプリケーションを動かす。
【0023】
[39] 図1に示されているように、プロセッサ20は、1つ又は複数のコンピュータ・プログラム構成要素を実行するように構成される。コンピュータ・プログラム構成要素は、例えば、プロセッサ20において符号化された、及び/又はそうでなければプロセッサ20に組み込まれている、ソフトウェア・プログラム及び/又はアルゴリズムを含む。1つ又は複数のコンピュータ・プログラム構成要素は、治療構成要素30、年齢にマッチした基準構成要素32、徐波活動基準値構成要素34、刺激品質基準値構成要素36、睡眠構造基準値構成要素38、組合せ構成要素40、出力構成要素42、及び/又は他の構成要素の1つ又は複数を含む。プロセッサ20は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェア、及び/若しくはファームウェアのいくつかの組合せ、並びに/又はプロセッサ20上の処理能力を構成するための他のメカニズムによって構成要素30、32、34、36、38、40、及び/又は42を実行するように構成される。
【0024】
[40] 構成要素30、32、34、36、38、40、及び42は、単一の処理ユニット内の同じ場所にあるものとして図1に示されているが、プロセッサ20が複数の処理ユニットを含む実施形態においては、構成要素30、32、34、36、38、40、及び/又は42の1つ又は複数が、他の構成要素から離れた場所にあることも可能であるということを理解されたい。下記で説明される様々な構成要素30、32、34、36、38、40、及び/又は42によってもたらされる機能の説明は例証のためのものであり、構成要素30、32、34、36、38、40、及び/又は42のいずれかが、説明されるものよりも多くの機能又は少ない機能をもたらすこともあるので、限定することを意図するものではない。例えば、構成要素30、32、34、36、38、40、及び/又は42の1つ又は複数は、取り除かれることが可能であり、この機能のいくつか又はすべてが、他の構成要素30、32、34、36、38、40、及び/又は42によってもたらされることが可能である。別の例として、プロセッサ20は、構成要素30、32、34、36、38、40、及び/又は42のうちの1つにあると下記で考えられる機能のいくつか又はすべてを行う1つ又は複数の追加構成要素を実行するように構成される。
【0025】
[41] 治療構成要素30は、1つ又は複数の刺激器16を制御して、睡眠セッション中の患者12に刺激を与えるように構成される。1つ又は複数の刺激器16は、所定の治療レジメンに従って刺激を与えるように制御される。睡眠徐波は、NREM睡眠時に加えられる(例えば、抹消聴覚の、磁気の、電気の、及び/又は他の)刺激を通じて拡張されることが可能である。睡眠徐波を拡張することは、睡眠の回復値を増大させる。治療構成要素30は、センサ18の出力信号に基づいて(例えばEEGに基づいて)、及び/又は睡眠セッション中の他の情報に基づいて、患者12の脳活動を監視し、刺激器16によって刺激(例えば聴覚刺激及び/又は他の刺激)の付加を制御して、患者12の徐波活動を制御する。いくつかの実施形態において、治療構成要素30(及び/又は、又は下記で説明される他の処理構成要素の多く)は、(「System and Method for Sleep Session Management Based on Slow Wave Sleep Activity in a Subject」という名称の)米国特許出願第14/784,782号、(「System and Method for Enhancing Sleep Slow Wave Activity Based on Cardiac Activity」という名称の)米国特許出願第14/783,114号、(「Adjustment of Sensory Stimulation Intensity to Enhance Sleep Slow Wave Activity」という名称の)米国特許出願第14/784,746号、(「System and Method for Determining Sleep Stage Based on Sleep Cycle」という名称の)米国特許出願第15/101,008号、及び/又は(「System and Method for Facilitating Sleep Stage Transitions」という名称の)米国特許出願第15/101,435号において説明されている動作に似ている、及び/又は同じ1つ又は複数の動作を行い、これらは全体として参照によりすべて個々に組み込まれる。
【0026】
[42] (図1に示された)治療構成要素30によって行われる動作200の例証の1つの例が、図2に示されている。図2に示されているように、EEG電極(例えばセンサ18)は、EEG信号204を生成する(202)。(微小)覚醒を示すEEGパターン(アルファ8Hz~12Hz帯域及び/又はベータ15Hz-30Hz帯域における高電力)の存在が、治療構成要素30(図1)によって評価される(206)。覚醒のような活動が、刺激中にEEGにおいて検出されると(208)、治療構成要素30は刺激器16を制御して、刺激を停止する(210)。覚醒のような活動が、刺激期間外で検出されると212、次の刺激の開始は遅延させられる(214)。覚醒のような活動が検出されない場合(216)、治療構成要素30は、徐波活動帯域(0.5Hzから4Hzまで)における電力、検出された徐波の一時密度、及び/又は他の情報に基づいて深睡眠を検出しようと試みる(218)。十分な深睡眠の検出220に応答して、治療構成要素30は、刺激器16を制御して、聴覚の(図2に示されている例におけるようなものだが、これは限定することを意図するものではない)刺激が加えられること(222)が行われるように構成される。治療構成要素30は、デルタ電力/アルファ電力+デルタ電力/ベータ電力という、電力比の合計を考慮に入れる、睡眠の深さに関するリアル・タイムのEEGベースの推定によって、(例えば)聴覚刺激の(例えば)音量が変えられるように構成される。必然的に、睡眠が深くなればなるほど、刺激の音量が大きくなる。
【0027】
[43] 図1に戻ると、年齢にマッチした基準構成要素32は、患者12に関する年齢にマッチした基準情報を入手するように構成される。患者12に関する年齢にマッチした基準情報は、睡眠セッション中の累積徐波活動の基準量、睡眠セッション中に与えられた刺激の基準レベル、睡眠セッション中の睡眠品質の基準レベル、及び/又は患者12に年齢が似ている患者の母集団についての他の情報に関連した情報を示す。年齢にマッチした基準情報は、徐波活動、刺激品質、睡眠構造、及び/又は1つ若しくは複数の年齢の母集団にわたる他の情報に関連した様々なパラメータの統計的分布を含む。いくつかの実施形態において、統計的分布は、平均、標準偏差、最大値、最低値、範囲、経時的なパラメータの変化、合計、分位値(例えば50番目の百分位値(percent quantile)及び/若しくは中央値、等)、並びに/又は他の統計的分布を含む。いくつかの実施形態において、様々なパラメータは、睡眠セッション中の累積徐波活動(CSWA)、検出されたNREM睡眠期間、平均刺激強度(例えば音量)、最大刺激強度(例えば音量)、最低刺激強度(例えば音量)、個々の刺激(例えばトーン)の総量、所与の強度(例えば音量)の刺激(例えばトーン)の数、刺激密度(例えば、所与の時間あたりのトーンの数)、TST、WASO、SOL、覚醒の量、徐波のカウント、徐波の振幅、睡眠ステージの期間、紡錘波のカウント、紡錘波の周波数、及び/又は他のパラメータを含む。
【0028】
[44] いくつかの実施形態において、年齢にマッチした基準情報は、2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上の年齢範囲についての基準情報を含む。非限定的な例として、年齢にマッチした基準情報は、20歳未満、20歳~30歳、30歳~40歳、40歳~60歳の人、及び/又は60歳を超える人についての基準情報のセットを含む。
【0029】
[45] いくつかの実施形態において、様々な年齢グループに関する年齢にマッチした基準情報は、システム10及び/又は類似のシステムを使用したことがある様々な年齢の患者の以前の睡眠セッションからの情報に基づいて、年齢にマッチした基準構成要素32によって決定される。いくつかの実施形態において、年齢にマッチした基準構成要素32は、様々な年齢グループに関する年齢にマッチした基準情報の実験的決定を容易にするように構成される。いくつかの実施形態において、年齢にマッチした基準情報の実験的決定を容易にすることは、刺激器16、センサ18、及び/又はシステム10の他の構成要素を制御して、複数の睡眠セッション(例えば、180個の睡眠セッション記録)にわたる様々な年齢及び性別の患者(例えば、実験の1つの例において、25歳から54歳までの年齢の範囲内にいる4人の女性、15人の男性という、19人の患者)を刺激すること(又は疑似(sham)セッションでのように刺激しないこと)、センサ18からの出力信号に含まれる情報を記録すること、並びに上述のパラメータの1つ又は複数に関する統計的分布の1つ又は複数を決定することを含む。
【0030】
[46] いくつかの実施形態において、年齢にマッチした基準構成要素32は、(例えば外部リソース26の一部である)文献及び/又は他のデータベースから年齢にマッチした基準情報を入手するように構成される。いくつかの実施形態において、システム10は、例えば、電子ストレージ22、外部リソース26、及び/又はシステム10の他の構成要素の一部であるデータベースに様々な年齢グループの年齢にマッチした基準情報が格納されるように構成される。いくつかの実施形態において、年齢にマッチした基準構成要素32は、様々なパラメータの統計的分布の値を更新するように構成される。年齢にマッチした基準構成要素32は、さらなる年齢にマッチした基準情報のさらなる実験的決定を容易にすること、外部リソース26に含まれる文献及び/又は他のデータベース内で利用可能になったさらなる年齢にマッチした基準情報を入手すること、ユーザ・インターフェース24を介して患者12及び/又は他のユーザ(例えば、医師、看護師、介護士、家族の一員、研究者、等)による更新された情報の入力及び/又は選択を容易にすることに応答して値を更新すること、及び/又は他の更新を行う。
【0031】
[47] いくつかの実施形態において、年齢にマッチした基準構成要素32は、ユーザ・インターフェース24及び/又はシステム10の他の構成要素を介して患者12の年齢の入力及び/又は選択を容易にすること、並びに患者12の入力及び/又は選択された年齢を上述の年齢範囲及び/又は他の年齢範囲と比較することを行うように構成される。比較に基づいて、年齢にマッチした基準構成要素32は、どの年齢範囲が患者12の年齢に対応するかを決定し、電子ストレージ22及び/又は他の情報源から適正な年齢にマッチした基準情報を入手する。患者12の年齢に対応する入手した年齢にマッチした基準情報は、下記に説明されるような基準値を決定するために、(例えば、徐波活動基準値構成要素34、刺激品質基準値構成要素36、睡眠構造基準値構成要素38、及び/又は他の構成要素によって)使用される。
【0032】
[48] 徐波活動基準値構成要素34は、徐波活動基準値を決定するように構成される。徐波活動基準値は、睡眠セッション中の患者12の徐波活動の累積量を示すものである。徐波活動基準値は、出力信号、患者12に与えられた刺激、年齢にマッチした基準情報、及び/又は他の情報に基づいて決定される。いくつかの実施形態において、徐波活動基準値は、累積徐波活動因子(CSWA:cumulative slow wave activity factor)及びNREM期間因子に基づいて決定される。いくつかの実施形態において、徐波活動基準値は方程式1に基づいて決定される。
徐波活動基準値=100×CSWA因子×NREM期間因子 (1)
いくつかの実施形態において、累積徐波活動因子及びNREM因子は両方、出力信号、年齢にマッチした基準情報、及び/又は他の情報に基づいて決定される。
【0033】
[49] いくつかの実施形態において、CSWA因子は、徐波活動基準値構成要素34によって自動的に決定された、睡眠セッション中に検出されたNREMエポックにわたる0.5Hzから4Hzまでの帯域における累積的なEEG電力であり、及び/又は累積的なEEG電力に基づいて決定される。いくつかの実施形態において、適正な周波数解像度を保証するため、及び/又は他の理由のために、徐波活動基準値構成要素34は、長さ6秒のエポックが考慮に入れられるように構成される。様々な期間のエポックを使用して患者12の睡眠ステージを決定する治療構成要素30及び/又はシステム10の他の構成要素に応答して、徐波活動基準値構成要素34は、(例えば、睡眠ステージのエポックが短くなる場合)ダウン・サンプリング、及び/又は(例えば、睡眠ステージのエポックが長くなる場合)アップ・サンプリングを行う追加ステップが、長さ6秒のエポックを入手するために利用されるように構成される。
【0034】
[50] いくつかの実施形態において、徐波活動基準値構成要素34は、徐波活動基準値構成要素34によるCSWA因子の自動決定が、手動で注釈をつけられたNREMエポックに基づいて決定された累積徐波活動と相関するように構成される。これは図3に示されている。図3は、同じ睡眠セッション306からの、CSWAに対して手動で注釈をつけられたNREM期間に基づいて決定されたCSWA304に対する、自動的に検出されたNREM期間に基づいて決定されたCSWA302のプロット300である。図3に示されているように、線形データへの適合310の相関関係308は1.0に近い。
【0035】
[51] 図4は、CSWA因子の決定をさらに示す。所与の睡眠セッションに対する患者12(図1)の出力信号に基づいて、徐波活動基準値構成要素34によって決定された所与の睡眠セッションのCSWA400を考慮に入れると、CSWA因子は、患者12が属する年齢範囲についての基準CSWA情報402を使用して決定される。徐波活動基準値構成要素34は、CSWAの(図4においてμで表された)対応する年齢にマッチした基準値406と、睡眠セッション時に患者12によって到達されたCSWAを比較すること404を行うように構成される。年齢にマッチした基準値406、並びに基準値406の周辺の標準偏差(σ)、及び408(σ-μ)、410(σ+μ)が、図4のCSWA因子決定プロット412に示されている。CSWA因子はプロット412に基づいて決定され、ここで、CP及びCPは、構成可能パラメータ414及び416である。いくつかの実施形態において、徐波活動基準値構成要素34(図1)は、CP及び/又はCPが、製造時に決定されること、ユーザ・インターフェース24(図1)を介して入力及び/若しくは選択されること、患者12(図1)及び/若しくは他の患者の以前の睡眠セッションに基づいて決定されること、並びに/又は他の方式で決定されることが行われるように構成される。
【0036】
[52] この例(並びに徐波活動基準値及び他の基準値に対して下記で説明される例)において、システム10によって決定される指標は数値スコアであり、本明細書で説明される基準値は、指標を決定するために重み付けされ、組み合わされる数値のサブスコアであり、CSWA因子は、徐波活動基準値の数値のサブスコアである。図4に示されているように、パラメータCP及びCPが、1及び1.1にそれぞれ設定された。これは、この例において、患者12のCSWA404が、CSWA406の年齢にマッチした平均量より1標準偏差より大きく下回る場合408、CSWA因子418が、CSWAの量によって1からゼロまで線形的に減少する値を有することを意味する。CSWA404が、CSWAの年齢にマッチした平均量406より1標準偏差より大きく上回る場合410、CSWA因子418は、1.1から線形的に増加する。CSWA408とCSWA410との間で、CSWA因子418は、CSWA406まで1で一定であり、それからCSWA410まで1から1.1に線形的に増加する。
【0037】
[53] いくつかの実施形態において、徐波活動基準値構成要素34(図1)は、NREM期間因子が方程式2に基づいて決定されるように構成される。
【数1】
ここで、μdur及びσdurは、患者12(図1)の対応する年齢にマッチした年齢範囲に対する、NREMが検出された期間の平均値及び標準偏差であり、dNREMは、出力信号に基づく、徐波活動構成要素34による、睡眠セッション中の患者12の検出されたNREM睡眠の期間であり、φ及びφは、患者12に対する、決定されたNREM期間に基づく、NREM期間因子の値を決定する(CP及びCPのような)構成可能パラメータである。いくつかの実施形態において、徐波活動基準値構成要素34(図1)は、φ及び/又はφが、製造時に決定されること、ユーザ・インターフェース24(図1)を介して入力及び/若しくは選択されること、患者12(図1)及び/若しくは他の患者の以前の睡眠セッションに基づいて決定されること、並びに/又は他の方式で決定されることが行われるように構成される。
【0038】
[54] 図5は、NREM期間因子の決定を示す。図5(a)は、3つの異なる年齢範囲502、504、506に対する年齢にマッチした基準NREM期間情報500の例を示す。(図4のプロット412に似ている)図5(b)に示されているように、NREM期間因子508は、dNREMが、μdur-σdur510とμdur512の間にある場合、φに等しく、μdur-σdur510より小さいdNREMの値に対して線形的に減少し、μdur512より大きいdNREMの値に対して漸進的に増加し、dNREM=μdur+σdur514に対してφ2>φ1という値である。この例において、φ及びφは、それぞれ1及び1.1である(これは限定することを意図するものではない)。図5(c)は、3つの異なる年齢範囲502、504、及び506に対する、NREM期間因子522の例の範囲516、518、520を示す。
【0039】
[55] 上述のように、徐波活動基準値構成要素34(図1)は、方程式1(例えば、100×NREM期間因子×CSWA因子)に基づいて徐波活動基準値を決定するように構成される。図6は、患者12(図1)の年齢に対応する年齢範囲の3つの例602、604、606に対する(カラー・スケールに陰影がつけられたログとして示されている)徐波活動基準値600の決定を示す。徐波活動基準値600の値は、年齢範囲によって決まる。図6に示されている個々の年齢範囲602、604、606に対して、検出されたNREM610に対する、年齢にマッチした基準CSWA608、及び標準偏差が、実線及び破線でそれぞれ表されている。
【0040】
[56] 図1に戻ると、刺激品質基準値構成要素36は、刺激品質基準値を決定するように構成される。刺激品質基準値は、睡眠セッション中の患者12の徐波活動を刺激がどの程度拡張するかを示すものである。刺激品質基準値は、出力信号、患者12に与えられた刺激、年齢にマッチした基準情報、及び/又は他の情報に基づいて決定される。いくつかの実施形態において、刺激品質基準値は、平均刺激強度(例えば音量)、最大刺激強度(例えば音量)、最低刺激強度(例えば音量)、個々の刺激(例えばトーン)の総量、所与の強度(例えば音量)での刺激(例えばトーン)の数、刺激密度(例えば所与の時間あたりのトーンの数)、及び/若しくは刺激の他の特性の1つ若しくは複数であり、並びに/又はこれらに関連している。
【0041】
[57] いくつかの実施形態において、刺激品質基準値は、患者12の徐波活動の拡張と相関する特性であり、及び/又はこの特性に関連している。いくつかの実施形態において、刺激品質基準値構成要素36は、線形回帰モデルを決定して、様々な特性(例えば上記で挙げられた特性)に対して患者12の徐波活動の依存性を分析することによって、刺激のどの特性が徐波活動の拡張と相関するかを決定するように構成される。非限定的な例として、刺激品質基準値構成要素36は、すべてのトーンにわたる平均音量(<V>)、到達した最大音量(V)、最低音量(V)、方程式3に示されるようなすべてのトーンにわたる音量の合計(総「音響エネルギー」)、
【数2】
音量≦55dBのトーンの数(#V≦55)、音量55<V≦60dBのトーンの数(#V[55,60])、音量60<V≦65dBのトーンの数(#V[60,65])、音量65<V≦70dBのトーンの数(#V[65,70])、音量70<V≦75dBのトーンの数(#V[70,75])、及び/又はトーンの密度、つまり検出されたN3期間あたりの#トーン(ρtones)の1つ又は複数を使用して線形回帰モデルを決定する。いくつかの実施形態において、刺激品質基準値構成要素36は、方程式4(下記)における線形モデルが、標準アルゴリズムに基づいて推定され、(例えば、方程式(3)における項がzスコアになると仮定すると)関連付けられた刺激属性の相対的重要性を示す重み係数「β」を有するように構成される。
【数3】
【0042】
[58] この例において、3つの最も統計的に重要な線形モデル係数は、β=0.48及び有意値p=7.4e-10の#V≦55、β=0.49及び有意値p=1.9e-6の#V[55,60]、並びにβ10=-1.25及び有意値p=3.9e-15のρtonesである。これは、CSWAに対する最も肯定的な(相関)影響力を有する刺激属性が、60dB以下の音量のトーンの数であることを示す。音量≦60dBのトーンの数とCSWAとの間の統計的に重要な相関関係が図7に示されている。
【0043】
[59] 図7は、患者が刺激を受けた睡眠(睡眠セッション)の複数の夜に対する様々なデータ・ポイント700、データ・ポイント700に対する線形適合702、ほぼ0.5の相関係数704、及び1e-6より小さいp値706を示す。したがって、刺激の品質は、60dB以下の音量のトーンの数を使用する実施形態のこの例において数量化される。この例は限定することを意図するものではなく、刺激品質を数量化するために、他の刺激特性及び/又はこれらの組合せの使用を除外するものと見なされるべきではない。
【0044】
[60] 図8は、60dB以下の音量のトーンの数に基づく刺激品質基準値の決定を示す。いくつかの実施形態において、刺激品質基準値構成要素36(図1)は、年齢にマッチした基準情報に対する、60dBより低い音量のトーンの数800を分析するように構成される。年齢範囲の3つの例802、804、806の分布が図8(a)に示されている。年齢範囲の間のトーンの数の相違は、深睡眠の期間が年齢とともに短くなることから生じる。(例えば、刺激品質基準値構成要素36によって決定された)分布ごとの平均値(μ)及び標準偏差(σ)値は、方程式5(下記)及び/又は図8(b)に従って刺激品質と関連付けられた(例えば、指標が上述のようなスコアである実施形態の例における)ポイント(stim.qty.points)の数を決定するために刺激品質基準値構成要素36によって使用される。
【数4】
図8(b)に示されているように、トーンの数が(μ-σ)とμとの間にある場合、TPポイント808がもたらされ、トーンの数が(μ-σ)より低い場合、ポイントの比例数810がもたらされる。μ以上のトーンが加えられると、ポイントの数812は、トーンの数が(μ+σ)であるときにTP(>TP)の値と共に線形的に増加する。
【0045】
[61] 方程式5において、Nはトーンの数(音量≦60dB)であり、μ及びσは、対応する年齢範囲に対する平均値及び標準偏差である。個々の年齢範囲(例)802、804、806に対してこのモデルを使用する刺激品質ポイント分布814、816、818が、(TP=100及びTP=130の例に対して)図8(c)に示されている。年齢正規化により、ポイント分布は年齢範囲にわたって類似している(特に例えば中央値が100である)。(φ及びφ、並びに/又はCP及びCPのように)TP及び/又はTPは、構成可能パラメータである。いくつかの実施形態において、刺激品質基準値構成要素36(図1)は、TP及び/若しくはTPが、製造時に決定されること、ユーザ・インターフェース24(図1)を介して入力及び/若しくは選択されること、患者12(図1)及び/若しくは他の患者の以前の睡眠セッションに基づいて決定されること、並びに/又は他の方式で決定されることが行われるように構成される。
【0046】
[62] 図1に戻ると、睡眠構造基準値構成要素38は、睡眠構造基準値を決定するように構成される。睡眠構造基準値は、睡眠セッション中の患者12の睡眠品質を示すものである。睡眠構造基準値は、出力信号、患者12に与えられた刺激、年齢にマッチした基準情報、及び/又は他の情報に基づいて決定される。いくつかの実施形態において、睡眠構造基準値は、年齢にマッチした基準情報、並びに患者12の入眠潜時値、患者12の中途覚醒値、睡眠セッション中の総睡眠時間、睡眠セッション中の覚醒の数、及び/又は他の情報の1つ若しくは複数に基づいて決定される。いくつかの実施形態において、入眠潜時値、中途覚醒値、総睡眠時間、及び/又は覚醒の数は、出力信号及び/又は他の情報に基づいて決定される。
【0047】
[63] いくつかの実施形態において、睡眠構造基準値構成要素38は、(例えば、センサ18からの出力信号、及び/又は他の情報に基づいて、睡眠構造基準値構成要素38及び/又はプロセッサ20の他の構成要素によって)自動的に生成されたヒプノグラムに基づいて、入眠潜時値、中途覚醒値、総睡眠時間、覚醒の数、及び/又は他の睡眠構造パラメータを決定するように構成される。これら及び/又は他の睡眠構造パラメータの例が図9に示されている。例えば、睡眠の意志900は、入眠前に閉じた眼球の(例えば)第1の連続的な長さ30sのエポック(例えば、まばたきがなく、任意選択で例えば、患者12(図1)がEEGアルファ電力の増大を示す第1のエポック)を含む。入眠902は、睡眠の(例えば)第1の連続的な長さ180sのエポックを含む。入眠潜時(SOL)904は、検出された睡眠の意志900と、検出された入眠902との間に経過した時間を含む。起床時間906は、睡眠セッションの終わりの前の睡眠の最後のエポックの終わりを含む。中途覚醒(WASO)908は、入眠イベントと起床イベント910との間の目覚めのエポックの期間を含む。就床時間912は、睡眠の意志900と起床時間906との間に経過した時間を含む。(図9に示されていない)総睡眠時間(TST)は、起床時間906から入眠時間902を引き、WASO908を引いたものを含む。(図9に示されていない)覚醒は、睡眠1時間(例えば、及び/又はいくつかの実施形態において、例えば5分といった所定の期間より長い時間)あたりの覚醒の数を含む。
【0048】
[64] 図10は、本明細書で説明されるような指標の全体的な決定の一因となる(指標がスコアであるこの例における)総睡眠時間(TST)ポイントを決定することを示す。図10(a)は、年齢にマッチした基準情報における(例えば)3つの異なる年齢範囲1002、1004、1006に対するTST分布1000を示す。個々の年齢グループに対する(例えば、睡眠構造基準値構成要素38及び/又はプロセッサ20の他の構成要素によって決定される)平均値(μ)及び標準偏差(σ)値は、方程式6及び図10(b)に従ってTSTと関連付けられたポイントの数を決定するために使用される。
【数5】
図10(b)に示されているように、睡眠構造基準値構成要素38は、TSTが平均値μ1010にマッチする場合、WTSTポイント1008がもたらされるように構成される。年齢がマッチした平均値(μ-2*σ)の2標準偏差内1012にTSTがある場合、ポイントの線形的に減少する数がもたらされる。TSTがμ-2*σを下回る場合、割り当てられるポイントの数は0である。この方法はより長いTSTには価値があり、短いTSTには不利である。方程式6において、TSTは所与の睡眠セッションに対するTSTであり、μ及びσは、対応する年齢範囲に対する平均値及び標準偏差である。年齢範囲の個々の例に対してこのモデルを使用するTSTポイントが、図10(c)に示されている。
【0049】
[65] 図11は、本明細書で説明されるような指標の全体的な決定の一因となる(指標がスコアであるこの例において)WASOポイントを決定することを示す。図11(a)は、年齢にマッチした基準情報における(例えば)3つの異なる年齢範囲1102、1104、1106に対するWASO分布1100を示す。個々の年齢グループに対する(例えば、睡眠構造基準値構成要素38及び/又はプロセッサ20の他の構成要素によって決定される)平均値(μ)及び標準偏差(σ)値は、方程式7及び図11(b)に従ってWASOと関連付けられたポイントの数を決定するために使用される。
【数6】
図11(b)に示されているように、睡眠構造基準値構成要素38は、年齢がマッチした平均値μ1110にWASOがある場合、WWASOポイント1108がもたらされるように構成される。年齢がマッチした平均値の2標準偏差内(μ+2*σ)1112にWASOがある場合、ポイントの線形的に減少する数がもたらされる。WASOがμ+2*σを上回る場合、割り当てられるポイントの数は0である。この方法は、長いWASOに不利である。方程式7において、WASOは特定の睡眠セッションに対するWASOであり、μ及びσは対応する年齢範囲に対する平均値及び標準偏差である。年齢範囲の個々の例に対してこのモデルを使用するWASOポイントが図11(c)に示されている。
【0050】
[66] 図12は、本明細書で説明されるような指標の全体的な決定の一因となる(指標がスコアであるこの例において)SOLポイントを決定すること示す。図12(a)は、年齢にマッチした基準情報における(例えば)3つの異なる年齢範囲1202、1204、1206に対するSOL分布1200を示す。個々の年齢グループに対する(例えば、睡眠構造基準値構成要素38及び/又はプロセッサ20の他の構成要素によって決定される)平均値(μ)及び標準偏差(σ)値は、方程式8及び図12(b)に従ってSOLと関連付けられたポイントの数を決定するために使用される。
【数7】
図12(b)に示されているように、睡眠構造基準値構成要素38は、年齢がマッチした平均値μ1210にSOLがある場合、WSOLポイント1208がもたらされるように構成される。年齢がマッチした平均値の2標準偏差内(μ+2*σ)1212にSOLがある場合、ポイントの線形的に減少する数がもたらされる。SOLがμ+2*σを上回る場合、割り当てられるポイントの数は0である。この方法は長いSOLに不利である。方程式8において、SOLは特定の睡眠セッションに対するSOLであり、μ及びσは、対応する年齢範囲に対する平均値及び標準偏差である。年齢範囲の個々の例に対してこのモデルを使用するSOLポイントが図12(c)に示されている。
【0051】
[67] 図13は、本明細書で説明されるような指標の全体的な決定の一因となる(指標がスコアであるこの例において)覚醒及び/又は覚醒密度ポイントを決定すること示す。図13(a)は、年齢にマッチした基準情報における(例えば)4つの異なる年齢範囲1301、1302、1304、1306に対する覚醒密度(例えば1時間あたりの覚醒)分布1300を示す。図13(a)は、疑似(刺激が与えられない)1305睡眠セッション、及び刺激される1307睡眠セッションに対する覚醒密度1300を示す。分布1300は、年齢範囲及び/又は状態(疑似若しくは刺激)による相違がほとんどないことを示す。このように、覚醒密度に基づく(この例における)ポイントに対して、睡眠構造基準値構成要素38は、年齢範囲に基づいてポイントを決定する際に区別がないように構成される。
【0052】
[68] 上述の分布を考慮に入れると、睡眠構造基準値構成要素38は、ポイント1314がない1時間あたり7回(これは非限定的な例である)の覚醒(例えば、図13(b)に示されているように、ざっと標準偏差1312の半分を加えた平均値1310)より大きな覚醒密度の睡眠セッションを不利にすること、NREM中の理想的なゼロ回の覚醒1318まで覚醒密度によって与えられたポイント1316を線形的にスケーリングすること、及び最高限度の100ポイント(これは非限定的な例であり、システム10が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の数のポイントであってよい)1320を与えることを行うように構成される。これは同様に方程式9において説明される。
【数8】
ここで、arousalACTUALは、1時間あたりの覚醒の数で測定された、自動的に検出されたNREM期間中の実際の覚醒密度であり、arousalMAXは、(例えば、センサ18からの出力信号に含まれる情報及び/又は他の情報に基づいて、睡眠構造基準値構成要素38及び/又はプロセッサ20の他の構成要素によって決定された)1時間あたりの現在設定されている(例えば7回の)覚醒についての定義された閾値である。睡眠構造基準値構成要素38は、閾値が、製造時に決定されること、ユーザ・インターフェース24を介してユーザ(例えば患者12及び/若しくは他のユーザ)によって入力及び/若しくは選択されること、患者12の以前の睡眠セッションに基づいて決定されること、並びに/又は他の方式で決定されることが行われるように構成される。
【0053】
[69] いくつかの実施形態において、睡眠構造基準値構成要素38(図1)は、方程式10に基づいて上述されたTST、WASO、SOL、及び覚醒ポイントを(例えば)線形的に組み合わせることによって睡眠構造基準値を決定するように構成される。
【数9】
ここで、a、a、a、及びaは、(例えば、製造時に決定されること、ユーザ・インターフェース24(図1)を介してユーザ(例えば患者12及び/若しくは他のユーザ)によって入力及び/若しくは選択されること、患者12の以前の睡眠セッションに基づいて決定されること、並びに/又は他の方式で決定されることが行われる)当該のパラメータに与えられた相対的重要性に基づいて、睡眠構造基準値構成要素38によって割り当てられた重みであり、TSTポイント、WASOポイント、SOLポイント、及び覚醒ポイントは、上述のようなポイントである。非限定的な例として、いくつかの実施形態において、睡眠構造基準値構成要素38は、a=0.26、a=0.26、a=0.09、及びa=0.21になるように構成される。上記に詳述されたように、決定された睡眠構造ポイント(睡眠構造基準値)1400の(例えば、年齢範囲1402、1404、1406、及び刺激1410に対する疑似1408による)分布の例が図14に示されている。
【0054】
[70] 図1に戻ると、組合せ構成要素40は、徐波活動基準値、刺激品質基準値、睡眠構造基準値、及び/又は他の基準値を組み合わせるように構成される。基準値は、指標及び/又は他の情報を決定するために組み合わされる。いくつかの実施形態において、組合せは、徐波活動基準値、刺激品質基準値、及び睡眠構造基準値の線形の組合せを含む。いくつかの実施形態において、徐波活動基準値、刺激品質基準値、及び睡眠構造基準値は、線形の組合せの中で個々に重み付けされる。徐波活動基準値、刺激品質基準値、及び睡眠構造基準値の組合せが図15に示されている。
【0055】
[71] 図15は、患者12(図1)への表示1510のための指標1508を決定するために、徐波活動基準値1502、刺激品質基準値1504、及び睡眠構造基準値1506を組み合わせること1500を示している。図15は、ユーザと関連付けられたコンピューティング・デバイス(例えばスマートフォン)のグラフィカル・ユーザ・インターフェース1522(例えば、図1に示されたユーザ・インターフェース24)内のスコア1520のような指標の表示を示している。図15に示されているように、組合せ構成要素40(図1)は、徐波活動基準値1502、刺激品質基準値1504、及び睡眠構造基準値1506の線形の組合せとして指標1508が決定されるように構成される。図15に示されているように、また方程式11において説明されるように、個々の基準値(CSWA pointsは徐波活動基準値に対応し、stim qty pointsは刺激品質基準値に対応し、SA pointsは睡眠構造基準値に対応する)は重み付けされる(W 1512、W 1514、W 1516)。
Total score=w*CSWA points+W*stim qty points+W*SA points (11)
重みW 1512、W 1514、W 1516は、製造時に決定されること、ユーザ・インターフェース24を介して入力、選択、及び/若しくは調節されること(例えば、システムのユーザによってレポートされるような主観的な睡眠品質を最もよく表すスコアを実現するように調節されること)、患者12の以前の睡眠セッションに基づいて決定されること、並びに/又は他の方式で決定されることが行われる。いくつかの実施形態において、組み合わされた基準値は、均一及び/又は不均一に重み付けされる。例えば、いくつかの実施形態において、徐波活動基準値及び刺激品質基準値が均一に重み付けされる一方、睡眠構造基準値は、さらに重く重み付けされる。別の例として、Wは約0.45であり、Wは約0.05であり、Wは約0.5である。多くのさらに可能な例がある。組合せ構成要素40は、本明細書で説明される重みが、説明されたようにシステム10が機能できるようにする任意の値を有するように構成される。いくつかの実施形態において、疑似睡眠セッションが100に近い総スコアを有することを保証する例として、組合せ構成要素40は、(例えば)1.2及び/又は他の値によって重みが乗算されるように構成される。いくつかの実施形態において、これは、疑似の夜が平均スコア100を有することを保証するスケーリング因子の例である。このような実施形態において、したがって、刺激を伴う夜は、さらに直感的に理解されることが可能な100を上回るスコアを有することになる。
【0056】
[72] 図1に戻ると、出力構成要素42は、患者12及び/又は他のユーザ(例えば、医師、看護師、介護士、家族の一員、研究者、等)への表示のための(睡眠セッション中の患者12に与えられた刺激の効果を表す)指標を出力するように構成される。指標を出力することは、指標の有線通信及び/又はワイヤレス通信を含み、1つ又は複数のコンピューティング・デバイスを制御して、指標及び/又は他の出力を表示する。
【0057】
[73] 図16は、患者12及び/又は他のユーザに指標を表示する例を示している。図16は、ユーザと関連付けられたコンピューティング・デバイス(例えばスマートフォン)のグラフィカル・ユーザ・インターフェース1602(例えば図1に示されたユーザ・インターフェース24)内のスコア1600のような指標の表示を示している。いくつかの実施形態において、スコアは、睡眠中の刺激の恩恵を表す数値スケール(例えば1~100)上の数である。これは限定することを意図するものではない。いくつかの実施形態において、出力構成要素42は、1つ若しくは複数の色、1つ若しくは複数の形状、英数字の指標、文字キャラクタ(例えば、A+、B、等)、音(例えば様々な(例えば)ピープ・ノイズ及び/若しくは他の音)、並びに/又は睡眠中の刺激の恩恵をユーザ(例えば患者12)に示す他の特性を指標が含むように構成される。数、色、形状、及び/又は他の特性は、上述の方程式及び/又は他の情報に基づいて決定される。例えば、回復睡眠の良質な夜の後、出力構成要素42は、緑の円として指標を表示するように構成される。睡眠の不十分な夜の後、出力構成要素42は、赤い円として指標の表示を行わせる。これらは単なる例にすぎない。多くのさらなる可能性が想定される(例えばビープ音、等)。図16に示されているように、グラフィカル・ユーザ・インターフェース1602は、日付1604、睡眠セッション中に深睡眠を過ごした時間1606、治療時間1608(例えば刺激が患者12に与えられた時間)、患者12が睡眠から目覚めた回数1610、及び/又は他の情報を含むがこれらに限定されない他の情報も表示する。
【0058】
[74] 図17は、システム10(図1)によって行われる動作の例を示す。図17に示されているように、システム10は、所定の治療レジメンに従って睡眠セッション中の患者に刺激を与えること1700を行うように構成される。患者の脳活動に関連した情報を伝える出力信号、及び睡眠セッション中の患者に与えられた刺激が生成される1702。システム10は、年齢にマッチした基準情報が患者のために入手されるように構成される。患者に関する年齢にマッチした基準情報は、患者に年齢が似ている患者の母集団の、睡眠セッション中の累積徐波活動の基準量、睡眠セッション中に与えられた刺激の基準レベル、及び睡眠セッション中の睡眠品質の基準レベルに関連した情報を示す。動作1704において、徐波活動基準値1705が決定される。徐波活動基準値は、(例えば、EEG情報を後処理すること1708、NREM睡眠を検出すること1710、等を含む)出力信号、年齢にマッチした基準情報1712、及び/又は他の情報に基づいて決定される1706。いくつかの実施形態において、徐波活動基準値は、累積徐波活動因子1714、及び非急速眼球運動(NREM)期間因子1716に基づいて決定される。
【0059】
[75] 動作1720において、刺激品質基準値1722が決定される。刺激品質基準値は、出力信号1702、患者に与えられた刺激1724、年齢にマッチした基準情報1726、及び/又は他の情報に基づいて決定される。いくつかの実施形態において、刺激品質基準値は、睡眠セッション中の患者に加えられたトーンの数、年齢にマッチした基準情報、及び/又は他の情報に基づいて決定される。
【0060】
[76] 動作1750において、睡眠構造基準値1751が決定される。睡眠構造基準値は、睡眠セッション中の患者の睡眠品質を示すものである。睡眠構造基準値は、出力信号1702、年齢にマッチした基準情報1752、及び/又は他の情報に基づいて決定される。いくつかの実施形態において、睡眠構造基準値は、年齢にマッチした基準情報、並びに患者の入眠潜時値、患者の中途覚醒値、睡眠セッション中の総睡眠時間、睡眠セッション中の覚醒の数、及び/又は他の情報の1つ又は複数に基づいて決定される。
【0061】
[77] 動作1760において、徐波活動基準値、刺激品質基準値、及び睡眠構造基準値は組み合わされる。基準値は、指標1762及び/又は他の情報を決定するために組み合わされる。いくつかの実施形態において、徐波活動基準値、刺激品質基準値、及び睡眠構造基準値は、線形の組合せの中で個々に重み付けされる1764。動作1780において、(睡眠セッション中の患者に与えられた刺激の効果を表す)指標は、患者への表示のために出力される。
【0062】
[78] 図1に戻ると、電子ストレージ22は、情報を電子的に格納する電子ストレージ媒体を備える。電子ストレージ22の電子ストレージ媒体は、システム10と一体化して提供される(すなわち実質的に取外し不能な)システム・ストレージ、及び/又は例えばポート(例えば、USBポート、ファイヤーワイヤー・ポート、等)若しくはドライブ(例えばディスク・ドライブ等)を介して、システム10に取外し可能なように接続できる取外し可能なストレージの1つ又は両方を含む。電子ストレージ22は、光可読ストレージ媒体(例えば光ディスク等)、磁気可読ストレージ媒体(例えば、磁気テープ、磁気ハード・ドライブ、フロッピー・ドライブ、等)、電荷ベース・ストレージ媒体(例えば、EPROM、RAM、等)、ソリッドステート・ストレージ媒体(例えばフラッシュ・ドライブ等)、及び/又は他の電子可読ストレージ媒体の1つ又は複数を含む。電子ストレージ22は、ソフトウェア・アルゴリズム、プロセッサ20によって決定された情報、ユーザ・インターフェース24及び/若しくは外部コンピューティング・システムを介して受け取られた情報、並びに/又はシステム10が正しく機能することを可能にする他の情報を格納する。例えば、電子ストレージ22は、本明細書で説明された年齢にマッチした基準情報、患者12の指標を決定するために使用されるアルゴリズム、及び/又は他の情報を格納する。電子ストレージ22は、システム10内部の(全体的又は部分的に)別々の構成要素であり、また電子ストレージ22は、システム10の1つ又は複数の他の構成要素(例えばプロセッサ20)と(全体的又は部分的に)一体化して提供される。
【0063】
[79] ユーザ・インターフェース24は、患者12及び/又は他のユーザがシステム10との間で情報を授受する、患者12及び/又は他のユーザとシステム10との間のインターフェースを提供するように構成される。これは、データ、合図、結果、及び/又は命令、並びにまとめて「情報」と呼ばれる他の任意の通信可能項目を、ユーザ(例えば患者12)と、知覚刺激器16、センサ18、プロセッサ20、及び/又はシステム10の他の構成要素の1つ又は複数との間で通信することを可能にする。例えば、EEG、本明細書で説明される指標、及び/又は他の情報は、ユーザ・インターフェース24を介して介護士及び/又は患者12に表示される。ユーザ・インターフェース24に含めるのに適したインターフェース・デバイスの例は、キーパッド、ボタン、スイッチ、キーボード、ノブ、レバー、表示画面、タッチ画面、スピーカ、マイクロフォン、表示灯、可聴警報、プリンタ、触知フィードバック・デバイス、及び/又は他のインターフェース・デバイスを含む。
【0064】
[80] いくつかの実施形態において、ユーザ・インターフェース24は、複数の別々のインターフェースを含む。いくつかの実施形態において、ユーザ・インターフェース24は、プロセッサ20及び/又はシステム10の他の構成要素と一体化して提供される少なくとも1つのインターフェースを含む。いくつかの実施形態において、ユーザ・インターフェース24は、プロセッサ20及び/又はシステム10の他の構成要素とワイヤレスで通信するように構成される。いくつかの実施形態において、下記に説明されるように、ユーザ・インターフェース24は、センサ18、刺激器16、プロセッサ20、電子ストレージ22、及び/又はシステム10の他の構成要素と共に1つのデバイスに含められる。いくつかの実施形態において、ユーザ・インターフェース24は、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、及び/又は他のコンピューティング・デバイスなどの、コンピューティング・デバイスであり、及び/又はコンピューティング・デバイスに含められる。このようなコンピューティング・デバイスは、ユーザとの間で情報を授受することを行うように構成されたグラフィカル・ユーザ・インターフェースを有する1つ又は複数の電子アプリケーションを動かす。患者12と関連付けられたコンピューティング・デバイスによって表示されるグラフィカル・ユーザ・インターフェースは、(例えば出力構成要素42に対して上述のように)例えば患者12に指標を表示する。
【0065】
[81] 配線された又はワイヤレスで接続された他の通信技法が、本開示によってユーザ・インターフェース24として想定されるということを理解されたい。例えば、本開示は、電子ストレージ22によって提供された取外し可能なストレージ・インターフェースと、ユーザ・インターフェース24が統合されることを想定している。この例において、情報は、ユーザがシステム10の実行をカスタマイズすることを可能にする、取外し可能ストレージ(例えば、スマート・カード、フラッシュ・ドライブ、取外し可能ディスク、等)からシステム10にロードされる。ユーザ・インターフェース24としてシステム10と共に使用するために適応された他の例示的な入力デバイス及び技法は、RS-232ポート、RFリンク、IRリンク、モデム(電話、ケーブル、又はその他)を含むがこれらに限定されない。要するに、システム10と情報を通信するための任意の技法が、本開示によってユーザ・インターフェース24として想定される。
【0066】
[82] 外部リソース26は、情報源(例えば、年齢にマッチした基準情報を格納する、データベース、ウェブサイト、等)、システム10に関与する外部エンティティ(例えば健康ケア・プロバイダの医療記録システム)、システム10と通信するように構成された、及び/若しくはシステム10によって制御された、医療機器及び/若しくは他の機器(例えば、ランプ及び/若しくは他の照明デバイス、サウンド・システム、オーディオ記録デバイス及び/若しくは視覚記録デバイス、等)、システム10の外部にある1つ若しくは複数のサーバ、ネットワーク(例えばインターネット)、電子ストレージ、Wi-Fi技術に関連した機器、Bluetooth(登録商標)技術に関連した機器、データ入力デバイス、センサ、スキャナ、個々のユーザと関連付けられたコンピューティング・デバイス、並びに/又は他のリソースを含む。いくつかの実装形態において、本明細書で外部リソース26にあると考えられる機能のいくつか又はすべてが、システム10に含まれるリソースによってもたらされる。外部リソース26は、有線接続及び/若しくはワイヤレス接続を介して、ネットワーク(例えばローカル・エリア・ネットワーク及び/若しくはインターネット)を介して、セルラー技術を介して、Wi-Fi技術を介して、並びに/又は他のリソースを介して、プロセッサ20、ユーザ・インターフェース24、センサ18、電子ストレージ22、知覚刺激器16、及び/又はシステム10の他の構成要素と通信するように構成される。
【0067】
[83] 図1において、知覚刺激器16、センサ18、プロセッサ20、電子ストレージ22、及びユーザ・インターフェース24が、別々のエンティティとして示されている。これは限定することを意図するものではない。システム10の構成要素及び/又は他の構成要素のいくつか及び/又はすべては、1つ又は複数の単一デバイスにグループ化される。例えば、これらの構成要素は、睡眠中の患者12によって身につけられるヘッドセット及び/又は他の衣類に統合される。
【0068】
[84] 図18は、指標システムによって睡眠セッション中の患者に与えられた刺激の効果を表す指標を出力するための方法1800を示している。指標システムは、1つ若しくは複数の刺激器、1つ若しくは複数のセンサ、1つ若しくは複数のハードウェア・プロセッサ、及び/又は他の構成要素を備える。1つ又は複数のハードウェア・プロセッサは、コンピュータ・プログラム構成要素を実行するように構成される。コンピュータ・プログラム構成要素は、治療構成要素、年齢にマッチした基準構成要素、徐波活動基準値構成要素、刺激品質基準値構成要素、睡眠構造基準値構成要素、組合せ構成要素、出力構成要素、及び/又は他の構成要素を備える。下記に提示されている方法1800の動作は、例証のためのものである。いくつかの実施形態において、方法1800は、説明されていない1つ若しくは複数のさらなる動作によって行われ、及び/又は論じられた動作の1つ若しくは複数がなくても行われる。さらに、方法1800の動作が図18に示され、下記で説明されている順序は、限定することを意図するものではない。
【0069】
[85] いくつかの実施形態において、方法1800は、1つ又は複数の処理デバイス(例えば、デジタル・プロセッサ、アナログ・プロセッサ、情報を処理するために設計されたデジタル回路、情報を処理するために設計されたアナログ回路、ステートマシン、及び/又は情報を電子的に処理するための他のメカニズム)で実行される。1つ又は複数の処理デバイスは、電子ストレージ媒体上に電子的に格納された命令に応答して、方法1800の動作のいくつか又はすべてを実行する1つ又は複数のデバイスを含む。1つ又は複数の処理デバイスは、方法1800の動作の1つ又は複数の実行のために特別に設計されたハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを通じて構成された1つ又は複数のデバイスを含む。
【0070】
[86] 動作1802において、1つ又は複数の刺激器は、睡眠セッション中の患者に刺激を与えるように制御される。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の刺激器は、トーン生成器及び/又は他の刺激器を含む。1つ又は複数の刺激器は、所定の治療レジメンに従って刺激を与えるように制御される。いくつかの実施形態において、動作1802は、(図1に示され、本明細書で説明された)治療構成要素30と同じ又は類似の処理構成要素によって行われる。
【0071】
[87] 動作1804において、患者の脳活動に関連した情報を伝える出力信号、及び睡眠セッション中の患者に与えられる刺激が生成される。いくつかの実施形態において、1つ又は複数のセンサは、脳波図(EEG)センサ、及び/又は患者の脳活動に関連した情報を伝えるEEG出力信号を生成するように構成された他のセンサを含む。いくつかの実施形態において、1つ又は複数のセンサは、(例えば)マイクロフォン、及び/又は患者に与えられた刺激に関連した情報を伝える出力信号を生成するように構成された他のセンサを含む。いくつかの実施形態において、動作1804は、(図1に示され、本明細書で説明された)センサ18と同じ又は類似の1つ又は複数のセンサによって行われる。
【0072】
[88] 動作1806において、患者に関する年齢にマッチした基準情報が入手される。患者に関する年齢にマッチした基準情報は、患者と年齢が似ている患者の母集団の、睡眠セッション中の累積徐波活動の基準量、睡眠セッション中に与えられた刺激の基準レベル、及び睡眠セッション中の睡眠品質の基準レベルに関連した情報を示す。いくつかの実施形態において、動作1806は、(図1に示され、本明細書で説明された)年齢にマッチした基準構成要素32と同じ又は類似の処理構成要素によって行われる。
【0073】
[89] 動作1808において、徐波活動基準値が決定される。徐波活動基準値は、睡眠セッション中の患者の徐波活動の累積量を示すものである。徐波活動基準値は、出力信号、患者に与えられた刺激、年齢にマッチした基準情報、及び/又は他の情報に基づいて決定される。いくつかの実施形態において、徐波活動基準値は、累積徐波活動因子及び非急速眼球運動(NREM)期間因子に基づいて決定される。いくつかの実施形態において、累積徐波活動因子及びNREM因子は両方、出力信号、年齢にマッチした基準情報、及び/又は他の情報に基づいて決定される。いくつかの実施形態において、累積徐波活動因子は、睡眠セッション中に検出されたNREMエポックにわたる0.5Hzから4Hz帯域における累積EEG電力であり、及び/又は累積EEG電力に基づいて決定される。いくつかの実施形態において、動作1808は、(図1に示され、本明細書で説明された)徐波活動基準値構成要素34と同じ又は類似の処理構成要素によって行われる。
【0074】
[90] 動作1810において、刺激品質基準値が決定される。刺激品質基準値は、睡眠セッション中の患者の徐波活動を刺激がどの程度拡張するかを示すものである。刺激品質基準値は、出力信号、患者に与えられた刺激、年齢にマッチした基準情報、及び/又は他の情報に基づいて決定される。いくつかの実施形態において、刺激品質基準値は、睡眠セッション中の患者に加えられたトーンの数、年齢にマッチした基準情報、及び/又は他の情報に基づいて決定される。いくつかの実施形態において、動作1810は、(図1に示され、本明細書で説明された)刺激品質基準値構成要素36と同じ又は類似の処理構成要素によって行われる。
【0075】
[91] 動作1812において、睡眠構造基準値が決定される。睡眠構造基準値は、睡眠セッション中の患者の睡眠品質を示すものである。睡眠構造基準値は、出力信号、患者に与えられた刺激、年齢にマッチした基準情報、及び/又は他の情報に基づいて決定される。いくつかの実施形態において、睡眠構造基準値は、年齢にマッチした基準情報、並びに患者の入眠潜時値、患者の中途覚醒値、睡眠セッション中の総睡眠時間、睡眠セッション中の覚醒の数、及び/又は他の情報の1つ又は複数に基づいて決定される。いくつかの実施形態において、入眠潜時値、中途覚醒値、総睡眠時間、及び/又は覚醒の数は、出力信号及び/又は他の情報に基づいて決定される。いくつかの実施形態において、動作1812は、(図1に示され、本明細書で説明された)睡眠構造基準値構成要素38と同じ又は類似の処理構成要素によって行われる。
【0076】
[92] 動作1814において、徐波活動基準値、刺激品質基準値、及び睡眠構造基準値が組み合わされる。基準値は、指標及び/又は他の情報を決定するために組み合わされる。いくつかの実施形態において、組合せは、徐波活動基準値、刺激品質基準値、及び睡眠構造基準値の線形の組合せを含む。いくつかの実施形態において、徐波活動基準値、刺激品質基準値、及び睡眠構造基準値は、線形の組合せの中で個々に重み付けされる。いくつかの実施形態において、動作1814は、(図1に示され、本明細書で説明された)組合せ構成要素40と同じ又は類似の処理構成要素によって行われる。
【0077】
[93] 動作1816において、(睡眠セッション中の患者に与えられた刺激の効果を表す)指標は、患者への表示のために出力される。いくつかの実施形態において、動作1816は、(図1に示され、本明細書で説明された)出力構成要素42と同じ又は類似の処理構成要素によって行われる。
【0078】
[94] 上記で行われた説明は、最も実用的且つ好ましい実施形態であると現在考えられていることに基づいて例証を目的として詳細を説明しているが、このような詳細は単にこの目的のためにすぎないということ、及び本開示は明確に開示された実施形態に限定されず、それどころか、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲の中にある修正及び均等物の構成を含めることを意図するものであるということを理解されたい。例えば、本開示は、可能な限り、任意の実施形態の1つ又は複数の特徴が、他の任意の実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わされることが可能であるということを想定しているということを理解されたい。
【0079】
[95] 特許請求の範囲において、丸括弧の中にある任意の引用符号は、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。単語「備える(comprising)」又は「含む(including)」は、請求項に挙げられた要素又はステップ以外の要素又はステップの存在を除外しない。いくつかの手段を列挙しているデバイスの請求項において、これらの手段のいくつかは、ハードウェアの1つ及び同じアイテムによって具体化される。要素の前にある単語「a」又は「an」は、複数のこのような要素の存在を除外しない。いくつかの手段を列挙している任意のデバイスの請求項において、これらの手段のいくつかは、ハードウェアの1つ及び同じアイテムによって具体化される。相互に異なる従属請求項の中に一定の要素が列挙されるという単なる事実は、これらの要素が組み合わせて使用されることが不可能であることを示していない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17-1】
図17-2】
図18