IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェの特許一覧

特許7004748機械的人工換気のための自動的なPEEPの選択
<>
  • 特許-機械的人工換気のための自動的なPEEPの選択 図1
  • 特許-機械的人工換気のための自動的なPEEPの選択 図2
  • 特許-機械的人工換気のための自動的なPEEPの選択 図3
  • 特許-機械的人工換気のための自動的なPEEPの選択 図4
  • 特許-機械的人工換気のための自動的なPEEPの選択 図5
  • 特許-機械的人工換気のための自動的なPEEPの選択 図6
  • 特許-機械的人工換気のための自動的なPEEPの選択 図7
  • 特許-機械的人工換気のための自動的なPEEPの選択 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】機械的人工換気のための自動的なPEEPの選択
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20220128BHJP
【FI】
A61M16/00 332A
A61M16/00 366
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019565983
(86)(22)【出願日】2018-02-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 EP2018054352
(87)【国際公開番号】W WO2018153964
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-02-19
(31)【優先権主張番号】62/461,825
(32)【優先日】2017-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィカリオ フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ブイッザ ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】トルシェル ウィリアム アンソニー
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-104186(JP,A)
【文献】特開平9-173456(JP,A)
【文献】特表2009-523505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の呼気終末陽圧(PEEP)を制御する機械的人工換気システムであって、前記機械的人工換気システムは、
前記対象者の気道に送達させるための呼吸可能なガスの加圧流を発生させる圧力発生器と、
前記対象者の呼吸に関連している情報を伝達する出力信号を生成する1つ又は複数のセンサであって、前記対象者の前記呼吸に関連している前記情報は、前記呼吸可能なガスの加圧流の流量、及び前記対象者の口腔における呼吸可能なガスの圧力を含む、1つ又は複数のセンサと、
前記圧力発生器及び前記1つ又は複数のセンサに動作可能に結合される1つ又は複数のハードウェアプロセッサとを備え、
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、機械可読命令によって、
前記出力信号における前記情報に基づいて前記対象者の1回換気量及び肺圧差を決定することであって、前記出力信号における前記情報に基づいて前記対象者の前記肺圧差を決定することは、
前記流量及び前記圧力に基づいて気道抵抗及び弾性を決定することと、
前記気道抵抗及び前記弾性に基づいて前記対象者における肺胞内圧及び筋圧を決定することと、
前記肺胞内圧及び前記筋圧に基づいて前記肺圧差を決定することと、を含む、前記対象者の1回換気量及び肺圧差を決定すること、
肺気量及び前記肺圧差に基づいて目標PEEPレベルを決定することであって、前記肺気量は前記1回換気量に基づいて決定される、目標PEEPレベルを決定すること、並びに、
前記圧力発生器に、決定された前記目標PEEPレベルを維持するために前記呼吸可能なガスの加圧流を調節させることを行う、機械的人工換気システム。
【請求項2】
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサにおいて、前記肺気量及び前記肺圧差に基づいて前記目標PEEPレベルを前記決定することは、
前記出力信号における前記情報に基づいて肺気量対肺圧差曲線を決定することと、
前記肺気量対肺圧差曲線における1つ又は複数の変曲点を特定することと、
前記1つ又は複数の変曲点に基づいて前記目標PEEPレベルを決定することと、を含む、請求項1に記載の機械的人工換気システム。
【請求項3】
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサにおいて、前記肺気量及び前記肺圧差に基づいて前記目標PEEPレベルを前記決定することは、
前記肺気量対肺圧差曲線における下に凹の変曲点を特定することと、
前記圧力発生器に、上に凹の変曲点が特定されるまで一連の後続の呼吸における個々の呼吸に対して前記対象者における治療PEEPレベルを減少させるために前記呼吸可能なガスの加圧流を調節させることと、
前記圧力発生器に、前記下に凹の変曲点と前記上に凹の変曲点との間の、前記下に凹の変曲点により近いレベルに少なくとも1つのさらなる呼吸に対する治療PEEPレベルを増大させるために前記呼吸可能なガスの加圧流を調節させることと、
前記目標PEEPレベルを、前記対象者における開放した気道を維持するための少なくとも1つの第2のさらなる呼吸に対して、前記下に凹の変曲点に対応する圧力と前記上に凹の変曲点に対応する圧力との間で、前記上に凹の変曲点に近いレベルに設定することと、をさらに含む、請求項2に記載の機械的人工換気システム。
【請求項4】
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサにおいて、前記肺気量及び前記肺圧差に基づいて前記目標PEEPレベルを前記決定することは、
前記肺気量対肺圧差曲線における上に凹の変曲点を特定することと、
前記圧力発生器に、前記上に凹の変曲点が最新の呼吸に対応する前記肺気量対肺圧差曲線の一部分においてもはや特定されなくなるまで、一連の後続の呼吸における個々の呼吸に対して前記対象者における治療PEEPレベルを増大させるために前記呼吸可能なガスの加圧流を調節させることと、をさらに含む、請求項2に記載の機械的人工換気システム。
【請求項5】
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、さらに、
前記肺気量対肺圧差曲線において上に凹の変曲点及び下に凹の変曲点を特定し、且つ、
一定のPEEPレベルにおける経時的なコンプライアンス低減であって、前記出力信号における前記情報に基づいて決定される、経時的なコンプライアンス低減に応答して、及び/又は前記変曲点の位置の変更に応答して、リクルートメント手技を自動的に提案する、請求項2に記載の機械的人工換気システム。
【請求項6】
前記1つ又は複数のセンサは、前記呼吸可能なガスの加圧流の流量に関連している情報を伝達する出力信号を生成する流量センサ、及び、前記対象者の口腔における呼吸可能なガスの圧力に関連している情報を伝達する圧力センサを備える、請求項1に記載の機械的人工換気システム。
【請求項7】
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、肺圧差の代わりに経壁圧を決定し、且つ、前記肺気量及び前記経壁圧に基づいて前記目標PEEPレベルを決定する、請求項1に記載の機械的人工換気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[01] 本出願は、2017年2月22日に出願された米国特許仮出願第62/461,825号の米国特許法第119条(e)に基づく優先権の利益を主張するものであり、この内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[02] 本開示は、対象者に対する呼気終末陽圧(PEEP)を制御するための方法及び機械的人工換気システムに関する。
【背景技術】
【0003】
[03] 機械的人工呼吸器は、空気を患者の肺に押し入れることによって呼吸を補助する。人工呼吸器は種々の制御モードで動作する。リクルートメント手技をPEEPの適正な選択及び維持と動的に且つ自動的に組み合わせるための方法は、加えられる圧力による肺気量の静的な観察を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの方法は、扱いにくいものであり、リアルタイムで肺胞リクルートメントを評価しないため、肺胞の過膨張、肺拡張不全、又は繰返しせん断を防止するために患者の連続的な観察を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[04] それ故に、本開示の1つ又は複数の態様は、対象者の呼気終末陽圧(PEEP)を制御するように構成される機械的人工換気システムに関する。機械的人工換気システムは、圧力発生器、1つ又は複数のセンサ、1つ又は複数のハードウェアプロセッサ、及び/又は他のコンポーネントを備える。圧力発生器は、対象者の気道に送達させるための呼吸可能なガスの加圧流を発生させるように構成される。1つ又は複数のセンサは、対象者の呼吸に関連している情報を伝達する出力信号を生成するように構成される。1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、圧力発生器及び1つ又は複数のセンサに動作可能に結合され、且つ、機械可読命令によって、出力信号における情報に基づいて対象者の1回換気量及び肺圧差を決定することと、1回換気量に基づいて肺気量を決定することと、肺気量及び肺圧差に基づいて目標PEEPレベルを決定することと、圧力発生器に、決定された目標PEEPレベルを維持するために呼吸可能なガスの加圧流を調節させることと、を行うように構成される。
【0006】
[05] 本開示の別の態様は、機械的人工換気システムによって対象者のPEEPを制御する方法に関する。機械的人工換気システムは、圧力発生器、1つ又は複数のセンサ、1つ又は複数のハードウェアプロセッサ、及び/又は他のコンポーネントを備える。方法は、圧力発生器によって、対象者の気道に送達させるための呼吸可能なガスの加圧流を発生させるステップと、1つ又は複数のセンサによって、対象者の呼吸に関連している情報を伝達する出力信号を生成するステップと、1つ又は複数のハードウェアプロセッサによって、出力信号における情報に基づいて対象者の1回換気量及び肺圧差を決定するステップと、1つ又は複数のハードウェアプロセッサによって、1回換気量に基づいて肺気量を決定するステップと、1つ又は複数のハードウェアプロセッサによって、肺気量及び肺圧差に基づいて目標PEEPレベルを決定するステップと、1つ又は複数のハードウェアプロセッサによって、圧力発生器に、決定された目標PEEPレベルを維持するために呼吸可能なガスの加圧流を調節させるステップと、を有する。
【0007】
[06] 本開示のさらに別の態様は、対象者のPEEPを制御するためのシステムに関する。システムは、対象者の気道に送達させるための呼吸可能なガスの加圧流を発生させる手段と、対象者の呼吸に関連している情報を伝達する出力信号を生成する手段と、出力信号における情報に基づいて対象者の1回換気量及び肺圧差を決定する手段と、1つ又は複数のハードウェアプロセッサによって、1回換気量に基づいて肺気量を決定する手段と、肺気量及び肺圧差に基づいて目標PEEPレベルを決定する手段と、呼吸可能なガスの加圧流を発生させる手段に、決定された目標PEEPレベルを維持するために呼吸可能なガスの加圧流を調節させる手段と、を含む。
【0008】
[07] 本開示のこれらの並びに他の特徴及び特性に加えて、操作の方法、構造の関連要素及び組合せ部品の機能、並びに製造の経済性は、さまざまな図において同様の参照番号が対応する部分を示す、その全てが本明細書の一部を形成する添付の図面を参照して、下記の説明及び添付の特許請求の範囲を考慮すれば、より明らかとなるであろう。しかしながら、図面が、例証及び説明の目的に過ぎず、本開示の限界を定義するとして意図されていないことは、明確に理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】[08] 対象者の呼気終末陽圧(PEEP)を制御するように構成されるシステムの概略図である。
図2】[09] 単一の線形コンパートメントモデルとして表される呼吸機構システムにおけるPao、R、Q、Pal、E、及びPmusを概略的に示す図である。
図3】[10] Pao及びQに基づくパラメータR、Pal、E、及びPmusの決定を示す入力/出力図である。
図4】[11] PEEPレベルを増大させる場合に応じた気道コンプライアンスを示す図である。
図5】[12] 対象者の肺についての例示のp-v曲線を示す図である。
図6】[13] 対象者の肺についての別の例示のp-v曲線を示す図である。
図7】[14] 目標PEEPレベルを決定するためにシステムによって行われる1つの可能な動作の集合を示す図である。
図8】[15] 対象者におけるPEEPを制御する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[16] 本明細書において使用されるように、単数形は、別段コンテキストコンテキスト上明確に指示されていない限り、複数形を含む。本明細書において使用されるように、2つ以上の部品又はコンポーネントが「結合される」と述べることは、リンクしている限り、これらの部品が、直接的又は間接的に、すなわち、1つ又は複数の中間部品若しくはコンポーネントを通して接合される又は共に動作することを意味するものとする。本明細書において使用されるように、「直接結合される」は、2つの要素が互いに直接接触していることを意味している。本明細書において使用されるように、「固定して結合される」又は「固定される」は、2つのコンポーネントが、互いに対して一定の向きを維持している間、1つとして移動するように結合されることを意味している。
【0011】
[17] 本明細書において使用されるように、「単体の」という語は、コンポーネントが単一部分又は単一ユニットとして作成されることを意味している。すなわち、別々に作成され、その後1ユニットとして共に結合される部分を含むコンポーネントは、「単体の」コンポーネント又は本体ではない。本明細書において採用されるように、2つ以上の部品又はコンポーネントが互いに「係合する」と述べることは、これらの部品が互いに対し直接的に、又は1つ又は複数の中間部品若しくはコンポーネントを通してのどちらかで力をかけていることを意味するものとする。本明細書において採用されるように、「数」という用語は、1つ又は2以上の整数(すなわち複数)を意味するものとする。
【0012】
[18] 本明細書において使用される方向の語句、例えば、限定ではないが、上部、底部、左側、右側、上側、下側、前方、後方、及びそれらの派生語は、図面に示される要素の向きに関連し、別段明示的に示されない限り、特許請求項を限定するものではない。
【0013】
[19] 図1は、対象者12の呼気終末陽圧(PEEP)を制御するように構成される機械的人工換気システム10の概略図である。いくつかの実施形態では、PEEPを制御することは、対象者12の目標PEEPレベルを選択し且つ維持することを含む。肺の虚脱は肺胞を拡張するために圧力の印加を必要とする。肺胞を開放させると、肺胞は、隣接している肺胞と相互作用し且つ開放したままである傾向がある。リクルートメント手技を使用して、虚脱した肺を開放し、且つ呼吸困難である対象者における機械的人工換気を改善する。PEEPは、呼気終末肺気量を増大させる、ガス交換を改善する、及び人工呼吸器誘発肺損傷(VILI)を減少させるために、並びに/又は他の理由で換気のための肺開放アプローチ(open lung approach)の一部として周期性虚脱を防止するためにリクルートメント手技の間及び/又はその他の時に制御される。リクルートメント手技は、虚脱した肺胞を開放するように構成される気道内圧の一時的な増大を含む。例えば、例えば換気不良、不十分なPEEP、及び/又は胸壁の不安定性により、ディリクルートメントが生じる可能性がある。肺胞の虚脱は、ガス交換の不良、及びVILIの危険性の増大を招く。いくつかの肺胞は、呼吸中に虚脱する、個々の呼吸によって周期的に虚脱及び再拡張する、並びに/又はその他の時に虚脱する。同時に、肺における他の肺胞は、高い1回換気量及び圧力によって膨張し続ける及び/又は過膨張になり、容積損傷を引き起こす。リクルートメント手技は、深刻な急性呼吸促迫症候群(ARDS)の対象者及び/若しくは他の対象者において使用される、肺保護的換気戦略の1構成要素である、並びに/又は、例えば、機械的人工換気に対する肺開放アプローチの一部として使用される。
【0014】
[20] システム10は、リクルートメント手技のための及び/又は間の目標PEEPレベルを動的に且つ自動的に選択する及び維持するように構成される。以前の方法は、対象者の肺気量及び加えられる圧力の静的な観察を必要とする。これらの以前の方法は、扱いにくいものであり、リアルタイムで肺胞リクルートメントを評価し続けないため、肺胞の過膨張、肺拡張不全、又は繰返しせん断を防止するために対象者の連続的な観察を必要とする。急性呼吸促拍の対象者が発現すると、開放した肺を維持するために定期的なリクルートメント手技が時折必要とされる。これらの手技の間に必要とされる目標PEEPレベルは経時的に変動する(例えば、界面活性剤処理、肺胞における表面張力を減少させるために界面活性剤に含有される脂質の自然生産、及び/又は他の要因によって引き起こされる)。目標PEEPレベルを評価し且つ調節する必要性の変動は、機械的人工換気の適用中にいずれの介護者にも重い負担となる。
【0015】
[21] 開放した肺を維持するために介護者に利用可能な既存の用具は不十分である。例えば、典型的な換気システムによって生じた圧力/ボリューム(p-v)ループは、口腔内圧に対する1回換気量を図表化するものである。このようなループは、対象者の気道にわたる抵抗圧力降下、及び肺胞に影響を与える経壁圧の一因となる対象者による(例えば、筋肉による)力を考慮に入れないことによって肺胞に関する情報を混同させる。結果として、p-vループは、介護者によって解釈される必要があり、典型的には、(例えば、圧力を手動で増大させ、且つ結果として生じる1回換気量を観察する)介護者による静的な手技は、肺自体のp-v関係を特徴付けるために必要である。手動で行われるリクルートメント手技は、熟練人材の存在を必要とする。結果として、このような手技はあまり行われていない。PEEPが継続的に監視されないことは、あまり行われないリクルートメント手技の問題をさらに悪化させる。
【0016】
[22] 有利には、システム10は、肺圧差(すなわち、呼吸器系(肺及び胸壁)の弾性コンパートメントにわたる圧力差)に対して図表化された肺気量によるp-v曲線に基づいて目標PEEPレベルを決定するように構成される。リクルートメント手技を行うことは、典型的には、肺の高血圧を伴う。システム10は、口腔内圧ではなく肺胞内圧(さらにまた、肺圧差)を監視し、且つこれが安全な限界内で確実に維持されるように構成される。システム10は、機械的人工換気全体を通して設定され且つ維持される目標PEEPレベルによって自動的な肺リクルートメントを促進するためにリアルタイムで及び/又はほぼリアルタイムでp-v曲線(肺気量対肺圧差)を決定するように構成される。システム10は、他の利点の中で、手動リクルートメント手技を行う必要性を排除することによって、介護者による対象者の日常的な管理を支援するように構成される。システム10はまた、例えば、多数の人々が熟練の介護者がいない時に換気を必要とする重篤な事態の間に有用である。
【0017】
[23] いくつかの実施形態では、システム10は、圧力発生器14、対象者インターフェース16、1つ又は複数のセンサ18、1つ又は複数のプロセッサ20、ユーザインターフェース22、電子記憶装置24、及び/又は他のコンポーネントの1つ又は複数を備える。
【0018】
[24] 圧力発生器14は、対象者12の気道に送達させるための呼吸可能なガスの加圧流を発生させるように構成される。圧力発生器14は、治療目的で及び/又は他の目的でガスの流れの1つ又は複数の換気パラメータ(例えば、速度、圧力、ボリューム、温度、組成など)を制御する。圧力発生器14は、処方された機械的人工換気治療法及び/又は他の治療法に従って呼吸可能なガスの加圧流の1つ又は複数の換気パラメータを制御するように構成される。非限定的な例として、圧力発生器14は、呼吸速度、流量、口腔内圧波形、呼気終末陽圧(PEEP)、1回換気量、分時拍出量、吸気相対呼気相比(例えば、I:E比)、及び/又はガスの流れの他の換気パラメータを制御するように構成される。
【0019】
[25] 圧力発生器14は、周囲の雰囲気などのガス源からガスの流れを受け、且つ対象者12の気道に送達させるためにそのガスの圧力を上昇及び/又は低減させる。圧力発生器14は、例えば、対象者への送達のために受けたガスの圧力を上昇及び/又は低減させることが可能である、ポンプ、ブロワ、ピストン、又はベローなどの任意のデバイスである及び/又はこれを含む。圧力発生器14は、サーボ制御バルブ及び/若しくはモータ、ガスの圧力及び/若しくは流れを制御するための1つ若しくは複数の他のバルブ及び/若しくはモータ、並びに/又は他のコンポーネントを備える。本開示はまた、対象者12にもたらされるガスの圧力及び/又は流れを制御するために、このようなバルブを単独で又はこれらを組み合わせてのいずれかで、ブロワの動作速度を制御することを意図している。
【0020】
[26] 対象者インターフェース16は、対象者12の気道に呼吸可能なガスの加圧流を送達するように構成される。そのため、対象者インターフェース16は、導管30、インターフェース機器32、及び/又は他のコンポーネントを備える。導管30は、ガスの加圧流をインターフェース機器32に伝達するように構成される。導管30は、柔軟な長さのホース、又は、圧力発生器14と流体連通するインターフェース機器32を設置するその他の導管である。インターフェース機器32は、対象者12の気道にガスの流れを送達するように構成される。いくつかの実施形態では、インターフェース機器32は非侵襲的である。そのため、インターフェース機器32は対象者12に非侵襲的に係合する。非侵襲的な係合は、対象者12の気道とインターフェース機器32との間にガスを連通するために対象者12の気道の1つ又は複数の外口(例えば、鼻孔及び/又は口腔)を取り囲む部位(単数又は複数)を取り外し可能に係合することを含む。非侵襲的なインターフェース機器32のいくつかの例には、例えば、鼻カニューレ、鼻マスク、口鼻マスク、フルフェイスマスク、全面マスク、又は対象者の気道にガスの流れを連通させる他のインターフェース機器が含まれる。本開示は、これらの例に限定されず、気管内チューブ及び/又は他の機器などの侵襲的インターフェース機器を含む任意のインターフェース機器を使用した対象者へのガスの流れの送達を意図している。
【0021】
[27] センサ18は、対象者12の呼吸に関連している情報、並びに/又は他のガス及び/若しくは呼吸パラメータを伝達する出力信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、対象者12の呼吸に関連している情報は、呼吸可能なガスの加圧流の流量(及び/又は流量に関連している情報)、対象者12の口腔及び/又は他の場所における呼吸可能なガスの加圧流の圧力、及び/又は他の情報を含む。いくつかの実施形態では、対象者12の呼吸に関連している情報は、ボリューム(例えば、1回換気量、分時拍出量など)、圧力(例えば、吸気圧、呼気圧など)、1つ若しくは複数の構成ガスの組成(例えば、濃度)、ガス温度、ガス湿度、加速度、速度、音響、対象者12の呼吸努力を指示するパラメータの変更、及び/又は他のパラメータに関連している情報を含む。いくつかの実施形態では、センサ18は、所定のイベントの発生に応答して、及び/又はその他の時に、所定の間隔で実質的に連続的に、出力信号を生成する。いくつかの実施形態では、所定の間隔、イベント、及び/又は他の情報は、製造時に、ユーザインターフェース22を介したユーザ入力に基づいて、及び/又は他の情報に基づいて、決定される。
【0022】
[28] センサ18は、(例えば、対象者インターフェース16におけるガスの流れとの流体連通を通して)このようなパラメータを直接測定する1つ又は複数のセンサを含む。センサ18は、間接的にガスの流れの1つ又は複数のパラメータに関連している出力信号を生成する1つ又は複数のセンサを含む。例えば、センサ18のうちの1つ又は複数は、圧力発生器14の動作パラメータ(例えば、バルブドライバ若しくはモータ電流、電圧、回転速度、及び/又は他の動作パラメータ)に基づいて出力を生成する。
【0023】
[29] センサ18は、インターフェース機器32と圧力発生器14との間の導管30内の(又はこれと連通する)単一の場所に示されているが、これは限定的であることを意図するものではない。センサ18は、複数の場所において、例えば、圧力発生器14内に、インターフェース機器32内に(又はこれと連通して)、対象者12と連通して、及び/又は他の場所などにおいて、配設されるセンサを含む。例えば、センサ18は、流量センサ、対象者12の口腔及び/又は他の場所における呼吸可能なガスの圧力に関連している情報を伝達する圧力センサ、ボリュームセンサ、温度センサ、音響センサ、ガス組成センサ(例えば、SpOセンサ)、及び/又はシステム10におけるさまざまな場所に位置する他のセンサを含む。
【0024】
[30] プロセッサ20は、システム10における情報処理能力を提供するように構成される。そのため、プロセッサ20は、デジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報を処理するように設計されるデジタル回路、情報を処理するように設計されるアナログ回路、状態機械、及び/又は情報を電子的に処理するための他の機構のうちの1つ又は複数を備える。プロセッサ20は単一エンティティとして図1に示されているが、これは例証の目的に過ぎない。いくつかの実装形態では、プロセッサ20は複数の処理ユニットを含む。これらの処理ユニットは、同じデバイス(例えば、圧力発生器14)内に物理的に位置する、又はプロセッサ20は共同して動作する複数のデバイスの処理機能性を表す。
【0025】
[31] 図1に示されるように、プロセッサ20は1つ又は複数のコンピュータプログラムコンポーネントを実行するように構成される。1つ又は複数のコンピュータプログラムコンポーネントは、パラメータコンポーネント40、PEEPコンポーネント42、制御コンポーネント44、及び/又は他のコンポーネントのうちの1つ又は複数を含む。プロセッサ20は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェア、及び/若しくはファームウェアのある組合せ、並びに/又はプロセッサ20上の処理能力を構成するための他の機構によって、コンポーネント40、42、及び/又は44を実行するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、所定のイベントの発生に応答して、及び/又はその他の時に、所定の間隔で、実質的に連続的に(例えば、リアルタイムで及び/又はほぼリアルタイムで)後述される動作及び/又は他の動作のうちの1つ又は複数を実行する。いくつかの実施形態では、所定の間隔、イベント、及び/又は他の情報は、製造時に、ユーザインターフェース22を介したユーザ入力に基づいて、及び/又は他の情報に基づいて、決定される。
【0026】
[32] コンポーネント40、42、及び44は単一処理ユニット内に共同設置されるとして図1に示されているが、プロセッサ20が複合の処理ユニットを備える実装形態において、コンポーネント40、42、及び/若しくは44のうちの1つ又は複数は他のコンポーネントから遠隔に位置する場合があることは理解されるべきである。後述される種々のコンポーネント40、42、及び/又は44によって提供される機能性の説明は、例証の目的のためであり、コンポーネント40、42、及び/又は44のいずれかが説明されるものより提供される機能性が多い又は少ない場合があるため、限定的であることを意図するものではない。例えば、コンポーネント40、42、及び/若しくは44の1つ又は複数は、排除される場合があり、この機能性の一部又は全ては他のコンポーネント40、42、及び/又は44によって提供される場合がある。別の例として、プロセッサ20は、以下でコンポーネント40、42、及び/若しくは44に属する機能性の一部又は全てを実行する1つ又は複数の追加のコンポーネントを実行するように構成される。
【0027】
[33] パラメータコンポーネント40は、1回換気量、肺気量、肺圧差、PEEP、並びに/又は対象者12の呼吸可能なガスの加圧流及び/若しくは呼吸に関連している他のパラメータを決定するように構成される。いくつかの実施形態では、1回換気量、肺気量、肺圧差、PEEP、及び/又は他のパラメータは、出力信号における情報、1つ若しくは複数の他のパラメータの決定、及び/又は他の情報に基づいて決定される。例えば、肺気量は、1回換気量のいくつかの測定値をまとめることによって1回換気量に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、対象者12の呼吸に関連している情報(例えば、出力信号における情報)は、呼吸可能なガスの加圧流の流量(Q)、対象者の口腔における呼吸可能なガスの圧力(Pao)、及び/又は他の情報を含む。いくつかの実施形態では、出力信号における情報に基づいて対象者12の1回換気量を決定することは、流量に所与の呼吸に対応する時間期間を乗算することを含む。いくつかの実施形態では、出力信号における情報に基づいて対象者12の肺圧差を決定することは、Q及びPaoに基づいて気道抵抗(R)及び弾性(E)を決定すること、R及びEに基づいて対象者12における肺胞内圧(Pal)及び筋圧(Pmus)を決定すること、並びにPal及びPmusに基づいて肺圧差を決定することを含む。
【0028】
[34] 図2は、上記のパラメータがどのように互いに動的に関連しているかを概略的に示す。患者の呼吸器系は、電気的アナログ200として図2に表される単一コンパートメントとしてモデル化される。肺及び胸壁は、単一の抵抗性経路(気道)によって提供される弾性コンパートメントとしてモデル化される。抵抗性経路の入口における圧力は、気道開口圧(Pao202)に対応するのに対し、弾性コンパートメント内の圧力は肺胞内圧(Pal208)を表している。システムは、呼吸筋によって加えられる力の相当圧力を表す外圧(Pmus212)を受ける。呼吸器系の種々の構成要素を通る空気流Qの動態は、圧力差Pao-Pmusによって駆動される。弾性コンパートメントの弾性的性質はエラスタンスパラメータE210によって説明されるものであり、抵抗成分の抵抗性は、抵抗パラメータR204によって説明されるものである。
【0029】
[35] 図2に示されるモデルを使用して、肺圧差、又は呼吸器系の弾性コンパートメントにわたる圧力は、PmusをPalから引算することによって決定可能であり、この場合、弾性要素E210は肺及び胸壁両方を含む。(例えば、センサ18からの出力信号における情報に基づいて決定される)Q及びPaoに基づいて抵抗(R)及び弾性(E)を決定することは、以下に示される式及び/又は他の式に従って行われる。例えば、人工呼吸器が設定されたPEEPを提供している呼気の間に時間サンプルtにわたって、
τ=中央値(-(V(t)-V(t))/(Q(t)-Q(t)))である。また、
E=(Pao(tEOI)-Pao(t0))/(τ(Q(tEOI)-Q(t0))+(V(tEOI)-V(t0)))、且つ
R=τEである。
ここで、tは患者が呼吸を開始する(又は、患者が不動である場合に呼吸器が作動する)時間であり、tEOIは呼吸器がサイクルオフする時間である。τは、(上記のような)中央値として、又は例えば、通常最小二乗法によって、推定可能である呼吸器系時定数である。R及びEに基づいて対象者12の肺胞内圧(Pal)及び筋圧(Pmus)を決定することは、以下に示される式及び/又は他の式に従って行われる。例えば、
Pal(t)=Pao(t)-RQ(t)、及び
Pmus(t)=Pao(t)-RQ(t)-E(V(t)-(V(t0))-Pal(t0)である。
上述されるように、Pal及びPmusに基づいて肺圧差Ptranspulmonaryを決定することは、以下に示される式及び/又は他の式に従って行われる。
Ptranspulmonary(t)=Pal(t)-Pmus(t)
【0030】
[36] 非限定的な例として、図3は、Pao202及びQ206に基づいてパラメータR204、Pal208、E210、及びPmus212の(例えば、上述される式を使用する)決定302を示す入力/出力図300である。図3に示されるように、システム10(図1)は、対象者12の口腔における対象者インターフェース16と連通して位置するセンサ18からの出力信号における情報に基づいて行われる空気流(Q206)及び圧力(Pao202)の測定のみがR204、E210、Pal208、Pmus212、及び/又は他のパラメータの呼吸の推定ごとの呼吸を行うために必要とされるように構成される。(例えば、非侵襲的な換気の間の)いくつかの実施形態では、対象者の口腔における流れ及び圧力は、呼吸器に位置するセンサによって得られる流れ及び圧力の測定に基づいて推定される。
【0031】
[37] いくつかの実施形態では、経壁圧(Pal-胸腔内圧(Ppl))は、肺圧差の代わりに及び/又はこれに加えて決定され、目標PEEPレベルは、肺気量、肺圧差、及び/又は他の情報に基づいて(例えば、本明細書に説明されるように)決定される。このような実施形態では、対象者インターフェース16(図1)及び/又はセンサ18(図1)は、(例えば、食道カテーテル及び/又は他のコンポーネントを介して)胸腔内圧の測定を容易にするように構成される1つ又は複数の侵襲的なコンポーネントを含む。
【0032】
[38] 図1に戻ると、PEEPコンポーネント42は、目標PEEPレベルを決定するように構成される。目標PEEPレベルは、センサ18からの出力信号における情報、(例えば、肺気量、肺圧差、及び/又は他のパラメータを含む)パラメータコンポーネント40によって決定されるパラメータ、及び/又は他の情報に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、PEEPコンポーネント42は、対象者12による一連の呼吸にわたって対象者12における一連の増大するPEEPレベルを実現するために呼吸可能なガスの加圧流を発生させるように圧力発生器14を制御すること、及び個々のPEEPレベルに対する気道コンプライアンスC(例えば、上述されるI/E)を決定することによって、目標PEEPレベルを決定するように構成される。いくつかの実施形態では、PEEPコンポーネント42は、増大するPEEPレベルによる呼吸が、対象者12の安全を徹底するように呼吸中に、制御される1回換気量及び/又は限定される肺胞内圧であるように構成される(例えば、この場合、必要な安全性の決定は、センサ18からの出力信号における情報に基づいて、限度、並びに/又はユーザインターフェース22を介して行われる他のエントリ及び/若しくは選択に基づいて、及び/又は他の情報に基づいて行われる)。1回換気量が制御され且つ肺胞内圧が限定される呼吸は、例えば、吸入量が処方によって与えられるボリューム閾値に達するまで圧補助又は傾斜圧(ramping pressure)によって送達させる呼吸である。
【0033】
[39] 図4は、PEEPレベル401、402、404、406、及び480が増大する場合に応じた気道コンプライアンスC400を示す。このような実施形態では、コンプライアンス対PEEP情報(例えば、図4における情報)に基づいて、PEEPコンポーネント42(図1)は、対象者12(図1)における最大又はほぼ最大の肺コンプライアンスを発生させるPEEPレベルにおいて又はこれに近い目標PEEPレベルを設定するように構成される。例として図4を使用して、最大の肺コンプライアンス(又は最小エラスタンス)410は、PEEPレベル404及び406において又はこれの近くで実現されるため、PEEPコンポーネント42は、目標PEEPレベル412をPEEPレベル404及び/又は406における又はこれの近くのレベルに設定する。
【0034】
[40] いくつかの実施形態では、肺気量及び肺圧差に基づいて目標PEEPレベルを決定することは、出力信号における情報、パラメータコンポーネント40(図1)によって決定されるパラメータ、及び/又は他の情報に基づいて、(例えば、1回換気量のいくつかの測定値をまとめることによる)肺気量対(例えば、上述されるように決定される)肺圧差曲線を決定することを含む。いくつかの実施形態では、曲線の肺気量部分は、1回換気量の多くの測定値をまとめ、且つそれらを呼吸の初めの開始ボリュームでオフセットすることによって、及び/又は他の方法によって、生成される。図5は、対象者12(図1)に対する、肺気量(V)500対肺圧差(Ptranspulmonary)502曲線504の例を示す。いくつかの実施形態では、PEEPコンポーネント42(図1)は、対象者12による一連の呼吸514、516、518、及び520にわたって対象者12における一連の増大するPEEPレベル506、508、510、及び512を実現するために呼吸可能なガスの加圧流を発生させるように圧力発生器14(図1)を制御すること、及び個々の呼吸514~520に対する(例えば、上述されるように決定される)結果として生じる肺気量対肺圧差を図表化することによって、曲線504を決定するように構成される。図5に示されるように、個々の呼吸514~520について生成される情報は、曲線504の対応する部分522~528を決定するために使用される。
【0035】
[41] 対象者12(図1)の肺の肺圧差p-v曲線は3つの主要な領域を特徴としている。低圧では、曲線は全般的に平坦である(例えば、ボリュームの比較的小さい変化を実現するために圧力の大きな変化が必要とされる)。これは低い肺コンプライアンスに対応する。曲線の中央領域は、より高い肺コンプライアンスによって特徴付けられ、且つ、肺胞虚脱又は過伸展がなく、肺が最善の状態で動作する範囲内の圧力範囲に対応する。より高い圧力では、p-v曲線は、再び、ボリュームの比較的小さい変化を実現するために圧力の大きな変化が必要とされるため、平坦になる。
【0036】
[42] 図6は、対象者12の肺の別の例示のp(肺内外)-v(肺)曲線600を示す(例えば、簡略化のために、開放される際にその状態を維持するための肺胞のヒステリシス及び/又は相互作用は図6に示されない)。図6は、低圧では、曲線600が全般的に平坦である(例えば、ボリュームの比較的小さい変化を実現するために圧力の大きな変化が必要とされる)低領域602を示す。図6は、より高い肺コンプライアンスによって特徴付けられる曲線600の中央領域604、及びより高い圧力では、p-v曲線600が、再び、ボリュームの比較的小さい変化を実現するために肺圧差の大きな変化が必要とされるため平坦になる、高領域606を示す。図6に示されるように、領域602は、曲線600において上に凹の変曲点608における領域604に移行し、領域604は、曲線600において下に凹の変曲点610における領域606に移行する。さらに図6では、Ptranspulmonary軸線は、呼吸器系の弾性コンパートメントにわたる圧力を示す(例えば、Pal-Pmusであり、ここで、弾性要素は肺及び胸壁の両方を含む)。
【0037】
[43] 図1に戻ると、いくつかの実施形態では、PEEPコンポーネント42は、肺気量及び肺圧差に基づいて目標PEEPレベルを決定することが、p(肺内外)-v(肺)曲線における1つ若しくは複数の変曲点(例えば、図6に示される608及び/又は610)を特定すること、1つ若しくは複数の変曲点に基づいて目標PEEPレベルを決定すること、及び/又は他の動作を行うことを含むように構成される。いくつかの実施形態では、PEEPコンポーネント42は、例えば、曲線600の導関数の値の変化を検出することによって、p(肺内外)-v(肺)曲線における変曲点を決定する。いくつかの実施形態では、PEEPコンポーネント42は、導関数が、Savitzky-Golay平滑フィルタ及び/又は他の技法を使用して、局所的に(すなわち、曲線600に沿って一点一点)計算可能であるように構成される。
【0038】
[44] いくつかの実施形態では、肺気量及び肺圧差に基づいて目標PEEPレベルを決定することは、曲線における上に凹の変曲点を特定すること、及び/又は圧力発生器14に、上に凹の変曲点が最新の呼吸に対応する曲線の一部分においてもはや特定されなくなるまで、一連の後続の呼吸における個々の呼吸に対して対象者12における治療PEEPレベルを増大させるために呼吸可能なガスの加圧流を調節させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、肺気量及び肺圧差に基づいて目標PEEPレベルを決定することは、曲線における下に凹の変曲点を特定すること、圧力発生器14に、上に凹の変曲点が特定されるまで一連の後続の呼吸における個々の呼吸に対して対象者12における治療PEEPレベルを減少させるために呼吸可能なガスの加圧流を調節させること、圧力発生器14に、下に凹の変曲点と上に凹の変曲点との間のレベルに少なくとも1つのさらなる呼吸に対する治療PEEPレベルを増大させるために呼吸可能なガスの加圧流を調節させること、及び、目標PEEPレベルを、上に凹の変曲点に対応する圧力と、対象者12における開放した気道を維持するための少なくとも1つのさらなる呼吸に対する治療PEEPレベルとの間のレベルに設定することをさらに含む。
【0039】
[45] 例えば、図7は、目標PEEPレベルを決定するためにPEEPコンポーネント42(図1)によって行われる1つの可能な動作の集合700を示す。上述されるように、PEEPコンポーネント42は、圧力発生器14(図1)に、対象者12による一連の呼吸(例えば、1~7)にわたって対象者12(図1)における一連のPEEPレベル(例えば、PEEP1~PEEP7)を実現するために呼吸可能なガスの加圧流を発生させるようにする。図7は、曲線702における下に凹の変曲点を特定すること、圧力発生器14に、上に凹の変曲点704が特定されるまで一連の後続の呼吸における個々の呼吸(例えば、呼吸2~5)に対して対象者12における治療PEEPレベル(例えば、PEEP2~PEEP5)を減少させるために呼吸可能なガスの加圧流を調節させること、圧力発生器14に、下に凹の変曲点702と上に凹の変曲点704との間の、702により近いレベルに少なくとも1つのさらなる呼吸(例えば、呼吸6)に対する治療PEEPレベル(例えば、PEEP6)を増大させるために呼吸可能なガスの加圧流を調節させること、及び最後に、目標PEEPレベルを、対象者12における開放した気道を維持するために、下に凹の変曲点702と上に凹の変曲点704との間の、704により近いレベル(例えば、PEEP7)に設定することを示す。
【0040】
[46] 図1に戻ると、いくつかの実施形態では、PEEPコンポーネント42は、目標PEEPレベルがリアルタイムで及び/又はほぼリアルタイムで決定されるように(例えば、図6に示される図表のような図表が対象者12の個々の呼吸に対して生成及び/又は更新されるように)対象者12の呼吸ごとに1回又は複数回、目標PEEPレベルを決定するために上述された動作のうちの1つ又は複数を行うように構成される。いくつかの実施形態では、PEEPコンポーネント42は、p(肺内外)-v(肺)曲線における上に凹の変曲点の検出に応答して上述される動作のうちの1つ又は複数を行うように構成される。いくつかの実施形態では、PEEPコンポーネント42は、パラメータコンポーネント40によって決定される1つ又は複数のパラメータが閾値レベルに違反することに応答して、上述される動作の1つ又は複数を行うように構成される。例えば、PEEPコンポーネント42は、パラメータが低換気警報条件を指示している(例えば、1つ又は複数のパラメータが低換気警報閾値に違反している)こと、SpO2レベルがSpO2警報閾値レベルに違反していること、及び/又は他のパラメータが他の閾値に違反していることに応答して、目標PEEPレベルを決定するために上述される動作のうちの1つ又は複数を行うように構成される。いくつかの実施形態では、PEEPコンポーネント42は、対象者12の呼吸に対応している又は対応していない所定の間隔で目標PEEPレベルを決定するための上述される動作のうちの1つ又は複数を行うように構成される。いくつかの実施形態では、PEEPコンポーネント42は、ユーザから受信した手動命令に応答して(例えば、ユーザインターフェース22及び/又はシステム10の他のコンポーネントを介したこのような命令のユーザエントリ及び/又は選択を介して)目標PEEPレベルを決定するために上述される動作のうちの1つ又は複数を行うように構成される。いくつかの実施形態では、目標PEEPレベル決定のタイミング(例えば、リアルタイム、ほぼリアルタイム、閾値違反に応答して、所定の間隔で、手動命令に応答してなど)は、製造時に設定される、ユーザインターフェース22を介したユーザ入力に基づいて決定及び/若しくは調節される、並びに/又は他の方法によって決定される。
【0041】
[47] 制御コンポーネント44は、呼吸可能なガスの加圧流を発生させるために圧力発生器14を制御するように構成される。圧力発生器14によって発生させたガスの加圧流は、対象者12の規則的な呼吸を置き換える及び/又は引き立たせるように制御される。いくつかの実施形態では、制御コンポーネント44は、圧力発生器14に処方された機械的人工換気治療法に従って呼吸可能なガスの加圧流を発生させるように構成される。このような実施形態では、制御コンポーネント44は、圧力発生器14に、処方された機械的人工換気治療法に従って(例えば、上述されるように)呼吸可能なガスの加圧流の1つ又は複数の換気パラメータを制御させるように構成される。いくつかの実施形態では、制御コンポーネント44は、機械的人工換気治療法に加えて及び/又はこれの代わりに、人工呼吸及び/又は陽性気道圧補助治療法に従って、ガスの流れを発生させるために圧力発生器14を制御するように構成される。非限定的な例として、制御コンポーネント44は、ガスの流れによって対象者12にもたらされる圧補助が、持続的陽性気道圧補助(可変CPAP)、可変的二相性気道陽圧補助(BPAP)、比例気道陽圧補助(PPAP)、及び/又は他のタイプの圧補助療法を含むように圧力発生器14を制御する。
【0042】
[48] いくつかの実施形態では、制御コンポーネント44は、圧力発生器14に、本明細書に説明される治療PEEPレベル(例えば、目標PEEPレベルを決定するために使用される上述される調節されたPEEPレベル)を提供するために、及び/又は決定された目標PEEPレベルを維持するために、呼吸可能なガスの加圧流を調節させるように構成される。決定された目標PEEPレベルを維持することは、対象者12における開放した気道の維持を容易にすることで、酸素及び二酸化炭素がより容易に交換されて、ガス交換を容易にするために必要とされる対象者の尽力はわずかになる及び/又はなくなる。制御コンポーネント44は、センサ18からの出力信号に関連している情報、PEEPコンポーネント42及び/又はパラメータコンポーネント40によって決定される情報、ユーザインターフェース22を介してユーザによって入力及び/若しくは選択された情報、並びに/又は他の情報に基づいて、圧力発生器14を制御するように構成される。
【0043】
[49] プロセッサ20のコンポーネント40、42、及び/若しくは44、並びに/又は本明細書に説明されるシステム10の他のコンポーネントの動作の非限定的な実例として、システム10は、例えば、15cmHOの初期PEEPにおいて開始する、対象者12に対する、一連の増大する1回換気量が制御され且つ肺胞内圧が限定される呼吸(圧力)を含む、(例えば、システム10によって自律的にトリガされる、及び/又は外部ユーザによって手動でトリガされる)リクルートメント手技をもたらす。上述されるように、1回換気量が制御され且つ肺胞内圧が限定される呼吸は、例として、吸入量が処方によって与えられるボリューム閾値(例えば、ユーザインターフェース22及び/又はシステム10の他のコンポーネントを介して入力及び/又は選択される6cc/kg標準体重(IBW))に達するまで、及び/又は肺胞内圧が30cmHOに達するまで、圧補助及び/又は傾斜圧によって送達され、その後圧力がPEEP設定に戻って低下する呼吸である。システム10は、上述されるパラメータ推定アルゴリズムを安定させる、及び/又は(例えば、種々の呼吸からの決定を平均することによって)対応するp(肺内外)-v(肺)曲線分のロバスト推定を構築するために、これらの呼吸のうちの1つ又は複数の送達を生じさせる。上に凹の変曲点が推定されるp-v曲線分において検出される場合、PEEPは、例えば、2cmHOを加えた変曲点に対応する圧力レベルまで増大する。さらに、呼吸は、新しいPEEPレベルにおいてさらにまた送達される一方、さらなる呼吸パラメータは決定され続け、p-v曲線の決定された線分が下側の変曲点(上に凹の変曲点)を特徴としなくなるまで、上記の手順は繰り返される。
【0044】
[50] 検出された変曲点が下に凹である場合、システム10は、PEEPレベル設定がp-v曲線を下に移動させ、且つ上側の変曲点(下に凹の変曲点)を所与の曲線分(例えば、図5における線分524及び526)に対して消滅させるために、必要に応じたcmHO分減少させるように構成される。その後、上に凹の変曲点が現れるまで、PEEPレベルの連続した減少が行われる(が呼吸は連続して送達される)。このPEEPレベルは肺拡張不全に相当し、システム10はこの圧力より上の目標PEEPレベルを設定する。(PEEPレベルが段階的に増大する)リクルートメント手順は繰り返されるが、その後、2cmHOのレベルまでPEEPが減少し、例えば、肺拡張不全を引き起こしたPEEPの学習済みレベルを上回る。肺拡張不全が、下側の変曲点(上に凹の変曲点)の検出によって、機械的人工換気の適用中にシステム10によってどんな時にも検出されることは留意されるべきである。上述されるように、システム10による上に凹の変曲点(例えば、PEEPコンポーネント42)及び/又は他のイベントの検出に応答して、システム10(例えば、PEEPコンポーネント42及び/又は圧力発生器14)は、本明細書に説明される手順に従ってリクルートメント手技を行うように構成される。
【0045】
[51] ユーザインターフェース22は、システム10と対象者12及び/又は他のユーザとの間のインターフェースをもたらし、これによって、対象者12及び/又は他のユーザはシステム10に対して、情報を提供し且つシステム10から情報を受信するように構成される。他のユーザは、介護者、医者、家族の一員、意思決定者、及び/又は他のユーザを含む。ユーザインターフェース22は、「情報」と総称される、データ、キュー、結果、及び/又は命令、並びに任意の他の通信可能な項目が、ユーザ(例えば、対象者12)と、圧力発生器14、センサ18、プロセッサ20、電子記憶装置24、及び/若しくはシステム10の他のコンポーネントのうちの1つ又は複数との間で通信されることを可能にする。ユーザインターフェース22に含まれるものとして適しているインターフェースデバイスの例には、キーパッド、ボタン、スイッチ、キーボード、つまみ、レバー、ディスプレイスクリーン、タッチスクリーン、スピーカ、マイクロホン、表示灯、音響アラーム器、プリンタ、触覚フィードバックデバイス、及び/又は他のインターフェースデバイスが挙げられる。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース22は複数の別個のインターフェースを含む。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース22は圧力発生器14と一体的に設けられる少なくとも1つのインターフェースを含む。
【0046】
[52] ハードワイヤード又は無線のどちらかによる他の通信技法もユーザインターフェース22として本開示によって意図されていることは理解されたい。例えば、本開示は、ユーザインターフェース22が電子記憶装置24によって提供される取り外し可能な記憶インターフェースと一体化されることを意図している。この例では、情報は、ユーザがシステム10の実装をカスタマイズできるようにする取り外し可能な記憶装置(例えば、スマートカード、フラッシュドライブ、取り外し可能なディスクなど)からシステム10にロードされる。ユーザインターフェース22としてシステム10による使用に適応した他の例示の入力デバイス及び技法は、限定ではないが、RS-232ポート、RFリンク、IRリンク、モデム(電話、ケーブル、又はその他)を含む。要するに、システム10による情報の通信のためのいずれの技法も、本開示によってユーザインターフェース22として意図されている。
【0047】
[53] いくつかの実施形態では、電子記憶装置24は、情報を電子的に記憶する電子記憶媒体を含む。電子記憶装置24の電子記憶媒体は、システム10と一体的に設けられる(すなわち、実質的に取り外し不可能な)システム記憶装置、及び/若しくは例えば、ポート(例えば、USBポート、FireWireポートなど)又はドライブ(例えば、ディスクドライブなど)を介してシステム10に取り外し可能に接続できる取り外し可能記憶装置の1つ又は両方を含む。電子記憶装置24は、光学的に可読の記憶媒体(例えば、光ディスクなど)、磁気的に可読の記憶媒体(例えば、磁気テープ、磁気ハードドライブ、フロッピードライブなど)、電荷ベース記憶媒体(例えば、EPROM、RAMなど)、ソリッドステート記憶媒体(例えば、フラッシュドライブなど)、及び/若しくは他の電子的に可読の記憶媒体うちのの1つ又は複数を含む。電子記憶装置24は、ソフトウェアアルゴリズム、プロセッサ20によって決定される情報、ユーザインターフェース22を介して受信される情報、及び/又はシステム10を本明細書に説明されるように機能させることができる他の情報を記憶する。電子記憶装置24は(全体的に又は部分的に)システム10内の別個のコンポーネントである、又は、電子記憶装置24はシステム10の1つ又は複数の他のコンポーネント(例えば、ユーザインターフェース22、プロセッサ20など)と(全体的に又は部分的に)一体的に設けられる。
【0048】
[54] 図8は、機械的人工換気システムによって対象者におけるPEEPを制御する方法800を示す。機械的人工換気システムは、圧力発生器、1つ若しくは複数のセンサ、1つ若しくは複数のハードウェアプロセッサ、及び/又は他のコンポーネントを備える。1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、機械可読命令によってコンピュータプログラムコンポーネントを実行するように構成される。コンピュータプログラムコンポーネントは、パラメータコンポーネント、PEEPコンポーネント、制御コンポーネント、及び/又は他のコンポーネントを含む。以下に提示される方法800の動作は例証であることが意図される。いくつかの実施形態では、方法800は、説明されない1つ若しくは複数の追加の動作によって、及び/又は、論じられる動作のうちの1つ若しくは複数がなく、達成される。さらに、方法800の動作が図8に示され且つ後述される順序は限定的であると意図されていない。
【0049】
[55] いくつかの実施形態では、方法800は、1つ又は複数の処理デバイス(例えば、デジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報を処理するように設計されるデジタル回路、情報を処理するように設計されるアナログ回路、状態機械、及び/又は情報を電子的に処理するための他の機構)において実行される。1つ又は複数の処理デバイスは、電子記憶媒体上に電子的に記憶される命令に応答して、方法800の動作の一部若しくは全てを実行する1つ又は複数のデバイスを含む。1つ又は複数の処理デバイスは、方法800の動作の1つ又は複数の実行のために具体的に設計されるハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアによって構成される1つ又は複数のデバイスを含む。
【0050】
[56] 動作802において、呼吸可能なガスの加圧流は、対象者の気道への送達のために発生させられる。いくつかの実施形態では、動作802は、(図1に示され且つ本明細書に説明される)圧力発生器14と同じ又は同様の圧力発生器によって行われる。
【0051】
[57] 動作804において、対象者の呼吸に関連している情報を伝達する出力信号が生成される。いくつかの実施形態では、動作804は、(図1に示され且つ本明細書に説明される)センサ18と同じ若しくは同様の1つ又は複数のセンサによって行われる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のセンサは、呼吸可能なガスの加圧流の流量に関連している情報を伝達する出力信号を生成するように構成される流量センサ、対象者の口腔における呼吸可能なガスの圧力に関連している情報を伝達する圧力センサ、及び/又は他のセンサを含む。
【0052】
[58] 動作806において、対象者の肺気量及び肺圧差が決定される。肺気量及び肺圧差は、出力信号における情報に基づいて、1つ若しくは複数の決定されたパラメータ(例えば、肺気量は1回換気量に基づいて決定される、1回換気量は出力信号に基づいて決定される、及び肺圧差はパラメータ及び上記の式に基づいて決定される)、及び/又は他の情報に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、対象者の呼吸に関連している情報は、呼吸可能なガスの加圧流の流量(Q)、対象者の口腔における呼吸可能なガスの圧力(Pao)、及び/又は他の情報を含む。いくつかの実施形態では、出力信号における情報に基づいて対象者の肺圧差を決定することは、Q及びPaoに基づいて気道抵抗(R)及び弾性(E)を決定すること、R及びEに基づいて対象者における肺胞内圧(Pal)及び筋圧(Pmus)を決定すること、並びにPal及びPmusに基づいて肺圧差を決定することを含む。いくつかの実施形態では、経壁圧は肺圧差の代わりに決定され、目標PEEPレベルは、肺気量、経壁圧、及び/又は他の情報に基づいて(例えば、本明細書に説明されるように)決定される。いくつかの実施形態では、動作806は、(図1に示され且つ本明細書に説明される)パラメータコンポーネント40と同じ又は同様のプロセッサコンポーネントによって行われる。
【0053】
[59] 動作808において、目標PEEPレベルが決定される。目標PEEPレベルは、肺気量、肺圧差、及び/又は他の情報に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、肺気量及び肺圧差に基づいて目標PEEPレベルを決定することは、出力信号における情報、決定されるパラメータ、及び/又は他の情報に基づいて肺気量対肺圧差曲線を決定すること、曲線における1つ又は複数の変曲点を特定すること、及び、1つ又は複数の変曲点に基づいて目標PEEPレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態では、肺気量及び肺圧差に基づいて目標PEEPレベルを決定することは、曲線における下に凹の変曲点を特定すること、圧力発生器に、上に凹の変曲点が特定されるまで一連の後続の呼吸における個々の呼吸に対して対象者における治療PEEPレベルを減少させるために呼吸可能なガスの加圧流を調節させること、圧力発生器に、下に凹の変曲点と上に凹の変曲点との間のレベルに少なくとも1つのさらなる呼吸に対する治療PEEPレベルを増大させるために呼吸可能なガスの加圧流を調節させること、及び、目標PEEPレベルを、上に凹の変曲点に対応する圧力と、対象者における開放した気道を維持するための少なくとも1つのさらなる呼吸に対する治療PEEPレベルとの間のレベルに設定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、肺気量及び肺圧差に基づいて目標PEEPレベルを決定することは、曲線における上に凹の変曲点を特定すること、及び、圧力発生器に、上に凹の変曲点が最新の呼吸に対応する曲線の一部分においてもはや特定されなくなるまで、一連の後続の呼吸における個々の呼吸に対して対象者における治療PEEPレベルを増大させるために呼吸可能なガスの加圧流を調節させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、動作808は、(図1に示され且つ本明細書に説明される)PEEPコンポーネント42と同じ又は同様のプロセッサコンポーネントによって行われる。
【0054】
[60] 動作810において、圧力発生器に、決定される目標PEEPレベルを維持するために呼吸可能なガスの加圧流を調節させる。いくつかの実施形態では、動作810は、(図1に示され且つ本明細書に説明される)制御コンポーネント44と同じ又は同様のプロセッサコンポーネントによって行われる。
【0055】
[61] 上記に提供される説明は現時点で最も実用的且つ好ましい実施形態であると考えられているものに基づいて例証の目的で詳細を提供しているが、このような詳細が専らその目的のためのものであり、本開示が、明示的に開示される実施形態に限定されず、それどころか、添付の特許請求項の趣旨及び範囲内にある修正及び等価の配置を包含することが意図されることは、理解されたい。例えば、可能な限り、任意の実施形態の1つ又は複数の特徴が任意の他の実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせ可能であることを本開示が意図していることは理解されたい。
【0056】
[62] 特許請求項において、括弧でくくったいずれの参照符号も、特許請求項を限定するものと解釈されるべきではない。用語「備える」又は「含む」は、特許請求項に挙げられている以外の要素又はステップが存在することを除外しない。いくつかの手段を列挙しているデバイスの特許請求項において、これらの手段のうちのいくつかはハードウェアの1つ及び同じ品目によって具現化される。単数形は、このような要素が複数存在することを除外しない。いくつかの手段を列挙している任意のデバイスの特許請求項において、これらの手段のうちのいくつかはハードウェアの1つ及び同じ品目によって具現化される。ある特定の要素が相互に異なる従属請求項に示されているという単なる事実は、これらの要素が組み合わせて使用できないことを指示していない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8