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特許7004755精製プロセスおよび発電システムから粒子状物質を除去するための方法ならびに装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】精製プロセスおよび発電システムから粒子状物質を除去するための方法ならびに装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 5/04 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
B08B5/04 Z
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020008417
(22)【出願日】2020-01-22
(62)【分割の表示】P 2015015247の分割
【原出願日】2015-01-29
(65)【公開番号】P2020073269
(43)【公開日】2020-05-14
【審査請求日】2020-02-19
(31)【優先権主張番号】1401604.2
(32)【優先日】2014-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519151024
【氏名又は名称】インテグレーテッド・グローバル・サービシーズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100117411
【弁理士】
【氏名又は名称】串田 幸一
(72)【発明者】
【氏名】パウロ・ブルネロ
(72)【発明者】
【氏名】ナイピーン・ジュウ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・タイラー
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-140894(JP,U)
【文献】米国特許第06571420(US,B1)
【文献】実開昭55-054334(JP,U)
【文献】特開平01-148380(JP,A)
【文献】特開2007-003118(JP,A)
【文献】登録実用新案第3058509(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 5/00-5/04
B08B 3/02
F27D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
堆積した粒子状物質を構成部品から除去するための装置(10)であって、
離間した直立支柱の対と、前記直立支柱に取り付けられてそれらに架かるガントリー梁とを含む可搬式のフレーム(14)と、
前記ガントリー梁に可動に連結されたトロリと、
管状のランスであって、前記管状のランスの遠位端部にノズル(52)を有する管状のランス(50)と、
前記トロリおよび前記ランスを相互接続する釣合いデバイスであって、前記ランスの近位端部に接続される引き込み可能なつなぎケーブルを含む釣合いデバイスと、
前記フレームに配置されている案内カラー組立体であって、前記案内カラー組立体が、前記ランスの一部を包囲する管状の支持カラーを有し、前記案内カラー組立体が、支持受け台を含み、前記支持カラーが、接続ピンにより前記支持受け台に可動に接続される、案内カラー組立体と、
加圧流体の流れを通過させるための入口端部(78-1)および出口端部(78-2)ならびに吸引ポート(78a)を有するベンチュリデバイス吸引力生成器(78)と、
前記ランス(50)の前記近位端部(50a)を前記ベンチュリデバイス吸引力生成器の前記吸引ポート(78a)に接続する可撓性のホース(76)とを備え、
前記ランス(50)を操作して前記ノズル(52)を構成部品わたって動かすことにより、堆積した粒子状物質を前記構成部品から前記ランス(50)を通じて除去することが可能になる、装置。
【請求項2】
前記ノズルが黒鉛からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ランスの前記遠位端部が、前記ランスの長手軸に対して直角である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記フレームが脚輪を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記フレームが、前記構成部品の近傍の隣接した支持梁に取り付けられるための少なくとも1つの安定化組立体を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記安定化組立体が、前記フレームに接続可能な結合部材と、前記構成部品の近傍の隣接した支持梁に接続可能な接続板と、前記結合部材および前記接続板を相互接続する引締めねじ組立体とを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記直立支柱の対が、高さ調節可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ベンチュリデバイス吸引力生成器の前記出口端部に流体接続される入口端部と、排出端部とを有する濾過器組立体をさらに含み、前記濾過器組立体が、前記ベンチュリデバイス吸引力生成器の前記出口端部から同伴粒子状物質を含んだ加圧流体の流れを受け取って、実質的に粒子状物質が含まれていない加圧流体をその前記排出端部を通じて排出する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
吸引力により構成部品から粒子状物質を除去する方法であって、
(a) 粒子状物質が除去される構成部品に隣接して請求項1に記載の装置を位置決めするステップと、
(b) 前記ベンチュリデバイス吸引力生成器を操作して、前記ランスの前記ノズルにおいて吸引力を生成するステップと、
(c) 前記ランスを操作して前記構成部品をわたって前記ノズルを動かすことにより、前記生成された吸引力により前記構成部品から粒子状物質を除去するステップと、
(d) 前記ランスを通じて、前記除去された粒子状物質を前記構成部品から移送するステップとを含む方法。
【請求項10】
ステップ(d)が、
(d1) 前記粒子状物質を空気流に同伴させるステップと、
(d2) 前記空気流および同伴粒子状物質を濾過器組立体に向かわせるステップと、
(d3) 前記濾過器組立体内で前記空気流から前記同伴粒子状物質を除去するステップと、
(d4) 前記濾過器組立体から実質的に粒子状物質が含まれていない空気流を排出するステップとを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、参照によりその全内容が本明細書に明確に組み込まれている、2014年1月30日に出願した英国特許出願第1401604.2号に基づくものであり、かつその優先権を主張するものである。
【0002】
[0002]本発明は、選択的触媒還元(selective catalyst reduction、「SCR」)触媒、または、SCRシステムの構成部品、または精製プロセスもしくは発電システムの対流部を含むがこれらに限定されない精製プロセスまたは発電システムからの粒子状物質の除去に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]SCRシステムは、燃焼排気から窒素酸化物(NOx)を除去するために用いられる。窒素酸化物は、大気中で水蒸気と反応して酸性雨を発生させるか、または日光と反応してオゾンを発生させる可能性があるという事実から見て、公害問題をもたらすものである。NOxは、水素改質器、真空加熱器、プラットフォーマ、および他のプロセス用加熱器を含むがそれらに限定されない炉を加熱するための燃料の燃焼中に生じる。NOxは、燃焼中に、サーマルNOx、フューエルNOx、およびプロンプトNOxの3つの状態で生じうる。
【0004】
[0004]SCRシステムの目的は、窒素酸化物を二原子窒素(N2)に変換することである。システムは、NOxを変換するために、液体アンモニアおよび多孔性触媒を使用する。アンモニアは、制御された比率で、空気とともに煙道ガス中に噴射され、窒素酸化物は、アンモニアおよび酸素と反応して、二原子窒素および水を形成する。触媒は、変換率を90%超に高める。その結果、窒素および水を大気中に安全に放出することができる。
【0005】
[0005]炉の内部は、耐火セラミック繊維(RCF)、耐火断熱れんが、またはそれらの組み合わせで囲まれている。RCFは、プラットフォーマなどにおいて高温にさらされると結晶シリカおよび他の成分に失透する非晶質シリカを含む。炉内の気体の速度により、結晶シリカは、気体流に拾い上げられて下流に運ばれる。同様に、気体の速度および水蒸気は、耐火断熱材に対して研磨剤として作用することができ、また、シリカ移動として知られる過程により、耐火断熱材からの粒子状物質も集められて運ばれうる。また、燃料、特に油の燃焼中、例えばオイルダスティング(oil dusting)として知られる過程において、粒子状物質が生成されてやはり下流に運ばれうる。こうした粒子は、触媒の表面に堆積されて、通常は多孔性の触媒の表面を汚染するか、または炉の対流部の伝熱羽根上に堆積されうる。これらは、触媒の有効性を低下させるだけでなく、触媒を損傷するか汚染する可能性もあり、性能の低下につながる。伝熱羽根の場合では、粒子状物質は断熱材として作用し、したがってこの汚染は、ユニットの伝熱効率を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]そのような問題を克服するために、汚染されたユニットを洗浄するための様々な方法が用いられてきた。1つの知られた方法は、音波を発生させて汚染されたユニットから粒子状物質を遊離させ、次いでそれらを煙道ガスとともに排出するために、音響ホーンの使用を伴うものである。しかし、そうした粒子は、触媒のチャネル内に溜まるか、またはユニットの底に落ちてまとまる場合もある。別の方法は、典型的にはドライアイスを用いる吹き付けを伴うものであり、ドライアイスは、粒子状物質の領域で昇華するときに、
それらの粒子状物質を汚染されたユニットから遊離させる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]本明細書において開示される実施形態は、従来技術の諸問題のうちの少なくとも1つを克服または改善するか、あるいは有用な代替形態を提供することを図るものである。通常、炉が使用可能な状態または「オンライン」である間に構成部品を洗浄できるようにする方法および装置が提供される。さらに、今までは大気中に排出されて公害をもたらしていた、構成部品上に堆積した粒子状物質を、収集して保持することができる。
【0008】
[0008]いくつかの実施形態によれば、堆積した粒子状物質を構成部品から除去するための装置が、可搬式のフレームと、フレームによって支持されかつその遠位端部にノズルを有する管状のランスと、ランスの近位端部に動作的に接続されてノズルにおいて吸引力を生成する吸引力生成器とを備え、ノズルを構成部品をわたって動かすようにランスを操作することにより、堆積した粒子状物質を構成部品からランスを通じて除去することが可能になる。ノズルは、黒鉛を含みうる。いくつかの実施形態によれば、ランスの遠位端部は、ランスの長手軸に対して実質的に直角とされうる。
【0009】
[0009]吸引力生成器は、加圧流体の流れを通過させるための入口端部および出口端部、ならびに吸引ポートを有する、静的なベンチュリデバイスとすることができ、また、装置は、ランスの近位端部をベンチュリデバイスの吸引ポートに接続する可撓性のホースを含む。しかし、他の吸引力生成器、例えば真空ポンプが、申し分なく用いられうる。吸引力生成器がベンチュリデバイスである実施形態によれば、デバイスは、加圧流体の流れを通過させるための入口端部および出口端部、ならびに吸引ポートを含む。したがって、ランスの近位端部をベンチュリデバイスの吸引ポートに接続するために、可撓性のホースが設けられうる。入口端部を有する濾過器組立体が、ベンチュリデバイスの出口端部に接続されうる。したがって、そのような実施形態によれば、濾過器組立体は、ベンチュリデバイスの出口端部から粒子状物質を同伴した加圧流体の流れを受け取り、そして濾過器組立体の排出端部を通じて、実質的に粒子状物質が含まれていない加圧流体の流れを排出する。
【0010】
[0010]フレームは、ランスを包囲する管状の支持カラーを有する案内カラー組立体を含みうる。いくつかの実施形態による案内カラー組立体は、支持受け台を含むことができ、支持カラーは、接続ピンにより支持受け台に可動に接続される。フレームのいくつかの実施形態は、離間した直立支柱の対と、この直立支柱に取り付けられてそれらに架かるガントリー梁とを含む。直立支柱の対は、高さ調節可能とすることができる。釣合いデバイスがトロリおよびランスを相互接続するように、ガントリー梁にトロリが可動に連結されうる。釣合いデバイスは、ランスの近位端部に接続される引き込み可能なつなぎケーブルを含みうる。
【0011】
[0011]いくつかの実施形態は、吸引洗浄すべき構成部品の近傍の隣接した支持梁に取り付けるための少なくとも1つの安定化組立体を含むフレームを有する。安定化組立体は、フレームに接続可能な結合部材と、構成部品の近傍の隣接した支持梁に接続可能な接続板と、結合部材および接続板を相互接続する引締めねじ組立体とを含みうる。
【0012】
[0012]使用時には、本明細書において説明される実施形態による装置が、粒子状物質が除去される構成部品(例えば、SCRシステムで使用されるSCR触媒)に隣接して位置決めされ、吸引力生成器が作動されて、ランスのノズルにおいて吸引力が生成されうる。ランスは、構成部品をわたってノズルを動かすように操作することができ、それにより、生成された吸引力により粒子状物質が構成部品から除去され、それに続いて、除去された粒子状物質を構成部品からランスを通じて移送することができる。
【0013】
[0013]上記のように、吸引力は、そこを通過する加圧流体(空気)の流れに応じて吸引力を生成するベンチュリデバイスにより、ノズルにおいて生成されうる。したがって、ランスを通じて構成部品から移送される粒子状物質は、その後で濾過器組立体に向けられうる流体の流れに同伴される。したがって、同伴粒子状物質は、濾過器組立体内の適切な濾過材によって除去することができ、その後、実質的に粒子状物質が含まれていない流体(空気)を周囲環境に排出することができる。
【0014】
[0014]本発明の上記その他の態様および利点は、本発明の好ましい例示的な実施形態に関する以下の詳細な説明を入念に考慮することで、より明らかになるであろう。
[0015]本発明の開示された実施形態は、例示的で非限定的な説明に役立つ実施形態に関する以下の詳細な説明を図面と併せて参照することで、よりよく、より十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】[0016]本発明の一実施形態による装置の斜視図である。
図2】[0017]図1に示された装置で使用される取付け組立体の拡大斜視図である。
図3】[0018]図2に示された取付け組立体で使用される案内カラー組立体の、さらに拡大された斜視図である。
図4】[0019]図3の線4-4に沿った案内カラー組立体の断面を部分的に示し、また、案内カラー組立体によって許容される真空ランスの長手方向の運動を示す、さらなる斜視図である。
図5】[0020]図4と同様に案内カラー組立体の断面を部分的に示しているが、案内カラー組立体によって許容される真空ランスの枢動を示す、斜視図である。
図6】[0021]図4と同様に案内カラー組立体の断面を部分的に示しているが、案内カラー組立体によって許容される真空ランスの緯度方向運動を示す、斜視図である。
図7】[0022]図1に示された装置とともに使用することができるベンチュリ効果デバイスの図である。
図8】[0023]図1に示された装置とともに使用することができる濾過器組立体の横断立面図である。
図9】[0024]本発明の別の実施形態による装置の斜視図である。
図10】[0025]図9に示された装置とともに使用するためのクランプ組立体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0026]SCRシステムまたは対流システム(参照番号12で概略的に示す)が使用可能な状態でいる間にそのシステム12から堆積した粒子状物質を除去するための本発明の一実施形態による装置10が、添付の図1~6に示されている。図示のように、装置10は一般に、離間した垂直支柱16a、16bの対から成るフレーム組立体14を含み、垂直支柱16a、16bはそれぞれ、管状継手18、20の垂直枝部18a、20aに受け入れられる下方端部を有する。フレーム14は同様に、下方に分岐した脚支柱の22-1、22-2の対、および24-1、24-2の対を有し、各脚支柱の対は、継手18、20の脚枝部18-1、18-2、および20-1、20-2のうちのそれぞれ1つに受け入れられる上方端部をそれぞれ有する。ベース支柱30、32がそれぞれ、脚支柱22-1および24-1の下方端部の間、ならびに脚支柱22-2および24-2の下方端部の間に架かる。フレーム14をシステム12の開口部12aに対して動かすことができるように、各脚支柱22-1、22-2、24-1および24-2の下方端部に、脚輪34が取り付けられうる。垂直支柱16a、16bの上方端部は、ガントリー梁38が取り付けられる取付けパッド36a、36bを担持する。垂直支柱16a、16bは、ピンと穴から成る構成18b、20bにより継手18、20に取り外し可能に取り付けられ、したがって、矢印A1の方向におけるシステムの開口部12aに対するガントリー梁38の垂直方
向の高さ調節が可能になる。
【0017】
[0027]トロリ40が、ガントリー梁38に沿った矢印A2の方向での往復運動が可能になるように、ガントリー梁38によって可動に支持される。トロリ40は、剛性で管状の真空ランス50の近位端部50aに取り付けられるつなぎケーブル42aを有する釣合いデバイス42を、ぶら下げるように支持する。ランス50は、遠位端部50bを含み、この遠位端部50bは、示された実施形態では、ランス50の伸長軸(elongate axis)に対して実質的に直角である。
【0018】
[0028]したがって、真空ランス50の重量は、操作者が開口部12aを通じてランス50をシステム12に出入りさせられるようにするために、釣合いデバイス42によって釣り合わせられる。したがって、釣合いデバイス42は、ランスがシステム12に対して上下動されるときにつなぎケーブルを引き込んだり繰り出したりできるようにすることにより、洗浄中にランス50およびその遠位端部50bに取り付けられたノズル52が開口部12aを通じてシステム12内に案内されるときに、重力に逆らって操作者を支援する。ノズル52は、システム12内のSCR触媒(図示せず)の比較的壊れやすい材料への損傷を避けるために、十分に柔軟な黒鉛ヘッドであることが最も好ましい。
【0019】
[0029]ランス50の遠位端部50bは、案内カラー組立体60に受け入れられる。この案内カラー組立体60は、図2~6におけるその拡大された描写によってよりよく見えるであろう。この点について、カラー組立体60は、ベース支柱30と32との間に延在しかつそれらに取り付けられる、離間した横支柱62、64の対を含む。直方体形状の揺架箱66が、結合部材68、70により、横支柱62および64にぶら下げられるように支持され、かつそれらの間に取り付けられる。
【0020】
[0030]ランス50は、管状の支持カラー72に受け入れられ、この支持カラー72は、向かい合ったピン74a、74bにより、揺架箱66に枢着される。図4~6に示されるように、カラー72は、洗浄される材料に対するランス50とその遠位端部50bに取り付けられたノズル52との運動を可能にするために、ある程度の自由度を有する。具体的には、カラー72は、ランス50を図4の矢印A3の方向に上方および下方に往復運動させられるようにするために、ランス50を緩く包囲する。さらに、ランス50は、ピン74a、74bの長手軸ALのまわりで、図5で示されるように矢印A4の方向に枢動されうる。さらに、ピン74a、74bは、図6の矢印A5で示されるような揺架箱66内での前進後退運動を可能にするのに十分な長さである。矢印A3~A5により図4~6に示された運動に加えて、ランスはまた、ノズル52をほぼ水平の面において前後に枢動させられるようにするために、その長手軸のまわりで回転されうる。したがって、案内カラー組立体60は、真空洗浄作業中に、操作者が所望するとおりにランス50とその遠位端部に取り付けられたノズル52とを操作および位置決めすることを可能にする。
【0021】
[0031]ランス50の近位端部50aは、可撓性のホース76(図1参照)を介して吸引力生成器の吸引継手78aに取り付けられ、吸引力生成器は、示された実施形態では静的なベンチュリデバイス78(図7参照)によって提示されている。ベンチュリデバイス78は、その入口端部78-1からベンチュリデバイス78に入り出口端部78-2から排出される圧縮空気の流れにより、ホース76内に、したがってランス50の遠位端部に取り付けられたノズル52において、減圧圧力(真空)を生成する。よく知られているように、このベンチュリデバイス78内の圧縮空気の流れは、吸引継手78aにおいて減圧(真空)圧力を生み出す。したがって、このようにして、ホース76により、ランスの遠位端部50bに取り付けられたノズル52において吸引力が顕著に表れる。あるいは、動力学的真空ポンプ(dynamic vacuum pump)などの他の吸引力生成手段が用いられてもよい。
【0022】
[0032]ノズル52が操作者(ランス50の遠位端部50bに取り付けられたビデオカメラ(図示せず)による支援を受けることができる)によって手動で誘導されてシステム12内のSCR触媒(または他の物質)をわたって動かされるにつれて、解放された粒子状物質は、システム12から吸い出されて、ランス50およびホース76を通ってベンチュリデバイスへ移動することになる。したがって、そのようにしてシステム12内のSCR触媒材料から吸引された解放された粒子状物質は、ベンチュリデバイス78を流れる圧縮空気に同伴されて、ベンチュリデバイス78の出口端部78-2から排出される。したがって、出口端部78-2は、濾過材80aを流れる空気から同伴粒子状物質を除去することができるように、適切なホース(図示せず)により図8に示されるような濾過器組立体80の入口端部80-1に接続されうる。したがって、実質的に粒子状物質が含まれていない空気が、出口80-2を通じて濾過器組立体80から周囲環境に排出されうる。
【0023】
[0033]使用時には、装置10は、アクセス開口部12a(おおよそ20.32cm(8インチ)×60.96cm(24インチ)とされうる)に対して炉システム12上に設置される。操作者は、システム構成部品に関連する洗浄すべき触媒をわたってノズル52が動かされるように、ランス50を操作する。その際、ノズル52の柔軟な黒鉛ヘッドは、密接な接触を可能にしながらも、構成部品への損傷を最小限に抑える。ノズル52において生成された減圧圧力により、堆積した粒子状物質が構成部品から吸引される。次いで、これらの遊離した粒子状物質は、ランス50およびホース76に沿ってベンチュリデバイス78まで移動し、そして、ベンチュリ78を通って濾過器組立体80内に封入された濾過材80aへと流れる主空気流に入る。濾過材80aは、除去された粒子状物質を収集および保持するが、空気流は、引き続き濾過器組立体80を通過して、出口80-2を通じて周囲大気中に排出され、それにより、構成部品から除去された粒子状物質による大気汚染が回避される。
【0024】
[0034]SCRシステムの触媒を洗浄する代わりに、本装置は、炉の対流部を洗浄するために使用することができる。この場合、対流部の伝熱フィンおよびパイプは触媒よりも損傷しづらいので、ノズルの黒鉛ヘッドを金属ワイヤブラシに置き換えることができる。同一のガントリーおよび釣合いおもりを使用することができるが、一代替実施形態では、ランスは、釣合わせ支点に取り付けられる場合があり、釣合いおもりは、釣合わせ支点の反対側の細長い棒に取り付けられる。ランス、ノズル、減圧圧力生成装置、ホース、および密閉濾過器は、上述のものと同一とすることができる。ランスおよびノズルを入れて洗浄できるようにするために、炉の対流部にアクセス穴が作られうる。
【0025】
[0035]本発明による装置の代替的な実施形態100が、図9および図10に示されている。具体的には、装置100は、上述の装置10に似ているが、直立支柱104、106の対に接続されてそれらに架かるガントリー梁102を含む。同様に、ガントリー梁102は、トロリ40を同じく支持し、トロリ40は、管状の真空ランス50の近位端部50aに取り付けられるつなぎケーブル42aを有する釣合いデバイス42を、ぶら下げるように支持する。したがって、真空ランス50の重量は、操作者がランス50を真空洗浄されるシステムに出入りさせられるようにするために、釣合いデバイス42によって釣り合わせられる。
【0026】
[0036]図9に示された装置100の実施形態では、直立支柱104、106は、真空洗浄されるシステムの剛性支持面上に位置決めされる脚パッド104a、106aを含む。直立支柱104、106に架かるガントリー梁102を安定させるために、安定化組立体110の対が設けられる。各安定化組立体は、U字形結合部材112を一端に含み、この結合部材112は、保持ボルト114(図10参照)により直立支柱104、106のそれぞれ1つに取り付けられるサイズおよび構成となされる。安定化組立体110の反対側
端部に接続板116が設けられ、この板116は、洗浄されるシステムに関連する既存の構造上支柱梁SBの突縁に係合するために、隆起した縁部条材116aを有する。
【0027】
[0037]U字形結合部材112および接続板116は、それぞれ、引締めねじ120によって互いに同軸に結合されるねじ付き軸112-1および116-1を備える。したがって、それにより、U字形結合部材112は、直立支柱104、106のうちの1つに接続され、接続板116の縁部条材116aは、構造上支持梁SBのうちの隣接した1つの構造上支持梁SBの縁部と係合される。その後で、引締めねじ120は、U字形結合部材112および接続板116を互いに引き寄せるように回転されうる。このようにして、各安定化組立体110は、直立支柱104、106を隣接したそれぞれの構造上支持梁SBに確実に接続し、それによりガントリー梁102が安定化される。
【0028】
[0038]本明細書に記載の説明は、本発明の最も実際的で好ましい実施形態であると目下見なされることが、理解されるであろう。したがって、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、むしろ本発明の趣旨および範囲に含まれる様々な修正形態および等価な構成を含むように意図されている。
以上説明したように、本発明は以下の形態を有する。
形態1
堆積した粒子状物質を構成部品から除去するための装置であって、
可搬式のフレームと、
前記フレームによって支持されかつその遠位端部にノズルを有する管状のランスと、
前記ランスの近位端部に動作可能に接続されて前記ノズルにおいて吸引力を生成する吸引力生成器とを備え、
前記ランスを操作して前記ノズルを構成部品をわたって動かすことにより、堆積した粒子状物質を前記構成部品から前記ランスを通じて除去することが可能になる、装置。
形態2
前記ノズルが黒鉛を含む、形態1に記載の装置。
形態3
前記ランスの前記遠位端部が、前記ランスの長手軸に対して実質的に直角である、形態1に記載の装置。
形態4
前記フレームが、前記ランスを包囲する管状の支持カラーを有する案内カラー組立体を含む、形態1に記載の装置。
形態5
前記案内カラー組立体が、支持受け台を含み、前記支持カラーが、接続ピンにより前記支持受け台に可動に接続される、形態4に記載の装置。
形態6
前記フレームが、離間した直立支柱の対と、前記直立支柱に取り付けられてそれらに架かるガントリー梁とを含む、形態1に記載の装置。
形態7
前記ガントリー梁に可動に連結されたトロリと、前記トロリおよび前記ランスを相互接続する釣合いデバイスとをさらに含む、形態6に記載の装置。
形態8
前記釣合いデバイスが、前記ランスの前記近位端部に接続される引き込み可能なつなぎケーブルを含む、形態7に記載の装置。
形態9
前記フレームが脚輪を含む、形態1に記載の装置。
形態10
前記フレームが、前記構成部品の近傍の隣接した支持梁に取り付けられるための少なくとも1つの安定化組立体を含む、形態1に記載の装置。
形態11
前記安定化組立体が、前記フレームに接続可能な結合部材と、前記構成部品の近傍の隣接した支持梁に接続可能な接続板と、前記結合部材および前記接続板を相互接続する引締めねじ組立体とを含む、形態10に記載の装置。
形態12
前記直立支柱の対が、高さ調節可能である、形態6に記載の装置。
形態13
前記吸引力生成器が、加圧流体の流れを通過させるための入口端部および出口端部ならびに吸引ポートを有する静的なベンチュリデバイスであり、また、前記装置が、前記ランスの前記近位端部を前記ベンチュリデバイスの前記吸引ポートに接続する可撓性のホースを含む、形態1に記載の装置。
形態14
前記ベンチュリデバイスの前記出口端部に流体接続される入口端部と、排出端部とを有する濾過器組立体をさらに含み、前記濾過器組立体が、前記ベンチュリデバイスの前記出口端部から同伴粒子状物質を含んだ加圧流体の流れを受け取って、実質的に粒子状物質が含まれていない加圧流体をその前記排出端部を通じて排出する、形態13に記載の装置。
形態15
吸引力により構成部品から粒子状物質を除去する方法であって、
(a) 粒子状物質が除去される構成部品に隣接して形態1に記載の装置を位置決めするステップと、
(b) 前記吸引力生成器を操作して、前記ランスの前記ノズルにおいて吸引力を生成するステップと、
(c) 前記ランスを操作して前記構成部品をわたって前記ノズルを動かすことにより、前記生成された吸引力により前記構成部品から粒子状物質を除去するステップと、
(d) 前記ランスを通じて、前記除去された粒子状物質を前記構成部品から移送するステップとを含む方法。
形態16
前記吸引力が、吸引ポートを有するベンチュリデバイスを通過する空気流によって生成され、前記ランスが、前記ベンチュリデバイスの前記吸引ポートに接続されている、形態15に記載の方法。
形態17
ステップ(d)が、
(d1) 前記粒子状物質を前記空気流に同伴させるステップと、
(d2) 前記空気流および同伴粒子状物質を濾過器組立体に向かわせるステップと、
(d3) 前記濾過器組立体内で前記空気流から前記同伴粒子状物質を除去するステップと、
(d4) 前記濾過器組立体から実質的に粒子状物質が含まれていない空気流を排出するステップとを含む、形態16に記載の方法。
形態18
釣合いデバイスによって前記ランスを吊り下げるステップを含む、形態15に記載の方法。
形態19
前記釣合いデバイスがつなぎケーブルを含み、また、前記方法が、前記ランスの近位端部を前記つなぎケーブルに取り付けるステップを含む、形態18に記載の方法。
形態20
可動トロリを有するガントリー梁を用意するステップ、および、前記釣合いデバイスを前記トロリからぶら下げるように支持するステップを含む、形態18に記載の方法。
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図10