(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】ロッキング部材を含む、流体の密閉された移送のためのシステム
(51)【国際特許分類】
A61J 1/20 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
A61J1/20 314B
(21)【出願番号】P 2020036176
(22)【出願日】2020-03-03
(62)【分割の表示】P 2018214781の分割
【原出願日】2014-11-04
【審査請求日】2020-04-02
(32)【優先日】2013-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514221366
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン アンド カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イアン イエフメネンコ
(72)【発明者】
【氏名】ローリー サンダース
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/117648(WO,A1)
【文献】実開平06-083041(JP,U)
【文献】特開平03-094770(JP,A)
【文献】国際公開第2012/143435(WO,A1)
【文献】特開2013-116331(JP,A)
【文献】国際公開第2011/052481(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の密閉された移送のためのシステムであって、
近位端部、遠位端部、および前記近位端部と前記遠位端部との間に細長い開口部を画定する壁を有するシリンジアダプタであって、前記シリンジアダプタがカニューレと第1のシール膜を有する並進ハウジングとを備え、前記並進ハウジングが前記シリンジアダプタの前記細長い開口部内で可動であるシリンジアダプタと、
ロック部分を含むバイアルアクセスデバイスであって、前記並進ハウジングが、前記シリンジアダプタが前記バイアルアクセスデバイスと流体連通しない初期位置と、前記シリンジアダプタが前記カニューレを介してバイアルアクセスデバイスと流体連通する作動された位置との間で移行可能であるバイアルアクセスデバイスと、
前記シリンジアダプタに係合されたロッキング部材であって、前記バイアルアクセスデバイスの前記ロック部分が前記シリンジアダプタの前記細長い開口部内で可動であるロックされていない位置と、前記ロッキング部材が前記バイアルアクセスデバイスの前記ロック部分に係合して、前記作動された位置において前記シリンジアダプタを前記バイアルアクセスデバイスにロックするように構成されているロックされた位置との間で移行可能であり、前記ロッキング部材は、前記シリンジアダプタの前記細長い開口部内に受容されるばね体を備える、ロッキング部材と
を備え、
前記シリンジアダプタは視界窓を画定し、前記並進ハウジングが前記初期位置にある状態では、第1のインジケータが前記視界窓内に表示され
、
前記並進ハウジングが前記作動された位置にある状態では、第2のインジケータが前記視界窓内に表示され、前記第2のインジケータは前記第1のインジケータとは異なり、
前記シリンジアダプタは、前記シリンジアダプタの前記近位端部に位置する針ハブをさらに備え、前記カニューレが前記針ハブに固定され、前記針ハブの部分は、前記第1のインジケータを備え、
前記並進ハウジングの部分が前記第2のインジケータを備え、
前記針ハブの前記第1のインジケータ及び前記並進ハウジングの前記第2のインジケータは同心のリングの構成を備え、
前記第1のインジケータより前記第2のインジケータが大径であり、作動された位置において第2のインジケータが第1のインジケータを覆うことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記ロッキング部材は、ばね体から径方向外方に延在する少なくとも1つの外部リブを備え、前記ロッキング部材は、前記ばね体から径方向内側に延在する傾斜路を備え、前記シリンジアダプタと前記バイアルアクセスデバイスが前記初期位置から前記作動された位置に移行されたときに、前記傾斜路が前記ロッキング部材を前記ロックされた位置から前記ロックされていない位置に自動的に移動させるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記バイアルアクセスデバイスが第2のシール膜を含み、前記並進ハウジングが前記作動された位置にある状態では、前記カニューレは、前記並進ハウジングの前記第1のシール膜および前記バイアルアクセスデバイスの前記第2のシール膜を穿孔することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
バイアルチャンバが前記バイアルアクセスデバイスと流体連通するように、前記バイアルアクセスデバイスは、前記バイアルチャンバを画定するバイアルに取り付け可能であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記バイアルアクセスデバイスが前記バイアルに取り付けられ、前記並進ハウジングが前記作動された位置にある状態では、前記シリンジアダプタは、前記カニューレを介して前記バイアルチャンバと流体連通することを特徴とする請求項
4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ばね体は、前記ロッキング部材が前記ロックされた位置にあるときの静止した状態と、前記ロッキング部材が前記ロックされていない位置にあるときの付勢された状態との間で変形可能であり、前記ばね体は前記静止した状態に戻るように構成されていることを特徴とする請求項
2に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、流体の密閉された移送のためのシステムに関する。より詳細には、本開示は、カニューレとバイアルとの係合中、バイアルチャンバからバレルチャンバへのカニューレを介した物質の移送中、およびバイアルからのカニューレの係合解除中に漏れのない密封と圧力均等化とを実現するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
癌治療薬などの危険な薬物を再構成、運搬、および投与する医療介護提供者は、医療介護提供者をこれらの薬剤への暴露の危険にさらす可能性があり、また医療介護環境において重大危険を引き起こす可能性がある。例えば、癌患者を治療する看護師は、化学療法薬物およびそれらの毒性作用にさらされる危険を冒す。故意ではない化学療法暴露は、神経系に影響を及ぼす可能性があり、生殖器系を損なう可能性があり、将来血液癌を発症する危険性を高める可能性がある。医療介護提供者が毒性薬物にさらされる危険性を低減するためには、それらの薬物の密閉された移送が重要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一部の薬物は、それらが投与される前に溶解または希釈されなければならず、そのことは、溶剤を1つの容器から粉末または液体の形態の薬物を含有する密封されたバイアルに針を用いて移送することを伴う。薬物は、バイアルからの針の引き抜き中、および、針がバイアル内にある間に、バイアルの内部と周囲大気との間に圧力差が少しでもあると、気体の形態でまたはエアロゾル化により大気中に不用意に放出される場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの態様では、医療デバイスのためのコネクタシステムが、細長い開口部を有する第1のコネクタと、ロック部分を具備する第2のコネクタとを含み、第1のコネクタは、第1のコネクタが第2のコネクタと流体連通しない初期位置と、第1のコネクタが第2のコネクタと流体連通する作動された位置との間で、第2のコネクタに対して可動である。システムはまた、第1のコネクタに連結されたロッキング部材を含む。ロッキング部材は、第2のコネクタが第1のコネクタの細長い開口部内で可動であるロックされていない位置と、ロッキング部材が第2のコネクタのロック部分に係合して第1のコネクタを作動された位置において第2のコネクタにロックするように構成されているロックされた位置との間で移行可能である。ロッキング部材は、第1のコネクタの細長い開口部に受容されるばね体を含む。
【0005】
ばね体は、ロッキング部材がロックされた位置にあるときの静止した状態と、ロッキング部材がロックされていない位置にあるときの付勢された状態との間で変形可能とされ、かつ、静止した状態に戻るように構成され得る。ばね体は、静止した状態にあるときには、第1のコネクタの細長い開口部を少なくとも部分的に塞ぎ、付勢された状態にあるときには、広がって第2のコネクタを受容することができる。ロッキング部材は、ばね体に固着された第1のボタンおよび第2のボタンをさらに含むことができ、第1のボタンおよび第2のボタンを径方向内方に動かすことにより、ばね体が静止した状態から付勢された状態に移行され、ロッキング部材がロックされていない位置に移動される。ばね体は環状とされ、第1のボタンおよび第2のボタンは、互いにばね体の向かい合った側に位置決めされ得る。第1のボタンは、第1の連結アームによりばね体に連結されることができ、第2のボタンは、第2の連結アームによりばね体に連結される。ばね体は、静止した状態では長円形状で、付勢された状態では円形であり得る。
【0006】
第1のボタンおよび第2のボタンは、第1のコネクタの細長い開口部の外側に位置決めされ得る。第2のコネクタのロック部分はアンダカットであってもよく、ロッキング部材は、第1のコネクタおよび第2のコネクタが作動された位置にありロッキング部材がロックされた位置にあるときにアンダカットに係合して第1のコネクタを第2のコネクタにロックするように構成される。ロック部分は、第1のコネクタおよび第2のコネクタが初期位置から作動された位置に移行されるときにロッキング部材をロックされた位置からロックされていない位置に自動的に移動させる、引込み表面を含むことができる。ロッキング部材は、ばね体から径方向外方に延在するリブを含むことができる。ロッキング部材は、ばね体から径方向内方に延在する傾斜路を含むことができ、傾斜路は、第1のコネクタおよび第2のコネクタが初期位置から作動された位置に移行されるときにロッキング部材をロックされた位置からロックされていない位置に自動的に移動させるように構成される。
【0007】
さらなる態様では、流体の密閉された移送のためのシステムが、カニューレ、近位端部、遠位端部、および近位端部と遠位端部との間に細長い開口部を画定する壁を有する、シリンジアダプタを含む。システムはまた、ロック部分を具備するバイアルアクセスデバイス、および、第1のシール膜を有する並進ハウジングを含む。並進ハウジングは、シリンジアダプタの細長い開口部内で可動である。並進ハウジングは、シリンジアダプタがバイアルアクセスデバイスと流体連通しない初期位置と、シリンジアダプタがカニューレを介してバイアルアクセスデバイスと流体連通する作動された位置との間で移行可能である。さらに、システムは、シリンジアダプタに係合されたロッキング部材を含み、ロッキング部材は、バイアルアクセスデバイスのロック部分がシリンジアダプタの細長い開口部内で可動であるロックされていない位置と、ロッキング部材がバイアルアクセスデバイスのロック部材に係合してシリンジアダプタを作動された位置においてバイアルアクセスデバイスにロックするように構成されているロックされた位置との間で移行可能である。ロッキング部材は、シリンジアダプタの細長い開口部に受容されるばね体を含む。
【0008】
並進ハウジングが作動された位置にある状態では、カニューレは、並進ハウジングの第1のシール膜を穿孔することができる。バイアルアクセスデバイスは、第2のシール膜を含むことができ、並進ハウジングが作動された位置にある状態では、カニューレは、並進ハウジングの第1のシール膜、およびバイアルアクセスデバイスの第2のシール膜を穿孔する。バイアルアクセスデバイスは、バイアルチャンバがバイアルアクセスデバイスと流体連通するように、バイアルチャンバを画定するバイアルに取り付け可能とされ得る。バイアルアクセスデバイスは、バイアルおよび作動された位置にある並進ハウジングに取り付けられることができ、作動された位置では、シリンジアダプタは、カニューレを介してバイアルチャンバと流体連通する。ばね体は、ロッキング部材がロックされた位置にあるときの静止した状態と、ロッキング部材がロックされていない位置にあるときの付勢された状態との間で変形可能であり、ばね体は、静止した状態に戻るように構成される。シリンジアダプタは、視界窓を画定することができ、並進ハウジングが初期位置にある状態では、第1のインジケータが視界窓内に表示される。並進ハウジングが作動された位置にある状態では、第2のインジケータが視界窓内に表示されてもよく、その場合第2のインジケータは、第1のインジケータとは異なるものである。
【0009】
添付の図面と併せ以下の本開示の態様の説明を参照することにより、本開示の上記その他の特徴および利点、ならびにそれらを実現する方法がより明らかになるであろうし、本開示そのものもより理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の態様によるシステムの斜視図である。
【
図2】本発明の態様によるシリンジアダプタの分解斜視図である。
【
図3】本発明の態様による
図2のシリンジアダプタの組立斜視図である。
【
図4】本発明の態様による
図3のシリンジアダプタの断面図である。
【
図5】本発明の態様による
図2のシリンジアダプタハウジングの断面図である。
【
図6】本発明の態様による底部ハウジングの斜視図である。
【
図7】本発明の態様による底部ハウジングの側面図である。
【
図8】本発明の態様による底部ハウジングの別の側面図である。
【
図9】本発明の態様による並進ハウジングの分解斜視図である。
【
図10】本発明の態様による
図9の並進ハウジングの組立斜視図である。
【
図11】本発明の態様による並進ハウジングの側面図である。
【
図12】本発明の態様による
図11の線12-12に沿った並進ハウジングの断面図である。
【
図13】本発明の別の態様による並進ハウジングの斜視図である。
【
図14】本発明の別の態様による並進ハウジングの側面図である。
【
図15】本発明の別の態様による、
図14の線15-15に沿った並進ハウジングの断面図である。
【
図16】本発明の態様による針ハブの斜視図である。
【
図17】本発明の態様による針ハブの側面図である。
【
図18】本発明の態様による針ハブの上面図である。
【
図19】本発明の態様による、
図18の線19-19に沿った針ハブの断面図である。
【
図20】本発明の態様による押しボタンばねの上面図である。
【
図21】本発明の態様による押しボタンばねの側面図である。
【
図22】本発明の態様による押しボタンばねの斜視図である。
【
図23】本発明の態様による押しボタンばねの別の側面図である。
【
図24】本発明の別の態様によるシリンジアダプタハウジングの斜視図である。
【
図25】本発明の別の態様によるシリンジアダプタハウジングの側面図である。
【
図26】本発明の態様によるバイアルアクセスデバイスの斜視図である。
【
図27】本発明の態様によるバイアルアクセスデバイスの側面図である。
【
図28】本発明の態様による、
図27の線28-28に沿ったバイアルアクセスデバイスの断面図である。
【
図29】本発明の態様による連結部ハウジングの斜視図である。
【
図30】本発明の態様による連結部ハウジングの側面図である。
【
図31】本発明の態様による、
図30の線31-31に沿った連結部ハウジングの断面図である。
【
図32】本発明の態様によるシリンジアダプタおよびバイアルアクセスデバイスの分解斜視図である。
【
図33】本発明の態様による、
図32のシリンジアダプタおよびバイアルアクセスデバイスの組立斜視図である。
【
図34】本発明の態様による、初期位置における
図33のシリンジアダプタおよびバイアルアクセスデバイスの断面図である。
【
図35】本発明の態様による、初期位置におけるシリンジアダプタおよびバイアルアクセスデバイスの側面図である。
【
図36】本発明の態様による、初期位置におけるシリンジアダプタおよびバイアルアクセスデバイスの別の側面図である。
【
図37】本発明の態様による、
図36の線37-37に沿った、初期位置におけるシリンジアダプタおよびバイアルアクセスデバイスの断面図である。
【
図38】本発明の態様による、作動された位置におけるシリンジアダプタおよびバイアルアクセスデバイスの斜視図である。
【
図39】本発明の態様による、作動された位置におけるシリンジアダプタおよびバイアルアクセスデバイスの別の斜視図である。
【
図40】本発明の態様による、作動された位置における
図39のシリンジアダプタおよびバイアルアクセスデバイスの断面図である。
【
図41】本発明の態様による、作動された位置におけるシリンジアダプタおよびバイアルアクセスデバイスの側面図である。
【
図42】本発明の態様による、
図41の線42-42に沿った、作動された位置におけるシリンジアダプタおよびバイアルアクセスデバイスの断面図である。
【
図43】本発明の態様による、
図41の作動された位置におけるシリンジアダプタおよびバイアルアクセスデバイスの別の断面図である。
【
図44】本発明の態様による、
図43の断面44に沿ったバイアルアクセスデバイスの一部分の拡大図である。
【
図45】本発明の別の態様によるシリンジアダプタの斜視図である。
【
図46】本発明の別の態様によるシリンジアダプタの分解斜視図である。
【
図47】本発明の別の態様による、
図46のシリンジアダプタの組立側面図である。
【
図48】本発明の別の態様による、
図47の線48-48に沿ったシリンジアダプタの断面図である。
【
図49】本発明の別の態様によるバイアルアクセスデバイスの分解斜視図である。
【
図50】本発明の別の態様による、
図49のバイアルアクセスデバイスの組立斜視図である。
【
図51】本発明の別の態様によるバイアルアクセスデバイスの側面図である。
【
図52】本発明の別の態様による、
図51の線52-52に沿ったバイアルアクセスデバイスの断面図である。
【
図53】本発明の態様によるコネクタの分解斜視図である。
【
図54】本発明の態様による、
図53のコネクタの組立斜視図である。
【
図55】本発明の態様によるコネクタの側面図である。
【
図56】本発明の態様による、
図55の線56-56に沿ったコネクタの断面図である。
【
図57】本発明の別の態様によるシリンジアダプタおよびバイアルアクセスデバイスの分解斜視図である。
【
図58】本発明の態様による、
図57のシリンジアダプタおよびバイアルアクセスデバイスの組立斜視図である。
【
図59】本発明の態様による、初期位置における
図58のシリンジアダプタおよびバイアルアクセスデバイスの断面図である。
【
図60】本発明の別の態様による、作動された位置におけるシリンジアダプタおよびバイアルアクセスデバイスの斜視図である。
【
図61】本発明の態様による、作動された位置における
図60のシリンジアダプタおよびバイアルアクセスデバイスの断面図である。
【
図62】本発明の態様による、
図61の断面62に沿ったバイアルアクセスデバイスの一部分およびシリンジアダプタの一部分の拡大図である。
【
図63】本発明の態様による、作動された位置にありかつバイアルに接続されたシリンジアダプタおよびバイアルアクセスデバイスの側面図である。
【
図64】本発明の態様による、
図63の線64-64に沿った、作動された位置にありかつバイアルに接続されたシリンジアダプタおよびバイアルアクセスデバイスの断面図である。
【
図65】本発明の態様による、作動された位置にありかつバイアルに接続されたシリンジアダプタおよびバイアルアクセスデバイスの別の側面図である。
【
図66】本発明の態様による、
図65の線66-66に沿った、作動された位置にありかつバイアルに接続されたシリンジアダプタおよびバイアルアクセスデバイスの断面図である。
【
図67】本発明の態様による、作動された位置にありかつバイアルに接続されたシリンジアダプタおよびバイアルアクセスデバイスの斜視図である。
【
図68】本発明の態様によるシリンジアダプタおよびコネクタの分解斜視図である。
【
図69】本発明の態様による、
図68のシリンジアダプタおよびコネクタの組立斜視図である。
【
図70】本発明の態様によるシリンジアダプタおよびコネクタの側面図である。
【
図71】本発明の態様による、
図70の線71-71に沿ったシリンジアダプタおよびコネクタの断面図である。
【
図72】本発明の態様による、
図71の断面72に沿ったコネクタの一部分およびシリンジアダプタの一部分の拡大図である。
【
図73】本発明の別の態様による押しボタンばねの斜視図である。
【
図74】本発明の別の態様による押しボタンばねの側面図である。
【
図75】本発明の別の態様による押しボタンばねの斜視図である。
【
図76】本発明の態様による押しボタンばねの上面図である。
【
図77】本発明の別の態様による押しボタンばねの上面図である。
【
図78】本発明の別の態様による押しボタンばねの上面図である。
【
図79】本発明の態様による、
図78の線79-79に沿った押しボタンばねの断面図である。
【
図80】本発明の別の態様による押しボタンばねの上面図である。
【
図81】本発明の別の態様による押しボタンばねの上面図である。
【
図82】本発明の別の態様による押しボタンばねの上面図である。
【
図83】本発明の別の態様による押しボタンばねの上面図である。
【
図84】本発明の別の態様による押しボタンばねの上面図である。
【
図85】本発明の別の態様による押しボタンばねの上面図である。
【
図86】本発明の別の態様による、閉じられた位置におけるロッキング部材の上面図である。
【
図87】本発明の別の態様による、開いた位置における
図86のロッキング部材の上面図である。
【
図88】本発明の別の態様による、閉じられた位置におけるロッキング部材の上面図である。
【
図89】本発明の別の態様による、閉じられた位置におけるロッキング部材の上面図である。
【
図90】本発明の別の態様による、初期位置におけるシリンジアダプタおよびバイアルアクセスデバイスの組立斜視図である。
【
図91】本発明の別の態様による、初期位置における
図90のシリンジアダプタおよびバイアルアクセスデバイスの断面図である。
【
図92】本発明の別の態様による、作動された位置におけるシリンジアダプタおよびバイアルアクセスデバイスの斜視図である。
【
図93】本発明の別の態様による、作動された位置における
図92のシリンジアダプタおよびバイアルアクセスデバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
いくつかの図を通して、対応する参照文字は、対応する部品を示す。本明細書に提示された例示は本開示の例示的な態様を示すものであり、そのような例示は、決して本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0012】
以下の説明は、本発明を実施するために企図された説明される態様を当業者が作成および使用することを可能にするために提供される。しかし、様々な修正形態、均等物、変形形態、および代替形態は、当業者には依然として容易に明かであろう。あらゆるそのような修正形態、変形形態、均等物、および代替形態は、本発明の精神および範囲に含まれることが意図されている。
【0013】
以下の説明において、「上方」、「下方」、「右」、「左」、「垂直方向」、「水平方向」、「上部」、「底部」、「横方向」、「長手方向」という用語、およびそれらの派生語は、それが図面において配向された通りに本発明に関係するものとする。しかし、本発明は、そうではないと明白に指定されている場合を除いて様々な代替的な変形形態をとり得ることが、理解されるべきである。添付の図面に示されまた以下の明細な記述で説明される特定のデバイスは、単に本発明の例示的な態様であることも、理解されるべきである。したがって、本明細書において開示される態様に関連する特定の寸法および他の物理的特性は、限定的なものとして見なされるべきではない。
【0014】
以下の論述において、「遠位」とは、バイアルなどの容器と接触するのに適したシステムの端部に概ね向かう方向を意味し、「近位」とは、遠位の反対方向、すなわち、容器と接触するのに適したシステムの端部から離れる方向を意味する。この開示において、上述の基準は、本開示によるシステム構成要素の説明において使用される。
【0015】
図1は、本開示の例示的な態様を示す。
図1を参照すると、流体の密閉された移送のためのシステム10が、シリンジアダプタ12、バイアルアクセスデバイス14、およびシリンジアダプタハウジング16を含む。システム10は、カニューレとバイアルとの係合中、バイアルチャンバからバレルチャンバへのカニューレを介した物質の移送中、およびバイアルからのカニューレの係合解除中に、実質的に漏れのない密封を実現する。システム10の漏れのない密封は、システム10の使用中の空気および液体の両方の漏れを実質的に防止する。システム10は、バイアル内に含有された薬剤にアクセスして薬剤を患者に投与するための針およびシリンジ組立体に対応する。システム10はまた、IVバッグ、IVライン、患者コネクタ、または第1の構成要素と第2の構成要素との間で流体を移動させる他の態様と共に使用されることに対応する。
図1の例示的な態様は、シリンジアダプタ12およびバイアルアクセスデバイス14を示すが、本開示のシステムは、それらの間で流体を移動させるための任意の2つの構成要素と共に利用することができる。さらに、本開示の結合機構は、反転されてもよい。例えば、1つの態様では、ロック部分、例えばアンダカットは、シリンジアダプタ12上に含まれる場合があり、押しボタンばねは、バイアルアクセスデバイス14上に含まれる場合がある。1つの態様では、ロック部分、例えばアンダカットは、バイアルアクセスデバイス14上に含まれる場合があり、押しボタンばねは、シリンジアダプタ12上に含まれる場合がある。
【0016】
図2~23および26~44は、本開示の別の例示的な態様を示す。
図2~23および26~44を参照すると、流体の密閉された移送のためのシステム20が、シリンジアダプタ22、バイアルアクセスデバイス24、および、視界窓28を有するシリンジアダプタハウジング26を含む。システム20は、カニューレとバイアルとの係合中、バイアチャンバからバレルチャンバへのカニューレを介した物質の移送中、およびバイアルからのカニューレの係合解除中に、実質的に漏れのない密封を実現する。システム20の漏れのない密封は、システム20の使用中の空気および液体の両方の漏れを実質的に防止する。システム20は、バイアル内に含有された薬剤にアクセスして薬剤を患者に投与するための針およびシリンジ組立体に対応する。システム20はまた、IVバッグ、IVライン、患者コネクタ、または第1の構成要素と第2の構成要素との間で流体を移動させるための他の態様と共に使用されることに対応する。
図2~23および26~44の例示的な態様は、シリンジアダプタ22およびバイアルアクセスデバイス24を示すが、本開示のシステムは、それらの間で流体を移動させるための任意の2つの構成要素と共に利用することができる。さらに、本開示の結合機構は、反転されてもよい。例えば、1つの態様では、ロック部分、例えばアンダカットは、シリンジアダプタ22上に含まれる場合があり、押しボタンばねは、バイアルアクセスデバイス24上に含まれる場合がある。1つの態様では、ロック部分、例えばアンダカットは、バイアルアクセスデバイス24上に含まれる場合があり、押しボタンばねは、シリンジアダプタ22上に含まれる場合がある。
【0017】
図1に示された例示的な態様は、
図2~23および26~44に示された態様と同様の構成要素を含む。簡潔にするために、これらの同様の構成要素、およびシステム10を使用する同様のステップは、すべてが
図1に示された態様と関連して論じられるとは限らない。1つの態様では、システム10のシリンジアダプタハウジング16は、
図24および25に示されるように視界窓を含まない。
【0018】
図2~4を参照すると、シリンジアダプタ22は一般に、以下でより詳細に説明されるように、視界窓28を有するシリンジアダプタハウジング26、ロッキング部材30、底部ハウジング32、並進ハウジング34、針ハブ36、カニューレ38、およびばね42を含む。
【0019】
図2~5を参照すると、シリンジアダプタハウジング26は一般に、視界窓28、第1の端部または近位端部50、第2の端部または遠位端部52、第1の端部50と第2の端部52との間に細長い開口部56を画定する側壁54、第1の肩58、第2の肩60、針ハブ突出部62、ロッキング部材受容空洞64、およびバイアルアクセスデバイス受容領域66を含む。
【0020】
図5を参照すると、細長い開口部56は、以下でより詳細に説明されるように、並進ハウジング34を受容するサイズおよび形状となされる。第1の肩58は、第1の端部50に隣接して配置され、かつ、
図4に示されるように、針ハブ36との係合表面を提供するように構成される。第2の肩60は、第2の端部52に隣接して配置され、かつ、
図4に示されるように、並進ハウジング34との係合表面を提供するように構成される。針ハブ突出部62は、第1の端部50において側壁54から内方に延在し、かつ、針ハブ36をシリンジアダプタハウジング26に固定するための係合部分を提供するように構成される。他の態様では、シリンジアダプタハウジング26と針ハブ36との間の係合部分は、ねじ山が付けられた部分、スナップ嵌め機構、ボール移動止め、ロッキングタブ、ばね荷重されたロッキング機構、ラッチ、接着剤、または他の同様の機構を含み得る。
図5を参照すると、ロッキング部材受容空洞64は、第2の端部52に隣接して配置され、かつ、
図4に示されるようにロッキング部材30を受容するサイズおよび形状となされる。
図5を参照すると、バイアルアクセスデバイス受容領域66は、第2の端部52に配置され、かつ、
図33~44に示されるようにバイアルアクセスデバイス24を受容するサイズおよび形状となされる。
【0021】
1つの態様では、シリンジアダプタハウジング26は、視界窓28を含む。視界窓28は、システム20の一部分の表示手段を表示する窓を提供する。例えば、
図90および91を参照すると、1つの態様では、システム20が初期位置にある状態では、第1の色などの第1のインジケータが、視界窓28を介して使用者に表示され得る。
図92および93を参照すると、システム20が作動された位置にある状態では、第2の色などの第2のインジケータが、視界窓28を介して使用者に表示され得る。このようにして、システム20の位置を表示するフィードバックが使用者に提供される。1つの態様では、互いを覆いかつ赤色から緑色に変化する同心のリングが視界窓28と共に利用されて、システム20の位置を表示し得る。1つの態様では、互いを覆いかつ画像または言葉を含む同心のリングが視界窓28と共に利用されて、システム20の位置を表示し得る。他の態様では、位置合わせマークおよび/または覆いリングを含む同心のリングが視界窓28と共に利用されて、システム20の位置を表示し得る。1つの態様では、ばね荷重されたワッシャ機構が視界窓28と共に利用されて、システムが作動されたときにばね荷重されたワッシャ機構を付勢し、かつ、視界窓28を通して可視である色などのインジケータを変化させることにより、システム20の位置を表示し得る。
【0022】
図6~8を参照すると、底部ハウジング32は一般に、第1の端部または近位端部70、第2の端部または遠位端部72、フランジ部分74、バイアルアクセスデバイス開口76、および開口部78を含む。
【0023】
フランジ部分74は、第2の端部72に隣接して配置され、かつ、
図4に示されるようにシリンジアダプタハウジング26との係合表面を提供するように構成される。開口部78は、フランジ部分74に隣接して配置され、かつ、底部ハウジング32をシリンジアダプタハウジング26に固定するために利用され得る。他の態様では、シリンジアダプタハウジング26と底部ハウジング32との間の係合部分は、ねじ山が付けられた部分、スナップ嵌め機構、ボール移動止め、ロッキングタブ、ばね荷重されたロッキング機構、ラッチ、接着剤、超音波溶接、スピン溶接、プレス嵌め、または他の同様の機構を含み得る。
【0024】
1つの態様では、シリンジアダプタハウジング26および底部ハウジング32は、単一の一体的な構成要素を形成し得る。別の態様では、シリンジアダプタハウジング26および底部ハウジング32は、独立した構成要素であり、底部ハウジング32は、シリンジアダプタハウジング26と底部ハウジング32との間の著しい相対運動が防止されるように、シリンジアダプタハウジング26に取り付け可能である。
【0025】
図9~12を参照すると、並進ハウジング34は一般に、第1の端部または近位端部90、第2の端部または遠位端部92、第1の端部90から第2の端部92まで延在する流体移送チャネル94、第1のシール膜96、および第2のシール膜98を含む。並進ハウジング34は、シリンジアダプタハウジング26の細長い開口部56内で移動するサイズとなされる。並進ハウジング34は、シリンジアダプタ22がバイアルアクセスデバイス24と流体連通しない初期位置(
図33~37)と、シリンジアダプタ22がカニューレ38を介してバイアルアクセスデバイス24と流体連通する作動された位置(
図38~44)との間で移行可能である。1つの態様では、本開示の並進ハウジングが、
図9~12に示されるように2つのシール膜を含み得る。他の態様では、本開示の並進ハウジングが、1つのシール膜を含み得る。いくつかの態様では、本開示の並進ハウジングが、3つ以上のシール膜を含み得る。
【0026】
図9および12を参照すると、1つの態様では、並進ハウジング34は、第1の穿孔可能なシール膜96を含み得る。1つの態様では、並進ハウジング34は、第2の穿孔可能なシール膜98を含み得る。穿孔可能なシール膜96、98は、流体移送中にシリンジアダプタ22とバイアルアクセスデバイス24との間に液密かつ気密のシールを提供して漏れを最小限に抑え、それにより使用者への危険な薬剤の暴露を防止する。穿孔可能なシール膜96、98は、自己密封シールを提供し、自己密封シールは、シリンジアダプタ22、およびバイアルに取り付けられたバイアルアクセスデバイス24と共に、バイアルチャンバ内に含有された任意の物質がシステム20を使用して薬物を再構成、運搬、または投与する医療介護提供者に触れることを防止する、漏れのないシールを提供する。1つの態様では、穿孔可能なシール膜96、98は、弾性材料を含む。例えば、穿孔可能なシール膜96、98は、気体を通さない閉被を製作するために通常使用される任意の可撓性エラストマー材料から成形された単一デバイスであることが好ましい。穿孔可能なシール膜96、98は、天然ゴム材料、ポリウレタンエラストマー、ブチルゴム、または同様の材料で形成されてもよい。穿孔可能なシール膜96、98は、約10から50のショアA硬さを有する材料で形成されることが意図されている。穿孔可能なシール膜96、98は、バイアルのバイアル隔壁およびシリンジアダプタと共に漏れのないシールを提供しそれにより任意の液体または薬剤残留物がシステム20を使用して薬物を再構成、運搬、または投与する医療介護提供者に触れることを防止する、適切な自己密封材料を提供するであろう他の材料硬さ値を有し得ることも想定されている。
【0027】
図2を参照すると、カニューレ38は、第1の端部または近位端部100、第2の端部または遠位端部102、およびそれらの間に延在する内腔104を含む。遠位端部102は、カニューレ38の内腔104を介して近位端部100と流体連通している。
図38~44に示されるように、カニューレ38の遠位端部102は、以下でより詳細に説明されるように、並進ハウジング34の穿孔可能なシール膜96、98を穿孔して、シリンジアダプタ22およびバイアルアクセスデバイス24を流体連通させることができる。1つの態様では、カニューレ38の遠位端部102は、鋭い先端を画定する。他の薬物送達機構が本開示のシステムと共に利用され得ることも想定されている。例えば、隔壁、ばね、または圧縮性のシリコーンもしくは他の材料を利用する無針技術が、応用され得る。1つの態様では、本開示のカニューレが、金属製カニューレまたはプラスチック製カニューレを含む場合があり、また、様々な先端幾何形状および/またはスパイク幾何形状を含む場合がある。
【0028】
図13~15は、本開示の並進ハウジングの別の例示的な態様を示す。
図13~15に示された態様は、
図9~12に示された態様と同様の構成要素を含み、同様の構成要素は、後ろに文字Aが続く参照番号によって表される。簡潔にするために、これらの同様の構成要素、および並進ハウジング34Aを使用する同様のステップは、すべてが
図13~15に示された態様と関連して論じられるとは限らない。
【0029】
図16~19を参照すると、針ハブ36は一般に、第1の端部または近位端部110、第2の端部または遠位端部112、フランジ部分114、開口部116、カニューレ受容空洞118、およびバレル結合部分120を含む。
【0030】
針ハブ36の近位端部110は、バレル結合部分120を含む。1つの態様では、バレル結合部分120は、雄ルアーコネクタと対合するように構成された雌ルアーコネクタであるが、他の適切なコネクタも利用され得る。バレル結合部分120は、雄ルアーコネクタの対応するねじ山が付けられた部分に受容されるように構成された突出部を含む。針ハブ36からの不要な分離を防止する、バレル結合部分120のための他の構成が利用され得る。
図4を参照すると、針ハブ36のカニューレ受容空洞118は、カニューレ38の一部分を支持し、かつそれに固着される。1つの態様では、針ハブ36は、エポキシなどの接着剤を介してカニューレ38に固着されるが、プレス嵌めなどのカニューレ38を針ハブ38に固着するための他の適切な構成が利用されてもよい。1つの態様では、針ハブ36のフランジ部分114の底部もまた、ばね42の遠位端部46がばね42の近位端部44に対して圧縮され得るように、ばね42の近位端部44との結合部を提供する。以下でより詳細に説明されるように、ばね42が圧縮された状態では、ばね42は、並進ハウジング34を作動された位置(
図38~44)から初期位置(
図33~37)に移動させる付勢力をもたらす。
【0031】
1つの態様では、開口部116は、フランジ部分114上に配置され、かつ、針ハブ36をシリンジアダプタハウジング26に固着するために利用され得る。他の態様では、シリンジアダプタハウジング26と針ハブ36との間の係合部分は、ねじ山が付けられた部分、スナップ嵌め機構、ボール移動止め、ロッキングタブ、ばね荷重されたロッキング機構、ラッチ、接着剤、超音波溶接、スピン溶接、プレス嵌め、または他の同様の機構を含み得る。
【0032】
1つの態様では、針ハブ36およびシリンジアダプタハウジング26は、単一の一体的な構成要素を形成し得る。別の態様では、針ハブ36およびシリンジアダプタハウジング26は、独立した構成要素であり、針ハブ36は、シリンジアダプタハウジング26と針ハブ36との間の著しい相対運動が防止されるように、シリンジアダプタハウジング26に取り付け可能である。
【0033】
1つの態様では、ロッキング部材30は、押しボタンばね40を含む。
図20~23を参照すると、1つの態様では、押しボタンばね40は一般に、第1の押しボタン130、第2の押しボタン132、開口139を画定するばね体134、第1の連結アーム136、および第2の連結アーム138を含む。第1の押しボタン130は、第1の連結アーム136を介してばね体134に連結され、第2の押しボタン132は、第2の連結アーム138を介してばね体134に連結される。1つの態様では、本開示の押しボタンばねが、プラスチック製ばね部品を含み得る。1つの態様では、本開示の押しボタンばねが、プラスチック製長円形ばねを含み得る。他の態様では、本開示の押しボタンばねが、他のスナップばね幾何形状を含み得る。例えば、
図73~89は、本開示の押しボタンばねの様々な代替的態様を示す。しかし、本開示の押しボタンばねに対して他のスナップばね幾何形状が使用され得ることが想定されている。いくつかの態様では、本開示の押しボタンばねが、金属製ばねを含み得る。1つの態様では、本開示の押しボタンばねが、型打ちされたまたは機械加工されたワイヤで作られ得る、金属製ばねを含み得る。本開示の押しボタンばねが、様々な形状およびサイズを含み得る。1つの態様では、本開示の押しボタンばねが、混成ばねを含み得る。例えば、本開示の押しボタンばねが、ワイヤ部分、プラスチック部分、鋼鉄部分、および/または弾性部分を含む部分を具備し得る。1つの態様では、本開示の押しボタンばねが、
図20~23に示されるように2つの押しボタンを含み得る。他の態様では、本開示の押しボタンばねが、1つの押しボタンを含み得る。いくつかの態様では、本開示の押しボタンばねが、3つ以上の押しボタンを含み得る。1つの態様では、ボタンは、シリンジアダプタハウジング26に一体化され得る。1つの態様では、ボタンおよびシリンジアダプタハウジング26は、単一の一体的な構成要素を形成し得る。
【0034】
以下でより詳細に説明されるように、1つの態様では、押しボタンばね40がシリンジアダプタ22に結合された状態では、押しボタンばね40は、シリンジアダプタ22がバイアルアクセスデバイス24に対して可動でありまた並進ハウジング34がシリンジアダプタ22に対して可動であるロックされていない位置と、押しボタンばね40がバイアルアクセスデバイス24のロック部分152に係合して並進ハウジング34が作動された位置(
図38~44)にある状態でシリンジアダプタ22をバイアルアクセスデバイス24にロックするロックされた位置(
図38~44)との間で移行可能である。ばね体134は、環状であり、かつ、押しボタンばね40がロックされた位置にあるときの静止した状態と、ロッキング部材がロックされていない位置にあるときの付勢された状態との間で変形可能であり得る。ばね体134は、静止した状態のままでいるように構成され、ばね体134の変形は、ばね体134を付勢する。ばね体134は、変形された後で付勢された状態から静止した状態に戻るように構成される。ばね体134は、シリンジアダプタ22の細長い開口部56内に受容され、かつ、ばね体が静止した状態にあるときには細長い開口部56を少なくとも部分的に塞ぎ、ばね体134が付勢された状態にあるときには広がってバイアルアクセスデバイス24のロック部分152を受容するように構成される。ばね体134は、静止した状態では長円形状であり、付勢された状態ではほぼ円形であり得る。
【0035】
以下でより詳細に説明されるように、1つの態様では、バイアルアクセスデバイス24のロック部分152はアンダカット160を含み、押しボタンばね40がロックされた位置(
図38~44)にある状態では、押しボタンばね40のばね体134は、アンダカット160に係合して、並進ハウジング34が作動された位置(38~44)にある状態でシリンジアダプタ22をバイアルアクセスデバイス24にロックする。1つの態様では、本開示の結合機構は、反転され得る。例えば、1つの態様では、ロック部分、例えばアンダカットは、シリンジアダプタ22上に含まれる場合があり、押しボタンばねは、バイアルアクセスデバイス24上に含まれる場合がある。
【0036】
図20を参照すると、ロックされた位置では、第1の押しボタン130および第2の押しボタン132は圧迫されておらず、第1の押しボタン130と第2の押しボタン132との間の距離Dは最大であり、ばね体134の幅Wは最小である。押しボタンばね40は、ロックされた位置において静止した状態にある。ロックされた位置では、押しボタンばね40は、小開口部を作り、すなわちばね体134の幅Wは最小であり、かつ、物品が開口139を通過するのを防止する栓またはロッキング機構としての働きをする。1つの態様では、ロックされた位置では、押しボタンばね40は、シリンジアダプタ22をバイアルアクセスデバイス24にロックする。すなわち、押しボタンばね40は、シリンジアダプタ22とバイアルアクセスデバイス24との間の運動を妨げるロッキング機構としての働きをする。
【0037】
押しボタンばね40をロックされた位置からロックされていない位置に移行させるには、第1の押しボタン130に対して矢印A(
図20)に概ね沿った方向に力が加えられ、また、第2の押しボタン132に対して矢印B(
図20)に概ね沿った方向に力が加えられて、押しボタンばね40を圧迫する。このようにして、押しボタンばね40を圧迫することにより、ばね体134の幅Wが増大され、第1の押しボタン130と第2の押しボタン132との間の距離Dが減少される。このようにして、押しボタンばね40の開口139は増大され、それにより、ばね体134が、物体がその経路を通じて移動することを可能にする通路としての働きをする。例えば、ロックされていない位置では、押しボタンばね40は、以下でより詳細に説明されるように、シリンジアダプタ22とバイアルアクセスデバイス24との間の運動を可能にする。
【0038】
図4を参照すると、ばね42は、第1の端部または近位端部44、および第2の端部または遠位端部46を含む。ばね42は、
図4に示されるように、シリンジアダプタハウジング26の細長い開口部56内にカニューレ38を覆って配置される。1つの態様では、並進ハウジング34が初期位置(
図33~37)にある状態では、ばね42は、シリンジアダプタハウジング26の細長い開口部56内でシリンジアダプタハウジング26の近位端部50と並進ハウジング34の第1の端部90との間に配置される。
図33~37を参照すると、1つの態様では、並進ハウジング34が初期位置にある状態では、ロッキング部材30は、結合ハウジング150により広げられて保持され得る。さらに、以下でより詳細に説明されるように、ロッキング部材30がロックされた位置(
図38~44)にあり、並進ハウジング34が作動された位置(
図38~44)にある状態では、ばね42は、並進ハウジング34に対して付勢する力を与え、また、ロッキング部材30がロックされた位置からロックされていない位置に移動されるときには、ばね42の付勢する力は、並進ハウジング34を作動された位置(
図38~44)から初期位置(
図33~37)に移動させる。他の態様では、本開示のシステムが、並進ハウジング34を作動された位置(
図38~44)から初期位置(
図33~37)に移動させる付勢する力を与えるためにエネルギーを蓄えることができる、他のデバイスを利用し得る。例えば、作りつけのプラスチック製ばね、または、ゴム、熱可塑性エラストマー、もしくはシリコーンなどの弾性材料が使用され得る。いくつかの態様では、弾性材料が、複数の弾性ストランドと共に格子形式で配置され得る。他の態様では、弾性材料が、単一の弾性ストランド内に配置され得る。
【0039】
図26~28を参照すると、バイアルアクセスデバイス24は一般に、以下でより詳細に説明されるように、ロック部分152を有する結合ハウジング150、基部154、圧力均等化システム156、およびシール膜158を含む。
【0040】
図26~31を参照すると、結合ハウジング150は一般に、第1の端部または近位端部162、第2の端部または遠位端部164、アンダカット160、流体チャネル166、およびシール膜空洞168を含む。アンダカット160は、第2の端部164に隣接して配置され、かつ、押しボタンばね40を受容して、並進ハウジング34が
図38~44に示されるように作動された位置にある状態でシリンジアダプタ22をバイアルアクセスデバイス24にロックするように構成される。流体チャネル166は、第1の端部162から第2の端部164まで延在する。
【0041】
1つの態様では、シール膜空洞168は、結合ハウジング150の第1の端部162に隣接して配置される。シール膜空洞168は、
図28に示されるようにシール膜158を受容するように構成される。穿孔可能なシール膜158は、流体移送中にシリンジアダプタ22とバイアルアクセスデバイス24との間に液密かつ気密のシールを提供して漏れを最小限に抑え、それにより使用者への危険な薬剤の暴露を防止する。穿孔可能なシール膜158は、自己密封シールを提供し、自己密封シールは、シリンジアダプタ22、およびバイアルに取り付けられたバイアルアクセスデバイス24と共に、バイアルチャンバ内に含有された任意の物質がシステム20を使用して薬物を再構成、運搬、または投与する医療介護提供者に触れることを防止する、漏れのないシールを提供する。1つの態様では、穿孔可能なシール膜158は、弾性材料を含む。例えば、穿孔可能なシール膜158は、気体を通さない閉被を製作するために通常使用される任意の可撓性エラストマー材料から成形された単一デバイスであることが好ましい。穿孔可能なシール膜158は、天然ゴム材料、ポリウレタンエラストマー、ブチルゴム、または同様の材料で形成されてもよい。穿孔可能なシール膜158は、約10から50のショアA硬さを有する材料で形成されることが意図されている。穿孔可能なシール膜158は、バイアルのバイアル隔壁およびシリンジアダプタと共に漏れのないシールを提供しそれにより任意の液体または薬剤残留物がシステム20を使用して薬物の再構成、運搬、または投与する医療介護提供者に触れることを防止する、適切な自己密封材料を提供するであろう他の材料硬さ値を有し得ることも想定されている。
図40を参照すると、1つの態様では、並進ハウジング34が作動された位置にある状態では、カニューレ38は、並進ハウジング34の第1のシール膜96および第2のシール膜98、ならびにバイアルアクセスデバイス24のシール膜158を穿孔する。このようにして、シリンジアダプタ22は、バイアルアクセスデバイス24と流体連通する。
【0042】
図26~28を参照すると、基部154は一般に、第1の端部または近位端部170、第2の端部または遠位端部172、スパイク部材174、穿孔先端176、流体移送チャネル178、圧力均等化チャネル180、ならびに、バイアル把持部材184、鈎突出部186、および角度を付けられた壁188を含むバイアル結合要素182を具備する。
【0043】
システム20は、第1の容器、例えばバイアルと、第2の容器、例えばシリンジアダプタおよび/またはシリンジ組立体との間に、流体連通を確立するように構成される。例えば、バイアルアクセスデバイス24の基部154は、以下でより詳細に説明されるように、バイアル80に取り付け可能である。
図63~67を参照すると、バイアルサイズ81を画定するバイアル80は、弾性材料の穿孔可能な隔壁84によって覆われた開放頭部分83を有する、任意のタイプの標準的な薬物バイアルであり得る。バイアル80の壁85は、物質88を収容するためのバイアルチャンバ86を画定する。バイアル80は、開放頭部分83に隣接した配置されたフランジ87を含む。バイアル隔壁84は、バイアル80の頭部分83と係合して、バイアルチャンバ86内の物質88を密封する。システム20は、様々なサイズを有するバイアルを収容することができるデバイスを提供するように構成され得る。
【0044】
図28を参照すると、基部154の第2の端部172からは、穿孔先端176を含む穿孔部材またはスパイク部材174が突出している。
図28を参照すると、流体移送チャネル178が、穿孔先端176が結合ハウジング150の流体チャネル166と流体連通するように、スパイク部材174および基部154を貫通して延在する。流体移送チャネル178の目的は、カニューレ38などの針カニューレがバイアルアクセスデバイス24内まで延在することを可能にし、それによりバイアルアクセスデバイス24とシリンジアダプタ22との間で流体が移送されることを可能にすることである。
【0045】
図28を参照すると、バイアル結合要素182が、基部154の第2の端部172に配置されている。1つの態様では、バイアル結合要素182は、鈎突出部186および角度を付けられた壁188を有する、複数のバイアル把持部材184を含む。1つの態様では、バイアル把持部材184は、弾性的に変形可能である。バイアル把持部材184は、システム20をバイアル80に固着するように、バイアル80に取り付け可能である。各バイアル把持部材184は、
図63~67に示されるように、バイアル80などの容器上の対応するフランジ87と係合するように構成された鈎突出部186を含む。基部154のバイアル結合要素182は、任意のサイズおよび容量の容器に取り付けられる寸法となされ得る。他の態様では、基部154のバイアル結合要素182は、ねじ山が付けられた部分、スナップ嵌め機構、ロッキングタブ、または他の同様の機構などの、バイアルアクセスデバイス24をバイアル80に固着するための他の結合機構を含み得る。各バイアル把持部材184は、バイアルアクセスデバイス24をバイアル上で中心に置きかつバイアルと位置合わせするための引込み表面を提供するように構成された、角度を付けられた壁188を含む。
【0046】
1つの態様では、結合ハウジング150および基部154は、単一の一体的な構成要素である。別の態様では、結合ハウジング150および基部154は、独立した構成要素であり、結合ハウジング150は、結合ハウジング150と基部154との間の著しい相対運動が防止されるように、基部154に取り付け可能である。
【0047】
図26~28を参照すると、圧力均等化システム156は、圧力均等化ハウジング190と、膨張チャンバ194を含む膨張可能バルーン192とを具備する。膨張可能バルーン192は、可変体積を含む。圧力均等化ハウジング190は、比較的硬い材料を含み、膨張可能バルーン192は、比較的柔軟な材料を含む。1つの態様では、膨張可能バルーン192は、気密な形で圧力均等化ハウジング190に取り付けられる、薄く透明なプラスチックフィルムを含む。1つの態様では、膨張可能バルーン192は、圧縮可能かつ延長可能な蛇腹として設計され、したがって、膨張可能バルーン192の膨張チャンバ194の体積は、増減され得る。他の態様では、他の適切な圧力均等化構成が利用され得る。本開示の結合システムを有する圧力均等化システムの使用は、カニューレとバイアルとの係合中、バイアルチャンバからバレルチャンバへのカニューレを介した物質の移送中、およびバイアルからのカニューレの係合解除中に実質的に漏れのない密封と圧力均等化とを実現する、流体の密閉された移送のためのシステムを提供する。本開示の結合システムには、圧力均等化システムは必要とされない。
【0048】
圧力均等化ハウジング190は、カニューレとバイアルとの係合中、バイアルチャンバからバレルチャンバへのカニューレを介した物質の移送中、およびバイアルからのカニューレの係合解除中に膨張可能バルーン192を破裂から保護する、障壁部材を提供する。1つの態様では、膨張可能バルーン192の一部分は、圧力均等化ハウジング190で覆われない。このようにして、膨張可能バルーン192は、径方向に膨張することができる。
【0049】
1つの態様では、圧力均等化ハウジング190および基部154は、単一の一体的な構成要素である。別の態様では、圧力均等化ハウジング190および基部154は、独立した構成要素であり、圧力均等化ハウジング190は、圧力均等化ハウジング190と基部154との間の著しい相対運動が防止されるように、基部154に取り付け可能である。
【0050】
図28を参照すると、1つの態様では、圧力均等化チャネル180は、穿孔先端176から膨張可能バルーン192まで延在する。このようにして、圧力均等化チャネル180は、バイアルアクセスデバイス24がバイアルに結合されたときに膨張可能バルーン192とバイアルの内部との間に気体連通を提供するように構成される。バイアルアクセスデバイス24がバイアルに結合された状態で、シリンジ、カニューレ組立体、またはシリンジアダプタ、例えばシリンジアダプタ22が、流体をバイアルに注入するためにまたはそれから流体を引き抜くために使用され得る。
【0051】
本開示による圧力均等化システムの機能および利点は、より詳細に説明される。薬物の調合および投与の際、医療要員や薬理学要員などの人物を有害物質にさらす危険を最小限に抑えるか好ましくは排除するために、注意が払われなければならない。一部の薬物は、それらが投与される前に溶解または希釈されなければならず、そのことは、1つの容器から粉末または液体の形態の薬物を含有する密封されたバイアルに例えば針を用いて溶剤を移送することを伴う。薬物は、バイアルからの針の引き抜き中に、また、針がバイアル内にある間に、バイアルの内部と周囲大気との間に圧力差が少しでもあると、気体の形態でまたはエアロゾル化により、大気中に不用意に放出される場合がある。本開示のシステムは、薬物の調合時にバイアルに取り付けることができるバイアルアクセスデバイス24の圧力均等化システム156を使用することにより、この問題を排除する。圧力均等化システム156は、気体もしくは液体がバイアルに注入されるときまたはバイアルから引き抜かれるときにバイアル、例えばバイアル80(
図63~67)内に圧力の上昇も真空も生じ得ないことを確実にする、バイアルの内部と連通している膨張可能バルーン192を含む。1つの態様では、膨張可能バルーン192は、バイアルの内容物が塵、花粉、かび、もしくは細菌などの浮遊粒子、または他の望ましくない物質で汚染されないことを確実にするために、その使用に先立って、清浄されたまたは殺菌された空気で満たされ得る。
【0052】
図32~44を参照すると、物質88などの薬剤をバイアル80から引き抜くためのシステム20の使用法がここで説明される。最初に、
図63~67を参照すると、バイアルアクセスデバイス24、24Aが、上記のようなバイアル80に取り付けられる。
【0053】
図33~37を参照すると、並進ハウジング34は、シリンジアダプタ22がバイアルアクセスデバイス24と流体連通していない初期位置にある。
図32~37に示された位置では、カニューレ38がシリンジアダプタ22内に封入されているので、シリンジアダプタ22とバイアルアクセスデバイス24との間で薬物移送は起こり得ない。
【0054】
システム20を
図33~37に示された初期位置から
図38~44に示された作動された位置に移行するには、押しボタンばね40が、ロックされた位置からロックされていない位置に移行される。押しボタンばね40は、最初に、結合ハウジング150が押しボタンばね40に係合するときに自動的にロックされた位置からロックされていない位置に移行されることができるが、これは結合ハウジング150上の勾配付きの引込み表面によって促進することができ、押しボタンばね40が広げられる。あるいは、押しボタンばね40は、最初に、第1の押しボタン130に対して矢印A(
図20)に概ね沿った方向に力を加え、また、第2の押しボタン132に対して矢印B(
図20)に概ね沿った方向に力を加えて押しボタンばね40を圧迫することにより、ロックされた位置からロックされていない位置に移行され得る。ボタン130、132に力を加えることにより、または、押しボタンばね40を結合ハウジング150と係合させることにより、ばね体134の幅Wが増大され、第1の押しボタン130と第2の押しボタン132との間の距離Dが減少される。このようにして、押しボタンばね40の開口139は増大され、それにより、ばね体134が、シリンジアダプタ22とバイアルアクセスデバイス24との間の運動を可能にする通路としての働きをする。
【0055】
押しボタンばね40がロックされていない位置にある状態では、シリンジアダプタ22は、バイアルアクセスデバイス24に対して可動であり、並進ハウジング34は、シリンジアダプタ22に対して可動である。例えば、並進ハウジング34は、バイアルアクセスデバイス24の結合ハウジング150が並進ハウジング34を移動させるときに、シリンジアダプタハウジング26の細長い開口部56内で軸方向に移動することができる。このようにして、並進ハウジング34は、シリンジアダプタ22内で
図33~37に示された位置から
図38~44に示された位置に移動する。
図38~44に示された作動された位置では、カニューレ38は、シリンジアダプタ22がバイアルアクセスデバイス24と流体連通するように、並進ハウジング34の第1のシール膜96および第2のシール膜98、ならびにバイアルアクセスデバイス24のシール膜158を穿孔する。
【0056】
並進ハウジング34が
図38~44に示された作動された位置にある状態では、押しボタンばね40は、ロックされた位置に移行し、このロックされた位置では、押しボタンばね40は結合ハウジング150のアンダカット160に嵌まり込んで、並進ハウジング34が
図38~44に示される作動された位置にある状態で、シリンジアダプタ22をバイアルアクセスデバイス24にロックする。
【0057】
図64を参照すると、システム20が作動された位置にある状態では、バイアル80のバイアルチャンバ86は、カニューレ38およびスパイク部材174の流体移送チャネル178(
図28)を介してシリンジアダプタ22と流体連通する。
図64を参照すると、バイアルチャンバ86がシリンジアダプタ22と流体連通している状態では、バイアルチャンバ86内に含有された物質88は、バイアル80のバイアルチャンバ86からカニューレ38を介してシリンジアダプタ22に移送され得る。上記のようなシステム20の使用は、カニューレとバイアルとの係合中、バイアルチャンバからバレルチャンバへのカニューレを介した物質の移送中、およびバイアルからのカニューレの係合解除中に、実質的に漏れのない密封を実現する。システム20の漏れのない密封は、システム20の使用中の空気および液体の両方の漏れを実質的に防止する。システム20は、バイアル内に含有された薬剤にアクセスして薬剤を患者に投与するための針およびシリンジ組立体に対応する。システム20はまた、薬物再構成システムと共に使用されることに対応する。押しボタンばね40を介したシリンジアダプタ22とバイアルアクセスデバイス24との結合は、上記のように、初期位置と作動された位置との間でのシリンジアダプタ22とバイアルアクセスデバイス24との迅速かつ直感的な結合および分離を提供する。
【0058】
システム20を
図38~44に示された作動された位置から
図33~37に示された初期位置に移行するには、第1の押しボタン130に対して矢印A(
図20)に概ね沿った方向に力を加え、また、第2の押しボタン132に対して矢印B(
図20)に概ね沿った方向に力を加えて押しボタンばね40を圧迫することにより、押しボタンばね40がロックされた位置からロックされていない位置に移行される。このようにして、押しボタンばね40を圧迫することにより、ばね体134の幅Wが増大され、第1の押しボタン130と第2の押しボタン132との間の距離Dが減少される。このようにして、押しボタンばね40の開口139は増大され、それにより、ばね体134が、シリンジアダプタ22とバイアルアクセスデバイス24との間の運動を可能にする通路としての働きをする。
図38~44に示された作動された位置から
図33~37に示された初期位置へのシステム20の移行中、ばね42は、並進ハウジング34に付勢する力を与え、また、ロッキング部材30がロックされた位置からロックされていない位置に移動されるときに、ばね42の付勢する力は、並進ハウジング34を作動された位置(
図38~44)から初期位置(
図33~37)に移動させる。
【0059】
図45~52および57~67は、本開示のシステム20Aの別の例示的な態様を示す。
図45~52および57~67に示された態様は、
図2~23および26~44に示された態様と同様の構成要素を含み、同様の構成要素は、後ろに文字Aが続く参照番号によって表される。簡潔にするために、これらの同様の構成要素、およびシステム20Aを使用する同様のステップは、すべてが
図45~52および57~67に関連して論じられるとは限らない。
【0060】
図45~52および57~67を参照すると、流体の密閉された移送のためのシステム20Aが、第1のコネクタまたはシリンジアダプタ22A、および第2のコネクタまたはバイアルアクセスデバイス24Aを含む。システム20Aは、カニューレとバイアルとの係合中、バイアルチャンバからバレルチャンバへのカニューレを介した物質の移送中、およびバイアルからのカニューレの係合解除中に、実質的に漏れのない密封を実現する。システム20Aの漏れのない密封は、システム20Aの使用中の空気および液体の両方の漏れを実質的に防止する。システム20Aは、バイアル内に含有された薬剤にアクセスして薬剤を患者に投与するための針およびシリンジ組立体に対応する。システム20Aはまた、IVバッグ、IVライン、患者コネクタ、または第1の構成要素と第2の構成要素との間で流体を移送させる他の態様と共に使用されることに対応する。
図45~52および57~67の例示的な態様は、シリンジアダプタ22Aを含む第1のコネクタ、およびバイアルアクセスデバイス24Aを含む第2のコネクタを示すが、本開示のシステムは、それらの間で流体を移動させるための任意の2つの構成要素と共に利用され得る。さらに、本開示の結合機構は、反転されてもよい。例えば、1つの態様では、ロック部分、例えばアンダカットは、第1のコネクタまたはシリンジアダプタ22A上に含まれる場合があり、押しボタンばねは、第2のコネクタまたはバイアルアクセスデバイス24A上に含まれる場合がある。1つの態様では、ロック部分、例えばアンダカットは、第2のコネクタまたはバイアルアクセスデバイス24A上に含まれる場合があり、押しボタンばねは、第1のコネクタまたはシリンジアダプタ22A上に含まれる場合がある。
【0061】
図53~56を参照すると、コネクタ200は一般に、第1の端部または近位端部202、第2の端部または遠位端部204、第1の端部202と第2の端部204との間に細長い開口部208を画定する側壁206、アンダカット210、シール膜空洞212、およびシール膜214を含む。アンダカット210は、第2の端部204に隣接して配置され、かつ、上記のように、また
図68~72に示されるように、押しボタンばね40を受容してシリンジアダプタ22をコネクタ200にロックするように構成される。コネクタ200は、薬物を含有するカートリッジまたはバレル、例えばシリンジアダプタ22Aを、薬物を患者に投与するための静脈ラインまたは注入装置に結合するための、コンパクトかつ利用しやすいコネクタを提供する。
図68~72を参照すると、1つの態様では、押しボタンばね40Aがシリンジアダプタ22Aに結合された状態では、押しボタンばね40Aは、シリンジアダプタ22Aがコネクタ200に対して可動であるロックされていない位置と、押しボタンばね40Aがコネクタ200のアンダカット210に係合してシリンジアダプタ22Aをコネクタ200にロックするロックされた位置(
図69~72)との間で、移行可能である。1つの態様では、押しボタンばね40Aがロックされた位置にある状態では、押しボタンばね40Aのばね体134Aは、
図69~72に示されるようにコネクタ200のアンダカット210に係合して、シリンジアダプタ22Aをコネクタ200にロックする。1つの態様では、本開示の結合機構は、反転され得る。例えば、1つの態様では、ロック部分、例えばアンダカットは、シリンジアダプタ22A上に含まれる場合があり、押しボタンばねは、コネクタ200上に含まれる場合がある。
【0062】
コネクタ200の第1の端部202におけるシール膜空洞212は、穿孔可能なバリア膜またはシール膜214を含む。穿孔可能なバリア膜214は、患者への薬剤の流体移送中にバレル組立体の穿孔部材と穿孔可能なバリア膜214との間に液密かつ気密のシールを提供して漏れを最小限に抑え、それにより使用者への危険な薬剤の暴露を防止する。バリア膜214は、自己密封シールを提供し、自己密封シールは、コネクタ200に取り付けられたシリンジアダプタ組立体と共に、患者に投与されている任意の物質が薬剤を投与する医療介護提供者に触れることを防止する、漏れのないシールを提供する。1つの態様では、バリア膜214は、弾性材料を含む。例えば、バリア膜214は、気体を通さない閉被を製作するために通常使用される任意の可撓性エラストマー材料から成形された単一デバイスであることが好ましい。バリア膜214は、天然ゴム材料、ポリウレタンエラストマー、ブチルゴム、または同様の材料で形成されてもよい。
【0063】
図73~89は、本開示の押しボタンばねの他の例示的な態様を示す。
図73~89に示された態様は、
図20~23に示された態様と同様の構成要素を含み、同様の構成要素は、後ろに文字A~Lが続く参照番号によって表される。簡潔にするために、これらの同様の構成要素、および押しボタンばね40A~40Lを使用する同様のステップは、すべてが
図73~89に示された態様と関連して論じられるとは限らない。
【0064】
図73および75を参照すると、1つの態様では、押しボタンばね40Aは、ばね体134Aの外部表面上に配置された外部リブ230と、ばね体134Aの内部表面上に配置された内部傾斜路232とを含む。外部リブ230は、シリンジアダプタハウジング26内の押しボタンばね40Aに安定化および心出し機構を提供する。内部傾斜路232は、角度を付けられた壁234を含み、押しボタンばね40A上に引込み機構を提供する。1つの態様では、角度を付けられた壁234は、押しボタンばね40Aをロックされた位置からロックされていない位置に自動的に移行させるように機能することが可能な引込み機構を提供し得る。他の態様では、結合ハウジング150(
図26~32)が、押しボタンばねをロックされた位置からロックされていない位置に自動的に移行させることが可能な引込み表面を含み得る。例えば、結合ハウジング150は、勾配付きの引込み表面を含み得る。他の態様では、結合ハウジング150は、ブレンド(blend)、または角度を付けられた引込み表面を含み得る。
【0065】
例示的な設計を有するものとしてこの開示を説明してきたが、本開示は、この開示の精神および範囲内でさらに変更することができる。したがって、本出願は、本開示の任意の変形形態、使用、または適応を、その一般的原理を使用してカバーするように意図されている。さらに、本出願は、本開示が関係しまた添付の特許請求の範囲の限界に含まれる、当技術分野で知られるかまたは慣行となるような、本開示からの逸脱をカバーするように意図されている。