(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】絶縁装置を備える圧縮機の駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02K 3/34 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
H02K3/34 Z
H02K3/34 C
(21)【出願番号】P 2020085371
(22)【出願日】2020-05-14
【審査請求日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】10 2019 112 541.3
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2019 112 534.0
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダーヴィト ワリスコ
(72)【発明者】
【氏名】フランク マウ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス シュトラウスベルグ
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-133585(JP,A)
【文献】特開2004-072899(JP,A)
【文献】特開2016-200122(JP,A)
【文献】特開2016-111888(JP,A)
【文献】特開2007-215304(JP,A)
【文献】特開2013-247696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気流体の圧縮機を駆動するための駆動装置、特に電気モーターとして、固定子コア(2)と絶縁装置を備える固定子(1)、及び回転子を含み、前記絶縁装置は共通の長さ方向軸(5)に沿って前記固定子(1)の第1端部面(7)から第2端部面(8)に延び、前記固定子コア(2)は巻き取られてコイル(3)を形成するリ-ド線(9)を収容するために円周に均一に分布した柵を含み、前記絶縁装置は少なくとも1つの第1絶縁要素(4)、第2絶縁要素(10)及び少なくとも1つの第3絶縁要素(11)を含む、前記駆動装置において、
前記少なくとも1つの第1絶縁要素(4)はそれぞれ前記リ-ド線(9)と前記固定子コア(2)間に、配置され、
それぞれ1つの前記第2絶縁要素(10)は互いに隣接して配置されたコイル(3)間に形成された空間(14)内に、配置され、
前記少なくとも1つの第3絶縁要素(11)は前記固定子(1)の半径方向内部に向かった内部面上に、前記内部面を閉鎖するように配置され
て、
前記固定子(1)の前記第1端部面(7)、前記第2端部面(8)間に軸方向に連続して延びるそれぞれの前記第2絶縁要素(10)は軸方向に延び、半径方向で整列された第1長さ方向面(10a)及び第2長さ方向面(10b)を含み、
それぞれの前記第2絶縁要素(10)の前記第2長さ方向面(10b)は半径方向内部に整列されて前記固定子コア(2)の前記柵の前記端部面の領域で、前記空間(14)を軸方向で閉鎖するように、前記第1絶縁要素(4)に隣接して配置されることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記柵の周りに形成された前記第1絶縁要素(4)を有する2つの互いに隣接して配置された柵間にそれぞれ形成された前記空間(14)は半径方向内部に開放されており、前記空間(14)は前記柵の端部面間の領域で最小の大きさを有することを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
それぞれの前記第2絶縁要素(10)の前記第1長さ方向面(10a)は半径方向外部に整列され、前記第1絶縁要素(4)上の前記空間(14)のベース面に接触するように配置されることを特徴とする請求項
1に記載の駆動装置。
【請求項4】
蒸気流体の圧縮機を駆動するための駆動装置、特に電気モーターとして、固定子コア(2)と絶縁装置を備える固定子(1)、及び回転子を含み、前記絶縁装置は共通の長さ方向軸(5)に沿って前記固定子(1)の第1端部面(7)から第2端部面(8)に延び、前記固定子コア(2)は巻き取られてコイル(3)を形成するリ-ド線(9)を収容するために円周に均一に分布した柵を含み、前記絶縁装置は少なくとも1つの第1絶縁要素(4)、第2絶縁要素(10)及び少なくとも1つの第3絶縁要素(11)を含む、前記駆動装置において、
前記少なくとも1つの第1絶縁要素(4)はそれぞれ前記リ-ド線(9)と前記固定子コア(2)間に、配置され、
それぞれ1つの前記第2絶縁要素(10)は互いに隣接して配置されたコイル(3)間に形成された空間(14)内に、配置され、
前記少なくとも1つの第3絶縁要素(11)は前記固定子(1)の半径方向内部に向かった内部面上に、前記内部面を閉鎖するように配置されて、
前記固定子(1)の前記第1端部面(7)、前記第2端部面(8)間に軸方向に連続して延びるそれぞれの前記第2絶縁要素(10)は軸方向に延び、半径方向で整列された第1長さ方向面(10a)及び第2長さ方向面(10b)を含み、
それぞれの前記第2絶縁要素(10)は長さ方向に対して垂直である断面から見る時、前記第1長さ方向面(10a)の領域で、第1要部(10d)を限定する2つの第1柵(10c)を有するU型を有することを特徴とす
る駆動装置。
【請求項5】
前記第2絶縁要素(10)の2つの第1柵(10c)は軸方向で前記第1絶縁要素(4)に第1空洞部(15)を形成するように接触することを特徴とする請求項
4に記載の駆動装置。
【請求項6】
蒸気流体の圧縮機を駆動するための駆動装置、特に電気モーターとして、固定子コア(2)と絶縁装置を備える固定子(1)、及び回転子を含み、前記絶縁装置は共通の長さ方向軸(5)に沿って前記固定子(1)の第1端部面(7)から第2端部面(8)に延び、前記固定子コア(2)は巻き取られてコイル(3)を形成するリ-ド線(9)を収容するために円周に均一に分布した柵を含み、前記絶縁装置は少なくとも1つの第1絶縁要素(4)、第2絶縁要素(10)及び少なくとも1つの第3絶縁要素(11)を含む、前記駆動装置において、
前記少なくとも1つの第1絶縁要素(4)はそれぞれ前記リ-ド線(9)と前記固定子コア(2)間に、配置され、
それぞれ1つの前記第2絶縁要素(10)は互いに隣接して配置されたコイル(3)間に形成された空間(14)内に、配置され、
前記少なくとも1つの第3絶縁要素(11)は前記固定子(1)の半径方向内部に向かった内部面上に、前記内部面を閉鎖するように配置されて、
前記固定子(1)の前記第1端部面(7)、前記第2端部面(8)間に軸方向に連続して延びるそれぞれの前記第2絶縁要素(10)は軸方向に延び、半径方向で整列された第1長さ方向面(10a)及び第2長さ方向面(10b)を含み、
それぞれの前記第2絶縁要素(10)は長さ方向に対して垂直である断面から見る時、前記第2長さ方向面(10b)の領域で第2要部(10f)を限定する2つの第2柵(10e)を有するY型を有することを特徴とす
る駆動装置。
【請求項7】
前記第2絶縁要素(10)の前記第2長さ方向面(10b)に対して整列された前記第2柵(10e)の自由端部に、それぞれ長さ方向で整列された溝(10g)が形成されることを特徴とする請求項
6に記載の駆動装置。
【請求項8】
蒸気流体の圧縮機を駆動するための駆動装置、特に電気モーターとして、固定子コア(2)と絶縁装置を備える固定子(1)、及び回転子を含み、前記絶縁装置は共通の長さ方向軸(5)に沿って前記固定子(1)の第1端部面(7)から第2端部面(8)に延び、前記固定子コア(2)は巻き取られてコイル(3)を形成するリ-ド線(9)を収容するために円周に均一に分布した柵を含み、前記絶縁装置は少なくとも1つの第1絶縁要素(4)、第2絶縁要素(10)及び少なくとも1つの第3絶縁要素(11)を含む、前記駆動装置において、
前記少なくとも1つの第1絶縁要素(4)はそれぞれ前記リ-ド線(9)と前記固定子コア(2)間に、配置され、
それぞれ1つの前記第2絶縁要素(10)は互いに隣接して配置されたコイル(3)間に形成された空間(14)内に、配置され、
前記少なくとも1つの第3絶縁要素(11)は前記固定子(1)の半径方向内部に向かった内部面上に、前記内部面を閉鎖するように配置されて、
前記固定子(1)の前記第1端部面(7)、前記第2端部面(8)間に軸方向に連続して延びるそれぞれの前記第2絶縁要素(10)は軸方向に延び、半径方向で整列された第1長さ方向面(10a)及び第2長さ方向面(10b)を含み、
それぞれの前記第2絶縁要素(10)は長さ方向に対して垂直である断面から見る時、前記第2長さ方向面(10b)の領域で第2要部(10f)を限定する2つの第2柵(10e)を有するU型を有することを特徴とす
る駆動装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第3絶縁要素(11)は第1及び第2端部からそれぞれ円周方向に閉鎖されたリング(11b)を通じて互いに連結される、軸方向に延びるストラット(11a)を有する円筒形ケージの形状を有することを特徴とする請求項1~
8の何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項10】
蒸気流体の圧縮機を駆動するための駆動装置、特に電気モーターとして、固定子コア(2)と絶縁装置を備える固定子(1)、及び回転子を含み、前記絶縁装置は共通の長さ方向軸(5)に沿って前記固定子(1)の第1端部面(7)から第2端部面(8)に延び、前記固定子コア(2)は巻き取られてコイル(3)を形成するリ-ド線(9)を収容するために円周に均一に分布した柵を含み、前記絶縁装置は少なくとも1つの第1絶縁要素(4)、第2絶縁要素(10)及び少なくとも1つの第3絶縁要素(11)を含む、前記駆動装置において、
前記少なくとも1つの第1絶縁要素(4)はそれぞれ前記リ-ド線(9)と前記固定子コア(2)間に、配置され、
それぞれ1つの前記第2絶縁要素(10)は互いに隣接して配置されたコイル(3)間に形成された空間(14)内に、配置され、
前記少なくとも1つの第3絶縁要素(11)は前記固定子(1)の半径方向内部に向かった内部面上に、前記内部面を閉鎖するように配置されて、
前記固定子(1)の前記第1端部面(7)、前記第2端部面(8)間に軸方向に連続して延びるそれぞれの前記第2絶縁要素(10)は軸方向に延び、半径方向で整列された第1長さ方向面(10a)及び第2長さ方向面(10b)を含み、
前記少なくとも1つの第3絶縁要素(11)は第1及び第2端部からそれぞれ円周方向に閉鎖されたリング(11b)を通じて互いに連結される、軸方向に延びるストラット(11a)を有する円筒形ケージの形状を有し、
前記第3絶縁要素(11)は前記リング(11b)の領域で円周に均一に分布したリセス(11e)を含み、前記リセス(11e)はそれぞれ前記リング(11b)の外部面に形成されることを特徴とす
る駆動装置。
【請求項11】
前記リセス(11e)はそれぞれ軸方向に配置された前記ストラット(11a)の延長部内に形成されることを特徴とする請求項1
0に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記第2絶縁要素(10)はそれぞれ前記第3絶縁要素(11)の前記リセス(11e)及び前記ストラット(11a)の領域で前記第3絶縁要素(11)に接触するように配置されることを特徴とする請求項1
0又は1
1に記載の駆動装置。
【請求項13】
前記第2絶縁要素(10)の第2長さ方向面(10b)は軸方向で前記第3絶縁要素(11)のストラット(11a)に、そして前記第2絶縁要素(10)の第2柵(10e)の溝(10g)が前記第3絶縁要素(11)上のリング(11b)の前記リセス(11e)の肩部(11f)に第2空洞部(16)を形成するように接触することを特徴とする請求項1
1又は1
2に記載の駆動装置。
【請求項14】
前記第2絶縁要素(10)の第2長さ方向面(10b)は軸方向で前記第3絶縁要素(11)のストラット(11a)に、そして前記第2絶縁要素(10)の第2柵(10e)の
端部面が前記第3絶縁要素(11)上のリング(11b)の前記リセス(11e)のベース面に第2空洞部(16)を形成するように接触することを特徴とする請求項1
1又は1
2に記載の駆動装置。
【請求項15】
前記第2絶縁要素(10)と前記第3絶縁要素(11)間でそれぞれ前記第2絶縁要素(10)の前記第2柵(10e)及び前記第3絶縁要素(11)の前記ストラット(11a)により、そして前記第3絶縁要素(11)の前記リング(11b)の領域で前記リセス(11e)上に前記リング(11b)の壁により形成された前記第2空洞部(16)は完全に閉鎖されることを特徴とする請求項1
3又は1
4に記載の駆動装置。
【請求項16】
蒸気流体の圧縮機を駆動するための駆動装置、特に電気モーターとして、固定子コア(2)と絶縁装置を備える固定子(1)、及び回転子を含み、前記絶縁装置は共通の長さ方向軸(5)に沿って前記固定子(1)の第1端部面(7)から第2端部面(8)に延び、前記固定子コア(2)は巻き取られてコイル(3)を形成するリ-ド線(9)を収容するために円周に均一に分布した柵を含み、前記絶縁装置は少なくとも1つの第1絶縁要素(4)、第2絶縁要素(10)及び少なくとも1つの第3絶縁要素(11)を含む、前記駆動装置において、
前記少なくとも1つの第1絶縁要素(4)はそれぞれ前記リ-ド線(9)と前記固定子コア(2)間に、配置され、
それぞれ1つの前記第2絶縁要素(10)は互いに隣接して配置されたコイル(3)間に形成された空間(14)内に、配置され、
前記少なくとも1つの第3絶縁要素(11)は前記固定子(1)の半径方向内部に向かった内部面上に、前記内部面を閉鎖するように配置されて、
前記第1絶縁要素(4)は少なくとも前記固定子(1)の前記第1端部面(7)、前記第2端部面(8)で前記固定子コア(2)を過ぎて突出するように形成され、
前記固定子(1)の前記第1端部面(7)、前記第2端部面(8)から軸方向に、前記固定子コア(2)から突出した前記第1絶縁要素(4)の領域(4a、4b)はカバー要素(6)に連結するための実質的にシリンダー型である壁として形成され
て、
前記カバー要素(6)の前記軸方向に整列された第2リング面(6c)はそれぞれ1つの前記第2絶縁要素(10)をホールディングするために円周に均一に分布した収容要素(13)を有する内壁として形成されることを特徴とす
る駆動装置。
【請求項17】
前記カバー要素(6)は軸方向に整列された第1リング面(6a)、半径方向で整列されたリング面(6b)及び軸方向に整列された第2リング面(6c)を有する円周方向で閉鎖されたリングとして形成されることを特徴とする請求項1
6に記載の駆動装置。
【請求項18】
前記カバー要素(6)の外部半径に形成された軸方向の前記第1リング面(6a)と前記カバー要素(6)の内部半径に形成された軸方向の前記第2リング面(6c)は互いに平行するように整列されて、半径方向の前記リング面(6b)を通じて互いに連結されることを特徴とする請求項1
7に記載の駆動装置。
【請求項19】
前記収容要素(13)は前記軸方向に整列された第2リング面(6c)内部に開口として形成されることを特徴とする請求項
18に記載の駆動装置。
【請求項20】
前記収容要素(13)は前記軸方向に整列された第2リング面(6c)から半径方向内部に突出した第1壁(13a)及び1つの第2壁(13b)を含むことを特徴とする請求項
18又は
19に記載の駆動装置。
【請求項21】
前記収容要素(13)の開口は前記軸方向に整列された第2リング面(6c)から半径方向内部に突出した第1壁(13a)及び1つの第2壁(13b)を含むことを特徴とする請求項
19又は2
0に記載の駆動装置。
【請求項22】
前記第1壁(13a)、前記第2壁(13b)はU型の断面を有し、前記第1壁(13a)は前記U型のレグ(leg)として軸方向で、そして前記第2壁(13b)は前記第1壁(13a)を連結するように前記カバー要素(6)の円周方向で整列されて配置されることを特徴とする請求項2
0又は2
1に記載の駆動装置。
【請求項23】
前記第2絶縁要素(10)は前記固定子(1)の前記第1端部面(7)に向かって軸方向に整列された第1長さ方向面(10a)に形成された領域でそれぞれ前記第1壁(13a)、前記第2壁(13b)により形成されたU型内に突出するように配置されることを特徴とする請求項2
2に記載の駆動装置。
【請求項24】
前記第2絶縁要素(10)は前記収容要素(13)の内部から第1柵(10c)の外部面に、前記収容要素(13)の前記第1壁(13a)の内部面に面接触するように配置され、前記第2絶縁要素(10)は前記収容要素(13)の内部に挿入されることを特徴とする請求項2
3に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蒸気流体、特に冷媒を圧縮するための圧縮機の駆動装置、特に電気モーターに関するものである。圧縮機は自動車の空調システムの冷媒回路に用いられる。前記駆動装置は共通の長さ方向軸に沿って延びる絶縁装置を備える固定子及び回転子を含む。絶縁装置は少なくとも1つの第1絶縁要素、第2絶縁要素及び少なくとも1つの第3絶縁要素を含む。
【背景技術】
【0002】
モバイルアプリケーションで、特に自動車の空調システムで冷媒回路を通じて冷媒を送出するための、冷媒圧縮機ともされる、従来技術に公知となった圧縮機は冷媒と関係なくたびたび可変容量型ピストン圧縮機として又はスクロール圧縮機として設計される。この場合、圧縮機はプーリーを通じて又は電気で駆動される。
【0003】
電気駆動圧縮機はそれぞれの圧縮メカニズムを駆動するための電気モーターと共に電気モーターを駆動するためのインバータを含む。インバータは車両バッテリーの直流を交流に変換する役割をし、前記交流は電気接続部により電気モーターに供給される。
【0004】
電気駆動圧縮機の従来の電気モーターはコイルが配置された環形固定子コア及び回転子を含み、前記回転子は固定子コア内部に配置される。回転子及び固定子は共通対称軸又は回転子の回転軸上に整列され、追加要素を有するハウジングにより囲まれて配置される。一方では自動車内部の設置空間を減らし、他方では固定子をハウジング内に固定するために、電気モーターの部品間の、特に固定子とハウジング間の距離は非常に小さい。
【0005】
インバータは電気モーターの接続部に電気的連結のために別途の部品及びピンとして形成されたコネクター用プラグ接続部を含み、前記プラグ接続部は固定子コイルのリ-ド線の接続ラインに電気接続される。接続ラインは固定子コアの端部面上に案内されて配置され、それにより固定子コアを少なくとも部分的に囲み、モーターハウジングに対する固定子絶縁体により覆われない。
【0006】
例えばリ-ド線の接続ライン間の高い絶縁抵抗及び電気接続を同時に保障するために、位相導体ともいうリ-ド線又は接続ラインは互いからそして固定子及びモーターハウジングの他の電気伝導性部品から電気絶縁されなければならない。
【0007】
また、電圧レベルによって、例えば極小さな沿面距離及びエアーギャップによる短絡を避けるために、電気伝導性部品の間の十分な絶縁距離が保障されなければならない。絶縁体は製造工程に基づいて絶縁抵抗を顕著に減少させる欠陥又は特にピンホール(pinhole)ともいう多孔性を有することができるので、特にハウジングの部品に対する電気フラッシュオーバーのリスクが高まる。塗装された銅ワイヤーの品質によって、単位距離当たりの特定最大欠陥数が許容される。それぞれ1つの欠陥を有する2つの銅ワイヤーが並べて配置されて欠陥が直接対向して又は少なくとも互いに近く位置すれば、銅ワイヤー間の電気フラッシュオーバーのリスクが非常に高くなる。
【0008】
したがって、特に高電圧範囲での作動、例えば最大1,000Vの作動により、電気駆動圧縮機における要件は非常に高い。国際標準は例えば、提示された電圧範囲で2つのリ-ド線間の、又は周囲の電気伝導性部品に対する沿面距離及びエアーギャップが少なくとも10mm乃至14mmであることを要求する。2コイル間の最も短いエアーギャップが一般的に約4mmであり、最も短い沿面距離が一般的に約5mmである、約400Vの最大電圧(略称EHV;「extra high voltage」)に対する最先端電気モーターで、空調アプリケーションのための気密式電気モーター用最大1,000Vの超高圧(略称UHV;「ultra high voltage」)に用いるための絶縁システムは自動車産業の最大挑戦課題である。例えば、2つの部品を簡単に互いに加圧することにより、漏洩電流流れのための可能な流れ経路が除去されない。整列された、そして隣接した部品間には常に電流流れのためのギャップが残っている。
【0009】
従来技術では、巻き取られてコイルを形成するリ-ド線、リ-ド線の接続ラインと電気伝導性固定子コア間に絶縁体を提供することが公知となっている。また、巻き取られたリ-ド線は連結ラインの巻取方式によってリ-ド線の端部と1つの位相のコイル間にそれぞれ予め決まった方式で案内されて配置されなければならない。
【0010】
WO 2015 146677 A1には、圧縮装置、前記圧縮装置を駆動するための電気モーター、及び前記電気モーターに電圧を供給するためのインバータを備える電気駆動圧縮機が開示されている。電気モーターは固定子コアの軸方向に形成された端部にそれぞれ配置された電気絶縁コイル本体を備える固定子、回転子、及び前記コイル本体に配置されたコイルを含む。コイルはそれぞれ固定子コアの半径方向内部に延びる領域及び固定子コアの端部に配置されたコイル本体周囲に巻き取られたリ-ド線で形成される。
【0011】
この場合、固定子絶縁のために多様な部品が用いられる。柵として形成されて外壁の円周にわたって均一に半径方向内部に延びる固定子コアの領域とコイル間にはそれぞれ個別絶縁体が提供される。また、それぞれ隣接するように配置されたコイル間に、又は巻き取られてコイルを形成するリ-ド線間に絶縁紙又はフィルムとして形成された絶縁体がそれぞれ配置される。
【0012】
また、電気駆動圧縮機の従来技術に属する電気モーターの場合、必要な絶縁距離を達成するために、リ-ド線の接続ラインと圧縮機の他の電気伝導性部品間に十分に大きな間隔が提供される。この場合、モーター及びそれにより電気駆動圧縮機に対する大きな設置空間が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は蒸気流体の電気駆動圧縮機を駆動する駆動装置の、特に電気モーターの絶縁装置を提供して改善することである。前記駆動装置により少なくとも1,000Vまでの電圧レベルでも絶縁調整に対する該要件が保障されなければならない。特に、コイルのリ-ド線が互いに、又はリ-ド線の接続ラインが互いに、そしてそれぞれ周囲に配置された電気伝導性部品に対して電気絶縁されなければならない。絶縁装置及びそれにより駆動装置は簡単な方式で、そしてそれにより時間削減方式で組み立てられる必要があり、可能なかぎり少ない数の個別部品と構成要素を含む必要があり、例えば重量及び必要空間、そして製造コストを最小化するために構造的に簡単に具現する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題は独立請求項の特徴を含む対象により解決される。改善例は従属請求項に提示する。
【0015】
上記課題は蒸気流体の圧縮機を駆動するための本発明による駆動装置、特に電気モーターにより解決される。駆動装置は固定子コア及び絶縁装置を備える固定子と回転子を含み、前記絶縁装置は共通の長さ方向軸に沿って固定子の第1端部面から第2端部面に延びる。前記固定子コアは巻き取られてコイルを形成するリ-ド線を収容するために円周に均一に分布した柵を含み、前記柵は特に固定子コアの外壁の内部面に分布する。絶縁装置は少なくとも1つの第1絶縁要素、第2絶縁要素及び少なくとも1つの第3絶縁要素を含む。
【0016】
リ-ド線はコイルの領域で好ましくは塗装されて巻き取られた銅ワイヤーで形成されて、リ-ド線の磁気的に非活性である部分及び接続ラインとしてリ-ド線の巻き取られていない端部はそれぞれの巻き線の外に案内される。例えば、同じ位相のコイルを接続及び連結するための連結ラインとして用いられる、接続ラインの第1部分はコイルの領域でリ-ド線と類似に単に塗装されて形成される一方、例えば電気モーターの接続部に電気的連結のために構成された、接続ラインの第2部分は好ましくはプラスチックで被覆されて絶縁される。
【0017】
本発明の概念によれば、少なくとも1つの第1絶縁要素はそれぞれ特に巻き取られてコイルを形成するリ-ド線と固定子コア間に、それぞれ1つの第2絶縁要素は互いに隣接して配置されたコイル間に形成された空間内に、そして少なくとも1つの第3絶縁要素は固定子の半径方向内部に向かった内部面上に、前記内部面を閉鎖するように配置される。
【0018】
本発明の改善例によれば、柵周りに形成された第1絶縁要素を有する2つの互いに隣接して配置された柵間にそれぞれ形成された空間は半径方向内部に、すなわち固定子の内部面で開放されている。この場合、それぞれの空間は柵の端部面間の領域で最小の大きさを有する。
【0019】
本発明の好ましい実施例によれば、固定子の端部面間で軸方向に連続して延びるそれぞれの第2絶縁要素は軸方向に延び、半径方向で整列される第1長さ方向面 及び第2長さ方向面を含む。軸方向は回転子の回転軸及び長さ方向軸に相応する固定子の長さ方向軸の方向を意味する。軸方向に整列された端部面は長さ方向軸に対して垂直に整列された平面に配置される。
【0020】
したがって、軸方向に延びる長さ方向面は長さ方向軸に対して平行した固定子の端部面間で延びる一方、半径方向整列は長さ方向軸に対する垂直を意味する。
【0021】
それぞれの第2絶縁要素の第1長さ方向面は半径方向外部に整列されて、第1絶縁要素上の空間のベース面に連続して接触することが好ましい。第2絶縁要素の第2長さ方向面は半径方向内部に整列されて固定子コアの柵の端部面の領域で、前記空間を軸方向で閉鎖するように、第1絶縁要素に接触して配置されることが好ましい。
【0022】
本発明の他の長所は、それぞれの第2絶縁要素が長さ方向に対して垂直である断面から見ると、第1長さ方向面の領域で、第1要部を両側で限定する、特に一定の幅の2つの第1柵を有するU型を有するということである。この場合、U型の閉鎖された面は第2長さ方向面の方向で整列される。
【0023】
第1柵の端部面は第1長さ方向面全体にわたって第1絶縁要素に接触できる。この場合、第2絶縁要素の2つの第1柵は軸方向で第1絶縁要素に接触して第1空洞部を形成する。第1空洞部は好ましくは完全に閉鎖されてポッティング材料でポッティングされて形成されることができる。
【0024】
第2絶縁要素は長さ方向に対して垂直である断面から見ると、第2長さ方向面の領域で、第2要部を両側で限定する、特に一定の幅の2つの第2柵を有するY型を有する。この場合、Y型の閉鎖された面は第1長さ方向面の方向で整列される。
【0025】
第2絶縁要素の第1長さ方向面及び第2長さ方向面は連結柵を通じて互いに連結される。
【0026】
本発明の好ましい実施例によれば、第2絶縁要素の第2長さ方向面に対して整列されて配置された、第2柵の自由端部面にそれぞれ長さ方向で整列された溝が提供され、前記溝は好ましくはそれぞれ第2絶縁要素の全体長さにわたって延びる。
【0027】
本発明の改善例によれば、少なくとも1つの第3絶縁要素は軸方向に延びるストラットを有する円筒形ケージの形状を有する。この場合、ストラットは第1及び第2端部でそれぞれ円周方向で閉鎖されたリングを通じて互いに連結される。リングは好ましくは軸方向に形成された壁を有する。ストラットは好ましくは円周に均一に離隔されて分布する。
【0028】
本発明のさらなる好ましい実施例によれば、第3絶縁要素は第1部分要素及び第2部分要素と、2体型に形成される。この場合、部分要素はそれぞれ直線リング、及びリングから垂直に突出したストラットを含む。第1部分要素のストラット及び第2部分要素のストラットは好ましくはそれぞれ互いに整列されて配置された自由端部に互いに対応するロック装置を含み、前記ロック装置は噛み合う方式で互いに連結することができ、部分要素がストラットの自由端部で共に結合されることができる。
【0029】
第3絶縁要素は好ましくはリングの領域で円周に均一に分布したリセスを含み、前記リセスはそれぞれリングの外部面に、そして好ましくは軸方向に配置されたストラットの延長部に提供される。
【0030】
リセスはそれぞれ半径方向でリングの内部面に向かってテーパーされることが好ましい。この場合、リングの減少された壁の厚さから最大壁厚さへの転移領域にそれぞれ1つの肩部が提供される。
【0031】
本発明の特別な長所は第2絶縁要素がそれぞれ第3絶縁要素のリセス及びストラット領域で第3絶縁要素に接触するということである。この場合、第2絶縁要素の第2長さ方向面は軸方向で第3絶縁要素のストラットに接触し、第2絶縁要素の第2柵の溝が第3絶縁要素のリングのリセスの肩部上で第3絶縁要素に接触して第2空洞部を形成する。第2絶縁要素の第2柵の溝と第3絶縁要素のリングのリセスの肩部は互いに対応する形状を有する。第2絶縁要素と第3絶縁要素間でそれぞれ第2絶縁要素の第2柵及び第3絶縁要素のストラットにより、そして第3絶縁要素のリングの領域でリセス上のリングの壁により形成された第2空洞部、すなわち結果的に第2絶縁要素の第2要部及び第3絶縁要素の関連リセスにより形成された第2空洞部は好ましくは完全に閉鎖される。
【0032】
第2空洞部はポッティング材料でポッティングできる。すなわち、ポッティング材料で埋めることができる。
【0033】
本発明の改善例によれば、第1絶縁要素は固定子の固定子コアと一体型で、そして形状嵌め込み方式で連結され、固定子コアと第1絶縁要素が固定子の統合型及び一体型部品を形成する。第1絶縁要素は固定子コアのオーバーモールディング部として固定子コアの外壁の内部面に接触するように形成されることができる。
【0034】
本発明のさらなる好ましい実施例によれば、第1絶縁要素は少なくとも固定子の端部面で固定子コアを過ぎて突出する。固定子の端部面から軸方向に固定子コアから突出する絶縁要素の領域は好ましくはカバー要素に連結のために、特に成形部を有する、実質的にシリンダー型である壁として設計される。
【0035】
この場合、絶縁要素の壁の外部面は円周方向に延びて窪み部として、特に溝として形成された少なくとも1つの成形部を含むことが好ましい。絶縁要素の壁内部の少なくとも1つの成形部は固定子の長さ方向軸に対して垂直に整列された平面に配置されることが好ましい。リ-ド線の接続ラインのセクションは好ましく絶縁要素の壁の外部面に接触するように、そして壁の円周方向に延びるように整列される。この場合、好ましくはリ-ド線の接続ラインの1つのセクションが絶縁要素の壁に形成された成形部内部に完全に統合されて配置される。完全な統合という表現はリ-ド線の全体直径が成形部内に埋め込まれている、成形部内にリ-ド線の接続ラインの配置を意味する。リ-ド線はどこにおいても成形部から突出しない。リ-ド線の最大直径は成形部の深さより小さいか、成形部の深さに相応する。
【0036】
カバー要素の内部面は絶縁要素の壁内に形成されたそれぞれの成形部を覆うように配置されることが好ましい。
【0037】
カバー要素は軸方向に整列された第1リング面、半径方向で整列されたリング面及び軸方向に整列された第2リング面を有する円周方向で閉鎖されたリングとして設計されることが好ましい。カバー要素は絶縁装置の絶縁要素と同様に好ましくは電気絶縁材料で形成される。したがって、固定子の第1絶縁要素に配置されたカバー要素も特に要求される絶縁距離を保障するように提供される。
【0038】
カバー要素の外部半径に形成された、軸方向第1リング面とカバー要素の内部半径に形成された、軸方向第2リング面は好ましくは互いに平行するように整列され、半径方向リング面を通じて互いに連結される。
【0039】
本発明の改善例によれば、カバー要素の軸方向に整列された第2リング面はそれぞれ1つの第2絶縁要素をホールディングするために円周にわたって均一に分布した収容要素を有する内壁として提供される。この場合、軸方向に整列された第2絶縁要素は収容要素の領域でカバー要素に連結されることができる。
【0040】
収容要素は好ましくは軸方向に整列された第2リング面内部に開口として形成される。収容要素は軸方向に整列された第2リング面から半径方向内部に突出する第1壁及び1つの第2壁を含むことができる。
【0041】
代案として、収容要素の開口は軸方向に整列された第2リング面から半径方向内部に突出する第1壁及び1つの第2壁を含むことができる。
【0042】
本発明の好ましい実施例によれば、収容要素の壁はU型の断面を有する。この場合、第1壁は軸方向でU型のレグとして整列され、第2壁は第1壁を連結するようにカバー要素の円周方向で整列される。
【0043】
収容要素の第1壁は好ましくは互いに円錘形に整列された肩部を有するU型の軸方向に開放された面の領域で収容要素の断面をU型の開放面に向かって拡大させるように形成される。
【0044】
第2絶縁要素は好ましくは固定子の第1端部面に向け、そして軸方向に整列された第1長さ方向面に形成される領域で、それぞれ収容要素の壁により形成されたU型内に、又はカバー要素の内壁内に形成された開口内に突出するように配置される。
【0045】
この場合、第2絶縁要素は収容要素の内部で好ましくは第1柵の外部面で収容要素の第1壁の内部面に面接触する。第2絶縁要素は収容要素内部に挿入され、特に弾性変形されて圧入される。
【0046】
本発明の改善例によれば、第2絶縁要素は互いに隣接して配置されたコイル間に形成された空間が固定子コアの柵の端部面上において最小の大きさを有する領域で、それぞれ第2柵で第1絶縁要素に連結される。この場合、第2絶縁要素の第2柵の端部面に形成された溝はそれぞれ固定子コアの柵の長さ方向で整列されたエッジを囲むように配置されることが好ましい。
【0047】
蒸気流体の圧縮機を駆動するための前述した駆動装置、特に電気モーターの絶縁装置を装着する方法において、
第2絶縁要素は柵の周りに形成された第1絶縁要素を有する固定子コアの互いに隣接して配置された2つの柵間に形成された空間内に配置される。この場合、第2絶縁要素の軸方向に整列された第1長さ方向面は半径方向外部に整列されて第1絶縁要素上の空間のベース面上に、そして第2長さ方向面は半径方向内部に整列されて固定子コアの柵の端部面の領域で、前記空間を軸方向で閉鎖するように、第1絶縁要素上に配置される。
【0048】
好ましくは、カバー要素は固定子の端部面で固定子コアから突出した第1絶縁要素の領域に固定され、それぞれの第2絶縁要素の第1長さ方向面はカバー要素の収容要素内部に挿入、特に圧入されて、第2長さ方向面は第1絶縁要素と2つのスプリング-グルーブ型連結によりロックされる。したがって、第2絶縁要素は第1絶縁要素に固定される。
【0049】
もう1つの長所は第2絶縁要素が軸方向でカバー要素の収容要素内に挿入されるということである。
【0050】
また、好ましくはストラットを有する2体型に形成された第3絶縁要素の部分要素が軸方向で固定子の端部面を通じて固定子内に挿入される。この場合、部分要素はストラットの互いに整列された自由端部で互いに整列される。部分要素は例えば互いに対応するロック装置を含む、互いに整列された、前記ストラットの自由端部で互いに連結されることができる。この場合、第2絶縁要素及び第3絶縁要素はそれぞれ空洞部を限定する。
【0051】
また、好ましくは第1絶縁要素とカバー要素により囲まれた部分及び/又はそれぞれの第2絶縁要素と第1絶縁要素間に形成された第1空洞部及び/又はそれぞれの第2絶縁要素と第3絶縁要素間に形成された第2空洞部はポッティング材料で埋められるか又はポッティングされる。
【0052】
追加の接着剤としてポッティング材料による前記部分又は空洞部のポッティングにより、電流流れのための潜在的なギャップ及びそれにより漏洩電流のための可能な流れ経路を閉鎖するためのいわゆる接着結合が形成される。この場合、沿面距離を避けるために、それぞれの絶縁要素が互いに連結され、特に接着される。したがって、接着結合は接着剤、樹脂、エポキシ又は2つの電気伝導性部品間の電流流れを防ぐ他のポッティング材料のような適切な接着剤を用いて2つの材料を連結することを意味する。
【0053】
本発明の好ましい実施例は自動車の空調システムの冷媒回路内の冷媒の圧縮機のために蒸気流体を圧縮するための圧縮機を駆動するための駆動装置、特に電気モーターの使用を可能にする。
【発明の効果】
【0054】
IEC/UL及びDINのような公知となった標準によって設計された、最小数の必須部品を有する蒸気流体の圧縮機を駆動するための本発明による駆動装置及び前記駆動装置の絶縁装置の装着方法は多様な長所を有する。
【0055】
-特に最大1,000Vの電圧レベルの自動車用空調システムの電気駆動圧縮機で、リ-ド線の可能な最高の電気絶縁で簡単な装着、特に電気モーターに対する一般的な要件及び既存仕様の充足、
-電圧レベルによって絶縁抵抗の増加及び必要空間の減少、
-電圧レベルによって必要な絶縁距離を確保してリ-ド線と他の電気伝導性、非活性部品間の短絡電流の発生を防止、
-低い絶縁抵抗により製造時における不良品減少及びそれによる最小コストの発生、及び
-圧縮機寿命の最大化。
【図面の簡単な説明】
【0056】
本発明のもう1つの細部事項、特徴及び長所は関連図面を参照して行う実施例に関する以下の詳細な説明で示す。
【
図1a】固定子コア、コイル、絶縁装置の第1絶縁要素、第2絶縁要素及び第3絶縁要素を含む蒸気流体の圧縮機を駆動するための駆動装置としての電気モーターの固定子を第1端部面の方向から見た斜視図である。
【
図1b】固定子コア、コイル、絶縁装置の第1絶縁要素、第2絶縁要素及び第3絶縁要素を含む蒸気流体の圧縮機を駆動するための駆動装置としての電気モーターの固定子を第2端部面の方向から見た斜視図である。
【
図2】絶縁装置の部品としてカバー要素のない
図1aの固定子の第1端部面を詳細に示す斜視図である。
【
図3】絶縁装置の第2及び第3絶縁要素のない固定子を示す斜視図である。
【
図4a】絶縁装置の部品としてカバー要素を示す斜視図である。
【
図4b】カバー要素の収容要素を示す詳細図である。
【
図5】収容要素内に配置された、絶縁装置の第2絶縁要素を備えるカバー要素を詳細に示す斜視図である。
【
図6】個別要素として第2絶縁要素を示す斜視図である。
【
図7a】固定子コア、コイル、絶縁装置のカバー要素及び絶縁要素を備える固定子を示す斜視断面図である。
【
図7b】絶縁装置の外部半径で第1及び第2絶縁要素の整列を詳細に示す平面図である。
【
図8a】コイルに対する絶縁装置の第1及び第2絶縁要素の整列を示す平面図及び絶縁装置の内部半径で第1及び第2絶縁要素の連結を示す詳細図である。
【
図8b】コイルに対する絶縁装置の第1及び第2絶縁要素の整列を示す平面図及び絶縁装置の内部半径で第1及び第2絶縁要素の連結を示す詳細図である。
【
図9a】組み立てられた状態で第1及び第2部分要素を備える第3絶縁要素を示す斜視図である。
【
図9b】組み立てられた状態で第1及び第2部分要素を備える第3絶縁要素を示す斜視図である。
【
図9c】組み立てられた状態で第1及び第2部分要素を備える第3絶縁要素を示す斜視図である。
【
図10a】第3絶縁要素の端部面の詳細図として第3絶縁要素上に第2絶縁要素の配置を示す斜視図である。
【
図10b】絶縁装置の内部半径で第2及び第3絶縁要素の連結を詳細に示す平面図である。
【
図10c】コイルに対する絶縁装置のカバー要素と第1、第2及び第3絶縁要素の整列を詳細に示す斜視図である。
【
図10d】コイルに対する収容要素を備えるカバー要素と絶縁装置の第2及び第3絶縁要素の配置を示す固定子の第1端部面の斜視図である。
【
図10e】絶縁装置の第1及び第2絶縁要素の配置を示す固定子の第2端部面の斜視図である。
【
図11a】固定子コア、コイル、絶縁装置の第1絶縁要素、第2絶縁要素及び第3絶縁要素を含む蒸気流体の圧縮機を駆動するための駆動装置としての電気モーターの固定子を第1端部面の方向及び第2端部面の方向から見た斜視図である。
【
図11b】固定子コア、コイル、絶縁装置の第1絶縁要素、第2絶縁要素及び第3絶縁要素を含む蒸気流体の圧縮機を駆動するための駆動装置としての電気モーターの固定子を第2端部面の方向から見た斜視図である。
【
図12】絶縁装置の部品としてカバー要素のない
図1aの固定子の第1端部面を詳細に示す斜視図である。
【
図13】絶縁装置の第2及び第3絶縁要素のない固定子を示す斜視図である。
【
図14a】絶縁装置の部品としてカバー要素を示す斜視図である。
【
図14b】カバー要素の収容要素を示す詳細図である。
【
図15】収容要素内に配置された、絶縁装置の第2絶縁要素を備えるカバー要素を詳細に示す斜視図である。
【
図16】個別要素として第2絶縁要素を示す斜視図である。
【
図17a】固定子コア、コイル、絶縁装置のカバー要素及び絶縁要素を備える固定子を示す斜視断面図である。
【
図17b】絶縁装置の外部半径で第1及び第2絶縁要素の整列を詳細に示す平面図である。
【
図18a】コイルに対する絶縁装置の第1及び第2絶縁要素の整列を示す平面図及び絶縁装置の内部半径で第1及び第2絶縁要素の連結を示す詳細図である。
【
図18b】コイルに対する絶縁装置の第1及び第2絶縁要素の整列を示す平面図及び絶縁装置の内部半径で第1及び第2絶縁要素の連結を示す詳細図である。
【
図19a】組み立てられた状態で第1及び第2部分要素を備える第3絶縁要素を示す斜視図である。
【
図19b】組み立てられた状態で第1及び第2部分要素を備える第3絶縁要素を示す斜視図である。
【
図19c】組み立てられた状態で第1及び第2部分要素を備える第3絶縁要素を示す斜視図である。
【
図20a】第3絶縁要素の端部面の詳細図として第3絶縁要素上に第2絶縁要素の配置を示す斜視図である。
【
図20b】絶縁装置の内部半径で第2及び第3絶縁要素の連結を詳細に示す平面図である。
【
図20c】コイルに対する絶縁装置のカバー要素と第1、第2及び第3絶縁要素の整列を詳細に示す斜視図である。
【
図20d】コイルに対する収容要素を備えるカバー要素と絶縁装置の第2及び第3絶縁要素の配置を示す固定子の第1端部面の斜視図である。
【
図20e】絶縁装置の第1及び第2絶縁要素の配置を示す固定子の第2端部面の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1a及び
図1b、
図11a及び11bには、冷媒回路を通じて冷媒を送出するための、特に自動車の空調システム用蒸気流体の圧縮機を駆動するための駆動装置としての電気モーターの固定子(1、1’)を第1端部面(7)の方向(
図1a、11a)及び第2端部面(8)の方向(
図1b、11b)でそれぞれ斜視図により図示している。固定子(1、1’)は固定子コア(2)、コイル(3)、絶縁装置の第1絶縁要素(4)、第2絶縁要素(10、10’)及び第3絶縁要素(11、11’)を含む。
【0058】
電気モーター、例えば3相交流モーターは図示しない回転子、及び前記回転子の外部面に半径方向で、それにより前記回転子の周りに配置された固定子コア(2)を含む。好ましくは積層されたコアとして形成された固定子コア(2)及び電気絶縁材料でそれぞれ形成された絶縁要素(4、10、10’、11、11’)はそれぞれ固定子(1、1’)の長さ方向軸及び回転子の回転軸に相応する長さ方向軸(5)に沿って固定子の第1端部面(7)から第2端部面(8)に延びる。第1絶縁要素(4)は好ましくは固定子コア(2)のオーバーモールディング部として、一体型部品として形成される。
【0059】
コイル(3)はそれぞれ固定子コア(2)の半径方向内部に延びる領域の周りに巻き取られているワイヤー、特にリ-ド線(9)ともいう電気導体として、塗装された銅線により形成される。リ-ド線(9)の巻き取られていない端部は接続ライン又は磁気的に非活性である部分としてそれぞれの巻き線の外に案内される。同一の相のコイル(3)を接続及び連結するための連結ラインとして用いられる接続ラインはコイル(3)の領域でリ-ド線(9)と同様に接続ラインの第1部分として単に塗装されて形成される一方、電気モーターの接続部との電気的連結のために構成され、接続ラインの第2部分は追加で好ましくはプラスチックで被覆されて絶縁されることができる。
【0060】
固定子コア(2)の半径方向内部に延びる領域はそれぞれ柵の形状を有し、固定子コア(2)の外壁の円周にわたって均一に分布する。コイル(3)のリ-ド線(9)と固定子コア(2)のそれぞれの領域間には固定子コア(2)とコイル(3)のリ-ド線(9)を電気絶縁させる第1絶縁要素(4)が配置される。第1絶縁要素(4)はそれぞれ柵の内部に及び軸方向に整列された端部から軸方向に拡張されて形成される。第1絶縁要素(4)の上記方式で突出した端部セクションは特に固定子コア(2)の柵の周りに巻き取られているコイル(3)のリ-ド線(9)を固定する役割をする。
【0061】
柵の周りに形成された第1絶縁要素(4)及び前記第1絶縁要素(4)の周りに巻き取られてコイル(3)を形成するリ-ド線(9)を備えて固定子コア(2)の外壁の円周に互いに隣接して分布した2つの柵間にそれぞれ空間が溝又はギャップ又はスロットの形状に形成され、前記空間は固定子(1、1’)の端部面(7、8)にそして半径方向内部に開放されている。
【0062】
柵は柵の端部面の領域を除いては半径方向で実質的に一定の断面積を有する、柵の周りに円周方向で配置された第1絶縁要素(4)を含むので、間の空間は半径方向内部にテーパーされる。柵は端部面の領域で例えば固定子コア(2)の外壁の領域でより大きい断面積を有する。したがって、間の空間は柵の端部面の間の領域で最小の大きさを有する。間の空間の断面積は軸方向で一定である。
【0063】
第1絶縁要素(4)はコイル(3)と固定子コア(2)間に、特に柵の端部面を除いた固定子コア(2)の全体内部形状の周囲に形成される。したがって、半径方向内部に整列され、そして絶縁要素(4)により覆われていない、固定子コア(2)の柵の端部面がコイル(3)のリ-ド線(9)に電気的に連結されない。
【0064】
間の空間内部に、それにより固定子コア(2)に円周方向で隣接して配置された、巻き取られてコイルを形成する、リ-ド線(9)の磁気的に活性である部分間に、それぞれ1つの第2絶縁要素(10、10’)が提供される。第2絶縁要素(10、10’)は固定子(1)の端部面(7、8)間から軸方向に連続して延び、円周に並べて整列されたコイル(3)を互いに絶縁させる役割をする。
【0065】
第2絶縁要素(10、10’)の軸方向に整列された第1長さ方向面は第1絶縁要素(4)上の間の空間のベース面に好ましくは連続して接触し、前記第1長さ方向面に対して平行するように整列され、第2絶縁要素(10、10’)の第2長さ方向面は半径方向内部に向かって、固定子コア(2)の柵の端部面の領域で、柵又はコイル(3)間に形成された間の空間を軸方向で閉鎖するように第1絶縁要素(4)に接触する。コイル(3)を有する柵を過ぎて軸方向で突出する領域で、第2絶縁要素(10、10’)はそれぞれ第3絶縁要素(11、11’)に接触する。
【0066】
第3絶縁要素(11、11’)は軸方向に延びるストラットを有する丸いケージの形状を有し、前記ストラットは第1及び第2端部でそれぞれ閉鎖されたリングを通じて互いに連結される。軸方向に整列されたストラットは第2絶縁要素(10、10’)と関連して、一方では柵の半径方向内部に向かった端部面の領域で、柵又はコイル(3)間に形成された第1絶縁要素(4)の空間を閉鎖するために用いられる。他方では、それぞれの第2絶縁要素(10、10’)と第3絶縁要素(11、11’)間にそれぞれ円周方向で閉鎖されたギャップ又は空洞部が形成される。第3絶縁要素(11、11’)の端部面に配置されたリングはコイル(3)を有する柵を過ぎて軸方向で突出した領域でも固定子(1、1’)の閉鎖された内部面を形成するように提供される。
【0067】
好ましくは固定子コア(2)の電気絶縁オーバーモールディング部として形成された、そして外部ジャケット面で半径方向で固定子コア(2)の外壁の内部面に接触する第1絶縁要素(4)は固定子コア(2)の絶縁される全体表面を覆う。また、第1絶縁要素(4)の壁は固定子(1、1’)の端部面(7、8)から軸方向にそれぞれ固定子コア(2)を過ぎて突出する。固定子コア(2)から突出した、第1絶縁要素(4)の領域(4b)はそれぞれ成形部を有する実質的に中空円筒形の壁として形成され、前記壁は軸方向に配置される。
【0068】
図1a、11aによれば、環形カバー要素(6)が固定子(1、1’)の第1端部面(7)上に配置され、前記カバー要素(6)は固定子(1、1’)の装着状態から軸方向に固定子(1、1’)に、特に第1絶縁要素(4)に完全に接触する。第1端部面(7)で固定子コア(2)を過ぎて突出した、第1絶縁要素(4)の図示しない第1領域は装着状態でカバー要素(6)によりカバーされる。カバー要素(6)は軸方向に整列された実質的にシリンダー型、特に中空シリンダー型、特に中空円筒形及び円周方向で閉鎖されたリングとして形成される。
【0069】
図2、12には、絶縁装置の部品としてカバー要素(6)を省略した
図1a、11aの固定子(1、1’)の第1端部面(7)を斜視図で詳細に図示している。
【0070】
コイル(3)の巻き線間に連結ラインとして延びる、リ-ド線(9)の磁気的に非活性である、巻き取られていない部分は固定子コア(2)を過ぎて突出する第1絶縁要素(4)の第1領域(4a)に円周方向に延びて溝として互いに平行するように延びる、収容領域ともいう成形部内に統合される。また、電気モーターの接続部、特にプラグハウジングに対する連結部として又はインバータに対する電気的連結部であるコネクターとして形成された、リ-ド線(9)の磁気的に非活性である部分が前記成形部内部に配置することができる。したがって、リ-ド線(9)の部分が案内されて、互いに、巻き取られてコイル(3)を形成する部分に対してそして他の電気伝導性部品に対して絶縁される。成形部はそれぞれ固定子(1、1’)の軸方向に対して垂直に整列された平面に形成される。
【0071】
電気モーターの電圧レベルによって、リ-ド線(9)とハウジングのような電気モーターの他の電気導電性金属部品又は圧縮機の部品間に、絶縁距離ともいう適切な距離が維持されることによって、例えばリ-ド線(9)自体とそれに隣接するように配置された電気伝導性部品間の短絡又はフラッシュオーバーが防止できる。第1絶縁要素(4)、第2絶縁要素(10、10’)、第3絶縁要素(11、11’)及びカバー要素(6)を備える絶縁装置を提供することによって、絶縁距離が相当増加し、短絡又はフラッシュオーバーのリスクが減る。
【0072】
図3、13には、絶縁装置の第2絶縁要素(10、10’)、第3絶縁要素(11、11’)、カバー要素(6)を省略した固定子(1、1’)を第1端部面(7)から見た斜視図で図示している。リ-ド線(9)の磁気的に非活性である部分を有する、固定子(1、1’)の第1端部面(7)で固定子コア(2)から突出した、第1絶縁要素(4)の第1領域(4a)は接続リングともいう。
【0073】
コイルセパレーター又はコイル分離器ともいう、図示しない第2絶縁要素(10、10’)の使用により、隣接した2つのコイル(3)間のエアーギャップは例えば10mm以上に増加する。また、エポキシ樹脂又は適した接着剤のようなポッティング材料(12)の使用により、沿面距離を例えば少なくとも14mmに増加させるためのいわゆる接着又はポッティング結合が形成され、絶縁に対するあらゆる要件が満たされる。したがって、完全に臨界的な領域のポッティングは十分な沿面距離を保障するもう1つの方法である。この場合、図示しないカバー要素(6)は接続リングの保護と共に相違する相のリ-ド線(9)を互いに分離するポッティング材料(12)用モールドとしての役割をする。リ-ド線(9)が互いに非常に小さな距離を置いて配置されるので、必要な沿面距離及びエアーギャップは固定子コア(2)から突出する、第1絶縁要素(4)の第1領域(4a)の壁とカバー要素(6)の内部面間に形成された空洞部全体を埋め込まれたリ-ド線(9)を含むポッティング材料(12)でポッティングすることによって保障される。リ-ド線案内部品を含む接続リングは固定子コア(2)から突出する、第1絶縁要素(4)の第1領域(4a)の壁とカバー要素(6)の内部面間に形成された空洞部を埋めることによって又は事前にポッティング材料(12)によって絶縁される。したがって、例えば最大1,000Vの超高圧アプリケーションに対する要件を満たす絶縁システムが提供される。
【0074】
固定子(1、1’)の第1端部面(7)で固定子コア(2)から突出する第1絶縁要素(4)の第1領域(4a)をカバー要素(6)とポッティング材料(12)によりカバーすることによって、電気モーターのハウジング内部に流れる流体としての冷媒に対する接続リングに配置されたリ-ド線(9)の完全な気密密封及びリ-ド線(9)自体間の完全な気密密封が達成される。
【0075】
図4a及び4b、14a、14bはそれぞれ絶縁装置の部品としてカバー要素(6)を斜視図で図示する。
図4b、14bには特に第2絶縁要素(10、10’)用カバー要素(6)の収容要素(13、13’)を詳細に図示している。
【0076】
円周方向で閉鎖されたリングとして形成されたカバー要素(6)は軸方向に整列された第1リング面(6a)、半径方向で整列されたリング面(6b)及び軸方向に整列された第2リング面(6c)を含む。カバー要素(6)の外部半径に形成された軸方向第1リング面(6a)及びカバー要素(6)の内部半径に形成された軸方向第2リング面(6c)は互いに平行するように整列され、半径方向リング面(6b)を通じて互いに連結される。長さ方向軸(5)に対して垂直に整列された平面に配置された半径方向リング面(6b)は軸方向リング面(6a、6c)を互いに連結し、カバー要素(6)はリング輪郭の断面から見る時に好ましくは相違するレグ(leg)長さを有するU型を有する。軸方向第1リング面(6a)は内壁(6c)としての軸方向第2リング面(6c)より軸方向でさらに大きい大きさを有する外壁(6a)として形成される。半径方向リング面(6b)は軸方向リング面(6a、6c)をそれぞれ端部面で互いに連結する。
【0077】
リング面(6a、6b、6c)間に形成された部分は固定子コア(2)から突出した第1絶縁要素(4)の第1領域(4a)、すなわち接続リングをその上に配置されたリ-ド線(9)と共に収容する役割をし、ポッティング材料(12)を収容するためのモールドとして用いられる。
【0078】
完全に閉鎖された外壁(6a)と比較すれば、内壁(6c)は円周にわたって均一に分布した開口、特に第2絶縁要素(10、10’)をホールディングする収容要素(13、13’)を含む。この場合、それぞれの収容要素(13、13’)はコイル(3)間に形成された空間内に配置された第2絶縁要素(10、10’)を収容する役割をする。
【0079】
内壁(6c)内部に形成された開口は内壁(6c)から半径方向内部に突出する第1壁(13a、13a’)及び第2壁(13b、13b’)で補強され、前記壁はU型の断面を有する。この場合、2つの第1壁(13a、13a’)はU型のレグとして軸方向に整列される一方、第2壁(13b、13b’)は第1壁(13a、13a’)を連結するようにカバー要素(6)の円周方向で整列される。
【0080】
図4bを参照すると、収容要素(13)の第1壁(13a)はU型の開放された面の領域で互いに円錘形に延びる肩部(13c)を含み、前記肩部(13c)は特に、固定子(1)の装着の間、第2絶縁要素(10)を軸方向で収容要素(13)内に挿入することを容易にするために、収容要素(13)の断面がU型の開放面に向かって拡大されるように整列される。
【0081】
図14bを参照すると、2つ目の実行例に、収容要素(13’)の第1壁(13a’)と第2壁(13b’)はU型の開放された面の領域で互いに円錘形に延びる肩部(13c’)を含み、前記肩部(13c’)は特に、固定子(1’)の装着の間、第2絶縁要素(10’)を軸方向で収容要素(13’)内に挿入することを容易にするために、収容要素(13)の断面がU型の開放面に向かって拡大されるように整列される。
【0082】
図5、15は収容要素(13、13’)内に配置された絶縁装置の第2絶縁要素(10、10’)を備える、固定子(1、1’)の第1端部面(7)上に配置されたカバー要素(6)を詳細に斜視図で図示する。
【0083】
軸方向に整列された第2絶縁要素(10、10’)は収容要素(13、13’)の領域でカバー要素(6)に連結される。この場合、第2絶縁要素(10、10’)は固定子(1、1’)の第1端部面(7)に向かって軸方向に整列された第1長さ方向面(10a、10a’)に形成された領域でそれぞれ壁(13a、13a’、13b、13b’)により形成されたU型内にそしてカバー要素(6)の内壁(6c)に形成された開口内に突出する。
【0084】
第2絶縁要素(10、10’)は装着過程の間、軸方向でカバー要素(6)の収容要素(13、13’)内に挿入される。
【0085】
第2絶縁要素(10、10’)の第1長さ方向面(10a、10a’)が半径方向外部に向かって配置される一方、第2絶縁要素(10、10’)の軸方向に整列された第2長さ方向面(10b、10b’)は半径方向内部に向かって配置される。
【0086】
図6、16には第2絶縁要素(10、10’)を個別要素として斜視図で図示している。第2絶縁要素(10、10’)は互いに平行するように整列された2つの長さ方向面(10a、10a’、10b、10b’)及び同様に互いに平行するように整列された狭い面により限定され、前記狭い面は長さ方向面(10a、10a’、10b、10b’)を互いに連結するように形成される。狭い面は装着状態で固定子(1、1’)の端部面(7、8)に配置される。
【0087】
図6の長さ方向に対して垂直である断面において、第2絶縁要素(10)は第1長さ方向面(10a)の領域で、第1要部(10d)を両側で限定する一定の幅の2つの第1柵(10c)を有するU型、特にレンチの形状を有する。第1長さ方向面(10a)の方向で開放された第1要部(10d)は長方形、特に正方形の断面に形成される。U型の閉鎖された面は第2長さ方向面(10b)の方向で整列される。第2絶縁要素(10)の第1長さ方向面(10a)及び第2長さ方向面(10b)は連結柵を通じて互いに連結される。
【0088】
第2長さ方向面(10b)の領域で、長さ方向に対して垂直である第2絶縁要素(10)の断面は第2要部(10f)を両側で限定する一定の幅の第2柵(10e)を有するY型に形成される。第2長さ方向面(10b)の方向で開放された第2要部(10d)は三角形、特に二等辺三角形、特に正三角形の断面に形成される。Y型の閉鎖された面は第1長さ方向面(10a)の方向で整列される。第2長さ方向面(10b)に向かって配置された、第2柵(10e)の自由端部面にはそれぞれ長さ方向で整列された溝(10g)が提供される。
【0089】
図16の第2実施例によれば、長さ方向に対して垂直である断面において、第2絶縁要素(10’)は長さ方向面(10a’、10b’)の領域で、それぞれ1つの要部(10d’、10f’)を両側で限定する一定の幅の2つの第1柵(10c’)及び一定の幅の2つの第2柵(10e’)を有するU型、特にレンチの形状を有する。第1長さ方向面(10a’)の方向で開放された第1要部(10d’)及び第2長さ方向面(10b’)の方向で開放された第2要部(10f’)はそれぞれ長方形、特に正方形の断面に形成される。第1長さ方向面(10a’)のU型の閉鎖された面は第2長さ方向面(10b’)の方向で整列される一方、第2長さ方向面(10b’)のU型の閉鎖された面は第1長さ方向面(10a’)の方向で整列される。第2絶縁要素(10’)の第1長さ方向面(10a’)及び第2長さ方向面(10b’)は連結柵(10e’)を通じて互いに連結される。
【0090】
第2絶縁要素(10、10’)の長さ方向断面は一定の面積を有する。
図7a、17aは固定子コア(2)、コイル(3)、第1端部面(7)に配置された、好ましくは絶縁材料で射出成形要素として形成されたカバー要素(6)、及び絶縁装置の絶縁要素(10、10’、11、11’)を備える固定子(1、1’)を斜視断面図で図示する。
図7b、17bは固定子(1、1’)の第2端部面(8)の詳細図で絶縁装置の外部半径で第1絶縁要素(4)と第2絶縁要素(10、10’)の整列を平面図で図示する。
【0091】
特に
図7a、17aに図示するように、カバー要素(6)は固定子コア(2)から突出した第1絶縁要素(4)の第1領域(4a)を囲むように配置される。この場合、カバー要素(6)の外壁(6a)の内部面は固定子コア(2)から突出する、第1絶縁要素(4)の第1領域(4a)の壁の外部ジャケット面の方向で整列されて配置される。第1絶縁要素(4)の壁の外径はカバー要素(6)の外壁(6a)の内部面の直径と第1絶縁要素(4)上にカバー要素(6)を装着してポッティング材料(12)を収容するためのギャップを足した値に実質的に相応する。カバー要素(6)の外壁(6a)の外部面は図示しないハウジングの方向で整列される。
【0092】
環形カバー要素(6)の外壁(6a)の内部面は固定子コア(2)から突出した、第1絶縁要素(4)の第1領域(4a)の壁に円周方向に延びて溝として形成された収容領域を閉鎖するように、又は覆うように配置されて、前記収容領域内にリ-ド線(9)が統合される。カバー要素(6)が第1絶縁要素(4)と同様に電気絶縁部品であるため、絶縁要素(4)内に形成されてカバー要素(6)により閉鎖された成形部内に配置されたリ-ド線(9)が電気絶縁体により完全に囲まれる。固定子コア(2)から突出した第1絶縁要素(4)の第1領域(4a)の壁及びカバー要素(6)の外壁(6a)により実質的に囲まれた、リ-ド線(9)を含む部分はポッティング材料(12)で埋められるので、第1絶縁要素(10、10’)及びカバー要素(6)は堅く、そして解除しないように互いに連結される。
【0093】
環形カバー要素(6)の半径方向リング面(6b)は固定子コア(2)から突出する、第1絶縁要素(4)の第1領域(4a)の自由端部面の方向で整列されて配置される一方、カバー要素(6)の内壁(6c)は外部面に固定子コア(2)から突出する第1領域(4a)の壁の内部ジャケット面に接触する。
【0094】
第2絶縁要素(10、10’)はカバー要素(6)の内壁(6c)に形成された収容領域(13、13’)内部にホールディングされ、それぞれ隣接した2つのコイル(3)間に配置されて固定子(1、1’)の端部面(7、8)間から長さ方向で延びる。コイル(3)はそれぞれ固定子コア(2)の半径方向内部に形成された柵の周りに巻き取られたリ-ド線(28)のセクションで形成される。固定子コア(2)の柵の半径方向内部に整列された端部面は大きなセクションで絶縁されず、特に第1絶縁要素(4)により覆われない。
【0095】
固定子コア(2)の柵間及びそれによりコイル(3)間にある空間(14)は柵の端部面の間に最小の大きさを有する領域で第2絶縁要素(10、10’)又は第3絶縁要素(11、11’)により閉鎖される。第1及び第2端部でそれぞれ閉鎖されたリング(11b)を通じて互いに連結される、軸方向に延びるストラット(11a)を有する丸いケージ形状を有する第3絶縁要素(11、11’)により、固定子(1、1’)の半径方向を向かう内部面が完全に閉鎖される。この場合、固定子コア(2)の柵間に形成された空間(14)は柵の端部面上で最小の大きさを有する領域から軸方向にストラット(11a)により閉鎖される一方、第3絶縁要素(11、11’)のリング(11b)は空間(14)を固定子(1、1’)の端部面(7、8)の領域から円周方向で閉鎖する。
【0096】
特に
図7b、17bから分かるように、隣接したコイル(3)間に配置された第2絶縁要素(10、10’)はカバー要素(6)の収容要素(13、13’)内部で第1柵(10c、10c’)の外部面で収容要素(13、13’)の第1壁(13a、13a’)の内部面に面接触し、第1柵(10c、10c’)の端部面は第1長さ方向面(10a、10a’)全体にわたって第1空洞部(15)を形成するように第1絶縁要素(4)に接触する。第1柵(10c、10c’)間に形成された第1要部(10d、10d’)は第1柵(10c、10c’)が固定子(1、1’)の円周方向で共に圧縮できるようにして、第2絶縁要素(10、10’)が収容要素(13、13’)の内部に、特に収容要素(13、13’)の第1壁(13a、13a’)間に挿入されて、特に弾性変形されて圧入される。
【0097】
第1絶縁要素(4)と第2絶縁要素(10、10’)間の第1空洞部(15)はそれぞれ第2絶縁要素(10、10’)の第1柵(10c、10c’)及び第1絶縁要素(4)により限定される。したがって、第2絶縁要素(10、10’)の第1要部(10d、10d’)により形成される、軸方向に延びる第1空洞部(15)が完全に閉鎖されて固定子(1、1’)の第2端部面(8)の方向で整列された端部においてのみ開放される。固定子(1、1’)の第1端部面(7)の方向で整列された端部で、第1空洞部(15)はカバー要素(6)、特に収容要素(13、13’)の第2壁((13b、13b’)により限定される。
【0098】
第1空洞部(15)は適切なポッティング材料(12)で埋められることができる。
【0099】
図8a、及び
図8b、18a、18bはそれぞれコイル(3)に対する絶縁装置の第1絶縁要素(4)と第2絶縁要素(10、10’)の整列を平面図に、そして絶縁装置の内部半径で第1絶縁要素(4)と第2絶縁要素(10、10’)間の連結(
図8b、18b)を詳細図で図示する。
【0100】
第2絶縁要素(10、10’)は収容要素(13、13’)内部でカバー要素(6)にホールディングされて、
図7b、17bを参照して既に説明したように、第1長さ方向面(10a、10a’)に第1絶縁要素(4)に接触する一方、第2絶縁要素(10、10’)の第2長さ方向面(10b、10b’)は固定子コア(2)の柵に接触して、上前記柵は接触領域で第1絶縁要素(4)によりカバーされる。この場合、第2絶縁要素(10、10’)は固定子コア(2)の柵の端部面上で空間(14)の最小の大きさの領域において、それぞれ第2柵(10e、10e’)により第1絶縁要素(4)に連結される。
【0101】
図8bにおいて、第2柵(10e、10e’)は一定角度(α)、特に50°乃至70°、特に60°の角度(α)で互いに整列される。
【0102】
第2柵(10e)の端部面上に形成された溝(10g)は固定子コア(2)の柵の長さ方向で整列されたエッジを囲むように配置されて、第2絶縁要素(10)の第1長さ方向面(10a)がカバー要素(6)の収容要素(13)内部に挿入、特に圧入されて、第2長さ方向面(10b)は第1絶縁要素(4)と2つのスプリング-グルーブ型連結によりロックされる。したがって、第2絶縁要素(10)は第1絶縁要素(4)に固定される。
【0103】
図18bの第2実施例によって、固定子コア(2)の隣接した柵間に配置された第2絶縁要素(10’)の第2柵(10e’)の外部面は固定子コア(2)の柵の内部面に面接触する。第2柵(10e’)間に形成された第2要部(10f’)は第2柵(10e’)が固定子(1’)の円周方向で共に圧縮できるようにして、第2絶縁要素(10’)が固定子コア(2)の柵内部に、特に前記領域に形成された第1絶縁要素(4)間に、弾性変形されて圧入される。したがって、第2絶縁要素(10’)は一方では第1長さ方向面(10a’)でカバー要素(6)の収容要素(13’)内部に、そして他方では第2長さ方向面(10b’)に沿って固定子コア(2)の柵間に挿入、特に圧入されて、第1絶縁要素(4)に連結される。第2絶縁要素(10’)は長さ方向面(10a’、10b’)に沿って第1絶縁要素(4)に固定される。
【0104】
空間(14)内部で、特に収容要素(13、13’)内部で、そして第1絶縁要素(4)で十分なプレス嵌め込みをそれぞれ保障するために、第2絶縁要素(10、10’)はそれぞれ特定超過寸法を有する。それぞれのプレスは嵌め込みにより、第2絶縁要素(10、10’)が第1絶縁要素(4)上に配置された後に固定子(1、1’)又は電気モーター又は圧縮機の追加装着間そして圧縮機の作動の間、移動されないか又は提供された位置から変位されないことが保障される。
【0105】
隣接したコイル(3)間に形成された空間(14)はそれぞれ第2絶縁要素(10、10’)により2つの別途の部分に細分される。
【0106】
図9a乃至
図9c、19a、19cはそれぞれ第1部分要素(11c)及び第2部分要素(11d)を有する第3絶縁要素(11、11’)を組み立てられた状態で(
図9a及び
図9c、19a、19c)及び分解された状態で(
図9b、19b)それぞれ斜視図により図示する。
図9cには第3絶縁要素(11)上に第2絶縁要素(10)の配置を図示している。
【0107】
第1及び第2端部でそれぞれ閉鎖されたリング(11b)を通じて互いに連結された、長さ方向コネクター(11a)ともいう、軸方向に延びるストラット(11a)を有する丸いケージの形状を有する第3絶縁要素(11、11’)は固定子(1、1’)の内部面上に形成されて残っている貫通口を全体形状に示す。したがって、軸方向に整列された長さ方向コネクター(11a)は第2絶縁要素(10、10’)と同様に柵又はコイル(3)間に形成された、固定子コア(2)の柵の半径方向内部に向かった端部面上の空間(14)を閉鎖する役割をする。長さ方向コネクター(11a)の末端に互いに整列された端部に配置されたリング(11b)は一方では回転子に対する固定子(1、1’)の内部面の閉鎖を完成する。他方では、長さ方向コネクター(11a)はリング(11b)により所定の位置に維持される。
【0108】
第3絶縁要素(11、11’)の第1部分要素(11c)と第2部分要素(11d)は互いに相応して結合可能に形成される。この場合、ストラット(11a)はそれぞれ互いに整列された自由端部に、噛み合う方式で互いに連結できるロック装置を含むことができる。
【0109】
第3絶縁要素(11、11’)はリング(11b)の領域にリセス(11e)を含み、前記リセス(11e)はリング(11b)の外部面上で円周に均一に分布する。リセス(11e)はそれぞれ長さ方向コネクター(11a)の延長部に、実質的に長さ方向コネクター(11a)の幅を有するように形成される。リング(11b)の外部面からリング(11b)の内部面の方向及び円周方向に延びるリセス(11e)は第3絶縁要素(11、11’)の壁の厚さの減少を意味する。リセス(11e)の領域で、リング(11b)の壁の厚さはそれぞれ半径方向で長さ方向コネクター(11a)の壁の厚さに相応する。
【0110】
図9cによれば、リセス(11e)はまたリング(11b)の内部面の方向でテーパー化されて、リング(11b)の減少された壁の厚さから最大の壁の厚さへの転移領域にそれぞれ肩部(11f)を含む。
【0111】
図10a、20aには第3絶縁要素(11、11’)の端部面の詳細図として第3絶縁要素(11、11’)上に第2絶縁要素(10、10’)の配置が斜視図で図示し、
図10b、20bには絶縁装置の内部半径で第2絶縁要素(10、10’)と第3絶縁要素(11、11’)の連結が詳細に平面図で図示し、
図10c及び
図10d、20c、20dにはカバー要素(6)と第3絶縁要素(11、11’)間に第2絶縁要素(10、10’)の配置又はコイルに対する絶縁装置のカバー要素(6)、第1絶縁要素(4)、第2絶縁要素(10、10’)及び第3絶縁要素(11、11’)の整列が詳細な斜視図及び平面図で図示している。
図10d、20dには、コイル(3)として巻き取られたリ-ド線(9)に対する絶縁装置の第2絶縁要素(10、10’)及び第3絶縁要素(11、11’)、そして収容要素(13、13’)を備えるカバー要素(6)の配置が固定子(1、1’)の第1端部面(7)の平面図を図示している。
図10e、20eには、絶縁装置の第1絶縁要素(4)と第2絶縁要素(10、10’)の配置が固定子(1、1’)の第2端部面(8)の斜視図で詳細に図示している。
【0112】
図10a~10eによれば、第2絶縁要素(10)はそれぞれ第3絶縁要素(11)上のリセス(11e)と長さ方向コネクター(11a)の領域に配置される。この場合、第2絶縁要素(10)の第2長さ方向面(10b)は軸方向で長さ方向コネクター(11a)に接触し、第2絶縁要素(10)の第2柵(10e)の溝(10g)は第3絶縁要素(11)上のリング(11b)のリセス(11e)の肩部(11f)に、第2空洞部(16)を形成するように接触する。第2柵(10e)の溝(10g)及びリング(11b)のリセス(11e)の肩部(11f)は互いに相応する形状を有する。
【0113】
図20a~20eの第2実施例によれば、第2絶縁要素(10’)はそれぞれ第3絶縁要素(11’)上のリセス(11e)内部に、そして長さ方向コネクター(11a)の領域に配置される。この場合、第2絶縁要素(10’)の第2長さ方向面(10b’)は軸方向で長さ方向コネクター(11a)に接触し、第2絶縁要素(10’)の第2柵(10e’)の端部面は第3絶縁要素(11’)上のリング(11b)のリセス(11e)のベース面に、第2空洞部(16)を形成するように接触する。
【0114】
第2絶縁要素(10、10’)と第3絶縁要素(11、11’)間の第2空洞部(16)は第2絶縁要素(10、10’)の第2柵(10e、10e’)と長さ方向コネクター(11a)により、そしてリング(11b)の領域ではリセス(11e)の領域内のリング(11b)の壁により限定される。したがって、第2絶縁要素(10、10’)の第2要部(10f、10f’)及び第3絶縁要素(11、11’)のリセス(11e)により形成された、軸方向に延びる第2空洞部(16)は完全に閉鎖され、固定子(1、1’)の端部面(7、8)の方向で整列された端部においてのみ開放される。
【0115】
第2空洞部(16)は適切なポッティング材料(12)で埋められることができる。
【0116】
適切なエポキシ樹脂又は接着剤のようなポッティング材料(12)で空洞部(15、16)をポッティングすれば、それぞれ隣接するように配置された部品間にそれぞれ1つの追加接着又はポッティング結合又は多数の追加接着又はポッティング結合が形成されて、特に電気伝導性要素間の沿面距離が最小で延びる。したがって、特に固定子コア(2)の柵の端部面内部でリ-ド線(9)の潜在的沿面領域の完全な気密密封が達成される。
【0117】
絶縁装置により、リ-ド線(9)、特にコイル(3)又は磁気的に非活性である部分と等しい電気伝導性要素間の、又は固定子コア(2)に対する、又は電気モーターのハウジングに対する、要求される絶縁距離及び絶縁抵抗が電圧レベルによって沿面距離を増加させることによって保障される。
【符号の説明】
【0118】
1、1’:固定子
2:固定子コア
3:コイル
4:第1絶縁要素
4a:第1領域
4b:第2領域
5:長さ方向軸
6:カバー要素
6a:第1軸方向リング面、外壁
6b:半径方向リング面
6c:第2軸方向リング面、内壁
7:第1端部面
8:第2端部面
9:リ-ド線
10、10’:第2絶縁要素
10a、10a’:第2絶縁要素の第1長さ方向面
10b、10b’:第2絶縁要素の第2長さ方向面
10c、10c’:第2絶縁要素の第1柵
10d、10d’:第2絶縁要素の第1要部
10e、10e’:第2絶縁要素の第2柵
10f、10f’:第2絶縁要素の第2要部
10g:第2絶縁要素の溝
11、11’:第3絶縁要素
11a:ストラット、第3絶縁要素の長さ方向コネクター
11b:第3絶縁要素のリング
11c:第3絶縁要素の第1部分要素
11d:第3絶縁要素の第2部分要素
11e:第3絶縁要素のリセス
11f:第3絶縁要素のリセスの肩部
12:ポッティング材料
13、13’:収容要素
13a、13a’:収容要素の第1壁
13b、13b’:収容要素の第2壁
13c、13c’:第1壁の肩部
14:空間
15:第1空洞部
16:第2空洞部