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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】光学素子
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/02 20060101AFI20220114BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
G02B1/02
G02B3/00 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020173045
(22)【出願日】2020-10-14
(65)【公開番号】P2021177232
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2020-10-14
(31)【優先権主張番号】16/865,692
(32)【優先日】2020-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507296388
【氏名又は名称】采▲ぎょく▼科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】VisEra Technologies Company Limited
【住所又は居所原語表記】No.12,Dusing Rd.1, Hsinchu Science Park,Hsin-Chu City,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】林 國峰
(72)【発明者】
【氏名】謝 錦全
【審査官】植野 孝郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-197097(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0299337(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0095257(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0033683(US,A1)
【文献】特開2019-86765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 1/00- 1/08
G02B 3/00- 3/14
G02B 5/18
G02B 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の領域、および前記第1の領域を囲む第2の領域を有する光学素子であって、
基板、
前記基板上に配置され、前記第2の領域に複数の第1の周辺ピラーを有する第1のメタ構造、および
前記基板上に配置され、前記複数の第1の周辺ピラーに対応する複数の第2の周辺ピラーを有する第2のメタ構造を含み、
前記複数の第2の周辺ピラーのそれぞれは、前記光学素子の中心から前記光学素子の縁部への放射方向において、対応する前記複数の第1の周辺ピラーのうちの1つに対して第1のシフト距離を有する光学素子。
【請求項2】
前記基板は、第1の面および前記第1の面の反対側の第2の面を有し、前記第1のメタ構造は前記第1の面上に配置され、前記第2のメタ構造は前記第1のメタ構造上または前記第2の面上に配置される請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
2つの隣接する第1の周辺ピラーは、第1のピッチを有し、前記第1のシフト距離は、0より大きく、前記第1のピッチより小さい請求項1に記載の光学素子。
【請求項4】
前記第1のメタ構造は、前記第1の領域に複数の第1の中心ピラーをさらに有し、前記放射方向と平行な線に沿った光学素子の断面図では、前記複数の第1の中心ピラーの数は少なくとも8つであり、前記第1の領域の中心と前記第1の領域の縁部との間の距離は、4μmから250μmの間である請求項1に記載の光学素子。
【請求項5】
前記第1のメタ構造は、前記第1の領域に複数の第1の中心ピラーをさらに有し、前記放射方向と平行な線に沿った光学素子の断面図では、前記複数の第1の中心ピラーの数は少なくとも8つであり、前記第2のメタ構造は、前記第1の領域にピラーを有さない請求項1に記載の光学素子。
【請求項6】
前記第1のメタ構造は、前記第1の領域に複数の第1の中心ピラーをさらに有し、前記放射方向と平行な線に沿った光学素子の断面図では、前記複数の第1の中心ピラーの数は少なくとも8つであり、前記第2のメタ構造は、前記第1の領域に複数の第2の中心ピラーをさらに有し、前記複数の第2の中心ピラーは、前記複数の第1の中心ピラーに対応し、前記複数の第2の中心ピラーのそれぞれは、前記複数の第1の中心ピラーの対応する1つと位置合わせされる請求項1に記載の光学素子。
【請求項7】
前記第2のメタ構造は、前記第1のメタ構造上に、または前記基板と前記第1のメタ構造との間に配置され、前記光学素子は、
前記第1のメタ構造と前記第2のメタ構造との間に配置された保護層をさらに含み、前記保護層は、前記複数の第1の周辺ピラーの間、および前記複数の第2の周辺ピラーの間に配置される請求項1に記載の光学素子。
【請求項8】
前記光学素子に出射される光は、波長を有し、前記第1のメタ構造と前記第2のメタ構造との間の距離は、前記光の波長以上であり、前記光の波長の20倍以下である請求項7に記載の光学素子。
【請求項9】
前記保護層の屈折率と前記複数の第1の周辺ピラーのそれぞれの屈折率との差は、0.3以上、5.0以下であり、前記保護層の屈折率は、前記複数の第1の周辺ピラーのそれぞれの屈折率より小さく、前記保護層の材料は、PMMA、PDMS、PMP、SiO、MgO、Al、GeO、またはBeOを含む請求項7に記載の光学素子。
【請求項10】
前記保護層の屈折率と前記複数の第1の周辺ピラーのそれぞれの屈折率との差は、0.3以上、5.0以下であり、前記保護層の屈折率は、前記複数の第1の周辺ピラーのそれぞれの屈折率より大きく、前記保護層の材料は、SiN、TiO、SiH、GaN、HfO、GaP、InP、GaSe、PbTe、またはPbSeを含む請求項7に記載の光学素子。
【請求項11】
前記光学素子は、前記第2の領域を囲む第3の領域をさらに有し、前記複数の第2の周辺ピラーがさらに前記第3の領域に配置され、前記複数の第1の周辺ピラーがさらに前記第3の領域に配置され、前記第3の領域に配置される前記複数の第2の周辺ピラーに対応し、前記光学素子は、
前記基板上に配置され、前記第3の領域の前記複数の第2の周辺ピラーに対応する複数の第3の周辺ピラーを有する第3のメタ構造をさらに含み、
前記複数の第3の周辺ピラーのそれぞれは、前記放射方向において、対応する前記複数の第2の周辺ピラーのうちの1つに対して第2のシフト距離を有し、2つの隣接する第1の周辺ピラーは、第1のピッチを有し、前記第2のシフト距離は0より大きく、前記第1のピッチより小さい請求項1に記載の光学素子。
【請求項12】
前記光学素子は、前記第2の領域を囲む第3の領域をさらに有し、前記複数の第2の周辺ピラーがさらに前記第3の領域に配置され、前記複数の第1の周辺ピラーがさらに前記第3の領域に配置され、前記第3の領域に配置される前記複数の第2の周辺ピラーに対応し、前記光学素子は、
前記基板上に配置される第3のメタ構造、および
前記第1のメタ構造と前記第2のメタ構造との間、および前記第2のメタ構造と前記第3のメタ構造との間に配置された保護層をさらに含み、
前記第1のメタ構造は、前記基板と前記第2のメタ構造の間に配置され、前記第2のメタ構造は、前記第1のメタ構造と前記第3のメタ構造の間に配置され、前記第3のメタ構造は、前記第3の領域に前記複数の第2の周辺ピラーに対応する複数の第3の周辺ピラーを有し、前記複数の第3の周辺ピラーのそれぞれは、前記放射方向において、対応する前記複数の第2の周辺ピラーのうちの1つに対して第2のシフト距離を有する請求項1に記載の光学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子に関するものであり、特に、少なくとも2つのメタ構造を含む光学素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば、カラーフィルター、光集束レンズ、およびビームスプリッターなどの従来の光学レンズは、特定の機能を提供するために一緒に組み合わされる必要がある。また、色収差の影響(フルカラーイメージングアプリケーション(imaging applications)でのパフォーマンスを低下させる)を排除するために、設計者は、逆分散を持つ複数のレンズを統合する必要がある。これらの従来の光学レンズは、それらを使用する最終の装置を大きさせる可能性がある。
【0003】
近年、メタレンズと呼ばれる集束効果を有する薄型レンズが開発されている。メタレンズは、高屈折率材料を用いて光学位相を変化させるナノ構造を有する。この構造は、従来の光学レンズの体積と重量を大幅に改善する。
【0004】
しかしながら、既存のメタレンズはあらゆる点で満足できるものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
集光効率が向上され、画像の歪みが低減される、少なくとも2つのメタ構造を含む光学素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一般的なメタレンズ構造は、一定の(または固定された)ピッチサイズを有する有限の単位セルを有し、これにより、切断された位相図(truncated phase diagram)を生じ、集光効率を低下させる、または画像が歪む可能性がある。
【0007】
本開示の実施形態によれば、少なくとも2つのメタ構造を含む光学素子が提供される。いくつかの他の実施形態では、少なくとも1つのメタ構造が他のメタ構造に対してオフセットされており、これにより集光効率が向上されることができ、画像の歪みの可能性が効果的に低減されることができる。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態は、第1の領域、および第1の領域を囲む第2の領域を有する光学素子を含む。光学素子は基板を含む。光学素子は、基板上に配置され、第2の領域に複数の第1の周辺ピラーを有する第1のメタ構造も含む。光学素子は、基板上に配置され、複数の第1の周辺ピラーに対応する複数の第2の周辺ピラーを有する第2のメタ構造をさらに含む。第2の周辺ピラーのそれぞれは、光学素子の中心から光学素子の縁部への放射方向において、対応する第1の周辺ピラーに対して第1のシフト距離を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の実施形態の態様は、以下の詳細な説明および添付の図面を通じて明確に理解することができる。業界標準の慣行に従って、さまざまな特徴が縮尺通りに描かれておらず、説明の目的でのみ使用されていることに留意されたい。実際、さまざまな特徴の寸法は、明確に説明できるようにするために、任意に増加または減少されることがある。
図1図1は、本開示の一実施形態による光学素子を示す部分断面図である。
図2図2は、本開示のもう1つの実施形態による光学素子を示す部分断面図である。
図3図3は、本開示のもう1つの実施形態による光学素子を示す部分断面図である。
図4図4は、本開示のもう1つの実施形態による光学素子を示す部分断面図である。
図5図5は、本開示のもう1つの実施形態による光学素子を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次の開示では、異なる特徴を実施するために、多くの異なる実施形態または実施例を提供する。本開示を簡潔に説明するために、複数の要素および複数の配置の特定の実施形態が以下に述べられる。これらはもちろん単に例示するためであり、それに限定するという意図はない。例えば、下記の開示の第2の特徴の上方への第1の特徴の形成は、第1と第2の特徴が直接接触で形成される複数の実施形態を含むことができ、且つ第1と第2の特徴が直接接触でないように、付加的な特徴が第1と第2の特徴間に形成された複数の実施形態を含むこともできる。また、本開示は、複数の例において同じ構成要素の符号または文字を繰り返し用いる可能性がある。繰り返し用いる目的は、簡易化した、明確な説明を提供するためのもので、複数の以下に討論する実施形態および/または構成の関係を限定するものではない。
【0011】
例示された方法の前、間、または後に追加のステップを実施することができ、例示された方法の他の実施形態では、いくつかのステップが置き換えられるかまたは省略されることがあることを理解されたい。
【0012】
更に、「下の方」、「下方」、「下部」、「上方」、「上部」およびこれらに類する語のような、空間的に相対的な用語は、図において1つの要素または特徴の関係を別の(複数の)要素と(複数の)特徴で記述するための説明を簡潔にするために用いられる。空間的に相対的な用語は、図に記載された方向に加えて、使用または操作する装置の異なる方向を包含することを意図している。装置は、他に方向づけされてもよく(90度回転、または他の方向に)、ここで用いられる空間的に相対的な記述は、同様にそれに応じて解釈され得る。
【0013】
本開示では、「約」、「およそ」、および「実質的に」という用語は、一般的に、所定値の+/-20%を意味し、より一般的に、所定値の+/-10%を意味し、より一般的に、所定値の+/-5%を意味し、より一般的に、所定値の+/-3%を意味し、より一般的に、所定値の+/-2%を意味し、より一般的に、所定値の+/-1%を意味し、さらにより一般的に、所定値の+/-0.5%を意味する。本開示の所定値は、近似値である。即ち、「約」、「およそ」、および「実質的に」という用語の具体的な説明がないとき、所定値は、「約」、「およそ」、および「実質的に」の意味を含む。
【0014】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術的及び科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈における意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想化された又は過度に形式的な意味で解釈されない。
【0015】
本開示は、複数の例において同じ構成要素の符号または文字を繰り返し用いる可能性がある。繰り返し用いる目的は、簡易化した、明確な説明を提供するためのもので、複数の以下に討論する実施形態および/または構成の関係を限定するものではない。
【0016】
図1は、本開示の一実施形態による光学素子100を示す部分断面図である。図1では、簡潔にするために、いくつかの構成要素が省略される場合があることに留意すべきである。
【0017】
図1に示されるように、光学素子100は、第1の領域100-1と第2の領域100-2とに分割されることができ、第2の領域100-2は、第1の領域100-1を囲むことができる。いくつかの実施形態では、光学素子100の上面図は、半径Rを有する円形であることができ(即ち、光学素子100の中心から光学素子100の縁部までがRである)、第1の領域100-1の中心と第1の領域100-1の縁部との間の距離R1は、光学素子100の半径Rの1/3であることができる。例えば、距離R1は、約4μmと約250μmとの間であることができるが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0018】
図1に示すように、光学素子100は、第1の面10T、および第1の面10Tの反対側の第2の面10Bを有する基板10を含む。いくつかの実施形態では、基板10の材料は、酸化ケイ素(SiO)、約1.5の屈折率を有するポリマー(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメチルペンテン(PMP))、またはそれらの組み合わせを含むことができるが、本開示はこれに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、基板10は、半導体オンインシュレータ(SOI)基板であることができる。
【0019】
図1に示すように、光学素子100は、基板10上に配置された第1のメタ構造21を含む。より詳細には、第1のメタ構造21は、基板10の第1の面10T上に配置され、第1の領域100-1に複数の第1の中心ピラー211および第2の領域100-2に複数の第1の周辺ピラー212(212e)を有することができる。いくつかの実施形態では、第1の中心ピラー211の材料および第1の周辺ピラー212(212e)の材料は、単結晶シリコン、多結晶シリコン(ポリSi)、アモルファスシリコン、Si、GaP、TiO、AlSb、AlAs、AlGaAs、AlGaInP、BP、ZnGeP、任意の他の適用可能な材料、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1の中心ピラー211および第1の周辺ピラー212(212e)の上面は、円形の形状を有してもよく、円形の形状の直径は変わってもよい。例えば、円形状の直径は、約0.15μmから約0.30μmまで変わってもよいが、本開示はこれに限定されるものではない。さらに、第1の中心ピラー211および第1の周辺ピラー212(212e)の高さは約0.5μmであってもよいが、本開示はこれに限定されるものではない。第1の中心ピラー211および第1の周辺ピラー212(212e)の形状およびサイズは、必要に応じて調整されてもよい。
【0021】
図1に示すように、光学素子100は、基板10上に配置された第2のメタ構造22を含む。より詳細には、第2のメタ構造22は、基板10の第2の面10B上に配置され、複数の第2の周辺ピラー222(222e)を有することができる。この実施形態では、第2の周辺ピラー222(222e)は、第2の領域100-2に配置される。いくつかの実施形態では、第2の周辺ピラー222の材料は、第1の中心ピラー211の材料および第1の周辺ピラー212(212e)の材料と類似または同じであってもよく、詳細は本明細書では再度説明しない。
【0022】
図1に示すように、第1の周辺ピラー212(212e)は、第2の領域100-2の第2の周辺ピラー222(222e)に対応することができる。さらに、第2の周辺ピラー222(例えば、第2の周辺ピラー222e)のそれぞれは、光学素子100の中心から光学素子100の端部までの放射方向Dにおいて、対応する第1の周辺ピラー212(例えば、第1の周辺ピラー212e)に対して第1のシフト距離d1を有することができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、2つの隣接する第1の周辺ピラー212(または2つの隣接する第1の中心ピラー211)は、第1のピッチP1を有することができ、第1のシフト距離d1は、0より大きく、第1のピッチP1より小さいことができる(即ち、0<d1<P1)。例えば、第1のシフト距離d1はP1/2であることが好ましい。
【0024】
即ち、本開示の実施形態によれば、第2のメタ構造22は、光学素子100の第2の領域100-2において、第1のメタ構造21に対してオフセットされることができる。
【0025】
図1に示すように、放射方向Dと平行な線A-A’ に沿った光学素子100の断面図では、光学素子100の第1の領域100-1には、少なくとも8つの第1の中心ピラー211があることができる。例えば、光学素子100の第1の領域100-1には、32、20、16などの第1の中心ピラー211があることができるが、本開示は、これに限定されるものではない。
【0026】
一般に、従来の光学素子に光が照射されたとき、従来の光学素子の中心から離れた領域で位相切断(phase truncation)が生じ、集光効率を低下させる、または画像が歪む可能性がある。本開示の実施形態によれば、第2のメタ構造22は、光学素子100の第2の領域100-2(即ち、中心から離れた領域)において、第1のメタ構造21に対してオフセットされることができるため、位相切断が防止され、それにより、集光効率が向上され、画像の歪みの可能性が効果的に低減されることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、光は、第2のメタ構造22から光学素子100に入射し、第1のメタ構造21から出射することができるが、本開示はこれに限定されるものではない。さらに、図1に示された実施形態では、第2のメタ構造22は、光学素子100の第1の領域100-1にピラーを有さないが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0028】
図2は、本開示のもう1つの実施形態による光学素子102を示す部分断面図である。図2では、簡潔にするために、いくつかの構成要素が省略される場合があることに留意すべきである。
【0029】
図2に示すように、光学素子102は、第1の面10T、および第1の面10Tの反対側の第2の面10Bを有する基板10を含む。光学素子102は、基板10の第1の面10T上に配置された第1のメタ構造21も含み、第1のメタ構造21は、第1の領域102-1に複数の第1の中心ピラー211(211e)および第2の領域102-2に複数の第1の周辺ピラー212(212e)を有する。光学素子102は、基板10の第2の面10B上に配置された第2のメタ構造22’をさらに含み、第2のメタ構造22’は、第2の領域102-2に複数の第2の周辺ピラー222(222e)を有する。
【0030】
図1に示された光学素子100との相違点は、光学素子102の第2のメタ構造22’が、第1の領域102-1に複数の第2の中心ピラー221(221e)をさらに有してもよいことである。
【0031】
図2に示されるように、 いくつかの実施形態では、第2の中心ピラー221(221e)は、第1の領域102-1の第1の中心ピラー211(211e)に対応することができる。さらに、第2の中心ピラー221(例えば、第2の中心ピラー221e)のそれぞれは、第1の領域102-1の対応する第1の中心ピラー211(例えば、第1の中心ピラー211e)と位置合わせされることができる。
【0032】
同様に、第2の領域102-2において、第2の周辺ピラー222(例えば、第2の周辺ピラー222e)のそれぞれは、放射線方向Dにおいて、対応する第1の周辺ピラー212(例えば、第1の周辺ピラー212e)に対して第1のシフト距離d1を有することができる。また、図2に示されるように、2つの隣接する第1の周辺ピラー212(または第1の中心ピラー211)は、第1のピッチP1を有することができ、第1のシフト距離d1は、0より大きく、第1のピッチP1より小さいことができる(即ち、0<d1<P1)。例えば、第1のシフト距離d1はP1/2であることが好ましい。
【0033】
図3は、本開示のもう1つの実施形態による光学素子104を示す部分断面図である。図3では、簡潔にするために、いくつかの構成要素が省略される場合があることに留意すべきである。
【0034】
図3に示すように、光学素子104は、第1の面10T、および第1の面10Tの反対側の第2の面10Bを有する基板10を含む。光学素子104は、基板10の第1の面10T上に配置された第1のメタ構造21も含み、第1のメタ構造21は、第1の領域104-1に複数の第1の中心ピラー211(211e)および第2の領域104-2に複数の第1の周辺ピラー212(212e)を有する。光学素子104は、基板10上に配置された第2のメタ構造22をさらに含み、第2のメタ構造22は、第2の領域104-2に複数の第2の周辺ピラー222(222e)を有する。
【0035】
図1に示された光学素子100との相違点は、光学素子104の第2のメタ構造22も、基板10の第1の面10T上に配置されることができることである。即ち、光学素子104の第1のメタ構造21および第2のメタ構造22は、基板10の同じ側に配置されることができる。図3に示される実施形態では、第2のメタ構造22は、基板10と第1のメタ構造21との間に配置されるが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0036】
図3に示されるように、光学素子104は、第1のメタ構造21と第2のメタ構造22との間に配置された保護層30をさらに含むことができる。より詳細には、保護層30は、第1のメタ構造21の第1の中心ピラー211の間、および第1の周辺ピラー212(212e)の間に配置されることができ、保護層30は、第2のメタ構造22の第2の周辺ピラー222(222e)の間に配置されることもできるが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0037】
いくつかの実施形態では、第1のメタ構造21の第1の中心ピラー211および第1の周辺ピラー212(212e)の屈折率(または、第2のメタ構造22の第2の周辺ピラー222(222e)の屈折率) は、約1.8~約5.2(例えば、1.8)の間であることができ、保護層30の屈折率と、第1のメタ構造21の第1の周辺ピラー212(212e)(または第1の中心ピラー211)の屈折率(または、第2のメタ構造22の第2の周辺ピラー222(222e)の屈折率)との間の差は、0.3以上、5.0以下であることができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、保護層30の屈折率は、第1のメタ構造21の第1の周辺ピラー212(212e)(または第1の中心ピラー211)の屈折率(または、第2のメタ構造22の第2の周辺ピラー222(222e)の屈折率)より小さいことができる。例えば、保護層30の屈折率は、約1.2から約1.7の間であることができ、保護層30の材料は、有機材料(例えば、PMMA、PDMS、PMP)、SiO、MgO、Al、GeO、BeO、任意の他の適用可能な材料、またはそれらの組み合わせを含むことが好ましい。
【0039】
いくつかの実施形態では、保護層30の屈折率は、第1のメタ構造21の第1の周辺ピラー212(212e)(または第1の中心ピラー211)の屈折率(または、第2のメタ構造22の第2の周辺ピラー222(222e)の屈折率)より大きいことができる。例えば、保護層30の屈折率は、約2.0から約5.2の間であることが好ましく、保護層30の材料は、SiN、TiO、SiH、GaN、HfO、GaP、InP、GaSe、PbTe、PbSe、任意の他の適用可能な材料、またはそれらの組み合わせを含むことが好ましい。
【0040】
いくつかの実施形態では、光学素子104に出射される光は、λの波長を有することができ、第1のメタ構造21と第2のメタ構造22との間の距離d2は、光の波長λ以上であり、光の波長λの20倍以下である(即ち、λ<d2<20λ)ことが好ましい。
【0041】
同様に、第2の領域104-2において、第2の周辺ピラー222(例えば、第2の周辺ピラー222e)のそれぞれは、放射線方向Dにおいて、対応する第1の周辺ピラー212(例えば、第1の周辺ピラー212e)に対して第1のシフト距離d1を有することができる。また、図3に示されるように、2つの隣接する第1の周辺ピラー212(または第1の中心ピラー211)は、第1のピッチP1を有することができ、第1のシフト距離d1は、0より大きく、第1のピッチP1より小さいことができる(即ち、0<d1<P1)。例えば、第1のシフト距離d1はP1/2であることが好ましい。図3に示された実施形態では、第2のメタ構造22は、光学素子104の第1の領域104-1にピラーを有さないが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0042】
いくつかの他の実施形態では、光学素子104の第2のメタ構造22は、第2の中心ピラー(図示せず)も有することができる。さらに、第2の中心ピラーのそれぞれは、第1の領域104-1の対応する第1の中心ピラー211と位置合わせされることができる。
【0043】
図4は、本開示のもう1つの実施形態による光学素子106を示す部分断面図である。図4では、簡潔にするために、いくつかの構成要素が省略される場合があることに留意すべきである。
【0044】
図4に示すように、光学素子106は、基板10を含む。光学素子106は、基板10上に配置された第1のメタ構造21も含み、第1のメタ構造21は、第1の領域106-1に複数の第1の中心ピラー211および第2の領域106-2に複数の第1の周辺ピラー212を有する。光学素子106は、基板10上に配置された第2のメタ構造22をさらに含み、第2のメタ構造22は、第2の領域106-2に複数の第2の周辺ピラー222を有する。
【0045】
図3に示された光学素子104との相違点は、 光学素子106の第1のメタ構造21が基板10と第2のメタ構造22との間に配置されることであり、他の類似点はここでは再び説明されない。
【0046】
図5は、本開示のもう1つの実施形態による光学素子108を示す部分断面図である。図5では、簡潔にするために、いくつかの構成要素が省略される場合があることに留意すべきである。
【0047】
図5に示すように、図3に示された光学素子104との相違点は、光学素子108が、第1の領域108-1、第1の領域108-1を囲む第2の領域108-2、および第2の領域108-2を囲む第3の領域108-3に分割されることができ、光学素子108は、基板10上に配置された第3のメタ構造23をさらに含むことができ、且つ第3のメタ構造23は、第3の領域108-3に複数の第3の周辺ピラー233(233e)を有する。
【0048】
同様に、光学素子108は、基板10上に配置された第1のメタ構造21を含むことができ、第1のメタ構造21は、第1の領域108-1に複数の第1の中心ピラー211を有し、第2の領域108-2に複数の第1の周辺ピラー212を有する。光学素子108は、基板10上に配置された第2のメタ構造22も含むことができ、第2のメタ構造22は、第2の領域108-2に複数の第2の周辺ピラー222を有する。さらに、第1のメタ構造21の第1の周辺ピラー212は、第3の領域108-3にさらに配置されることができ、第2のメタ構造22の第2の周辺ピラー223(223e)は、第3の領域108-3にさらに配置されることができる。
【0049】
図5に示されるように、第1のメタ構造21は、基板10と第2のメタ構造22との間に配置され、第2のメタ構造22は、第1のメタ構造21と第3のメタ構造23との間に配置されるが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0050】
同様に、第2の領域108-2(および第3の領域108-3)において、第2の周辺ピラー222(223、223e)のそれぞれは、放射線方向Dにおいて、対応する第1の周辺ピラー212に対して第1のシフト距離を有することができる。
【0051】
この実施形態では、第3の領域108-3において、第3の周辺ピラー233(例えば、第3の周辺ピラー233e)のそれぞれは、放射線方向Dにおいて、対応する第2の周辺ピラー223に対して第2のシフト距離d3を有することができる。また、図5に示されるように、2つの隣接する第1の周辺ピラー212(または第1の中心ピラー211)は、第1のピッチP1を有することができ、第2のシフト距離d3は、0より大きく、第1のピッチP1より小さいことができる(即ち、0<d3<P1)。例えば、第2のシフト距離d3はP1/3であることが好ましい。
【0052】
即ち、本開示の実施形態によれば、第2のメタ構造22は、光学素子108の第2の領域108-2および第3の領域108-3において、第1のメタ構造21に対してオフセットされることができ、第3のメタ構造23は、光学素子108の第3の領域108-3の第2のメタ構造22に対してオフセットされることができる。
【0053】
図5に示されるように、光学素子108は、第1のメタ構造21と第2のメタ構造22との間、および第2のメタ構造22と第3のメタ構造23との間に配置された保護層30をさらに含むことができる。より詳細には、保護層30は、第1のメタ構造21の第1の中心ピラー211と第1の周辺ピラー212との間、第2のメタ構造22の第2の周辺ピラー222(223、223e)の間、および第3のメタ構造23の第3の周辺ピラー233(233e)の間に配置されることができるが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0054】
また、光学素子108に出射される光は、λの波長を有することができ、第1のメタ構造21と第2のメタ構造22との間の距離d2(または、第2のメタ構造22と第3のメタ構造23の間の距離)は、光の波長λ以上であり、光の波長λの20倍以下であること(即ち、λ<d2<20λ)が好ましい。
【0055】
要約すると、本開示の実施形態による光学素子は、光学素子の中心から離れた領域において、他のメタ構造に対してオフセットされた少なくとも1つのメタ構造を含むことができるため、位相切断が防止され、それにより、集光効率が向上され、画像の歪みの可能性が効果的に低減されることができる。
【0056】
前述の内容は、当業者が本開示の態様をよりよく理解できるように、いくつかの実施形態の特徴を概説している。当業者は、同じ目的を実行するため、および/または本明細書に導入される実施形態の同じ利点を達成するための他のプロセスおよび構造を設計または修正するための基礎として本開示を容易に使用できることを理解できるであろう。当業者はまた、そのような同等の構造が本開示の精神および範囲から逸脱せず、且つそれらは、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書で様々な変更、置換、および代替を行うことができることを理解するべきである。従って、保護の範囲は請求項を通じて決定される必要がある。さらに、本開示のいくつかの実施形態が上記に開示されているが、それらは、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0057】
本明細書全体にわたる特徴、利点、または同様の言語への言及は、本開示で実現され得る全ての特徴および利点が、本開示の任意の単一の実施形態で実現されるべきまたは実現され得ることを意味するのではない。むしろ、特徴および利点に言及する言語は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、利点、または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味すると理解される。従って、本明細書全体にわたる特徴および利点、ならびに類似の言語の議論は、必ずしもそうではないが、同じ実施形態を指すことがある。
【0058】
さらに、1つまたは複数の実施形態では、本開示の説明された特徴、利点、および特性は、任意の適切な方法で組み合わせることができる。当業者は、本明細書の説明に基づいて、特定の実施形態の1つまたは複数の特定の特徴または利点なしに本開示を実施できることを認識するであろう。他の例では、本開示の全ての実施形態に存在しない可能性がある、追加の特徴および利点が特定の実施形態において認識され得る。
【符号の説明】
【0059】
100、102、104、106、108 光学素子
100-1、102-1、104-1、106-1、108-1 第1の領域
100-2、102-2、104-2、106-2、108-2 第2の領域
108-3 第3の領域
10 基板
10T 第1の面
10B 第2の面
21 第1のメタ構造
211 第1の中心ピラー
212、212e 第1の周辺ピラー
22、22’ 第2のメタ構造
221、221e 第2の中心ピラー
222、222e、223、223e 第2の周辺ピラー
23 第3のメタ構造
233、233e 第3の周辺ピラー
30 保護層
A-A’線
D 放射方向
d1 第1のシフト距離
d2 第1のメタ構造と第2のメタ構造との間の距離
d3 第3のシフト距離
P1 第1のピッチ
R 半径
R1 距離
図1
図2
図3
図4
図5