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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】光子検出装置及び光子検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/42 20060101AFI20220114BHJP
   H01L 31/107 20060101ALI20220114BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
G01J1/42 H
H01L31/10 B
H01L31/10 G
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020535944
(86)(22)【出願日】2018-07-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 KR2018007849
(87)【国際公開番号】W WO2019050146
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】10-2017-0114816
(32)【優先日】2017-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519125449
【氏名又は名称】アイディー クワンティック ソシエテ アノニム
(73)【特許権者】
【識別番号】520079348
【氏名又は名称】ウリロ カンパニー、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、チャン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ベック、スー ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】パク、チュル ウー
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ソク ボム
【審査官】大河原 綾乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-243691(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0334434(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0133058(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1672509(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0048436(KR,A)
【文献】TOMITA, Akihisa,Balanced, gated-mode photon detector for quantum-bit discrimination at 1550nm,OPTICS LETTERS,2002年,Vol.27, No.20,p.1827-1829
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J1/00 - G01J1/60
H01L31/00 - H01L31/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光子を受信すると共にゲート信号の供給を受けて第1信号を出力する第1受光部;
上記光子の受信をすることなく上記ゲート信号の供給を受けて第2信号を出力する第2受光部;及び、
上記第1受光部から受信される第1信号と上記第2受光部から受信される第2信号とに基づいて上記光子が上記第1受光部で受信されたことを判断する判断部;を含み、
上記光子が受信された上記第1受光部の降伏電圧は上記第2受光部の降伏電圧よりも低く、
上記判断部は、
上記第2信号を位相反転し上記第1信号と合成して生成される信号に基づいて上記光子が上記第1受光部で受信されたことを判断し、
上記第1信号は、
上記光子の受信に起因する信号と上記第1受光部に起因する信号とを含み、
上記第2信号は、
上記第2受光部に起因する信号を含み、
上記第1受光部に起因する信号は、
上記第1受光部の静電容量に起因する第1静電容量性応答信号であり、
上記第2受光部に起因する信号は、
上記第2受光部の静電容量に起因する第2静電容量性応答信号であり、
上記第1静電容量性応答信号は上記第2静電容量性応答信号と実質的に同一である、光子検出装置。
【請求項2】
上記ゲート信号は、
活性化期間では第1電圧に維持され、上記活性化期間を除いた残りの非活性化期間では上記第1電圧よりも低い第2電圧に維持される請求項1に記載の光子検出装置。
【請求項3】
上記第1電圧は、
上記第1受光部の降伏電圧よりも高く上記第2受光部の降伏電圧よりも低いか、又は、上記第1受光部の降伏電圧及び上記第2受光部の降伏電圧よりも高い請求項2に記載の光子検出装置。
【請求項4】
上記第1受光部に含まれる増幅層と上記第2受光部に含まれる増幅層とは、互いに異なる厚さを有する請求項1に記載の光子検出装置。
【請求項5】
増幅層の厚さと降伏電圧の大きさが比例する場合、上記第2受光部に含まれる増幅層は、上記第1受光部に含まれる増幅層よりもさらに大きい厚さを有する請求項4に記載の光子検出装置。
【請求項6】
上記第1受光部に含まれる増幅層と上記第2受光部に含まれる増幅層とは、互いに異なる直径を有する請求項4に記載の光子検出装置。
【請求項7】
上記第2受光部に含まれる増幅層は、上記第1受光部に含まれる増幅層よりもさらに大きい直径を有する請求項6に記載の光子検出装置。
【請求項8】
上記第1受光部及び上記第2受光部が形成された基板を含む請求項1に記載の光子検出装置。
【請求項9】
上記第1受光部及び上記第2受光部は上記基板の第1面上に位置する請求項8に記載の光子検出装置。
【請求項10】
上記基板の第1面と対向する上記基板の第2面上に位置する遮断膜をさらに含む請求項9に記載の光子検出装置。
【請求項11】
上記遮断膜は、
上記第1受光部に対応するように位置する透過孔を含む請求項10に記載の光子検出装置。
【請求項12】
上記透過孔内に位置する反射防止膜をさらに含む請求項11に記載の光子検出装置。
【請求項13】
上記基板の第1面は、上記第1受光部と上記第2受光部との間の素子分離溝によって区分された第1領域及び第2領域を含み;
上記第1受光部は上記第1領域に位置し、上記第2受光部は上記第2領域に位置する請求項9に記載の光子検出装置。
【請求項14】
光子が受信され第1降伏電圧を有する第1受光部からゲート信号の供給による第1信号を受信する段階;
上記光子の受信をすることなく上記第1降伏電圧よりも高い第2降伏電圧を有する第2受光部から上記ゲート信号の供給による第2信号を受信する段階;及び、
上記第1信号と上記第2信号に基づいて上記光子が上記第1受光部で受信されたことを判断する段階;を含み、
上記判断する段階は、
上記第2信号を位相反転し上記第1信号と合成して生成される信号に基づいて上記光子が上記第1受光部で受信されたことを判断し、
上記第1信号は、
上記光子の受信に起因する信号と上記第1受光部に起因する信号とを含み、
上記第2信号は、
上記第2受光部に起因する信号を含み、
上記第1受光部に起因する信号は、
上記第1受光部の静電容量に起因する第1静電容量性応答信号であり、
上記第2受光部に起因する信号は、
上記第2受光部の静電容量に起因する第2静電容量性応答信号であり、
上記第1静電容量性応答信号は上記第2静電容量性応答信号と実質的に同一である、光子検出方法。
【請求項15】
上記ゲート信号は、
活性化期間では第1電圧に維持され、上記活性化期間を除いた残りの非活性化期間では上記第1電圧よりも低い第2電圧に維持される請求項14に記載の光子検出方法。
【請求項16】
上記第1電圧は、
上記第1受光部の降伏電圧よりも高く上記第2受光部の降伏電圧よりも低いか、又は、上記第1受光部の降伏電圧及び上記第2受光部の降伏電圧よりも高い請求項15に記載の光子検出方法。
【請求項17】
上記第1信号と上記第2信号に基づいて上記光子が上記第1受光部で受信されたことを判断する段階は、
上記第2信号を位相反転し上記第1信号と合成して生成される信号に基づいて上記光子が上記第1受光部で受信されたことを判断する請求項14に記載の光子検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光子検出装置及び光子検出方法に関し、特に高い光検出効率を有する光子検出装置及び光子検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報通信技術の高度化によって量子暗号通信技術が発展しているが、このような量子暗号通信技術では単一光子水準の微弱な光信号を検出する技術の重要性が増している。
【0003】
単一光子のように強さが微弱な光信号を検出するために単一光子検出装置(Single Photon Detector)が用いられる。このような単一光子検出装置の受光素子としてアバランシェフォトダイオード(Avalanche Photo Diode)が主に用いられる。
【0004】
単一光子検出装置のアバランシェフォトダイオードがガイガーモードで動作される場合、アバランシェフォトダイオードによってアバランシェ信号が発生することができる。
【0005】
このとき、アバランシェフォトダイオードから発生するアバランシェ信号がアバランシェフォトダイオードの静電容量性応答信号に比べて大きくない時にはアバランシェ信号だけを獲得(又は検出)するにあたって困難がある。
【0006】
単一光子検出装置でアバランシェ信号を検出することができない場合、単一光子のような強さの弱い光信号を検出することができなくなる問題が発生し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、高い光子検出効率を有する光子検出装置及び光子検出方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような目的を達成するための本発明の一実施例による光子検出装置は、ゲート信号の供給を受けて第1信号を出力する第1受光部;上記ゲート信号の供給を受けて第2信号を出力する第2受光部;及び、上記第1受光部から受信される第1信号と上記第2受光部から受信される第2信号とに基づいて光子を受信するか否かを判断する判断部;を含む。
【0009】
具体的に、光子が受信される上記第1受光部の降伏電圧は、上記第2受光部の降伏電圧よりも低くてもよい。
【0010】
具体的に、上記ゲート信号は、活性化期間では第1電圧に維持され、上記活性化期間を除いた残りの非活性化期間では上記第1電圧よりも低い第2電圧に維持されることができる。
【0011】
具体的に、上記第1電圧は、上記第1受光部の降伏電圧よりも高く上記第2受光部の降伏電圧よりも低くてもよく、又は上記第1受光部の降伏電圧及び上記第2受光部の降伏電圧よりも高くてもよい。
【0012】
具体的に、上記判断部は、上記第2信号を位相反転し上記第1信号と合成して生成される信号に基づいて光子を受信するか否かを判断することができる。
【0013】
具体的に、上記第1信号は、光子の受信に起因する信号と上記第1受光部に起因する信号とを含むことができ、上記第2信号は、上記第2受光部に起因する信号を含むことができる。
【0014】
具体的に、上記第1受光部に起因する信号は上記第1受光部の静電容量に起因する第1静電容量性応答信号であり得、上記第2受光部に起因する信号は上記第2受光部の静電容量に起因する第2静電容量性応答信号であり得、上記第1静電容量性応答信号は上記第2静電容量性応答信号と実質的に同一であり得る。
【0015】
具体的に、上記第1受光部に含まれる増幅層と上記第2受光部に含まれる増幅層とは、互いに異なる厚さを有することができる。
【0016】
具体的に、増幅層の厚さと降伏電圧の大きさが比例する場合、上記第2受光部に含まれる増幅層は、上記第1受光部に含まれる増幅層よりもさらに大きい厚さを有することができる。
【0017】
具体的に、上記第1受光部に含まれる増幅層と上記第2受光部に含まれる増幅層とは、互いに異なる直径を有することができる。
【0018】
具体的に、上記第2受光部に含まれる増幅層は、上記第1受光部に含まれる増幅層よりもさらに大きい直径を有することができる。
【0019】
具体的に、上記第1受光部及び上記第2受光部が形成された基板を含むことができる。
【0020】
具体的に、上記第1受光部及び上記第2受光部は、上記基板の第1面上に位置することができる。
【0021】
具体的に、上記基板の第1面と対向する上記基板の第2面上に位置する遮断膜をさらに含むことができる。
【0022】
具体的に、上記遮断膜は、上記第1受光部に対応するように位置する透過孔を含むことができる。
【0023】
具体的に、上記透過孔内に位置する反射防止膜をさらに含むことができる。
【0024】
具体的に、上記基板の第1面は、上記第1受光部と上記第2受光部との間の素子分離溝によって区分された第1領域及び第2領域を含むことができ、上記第1受光部は上記第1領域に位置することができ、上記第2受光部は上記第2領域に位置することができる。
【0025】
本発明の一実施例による光子検出方法は、光子が受信され第1降伏電圧を有する第1受光部からゲート信号の供給による第1信号を受信する段階;上記第1降伏電圧よりも高い第2降伏電圧を有する第2受光部から上記ゲート信号の供給による第2信号を受信する段階;及び、上記第1信号と上記第2信号に基づいて光子を受信するか否かを判断する段階;を含む。
【0026】
具体的に、上記ゲート信号は、活性化期間では第1電圧に維持されることができ、上記活性化期間を除いた残りの非活性化期間では上記第1電圧よりも高い第2電圧に維持されることができる。
【0027】
具体的に、上記第1電圧は、上記第1受光部の降伏電圧よりも高く上記第2受光部の降伏電圧よりも低くてもよく、又は上記第1受光部の降伏電圧及び上記第2受光部の降伏電圧よりも高くてもよい。
【0028】
具体的に、上記第1信号と上記第2信号に基づいて光子を受信するか否かを判断する段階は、上記第2信号を位相反転し上記第1信号と合成して生成される信号に基づいて光子を受信するか否かを判断することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明による光子検出装置及び光子検出方法により、高い光子検出効率で光子を検出する効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施例による光子検出装置を示した図面である。
図2図1のゲート信号発生部から出力されたゲート信号の波形を示した図面である。
図3】第1受光部から出力された第1信号の波形を示した図面である。
図4a図1の差動部の動作を説明するための図面である。
図4b図1の差動部の動作を説明するための図面である。
図5】互いに異なる降伏電圧を有する第1受光部及び第2受光部に印加されたゲート信号によるアバランシェ増幅の大きさを説明するための図面である。
図6】アバランシェフォトダイオードの増幅層の厚さによる降伏電圧の変化を示した特性曲線である。
図7a】本発明の図1の受光部の断面構造を示した図面である。
図7b図7aに示された矢印方向から受光部を見たときの第1増幅層及び第2増幅層の平面図である。
図8】本発明の一実施例による光子検出方法を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の利点及び特徴、並びにそれらを達成する方法は、添付図面と共に詳しく後述されている実施例を参照すれば明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示されている実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現され、ただ本実施例は本発明の開示を完全にし、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇によって定義されるだけである。よって、いくつかの実施例で、よく知られた工程段階、よく知られた素子構造及びよく知られた技術は、本発明が曖昧に解釈されることを避けるために具体的に説明しない。明細書全体にわたって同一の参照符号は同一の構成要素を指し示す。
【0032】
図面で色々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。明細書全体を通して類似の部分に対しては同一の図面符号を付した。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の“上に”あると言うとき、これは他の部分の“すぐ上に”ある場合だけではなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。反対に、ある部分が他の部分の“すぐ上に”あると言うときには、中間に他の部分がないことを意味する。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の“下に”あると言うとき、これは他の部分の“すぐ下に”ある場合だけではなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。反対に、ある部分が他の部分の“すぐ下に”あると言うときには、中間に他の部分がないことを意味する。
【0033】
空間的に相対的な用語である“下(below)”、“下(beneath)”、“下部(lower)”、“上(above)”、“上部(upper)”などは、図面に示されているように、一つの素子又は構成要素と異なる素子又は構成要素との相関関係を容易に記述するために使われることができる。空間的に相対的な用語は、図面に示されている方向に加えて、使用時又は動作時、素子の互いに異なる方向を含む用語として理解されなければならない。例えば、図面に示されている素子を裏返す場合、他の素子の“下(below)”又は“下(beneath)”と記述されている素子は、他の素子の“上(above)”に置かれることができる。よって、例示的な用語である“下”は、下と上の方向をいずれも含むことができる。素子は他の方向にも配向されることができ、これにより空間的に相対的な用語は配向によって解釈されることができる。
【0034】
本明細書において、ある部分が他の部分と連結されていると言うとき、これは、直接的に連結されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで電気的に連結されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を含むと言うとき、これは、特別にそれと反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0035】
本明細書において、第1、第2、第3などの用語は多様な構成要素を説明するのに使われることができるが、このような構成要素は上記用語によって限定されるものではない。上記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的で使われる。例えば、本発明の権利範囲から逸脱せず、第1構成要素が第2又は第3構成要素等と命名されることができ、同様に第2又は第3構成要素も交互的に命名されることができる。
【0036】
他の定義がなければ、本明細書で使用される全ての用語(技術及び科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者に共通に理解できる意味で用いられることができる。また、一般的に用いられる辞典に定義されている用語は、明白に特別に定義されていない限り理想的に又は過度に解釈されない。
【0037】
以下、図1乃至図7bを参照して本発明の光子検出装置を詳しく説明すれば、次の通りである。
【0038】
図1は、本発明の一実施例による光子検出装置を示した図面である。
【0039】
本発明の一実施例による光子検出装置は、図1に示されているように、受光部APD、ゲート信号発生部102及び判断部105を含む。
【0040】
受光部APDは、第1受光部APD1及び第2受光部APD2を含む。
【0041】
第1受光部APD1はアバランシェフォトダイオードを含むことができるが、これに限定されるものではなく、光子を検出するための素子を含むことができる。例えば、第1受光部APD1はアバランシェフォトダイオードであり得る。
【0042】
第2受光部APD2はアバランシェフォトダイオードを含むことができるが、これに限定されるものではなく、光子を検出するための素子を含むことができる。例えば、第2受光部APD2はアバランシェフォトダイオードであり得る。
【0043】
第1受光部APD1は第2受光部APD2に並列に接続される。
【0044】
例えば、第1受光部APD1と第2受光部APD2はそれぞれカソード電極とアノード電極を含むことができるが、第1受光部APD1のカソード電極及び第2受光部APD2のカソード電極は第1ノードn1に連結され、第1受光部APD1のアノード電極は第2ノードn2に連結され、第2受光部APD2のアノード電極は第3ノードn3に連結される。
【0045】
第1ノードn1はゲート信号発生部102に連結される。
【0046】
第2ノードn2は抵抗R1に連結される。例えば、第2ノードn2は抵抗R1の一側端子に連結されることができる。このとき、この抵抗R1の他側端子はグラウンド(ground)に連結される。
【0047】
第3ノードn3は抵抗R2に連結される。例えば、第3ノードn3は抵抗R3の一側端子に連結されることができる。このとき、この抵抗R2の他側端子はグラウンド(ground)に連結される。
【0048】
ゲート信号発生部102は、矩形波状のゲート信号GSを出力する。例えば、ゲート信号発生部102は、パルス状又は正弦波状のゲート信号GSを出力することができる。
【0049】
ゲート信号発生部102から出力されたゲート信号GSは、第1受光部APD1及び第2受光部APD2に供給される。
【0050】
具体的に、ゲート信号発生部102から出力されたゲート信号GSは、第1ノードn1を介して第1受光部APD1及び第2受光部APD2にそれぞれ印加されることができる。例えば、ゲート信号発生部102から出力されたゲート信号GSは、第1ノードn1を介して第1受光部APD1のカソード電極及び第2受光部APD2のカソード電極にそれぞれ印加されることができる。
【0051】
ゲート信号発生部102からのゲート信号GSにより第1受光部APD1及び第2受光部APD2のうち少なくとも一つはゲイティッドガイガーモード(gated Geiger mode;以下、ガイガーモード)で動作する。
【0052】
ゲート信号発生部102は、直流電圧源112及びパルス発生部111を含む。直流電圧源112は直流電圧Vdcを提供し、パルス発生部111はパルスPSを発生する。例えば、直流電圧源112は直流電圧Vdcとしてバイアス電圧を提供することができる。
【0053】
ゲート信号発生部102で生成されるゲート信号GSは、直流電圧Vdcを基準としてスイングするパルスPSであり得る。
【0054】
図2は、図1のゲート信号発生部102から出力されたゲート信号GSの波形を示した図面である。
【0055】
図2に示されているように、ゲート信号GSは、活性化期間Taの間、第1電圧Vghに維持され、その活性化期間Taを除いた残りの非活性化期間Tnaの間、第2電圧Vglに維持される。
【0056】
具体的に、ゲート信号GSは、活性化期間Taに直流電圧よりもさらに高い第1電圧Vghに維持され、非活性化期間Tnaの間、その第1電圧Vghよりもさらに低い第2電圧Vglに維持される。
【0057】
ここで、ゲート信号GSの第2電圧Vglは、上述の直流電圧Vdc、すなわちバイアス電圧に該当し得る。
【0058】
図2のVは、ゲート信号GSの振幅を意味する。そして、図2のΔVは、降伏電圧VBとゲート信号GSの第1電圧Vghとの間の差電圧の絶対値である。この差電圧ΔVはオーバーバイアス(over bias)電圧を意味する。
【0059】
図2のTgは、ゲート信号GSの一周期を意味する。
【0060】
外部からの光は、上述の活性化期間Taに受光部APDに入射される。例えば、活性化期間Taに光源から受光部APDに光子が入射されることができる。
【0061】
このとき、この光子は、第1受光部APD1及び第2受光部APD2のうちいずれか一つにだけ入射される。
【0062】
例えば、その光子は、第1受光部APD1に入射され、第2受光部APD2には入射されない場合がある。このような場合、光子の供給を受ける第1受光部APD1は主受光部APDと定義され、光子の供給を受けない第2受光部APD2は補助受光部APDと定義されることができる。
【0063】
外部からの光子は、ゲート信号GSが第1電圧Vghに維持される活性化期間Taに第1受光部APD1に入射するように制御されることができる。
【0064】
第1電圧Vghは第1受光部APD1の降伏電圧VBよりもさらに高い。第1電圧Vghが第1受光部APD1に印加されるとき、第1受光部APD1はガイガーモードで動作する。言い換えれば、活性化期間Taの間、第1受光部APD1はガイガーモードで動作する。
【0065】
ゲート信号GSは、数十メガヘルツMHz乃至数ギガヘルツGHzの周波数を有することができる。
【0066】
ガイガーモードの第1受光部APD1に光又は光子(例えば、単一光子)が入射してその第1受光部APD1にキャリア(電子-正孔対)が生成されると、電子又は正孔がその第1受光部APD1の増幅層に移動してアバランシェメカニズムにより増幅される。
【0067】
例えば、順方向バイアス時、アバランシェフォトダイオード(すなわち、第1受光部APD1)はその閾値電圧(例えば、約1.0V)以上でターンオン(Turn-on)される。
【0068】
反面、逆方向バイアス時、外部から印加した電圧が降伏電圧VB以上になると、アバランシェフォトダイオードのPN接合面で高い電界が形成される。このとき、光子の吸収によって発生した電子又は正孔が高い電界が印加された増幅層に注入されると、連続的なアバランシェ増幅(Avalanche impact ionization)過程を経て電流が増幅されるアヴァランシェ・ブレークダウン(Avalanche breakdown)が発生する。これにより、逆方向電流が急激に増加することになる。
【0069】
アバランシェフォトダイオードのガイガーモードでは逆バイアスが降伏電圧よりも高く光子検出がなされることができる。
【0070】
一方、アバランシェフォトダイオードは、逆バイアスが降伏電圧以下である場合にも光子を検出することができる。ただし、逆バイアスが降伏電圧以下の場合は、低利得及び線形的な光子検出特性を有する。すなわち、アバランシェフォトダイオードは、入射された光子の数に比例する光電流を生成する。
【0071】
しかし、アバランシェフォトダイオードは、ガイガーモードでは線形的な光検出特性を失ってしまう。ガイガーモードで、アバランシェフォトダイオードは線形特性を失ってしまう代わりに大きい利得を提供する。
【0072】
ガイガーモードで、アバランシェフォトダイオードは理論的には単一光子(Single photon)を検出して光電流を生成することができる。ここで、ガイガーモードでアバランシェフォトダイオードによって生成される光電流をガイガー電流と言う。
【0073】
したがって、ガイガーモードでは少ない個数の光子を検出しても相対的に大きい光電流が生成されることができるため、別途の複雑な低雑音増幅器(Low Noise Amplifier)なしでも光子が検出されることができる。
【0074】
一方、アバランシェフォトダイオードは外部から入射される光子がない場合も光子が探知されたときと同一の信号を出力することもでき、このような探知比率を暗計数発生確率(Dark Count Probability pre gate:DCP)と言う。
【0075】
暗計数で表されるアバランシェフォトダイオードの暗電流は、第一は熱励起による電子-正孔対の生成、第二は空乏領域でトンネル効果による電流発生、第三は以前に入って来た光によって生成された電荷が閉じこめられ次の逆バイアスによってアバランシェされる現象などにより発生する。
【0076】
このような単一光子検出装置で、アバランシェ現象の発生過程中に生成された電荷キャリア(Charge Carriers)のうちの一部はすぐに消滅しない。具体的に、アバランシェフォトダイオードがガイガーモードで動作する単一光子検出装置で、アバランシェ現象を通して生成された電荷キャリア(Charge Carriers)のうちの一部はアバランシェフォトダイオードの内部に残り得る。
【0077】
よって、アバランシェフォトダイオードの内部に残っている電荷キャリアは、次のゲート信号GSがそのアバランシェフォトダイオードに印加されるとき、アバランシェを発生させる。このような現象をアフターパルスノイズ(after pulse noise)効果と言う。
【0078】
アフターパルスノイズは量子情報通信において信号対雑音比を減少させ光子検出の高速動作の障害になる要因であるため、なるべくアフターパルス発生確率を低めるのが望ましい。
【0079】
アバランシェフォトダイオードのカソード電極にゲート信号GSの第1電圧Vghが印加されると、このアバランシェフォトダイオードはターンオンされ、このターンオンされたアバランシェフォトダイオードのアノード電極から信号が出力される。この信号は、そのアバランシェフォトダイオード固有の静電容量に起因する静電容量性応答信号を含む。この静電容量性応答信号はアバランシェ信号のバックグラウンド(background)信号として作用する。
【0080】
例えば、光子と第1電圧Vghの供給を受ける第1受光部APD1から出力された信号(以下、第1信号)は、アバランシェ信号及びその第1受光部APD1固有の静電容量性応答信号(以下、第1静電容量性応答信号)を含む。
【0081】
一方、第1電圧Vghの供給を受ける第2受光部APD2から出力された信号(以下、第2信号)は、その第2受光部APD2固有の静電容量性応答信号(以下、第2静電容量性応答信号)を含む。すなわち、第1受光部APD1とは異なり、光子の提供を受けない第2受光部APD2は、アバランシェ信号は出力せず、第2静電容量性応答信号のみを出力する。
【0082】
図3は、第1受光部APD1から出力された第1信号S1の波形を示した図面である。
【0083】
図3に示されているように、第1信号S1はアバランシェ信号Av及び第1静電容量性応答信号Cp1を含む。すなわち、第1受光部APD1には光子とゲート信号GSが印加されるため、第1受光部APD1から出力された第1信号S1はアバランシェ信号Av及び第1静電容量性応答信号Cp1を含むことになる。
【0084】
一方、図示されていないが、第2受光部APD2からの第2信号は第2静電容量性応答信号を含む。すなわち、上述のように、第2受光部APD2には光子が入力されないため、この第2受光部APD2に第1ゲート信号GSが印加されると、第2受光部APD2はその第2受光部APD2固有の静電容量に起因する静電容量性応答信号を出力する。
【0085】
アバランシェ信号のデジタル値は閾値Vthに基づいて決まる。
【0086】
例えば、図3に示されているように、アバランシェ信号Av1が閾値Vthよりも低いか同じ場合、そのアバランシェ信号Av1のデジタル値は0に決まる。その反面、図3に示されているように、アバランシェ信号Av2が閾値Vthよりもさらに高い場合、そのアバランシェ信号Av2のデジタル値は1に決まる。アバランシェ信号Av2のデジタル値が1に決まるとき、第1受光部APD1に光子が入射されたものと判断される。
【0087】
閾値Vthが低いほどより小さい大きさのアバランシェ信号も検出されることができ、この場合、より少ない個数の光子も検出することができる。
【0088】
しかし、この閾値Vthが第1静電容量性応答信号Cp1よりも低い場合は、アバランシェ信号と関係なく、第1静電容量性応答信号Cp1によって1のデジタル値が算出される場合がある。すなわち、第1受光部APD1に光子が入射されもしなかったにもかかわらず、1のデジタル値が算出される場合がある。
【0089】
このような誤動作を防止するために、閾値Vthは最小でも第1静電容量性応答信号Cp1よりもさらに大きくなければならない。しかし、閾値Vthが増加するためには、第1受光部APD1の増幅度が増加しなければならず、第1受光部APD1の増幅度が増加すると、上述のアフターパルスノイズが増加する問題点が発生する。
【0090】
第1受光部APD1と第2受光部APD2は実質的に同一の静電容量性応答特性を有する。すなわち、第1静電容量性応答信号Cp1は、第2静電容量性応答信号と実質的に同一である。例えば、第2静電容量性応答信号Cp2は、図3の第1静電容量性応答信号Cp1と同一であり得る。
【0091】
判断部105は、第1受光部APD1からの第1信号(すなわち、アバランシェ信号Av及び第1静電容量性応答信号Cp1)と第2受光部APD2からの第2信号(すなわち、第2静電容量性応答信号Cp2)に基づいて光子を受信するか否かを判断する。
【0092】
このような判断部105は、差動部103及び判別部104を含むことができる。
差動部103は、第1受光部APD1のアノード電極から第1信号を受信し、第2受光部APD2のアノード電極から第2信号を受信し、その第1信号と第2信号の差値を出力する。
【0093】
この差動部103の動作を図4a及び図4bを参照して説明する。
【0094】
図4a及び図4bは、図1の差動部103の動作を説明するための図面である。
【0095】
図4aに示されているように、差動部103は第2信号S2の位相を180度反転させ、その位相反転された第2信号S2と第1信号S1を合成する。
【0096】
上述のように、第1静電容量性応答信号Cp1と第2静電容量性応答信号Cp2が実質的に同一の大きさを有するため、第1信号S1と位相反転された第2信号S2が合成されると、第1信号S1のアバランシェ信号Avだけが検出される。
【0097】
すなわち、位相反転された第2信号S2の第2静電容量性応答信号Cp2は、第1静電容量性応答信号Cp1と大きさは同じであるが極性は相異するため、同一の大きさ(絶対値基準で同一の大きさ)の第1静電容量性応答信号Cp1と第2静電容量性応答信号Cp2の和は実質的に0である。したがって、図4bに示されているように、第1信号S1と位相反転された第2信号S2との合成によって生成された信号(すなわち、差動部103の出力信号)はアバランシェ信号Avである。
【0098】
このように本発明の一実施例による光源検出装置は、バックグラウンド信号である静電容量性応答信号を除去することができるため、低いバイアス条件下でも相対的に高い光検出効率を示す。また、ゲート信号GSの大きさが低くなり得るため、アフターパルスノイズ効果によるノイズも相当減らすことができる。
【0099】
上述の第1受光部APD1及び第2受光部APD2は互いに異なる基板上に位置することができる。例えば、第1受光部APD1は第1基板上に位置し、第2受光部APD2はその第1基板と異なる第2基板上に位置することができる。
【0100】
第1受光部APD1及び第1基板を含む構成要素を第1モジュールと定義し、第2受光部APD2及び第2基板を含む構成要素を第2モジュールと定義することができる。このように第1受光部APD1及び第2受光部APD2が互いに異なるモジュールに含まれる場合、第1受光部APD1の素子特性と第2受光部APD2の素子特性は相異し得る。この場合、第1受光部APD1の素子特性と第2受光部APD2の素子特性はチューニングによって同一に調整されることができる。
【0101】
一方、第1受光部APD1及び第2受光部APD2は同一の一つの基板上に位置することができる。例えば、第1受光部APD1及び第2受光部APD2はいずれも基板上に位置することができる。第1受光部APD1、第2受光部APD2及び基板は一つのモジュールに含まれることができる。このように第1受光部APD1及び第2受光部APD2が一つのモジュールに位置する場合、第1受光部APD1の素子特性と第2受光部APD2の素子特性は実質的に同一であるため、素子特性のチューニングが不要になり得る。
【0102】
一方、第1受光部APD1及び第2受光部APD2は、パターニングされたサブマウント(sub mount)上にハイブリッド(hybrid)方式で集積されることができる。このように第1受光部APD1及び第2受光部APD2がハイブリッド方式で製造される場合、容易なモジュール組み立てにより生産性の増加が可能である。
【0103】
第1受光部APD1及び第2受光部APD2は互いに異なる降伏電圧を有することができる。例えば、第2受光部APD2の降伏電圧は第1受光部APD1の降伏電圧よりもさらに高くてもよい。
【0104】
具体的に、光子が入射されない第2受光部APD2は、光子が入射される第1受光部APD1よりもさらに高い降伏電圧を有することができる。又は、光子が入射されない第2受光部APD2は、光子が入射される第1受光部APD1よりもさらに低い降伏電圧を有することができる。一つの例として、第2受光部APD2の降伏電圧は、第1受光部APD1の降伏電圧よりも0.1V~10Vさらに高くてもよい。
【0105】
このように第2受光部APD2の降伏電圧が第1受光部APD1の降伏電圧よりもさらに高い場合、同一の大きさのゲート信号GSが第1受光部APD1及び第2受光部APD2に印加されるとき、第1受光部APD1だけが選択的にガイガーモードで動作されることができる。
【0106】
言い換えると、第2受光部APD2の降伏電圧が第1受光部APD1の降伏電圧よりもさらに高い場合、同一の大きさのゲート信号GSに対して、第1受光部APD1はガイガーモードで動作する反面、第2受光部APD2はガイガーモードで動作しない場合がある。例えば、ゲート信号GSの大きさが第1受光部APD1の降伏電圧よりは高く第2受光部APD2の降伏電圧よりは低い場合、第1受光部APD1はガイガーモードで動作する反面、第2受光部APD2はガイガーモードで動作しない場合がある。
【0107】
この時、第1受光部APD1及び第2受光部APD2に印加されるゲート信号GSは、第1受光部APD1の降伏電圧及び第2受光部APD2の降伏電圧よりもさらに高くてもよい。又は、第1受光部APD1及び第2受光部APD2に印加されるゲート信号GSは、第1受光部APD1の降伏電圧よりもさらに高く第2受光部APD2の降伏電圧よりもさらに低くてもよい。
【0108】
これを図5を参照して具体的に説明すれば、次の通りである。
【0109】
図5は、互いに異なる降伏電圧を有する第1受光部APD1及び第2受光部APD2に印加されたゲート信号GSによるアバランシェ増幅の大きさを説明するための図面である。
【0110】
第1受光部APD1の降伏電圧がVB1であり、第2受光部APD2の降伏電圧がVB2である場合、ゲート信号GSの第1電圧VghはVB1及びVB2よりも高い。この場合、第1受光部APD1及び第2受光部APD2はいずれもガイガーモードで動作することになる。
【0111】
このとき、VB2がVB1よりもさらに高いため、VB1とゲート信号GSの第1電圧Vghとの差電圧ΔV1(すなわち、差電圧の絶対値)は十分に大きい反面、VB2とそのゲート信号GSの第1電圧Vghとの差電圧ΔV2(すなわち、差電圧の絶対値)は相当小さい。よって、第1受光部APD1のアバランシェ増幅は相当大きい反面、第2受光部APD2のアバランシェ増幅は相当小さい。言い換えると、第1受光部APD1はガイガーモードで動作するため、そのアバランシェ増幅は大きい反面、第2受光部APD2は第1受光部APD1のガイガーモードでの逆バイアス状態よりもさらに低い逆バイス状態で動作するため、第2受光部APD2のアバランシェ増幅は小さい。すなわち、第2受光部APD2のアバランシェ増幅は、ガイガーモードで動作する第1受光部APD1のアバランシェ増幅に比べて相当小さい。
【0112】
このように第2受光部APD2のアバランシェ増幅が小さいため、第2受光部APD2の暗計数発生確率は減少する。そして、第2受光部APD2の暗計数発生確率が減少するにつれて、この第2受光部APD2からのノイズパルスが減少する。第2受光部APD2からのノイズパルスは、第1受光部APD1の出力に影響を与え得るため、第2受光部APD2からのノイズパルスが減少すると、第1受光部APD1の出力の信頼性が向上することができる。
【0113】
また、第2受光部APD2のノイズパルスが減少すると、ゲート信号GSによる第2受光部APD2の出力はこの第2受光部APD2固有の静電容量性応答信号にさらに近接することができる。言い換えると、第2受光部APD2のノイズパルスが減少するにつれて、第2受光部APD2の出力からより正確な大きさ及び形態の静電容量性応答信号が検出されることができる。
【0114】
一方、第1受光部APD1の降伏電圧がVB1であり、第2受光部APD2の降伏電圧がVB2’である場合、ゲート信号GSの第1電圧VghはVB1よりも高く、VB2’よりも低い。言い換えると、V2B’はゲート信号GSの第1電圧Vghよりもさらに高い。よって、第1受光部APD1はガイガーモードで動作する反面、第2受光部APD2はガイガーモードで動作しない。
【0115】
この場合、ガイガーモードで動作しない第2受光部APD2から第2受光部APD2の静電容量性応答信号を確認することができる。一方、第1受光部APD1から出力される信号にはアバランシェ信号と第2受光部APD2の静電容量性応答信号が含まれる。第1受光部APD1の静電容量性応答信号と第2受光部APD2の静電容量性応答信号が実質的に同一である場合には、第1受光部APD1から出力される信号と第2受光部APD2から出力される信号を用いて第1受光部APD1から出力されるアバランシェ信号を検出することができる。
【0116】
図6は、アバランシェフォトダイオードの増幅層の厚さによる降伏電圧の変化を示した特性曲線である。
【0117】
図6の特性曲線で、X軸はアバランシェフォトダイオードの増幅層の厚さを表し、Y軸はアバランシェフォトダイオードの降伏電圧の大きさを表す。
【0118】
図6に示されているように、アバランシェフォトダイオードの増幅層の厚さが第1領域A1に位置するとき、そのアバランシェフォトダイオードの降伏電圧は増幅層の厚さに反比例する。言い換えると、特性曲線の第1領域A1でアバランシェフォトダイオードの降伏電圧は増幅層の厚さに反比例する。よって、この第1領域A1で増幅層の厚さが増加するほど降伏電圧は減少する。
【0119】
その反面、アバランシェフォトダイオードの増幅層の厚さが第2領域A2に位置するとき、そのアバランシェフォトダイオードの降伏電圧は増幅層の厚さに比例する。言い換えると、特性曲線の第2領域A2でアバランシェフォトダイオードの降伏電圧は増幅層の厚さに比例する。よって、この第2領域A2で増幅層の厚さが増加するほど降伏電圧は増加する。
【0120】
一般的に単一光子検出などに使用されるアバランシェフォトダイオードは、増幅層の厚さが第2領域A2に位置する場合、良い特性を示す。
【0121】
図6で、Tm1及びTm2は互いに異なる2個のアバランシェフォトダイオードの増幅層の厚さを示したものであり、これらTm1及びTm2は特性曲線の第2領域A2に位置する。例えば、Tm1は上述の第1受光部APD1の増幅層の厚さであり得、Tm2は上述の第2受光部APD2の増幅層の厚さであり得る。
【0122】
図6で、VB1はTm1に対応する降伏電圧を示し、VB2はTm2に対応する降伏電圧を示す。例えば、VB1は上述の第1受光部APD1の降伏電圧であり得、VB2は上述の第2受光部APD2の降伏電圧であり得る。
【0123】
このようにアバランシェフォトダイオードの降伏電圧の大きさは、そのアバランシェフォトダイオードに含まれた増幅層の厚さによって調節可能である。例えば、図5に示されているように、第1受光部APD1の増幅層の厚さ及び第2受光部APD2の増幅層の厚さがいずれも特性曲線の第2領域A2に含まれる場合、第2受光部APD2が第1受光部APD1よりもさらに大きい厚さの増幅層を有する場合に第2受光部APD2は第1受光部APD1よりもさらに高い降伏電圧を有することができる。このように、増幅層の厚さを通して第2受光部APD2が第1受光部APD1よりもさらに高い降伏電圧を有するようにすることにより、同一のゲート信号GSを通して第1受光部APD1だけが選択的にガイガーモードで動作できるようにすることが可能である。
【0124】
図7aは、本発明の図1の受光部APDの断面構造を示した図面であり、図7bは、図7aに示された矢印方向から受光部APDを見た時の第1増幅層707a及び第2増幅層707bの位置のみを示した平面図である。
【0125】
受光部APDは、図7a及び図7bに示されているように、基板700、第1導電層701a(conducting layer)、第2導電層701b、第1光吸収層702a(absorption layer)、第2光吸収層702b、第1グレーディング層703a(grading layer)、第2グレーディング層703b、第1電場調節層704a(field control layer)、第2電場調節層704b、第1ウィンドウ層705a(window layer)、第2ウィンドウ層705b、第1アノード電極709a、第2アノード電極709b、第1カソード電極710a、第2カソード電極710b、絶縁膜715、遮断膜800及び反射防止膜900(anti-reflection layer)を含むことができるが、これに限定されるものではなく、必要に応じて一部の層又は膜が選択的に除かれてもよい。
【0126】
基板700は、素子分離溝750によって定義された第1領域A1及び第2領域A2を含む。素子分離溝750は、基板700の互いに対向する2個の辺11、22の間に位置することができる。基板700の互いに対向する辺11、22をそれぞれ第1辺11及び第2辺22と定義すると、第1辺11及び第2辺22はx軸方向に互いに対向する。第1領域AA1は素子分離溝750と第1辺11との間に位置し、第2領域AA2は素子分離溝750と第2辺22との間に位置する。
【0127】
図示されていないが、本発明の受光部APDは素子分離溝750内に埋め立てられた素子分離膜をさらに含むことができる。素子分離膜は絶縁物質を含むことができる。
【0128】
基板700はn型InP(Indium Phosphide)を含む基板であり得る。また、基板700はInPを含む半絶縁(semi-insulating)基板であり得る。
【0129】
第1受光部APD1は基板700の第1領域AA1に位置し、また、第2受光部APD2は基板700の第2領域AA2に位置する。
【0130】
第1受光部APD1は、第1導電層701a、第1光吸収層702a、第1グレーディング層703a、第1電場調節層704a、第1ウィンドウ層705a、第1アノード電極709a及び第1カソード電極710aを含む。ここで、第1ウィンドウ層705aは、第1活性領域706a、第1増幅層707a(multiplication layer)及び第1ガードリング708a(guard ring)を含む。
【0131】
第2受光部APD2は、第1受光部APD1と同様に、第2導電層701b、第2光吸収層702b、第2グレーディング層703b、第2電場調節層704b、第2ウィンドウ層705b、第2アノード電極709b及び第2カソード電極710bを含む。ここで、第2ウィンドウ層705bは、第2活性領域706b、第2増幅層707b及び第2ガードリング708bを含む。
【0132】
第1導電層701a及び第2導電層701bは基板700上に位置する。例えば、第1導電層701aは基板700の第1領域AA1に位置し、第2導電層701bは基板700の第2領域AA2に位置する。具体的に、第1導電層701aは基板700の第1領域AA1と第1光吸収層702aとの間に位置し、第2導電層701bは基板700の第2領域AA2と第2光吸収層702bとの間に位置する。
【0133】
第1導電層701a及び第2導電層701bは、それぞれn型InPを含む導電層であり得る。
【0134】
第1及び第2光吸収層702a、702bは、外部から提供された光子(photon)をキャリア(carrier)、例えば電荷(electron)に変換する。
【0135】
第1光吸収層702aは第1導電層701a上に位置し、第2光吸収層702bは第2導電層701b上に位置する。具体的に、第1光吸収層702aは第1導電層701aと第1グレーディング層703aとの間に位置し、第2光吸収層702bは第2導電層701bと第2グレーディング層703bとの間に位置する。
【0136】
第1光吸収層702a及び第2光吸収層702bはそれぞれInGaAs(Indium Gallium Arsenide)を含む光吸収層であり得る。これとは異なり、第1光吸収層702a及び第2光吸収層702bはそれぞれInGaAsP(Indium Gallium Arsenide Phosphide)を含む光吸収層であり得る。
【0137】
第1グレーディング層703a及び第2グレーディング層703bは、第1及び第2光吸収層702a、702bからのキャリアが第1及び第2増幅層707a、707bにうまく伝達されることができるように、光吸収層702a、702bのエネルギバンドギャップ(energy band gap)と電場調節層704a、704bのエネルギバンドギャップとの間のエネルギバンドギャップを有する物質で構成される。
【0138】
第1グレーディング層703aは第1光吸収層702a上に位置し、第2グレーディング層703bは第2光吸収層702b上に位置する。具体的に、第1グレーディング層703aは第1光吸収層702aと第1電場調節層704aとの間に位置し、第2グレーディング層703bは第2光吸収層702bと第2電場調節層704bとの間に位置する。
【0139】
第1グレーディング層703aは、y軸に沿って垂直に積層された複数の層を含むことができる。
【0140】
第2グレーディング層703bは、y軸に沿って垂直に積層された複数の層を含むことができる。
【0141】
第1グレーディング層703a及び第2グレーディング層703bはそれぞれ複数のInGaAsPを含むグレーディング層であり得る。
【0142】
第1電場調節層704aは第1増幅層707aの電場を調節し、第2電場調節層704bは第2増幅層707bの電場を調節する。
【0143】
第1電場調節層704aは第1グレーディング層703a上に位置し、第2電場調節層704bは第2グレーディング層703b上に位置する。具体的に、第1電場調節層704aは第1グレーディング層703aと第1ウィンドウ層705aとの間に位置し、第2電場調節層704bは第2グレーディング層703bと第2ウィンドウ層705bとの間に位置する。
【0144】
第1電場調節層704a及び第2電場調節層704bはそれぞれn型InPを含む電場調節層であり得る。
【0145】
第1増幅層707a及び第2増幅層707bは、第1光吸収層702a及び第2光吸収層702bから伝達された電荷を増幅する。
【0146】
第1増幅層707aは第1電場調節層704a上に位置し、第2増幅層707bは第2電場調節層704b上に位置する。具体的に、第1増幅層707aは第1電場調節層704aと第1活性領域706aとの間に位置し、第2増幅層707bは第2電場調節層704bと第2活性領域706bとの間に位置する。
【0147】
図7aに示されているように、第2増幅層707bの厚さTm2は第1増幅層707aの厚さTm1よりもさらに大きい。
【0148】
また、図7bに示されているように、平面的に第1増幅層707a及び第2増幅層707bはそれぞれ円状を有することができ、このとき、第2増幅層707bの直径d2は第1増幅層707aの直径d1よりもさらに大きくてもよい。一方、第1増幅層707a及び第2増幅層707bは円状以外の他の形状を有してもよい。例えば、第1増幅層707a及び第2増幅層707bはそれぞれ楕円状を有してもよい。
【0149】
第1増幅層707aの厚さは、第1活性領域706aの拡散深さ、又はその第1活性領域706aへのイオン注入の深さ制御、又はエピ層(epitaxial layer)の厚さ制御を通して制御されることができる。
【0150】
第2増幅層707bの厚さは、第2活性領域706bの拡散深さ、又はその第2活性領域706bへのイオン注入の深さ制御、又はエピ層(epitaxial layer)の厚さ制御を通して制御されることができる。
【0151】
第1活性領域706aの拡散深さ及び第2活性領域706bの深さが異なれば、第1増幅層707aの厚さと第2増幅層707bの厚さが変わる。例えば、第2活性領域706bの深さが第1活性領域706aの深さよりも小さい場合、第2増幅層707bの厚さは第1増幅層707aの厚さよりもさらに大きくなる。
【0152】
第1受光部APD1の第1静電容量性応答信号Cp1と第2受光部APD2の第2静電容量性応答信号Cp2との間の偏差を最小化するためには、第1電場調節層704aと第1活性領域706aとの間の間隔 (以下、第1間隔)と第2電場調節層704bと第2活性領域706bとの間の間隔(以下、第2間隔)がほぼ同一に維持されるのが望ましい。しかし、上述のように、第2増幅層707bの厚さTm2が第1増幅層707aの厚さTm1よりもさらに大きい場合、第2間隔が第1間隔よりもさらに大きくなる。これにより、第2受光部APD2の静電容量が減って第1静電容量性応答信号Cp1と第2静電容量性応答信号Cp2との間の偏差が増加し得る。
【0153】
一方、第2増幅層707bの直径d2が増加する場合、上述の第2受光部APD2の静電容量が増加し得る。したがって、第2増幅層707bの厚さTm2の変化に合わせてその第2増幅層707bの直径d2が増加すると、第2間隔が第1間隔よりもさらに大きいにもかかわらず、第2受光部APD2の静電容量と第1受光部APD1の静電容量が実質的に同一に維持されることができる。結局、第2増幅層707bの厚さTm2及び直径d2が第1増幅層707aの厚さTm1及び直径d2よりもさらに大きい場合、第2静電容量性応答信号Cp2は第1静電容量性応答信号Cp1と実質的に同一の大きさを有することができる。
【0154】
第1増幅層707a及び第2増幅層707bはそれぞれn型InPを含む増幅層であり得る。
【0155】
第1活性領域706aは第1増幅層707a上に位置し、第2活性領域706bは第2増幅層707b上に位置する。
【0156】
第1活性領域706a及び第2活性領域706bはそれぞれp型InPを含む活性領域であり得る。
【0157】
第1ガードリング708aは、第1活性領域706aの外郭に電界が集中する電場のピークを減少させ、第2ガードリング708bは、第2活性領域706bの外郭に電界が集中する電場のピークを減少させる。
【0158】
第1ガードリング708aは第1活性領域706aを取り囲む。このために、第1ガードリング708aは、第1活性領域706aを取り囲む閉曲線又は環(ring)状を有することができる。
【0159】
第2ガードリング708bは、第2活性領域706bを取り囲む。このために、第2ガードリング708bは、第2活性領域706bを取り囲む閉曲線又は環状を有することができる。
【0160】
絶縁膜715は、第1ウィンドウ層705a、第2ウィンドウ層705b及び素子分離溝750上に位置する。
【0161】
絶縁膜715は、第1活性領域706a、第2活性領域706b、第1ウィンドウ層705a及び第2ウィンドウ層705bの一部を露出させるビアホールを有する。
【0162】
第1アノード電極709aは、第1活性領域706aを露出させるビアホールを介して第1活性領域706aに連結され、第2アノード電極709bは、第2活性領域706bを露出させるビアホールを介して第2活性領域706bに連結される。
【0163】
第1カソード電極710aは、第1ウィンドウ層705aを露出させるビアホールを介して第1ウィンドウ層705aに連結され、第2カソード電極710bは、第2ウィンドウ層705bを露出させるビアホールを介して第2ウィンドウ層705bに連結される。
【0164】
基板700の互いに対向する2個の面10、20をそれぞれ第1面10及び第2面20と定義する。第1面10及び第2面20はy軸方向に互いに対向する。上述の第1導電層701a及び第2導電層701bはその基板の第1面10上に位置する。そして、遮断膜800はその基板700の第2面20上に位置する。このとき、遮断膜800は、第1増幅層707aに対応するように位置する透過孔850を有する。言い換えると、遮断膜800は、第1領域AA1に対応するように位置する透過孔850を有する。
【0165】
遮断膜800は第2増幅層707bに重畳する。基板700の第2領域AA2は遮断膜800と第2増幅層707bとの間に位置する。
【0166】
この遮断膜800により、外部からの光又は光子は、第1受光部APD1及び第2受光部APD2のうち第1受光部APD1にだけ入射されることができる。
【0167】
反射防止膜900は透過孔850内に位置する。外部からの光又は光子は、透過孔850内の反射防止膜900を通して第1受光部APD1に提供される。
【0168】
一方、本発明の受光部APDは、第1アノード電極709aと第1活性領域706aとの間に位置するオーミックコンタクト層731a、第1カソード電極710aと第1ウィンドウ層705aとの間に位置するオーミックコンタクト層732a、第2アノード電極709bと第2活性領域706bとの間に位置するオーミックコンタクト層731b及び第2カソード電極710bと第2ウィンドウ層705bとの間に位置するオーミックコンタクト層732bのうち少なくとも一つをさらに含むことができる。
【0169】
以上のような本発明の一実施例による光子検出装置は、次のような効果を提供する。
【0170】
第一として、第2受光部は、光又は光子が入射される第1受光部よりもさらに高い降伏電圧を有する。したがって、同一の大きさのゲート信号に対して、第1受光部はガイガーモードで動作する反面、第2受光部はガイガーモードで動作しない。すなわち、第2受光部はガイガーモードでの逆バイアス状態よりもさらに低い逆バイアス状態で動作されるため、第2受光部のアバランシェ増幅は小さい。したがって、第2受光部の暗計数発生確率は減少し、これにより第2受光部からのノイズパルスが減少し、結局、このノイズパルスに影響を受ける第1受光部の出力の信頼性が向上することができる。
【0171】
第二として、第2受光部のノイズパルスが減少するため、第1受光部及び第2受光部が一つの同一の基板上に製造されることができる。したがって、第1受光部の特性及び第2受光部の特性が実質的に同一に維持されることができる。すなわち、第1受光部と第2受光部との間の特性偏差が最小化されることができる。
【0172】
第三として、第2受光部のノイズパルスが減少することにより、第2受光部からさらに正確な大きさ及び形態の静電容量性応答信号が検出されることができる。
【0173】
第四として、第1受光部の静電容量性応答信号と第2受光部の静電容量性応答信号が実質的に同一の特性を有するため、小さなアバランシェ増幅によって発生したアバランシェ信号も正確に検出されることができる。
【0174】
第五として、第1受光部のアバランシェ増幅を小さくしてもデジタル信号の検出が可能であるため、アフターパルスノイズが減少することができる。
【0175】
図8は、本発明の一実施例による光子検出方法を示した図面である。
【0176】
本発明の一実施例による光子検出方法は、光子が受信され第1降伏電圧を有する第1受光部APD1からゲート信号の供給による第1信号を受信する段階(S100)、上記第1降伏電圧よりも高い第2降伏電圧を有する第2受光部APD2から上記ゲート信号GSの供給による第2信号を受信する段階(S110);及び、上記第1信号と上記第2信号に基づいて光子を受信するか否かを判断する段階(S120);を含む。
【0177】
ゲート信号GSは、活性化期間では第1電圧に維持され、上記活性化期間を除いた残りの非活性化期間では上記第1電圧よりも低い第2電圧に維持されることができる。
【0178】
ゲート信号GSはゲート信号発生部102から出力されることができる。例えば、ゲート信号発生部102はパルス状又は正弦波状のゲート信号GSを出力することができる。
【0179】
ゲート信号発生部102から出力されたゲート信号GSは、第1受光部APD1及び第2受光部APD2に供給される。
【0180】
ゲート信号発生部102からのゲート信号GSによって第1受光部APD1及び第2受光部APD2のうち少なくとも一つはゲイティッドガイガーモード(gated geiger mode;以下、ガイガーモード)で動作する。
【0181】
第2受光部APD2の降伏電圧が第1受光部APD1の降伏電圧よりもさらに高い場合、同一の大きさのゲート信号GSが第1受光部APD1及び第2受光部APD2に印加されるとき、第1受光部APD1だけが選択的にガイガーモードで動作されることができる。
【0182】
言い換えると、第2受光部APD2の降伏電圧が第1受光部APD1の降伏電圧よりもさらに高い場合、同一の大きさのゲート信号GSに対して、第1受光部APD1はガイガーモードで動作する反面、第2受光部APD2はガイガーモードで動作しない場合がある。例えば、ゲート信号GSの大きさが第1受光部APD1の降伏電圧よりは高く第2受光部APD2の降伏電圧よりは低い場合、第1受光部APD1はガイガーモードで動作する反面、第2受光部APD2はガイガーモードで動作しない場合がある。
【0183】
第1受光部APD1からの第1信号(すなわち、アバランシェ信号Av及び第1静電容量性応答信号Cp1)と第2受光部APD2からの第2信号(すなわち、第2静電容量性応答信号Cp2)に基づいて光子を受信するか否かを判断する。
【0184】
第1静電容量性応答信号Cp1と第2静電容量性応答信号Cp2が実質的に同一の大きさを有するため、第1信号S1と位相反転された第2信号S2とが合成されると、第1信号S1のアバランシェ信号Avだけが検出される。
【0185】
すなわち、位相反転された第2信号S2の第2静電容量性応答信号Cp2は第1静電容量性応答信号Cp1と大きさは同じであるが極性は相異するため、同一の大きさ(絶対値基準で同一の大きさ)の第1静電容量性応答信号Cp1と第2静電容量性応答信号Cp2の和は実質的に0である。したがって、図4bに示されているように、第1信号S1と位相反転された第2信号S2との合成によって生成された信号(すなわち、差動部103の出力信号)はアバランシェ信号Avである。
【0186】
以上で説明した本発明は、上述の実施例及び添付の図面に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で多様な置換、変形及び変更が可能であることが本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとって明白であろう。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7a
図7b
図8