(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】ウォーターサーバー用ボトル
(51)【国際特許分類】
B65D 21/08 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
B65D21/08
(21)【出願番号】P 2020557465
(86)(22)【出願日】2018-11-28
(86)【国際出願番号】 JP2018043820
(87)【国際公開番号】W WO2020110235
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-04-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517169285
【氏名又は名称】プレミアムウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】中沢 毅
(72)【発明者】
【氏名】権正 岳洋
(72)【発明者】
【氏名】二木 三香子
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特許第5253085(JP,B2)
【文献】特許第3354279(JP,B2)
【文献】特開2008-007171(JP,A)
【文献】特開2000-107673(JP,A)
【文献】特開2010-126224(JP,A)
【文献】国際公開第2016/050977(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/065075(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の底部と、
前記底部の周縁から上方へ連続する角筒状の胴部と、
前記胴部の上端縁から中央部へ向かって上向きに傾斜している肩部と、
前記中央部から上方へ突出している首部と、
を備え、樹脂材料から成るウォーターサーバー用ボトルであって、
前記胴部は、上下方向に伸縮自在な蛇腹部を有し、
前記蛇腹部を平面視した際の4つの角部の各々の厚さは、前記蛇腹部の前記角部同士を繋ぐ4つの繋ぎ部の各々の厚さよりも小さく、
前記肩部の前記首部に近い位置での厚さは、前記肩部の前記首部から離れた位置での厚さよりも大きい、
ウォーターサーバー用ボトル。
【請求項2】
前記角部の角は、円弧状に形成されている、
請求項1に記載のウォーターサーバー用ボトル。
【請求項3】
前記角部の厚さは、0.05(mm)以上で、かつ0.11(mm)以下である、
請求項1又は2に記載のウォーターサーバー用ボトル。
【請求項4】
前記繋ぎ部の厚さは、0.09(mm)以上で、かつ0.16(mm)以下である、
請求項1又は2に記載のウォーターサーバー用ボトル。
【請求項5】
前記蛇腹部の厚さは、0.05(mm)以上で、かつ0.16(mm)以下である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のウォーターサーバー用ボトル。
【請求項6】
前記肩部の厚さは、前記首部から離れるにつれて漸次小さくなっている、
請求項1に記載のウォーターサーバー用ボトル。
【請求項7】
前記胴部は、前記蛇腹部の一端側と前記肩部を繋いでいる一端部と、前記蛇腹部の他端側と前記底部を繋いでいる他端部とを有し、
前記蛇腹部の厚さは、前記一端部及び前記他端部の厚さよりも小さい、
請求項1から6のいずれか1項に記載のウォーターサーバー用ボトル。
【請求項8】
前記蛇腹部の厚さは、前記肩部の厚さよりも小さい、
請求項1から7のいずれか1項に記載のウォーターサーバー用ボトル。
【請求項9】
前記肩部には、前記首部の周囲に放射状に配置され前記肩部から突出する複数のリブが設けられており、
前記リブの高さは、前記肩部の厚さよりも大きい、
請求項1から8のいずれか1項に記載のウォーターサーバー用ボトル。
【請求項10】
前記肩部と前記胴部の接続部は、曲面部となっており、
前記リブの長手方向の先端は、前記曲面部と繋がっている、
請求項9に記載のウォーターサーバー用ボトル。
【請求項11】
前記肩部には、前記首部の周囲に放射状
に配置され前記肩部から突出する複数のリブが所定間隔で設けられており、
前記肩部の前記リブが設けられていない部分の前記首部に近い位置での厚さは、前記首部から離れた位置での厚さよりも大きい、
請求項1から8のいずれか1項に記載のウォーターサーバー用ボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミネラルウォーター等の液体が充填されるウォーターサーバー用ボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
ウォーターサーバー用ボトルは、ウォーターサーバーに着脱可能に装着された状態で、内部のミネラルウォーターがウォーターサーバーを介して提供される。このようなウォーターサーバー用ボトルとして、矩形状の底部、角筒状の胴部、肩部及び首部を有するボトルが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液体が充填された上記ボトルは、ウォーターサーバーへの装着前に輸送されるおり、輸送時の損傷に起因する漏水等を抑制するために強度が求められる。また、上記ボトルでは、胴部に上下方向に伸縮可能な蛇腹部が設けられており、ウォーターサーバーに装着された状態では、ボトル内のミネラルウォーターが首部から排出されて減るにつれて蛇腹部が潰れていく構成となっている。
【0005】
ところで、蛇腹部の剛性が高い場合には、蛇腹部が適切に潰れずに、ボトル内のミネラルウォーターを適切に排出できないおそれがある。一方で、蛇腹部の剛性が低い場合には、角筒状の胴部を有するボトルの強度を適切に確保できないおそれがある。
【0006】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、蛇腹部が適切に潰れられると共に、胴部の強度を適切に確保できるウォーターサーバー用ボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様においては、矩形状の底部と、前記底部の周縁から上方へ連続する角筒状の胴部と、前記胴部の上端縁から中央部へ向かって上向きに傾斜している肩部と、前記中央部から上方へ突出している首部と、を備え、樹脂材料から成るウォーターサーバー用ボトルであって、前記胴部は、上下方向に伸縮自在な蛇腹部を有し、前記蛇腹部を平面視した際の4つの角部の各々の厚さは、前記蛇腹部の前記角部同士を繋ぐ4つの繋ぎ部の各々の厚さよりも小さい、ウォーターサーバー用ボトルを提供する。
【0008】
また、前記角部の角は、円弧状に形成されていることとしてもよい。
【0009】
また、前記角部の厚さは、0.05(mm)以上で、かつ0.11(mm)以下であることとしてもよい。
【0010】
また、前記繋ぎ部の厚さは、0.09(mm)以上で、かつ0.16(mm)以下であることとしてもよい。
【0011】
また、前記蛇腹部の厚さは、0.05(mm)以上で、かつ0.16(mm)以下であることとしてもよい。
【0012】
また、前記肩部の前記首部に近い位置での厚さは、前記肩部の前記首部から離れた位置での厚さよりも大きいこととしてもよい。
【0013】
また、前記肩部の厚さは、前記首部から離れるにつれて漸次小さくなっていることとしてもよい。
【0014】
また、前記胴部は、前記蛇腹部の一端側と前記肩部を繋いでいる一端部と、前記蛇腹部の他端側と前記底部を繋いでいる他端部とを有し、前記蛇腹部は、前記一端部及び前記他端部の厚さよりも小さいこととしてもよい。
【0015】
また、前記蛇腹部の厚さは、前記肩部の厚さよりも小さいこととしてもよい。
また、前記肩部には、前記首部の周囲に放射状上に前記肩部から突出する複数のリブが設けられており、前記リブの高さは、前記肩部の厚さよりも大きいこととしてもよい。
また、前記肩部と前記胴部の接続部は、曲面部となっており、前記リブの長手方向の先端は、前記曲面部と繋がっていることとしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、蛇腹部が適切に潰れられると共に、胴部の強度を適切に確保できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一の実施形態に係るサーバー用ボトル1の斜視図である。
【
図5】サーバー用ボトル1がサーバー100に装着された状態を説明するための模式図である。
【
図6】サーバー用ボトル1内のミネラルウォーターが減った際の状態を説明するための模式図である。
【
図7】底部10、肩部30、及び蛇腹部50の厚さの関係を説明するための模式図である。
【
図9】肩部30の厚さを説明するための模式図である。
【
図10】比較例に係るサーバー用ボトル900がサーバー100に装着された状態を説明するための模式図である。
【
図11】蛇腹52の厚さの測定結果と、強度及び残水の評価結果とを示す表である。
【
図12】肩部30の厚さの測定結果と、装着性及び残水の評価結果とを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<ボトルの概要>
本発明の一の実施形態に係るウォーターサーバー用ボトル(以下、サーバー用ボトルと呼ぶ)について、
図1~
図4を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、一の実施形態に係るサーバー用ボトル1の斜視図である。
図2は、サーバー用ボトル1の正面図である。
図3は、サーバー用ボトル1の底面図である。
図4は、サーバー用ボトル1の平面図である。
【0020】
サーバー用ボトル1は、中空ボトルであり、内部にミネラルウォーター等の液体が充填されている。サーバー用ボトル1がウォーターサーバー(以下、単にサーバーと呼ぶ)に装着された状態で、ボトル内のミネラルウォーターがサーバーを介してユーザに提供される。サーバー用ボトル1は、樹脂材料から成り、例えばブロー成形(中空成形とも呼ばれる)によって成形されている。樹脂材料としては、一例としてPET樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂)が用いられるが、これに限定されず他の樹脂であってもよい。
【0021】
サーバー用ボトル1は、上から見てほぼ正方形状となっている(
図4参照)。これにより、円形状のボトルに比べて、内部にミネラルウォーターを収容する容積を大きくすることができる。サーバー用ボトル1は、
図1に示すように、底部10と、胴部20と、肩部30と、首部40とを有する。
【0022】
底部10は、保管時等に、床面に接触する平面状の部分である。底部10は、ここでは
図3に示すように矩形状に形成されている。なお、底部10には、サーバー用ボトル1を上下反転した際にユーザが把持する取っ手が設けられていてもよい。
【0023】
胴部20は、
図2に示すように底部10の周縁から上方へ連続した胴体部分である。胴部20は、ここでは
図1に示すように角筒状に形成されている。
胴部20は、上下方向に伸縮可能な蛇腹部50を有する。蛇腹部50は、
図2に示すように、上下方向に沿って配列された複数の蛇腹52を含む。例えば、互いに繋がった複数の蛇腹52の各々が上下方向において潰れることで、蛇腹部50の高さが小さくなる(すなわち、胴部20が上下方向において縮む)。
【0024】
肩部30は、
図2に示すように、胴部20の上端縁から中央部31へ向かって上向きに傾斜している。具体的には、肩部30は、首部40へ向かって上向きに傾斜している。肩部30と胴部20の接続部は、曲面となっている。
【0025】
肩部30には、
図1に示すように、複数のリブ32が設けられている。複数のリブ32は、首部40の周囲に放射状に配置されている。すなわち、複数のリブ32は、肩部30の広い領域に配置されている。各リブ32は、それぞれ肩部30から所定量だけ突出するように形成されている。例えば、各リブ32は、半円形に隆起するように形成されている。各リブ32の高さは、肩部30の厚さよりも大きく、好ましくは肩部30の厚さの2倍よりも大きいことが望ましい。リブ32の高さを大きくすることで、肩部30の剛性を高められる。
また、中央部31側から放射状に配置された各リブ32の長手方向の先端は、肩部30と胴部20の接続部である曲面部35と繋がっている。本実施形態では、曲面部35の曲率半径を大きくしているため、リブ32の先端が曲面部35と繋がっている。このため、リブ32の先端部も曲面部35に沿って曲がっている(
図2参照)。曲面部35の曲率半径を大きくすることで、曲率半径が小さい場合に比べて、ブロー成形時に曲面部35の厚さを大きくできるので、曲面部35の強度を高められる。この結果、例えばサーバー用ボトル1の輸送時に曲面部35にピンホール(小孔)が発生することを抑制できるので、ピンホールからの水漏れを防止できる。
【0026】
首部40は、
図1に示すように、肩部30の中央部31から上方へ突出している。首部40は、ここでは円筒状に形成されている。首部40は、ボトル内にミネラルウォーターを充填する際や、内部のミネラルウォーターを排出する際の流路として機能する。また、首部40は、サーバー用ボトル1をサーバーに装着する際の装着部として機能する。なお、首部40には連通孔が形成されているが、当該連通孔を密封するためのキャップが着脱可能に取り付けられている。
【0027】
上述したサーバー用ボトル1は、サーバーに着脱可能に取り付けられる。
図5は、サーバー用ボトル1がサーバー100に装着された状態を説明するための模式図である。
図5には、サーバー用ボトル1内のミネラルウォーターが消費される前の液面Lが示されている。サーバー用ボトル1は、上下を反転させた状態で、サーバー100に装着される。
【0028】
サーバー100は、
図5に示すように、支持部110と、パイプ120とを有する。
支持部110は、サーバー用ボトル1を支持する。例えば、支持部110は、サーバー用ボトル1の肩部30に接触して支持する。支持部110の中央には、凹部112が形成されており、凹部112にサーバー用ボトル1の首部40が装着される。
【0029】
パイプ120は、凹部112の底面から上方へ突出するように棒状に設けられており、サーバー用ボトル1内のミネラルウォーターを受ける受水棒である。パイプ120内は、受水したミネラルウォーターが流れる流路となっている。パイプ120は、首部40が凹部112に装着された際に、首部40の連通孔42から首部40内へ挿入されて、首部40と嵌合する。なお、パイプ120は、先端に向かって直径が小さくなるようにテーパー形状になっている。
【0030】
図6は、サーバー用ボトル1内のミネラルウォーターが減った際の状態を説明するための模式図である。サーバー100に装着された状態でボトル内のミネラルウォーターが消費されていくと、サーバー用ボトル1は大気圧やサーバー100からの負圧によって押し潰されていく。具体的には、サーバー用ボトル1内のミネラルウォーターが首部40から排出されて減るにつれて、蛇腹52が潰れていく。なお、
図5及び
図6では、説明の便宜上、肩部30のリブ32が省略されている。
【0031】
ところで、ミネラルウォーターが充填されたサーバー用ボトル1は、サーバー100への装着前に輸送等されており、輸送時の損傷が発生することがある。例えば、輸送時のサーバー用ボトル1が他の物体との接触等によってピンホール(小孔)が発生し、当該ピンホールから漏水するおそれがある。このため、ピンホール等の損傷を抑制するために、ボトルの強度が求められる。
また、サーバー用ボトル1では、蛇腹部50(具体的には、蛇腹52)の剛性を適切に調整することが望ましい。すなわち、蛇腹部50の剛性が高い場合には、蛇腹部50の蛇腹52が適切に潰れずに、サーバー用ボトル1内のミネラルウォーターを適切に排出できないおそれがある。一方で、蛇腹部50の剛性が低い場合には、角筒状の胴部20の強度を適切に確保できないおそれがある。
これに対して、本実施形態のサーバー用ボトル1は、詳細は後述するが、蛇腹部50の厚さを調整することで、蛇腹部50が適切に潰れられると共に胴部20の強度を適切に確保している。
【0032】
<蛇腹部50の詳細構成について>
蛇腹部50の詳細構成について、
図7及び
図8を参照しながら説明する。
【0033】
図7は、底部10、肩部30、及び蛇腹部50の厚さの関係を説明するための模式図である。
図7では、説明の便宜上、肩部30のリブ32が省略されている。本実施形態では、サーバー用ボトル1全体の厚さは均一ではなく、蛇腹部50の厚さは、底部10及び肩部30の厚さとは異なる。具体的には、蛇腹部50の厚さt1は、底部10の厚さt2と肩部30の厚さt3よりも小さい。例えば、蛇腹部50の厚さt1は、0.05(mm)以上で、かつ0.16(mm)以下である。上記のように蛇腹部50の厚さを調整することで、蛇腹部50が適切に潰れることができるので、サーバー用ボトル1内の残水が多くなることを抑制できる。また、底部10及び肩部30の剛性が高いことでサーバー用ボトル1の強度が高くなり、例えばピンホールの発生を抑制できるので、漏水の発生を抑制できる。
【0034】
蛇腹部50は、上下方向において胴部20の中央側に位置している。そして、胴部20は、蛇腹部50の一端側と肩部30を繋いでいる一端部22と、蛇腹部50の他端側と底部10を繋いでいる他端部23とを有する。そして、蛇腹部50の厚さt1は、一端部22の厚さt21及び他端部23の厚さt22よりも小さい。すなわち、胴部20の厚さも部分によって異なる。
【0035】
サーバー用ボトル1は、前述したようにブロー成形で成形されているが、例えば金型の形状、プリフォームの形状、プリフォームへの空気の吹込み条件等を調整することで、蛇腹部50の厚さt1を底部10及び肩部30の厚さよりも小さくしている。なお、底部10の厚さt3は、肩部30の厚さt4と同じ大きさでもよい。
【0036】
蛇腹部50は、
図7に示すように、複数(例えば6個)の蛇腹52を上下方向に積層した構成となっている。複数の蛇腹52の構成は、それぞれ同じである。蛇腹52は
図8に示すように環状に形成されているが、蛇腹52全体の厚さは均一ではない。
【0037】
図8は、
図2のA-A断面図であり、蛇腹52の厚さを説明するための図である。蛇腹52を平面視した際に、蛇腹52は、4つの角部52aと、4つの繋ぎ部52bで構成される。なお、6個の蛇腹52の構成は同様であるので、以下では一の蛇腹52を例に挙げて説明する。
【0038】
角部52aは、蛇腹52の四隅の角の部分(
図8で破線の円で囲んだ部分)である。角部52aは、略90度に曲がっており、円弧状に形成されている。角部52aの厚さは、例えば0.05(mm)~0.11(mm)の範囲内である。好ましくは、角部52aの厚さは、0.05(mm)以上0.10(mm)未満である。
【0039】
繋ぎ部52bは、角部52a同士を繋いでいる部分である。繋ぎ部52bは、略直線状になっている。繋ぎ部52bの厚さは、例えば0.09(mm)~0.16(mm)の範囲内である。好ましくは、繋ぎ部52bの厚さは、0.10(mm)以上0.16(mm)以下である。
【0040】
角部52aの厚さt11は、繋ぎ部52bの厚さt12と異なる。具体的には、角部52aの厚さt11が繋ぎ部52bの厚さt12よりも小さくなるように、上述した範囲内で設定されている。一方で、角部52aの厚さt11は、繋ぎ部52bの厚さt12の1/2よりは大きい。上記のように角部52aの厚さt11を繋ぎ部52bの厚さt12よりも小さくすることで、略90度に曲がっている角部52aの剛性と、略直線状に伸びている繋ぎ部52bの剛性とが同じようになり、ボトル内のミネラルウォーターが排出される際に蛇腹52が潰れやすくなる。一方で、繋ぎ部52bの厚さを大きくしておくことで、繋ぎ部52bの剛性の低下を抑制でき、蛇腹52を含めた胴部20全体の強度を確保することができる。
【0041】
<肩部30の詳細構成について>
肩部30の詳細構成について、
図9を参照しながら説明する。
【0042】
図9は、肩部30の厚さを説明するための模式図である。本実施形態では、肩部30全体の厚さは、均一ではなく、首部40からの位置に応じて異なる。肩部30の中央部31に近い位置での厚さは、肩部30の中央部31から離れた位置での厚さよりも大きい。すなわち、
図9に示すように、中央部31から距離L1の位置での肩部30の厚さt41は、中央部31から距離L2の位置での肩部30の厚さt42よりも大きい。厚さt41は、例えば厚さt42の2倍以上の大きさである。
【0043】
肩部30の厚さは、中央部31から離れるにつれて漸次小さくなっており、中央部31を中心とした同心円上では同じ大きさである。肩部30の厚さは、段階的に小さくなってもよい。なお、肩部30に形成された複数のリブ32(
図4)の厚さも、中央部31に近いと大きくなっており、中央部31から離れると小さくなっている。
【0044】
上記のように肩部30の厚さを設定することで、肩部30の剛性(特に、肩部30の中央部31側の部分の剛性)を高めることができる。また、本実施形態では、リブ32の高さを高くし、またリブ32を肩部30のほぼ全領域に所定間隔で複数設けていることで、肩部30の剛性をより高めている。これにより、例えばサーバー用ボトル1を上下反転してボトル内のミネラルウォーターの荷重が肩部30に作用しても、荷重に起因する肩部30の変形を抑制できる。そして、肩部30の変形を抑制することで、首部40の倒れも抑制できるので、首部40をサーバー100の所望の位置に適切に装着させることができる(すなわち、装着性が良い)。
肩部30が変形すると、ボトル内のミネラルウォーターが消費される際に、肩部30の変形した箇所(例えば端の部分)にミネラルウォーターが溜まってしまい、残水量が多くなるおそれがある。これに対して、本実施形態のように肩部30の変形を抑制することで、残水量が多くなることを抑制できる。
【0045】
図10は、比較例に係るサーバー用ボトル900がサーバー100に装着された状態を説明するための模式図である。比較例のサーバー用ボトル900においては、肩部930の厚さが小さいため、肩部930の剛性が低い。そして、サーバー用ボトル900の装着時にパイプ120を首部940に挿入する際の挿入抵抗が大きいと、肩部930が変形して
図10に示すように反ってしまう。この場合、首部940がサーバー100に対して所定位置まで差し込まれずに浮いた状態となり(すなわち、装着性が悪い)、首部940がパイプ120と適切に嵌合していない。前述したようにパイプ120は先端に向かって直径が小さいテーパー形状となっているため、首部940のパイプ120に対する嵌合が不十分だと、パイプ120と首部940の嵌合部分からボトル内のミネラルウォーターが漏れてしまうおそれがある。また、
図10に示すように肩部930が凹むように沿っている場合には、肩部930と胴部920の接続部にミネラルウォーターが溜まりやすくなり、残水量が多くなってしまう。
【0046】
これに対して、本実施形態の場合には、肩部30の剛性が高いため、肩部30の変形を抑制できる。これにより、
図10に示すように反ることを抑制できるので、前述した
図5に示すように首部40が所定位置まで差し込まれてパイプ120と適切に嵌合する(すなわち、首部40の装着性が良い)。これにより、サーバー用ボトル1がサーバー100に装着された際にボトル内のミネラルウォーターが漏れることを抑制でき、また、残水量が多くなることを抑制できる。
【0047】
<測定結果及び評価結果について>
蛇腹52の厚さが、サーバー用ボトル1の強度と、サーバー用ボトル1内の残水に与える影響について、
図11を参照しながら説明する。
【0048】
図11は、蛇腹52の厚さの測定結果と、強度及び残水の評価結果とを示す表である。ここでは、9本のボトルA~Iが用いられており、それぞれ蛇腹52(具体的には、角部52a及び繋ぎ部52b)の厚さが異なる。表に示すように、ボトルAの蛇腹52の厚さが最も小さく、ボトルB、・・、ボトルIの順に蛇腹52の厚さが大きくなっている。また、蛇腹52の繋ぎ部52bの厚さt12は、ここでは、角部52aの厚さt11の約1.5~2倍である。
【0049】
強度評価は、ボトルA~Iの輸送時の損傷(具体的にはピンホール)の発生の有無によって、ボトルA~Iの強度を評価するものである。強度評価において、ボトルA~Iの輸送時に損傷していない場合には「○」とし、輸送時に損傷している場合には「×」としている。残水評価は、ボトルA~I内のミネラルウォーターを消費した際の残水量が、充填量の所定割合(例えば1.25%)を超えているか否かによって評価するものである。残水評価において、残水量が充填量の所定割合未満である場合には「○」とし、残水量が所定割合以上である場合には「×」としている。
【0050】
図11の表を見ると分かるように、強度評価で合格レベルのボトルは、ボトルC~Iであり、これらのボトルの蛇腹52の厚さは0.05(mm)以上である。残水評価で合格レベルのボトルは、ボトルA~Gであり、これらのボトルの蛇腹52の厚さは0.16(mm)以下である。そして、強度評価及び残水評価の両方の水準を満たすボトルは、ボトルC~Gであり、これらのボトルの蛇腹52の厚さは、0.05(mm)以上で、かつ0.16(mm)以下である。より好ましくは、蛇腹52の厚さは、0.05(mm)以上で、かつ0.14(mm)以下が好適である。
【0051】
次に、肩部30の厚さが、サーバー用ボトル1のサーバー100への装着性と、サーバー用ボトル1内の残水に与える影響について、
図12を参照しながら説明する。
【0052】
図12は、肩部30の厚さの測定結果と、装着性及び残水の評価結果とを示す表である。ここでは、6本のボトルA~Fが用いられており、それぞれ肩部30の厚さが異なる。表に示すように、ボトルAの肩部30の厚さが最も小さく、ボトルB、・・、ボトルFの順に肩部30の厚さが大きくなっている。また、肩部30の厚さは、中央部31からの距離が30(mm)、55(mm)、80(mm)の位置で測定されている。
【0053】
装着性評価は、ボトルA~Fをサーバー100に装着した際に首部40が支持部110の凹部112に適切に嵌合しているか否かによって評価するものである。首部40が凹部112に適切に嵌合する場合には「○」とし、肩部30の変形等に起因して首部40が凹部112に適切に嵌合しない場合には「×」としている。残水評価は、ボトルA~F内のミネラルウォーターを消費した際の残水量が、充填量の所定割合(例えば1.25%)を超えているか否かによって評価するものである。残水評価において、残水量が充填量の所定割合未満である場合には「○」とし、残水量が所定割合以上である場合には「×」としている。
【0054】
図12の表を見ると分かるように、装着性評価で合格レベルのボトルは、ボトルB~Fである。また、残水評価で合格レベルのボトルは、ボトルC~Fである。今回の測定・評価結果から、装着性及び残水が良好であるためには、中央部31からの距離が30(mm)の位置の肩部30の厚さが0.43(mm)以上であり、距離が55(mm)の位置の肩部30の厚さが0.23(mm)以上であり、距離が80(mm)の位置の肩部30の厚さが0.16(mm)以上であることが望ましい。
【0055】
<本実施形態における効果>
上述したサーバー用ボトル1において、角筒状(平面視した際に矩形状)の胴部20は、上下方向に伸縮可能な蛇腹部50を有する。そして、蛇腹部50(具体的には、上下方向に並んだ複数の蛇腹52)の4つの角部52aの厚さt11は、角部52a同士を繋ぐ繋ぎ部52bの各々の厚さt12よりも小さい。
上記のように角部52aの厚さt11を繋ぎ部52bの厚さt12よりも小さくすることで、略90度に曲がっている角部52aの剛性と、略直線状に伸びている繋ぎ部52bの剛性とが同じようになり、ボトル内のミネラルウォーターを消費する際に蛇腹52が潰れやすくなる。一方で、繋ぎ部52bについては剛性の低下を抑制することで、蛇腹52を含めた胴部20の強度を確保することができる。
【0056】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【符号の説明】
【0057】
1 サーバー用ボトル
10 底部
20 胴部
22 一端部
23 他端部
30 肩部
31 中央部
32 リブ
35 曲面部
40 首部
50 蛇腹部
52 蛇腹
52a 角部
52b 繋ぎ部