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▶ 伊藤 千枝美の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】装飾材、菓子類及び装飾材の作成方法
(51)【国際特許分類】
   A23G 3/50 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
A23G3/50
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020190598
(22)【出願日】2020-11-17
【審査請求日】2020-11-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520354809
【氏名又は名称】伊藤 千枝美
(74)【代理人】
【識別番号】100122105
【弁理士】
【氏名又は名称】林 力一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤千枝美
【審査官】飯室 里美
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-117691(JP,A)
【文献】特開昭53-148558(JP,A)
【文献】パータデコールの作り方:まいにち楽しく[online],2009年09月25日,[Retrieved on 2020.11.26],https://sanekoko.exblog.jp/12445176/
【文献】キャラデコケーキの作り方は簡単!パータデコールで子供と一緒に手作りを!|苺の一枝<Ichigo-Ichie> [online] ,2017年06月26日,[Retrieved on 2020.11.26],https://web.archive.org/web/20170906110718/https://strawberry-branch.net/2158.html
【文献】カラザを徹底解剖!卵を割ると出てくる白い塊は取るのが正解?|食・料理|オリーブオイルをひとまわし [online],2020年04月15日,[Retrieved on 2020.11.26],https://www.olive-hitomawashi.com/column/2020/04/post-10284.html
【文献】スヌーピーのデコロール by namimocchi [クックパッド] 簡単おいしいみんなのレシピが342万品 [online],2018年03月22日,[Retrieved on 2020.11.26],https://cookpad.com/recipe/4994123
【文献】プレゼントにミニデコブラウニー by namimocchi [クックパッド] 簡単おいしいみんなのレシピが342万品 [online],2019年01月04日,[Retrieved on 2020.11.26],https://cookpad.com/recipe/5437562
【文献】誕生日デコロールケーキレシピ・作り方 by sayusayu-ta|楽天レシピ[online] ,2014年05月09日,[Retrieved on 2020.11.26],https://recipe.rakuten.co.jp/recipe/1300008161/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
菓子類の表面に装飾を付与する装飾材において、
シートと、
任意の下絵に基づいて該下絵を縁取りするように、着色された第1のパータデコールが前記シートに塗布されて描画された線画と、
該線画で囲まれた部分を塗り込むように、前記第1のパータデコールと異なる色で着色された第2のパータデコールが前記シートに塗布されて描画された塗り込み部と、を備え、
前記第1のパータデコール及び前記第2のパータデコールは、予めペースト状に生成されたバターが配合され
前記第1のパータデコールに配合される量に対して少量の薄力粉が前記第2のパータデコールに配合される、
ことを特徴とする装飾材。
【請求項2】
前記第1のパータデコール及び前記第2のパータデコールは、薄力粉が配合されることを特徴とする請求項1に記載の装飾材。
【請求項3】
前記第1のパータデコールコール及び前記第2のパータデコールは、カラザが予め除去された常温の卵白が配合される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の装飾材。
【請求項4】
請求項13のいずれか1項に記載の装飾材によって表面に装飾が付与されたことを特徴とする菓子類。
【請求項5】
菓子類の表面に装飾を付与する装飾材を作成する装飾材の作成方法において、
予めペースト状に生成されたバター、グラニュー糖、薄力粉及びカラザが予め除去された常温の卵白を少なくとも混合してパータデコールを作成するパータデコール作成工程と、
該パータデコール作成工程で作成した前記パータデコールの一部に着色して第1のパータデコールを作成するパータデコール作成第1工程と、
該パータデコール作成第1工程で作成する前記第1のパータデコールと異なる色で前記パータデコールの他部を着色して第2のパータデコールを作成するパータデコール作成第2工程と、
任意の下絵を縁取りするように前記第1のパータデコールをシートに塗布して線画を描画する線画描画工程と、
該線画描画工程で描画した前記線画で囲まれた部分に前記第2のパータデコールを塗布して塗り込んで塗り込み部を描画する塗り込み部描画工程と、
前記パータデコール作成工程では、前記第1のパータデコールに配合される量に対して少量の薄力粉が前記第2のパータデコールに配合される、
ことを特徴とする装飾材の作成方法。
【請求項6】
前記線画描画工程に先立って前記シートに油分を塗布する油分塗布工程を備えることを特徴とする請求項5に記載の装飾材の作成方法。
【請求項7】
前記パータデコール作成第1工程で前記第1のパータデコールを作成する際及び前記パータデコール作成第2工程で前記第2のパータデコールを作成する際に前記第1のパータデコール及び前記第2のパータデコールの粘性を薄力粉の配合分量に基づいて調整することを特徴とする請求項5または6に記載の装飾材の作成方法。
【請求項8】
前記線画描画工程に先立って、フィルムを円錐状に巻回して開口部及び開口部と反対側の先端部を形成して該先端部を任意の寸法で切除して線画描画材を作成する線画描画材作成工程を備え、
前記線画描画工程において、前記線画描画材作成工程で作成した前記線画描画材の前記開口部から投入された前記第1のパータデコールを前記先端部から吐出して前記線画を描画する、
ことを特徴とする請求項57のいずれか1項に記載の装飾材の作成方法。
【請求項9】
前記塗り込み部描画工程に先立って、フィルムを円錐状に巻回して開口部及び開口部と反対側の先端部を形成して該先端部を任意の寸法で切除して塗り込み材を作成する塗り込み材作成工程を備え、
前記塗り込み部描画工程において、前記塗り込み材形成工程で作成した前記塗り込み材の前記開口部から投入された前記第2のパータデコールを前記先端部から吐出して前記線画で囲まれた部分を塗り込む、
ことを特徴とする請求項5~8のいずれか1項に記載の装飾材の作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾材、菓子類及び装飾材の作成方法、特に、菓子類の表面に装飾を付与する装飾材、装飾が付与された菓子類及び菓子類の表面に装飾を付与する装飾材の作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、チョコレート、ドーナツ、ケーキ等の菓子類の表面に、可食性インクやチョコレート等を用いて絵や模様、文字等の装飾を付して、菓子類の装飾性を高めて菓子類に付加価値を付与する手法が広く行われている。
【0003】
特許文献1には、生地を焼成する際に、波状、線状あるいは帯状等といった任意の模様を描くように、生地とは異なる着色がなされたペーストを生地に塗布することによって、生地の表面に任意の模様による装飾が付与されたロールケーキが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-268867公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、菓子類の表面に装飾を付与する際に、下絵として描かれた絵や模様等に沿った縁取りの線画をパータデコールと称されるペースト状の生地でシートに描き、パータデコールで描いた線画で囲まれた部分を、線画を描いたパータデコールとは異なる着色がなされたパータデコールで塗り込むことによって作成された装飾材が用いられることがある。
【0006】
この種の装飾材で菓子類の表面に装飾を付与する場合は、パータデコールを構成する材料やパータデコールの作り方によっては、装飾がぼやけて不鮮明になったり、装飾に気泡による空隙が発生したり、装飾が菓子類の表面から浮き上がってしまったり、作成過程でシートにパータデコールを構成する材料が付着してしまったりする等の不具合が生じる場合がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、菓子類の表面になじんで鮮明な装飾を付与することができる装飾材、菓子類及びこの装飾材の作成方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するための本発明に係る装飾材は、菓子類の表面に装飾を付与する装飾材において、シートと、任意の下絵に基づいて下絵を縁取りするように、着色された第1のパータデコールがシートに塗布されて描画された線画と、線画で囲まれた部分を塗り込むように、第1のパータデコールと異なる色で着色された第2のパータデコールがシートに塗布されて描画された塗り込み部とを備え、第1のパータデコール及び第2のパータデコールは、予めペースト状に生成されたバターが配合されることを特徴としている。
【0009】
この装飾材の第1のパータデコール及び第2のパータデコールは、薄力粉が配合されていることを特徴とするものであり、かつ第1のパータデコール及び第2のパータデコールは、カラザが予め除去された常温の卵白が配合されることを特徴とするものである。
【0010】
これによれば、予めペースト状に生成されたバターが配合されることによって、ムラがなく粘度や硬度が適度な第1のパータデコール及び第2のパータデコールが作成されることから、菓子類の表面に鮮明な装飾を付与することができる。
【0011】
しかも、予めペースト状に生成されたバターが配合されたうえでカラザが予め除去された常温の卵白が配合されることによって、パータデコールの気泡の発生が抑制されることから、装飾に空隙が生じることがなく、装飾が菓子類の表面から浮き上がることが抑制される。
【0012】
このパータデコールが用いられた装飾材によって、菓子類の表面になじんで鮮明な装飾を付与することができる。
【0013】
上記課題を達成するための本発明に係る菓子類は、装飾材によって表面に装飾が付与されたことを特徴としている。
【0014】
上記課題を達成するための本発明に係る装飾材の作成方法は、菓子類の表面に装飾を付与する装飾材の作成方法において、予めペースト状に生成されたバター、グラニュー糖、薄力粉及びカラザが予め除去された常温の卵白を混合してパータデコールを作成するパータデコール作成工程と、パータデコール作成工程で作成したパータデコールの一部に着色して第1のパータデコールを作成するパータデコール作成第1工程と、パータデコール作成第1工程で作成する第1のパータデコールと異なる色でパータデコールの他部を着色して第2のパータデコールを作成するパータデコール作成第2工程と、任意の下絵を縁取りするように第1のパータデコールをシートに塗布して線画を描画する線画描画工程と、線画描画工程で描画した線画で囲まれた部分に第2のパータデコールを塗布して塗り込んで塗り込み部を描画する塗り込み部描画工程とを備えることを特徴としている。
【0015】
この装飾材の作成方法は、線画描画工程に先立ってシートに油分を塗布する油分塗布工程を備えることを特徴としている。
【0016】
さらに、装飾材の作成方法は、パータデコール作成第1工程で第1のパータデコールを作成する際及びパータデコール作成第2工程で第2のパータデコールを作成する際に第1のパータデコール及び第2のパータデコールの粘性を薄力粉の配合分量に基づいて調整することを特徴としている。
【0017】
装飾材の作成方法は、線画描画工程に先立って、フィルムを円錐状に巻回して開口部及び開口部と反対側の先端部を形成して先端部を任意の寸法で切除して線画描画材を作成する線画描画材作成工程を備え、線画描画工程において、線画描画材作成工程で作成した線画描画材の開口部から投入された第1のパータデコールを先端部から吐出して線画を描画することを特徴とするものである。
【0018】
しかも、装飾材の作成方法は、塗り込み部描画工程に先立って、フィルムを円錐状に巻回して開口部及び開口部と反対側の先端部を形成して先端部を任意の寸法で切除して塗り込み材を作成する塗り込み材作成工程を備え、塗り込み部描画工程において、塗り込み材形成工程で作成した塗り込み材の開口部から投入された第2のパータデコールを先端部から吐出して線画で囲まれた部分を塗り込むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、菓子類の表面になじんで鮮明な装飾を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態に係る装飾材の構成の概略を説明する図である。
図2】同じく、本実施の形態に係る装飾材の作成方法の概略を説明するフローチャートである。
図3】同じく、本実施の形態に係る装飾材の作成方法の概略を説明する図である。
図4】同じく、本実施の形態に係る装飾材の作成方法の概略を説明する図である。
図5】同じく、本実施の形態に係る装飾材によって装飾が付与された菓子類の概略を説明する図である。
図6】装飾材で付与する装飾の一例を示す図である。
図7】同じく、装飾材で付与する装飾の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、図1&#12316;図7に基づいて、本発明の実施の形態に係る装飾材について説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係る装飾材の構成の概略を説明する図である。図示のように、装飾材10は、シート20、シート20に描画された線画31及びこの線画31に囲まれた部分において描画された塗り込み部32を備える。
【0023】
シート20は、本実施の形態では、油分が塗布された半透明状の用紙であって、印刷用紙に印刷された図示しない任意の下絵に基づいて、線画31及び塗り込み部32が描画される。
【0024】
線画31は、本実施の形態では、下絵を縁取りするように、着色されたペースト状の生地である第1のパータデコールがシート20に塗布されることによって描画される。
【0025】
塗り込み部32は、本実施の形態では、線画31で囲まれた部分を塗り込むように、第1のパータデコールと異なる色で着色されたペースト状の生地である第2のパータデコールがシート20に塗布されることによって描画される。
【0026】
本実施の形態では、これら線画31及び塗り込み部32によって描画されたキャラクタ30によって、装飾材10が構成される。
【0027】
これら線画31及び塗り込み部32は、本実施の形態では、下絵が反転した状態で印刷された印刷用紙をシート20の下に配置して、半透明状のシート20を透過した下絵をなぞることによって描画される。
【0028】
ところで、この第1のパータデコール及び第2のパータデコールは、本実施の形態では、バター、グラニュー糖、薄力粉及び卵白が混合されて作成されたペースト状の生地であるパータデコールから作成されるものである。
【0029】
このパータデコールに配合されるバターは、本実施の形態では、予めペースト状に生成されたバターであって、例えば株式会社明治の「チューブでバター1/3」が好適に用いられる。
【0030】
予めペースト状に生成されたバターが用いられることによって、ムラがなく、かつ粘度や硬度が適度なパータデコールが作成されることから、鮮明で繊細な線画31及び塗り込み部32を描画することができるとともに、パータデコールがシートに付着して残存することなく菓子類の表面に鮮明に付与される。
【0031】
同じく、パータデコールに配合される薄力粉は、本実施の形態では、第1のパータデコールに配合される量に対して少量の薄力粉が第2のパータデコールに配合される。
【0032】
このように、薄力粉の配合分量に差を設けることによって、パータデコールの気泡の発生が抑制されるとともに、装飾材10によって付与される装飾が菓子類の表面から浮き上がることが抑制される。
【0033】
本実施の形態では、第1のパータデコール第2のパータデコールを作成する薄力粉は、株式会社日清製粉グループの「フラワー」(登録商標)が好適に用いられる。
【0034】
パータデコールに配合される卵白は、本実施の形態では、カラザが予め除去された常温の卵白が好適に用いられる。
【0035】
本実施の形態では、このパータデコールの一部を着色することによって、第1のパータデコールが作成される。第1のパータデコールは、例えば食用色素によって黒色に着色されて作成される。
【0036】
一方、第2のパータデコールは、本実施の形態では、パータデコールの他部を着色することによって作成される。第2のパータデコールは、例えば食用色素によって、第1のパータデコールとは異なる色(赤、青、黄、緑等の任意の各色)に着色されて作成される。
【0037】
次に、本実施の形態の装飾材10の作成方法を説明する。
【0038】
図2は、装飾材10の作成方法の概略を説明するフローチャートである。図示のように、まず、ステップS1において、予めペースト状に生成されたバターとグラニュー糖とを配合して、泡立て器を用いて入念に混ぜ込む。
【0039】
続いて、バターとグラニュー糖との配合に薄力粉を投入して混ぜ込んで、薄力粉の粉状の気質を消失させる。
【0040】
一方、常温の卵白からカラザを除去し、卵白の粘性が消失する程度に卵白を入念に溶いて、バター、グラニュー糖及び薄力粉の配合に卵白を投入して、泡立て器等の器具を用いて入念に混ぜ込んで、パータデコールを作成する(パータデコール作成工程)。
【0041】
本実施の形態では、バターとグラニュー糖と薄力粉と卵白とをそれぞれ均等の配合比率(1:1:1:1)で配合する。
【0042】
次に、ステップS2において、パータデコール作成工程で作成したパータデコールを複数(例えば2)に分割し、分割したパータデコールの一方を食用色素で黒色に着色して、第1のパータデコールを作成する(パータデコール作成第1工程)。このとき、本実施の形態では、適量の薄力粉を投入して、第1のパータデコールの粘性を調整する。
【0043】
例えば、図3で示すように、第1のパータデコールの粘性は、ボウルBに入った第1のパータデコールPを器具Iで攪拌して器具Iを持ち上げた際に、器具Iに付着して追従して隆起した第1のパータデコールPが器具Iから滑落して、滑落した先端が下方に屈曲し隆起部Uが形成される程度となるように調整する。
【0044】
作成した第1のパータデコールは、本実施の形態では、例えばみそこし等の器具を用いて濾すことによって、第1のパータデコールに混入した気泡が潰されて、きめが細かく滑らかになり第1のパータデコールの品質が向上する。
【0045】
次にステップS3において、パータデコール作成工程で作成して分割したパータデコールの他方を、黒色に着色した第1のパータデコールと異なる色となるように、複数の食用色素で着色して、第2のパータデコールを作成する(パータデコール作成第2工程)。
【0046】
このとき、本実施の形態では、適量の薄力粉及び適量の卵白を投入して、第2のパータデコールの粘性を調整する。
【0047】
作成した第2のパータデコールは、本実施の形態では、例えばみそこし等の器具を用いて濾すことによって、第2のパータデコールに混入した気泡が潰されて、きめが細かく滑らかになりパータデコール第2のパータデコールの品質が向上する。
【0048】
なお、ステップS2のパータデコール作成第1工程とステップS3のパータデコール作成第2工程とは、順不同である。
【0049】
次に、ステップS4において、平面視で正方形状の二軸延伸ポリプロフィレンフィルムを三角形状に切断して、図4で示すように円錐状に巻回して一方側に開口する開口部c1を形成する一方で、開口部c1と反対側の尖頭状の先端部c2を形成し、本実施の形態では先端部c2を切除線c3に沿って1mm程度で切除して、線図描画材であるコルネCを作成する(線図描画材作成工程)。
【0050】
本実施の形態では、この線図描画材作成工程で作成したコルネCの開口部c1から、パータデコール作成第1工程で作成した第1のパータデコールをコルネCに投入する。
【0051】
更に、ステップS5において、線図描画材作成工程で作成したコルネCと同じコルネCを、パータデコール作成第2工程で着色数に応じて作成した第2のパータデコールと同じ数で、塗り込み材として作成する(塗り込み材作成工程)。
【0052】
本実施の形態では、この塗り込み材作成工程で作成したコルネCの開口部c1から、パータデコール作成第2工程で作成した第2のパータデコールをコルネCに投入する。
【0053】
次に、ステップS6において、シート20に適量の油分を滴下し、シート20の繊維に刷り込むように、キッチンペーパ等の塗布材を用いてシート20の表面に塗り込む。
【0054】
その後、新たなキッチンペーパ等の払拭材を用いて、接触しても油分が付着しない程度となるまで、シート20の表面に塗り込んだ油分を拭きとる(油分塗布工程)。
【0055】
続いて、ステップS7において、下絵が反転した状態で印刷された印刷用紙をシート20の下に配置して、シート20を透過した下絵を縁取りするように、第1のパータデコールが投入されたコルネCの先端部c2から第1のパータデコールを吐出させて線画31を描画する(線画描画工程)。
【0056】
ここで、第1のパータデコールは、1mm程度の狭小なコルネCの先端部c2から圧縮されて押し出されるように吐出されることから、第1のパータデコールに混入した気泡が潰される。これにより、気泡が混入することに起因した空隙が装飾材10に発生することが抑制される。
【0057】
その後、ステップS8において、線画31で囲まれた部分を塗り込むように、第2のパータデコールが投入されたコルネCの先端部c2から第2のパータデコールを吐出させて塗り込み部32を描画する(塗り込み部描画工程)。
【0058】
このとき、異なる色の複数の第2のパータデコールで塗り込み部32を描画する場合は、第2のパータデコールの着色数に応じて準備されたコルネCを用いて、塗り込み部32を描画する。
【0059】
ここで第2のパータデコールは、1mm程度の狭小なコルネCの先端部c2から圧縮されて押し出されるように吐出されることから、第2のパータデコールに混入した気泡が潰される。これにより、気泡が混入することに起因した空隙が装飾材10に発生することが抑制される。
【0060】
これらステップS1&#12316;ステップS8によって、線画31及び塗り込み部32でキャラクタ30が描画されたシート20を、ステップS9において、冷凍庫で保管して冷却する(冷却工程)。これによって、装飾材10が作成される。
【0061】
作成された装飾材10を、菓子類、本実施の形態では例えばロールケーキに付与する場合は、ロールケーキを成形する成形型の成形面に装飾材10を施すことによって、図5で示すように、ロールケーキ100の表面に装飾材10によってキャラクタ30の装飾が付与される。
【0062】
このように、本実施の形態の装飾材10によれば、予めペースト状に生成されたバターが配合されることによって、ムラがなく粘度や硬度が適度なパータデコールが作成されることから、菓子類の表面に鮮明な装飾を付与することができる。
【0063】
しかも、本実施の形態では、卵白を適量使用される事によってパータデコールの気泡の発生が抑制されることから、装飾に空隙が生じることがなく、装飾が菓子類の表面から浮き上がることが抑制される。
【0064】
したがって、菓子類の表面になじんで鮮明で繊細な装飾を付与することができる。
【0065】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0066】
上記実施の形態では、装飾材10によって菓子類(ロールケーキ100)の表面にキャラクタ30の装飾が付与される場合を説明したが、あらゆる絵や模様等が装飾される。
【0067】
例えば、図6で示す花、蝶々及び文字等からなる模様40が装飾として付与されるものであってもよいし、図7で示す花及び蝶々等からなる模様50が装飾として付与されるものであってもよい。
【0068】
上記実施の形態では、装飾材10によってロールケーキ100に装飾が付与される場合を説明したが、装飾が付与される菓子類はロールケーキ100に限られるものではなく、例えばホールケーキやその他の各種の菓子類であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
10 装飾材
20 シート
30 キャラクタ
31 線画
32 塗り込み部
100 ロールケーキ(菓子類)
C コルネ(線画描画材、塗り込み材)
【要約】      (修正有)
【課題】菓子類の表面になじんで鮮明な装飾を付与することができる装飾材、菓子類及びこの装飾材の作成方法を提供する。
【解決手段】菓子類の表面に装飾を付与する装飾材において、シート20と、任意の下絵に基づいて下絵を縁取りするように、着色された第1のパータデコールがシートに塗布されて描画された線画31と、線画で囲まれた部分を塗り込むように、第1のパータデコールと異なる色で着色された第2のパータデコールがシートに塗布されて描画された塗り込み部32とを備え、第1のパータデコール及び第2のパータデコールは、予めペースト状に生成されたバターが配合される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7