(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】ユーザに好適な商品またはサービスを決定するためのシステム、方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20120101AFI20220114BHJP
G06Q 30/02 20120101ALI20220114BHJP
【FI】
G06Q30/06 330
G06Q30/02
(21)【出願番号】P 2021037562
(22)【出願日】2021-03-09
【審査請求日】2021-03-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521528229
【氏名又は名称】合同会社FAMC
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】藤井 秀樹
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-109620(JP,A)
【文献】特許第6816905(JP,B1)
【文献】特開2013-029872(JP,A)
【文献】特開2020-160497(JP,A)
【文献】特開2020-140540(JP,A)
【文献】特開2021-012420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに好適な商品またはサービスを決定する
システムであって、
ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを取得する
取得手段
であって、前記ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションは、パーソナリティに関する情報、お金に関する情報、および健康に関する情報のうちの少なくとも2つを含む、取得手段と、
前記取得されたユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションに基づいて、前記ユーザの特徴を多次元的に表すスコアを算出する
算出手段
であって、前記算出手段は、前記パーソナリティに関する情報、前記お金に関する情報、前記健康に関する情報のうちの前記少なくとも2つについて、パーソナリティに関する概念、お金に関する概念、健康に関する概念のうちの対応する概念と相関する種々の情報を格納しているデータベース部を参照し、前記対応する概念と相関する程度に応じて、前記対応する概念のうちの特定の概念に対応する特徴量を含むスコアを算出する、算出手段と、
前記スコアを利用して、前記ユーザに好適な商品またはサービスを決定する
決定手段
であって、前記決定手段は、前記スコアに対して、前記商品または前記サービスの分野に応じた関数を適用することによって、前記商品または前記サービスの分野に応じた特徴量を導出することと、前記導出された特徴量に関連付けられた前記商品または前記サービスを前記ユーザに好適な商品またはサービスとして決定することとを行う、決定手段と
を備えるシステム。
【請求項2】
前記システムは、ユーザに好適な金融商品を決定する
システムであり、
前記特徴量は、前記ユーザのリスクを
示す特徴量を含む、請求項
1に記載のシステム。
【請求項3】
前記システムは、ユーザに好適な保険商品を決定する
システムであり、
前記特徴量は、前記ユーザの健康面および/または経済面のリスクを
示す特徴量を含む、請求項
2に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムは、ユーザに好適な旅行プランを決定する
システムであり、
前記特徴量は、前記ユーザの行動面の性格を
示す特徴量を含む、請求項
1に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムは、ユーザに好適な消費財を決定する
システムであり、
前記特徴量は、前記ユーザの嗜好を
示す特徴量を含む、請求項
1に記載のシステム。
【請求項6】
前記スコアは、前記ユーザが信頼に足る人物であるかどうかを
示す特徴量を含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記取得手段が前記ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを取得可能な範囲を調節する
調節手段をさらに備え、
前記算出手段は、前記取得可能な範囲に応じて前記スコアを算出する、請求項1~
6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記データおよび/またはインフォメーションは、ペイロールカードに記憶された情報を含む、請求項1~
7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記ユーザが所有するトークンに前記スコアを書き込む
書込手段をさらに備え、
前記決定手段は、前記トークンから前記スコアを読み出すことが可能なように構成されている、請求項1~
8に記載のシステム。
【請求項10】
前記書込手段はさらに、前記決定された商品またはサービスを示す情報を前記トークンに書き込むように構成されている、請求項
9に記載のシステム。
【請求項11】
前記決定された商品またはサービスを前記ユーザに提示する
提示手段をさらに備える、請求項1~
10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
ユーザに好適な商品またはサービスを決定する
方法であって、
前記方法は、プロセッサを備えるコンピュータシステムにおいて実行され、前記方法は、
前記プロセッサが、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを取得すること
であって、前記ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションは、パーソナリティに関する情報、お金に関する情報、および健康に関する情報のうちの少なくとも2つを含む、ことと、
前記プロセッサが、前記取得されたユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションに基づいて、前記ユーザの特徴を多次元的に表すスコアを算出すること
であって、前記算出することは、前記パーソナリティに関する情報、前記お金に関する情報、前記健康に関する情報のうちの前記少なくとも2つについて、パーソナリティに関する概念、お金に関する概念、健康に関する概念のうちの対応する概念と相関する種々の情報を格納しているデータベース部を参照し、前記対応する概念と相関する程度に応じて、前記対応する概念のうちの特定の概念に対応する特徴量を含むスコアを算出することを含む、ことと、
前記プロセッサが、前記スコアを利用して、前記ユーザに好適な商品またはサービスを決定すること
であって、前記決定することは、前記スコアに含まれる特徴量に対して、前記商品または前記サービスの分野に応じた関数を適用することによって、前記商品または前記サービスの分野に応じた特徴量を導出することと、前記導出された特徴量に関連付けられた前記商品または前記サービスを前記ユーザに好適な商品またはサービスとして決定することとを含む、ことと
を含む
、方法。
【請求項13】
ユーザに好適な商品またはサービスを決定する
プログラムであって、前記プログラムは、プロセッサを備えるコンピュータシステムにおいて実行され、前記プログラムは、
ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを取得すること
であって、前記ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションは、パーソナリティに関する情報、お金に関する情報、および健康に関する情報のうちの少なくとも2つを含む、ことと、
前記取得されたユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションに基づいて、前記ユーザの特徴を多次元的に表すスコアを算出すること
であって、前記算出することは、前記パーソナリティに関する情報、前記お金に関する情報、前記健康に関する情報のうちの前記少なくとも2つについて、パーソナリティに関する概念、お金に関する概念、健康に関する概念のうちの対応する概念と相関する種々の情報を格納しているデータベース部を参照し、前記対応する概念と相関する程度に応じて、前記対応する概念のうちの特定の概念に対応する特徴量を含むスコアを算出することを含む、ことと、
前記スコアを利用して、前記ユーザに好適な商品またはサービスを決定すること
であって、前記決定することは、前記スコアに含まれる特徴量に対して、前記商品または前記サービスの分野に応じた関数を適用することによって、前記商品または前記サービスの分野に応じた特徴量を導出することと、前記導出された特徴量に関連付けられた前記商品または前記サービスを前記ユーザに好適な商品またはサービスとして決定することとを含む、ことと
を含む処理を前記プロセッサに行わせる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに好適な商品またはサービスを決定するためのシステム、方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザに商品やサービスをレコメンドするシステムが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、新規のアプローチで、ユーザに好適な商品またはサービスを決定するためのシステム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
ユーザに好適な商品またはサービスを決定するためのシステムであって、
ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを取得するための取得手段と、
前記取得されたユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションに基づいて、前記ユーザの特徴を多次元的に表すスコアを算出するための算出手段と、
前記スコアを利用して、前記ユーザに好適な商品またはサービスを決定するための決定手段と
を備えるシステム。
(項目2)
前記決定手段は、
前記スコアから前記商品または前記サービスの分野に応じた特徴量を導出することと、
前記特徴量に基づいて、前記商品または前記サービスを決定することと
を行う、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記システムは、ユーザに好適な金融商品を決定するためのシステムであり、
前記特徴量は、前記ユーザのリスクを評価可能な特徴量を含む、項目2に記載のシステム。
(項目4)
前記システムは、ユーザに好適な保険商品を決定するためのシステムであり、
前記特徴量は、前記ユーザの健康面および/または経済面のリスクを評価可能な特徴量を含む、項目3に記載のシステム。
(項目5)
前記システムは、ユーザに好適な旅行プランを決定するためのシステムであり、
前記特徴量は、前記ユーザの行動面の性格を評価可能な特徴量を含む、項目2に記載のシステム。
(項目6)
前記システムは、ユーザに好適な消費財を決定するためのシステムであり、
前記特徴量は、前記ユーザの嗜好を評価可能な特徴量を含む、項目2に記載のシステム。
(項目7)
前記スコアは、前記ユーザが信頼に足る人物であるかどうかを評価可能な特徴量を含む、項目1~6のいずれか一項に記載のシステム。
(項目8)
前記スコアは、パーソナリティに関する特徴量、お金に関する特徴量、および健康に関する特徴量を含む、項目7に記載のシステム。
(項目9)
前記算出手段は、前記取得されたユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションが、パーソナリティに関する概念、お金に関する概念、および健康に関する概念の少なくとも1つと相関する程度に応じて前記スコアを算出する、項目1~8のいずれか一項に記載のシステム。
(項目10)
前記取得手段が前記ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを取得可能な範囲を調節するための調節手段をさらに備え、
前記算出手段は、前記取得可能な範囲に応じて前記スコアを算出する、項目1~8のいずれか一項に記載のシステム。
(項目11)
前記データおよび/またはインフォメーションは、ペイロールカードに記憶された情報を含む、項目1~10のいずれか一項に記載のシステム。
(項目12)
前記ユーザが所有するトークンに前記スコアを書き込むための書込手段をさらに備え、
前記決定手段は、前記トークンから前記スコアを読み出すことが可能なように構成されている、項目1~11に記載のシステム。
(項目13)
前記書込手段はさらに、前記決定された商品またはサービスを示す情報を前記トークンに書き込むように構成されている、項目12に記載のシステム。
(項目14)
前記決定された商品またはサービスを前記ユーザに提示するための提示手段をさらに備える、項目1~13のいずれか一項に記載のシステム。
(項目15)
ユーザに好適な商品またはサービスを決定するための方法であって、
ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを取得することと、
前記取得されたユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションに基づいて、前記ユーザの特徴を多次元的に表すスコアを算出することと、
前記スコアを利用して、前記ユーザに好適な商品またはサービスを決定することと
を含む方法。
(項目15A)
上記項目のいずれか一項または複数の項に記載の特徴をさらに含む、項目15に記載の方法。
(項目16)
ユーザに好適な商品またはサービスを決定するためのプログラムであって、前記プログラムは、プロセッサを備えるコンピュータシステムにおいて実行され、前記プログラムは、
ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを取得することと、
前記取得されたユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションに基づいて、前記ユーザの特徴を多次元的に表すスコアを算出することと、
前記スコアを利用して、前記ユーザに好適な商品またはサービスを決定することと
を含む処理を前記プロセッサに行わせる、プログラム。
(項目16A)
上記項目のいずれか一項または複数の項に記載の特徴をさらに含む、項目16に記載のプログラム。
(項目17)
ユーザに好適な商品またはサービスを決定するために利用されるスコアを算出するためのシステムであって、
ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを取得するための取得手段と、
前記取得されたユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションに基づいて、前記ユーザの特徴を多次元的に表すスコアを算出するための算出手段と、
を備えるシステム。
(項目17A)
上記項目のいずれか一項または複数の項に記載の特徴をさらに含む、項目17に記載のシステム。
(項目18)
ユーザに好適な商品またはサービスを決定するために利用されるスコアを算出するための方法であって、
ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを取得することと、
前記取得されたユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションに基づいて、前記ユーザの特徴を多次元的に表すスコアを算出することと、
を含む方法。
(項目18A)
上記項目のいずれか一項または複数の項に記載の特徴をさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目19)
ユーザに好適な商品またはサービスを決定するために利用されるスコアを算出するためのプログラムであって、前記プログラムは、プロセッサを備えるコンピュータシステムにおいて実行され、前記プログラムは、
ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを取得することと、
前記取得されたユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションに基づいて、前記ユーザの特徴を多次元的に表すスコアを算出することと、
を含む処理を前記プロセッサに行わせる、プログラム。
(項目19A)
上記項目のいずれか一項または複数の項に記載の特徴をさらに含む、項目19に記載のプログラム。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ユーザの特徴を多次元的に表すスコア、すなわち、ユーザのデジタルツインを利用して、高精度で、ユーザに好適な商品またはサービスを決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】ユーザに好適な商品またはサービスを決定するためのフローの一例を示す図
【
図2A】ユーザに好適な商品またはサービスを決定するためのシステム100の構成の一例を示す図
【
図2B】ユーザに好適な商品またはサービスを決定するためのシステム100の具体的な構成の一例を示す図
【
図2C】データベース部200に格納される情報の関連付けを示す概念図
【
図4】算出手段122が利用し得るニューラルネットワークモデルの構造の一例を示す図
【
図5】プロセッサ部120の代替実施形態であるプロセッサ部120’の構成の一例を示す図
【
図6】プロセッサ部120の代替実施形態であるプロセッサ部120’の構成の一例を示す図
【
図7】ユーザに好適な商品またはサービスを決定するためのシステム100による処理の一例(処理700)を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0009】
1.ユーザに好適な商品またはサービスを決定するためのサービス
本発明の発明者は、ユーザに好適な商品またはサービスを決定するための新たなサービスを開発した。このサービスでは、ユーザに好適な商品またはサービスを決定するために、ユーザの「デジタルツイン」を利用する。ここで、「デジタルツイン」とは、実空間上の対象を仮想空間またはデジタル空間上で複製したものをいう。すなわち、ユーザの「デジタルツイン」は、ユーザがどのような人物であるか、または、ユーザの人となりを仮想空間またはデジタル空間上に反映するものとなる。ここで、「デジタルツイン」は、ユーザの特徴を多次元的に表すスコアで表現されることができる。言い換えると、このスコアにより、ユーザがどのような人物であるか、または、ユーザの人となりを表すことができる。
【0010】
このサービスでは、ユーザのデジタルツインを利用して、デジタルツインに好適な商品またはサービスが決定される。生成されたデジタルツインは、ユーザの人となりを反映したものであるため、デジタルツインに好適な商品またはサービスは、ひいては、ユーザに好適な商品またはサービスであるとみなされることができる。
【0011】
図1は、ユーザに好適な商品またはサービスを決定するためのフローの一例を示す。
【0012】
本例では、ユーザに好適な商品またはサービスを決定するためサービスを提供するプロバイダのコンピュータシステム100が、ユーザUに好適な商品またはサービスを決定することを説明する。
【0013】
ステップS1では、ユーザUが、ユーザUに関するデータおよび/またはインフォメーションをコンピュータシステム100に提供する。
【0014】
ここで、ユーザに関するデータは、ユーザに関する客観的な情報をいう。ユーザに関するデータは、ユーザ本人しか知らないプライベートな情報であってもよいし、第三者と共有されているパブリックな情報であってもよい。ユーザに関するデータは、例えば、ユーザの情報端末装置および/またはユーザの情報端末装置と通信可能なIoTデバイスから取得され得る。ユーザに関するデータは、例えば、ネットワークN上の任意の場所から取得され得る。ユーザに関するデータは、例えば、ネットワークN上の適所に格納されているトークン内に記録されることができる。ここで、「トークン」とは、情報を保持可能な物理的または仮想的な器のことをいう。「トークン」に保持される情報は、改ざんが困難であるように(例えば、ブロックチェーン技術を用いて)トークンに保持されることが好ましい。これにより、「トークン」に保持される情報は、価値を有することになる。トークンは、流通の対象とすることができ、例えば、仮想通貨に類するものとして扱われ得る。ユーザに関するデータは、例えば、ユーザの行動履歴(例えば、運動履歴、健康活動履歴、購買履歴、節約行動履歴、食事履歴、Webページの閲覧履歴、AIスピーカとの会話履歴、SNS利用履歴等)、健康情報(例えば、身長、体重、血圧、心拍数、罹患している病気等)、DNAに関する情報、保険加入情報等を含むがこれらに限定されない。ユーザに関するデータは、ユーザの個人情報を含み得る。個人情報は、例えば、名前、住所、電話番号、メールアドレス、年齢、性別、家族構成、職業、年収、資産、既往歴等のうちの少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。
【0015】
ユーザに関するデータは、例えば、ペイロールカードから取得されることができる。ペイロールカードは、ペイロールカードシステムにおいて利用され、ペイロールカードシステムとは、雇用者からの賃金の支払いを電子的に受け取る(例えば、電子マネーを受け取る)ことが可能なシステムのことをいう。ペイロールカードは、物理的なカードであってもよいし、仮想的なカード(例えば、電子ウォレット)であってもよい。ペイロールカードによれば、銀行口座を介することなく、賃金の支払いを受け取ることができる。ペイロールカードには、賃金の支払いによる収入情報および支出情報が記録され得る。さらには、ペイロールカードには、仕事上の経費に関する情報も記録され得る。例えば、ペイロールカードには、経費として支払った金額および名目等が記録される。従って、ユーザに関するデータをペイロールカードから取得することにより、ユーザのプライベートで収支の情報のみならず、ユーザの仕事上での収支の情報も、ユーザに関するデータとして用いることができるようになる。
【0016】
ここで、ユーザに関するインフォメーションは、ユーザを主体とする主観的な情報をいう。ユーザに関するインフォメーションは、ユーザ本人しか知らないプライベートな情報であってもよいし、第三者と共有されているパブリックな情報であってもよい。ユーザに関するインフォメーションは、例えば、ユーザが情報端末装置に直接入力することによって取得され得る。ユーザに関するインフォメーションは、例えば、ユーザに対する問診または質問等から間接的に導出され得る。ユーザに関するインフォメーションは、例えば、ネットワークN上の任意の場所から取得され得る。ユーザに関するインフォメーションは、例えば、ネットワークN上の適所に格納されているトークン内に記録されることができる。ユーザに関するインフォメーションは、例えば、趣味、好み、行動理由(例えば、現在または過去の職業の志望動機、過去の職業からの転職理由等)等を含むがこれらに限定されない。
【0017】
ユーザUは、例えば、自身の情報端末装置を介して、ユーザUに関するデータおよび/またはインフォメーションをコンピュータシステム100に提供することができる。あるいは、ユーザUは、例えば、ユーザUに関連付けられたIoTデバイスを介して、ユーザUに関するデータおよび/またはインフォメーションをコンピュータシステム100に提供することができる。
【0018】
ステップS1に加えて、または、ステップS1に代えて、ステップS2では、ユーザUが、ネットワークN上に格納されているユーザUに関するデータおよび/またはインフォメーションをコンピュータシステム100に提供するように、ネットワークN上に指示を送信する。例えば、ユーザUは、ネットワーク上の適所に格納されているトークンをコンピュータシステム100に提供するように指示を送信することができる。
【0019】
ステップS3では、ユーザUに関するデータおよび/またはインフォメーションを格納するネットワークN上の場所から、ユーザUに関するデータおよび/またはインフォメーションがコンピュータシステム100に提供される。例えば、ネットワーク上の適所からユーザUのトークンがコンピュータシステム100に提供される。
【0020】
コンピュータシステム100がユーザUに関するデータおよび/またはインフォメーションを受信すると、コンピュータシステム100は、ユーザUに関するデータおよび/またはインフォメーションに基づいて、ユーザUの「デジタルツイン」を生成する。ここで、「デジタルツイン」は、ユーザの特徴を多次元的に表すスコアで表現されることができる。コンピュータシステム100は、生成されたユーザUの「デジタルツイン」を利用して、ユーザUの「デジタルツイン」に好適な商品またはサービスを決定する。生成されたユーザUの「デジタルツイン」は、ユーザUの人となりを反映したものであるため、デジタルツインに好適な商品またはサービスは、ひいては、ユーザUに好適な商品またはサービスであるとみなされることができる。
【0021】
ステップS4では、コンピュータシステム100は、決定されたユーザUに好適な商品またはサービスをユーザUに提示する。これにより、ユーザUは、自身に好適な商品またはサービスを知ることができる。
【0022】
ここで、ユーザUに好適な商品またはサービスをユーザUに提示する態様は任意の態様であり得る。一例において、ユーザUに好適な商品またはサービスを、ステップS3で提供されたトークンに書き込んだうえで、トークンをユーザUに提供するまたはネットワーク上の適所に戻すことができる。これにより、ユーザUのトークンが更新され、ユーザUに好適な商品またはサービスの情報が以後の処理に利用されることを可能にする。別の例において、ユーザUに好適な商品またはサービスをユーザUに販売するようにしてもよい。これにより、ユーザUは、自身に好適な商品またはサービスを購入することができる。
【0023】
上述したコンピュータシステム100は、後述するユーザに好適な商品またはサービスを決定するためのシステムによって実現され得る。
【0024】
2.ユーザに好適な商品またはサービスを決定するためのシステムの構成
図2Aは、ユーザに好適な商品またはサービスを決定するためのシステム100の構成の一例を示す。
【0025】
システム100は、データベース部200に接続されている。また、システム100は、少なくとも1つのユーザ端末装置300にネットワーク400を介して接続されている。
【0026】
なお、
図2Aでは、3つのユーザ端末装置300が示されているが、ユーザ端末装置300の数はこれに限定されない。任意の数のユーザ端末装置300が、ネットワーク400を介してシステム100に接続され得る。
【0027】
ネットワーク400は、任意の種類のネットワークであり得る。ネットワーク400は、例えば、インターネットであってもよいし、LANであってもよい。ネットワーク400は、有線ネットワークであってもよいし、無線ネットワークであってもよい。
【0028】
システム100の一例は、商品またはサービスをリコメンドするサービスを提供するプロバイダに設置されているコンピュータ(例えば、サーバ装置)であるが、これに限定されない。例えば、商品またはサービスを提供するプロバイダに設置されているコンピュータであってもよい。ユーザ端末装置300の一例は、商品またはサービスの需要者であるユーザが利用するコンピュータ(例えば、端末装置)であるが、これに限定されない。ここで、コンピュータ(サーバ装置または端末装置)は、任意のタイプのコンピュータであり得る。例えば、端末装置は、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、スマートグラス、スマートウォッチ等の任意のタイプの端末装置であり得る。
【0029】
データベース部200には、少なくとも、ユーザの特徴を示すスコアを算出するために利用される種々の情報が格納されている。
【0030】
図2Bは、ユーザに好適な商品またはサービスを決定するためのシステム100の具体的な構成の一例を示す。
【0031】
システム100は、インターフェース部110と、プロセッサ部120と、メモリ130部とを備える。
【0032】
インターフェース部110は、システム100の外部と情報のやり取りを行う。システム100のプロセッサ部120は、インターフェース部110を介して、システム100の外部から情報を受信することが可能であり、システム100の外部に情報を送信することが可能である。インターフェース部110は、任意の形式で情報のやり取りを行うことができる。
【0033】
インターフェース部110は、例えば、システム100に情報を入力することを可能にする入力部を備える。入力部が、どのような態様でシステム100に情報を入力することを可能にするかは問わない。例えば、入力部が受信器である場合、受信器がネットワークを介してシステム100の外部から情報を受信することにより入力してもよい。あるいは、入力部がデータ読み取り装置である場合には、システム100に接続された記憶媒体から情報を読み取ることによって情報を入力するようにしてもよい。
【0034】
インターフェース部110は、例えば、システム100から情報を出力することを可能にする出力部を備える。出力部が、どのような態様でシステム100から情報を出力することを可能にするかは問わない。例えば、出力部が送信器である場合、送信器がネットワークを介してシステム100の外部に情報を送信することにより出力してもよい。あるいは、出力部がデータ書き込み装置である場合、システム100に接続された記憶媒体に情報を書き込むことによって情報を出力するようにしてもよい。
【0035】
システム100は、例えば、インターフェース部110を介して、データベース部200に情報を送信し、かつ/または、データベース部200から情報を受信することができる。システム100は、例えば、インターフェース部110を介して、ユーザ端末装置300に情報を送信し、かつ/または、ユーザ端末装置300から情報を受信することができる。
【0036】
システム100は、例えば、インターフェース部110を介して、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを受信することができる。後述するように、ユーザに関するデータは、ユーザに関する客観的な情報であり、ユーザに関するインフォメーションは、ユーザを主体とする主観的な情報である。
【0037】
システム100は、例えば、インターフェース部110を介して、好適な商品またはサービスを決定することのリクエストを受信することができる。好適な商品またはサービスを決定することのリクエストは、例えば、何らかの商品またはサービスを購入することのリクエストに含まれるものであってもよい。システム100は、例えば、インターフェース部110を介して、決定された商品またはサービスに関する情報を送信することができる。
【0038】
プロセッサ部120は、システム100の処理を実行し、かつ、システム100全体の動作を制御する。プロセッサ部120は、メモリ部130に格納されているプログラムを読み出し、そのプログラムを実行する。これにより、システム100を所望のステップを実行するシステムとして機能させることが可能である。プロセッサ部120は、単一のプロセッサによって実装されてもよいし、複数のプロセッサによって実装されてもよい。
【0039】
メモリ部130は、システム100の処理を実行するために必要とされるプログラムやそのプログラムの実行に必要とされるデータ等を格納する。メモリ部130は、ユーザに好適な商品またはサービスを決定するための処理をプロセッサ部120に行わせるためのプログラム(例えば、後述する
図7に示される処理を実現するプログラム)を格納してもよい。ここで、プログラムをどのようにしてメモリ部130に格納するかは問わない。例えば、プログラムは、メモリ部130にプリインストールされていてもよい。あるいは、プログラムは、ネットワークを経由してダウンロードされることによってメモリ部130にインストールされるようにしてもよい。この場合、ネットワークの種類は問わない。メモリ部130は、任意の記憶手段によって実装され得る。
【0040】
データベース部200には、例えば、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションが格納され得る。
【0041】
ユーザに関するデータは、ユーザに関する客観的な情報である。ユーザに関するデータは、ユーザ本人しか知らないプライベートな情報であってもよいし、第三者と共有されているパブリックな情報であってもよい。ユーザに関するデータは、例えば、ユーザの情報端末装置および/またはユーザの情報端末装置と通信可能なIoTデバイスから取得され得る。ユーザに関するデータは、例えば、ネットワークN上の任意の場所から取得され得る。ユーザに関するデータは、例えば、ネットワークN上の適所に格納されているトークン内に記録されることができる。ユーザに関するデータは、例えば、ユーザの行動履歴(例えば、運動履歴、健康活動履歴、購買履歴、節約行動履歴、食事履歴、Webページの閲覧履歴、AIスピーカとの会話履歴、SNS利用履歴等)、健康情報(例えば、身長、体重、血圧、心拍数、罹患している病気等)、DNAに関する情報、保険加入情報等を含むがこれらに限定されない。ユーザに関するデータは、ユーザの個人情報を含み得る。個人情報は、例えば、名前、住所、電話番号、メールアドレス、年齢、性別、家族構成、職業、年収、資産、既往歴等のうちの少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。
【0042】
ユーザに関するデータは、例えば、ペイロールカードから取得されることができる。ペイロールカードとは、雇用者からの賃金の支払いを電子的に受け取ることが可能なシステムのことをいう。ペイロールカードによれば、銀行口座を介することなく、賃金の支払いを受け取ることができる。ペイロールカードには、賃金の支払いによる収入情報および支出情報が記録され得る。さらには、ペイロールカードには、仕事上の経費に関する情報も記録され得る。例えば、ペイロールカードには、経費として支払った金額および名目等が記録される。従って、ユーザに関するデータをペイロールカードから取得することにより、ユーザのプライベートで収支の情報のみならず、ユーザの仕事上での収支の情報も、ユーザに関するデータとして用いることができるようになる。
【0043】
ユーザに関するインフォメーションは、ユーザを主体とする主観的な情報である。ユーザに関するインフォメーションは、ユーザ本人しか知らないプライベートな情報であってもよいし、第三者と共有されているパブリックな情報であってもよい。ユーザに関するインフォメーションは、例えば、ユーザが情報端末装置に直接入力することによって取得され得る。ユーザに関するインフォメーションは、例えば、ユーザに対する問診または質問等から間接的に導出され得る。ユーザに関するインフォメーションは、例えば、ネットワークN上の任意の場所から取得され得る。ユーザに関するインフォメーションは、例えば、ネットワークN上の適所に格納されているトークン内に記録されることができる。ユーザに関するインフォメーションは、例えば、趣味、好み、行動理由(例えば、現在または過去の職業の志望動機、過去の職業からの転職理由等)等を含むがこれらに限定されない。
【0044】
データベース部200には、ユーザの特徴を表すスコアを算出するために利用される種々の情報が格納されている。
【0045】
ここで、ユーザの特徴は、ユーザがどのような人物であるか、すなわち、ユーザの人となりを表す概念であり得る。ユーザの特徴は、ユーザが信頼に足る人物であるかという観点からユーザの人となりを表すこともできる。例えば、ユーザの特徴は、「パーソナリティ」に関する観点からユーザの人となりを表すことができ、かつ/または、「お金」に関する観点からユーザの人となりを表すことができ、かつ/または、「健康」に関する観点からユーザの人となりを表すことができる。従って、ユーザの特徴を多次元的に表すスコアは、「パーソナリティ」に関する特徴量、および/または、「お金」に関する特徴量、および/または、「健康」に関する特徴量を含むことができる。スコアの多次元の軸は、例えば、「パーソナリティ」に関する観点の軸、「お金」に関する観点の軸、および/または、「健康」に関する観点の軸を含むことができる。ここで、「パーソナリティ」は、その人の性格および/または人格が信頼できるかどうかを表す情報であり、例えば、他人からの評価を含む。「お金」は、その人のお金に関する情報であり、例えば、年収、資産、節約しているか等の情報を含む。「健康」は、その人の健康に関する情報であり、例えば、病気、食生活、健康のための活動等の情報を含む。
【0046】
一例として、ユーザの特徴を表すスコアが「パーソナリティ」に関する観点の軸を有する場合、「パーソナリティ」に関する複数の項目について点数が付けられ、複数の項目のそれぞれの点数に基づいて、「パーソナリティ」に関してその人の人となりが表されることになる。例えば、怒りっぽいが正直な性格を有する人物では、「パーソナリティ」に関する項目のうち、「正直者」に関する項目の点数が高いかまたは「嘘つき」に関する項目の点数が低く、かつ、「短気」に関する項目の点数が高いかまたは「気長」に関する項目の点数が低くなる。
【0047】
別の例として、ユーザの特徴を表すスコアが「お金」に関する観点の軸を有する場合、「お金」に関する複数の項目について点数が付けられ、複数の項目のそれぞれの点数に基づいて、「お金」に関してその人の人となりが表されることになる。例えば、無駄遣いが多い人物では、「お金」に関する項目のうち、「倹約家」に関する項目の点数が高いかまたは「浪費家」に関する項目の点数が低くなる。
【0048】
別の例として、ユーザの特徴を表すスコアが「健康」に関する観点の軸を有する場合、「健康」に関する複数の項目について点数が付けられ、複数の項目のそれぞれの点数に基づいて、「健康」に関してその人の人となりが表されることになる。例えば、肥満体型を有する人物では、「健康」に関する項目のうち、「肥満度」または「BMI」に関する項目の点数が高くなる。
【0049】
これらの項目は一例であり、多次元の軸の各々は、任意の項目を有することができる。各軸が有する項目を多くするほど、その軸の観点について、ユーザの人となりをより細かく表すことができるようになるが、その分データ量も多くなる。各軸が有する項目を少なくするほど、ユーザの特徴を表すスコアのデータ量が少なくなって取扱い易くなるが、ユーザの人となりをより概略的に表すようになる。例えば、ユーザの特徴を表すスコアは、例えば、多数の項目を有する複数の軸について表されるスコア(ユーザの人となりを詳細に表すスコア)から、複数の軸のうちの少なくとも2つの軸について特定の項目を抽出することによって導出されるスコア(ユーザの人となりを概略的に表すスコア)であってもよい。
【0050】
例えば、データベース部200には、スコアの算出に用いられるパラメータに関する概念と、種々の情報とが関連付けられて格納され得る。スコアの算出に用いられるパラメータは、例えば、「パーソナリティ」、「お金」、「健康」を含み得る。
【0051】
例えば、「パーソナリティ」というパラメータについて、データベース部200には、パーソナリティに関する概念と、種々の情報とが関連付けられて格納され得る。例えば、「パーソナリティ」に関する「利他的」(または「トランスパーソナル」)という概念には、「ボランティア」、「寄付」、「心配り」、「相談」等のキーワード、「ボランティアに頻繁に参加する」、「相談を頻繁に受ける」、「寄付経験がある」等のステータス等が関連付けて格納され得る。例えば、「パーソナリティ」に関する「SDGs」(Sustainable Development Goals、または「持続可能な開発目標」)という概念には、17の目標および/または169のターゲットに関連するキーワード(例えば、「平等」、「環境保全」等)、「17の目標および/または169のターゲットに関連する行動を行っている」、「17の目標および/または169のターゲットに関連する思想を持っている」等のステータス等が関連付けて格納され得る。
【0052】
例えば、「お金」というパラメータについて、データベース部200には、お金に関する概念と、種々の情報とが関連付けられて格納され得る。例えば、「お金」に関する「お金持ち」(または「キャッシュフローリッチ」)という概念には、「ハーバード大学」、「MBA」等のキーワード、「年収2000万円以上」等のステータス等が関連付けて格納され得る。例えば、「お金」に関する「お金持ち」(または「ストックリッチ」)という概念には、「地主」、「株主」等のキーワード、「資産1億円以上」等のステータス等が関連付けて格納され得る。
【0053】
例えば、「健康」というパラメータについて、データベース部200には、健康に関する概念と、種々の情報とが関連付けられて格納され得る。例えば、「健康」に関する「優良体」(または「身体的健康」)という概念には、「非喫煙」、「正常血圧」等のキーワード、「BMI18~27」等のステータス等が関連付けて格納され得る。例えば、「健康」に関する「マインドフルネス」(または「精神的健康」)という概念には、「やりがい」、「ストレスレス」等のキーワード、「ストレスチェック結果が所定値未満」、「首尾一貫感覚(SOC:Sense of coherence)が高い」等のステータス等が関連付けて格納され得る。
【0054】
図2Cは、データベース部200に格納される情報の関連付けを示す概念図である。
【0055】
図2Cに示される例では、お金に関する「お金持ち」という概念に対して、例えば、「ハーバード大学」、「スタンフォード大学」、「MBA」、「医師」、「経営者」等のキーワードが関連付けられている。さらに、これらのキーワードに対して、別のキーワード(例えば、「ビジネススクール」、「開業医」、「上場企業」等)が関連付けられる。さらに、これらのキーワードに対して、さらに別のキーワードが関連付けられ得る。
【0056】
このような関連付けは、例えば、セマンティック検索を行うことが可能な人工知能(AI)、すなわち、キーワード間の相関関係を学習した人工知能を用いてなされ得る。
【0057】
この人工知能は、大量の文章からキーワード間の相関関係を学習している。例えば、この人工知能は、文章を構文解析することにより、文章内の複数のキーワードを抽出し、その文章内での複数のキーワードの関係を特定する。例えば、この人工知能は、或るキーワードが多くの文章において別の或るキーワードと併用されている場合には、それらのキーワードを、相関関係が強いものとして学習する。このようにしてキーワード間の相関関係を学習した人工知能は、学習した相関関係に基づいて、入力されたキーワードに相関するキーワードを出力することができる。
【0058】
例えば、キーワード間の相関関係を学習した人工知能に「お金持ち」というキーワードを入力すると、「お金持ち」に相関するキーワードとして、「ハーバード大学」、「スタンフォード大学」、「MBA」、「医師」、「経営者」等が出力され得る。例えば、キーワード間の相関関係を学習した人工知能に、「お金持ち」および「医師」というキーワードを入力すると、「お金持ち」および「医師」に相関するキーワードとして、「開業医」、「院長」等が出力され得る。
【0059】
このように、データベース部200には、キーワード間の相関関係を学習した人工知能に入力されたキーワードと、出力されたキーワードとが関連付けられて格納され得る。
【0060】
図2Aおよび
図2Bに示される例では、データベース部200は、システム100の外部に設けられているが、本発明はこれに限定されない。データベース部200の少なくとも一部をシステム100の内部に設けることも可能である。このとき、データベース部200の少なくとも一部は、メモリ部130を実装する記憶手段と同一の記憶手段によって実装されてもよいし、メモリ部130を実装する記憶手段とは別の記憶手段によって実装されてもよい。いずれにせよ、データベース部200の少なくとも一部は、システム100のための格納部として構成される。データベース部200の構成は、特定のハードウェア構成に限定されない。例えば、データベース部200は、単一のハードウェア部品で構成されてもよいし、複数のハードウェア部品で構成されてもよい。例えば、データベース部200は、システム100の外付けハードディスク装置として構成されてもよいし、ネットワークを介して接続されるクラウド上のストレージとして構成されてもよいし、ブロックチェーン技術等を利用する分散型ネットワークとして構成されてもよい。
【0061】
例えば、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションは、ブロックチェーン技術等を利用する分散型ネットワークとして構成されるデータベース部200に格納され、このとき、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションは、改ざんが実質的に不可能となる。これにより、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションの信頼性が担保されることになる。
【0062】
【0063】
プロセッサ部120は、取得手段121と、算出手段122と、決定手段123とを備える。
【0064】
取得手段121は、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを取得するように構成されている。
【0065】
取得手段121は、例えば、インターフェース部110を介して、データベース部200に格納されているユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを取得するようにしてもよい。あるいは、取得手段121は、例えば、インターフェース部110を介して、ユーザ端末装置300から受信されたユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを取得するようにしてもよい。あるいは、取得手段121は、ネットワーク上の所与の場所から、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを取得するようにしてもよい。取得手段121は、例えば、ユーザの有するペイロールカード(またはペイロールカードを管理するサーバ装置)からユーザに関するデータを取得することができる。取得されたユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションは、算出手段122に渡される。
【0066】
算出手段122は、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションに基づいて、ユーザの特徴を多次元的に表すスコアを算出するように構成されている。ユーザの特徴は、ユーザがどのような人物であるか、すなわち、ユーザの人となりを表す概念であり得る。ユーザの特徴は、ユーザが信頼に足る人物であるかという観点からユーザの人となりを表すこともできる。例えば、ユーザの特徴は、「パーソナリティ」に関する観点からユーザの人となりを表すことができ、かつ/または、「お金」に関する観点からユーザの人となりを表すことができ、かつ/または、「健康」に関する観点からユーザの人となりを表すことができる。従って、ユーザの特徴を多次元的に表すスコアは、「パーソナリティ」に関する特徴量、および/または、「お金」に関する特徴量、および/または、「健康」に関する特徴量を含むことができる。「デジタルツイン」という言葉が知られているが、ユーザの特徴を多次元的に表すスコアは、ユーザのデジタルツインを表すスコアであるとも言える。
【0067】
スコアの多次元の軸は、例えば、「パーソナリティ」に関する観点の軸、「お金」に関する観点の軸、および/または、「健康」に関する観点の軸を含むことができる。
【0068】
ユーザの特徴を多次元的に表すスコアは、例えば、ユーザがより信頼に足る人物であるかどうかを評価可能な特徴量を含むことができる。例えば、ユーザの性格および/または人格がより信頼できるものであるほど、ユーザの特徴を多次元的に表すスコアにおいて、信頼に足る人物であることを示す「パーソナリティ」に関する特徴量が多く含まれることになる。例えば、ユーザのお金に関する考え方、行動および/または状態がより信頼できるものであるほど、ユーザの特徴を多次元的に表すスコアにおいて、信頼に足る人物であることを示す「お金」に関する特徴量が多く含まれることになる。例えば、ユーザの健康に関する考え方、行動および/または状態がより信頼できるものであるほど、ユーザの特徴を多次元的に表すスコアにおいて、信頼に足る人物であることを示す「健康」に関する特徴量が多く含まれることになる。
【0069】
一実施形態において、算出手段122は、例えば、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションがスコアの算出に用いられるパラメータと相関する程度に応じて、スコアを算出することができる。算出手段122は、例えば、スコアの算出に用いられるパラメータに関する概念と相関する種々の情報を格納しているデータベース部200を参照し、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションがスコアの算出に用いられるパラメータに関する概念と相関する程度を決定する。ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションは、例えば、「パーソナリティ」、「お金」、「健康」に関する情報を含み得る。
【0070】
算出手段122は、例えば、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションが「パーソナリティ」に関する概念と相関する程度を決定し、決定された相関する程度に応じて、スコアを算出することができる。例えば、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションが、「パーソナリティ」に関する概念のうちの特定の概念と大きく相関する場合、算出手段122は、その概念に対応する特徴量をスコアに含めるまたはその概念に対応する項目の点数を高くするようにすることができる。例えば、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションが、「利他的」(または「トランスパーソナル」)により強く相関するほど、「利他的」に対応する特徴量をより多くまたはより強くスコアに含めるまたは「利他的」に対応する項目の点数を高くすることができる。例えば、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションが、「SDGs」(または「持続可能な開発目標」)により強く相関するほど、「SDGs」に対応する特徴量をより多くまたはより強くスコアに含めるまたは「SDGs」に対応する項目の点数を高くすることができる。
【0071】
算出手段122は、例えば、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションが「お金」に関する概念と相関する程度を決定し、決定された相関する程度に応じて、スコアを算出することができる。例えば、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションが、「お金」に関する概念のうちの特定の概念と大きく相関する場合、算出手段122は、その概念に対応する特徴量をスコアに含めるまたはその概念に対応する項目の点数を高くするようにすることができる。例えば、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションが、「キャッシュフローリッチ」により強く相関するほど、「キャッシュフローリッチ」に対応する特徴量をより多くまたはより強くスコアに含めるまたは「キャッシュフローリッチ」の概念に対応する項目の点数を高くすることができる。例えば、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションが、「ストックリッチ」により強く相関するほど、「ストックリッチ」に対応する特徴量をより多くまたはより強くスコアに含めるまたは「ストックリッチ」の概念に対応する項目の点数を高くすることができる。
【0072】
算出手段122は、例えば、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションが「健康」に関する概念と相関する程度を決定し、決定された相関する程度に応じて、スコアを算出することができる。例えば、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションが、「健康」に関する概念のうちの特定の概念と大きく相関する場合、算出手段122は、その概念に対応する特徴量をスコアに含めるまたはその概念に対応する項目の点数を高くするようにすることができる。例えば、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションが、「優良体」(または「身体的健康」)により強く相関するほど、「優良体」に対応する特徴量をより多くまたはより強くスコアに含めるまたは「優良体」の概念に対応する項目の点数を高くすることができる。例えば、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションが、「マインドフルネス」(または「精神的健康」)により強く相関するほど、「マインドフルネス」(または「精神的健康」)に対応する特徴量をより多くまたはより強くスコアに含めるまたは「マインドフルネス」の概念に対応する項目の点数を高くすることができる。
【0073】
一実施形態において、算出手段122は、例えば、複数のユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションとスコアとの関係を学習した機械学習モデルを利用して、ユーザの特徴を多次元的に表すスコアを算出することができる。ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションは、例えば、「パーソナリティ」、「お金」、「健康」に関する情報を含み得る。
【0074】
機械学習モデルは、任意の機械学習モデルを用いて構築することができる。機械学習モデルは、例えば、ニューラルネットワークモデルであり得る。
【0075】
図4は、算出手段122が利用し得るニューラルネットワークモデルの構造の一例を示す。
【0076】
ニューラルネットワークモデルは、入力層と、少なくとも1つの隠れ層と、出力層とを有する。ニューラルネットワークモデルの入力層のノード数は、入力されるユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションの次元数に対応する。ニューラルネットワークモデルの隠れ層は、任意の数のノードを含むことができる。ニューラルネットワークモデルの出力層のノード数は、出力されるデータの次元数に対応する。例えば、ユーザの特徴を多次元的に表すスコアを出力する場合、出力層のノード数は、1であり得る。
【0077】
ニューラルネットワークモデルは、取得手段121が取得したユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを使用して予め学習処理がなされ得る。学習処理は、取得手段121が予め取得したユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを使用して、ニューラルネットワークモデルの隠れ層の各ノードの重み係数を計算する処理である。
【0078】
学習処理は、例えば、教師あり学習である。教師あり学習では、例えば、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを入力用教師データとし、そのユーザの特徴を多次元的に表すスコアを出力用教師データとして、複数のユーザの情報を使用してニューラルネットワークモデルの隠れ層の各ノードの重み係数を計算することにより、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションとスコアとを相関させることが可能な機械学習モデルを構築することができる。
【0079】
例えば、教師あり学習のための(入力用教師データ,出力用教師データ)の組は、(第1のユーザに関するデータおよび/またはインフォメーション,第1のユーザのスコア)、(第2のユーザに関するデータおよび/またはインフォメーション,第2のユーザのスコア)、・・・(第iのユーザに関するデータおよび/またはインフォメーション,第iのユーザのスコア)、・・・等であり得る。このような学習済のニューラルネットワークモデルの入力層にユーザから新たに取得されたユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを入力すると、そのユーザのスコアが出力層に出力される。
【0080】
教師あり学習では、例えば、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションがスコアの算出に用いられるパラメータと相関する程度を入力用教師データとすることもできる。
【0081】
算出されたスコアは、決定手段123に渡される。
【0082】
再び
図3を参照する。決定手段123は、算出手段122によって算出されたスコアを利用して、ユーザに好適な商品またはサービスを決定するように構成されている。一例において、スコアに含まれ得る複数の特徴量のそれぞれに特定の商品またはサービスが関連付けられており、決定手段123は、スコアに含まれる特徴量に対応する商品またはサービスを、ユーザに好適な商品またはサービスとして決定することができる。
【0083】
別の例において、決定手段123は、スコアから特定の特徴量を導出し、導出された特徴量に基づいて、商品またはサービスを決定することができる。例えば、スコアから導出され得る複数の特徴量のそれぞれに特定の商品またはサービスが関連付けられており、決定手段123は、スコアから導出された特徴量に対応する商品またはサービスを、ユーザに好適な商品またはサービスとして決定することができる。例えば、スコアから導出され得る複数の特徴量のうちのいくつかの特徴量の組み合わせのそれぞれに特定の商品またはサービスが関連付けられており、決定手段123は、スコアから導出された特徴量の組み合わせに対応する商品またはサービスを、ユーザに好適な商品またはサービスとして決定することができる。
【0084】
決定手段123は、任意の手法で、スコアから特定の特徴量を導出することができる。一例において、決定手段123は、スコアに含まれる特徴量から特定の特徴量を抽出することができる。ここで、特徴量の抽出とは、特徴量の値を変更することなく、特徴量をそのまま抜き出すことを意味する。別の例において、決定手段123は、スコアまたはスコアに含まれる特徴量に対して特定の関数を適用することにより、特定の特徴量を導出することができる。ここで、特定の関数は、任意の関数であり得る。例えば、特定の関数は、ハッシュ関数であり得る。
【0085】
スコアから抽出される特徴量は、決定される商品またはサービスの分野に応じて変更されることができる。例えば、決定手段123は、スコアに含まれる特徴量から、決定される商品またはサービスの分野に応じた特定の特徴量を抽出することができる。例えば、決定手段123は、スコアまたはスコアに含まれる特徴量に対して、決定される商品またはサービスの分野に応じた特定の関数を適用することによって特定の特徴量を導出することができる。スコアから導出される特徴量を、特定の商品またはサービスの分野のためにチューニングすることにより、システム100は、特定の商品またはサービスについて、ユーザに好適な商品またはサービスを決定することができるようになる。
【0086】
ユーザに好適な商品またはサービスを決定するためのシステムは、例えば、ユーザに好適な金融商品、ユーザに好適な保険商品、ユーザに好適な旅行プラン、ユーザに好適な消費財を決定するようにチューニングされ得る。なお、本発明のシステムは、これらの商品またはサービスを決定することに限定されず、他の任意の商品またはサービスを決定するために利用されることができる。
(ユーザに好適な金融商品を決定するためのシステム)
【0087】
一例において、システム100は、ユーザに好適な金融商品を決定するためのシステムとして構成されることができる。ここで、金融商品とは、金融取引において扱われる商品または商品群を意味する。金融商品は、例えば、銀行、保険会社、証券会社等が扱う商品であって、預金、投資信託、保険商品、株式、国債、外国為替、融資、仮想通貨、コモディティまたはこれらの組み合わせを含む。
【0088】
このシステムにおいて、決定手段123は、スコアを利用して、ユーザに好適な金融商品を決定することができる。決定手段123は、ユーザに好適な金融商品を決定するために有用な特徴量をスコアから導出することができる。例えば、決定手段123は、スコアに含まれる特徴量から、ユーザに好適な金融商品を決定するために有用な特徴量を抽出することができる。例えば、決定手段123は、スコアまたはスコアに含まれる特徴量に、金融商品の分野に特有の関数を適用することによって、ユーザに好適な金融商品を決定するために有用な特徴量を導出することができる。
【0089】
ユーザに好適な金融商品を決定するために有用な特徴量は、好ましくは、ユーザのリスクを評価可能な特徴量を含む。購入者のリスク評価は金融商品の決定に大きな影響を及ぼすため、ユーザのリスクを考慮することで、決定される金融商品が、よりユーザに好適なものとなり得るからである。ユーザのリスクを評価可能な特徴量は、例えば、金融業界で経験的に用いられている特徴量であってもよいし、機械学習(例えば、クラスタ分析等)で導出される特徴量であってもよい。
例えば、ユーザに好適な金融商品を決定するために有用な特徴量が、ユーザがリスクを厭わない性格であることを示す場合には、そのユーザには、ハイリスクハイリターンの金融商品が好適な金融商品であると決定され得る。
【0090】
(ユーザに好適な保険商品を決定するためのシステム)
一例において、システム100は、ユーザに好適な保険商品を決定するためのシステムとして構成されることができる。保険商品は、例えば、補償内容、保険料率、特約等の種々の条件を有する。ユーザに好適な保険商品を決定することは、補償内容、保険料率、特約等の種々の条件を決定することも含む。
【0091】
このシステムにおいて、決定手段123は、スコアを利用して、ユーザに好適な保険商品を決定することができる。決定手段123は、ユーザに好適な保険商品を決定するために有用な特徴量をスコアから導出することができる。例えば、決定手段123は、スコアに含まれる特徴量から、ユーザに好適な保険商品を決定するために有用な特徴量を抽出することができる。例えば、決定手段123は、スコアまたはスコアに含まれる特徴量に、保険商品の分野に特有の関数を適用することによって、ユーザに好適な保険商品を決定するために有用な特徴量を導出することができる。
【0092】
ユーザに好適な保険商品を決定するために有用な特徴量は、好ましくは、ユーザの健康面および/または経済面のリスクを評価可能な特徴量を含む。加入者の健康面および経済面のリスクは保険商品の決定に大きな影響を及ぼすため、ユーザの健康面および/または経済面のリスクを考慮することで、決定される保険商品が、よりユーザに好適なものとなり得るからである。ユーザのリスクを評価可能な特徴量は、例えば、保険業界で経験的に用いられている特徴量であってもよいし、機械学習(例えば、クラスタ分析等)で導出される特徴量であってもよい
例えば、ユーザに好適な保険商品を決定するために有用な特徴量が、ユーザが運動不足であることを示す場合には、そのユーザには、医療保険にがん保険の特約がついた保険商品が好適な保険商品であると決定され得る。
【0093】
(ユーザに好適な旅行プランを決定するためのシステム)
一例において、システム100は、ユーザに好適な旅行プランを決定するためのシステムとして構成されることができる。旅行プランは、例えば、行先、移動手段、活動内容、タイムスケジュール等の種々の条件を有する。ユーザに好適な旅行プランを決定することは、行先、移動手段、活動内容、タイムスケジュール等の種々の条件を決定することも含む。
【0094】
このシステムにおいて、決定手段123は、スコアを利用して、ユーザに好適な旅行プランを決定することができる。決定手段123は、ユーザに好適な旅行プランを決定するために有用な特徴量をスコアから導出することができる。例えば、決定手段123は、スコアに含まれる特徴量から、ユーザに好適な旅行プランを決定するために有用な特徴量を抽出することができる。例えば、決定手段123は、スコアまたはスコアに含まれる特徴量に、旅行プランの分野に特有の関数を適用することによって、ユーザに好適な旅行プランを決定するために有用な特徴量を導出することができる。
【0095】
ユーザに好適な旅行プランを決定するために有用な特徴量は、好ましくは、ユーザの行動面の性格を評価可能な特徴量を含む。旅行客の行動面の性格は旅行プランの決定に大きな影響を及ぼすため、ユーザの行動面の性格を考慮することで、決定される旅行プランが、よりユーザに好適なものとなり得るからである。ユーザの行動面の性格を評価可能な特徴量は、例えば、旅行業界で経験的に用いられている特徴量であってもよいし、機械学習(例えば、クラスタ分析等)で導出される特徴量であってもよい。
例えば、ユーザの行動面の性格を評価可能な特徴量が、ユーザが冒険好きという性格であることを示す場合、そのユーザには、自然の中を探索するアクティビティを含む旅行プランが好適な旅行プランであると決定され得る。
【0096】
(ユーザに好適な消費財を決定するためのシステム)
一例において、システム100は、ユーザに好適な消費財を決定するためのシステムとして構成されることができる。消費財は、消費者が家計の中での消費を目的として購入される製品のことをいう。消費財は、長期間に渡って使用されるものを耐久消費財と、単回使用で消費される非耐久消費財とを含む。
【0097】
このシステムにおいて、決定手段123は、スコアを利用して、ユーザに好適な消費財を決定することができる。決定手段123は、ユーザに好適な消費財を決定するために有用な特徴量をスコアから導出することができる。例えば、決定手段123は、スコアに含まれる特徴量から、ユーザに好適な消費財を決定するために有用な特徴量を抽出することができる。例えば、決定手段123は、スコアまたはスコアに含まれる特徴量に、消費財の分野に特有の関数を適用することによって、ユーザに好適な消費財を決定するために有用な特徴量を導出することができる。
【0098】
ユーザに好適な消費財を決定するために有用な特徴量は、好ましくは、ユーザの嗜好を評価可能な特徴量を含む。消費者の嗜好は消費財の決定に大きな影響を及ぼすため、ユーザの嗜好を考慮することで、決定される消費財が、よりユーザに好適なものとなり得るからである。ユーザのリスクを評価可能な特徴量は、例えば、消費財の製造または販売業界で経験的に用いられている特徴量であってもよいし、機械学習(例えば、クラスタ分析等)で導出される特徴量であってもよい。
例えば、ユーザの嗜好を評価可能な特徴量が、ユーザが古風なものが好きであることを示す場合、そのユーザには、過去に流行したデザインを有する消費財が好適な消費財であると決定され得る。
【0099】
決定手段123によって決定されたユーザに好適な商品またはサービスは、例えば、プロセッサ部120からインターフェース部110を介してシステム100の外部に出力される。この出力は、任意の用途に利用されることができる。例えば、決定されたユーザに好適な商品またはサービスは、ユーザに提示されることができる。あるいは、例えば、決定されたユーザに好適な商品またはサービスを示す情報のみが、ユーザに提示されることができる。あるいは、例えば、決定されたユーザに好適な商品またはサービスに基づいた商品またはサービスのリコメンドがユーザに提示されることができる。
【0100】
図5は、プロセッサ部120の代替実施形態であるプロセッサ部120’の構成の一例を示す。
【0101】
プロセッサ部120’は、調節手段124を備える点を除いて、プロセッサ部120と同一の構成を有する。
図5では、
図3を参照して上述した構成と同一の構成要素には同一の参照番号を付し、ここでは、説明を省略する。
【0102】
プロセッサ部120’は、取得手段121と、算出手段122と、決定手段123と、調節手段124とを備える。
【0103】
調節手段124は、取得手段121がユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを取得可能な範囲を調節するように構成されている。調整手段124がユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションの取得可能な範囲を調節する態様は問わない。例えば、調節手段124は、取得手段121が取得することを禁止するユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを指定することによって、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションの取得可能な範囲を調節することができる。例えば、調節手段124は、取得手段121が取得することを許容するユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを指定することによって、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションの取得可能な範囲を調節することができる。
【0104】
ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションの取得可能な範囲は、例えば、ユーザが指定することができる。調節手段124は、ユーザによる入力に応答して、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションの取得可能な範囲を調節することができる。これにより、ユーザは、例えば、スコアの算出に反映したいデータおよび/またはインフォメーションのみをシステム100に提供または開示することができる。
【0105】
算出手段122は、調節手段124によって調節された取得可能な範囲に応じて、スコアを算出することができる。システム側の立場からすると、利用可能なすべてのデータおよび/またはインフォメーションをユーザに開示してもらうことが好ましい。スコアの算出に、利用可能なあらゆる情報を用いることができ、スコアの精度、ひいては、決定される商品またはサービスの精度が向上するからである。しかしながら、ユーザ側の立場からすると、秘密にしておきたい情報が存在し得る。そこで、システム100では、取得可能な範囲に応じたインセンティブをユーザに提供することによって、情報を開示することをユーザに促すようにしている。インセンティブとして、例えば、算出手段122は、情報の取得可能な範囲が広いユーザほど優遇されたスコアを算出するようにすることができる。例えば、算出手段122は、情報の取得可能な範囲が広いユーザのスコアに、正直者であることの特徴量を含めるように、スコアを算出することができる。一例において、インセンティブとして、算出手段122は、ペイロールカードに記憶された情報を開示するユーザに対して、そうでないユーザに比べて優遇されたスコアを算出するようにすることができる。
【0106】
決定手段123は、例えば、算出手段122によって算出された優遇されたスコアを有するユーザに対しては、優遇された商品またはサービスを、好適な商品またはサービスとして決定することができる。優遇された商品またはサービスは、例えば、取引条件が優遇された金融商品、加入条件が優遇された保険商品、価格が割引された旅行プラン、価格が割引された消費財等を含むが、これらに限定されない。
【0107】
このように、情報の取得範囲が広いほど、決定されるユーザに好適な商品またはサービスが優遇されることになるため、ユーザは、より広範囲の情報を提供または開示するよう促され得る。
【0108】
図6は、プロセッサ部120の代替実施形態であるプロセッサ部120’の構成の一例を示す。
【0109】
プロセッサ部120’’は、書込手段125を備える点を除いて、プロセッサ部120と同一の構成を有する。
図6では、
図3を参照して上述した構成と同一の構成要素には同一の参照番号を付し、ここでは、説明を省略する。
【0110】
プロセッサ部120’’は、取得手段121と、算出手段122と、決定手段123と、書込手段125とを備える。プロセッサ部120’’は、
図5を参照して上述した調節手段124をさらに備えるようにしてもよい。
【0111】
書込手段125は、算出手段122によって算出されたスコアをトークンに書き込むように構成されている。スコアが書き込まれたトークンは、例えば、プロセッサ部120’’からインターフェース部110を介してシステム100の外部に出力されることができる。これにより、算出されたスコアをトークンを介してシステム100の外部においても利用することができるようになる。
【0112】
ここで、トークンは、その所有者が特定されたトークン(すなわち、本人確認またはKYC(Know Your Customer)済のトークン)であることが好ましい。KYC済のトークンであれば、トークンに保持される情報がその人物のものであることが保証され、情報の信頼性を高めることができるからである。このとき、トークンの所有者であることを公開する必要はなく、本人確認またはKYCは、ゼロ知識照明によって行われることができる。
【0113】
スコアが書き込まれたトークンは、例えば、決定手段123に提供され、書き込まれたスコアが決定手段123よって読み出されるようにしてもよい。この場合、算出手段122と決定手段123とは直接通信する必要がなく、トークンを介してスコアをやりとりすることができる。
【0114】
書込手段125は、決定手段123によって決定されたユーザに好適な商品またはサービスを示す情報をトークンに書き込むように構成され得る。ユーザに好適な商品またはサービスを示す情報が書き込まれたトークンは、例えば、プロセッサ部120’’からインターフェース部110を介してシステム100の外部に出力されることができる。これにより、ユーザに好適な商品またはサービスを示す情報をトークンを介してシステム100の外部においても利用することができるようになる。例えば、トークンがKYC済のトークンであれば、好適な商品またはサービスを示す情報がそのトークンの所有者のものであることが保証され、信頼された情報として、システム100の外部において利用されることができる。
【0115】
上述した例では、算出手段122が算出したスコアを利用して、決定手段123がユーザに好適な商品またはサービスを決定することを説明したが、システム100では、決定手段123が省略されるようにしてもよい。すなわち、システム100では、算出手段122によって算出されたスコアが、プロセッサ部120からインターフェース部110を介してシステム100の外部に出力されることができる。これにより、算出されたスコアをトークンを介してシステム100の外部においても利用することができるようになる。例えば、算出されたスコアを取引対象として、需要者(例えば、金融機関、保険会社等)に販売することができる。
【0116】
上述した
図3、
図5、
図6に示される例では、プロセッサ部120の各構成要素が同一のプロセッサ部120内に設けられているが、本発明はこれに限定されない。プロセッサ部120の各構成要素が複数のプロセッサ部に分散される構成も本発明の範囲内である。このとき、複数のプロセッサ部は、同一のハードウェア部品内に位置してもよいし、近傍または遠隔の別個のハードウェア部品内に位置してもよい。
【0117】
なお、上述したシステム100の各構成要素は、単一のハードウェア部品で構成されていてもよいし、複数のハードウェア部品で構成されていてもよい。複数のハードウェア部品で構成される場合は、各ハードウェア部品が接続される態様は問わない。各ハードウェア部品は、無線で接続されてもよいし、有線で接続されてもよい。本発明のシステム100は、特定のハードウェア構成には限定されない。プロセッサ部120をデジタル回路ではなくアナログ回路によって構成することも本発明の範囲内である。本発明のシステム100の構成は、その機能を実現できる限りにおいて上述したものに限定されない。
【0118】
3.ユーザに好適な商品またはサービスを決定するためのシステムによる処理
図7は、ユーザに好適な商品またはサービスを決定するためのシステム100による処理の一例(処理700)を示す。処理700は、システム100のプロセッサ部120において行われる。処理100は、プロセッサ部120’およびプロセッサ部120’’においても同様の処理によって行われることができる。
ステップS701では、プロセッサ部120の取得手段121が、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを取得する。
取得手段121は、例えば、インターフェース部110を介して、データベース部200に格納されているユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを取得するようにしてもよい。あるいは、取得手段121は、例えば、インターフェース部110を介して、ユーザ端末装置300から受信されたユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを取得するようにしてもよい。あるいは、取得手段121は、ネットワーク上の所与の場所から、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを取得するようにしてもよい。取得手段121は、例えば、ユーザの有するペイロールカード(またはペイロールカードを管理するサーバ装置)からユーザに関するデータを取得することができる。取得されたユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションは、算出手段122に渡される。
【0119】
ステップS702では、プロセッサ部120の算出手段122が、ステップS701で取得されたユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションに基づいて、ユーザの特徴を多次元的に表すスコアを算出する。
算出手段122は、例えば、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションがスコアの算出に用いられるパラメータと相関する程度に応じて、スコアを算出することができる。算出手段122は、例えば、スコアの算出に用いられるパラメータに関する概念と相関する種々の情報を格納しているデータベース部200を参照し、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションがスコアの算出に用いられるパラメータに関する概念と相関する程度を決定する。ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションは、例えば、「パーソナリティ」、「お金」、「健康」に関する情報を含み得る。
【0120】
算出手段122は、例えば、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションが「パーソナリティ」に関する概念と相関する程度を決定し、決定された相関する程度に応じて、スコアを算出することができる。算出手段122は、例えば、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションが「お金」に関する概念と相関する程度を決定し、決定された相関する程度に応じて、スコアを算出することができる。算出手段122は、例えば、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションが「健康」に関する概念と相関する程度を決定し、決定された相関する程度に応じて、スコアを算出することができる。
【0121】
算出手段122は、例えば、複数のユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションとスコアとの関係を学習した機械学習モデルを利用して、ユーザの特徴を多次元的に表すスコアを算出することができる。ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションは、例えば、「パーソナリティ」、「お金」、「健康」に関する情報を含み得る。
【0122】
例えば、ステップS701で取得されたユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを機械学習モデルに入力すると、ユーザのスコアが出力され得る。
【0123】
ステップS703では、プロセッサ部120の決定手段123が、ステップS702で算出されたスコアを利用して、ユーザに好適な商品またはサービスを決定する。例えば、決定手段123は、スコアに含まれる特徴量に対応する商品またはサービスを、ユーザに好適な商品またはサービスとして決定することができる。あるいは、決定手段123は、スコアから特定の特徴量を導出し、導出された特徴量に基づいて、商品またはサービスを決定することができる。
【0124】
ステップS703において、決定手段123は、任意の手法で、スコアから特定の特徴量を導出することができる。一例において、決定手段123は、スコアに含まれる特徴量から特定の特徴量を抽出することができる。別の例において、決定手段123は、スコアまたはスコアに含まれる特徴量に対して特定の関数を適用することにより、特定の特徴量を導出することができる。
【0125】
スコアから抽出される特徴量は、決定される商品またはサービスの分野に応じて変更されることができる。例えば、決定手段123は、スコアに含まれる特徴量から、決定される商品またはサービスの分野に応じた特定の特徴量を抽出することができる。例えば、決定手段123は、スコアまたはスコアに含まれる特徴量に対して、決定される商品またはサービスの分野に応じた特定の関数を適用することによって特定の特徴量を導出することができる。スコアから導出される特徴量を、特定の商品またはサービスの分野のためにチューニングすることにより、システム100は、特定の商品またはサービスについて、ユーザに好適な商品またはサービスを決定することができるようになる。
【0126】
このように、処理700では、ユーザのデジタルツインを利用して、ユーザに好適な商品またはサービスが決定される。ユーザのデジタルツインの精度を高めるほど、決定されるユーザに好適な商品またはサービスの精度は向上する。
【0127】
処理700によって決定されたユーザに好適な商品またはサービスは、任意の用途に利用されることができる。例えば、決定されたユーザに好適な商品またはサービスは、ユーザに提示されることができる。あるいは、決定されたユーザに好適な商品またはサービスは、ユーザのトークンに書き込まれることができる。あるいは、決定されたユーザに好適な商品またはサービスは、別の新たな商品またはサービスを開発するために利用されることができる。
【0128】
図7を参照して上述した例では、特定の順序で処理が行われることを説明したが、各処理の順序は説明されたものに限定されず、論理的に可能な任意の順序で行われ得る。
【0129】
図7を参照して上述した例では、
図7に示される各ステップの処理は、プロセッサ部120とメモリ部130に格納されたプログラムとによって実現することが説明されたが、本発明はこれに限定されない。
図7に示される各ステップの処理のうちの少なくとも1つは、制御回路などのハードウェア構成によって実現されてもよい。
【0130】
上述した例では、システム100が、ユーザに好適な商品またはサービスを決定するためのサービスを提供するサービスプロバイダに設置されているコンピュータ(例えば、サーバ装置)である場合を例に説明したが、本発明は、これに限定されない。システム100は、プロセッサ部を備える任意の情報処理装置であり得る。
【0131】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明は、ユーザの特徴を多次元的に表すスコア、すなわち、ユーザのデジタルツインを利用して、高精度で、ユーザに好適な商品またはサービスを決定することができるシステム等を提供するものとして有用である。
【符号の説明】
【0133】
100 システム
200 データベース部
300 ユーザ装置
400 ネットワーク
【要約】 (修正有)
【課題】ユーザに好適な商品またはサービスを決定するシステム及び方法を提供する。
【解決手段】システムは、ユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションを取得しS701、取得したユーザに関するデータおよび/またはインフォメーションに基づいて、ユーザの特徴を多次元的に表すスコアを算出しS702、スコアを利用して、ユーザに好適な商品またはサービスを決定するS703。
【選択図】
図7