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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/56 20060101AFI20220114BHJP
   A47C 7/74 20060101ALI20220114BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
B60N2/56
A47C7/74 C
B60H1/00 102V
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017101870
(22)【出願日】2017-05-23
(65)【公開番号】P2018197043
(43)【公開日】2018-12-13
【審査請求日】2020-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100111109
【氏名又は名称】城田 百合子
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 武志
(72)【発明者】
【氏名】西井 渉
(72)【発明者】
【氏名】卜部 洋平
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-104246(JP,A)
【文献】特開2015-089467(JP,A)
【文献】特開2016-002861(JP,A)
【文献】国際公開第2017/002764(WO,A1)
【文献】特開2015-123914(JP,A)
【文献】特開2004-161137(JP,A)
【文献】特開2013-126796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-90
A47C 7/74
B60H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションと、
該シートクッションに連結されたシートバックと、
該シートバックに配置された送風機と、を備える乗物用シートであって、
前記シートバックは、着座者の頭部を支持可能な頭部支持部と、前記着座者の背部を支持可能な背部支持部と、を一体的に有し、前記頭部支持部と前記背部支持部とに亘って形成されたシートバックフレームを備え、
該シートバックフレームは、左右のサイドフレームを有し、
該左右のサイドフレームには、ブラケットが架け渡されており、該ブラケットによって前記送風機が取り付けられ
前記左右のサイドフレームは屈曲して形成された屈曲部をそれぞれ有し、
前記ブラケットは、前記屈曲部よりも上方において前記左右のサイドフレームに架け渡されていて、
前記送風機は、前記屈曲部よりも上方の前記頭部支持部に位置することを特徴とする乗物用シート。
【請求項2】
前記ブラケットの背面には、前記送風機の少なくとも一部を覆うカバー部材が設けられており、
前記送風機は、前記カバー部材に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記送風機にはハーネスが接続されており、
該ハーネスには、クリップが取り付けられており、
前記カバー部材には、前記クリップを固定するためのカバー部材側固定部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記送風機にはハーネスが接続されており、
前記カバー部材には、前記ハーネスを保持するための保持部が形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記送風機の前面側には、ダクトが設けられており、
前記送風機と前記ダクトの間には、緩衝部材が配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記カバー部材は、前記ブラケットへの取付位置を定める位置決め部を有することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の乗物用シート。
【請求項7】
前記送風機にはハーネスが接続されており、
該ハーネスには、クリップが取り付けられており、
前記左右のサイドフレームの一部には、前記クリップを固定するためのサイドフレーム側固定部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の乗物用シート。
【請求項8】
前記シートクッションは、着座者の臀部を支持する座部の骨格部分を成すシートクッションフレームを有し、
前記シートバックフレームと前記シートクッションフレームとが連結されたフレームを構成し、
前記フレームの上にクッション材を載置した上で、表皮材により被覆することにより構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用シートに係り、特に、送風機を備える乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両用シート等を含む乗物用シートには、シートバックとヘッドレストが一体的に形成されているものがある。
例えば、特許文献1には、車両用シートを構成するシートバックフレームであって、車両等の衝突時に、乗員に無理な力がかからないようにするために、シートバックフレームとヘッドレストフレームが一体的に形成されて逆U字状を成すフレーム(同文献では「ヘッドレストレイント装置」と表記)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-252872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シートに着座する着座者と、シートとの間には、着座者の体温から生じる熱がこもりやすく、着座者にとって不快感を与えやすい。この場合に、シートにブロア等の送風機を取り付けて、送風機による送風によって通気性を高めることも考えられる。一般的な乗物用シートにおいては、アームレストとシートバックとの間にブラケットを介して送風機を取り付けられることが考えられる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のシートバックフレームには、シートバックフレームとヘッドレストフレームとが一体に形成されていることにより、送風機を安定して取り付けることが困難であった。また、シートバックフレームに送風機を取り付けることができたとしても、送風機の振動がシートバックフレームを介して着座者に伝わり、不快感を与えることがあった。
【0006】
そこで、本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シートバックの頭部支持部と背部支持部とに亘って形成されたシートバックフレームに送風機が取り付けられた乗物用シートを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、送風機の振動のシートバックへの伝達を抑制することにある。
また、本発明の他の目的は、送風機のシートバックへの取り付けを容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明の乗物用シートによれば、シートクッションと、該シートクッションに連結されたシートバックと、該シートバックに配置された送風機と、を備える乗物用シートであって、前記シートバックは、着座者の頭部を支持可能な頭部支持部と、前記着座者の背部を支持可能な背部支持部と、を一体的に有し、前記頭部支持部と前記背部支持部とに亘って形成されたシートバックフレームを備え、該シートバックフレームは、左右のサイドフレームを有し、該左右のサイドフレームには、ブラケットが架け渡されており、該ブラケットによって前記送風機が取り付けられ、前記左右のサイドフレームは屈曲して形成された屈曲部をそれぞれ有し、前記ブラケットは、前記屈曲部よりも上方において前記左右のサイドフレームに架け渡されていて、前記送風機は、前記屈曲部よりも上方の前記頭部支持部に位置することにより解決される。
上記構成によれば、左右のサイドフレームに、ブラケットが架け渡されており、ブラケットによって送風機が取り付けられていることで、シートバックの頭部支持部と背部支持部とに亘って形成されたシートバックフレームに送風機が取り付けられた乗物用シートを提供することができる。
また、上記構成によれば、ブラケットが、屈曲部よりも上方において左右のサイドフレームに架け渡されていることで、シートバックの上側にある着座者の頭部側に、屈曲部よりも近い位置にブラケットが架け渡されることとなる。したがってブラケットに取り付けられる送風機によって、着座者の頭部側に風を送り、着座者に快適さを感じさせることができる。
【0008】
また、前記ブラケットの背面には、前記送風機の少なくとも一部を覆うカバー部材が設けられており、前記送風機は、前記カバー部材に固定されていると好ましい。
上記構成によれば、ブラケットの背面にはカバー部材が設けられており、送風機は、カバー部材に固定されていることによって、送風機の固定状態を安定させることができる。
【0009】
また、前記送風機にはハーネスが接続されており、該ハーネスには、クリップが取り付けられており、前記カバー部材には、前記クリップを固定するためのカバー部材側固定部が設けられていると好ましい。
上記構成によれば、クリップをカバー部材側固定部に取り付けることで、ハーネスのカバー部材への取り付けが容易となり、その取付状態を安定して保つことができる。
【0010】
また、前記送風機にはハーネスが接続されており、前記カバー部材には、前記ハーネスを保持するための保持部が形成されていると好ましい。
上記構成によれば、カバー部材にハーネスを保持する保持部が形成されていることで、カバー部材によるハーネスの保持状態を安定して保つことができる。
【0011】
また、前記送風機の前面側には、ダクトが設けられており、前記送風機と前記ダクトの間には、緩衝部材が配置されていると好ましい。
上記構成によれば、緩衝材が送風機とダクトの間に配置されていることで、ダクトへの送風機の振動の伝達を抑制できる。
【0012】
また、前記カバー部材は、前記ブラケットへの取付位置を定める位置決め部を有すると好ましい。
上記構成によれば、カバー部材がブラケットへの取付位置を定める位置決め部を有することで、カバー部材をブラケットに取り付ける位置を容易に決めることができ、ひいては送風機の取り付けが容易となる。
【0013】
また、前記送風機にはハーネスが接続されており、該ハーネスには、クリップが取り付けられており、前記左右のサイドフレームの一部には、前記クリップを固定するためのサイドフレーム側固定部が設けられていると好ましい。
上記構成によれば、サイドフレーム側固定部がサイドフレームに設けられていることで、サイドフレームによるハーネスの保持状態を安定して保つことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シートバックの頭部支持部と背部支持部とに亘って形成されたシートバックフレームに送風機が取り付けられた乗物用シートを提供することが可能となる。
また、本発明によれば、送風機の固定状態を安定させることができる。
また、本発明によれば、ハーネスのカバー部材への取り付けが容易となり、その取付状態を安定して保つことができる。
また、本発明によれば、ダクトへの送風機の振動の伝達を抑制できる。
また、カバー部材をブラケットに取り付ける位置を容易に決めることができる。
また、サイドフレームによるハーネスの保持状態を安定して保つことができる。
また、着座者の頭部側に風を送り、着座者に快適さを感じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る車両用シートの斜視図である。
図2】車両用シートの骨格を成すフレームの斜視図である。
図3図2に示されたブロアを示す斜視図である。
図4】カバー部材を示す斜視図である。
図5】カバー部材にハーネスを取り付けた状態を示す斜視図である。
図6】カバー部材にブロア本体及びガスケットを取り付けた状態を示す斜視図である。
図7図2のVII部を拡大して示す図であり、サイドフレームの取付片にハーネス32を取り付けた状態を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態(本実施形態)に係る車両用シートSについて図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0018】
また、以下では、車両用シートSを例に挙げて説明することとするが、車両用シートSは本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明に係るブロア8を備えるシートは、車両以外の乗り物にも適用可能であり、例えば、船舶や航空機、シート付きの機械等にも適用可能である。
また、以下において、前後、左右、上下の各方向は、車両用シートSの着座者から見た各方向と一致することとする。
【0019】
<全体構成について>
まず、本発明の乗物用シートである本実施形態に係る車両用シートSの全体構成について、図1を主に参照し、車両用シートSの骨格を成すフレームFについて図2を主に参照して概説する。図1は、本実施形態に係る車両用シートSの斜視図、図2は、フレームFの斜視図である。
【0020】
車両用シートSは、シートバックS1と、シートバックS1に連結されたシートクッションS2と、から主に構成されている。また、車両用シートSは、骨格部分を成すフレームFの上にクッション材S1z,S2zを載置した上で、表皮材S1x,S2xにより被覆することにより構成されている。
【0021】
シートバックS1は、骨格部分を成す後述のシートバックフレーム1を有し、着座者の背部を支持可能な背部支持部S1bと、着座者の頭部を支持可能な頭部支持部S1aとを、一体的連続的に有する。シートバックS1の表皮材S1xには、6つの通気孔S1yが形成されている。後述するシートバックS1の内部に配設されたブロア8から生じる風は、通気孔S1yを通って、着座者の頭部近傍に送り出される。
【0022】
シートクッションS2は、着座者の臀部を支持する座部を構成し、骨格部分を成す後述のシートクッションフレーム2を有する。シートクッションS2の表皮材S2xには、左右4つずつの通気孔S2yが形成されている。シートクッションS2の内部にも図示せぬブロアが配設されており、このブロアから生じる風は、通気孔S2yを通って、着座者の大腿部近傍に送り出される。
【0023】
<フレームについて>
フレームFは、図2に示すように、シートバックフレーム1と、シートクッションフレーム2と、から主に構成されている。
【0024】
シートバックフレーム1は、頭部支持部S1aと背部支持部S1bとに亘って形成されている。シートバックフレーム1は、上側で連続的に接続された左右のサイドフレーム1aを有する。左右のサイドフレーム1aは、頭部支持部S1aと背部支持部S1bとを区分けするような高さにおいて屈曲して形成された屈曲部1bをそれぞれ有する。すなわち、各サイドフレーム1aのうち、屈曲部1bよりも上方に位置する部分が頭部支持部S1aを構成している。また、各サイドフレーム1aのうち、屈曲部1bよりも上方に位置する部分は、図2に示すように上端部にて連結し逆さV字状をなしている。
【0025】
左右のサイドフレーム1aには、ブラケット30が架け渡されて溶接により接合されており、ブラケット30によって後述するブロア8が取り付けられている。このように、ブラケット30がサイドフレーム1aに架け渡されていることによって、頭部支持部S1aと背部支持部S1bとに亘って形成されたシートバックフレーム1に、ブロア8を取り付けることが可能となる。
【0026】
特に、ブラケット30は、屈曲部1bよりも上方において左右のサイドフレーム1aに架け渡されて接合されている。このため、シートバックS1の上側にある着座者の頭部側に、屈曲部1bよりも近い位置にブラケット30が架け渡されることとなる。したがってブラケット30に取り付けられるブロア8によって、着座者の頭部側に風を送り、着座者に快適さを感じさせることができる。
【0027】
<ブロア及びブロアの周辺部材について>
次に、図3図6を参照してブロア8及びブロア8の周辺部材について説明する。図3は、図2に示されたブロア8を示す斜視図、図4は、カバー部材31を示す斜視図である。図5は、カバー部材31にハーネス32を取り付けた状態を示す斜視図、図6は、カバー部材31にブロア本体8a及びガスケット8bを取り付けた状態を示す斜視図である。
【0028】
ブロア8は、本発明に係る送風機に相当し、シートバックS1の内部から着座者に向けて送風するためのものである。ブロア8は、中央にあるブロア本体8aと、下方に突出する吸気部8aaと、中央前側に設けられた吹出部8abと、から主に構成されている。ブロア8は、ブラケット30とカバー部材31とによって挟持されて、カバー部材31に固定されている。
【0029】
ブラケット30は、板材から成り、吸気部8aaを避けるように前側に屈曲する屈曲部30bと、一部が欠けた円形状の3つの座面30cと、後述するクリップ部材32aを避けるように前側に湾曲する湾曲部30dと、を有する。
【0030】
また、ブラケット30の中央部分には、背面側から取り付けられるブロア8の吹出部8abをブラケット30の前方に突出させるための吹出部8abを通す略円形状の通し穴30aが大きく形成されている。
さらに、ブラケット30の上部には、カバー部材31との取付位置を決めるための位置決め孔30e,30fが左右に形成されている。位置決め方法については後述する。
【0031】
座面30cは、ブラケット30と後述するカバー部材31に連結するタッピング35の座り面となる部位である。ブラケット30の座面30cにおける、後述する取付用突起31dに前後方向で対向する位置に、ブラケット30の座面30cの図示せぬ孔が形成されている。
ブラケット30は、左右の端部がサイドフレーム1aに重ね合わせられた状態で、溶接により接合されることによって、シートバックフレーム1に取り付けられることとなる。
【0032】
カバー部材31は、ブロア8の後部及びブラケット30の後部の一部を覆うものである。図4に示すように、平板部31aと、平板部31aの周縁であり、平板部31aから前方に延在するフランジ31bと、を主に備える。
【0033】
平板部31aの前面側には、前方に突出する3本の取付用突起31d、及び取付用突起31dよりも上方にあり、同じく前方に突出する2本の位置決め用突起31hが形成されている。また、平板部31aの左側には、前方に突出して形成された正面視方形状の凸部31eが形成されている。この凸部31eの中央部には、方形状の固定孔31fが形成されている。この固定孔31fは、本発明に係るカバー部材側固定部に相当し、後述するクリップ部材32aが取り付けられる部位である。
【0034】
取付用突起31dは、ブロア8に形成された図示せぬ取付用の孔に一部を通してブロア8を支持するため、及びタッピング35を受け入れてブラケット30と螺合するためのものである。取付用突起31dは、その周面にリブが形成されており、円筒状を成している。また、取付用突起31dは、平板部31aの中央よりも上側に2本、中央よりも下側に1本設けられている。
タッピング35は、ブラケット30の座面30cの図示せぬ孔をネジ側が通って取付用突起31dにねじ込まれることとなる。タッピング35が取付用突起31dにねじ込まれることによって、ブラケット30とカバー部材31とがブロア8を挟持した状態で固定され、ブロア8の固定状態が安定することとなる。
【0035】
位置決め用突起31hは、ブラケット30への取付位置を定める位置決め部として機能するものであり、周面にリブが形成されており円筒状を成している。詳細には、位置決め用突起31hは、上記の3本の取付用突起31dと、タッピング35が通る3つの座面30cの図示せぬ孔とが一致する位置に、位置を合わせるためのものである。
位置決め用突起31hは、平板部31aの前面における、位置決め孔30e,30fと前後方向において対向する位置に形成されている。
【0036】
カバー部材31が位置決め用突起31hを有することで、カバー部材31をブラケット30に取り付ける位置、つまり、3本の取付用突起31dとタッピング35が通る3つの座面30cの図示せぬ孔とが対向する位置を容易に決めることができる。このため、ブラケット30とカバー部材31と取り付け、ひいてはこれらに挟持されるブロア8の取り付けが容易となる。
【0037】
図5に示すように、ブロア8に接続されたハーネス32には、カバー部材31に取り付けるための部材でありコネクタとしても機能する、本発明に係るクリップとしてのクリップ部材32aが取り付けられている。このクリップ部材32aが上記のように、カバー部材31に設けられた凸部31eの固定孔31fに固定される。
このようにして、クリップ部材32aが固定孔31fに取り付けられることで、クリップ部材32aが取り付けられたハーネス32が、カバー部材31に容易に取り付けられ、その取付状態を安定して維持することができる。
【0038】
カバー部材31の下側のフランジ31bには、ブロア8に接続されるハーネス32を保持するための保持部としての保持片31cが形成されている。
保持片31cは、下側のフランジ31bに切欠き31gが形成されていることによって形成された縁面を有して、先端側が基端側よりも大きく形成されている。つまり、切欠き31gの隙間は、保持片31cの先端側で狭くなり、その基端側で広くなっている。このように、保持片31cが形成されていることにより、切欠き31gに挿し込まれたハーネス32がカバー部材31から抜け落ちることを抑制でき、ハーネス32の保持状態を安定して保つことが可能となっている。
【0039】
また、ブロア8の前面側(詳細には、ブロア8の中央に設けられたブロア本体8aの前方側であって、ブロア8の中央よりも前側)には、図3に示すダクト8cが設けられており、ブロア8とダクト8cの間には、図6に示すガスケット8bが配置されている。
【0040】
ガスケット8bは、緩衝部材として機能し、リンク状の樹脂板であり、ブロア8の前面であり、吹出部8abの周囲に取り付けられている。ガスケット8bが配設されていることにより、ダクト8cへの振動の伝達、及びダクト8cを介してのクッション材S1zへのブロア8の振動の伝達を抑制でき、ひいてはシートバックS1の振動を抑制することができる。
【0041】
ダクト8cは、ブロア8の吹出部8abから送り出される空気を、クッション材S1zの図示せぬ孔にガイドするためのものである。ダクト8cによってガイドされた空気は、クッション材S1zを介して通気孔S1yから着座者に供給されることとなる。
ダクト8cは、ブロア8の吹出部8abから供給される空気を所定領域まで狭める通気筒8dと、ガスケット8bとの接触面積を確保するための鍔8eと、から構成されている。
【0042】
通気筒8dの内径は、吹出部8abから吹き出される風が通る部位の面積を狭めることによりその速度を高めるため、吹出部8abの開放部の内径よりも短く形成されている。
鍔8eは、吹出部8abよりも径方向外側にあるガスケット8bとの接触面積を確保するためのものであり、通気筒8dの後端側の周面から通気筒8dの径方向に、ガスケット8bの外側面に至る位置まで延在している。
【0043】
<サイドフレームへのハーネスの取り付けについて>
サイドフレーム1aへのハーネス32の取り付けについて、図2に加えて図7を参照して説明する。図7は、図2のVII部を拡大して示す図であり、サイドフレーム1aの取付片33にハーネス32を取り付けた状態を示す拡大斜視図である。
【0044】
ハーネス32には、図2及び図7に示すように、本発明に係るクリップとしてのクリップ部材32bが複数取り付けられている。また、左右のサイドフレーム1aには、クリップ部材32bを取り付けるための取付片33が溶接ビード34によって接合されている。
取付片33は、方形状の平板部33aと、平板部33aの周縁を形成する溶接される辺以外の三辺から前方に延在するフランジ33bとから構成されている。
【0045】
平板部33aには、クリップ部材32bのクリップ部分を通してこれを固定するためのサイドフレーム側固定部として機能する固定孔33cが形成されている。
フランジ33bは、固定孔33cに通されたクリップ部材32bの一部をクッション材S1zから保護するためのものである。
このように、固定孔33cがサイドフレーム1aの取付片33に設けられていることで、サイドフレーム1aによるハーネス32の保持状態を安定して保つことができる。
【符号の説明】
【0046】
S 車両用シート(乗物用シート)
S1 シートバック
S1a 頭部支持部
S1b 背部支持部
S1x 表皮材
S1y 通気孔
S1z クッション材
S2 シートクッション
S2x 表皮材
S2y 通気孔
S2z クッション材
F フレーム
1 シートバックフレーム
1a サイドフレーム
1b 屈曲部
2 シートクッションフレーム
8 ブロア(送風機)
8a ブロア本体
8aa 吸気部
8ab 吹出部
8b ガスケット(緩衝部材)
8c ダクト
8d 通気筒
8e 鍔
30 ブラケット
30a 通し穴
30b 屈曲部
30c 座面
30d 湾曲部
30e,30f 位置決め孔
31 カバー部材
31a 平板部
31b フランジ
31c 保持片(保持部)
31d 取付用突起
31e 凸部
31f 固定孔(カバー部材側固定部)
31g 切欠き
31h 位置決め用突起(位置決め部)
32 ハーネス
32a,32b クリップ部材(クリップ)
33 取付片
33a 平板部
33b フランジ
33c 固定孔(サイドフレーム側固定部)
34 溶接ビード
35 タッピング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7