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特許7004951発明評価装置、発明評価方法、および発明評価プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】発明評価装置、発明評価方法、および発明評価プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/18 20120101AFI20220114BHJP
【FI】
G06Q50/18 310
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020571001
(86)(22)【出願日】2020-07-08
(86)【国際出願番号】 JP2020026761
【審査請求日】2020-12-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515277757
【氏名又は名称】株式会社AI Samurai
(72)【発明者】
【氏名】三上 崇志
(72)【発明者】
【氏名】白坂 一
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特許第6653833(JP,B1)
【文献】特開2010-224984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発明に関する発明情報と先行技術情報との類似度を評価する発明評価装置であって、
ユーザ端末から前記発明情報を取得する取得部と、
前記発明情報との類似度が所定の基準を満たす前記先行技術情報を、類似発明情報として抽出する抽出部と、
前記抽出部によって抽出された前記類似発明情報における、前記発明情報が記載されている部分に応じて、前記類似発明情報について取得する情報を変化させる審査取得部であって、前記類似発明情報のうち請求項の記載と前記発明情報との類似度が前記所定の基準を満たす請求項類似発明情報について、当該請求項類似発明情報の審査に関する審査情報を取得し、前記類似発明情報のうち請求項の記載は前記発明情報との類似度が前記所定の基準を満たさず、前記類似発明情報のうち実施例の記載は前記発明情報との類似度が前記所定の基準を満たす実施例類似発明情報については、当該実施例類似発明情報に関する審査情報を取得しない審査取得部と、
前記類似発明情報に関する情報と、前記審査情報とを、前記ユーザ端末へ出力する出力部と、
を備え、
前記取得部は、前記抽出部によって抽出された前記類似発明情報、および当該類似発明情報に関する前記審査情報のうち、クレームチャートを出力させる類似発明情報および審査情報の少なくともいずれかの選択に関する選択情報を前記ユーザ端末から取得し、
前記出力部は、前記選択情報に基づいて、選択された類似発明情報および審査情報の少なくともいずれかと、前記発明情報との差異の程度を、前記発明情報の構成単位ごとに示した比較表であるクレームチャートを出力する、発明評価装置。
【請求項2】
前記出力部は、前記ユーザ端末において、前記類似発明情報に関する情報を表示させる第1表示領域と、当該第1表示領域に表示された前記類似発明情報と対応する前記審査情報を表示させる第2表示領域とを表示させる表示情報を、前記ユーザ端末へ出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の発明評価装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記ユーザ端末において、前記類似発明情報をリスト表示させ、前記ユーザ端末におけるユーザの選択操作に応じて、前記類似発明情報に対応する前記審査情報を表示させる表示情報を、前記ユーザ端末へ出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の発明評価装置。
【請求項4】
前記類似発明情報に対応する、海外で出願された対応海外類似発明情報と、当該対応海外類似発明情報の審査経過に関する海外審査情報を取得する海外情報取得部をさらに備え、
前記出力部は、前記対応海外類似発明情報および前記海外審査情報を、前記ユーザ端末へ出力する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の発明評価装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記ユーザ端末から、前記所定の基準を設定する設定情報を取得し、
前記抽出部は、前記取得部が前記ユーザ端末から取得した前記所定の基準に基づき、類似発明情報を抽出する、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の発明評価装置。
【請求項6】
発明に関する発明情報と先行技術情報との類似度を評価する発明評価方法であって、
コンピュータが、
ユーザ端末から前記発明情報を取得するステップと、
前記発明情報との類似度が所定の基準を満たす前記先行技術情報を、類似発明情報として抽出するステップと、
前記抽出するステップによって抽出された前記類似発明情報における、前記発明情報が記載されている部分に応じて、前記類似発明情報について取得する情報を変化させるステップであって、前記類似発明情報のうち請求項の記載と前記発明情報との類似度が前記所定の基準を満たす請求項類似発明情報について、当該請求項類似発明情報の審査経過に関する審査情報を取得し、前記類似発明情報のうち請求項の記載は前記発明情報との類似度が前記所定の基準を満たさず、前記類似発明情報のうち実施例の記載は前記発明情報との類似度が前記所定の基準を満たす実施例類似発明情報については、当該実施例類似発明情報に関する審査情報を取得しないステップと、
前記類似発明情報に関する情報と、前記審査情報とを、前記ユーザ端末へ出力するステップと、
を含み、
さらに、前記抽出するステップによって抽出された前記類似発明情報、および当該類似発明情報に関する前記審査情報のうち、クレームチャートを出力させる類似発明情報および審査情報の少なくともいずれかの選択に関する選択情報を前記ユーザ端末から取得するステップと、
前記選択情報に基づいて、選択された類似発明情報および審査情報の少なくともいずれかと、前記発明情報との差異の程度を、前記発明情報の構成単位ごとに示した比較表であるクレームチャートを出力するステップとを含む発明評価方法。
【請求項7】
発明に関する発明情報と先行技術情報との類似度を評価する発明評価装置に、
ユーザ端末から前記発明情報を取得する取得機能と、
前記発明情報との類似度が所定の基準を満たす前記先行技術情報を、類似発明情報として抽出する抽出機能と、
前記抽出機能によって抽出された前記類似発明情報における、前記発明情報が記載されている部分に応じて、前記類似発明情報について取得する情報を変化させる審査経過取得機能であって、前記類似発明情報のうち請求項の記載と前記発明情報との類似度が前記所定の基準を満たす請求項類似発明情報について、当該請求項類似発明情報の審査経過に関する審査情報を取得し、前記類似発明情報のうち請求項の記載は前記発明情報との類似度が前記所定の基準を満たさず、前記類似発明情報のうち実施例の記載は前記発明情報との類似度が前記所定の基準を満たす実施例類似発明情報については、当該実施例類似発明情報に関する審査情報を取得しない審査経過取得機能と、
前記類似発明情報に関する情報と、前記審査情報とを、前記ユーザ端末へ出力する機能と、
を実現させ、
前記取得機能は、前記抽出機能によって抽出された前記類似発明情報、および当該類似発明情報に関する前記審査情報のうち、クレームチャートを出力させる類似発明情報および審査情報の少なくともいずれかの選択に関する選択情報を前記ユーザ端末から取得し、
前記出力機能は、前記選択情報に基づいて、選択された類似発明情報および審査情報の少なくともいずれかと、前記発明情報との差異の程度を、前記発明情報の構成単位ごとに示した比較表であるクレームチャートを出力する発明評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発明評価装置、発明評価方法、および発明評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、出願前の発明を評価する装置が開発されている。出願前の発明の評価とは、具体的には、新規性、進歩性といった登録の実体的要件を満足するか否かの先行技術調査、侵害の有無等を判定するためのクリアランス調査、および登録済みの特許に対する無効調査等をいう。ここで、例えば特許文献1には、知的財産に関する情報を記憶し、出願前の出願書類についての評価、および作成の支援を行う、特許明細書評価・作成作業支援装置が開示されている。特許文献1に記載の特許明細書評価・作成作業支援装置は、拒絶理由通知書を含む公開特許公報に関する情報を格納し、該格納情報に対して出願前の出願書類を類似検索することによって、予測される拒絶理由通知書の記載を推定することが記載されている。
【0003】
また、発明者は、例えば非特許文献1に記載のシステムなどを用いて、自身の発明に対する先行技術調査やクリアランス調査を行うことができる。さらに、発明者は、調査の結果自身の発明に類似または同一する特許が発見された場合、当該特許に対する無効調査を行うことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-224984号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】“特許情報プラットフォームJ-PlatPat”,[online],[令和2年5月23日検索],インターネット<URL:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような、特許性(新規性・進歩性)、先行技術との類似性といった発明の評価は、一発明者にとっては難しい場合が多い。また、先行特許文献とユーザの発明とを比較させた際に、ユーザの発明の内容が、先行特許文献の請求項に記載されているか、または請求項以外の、例えば発明の詳細な説明に記載されているかによって、ユーザが取るべき対策や、必要とする資料は異なってくる。さらに、ユーザが取るべき対策や、必要とする資料は、先行技術との類似性を評価する対象がユーザの発明であるのか、それとも無効化したい登録済みの特許であるのかによっても異なってくる。したがって、類似度の種類に応じた検索結果を、簡易な操作でユーザに提供する技術が所望されていた。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、ユーザに、簡易な操作で発明情報と先行技術情報との類似度を把握させ、類似度の種類に応じた適切な情報を提供可能な発明評価装置、発明評価方法、および発明評価プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態による、発明に関する発明情報と先行技術情報との類似度を評価する発明評価装置は、ユーザ端末から発明情報を取得する取得部と、発明情報との類似度が所定の基準を満たす先行技術情報を、類似発明情報として抽出する抽出部と、抽出部によって抽出された類似発明情報のうち、類似発明情報の請求項の記載と発明情報との類似度が所定の基準を満たす請求項類似発明情報について、当該請求項類似発明情報の審査に関する審査情報を取得する審査取得部と、類似発明情報に関する情報と、審査情報とを、ユーザ端末へ出力する。
【0009】
本発明の一実施形態における発明評価装置において、出力部は、ユーザ端末において、類似発明情報に関する情報を表示させる第1表示領域と、当該第1表示領域に表示された類似発明情報と対応する審査情報を表示させる第2表示領域とを表示させる表示情報を、ユーザ端末へ出力してもよい。
【0010】
本発明の一実施形態における発明評価装置において、出力部は、ユーザ端末において、類似発明情報をリスト表示させ、ユーザ端末におけるユーザの選択操作に応じて、類似発明情報に対応する審査情報を表示させる表示情報を、ユーザ端末へ出力してもよい。
【0011】
本発明の一実施形態における発明評価装置において、類似発明情報に対応する、海外で出願された対応海外類似発明情報と、当該対応海外類似発明情報の審査に関する海外審査情報を取得する海外情報取得部をさらに備え、出力部は、対応海外類似発明情報および海外審査情報を、ユーザ端末へ出力してもよい。
【0012】
本発明の一実施形態における発明評価装置において、取得部は、ユーザ端末から、所定の基準を設定する設定情報を取得し、抽出部は、取得部がユーザ端末から取得した所定の基準に基づき、類似発明情報を抽出してもよい。
【0013】
本発明の一実施形態における発明評価装置において、出力部は、発明情報を所定の構成単位に分解し、発明情報と類似発明情報との差異の程度を構成単位ごとに示した比較表を出力してもよい。
【0014】
本発明の一実施形態における、発明に関する発明情報と先行技術情報との類似度を評価する発明評価方法は、コンピュータが、ユーザ端末から発明情報を取得するステップと、発明情報との類似度が所定の基準を満たす先行技術情報を、類似発明情報として抽出するステップと、抽出するステップによって抽出された類似発明情報のうち、類似発明情報の請求項の記載と発明情報との類似度が所定の基準を満たす請求項類似発明情報について、当該請求項類似発明情報の審査に関する審査情報を取得するステップと、類似発明情報に関する情報と、審査情報とを、ユーザ端末へ出力するステップとを含む。
【0015】
本発明の一実施形態における発明評価プログラムは、発明に関する発明情報と先行技術情報との類似度を評価する発明評価装置に、ユーザ端末から発明情報を取得する取得機能と、発明情報との類似度が所定の基準を満たす先行技術情報を、類似発明情報として抽出する抽出機能と、抽出機能によって抽出された類似発明情報のうち、類似発明情報の請求項の記載と発明情報との類似度が所定の基準を満たす請求項類似発明情報について、当該請求項類似発明情報の審査に関する審査情報を取得する審査情報取得機能と、類似発明情報に関する情報と、審査情報とを、ユーザ端末へ出力する出力機能とを実現させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一実施形態によれば、ユーザに、簡易な操作で発明情報と先行技術情報との類似度を把握させ、類似度の種類に応じた適切な情報を提供可能な発明評価装置、発明評価方法、および発明評価プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る発明評価システムにおける、発明評価装置、およびユーザ端末の機能ブロック図の一例である。
図2】本発明の一実施形態に係る発明評価装置(コンピュータ)のハードウェア構成の一例である。
図3】本発明の一実施形態に係る発明評価装置の概要を説明する図である。
図4】本発明の一実施形態に係るユーザ端末の表示画面の一例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係るユーザ端末の表示画面の一例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係るユーザ端末の表示画面の一例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る発明評価装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以降、諸図面を参照しながら、本発明の一実施形態を詳細に説明する。
【0019】
<システム構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る発明評価システム500の概略図である。発明評価システム500は、ネットワーク300を介して互いに接続された、発明評価装置100、ユーザ端末200、先行技術情報データベース(DB)400を含む。なお、ユーザ端末200の数は、図示したものに限られるものではなく、複数のユーザ端末を含んでもよい。
【0020】
発明評価システム500は、発明情報と複数の先行技術情報とを比較して、発明情報と類似する先行技術情報を抽出し、発明情報と抽出された先行技術情報との類似度(同一度)を評価することが可能なシステムである。発明情報とは、発明に関する何らかの情報であって、発明を記述する発明文章そのものであってもよいし、発明に関する電子ファイル(テキストファイル、pdfファイルなど)であっても、発明情報の格納場所を示すパス名やURL等であってもよい。また、発明情報は、例えば、文章データ(アイデアシート、アイデアメモ、訴訟に関連する情報、論文、書籍(雑誌、週刊誌を含む)、レポートおよびホームページ)を含んでもよく、数値データ(実験データ、測定データ、統計データ、検査データ)を含んでもよい。その他、発明情報は、数式データ、図表データ、写真データおよび画像データ(静止画像、動画像を含む)を含んでもよい。なお本実施形態では、評価する対象を発明として説明するが、本発明はこれに限られるものではなく、評価する対象は知的財産に関する情報であってよい。
【0021】
ここで、知的財産とは、人間の知的活動によって生み出されたアイデアや創作物等である。知的財産は、例えば、発明、考案、意匠、商標、著作物、回路配置または植物の新品種である。また、知的財産は、例えば、知的財産の内容を説明するための文書、知的財産の内容を説明するための図、表、グラフ、スケッチもしくは写真(図等)、または図等を説明する文書等であってもよい。本実施形態における知的財産に関する情報とは、ユーザが検索または分析したい内容を抽出するための情報である。知的財産に関する情報は、権利取得された情報のみならず、権利取得前の公開情報、未公開情報、出願前の発明情報を含む。権利取得された情報とは、例えば、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、回路配置利用権または育成者権等が成立している情報である。例えば、知的財産が発明である場合、発明情報および先行技術情報は、発明の内容を示す文章(特許請求の範囲(請求項)の記載、発明の課題または発明の目的の記載、実施例の記載等)または図面等の情報である。また、知的財産が意匠である場合、発明情報および先行技術情報は、形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に係る図面等の情報である。また、知的財産が商標である場合、発明情報および先行技術情報は、商品またはサービスの識別標識である。
【0022】
なお、知的財産に関する情報には、上述したように権利取得前の情報を含んでいてもよい。権利取得前の情報とは、例えば、発明や意匠を創作するまでの過程を記憶した情報、実験のために準備した材料もしくは装置、実験結果、研究開発の表題、研究開発の目的、技術者の氏名、技術者の所属名、プロジェクト番号等の付随的な情報である。付随的な情報には、取得された知的財産に関する情報に対するアクセス権限の情報を含んでいてもよい。アクセス権限とは、情報に対する閲覧、編集、削除、認証処理等の処理を実行できる権限であり、例えば、知的財産に関する情報を記憶した技術者に対しては、全ての処理を実行できるアクセス権限を付与し、知的財産の創作に共同した技術者には、閲覧の処理を実行できるアクセス権限を付与し、または、知的財産に関する情報を認証する認証者には、認証処理を実行できるアクセス権限を付与する。
【0023】
なお既に述べたように、以下の説明においては、知的財産が発明である場合を例示するが、知的財産は発明に限定されるものではない。すなわち、知的財産の創作には、商標における識別標識の選択等を含んでいてもよい。
【0024】
先行技術情報データベース400は、上述した知的財産に関する情報であって、既存の情報を格納する。先行技術情報データベース400は、例えば特許庁のデータベースとすることができる。特許庁のデータベースは、1庁でも複数庁を含んでいてもよい。なお、米国、欧州、日本、中国、および韓国の5庁のデータベースを含むことで世界の特許の約90%を網羅することができるため、先行技術情報の検索精度を上げるためには、これらの5庁のデータベースを含んでいるとよい。なお、データベースとしては、上述に限られるものでなく、インターネット上に存在する情報であってもよい。さらに、特許庁のデータベースに限られず、発明情報のうち既存の情報を格納する別個のデータベースであってよい。また、データベースは、図のようにネットワーク上に設けられるものに限られず、発明評価装置100に格納されていてもよい。なお、これらのデータベースには、データベースの供給側が提供するAPI(Application Program Interface)を用いてアクセスすることができる。
【0025】
ユーザ端末200は、発明評価システム500によって提供される発明評価サービスを利用するユーザの通信端末である。図1において、ユーザ端末200はノートパソコンを示してあるが、ユーザ端末200としては、ネットワーク300を介して発明評価サービスを利用可能とするものであれば、その種類は問わない。ユーザ端末200は、例えば、デスクトップパソコン、スマートフォン、携帯電話(フィーチャーフォン)、ハンドヘルドコンピュータデバイス(例えば、PDA(Personal Digital Assistant)等)、ウェアラブル端末(例えば、メガネ型デバイス、時計型デバイス、ヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head-Mounted Display等)、他種のコンピュータ、又はコミュニケーションプラットホームを含んでよい。ユーザ端末200は、ユーザからの入力操作を受け付けて、ネットワーク300を介して、発明情報を発明評価装置100へ送信する。
【0026】
ネットワーク300は、無線ネットワークや有線ネットワークを含んでよい。具体的には、ネットワーク300は、ワイヤレスLAN(wireless LAN:WLAN)や広域ネットワーク(wide area network:WAN)、ISDNs(integrated service digital networks)、無線LANs、LTE(long term evolution)、LTE-Advanced、第4世代(4G)、第5世代(5G)、CDMA(code division multiple access)等である。なお、ネットワーク300は、これらの例に限られず、例えば、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)やブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、光回線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber LINE)回線、衛星通信網等であってもよい。また、ネットワーク300は、これらの組み合わせであってもよい。
【0027】
なお、ユーザ端末200と発明評価装置100との間の接続、および先行技術情報データベース400と発明評価装置100との間の接続は、扱う情報が機密情報である場合、ネットワーク300の通信環境がセキュリティの面で優れている必要がある。この場合、これらの間の接続に専用の回線を用意し、セキュリティを強化してもよい。
【0028】
<ハードウェア構成>
まず、図2を用いて、本発明の一実施形態に係る発明評価装置(コンピュータ)100のハードウェア構成について説明する。発明評価装置100は、プロセッサ101と、メモリ102と、ストレージ103と、入出力インタフェース(I/F)104と、通信I/F105とを備え、これらの協働により、本実施形態に記載される機能や方法を実現する。例えば、本開示の機能又は方法は、メモリ102に読み込まれたプログラムに含まれる命令をプロセッサ101が実行することによって実現される。
【0029】
プロセッサ101は、ストレージ103に記憶されるプログラムに含まれるコード又は命令によって実現する機能、および/又は、方法を実行する。プロセッサ101は、例えば、中央処理装置(CPU)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、プロセッサコア(processor core)、マルチプロセッサ(multiprocessor)、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を含み、集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって各実施形態に開示される各処理を実現してもよい。また、これらの回路は、1又は複数の集積回路により実現されてよく、各実施形態に示す複数の処理を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。また、LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSI等と呼称されることもある。
【0030】
メモリ102は、ストレージ103からロードしたプログラムを一時的に記憶し、プロセッサ101に対して作業領域を提供する。メモリ102には、プロセッサ101がプログラムを実行している間に生成される各種データも一時的に格納される。メモリ102は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含む。
【0031】
ストレージ103は、プログラムを記憶する。ストレージ103は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等を含む。
【0032】
通信I/F105は、ネットワークアダプタ等のハードウェアや通信用ソフトウェア、およびこれらの組み合わせとして実装され、ネットワーク300を介して各種データの送受信を行う。当該通信は、有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。通信I/F105は、ネットワーク300を介して、例えばユーザ端末のような他の情報処理装置との通信を実行する。通信I/F105は、各種データをプロセッサ101からの指示に従って、他の情報処理装置に送信する。また、通信I/F105は、他の情報処理装置から送信された各種データを受信し、プロセッサ101に伝達する。
【0033】
入出力I/F104は、発明評価装置100に対する各種操作を入力する入力装置、および発明評価装置100で処理された処理結果を出力する出力装置を含む。入出力I/F104は、入力装置と出力装置が一体化していてもよいし、入力装置と出力装置とに分離していてもよい。入力装置は、ユーザからの入力を受け付けて、当該入力に係る情報をプロセッサ101に伝達できる全ての種類の装置のいずれか、又は、その組み合わせにより実現される。入力装置は、例えば、タッチパネル、タッチディスプレイ、キーボード等のハードウェアキーや、マウス等のポインティングデバイス、カメラ(画像を介した操作入力)、マイク(音声による操作入力)を含む。出力装置は、プロセッサ101で処理された処理結果を出力する。出力装置は、例えば、タッチパネル、スピーカ等を含む。
【0034】
<機能構成>
次に、図1を用いて、各装置の機能構成について説明する。なお、図1に記載の各機能部が必須ではなく、また、これ以外の機能部を備えてもよい。また、各機能部の機能又は処理は、実現可能な範囲において、機械学習又はAI(Artificial Intelligence)により実現されてもよい。
【0035】
(1)ユーザ端末200
本発明の一実施形態に係るユーザ端末200は、通信制御部210、表示制御部220、入力制御部230、および記憶制御部240を備える。通信制御部210は、ネットワーク300を介した、ユーザ端末200と外部装置(発明評価装置100)との間の各種情報の送受信を実行させる。表示制御部220は、ディスプレイやタッチパネルといった表示画面へのデータの表示を制御する。入力制御部230は、キーボード、タッチパネル、またはマイクを介したユーザからの入力操作を受け付ける。入力制御部230は、発明情報入力部231、設定情報入力部232、および選択入力部233を含む。
【0036】
発明情報入力部231は、ユーザから、評価対象である発明情報の入力を受け付ける。発明情報の入力としては、ユーザ端末200の表示画面に表示されたテキストエリアへ、ユーザが発明文章を入力するものであってもよいし、発明情報が含まれるファイル(テキストデータ、pdfデータ、画像データ等)をアップロードすることで行われてもよい。設定情報入力部232は、ユーザから、設定情報の操作入力を受け付ける(詳細は後述する)。選択入力部233は、ユーザから、各種の選択操作に係る入力を受け付ける。
【0037】
記憶制御部240は、ユーザ端末200を発明評価システム500で動作させるためのプログラムやユーザ情報を格納する。また、記憶制御部240は、発明評価装置100を用いた発明情報の評価結果をダウンロードしたデータを格納してもよい。
【0038】
(2)発明評価装置
次に、発明評価装置100について説明する。本発明の一実施形態に係る発明評価装置100は、ネットワーク300を介してユーザ端末200と接続し、該ユーザ端末200に対して発明評価システム500のサービスを提供するための装置である。発明評価装置100は、例えば、いわゆるサーバ装置やコンピュータ(例えば、デスクトップ、ラップトップ、タブレットなど)であってよいが、これらに限定されない。また、発明評価装置100は、1つの筐体によって実現される装置であっても、ネットワーク等を介して接続された複数の装置から実現されるシステムであってもよい。例えば、発明評価装置100は、その機能の一部または全部をクラウドコンピューティングシステムによって提供されるクラウドサービス等、仮想的な装置によって実現するものであってもよい。すなわち、発明評価装置100は、以下に説明する各機能部のうち、少なくとも1以上の機能部を他の装置において実現するようにしてもよい。
【0039】
発明評価装置100は、取得部110、抽出部120、出力部130、審査情報取得部140、海外情報取得部150、通信制御部160、および記憶制御部170の各機能部を有する。本実施形態における発明評価装置100の上記各機能部は、発明評価装置100を制御する情報処理プログラム(ソフトウェア)によって実現される機能モジュールであるものとして説明する。発明評価プログラムは、発明評価装置100で動作する。すなわち、発明評価装置100は、発明評価プログラムが動作する装置をいう。
【0040】
通信制御部160は、ネットワーク300を介した、発明評価装置100と外部装置(ユーザ端末200)との間の各種情報の送受信を実行させる。記憶制御部170は、発明評価装置100を制御する情報処理プログラム(ソフトウェア)を格納する。
【0041】
取得部110は、ユーザ端末200で入力された発明情報をユーザ端末200から取得する。抽出部120は、発明情報との類似度が所定の基準を満たす先行技術情報(以降、「類似発明情報」とも称する)を、先行技術情報データベース400から抽出する。出力部130は、抽出された先行技術情報(すなわち、類似発明情報)を、ユーザ端末200へ出力する。
【0042】
ここで、抽出部120による類似発明情報の抽出について説明する。抽出部120は、複数の先行技術情報の中(すなわち、先行技術情報データベース400)から、発明情報を含む先行技術情報を全文検索し、発明情報を含む所定数の先行技術情報を抽出する。全文検索によって抽出される先行技術情報の数は特に限定されるものではないが、例えば、発明情報をより多く含む先行技術情報を上位から1000~2000件であってもよい。なお、抽出部120は、全文検索にあたり、発明情報を所定の構成単位(Element:エレメント)に分解し、当該構成単位を入力クエリとする。ここで、構成単位とは、発明情報を構成する各部分であって、発明情報が複数の文章から構成される場合、構成単位は、句読点ごと、一定長さごと、または述語ごとに分節された文章であってよい。あるいは、構成単位の分解は、文脈や文章構成に基づいて行われてもよい。あるいは、抽出部120は、形態素解析、構文解析等によって、文書を構成する文節の係り受け関係から文書の並列構造を抽出し、構成単位を求めてもよい。なお、ユーザが、自身の発明について先行技術情報との類似度を評価したい場合、発明情報として、発明の構成要件を列挙した文書を発明評価装置100へ送信することができる。また、ユーザが、登録済みの特許について無効調査を行いたい場合、発明情報として、当該登録済みの特許(無効化対象特許)の情報(請求項の記載)を、発明評価装置100へ送信することができる。これらの場合、構成単位の分割は、構成要件ごとに行われてもよい。また、全文検索は、例えばElasticsearch等を用いて行われてよい。
【0043】
次に、抽出部120は、全文検索をして抽出した所定数の先行技術情報と、発明情報との間の類似度に基づき、類似度の高い先行技術情報を、類似発明情報として抽出する。すなわち、抽出部120は、所定の基準として、先行技術情報のうち、発明情報との類似度が高いものの上位から所定数を、類似発明情報として抽出する。ここで、先行技術情報と、発明情報との間の類似度の算出は、既存の技術を用いてよく、例えば文書間のベクトルの類似度を算出するものであってよい。文章のベクトル化は、文章を形態素解析して分割した単語に対するBag Of Words、TF-IDF、Word2Vec、Dec2Vecなどの手法が挙げられる。また、ベクトル間の類似度の算出には、コサイン類似度等を用いてよい。抽出部120は、全文検索をして抽出した所定数の先行技術情報のうち、類似度が高いものの上位から所定数を、類似発明情報として抽出する。なお、上位から5件でもよいし、10件でもよい。
【0044】
なお、類似度の算出は上述に限られるものではなく、発明情報と先行技術情報との類似度を評価できる手法であれば、いかなる類似文書検索手法を用いてもよい。
【0045】
審査情報取得部140は、抽出部120によって抽出された類似発明情報のうち、類似発明情報の請求項の記載と発明情報との類似度が所定の基準を満たす請求項類似発明情報について、審査に関する審査情報を取得する。審査に関する情報とは、審査する過程で発生した拒絶理由通知の情報、引用文献、査定(登録・拒絶)の結果、情報提供の内容などである。
【0046】
<類似度の種類による抽出情報の違い>
ここで、類似度の種類によって抽出される情報の違いについて説明する。類似度の種類は、発明情報と先行技術情報とが同一か類似か、および発明情報が、先行技術情報のどの部分に記載されているかの区別である。ここで、「同一」とは、発明情報と先行技術情報とが同一であることであって、上述した類似度が第1の閾値以上となることを指してよい。例えばコサイン類似度で類似度を算出した場合、コサイン類似度が1であれば同一となるが、第1の閾値としては、1に限らず、1に近い数であってよい。また、「類似」とは、上述した類似度が第2の閾値以上、第1の閾値未満となることを指してよい。すなわち、所定の基準として、第1の閾値と第2の閾値とが用いられてよい。また、先行技術情報として特許公報を検索する場合、当該先行技術情報は、請求の範囲(請求項)、発明の詳細な説明、要約、図面といった複数の項目から構成される。類似度の種類は、発明情報と同一または類似する部分が、先行技術情報のうち「請求項」に記載されているのか、または請求項以外の「発明の詳細な説明(実施例)」に記載されているのかを区別し、さらに、発明情報と先行技術情報とが同一か類似かを区別する。
【0047】
図3を用いて説明する。まず、発明情報が入力される(ステップ11)。発明評価装置100は、発明情報と先行技術情報との類似度を算出する(ステップ12)。発明情報と先行技術情報との類似度が「同一」の場合、ステップE13へ進む。ここで、発明情報が先行技術情報の請求項に記載されている場合、類似度の種類が請求項同一(ステップE14)となり、実施例に記載されている場合、実施例同一(ステップE16)となる。「請求項同一」の場合、提供される情報としては、当該同一発明(同一先行技術情報)に関する情報に加え、審査に関する情報である(ステップE15)。審査に関する情報とは、審査する経過で発生した拒絶理由通知の情報、引用文献、査定(登録・拒絶)の結果、情報提供の内容などである。これは、発明情報に対する審査がすでに行われているため、その審査経過を積極的に利用することが好ましいことによる。「実施例同一」の場合、ユーザが所望する情報としては、当該同一の先行技術情報に関する情報である(ステップE17)。なお、審査結果によっては、当該同一発明に対応する海外出願について、海外での審査結果を取得してもよい(ステップD14)。
【0048】
次に、発明情報と先行技術情報との類似度が「類似」の場合、ステップL13へ進む。ここで、発明情報が先行技術情報の請求項に記載されている場合、類似度の種類が請求項類似(ステップL14)となり、実施例に記載されている場合、請求項類似(ステップL16)となる。「請求項類似」の場合、提供される情報としては、当該類似発明(類似先行技術情報)に関する情報に加え、審査結果に関する情報である(ステップL15)。この際、審査結果に関する情報として、特に、引用文献が提供される。「実施例類似」の場合、ユーザが所望する情報としては、当該類似する先行技術情報に関する情報である(ステップL17)。
【0049】
なお、発明情報と先行技術情報とが「非類似」の場合、ステップD12へ進む。発明情報が自身の発明である場合、「非類似」は好ましい結果である。発明情報が無効化対象特許の場合は、無効資料の検索を目的として、発明者の過去の出願の提供(ステップD13)、海外3極(米国・中国・欧州)における先行技術調査(ステップD14)、副引例の検索(ステップD15)が行われる。
【0050】
図1の説明に戻る。出力部130は、類似発明情報および審査情報をユーザ端末200へ出力する。図4に、抽出された類似発明情報および審査情報のユーザ端末200における表示画面の一例を示す。評価結果画面70は、第1表示領域として類似発明情報を表示する類似発明領域71、第2表示領域として、審査情報を表示する審査結果領域72を少なくとも含む。また、海外情報取得部150は、類似発明情報に対応する、海外で出願された対応海外類似発明情報と、当該対応海外類似発明情報の審査に関する海外審査情報を取得する。評価結果画面70は、類似発明に対応する海外出願について表示する対応海外領域73を含んでもよい。また、評価結果画面70は、同一発明表示領域74、類似発明表示領域75、同一・類似海外発明表示領域76、その他表示領域77を含んでよい。同一発明表示領域74、類似発明表示領域75では、それぞれ、同一・類似する部分が請求項、実施例のいずれかであるかが区別されて表示される。同一・類似海外発明表示領域76は、同一・類似発明に対応する海外のファミリ出願を表示する領域である。その他領域77は、例えば上述したステップD13の場合に、同一発明者による出願などが表示される。
【0051】
また、評価結果画面70において、ユーザが先行技術情報78を選択すると、選択された先行技術情報が表示されてもよい。なお、図4は一例であって、本発明はこれに限られるものではない。例えば、表示される情報はこれより少なくてもよいし、多くてもよい。また、表示させる情報をユーザが選択できてもよい。
【0052】
図5は、評価結果画面の別の例を示す。評価結果画面90は、類似発明情報のリスト領域91を含む。なお、抽出される類似文書の数は、類似度の高い順に(同一度が高い順に)、所定数(例えば、5つ)であってもよいし、あらかじめ所定の閾値を設定しておき、所定の閾値以上の類似度の類似発明情報を抽出してもよい。ユーザによって、リスト領域91の類似発明情報が選択されると、審査結果/対応海外表示領域92に、選択された類似発明情報の審査結果や、対応する海外出願の審査結果などが表示されてもよい。
【0053】
上述のように、本発明の一実施形態によれば、評価対象として発明情報を入力するという簡易な操作のみで、発明情報の評価(類似文書の検索)が行われ、ユーザに、発明情報と先行技術情報との類似度を把握させ、類似度の種類に応じた適切な情報を提供することができる。したがって、ユーザにとって使い勝手のよい発明評価システムを提供することができる。
【0054】
また、本発明の一実施形態によれば、類似発明の海外における出願情報、審査情報が取得される。したがって、無効調査の際に、無効化資料を幅広く検索することができる。
【0055】
表示制御部220は、各領域に表示される先行技術情報78を、例えばチェックボックス79のように、ユーザによって選択可能な態様で表示する。選択入力部233は、ユーザによる、複数のチェックボックス79の選択入力を受け付ける。出力部130は、ユーザ端末200において、発明情報と、選択された先行技術情報との差異の程度を、発明情報の構成単位ごとに示した比較表(クレームチャート)を表示させることができる。図6に、ユーザ端末200における比較表の表示画面例を示す。ここで、差異の程度とは、構成単位が、先行技術情報にどの程度含まれるかを示し、図6の例では、パーセンテージにて示してあるが、この限りではない。図6の例では、比較表表示画面80は、構成単位表示領域82、先行技術情報および類似度表示領域83、ユーザが入力した発明情報に係る発明の特許性を判定した判定結果表示領域84を含む。図の例では、先行技術情報および類似度表示領域83は、類似文書83A~83Cを含む。なお、先行技術情報および類似度表示領域83は、ユーザの選択に応じて先行技術情報を閲覧可能に構成されてもよい。
【0056】
ただし、発明情報の評価結果は、上述した比較表に限定されない。例えば、模擬拒絶理由通知書(拒絶理由通知書に似せた、模擬的な通知書)や、発明者または出願人として関係する知的財産に関する情報等であってもよい。特許の場合、発明者または出願人として関係する知的財産に関する情報は、発明情報が記載されている発明メモや請求項情報である。
【0057】
上述のように、本発明の一実施形態によれば、類似文書についての情報が、構成単位ごとの比較表の形式でユーザに提供される。したがって、ユーザは、類似文書との同一度が高い構成要件を即座に判断することができ、よりユーザビリティの高いシステムを提供することができる。
【0058】
<発明情報評価処理>
次に、発明評価装置100による発明情報評価処理について、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0059】
まず、取得部110は、ユーザ端末200で入力された発明情報をユーザ端末200から取得する(ステップS11)。抽出部120は、発明情報との類似度が所定の基準を満たす先行特許文献を、類似発明情報として抽出する(ステップS12)。審査情報取得部140は、類似発明情報のうち、類似発明情報の請求項の記載と発明情報との類似度が所定の基準を満たす請求項類似発明情報について、審査に関する審査情報を取得する(ステップS13)。その後、出力部130は、類似発明情報に関する情報と、審査情報とを、ユーザ端末へ出力する(ステップS14)。
【0060】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上記実施の形態に示す構成を適宜組み合わせることとしてもよい。例えば、発明評価装置100が備えるとして説明した各構成部は、物理的に複数のコンピュータによって分散されて実現されてもよいし、一のコンピュータとして実現されてもよい。
【0061】
例えば、発明情報と先行技術情報との同一度(類似度)の算出は、上述の手法に限られるものではない。例えば、抽出部120は、記憶制御部170に予め記憶された、単語のコーパス辞書により、構成単位に含まれる単語について、ユーザ端末200から送信された発明情報と、先行技術情報との間で下位概念又は上位概念を判定し、類似度を算出してもよい。例えば、ユーザが入力した発明情報に含まれる単語が、先行技術情報に含まれる単語と同一であるか、又は、下位概念であれば、その先行技術情報とユーザ端末200から送信された発明情報との類似度を高く算出してもよい。なお、類似度の算出方法は上述したものに限られるものではなく、既存のクラスタリング手法を用いることができる。
【0062】
また、第1の閾値、第2の閾値は、ユーザが設定できてよい。例えば、ユーザ端末200において、設定情報入力部232は、ユーザによる第1の閾値、第2の閾値に関する設定情報を受け付け、発明評価装置100へ設定情報が送信される。抽出部120は、設定情報に基づいて、類似発明情報を抽出してもよい。
【0063】
これにより、類似度の程度をユーザが認識できるため、類似発明の検索処理がブラックボックス化する程度を低減することができる。
【0064】
なお、上述した本発明の一実施形態による発明評価装置100を、知的財産創出支援システムに適用してもよい。例えば、発明評価装置100は、権利取得の可能性を判定する判定部(図示せず)を備えていてもよい。判定部(図示せず)は、ユーザによる発明と類似する類似発明を検索し、類似発明の有無によって、例えば、権利取得の可能性を判定する処理を実行できる。発明の類似は、例えば、発明に含まれる単語の中からキーワードを抽出し、同義語、類義語又は派生語(同義語等)を記憶した図示しないデータベースからキーワードに対する同義語等を検索した上で、同義語等によって構成される文章の意味内容が類似しているか否かで判断することができる。判定部(図示せず)は、抽出部120が算出した類似度が小さい場合、権利取得の可能性が高いと判定し、類似度が大きい場合、権利取得の可能性が低いと判定してもよい。判定部(図示せず)は、権利取得の可能性の高低に応じて、例えば、「Sランク(可能性が極めて高い)」、「Aランク(可能性が高い)」、「Bランク(可能性あり)」、および「Cランク(可能性が低い)」等、ランクによる判定をしてもよい。また、判定は、SランクからCランクの表示に限定されない。判定は、例えば、可能性が高い順に◎から×の表示であってもよい。
【0065】
また、判定部(図示せず)は、各国の特許庁において過去に審査された権利取得の審査結果に基づき、権利取得の可能性を判定することができる。権利取得の審査結果とは、出願に係る発明、引用された引用文献、およびその両者の対比における審査結果(引用文献に基づき拒絶されたか否か)である。判定部(図示せず)は、出願に係る発明と引用された引用文献の文章の類似度を算出し、算出した類似度と審査結果との対比を学習して、権利取得の可能を判定してもよい。判定部(図示せず)は、算出した類似度と過去の審査結果との対比を学習することにより、過去の特許庁における判断を判定基準とすることができるので、権利取得の可能性についての判定精度を向上させることができる。記憶制御部170に、予め、審査結果が格納されるように構成してもよい。審査結果は、例えば、各国の特許庁が公開している審査情報から取得することができる。判定部(図示せず)は、審査結果に基づき、権利取得の可能を判定してもよい。
【0066】
また、判定部(図示せず)は、過去の審査結果を機械学習し、権利取得の可能性を判定してもよい。例えば、判定部(図示せず)は、出願に係る発明と引用された引用文献を入力、審査結果を出力とした、入力と出力をデータセットとする機械学習(教師あり学習)を行い、学習したデータセットをモデリングすることにより、権利取得の可能性を判定することができる。データセットは、例えば、国、適用法(法改正を含む)、発明の分野等によってそれぞれ異なるモデルとしてモデリングすることができる。判定部(図示せず)は、それぞれのモデリングにおいて学習された学習結果を用いることにより、権利取得の可能性についての判定精度を向上させることができる。また、判定部(図示せず)は、新たな審査結果を機械学習していくことにより、特許庁における審査の傾向に変化があった場合においても、その傾向の変化に対応して権利取得の可能性についての判定することができる。なお、機械学習としては、教師ありの学習技法を用いても教師なしの学習技法を用いてもよい。機械学習の学習技法としては、例えば、ニューラルネットワーク(ディープラーニングを含む)、サポートベクターマシン、クラスタリング(例えば、課題、第1実施形態等)、又はベイジアンネットワーク等を用いてもよい。
【0067】
また、上述したユーザ端末200の表示画面は一例であって、これに限られるものではない。
【0068】
本開示の各実施形態のプログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよい。記憶媒体は、「一時的でない有形の媒体」に、プログラムを記憶可能である。プログラムは、例えば、ソフトウェアプログラムやコンピュータプログラムを含む。
【0069】
記憶媒体は適切な場合、1つ又は複数の半導体ベースの、又は他の集積回路(IC)(例えば、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向けIC(ASIC)等)、ハード・ディスク・ドライブ(HDD)、ハイブリッド・ハード・ドライブ(HHD)、光ディスク、光ディスクドライブ(ODD)、光磁気ディスク、光磁気ドライブ、フロッピィ・ディスケット、フロッピィ・ディスク・ドライブ(FDD)、磁気テープ、固体ドライブ(SSD)、RAMドライブ、セキュア・デジタル・カードもしくはドライブ、任意の他の適切な記憶媒体、又はこれらの2つ以上の適切な組合せを含むことができる。記憶媒体は、適切な場合、揮発性、不揮発性、又は揮発性と不揮発性の組合せでよい。
【0070】
また、本開示のプログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して、情報処理装置に提供されてもよい。
【0071】
また、本開示の各実施形態は、プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0072】
なお、本開示のプログラムは、例えば、JavaScript(登録商標)、Python等のスクリプト言語、C言語、Go言語、Swift,Koltin、Java(登録商標)等を用いて実装される。
【符号の説明】
【0073】
100 発明評価装置
101 プロセッサ
102 メモリ
103 ストレージ
110 取得部
120 抽出部
130 出力部
140 審査情報取得部
150 海外情報取得部
160 通信制御部
170 記憶制御部
200 ユーザ端末
210 通信制御部
220 表示制御部
230 入力制御部
231 発明情報入力部
232 設定情報入力部
233 選択入力部
300 ネットワーク
400 先行技術情報データベース
500 発明評価システム
【要約】
【課題】簡易な操作で発明情報と先行技術情報との類似度を把握させ、類似度の種類に応じた適切な情報を提供可能な発明評価装置等を提供すること
【解決手段】本発明の一実施形態による発明評価装置は、ユーザ端末から発明情報を取得する取得部、発明情報との類似度が所定の基準を満たす類似発明情報を抽出する抽出部、類似発明情報のうち、類似発明情報の請求項の記載と発明情報との類似度が所定の基準を満たす請求項類似発明情報について、当該請求項類似発明情報の審査に関する審査情報を取得する審査情報取得部、類似発明情報に関する情報と審査情報とをユーザ端末へ出力する出力部を備える。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7